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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1246082 |
審判番号 | 不服2008-28663 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-10 |
確定日 | 2011-11-02 |
事件の表示 | 特願2005-233577「異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月22日出願公開、特開2007- 48152〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成17年8月11日の出願であって,平成20年2月7日付けの拒絶理由通知に対して同年5月12日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが,同年7月31日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年11月10日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成22年7月21日付けで当審より審尋がなされ,同年10月27日付けで回答書が提出されたものである。 2.平成20年11月10日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年11月10日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正について 平成20年11月10日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は以下のとおり補正された。 <本件補正前の特許請求の範囲> 「 【請求項1】 異なる医療情報フォーマットを配置する方法であって, この方法が,書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップと, 保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップと, 新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップと, 当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップと,を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項2】 配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップにおいて,はいを検知の結果とする場合は,保存媒体内にある当該配置プロフィールを読取り,いいえを検知の結果とする場合は,空の配置プロフィールを配置することを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項3】 配置プロフィールが,内容捕獲補法による情報と,携帯可能の書類フォーマットがフレームであることからなるを搭載することを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項4】 当該入力ステップが,新しい配置規定が設定され,或いは元の配置プロフィールの配置規定を補正することを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項5】 当該新しい入力し或いは当該配置プロフィールに保存されるを補正するステップが,更に当該配置プロフィールに保存するかどうかことを判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項6】 当該配置プロフィールを保存するかどうかことを判断するステップが,はいを判断の結果とする場合は,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存することを特徴とする請求項5に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 【請求項7】 異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法であって, 書類入力ユニットで複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力するステップと, 配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲するステップと, 適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとするステップと, これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップと, 内容捕獲記録を増加するステップと,を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項8】 これらの異なる医療情報フォーマットが,書類処理ソフトウェアによる医療情報フォーマット,一定ソース位置決め(URL)からなるホームページ,或いは任意の医療情報フォーマットからなる医療情報フォーマットであることを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項9】 当該配置プロフィールが,内容捕獲補法による情報と,携帯可能の書類フォーマットがフレームであることからなるを搭載することを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項10】 当該配置プロフィールの規定が,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合いであることを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項11】 当該配置プロフィールの規定が,面白い区域(region of interesting)であることを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項12】 当該適当なプロセスがキーワード/符号のマッチ,面白い区域のマッチ或いは相互組合いのマッチであることを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項13】 当該キーワード/符号のマッチ形態が,予めに定義端であることを特徴とする請求項12に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項14】 当該面白い区域のマッチ形態が,一部に或いは全てに当該面白い区域文字にあることを特徴とする請求項12に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項15】 当該これらの異なる医療情報フォーマット書類が,適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップにおいて,はいを判断の結果とする場合は,内容捕獲記録を増加し,逆にいいえを判断の結果とする場合は,これらの異なる医療情報フォーマット書類の全てを当該配置プロフィールに従って完全に処理するかどうかを判断することを特徴とする請求項7に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項16】 全ての当該配置プロフィールを完全に処理するかどうかを判断するステップにおいて,はいを判断の結果とする場合は,判断ステップを終わり,逆にいいえを判断の結果とする場合は,次に入力される異なる医療情報フォーマットに,内容捕獲のステップを行うことを特徴とする請求項15に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項17】 異なる医療情報フォーマットを配置する装置であって, それが,これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニットと, 当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニットと, 捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニットと, 所定フォーマットの書類を行う出力の書類出力のユニットと,含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する装置。」 <本件補正後の特許請求の範囲> 「 【請求項1】 異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法であって, この方法が,配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップと, 配置プロフィールが存在する時に保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップと, 配置プロフィールが存在しない時に空の配置プロフィールを打ちたてるステップと, 上記打ちたてるステップに対応し,ワードプロセッサーソフトで発生された複数の医療情報フォーマット書類を順に入力するステップで,このステップにおいてのフォーマット書類が一定ソース位置決め装置(URL)からなるホームページタイプ医療情報に追加し入力され,又はこの様々な医療情報書類が書類入力ユニットにより所定の医療情報フォーマットで打ちたてられ, 捕獲ユニットによって,配置プロフィールにおいての少なくとも1つのキーワードを持つ面白い区域である配置規定に基づいて様々な医療情報フォーマット書類から特定のフォーマットを取り出すステップと, 配置プロフィール装置によって,上記面白い区域の上記キーワードの限定情報に基づいてマッチプロセスを特定のフォーマットで実施するステップと 様々な上記医療情報書類が上記マッチプロセスに合わせるかどうかを判断するステップと, 内容捕獲記録を打ちたてるステップと, 新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップと, 情報を取り出すこと及び携帯可能の書類フォーマット(PDF)を利用するフレームを利用することにより索引可能フォーマット書類を発生するように,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップとを含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項2】 当該新しい入力し或いは当該配置プロフィールに保存されるを補正するステップが,更に当該配置プロフィールに保存するかどうかことを判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項3】 当該配置プロフィールを保存するかどうかことを判断するステップが,はいを判断の結果とする場合は,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存することを特徴とする請求項2に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項4】 当該配置プロフィールの規定が,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合いであることを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項5】 当該適当なプロセスがキーワード/符号のマッチ,面白い区域のマッチ或いは相互組合いのマッチであることを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項6】 当該キーワード/符号のマッチ形態が,予めに定義端であることを特徴とする請求項5に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項7】 当該面白い区域のマッチ形態が,一部に或いは全てに当該面白い区域文字にあることを特徴とする請求項5に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項8】 当該これらの異なる医療情報フォーマット書類が,適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップにおいて,はいを判断の結果とする場合は,内容捕獲記録を増加し,逆にいいえを判断の結果とする場合は,これらの異なる医療情報フォーマット書類の全てを当該配置プロフィールに従って完全に処理するかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項9】 全ての当該配置プロフィールを完全に処理するかどうかを判断するステップにおいて,はいを判断の結果とする場合は,判断ステップを終わり,逆にいいえを判断の結果とする場合は,次に入力される異なる医療情報フォーマットに,内容捕獲のステップを行うことを特徴とする請求項8に記載する異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 【請求項10】 異なる医療情報フォーマットを配置する装置であって, それが,これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニットと, 当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニットと, 捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニットと, 所定フォーマットの書類を行う出力の書類出力のユニットと,含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲装置。」 (2)新規事項の有無について 本件補正後の請求項1に係る発明が,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載されていたか否かについて検討する。 本件補正後の請求項1に記載された各ステップの内容について検討すると,本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正前の請求項1,請求項2,及び請求項7に記載される各ステップを組み合わせた発明として記載されている。 具体的には, (ア)補正後の請求項1の「この方法が,配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップ」が,補正前の請求項1の「この方法が,書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップ(実施例の「S100」に対応する。以下,同様。)」に対応し, (イ)補正後の請求項1の「配置プロフィールが存在する時に保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップ」が,補正前の請求項2の「はいを検知の結果とする場合は,保存媒体内にある当該配置プロフィールを読取り(S102)」に対応し, (ウ)補正後の請求項1の「配置プロフィールが存在しない時に空の配置プロフィールを打ちたてるステップ」が,補正前の請求項2の「いいえを検知の結果とする場合は,空の配置プロフィールを配置する(S104)」に対応し, (エ)補正後の請求項1の「上記打ちたてるステップに対応し,ワードプロセッサーソフトで発生された複数の医療情報フォーマット書類を順に入力するステップで,このステップにおいてのフォーマット書類が一定ソース位置決め装置(URL)からなるホームページタイプ医療情報に追加し入力され,又はこの様々な医療情報書類が書類入力ユニットにより所定の医療情報フォーマットで打ちたてられ」が,補正前の請求項7の「書類入力ユニットで複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力するステップ(S200)」に対応し, (オ)補正後の請求項1の「捕獲ユニットによって,配置プロフィールにおいての少なくとも1つのキーワードを持つ面白い区域である配置規定に基づいて様々な医療情報フォーマット書類から特定のフォーマットを取り出すステップ」が,補正前の請求項7の「配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲するステップ(S202)」に対応し, (カ)補正後の請求項1の「配置プロフィール装置によって,上記面白い区域の上記キーワードの限定情報に基づいてマッチプロセスを特定のフォーマットで実施するステップ」が,補正前の請求項7の「適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとするステップ(S204)」に対応し, (キ)補正後の請求項1の「様々な上記医療情報書類が上記マッチプロセスに合わせるかどうかを判断するステップ」が,補正前の請求項7の「これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップ(S206)」に対応し, (ク)補正後の請求項1の「内容捕獲記録を打ちたてるステップ」が,補正前の請求項7の「内容捕獲記録を増加するステップ(S208)」に対応し, (ケ)補正後の請求項1の「新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップ」が,補正前の請求項1の「新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップ(S106)」に対応し, (コ)補正後の請求項1の「情報を取り出すこと及び携帯可能の書類フォーマット(PDF)を利用するフレームを利用することにより索引可能フォーマット書類を発生するように,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップ」が,補正前の請求項1の「当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップ(S110)」に対応するものと認められる。 そうすると,本件補正後の請求項1に係る発明は,「ステップS100,S102,S104を実行した後に,ステップS200,S202,S204,S206,S208を実行し,さらに,続けてステップS106,S110を実行する発明」となっている。 これに対して,本件補正前の請求項1,2に係る発明については,明細書【0029】?【0030】段落及び図1に記載され,本件補正前の請求項7に係る発明については,明細書【0031】?【0032】段落及び図2に記載されているものの,これらを組み合わせた「ステップS100,S102,S104を実行した後に,ステップS200,S202,S204,S206,S208を実行し,さらに,続けてステップS106,S110を実行する発明」については,当初明細書等に何ら説明が無く,また,そのような発明を示唆する記載も無い。 してみれば,本件補正後の請求項1に係る発明は,当初明細書等に記載されたものではなく,また,当初明細書等の記載から自明なものとも認められない。 したがって,請求項1に係る本件補正は,当初明細書等のすべての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「改正前特許法」という。)第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (3)本件補正の目的要件について 上記(2)に記載したとおり,本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正前の請求項1,請求項2,及び請求項7に記載される各ステップを組み合わせた発明として記載されている。 してみれば,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1を引用する請求項2を補正したもの,または本件補正前の請求項7を補正したもの,のいずれかと考えられる。 そこで,請求項1に係る本件補正が,改正前特許法第17条の2第4項に規定される要件を満たすものであるかについて以下に検討する。 (ア)本件補正前の請求項2を補正して本件補正後の請求項1としたと考えた場合 本件補正は,本件補正前の請求項2に,以下の(a)?(e)のステップを追加する補正事項(以下,「補正事項1」という。)を含むものである。 (a)「上記打ちたてるステップに対応し,ワードプロセッサーソフトで発生された複数の医療情報フォーマット書類を順に入力するステップで,このステップにおいてのフォーマット書類が一定ソース位置決め装置(URL)からなるホームページタイプ医療情報に追加し入力され,又はこの様々な医療情報書類が書類入力ユニットにより所定の医療情報フォーマットで打ちたてられ」 (b)「捕獲ユニットによって,配置プロフィールにおいての少なくとも1つのキーワードを持つ面白い区域である配置規定に基づいて様々な医療情報フォーマット書類から特定のフォーマットを取り出すステップ」 (c)「配置プロフィール装置によって,上記面白い区域の上記キーワードの限定情報に基づいてマッチプロセスを特定のフォーマットで実施するステップ」 (d)「様々な上記医療情報書類が上記マッチプロセスに合わせるかどうかを判断するステップ」 (e)「内容捕獲記録を打ちたてるステップ」 上記(a)?(e)の各ステップは,補正前の請求項2に記載される何れの発明特定事項を概念的に下位にしたものでもないから,補正事項1は,改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものとは認められない。 また,上記補正事項1は,改正前特許法第17条の2第4項第1号に規定される「請求項の削除」,同項第3号に規定される「誤記の訂正」,及び同項第4号に規定される「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的とするものとも認められない。 よって,補正事項1を含む本件補正は,改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (イ)本件補正前の請求項7を補正して,本件補正後の請求項1としたと考えた場合 本件補正は,本件補正前の請求項7に,以下の(f)?(j)のステップを追加する補正事項(以下,「補正事項2」という。)を含むものである。 (f)「配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップ」 (g)「配置プロフィールが存在する時に保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップ」 (h)「配置プロフィールが存在しない時に空の配置プロフィールを打ちたてるステップ」 (i)「新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップ」 (j)「情報を取り出すこと及び携帯可能の書類フォーマット(PDF)を利用するフレームを利用することにより索引可能フォーマット書類を発生するように,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップ」 上記(f)?(j)の各ステップは,補正前の請求項7に記載される何れの発明特定事項を概念的に下位にしたものでもないから,補正事項2は,改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。 また,上記補正事項2は,改正前特許法第17条の2第4項第1号に規定される「請求項の削除」,同項第3号に規定される「誤記の訂正」,及び同項第4号に規定される「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的とするものとも認められない。 よって,補正事項2を含む本件補正は,改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (4)まとめ 以上のとおり,本件補正は,改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また,本件補正は,改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成20年11月10日付けの手続補正は上記「2.」に記載したとおり却下されたので,本願の請求項1,7,及び17に係る発明は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1,7,及び17に記載された以下のとおりのものである。 「 【請求項1】 異なる医療情報フォーマットを配置する方法であって, この方法が,書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップと, 保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップと, 新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップと, 当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップと,を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する方法。」(以下,「本願発明1」という。) 「 【請求項7】 異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法であって, 書類入力ユニットで複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力するステップと, 配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲するステップと, 適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとするステップと, これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップと, 内容捕獲記録を増加するステップと,を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。」(以下,「本願発明7」という。) 「 【請求項17】 異なる医療情報フォーマットを配置する装置であって, それが,これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニットと, 当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニットと, 捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニットと, 所定フォーマットの書類を行う出力の書類出力のユニットと,含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する装置。」(以下,「本願発明17」という。) 4.原査定の拒絶の理由の概要 平成20年2月7日付けの拒絶理由通知及び平成20年7月31日付けの拒絶査定の記載からみて,原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。なお,特許法第29条第1項柱書,及び同法同条第2項の規定に関する理由については省略する。 【拒絶理由通知】 「<理由1> この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1-16の記載からは,方法を特定する各ステップが,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。請求項17に記載の装置を特定する各ユニットについても,それぞれがいかなる具体的手段であり,どのような処理を実行するのかが明らかでない。 よって,請求項1-17に係る発明は明確でない。 <理由2> この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 発明の詳細な説明には,請求項に記載の各処理手順や手段について,それらを実現するための具体的構成が,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない(発明の実施の形態には,そもそも文意すら理解できない記載が散見される。)。 よって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項1-17に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (以下省略)」 【拒絶査定】 「この出願については,平成20年2月7日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-4によって,拒絶をすべきものです。 (途中省略) 備考 <理由1について> 補正された請求項1-16の記載によっても,方法を特定する各ステップが,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。また,補正されていない請求項17に記載の装置を特定する各ユニットについても,それぞれがいかなる具体的手段であり,どのような処理を実行するのかが明らかでない。 よって,請求項1-17に係る発明は明確でないから,この出願は,特許請求の範囲の記載が,依然として,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 <理由2について> 発明の詳細な説明には,請求項に記載の各処理手順や手段について,それらを実現するための具体的構成が,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない(他の特許出願の内容を援用し,本願の明細書の記載とすることはできない。)。 よって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項1-17に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから,この出願は,発明の詳細な説明の記載が,依然として,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (以下省略)」 5.拒絶理由通知の理由2(特許法第36条第4項第1号)について (1)本願発明1について 発明の詳細な説明には,本願発明1に関連して以下のとおり記載されている。 「【0029】 図1は本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する方法の流れ図を示す。まず,配置プロフィール(configuration profile)があるかどうかを検知し(S100),配置プロフィールは内容捕獲方法が取り出された情報と携帯可能の書類フォーマットを合わせたフレームにより生じ,例えば,PDFを配置プロフィールとするフレーム書類。配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップにおいて,はいを結果とする場合は,保存媒体内に保存する当該配置プロフィールを読取り(S102),いいえを検知の結果とする場合は,空の配置プロフィールを打ちたてる(S104)。その結果に限らず,新しい或いは補正した配置プロフィールを入力する(S106)。当該入出ステップは新しく設定する配置プロフィール規定或いは元の配置プロフィールを補正する配置プロフィール規定を使用する。 【0030】 次は当該配置プロフィールを保存するかどうかことを判断する(S108)。はいを判断の結果とする場合は,当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存する(S110),いいえを判断の結果とする場合は,異なる医療情報フォーマットを配置する方法流れの設定によってこの流れを完了し,又は外の設定動作を行う。」 また,図面には,本願発明1に関連して【図1】に「本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する方法のフローチャート」が記載されている。 上記発明の詳細な説明の記載及び図面の記載が,当業者が本願発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討する。 発明の詳細な説明には,本願発明1の「書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知する」処理,「保存媒体にある配置プロフィールを読取る」処理,「新しい或いは補正した配置プロフィールを入力する」処理,「当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存する」処理を実現するための構成について何ら具体的な説明が記載されていない。 しかも,これらの処理が,出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できるものでもない。 してみると,発明の詳細な説明には,請求項1の各処理を実現するための構成が,当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 したがって,本願は発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (2)本願発明7について 発明の詳細な説明には,本願発明7に関連して以下のとおり記載されている。 「【0031】 図2は本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法の流れ図を示す。複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力する(S200)。これらの異なる医療情報フォーマットは書類処理ソフトによる医療情報フォーマット,一定ソース位置決め装置(URL)からなるホームページタイプ医療情報,或いは任意の医療情報フォーマットからなる医療情報フォーマットである。配置プロフィール規定に従って,これらの異なる医療情報フォーマット書類から所定のフォーマットを捕獲し(S202),当該配置プロフィールは内容捕獲方法が取出された情報と携帯可能の書類フォーマットを合わせたフレームによりなる。適当なマッチプロセスを実行し,配置プロフィールの配置が規定を設定することに合い(S204),所定のフォーマットから異なる医療情報フォーマット書類を適当なプロセスとし,当該配置プロフィールの規定が,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合いである。また,当該配置プロフィールの規定が,面白い区域(region of interesting)でもよい。当該適当なプロセスがキーワード/符号のマッチ,面白い区域のマッチ或いは相互組合いのマッチである。当該キーワード/符号のマッチ形態が,予めに定義端であり,当該面白い区域のマッチ形態が,一部に或いは全てに当該面白い区域文字にある。 【0032】 これらの異なる医療情報フォーマット書類が,適当なマッチプロセスに合うかどうかを判断し(S206),はいを判断の結果とする場合は,内容捕獲記録を増加し(S208),逆にいいえを判断の結果とする場合は,これらの異なる医療情報フォーマット書類の全てが,当該配置の規定を設定することに従って完全に処理するかどうかを判断する(S210)。全ての当該配置プロフィールを完全に処理するかどうかを判断するステップに,はいを判断の結果とする場合は,判断ステップが終わり,逆にいいえを判断の結果とする場合は,次に入力される異なる医療情報フォーマットに,内容捕獲のステップを行い(S212),これらの異なる医療情報フォーマット書類の全てが配置プロフィールの規定に従って完全に完成するまで,内容捕獲を継続に行う。 【0033】 図3Aを参照してキーワード/符号のマッチ形態に係る実施例の概略図を説明する。マッチの形態は例えば,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合い等のキーワードに従うことが可能である。このような取った文字の結果は00001325,李さん(名字),白ちゃん(名前)及び男である。 【0034】 図3Bを参照して面白い区域のマッチに係る実施例の概略図を説明する。当該面白い区域のマッチは例えば,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合い等のキーワードに従って,更にキーワードの限定情報18のそれぞれによりその中に含まれる文字を捕獲し,当該限定情報は例えば,横縦座標,縦横座標,高さ及び広さ等の情報であり,捕獲された文字結果は3A図の結果とは同じである。 【0035】 図4を参照して異なる医療情報フォーマットを配置する装置に係るブロック図を説明する。これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニット10と,当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット12と,捕獲ユニットを利用し当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置設定書類ユニット14と,所定フォーマットの書類が出力の動作を行う出力の書類ユニット16と,含む。」 また,図面には,本願発明7に関連して【図2】に「本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法のフローチャート」が,【図3A】に「キーワード/符号のマッチ形態に係る実施例の概略図」が,【図3B】に,「面白い区域のマッチ形態に係る実施例の概略図」が,【図4】に「本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する装置のブロック概略図」がそれぞれ記載されている。 上記発明の詳細な説明の記載及び図面の記載が,当業者が本願発明7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討する。 発明の詳細な説明には,本願発明7の「書類入力ユニットで複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力する」処理,「配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲する」処理,「適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとする」処理,「これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断する」処理,「内容捕獲記録を増加する」処理を実現するための構成について何ら具体的な説明が記載されていない。 しかも,これらの処理が,出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できるものでもない。 してみると,発明の詳細な説明には,請求項7の各処理を実現するための構成が,当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 したがって,本願は発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明7を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (3)本願発明17について 発明の詳細な説明には,本願発明17に関連して以下のとおり記載されている。 「【0035】 図4を参照して異なる医療情報フォーマットを配置する装置に係るブロック図を説明する。これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニット10と,当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット12と,捕獲ユニットを利用し当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置設定書類ユニット14と,所定フォーマットの書類が出力の動作を行う出力の書類ユニット16と,含む。」 また,図面には,本願発明17に関連して【図4】に「本発明に係る異なる医療情報フォーマットを配置する装置のブロック概略図」が記載されている。 上記発明の詳細な説明の記載及び図面の記載が,当業者が本願発明17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討する。 発明の詳細な説明には,本願発明17の「これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニット」,「当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット」,「捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニット」,「所定フォーマットの書類を行う出力の書類出力のユニット」を実現するための構成について何ら具体的な説明が記載されていない。 しかも,これらのユニットが,出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できるものでもない。 してみると,発明の詳細な説明には,請求項17の各ユニットを実現するための構成が,当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 したがって,本願は発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (4)意見書等の主張の参酌 審判請求人の意見書及び審判請求書における主張は以下のとおりである。 (4-1)平成20年5月12日付け意見書における主張 「(5)理由2について 更に審査官殿は,「発明の詳細な説明には,請求項に記載の各処理手順や手段について,それらを実現するための具体的構成が,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていない」とご指摘になります。 しかしながら,本件明細書では,特許文献1-3として台湾特許第548557号明細書,台湾特許第573258号明細書,台湾特許第1220485号明細書を挙げており,これら明細書を参照されれば,本件特許出願以前に,既に公となっていた技術の具体的構成がご理解頂けるものと思量します。 それら公知の構成を参酌されれば,本願発明は明確,かつ充分にご理解頂けるもので,特許法第36条第4項第1号に該当しないものと考えます。」 (4-2)平成21年1月16日付けの手続補正書により補正された審判請求書における主張 「(3) 拒絶査定の理由2について 拒絶査定の理由2では,「発明の詳細な説明には,請求項に記載の各処理手順や手段について,それらを実現するための具体的構成が,・・・・明確かつ十分に記載されていない」として,「請求項1?17に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから,・・・・・特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。」と認定された。 しかしながら審判請求人は,発明の詳細な説明には,請求項に記載の各処理手順や手段が明確かつ十分に記載されていると考えるものです。 よって,本件出願は特許法第36条第4項第1号に該当しないものと考えます。」 たしかに,発明の詳細な説明には,特許文献1-3について以下の記載がある。 「【0003】 従って,現在は複数の関連する分類検索技術は前記の問題を解決することにあり。例えば,台湾の特許公報第548557号の「インターネット電子書類の高速分類検索と,相互接続の方法及び,システム」について資料提供端に予定の書類記載フォーマット下で,電子書類を完成させ,かつ,関連する電子書類に相互接続を自動的に発生させる方法とシステムのことを開示させている。ユーザー端に直に検索された関連の資料結果を取るとともに,接続の機能を有する。 【0004】 なお,例えば,台湾の特許公報第573258号の「書類内容とメタ資料(meta data)の対応方法」については概念とキーワードの対比を結合し,書類内容における適当段落を,メタ資料が制定された異なるラベルの書類内容とメタ資料とに自動的に対応する対応方法を開示されている。 【0005】 更に,台湾の特許公報第594532号の「医学資料システムと,システムに応用されてカルテを統合する方法」の如く,各病院或いは各科部のカルテに配分される該患者を,ユーザー端完全に統合する方法を掲示されている。当該方法はあるカルテに対応する論理医学名称を読取って医療情報システムにデタベースから複数の資料を取り出させ,かつ,当該論理医学名称に対応する一集合対象に統合し,当該集合対象を当該端末機器へ伝送するとともに表示されることを利用する。 【0006】 なお,台湾の特許公報第1220485号の「書類変換と,類似ノート選択を結合する複数条件検索の装置と方法」の如く,書類変換と,類似ノート選択の技術により,複数条件検索を行う書類に応用することを掲示されている。有効に従来技術で突破できない欠点を解決する。 【特許文献1】台湾特許第548557号明細書 【特許文献2】台湾特許第573258号明細書 【特許文献3】台湾特許第1220485号明細書」 しかしながら,上記の特許文献1-3(台湾特許第548557号明細書,台湾特許第573258号明細書,台湾特許第1220485号明細書)のどの部分の記載を参照すれば,本件特許出願以前に,既に公となっていたどのような技術,及びその具体的構成が理解できるのかについて,発明の詳細な説明には何ら具体的な記載がなく,どのような技術常識により当業者がどのように発明の詳細な説明や図面の記載を理解することができるものであるのかも明らかではない。 したがって,審判請求人の上記主張を参酌しても,本願の発明の詳細な説明が,当業者が本願発明1,7,及び17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとは言えない。 (5)まとめ 以上のとおり,本願は発明の詳細な説明の記載が,当業者が本件補正前の請求項1,7,及び17に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 6.拒絶理由通知の理由1(特許法第36条第6項第2号)について (1)本願発明1について 本願発明1を分説して示すと以下のとおりである。 (ア)異なる医療情報フォーマットを配置する方法であって, (イ)この方法が,書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップと, (ウ)保存媒体にある配置プロフィールを読取るステップと, (エ)新しい或いは補正した配置プロフィールを入力するステップと, (オ)当該配置プロフィールを当該保存媒体に保存するステップと, (カ)を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する方法。 上記(イ)における「書類入力ユニットを利用して配置プロフィールがあるかどうかを検知するステップ」は,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,このステップ関して,発明の詳細な説明には,【0029】段落に,「まず,配置プロフィール(configuration profile)があるかどうかを検知し(S100),配置プロフィールは内容捕獲方法が取り出された情報と携帯可能の書類フォーマットを合わせたフレームにより生じ,例えば,PDFを配置プロフィールとするフレーム書類。」と記載され,また,【0035】段落に,「これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニット10」と記載されているものの,これらの記載をみても,書類入力ユニットがいかなる具体的手段であり,また,当該書類入力ユニットをどのように利用することによって,どのように「配置プロフィールがあるかどうかを検知」する処理を実行しているのかが明らかでない。 つまり,上記(イ)のステップは,当該ステップ自体の技術的意味が理解できないものであり,他のステップとの技術的関連も理解できないものであるから,発明が不明確である。 したがって,本願発明1は明確でない。 (2)本願発明7について 本願発明7を分説して示すと以下のとおりである。 (キ)異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法であって, (ク)書類入力ユニットで複数個の異なる医療情報フォーマット書類を順に入力するステップと, (ケ)配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲するステップと, (コ)適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとするステップと, (サ)これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップと, (シ)内容捕獲記録を増加するステップと, (ス)を含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法。 上記(ケ)における「配置プロフィールの配置規定に従って,捕獲ユニットでこれら異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲するステップ」は,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,このステップに関して,発明の詳細な説明には,【0031】段落に,「配置プロフィール規定に従って,これらの異なる医療情報フォーマット書類から所定のフォーマットを捕獲し(S202),当該配置プロフィールは内容捕獲方法が取出された情報と携帯可能の書類フォーマットを合わせたフレームによりなる。」と記載され,また,【0035】段落に,「当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット12」と記載されているものの,これらの記載をみても,捕獲ユニットがいかなる具体的手段であり,また,当該捕獲ユニットで,どのようにして「異なる医療情報フォーマット書類内に所定のフォーマットを捕獲する」処理を実行しているのかが明らかでない。 また,上記(コ)における「適当なプロセスを行い,当該配置プロフィールの配置規定に合わせて,配置設定書類ユニットでこれらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとするステップ」は,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,このステップに関して,発明の詳細な説明には,【0031】段落に,「適当なマッチプロセスを実行し,配置プロフィールの配置が規定を設定することに合い(S204),所定のフォーマットから異なる医療情報フォーマット書類を適当なプロセスとし,当該配置プロフィールの規定が,認識コード,患者の名前,性別,符号或いは相互組合いである。また,当該配置プロフィールの規定が,面白い区域(region of interesting)でもよい。当該適当なプロセスがキーワード/符号のマッチ,面白い区域のマッチ或いは相互組合いのマッチである。当該キーワード/符号のマッチ形態が,予めに定義端であり,当該面白い区域のマッチ形態が,一部に或いは全てに当該面白い区域文字にある。」と記載され,また,【0035】段落に,「捕獲ユニットを利用し当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置設定書類ユニット14」と記載されているものの,これらの記載をみても,配置設定書類ユニットがいかなる具体的手段であり,また,当該配置設定書類ユニットで,どのようにして「これらの異なる医療情報フォーマット書類を所定フォーマットにより適当なプロセスとする」処理を実行しているのかが明らかでない。 また,上記(サ)における「これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断するステップ」は,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,このステップに関して,発明の詳細な説明には,【0032】段落に,「これらの異なる医療情報フォーマット書類が,適当なマッチプロセスに合うかどうかを判断し(S206)」と記載されているものの,この記載をみても,「これらの異なる医療情報フォーマット書類が適当なプロセスに合うかどうかを判断する」とは,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,上記(シ)における「内容捕獲記録を増加するステップ」は,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 また,このステップに関して,発明の詳細な説明には,【0032】段落に,「はいを判断の結果とする場合は,内容捕獲記録を増加し(S208)」と記載されているものの,この記載をみても,「内容捕獲記録を増加する」とは,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。 つまり,上記(ケ),(コ),(サ),(シ)の各ステップは,当該ステップ自体の技術的意味が理解できないものであり,他のステップとの技術的関連も理解できないものであるから,発明が不明確である。 したがって,本願発明7は明確でない。 (3)本願発明17について 本願発明17を分説して示すと以下のとおりである。 (セ)異なる医療情報フォーマットを配置する装置であって, (ソ)それが,これらの異なる医療情報フォーマットの書類を納める書類入力ユニットと, (タ)当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニットと, (チ)捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニットと, (ツ)所定フォーマットの書類を行う出力の書類出力のユニットと, (テ)含むことを特徴とする異なる医療情報フォーマットを配置する装置。 上記(タ)における「当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット」がいかなる具体的手段であり,どのような処理を実行するのかが明らかでない。 また,この捕獲ユニットに関して,発明の詳細な説明には,【0035】段落に,「当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる捕獲ユニット12」と記載されているものの,この記載をみても,捕獲ユニットがいかなる具体的手段であり,また,当該捕獲ユニットで,どのようにして「当該書類入力ユニットにある当該異なる医療情報フォーマットの書類が内容捕獲方法により当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を捕獲させる」処理を実行しているのかが明らかでない。 また,上記(チ)における「捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置書類ユニット」がいかなる具体的手段であり,どのような処理を実行するのかが明らかでない。 また,この配置書類ユニットに関して,発明の詳細な説明には,【0035】段落に,「捕獲ユニットを利用し当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される配置設定書類ユニット14」と記載されているものの,この記載をみても,配置書類ユニットがいかなる具体的手段であり,また,配置書類ユニットで,どのようにして「捕獲ユニットにより当該配置プロフィールに合うこれらの異なる医療情報フォーマットの書類を所定のフォーマットにより所定フォーマットの書類に設定される」処理を実行しているのかが明らかでない。 つまり,上記(タ),(チ)の各ユニットは,当該ユニット自体の技術的意味が理解できないものであり,他のユニットとの技術的関連も理解できないものであるから,発明が不明確である。 したがって,本願発明17は明確でない。 (4)意見書の主張の参酌 審判請求人の平成20年5月12日付け意見書における主張は以下のとおりである。 「(4)理由1について 審査官殿は,「請求項1-16の記載からは,方法を特定する各ステップが,いかなる具体的手段によるどのような処理であるのかが明らかでない。請求項17に記載の装置を特定する各ユニットについても,それぞれがいかなる具体的手段であり,どのような処理を実行するのかが明らかでない。よって請求項1-17に係る発明は明確でない。」とされる。 しかしながら,今回同時提出の手続補正書によって請求項1及び7において前記のような補正をしました。 それぞれの請求項において,下線を引いた部分が構成要件の加筆部分であって,「書類入力ユニットを利用して」「書類入力ユニットで」「捕獲ユニットで」「配置設定書類ユニットで」という構成を加えることで,具体的手段が明確になったものと思量致します。 従いましても最早特許法第36条第4項第2号に該当しなくなったものと考えます。」 上記主張は,「請求項において,「書類入力ユニットを利用して」「書類入力ユニットで」「捕獲ユニットで」「配置設定書類ユニットで」という構成を加えることで,具体的手段が明確になった」というものであるが,上記(1)?(3)に記載したとおり,本願発明1,7,及び17は明確でないから,審判請求人の意見書における主張は採用することができない。 (5)まとめ 以上のとおり,本願発明1,7,及び17は明確でないから,本願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 7.むすび 上記「5.」で述べたとおり,本願は発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明1,7,及び17を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないので,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 また,上記「6.」で述べたとおり,本願発明1,7,及び17は明確でないので,本願は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-01 |
結審通知日 | 2011-06-07 |
審決日 | 2011-06-21 |
出願番号 | 特願2005-233577(P2005-233577) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 537- Z (G06Q) P 1 8・ 561- Z (G06Q) P 1 8・ 572- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 篠原 功一 |
特許庁審判長 |
清田 健一 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 津幡 貴生 |
発明の名称 | 異なる医療情報フォーマットを配置する内容捕獲方法及び装置 |
代理人 | 山口 朔生 |