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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1246646
審判番号 無効2009-800144  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-07-01 
確定日 2011-10-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4060340号発明「スロットマシン」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯

本件特許の経緯概要は以下のとおりである。

平成 5年 5月28日 親特許出願(特願平5-127525号)
平成12年 5月29日 第1分割出願(特願2000-159107号)
平成12年 6月28日 第2分割出願(特願2000-194080号)
平成12年 7月28日 第3分割出願(特願2000-229524号)
平成12年 8月28日 第4分割出願(特願2000-258231号)
平成17年 3月 7日 第5分割出願(特願2005-062751号)
平成17年 4月 5日 第6分割出願(特願2005-109071号)
平成18年 9月15日 本件分割特許出願(特願2006-251320号)
同 上 審査請求
平成19年12月 3日 特許査定
平成19年12月28日 設定登録(特許第4060340号)
平成21年 7月 1日 無効審判請求
平成21年10月 9日 答弁書・訂正請求書(被請求人)
平成21年11月24日 弁駁書(請求人)
平成22年 4月 9日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同 上 口頭審理陳述要領書(請求人)
同 上 口頭審理
平成22年 5月12日 上申書(被請求人)
平成22年 5月24日 審判上申書(請求人)

請求人と被請求人の主張は以下のとおりである。

1.請求人の主張

請求人は,平成21年7月1日付けの審判請求書において,「特許第4060340号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」(審判請求の趣旨)とし,そして,以下の理由により,特許第4060340号の請求項1に基づく発明(以下,「訂正前の本件特許発明」という。)は、特許を受けることができないものであるから,特許法123条1項2号の規定により無効にされるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1?17号証を提出した。

【無効理由1】
訂正前の本件特許発明は,甲第1号証乃至甲第15号証に記載された発明,あるいは周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により無効とされるべきものである。

甲第 1号証:特開平2-232084号公報
甲第 2号証:特開平4-327877号公報
甲第 3号証:特開昭63-5778号公報
甲第 4号証:パチンコファン 株式会社日本文芸社 平成3年2月15日発行
甲第 5号証:パチンコファン 株式会社日本文芸社 平成4年5月15日発行
甲第 6号証:パチスロ攻略マガジン 株式会社双葉社 1993年5月22日発行
甲第 7号証:特開平1-198584号公報
甲第 8号証:実公平5-7008号公報
甲第 9号証:特開昭62-127086号公報
甲第10号証:パチスロ大図鑑 株式会社白夜書房 2007年5月21日発行
甲第11号証:特開平4-73077号公報
甲第12号証:パチスロ必勝ガイド 株式会社白夜書房 1993年4月1日発行
甲第13号証:パチスロ必勝ガイド 株式会社白夜書房 1993年6月1日発行
甲第14号証:パチスロ必勝ガイド 株式会社白夜書房 1993年7月1日発行
甲第15号証:パチスロ完全攻略事典 週刊漫画ゴラク 1993年5月21日,国立国会図書館受け入れ

【無効理由2】
訂正前の本件特許発明は,同一出願人によって同日に出願された特許第4058084号と同一の発明であるので,特許法39条2項に該当し,無効とされるべきものである。

そして,被請求人の平成21年10月9日付け訂正請求を受けて,平成21年11月24日付け弁駁書において,該訂正請求を認めるものの,審判請求書で申し立てた無効理由1及び2は解消していない旨主張している。
更に,平成22年5月24日付け審判上申書において,甲第18号証乃至甲第21号証を提出すると共に,該訂正が適法である旨の弁駁書における主張を撤回し,該訂正は訂正要件違反であって認められないものである旨主張し,審判請求書で申し立てた無効理由1及び2により,無効とされる旨主張している。
甲第18号証:特開平3-73180号公報
甲第19号証:特開平3-75078号公報
甲第20号証:特開平3-195579号公報
甲第21号証:特開平5-3943号公報

2.被請求人の主張

被請求人は,平成21年10月9日付けで答弁書を提出し,「本件無効審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め」(答弁の趣旨),同日付けの訂正請求に基づく請求項1に係る発明(「本件訂正発明」という。)は,甲第1号証乃至甲第15号証に記載された発明,あるいは周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない旨,ならびに,本件訂正発明は,同一出願人によって同日に出願された特許第4058084号と同一の発明ではない旨,主張している。
さらに,平成22年5月12日付け上申書において,平成21年10月9日付けの訂正請求は認められるべきとした上で,請求人の主張している無効理由は理由がない旨,主張している。

第2.被請求人による訂正請求について

1.訂正請求の内容

平成21年10月9日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は,本件特許第4060340号の明細書(以下,「特許明細書」という。)を,本件訂正請求書に添付した明細書によって訂正しようとするものであって,次の事項を訂正内容とするものである。

・訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】の
「報知手段とを含み,」を
「報知手段とを含み,該報知手段は,前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含み,」と訂正する。

・訂正事項2
明細書の【0011】の
「報知手段とを含み,」を
「報知手段とを含み,該報知手段は,前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含み,」と訂正する。

・訂正事項3
明細書の【0012】の
「ビッグボーナス役が当選していることが報知されるため」を
「ビッグボーナス役が当選していることが表示手段および音報知手段により報知されるため」と訂正する。

2.訂正の適否に対する判断

上記訂正事項1ないし3は新規事項を含む訂正であって訂正目的に違反する訂正であるとの主張が,平成22年5月24日付け審判上申書において請求人からなされたものである。

(1)訂正事項1について
訂正事項1は,ビッグボーナス役に当選していることの報知について,何らかの形で表示して報知する「表示手段」と,何らかの音を発して報知する「音報知手段」との2つの報知手段を用いて報知することを限定するものである。
そして,特許明細書の
【0067】には,
「S76では,前記S67による比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かすなわち0≦演算結果<b0であるか否かの判断がなされ,含まれている場合にはS77に進み,ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方,前記S67による比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合(b0≦演算結果<b1)には,S78によりYESの判断がなされてS79に進み,ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。S80では,遊技効果ランプ24(図1参照)を点灯開始させる処理がなされ,次にS85に進む。S80の処理により,ビッグボーナスあるいはボーナス当選した旨の報知が行なわれる。なお,S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて,専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく,また,スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。このS80の処理の結果,遊技者がビッグボーナス当選あるいはボーナス当選したことを認識する状態となるが,後述するように,可変表示状態の停止制御中にリーチ状態となったとしてもビッグボーナス当選あるいはボーナス当選していない限りリーチ音の発生が行なわれないために(S108?S110),ビッグボーナスゲームあるいはボーナスゲームとなる可能性がないにもかかわらずリーチ状態の報知が行なわれることによる遊技者の不快感を防止得る。」
【0075】には,
「一方,S104によりNOの判断がなされた場合にはS108に進み,停止しているいずれか2つのリールにより表示されている図柄がリーチ状態の図柄になっているか否かの判断がなされる。リーチ状態とは,複数の可変表示部5L,5C,5Rのうちのいずれか1つがまだ可変表示している段階で,既に停止している可変表示部の表示結果が,「AAA」,「BBB」等の特定の識別情報の組合せとなる条件を満たす所定表示状態となっている場合を意味する。そして,S108によりリーチ状態でないと判断された場合にはS87に進むが,リーチ状態であると判断された場合にはS109に進み,ビッグボーナス当選フラグまたはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ,いずれもセットされていない場合にはS87に進むが,いずれかがセットされている場合にはS110に進み,リーチ音をスピーカ28から発生させた後にS87に進む。このリーチ音が発せられることにより,遊技者が現在可変表示している可変表示部の停止時の表示結果次第で前記特定の識別情報の組合せが成立するかもしれないという遊技者の期待感を効果的に盛り上げることができる。なお,スピーカ28からリーチ音を発生させることに加えてあるいはそれに代えてリーチ状態が発生した旨の表示を行なうようにしてもよい。また,ビッグボーナス当選フラグセット時にのみリーチ時の報知を行なうようにしてもよいし,どちらかの当選フラグがセットされている方のリーチ時にのみ報知を行なうようにしてもよい。」
【0084】
「S139により小役当選フラグがセットされていないと判断された場合にはS147に進む。S147では,他の2つのリールが停止しているか否かの判断がなされ,まだ停止していない段階ではS149に進み,現在停止させようとしているリールが左リールか否かの判断がなされ,左リールでない場合にはS150によりただちに停止制御した後S152に進むが,左リールであった場合にはS151に進み,単図柄Fが有効ライン上に停止しないように停止制御した後にS152に進む。つまりS139により小役当選フラグがセットされていないと判断されたにもかかわらず有効ライン上に単図柄Fが停止したのでは小役入賞が成立してしまうために,S151により,単図柄Fを有効ライン上に停止しないように強制的にずらして停止させるのである。また,他の2つのリールが既に停止している段階でS147によりYESの判断がなされてS148に進み,いずれの図柄も有効ライン上に揃わないように停止制御した後にS152に進む。このように,いずれの当選もなかった場合には,1番目,2番目に停止されるリールは,遊技者の停止操作が検出されることにより(S89,S91,S93)ほとんど瞬時に停止されるため,タイミングを図りながらストップボタン9L,9C,9Rを操作する技術に優れた遊技者の場合には,1番目,2番目に停止されるリールを頻繁にリーチ状態に停止させることが可能になる。そして,そのたびにリーチ音を発生させたのでは,騒々しく耳障りとなるが,本実施例では,S109に示したように,ビッグボーナス,ボーナス当選フラグがセットされているときのみリーチ音を発生させているために耳障りとなる不都合もない。小役当選フラグがセットされている場合には1ゲームの終了時点でその小役当選フラグをクリアする処理が行なわれる(S200参照)。ゆえに,小役当選フラグがセットされているにもかかわらずその回のゲームにおいてリールの図柄配列の関係上その小役当選フラグの種類に応じた小役図柄を有効ライン上に揃えることができなかった場合には,その小役当選フラグがクリアされて小役当選が無効となるのであり,次回のゲームにその小役当選フラグを引継いで次回のゲームにおいて小役図柄を有効ライン上に揃えるという制御は行なわないのである。」と,それぞれ記載されている。

まず,【0067】には,ビッグボーナスあるいはボーナスに当選した旨の報知(以下,「ボーナス当選報知」という。)を遊技効果ランプ24の点灯開始によって行うことが記載されている。そして,この遊技効果ランプ24の点灯開始は,【図9】のS80が対応しており,【図7】,【図9】および【図12】のフローチャートを参照するに,このS80は,S40のスタート操作の後であって,S89,S91,S93にある各リールの停止操作の前に行われる制御である。
つまり,S80によるボーナス当選報知は,リールが回転した後,かつ,どのリールも停止していない状態において行われることを示している。
さらに,【0067】には,「なお,S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて,専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく,また,スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。」とも記載されており,ここから,ボーナス当選報知を「遊技効果ランプ24の点灯に代えて,専用の表示器」で報知するようにしてもよいこと,ボーナス当選報知を「所定の音を発生させて報知する」ようにしてもよいことが,読み取れる。
そして,「専用の表示器による報知」と「スピーカ28による報知」とを接続する「また」という接続詞は,「その上に」という意味を持ち,「また」の前に記載された構成に後ろに記載された構成を付加するはたらきを有するものであるから,【0067】には,実質的に「遊技効果ランプ24の点灯に代えて,専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく,さらに加えて,スピーカ28から所定の音を発生させて報知する」ことが記載されていると認められる。

次に【0075】および【0084】には,S108において停止しているいずれか2つのリールにより表示されている図柄がリーチ状態の図柄になっているか否かの判断がなされ,リーチ状態であると判断された場合にはS109に進み,ビッグボーナス当選フラグまたはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ,いずれかがセットされている場合のみS110に進み,リーチ音をスピーカ28から発生させる点が記載されており,スピーカ28からリーチ音を発生させることに加えてあるいはそれに代えてリーチ状態が発生した旨の表示を行なうようにしてもよいこと,および,ビッグボーナス当選フラグセット時にのみリーチ時の報知を行なうようにしてもよいことが記載されているから,【0075】および【0084】には,実質的に「リーチ状態が表示された際に,ビッグボーナス当選フラグがセットされている場合のみ,スピーカ28からリーチ音を発生させ,かつリーチ状態が発生した旨の表示を行なう」ことが記載されていると認められる。
そうすると,特許明細書には,遊技機において「ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段」を具備する発明が記載されていることは明らかであるから,遊技機において「ビッグボーナス役が当選していることを表示と音で報知する報知手段」を限定する訂正事項1は特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正を行うものであり,新規事項を追加するものではない。
したがって,訂正事項1は,特許明細書に記載された事項内において特許請求の範囲を減縮するものであって,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(2)訂正事項2?3について
訂正事項2?3は,訂正事項1との整合をとるため,発明の詳細な説明を訂正するものであって,明りょうでない記載の釈明である。

3.むすび

以上のとおりであるから,平成21年10月9日付けの訂正は,特許請求の範囲の減縮,明りょうでない記載の釈明を目的とし,いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。
したがって,上記訂正は,平成6年法律116号附則6条1項の規定によりなお従前のものとされた同法による改正前の特許法134条2項ただし書に適合し,特許法134条の2第5項において準用する同改正前の126条2項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3.本件特許発明

上記のとおり訂正を認めるので,本件訂正により訂正された明細書(以下,「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものを「本件特許発明」と認める。
「【請求項1】
遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり,ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み,該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンであって,
前記複数の可変表示部は,賭数の入力によって有効な当りラインが設定される,左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とから成り,
通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記ビッグボーナス識別情報によりビッグボーナス役の表示態様となったときに,ビッグボーナスに移行させ,通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの小役識別情報により小役の表示態様となったときに,前記ビッグボーナスには移行させない小役入賞を発生させ,通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの再ゲーム識別情報により再ゲーム役の表示態様となったときに,前記遊技者所有の有価価値を賭数として使用することなくゲームが可能となる再ゲームを発生させる遊技制御手段と,
前記ビッグボーナス役と前記小役と前記再ゲーム役とを含む複数種類の役別に,当選しているか否かを前記複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段と,
該判定手段により当選と判定された役に対応する当選フラグをセットするセット手段と,
前記可変表示部を停止操作するための停止操作手段と,
該停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する識別情報のうちのいずれかの識別情報を,前記セット手段によりセットされている当選フラグに基づいて前記所定位置に停止させる制御を行なう可変表示制御手段と,
前記セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときに,前記ビッグボーナス役が当選していることを報知する報知手段とを含み,該報知手段は,前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含み,
前記遊技制御手段は,前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記セット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに,前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し,当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越し,
前記判定手段は,既に前記ビッグボーナス当選フラグがセットされているときには,前記ビッグボーナス役が当選しているか否かを判定せず,また,前記通常ゲームにおいては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定し,前記ビッグボーナス中においては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定せず,
前記複数の可変表示部の識別情報の配列は,前記停止可能範囲内に必ず前記再ゲーム識別情報が存在する配列構成となっており,
前記可変表示制御手段は,
再ゲーム当選フラグのみがセットされているとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ,前記セット手段によりセットされた前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記再ゲーム当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記再ゲーム当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ,
前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記小役当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記小役当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する識別情報の中に前記ビッグボーナス識別情報が存在するときには当該ビッグボーナス識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行なうことを特徴とする,スロットマシン。」

第4.本件特許発明にかかる検討

1.無効理由1について(特許法29条2項)

請求人は,本件特許発明は,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証乃至甲第15号証に記載された発明,あるいは周知技術を組み合わせることで,当業者が容易に成し得たものであり,特許法29条2項により無効とされるべきものである,と主張するので,検討する。
ここで,甲号各証の記載事項を認定するにあたり,まず甲第10号証について検討する。
請求人は,平成22年5月24日付け審判上申書において,
「甲第10号証は,甲第12号証におけるチェリーバー,甲第13?15号証におけるベガスガール,甲第5号証におけるバニーXO,甲第4号証におけるリバティベルIIIが,本件出願前に存在していたことを証明するものである。
よって,弁駁書第4?6頁における甲第10号証が公然実施を証明する証拠であるとの主張は撤回するが,甲第10号証自体は撤回しない。」と,主張している。
また,審判請求書において,請求人は,甲第10号証には本件特許発明に係るスロットマシンの技術分野の周知技術が記載されている,もしくは,甲第10号証の記載から当業者であればスロットマシンの技術分野の技術常識がうかがえる旨主張している。
しかしながら,甲第10号証は2007年5月21日に発行されたものであるから,そもそも本件特許発明に対する公知文献ではなく,上記の各遊技機が本件出願前に存在していたことは,公知文献である甲第12号証,甲第13?15号証,甲第5号証,甲第4号証の記載から明らかであって,甲第10号証の存在を必要とせずとも,請求人のいう周知技術ならびに技術常識は,当業者であれば理解できるものであるから,無効理由1を検討するにあたって,甲第10号証は採用しないこととする。

(1)甲第1号証の記載事項
・「本発明を用いたスロットマシンを示す第1図において,本体10の前面には,保守,点検時に開かれるドアパネル20がヒンジ12により開閉自在に取り付けられている。ドアパネル20には3個の窓21が設けられており,この窓2lを通して本体10内で回転される3個のリールを各々観察することができる。符号23は,ゲームの開始に先立ち遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口である。遊技者が1?3個のメダルを投入してスタートレバー26を操作すると,本体10内で3個のリールが一斉に回転し,一定時間が経過してストップ操作が有効化されると,ストップランプ27が点灯してストップボタン25の操作が有効化されたことを表示する。」(3頁左上欄7-20行)

・「ストップランプ27の点灯後,リールごとに設けられたストップボタン25を押すと,対応するリールが停止される。そして,全てのリールを停止させた結果,窓21から観察されるシンボルマークの組み合わせが入賞に該当しているときには,その入賞に応じて予め決められたメダルの配当枚数が表示部22にデジタル表示され,その枚数のメダルがメダル払出し口30から受皿31に排出される。」(3頁右上欄1-9行)

・「リールを観察するための窓2lの部分を詳細に示した第2図において,各窓21A?21Cからは,各リールのシンボルマークSが各々3個ずつ観察されるようになっている。これらの窓21A?2ICの周囲には,5本の入賞判定ライン1,2A,2B,3A,3Bが設けられている。そして,ゲーム開始に先立って投入されるメダルが1枚のときには入賞判定ライン1だけが有効化され,2枚の場合にはさらに入賞判定ライン2A,2Bが追加され,また3枚のときには入賞判定ライン3A,3Bも追加される。なお,符号Lはランプを示し,どの入賞判定ラインが有効化されているかを表示する。」(3頁右上欄10-左下欄2行)

・「第4図は入賞判定ライン決定後の基本的なゲーム処理の流れを表したフローチャートである。スタートレバー26の操作により3個のリールが回転され,所定時間が経過した後に後述するヒットリクエストの設定処理を待ってストップランプ27が点灯される。同図における判断プロセスP1,P2,P3は,回転中の3個のリールについてストップボタン25が押されたか否かを判断する処理を示す。なお,ストップポタン25の操作順は任意で,判断プロセスP4によって全てのリールが停止したことが確認されると,第5図に示した入賞判定処理。配当メダルの払出し処理が行われる。」(3頁左下欄11-右下欄3行)

・「入賞判定に際してリールのシンボルマークを電気信号として検出するには,リールに各シンボルマークごとの信号部を設けて,この信号部をフォトセンサで読み取ったり,あるいはパルスモータでリールを駆動するものでは,リールが一回転するごとにリセットパルスが得られるようにリールの1個所に信号部を設けておき,リセットパルスが得られた後,パルスモータが停止するまでに供給された駆動パルスの個数によって判別することができる。また入賞判定は,各リールのシンボルマークを前述のような電気的なコード信号として検出し,これらのシンボルマークの組み合わせを後述のROMと照合する。そして,入賞している場合にはリクエスト減算処理を行ったうえで,ホッパーモータを駆動して配当メダルの払出し処理を行う。配当メダルは,例えばその払出し経路内に設けられたメダルカウンタで計数され,その計数値が予定枚数に達したときに払出しが終了して1ゲームが完了する。」(3頁右下欄4-4頁左上欄2行)

・「破線部Bはリール駆動監視ブロックを示している。このスロットマシンは各リールRl,R2,R3は各々パルスモータMl,M2,M3によって駆動される。モータ駆動部60は,パルスモータMl,M2,M3に駆動パルスを供給する。各リールR1?R3の所定位置にはリセット信号部があり,1回転ごとにその通過が光電検出され,各リールごとのリセットパルスが位置検出入力ボート61からメインCPU50に入力される。したがって,リセットパルスが得られた後,パルスモー夕が停止するまでの間に何個の駆動パルスが供給されたかによって各リールのシンボルマークを特定することができる。」(4頁右上欄11-左下欄3行)

・「第9図は発生,更新される乱数値のサンプリング及びヒットリクエストチェックの処理を表したフローチャートである。このフローチャートは,第4図に示したフローチャートにおける「ヒットリクエスト」処理に該当するもので,ゲーム開始後,例えばスタートレバー操作後の所定のタイミング信号(この発生時点で各リールが定常回転に達しているのが望ましい)により,その時点で乱数値RAM80に設定された乱数値をそのゲームの乱数値として決定する。こうして決定された乱数値は,第9図のフローチャートに従い,後述する入賞確率テーブルと照合され,大ヒットに該当する数値であれば大ヒットリクエスト信号の発生,中ヒットに該当する数値であれば中ヒットリクエスト信号の発生というように,小ヒットまでの判断処理がなされ,いずれのヒットリクエスト信号が発生されたか,あるいはヒットリクエストなしかがチェックされる。なお,「入賞テーブル選択」の処理は,ゲーム開始に先立って投入されるメダルが何枚であるかによって入賞判定ラインの本数が変化するので,これに対応した入賞テーブルが選択されることを意味している。」(5頁左上欄14-右上欄15行)

・「第10図は入賞確率テーブルの概念図である。テーブル中のBl?B3,M1?M3,S1?S3は,それぞれ事前に設定された数値で,第8図に示したような2バイトのメモリ領域,但しROM上に格納されている。そして,投入メダルの枚数によっていずれかのラインが選択される(第9図のフローチャートにおける「入賞テーブル選沢」に対応)。なお,前記数値は通常ではB<M<Sに設定され,例えば第7図に示した処理により発生される乱数が「0?N」であると,投入メダル数「1」の場合の大ヒットの確率は「B1/N」,中ヒットの確率は「M1/N」,小ヒットの確率は「S1/N」となる。したがって,B1,M1,S1それぞれの値が「B1=100」,「M1=500」,「S1=1000」であるときには,サンプリングされた乱数値が100未満であれば大ヒット,100以上600未満であれば中ヒット,600以上1600未満であれば小ヒットの各リクエストが発生され,1600以上ではヒットリクエストなしとなる。これにより,入賞確率テーブルは各ランクの入賞発生の確率を決定する機能を有する。こうして乱数値がサンプリングされ,前述の入賞確率テーブルと照合されてその値が入賞に該当するものであるとヒットリクエストが得られるが,ペイアウト率を一定に保つために,リクエストカウンタが利用される。すなわち,前述したヒットリクエストが発生すると,各ヒットリクエストをカウントするリクエストカウンタが「+1」され,RAM上にストアされる。そして,ヒットした際にそのリクエストカウンタは「-1」の減算処理が行われる。また,ヒットしない場合にはそのまま保存され,最終的にリクエストカウンタが「0」になるまでヒットリクエストが発生し,このためペイアウト率は一定に保たれる。これは,第11図に示したフローチャートにより処理される。」(5頁右上欄16-右下欄11行)

・「これまでに述べてきた大,中,小の各ヒットの例としては,大ヒットが15枚のメダル配当の後,ボーナスゲームができるようになるもの,中ヒットが10?15枚の配当メダル払出し,小ヒットが2?5枚程度の配当メダルの払出し等のようにする。ボーナスゲームとしては,例えばメダル1枚の投入ごとに1個のリールのみでゲームを実行し,その1個のリールについて,ある種のシンボルマークが出ればそのまま15枚の配当メダルが払い出され,このような手順で数回のゲームができるようにすることがある。」(5頁右下欄12-6頁左上欄2行)

・「まず,ストップボタンの操作後,シンボルマークが例えば4個分移動するまでの間にリールを停止させるようにする。そして,ストップボタンが押された時点でのリールの位置から,これに後続しているシンボルマーク4個までの計5個のシンボルマークが何であるかをチェックする。このようにシンボルマークをチェックし,すでにセットアップされているヒットリクエストを満足するシンボルマークの組み合わせを得るために必要なシンボルマークがその範囲内にあれば,そこでリールを停止させる。なお,このような処理は各リールについて行われるのはもちろんである。」(6頁左下欄11-右下2行)

・「第12図は前述したコードナンバー及びシンボルコードのテーブル例を概念的に示しており,また第13図はリール停止処理を示している。第12図におけるシンボルマークそのものは,実際には簡略化されたデザイン図形で,このような図形の種類ごとにシンボルナンバーを対応させている。また,各リールの「0?20」のコードナンバー1?8のシンボルナンバーは実際には2進数としてROMに格納されており,コードナンバーに対しては5ビット,シンボルナンバーに対しては3ビット用意すればよい。」(6頁右下欄3-13行)

・「第15図はこうした入賞シンボルテーブルの一例を概念的に示している。なお,投入されたメダルの枚数が1枚であれば,入賞判定ライン1だけの照合で済むのはもちろんである。メダルが3枚投入されたとし,入賞判定ライン3B上でのシンボルコードの組み合わせ「5(E)-5(E)-5(E)」が,10枚の配当メダルが得られる中ヒットであると,図示のようにこれがRAM4にセットされる。なお,RAM4中のエリア4aには,ボーナスゲームが発生したか否かを表すフラグがセットされ,エリア4bには配当メダル枚数がセットされる。さらにRAM5には,大ヒットエリア5a,中ヒットエリア5b,小ヒットエリア5c,ヒットなしのエリア5dが用意されており,ヒットリクエストに応じてこれらのいずれかのエリアにフラグがセットされる。」(7頁右上欄16-左下欄11行)

・「まず大ヒットリクエストが発生されている場合には,第16図のフローチャートにしたがい,ストップボタンが操作された時点でのRAM1のエリアR1のデータ(第14図)に基づき,シンボルマーク4コマ分の範囲でシンボルマークのチェックが行われる。この範囲に大ヒットを構成するシンボルマークがあるときには,それが窓に現れるようにモータに供給する駆動パルスの数を決める。なお,このフローチャートにおいて「3シンボル中」。「窓位置シンボルナンバー」の意味は,窓に現れる3個のシンボルマーク。シンボルナンバーのことで,これは投入メダル枚数が3枚で,入賞判定ラインの全てが有効化されていることに対応する。また,窓位置にある3個のシンボルナンバーは,第14図のRAM1のR1エリア,すなわち入賞判定ライン1上のシンボルナンバーから求められることになる。」(7頁左下欄16-右下欄12行)

・「以上,第1リールから順にストップされる例をもとにリールの停止処理について述べてきたが,その他の場合でも若干の処理手順の変更で同様に対処することができる。また,リールの処理は4コマずれを想定して説明してきたが,このためヒットリクエストに対応したシンボルが4コマずれの範囲内に存在しないこともあり得る。(特に大ヒットシンボルは少ないため,充分あり得る=)このような場合にはヒットリクエストを満足しない結果となってしまい,設定された入賞確率が低下することになり,特に大ヒットでその影響が大きくなる。これを適正化するために,ヒットリクエストが発生されながらも入賞なしとなった場合には,そのヒットリクエストが次回のゲームに持ち越され,再びこのヒットリクエストを用いてリールの停止制御が実行されるから,ペイアウト率が変わることはない。なお,4コマずれをさらに増やして例えば10コマずれまでのチェック,停止制御ができるようにすれば,ヒットリクエストの達成確率が向上されることは言うまでもない。さらに,特に第3リールのシンボル配列について,4コマずれの範囲内に必ずヒットなしのシンボルを配しておけばペイアウト率は入賞確率テーブルの値に従い,安定したものとなる。」(9頁左下欄20-10頁左上欄3行)

(2)甲1発明について
甲第1号証の上記記載事項を参酌すれば,甲第1号証には以下の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技者が1?3個のメダルを投入して,スタートレバー26を操作すると本体10内で3個のリールが一斉に回転し,リールごとに設けられたストップボタン25を押すと,対応するリールが停止されるスロットマシンであって,
全てのリールを停止させた結果,窓21から観察されるシンボルマークSの組み合わせには,15枚のメダル配当後にボーナスゲームができる大ヒットと,2?5枚のメダル配当が行われる小ヒットとを少なくとも含み,
前記3個のリールは,投入されたメダルの枚数によって有効化される入賞判定ライン1,2A,2B,3A,3Bが設定され,
1ゲーム終了時の前記3個のリールの前記入賞判定ライン上の停止結果が前記大ヒットの表示態様となったときに,メダル配当後にボーナスに移行させ,1ゲーム終了時の前記3個のリールの前記入賞判定ライン上の停止結果が小ヒットの表示態様となったときに,小役入賞を発生させ,
前記大ヒットと前記小ヒットとを含む複数種類のヒット別に,入賞しているか否かを前記複数種類のヒット別に予め定めた入賞発生の確率を決定する入賞確率テーブルを有し,スタートレバー操作後の所定のタイミング信号により,その時点で乱数値RAM80に設定された乱数値をそのゲームの乱数値として決定し,該決定された乱数値は前記入賞確率テーブルと照合され,前記決定された乱数値が入賞に該当するものであると,入賞の種類に応じたヒットリクエストが発生し,
ヒットリクエストが発生すると,種類別にヒットリクエストをカウントするリクエストカウンタが「+1」され,RAM上にストアされ,
前記ストップボタン25が押されると,前記ストップボタン25が操作された時点での前記入賞判定ライン1上のシンボルナンバーに基づき,シンボルマーク4コマ分の範囲でシンボルマークのチェックを行い,この範囲内にヒットを構成するシンボルマークがあるときには,それが窓に現れるようにモータに供給する駆動パルスの数を決めてリールを停止させる制御を各リールごとに行い,
ヒットリクエストが発生されたにもかかわらず入賞なしとなった場合には,そのヒットリクエストが次回のゲームに持ち越され,再びこのヒットリクエストを用いてリールの停止制御が実行されるスロットマシン。」

(3)対比
甲1発明について,以下のことがいえる。
ア.甲1発明の「メダル」は,本件特許発明の「有価価値」に相当する。
イ.甲1発明の「遊技者が投入したメダルの枚数」は,本件特許発明の「賭数」に相当する。
ウ.甲1発明の「大ヒット」はメダル配当後にボーナスゲームを行うことが可能となる入賞態様であるから,本件特許発明の「ビッグボーナス」に相当する。
エ.甲1発明の「小ヒット」は,本件特許発明の「小役」に相当し,さらに甲1発明の「小ヒット」は,明記はないものの,スロットマシンの技術常識を考慮すると,メダル配当後にボーナスゲームを行わないことは自明である。
オ.甲1発明の「シンボルマークSの組み合わせ」のうち「シンボルマークS」は,本件特許発明の「識別情報」に相当するから、「シンボルマークSの組み合わせ」は、全体として「表示態様」に相当する。
カ.甲1発明の「3個のリール」は,本件特許発明の「複数の可変表示部」に相当し,さらに第1図および第2図を参酌すると「3個のリール」が横方向に独立して並置されているので,本件特許発明の「左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部」にも相当する。
キ.甲1発明の「3個のリールと窓21」は,本件特許発明の「可変表示装置」に相当する。
ク.甲1発明の「入賞判定ライン」は,本件特許発明の「当りライン」に相当する。
ケ.甲1発明の「1ゲーム」は,遊技者がメダルを投入して,スタートレバーを操作することでリールが回転し,リールごとに設けられたストップボタンを押して,対応するリールが停止するものであるから,本件特許発明の「1ゲーム」に相当し、甲1発明において「大ヒットは、メダル配当後にボーナスゲームができる」旨の記載があるから、該「1ゲーム」のうち、ボーナスゲーム以外のゲームは、本件特許発明の「通常ゲーム」に相当すると認められる。
また,甲1発明においてリールが回転すると,可変表示されることとなるのは自明である。
コ.甲1発明において,1ゲーム終了時の3個のリールの前記入賞判定ライン上の停止結果が前記大ヒットの表示態様となったときに,メダル配当後にボーナスに移行させ,1ゲーム終了時の前記3個のリールの前記入賞判定ライン上の停止結果が小ヒットの表示態様となったときに,小役入賞を発生させているから,甲1発明は本件特許発明の「遊技制御手段」に相当する構成を備えていることは自明である。
サ.甲1発明において,複数種類のヒット別に,入賞しているか否かを前記複数種類のヒット別に予め定めた入賞発生の確率を決定する入賞確率テーブルを有し,所定のタイミング信号が発せられた時点で取得された乱数値を前記入賞確率テーブルと照合され,前記決定された乱数値が入賞に該当するものであると,入賞の種類に応じたヒットリクエストが発生するものであるから,甲1発明は本件特許発明の「判定手段」に相当する構成を備えていることは自明である。
シ.甲1発明において,ヒットリクエストが発生すると,種類別にヒットリクエストをカウントするリクエストカウンタが「+1」され,RAM上にストアされることから,「ヒットリクエスト」は,本件特許発明の「当選フラグ」に相当し,さらに本件特許発明の「セット手段」は「当選フラグ」をセットするものであるから、甲1発明は本件特許発明の「セット手段」に相当する構成を備えていることは自明である。
ス.甲1発明の「ストップボタン25」は,本件特許発明の「停止操作手段」に相当する。
セ.甲1発明において,ヒットリクエストが発生している際にストップボタン25が操作された時点での入賞判定ライン1上のシンボルナンバーに基づき,シンボルマーク4コマ分の範囲でシンボルマークのチェックを行い,この範囲内にヒットを構成するシンボルマークがあるときには,それが窓に現れるようにモータに供給する駆動パルスの数を決めてリールを停止させる制御を各リールごとに行っているから,甲1発明は本件特許発明の「可変表示制御手段」に相当する構成を備えていることは自明である。

よって,本件特許発明と甲1発明とは
「遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり,ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み,該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンであって,
前記複数の可変表示部は,賭数の入力によって有効な当りラインが設定される,左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とから成り,
通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記ビッグボーナス識別情報によりビッグボーナス役の表示態様となったときに,ビッグボーナスに移行させ,通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの小役識別情報により小役の表示態様となったときに,前記ビッグボーナスには移行させない小役入賞を発生させる遊技制御手段と,
前記ビッグボーナス役と前記小役とを含む複数種類の役別に,当選しているか否かを前記複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段と,
該判定手段により当選と判定された役に対応する当選フラグをセットするセット手段と,
前記可変表示部を停止操作するための停止操作手段と,
該停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する識別情報のうちのいずれかの識別情報を,前記セット手段によりセットされている当選フラグに基づいて前記所定位置に停止させる制御を行なう可変表示制御手段と,を有するスロットマシン。」の点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
本件特許発明においては,遊技制御手段が通常ゲーム終了時の複数の可変表示部の当りライン上の停止結果が複数種類の識別情報のうちの再ゲーム識別情報により再ゲーム役の表示態様となったときに遊技者所有の有価価値を賭数として使用することなくゲームが可能となる再ゲームを発生させるのに対して,甲1発明では,そのような構成でない点。

[相違点2]
複数種類の役別に当選しているか否かを複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段に関して,本件特許発明においては,その複数種類の役に再ゲーム役を含むものであるが,甲1発明においては,複数種類の役別に当選しているか否かを複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段を有するものの,再ゲーム役が存在しないため,複数種類の役に再ゲーム役が含まれていない点。

[相違点3]
「再ゲーム」に関して,判定手段は,本件特許発明においては,通常ゲームにおいては再ゲーム役が当選しているか否かを判定し,ビッグボーナス中においては再ゲーム役が当選しているか否かを判定しないのに対して,甲1発明には,再ゲーム役が存在せず,上記のような判定を行わない点。

[相違点4]
「再ゲーム」に関して,本件特許発明においては,停止可能範囲内に必ず再ゲーム識別情報が存在するように複数の可変表示部の識別情報の配列が構成されているのに対して,甲1発明には,再ゲーム役が存在しないため,上記のような識別情報の配列となっていない点。

[相違点5]
「再ゲーム」に関して,本件特許発明においては,再ゲーム当選フラグのみがセットされているとき,当該ゲームでは,停止操作手段が操作されたときに可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ,セット手段によりセットされたビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記再ゲーム当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記再ゲーム当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行っているのに対して,甲1発明には,再ゲーム役が存在しないため,上記の制御を行なっていない点。

[相違点6]
本件特許発明においては,セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときに,前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含む報知手段を備えているのに対して,甲1発明には報知手段が備えられていない点。

[相違点7]
本件特許発明においては,遊技制御手段は,複数の可変表示部の有効な当りライン上の停止結果がセット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに,前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し,当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越すように、当選フラグの種類に応じた持ち越し制御を行っているのに対して,甲1発明では,ヒットリクエストが発生されながらも入賞なしとなった場合には,そのヒットリクエストが次回のゲームに持ち越されることは記載されているものの,例えば本件特許発明のビッグボーナス当選フラグに相当する大ヒットリクエストは「持越す」が,本件特許発明の小役当選フラグに相当する小ヒットリクエストは「持越さない」というような,ヒットリクエストの種類に応じた持ち越し制御を行っていない点。

[相違点8]
本件特許発明において,判定手段は既にビッグボーナス当選フラグがセットされているときには,ビッグボーナス役が当選しているか否かを判定しない、つまりビッグボーナスを重複して当選することのないように制御しているのに対して,甲1発明には,上記のようなビッグボーナスを重複して当選することのないように制御しているか不明な点。

[相違点9]
本件特許発明においては,ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいてセット手段が小役当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記小役当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する識別情報の中に前記ビッグボーナス識別情報が存在するときには当該ビッグボーナス識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行なうのに対して,甲1発明には,上記のような停止制御を行っていない点。

(4)相違点についての検討
[相違点1]?[相違点5]について
相違点1?相違点5については,いずれも「再ゲーム役」を構成として含んだ相違点であるので,まとめて検討することとする。
まず,スロットマシンの技術分野において,「再ゲーム役」は,きわめて普通に知られている周知の役である。
例えば,請求人の挙げた甲第2号証には「図5において,第1リール5は「☆」シンボルを表示窓4に出した状態で停止している。このように,ゲームが終了した時点でいずれかのリールにより「☆」シンボルが表示窓4に表示されたときにはサービス入賞となる。サービス入賞が得られると,各入賞ラインの両端に設けられた14が一斉に点滅してサービス入賞発生の表示が行われ,次回にはコインを投入しなくても,全ての入賞ラインを有効化させた状態(3枚のコインを投入したのと等価な状態)で1回のゲームを行うことが可能となる。(【0008】)」,
同じく甲第3号証には「また判定の結果,メダルの払い出しを行なうような組み合わせでない場合は,次に回転を停止した回転リール12の絵柄13中に,引き分けとなるような特定絵柄があるか否かが,判定装置によって判定される(ステップ45)。
その結果,特定絵柄がない場合には,1ゲームが終了することとなる。
また特定絵柄がある場合には,メダル投入後の状態,即ちステップ45の前に戻って,新たなメダルの投入なしに再ゲームが行なえることとなる。(3頁左下欄13行?右下欄3行)」と,周知技術として,本件特許発明の「再ゲーム役」に相当する役が記載されており,この周知技術を甲1発明に適用して,相違点1に係る本件特許発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。
さらに,周知の「再ゲーム役」を当選判定の対象役として採用した場合,「再ゲーム役」を採用した段階で,複数種類の役別に当選しているか否かを複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段が,該複数種類の役の一として再ゲーム役も含めて当該判定の対象とすることは自明であり,相違点2に係る本件特許発明の構成を備えるように想到することも,当業者が容易になし得たものといえる。

[相違点3]について
請求人の挙げた甲第12号証には,「リプレイ図柄として知られる「CHANCE」には,他にも2つの役割がある。一つはビッグボーナス時に小役ゲームからボーナスゲームに移行するときに揃う役割。もう一つは,ボーナスゲーム中のJACマークとしての役割だ。(7頁3列囲み記事)」,「表では抽選の種類がいくつもあるように見えるけど,実際にはビッグチャンス(この時はCHANCEで再ゲームの代わりにボーナスゲームの抽選をする)と平常時の区別しかない。(11頁5列10?19行)」と,記載されている。
ここで,甲第12号証において,リプレイ図柄である「CHANCE」図柄は,本件特許発明における「再ゲーム識別情報」に相当し,以下同様に,「平常時」は「通常ゲーム」に,「ボーナスゲーム中」は「ビッグボーナス中」に,それぞれ相当する。
つまり,甲第12号証には,「通常ゲーム」においては「再ゲーム識別情報」による再ゲーム役が当選しているか否かを判定し,「ビッグボーナス中」には「再ゲーム識別情報」が揃ったとしても再ゲーム役の当選とはしないということは記載されているが,「ビッグボーナス中」に再ゲーム役が当選しているか否かを判定しないとは記載されていない。
また,甲12号証の他の記載及び他の甲号各証から,それが示唆されているものでもない。
よって,甲12号証及び他の甲号各証には,相違点3に係る本件特許発明の構成が記載されておらず,当業者が相違点3に係る本件特許発明の構成に至ることはできない。

[相違点4]について
請求人の挙げた甲第13?15号証に記載されるスロットマシンである「ベガスガール」は,そのリール上の図柄の配列を見るに,再ゲーム役の図柄である「ガール絵柄」は,3つのリールのいずれにおいても,ガール絵柄同士の間隔は5コマ未満となっているが,いずれの甲号各証にも,停止可能範囲(引き込みコマ数)とガール絵柄同士の間隔コマ数の関連についての記載はない。
請求人は平成22年5月24日付け審判上申書において,「回動式遊技機に関わる技術上の規格(第6条関係)」の性能に関する規格に基づき,回動式遊技機であれば4コマの範囲で引き込み制御を行うことが周知であったと主張している。
「ベガスガール」が,ホールに設置される回動式遊技機である以上,上記の規格を満たしていることは当然のことであり,甲第14号証8ページ最上段の「待望の保通協認可下りる!!」という記載から,上記の規格を満たした回動式遊技機であることは,当業者であれば理解できることである。
次に,甲第15号証には「3本のリールともガール絵柄(リプレイ)は,ほぼ100%の引き込み率を持っているようだ。(5頁「攻略することは可能なのか?」欄上列3?6行)」と,リプレイ役を構成するガール絵柄を引き込み制御を有する機種であることが記載されており,上記の摘記の中の「ほぼ100%の引き込み率」について検討する。
これに関して,請求人が上記審判上申書において主張しているように,甲第13?15号証の記載を総合すると,「ベガスガール」は以下の構成を備えていると認められる。
・「ベガスガール」は,チェリー図柄が1つでも当たりライン上に停止表示されると3枚コインの払出があるチェリー役を有していること。
・「ベガスガール」のリールの図柄配列から,リプレイ役を構成するガール絵柄を,リプレイ役の当選フラグがセットされたことに応じて引き込み制御を行った場合,チェリー役の当選フラグがセットされていないにもかかわらず,チェリー図柄が停止表示される可能性があること。
そして,スロットマシンの技術分野において,リールの停止制御はセットされた当選フラグに基づいて行われること,セットされた当選フラグに対応しない役を構成する図柄が停止することを防止するため,該図柄が停止表示されないように,いわゆる蹴飛ばし制御が行われることは,本件の出願時点での周知技術である。
したがって,「ベガスガール」において,リプレイ役の当選フラグのみがセットされたゲームにおいて,遊技者の停止操作によってリプレイ図柄であるガール絵柄を所定の当たりラインに引き込んで停止させようとした際に,遊技者の停止操作のタイミングによる引き込み可能な範囲にあるガール絵柄を停止させると,本来停止することが許可されないチェリー図柄が,同時に別の当たりラインにおいて停止してしまう場合,それを避けるために,リプレイ役の成立よりもチェリー図柄の蹴飛ばし制御を優先することは,当業者であれば,容易に考えられ得ることであり,そのような状況を踏まえて甲第15号証には「ほぼ100%の引き込み率」と記載されているであろうことも,当業者であれば十分理解できることである。
とすれば,「ベガスガール」なるスロットマシンを例として,「リール上の再ゲーム役の識別情報の配列を停止可能範囲内に必ず前記再ゲーム識別情報が存在するようにしたことで,再ゲーム当選フラグがセットされた場合に確実に再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させることが可能となる」ということが,本願出願前周知技術と認められるから、甲1発明に該周知技術を適用して、本件特許発明の相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

[相違点5]について
相違点5にかかる本件特許発明の構成を,再ゲーム当選フラグのみがセットされている場合と,ビッグボーナス当選フラグが持ち越し中で,さらに 再ゲーム当選フラグがセットされ,ビッグボーナス当選フラグと再ゲーム当選フラグがセットされた場合の2つの場合に分けて検討する。
前者の場合については,再ゲーム当選フラグがセットされた場合に停止操作手段が操作されると,再ゲーム役の図柄が必ず揃うように構成することは,[相違点4]についてで検討したとおり,当業者が容易になし得たものである。
次に,後者の場合について検討する。
請求人の挙げた甲第6号証には「バニーガールシリーズはフラグの成立した絵柄を上下段に揃えるという制御があるからなんだ(ボーナスと小役が重複した場合は,ボーナスを優先する)。(113頁2段目25?26行)」と記載されている。これは,スロットマシンの技術常識を踏まえて解釈すると,「ボーナス当選フラグが持ち越し中で,さらに 小役当選フラグがセットされ,ボーナス当選フラグと小役当選フラグがセットされた場合は,ボーナスを優先して引き込み制御を行う」ということであり,ボーナス当選フラグと再ゲーム役当選フラグが同時にセットされた場合の記載ではない。
そして,請求人は複数の当選フラグが重複してセットされた状態において,いずれか一の当選フラグを定めなければ,引き込み停止制御を行えないと主張しているが,そもそもボーナス当選フラグと再ゲーム当選フラグが重複してセットされた場合に言及しない甲第6号証に記載された引き込み制御を適用しても,本件特許発明における相違点5に係る構成とはなり得ない。
仮に甲6号証に記載された引き込み制御をボーナス当選フラグと再ゲーム役当選フラグが同時にセットされたものとして,これを適用したとしても,どちらの当選フラグを優先するかを当業者が容易に選択しうる設計的事項であると認めることはできるのは,どちらの当選フラグを優先したとしても,効果に顕著な相違がない場合である。。
しかしながら,本件特許発明においては,ビッグボーナス当選フラグと再ゲーム当選フラグがセットされた場合,再ゲーム当選フラグを優先することによって,ビッグボーナス発生前のゲームに再ゲームが割り込むことでビッグボーナス発生前の消化ゲームが追加されることで単位時間当たりの払出しを少なくでき,遊技者の投資額も少なくでき,射倖性の適正化が図れる等の顕著な効果が認められる。
また,請求人の挙げた甲第7号証を含め他の甲号各証にも,相違点5について,これを示唆する記載は見当たらない。
よって,上記甲号各証に記載された発明から,相違点5に係る本件特許発明の構成とすることを当業者が容易に想到し得たとはできない。

[相違点6]について
請求人の挙げた甲第9号証には「コンピュータ回路(後述する)が抽選処理を行ないこの抽選が当たったときに,前記抽選結果表示ランプ30を点灯動作させ且つ所定の効果音を発生させる(第3頁左上欄9行?11行)」と記載され,甲第9号証における「抽選」とは,本件特許発明における「当選役の判定」のことであるから,同様に「抽選が当たったとき」は「(役の)当選フラグがセットされているとき」のこととなり,甲第9号証のスロットマシンは,当選フラグがセットされているときに,ランプの点灯動作,つまり表示による報知,及び,音による報知の両方で報知しているものである。
よって,甲1発明に甲第9号証に記載された当選フラグがセットされているときに,ランプの点灯動作,つまり表示による報知,及び,音による報知の両方で報知を行う報知手段を適用して,相違点6に係る本件特許発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

[相違点7]について
請求人の挙げた甲第4号証には「小役の場合,フラグが立っても,だいたいがその場限りで揃わなければフラグは消えてしまうが,ビッグ・レギュラーボーナスでは消えずに,揃うまで残る。(79頁4列8?11行)」,同じく甲第5号証には「普通,チェリーやプラムなどの小役の時は,フラグは毎ゲーム終了時に消され,ゲームを始める度に新しく設定される。ところが,ビッグやレギュラーは役がそろうまでフラグは消えないのが普通である。(「フラグというけれど…」の項,上列10?16行)」と記載されており,いずれにも「複数の可変表示部の有効な当りライン上の停止結果がセット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに,前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し,当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越すよう制御されている」に相当する構成が開示されている。
よって,甲1発明に甲第4号証または甲第5号証に記載された当選フラグの消去・持越しの技術を適用して,相違点7に係る本件特許発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

[相違点8]について
請求人の挙げた甲第4号証には「ボーナスのフラグが立って,そのゲームでボーナス絵柄を揃えられなかった場合,次のゲーム以降は左ページの表2の確率でフラグが立つ。これは設定変更時にどの数値でスタートした台であっても同じ値を取る。ボーナスのフラグが立っていると,ボーナスフラグの立つ確率は0%になる。ボーナスフラグが2つ以上同時に立つことはないのである。(82頁上列18行?下列1行)」,同じく甲第5号証には「ビッグチャンス中でなかったら役判定用の乱数計算を行う。この結果によって役がかかるかどうかが決まるのである。乱数計算が終わるとボーナスフラグがONになっているかどうか判定する。つまり,ボーナステンパイ中なら,再度ボーナスになるどうかの判定をする必要がないので,そのまま小役判定に向かい,ボーナステンパイ,つまりボーナスのフラグが立っていなければボーナス判定へ行く。(10ページ2列5行?3列5行)」と記載されており,甲4号証および甲5号証のいずれにも「ビッグボーナス当選フラグがセットされているときにはビッグボーナス役が当選しているか否かを判定しない」という,相違点8に係る本件特許発明の構成が記載されている。
よって,甲1発明に甲第4号証または甲第5号証に記載されたビッグボーナス当選フラグが重複してセットされることを禁止する技術を適用して,相違点8に係る本件特許発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。

[相違点9]について
請求人の挙げた甲第6号証には「バニーガールシリーズはフラグの成立した絵柄を上下段に揃えるという制御があるからなんだ(ボーナスと小役が重複した場合は,ボーナスを優先する)。(113頁2段目25?26行)」と記載されている。これは,スロットマシンの技術常識を踏まえて解釈すると,「ボーナス当選フラグが持ち越し中で,さらに 小役当選フラグがセットされ,ボーナス当選フラグと小役当選フラグがセットされた場合は,ボーナスを優先する」という引き込み制御を行っている点が記載されていると認められる。
そして,甲6号証に記載された技術事項を甲1発明に組み合わせることになんら技術的困難性はないから,甲1発明に甲第6号証に記載された技術的事項を適用し,相違点9に係る本件特許発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

(5)小括
以上によれば,本件特許発明は,本件特許発明に係る相違点3及び5の構成により,甲1発明、甲第2号証?甲第9号証,甲第11号証?甲第15号証に記載された技術事項,甲第20号証?第21号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたものとすることはできず,本件特許発明の本件特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものでない。

2.無効理由2について(特許法39条2項)
請求人は,本件特許発明(訂正前の請求項1)は,同一出願人によって同日に出願された特許第4058084号と同一の発明であるので,特許法39条2項に該当し,無効とされるべきものである。
そして,被請求人の平成21年10月9日付け訂正請求を受けて,平成21年11月24日付け弁駁書において,該訂正請求を認めるものの,審判請求書で申し立てた無効理由2は解消していない旨主張している。
更に,平成22年5月24日付け審判上申書において,甲第18号証乃至甲第21号証を提出すると共に,該訂正が適法である旨の弁駁書における主張を撤回し,該訂正は訂正要件違反であって認められないものである旨主張し,審判請求書で申し立てた無効理由2により,無効とされる旨主張している。

(1)訂正の適否に対する判断
被請求人の平成21年10月9日付け訂正請求については,「第3」で検討したように,訂正請求は認める。

(2)本件特許発明と特許第4058084号に係る発明
上記のとおり訂正を認めるので,本件特許発明は,本件訂正により訂正された明細書(以下,「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載されたもので,「第4 本件特許発明」に記載したとおりのものである。
そして,特許第4058084号に係る発明は,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下,「特許第4058084号発明」という。)と認める。

「【請求項1】
遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり,ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み,該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンであって,
前記複数の可変表示部は,賭数の入力によって有効な当りラインが設定される,左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とから成り,
通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記ビッグボーナス識別情報によりビッグボーナス役の表示態様となったときに,ビッグボーナスに移行させ,通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの小役識別情報により小役の表示態様となったときに,前記ビッグボーナスには移行させない小役入賞を発生させ,通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの再ゲーム識別情報により再ゲーム役の表示態様となったときに,前記遊技者所有の有価価値を賭数として使用することなくゲームが可能となる再ゲームを発生させる遊技制御手段と,
前記ビッグボーナス役と前記小役と前記再ゲーム役とを含む複数種類の役別に,当選しているか否かを前記複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段と,
該判定手段により当選と判定された役に対応する当選フラグをセットするセット手段と,
前記可変表示部を停止操作するための停止操作手段と,
該停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する識別情報のうちのいずれかの識別情報を,前記セット手段によりセットされている当選フラグに基づいて前記所定位置に停止させる制御を行なう可変表示制御手段とを含み,
前記遊技制御手段は,前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記セット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに,前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し,当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越し,
前記判定手段は,既に前記ビッグボーナス当選フラグがセットされているときには,前記ビッグボーナス役が当選しているか否かを判定せず,また,前記通常ゲームにおいては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定し,前記ビッグボーナス中においては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定せず,
前記複数の可変表示部の識別情報の配列は,前記停止可能範囲内に必ず前記再ゲーム識別情報が存在する配列構成となっており,
前記可変表示制御手段は,
再ゲーム当選フラグのみがセットされているとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ,前記セット手段によりセットされた前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記再ゲーム当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記再ゲーム当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ,
前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記小役当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記小役当選フラグがセットされた状態となったとき,当該ゲームでは,前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する識別情報の中に前記ビッグボーナス識別情報が存在するときには当該ビッグボーナス識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行なうことを特徴とする,スロットマシン。」

(3)対比
本件特許発明と特許第4058084号発明とを比較すると,
「セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときに,前記ビッグボーナス役が当選していることを報知する報知手段とを含み,該報知手段は,前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と,前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段」なる構成が,本件特許発明には限定されているが,特許第4058084号発明には限定されていない点で相違している。

(4)相違点についての検討
請求人は,審判請求書において,上記相違点に係る構成は,本件特許の出願時点での周知技術であると主張し,さらに,請求人は審判上申書において,上記相違点に係る構成は甲第9号証,甲第18号証?21号証に記載されている旨主張している。
ここで,上記相違点に係る構成はゲーム毎に設定される当選フラグ役に対応した図柄を停止させるために遊技者が停止操作によって変動中の図柄を停止させるという技術介入性を持つスロットマシンにおいて,当選フラグ役が決定した時点で遊技者がそれを知ることにより,停止操作の一助となる顕著な効果を有することから,当審においては,技術分野を特定しない一般的な周知技術としてではなく,スロットマシンという遊技機の技術分野における,本件特許の出願時点での周知技術であるかどうかを検討することとする。
甲第18号証,甲第19号証,甲第20号証は,弾球遊技機つまりパチンコ遊技機に係る発明であって,可変表示装置における図柄が停止して当たりもしくは,はずれに確定する前に,確定すべき当たりもしくは,はずれを事前に決定し,図柄が停止する以前に遊技者に対して当たりもしくは,はずれを報知する点で,スロットマシンに係る本件特許発明及び特許第4058084号発明とは共通する。
しかしながら,パチンコ遊技機ではパチンコ遊技機自体が所定時間後に自動的に事前に決定された当選フラグ役に対応した図柄で停止させるのに対して,スロットマシンでは,上述したように図柄の停止に際して遊技者の技術介入性を必要とする,つまり遊技者は報知があるとビッグボーナス識別情報を揃えるべく努力をするから,当該報知を行うことによる効果には大きな相違が認められる。
したがって,甲第18号証,甲第19号証,甲第20号証がパチンコ遊技機において当たりを表示と音で報知することが周知であることを示すとしても,甲第18号証,甲第19号証,甲第20号証に記載されたパチンコ遊技機における周知技術が,スロットマシンの技術分野における周知技術になり得るとは認められない。
さらに,甲第9号証及び甲第21号証は,スロットマシンにおける内部当たり時に音と光で報知する点が記載された公知文献であるが,両者とも同じ出願人による公開公報であって,他に周知であることを示す例は存在しないから,上記相違点がスロットマシンの技術分野における本件特許の出願時点での周知技術であったとすることはできない。
またその上で,本件特許発明と特許第4058084号発明の,前者を先願発明,後者を後願発明とした場合,また,前者を後願発明,後者を先願発明とした場合のいずれの場合であっても,両者が同一の発明に該当するものではない。
以上のことより,本件特許発明と特許第4058084号発明とを比較した場合,相違点が存在し,その相違点に係る構成が本件特許の出願時点での周知技術であったとは認められないから,両者は実質的に同一ではない。

(5)小括
本件特許発明と特許第4058084号発明とは,同一の発明ではないから,本件特許発明の本件特許は,特許法39条2項の規定に違反してされたものではなく,無効理由2には理由がない。

第5.むすび
以上のとおりであるから,本件特許は,無効理由1,2には理由がないから,請求人の主張及び証拠方法によっては,無効とすることができない。
審判に関する費用については,特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により,全額を請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、詳しくは、遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり、ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み、該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、コイン等の遊技者所有の有価価値を投入して1ゲームのゲーム結果に賭ける賭数を遊技者が入力し、次に所定のスタート操作を行なうことにより可変表示装置が可変開始された後停止され、その可変表示装置の停止結果が予め定められた入賞役の表示態様となった場合に景品コインの払出等の所定の有価価値が遊技者に付与されて1ゲームが終了するように構成されたものがあった。そして、遊技者が再度ゲームを行なう場合には、前述したように、遊技者所有の有価価値を入力して賭数を入力設定し、スタート操作を行なうことにより次のゲームが開始されるように構成されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、スロットマシンにおける遊技の健全性を維持するためには、ある程度賭博性を抑制する必要があり、そのためには、単位時間当りに入力される賭数の大きさをある程度抑制する必要がある。
【0004】
そこで、たとえば、1ゲームに入力可能な賭数の上限を低いものにし、それほど大きな賭数は入力できないように構成することが考えられる。しかし、入力した賭数が小さい場合には、入賞が発生しなかった場合の遊技者の損失も少ない代わりに、入賞が発生した場合に遊技者が獲得する遊技結果価値も少ないものとなってしまい、あまりメリハリがなくあまりスリルのない面白味の少ない遊技となってしまう不都合が生ずる。
【0005】
そこで、遊技者所有の有価価値を賭数として入力使用することなくゲームが可能となる再ゲームを役の1つとして設定し、可変表示装置の停止結果が当該再ゲーム役に対応する再ゲーム識別情報による再ゲーム役の表示態様となったときには、再ゲームを発生させるように構成することが考えられる。
【0006】
このように構成した場合には、賭数の入力使用を行なうことなく前回の賭数を持ち越して再ゲームが可能となり、スロットマシンのゲームの面白味を低下させることなく単位時間に入力可能な賭数を実質的に抑制することで、単位時間当りにおける遊技者所有の有価価値の過大な消費を抑えるという効果が奏される。
【0008】
ところが、この種のスロットマシンでは、当選判定に基づいてセットされた当選フラグの役を可変表示装置の停止結果として表示させることが可能であるが、役に対応する識別情報から所定の停止可能範囲を外れた箇所で遊技者が停止操作をしたときには、当選フラグがセットされていてもその役の停止結果は表示されない。
【0009】
その結果、再ゲーム当選フラグがセットされていながらも遊技者の停止操作のタイミングが悪くて、再ゲームの発生を可能とする再ゲーム識別情報が停止結果として表示されないという再ゲーム識別情報の取りこぼしが生ずる場合がある。このような取りこぼしが多く発生した場合には、前述した単位時間当りにおける遊技者所有の有価価値の過大な消費を抑えるという再ゲームの目的を十分達成できないという欠点が生ずる。
【0010】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、再ゲームの機能を用いて射倖性を適度に抑えることが可能なスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明は、遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり、ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み、該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンであって、
前記複数の可変表示部は、賭数の入力によって有効な当りラインが設定される、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とから成り、
通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記ビッグボーナス識別情報によりビッグボーナス役の表示態様となったときに、ビッグボーナスに移行させ、通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの小役識別情報により小役の表示態様となったときに、前記ビッグボーナスには移行させない小役入賞を発生させ、通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの再ゲーム識別情報により再ゲーム役の表示態様となったときに、前記遊技者所有の有価価値を賭数として使用することなくゲームが可能となる再ゲームを発生させる遊技制御手段と、
前記ビッグボーナス役と前記小役と前記再ゲーム役とを含む複数種類の役別に、当選しているか否かを前記複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段と、
該判定手段により当選と判定された役に対応する当選フラグをセットするセット手段と、
前記可変表示部を停止操作するための停止操作手段と、
該停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する識別情報のうちのいずれかの識別情報を、前記セット手段によりセットされている当選フラグに基づいて前記所定位置に停止させる制御を行なう可変表示制御手段と、
前記セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときに、前記ビッグボーナス役が当選していることを報知する報知手段とを含み、
該報知手段は、前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と、前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含み、
前記遊技制御手段は、前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記セット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに、前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し、当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越し、
前記判定手段は、既に前記ビッグボーナス当選フラグがセットされているときには、前記ビッグボーナス役が当選しているか否かを判定せず、また、前記通常ゲームにおいては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定し、前記ビッグボーナス中においては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定せず、
前記複数の可変表示部の識別情報の配列は、前記停止可能範囲内に必ず前記再ゲーム識別情報が存在する配列構成となっており、
前記可変表示制御手段は、
再ゲーム当選フラグのみがセットされているとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ、前記セット手段によりセットされた前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記再ゲーム当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記再ゲーム当選フラグがセットされた状態となったとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ、
前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記小役当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記小役当選フラグがセットされた状態となったとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する識別情報の中に前記ビッグボーナス識別情報が存在するときには当該ビッグボーナス識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、再ゲーム当選フラグがセットされている場合の再ゲーム識別情報の取りこぼしを防止することで単位時間あたりの遊技者の投資額を適度に抑えて射倖性が極端に高まり過ぎることを防止できる。また、ビッグボーナス当選フラグと再ゲーム当選フラグとの双方がセットされているときに、再ゲームの方がビッグボーナスよりも優先されて発生することになり、セットされているビッグボーナス当選フラグによるビッグボーナスの発生は、次回のゲーム以降に持ち越される。ビッグボーナスは、そもそも大きな利益を遊技者に付与するためのゲーム状態であるから、ビッグボーナスが一旦発生してしまえば大きな利益がまとめて遊技者に付与されて射倖性に一時的に影響を与えることは当然ではあるが、再ゲームをビッグボーナスに優先させて発生させることにより、ビッグボーナスが発生するまでに消化されるゲーム数を多くすることができるため、単位時間あたりの遊技者の利益額を抑えることができる。したがって、再ゲームの発生を優先させることそれ自体により、賭数の観点から遊技者の単位時間当りの投資額(いわゆるIN)を抑えることができるのみならず、ビッグボーナス当選フラグと再ゲーム当選フラグとの双方セット状態において、再ゲームの発生を優先させることで、ビッグボーナスの発生により遊技者に与えられる多額の利益(いわゆるOUT)の発生のタイミングを遅らせることができ、賭数の観点からの比較的小額のINのみならず、ビッグボーナス利益の観点からの比較的多額のOUTをも抑えることが可能になり、射倖性を適度に抑えることが、IN・OUTの双方から可能になる。また、ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいてビッグボーナス当選フラグに加えて小役当選フラグがセットされたときには、ビッグボーナスの停止結果を表示させるための制御が小役の停止結果を表示させるための制御よりも優先的に行なわれるために、遊技者に価値が付与されるビッグボーナスと小役とのうちでも付与される価値が大きいビッグボーナスを優先させて発生させることができ、遊技者のビッグボーナスに対する期待に応えることができる。また、既にビッグボーナス当選フラグがセットされているときには、ビッグボーナス役が当選しているか否かが判定されないため、複数のビッグボーナス当選フラグがセットされることがなく、これにより、ビッグボーナスを多発させて必要以上に射倖性が高まることを防止できる。また、通常ゲームにおいては再ゲーム役が当選しているか否かが判定されるものの、ビッグボーナス中においては再ゲーム役が当選しているか否かが判定されないため、ビッグボーナスが再ゲームの発生によって間延びした遊技状態になってしまうことを防止できる。また、ビッグボーナス当選フラグがセットされているときに、ビッグボーナス役が当選していることが表示手段および音報知手段により報知されるため、ビッグボーナスに対する遊技者の期待感を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスロットマシンの一例を示す全体正面図である。スロットマシン1の機枠1Aにはカバー部材の一例の前面枠1Bが開閉自在に設けられており、その前面枠の上方部分の前面側の所定箇所には表示窓が設けられている。この表示窓には、可変表示装置90(図2参照)によって可変表示される図柄等の識別情報を遊技者に視認させるための可変表示部5L、5C,5Rが設けられている。この左可変表示部5L,中可変表示部5C,右可変表示部5Rは、それぞれに上下3段に識別情報を可変表示可能な大きさに構成されている。前面枠1Bは、通常時は閉成状態で施錠されており、遊技場の係員が所定の鍵をドア開閉用鍵穴3aに挿入して操作することにより解錠されて前面枠1Bが開成可能となる。そして、前面枠1Bの開閉状態がドアスイッチ44により検出される。
【0014】
スロットマシンの向かって左側にはカード処理装置76が設置されている。このカード処理装置76は、共通カードに記録されている記録情報により特定される遊技者所有の有価価値を使用してスロットマシン1によるゲームを可能にするためのものである。なお、共通カードとは、共通カードシステムに加盟している全国の遊技場において使用可能な第三者発行型のプリペイドカードのことである。遊技者がゲームを行なう場合には、まず共通カード販売機等により共通カードを購入し、使用可表示器77が点灯または点滅しているときに、その購入した共通カードを共通カード挿入・排出口79に挿入する。すると、挿入された共通カードの記録情報がカードリーダライタ78により読取られる。このカード処理装置76には、CPU,ROM,RAM等を内蔵するマイクロコンピュータ等からなるカード処理装置制御部80が設けられており、このカード処理装置制御部80によりカードリーダが制御される。そして、遊技者が貸出ボタン71を押圧操作すれば、その操作が貸出スイッチ72により検出され、その検出出力に基づいて所定枚数のコインがコイン払出口29からコイン貯留皿30内に払出される。その払出されたコインに相当する有価価値が、カード挿入・排出口79に挿入されている共通カードの記録情報によって特定される有価価値から減額される。そして、投入指示ランプ19が点灯または点滅しているときに、遊技者がそのコインをコイン投入口18から投入する。この投入指示ランプ19は、コインが3枚投入された時点(後述するボーナスゲームの中においては1枚投入された時点)で消灯する。遊技者がコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示装置90が可変開始されて各可変表示部5L?5Rにより複数種類の識別情報が可変表示される。次に、遊技者が各ストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作すれば、それに対応する各可変表示部5L,5C,5Rの可変表示が停止されるように構成されている。なお、遊技者がいずれのストップボタン9L?9Rをも押圧操作しなければ、所定の時間の経過により可変表示装置70が自動的に停止制御される。この可変表示装置90が可変開始されてから停止する1回の可変停止により1ゲームが終了し、可変停止時の表示結果が後述するように特定の識別情報になれば所定の遊技価値が付与可能となる。
【0015】
後述するクレジットゲームではない通常のゲーム(コインゲーム)の場合において、遊技者が1枚のコインをコイン投入口18から投入してスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示部5L?5Rにおける中段の横1列の有効ライン(当りライン)が有効となる。可変表示装置90の停止時に表示される識別情報が、この中段の横1列の有効ライン上において予め定められた特定の識別情報の組合せが成立した場合に、後述するビッグボーナスゲームやボーナスゲームの開始あるいは所定枚数のコインの払出し等の所定の遊技価値の付与が可能な状態となる。一方、遊技者がコインを2枚コイン投入口18に投入した状態でスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示部5L?5Rにおける横3列の有効ラインが有効となり、可変表示装置90の停止時の表示結果がこの横3列の有効ラインのいずれかのライン上において特定の識別情報の組合せが成立した場合に、所定の遊技価値が付与可能な状態となる。さらに、遊技者が3枚のコインをコイン投入口18に投入した状態でスタートレバー12を押圧操作すれば、可変表示部5L?5Rにおける横3列と斜め対角線上に2列の合計5本の有効ラインが有効となり、この5本の有効ラインにおけるいずれかのライン上において特定の識別情報の組合せが成立すれば、所定の遊技価値が付与可能な状態となる。すなわち、遊技者が1枚のコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すればいわゆる1枚賭のゲームとなり、1本の有効ラインが有効となり、2枚のコインを投入してスタートレバー12を押圧操作すればいわゆる2枚賭のゲームとなり、3本の有効ラインが有効となり、3枚のコインを投入してスタートボタン12を押圧操作すれば、いわゆる3枚賭のゲームとなり5本の有効ラインすべてが有効となる。
【0016】
本実施例におけるスロットマシン1は、いわゆるクレジットゲームもできるように構成されている。クレジットゲームとは、予め大量のコインを投入して有価価値として蓄積しておき、あるいは賞品として付与されるコインを有価価値として蓄積しておき、いちいちコインを投入することなくその予め蓄積されている有価価値を使用して遊技を行なうゲームである。遊技者はゲーム切替ボタン16を1回押圧操作することにより通常のゲームからクレジットゲームに切換えることができ、さらにこのゲーム切替ボタン16を再度押圧操作すればクレジットゲームから通常のゲームに切換えることができる。クレジットゲームの場合には、合計コイン50枚分の価値を予め記憶させておくことができ、クレジット操作ボタン14を1回押圧操作することにより前述した1枚賭のゲームとなり、クレジット操作ボタン14を2回押圧することにより前述した2枚賭のゲームとなり、クレジット操作ボタンを3回押圧操作することにより前述した3枚賭のゲームとなる。なお、それぞれの賭数に対応してクレジット操作ボタンを設け、1枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより1枚賭のゲームとなり、2枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより2枚賭のゲームとなり、3枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより3枚賭のゲームができるように構成してもよい。コイン投入口18またはクレジット操作ボタン14とにより、前記1ゲームのゲーム結果に賭ける遊技者所有の有価価値の大きさに対応する数である賭数を入力するための賭数入力手段が構成されている。
【0017】
図中21?23は有効ライン表示ランプであり、前述した賭数に応じて有効となる有効ラインに対応する有効ライン表示ランプのみが点灯または点滅し、どの有効ラインが有効になっているかを遊技者が認識できるように構成されている。11L,11C,11Rはそれぞれに左操作有効ランプ,中操作有効ランプ,右操作有効ランプであり、それぞれに対応するストップボタン9L,9C,9Rの押圧操作を有効に受付ける状態になった旨を点灯または点滅表示するためのものである。なお、この操作有効の報知は、ランプ表示等に加えてあるいはそれに代えて、音により報知するようにしてもよい。また、ランプ等を点滅状態から点灯状態に切換えたり、あるいは色を変えることで報知してもよい。図中25はゲーム回数・可変表示器であり、後述するビッグボーナスゲームカウンタやボーナスゲーム(レギュラーボーナスゲーム)カウンタの値を表示し、現在実行しているビッグボーナスゲームやボーナスゲームの回数を切換え表示し得るように構成されている。また、このゲーム回数・可変表示器25は、後述するようにビッグボーナスゲームの発生確率等可変表示装置の表示結果が特定の表示態様となる確率を変動させるか否かを抽選表示するための可変表示を行なうものとしても利用される。たとえば、このゲーム回数・可変表示器25は、「00」?「99」の10通りの可変表示が可能であり、「77」で2回確率変動制御を行ない、「33」で1回確率変動を行ない、その他の表示では確率変動を行なわないように制御する。また、図中70は貸出可表示器であり、カード挿入・排出口79に挿入された共通カードによって特定される遊技者所有の有価価値を使用してコインを貸出すことができるか否かを点灯または点滅表示するためのものである。75は残額表示器であり、カード挿入・排出口79により挿入された共通カードの記録情報に基づいて特定される遊技者所有の有価価値(残額)を表示するためのものである。73は返却ボタンであり、遊技者がこの返却ボタン73を押圧操作することによりその操作が返却スイッチ74より検出され、その検出信号に基づいてカード挿入・排出口79に挿入されている共通カードが遊技者側に排出されて返却される。26はクレジット表示器であり、クレジットゲーム時における記憶されている有価価値としてのコインの枚数を表示するためのものである。27は払出数表示器であり、入賞が成立した場合に付与されるコイン枚数を表示するためのものである。なお、クレジットゲームではない通常のゲームの場合には入賞が成立した場合には所定枚数(たとえば15枚)のコインがコイン払出口29から、コイン貯留皿30に払出され、クレジットゲームの場合には記憶上限(50枚)を越えない範囲内で付与されるコイン枚数が記憶される。なお、その記憶の上限(50枚)を越える場合にはその越えるコインがコイン貯留皿30内に払出される。
【0018】
スロットマシン1の前面側における表示窓71の下方には前面パネル2が設けられている。また、後述するビッグボーナスゲームが終了してゲームオーバーとなった場合でかつ後述するゲームオーバー有りのモードになっている場合には、リセット操作を行なわない限り再びゲームの続行可能な状態にはならないのであり、そのリセット操作はリセット用鍵穴3bに所定のキーを挿入して反時計回り方向へ操作することにより行なわれる。このリセット用鍵穴3bの時計回り方向への操作がリセットスイッチ4により検出され、その検出出力に基づいてスロットマシン1がリセットされて再びゲームが可能となる。また、図中28はスピーカであり、入賞時やビッグボーナスゲーム時、ボーナスゲーム時における効果音の発生や異常時における警報音の発生等が行なわれる。また、スロットマシン1の前面側における表示窓71の上方には、遊技効果ランプ24が複数設けられており、ビッグボーナスゲームやボーナスゲームの発生時に点灯または点滅表示される。また、図中20はゲームオーバランプであり、スロットマシンが打止(ゲームオーバ)になったときに点灯または点滅表示される。前述したように、スタートレバー12の押圧操作以前に何枚コインがコイン投入口18から投入されたかあるいはクレジットゲームにおいてはクレジット操作ボタン14が何回押圧操作されたかによってスロットマシン1の1ゲームにおけるゲーム結果に対する賭数が決定されるのである。図中64は再ゲーム表示ランプであり、後述するように再ゲームが可能となった場合に点灯表示される。
【0019】
図2は、スロットマシンの一部内部構造を示す全体背面図である。可変表示装置70は、複数(図面では3個)のリール6L,6C,6Rを有し、それぞれのリール6L,6C,6Rにはステッピングモータからなるリール駆動モータ7L,7C,7Rが設けられており、それぞれのリール駆動モータ7L?7Rによりそれぞれのリール6L?6Rが回転,停止するように構成されている。この各リール6L?6Rの外周には、図3に示すような複数種類の図柄からなる識別情報が描かれている。そして、このリール外周に描かれていた識別情報が前記可変表示部5L?5Rにより可変表示されるように構成されている。
【0020】
図中8L,8C,8Rはリール位置検出センサであり、各リールの基準位置を検出するものであり、各リール6L?6Rが1回転するたびに基準位置がこのリール位置検出センサ8L?8Rにより検出されて検出出力が導出される。遊技者がストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作すればその操作がストップスイッチ10L,10C,10Rにより検出される。遊技者がゲーム切替ボタン16を押圧操作すればその操作がゲーム切替スイッチ17により検出される。遊技者がスタートレバー12を押圧操作すればその操作がスタートスイッチ13により検出される。遊技者がクレジット操作ボタン14を押圧操作すればその操作がクレジットスイッチ15により検出される。遊技場の管理者等が所持する特定のキーを使用して確率設定用のキー操作が行なわれればキースイッチ43によりそれが検出され、その状態でドアスイッチ44(たとえばマイクロスイッチで構成されている)が能動化され、遊技場の管理者等がその能動化されたドアスイッチ44を操作することにより入賞確率を変更設定することが可能となるように構成されている。図中24は遊技効果ランプであり、25はゲーム回数表示器であり、26はクレジット表示器であり、27は払出数表示器であり、21?23は有効ライン表示ランプである。なお、払出数表示器27は、後述するようにエラーが発生したときのエラー原因を特定するエラーコードも表示する。
【0021】
コイン投入口18から投入されたコインはコイン径路31を通ってコインセレクタ32に誘導される。コインセレクタ32では、投入されたコインが有効なコインかまたは偽コイン等の不適正なコインかを判別し、不適正なコインである場合には流路切換ソレノイド33を励磁して流路を切換え、その不適正コインを返却径路34を通してコイン払出口29(図1参照)から返却する。一方、投入コインが適正なコインである場合にはその適正コインをコイン取込径路35側に誘導してそのコインをコイン貯留タンク37に取込んで貯留する。コイン取込径路35には賭数入力検出手段の一例の投入コインセンサ36が設けられており、このコイン取込径路35を通過するコインがこの投入コインセンサ36により検出される。一方、クレジットゲームではない通常ゲーム時において3枚を越えるコインが投入された場合またクレジットゲーム時においてクレジット数が50に達している場合には流路切換ソレノイド33が励磁されて流路が切換わりその4枚目以降の投入コインが返却径路34を通って返却される。
【0022】
コインホッパー37が満タンとなり、それ以上コインを貯留できなくなった余剰コインは、余剰コイン誘導径路40を通って余剰コイン貯留タンク41に貯留される。この余剰コイン貯留タンク41には満タンセンサ42が設けられており、この余剰コイン貯留タンク41が満タンになればそれが満タンセンサ42により検出されてその検出出力に基づいて満タンになった旨の報知等が行なわれるエラー処理が行なわれる。遊技場の係員はその満タンになった旨の報知に基づいて満タンになったスロットマシン1の余剰コイン貯留タンク41内のコインを回収する。
【0023】
コインホッパー37の下方部分には、コイン払出モータ38が設けられており、このコイン払出モータ38が回転することによりコインホッパー37内のコインがコイン払出口29から1枚宛コイン貯留皿30内に排出される。その排出されるコインが払出コインセンサ39により検出され、所定枚数(たとえば15枚)の払出コインが検出された時点でコイン払出モータ38が停止制御される。なお、クレジットゲームの場合において、クレジット得点として記憶されているコイン枚数がその記憶の上限枚数(たとえば50枚)を越える場合には、その越えるコインがコイン払出モータ38によりコイン貯留皿30内に払出される。図中45はスロットマシンを制御する制御部であり、マイクロコンピュータ等を含む。なお、図中65は電源スイッチであり、これによりスロットマシン1の電源のON,OFFが可能となる。また、電源スイッチ65,キースイッチ43は、前面枠1Bを開成することにより前面側から操作可能に構成されている。図中、75は残額表示器、77は使用可表示器、78はカードリーダライタ、79はカード挿入・排出口、80はカード処理装置制御部である。
【0024】
図3は、左,中,右の各リールの外周に描かれた識別情報としての図柄(シンボルマーク)を示す展開図である。図3の左側に示した数字は図柄番号であり、0?20の21個の図柄(シンボルマーク)が各リールの外周に付されている。図3の(a)は左リール6L(図2参照)の外周に描かれた図柄を示したものであり、(b)は中リール6Cの外周に描かれた図柄を示した図であり、(c)は右リール6Rの外周に描かれた図柄を示した図である。可変表示装置70の停止時の表示結果が賭数に応じた有効ライン(当りライン)上において「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。一方、有効な有効ライン上において「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。さらに有効ライン上において「CCC」または「DDD」となれば小役の図柄の組合せが成立してコインが15枚払出される。有効ライン上において「EEE」となれば小役が成立してコインが8枚払出される。有効ライン上において左図柄と中図柄とが共に「F」となれば小役が成立して6枚のコインが払出される。また、有効ライン上において左図柄のみ「F」となれば小役が成立して3枚のコインが払出される。
【0025】
さらに、ビッグボーナスゲーム中あるいはボーナスゲーム中ではない通常ゲーム中に、当りライン上に「G」すなわち「JAC」が3つ揃えば、再ゲームが成立して後述するようにコイン投入等を行なうことなくスタート操作を行なうのみで再度可変表示装置70が可変開始される。また、ビッグボーナスゲーム中にこの「G」が有効ライン上に3つ揃えばボーナスゲームの開始が行なわれる。また、ボーナスゲーム中にこの「G」が当りライン上に3つ揃えばボーナスゲーム中の入賞となりコインが15枚払出される。なお、ボーナスゲーム中に入賞が発生する有効な当りラインは可変表示部における中段の横一列のみである。また、賭数に応じた有効ラインが複数本存在する場合において前述したコインが払出される図柄の組合せが複数本の有効ライン上において同時に成立した場合には、各有効ライン上の図柄の組合せによって付与されるコイン枚数の合計枚数に相当するコインが付与されるのが原則である。しかし、1ゲームにおいて付与されるコインの上限が15枚と定められているために、15枚を超える場合にはその16枚目以降のコインが無効となる。
【0026】
図4は、各リール6L,6C,6Rの側面図である。各リール6L,6C,6Rの外周は、各リール6L,6C,6Rの回転中心(リール駆動モータ7L,7C,7Rの駆動軸の軸心に相当する)を中心とした円周方向が所定中心角ごとに21の領域に分けられ、その各領域には、各領域を1つの図柄の範囲として図3に示される各図柄が描かれている。
【0027】
図4に示される0?20の数字は、図3に示される各図柄の図柄番号0?20に相当するものであり、各図柄は、図4の破線にて示される位置をそのセンター位置として描かれている。図4の左側に示される円弧は、各可変表示部5L,5C,5Rの表示領域であり、図4から明らかなように、各可変表示部5L,5C,5Rには、縦方向に3つの図柄が表示される。
【0028】
各リール6L,6C,6Rの円周方向の所定位置には、切欠きや突起等よりなるリール基準位置6La,6Ca,6Raが各々形成されており、そのリール基準位置よりも内周側には各リール基準位置6La,6Ca,6Raを検出するための各リール位置センサ8L,8C,8Rが設けられている。各リール位置センサ8L,8C,8Rはリール6L,6C,6Rが回転した場合、各リール基準位置6La,6Ca,6Raが通過するごとにそれらを検出する。
【0029】
図5は、本発明のスロットマシンに用いられている制御回路を示すブロック図である。
制御回路は、制御中枢としての制御部(マイクロコンピュータを含む)45を含む。制御部45は、以下に述べるようなスロットマシン1の動作を制御する機能を有する。制御部45は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には、制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU46とCPU46の動作プログラムを格納するROM47と、必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM48とが含まれている。さらに、CPU46と外部回路との信号の整合性をとるためのI/Oポート49と、電源投入時等にCPU46にリセットパルスを与える初期リセット回路51と、CPU46にクロック信号を与えるクロック発生回路52と、クロック発生回路52からのクロック信号を分周して割込パルスを定期的にCPU46に与えるパルス分周回路(割込パルス発生回路)53と、CPU46からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路54とを含む。
【0030】
CPU46はパルス分周回路53から定期的に与えられる割込パルスに従って、割込制御ルーチンの動作を実行することが可能となる。また、アドレスデコード回路54はCPU46からのアドレスデータをデコードし、ROM47,RAM48,I/Oポート49,サウンドジェネレータ50にそれぞれチップセレクト信号を与える。
【0031】
この実施例では、ROM47は、その内容の書換え、すなわち、必要が生じた場合にはその中に格納されたCPU46のためのプログラムを変更することができるように、プログラマブルROM47が用いられている。そして、CPU46は、ROM47内に格納されたプログラムに従って、かつ、以下に述べる各制御信号の入力に応答して、前述したリール駆動モータや各種表示ランプ等に対し制御信号を与える。
【0032】
まず、遊技場の管理者等によってドアスイッチ44が操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に与えられる。所定のキーによりキースイッチ43がキー操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。このキースイッチにより、ゲームモードと確率設定モードの切換えが行なわれ、確率設定モードになっている場合には、ドアスイッチ44の検出出力に基づいて後述するように当りの確率が入力設定される。リセットスイッチ4が所定のキーにより操作された場合にはその操作信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。ゲーム切換ボタン16の押圧操作がゲーム切替スイッチ17により検出され、その検出信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。クレジット操作ボタン14の操作がクレジットスイッチ15により検出され、その検出出力がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。スタートレバー12の押圧操作がスタートスイッチ13により検出され、その検出出力がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。左ストップボタン9L,中ストップボタン9C,右ストップボタン9Rのそれぞれの検出信号が左ストップスイッチ10L,中ストップスイッチ10C,右ストップスイッチ10Rにより検出され、それぞれの検出信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。コイン投入口18から投入されたコインが投入コインセンサ36により検出され、その検出出力がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。コイン払出モータ38(図2参照)によりコインが払出された場合にはその払出コインが払出しコインセンサ39により検出されて、その検出出力がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。余剰コイン貯留タンク41が貯留コインにより満タンになれば満タンセンサ42によりその旨検出され、その検出出力がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。左リール6L,中リール6C,右リール6Rが回転してそれぞれのリールの基準位値(切欠き等が形成されている)が左リール位置センサ8L,中リール位置センサ8C,右リール位置センサ8Rより検出されれば、それぞれの検出信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。
【0033】
制御部45は次の各種機器に対し制御信号を出力する。まず、モータ回路56を介して、左リール駆動モータ7L,中リール駆動モータ7C,右リール駆動モータ7Rにそれぞれリール駆動用制御信号(ステッピングモータ用のステップ信号)を出力する。モータ回路57を介してコイン払出モータ38にコイン払出用制御信号を出力する。ソレノイド回路58を介して流路切換ソレノイド33にソレノイド励磁用制御信号を出力する。LED回路59を介してゲーム回数表示器25,クレジット表示器26,払出数表示器27にそれぞれ表示用制御信号を出力する。ランプ回路60を介して遊技効果ランプ24,投入指示ランプ19,有効ライン表示ランプ21,22,23,左操作有効ランプ11L,中操作有効ランプ11C,右操作有効ランプ11R,ゲームオーバランプ20,再ゲーム表示ランプ64にそれぞれランプ制御用信号を出力する。サウンドジェネレータ50,アンプ61を介してスピーカ28に音発生用制御信号を出力する。
【0034】
制御部45には、カード処理装置76に設けられているカード処理装置制御部80が電気的に接続されている。I/Oポート49から情報出力回路67を介してカード処理装置制御部80にコインの貸出が可能な状態になっているか否かを指定するためのコイン貸出モード信号が出力される。カード処理装置制御部80では、その信号を受けて、貸出可能なモードである場合には貸出可表示器70を点灯または点滅表示させる。遊技者が貸出ボタン71を押圧操作すれば、その操作信号が貸出スイッチ72からカード処理装置制御部80に入力され、カード処理装置制御部80からはコイン貸出指令信号が情報入力回路66を介してI/Oポート49に入力される。制御部45では、その信号を受けて、所定枚数のコインを払出すための制御信号をコイン払出モータ38に出力して所定枚数のコインを貸出す制御を行なう。所定枚数のコインが貸出されれば、I/Oポート49から情報出力回路67を介してカード処理装置制御部80に対し所定枚数のコインを貸出した旨のコイン貸出信号を出力する。共通カードが共通カード挿入・排出口79に挿入されてカードリーダライタ78により読取られれば、その読取データに基づいて特定される遊技者所有の有価価値(残額)を表示するための制御信号がカード処理装置制御部80から残額表示器75に出力される。さらに、カード処理装置制御部80と制御部45とが電気的に接続されていることを条件として、カード処理装置制御部80からカード処理装置接続信号が情報入力回路66を介してI/Oポート49に入力される。制御部45では、このカード処理装置接続信号の入力があることを条件としてゲームが能動化される。すなわち、このカード処理装置接続信号が入力されない場合には、各リール駆動モータ7L,7C,7Rを駆動制御しないようにしたり、貸出ボタン71が押圧操作されたとしてもコインを貸出さないようにしたりする等してゲームを不能動化する。なお、前述した各種機器や制御回路には電源回路62から所定の直流電流が供給される。また、RAM48にはバックアップ電源63から記憶保持のための電流が供給されるように構成されており、停電等により電源回路62からの電流の供給が行なわれなくなっても、確率設定値や遊技状態を所定期間記憶しておくことができるように構成されている。
【0035】
図6ないし図9,図12ないし図17は、図5に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0036】
図6(a)は電源投入時に行なわれる処理プログラムである。スロットマシンの電源投入は、遊技場の営業開始時に行なわれる場合と、遊技場の営業中にたとえば停電等により一旦電源が立下がり再び停電が復旧した場合等のように営業中に行なわれる場合とが考えられる。図6において、まずステップS(以下単にSという)1において、リセットスイッチがONか否かの判断が行なわれる。このリセットスイッチ4はゲームオーバー(打止め)を機能するようにセットするか機能しないようにセットするかの選択設定に用いられるものであり、リセットスイッチ4がONになっていればS3よりゲームオーバー無のモードに設定されてゲームオーバー(打止め)が機能しないように設定される。一方、リセットスイッチ4がOFFになっておればS2によりゲームオーバー有のモードにセットされてゲームオーバー(打止め)が機能するように設定される。なお、打止有無の選択を専用のスイッチで設定するようにしてもよい。次にS4に進み、キースイッチがONになっているか否かの判断が行なわれる。キースイッチ43がONの場合には確率設定モードでありキースイッチ43がOFFの場合にはゲームモードに設定されている状態であり、キースイッチがOFFの場合にはS5にすすみ、RAMが正常であるか否かの判断が行なわれ、正常である場合にはスロットマシンが電源遮断時の遊技状態に復帰する。つまり、図4に示したRAM48は、停電時等においてはバックアップ電源63によりバックアップされているために、後述するS33ないしS200のステップのうち、停電発生時点等の電源立下がり時点に実行していたプログラムのステップをこのRAM48が記憶しており、S5によりYESの判断がなされた場合にはその記憶している電源遮断時のステップにプログラム制御が復帰するのである。
【0037】
一方、プログラムの暴走時等においては、S5によりNOの判断がなされてS6に進み、RAMが初期化されるとともに、入賞確率の設定値が初期化される。このS6による入賞確率の初期化は、たとえば設定値「3」となるように初期化される。設定値は、後述するように、一番低い確率である「1」から一番高い確率である「6」までの6段階用意されており、このS6による初期化により、ほぼ平均的な確率である「3」に初期化される。その結果、スロットマシンがプログラム暴走等により初期化された場合にはほぼ平均的な確率に設定されるために、プログラム暴走等を原因とした初期化を境にして入賞確率が極端に高い設定値に切替わったりまたは極端に低い設定値に切替わったりする極端な変化を防止できる利点がある。
【0038】
一方、キースイッチ43がONすなわち確率設定モードに操作されている場合にはS7に進み、投入コイン流路を返却側に切替えて投入コインが返却されるように制御される。次にS8に進み、スタート操作があったか否かの判断が行なわれ、ない場合にはS10に進む。S10では、ドアスイッチ操作があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS13により現時点での確率の設定値をたとえば払出数表示器27で表示してS8に戻る。なお、専用の設定値表示器を設けてもよい。
【0039】
このS8ないしS13の巡回途中で、遊技場の経営者や係員がドアスイッチ44(図1参照)を1回操作すれば、S10によりYESの判断がなされてS11に進み、確率の設定値が「1」歩進される。次にS12Aに進み、現時点での設定値が「7」であるか否かの判断がなされる。この確率の設定値の上限は「6」と定められているために、設定値が「7」になった場合にはS12Bに進み、設定値を再度「1」にする処理が行なわれS13に進む。一方、設定値が「7」になっていない場合には直接S13に進み、現時点での設定値の表示が行なわれる。遊技場の係員は、S13による確率の設定値の表示を見ながら所望の設定値になるようにドアスイッチ44を操作する。そして所望の設定値になれば、キースイッチ43をOFFに切替えてゲームモードに切替え、次にスタートレバー12(図1参照)を操作してスタートスイッチ13をONにすることによりS8によりYESの判断がなされる。その結果、既にキースイッチ43がOFFに切替えられているためにS14に進み、RAMの初期化,確率の設定値の確定,設定表示のクリアの処理がなされる。次に、S14Aにより、初期値としてコインの累積投入数と累積払出数とがそれぞれ「100」と「50」とに設定される。これにより、通常ゲーム時における小役の標準払出率が50/100×100%=50%となる。次にゲームスタート処理に移行する。
【0040】
図6(b)はランダムカウンタ更新処理の割込プログラムを示すフローチャートである。この図6(b)に示す割込プログラムは前述したパルス分周回路53から定期的に入力されるパルス信号に基づいて行なわれるものであり、たとえば4msec毎に1回ずつ実行される。まずS15により、ランダムカウンタの値Rを所定の数N加算更新する処理が行なわれる。次にS16に進み、ランダムカウンタの値Rが予め定められた最大値以上になったか否かの判断が行なわれ、未だに最大値以上になっていない場合にはS18に進み、1ゲームが終了したか否かの判断が行なわれる。この1ゲームは可変表示装置の停止時の表示結果コインが何ら払出されない場合にはその可変表示装置の停止時点で終了するがコインが払出される場合にはコインの払出しが終了した段階で1ゲームが終了する。1ゲームが終了していない場合にはそのまま割込プログラムが終了し、次回の割込待ちとなる。
【0041】
一方、ランダムカウンタの値Rが最大値以上となっている場合にはS17に進み、ランダムカウンタの値Rをその最大値だけ減算更新する処理が行なわれた後にS18に進む。次に今回の割込プログラムが1ゲームが終了するタイミングで行なわれる場合にはS18によりYESの判断がなされてS19に進み、ランダムカウンタの値Rに基づきS15にて加算更新する値Nを変更する処理が行なわれる。この加算数Nは、予め設定されている複数種類の素数でかつ前記最大値をその素数で除した場合の商が整数にならないような素数の中から1つ選択されてS19により変更される。加算数Nはこのように設定することにより、ランダムカウンタの値Rが万遍なくあらゆる数値を取り得る状態となる。また、1ゲームが終了するごとにS19により加算数Nは他の素数に変更するために、ランダムカウンタの値Rがランダムの値となり、このランダムカウンタの値に基づいて後述する入賞か否かの決定を行なう場合にランダムな決定を行なうことができる利点がある。
【0042】
図7(a)はエラーチェック処理を示す割込みプログラムのフローチャートである。まずS20Aによりカード処理装置76が接続されているか否かの判断がなされ、カード処理機接続信号が入力されていなければS20Bに進み、その旨のエラーを表わすエラーコード「CC」が払出表示器27に表示される。カード処理装置76が接続されていればS20Cに進み、払出すべきコインが欠乏したコイン切れ状態であるか否かの判断がなされる。コイン切れ状態でないと判断された場合にはS21に進み、投入コインが詰まったか否かの判断が行なわれる。投入コインが詰まっていない場合にはS22に進み、投入コインが余剰コイン貯留タンク41(図2参照)内で満タンとなったか否かの判断がなされ、満タンになっていない場合にはS23に進み、コインホッパー37(図2参照)から払出されるコインが詰まったか否かの判断がなされ、詰まっていない場合にはS24に進みエラー中であるか否かの判断がなされてエラー中でない場合には割込プログラムが終了する。
【0043】
そして、払出したコインの枚数である払出数が1ゲームの終了の結果払出すべきコインの枚数である払出予定数に達しておらず、かつ、コイン払出モータ38が回転中にもかかわらず一定時間内にコインの払出が検出されない場合には、コイン切れと判定されてS20CによりYESの判断がなされ、S25により、エラーコード「HE」が払出数表示器27(図1参照)により表示される。一方、投入されたコインがコイン取込径路35内で詰まり、投入コインセンサ36(図2参照)が一定時間以上連続的にコインを検出している状態となった場合には、S22によりYESの判断がなされてS26によりエラーコード「CE」が表示される。また、余剰コイン貯留タンク41内に投入コインが満タンとなり満タンセンサ42(図2参照)が満タン検出すれば、S22によりYESの判断がなされてS27に進み、エラーコード「CO」が払出数表示器27により表示される。コインホッパー37から払出されるコインが詰まり払出コインセンサ39(図2参照)が一定時間以上連続的にコインを検出した状態となった場合には、S23によりYESの判断がなされてS28に進み、エラーコード「HJ」が払出数表示器27により表示される。後述するS85Hの判断の結果モータエラーが生じた場合にはS23AによりYESの判断がなされてS28Aに進み、エラーコード「EE」が払出数表示器27により表示される。さらに、前記S20ないしS23によりエラーである旨の判定がなされた後、後述するS32によりそのエラーコードがクリアされるまでの期間中、S24によりYESの判断がなされてS29に進み、前記S25ないしS28Aのいずれかにより表示されているエラーコードの表示が引続き続行される。つまり、S29によるエラーコードの表示は、遊技場の係員によりエラー原因が取除かれた後においても、開成状態にある前面枠1Bが閉成されて後述するS32によりエラーコードがクリアされるまでは引続きエラーコードの表示が続行されるのである。
【0044】
S25,S26,S27,S28,S28AあるいはS29の処理がなされた後に、S30に進み、スロットマシンのゲームを中断させ、エラー音をスピーカ28から発生させる処理が行なわれる。
【0045】
スピーカ28からエラー音が発せられていることを遊技場の係員が聞きつければ、その遊技場の係員はスロットマシンのエラー原因を取除くべく、前面枠1Bを開成させ、さらに、払出数表示器27により表示されているエラーコードから発生しているエラー原因の種類を識別し、エラー原因の種類に応じた作業を行なって発生しているエラー原因を取除く。そして、その作業が終了した後に遊技場の係員は前面枠1Bを閉じる。すると、ドアスイッチ44が、前面枠1Bの閉じられたことを検出し、それに応じてS31によりYESの判断がなされる。その結果、制御はS32に進み、払出数表示器27により表示されるエラーコードがクリアされ、エラー音が停止され、中断発生時のゲーム状態からゲームが再開される。なお、前面材1Bを実際に閉成するのではなくドアスッチ44を指等で押圧操作することによりドアスイッチ44から検出出力を導出させてS31によりYESの判断を行なわせてもよい。
【0046】
図7(b)および図8はゲームスタート処理を示すフローチャートである。S33により、流路切換ソレノイド33(図2参照)を制御して投入コインの流路を取込側に切換える処理が行なわれ、S34に進み、ゲーム切換操作があったか否かの判断が行なわれる。ゲーム切換操作がない場合にはS40に進むが、遊技者がゲーム切替ボタン16を押圧操作した場合にはS35に進み、今現在クレジットゲームモードになっているか否かの判断が行なわれ、なっていない場合にはS36によりクレジットゲームモードとする処理が行なわれる。一方、既にクレジットゲームモードになっている場合にはS37に進み、コインゲームモードにする処理が行なわれ、S38に進み、クレジットカウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれる。このクレジットカウンタとは、クレジットゲーム時において賞品として付与されるコインの枚数や遊技者が投入したコイン枚数を計数して記憶しておくためのものであり、後述するS60,S179により「1」ずつ加算更新されるとともに、後述のS39,S56により「1」ずつ減算更新される。このクレジットカウンタが「0」の場合にはS40に進むが、「1」以上の場合にはS39に進み、コインを1枚払出すとともにクレジットカウンタを「1」減算更新する処理がなされてS38に戻る。このS39の処理をクレジットカウンタが「0」になるまで繰返して行ないクレジットカウンタのカウント値に相当する枚数だけのコインが払出し制御される。つまり、クレジットゲームモードとなっている状態で遊技者が切換え操作してコインゲームモードにした場合には、そのクレジットゲーム時において加算記憶されているクレジットカウンタの値に相当する枚数のコインを遊技者側に払出す必要があるため、このS39により払出し制御を行なうのである。一方、現時点でコインゲームモードになっている状態で遊技者がゲーム切替ボタンを押圧操作すればS36に進み、クレジットゲームモードに設定される。
【0047】
次にS40に進み、スタート操作があったか否かの判断がなされ、未だにスタートレバー12(図1参照)が押圧操作されていない場合にはS41Aに進む。S41Aでは、コイン貸出指令信号があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS41Hに進む。一方、遊技者が貸出ボタン71を押圧操作すれば、貸出スイッチ72からその操作信号がカード処理装置制御部80に入力されてカード処理装置制御部80からスロットマシン1の制御部45にコイン貸出指令信号が入力される。すると、制御はS41Bに進み、コイン貸出信号を制御部45からカード処理装置制御部80に出力するとともに、貸出数を「50」にセットする。一方、カード処理装置制御部80では、このコイン貸出信号を受けて、挿入されている共通カードの記録情報によって特定される遊技者所有の有価価値(残額)から1000円減額する。なお、本実施例では、コインの貸出単位を1000円としたが、貸出単位を100円とし、5枚払出す毎に100円ずつ減額するようにし、この処理を10回行なうことによって1000円ぶんのコインを貸出すようにしてもよい。このようにすれば、共通カードの残額に1000円未満の端数があっても、残額ぶん全部を貸出すことができるようになる。
【0048】
次に、S41Cに進み、クレジットゲームモードになっているか否かの判断がなされ、クレジットゲームモードになっていない場合にはS41Fにより、コイン1枚を払出す制御を行なうとともに貸出数から「1」を減算する処理が行なわれてS41Gに進む。一方、遊技者がクレジット操作ボタン14を押圧操作してスロットマシン1を前述したクレジットゲーム状態に切換えておれば、S41CによりYESの判断がなされてS41Dに進み、クレジットカウンタが「50」になっているか否かの判断がなされる。クレジットカウンタとは、クレジットゲームを行なうために予め蓄えられている遊技者所有の有価価値(コイン枚数等)を計数するためのものであり、後述するS41D,S60により「1」ずつ加算され、S56により「1」ずつ減算される。そして、クレジットカウンタがその上限値である「50」になっている場合にはそれ以上クレジットカウンタに遊技者所有の有価価値を蓄えることができないために、S41Fに進み、コイン1枚払出制御が行なわれる。一方、クレジットカウンタがその上限値である「50」になっていない場合にはS41Eに進み、クレジットカウンタに「1」を加算するとともに貸出数を「1」減算処理する。
【0049】
S41Gでは、貸出数が「0」であるか否かの判断がなされ、「0」になっていない場合にはS41Cに戻り、再びコインの払出かまたはクレジットカウンタへの加算処理を行なう。この処理を繰返すことによって、貸出数が「0」になればS41Hに進む。
【0050】
次にS41Hでは、投入数カウンタが「3」であるか否かの判断が行なわれる。この投入数カウンタとは、1ゲームを行なうに際し遊技者がコイン投入口18から投入したコインの枚数あるいはクレジットゲーム中におけるクレジット操作ボタン14を遊技者が押圧操作した操作回数を計数して1ゲームにおけるゲーム結果に賭ける賭数を設定するためのものであり、後述するS57により「1」ずつ加算更新され、図示しないが、次のゲーム開始時にS33に関連してクリアされる。この投入数カウンタのカウント値に応じて賭数が入力設定され、その賭数すなわち投入数カウンタのカウント値が「1」の場合には有効となる有効ライン(当りライン)が1本に設定され、カウント値が「2」の場合には3本に設定され、カウント値が「3」の場合には5本に設定される。この投入数カウンタのカウント値の上限は「3]に設定されている。S41により投入数カウンタのカウント値がその上限である「3」になっていない場合にはS42に進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。このボーナスゲームフラグとは、可変表示装置の停止時の表示結果に基づいてボーナスゲーム(レギュラーボーナスゲーム)が実際に開始される状態となった時にS162,S169によりセットされ、そのボーナスゲームが終了した場合にS188によりクリアされるものである。そして、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS47に進むが、セットされている場合にはS43に進み、投入数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれ、「0」の場合にはS47に進み、「1」以上の場合にはS44に進む。つまり、ボーナスゲームの場合には、前述したように可変表示装置の組合せの有効ラインが1本のみ有効となるために、1枚賭のゲームしか認められず、そのために、投入数カウンタが「1」を越える値にならないように制御するのである。S44では、クレジットゲームモードになっているか否かの判断が行なわれ、クレジットゲームモードになっていない場合にはS46に進み、投入コイン流路を返却側に切換えてその後投入されたコインを返却する処理が行なわれた後にS40に進む。一方、クレジットゲームモードになっている場合にはS45に進み、クレジットカウンタが既にその上限値である「50」になっているか否かの判断が行なわれ、「50」になっている場合にはそれ以上クレジットカウンタの加算更新が行なえないためにS46に進み、投入されたコインを返却する処理が行なわれる。
【0051】
S47では、コイン投入があったか否かの判断が行なわれ、あった場合にはS48に進み、投入数カウンタが既にその上限である「3」になっているか否かの判断が行なわれ、既に「3」になっている場合にはS60に進み、クレジットカウンタに「1」加算する処理が行なわれてS40に戻る。一方、投入数カウンタが「3」になっていない場合にはS49に進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS57に進み、投入数カウンタのカウント値にまだ余裕があるためにそのカウント値に「1」を加算する処理が行なわれる。ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS50に進み、投入数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれる。ボーナスゲームの場合には前述したように投入数カウンタの上限値が「1」となるために、投入数カウンタが「1」である場合にはS60に進み、クレジットカウンタに投入されたコインの枚数である「1」を加算する処理が行なわれるのである。次にS58に進み、前述したランダムカウンタ更新処理に従って加算更新されているランダムカウンタの値Rを呼出して格納する処理が行なわれる。このランダム値Rの格納は、前記S40によりスタート操作が行なわれた旨の判定がなされたときに行なうようにしてもよい。次にS59Aに進み、払出予定数と払出数を「0」にする処理が行なわれてS59Bに進む。払出予定数とは、可変表示装置の停止時の表示結果に基づいて入賞が決定された場合に、その入賞の種類に応じて遊技者に払出すコインの枚数のことであり、払出数とは、入賞に基づいて実際に払出されたコインの枚数のことである。
【0052】
S59Bでは、投入数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれ、「0」の場合にはS59Cに進み、前回の1ゲームを行なう際に投入されたコイン枚数に応じた有効ラインが点灯されてS40に戻る。一方、今回の1ゲームを行なうに際してコインが投入されておれば、投入数カウンタが「0」でないためにS59Dに進み、投入数カウンタに応じた有効ラインの表示が行なわれてS40に戻る。この有効ラインの表示は、投入数カウンタの値が「1」である場合には中央の横1列を表示する有効ライン表示ランプ21のみが点灯され、投入数カウンタが「2」の場合には横3列の有効ラインが表示する有効ライン表示ランプ21,22が点灯され、投入数カウンタが「3」の場合には横3列および斜め対角線上に2列の5本の有効ラインを表示する有効ライン表示ランプ21?23のすべてが点灯表示される。
【0053】
次に、S47によりコインの投入がないと判断された場合にはS51に進み、クレジットカウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれ、「0」でない場合にはS52に進み、クレジット操作があったか否かの判断が行なわれ、クレジット操作がない場合にはS59Bに進む。一方、クレジットカウンタが「0」の場合にはS52による判断を行なうことなく直接S59Bに進む。これは、クレジットカウンタが「0」の場合にはいくら遊技者がクレジット操作ボタン14を押圧操作してクレジット操作を行なったとしても、そのクレジットカウンタのカウント値を使用してのゲームを行なうことができないために、クレジット操作があったか否かという判断を行うこと自体無駄となるためである。次にクレジット操作があった場合にはS53に進み、投入数カウンタが「3」になっているか否かの判断が行なわれ、既にその上限値である「3」になっている場合にはクレジット操作を無視してS59Bに進む。一方、「3」になっていない場合にはS54に進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS55に進み、投入数カウンタが「0」であるか否かの判断が行なわれ、投入数カウンタがボーナスゲーム時における上限値である「1」になっている場合にはクレジット操作を無視してS59Bに進む。一方、投入数カウンタが「0」の場合またはボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS56に進み、クレジットカウンタを「1」減算更新した後にS57に進み、投入数カウンタに「1」を加算する処理が行なわれる。
【0054】
以上説明したように、1ゲームにおけるゲーム結果に賭ける賭数を入力設定するべく遊技者がコインをコイン投入口18から投入するごとにS58によりランダムカウンタのランダム値Rが読出される。そして、遊技者がコインを1枚だけコイン投入口18に投入して1ゲームをスタートさせた場合には、その1枚の投入コインに基づいて読出されたランダム値Rが格納されてそのランダム値Rを利用して可変表示装置の可変停止時の価値付与内容が事前決定される。一方、遊技者がコイン投入口18から2枚コインを投入すれば、1枚目のコインの投入に基づいて読出されたランダム値Rが消去されて2枚目のコインの投入に基づいて読出されたランダム値Rに更新され、その更新されたランダム値Rが格納される。そして遊技者がスタート操作すれば、その格納されたランダム値Rを利用して可変表示装置の可変停止時の価値付与内容が事前決定される。さらに、遊技者がコイン投入口18から3枚のコインを投入すれば、1枚目のコインの投入に基づいて読出されたランダム値Rが2枚目のコインの投入に基づいて読出されたランダム値Rに更新され、その更新されたランダム値Rがさらに3枚目のコインの投入に基づいて読出されたランダム値Rに更新され、その最終的に更新されたランダム値Rが格納されて可変表示装置の可変停止時の価値付与内容の事前決定に利用される。なお、ランダム値Rの抽出をスタート操作により行なうようにしてもよい。一方、クレジットゲーム時において遊技者が賭数を設定入力するべくクレジット操作ボタン14を押圧操作するごとに3回を限度としてS58によりランダムカウンタのランダム値Rが読出されて格納される。このランダム値Rの格納も、前述と同様に、ランダム値Rが2回読出されれば、1回目に読出されたランダム値Rが2回目に読出されたランダム値Rに更新されて格納され、ランダム値Rが3回読出されれば、2回目に読出されたランダム値Rがその3回目に読出されたランダム値Rに更新されて最後のランダム値Rが格納されることになる。
【0055】
次に、遊技者がスタートレバー12を押圧操作すればS40によりYESの判断がなされてS61に進み、投入数カウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、「0」の場合にはS41に進むが、「1」以上の場合にはS62に進み、流路切換ソレノイド33を制御して投入コイン流路を返却側に切換え、以降のリール回転制御に移行する。このS62の処理の結果、それ以降投入されたコインはコイン貯留皿30内に返却されることになる。
【0056】
図9および図12は、リール回転処理のプログラムを示すフローチャートである。まずS63より1ゲームタイマが終了しているか否かの判断が行なわれる。この1ゲームタイマとは、1ゲームが開始されてから終了するまで最低限経過しておかなければならない時間(たとえば4.1秒)を計時するためのものであり、S65によりセットされる。なお、1ゲームタイマにセットする時間を賭数に応じて変化させ、賭数が1枚賭、2枚賭の場合には、3枚賭の場合よりも短い時間をセットするようにしてもよい。1ゲームタイマが終了していない場合にはS64に進み、タイマ終了待ち音がスピーカ28から発生されて1ゲームタイマが終了していない旨を遊技者に報知する。一方、1ゲームタイマが終了すれば、S65に進み、1ゲームタイマが新たにセットされ、操作無効タイマがセットされ、全リールの回転が開始される。この操作無効タイマとは、前述したように、ストップボタン9L,9C,9Rを操作してもその操作を無効とする時間を計時するためのタイマである。
【0057】
次にS66に進み、格納されているランダム値Rを用いて所定の演算を行なう処理がなされる。その所定の演算とは、ランダム値Rに対し所定の値を加算したり減算したり乗じたり除したりあるいはランダム値Rを二乗または三乗したり、あるいは所定の関数にランダム値Rを代入して答えを算出したりする演算である。次にS67に進み、その演算結果を、投入数・設定値・確率変動カウンタ・小役判定モードに応じた当選許容値と比較する処理が行なわれる。
【0058】
この当選許容値は、たとえば図10(c),(d)や図11に示されているように、ビッグボーナスゲーム(BB)当選許容値,レギュラーボーナスゲーム(RB)当選許容値,再ゲーム当選許容値,小役当選許容値の4種類から構成されている。この各当選許容値は、テーブルの形でROM47に記憶されている。図10(c)に示された当選許容値は、3枚賭で小役判定モードが「通常時」で確率変動カウンタが「0」で確率設定値が「4」の場合を示している。この小役判定モードは、スロットマシン1による遊技者への価値付与状況が予め定められた標準値と比較して、その標準値よりも高い場合は「通常時」に設定され、標準値よりも低い場合は「高確率時」に設定されるものであり、標準値に従って小役発生確率をフィードバック制御するために用いられるものである。また、「ビッグボーナス時」には、高確率で小役が発生するように制御される。確率変動カウンタとは、ビッグボーナスゲームの発生確率を何回向上させるかを記憶しておくためのものであり、後述するS195Nにより「2」となり、S195Pにより「1」となる。そして、確率を向上させない場合には「0」が記憶された状態となっている。「確率設定値」とは、前述したキースイッチの操作に従って設定された値のことである(S9?S13参照)。
【0059】
図10(c)に示すように、S66による演算値が、ビッグボーナス当選許容値b_(0)未満の場合にはビッグボーナスゲーム当選に該当し、b_(0)以上でレギュラーボーナスゲーム当選許容値b_(1)未満の場合にはレギュラーボーナスゲームに該当し、b_(1)以上で再ゲーム当選許容値b_(2)未満の場合には再ゲーム当選に該当し、b_(2)以上で15枚小役当選許容値b_(3)未満の場合にはコインを15枚払出す小役当選に該当し、b_(3)以上で8枚小役当選許容値b_(4)未満の場合にはコインを8枚払出す小役当選に該当し、b_(4)以上で6枚小役当選許容値b_(5)未満の場合にはコインを6枚払出す小役当選に該当し、b_(5)以上で3枚小役当選許容値b_(6)未満の場合にはコインを3枚払出す小役当選に該当し、b_(6)以上の場合にははずれに該当する。なお、図10(c)に示す、A_(34),B_(34),C_(31),D_(31),E_(31),F_(31),G_(11)は、図10(a),(b)に示された値である。また、R_(MAX)は、ランダム値Rを用いた演算結果がとり得る上限値である。
【0060】
図10(a)の一番左の列に示された数字1?6は、確率設定値を示し、一番上の行に示された1,2,3の数字は、コインの投入枚数すなわち賭数を示し、BBはビッグボーナスゲーム、RBはレギュラーボーナスゲームを示す。また、「通常時」はビッグボーナスゲームの発生確率が通常状態のときを示し、「変動時」は、ビッグボーナスゲームの発生確率が向上した場合を示している。図10(b)の一番上の行に示された1,2,3はコインの投入枚数すなわち賭数を示し、その下の行に示された「通常」,「高確率」,「BB」は、小役判定モードが通常時か高確率かビッグボーナス時かを示している。
【0061】
図10(c)の場合は、3枚賭で、小役判定モードが通常時で、確率変動カウンタの値が「0」で、確率設定が「4」である場合であるために、図10(a)の設定「4」で投入数が「3」でビッグボーナスゲームの発生確率が「通常時」に該当する欄に記載された数値、すなわち、ビッグボーナスゲーム当選許容値としてA_(34)が、レギュラーボーナスゲーム当選許容値としてB_(34)が用いられる。また、図10(b)において、投入数が「3」で小役判定モードが通常時の欄に記載された数値、すなわち、15枚のコインを払出す小役当選許容値としてC_(31)、8枚のコインを払出す小役当選許容値としてD_(31)、6枚のコインを払出す小役当選許容値としてE_(31)、3枚のコインを払出す小役当選許容値としてF_(31)、再ゲーム当選許容値としてG_(11)が用いられる。なお、この図10(a),(b)に示されたデータは、テーブルの形でROM47に記憶されている。
【0062】
図10(d)は、3枚賭で、小役判定モードが「高確率時」で、確率変動カウンタの値が「0」で、確率設定値が「4」の場合を示している。この場合には、図10(a),(b)に従えば、ビッグボーナスゲーム当選許容値b_(0)=A_(34)、レギュラーボーナスゲーム当選許容値b_(1)=b_(0)+B_(34)、再ゲーム当選許容値b_(2)=b_(1)+G_(11)、コイン15枚を払出す小役当選許容値b_(3)=b_(2)+C_(32)、コイン8枚を払出す小役当選許容値b_(4)=b_(3)+D_(32)、コイン6枚を払出す小役当選許容値b_(5)=b_(4)+E_(32)、コイン3枚を払出す小役当選許容値b_(6)=b_(5)+F_(32)となる。
【0063】
図11(a)は、3枚賭、小役判定モードが「通常時」、確率変動カウンタの値が「0」以外の場合で、確率設定値が「4」の場合を示している。この場合には、図10(a),(b)に従えば、ビッグボーナスゲーム当選許容値b_(0)=A_(44)、レギュラーボーナスゲーム当選許容値b_(1)=b_(0)+B_(34)、再ゲーム当選許容値b_(2)=b_(1)+G_(11)、コイン15枚を払出す小役当選許容値b_(3)=b_(2)+C_(31)、コイン8枚を払出す小役当選許容値b_(4)=b_(3)+D_(31)、コイン6枚を払出す小役当選許容値b_(5)=b_(4)+E_(31)、コイン3枚を払出す小役当選許容値b_(6)=b_(5)+F_(31)となる。
【0064】
図11(b)は、3枚賭で、小役判定モードが「高確率時」で、確率変動カウンタの値が「0」以外の場合で、確率設定値が「4」の場合が示されており、図10(a),(b)の表に従って、図11(b)に示すように、各当選許容値が定められている。図11(c)は、3枚賭で、小役判定モードが「高確率時」で、ビッグボーナスゲーム当選フラグセット中あるいはレギュラーボーナスゲーム当選フラグセット中の場合が示されている。この場合には、ビッグボーナスゲーム当選許容値とレギュラーボーナス当選許容値とが存在しない。図11(d)は、3枚賭で、小役判定モードが「ビッグボーナス時」の場合が示されている。この場合はビッグボーナス当選許容値と再ゲーム当選許容値とが存在しない。また、この場合のボーナスゲーム当選許容値は、図10(b)の一番下の行の数値が用いられる。
【0065】
以上のように構成することにより、小役判定モードが「通常時」よりも「高確率時」の方が、小役発生確率が高くなり、さらに、小役判定モードが「ビッグボーナス時」の場合にはさらに小役発生確率が高くなるとともにボーナスゲーム発生確率も高くなる。また、1枚賭よりも2枚賭、2枚賭よりも3枚賭の方がビッグボーナスゲーム発生確率,ボーナスゲーム発生確率,小役発生確率,再ゲーム発生確率が高くなる。また、確率変動カウンタの値が「0」のときよりも「0」以外のときの方が、ビッグボーナスゲームの発生確率が高くなる。なお、図10(a)にも示されているように、この実施例では、確率変動カウンタの値が「0」でなくビッグボーナスゲーム発生確率が向上する場合は、コイン投入数が3枚すなわち3枚賭の場合に限定される。この図10(a),(b)に示したデータを適当な値に設定することにより、小役払出率すなわち(各小役当選確率×コイン払出枚数)/コイン投入数×100%を適当な値にすることができる。たとえば、小役判定モードが「通常時」のときには50%、「高確率時」のときには100%、「ビッグボーナス時」のときには150%、等のように設定する。
【0066】
次にS68に進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS71に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS74に進む。S74では、リール回転音をスピーカ28から発生させ、次にS75に進み、ビッグボーナス当選フラグあるいはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、既にセットされている場合にはS81に進むが、セットされていない場合にはS76に進む。
【0067】
S76では、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かすなわち0≦演算結果<b_(0)であるか否かの判断がなされ、含まれている場合にはS77に進み、ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方、前記S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合(b_(0)≦演算結果<b_(1))には、S78によりYESの判断がなされてS79に進み、ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。S80では、遊技効果ランプ24(図1参照)を点灯開始させる処理がなされ、次にS85に進む。S80の処理により、ビッグボーナスあるいはボーナス当選した旨の報知が行なわれる。なお、S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて、専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく、また、スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。このS80の処理の結果、遊技者がビッグボーナス当選あるいはボーナス当選したことを認識する状態となるが、後述するように、可変表示状態の停止制御中にリーチ状態となったとしてもビッグボーナス当選あるいはボーナス当選していない限りリーチ音の発生が行なわれないために(S108?S110)、ビッグボーナスゲームあるいはボーナスゲームとなる可能性がないにもかかわらずリーチ状態の報知が行なわれることによる遊技者の不快感を防止得る。
【0068】
S78によりNOの判断がなされた場合にS81に進み、S67の比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果が再ゲーム当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ、含まれていない場合にはS83に進むが、含まれている場合(b_(1)≦演算結果<b_(2))にはS82に進み、再ゲーム当選フラグがセットされてS85に進む。このS82による再ゲーム当選フラグのセットにより、後述するように、コインを投入することなくスタート操作により自動的に可変表示装置が可変開始されて再ゲームできるように制御される。S83では、S67の比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果が各小役当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ、含まれていない場合にはそのままS85に進むが、含まれている場合(b_(2)≦演算結果<b_(3),b_(4),b_(5),b_(6))にはS84に進み、含まれている小役の種類に相当する当選フラグがセットされてS85に進む。
【0069】
次に、ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS68によりYESの判断がなされてS69に進み、S67の比較結果、ランダム値Rの演算結果がJAC入賞許容値に含まれているか否かの判断がなされる。つまり、S68によりYESの判断がなされるということはスロットマシンのゲーム状態がボーナスゲーム中であるということであり、ボーナスゲーム中の可変表示装置の可変停止時の表示結果が「JAC」の停止図柄となった場合には前述したように、ボーナスゲーム中における入賞が発生してコインが15枚払出可能となるのであり、S69により、ボーナスゲーム中における入賞を発生させるか否かを判定しているのである。そして、S69によりNOの判断がなされた場合にはそのままS85に進むが、YESの判断がなされた場合にはS70に進み、JAC入賞フラグがセットされる。その結果、後述するように、ボーナスゲーム中における入賞を発生させる制御がなされる。
【0070】
一方、ボーナスゲームフラグではなくビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS71によりYESの判断がなされてS72に進み、S67による比較結果、ランダム値Rを用いた演算結果がボーナスゲーム許容値に含まれているか否かの判断がなされる。スロットマシンのゲーム状態がビッグボーナス中において、可変表示装置の可変停止時の表示結果が「JAC」の停止図柄の組合せになった場合には、前述したようにビッグボーナスゲーム中におけるボーナスゲームが開始されるのであり、そのために、S72により、ビッグボーナスゲーム中におけるボーナスゲームを発生させるか否かの判定が行なわれるのである。そして、S72によりNOの判断がなされた場合にはS83に進むが、YESの判断がなされた場合にはS73に進み、JAC入賞フラグがセットされてS85に進む。
【0071】
次にS85では、操作無効タイマが終了したか否かの判断がなされ、終了するまで待機する。なお、この操作無効タイマにセットされる時間はS68?S84の処理を行なうのに必要な時間以上の長さの時間(たとえば1秒)である。そして操作無効タイマが終了すればS86に進み、リール停止タイマをセットし、操作有効ランプ11L,11C,11R(図1参照)を点灯する制御が行なわれる。
【0072】
次に、S85Aでは、左リール基準位置が検出されたか否かの判断がなされ、検出されない場合にはS85Cに進み、中リール基準位置が検出されたか否かの判断がなされ、検出されない場合にはS85Eに進み、右リール基準位置が検出されたか否かの判断がなされ、検出されない場合にはS85Gに進み、左,中,右基準位置検出フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS85Hに進み、操作無効タイマが終了したか否かの判断がなされ、終了していない場合にはS85Aに戻る。このS85AないしS85Hのループの巡回途中で、左リール基準位置6Laが左リール位置センサ8Lにより検出されれば、S85Bに進み、左基準位置検出フラグがセットされる。また、中リール基準位置6Caが中リール位置センサ8Cにより検出されれば、S85Dに進み、中基準位置検出フラグがセットされる。また、右リール基準位置6Raが右リール位置センサ8Rにより検出されれば、S85Fに進み、右基準位置検出フラグがセットされる。そして、左,中,右のすべての基準位置検出フラグがセットされれば、S85GによりYESの判断がなされてS85Iに進む。一方、左,中,右のリール基準位置が検出されることなく前記S65によりセットされた操作無効タイマが終了した場合には、リールが回転されていないかまたはリール位置センサが故障していることが想定されるために、モータエラーとなりエラー発生時の動作に移行する。
【0073】
S85Iでは、操作無効タイマが終了するまで待機し、終了した段階でS86に進み、リールのストップ操作が有効化される。このように、各リールの基準位置が検出された後操作無効タイマが終了してからストップ操作が有効化される。また、S85Iの代わりに、S85Jのように、リールを回転するステッピングモータの送りステップ数が所定値になったか否かを判断し、なるまで待機し、なった段階でS86に進むようにしてもよい。S86では、リール停止タイマがセットされ、操作有効ランプ11L,11C,11R(図1参照)を点灯する制御が行なわれる。リール停止タイマとは、遊技者がストップボタン9L?9Rをまったく操作しなかった場合に所定時間を計時してリールを自動的に停止させるためのタイマである。次にS87に進み、全リールが停止したか否かの判断がなされ、未だに停止していない場合にはS88に進み、リール停止タイマが終了したか否かの判断がなされる。リール停止タイマが終了したと判断されればS95に進み、左,中,右リールの停止フラグがセットされてS96に進む。一方、リール停止タイマが終了していない場合にはS89に進み、左リール停止操作があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS91により中リール停止操作があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS93により右リール停止操作があったか否かの判断がなされ、ない場合にはS96に進む。一方、遊技者が左停止ボタン9Lを押圧操作すればS89によりYESの判断がなされてS90に進み、左リール停止フラグがセットされて左リールが停止制御される。次に遊技者が中停止ボタン9Cを押圧操作すればS91によりYESの判断がなされてS92に進み、中リール停止フラグがセットされて中リールが停止制御される。遊技者が右停止ボタン9Rを押圧操作すればS93によりYESの判断がなされてS94に進み、右リール停止フラグがセットされて右リールが停止制御される。次に、遊技者が各停止ボタン9L,9C,9Rの2つ以上を同時に押圧操作した場合を説明する。たとえば、遊技者が左停止ボタン9Lと中停止ボタン9Cとを同時に押圧操作した場合には、まずS89によりYESの判断がなされてS90に進み左停止フラグがセットされて後述するように左リールが停止制御されるとともにS91によりYESの判断がなされてS92に進み、中リール停止フラグがセットされて後述するように中リールが停止制御される。このように遊技者が複数の停止ボタンを同時に押圧操作したとしても、その押圧操作された停止ボタンに相当するリールが停止制御されるのであり、いずれか一方のボタンの停止操作が無効にされてしまう不都合がない。これは、停止ボタン9L、9C、9Lの3つを同時に押圧操作した場合も同様である。
【0074】
次にS96により左リール停止フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS100により中リール停止フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS104により右リール停止フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS108に進む。左リール停止フラグがセットされている場合にはS97に進み、左リールが回転中であるか否かの判断がなされ、回転中である場合にはS98によりリール停止制御が行なわれた後にS99に進み、左リール停止フラグがクリアされる。一方既に左リールが停止している場合にはS97によりNOの判断がなされて直接S99に進む。中リールおよび右リールについても左リールで説明したS96ないしS99と同様の処理が行なわれるために、ここでは説明の繰返しを省略する。次に、すべてのリールが停止した段階でS87によりYESの判断がなされて図16に示す入賞判定の処理に移行する。
【0075】
一方、S104によりNOの判断がなされた場合にはS108に進み、停止しているいずれか2つのリールにより表示されている図柄がリーチ状態の図柄になっているか否かの判断がなされる。リーチ状態とは、複数の可変表示部5L,5C,5Rのうちのいずれか1つがまだ可変表示している段階で、既に停止している可変表示部の表示結果が、「AAA」,「BBB」等の特定の識別情報の組合せとなる条件を満たす所定表示状態となっている場合を意味する。そして、S108によりリーチ状態でないと判断された場合にはS87に進むが、リーチ状態であると判断された場合にはS109に進み、ビッグボーナス当選フラグまたはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ、いずれもセットされていない場合にはS87に進むが、いずれかがセットされている場合にはS110に進み、リーチ音をスピーカ28から発生させた後にS87に進む。このリーチ音が発せられることにより、遊技者が現在可変表示している可変表示部の停止時の表示結果次第で前記特定の識別情報の組合せが成立するかもしれないという遊技者の期待感を効果的に盛り上げることができる。なお、スピーカ28からリーチ音を発生させることに加えてあるいはそれに代えてリーチ状態が発生した旨の表示を行なうようにしてもよい。また、ビッグボーナス当選フラグセット時にのみリーチ時の報知を行なうようにしてもよいし、どちらかの当選フラグがセットされている方のリーチ時にのみ報知を行なうようにしてもよい。
【0076】
図13ないし図15は、S98、S102、S106により定義されたリール停止制御の具体的内容を示すフローチャートである。まずS111により、現在の図柄番号を確認する処理が行なわれる。この図柄番号は前述したように0?20(図3参照)の21個あり、リール駆動モータ(ステッピングモータ)7L、7C、7Rの送りステップ数とリール位置センサ8L、8C、8Rの基準位置検出信号とに基づいて確認される。次にS112によりボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされる。ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS113に進み、他の2つのリールが停止しているか否かの判断が行なわれる。他の2つのリールとは、現時点で停止制御を行なわんとしているリール以外のリールを意味する。そして、他の2つのリールがまだ停止していない段階ではS120に進み、S111により確認した現在の図柄番号から4図柄先以内にあるJAC図柄を有効となっている有効ライン上に停止させる制御が行なわれ、S152に進む。スロットマシンの場合には、停止制御の仕方が不自然にならないようにするために遊技者がストップボタン9L,9C,9Rを押圧操作してから0.2秒程度のある限られた非常に短い所定時間内に対応するリールを停止させなければならず、その非常に短い所定時間内にリールが回転できる回転角度が4図柄分程度となっている。ゆえに、ストップボタンが押圧操作されてから4図柄以上先にあるJAC図柄を有効な有効ライン上に停止制御させることは不可能であるために、S120により、4図柄先以内にJAC図柄がある場合にJAC図柄を有効ライン上に停止制御させるのである。なお、図3に示すように、現在の図柄番号がJAC図柄でない場合において、その現在の図柄番号から4図柄先の範囲内に必ずJAC図柄が存在するように図柄配列が構成されている。このように現在停止せんとするリールが最後のリールでない場合にはJAC入賞フラグがセットされているか否かにかかわらず有効となっている有効ライン上にJAC図柄を停止させるように制御されるのであり、これにより遊技者は期待を持って以降のリールの停止を注視するようになる。次にS152に進み、操作有効ランプ11L,11C,11Rのうち停止されたリールに対応する操作有効ランプを消灯するとともにリール停止音をスピーカ28から発する制御が行なわれ、S99,S103あるいはS107のいずれかにリターンする。
【0077】
ボーナスゲームフラグがセットされかつ他の2つのリールが停止している場合には、S104に進み、JAC入賞フラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされている場合にのみS120に進み、セットされていない場合にはS115に進む。S115では、現在の図柄番号から4図柄先以内にあるJAC図柄を有効となっている有効ライン上から外して停止し、その後S152に進む。つまり、JAC入賞フラグがセットされていないために、有効となっている有効ライン上にJAC図柄の組合せを成立させる訳にはいかず、ゆえにJAC図柄を有効となっている有効ラインから強制的にずらして停止させるのである。
【0078】
次に、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS116に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS117に進み、JAC入賞フラグがセットされているか否かの判断がなされ、JAC入賞フラグがセットされている場合にはS118に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされる。そして他のリールが停止していない段階では前記S120に進み、前述と同様にJAC図柄を有効となっている有効ライン上に停止させる制御が行なわれる。一方、他のリールが既に停止している場合にはS119に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にあるJAC図柄を停止しているリールのJAC図柄の有効ライン上に停止させ、有効となっている有効ライン上にJAC図柄の組合せが成立するように停止制御し、その後S152に進む。
【0079】
一方、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合およびJAC入賞フラグがセットされていない場合にはS121に進み、再ゲーム当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。再ゲーム当選フラグがセットされている場合にはS122に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS123に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にあるJAC図柄を停止しているJAC図柄の有効ライン上に揃えて停止させる制御がなされてS152に進む。一方、他のリールが停止している場合にS124に進み、現在の図柄番号から4図柄先内にあるJAC図柄を停止しているJAC図柄の有効ライン上に揃えて停止させる制御がなされてS152に進む。
【0080】
一方、再ゲーム当選フラグがセットされていない場合にはS125に進み、ビッグボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。ビッグボーナス当選フラグがセットされている場合にはS126に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、他のリールがまだ停止していない場合にはS127に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にビッグボーナス図柄(本実施例ではA)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS128によりビッグボーナス図柄を有効ライン上に停止させた後S152に進む。一方、現在の図柄番号から4図柄先以内にビッグボーナス図柄がない場合にはその回のゲームにおけるビッグボーナスゲームの開始を諦めてS139に進む。なお、S127によりNOの判断がなされた場合においても、ビッグボーナス当選フラグは引続きセットされたままの状態であるために次回のゲームにおいて再度ビッグボーナス図柄を有効ライン上に停止させんとする制御が試みられ、実際にビッグボーナス図柄が有効ライン上に停止するまでその試みが繰返し実行される。
【0081】
次に、S126により他のリールが停止していると判断された場合にはS129に進み、有効ライン上にビッグボーナス図柄があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS130に進み、停止しているビッグボーナス図柄の有効ライン上に停止できるビッグボーナス図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ある場合にS131に進み、ビッグボーナス図柄を停止しているリールのビッグボーナス図柄の有効ライン上に停止させる制御が行なわれる。一方、S130により、停止しているビッグボーナス図柄の有効ライン上に停止できるビッグボーナス図柄が4図柄先以内にないと判断された場合には、前述と同様にその回のビッグボーナスゲームの開始を諦めてS139に進み、次回のゲームにおいて再度ビッグボーナスゲームの開始が行なわれるような可変表示装置の停止制御が試みられる。
【0082】
ビッグボーナス当選フラグがセットされていない場合にはS132に進み、ボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、ボーナス当選フラグがセットされている場合にはS133に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされる。他のリールが停止していない段階ではS134に進み、現在の図柄番号から4図柄先以内にボーナス図柄(本実施例ではB)があるか否かの判断がなされ、ある場合にはS135に進みボーナス図柄を有効となっている有効ライン上に停止させる制御が行なわれ、S152に進む。一方、S134によりボーナス図柄がないと判断された場合にはS152に進む。次に、S133により他のリールが既に停止していると判断された場合にはS136に進み、有効ライン上にボーナス図柄があるか否かの判断がなされ、ない場合にはS139に進む。一方、有効ライン上にボーナス図柄がある場合にはS137に進み、停止しているボーナス図柄の有効ライン上に停止できるボーナス図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS139に進むがある場合にはS138に進み、ボーナス図柄を停止しているリールのボーナス図柄の有効ライン上に停止する制御がなされてS152に進む。
【0083】
一方、S132によりボーナス当選フラグがセットされていないと判断された場合にはS139に進み、小役当選フラグがセットされているか否かの判断がなされ、小役当選フラグがセットされていると判断された場合にはS140に進み、他のリールが停止しているか否かの判断がなされ、まだ他のリールが停止していない段階ではS144に進む。S144では、セットされた小役当選フラグの種類に対応する小役図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS146に進みただちにリールを停止させてS152に進む。一方、S144により小役図柄があると判断された場合にはS145に進み、その小役図柄を有効ライン上に停止させる制御が行なわれてS152に進む。次に、他のリールが停止している段階ではS140によりYESの判断がなされS141に進み、有効ライン上に小役図柄があるか否かの判断がなされ、ない場合にはS147に進むがある場合にはS142に進み、停止している小役図柄の有効ライン上に停止できる小役図柄が現在の図柄番号から4図柄先以内にあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS147に進むがある場合にはS143に進み、その小役図柄を停止しているリールの小役図柄の有効ライン上に停止する制御が行なわれた後S152に進む。
【0084】
S139により小役当選フラグがセットされていないと判断された場合にはS147に進む。S147では、他の2つのリールが停止しているか否かの判断がなされ、まだ停止していない段階ではS149に進み、現在停止させようとしているリールが左リールか否かの判断がなされ、左リールでない場合にはS150によりただちに停止制御した後S152に進むが、左リールであった場合にはS151に進み、単図柄Fが有効ライン上に停止しないように停止制御した後にS152に進む。つまりS139により小役当選フラグがセットされていないと判断されたにもかかわらず有効ライン上に単図柄Fが停止したのでは小役入賞が成立してしまうために、S151により、単図柄Fを有効ライン上に停止しないように強制的にずらして停止させるのである。また、他の2つのリールが既に停止している段階でS147によりYESの判断がなされてS148に進み、いずれの図柄も有効ライン上に揃わないように停止制御した後にS152に進む。このように、いずれの当選もなかった場合には、1番目,2番目に停止されるリールは、遊技者の停止操作が検出されることにより(S89,S91,S93)ほとんど瞬時に停止されるため、タイミングを図りながらストップボタン9L,9C,9Rを操作する技術に優れた遊技者の場合には、1番目,2番目に停止されるリールを頻繁にリーチ状態に停止させることが可能になる。そして、そのたびにリーチ音を発生させたのでは、騒々しく耳障りとなるが、本実施例では、S109に示したように、ビッグボーナス,ボーナス当選フラグがセットされているときのみリーチ音を発生させているために耳障りとなる不都合もない。小役当選フラグがセットされている場合には1ゲームの終了時点でその小役当選フラグをクリアする処理が行なわれる(S200参照)。ゆえに、小役当選フラグがセットされているにもかかわらずその回のゲームにおいてリールの図柄配列の関係上その小役当選フラグの種類に応じた小役図柄を有効ライン上に揃えることができなかった場合には、その小役当選フラグがクリアされて小役当選が無効となるのであり、次回のゲームにその小役当選フラグを引継いで次回のゲームにおいて小役図柄を有効ライン上に揃えるという制御は行なわないのである。
【0085】
前記S63ないしS152により、前記可変表示装置を制御する可変表示制御手段が構成されている。
【0086】
図16は、入賞判定処理のプログラムを示すフローチャートである。まずS153により、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS159に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされてセットされていない場合にS163に進み、有効ライン上に入賞があったか否かの判断がなされる。有効ライン上に入賞がなかった場合にはS164に進み、払出予定数を「0」にセットした後に、図16に示すコイン払出制御に移行する。一方、S163により有効ライン上に入賞があったと判断された場合にはS165に進み、入賞した有効ラインに対応する有効ライン表示ランプを点滅させる。なお複数の有効ライン上に入賞が生じたときには、その入賞の生じた有効ラインを点滅させる。次にS166に進み、その入賞がビッグボーナス入賞であるか否かの判断がなされる。ビッグボーナス入賞でないと判断された場合にはS168に進み、その入賞がボーナス入賞であるか否かの判断がなされ、ボーナス入賞でないと判断された場合にはS170により再ゲーム入賞であるか否かの判断がなされる。S170により再ゲーム入賞でないと判断された場合にはその入賞は小役入賞であるため、S175に進み、払出予定数を小役に対応する値にセットした後図17に示すコイン払出処理に移行する。
【0087】
S166によりビッグボーナス入賞であると判断された場合にはS167に進み、各小役当選判定値をビッグボーナス時の値にし、ビッグボーナスゲームカウンタを「30」にセットし、ボーナス回数カウンタを「3」にセットし、ビッグボーナス当選フラグをクリアし、払出し予定数を「15」にセットし、ビッグボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカから発生させる処理が行なわれる。この各小役当選判定値をビッグボーナス時の値にセットして各小役当選判定値の個数を大幅に増やす制御がなされるために、各小役当選の確率が大幅に向上し、ビッグボーナスゲーム時においては高確率で小役図柄が揃うように制御される。なお、ビッグボーナスゲーム中においては特に小役当選の判定を行なうことなく、複数種類の小役当選フラグのうち所定のものを毎ゲームセットするようにしてもよい。一方、S168によりボーナス入賞であると判断された場合にはS169に進み、ボーナスゲームカウンタを「12」にセットし、JAC入賞カウンタを「8」にセットし、ボーナス当選フラグをクリアし、払出し予定数を「15」にセットし、ボーナスゲームフラグをセットし、遊技効果ランプを第2態様で点滅させ、ボーナス音をスピーカから発生させる処理が行なわれる。
【0088】
次に、ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS153によりYESの判断がなされてS154に進み、ボーナスゲームカウンタを「1」減算し、S155に進み、有効ライン上にJAC入賞があるか否かの判断がなされ、ない場合には払出し予定数を「0」にセットしてコイン払出し制御に移行する。一方、有効ライン上にJAC入賞がある場合にはS156に進み、払出し予定数を「15」にセットし、JAC入賞カウンタを「1」減算し、S157により、入賞した有効ラインに相当する有効ライン表示ランプを点滅させた後コイン払出し制御に移行する。
【0089】
次に、ビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS159によりYESの判断がなされてS160に進み、ビッグボーナスゲームカウンタを「1」減算し、S161により有効ラインにJAC入賞があるか否かの判断がなされ、ない場合にはS163に進むが、ある場合にはS162に進む。S162では、ボーナスゲームカウンタを「12」にセットし、JAC入賞カウンタを「8」にセットし、ボーナスゲームフラグをセットし、払出し予定数を「8」にセットし、遊技効果ランプを第2態様で点滅させ、ボーナス音をスピーカから発生させる。このように、前記S169はビッグボーナスゲームでない通常ゲーム時においてボーナスゲームが開始された時に行なわれる処理であり、S162の方は、ビッグボーナスゲームが開始されている段階でボーナスゲームが成立したときに行なわれる処理である。
【0090】
一方、S170により再ゲーム入賞であると判断された場合にはS171に進み、ランダムカウンタのランダム値R(図6参照)を格納する処理がなされ、S172により、再ゲーム表示ランプ64を点灯または点滅させて再ゲーム表示を行なうとともに再ゲーム音をスピーカ28から発生させる処理がなされる。次にS173に進み、スタート操作があったか否かの判断がなされ、あるまで待機する。そして、遊技者がスタートレバー12を操作することにより制御がS174に進み、再ゲーム当選フラグがクリアされた後図9に示すリール回転処理に移行する。その結果、図7と図8に示したプログラムが実行されることなくリールの回転制御が行なわれるために、賭数の追加入力が受け付けられることなく前回既に入力されている賭数が持ち越されて再ゲームが行なわれる。
【0091】
S175Aにより、払出予定数が小役対応値(図11の15,8,6または3)にセットされた後、S175Bに進み、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされている場合には図17に示すコイン払出処理に移行する。一方、セットされていない場合にはS175Cに進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされている場合にはS17に示すコイン払出制御に移行する。そして、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS175Eに進む。なお、S175Dは、後述する別実施例の場合に挿入されるステップである。S175Eでは、投入数カウンタの値が累積投入数に加算され、払出予定数の値が累積払出数に加算される処理が行なわれる。次にS175Fに進み、累積払出数/累積投入数を算出する処理が行なわれ、スロットマシン1による価値付与状況を算出する処理が行なわれる。
【0092】
次に、S175Gに進み、小役判定モードが「高確率時」になっているか否かの判断がなされ、なっていない場合にはS175Hに進み、S175Fにより算出した算出値が0.4(通常時における下限値)未満であるか否かの判断がなされ、0.4未満の場合にはS175Iにより、小役判定モードを「高確率時」にセットした後S175Lに進む。一方、算出値が0.4以上であった場合には、そのままS175Lに進む。S175Gの判定結果、小役判定モードが「高確率時」になっている場合にはS175Jに進み、S175Fにより算出した算出値が0.5(高確率時における上限値)以上であるか否かの判断がなされる。そして、0.5以上の場合にはS175Kに進み、小役判定モードを「通常時」にセットした後S175Lに進む。一方、S175Jにより、算出値が0.5未満であると判断された場合にはそのままS175Lに進む。このように、小役判定モードが通常時の場合において小役の払出率が40%を割った場合に小役判定モードが「高確率時」に更新される。また、小役判定モードが「高確率時」の場合において小役の払出率が50%に達すれば、小役判定モードを「通常時」に復帰させる制御が行なわれる。
【0093】
次にS175Lでは、累積投入数が「300」以上であるか否かの判断がなされ、以上でない場合にはそのまま図17に示すコイン払出制御に移行するが、以上の場合にはS175Mに進み、累積投入数,累積払出数をそれぞれ1/2の値に修正(小数点以下切上げ)する処理がなされた後にコイン払出制御に移行する。このS175L,S175Mの処理は、ゲーム数が多くなったときに累積投入数と累積払出数とがあまりにも大きな値になり過ぎるのを防止するための処理である。
【0094】
コインの払出状況すなわち価値付与状況の算出方法は、S175Fに示した実施例に限定されるものではない。たとえば、(累積投入数-累積払出数)/ゲーム数 を算出するようにしてもよい。また、コインの累積払出数の代わりに累積払出回数を用いてもよく、あるいは、累積払出数と累積払出回数との両方を用いて算出してもよい。さらには、コインの投入数に応じて加算しコインの払出数に応じて減算する加減算カウンタを設け、その加減算カウンタの値を算出値とするようにしてもよい。本実施例では、小役発生確率についてのみ標準値との比較によって制御するようにしたので、通常ゲームにおける払出率を所定範囲内に保ちながら、ビッグボーナスやレギュラーボーナスの発生についてはランダム値Rの抽出タイミングと設定値によって制御されることとなり、高設定でもボーナス発生回数が多いとは限らず、また低設定でも少ないとは限らなくなって遊技者に対しゲームの興趣を持続させることのできる遊技機とすることができる。
【0095】
図16に示した実施例では、S175Fによる払出率の算出を行なうに際し、ビッグボーナスゲーム,レギュラーボーナスゲームを除く通常のゲーム時におけるコイン投入数,コイン払出数に基づいて算出するようにしたが、それに代えて、ビッグボーナスゲーム,レギュラーボーナスゲームにおけるコイン投入数,コイン払出数をも含めて算出するようにしてもよい。また、S175Fの算出,S175H,S175Jの判定を、コインの累積投入数が所定値に達した場合にのみ行なうようにしてもよい。
【0096】
次に、S175Dのステップが挿入された別実施例を説明する。この別実施例は、通常ゲーム時において、3枚賭を行なった場合にのみ小役の確率制御を行なうものであり、S175Dにより、投入数カウンタが「3」の場合にのみS175Eに進んで小役の確率制御を行ない、投入数カウンタが「3」でない場合にはそのままコイン払出制御に移行する。この別実施例の場合には、図10(b)におけるコイン投入数「1」と「2」の場合の「高確率」の欄の各小役当選許容値C_(12),D_(12),E_(12),F_(12),C_(22),D_(22),E_(22),F_(22)が不要となる。前記S175EないしS175Mにより、賭数入力手段により入力された入力数の累積値と価値付与手段により付与された有価価値の累積値および有価価値の付与回数の累積値のうち少なくとも一方とによって算出される価値付与状況を予め定められた標準値と比較し、該比較結果に基づいて前記可変表示装置の表示結果が特定の表示態様となる確率を制御する確率制御手段が構成されている。
【0097】
図17は、コイン払出制御のプログラムを示すフローチャートである。まずS176により、払出数が払出予定数に達したか否かの判断がなされ、達していない場合にはS177に進み、クレジットゲームモードであるか否かの判断がなされ、クレジットゲームモードでない場合にはS180に進み、コインを1枚払出しそれに応じて払出数を「1」歩進した後S176に戻る。一方、クレジットゲームモードになっている場合にはS178に進み、クレジットカウンタがその上限値である「50」になっているか否かの判断がなされ、なっている場合にはS180に進みコインの払出を行なうが、なっていない場合すなわちまだクレジットカウンタの記憶に余裕がある場合にはS179に進み、クレジットカウンタを「1」歩進するとともに、それに応じて払出数を「1」歩進した後S176に戻る。このS177ないしS180の処理を、払出数=払出予定数になるまで繰返し実行してそのたびにコインの払出あるいはクレジットカウンタへの加算処理が行なわれ、払出数が払出予定数に達した段階でS181に進む。
【0098】
S181では、ボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、ボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS182に進み、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、ビッグボーナスゲームフラグがセットされていない場合にはS200に進み、JAC入賞フラグをクリアし、小役当選フラグをクリアし、前回投入数を投入数カウンタの値に更新し、投入数カウンタをクリアして図7(b)に示すゲームスタート処理に戻る。一方、ボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS185に進み、JAC入賞カウンタが「0」になったか否かの判断がなされ、なっている場合にはS186によりボーナスゲームカウンタがクリアされた後、S188により、JAC入賞カウンタがクリアされ、ボーナスゲームフラグがクリアされる。一方、JAC入賞カウンタが「0」でない場合にはS187に進み、ボーナスゲームカウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、「0」の場合にはS188に進むが、「0」でない場合にはS200に進み、JAC入賞フラグがクリアされ、小役当選フラグがクリアされて図7(b)に示すゲームスタート処理に戻る。このように、ボーナスゲームカウンタが「0」になった段階またはJAC入賞カウンタが「0」になった段階でボーナスゲームフラグがクリアされてボーナスゲームが終了する。
【0099】
次に、S189では、ビッグボーナスゲームフラグがセットされているか否かの判断がなされ、セットされていない場合にはS190により遊技効果ランプ24を消灯する処理がなされてS200に進む。一方、ビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合にはS191に進み、ボーナス回数カウンタを「1」ディクリメントする処理がなされ、S192により、ボーナス回数カウンタが「0」になったか否かの判断がなされる。ボーナス回数カウンタが「0」になっていない場合にS193に進み、遊技効果ランプを第1態様で点滅させ、ビッグボーナス音をスピーカ28から発生させる処理がなされてS200に進む。一方、ボーナス回数カウンタが「0」になっている場合にはS194に進み、ビッグボーナスゲームカウンタをクリアした後S195に進む。
【0100】
一方、ボーナスゲームフラグがセットされておらずかつビッグボーナスゲームフラグがセットされている場合には、S183に進み、ビッグボーナスゲームカウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、「0」でない場合にはS200に進むが、「0」である場合にはS184に進み、ボーナス回数カウンタをクリアする処理がなされてS195Aに進む。S195Aでは、ビッグボーナスゲームフラグをクリアしてビッグボーナスゲームを終了させるとともに、小役判定モードを「通常時」にし、累積投入数を「100」にし、累積払出数を「50」にし、遊技効果ランプを消灯する処理が行なわれる。つまりビッグボーナスゲームカウンタが「0」になった段階あるいはボーナス回数カウンタが「0」になった段階でビッグボーナスゲームが終了するのであり、それ以降通常のゲームとなるために、小役当選判定モードを「通常時」に復帰させるとともに、累積投入数と累積払出数とを初期値(S14A参照)に戻す制御が行なわれるのである。
【0101】
次にS195Bに進み、現時点におけるランダム値Rを格納する処理がなされ、S195Cにより、その格納した値を用いて所定の演算を行なう処理がなされる。この所定の演算とは、たとえば、格納したランダム値Rに対し、所定の数値を減算したり加算したり乗じたり除したり、あるいはランダム値Rを二乗したり三乗したり、さらには、ランダム値Rを所定の関数に代入して答えを算出する等の演算である。次にS195Dに進み、その演算結果を確率変動当選許容値と比較する処理がなされる。この確率変動当選許容値とは、ビッグボーナスゲーム発生確率を向上させることができる許容値のことである。この確率変動当選許容値は、確率変動状態を2回発生させる確率変動2回当選許容値と、確率変動状態を1回だけ発生させる確率変動1回当選許容値との2種類が定められている。S195Eにより、演算結果が、確率変動2回当選許容値の範囲内であれば、S195Fに進み、ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を「77」にセットする処理が行なわれてS195Jに進む。一方、演算結果が確率変動1回当選許容値の範囲内である場合には、S195EによりNOの判断がなされてS195GによりYESの判断がなされてS195Hに進み、ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄を「33」にセットする処理がなされてS195Jに進む。一方、演算結果が確率変動2回当選許容値の範囲内ではなくかつ確率変動1回当選許容値の範囲内でもなかった場合にはS195Iに進み、ゲーム回数・可変表示器25の予定停止図柄をはずれ停止図柄にセットする処理がなされる。
【0102】
次に、S195Jでは、ゲーム回数・可変表示器25を可変表示させるためのタイマがセットされて、可変表示が開始制御される。次にS195Kに進み、そのセットされたタイマが終了したか否かの判断がなされ、終了するまで待機し、ゲーム回数・可変表示器25を可変表示させ続ける。そして、タイマが終了した段階でS195Lに進み、ゲーム回数・可変表示器25を、前記S195F,195Hあるいは195Iによりセットされた停止図柄になるように停止制御する。次にS195Mに進み、停止図柄が「77」となる特別の遊技状態が発生しているか否かの判断がなされ、「77」である場合にはS195Nに進み、確率変動カウンタを「2」にセットする処理がなされてS195Qに進む。一方、停止図柄が「33」となる特別の遊技状態が発生している場合には、S195OによりYESの判断がなされてS195Pに進み、確率変動カウンタを「1」にセットする処理がなされてS195Qに進む。停止図柄がはずれ図柄であった場合には、S195N,S195Pの処理が行なわれない。次にS195Qに進み、確率変動カウンタの値が「0」であるか否かの判断がなされ、「0」の場合にはS196に進むが、「0」でない場合にはS195Rに進み、遊技効果ランプを第3の態様で点滅させ、ビッグボーナスゲーム発生確率が向上した確率変動状態であることを遊技者に表示した後S196に進む。なお、このS195Rの後にS195Sのステップを挿入してもよい。このS195Sは、小役判定モードを「高確率時」にセットする処理である。その結果、確率変動カウンタが「0」でない場合には小役判定モードが「高確率時」にセットされることになる。前記S175,S195Sの処理を行なうことにより、確率変動時になれば、ビッグボーナス当選確率が向上するとともに「高確率時」の小役払出率が100%(いわゆる等倍返し)となるため、ビッグボーナスに当選するまでの間コインを減らさずにゲームを行なうことができる。この実施例では、確率変動状態にするか否かを抽選表示する可変表示器を、ゲーム回数を表示するゲーム回数・可変表示器25により兼用構成したが、抽選専用の可変表示器を設けてもよい。また、リール6L,6C,6Rを用いて抽選表示を行なうようにしてもよい。さらに、確率変動回数は2種類に限定されることなく、1種類または3種類以上の回数であってもよい。また、確率変動回数を異ならせるのに代えてあるいはそれに加えて、確率変動時の当選確率を異ならせるようにしてもよい。また、前記S195N,S195Pでは、確率変動カウンタを「2」,「1」にセットする処理が行なわれているが、その代わりに、これらのステップが実行されるごとに+2,+1するようにしてもよい。また、確率変動カウンタが「0」でない場合には、当選を無効とするようにしてもよいし、抽選を行なわないようにしてもよい。
【0103】
さらに、確率変動を行なうか否かの抽選時期は実施例に限定されるものではない。たとえば、ビッグボーナス当選時,ビッグボーナス発生時,ビッグボーナスゲーム終了時の次のゲーム,特定の小役発生時,再ゲーム時,ボーナス当選時,ボーナス発生時,ボーナスゲーム終了後の次のゲーム等の時期であってもよい。前記S176ないしS200と、コインホッパー37,コイン払出モータ38,払出コインセンサ39により、前記可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に所定の有価価値を付与する価値付与手段が構成されている。また、前記S195BないしS195P,S77A,S77B,S67,図10(a),(b),図11(a),(b)に示したテーブルデータにより、前記遊技機の遊技状態が予め定められた特別の遊技状態になった場合に、前記可変表示装置の表示結果が前記特定の表示態様となる確率を変動させる確率変動制御手段が構成されている。
【0104】
次にS196に進み、ゲームオーバー有にセットされているか否かの判断が行なわれる。電源投入時にリセットスイッチ4がONに操作されている場合には前述したようにゲームオーバー無にセットされ(S3参照)、リセットスイッチ4がOFFに操作された場合には前述したようにゲームオーバー有にセットされるのであり(S2参照)、このS196により、ゲームオーバーの有無を判定し、ゲームオーバー無の場合にはS200に進み、以降図7(b)に示すゲームスタートに戻り、ゲームスタート処理が開始される。一方、ゲームオーバー有と判断された場合にはS197に進み、コード「OF」を払出数表示器27により表示するとともにゲームオーバー音をスピーカ28から発生させる処理が行なわれる。これにより、スロットマシンがゲームオーバー(打止め状態)となる。そして、S198に進み、リセット操作があるか否かの判断がなされ、あるまでS197の処理が続行される。そして、遊技場の係員がリセット用鍵孔3bに所定の鍵を挿入してリセットスイッチ4を操作すれば、S198によりYESの判断がなされてS199に進み、「OF」のコード表示がクリアされ、ゲームオーバー音が停止された後S200に進む。このように構成することにより、遊技場の営業形態に応じて、スロットマシンが打止状態に達した段階でそのたびに景品交換を行なわせる遊技場においては打止選択手段により打止手段を機能させるように選択しておけばよく、一方、スロットマシンが打止め状態に達しても景品交換させることなく引続きゲームを続行させるいわゆる無定量方式を採用している遊技場においては、打止選択手段により打止手段が機能しないように選択すればよい。
【0105】
このような遊技場の営業形態に合わせてスロットマシンの打止めに関する制御を行なう他の方法としては、次のようなものがある。
【0106】
図17に示したS195の処理の次に、たとえば自動リセット用タイマをセットし、次にコード「OF」の表示とゲームオーバー音を発生する処理を行ない、次にゲームオーバーの有無を判定するステップを用意する。そして、ゲームオーバー無と判断された場合には、自動リセット用タイマが終了したか否かの判断を行なうステップに進み、タイマが終了していない場合には再び前記コード「OF」を表示しかつゲームオーバー音を発生するステップに戻る。そして、自動リセット用タイマが終了した段階でコード表示のクリア,ゲームオーバー音の停止を行なう処理を実行し、次に図17に示すS200に戻る。一方、ゲームオーバーの有無を判定するステップにおいて、ゲームオーバー有と判断された場合には、リセット操作の有無を判定するステップに移行する。そしてリセット操作がないと判断された場合には前記コード「OF」を表示しかつゲームオーバー音を発生する処理に戻る。そして、リセット操作有と判断された場合には前記コード表示クリア,ゲームオーバー音を停止する処理に進み、その後図16のS200に進む。
【0107】
つまり、前記S1ないしS3により、ゲームオーバー無に設定されている場合には、自動リセット用タイマが終了するまで待って、終了した段階で自動的にゲームオーバーを表わす旨のコード表示をクリアしてゲームオーバー音を停止させてゲームスタート処理に戻るようにし、ゲームオーバー有が設定されている場合には、リセットスイッチ4の操作があるまでゲームオーバーを表わすコード表示を行ないゲームオーバー音をスピーカから発生させる打止め状態を持続させるようにする。また、前記リセット操作があるか否かの判定を行なうステップとコード表示をクリアしかつゲームオーバー音を停止させる処理ステップとにより、手動操作により打止解除を行なう手動打止解除手段が構成されている。また、前記S1ないしS3により、前記自動打止解除手段による打止解除と前記手動打止解除手段による打止解除とのうちいずれか一方を選択する打止解除態様選択手段が構成されている。この別実施例によれば、ゲームオーバ無のモードになっている場合に、ビッグボーナスゲームが終了すれば一旦ゲームオーバ(打止状態)となり、所定時間が経過することにより自動的にゲームオーバが解除されるため、ゲームオーバとなっている所定時間だけゲームが行なわれない状態となる。その結果、ホール用管理コンピュータにより投入コイン等の利益情報や景品コイン等の不利益情報を集計する際にゲームが行なわれないゲームオーバ状態を区切りにしてゲームオーバ解除から次のゲームオーバまであるいはビッグボーナスゲーム開始からゲームオーバまでを一単位にして情報の集計を行なうことも可能となる。
【0108】
なお、リールの回転開始からコインの払出終了までの間はコインの貸出しを行なわないようにしたが、常時貸出し可能にしてもよい。また、本発明は、コインの代わりにパチンコ玉を使用してゲームを行なうタイプのスロットマシンでもよい。その場合には、賭数入力手段は、遊技者が投入したパチンコ玉の個数を賭数として検出するものとなる。また、カード等の記録媒体を挿入し、その記録媒体の記録情報によって特定される遊技者所有の有価価値を使用してゲームが行なわれるスロットマシンでもよい。この場合には、前記遊技者所有の有価価値の一部を賭数として使用するための遊技者の操作を検出する操作検出手段が賭数入力手段となる。さらに、ストップボタンをなくして所定時間の経過により可変表示装置が自動停止するものあるいは、スタートレバーをなくして、賭数の入力により可変表示装置が可変開始するものでもよい。前記S176ないしS200と、コインホッパー37,コイン払出モータ38,払出コインセンサ39により、前記可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に所定の有価価値を付与する価値付与手段が構成されている。この価値付与手段は、コインを賞品として払出すものに代えて、たとえば、パチンコ玉を払出したり、得点を加算してゲーム終了時にその得点を記録した記録媒体を払出したりするものでもよい。なお、可変表示装置は、回転リール式に代えて、CRT,液晶,LED,エレクトロルミネセンス等からなる電気的表示装置により図柄を可変表示するものや、図柄が描かれた複数枚の円板が回転して可変表示するもの、図柄が描かれたベルトが移動するもの、あるいは、いわゆるリーフ式のもの等、可変表示装置の種類はどのようなものでもよい。また、可変表示部の数は3個に限定されるものではない。
【0109】
コインおよびクレジット数が、遊技用価値の一例である。共通カードに代表されるプリペイドカードが記録媒体の一例である。処理装置制御部80、貸出ボタン71、および貸出スイッチ72によって記録媒体の記録情報に基づいて特定される前記遊技者所有の有価価値と引換に所定量の遊技用価値を貸出すことを指示するための貸出指示手段が構成される。
【0110】
図3に示される図柄が、複数種類の識別情報を構成する。「A」および「B」という図柄が所定の特別遊技状態用識別情報を構成する。さらに、ビッグボーナスゲーム、ボーナスゲームに加えて、小役を発生させる表示結果が、該可変表示装置の表示結果の予め定められた特定の表示態様を構成する。
【0111】
払出モータ38により、前記貸出指示手段の操作に応答して、前記所定量の遊技用価値を貸出すための貸出手段が構成される。
【0112】
図8のS41Aにおいてコイン貸出信号が有ると判定された場合、S41Bで貸出数に50が設定され、S41C?S41Gまでの処理が貸出数=0となるまで繰返し行なわれ、この間は他の処理ができないことにより、前記貸出手段による前記所定量の遊技用価値の貸出が開始した後は、前記所定量の遊技用価値の貸出が終了するまで、後続する処理を禁止することが開示されている。
【0113】
図8のS41Bにおいて貸出数を一旦記憶すること、およびS41EおよびS41Fにおいて、それぞれ貸出数を-1することにより、前記貸出指示手段の操作に応答して、前記貸出手段から貸出する予定の遊技媒体数を記憶し、前記貸出手段により前記遊技媒体が一個払い出されるごとに、前記貸出する予定の遊技媒体数を対応して更新することが開示されている。
【0114】
次に、本発明の別実施例を説明する。
(1)確率変動開始条件が成立する特別の遊技状態としては、前記S66の演算結果が、たとえば、ビッグボーナス当選許容値の範囲内の一部または全部の値となったとき、レギュラーボーナス当選許容値の範囲内の一部または全部の値となったとき、各小役当選許容値の範囲内の一部または全部の値となったとき、再ゲーム当選許容値の範囲内の一部または全部の値となったとき、はずれの範囲内の一部の値となったときに発生するようにしてもよい。
【0115】
(2)ビッグボーナスゲーム,レギュラーボーナスゲームが特定のパターンで終了した場合に前記特別の遊技状態が発生するようにしてもよい。たとえば、ビッグボーナスゲーム中の特定のゲーム数目においてボーナスゲームが発生した場合、あるいは、ボーナスゲーム中の特定のゲーム数目においてJAC入賞が発生した場合等が考えられる。また、前記ボーナスゲーム発生時のゲーム数と前記JAC入賞の発生時のゲーム数との組合せが特定のパターンとなった場合に特別の遊技状態が発生するようにしてもよい。
【0116】
(3)リール6L,6C,6Rからなる可変表示装置が確率変動を開始するように定められた表示結果になった場合に特別の遊技状態を発生するようにしてもよい。たとえば、リールの図柄配列の中に専用の図柄を設け、その図柄が有効ライン(当りライン)上に停止した場合や、はずれとなる図柄組合せの一部(たとえば「AAB」)を確率変動開始となる表示結果と定め、その図柄の組合せが有効ライン(当りライン)上に停止した場合等に特別の遊技状態となるようにすることが考えられる。
【0117】
(4)所定期間(所定ゲーム数またはコインの所定累積投入数)ビッグボーナスゲームが発生しなかった場合に特別の遊技状態となるようにしてもよい。たとえば、所定期間ビッグボーナスゲームもレギュラーボーナスゲームも発生しない場合、所定期間ビッグボーナスゲームが発生しない場合、所定期間ビッグボーナスゲームが発生しないままレギュラーボーナスゲームが所定回数発生した場合等に特別の遊技状態となるようにしてもよい。
【0118】
(5)遊技機の差数や払出率が所定値となった場合に特別の遊技状態となるようにしてもよい。この場合に、差数や払出率は、遊技場の開店時からまたは前回のビッグボーナスゲーム終了時からまたは確率の設定変更時から計数することが考えられる。
【0119】
(6)確率変動制御を行なうに際し、ビッグボーナスゲームが発生する可変表示装置の図柄の組合せ数を増加させるようにしてもよい。このようにすれば、実際の発生確率が向上した場合には、可変表示装置の表示用の発生確率も向上するようになる。
【0120】
(7)確率変動状態となったときには、(i)ビッグボーナスゲーム発生確率のみ、(ii)レギュラーボーナスゲーム発生確率のみ、(iii)各小役発生確率のみ、(iv)再ゲーム発生確率のみ、を変動制御するようにしてもよい。あるいは、前記(i)ないし(iv)のうち、2つ以上のものを選びだして確率変動制御を行なってもよい。この2つ以上のものを選び出して確率変動を行なう場合には、確率変動の契機はそれぞれの確率変動対象物で同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0121】
(8)確率変動状態を終了する条件として、前記(1)の開始条件と同じ条件が成立した場合に終了させるようにしてもよい。この場合に、S66の演算結果が比較される特定の値は、前記(1)の開始条件と同じ値であってもよくまた異なった値であってもよい。
【0122】
(9)前記(2)に示した確率変動開始条件と同じ条件が成立した場合に確率変動を終了させてもよい。その場合に、前記(2)に示したゲーム数や特定のパターンは、確率変動開始条件と同じであってもよくまた異なっていてもよい。また、ビッグボーナスゲーム中の特定のゲーム数目においてボーナスゲームが発生しなかった場合やボーナスゲーム中の特定のゲーム数目においてJAC入賞が発生しなかった場合に確率変動状態を終了させてもよい。さらに、前記ボーナスゲームが発生したゲーム数と前記JAC入賞が発生したゲーム数との組合せが特定のパターンにならなかった場合に確率変動状態を終了させてもよい。
【0123】
(10)リール6L,6C,6Rからの可変表示装置が確率変動を終了するように定められた表示結果となった場合に確率変動状態を終了させてもよい。具体的には、リールの図柄配列の中に専用の図柄を設け、その図柄が有効ライン上に停止した場合や、はずれの図柄となる組合せの一部を確率変動終了となる表示結果と定め、その図柄の組合せが有効ライン上に停止した場合等が考えられる。これらの場合には、専用の図柄や組合せの一部が、前記(3)の開始条件で定められた図柄や組合せと同一のものであってもよいし異なっていてもよい。さらに、レギュラーボーナスが発生する表示結果になった場合あるいは特定の小役が発生する表示結果となった場合に、確率変動状態が終了するようにしてもよい。
【0124】
(11)確率変動が開始された後所定期間が経過した場合に、確率変動状態を終了させてもよい。たとえば、(i)確率変動状態が開始した後、所定ゲーム数に達した場合やコインが所定累積投入数に達した場合に、終了させてもよい。あるいは、(ii)前記(7)に示した確率変動制御の対象となっている役が所定回数発生した場合に確率変動状態を終了させてもよい。さらには、前記(i)または(ii)のうちのいずれか早い方の条件が成立したときに確率変動状態を終了させてもよい。
【0125】
(12)遊技機の差数,払出率が所定値に達した場合に確率変動状態を終了させてもよい。この差数や払出率は、遊技場の開店時から、確率の設定変更時から、あるいは確率変動開始時から計数することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】遊技機の一例のスロットマシンおよびカード処理装置を示す全体正面図である。
【図2】スロットマシンおよびカード処理装置の全体背面図である。
【図3】リールの外周に描かれた識別情報としての図柄を示す展開図である。
【図4】各リールの側面図である。
【図5】スロットマシンに用いられる制御回路を示すブロック図である。
【図6】電源投入時に行なわれる処理プログラムおよびランダムカウンタ更新処理の割込プログラムを示すフローチャートである。
【図7】エラーチェック処理の割込プログラムおよびゲームスタート処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図8】ゲームスタート処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図9】リール回転処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図10】ROMに記憶されている各種当選許容値のテーブルデータおよび各種当選許容値の領域を示す図である。
【図11】各種当選許容値の領域を示す図である。
【図12】リール回転処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図13】リール停止処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図14】リール停止処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図15】リール停止処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図16】入賞判定処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図17】コイン払出処理のプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0127】
1 遊技機の一例のスロットマシン、90 可変表示装置、6L,6C,6R リール、5L,5C,5R 可変表示部、18 賭数入力手段の一部を構成するコイン投入口、12 賭数入力手段の一部を構成するスタートレバー、14 賭数入力手段の一部を構成するクレジット操作ボタン、36 投入コインセンサ、13 スタートスイッチ、45 制御部、8L,8C,8R リール位置センサ、76 カード処理装置、78 カードリーダライタ、80 カード処理装置制御部、25 ゲーム回数・可変表示器、71 貸出ボタン、72 貸出スイッチ。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者所有の有価価値を賭数として使用して遊技が可能となり、ビッグボーナス識別情報を含む複数種類の識別情報を可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置を含み、該複数の可変表示部が可変開始した後停止することにより1ゲームが終了するスロットマシンであって、
前記複数の可変表示部は、賭数の入力によって有効な当りラインが設定される、左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とから成り、
通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記ビッグボーナス識別情報によりビッグボーナス役の表示態様となったときに、ビッグボーナスに移行させ、通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの小役識別情報により小役の表示態様となったときに、前記ビッグボーナスには移行させない小役入賞を発生させ、通常ゲーム終了時の前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記複数種類の識別情報のうちの再ゲーム識別情報により再ゲーム役の表示態様となったときに、前記遊技者所有の有価価値を賭数として使用することなくゲームが可能となる再ゲームを発生させる遊技制御手段と、
前記ビッグボーナス役と前記小役と前記再ゲーム役とを含む複数種類の役別に、当選しているか否かを前記複数種類の役別に予め定めた当選確率に基づいて判定する判定手段と、
該判定手段により当選と判定された役に対応する当選フラグをセットするセット手段と、
前記可変表示部を停止操作するための停止操作手段と、
該停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした所定の停止可能範囲内に位置する識別情報のうちのいずれかの識別情報を、前記セット手段によりセットされている当選フラグに基づいて前記所定位置に停止させる制御を行なう可変表示制御手段と、
前記セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときに、前記ビッグボーナス役が当選していることを報知する報知手段とを含み、
該報知手段は、前記ビッグボーナス役が当選していることを表示する表示手段と、前記ビッグボーナス役が当選していることを音で報知する音報知手段とを含み、
前記遊技制御手段は、前記複数の可変表示部の前記有効な当りライン上の停止結果が前記セット手段によりセットされている当選フラグに対応した役の表示態様ではないときに、前記セット手段により小役当選フラグがセットされているときには当該小役当選フラグを消去し、当該セット手段によりビッグボーナス当選フラグがセットされているときには当該ビッグボーナス当選フラグを消去せずに次回のゲームに持越し、
前記判定手段は、既に前記ビッグボーナス当選フラグがセットされているときには、前記ビッグボーナス役が当選しているか否かを判定せず、また、前記通常ゲームにおいては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定し、前記ビッグボーナス中においては前記再ゲーム役が当選しているか否かを判定せず、
前記複数の可変表示部の識別情報の配列は、前記停止可能範囲内に必ず前記再ゲーム識別情報が存在する配列構成となっており、
前記可変表示制御手段は、
再ゲーム当選フラグのみがセットされているとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ、前記セット手段によりセットされた前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記再ゲーム当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記再ゲーム当選フラグがセットされた状態となったとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する前記再ゲーム識別情報を前記所定位置に停止させ、
前記ビッグボーナス当選フラグが消去されずに進行した次回のゲームにおいて前記セット手段が前記小役当選フラグをセットすることにより前記ビッグボーナス当選フラグに加えて前記小役当選フラグがセットされた状態となったとき、当該ゲームでは、前記停止操作手段が操作されたときに前記可変表示部の前記有効な当りライン上の所定位置に表示されている識別情報を基準とした前記所定の停止可能範囲内に位置する識別情報の中に前記ビッグボーナス識別情報が存在するときには当該ビッグボーナス識別情報を前記所定位置に停止させる制御を行なうことを特徴とする、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-09-27 
結審通知日 2010-10-04 
審決日 2010-10-29 
出願番号 特願2006-251320(P2006-251320)
審決分類 P 1 113・ 121- YA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
井上 昌宏
登録日 2007-12-28 
登録番号 特許第4060340号(P4060340)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 梁瀬 右司  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 川下 清  
代理人 振角 正一  
代理人 塚本 豊  
代理人 中田 雅彦  
代理人 中田 雅彦  
代理人 池垣 彰彦  

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