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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1247073 |
審判番号 | 不服2010-12398 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-08 |
確定日 | 2011-11-17 |
事件の表示 | 特願2005-104576「文書管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月20日出願公開、特開2005-295564〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成17年3月31日の出願(米国優先権主張2004年3月31日)であって、平成21年6月4日付け拒絶理由通知に対して平成21年8月10日付けで手続補正がなされたが、平成22年3月2日に拒絶査定がされたものである。 そして、これを不服として平成22年6月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されている。 その後、平成22年8月3日付けで最後の拒絶理由(前置審査)が通知され、これに対して平成22年10月12日付けで手続補正書が提出されている。 2.本願発明の認定 平成22年10月12日付け手続補正書による特許請求の範囲の補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、当該補正により特許請求の範囲の記載は明りょうなものとなったから、本願の発明は、平成22年10月12日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項7までに記載した事項により特定されるとおりのものと認められる。 そのうち、請求項1に係る発明は、次のとおりである。 【請求項1】 文書管理方法であって: 文書の収集物の概要のイメージを受信する工程と、 該イメージに表す少なくとも1つの動作を識別する工程であって、前記少なくとも1つの動作が、印刷、電子メールの送信、ファックスの送信、グループ化、非グループ化、及び削除を含む群のうちの少なくとも1つである工程と、 少なくとも1つの文書を識別する工程と、 該少なくとも1つの動作を該少なくとも1つの文書に対して実行する工程とを含む処理、及び、 文書索引のイメージを受信する工程と、 前記文書索引のページ上で、動作を規定するスティッカのイメージを位置特定する工程と、 前記文書索引のページ上の前記スティッカの位置に基づいて文書を識別する工程と、 前記識別された文書に対して、前記規定された動作を実行する工程とを含む処理の何れか一方の処理を含むことを特徴とする文書管理方法。 当該記載の発明は、「何れか一方の処理を含む」とされる発明であるから、請求項1の記載は、次の2つの発明(ア)及び(イ)を併記したものに他ならない。 (以下、(ア)を「本願第1発明」、(イ)を「本願第2発明」という。) (ア)文書管理方法であって: 文書の収集物の概要のイメージを受信する工程と、 該イメージに表す少なくとも1つの動作を識別する工程であって、前記少なくとも1つの動作が、印刷、電子メールの送信、ファックスの送信、グループ化、非グループ化、及び削除を含む群のうちの少なくとも1つである工程と、 少なくとも1つの文書を識別する工程と、 該少なくとも1つの動作を該少なくとも1つの文書に対して実行する工程とを 含む処理を含むことを特徴とする文書管理方法。」 (イ)文書管理方法であって: 文書索引のイメージを受信する工程と、 前記文書索引のページ上で、動作を規定するスティッカのイメージを位置特定する工程と、 前記文書索引のページ上の前記スティッカの位置に基づいて文書を識別する工程と、 前記識別された文書に対して、前記規定された動作を実行する工程とを含む処理を含むことを特徴とする文書管理方法。 以下、本願第1発明(ア)について検討する。 3.引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1(特開平8-139846号公報)には、図面とともに、以下(ウ)から(キ)に示す事項が記載されている。 (ウ)「【要約】 【目的】 ユーザの所望のフォーマットの検索用マークシートを印刷する。 【構成】 所望の画像をインデックス画像と対応づけて記憶媒体に記録し、記録されている画像をユーザが選択したインデックス画像によって検索する画像検索装置において、画像の記憶媒体への記録時、および記憶媒体の画像の検索時、インデックス画像が複数印刷されたマークシートを用いてインデックス画像の指定を行える様にする。画像検索装置はユーザによって入力されたインデックス画像の数やサイズに応じたフォーマットのマークシートの印刷を行う。」 (エ)「【0077】 図6は、本実施例におけるマークシートの印刷例を示す図である。 【0078】 図6において、インデックスセル1101は、ファイル部5の外部記憶装置6にセットされている光磁気ディスクなどの記憶媒体に記憶されている文書画像を検索するために文書画像に対応づけられたインデックス画像がプリントされる欄である。このインデックス画像は記憶媒体に記録されている。 【0079】 また、チェック欄1102は、ユーザが検索を装置に行わせる際に、所望のインデックスセル1101を選択するためユーザがチェックできる欄であり、チェック欄1103は文書画像を外部記憶装置5の記憶媒体に記録する際にこのマークシートを使って記録する文書画像に対応したインデックス画像を登録する場合、ユーザがチェックする欄である。さらに、チェック欄1104は外部記憶媒体に記録された文書画像を検索する際にユーザがチェックする欄である。ユーザは各チェック欄を鉛筆等でチェックすることにより、所望のインデックスセルや動作モードを選択できる。 【0080】 また、印1105、1106は、マークシートであることを示すものであり、かつ、原稿の位置ズレを補正するためのものである。さらに、印1107は、マークシートの天地を識別し、かつ原稿の位置ズレを補正するためのものであり、印1108は、マークシートの位置ズレを補正するためのものである。 【0081】 そして、以上のようなマークシートは、次のような手順により作成する。 【0082】 マークシートを作成する場合、ファイル部5の外部記憶装置6にセットされた記憶媒体に記録されているインデックス画像を読み出す。 【0083】 所望のインデックスセルを選択するためのチェック欄、記録または検索の実行を選択するためのチェック欄を有するマークシートのフォーマット(図7参照)は、記憶媒体のファイル管理エリアに記憶されている画像を読み出して、メモリA506?D509のいずれかに展開する。メモリ上に展開されたマークシートフォーマットのインデックスセルの欄に読みこんだインデックス画像を合成して、これをプリンタ部2にてプリントする。」 (オ)「【0084】 図8は、ファイル部5で行われるこのようなマークシートの作成手順を具体的に示すフローチャートである。 【0085】 まず、リーダ部1の操作部124によりマークシートプリントモードがユーザによって設定されると、ファイル部5の外部記憶装置6に記憶媒体がセットされているか否かを判定し(S1)、セットされていなければ、リーダ部1の操作部124の表示器に記憶媒体のセットの要求を表示する(S2)。また、記憶媒体がセットされている場合には、記憶媒体の所定の領域に記憶されているインデックス画像を読み出す(S3)。 【0086】 そして、図7に示されるような所望のインデックスセルを選択するためのチェック欄1102、記録または検索の実行を選択するためのチェック欄1103、1104などを有するマークシートのフォーマットを、前述したファイル管理エリアから読み出し、メモリA506?メモリD509のいずれかにビットマップ展開する。メモリ上に展開されたマークシートのフォーマットに、読み込んだインデックス画像を合成し(S4)、これを前述した方法でプリンタ部2へ転送する(S5)。これにより、マークシートがプリンタ部2より出力される。」 (カ)「【0087】 次に、以上のようなマークシートを使用した文書画像の記録、検索は、以下のようにして行う。 【0088】 まず、文書画像を記憶媒体に記録を行う場合には、ユーザはマークシートの記録のチェック欄1103にチェックするとともに、所望のインデックスセルのそばのチェック欄にチェックする。そして、このマークシートを読み取らせようとしている文書束の1ページ目にして、これらの文書束をリーダ部1から1ページ目から順次読み込ませる。 【0089】 また、記憶媒体に記録されている文書画像の検索を行う場合、ユーザはマークシート検索のチェック欄1104にチェックし、このマークシートをリーダ部1から読み込ませる。」 (キ)「【0092】 そして、マークシートの記録の項目1103にチェックがなされている場合、引き続き読み込まれる原稿を、チェックされたインデックスセルのインデックス画像と対応づけて外部記憶装置6の記憶媒体に記憶する。」 (ク)「【0093】 また、マークシートの検索の項目1104にチェックされている場合、チェック欄1102のチェックに従って外部記憶装置6の記憶媒体を検索し、選択されたインデックスセルに対応する文書画像を操作部124に表示する。 【0094】 そして、検索した文書画像が1つの場合には、プリンタ部2より文書画像を出力する。また、複数の文書画像が見つかった場合には、複数の候補があることを個数とともに操作部124の表示部に表示し、中止するか、登録名一覧により検索を続けるか、画像として出力し検索を続けるか、全部の文書画像を出力するかなどを使用者に選択させ、選択された文書画像はプリンタ部2によりプリントする。」 (ケ)「【0110】 選択キー1405が押された場合には、候補の文書/画像を全てプリンタ部2よりプリントする(S30)。選択キー1403または1404が押されて、図12または図13のマークシートがプリントされた後、このマークシートの所望の文書画像を選択して、対応するチェック欄1102をチェックして、リーダ部1より読み込ませることにより、所望の文書画像を検索できる(S31)。次に、検索した文書画像をプリンタ部2より出力する(S32)。」 したがって、これらを総合すれば、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1には、次の(コ)なる発明が記載されている。(以下、「引用発明」という。) [引用発明] (コ)記録媒体に記憶されている文書画像を検索するためのインデックス画像(1101)とともに、該インデックス画像を選択するためのチェック欄(1102)、及び、実行する処理として「記録」あるいは「選択」という選択肢の群から所望のものを選択するためのチェック欄( 1103、1104)の印刷されたマークシートを用いるものであり、 各チェック欄にユーザがチェックしたマークシートをリーダ部によって読み取り、 チェックされたインデックス画像に対応する、記録媒体に記憶されている文書画像に対して、チェックされた動作を実行するものであって、 「記録」が選択されている場合には、読み込まれる原稿をチェックされたインデックス画像と対応づけて記録媒体に記憶し、 「検索」が選択されている場合には、チェックされたインデックス画像に対応する、記録媒体に記憶されている文書画像について印刷を実行する画像形成方法 4.本願発明と引用発明との対比 引用発明における「記録媒体に記憶されている文書画像」は本願第1発明における「文書の収集物」に相当し、また、引用発明における「各チェック欄にユーザがチェックしたマークシートをリーダ部によって読み取り」は「文書の収集物の概要のイメージを受信する工程」に相当する。 引用発明は、「チェックされたインデックス画像に対応する、記録媒体に記憶されている文書画像に対して、チェックされた動作を実行するもの」であるから、これは、本願第1発明における「少なくとも1つの文書を識別する工程と、該少なくとも1つの動作を該少なくとも1つの文書に対して実行する工程」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、次の(サ)の点で一致し、(シ)(ス)の点で相違がある。 [一致点] (サ)文書の収集物の概要のイメージを受信する工程と、 該イメージに表す少なくとも1つの動作を識別する工程と、 少なくとも1つの文書を識別する工程と、 該少なくとも1つの動作を該少なくとも1つの文書に対して実行する工程とを 含む処理を含むことを特徴とする文書管理方法。 [相違点] (シ)本願第1発明が「文書管理方法」であるのに対し、引用発明は「画像形成方法」とされている点。 (ス)識別される少なくとも1つの動作が、本願第1発明おいて「印刷、電子メールの送信、ファックスの送信、グループ化、非グループ化、及び削除を含む群のうちの少なくとも1つである」のに対し、引用発明においては「記録」及び「検索」を含む群のうちの少なくとも1つである点。 5.相違点の判断 上記相違点(シ)及び(ス)について総合して検討する。 引用発明は、「記録」及び「検索」を含む群のうちの少なくとも1つを選択して対応する動作を実行するものである。そして、「記録」とは、読み込まれる原稿をチェックされたインデックス画像と対応づけて記録媒体に記憶する動作を実行することであり、「検索」とは、チェックされたインデックス画像に対応する、記録媒体に記憶されている文書画像について印刷を実行することである。 ここで、後者は画像を印刷することであるから「画像形成」であるが、前者は「画像形成」に関連するが画像を管理する動作である。 一方、本願第1発明は、少なくとも1つの動作が、「印刷」、「電子メールの送信」、「ファックスの送信」、「グループ化」、「非グループ化」、「削除」であが、ここで、「グループ化」、「非グループ化」、「削除」は「文書管理」の動作であって、「印刷」は「画像形成」の動作である。 してみれば、本願第1発明における「文書管理方法」と引用発明における「画像形成方法」は文言として相違するものの、両発明とも「文書管理」と「画像形成」の双方を含む動作を実行する方法であって、両者は等価である。 そして、印刷機能とともに、ファックス機能や電子メール機能を行う複合機は周知のものであるから、画像形成機能の動作の選択肢として、「ファックスの送信」、「電子メールの送信」を加えることは、設計的事項にすぎないことである。 また、「記録」に加えて、「削除」という選択肢を設けるこは当業者が適宜なし得ることである。 さらに、大量の文書や画像を扱う場合において、その扱いを容易にするために、各文書を、「グループ化」あるいは「非グループ化」することは普通になされていることであるから、「記録」に加えて「グループ化」、「非グループ化」の選択肢を加えることは、格別の技術的困難性を伴うことではなく、当業者であれば容易に想到する事項にすぎない。 したがって、本願第1発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 上記したように、本願請求項1に係る発明は、本願第1発明と本願第2発明という2つの発明の何れかの処理を含むものであり、その一方である上記本願第1発明が、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 また、請求項7に係る発明は、請求項1に係る「方法」の発明を「装置」という「もの」のカテゴリーとしたものであるから、請求項1に係る発明と同様に判断される。 したがって、残る請求項2から請求項6に係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 7.付記 審判請求人は、審尋に対する平成23年4月11日付け回答書において、手続補正書の提出を希望し、特許請求補の範囲の補正案を示している。 しかしながら、当該補正案の請求項に示される内容は、願書に最初に添付された明細書に第2の実施例として記載されている内容であり、この内容のものが拒絶理由で提示した上記刊行物1に記載の発明に対して進歩性を有するものではあるが、これは平成21年6月4日付けの最初の拒絶理由に対して提出された平成21年8月10日付け手続補正書により補正された何れの請求項をも限定的に補正するものではない。 また、チェックによって文書と処理を選択する工程を有する方法と、スティッカを用いて文書と処理を選択する工程を有する方法との関係が不明であるという記載不備は、当該最初の拒絶理由に応答して提出された平成21年8月10日付け手続補正書による補正により生じたものであり、当該記載不備については、平成22年8月3日付けで最後の拒絶理由通知(最後)が通知され、当該記載不備は平成22年10月12日付け手続補正により解消されているものであるから、提示された補正案は明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 してみれば、当該補正案の内容でする補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるから、当該補正案の内容でする補正は特許法第17条の2第4項の規定を満たすものではないから、当該補正案を採用する補正について、これを認めることはできない。 |
審理終結日 | 2011-09-14 |
結審通知日 | 2011-09-20 |
審決日 | 2011-10-03 |
出願番号 | 特願2005-104576(P2005-104576) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 國分 直樹 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 吉村 博之 |
発明の名称 | 文書管理方法 |
代理人 | 伊東 忠彦 |