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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1250819
審判番号 不服2009-3250  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-12 
確定日 2012-01-16 
事件の表示 特願2003-539345「画像アーチファクトの識別およびカウンティング」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 1日国際公開、WO03/36986、平成17年 3月17日国内公表、特表2005-507591〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本願は、2002年10月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年10月26日、米国)の国際出願であって、平成20年5月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成20年8月11日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成20年11月10日付け(発送日同年11月14日)で拒絶査定がなされたものである
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成21年2月12日付けで請求された拒絶査定不服審判である。

2 査定の概要、請求の理由の抜粋
(1)査定の概要
「理由1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1の「全体の画像における個別の画素に存在するアーチファクトのアーチファクト値を検出して」とは、「アーチファクト値」なるものの意味が不明であり、どのようにして、「アーチファクト値を検出」することができるのかも不明である。
(2)請求項1の「前記アーチファクト値をカウントし、」とは、意味が不明である。通常、「カウント」とは、ディスクリートなものの個数を1個、2個、、と数えることを意味するが、「アーチファクト値」とは、(1)で述べたようにその意味は不明であるものの、一応は、何らかの数量であると考えられるので、個数ではなく数量をカウントするとは意味が不明である。
(3)請求項1の「水平方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第1のループは、水平方向で検出された先の水平グリッドのカウントされた前記アーチファクト値の余りの値の長さまで前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが次の水平グリッドにまで増大されると共に、」とは、「余り」とは、何を何で割った余りであるのかが不明である。また、「先の水平グリッド」、及び、「次の水平グリッド」とは、それぞれ何を意味するのかが不明であり、「水平方向で検出された先の水平グリッドのカウントされた前記アーチファクト値の余りの値の長さまで前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが次の水平グリッドにまで増大される」とは、どのような操作を意味するのか不明である。
(4)請求項1の「垂直方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第2のループは、垂直方向で検出された垂直グリッドの前記アーチファクト値の商の値を使用して、前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが所定の個数まで増大される」とは、「商」とは、何を何で割った商であるのかが不明である。また、「垂直方向で検出された垂直グリッドの前記アーチファクト値の商の値を使用して、前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが所定の個数まで増大される」とは、商の値がどのようであれば、エントリが何個まで増大されるのかも不明である。

(請求項2?10については省略)

理由2.この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

下記の(1)-(2)、(4)、(6)-(8)、(10)-(11)の点が依然として不明である。
従って、この出願の発明の詳細な説明が、当業者が請求項1-10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないことには変わりがない。


段落【0012】-【0027】に記載された実施例は、アーチファクトをカウントする方法に関するものであるが、該実施例において、何を入力として、どのような内部変数を用いてどのような操作を行うことにより、何を出力とするのかが不明である。以下、特に不明な点を例示する。

(1)段落【0013】の、「アーチファクトカウントテーブル」とは、どのような構造を有するテーブルであるのかが不明である。また、アーチファクトをカウントする際に、テーブルに書き込まれた値が変化するのみであるのか、テーブルの構造そのものが変化するのかも不明である。
(2)段落【0022】には、「PREVIOUS_GRID_SELECTは、8、10または12である。」と記載されているが、具体的に、どの値であるのかが不明である。また、定数であるのか、変数であるのか、もし、変数であるのならば、どのような場合に変化するのかが不明である。
(4)段落【0014】には、「グリッドサイズは、MMIOレジスタからのグリッドカウント値を使用して決定される。」との記載があるが、「グリッドカウント値」とは何であるのかも不明である。
{(5)段落【0017】の、「カウント値がカウンティングの限界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の限界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」とは、「カウント値」と「エントリ」との関係が不明であり、「カウント値のデクリメント」と、「エントリをインクリメント」することとの関係が不明である。}
(6)段落【0019】の、「カウント値がカウンティングの限界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の限界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」についても、上記(5)と同様である。
(7)段落【0020】の「ソフトウエアアプリケーションからの輪郭値の商および余りを使用することにより、」とは、「輪郭値」とは何であり、「商および余り」とは、何を何で割って得られる「商および余り」であるのかが不明であり、「使用する」とは、どのように使用するのかが不明である。
(8)段落【0020】の「最大カウント累積サイクル時間」、段落【0021】の「上側限界比率の水平カウント記憶サイクル」、及び、段落【0022】の「上側限界比率の垂直カウント記憶サイクル」とは、それぞれ、意味が不明である。
(10)段落【0024】の「先の選択グリッドサイズ」、及び、【数式4】の「previous select grid size」とは、意味が不明である。
(11)段落【0027】の「カウント値をエントリに記憶するための最初の帯域幅は、輪郭値によって決まる。」とは、「最初の帯域幅」とは何であり、「輪郭値によって、どのように帯域幅が決まるのかも不明である。

理由3.この出願の請求項1?10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.国際公開第01/020912号 」

(2)請求の理由の抜粋
「原査定では、理由(1)?(14)の全てが依然として不明瞭であると認定されているが、出願人が平成20年8月11日付け意見書により申し述べたように「引用文献1は、米国特許第7352814として発行された対応米国特許出願の審査過程でも引用されているが、米国の審査官により本願発明の先行技術であるものと認定されている。勿論、米国の特許審査と日本の特許庁における審査官殿の審査は別個の審査であり、米国では特許性を認められたとしても日本での特許性が認められるものではない。しかし、同じ発明に関する同じクレームの記載が米国では許可され、日本では拒絶されてしまうのは、特許制度の国際的な協調の観点からも好ましいものではないと思料する。/出願人は、特許法第36条の記載要件の欠缺に基づく拒絶理由を回避するために、米国及び欧州での許可クレームに対して日本での請求項1には相当の限定を付すように請求項1の記載を補正している。したがって、参考文献1,2の内容をご斟酌の上、対応の米国出願の独立クレーム1よりもかなりの限定を付した本願の請求項1について、再度、ご審査頂き、引用文献1との相違点を踏まえて本願の要旨をご認定頂くようお願いする次第である。」という考え方を維持しており、出願人の立場に変更はない。
平成20年8月11日付け手続補正書で出願人が補正した技術的事項は、既に許可されて米国特許として認められているクレーム1-5,10-14の記載に対応するものであり、日本語としての曖昧さを除去するために表現を幾分変更した点を除いて、略々同じ技術的事項を定義しているものと思料する。一例を挙げれば、「アーチファクト値」が個数であるのか数量であるのかという原査定での疑問も、願書(国内書面)に最初に添付した(以下、出願当初とする)明細書(出願翻訳文)の記載を吟味すれば、「アーチファクト」が画像処理に際して発生する人為的な欠陥であり、本願明細書の全文から得られる「アーチファクト値」とは圧縮等の画像処理の結果発生した「欠陥画素」の個数であることが推測される。しかし、出願当初の明細書には「アーチファクト値」の明確な定義がなされていないため、この用語について審査を受けている過程で補正により請求項に導入することはできない。また、本願発明がMPEG2の画像圧縮技術に関するものであることをご理解頂ければ、例えば、出願当初明細書の段落[0005]に記載されているように、「ブロッキング・アーチファクトは、一般に、圧縮が解凍された解読画像においては、見せかけの矩形の不連続部分として絶えず出現する」ものであり、このようなブロッキング・アーチファクトは例えば「8×8DCTブロック」のようなブロック単位での画像から検出されるものである。したがって、これらの用語を用いて補正により「アーチファクト値」を請求項に定義することも検討したが、明細書の記載を参酌すれば、当該技術分野における通常の知識を有する者(以下、当業者とする)が「アーチファクト値」の技術的意味を認識することは可能であるものと思料するので、敢えて出願時に記載されていなかった定義を追加することを控えた。同様に、原査定を受けた請求項1-10の記載は、当業者には十分に理解できるものであると思料する。」(請求の理由【本願特許が特許されるべき理由】(2))
(審決注:参考文献1,2は平成20年8月11日付け意見書に添付されたもの。
参考文献1:米国特許第7,352,814号明細書
参考文献2:米国審査官の認定内容)

第2 当審の判断
1 特許法第36条第6項第2号:明確性要件
(1)本願の特許請求の範囲の記載
平成21年5月11日付けの手続補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、その請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
それぞれ所定の個数の水平グリッドおよび垂直グリッドからなるアーチファクトカウントテーブルを有する画像信号処理回路において、全体の画像における個別の画素に存在するアーチファクトのアーチファクト値を検出して前記アーチファクトカウントテーブルを用いてカウントする方法であって、
前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記水平グリッドのアーチファクト値のエントリには第1のループを使用すると共に前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記垂直グリッドのアーチファクト値のエントリには第2のループを使用して前記アーチファクト値をカウントし、
水平方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第1のループは、水平方向で検出された先の水平グリッドのカウントされた前記アーチファクト値の余りの値の長さまで前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが次の水平グリッドにまで増大されると共に、
垂直方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第2のループは、垂直方向で検出された垂直グリッドの前記アーチファクト値の商の値を使用して、前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが所定の個数まで増大されることを特徴とする画像アーチファクトの識別およびカウント方法。」

(2)分説
上記請求項1を分説すると次のとおりである。
以下分説した構成を、それぞれ記号を用いて、「構成要件A」等という。

A それぞれ所定の個数の水平グリッドおよび垂直グリッドからなるアーチファクトカウントテーブルを有する画像信号処理回路において、全体の画像における個別の画素に存在するアーチファクトのアーチファクト値を検出して前記アーチファクトカウントテーブルを用いてカウントする方法であって、

B 前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記水平グリッドのアーチファクト値のエントリには第1のループを使用すると共に前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記垂直グリッドのアーチファクト値のエントリには第2のループを使用して前記アーチファクト値をカウントし、

C 水平方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第1のループは、水平方向で検出された先の水平グリッドのカウントされた前記アーチファクト値の余りの値の長さまで前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが次の水平グリッドにまで増大されると共に、

D 垂直方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第2のループは、垂直方向で検出された垂直グリッドの前記アーチファクト値の商の値を使用して、前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが所定の個数まで増大される

E ことを特徴とする画像アーチファクトの識別およびカウント方法。

(3)判断
ア 構成要件A
「アーチファクト値」は、「アーチファクト」に関する値であることは理解できるが、「アーチファクト値」が一般的な技術用語ではなく、発明の詳細な説明において定義されていないから、どのような値を意味しているのか明りょうでない。
また、「アーチファクト値を検出して」は、どのようにアーチファクト値を検出するのか明りょうでない。

イ 構成要件B
「アーチファクト値のエントリ」が、どのようなものか明りょうでない。
「前記アーチファクト値をカウントし」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。
「前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記水平グリッドのアーチファクト値のエントリには第1のループを使用する」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。「第1のループ」に関しては、構成要件Cにおいても記載されているが、後記ウのように構成要件Cもどのようなことを意味しているのか明りょうでなく、構成要件Cをみても、構成要件Bは明りょうでない。
「前記アーチファクトカウントテーブルにおける前記垂直グリッドのアーチファクト値のエントリには第2のループを使用して」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。「第2のループ」に関しては、構成要件Dにおいても記載されているが、後記エのように構成要件Dもどのようなことを意味しているのか明りょうでなく、構成要件Dをみても、構成要件Bは明りょうでない。
発明の詳細な説明及び図面を参酌しても、構成要件Bが明確であるとは認められない。

ウ 構成要件C
「水平方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第1のループは、水平方向で検出された先の水平グリッドのカウントされた前記アーチファクト値の余りの値の長さまで前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが次の水平グリッドにまで増大される」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。
上記ア、イで指摘した用語が明りょうでないうえ、さらに、「前記アーチファクト値の余りの値」がどのような値か明りょうでない。
発明の詳細な説明及び図面を参酌しても、構成要件Cが明確であるとは認められない。

エ 構成要件D
「垂直方向に前記アーチファクト値をカウントする前記第2のループは、垂直方向で検出された垂直グリッドの前記アーチファクト値の商の値を使用して、前記アーチファクトカウントテーブルのエントリが所定の個数まで増大される」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。
上記ア、イで指摘した用語が明りょうでないうえ、さらに、「前記アーチファクト値の商の値」がどのような値か明りょうでない。
発明の詳細な説明及び図面を参酌しても、構成要件Dが明確であるとは認められない。

オ 請求人の主張について
請求人は、請求の理由において、「願書(国内書面)に最初に添付した(以下、出願当初とする)明細書(出願翻訳文)の記載を吟味すれば、「アーチファクト」が画像処理に際して発生する人為的な欠陥であり、本願明細書の全文から得られる「アーチファクト値」とは圧縮等の画像処理の結果発生した「欠陥画素」の個数であることが推測される。」と主張している。
「アーチファクト」は、技術用語として理解できるが、「アーチファクト値」が明りょうでないことは、上記アのとおりであり、圧縮等の画像処理の結果発生した「欠陥画素」の個数であるとは認められない。仮に、「アーチファクト値」が圧縮等の画像処理の結果発生した「欠陥画素」の個数であるとしても、上記イ?エのとおり、構成要件B?Dは明確でない。
請求の理由をみても、請求項1に係る発明が明確であるとは認められない。

カ まとめ
以上のとおり、上記請求項1の記載には、明りょうでない点があるため、請求項1に係る発明は明確でない。
よって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえない。
したがって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしてない。

2 特許法第36条第4項第1項:実施可能要件
段落【0012】-【0027】に記載された実施形態は、アーチファクトをカウントする方法に関するものであるが、該実施形態において、どのようにアーチファクトをカウントするのか明りょうでなく、当業者が本願の発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていたものであるとは認められない。
詳細は以下のとおりである。

ア 段落【0013】
「第1のループは、テーブルにわたって走査されるとともに、ソフトウエアアプリケーションからの輪郭の商および余りの値を使用して、余りの値の最大長までカウンタテーブルのエントリを増やす。第2のループは、輪郭の商の値よりも1少なくなるように且つテーブルの横列または縦列の最後がループされるまで、テーブルによりアーチファクトエントリを増やしている。」
の記載が明りょうでない。
「輪郭の商および余りの値」がどのような値を意味しているのか明りょうでない。また、「輪郭の商および余りの値を使用して、余りの値の最大長までカウンタテーブルのエントリを増やす。」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。

イ 段落【0014】
「新たなグリッドサイズに関する計算を行なうため、グリッドサイズは、MMIOレジスタからのグリッドカウント値を使用して決定される。」の記載がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。
「グリッドサイズ」、「グリッドカウント値」が何であるか明りょうでない。また、「MMIOレジスタ」は、どのようなレジスタか明りょうでない。

ウ 段落【0017】
「水平アーチファクトの長さが割り当てられると、カウンティングの境界(boundary?境界または限界、以下、「限界」と記載した場合でも“boundary[境界]”を意味するものとする)が[PREVIOUS_GRID_SELECT,contour_H]から決定される。カウント値がカウンティングの境界から外れている場合(例えば、テーブルにおける設定範囲よりも大きい場合または小さい場合)には、アーチファクトカウントテーブル内の水平方向のエントリはインクリメントされない。カウント値がカウンティングの境界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の境界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」
の記載が、どのようなインクリメントの動作をするのか明りょうでない。
「カウント値がカウンティングの境界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の境界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。「カウント値」は何をカウントしたものなのか明りょうでない。「カウント値のデクリメントが下側の境界に達するまで」が明りょうでない。

エ 段落【0019】
「垂直アーチファクトの長さが設定されると、カウンティングの限界が[8, contour_V]から決定される。カウント値がカウンティングの限界から外れている場合には、アーチファクトカウントテーブルはその垂直なエントリをインクリメントしない。カウント値がカウンティングの限界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の限界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」
の記載が、どのようなインクリメントの動作をするのか明りょうでない。
「カウント値がカウンティングの限界の範囲内にある場合には、アーチファクトカウントテーブルは、カウント値のデクリメントが下側の限界に達するまで、そのエントリをインクリメントする。」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。「カウント値」は何をカウントしたものなのか明りょうでない。「カウント値のデクリメントが下側の限界に達するまで」が明りょうでない。

オ 段落【0020】
「最大カウント累積サイクル時間」は、どのような時間か明りょうでない。
「ソフトウエアアプリケーションからの輪郭値の商および余りを使用することにより、」が明りょうでない。「輪郭値」がどのような値を意味しているのか明りょうでない。「輪郭値の商および余りを使用する」とは、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。
「アーチファクト識別およびアーチファクトカウンティングは、水平カウンティングに関しては、従来の[contour_H_R,contour_H_Q*PREVIOUS_GRID_SELECT+ contour_H_R]から[contour_H_R, PREVIOUS_GRID_SELECT]へと減少されるとともに、垂直カウンティングに関しては、従来のアプリケーションにおいては、[contour_V_R, contour_V_Q*8+ contour_V_R]から[contour_V_R,8]へと減少される(この場合、垂直グリッドサイズは8が使用される)。」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。[ ](大括弧)にどのような意味があるのか明りょうでなく、従来から何が減少したのか明りょうでない。

カ 段落【0021】
「上側限界比率の水平カウント記憶サイクル」が明りょうでない。「上側限界比率」がどのような比率であり、「上側限界比率の水平カウント記憶サイクル」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。

キ 段落【0022】
「上側限界比率の垂直カウント記憶サイクル時間」が明りょうでない。「上側限界比率」がどのような比率であり、「上側限界比率の垂直カウント記憶サイクル時間」がどのようなことを意味しているのか明りょうでない。

ク 段落【0021】?【0026】及び図2、3
段落【0021】?【0026】の記載は、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。
「図2は、水平方向におけるテーブルサイズの例を示している」(段落【0023】)ものであるが、図2がどのように使われるものか明りょうでない。
「図3は、垂直アーチファクト記憶のためのグリッド部分310を有するテーブルサイズ(8)の例を示している」(段落【0025】)ものであるが、図3がどのように使われるものか明りょうでない。

ケ 段落【0027】
「カウント値をエントリに記憶するための最初の帯域幅は、輪郭値によって決まる。」が、どのようなことを意味しているのか明りょうでない。「最初の帯域幅」はどのような帯域幅か明りょうでなく、「輪郭値によって」最初の輪郭幅が「決まる」とは、どのようなこと意味しているのか明りょうでない。

コ 請求人の主張について
請求人は、請求の理由の【むすび】において、「平成20年8月11日付けの手続補正書により補正した請求項1ないし請求項10に記載された発明は、当業者であれば理解可能な技術的事項を定義したものであり、明細書の記載も当業者に理解可能な程度に記載されているものであるので、特許法第36条第6項第2号に記載する要件と、特許法第36条第4項に規定する要
件を充分に備えているものと思料する。」と主張するだけであり、「明細書の記載も当業者に理解可能な程度に記載されている」具体的な主張をしていない。
そして、発明の詳細な説明の記載が明りょうでないことは、上記ア?ケのとおりであり、請求人の主張をみても、発明の詳細な説明の記載が明りょうであるとは認められない。

シ まとめ
以上のとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は明りょうでなく、当業者が本願の発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとは認められない。
したがって、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしてない。

第3 むすび
したがって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件及び同条第4項第1号に規定する要件を満たしてない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-24 
結審通知日 2011-08-26 
審決日 2011-09-06 
出願番号 特願2003-539345(P2003-539345)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (H04N)
P 1 8・ 537- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢野 光治  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 梅本 達雄
小池 正彦
発明の名称 画像アーチファクトの識別およびカウンティング  
代理人 橘谷 英俊  
代理人 吉武 賢次  
代理人 関根 毅  

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