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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  H04N
審判 全部無効 2項進歩性  H04N
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1253766
審判番号 無効2008-800052  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-03-24 
確定日 2010-07-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 本件特許第3600149号「テレビジョン番組リストのユーザーインタフェース」に係る上記当事者間の特許無効審判事件について特許庁がした「特許第3600149号の訂正後の請求項1ないし29に係る発明についての特許を無効とする。」旨の審決(平成21年6月5日付け)を不服として、被請求人が同審決の取り消しを求めて知的財産高等裁判所に提起した訴えについて、同裁判所において、「特許庁が無効2008-800052号事件について平成21年6月5日にした審決を取り消す。」旨の決定(平成21年(行ケ)第10316号、平成21年12月1日)があったので、さらに審理をした結果、次のとおり改めて審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3600149号の訂正後の請求項1および請求項2に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その63分の4を請求人の負担とし、63分の59を被請求人の負担とする。 
理由 【第1】経緯等

[1]本件特許
本件特許第3600149号は、平成3年9月10日(パリ条約による優先権主張:平成2年9月10日、米国)を国際出願日とする出願である特願平3-516691号(以下、「原出願」ともいう。)の一部を、拒絶査定不服審判請求の日から明細書について補正ができる期間内である平成12年10月20日に新たな特許出願(特願2000-321391号)として出願され、
平成15年9月24日の手続補正を経て、平成16年9月24日に設定登録されたものであり、登録時の請求項の数は34である。

平成12年10月20日 本件(分割)出願
(特願2000-321391号、
原出願:特願平3-516691号(平成3年9月10日出願、
優先権主張 平成2年9月10日)
平成15年 9月24日手続補正
平成16年 9月24日 設定登録(請求項の数34)

[2]本件無効審判の手続きの経緯

〈第1次審決まで〉
本件無効審判は、本件特許第3600149号に対し、請求人より、「本件特許請求の範囲の請求項1ないし請求項34に係る特許は、特許法第123条第1項の規定に該当し無効とすべきものである。審判費用は被請求人の負担とする。」ことを趣旨として、平成20年3月24日付けでなされた無効審判の請求であり、
本件無効審判の手続きにおいて、被請求人は、平成20年7月22日付けで答弁書および訂正請求書(この請求書による訂正を、以下「第1訂正」といい、この「第1訂正」後の明細書を「訂正明細書1」という。)を提出した。
平成21年6月5日、「訂正を認める。特許第3600149号の訂正後の請求項1ないし29に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下、「第1次審決」という)がなされた。
この間の手続の概要は以下のとおりである。

平成20年 3月24日 本件無効審判請求(請求人)
平成20年 7月22日 答弁書(被請求人)提出
平成20年 7月22日 訂正請求書(被請求人、「第1訂正」)提出
平成20年10月14日 口頭審理陳述要領書(請求人)提出
平成20年10月14日 上申書(1)(請求人)提出
平成20年10月30日 口頭審理陳述要領書(被請求人)提出
平成20年10月30日 上申書(2)(請求人)提出
平成20年10月30日 口頭審理
平成20年11月21日 上申書(被請求人)提出
平成21年 5月15日 上申書(3)(請求人)提出
平成21年 6月 5日 第1次審決

〈審決取り消し訴訟〉
被請求人は、第1次審決の取消しを求めて、審決取り消し訴訟(知的財産高等裁判所平成21年行(ケ)第10316号事件)を提起し、その後、被請求人は、本件特許につき訂正審判(訂正2009-390130号)を請求したところ、知的財産高等裁判所において、平成21年12月1日、「特許庁が無効2008-800052号事件について平成21年6月5日にした審決を取り消す。」旨の決定(平成21年(行ケ)第10316号)がなされた。

平成21年10月 9日 知的財産高等裁判所出訴(被請求人)
(平成21年行(ケ)第10316号)。
平成21年10月26日 訂正審判請求(被請求人)、
(訂正2009-390130号)
平成21年12月 1日 知的財産高等裁判所決定(審決を取り消す。)
(平成21年行(ケ)第10316号)

〈本件無効審判手続の再開、訂正請求、弁駁書〉
上記決定が効力を生じたことにより本件無効審判が再開され、平成21年12月28日、訂正請求(被請求人が請求した上記訂正審判請求書に添付された訂正明細書を援用するもの)がなされた。
以下、この訂正請求を「(本件)第2訂正請求」といい、これによる訂正を「(本件)第2訂正」といい、(第2訂正後の)上記訂正明細書を「訂正明細書2」ということとする。
そして、この第2訂正請求に対して請求人から弁駁書が提出された。

平成21年12月28日 訂正請求(第2訂正)(特許法第134条の3
第5項に基づく)
平成21年12月28日 訂正審判(訂正2009-390130号)
の取り下げ(特許法第134条の3第4項
基づく)
平成22年 2月15日 弁駁書(請求人)
平成22年 5月18日 上申書(4)(請求人)

[3]第1訂正の形式的確定、第2訂正について

上記第1訂正の訂正事項は、次のとおりである。
[訂正事項](第1訂正)
登録時の請求項21,22,28,33,34を削除する。
上記削除に伴い、請求項番号を1から順の番号に整合するため、登録時の請求項23?27、29?32の項番号を、それぞれ、21?25、26?29に繰り上げる。

そして、上記のとおり、平成21年6月5日、「訂正を認める。特許第3600149号の訂正後の請求項1ないし29に係る発明についての特許を無効とする。」との第1次審決がなされたところ、
この第1次審決中、「訂正を認める。」とした部分、すなわち上記[訂正事項]については、当該無効審判(無効2008-800052号)の請求人・被請求人とも取消訴訟を提起する原告適格を有しないというべきであるから,同第1次審決の送達(請求人、被請求人への送達日平成20年6月15日)により,上記[訂正事項]は,形式的に確定している(知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10099号事件・平成19年7月23日決定,知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10455号事件・平成20年2月12日判決,知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10380号事件・平成20年11月27日判決参照)。

したがって、再開した本件審判手続でなされた平成21年12月28日の訂正請求(第2訂正)前に、登録時の請求項1?34のうち請求項21,22,28,33,34を削除することをその実質内容とする上記「第1訂正1」は形式的に確定していることとなるから、
第2訂正請求は、確定した「第1訂正1」後の明細書(訂正明細書1)に対するものとなる。

平成21年 6月 5日 審決(「訂正を認める。
特許第3600149号の訂正後の請求項1ないし29に
係る発明についての特許を無効とする。」)
平成21年 6月15日 請求人、被請求人への上記審決の送達
平成21年12月28日 訂正請求(第2訂正)(特許法第134条の3
第5項に基づく)

【第2】特許請求の範囲の記載(登録時、登録時(分説)、第1訂正後)

[1]登録時の特許請求の範囲の記載

登録時における本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1?34の各記載は,次のとおりである。

「【請求項1】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
時間とチャンネルのグリッドガイド形式で前記の複数のテレビジョン番組リストのチャンネルの中の幾つかをモニタースクリーン上に表示するステップ、
このモニタースクリーン上でカーソルを移動してグリッドガイド形式で表示されたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目印を付けたチャンネルを表示するステップ
を備え、前記の単一チャンネル形式はその目印を付けたチャンネルに対応するチャンネルのテレビジョン番組リストを順次配列した行を含んでいることを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項2】
スクリーン上でカーソルを移動して前記の単一チャンネル形式内の別の表示タイトルに目印を付ける請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の記憶するステップが前記の複数のテレビジョン番組リストに関連する番組ノートを追加して記憶し、前記のグリッドガイド形式で表示するステップが前記のテレビジョン番組リストと同時に、当該目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノートを表示する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
放送時間についてテレビジョン番組リストのタイトルとチャンネルとを第1形式でモニタースクリーン上に表示するステップ、
このモニタースクリーン上でカーソルを移動して第1形式で表示されたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
第1形式の代わりに第2形式でその目印を付けたチャンネルを含む番組リストのタイトルと時間とを表示するステップ
を備えていることを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項5】
前記の記憶するステップが番組リストに対応する番組ノートを追加して記憶し、そして前記の第2形式で表示するステップが番組ノートをテレビジョン番組リストと同時に表示する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト、
このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイド、
このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル、そして
時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段
を備えていることを特徴とする電子番組ガイド。
【請求項7】
テレビジョン番組リストが更に番組ノートを含み、そして当該目立たさせたチャンネルの番組ノートが電子番組ガイド内の番組リストと同時に表示される請求項6に記載の電子番組ガイド。
【請求項8】
テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶したテレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生
するようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。
【請求項9】
チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示するステップ、そして
前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列するステップ
を備えることを特徴とするテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項10】
前記の配列するステップが、設定された順序でチャンネルリスト内で複数のチャンネルの各々を時間にわたって表示するステップと、表示される複数のチャンネルに対するチャンネルリスト内の優先順位を選択するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
チャンネルリスト内で複数のチャンネルの各々を表示するステップが、そのチャンネルリスト内のチャンネル毎にチャンネルラベルを表示することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶する手段、
時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示する手段、そして
前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する手段
を備えることを特徴とする電子プログラムガイド。
【請求項13】
前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段を更に含む請求項12に記載の電子番組ガイド。
【請求項14】
前記の配列するための手段が、複数のチャンネルの中で順位を変えようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせるためにガイド上に表示された移動可能なカーソルを含み、その目立たさせたチャンネルがチャンネルリスト内で第1の位置から第2の位置に移動するようにした請求項13に記載の電子番組ガイド。
【請求項15】
前記の配列するための手段が、設定された順序で時間にわたってチャンネルリスト内の複数のチャンネルの各々を表示するための手段と、表示されている複数のチャンネルの各々に対するチャンネルリスト内の優先順位を選択するための手段を備える請求項13に記載の電子番組ガイド。
【請求項16】
複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファイルをメモリに記憶するステップ、
メモリに記憶されている複数のテレビジョン番組リストをディスプレイモニターに表示するステップ、
記録するためビデオ記録媒体をVCRまたはその他の記録装置内に装填するステップ、
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択するステップ、そして
記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組をVCRまたはその他の記録装置に記録するするために前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストのデータを前記のデータファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送するステップ
を備えることを特徴とするVCRまたはその他の記録装置を使用して、ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録する方法。
【請求項17】
ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するスッテプ、そして
記録のために選択されたテレビジョン番組リストに対応するタイトルをデータファイルから前記のディレクトリに加えるステップ
を含み、前記のディレクトリは番組タイトルと記録位置を含んでいる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定するステップ、そして記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加えるステップを更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、ビデオ番組を搬送するテレビジョン信号のVBIからデータファイルをダウンロードすることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、RAMの一つのセクションにデータファイルを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するステップが、RAMの別のセクションにディレクトリを記憶することを含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するスッテプが、RAMの別のセクションに別のビデオ記録媒体のディレクトリを記憶することを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項24】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択するステップが、表示モニター上に移動可能なカーソルを提供し、そしてカーソルをモニター上で移動して、表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択する請求項16に記載の方法。
【請求項26】
複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファイルが記憶される電子メモリ、
この電子メモリに記憶された複数のテレビジョン番組リストを表示するディスプレイモニター、
番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ、
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択する手段、
記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置の記録スタックに転送し、VCRまたはその他の記録装置が前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組を記録する手段
を備え、前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータファイルからのタイトルが前記のディレクトリに加えられることを特徴としたVCRまたはその他の記録装置を使用して、ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録し、そしてインデックスを付けるシステム。
【請求項27】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定する手段を含み、記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリに加えられる請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
ビデオ番組を搬送するテレビジョン信号のVBIからデータファイルをダウンロードする手段を更に含む請求項23に記載のシステム。
【請求項29】
表示された番組リストの一つを選択する手段が、ディスプレイモニター上に与えられた移動可能なカーソルを備える請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
タイトル、チャンネルそして開始時間をテレビジョン番組リスト毎に含んでいる複数のテレビジョン番組リストのデータファィルを記憶しているRAMから前記の複数のテレビジョン番組リストを取り出してディスプレイモニターに表示する信号を発生し、
この表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するためその一つのテレビジョン番組リストを特定する信号を発生し、そして
この記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送するための信号を発生するよう
プログラムされ、前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組を記録させるようにすることを特徴としたマイクロプロセッサ。
【請求項31】
ビデオ記録媒体に記録される番組のディレクトリを生成する信号と、記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータファイルからのタイトルを前記のディレクトリに加えるための信号とを発生するように追加的にプログラムされており、前記のディレクトリが番組タイトルと記録位置とを含む請求項30に記載のマイクロプロセッサ。
【請求項32】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定する信号を発生し、そして記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリに加える信号を発生するよう追加的にプログラムされている請求項31に記載のマイクロプロセッサ。
【請求項33】
受信したテレビジョン信号から番組内容のテーマカテゴリーとそれに関連する詳細を含む番組情報を取り出す手段と、
この番組情報をデータベースとしてメモリに記憶する手段と、
テレビジョンモニター上に前記のデータベースからテーマカテゴリーを第1分類として取り出し表示する手段と、
第1分類のテーマカテゴリーに関連する第2分類としての属性を示すトピックスを前記のデータベースから取り出し表示する手段と
を備えたことを特徴とするテレビジョン信号が含む番組ガイド情報をテレビジョンモニターに表示する電子番組ガイド。
【請求項34】
前記のトピックス内容に関連した更なる属性、視聴資格などを示す第3分類を備える請求項33に記載の電子番組ガイド。」

[2]登録時の特許請求の範囲の記載(構成要件分説)

登録時における本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1?34の各記載を、構成要件を分説するための記号(「1A」等)を付して示しておく。請求人、被請求共に、この分説にしたがって、主張している。

【請求項1】
1A タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
1B 時間とチャンネルのグリッドガイド形式で前記の複数のテレビジョ ン番組リストのチャンネルの中の幾つかをモニタースクリーン上に 表示するステップ、
1C このモニタースクリーン上でカーソルを移動してグリッドガイド形 式で表示されたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
1D グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目印を付 けたチャンネルを表示するステップを備え、
1E 前記の単一チャンネル形式はその目印を付けたチャンネルに対応す るチャンネルのテレビジョン番組リストを順次配列した行を含んで いる
1F ことを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧す る方法。

【請求項2】
2A スクリーン上でカーソルを移動して前記の単一チャンネル形式内の 別の表示タイトルに目印を付ける請求項1に記載の方法。

【請求項3】
3A 前記の記憶するステップが前記の複数のテレビジョン番組リストに 関連する番組ノートを追加して記憶し、
3B 前記のグリッドガイド形式で表示するステップが前記のテレビジョ ン番組リストと同時に、当該目印を付けられたチャンネルに対応す る番組ノートを表示する請求項1に記載の方法。

【請求項4】
4A タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
4B 放送時間についてテレビジョン番組リストのタイトルとチャンネル とを第1形式でモニタースクリーン上に表示するステップ、
4C このモニタースクリーン上でカーソルを移動して第1形式で表示さ れたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
4D 第1形式の代わりに第2形式でその目印を付けたチャンネルを含む 番組リストのタイトルと時間とを表示するステップ
4E を備えていることを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベ ースを閲覧する方法。

【請求項5】
5A 前記の記憶するステップが番組リストに対応する番組ノートを追加 して記憶し、
5B そして前記の第2形式で表示するステップが番組ノートをテレビジ ョン番組リストと同時に表示する請求項4に記載の方法。

【請求項6】
6A タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 のテレビジョン番組リスト、
6B このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャン ネルのグリッドガイド、
6C このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを 選択して目立たさせる可動カーソル、そして
6D 時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン 番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段を備 えている
6E ことを特徴とする電子番組ガイド。

【請求項7】
7A テレビジョン番組リストが更に番組ノートを含み、
7B そして当該目立たさせたチャンネルの番組ノートが電子番組ガイド 内の番組リストと同時に表示される請求項6に記載の電子番組ガイ ド。

【請求項8】
8A テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャ ンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶した テレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
8B その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号 を発生し、そして
8C グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たさ れたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生する
8D ようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。

【請求項9】
9A チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに 対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
9B 時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾 つかをモニタースクリーンに表示するステップ、そして
9C 前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一 致する好ましい順序に配列するステップ
9D を備えることを特徴とするテレビジョン番組リストのデータベース を閲覧する方法。

【請求項10】
10A 前記の配列するステップが、設定された順序でチャンネルリスト内 で複数のチャンネルの各々を時間にわたって表示するステップと、
10B 表示される複数のチャンネルに対するチャンネルリスト内の優先順 位を選択するステップを備える請求項9に記載の方法。

【請求項11】
11A チャンネルリスト内で複数のチャンネルの各々を表示するステップ が、そのチャンネルリスト内のチャンネル毎にチャンネルラベルを 表示することを含む請求項10に記載の方法。

【請求項12】
12A チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに 対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶する手段、
12B 時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾 つかをモニタースクリーンに表示する手段、そして
12C 前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一 致する好ましい順序に配列する手段
12D を備えることを特徴とする電子プログラムガイド。

【請求項13】
13A 前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順 位に配列するための手段を更に含む請求項12に記載の電子番組ガ イド。

【請求項14】
14A 前記の配列するための手段が、複数のチャンネルの中で順位を変え ようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせるためにガイド 上に表示された移動可能なカーソルを含み、
14B その目立たさせたチャンネルがチャンネルリスト内で第1の位置か ら第2の位置に移動するようにした請求項13に記載の電子番組ガ イド。

【請求項15】
15A 前記の配列するための手段が、設定された順序で時間にわたってチ ャンネルリスト内の複数のチャンネルの各々を表示するための手段 と、
15B 表示されている複数のチャンネルの各々に対するチャンネルリスト 内の優先順位を選択するための手段を備える請求項13に記載の電 子番組ガイド。

【請求項16】
16A 複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト 毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファ イルをメモリに記憶するステップ、
16B メモリに記憶されている複数のテレビジョン番組リストをディスプ レイモニターに表示するステップ、
16C 記録するためビデオ記録媒体をVCRまたはその他の記録装置内に 装填するステップ、
16D 表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するた めに選択するステップ、そして
16E 記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番 組をVCRまたはその他の記録装置に記録するするために前記の記 録するために選択されたテレビジョン番組リストのデータを前記の データファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送するステ ップ
16F を備えることを特徴とするVCRまたはその他の記録装置を使用し て、ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録する方法。

【請求項17】
17A ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するスッテ プ、
17B そして記録のために選択されたテレビジョン番組リストに対応する タイトルをデータファイルから前記のディレクトリに加えるステッ プ
17C を含み、前記のディレクトリは番組タイトルと記録位置を含んでい る請求項16に記載の方法。

【請求項18】
18A VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測 定するステップ、
18B そして記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始 時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加えるステッ プを更に含む請求項17に記載の方法。

【請求項19】
19A 複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリ に記憶するステップが、ビデオ番組を搬送するテレビジョン信号の VBIからデータファイルをダウンロードすることを含む請求項17 に記載の方法。

【請求項20】
20A 複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリ に記憶するステップが、RAMの一つのセクションにデータファイ ルを記憶することを含む請求項17に記載の方法。


【請求項21】
21A ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するステッ プが、RAMの別のセクションにディレクトリを記憶することを含 む請求項19に記載の方法。

【請求項22】
22A ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するスッテ プが、RAMの別のセクションに別のビデオ記録媒体のディレクト リを記憶することを含む請求項21に記載の方法。

【請求項23】
23A 複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリ に記憶するステップが、一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶す ることを含む請求項17に記載の方法。

【請求項24】
24A 複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリ に記憶するステップが、複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶す ることを含む請求項17に記載の方法。

【請求項25】
25A 表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するた めに選択するステップが、表示モニター上に移動可能なカーソルを 提供し、そしてカーソルをモニター上で移動して、表示されたテレ ビジョン番組リストの一つを選択する請求項16に記載の方法。

【請求項26】
26A 複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト 毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファ イルが記憶される電子メモリ、
26B この電子メモリに記憶された複数のテレビジョン番組リストを表示 するディスプレイモニター、
26C 番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組 ディレクトリ、
26D 表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するた めに選択する手段、
26E 記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデー タをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置の記録スタ ックに転送し、VCRまたはその他の記録装置が前記の記録するた めに選択されたテレビジョン番組リストが示している番組を記録す る手段
26F を備え、前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リスト に対応するデータファイルからのタイトルが前記のディレクトリに 加えられる
26G ことを特徴としたVCRまたはその他の記録装置を使用して、ビデ オ記録媒体にテレビジョン番組を記録し、そしてインデックスを付 けるシステム。

【請求項27】
27A VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測 定する手段を含み、
27B 記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番 組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリ に加えられる請求項26に記載のシステム。

【請求項28】
28A ビデオ番組を搬送するテレビジョン信号のVBIからデータファイ ルをダウンロードする手段を更に含む請求項23に記載のシステ ム。

【請求項29】
29A 表示された番組リストの一つを選択する手段が、ディスプレイモニ ター上に与えられた移動可能なカーソルを備える請求項26に記載 のシステム。

【請求項30】
30A タイトル、チャンネルそして開始時間をテレビジョン番組リスト毎 に含んでいる複数のテレビジョン番組リストのデータファィルを記 憶しているRAMから前記の複数のテレビジョン番組リストを取り 出してディスプレイモニターに表示する信号を発生し、
30B この表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録す るためその一つのテレビジョン番組リストを特定する信号を発生 し、そして
30C この記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応する データをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送 するための信号を発生する
30D ようプログラムされ、
30E 前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示して いる番組を記録させるようにする
30F ことを特徴としたマイクロプロセッサ。

【請求項31】
31A ビデオ記録媒体に記録される番組のディレクトリを生成する信号 と、記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応する データファイルからのタイトルを前記のディレクトリに加えるため の信号とを発生するように追加的にプログラムされており、
31B 前記のディレクトリが番組タイトルと記録位置とを含む請求項30 に記載のマイクロプロセッサ。

【請求項32】
32A VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測 定する信号を発生し、
32B そして記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示して いる番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリ に加える信号を発生する
32C よう追加的にプログラムされている請求項31に記載のマイクロプ ロセッサ。

【請求項33】
33A 受信したテレビジョン信号から番組内容のテーマカテゴリーとそれ に関連する詳細を含む番組情報を取り出す手段と、
33B この番組情報をデータベースとしてメモリに記憶する手段と、
33C テレビジョンモニター上に前記のデータベースからテーマカテゴリ ーを第1分類として取り出し表示する手段と、
33D 第1分類のテーマカテゴリーに関連する第2分類としての属性を示 すトピックスを前記のデータベースから取り出し表示する手段と 33E を備えたことを特徴とするテレビジョン信号が含む番組ガイド情報 をテレビジョンモニターに表示する電子番組ガイド。

【請求項34】
34A 前記のトピックス内容に関連した更なる属性、視聴資格などを示す 第3分類を備える請求項33に記載の電子番組ガイド。

[3]第1訂正後の特許請求の範囲の記載(形式的に確定している。)

第1次審決の送達により、登録時の請求項1?34のうち請求項21,22,28,33,34を削除することをその実質内容とする上記「第1訂正」が、形式的に確定したことは前記のとおりであり、
この「第1訂正」後の明細書(第1訂正請求に添付された訂正明細書)の特許請求の範囲の請求項1?29の各記載は,下記のとおりである。
また、登録時(第1訂正前)と第1訂正後の請求項の項番号の対応は、次のとおりであり、無効を求めた特許に係る請求項(登録時の請求項1ないし34)は、この「第1訂正」により、特許請求の範囲の請求項1ないし29(第1訂正後)となった。

〈登録時と第1訂正後の請求項の対応〉
登録時(第1訂正前) 第1訂正後(訂正明細書1)
請求項1?20 請求項1?20 (変わらず)
請求項23?27 請求項21?25
請求項29?32 請求項26?29

記(第1訂正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
時間とチャンネルのグリッドガイド形式で前記の複数のテレビジョン番組リストのチャンネルの中の幾つかをモニタースクリーン上に表示するステップ、
このモニタースクリーン上でカーソルを移動してグリッドガイド形式で表示されたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目印を付けたチャンネルを表示するステップ
を備え、前記の単一チャンネル形式はその目印を付けたチャンネルに対応するチャンネルのテレビジョン番組リストを順次配列した行を含んでいることを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項2】
スクリーン上でカーソルを移動して前記の単一チャンネル形式内の別の表示タイトルに目印を付ける請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の記憶するステップが前記の複数のテレビジョン番組リストに関連する番組ノートを追加して記憶し、前記のグリッドガイド形式で表示するステップが前記のテレビジョン番組リストと同時に、当該目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノートを表示する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
放送時間についてテレビジョン番組リストのタイトルとチャンネルとを第1形式でモニタースクリーン上に表示するステップ、
このモニタースクリーン上でカーソルを移動して第1形式で表示されたチャンネルの一つに目印を付けるステップ、そして
第1形式の代わりに第2形式でその目印を付けたチャンネルを含む番組リストのタイトルと時間とを表示するステップ
を備えていることを特徴としたテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項5】
前記の記憶するステップが番組リストに対応する番組ノートを追加して記憶し、そして前記の第2形式で表示するステップが番組ノートをテレビジョン番組リストと同時に表示する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト、
このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイド、
このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル、そして
時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段
を備えていることを特徴とする電子番組ガイド。
【請求項7】
テレビジョン番組リストが更に番組ノートを含み、そして当該目立たさせたチャンネルの番組ノートが電子番組ガイド内の番組リストと同時に表示される請求項6に記載の電子番組ガイド。
【請求項8】
テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶したテレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生
するようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。
【請求項9】
チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ、
時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示するステップ、そして
前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列するステップ
を備えることを特徴とするテレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
【請求項10】
前記の配列するステップが、設定された順序でチャンネルリスト内で複数のチャンネルの各々を時間にわたって表示するステップと、表示される複数のチャンネルに対するチャンネルリスト内の優先順位を選択するステップを備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
チャンネルリスト内で複数のチャンネルの各々を表示するステップが、そのチャンネルリスト内のチャンネル毎にチャンネルラベルを表示することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネルに対するテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶する手段、
時間とチャンネルのガイド形式でテレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示する手段、そして
前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する手段
を備えることを特徴とする電子プログラムガイド。
【請求項13】
前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段を更に含む請求項12に記載の電子番組ガイド。
【請求項14】
前記の配列するための手段が、複数のチャンネルの中で順位を変えようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせるためにガイド上に表示された移動可能なカーソルを含み、その目立たさせたチャンネルがチャンネルリスト内で第1の位置から第2の位置に移動するようにした請求項13に記載の電子番組ガイド。
【請求項15】
前記の配列するための手段が、設定された順序で時間にわたってチャンネルリスト内の複数のチャンネルの各々を表示するための手段と、表示されている複数のチャンネルの各々に対するチャンネルリスト内の優先順位を選択するための手段を備える請求項13に記載の電子番組ガイド。
【請求項16】
複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファイルをメモリに記憶するステップ、
メモリに記憶されている複数のテレビジョン番組リストをディスプレイモニターに表示するステップ、
記録するためビデオ記録媒体をVCRまたはその他の記録装置内に装填するステップ、
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択するステップ、そして
記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組をVCRまたはその他の記録装置に記録するするために前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストのデータを前記のデータファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送するステップ
を備えることを特徴とするVCRまたはその他の記録装置を使用して、ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録する方法。
【請求項17】
ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成するスッテプ、そして
記録のために選択されたテレビジョン番組リストに対応するタイトルをデータファイルから前記のディレクトリに加えるステップ
を含み、前記のディレクトリは番組タイトルと記録位置を含んでいる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定するステップ、そして記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加えるステップを更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、ビデオ番組を搬送するテレビジョン信号のVBIからデータファイルをダウンロードすることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、RAMの一つのセクションにデータファイルを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項22】
複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶するステップが、複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項23】
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択するステップが、表示モニター上に移動可能なカーソルを提供し、そしてカーソルをモニター上で移動して、表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択する請求項16に記載の方法。
【請求項24】
複数のテレビジョン番組リストに対応し、テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいるデータファイルが記憶される電子メモリ、
この電子メモリに記憶された複数のテレビジョン番組リストを表示するディスプレイモニター、
番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ、
表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択する手段、
記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置の記録スタックに転送し、VCRまたはその他の記録装置が前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組を記録する手段
を備え、前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータファイルからのタイトルが前記のディレクトリに加えられることを特徴としたVCRまたはその他の記録装置を使用して、ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録し、そしてインデックスを付けるシステム。
【請求項25】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定する手段を含み、記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリに加えられる請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
表示された番組リストの一つを選択する手段が、ディスプレイモニター上に与えられた移動可能なカーソルを備える請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
タイトル、チャンネルそして開始時間をテレビジョン番組リスト毎に含んでいる複数のテレビジョン番組リストのデータファィルを記憶しているRAMから前記の複数のテレビジョン番組リストを取り出してディスプレイモニターに表示する信号を発生し、
この表示された複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するためその一つのテレビジョン番組リストを特定する信号を発生し、そして
この記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータをデータファイルからVCRまたはその他の記録装置に転送するための信号を発生するよう
プログラムされ、前記の記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組を記録させるようにすることを特徴としたマイクロプロセッサ。
【請求項28】
ビデオ記録媒体に記録される番組のディレクトリを生成する信号と、記録するために選択されたテレビジョン番組リストに対応するデータファイルからのタイトルを前記のディレクトリに加えるための信号とを発生するように追加的にプログラムされており、前記のディレクトリが番組タイトルと記録位置とを含む請求項27に記載のマイクロプロセッサ。
【請求項29】
VCRまたはその他の記録装置内のビデオ記録媒体の記録位置を測定する信号を発生し、そして記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリに加える信号を発生するよう追加的にプログラムされている請求項28に記載のマイクロプロセッサ。」

【第3】特許請求の範囲の記載(第2訂正後、訂正明細書2)

平成21年12月28日付訂正請求書(本件第2訂正請求)に添付された訂正明細書(訂正明細書2)の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト、
このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイド、
このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル、そして
時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段
を備えていることを特徴とする電子番組ガイド。
【請求項2】
テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶したテレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生
するようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。」


【第4】当事者の主張

以下、本審決における「○1」、「○2」等の表記は、記号「○の中に数字を入れた記号」を示すものである。(情報処理システムの能力上、同記号を表すことができないことによる。)

【第4-1】請求人の主張(請求)

[1]請求の趣旨
特許第3600149号発明の特許請求の範囲の請求項1?34に記載された各発明についての特許を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

[2]請求の理由(概要)

以下,請求項1に係る発明を「本件発明1」,請求項2に係る発明を「本件発明2」などともいう。

(1)無効理由1(明細書の記載不備、特許法第36条)
○1〈実施可能要件違反〉 本件発明1?32
本件特許の請求項1?32に係る発明は、当業者が容易に実施できる程度にその構成が発明の詳細な説明に記載されておらず、本件特許発明1?32に係る特許は、特許法第36条第4項の規定に違反している。
○2〈サポート要件違反〉 本件発明1?9、10?34
本件特許の請求項1?9、10?34に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されておらず、本件特許発明1?9、10?34に係る特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反している。
なお、審判請求書12頁では、本件特許の請求項9に係る発明についても、発明の詳細な説明に記載されておらず、請求項9に係る特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反している、と記載しているが、審判請求書4頁の表1においても、また、請求項9に係る発明について具体的に36条違反を説明する審判請求書の106頁?108頁においても、請求項9に係る発明について、特許法第36条第5項第1号の規定に違反することを記載していない。
○3〈明確性要件違反〉 本件発明1?34
本件特許の請求項1?34は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分しておらず、本件特許発明1?34に係る特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反している。

(2)無効理由2(分割不適法による出願日不遡及を前提とする進歩性新規性欠如、特許法第29条第2項・第1項)
本件特許の請求項1?34に係る発明は、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内からなされたものでなく、本件特許発明1?34は、特許法第44条の規定に違反しており、本件特許の出願日は原出願まで遡及せず現実の出願日である平成12年10月20日となる。
○1〈本件発明1,2,4,8〉 甲12又は甲12及び甲13から容易
本件特許の請求項1、2、4、8に係る発明は、甲第12号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第12号証及び甲第13号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○2〈本件発明3,5,7〉 甲12及び甲13から容易
本件特許の請求項3、5、7に係る発明は、甲第12号証及び甲第13号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○3〈本件発明6,9,33,34〉 甲12から容易
本件特許の請求項6、9、33、34に係る発明は、甲第12号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○4〈本件発明8?15〉 甲12と同一
本件特許の請求項8?15に係る発明は、甲第12号証に記載された発明と同一発明であるから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない
○5〈本件発明9?15〉 甲12又は甲12及び甲14から容易
本件特許の請求項9?15に係る発明は、甲第12号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第12号証及び甲第14号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○6〈本件発明16、25、30〉 甲7から容易
本件特許の請求項16、25、30に係る発明は、甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない
○7〈本件発明17?24、26?29、31、32〉 甲7及び甲15から容易
本件特許の請求項17?24、26?29、31、32に係る発明は、甲第7号証及び甲第15号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない

(3)無効理由3(要旨変更(特許法第40条)を前提とする、進歩性新規性欠如、特許法第29条第2項・第1項)
平成15年9月24日付け手続補正書により追加された本件特許の請求項33及び34は出願当初の明細書に記載した事項の範囲内ものではなく、特許法第41条の適用はないから、その補正は明細書の要旨を変更するものであって、特許法第40条の規定により、本件特許の出願日は手続補正書が提出された平成15年9月24日にしたものとみなされる。
○1〈本件発明1,2,4〉 甲16又は甲16及び甲13から容易
本件特許の請求項1、2、4に係る発明は、甲第16号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第16号証及び甲第13号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○2〈本件発明3,5,7〉 甲16及び甲13から容易
本件特許の請求項3、5、7に係る発明は、甲第16号証及び甲第13号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○3〈本件発明6?32〉 甲16と同一
本件特許の請求項6?32に係る発明は、甲第16号証に記載された発明と同一発明であるから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。
○4〈本件発明6?9、16?19、21?34〉 甲16から容易
本件特許の請求項6?9、16?19、21?34に係る発明は、甲第16号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○5〈本件発明9?15〉 甲16又は甲16及び甲14から容易
本件特許の請求項9?15に係る発明は、甲第16号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第16号証及び甲第14号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○6〈本件発明16、25、30〉 甲7から容易
本件特許の請求項16、25、30に係る発明は、甲第7号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
○7〈本件発明17?24、26?29、32〉甲7及び甲15から容易
本件特許の請求項17?24、26?29、32に係る発明は、甲第7号証及び甲第15号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

上記○6及び○7の進歩性違反の根拠とする理由・刊行物は、無効理由2の○6及び○7と重複するものである。

[3]請求人主張の無効理由1(明細書の記載不備)の要点

請求人の主張する無効理由の条文について、第36条第4項、同条第5項第1号、第5項第2号を、それぞれ、36-4,36-5-1,36-5-2と略記した。また、従属請求項については、引用する請求項が無効理由を有しているが故に同じ無効理由を有するとする理由については、例えば、従属請求項の理由○3が本件発明1を引用するためで有る場合、「○3→本件発明1引用」と略記した。
なお、訂正請求での訂正後に項番号が変わる請求項については、第1訂正後の項番号を〔〕内に、第2訂正後の項番号を《》に記した。

(1)本件発明1《第2訂正で削除》

○1 構成要件1C?1E(「チャンネルの一つに目印」)→36-4,36-5-1
;本件特許明細書(段落0031?0033,段落0013?0015,0024,0030,00
33)には、カーソル32はタイトルが示されているセル上で移動することが開示されているのであって、カーソル32自体がチャンネルを示す欄に移動して、チャンネルに目印を付けることや、グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目印を付けたチャンネルを表示することは開示されていないから、構成要件1C?1Eは、サポート要件違反、実施可能要件違反である。
平成15年9月24日付け手続補正(甲第17号証)前の請求項1では「タイトルの一つに目印を付け」と規定されており、同補正により、あえて「チャンネルの一つに目印を付け」と表現を変えており、これによっても「タイトルの一つに目印を付ける」ことと「チャンネルの一つに目印を付け」ることは同じではないことが分かる。
「チャンネルの一つに目印を付ける」とは、チャンネルの一つに目で見て分かるようなしるしをつけることを意味することは、特許請求の範囲の記載から明白である。(口答審理陳述要領書)、

○2「テレビジョン番組リスト」の意義
;「テレビジョン番組リスト」は、字義通り解釈すると、「テレビジョン」の「番組」に関する「リスト」(表のように項目を並べたもの)であり、1つの「テレビジョン番組リスト」には複数の番組が表のように並べられていると解すべきであり、番組はタイトルによって表される。
「テレビジョン番組リスト」は複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの(以下、請求人の主張するこの解釈を『』を付けて『番組表』(請求人解釈)と略す。)と解釈すべきである。このことは、本件特許明細書や本件特許の原出願に係る出願経過、その審決取消訴訟の準備書面等を見ても明らかである。
〈本件特許明細書〉
「半時間長の三つのコラム28、及び十二の行30の番組リスト」(段落0011),「図7は、・・・単一チャンネルの番組リスト58のスクリーン22を示す。」(段落0031),「図6は、・・・TV表示部のテキストスペースの制限により、可能な限りTVリストの多数の行を表示するのが好ましい。」(段落0022),「図20は、・・・ユーザーは、チャンネルを興味に合わせカスタム化でき、リストをコンパクトにでき、アップダウン走査中の必要のないチャンネルを除去できる。」(段落0065)との説明からみても、「リスト」は個々の番組を指すものではなく、複数の番組が含まれているものであると考えるのが自然である
〈原出願に係る出願経過
原出願に係る出願経過によれば、原出願の発明では、「テレビジョン番組リスト」は『番組表』(請求人解釈)と解釈されることからみても、本件発明の「テレビジョン番組リスト」も、『番組表』(請求人解釈)と解すべきである。

○3「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
構成要件1A,1B,1E→36-5-2
;「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべきものであるが、
被請求人の主張(本件特許発明に係る侵害訴訟(平成19年(ワ)第27187号における主張)する「テレビジョン番組を特定するための個々の番組単位の番組情報」(以下、被請求人の主張するこの解釈を『』をつけて『番組単位の番組情報』と略す。)と、
請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』(請求人解釈))
の両方の解釈が可能であるから、「テレビジョン番組リスト」という用語は多義性を有していて明確でなく、特許法第36条第5項第2号の規定に違反している。
構成要件1A、1B及び1Eの「テレビジョン番組リスト」という用語は、上記『番組表』(請求人解釈)か上記『番組単位の番組情報』か、多義性を有しているから、明確要件違反である。

○4 構成要件1A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;「テレビジョン番組リスト」は『番組表』(請求人解釈)と解釈すべきものであって情報やデータではないから、電子メモリに記憶できるものではなく、構成要件1A「・・・複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶するステップ」を観念できず、技術的思想が把握できない。36条第4項及び36条第5項第2号の規定に違反している。
以下、「←『番組表』(請求人解釈)」は、「テレビジョン番組リスト」を、上記(1)の○2の解釈、すなわち上記『番組表』(請求人解釈)と解釈することにより生じる記載不備、または、上記「多義性」により生じる記載不備を意味することの略記に使う。

○5 構成要件1E(「テレビジョン番組リストを順次配列した」)
→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
;『番組表』(請求人解釈)が順次配列されることは、記載されていない。

○6 構成要件1A(「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」)→36-5-1
;各テレビジョン番組リストがそれぞれタイトル、放送時間そしてチャンネルを含んでいることは開示されていない。チャンネル毎に、個々の番組の、タイトル、放送時間を有するようなデータ形式であっても、本件特許の図1のような番組表を表示することは可能であり、段落0074,0077の記載や、本件特許の図1のような番組表を表示できるからといって、必ずしも各テレビジョン番組リストがそれぞれタイトル、放送時間そしてチャンネルを含んでいるとはいえない。

(2)本件発明2《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明1引用
○4 構成要件2A(「単一チャンネル形式内の別の表示タイトルに目印を付ける」)→36-5-1
;段落0031?33、図7には、これについて記載がない。

(3)本件発明3《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明1引用
○4 構成要件3B(「目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノート」)→36-4,36-5-1
;上記○1と同様である。平成15年9月24日付け手続補正により、「目印を付けられたタイトルに対応する番組ノート」から「目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノート」と補正したものである。
○5 構成要件3A(「複数のテレビジョン番組リストに関連する番組ノート」)
(1) →36-4,36-5-1←『番組表』(請求人解釈)」
(2) →36-4,36-5-1 ;「複数の」テレビジョン番組リストに関連する「番組ノート」の記載はない。
○6 多義性 →36-5-2←『番組表』(請求人解釈)
;上記(1)の○3と同様。
(4)本件発明4(請求書89?92頁)《第2訂正で削除》
○1 構成要件4C4D(「チャンネルの一つに目印」)→36-4,36-5-1
;上記(1)○1と同様。
○2 構成要件4A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
→36-4,36-5-2←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○3 構成要件4A(「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」)→36-5-1
;上記(1)○6と同様。
○4 構成要件4A4B4D「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;上記(1)の○3と同様。
(5)本件発明5《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明4引用
○4 構成要件5Bの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;上記(1)の○3と同様。

(6)本件発明6《第2訂正後の発明1》
○1「電子番組ガイド」→36-5-2
;構成要件6C「グリッドガイドに表示された」との規定からすると、「グリッドガイド」も「電子番組ガイド」も表示物と解され、「物」の発明か「方法」の発明か、カテゴリーが不明である。
○2、「テレビジョン番組リスト」と「時間とチャンネルのグリッドガイド」→36-4,36-5-1
;「テレビジョン番組リスト」は、「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』)と解釈すべきである{この請求人の解釈を、前述の通り「『番組表』(請求人解釈)」と略す}から、
「電子番組ガイド」が「表示物」の発明であることを仮定すると、複数の『番組表』(請求人解釈)と「時間とチャンネルのグリッドガイド」(表示物)の異なる2つの構成要素が同時に表示されている電子番組ガイドは本件特許明細書には開示されておらず、どのように実施できるか分からない。
○3「グリッドガイドを単一チャンネルガイドに変える手段」と表示物
→36-4,36-5-1,36-5-2
;「電子番組ガイド」が「表示物」の発明であると仮定すると、構成要件6Dの「時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段」が表示物に備えられているとはいかなることか理解することができず、実施もすることができない。
また、「複数のテレビジョン番組リスト」が仮に「情報」であるとするならば、「情報」である構成要件6Aの「複数のテレビジョン番組リスト」が表示物に備えられているとはいかなることか理解することができず、実施もすることができない。
○4「グリッドガイド」、「可動カーソル」、「テレビジョン番組リスト」とシステム →36-4,36-5-1,36-5-2←『番組表』(請求人解釈)
;「電子番組ガイド」が「電子番組ガイドシステム」や「電子番組ガイド装置」の発明であると仮定しても、構成要件6Bの「グリッドガイド」、構成要件6Cの「可動カーソル」、複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべき構成要件6Aの「テレビジョン番組リスト」といった「表示物」が「システム」や「装置」に備えられているとはいかなることか理解できず、実施もすることができない。
表示物は手段ではない。「システム」や「装置」の発明であるとするならば、例えば、「テレビジョン番組リストを表示させる手段」、「グリッドガイドを表示させる手段」、「可動カーソルを表示させる手段」、「可動カーソルを制御する手段」といった構成要件が備えられているべきであって、「表示物」が備えられている「システム」や「装置」は観念することも、実施をすることもできない。
分割により新たに追加された段落0009にさえも、構成要件6Bの「グリッドガイド」、構成要件6Cの「可動カーソル」、複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべき構成要件6Aの「テレビジョン番組リスト」といった「表示物」が「システム」や「装置」に備えられていることは開示されておらず、形式的にみて発明の詳細な説明に記載されているともいえない。
○5 上記○2?○4であることから本件発明6 →36-4,36-5-1,36-5-2
;上記○4であることから、「電子番組ガイド」が「表示物」の発明、または、「電子番組ガイドシステム」や「電子番組ガイド装置」の発明、のいずれの発明であっても、また、「複数のテレビジョン番組リスト」が仮に「情報」であるとしても、本件発明6は、36-4,36-5-1,36-5-2違反である。
○6 構成要件6B(「テレビジョン番組リストの中の幾つかを表示」)
→36-4,36-5-1 ←『番組表』(請求人解釈)
;「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているかたまりのもの(『番組表』(請求人解釈))であるが、そのようなかたまりである『番組表』(請求人解釈)が2つ以上表示されることについては、発明の詳細な説明に記載されていない。
○7 構成要件6C(「テレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル」)→36-4,36-5-1 ←『番組表』(請求人解釈)
;「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているかたまり(『番組表』(請求人解釈))であるが、そのようなかたまりである『番組表』(請求人解釈)の1つを選択して目立たせる可動カーソルは、発明の詳細な説明に記載されていない。
○8 構成要件6A(「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」) →36-5-1
;「テレビジョン番組リスト」が情報やデータであるとしても、各テレビジョン番組リストがそれぞれタイトル、放送時間そしてチャンネルを含んでいることは開示されていない。チャンネル毎に、個々の番組の、タイトル、放送時間を有するようなデータ形式であっても、本件特許の図1のような番組表を表示することは可能であり、段落0074,0077の記載や、本件特許の図1のような番組表を表示できるからといって、必ずしも各テレビジョン番組リストがそれぞれタイトル、放送時間そしてチャンネルを含んでいるとはいえない。
○9 構成要件6A?6Dの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;上記(1)の○3と同様。すなわち、
「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべきものであるが、
被請求人の主張(本件特許発明に係る侵害訴訟(平成19年(ワ)第27187号における主張)する「テレビジョン番組を特定するための個々の番組単位の番組情報」(『番組単位の番組情報』)と、
請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』(請求人解釈))
の両方の解釈が可能であるから、「テレビジョン番組リスト」という用語は多義性を有していて明確でなく、特許法第36条第5項第2号の規定に違反している。
また、「テレビジョン番組リスト」は、「表示物」とも「情報」とも解され、多義に解釈できるから不明確である。
構成要件6A?6Dの「テレビジョン番組リスト」という用語は、多義性を有しているから、明確要件違反である。

(7)本件発明7《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明6引用
○4 構成要件7B(「目立たせたチャンネルの番組ノート」)
→36-4,36-5-1
;段落0023、0024の「選択した番組の番組ノート」や「選択されたリストのタイトル」との記載及び図6の開示からすると、「番組ノート」は「特定の番組」又は「特定の番組のタイトル」に関連付けられているものであって、「特定の放送時間」や「特定のチャンネル」に関連付けられているものではない。分割により新たに追加された段落0009を含めて見たとしても、グリッドガイド形式で表示されている際に、「特定の放送時間」や「特定のチャンネル」を選択することにより目立たせることついては何ら開示されていない。本件特許発明6では、タイトル、放送時間、チャンネルがそれぞれ規定されて明確に区別されており、タイトルを目立たせることと、チャンネルを目立たせることは同じではない。本件特許明細書に開示のある目立たせたタイトルに対応する番組ノートをもって、目立たせたチャンネルに対応する番組ノートとはいえない。
○5 本件特許発明6と本件特許発明7との不整合。→36-5-2
;目立たせたせるものが、本件発明6と7で異なる。
○6 構成要件7A「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(8)本件発明8《第2訂正後の発明2》
○1 構成要件8B8C(「信号を発生させるようにプログラムされているプロセッサ」)→36-4
;発明の詳細な説明には、8B8C記載の「信号を発生するようにプログラムされたマイクロプロセッサ」については一切説明されておらず、どのようにして実施するのかが分からない。
本件特許発明8が「マイクロプロセッサ」(構成要件8D)という「物の発明」にかかる以上、「容易にマイクロプロセッサを生産・使用できる程度」の開示が要求されていると考えるべきであり、上記被請求人主張構成要件では、少なくとも「マイクロプロセッサを生産できる程度に開示」したことにはならないので不十分である。
すなわち、マイクロプロセッサの開発に従事している当業者は、
・マイクロロセッサ内部の構成要素及び構成要素間の関係
・マイクロプロセッサの動作(本件のようにプログラムで制御されている場合には、プログラムの実行手順等も含む)
などにより技術的な内容を把握するのが一般的であるから、これらが開示されていることが必要であると解すべきである。(口答審理陳述要領書)
○2 構成要件8A(「テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示」) →36-4,36-5-1 ← 『番組表』(請求人解釈)
;「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているかたまりのもの(『番組表』(請求人解釈))であるが、そのようなかたまりがそれぞれセル内に表示されることについては、発明の詳細な説明に記載されていない。
○3 構成要件8A(「RAMに記憶したテレビジョン番組リスト」)
→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;上記(1)○4と同様。
「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているかたまりのもの(『番組表』(請求人解釈))であって、情報やデータではないから、RAMに記憶できるものではなく、構成要件8Aは観念できず、技術的思想が把握できない。
○4 構成要件8B(「テレビジョン番組リストの一つを目立たせる」)
→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
;「テレビジョン番組リスト」は、複数の番組のタイトルが表のように並べられているかたまり(『番組表』(請求人解釈))であるが、そのようなかたまりである『番組表』(請求人解釈)の1つを選択して目立たせる可動カーソルは、発明の詳細な説明に記載されていない。
○5 構成要件8C(「グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示」)→36-4
;テレビジョン番組リストの1つを目立たせて、その目立たされた1つのテレビジョン番組リスト自体を単一チャンネル形式で表示させているが、本件特許明細書では、例えば、図1(グリッドガイド形式)や図7(単一チャンネル形式)に開示されているように、グリッドガイド形式で複数表示されているタイトルの中から1つを選択することにより目立たせて、その目立たせた1つのタイトルに対応するチャンネルに関する複数のタイトルを単一チャンネル形式で表示させることが開示されているに過ぎず、グリッドガイド形式で目立たせた1つのタイトル自体を単一チャンネル形式で表示させることについては開示されていない。仮に、「テレビジョン番組リスト」を『番組単位の番組情報』と解しても同様である。
○6 構成要件8A?8C「テレビジョン番組リスト」の多義性
;「テレビジョン番組リスト」は、「表示物」とも「情報」とも解され、多義に解釈できるから不明確である。

(9)本件発明9《第2訂正で削除》
○1 構成要件9C(「複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する」)→36-4
;本件特許明細書(段落0025,0026,0065?0070)には、単にチャンネルの状態をオフ又はオンとすることにより、不要なチャンネルを除去しているに過ぎず、残された好きなチャンネルは、放送局では番号順に、ケーブルサービスではアルファベット順に配列され、残された好きなチャンネル間での順序は一意的に決定されている構成のみが開示されているに過ぎない。8チャンネルの次に4チャンネルを配列するような複数のチャンネルを任意の順序に入れ替えて配列できるような好ましい順序に配列する実施形態は開示されておらず、また、これを実現するための方法は何ら開示されていない。
○2 構成要件9A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○3 構成要件9B(「テレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示」) →36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○4 構成要件9A9B「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(10)本件発明10《第2訂正で削除》
○1○2→本件発明9引用
○3 構成要件10B(「優先順位を選択」)→36-4,36-5-2
;段落0025?0026、0065?0070には、単にチャンネルの状態をオフ又はオンとすることにより、必要なチャンネルを除去しているに過ぎず、残された好きなチャンネルは、放送局では番号順に、ケーブルサービスではアルファベット順に配列され、残された好きなチャンネル間での順序は一意的に決定されている構成のみが開示されているに過ぎない。8チャンネルの次に4チャンネルを配列するような複数のチャンネルを任意の順序に入れ替えて配列できるような好ましい順序に配列する実施形態は開示されておらず、また、これを実現するための方法は何ら開示されていない。
本件特許発明10の構成要件10Bの「優先順位を選択」の意義は日本語上明確ではないが、「優先順位」とは「他より先であるか後であるかを順序を追って定めた位置」の意味であると解され、例えば、8チャンネルの次に4チャンネルを配列するような好ましい順序に配列することも含まれると解釈できる。上記(9)の○1と同様である。また、「優先順位を選択する」との文言は「優先順位を決定する」こととも異なり、日本語上どのようなことを意味しているか不明確である。
○4 構成要件10A(「設定された順序」)→36-5-1,36-5-2
;特許請求の範囲と発明の詳細な説明での用語が不統一。また、「設定された順序」とは、発明の詳細な説明における、視聴者の関心と一致する好ましい順序で既に設定された順序なのか、好ましい順序に設定する前の初期状態の設定された順序であるのか明確ではない。
○5 構成要件10A(「時間にわたって表示する」)→36-5-2
;意味不明である。

(11)本件発明11《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明10引用;引用する本件発明10と同様

(12)本件発明12《第2訂正で削除》
○1 構成要件12C(「複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する」)→36-4;上記(9)の○1と同様。
○2 構成要件12A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」) →36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○3 構成要件12B(「テレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示」)→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○4 発明のカテゴリー(36-5-2)
「物」の発明か「方法」の発明かカテゴリー不明。
○5 「記憶する手段」、「表示する手段」、「配列する手段」と「表示物」 →36-4,36-5-1
;「電子プログラムガイド」が「表示物」の発明であると仮定すると、構成要件12Aの「記憶する手段」、構成要件12Bの「表示する手段」、構成要件12Cの「配列する手段」が「表示物」に備えられているとはいかなることか理解することができず、実施もすることができない。
分割により新たに追加された段落0009にさえも、これら手段が「表示物」に備えられていることは開示されておらず、本件発明12が形式的にみて発明の詳細な説明に記載されているともいえない。
○6 構成要件12A12B「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(13)本件発明13《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明12引用
○4○5 構成要件13A「前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段をさらに含む」
→36-4,36-5-1,36-5-2
;構成要件12Cの「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する手段」の他に更に構成要件13Aの「前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段」が設けられることについては何ら開示されていない。「更に含む」は、12Cと実質的な差異はない(36-5-2)。

(14)本件発明14《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明13引用
○4 構成要件14A14B(「順位を変えようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせる移動可能なカーソル」、「第1の位置から第2の位置に移動」)→36-4,36-5-1
;本件特許明細書(段落0065?0070)、図20には、選択キーを使用してチャンネルのマイ、オン及びオフ状態を選択して、好きなチャンネルを除去することは説明されているが、分割により新たに追加された段落0009を含めて見たとしても、状態を変更するチャンネルをどのようにして選択するかについては一切言及されておらず、図20を見ても分からない。まして、状態を変更するチャンネルを選択により目立たせることや、その目立たせたチャンネルがチャンネルリスト内で第1の位置から第2の位置に移動することも言及されていない。

(15)本件発明15《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明13引用
○4 構成要件15B(「優先順位を選択」)
→36-4,36-5-2;上記(10)の○3と同様。
○5 構成要件15A(「設定された順序」)
→36-5-1,36-5-2;上記(10)の○4と同様。
○6構成要件15A(「時間にわたって表示する」)
→36-5-2;上記(10)の○5と同様。

(16)本件発明16《第2訂正で削除》
○1 構成要件16E(「VCRまたはその他の記録装置に転送」)
→36-4
;段落0077のパワーオン及び記録コマンドはパワーオン及び記録させるための命令であって、番組のタイトル及びその記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)ではない。段落0043,0044では、番組が記録されると、番組のタイトルがテープのデータ(コントロールトラック)チャンネルに書き込まれることが説明されているが、これはNVメモリに記憶されているディレクトリとの突き合わせのためのものであり(本件特許明細書の段落0044)、「番組が記録されると」の文言からしても同段落の説明は番組の記録後のことであって、番組の記録のためではなく、記録の確認のためである。
コマンドが送られる場合には、それに付随してパラメータが送られることもあり得ることは否定しないが、必ずパラメータが付随するとは限らないから、「コマンド」には必然的に「パラメータ」が付随することを前提にしている被請求人の反論は、失当である。(口頭審理陳述要領書)
VCR206に、どの番組を何時から記録すべきかの情報を転送しなくても、VCR206は記録すべき番組の記録を行うことができ、被請求人の主張するように、「コマンド」に必然的に「パラメータ」を付随させることにより、VCR206に、どの番組を何時から記録すべきかの情報を転送する必要はない。(口頭審理陳述要領書)
○2 構成要件16B(「メモリに記憶されている複数のテレビジョン番組リスト」)→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○3 構成要件16B(「複数のテレビジョン番組リストをディスプレイモニターに表示」)→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○4 構成要件16D(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択」)→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○5 構成要件16A(「テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいる」)→36-5-1
;(1)の○6と同様。
○6 構成要件16A16B16D16Eの「テレビジョン番組リスト」の多義性→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(17)本件発明17《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明16引用
○4 構成要件17Bの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(18)本件発明18《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明17引用
○4 構成要件18B(「番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加える」)→36-5-1
;段落0080では、「記録中は、VCR206のテープインデックス位置は、CPU228へコントロール/データバス270により伝送される。この開始アドレス情報は、番組タイトルと共にテープディレクトリRAMメモリ234へ記憶される。」と説明されているに過ぎず、分割により新たに追加された段落0009を含めてみても、開始アドレス情報がテープディレクトリRAMメモリ234に記憶されるタイミングについては一切言及されていない。よって、本件特許明細書には、「記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始時」に記録位置をディレクトリRAMメモリ234に加えることについては何ら開示されていない。

(19)本件発明19《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明17引用
○4 構成要件19Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(20)本件発明20《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明17引用
○4 構成要件20Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(21)本件発明21〔第1訂正で削除〕;略

(22)本件発明22〔第1訂正で削除〕;略

(23)本件発明23〔21〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明17引用
○4 構成要件23A(「一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶」)
→36-5-1 ;発明の詳細な説明に記載したものではない。
○5 構成要件21A(「一つのチャンネル特定番組ガイド」→36-5-2
「一つのチャンネル特定番組ガイド」とは「1つ」の「チャンネル特定番組ガイド」のことを意味するのか、又は「1つの特定チャンネル」の「番組ガイド」のことを意味するのか不明であり、加えて、「チャンネル特定」とは何を意味するのか不明であるから、特許を受けようとする発明が明確に把握することができず、本件特許発明23に係る特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反しており、無効にすべきものである。
○6 構成要件23Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(24)本件発明24〔22〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明17引用
○4 構成要件A(「複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶」)
→36-5-1 ;発明の詳細な説明に記載したものではない。
○5「複数のチャンネル特定番組ガイド」→36-5-2
;「複数のチャンネル特定番組ガイド」とは「複数」の「チャンネル特定番組ガイド」のことを意味するのか、又は「複数の特定チャンネル」の「番組ガイド」のことを意味するのか不明であり、加えて、「チャンネル特定」とは何を意味するのか不明である。
○6 構成要件24Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(25)本件発明25〔23〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明16引用
○4 構成要件25A(「カーソルをモニター上で移動して、表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択」)→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○5 構成要件25Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(26)本件発明26〔24〕《第2訂正で削除》
○1 構成要件26E(「VCRまたはその他の記録装置の記録スタックに転送」)→36-4;上記(16)の○1と同様。
○2 構成要件26C(「番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ」)→36-4
;段落0039?0041,0044,0080では「ディレクトリ」はテープディレクトリRAMメモリ234に記憶されており、「ビデオ記録媒体」である「テープ」には記録されていない。段落0043では、番組が記録されると、「番組のタイトル」が「テープ」のデータ(コントロールトラック)チャンネルに書き込まれることが説明されているが、このデータは不揮発性メモリに記憶されているディレクトリとの突き合わせのためのものであり(同段落0044)、テープに書き込まれている番組のタイトルはディレクトリに含まれているものではない。
○3 構成要件26B(「電子メモリに記憶された複数のテレビジョン番組リスト」)→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○4 構成要件26B(「複数のテレビジョン番組リストを表示」)
→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○5 構成要件26D(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択」)←36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○6 構成要件26A(「テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいる」)→36-5-1;上記(1)の○6と同様。
○7 構成要件26A,26B,26Dから26Fの「テレビジョン番組リスト」の多義性 →36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(27)本件発明27〔25〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明26〔24〕引用
○4 構成要件27B(「記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリに加えられる」)→36-5-1 ;(18)の○4と同様。
○5 構成要件27Bの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(28)本件発明28〔第1訂正で削除〕;略。

(29)本件発明29〔26〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明26引用;引用する本件発明26〔24〕と同様。

(30)本件発明30〔27〕《第2訂正で削除》
○1 構成要件30C(「VCRまたはその他の記録装置に転送」)
→36-4;上記(16)の○1と同様。
○2 構成要件30A(「RAMから前記の複数のテレビジョン番組リストを取り出し」)→36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)
;観念できず、技術的思想が把握できない。上記(1)○4と同様。
○3 構成要件30A(「複数のテレビジョン番組リストを取り出してディスプレイモニターに表示」)→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○4 構成要件30B(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するためその一つのテレビジョン番組リストを特定」
→36-4 ←『番組表』(請求人解釈)
○5 構成要件30A(「タイトル、チャンネルそして開始時間をテレビジョン番組リスト毎に含んでいる」)→36-5-1;上記(1)の○6と同様
○6 構成要件30A?30Cの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(31)本件発明31〔28〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明30〔27〕引用
○4 構成要件31Aの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(32)本件発明32〔29〕《第2訂正で削除》
○1?○3→本件発明31〔28〕引用
○4 構成要件32B(「番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリに加える」)→36-5-1 ;(18)の○4と同様。
○5 構成要件32A32Bの「テレビジョン番組リスト」の多義性
→36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)

(33)本件発明33〔第1訂正で削除〕;略。

(34)本件発明34〔第1訂正で削除〕;略。

[4]請求人主張の無効理由2における、分割不適法とする理由の要点

1 出願日の不遡及について
本件特許明細書の、
・段落0010?0084は原出願の出願当初の明細書と参照符号の修正など形式的な修正を除いて同一である。
・段落0008及び0009は本件の分割時に追加された事項である。
・特許請求の範囲に記載されている事項は、本件の分割時又は補正時に追加された事項である。
したがって、本件特許明細書の段落0010?0084に記載されていない事項は、原出願の出願当初の明細書および図面(以下、「原出願当初明細書」という)にも記載されていない事項である。
特許請求の範囲並びに段落0008及び0009のうち「原出願当初明細書」に記載されていた事項以外の事項は、分割により新たに追加された新規な事項である。

本件特許発明1?34は、「原出願当初明細書」に記載されていた事項以外の事項を含み原出願に包含される発明ではないから、特許法第44条の規定に違反している。したがって、本件特許の出願日は原出願まで遡及せず現実の出願日である平成12年10月20日となる。

2.請求人が「原出願当初明細書」に記載されていないと主張する各事項(分割違反であることの根拠)
請求人が、「原出願当初明細書」に記載されていた事項以外の事項であると理由を付して具体的に特定して挙げる各記載事項及びその根拠理由は、以下の、本件特許発明1?34の(1)?(34)である。
これらの記載事項及びその根拠理由には、サポート要件違反または実施可能要件違反の記載不備であるとする無効理由{[3]無効理由1(36-4、36-5-1)}と同じ記載事項及び根拠理由(ただし、「原出願当初明細書」ではなく「特許明細書の発明の詳細な説明」に記載されていないとする理由)であるものがあり、その場合、例えば「無効理由1(1)○1の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由」などと、その旨適宜略記した。
また、「テレビジョン番組リスト」についての請求人の解釈に基づく場合も、[3]無効理由1(明細書の記載不備)の項と同様、適宜「←『番組表』(請求人解釈)」と記した。
なお、訂正請求での訂正後に項番号が変わる請求項については、
第1訂正後の項番号を〔〕内に、第2訂正後の項番号を《》に記した。


(1)本件発明1《第2訂正で削除》
○1 構成要件1C?1E(「チャンネルの一つに目印」)
;[3]無効理由1(1)○1の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
この点は、平成15年9月24日付け手続補正(甲第17号証)で「タイトルの一つに目印」から上記「チャンネルの一つに目印」に補正されたものである。
分割により新たに追加された段落0009でさえも、「タイトル」の1つに目印を付け、グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式で目印を付けられた「タイトル」を表示することが開示されているに過ぎない。
原出願の出願当初の明細書には、上記点は開示されていない。
○2 構成要件1A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(1)○4の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの、すなわち、これを上記のように『番組表』(請求人解釈)と略せば、複数の『番組表』(請求人解釈)を電子メモリに記憶することは、分割により新たに追加された段落0009以外には、本件特許明細書には開示されておらず、よって、本件特許発明1の構成要件1Aは原出願の出願当初の明細書にも開示されていない。
○3 構成要件1E(「テレビジョン番組リストを順次配列した」)
←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(1)○5の36-4違反と同様の根拠理由。
「テレビジョン番組リスト」は『番組表』(請求人解釈)と解釈すべきものであるから、『番組表』(請求人解釈)が順次配列されること、言い換えれば、複数の「テレビジョン番組リスト」が順次配列されることを意味するが、分割により新たに追加された段落0009以外にはこのような構成は開示されていない。よって、原出願の出願当初の明細書にも、本件特許発明1の構成要件1Eは記載されていない。
○4 構成要件1E(「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」)
;[3]無効理由1(1)○6の36-5-1違反と同様の根拠理由。
分割により新たに追加された段落0009を除いて、各テレビジョン番組リストがそれぞれタイトル、放送時間そしてチャンネルを含んでいることは開示されていない。

(2)本件発明2《第2訂正で削除》
○2 構成要件2A(「単一チャンネル形式内の別の表示タイトルに目印を付ける」)
;[3]無効理由1(2)○4の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(3)本件発明3《第2訂正で削除》
○2 構成要件3A(「複数のテレビジョン番組リストに関連する番組ノート」);[3]無効理由1(3)○5(1)(2)の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
○3 構成要件3B(「目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノート」);[3]無効理由1(3)○4の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
平成15年9月24日付け手続補正により、「目印を付けられたタイトルに対応する番組ノート」から「目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノート」と補正したものである。

(4)本件発明4《第2訂正で削除》
○1 構成要件4C4D(「チャンネルの一つに目印」)
;上記(1)○1と同様。
○2 構成要件4A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
;上記(1)○2と同様。
○3 構成要件4A「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」)
;上記(1)○4と同様。

(5)本件発明5《第2訂正で削除》
;引用する本件発明4と同じ。

(6)本件発明6《第2訂正後の発明1》
○1「テレビジョン番組リスト」と「時間とチャンネルのグリッドガイド」
;[3]無効理由1(6)○2の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
構成要件6Aの「複数のテレビジョン番組リスト」と構成要件6Bの「時間とチャンネルのグリッドガイド」の異なる2つの構成要素が同時に表示されている電子番組ガイドは、分割により新たに追加された段落0009にさえも開示されていない。
○2「グリッドガイドを単一チャンネルガイドに変える手段」
;[3]無効理由1(6)○3の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
「電子番組ガイド」が「表示物」の発明であると仮定すると、分割により新たに追加された段落0009にさえも、上記「変える手段」が「表示物」に備えられていることは開示されおらず、また、「複数のテレビジョン番組リスト」が仮に「情報」であるとするならば、「情報」である「複数のテレビジョン番組リスト」が「表示物」に備えられていることは開示されていない。
○3「グリッドガイド」、「可動カーソル」、「テレビジョン番組リスト」
;[3]無効理由1(6)○4の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
「電子番組ガイド」が「電子番組ガイドシステム」や「電子番組ガイド装置」の発明であると仮定しても、構成要件6Bの「グリッドガイド」、構成要件6Cの「可動カーソル」、複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべき構成要件6Aの「テレビジョン番組リスト」といった「表示物」が「システム」や「装置」に備えられていることは開示されていない。
○4 上記○1?○3のように本件発明6は記載されていない。
;[3]無効理由1(6)○5の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
「電子番組ガイド」が「表示物」の発明、または、「電子番組ガイドシステム」や「電子番組ガイド装置」の発明、のいずれの発明であっても、また、「複数のテレビジョン番組リスト」が仮に「情報」であるとしても、本件特許発明6は原出願の出願当初の明細書にも記載されていない。
○5 構成要件6B(「テレビジョン番組リストの中の幾つかを表示」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(6)○6の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
○6 構成要件6C(「テレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(6)○7の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
○7 構成要件6A(「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」)
;[3]無効理由1(6)○8の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(7)本件発明7《第2訂正で削除》
○2 構成要件7B(「目立たせたチャンネルの番組ノート」)
;[3]無効理由1(7)○4の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
分割により新たに追加された段落0009を含めて見たとしても、「特定の放送時間」や「特定のチャンネル」を選択することにより目立たせることついては何ら開示されていない。

(8)本件発明8《第2訂正後の発明2》
○1 構成要件8B8C(「表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして、グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示」)
;[3]無効理由1(8)○1の36-4違反と同様の根拠理由。
構成要件8B?8Cに関連する記載は、本件特許明細書の段落0031?033になされているが、表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして、グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生するようにプログラムされたマイクロプロセッサについては一切説明されていない。唯一対応する記載がなされているのは、分割により新たに追加された段落0009のみである。よって、原出願の出願当初の明細書には、本件特許発明8の構成要件8B?8Cは記載されていない。

○2 構成要件8A(「テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(8)○2の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。
○3 構成要件8B(「テレビジョン番組リストの一つを目立たせる」)
←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(8)○4の36-4違反と同様の根拠理由。
○4 構成要件8C(「グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示」)
;[3]無効理由1(8)○5の36-4違反と同様の根拠理由。
唯一対応する記載がなされているのは、分割により新たに追加された段落0009のみである。よって、原出願の出願当初の明細書には、本件特許発明8の構成要件8Cは記載されていない。

(9)本件発明9《第2訂正で削除》
○1 構成要件9A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
;(1)○2と同じ。
○2 構成要件9B(「「テレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示」)
←『番組表』(請求人解釈)、上記(6)○5と同様。

(10)本件発明10《第2訂正で削除》
;引用する本件発明9と同じ。

(11)本件発明11《第2訂正で削除》
;引用する本件発明10と同じ。

(12)本件発明12《第2訂正で削除》
○1「記憶する手段」、「表示する手段」、「配列する手段」と「表示物」 ;「電子プログラムガイド」が何らかの物が表示されている「表示物」の発明であると仮定すると、分割により新たに追加された段落0009にさえも、構成要件12Aの「記憶する手段」、構成要件12Bの「表示する手段」、構成要件12Cの「配列する手段」が「表示物」に備えられていることは開示されていない。よって、本件特許発明12は原出願の出願当初の明細書にも記載されていない。
○2 構成要件12A(「テレビジョン番組リストを電子メモリに記憶」)
;(1)○2と同じ
○3 構成要件12B(「「テレビジョン番組リストの中の幾つかをモニタースクリーンに表示」)
←『番組表』(請求人解釈);(6)○5と同じ

(13)本件発明13《第2訂正で削除》
○2 構成要件13A(「更に含む」)
;構成要件12C又は構成要件13Aに関する記載は、段落0065?0070になされているが、分割により新たに追加された段落0009を含めてみても、構成要件12Cの「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する手段」の他に更に構成要件13Aの「前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段」が設けられることについては何ら開示されていない。

(14)本件発明14《第2訂正で削除》
○2 構成要件14A14B(「順位を変えようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせる移動可能なカーソル」、「第1の位置から第2の位置に移動」)
;[3]無効理由1(14)○4の36-4,36-5-1違反と同様の根拠理由。

(15)本件発明15《第2訂正で削除》
;引用する本件発明13と同じ。

(16)本件発明16《第2訂正で削除》
○1 構成要件16E(「VCRまたはその他の記録装置に転送」)
;[3]無効理由1(16)○1の36-4違反と同様の根拠理由。
分割により新たに追加された段落0009においてのみ、構成要件16Eに関連する開示がなされているに過ぎない。構成要件16Eは原出願の出願当初の明細書には開示されていない。
○2 構成要件16B(「メモリに記憶されている複数のテレビジョン番組リスト」)
;[3]無効理由1(16)○2の36-4違反と同様の根拠理由。
○3 構成要件16B(「複数のテレビジョン番組リストをディスプレイモニターに表示」)
;[3]無効理由1(16)○3の36-41違反と同様の根拠理由。
○4 構成要件16D(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択」)
;[3]無効理由1(16)○4の36-4違反と同様の根拠理由。
○5 構成要件16A(「テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいる」)
;[3]無効理由1(16)○5の36-4違反と同様の根拠理由。

(17)本件発明17《第2訂正で削除》
;引用する本件発明16と同じ

(18)本件発明18《第2訂正で削除》
○2 構成要件18B(「そして記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加える」)
;[3]無効理由1(18)○4の36-5-1違反と同様の根拠理由。
(19)本件発明19《第2訂正で削除》
;引用する本件発明17と同じ
(20)本件発明20《第2訂正で削除》
;引用する本件発明17と同じ
(21)本件発明21〔第1訂正で削除〕;略
(22)本件発明22〔第1訂正で削除〕;略

(23)本件発明23〔21〕《第2訂正で削除》
○2 構成要件23A(「一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶すること」;分割により新たに追加された段落0009を含めてみても、本件特許明細書では説明されていない。

(24)本件発明24〔22〕《第2訂正で削除》;
○2 構成要件24A(「複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶すること」;分割により新たに追加された段落0009を含めてみても、本件特許明細書では説明されていない。
(25)本件発明25〔23〕《第2訂正で削除》
;引用する本件発明16と同じ

(26)本件発明26〔24〕《第2訂正で削除》
○1 構成要件26E(「VCRまたはその他の記録装置の記録スタックに転送」);上記(16)の○1と同様。
○2 構成要件26C(「番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ」)
;[3]無効理由1(26)○2の36-4違反と同様の根拠理由。
○3 構成要件26B(「電子メモリに記憶された複数のテレビジョン番組リスト」)←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(26)○3の36-4違反と同様の根拠理由。
○4 構成要件26B(「複数のテレビジョン番組リストを表示」)
←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(26)○4の36-4違反と同様の根拠理由。
○5 構成要件26D(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するために選択」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(26)○5の36-4違反と同様の根拠理由。
○6 構成要件26A(「テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいる」)
;上記(16)の○5と同様、[3]無効理由1(26)○6の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(27)本件発明27〔25〕《第2訂正で削除》
○2 構成要件27B「記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリに加えられる」
;[3]無効理由1(24)○4の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(28)本件発明28〔第1訂正で削除〕;略

(29)本件発明29〔26〕《第2訂正で削除》
;引用する本件発明26と同様。

(30)本件発明30〔27〕《第2訂正で削除》
○1 構成要件30C(「VCRまたはその他の記録装置に転送」)
;上記(16)の○1と同様。
[3]無効理由1(30)○1の36-4違反と同様の根拠理由。
○2 構成要件30A(「RAMから前記の複数のテレビジョン番組リストを取り出し」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(30)○2の36-4違反と同様の根拠理由。
○3 構成要件30A(「複数のテレビジョン番組リストを取り出してディスプレイモニターに表示」) ←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(30)○3の36-4違反と同様の根拠理由。
○4 構成要件30B(「複数のテレビジョン番組リストの中の一つを記録するためその一つのテレビジョン番組リストを特定」←『番組表』(請求人解釈)
;[3]無効理由1(30)○4の36-4違反と同様の根拠理由。
○5 構成要件30A(「タイトル、チャンネルそして開始時間をテレビジョン番組リスト毎に含んでいる」)
;上記(16)の○5と同様、[3]無効理由1(30)○5の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(31)本件発明31〔28〕《第2訂正で削除》
;引用する本件発明30と同様。

(32)本件発明32〔29〕《第2訂正で削除》
○2 構成要件32B(「番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリに加える);上記(18)の○2と同様。;
;[3]無効理由1(32)○4の36-5-1違反と同様の根拠理由。

(33)本件発明33〔第1訂正で削除〕;略。

(34)本件発明34〔第1訂正で削除〕;略。

[5]無効理由3の要点
略。

[6]上申書(3)(平成21年5月15日)の主張の要点
請求人は本件特許の許諾による通常実施権者であるが、訂正請求(第1訂正、平成20年7月22日被請求人提出)を承諾した事実はない。
Yahoo!、パナソニック、三菱電機は、本件特許の許諾による通常実施権者に該当することが強く推認され、SONY,日本ビクタ-、SHARP、パイオニア、日立製作所、船井電機、LG電子についても、本件特許の許諾による通常実施権者に該当する可能性があるが、上記訂正請求にあたり、これらの通常実施権者の承諾書は提出されていない。
したがって、上記訂正請求は、特許法第78条第1項の規定による通常実施権者の承諾を得ずになされたものであるから特許法第134条の2第5項で準用する同法第127条の規定に違反し不適法なもので却下されるべきである。

[7]弁駁書(平成22年2月15日)の主張の要点
第1 平成20年7月22日訂正請求(第1訂正)、平成21年12月28日訂正請求(第2訂正)は、許諾による通常実施権者の承諾書が添付されておらず、特許法第78条第1項の規定による通常実施権者の承諾を得ずになされたものであるから特許法第134条の2第5項で準用する同法第127条の規定に違反し不適法なもので却下されるべきである(甲35?甲45号証)。

ア 請求人は本件特許の許諾による通常実施権者であるが、平成20年7月22日訂正請求(第1訂正)も、平成21年12月28日訂正請求(第2訂正)も、承諾した事実はない(甲35号証、甲36号証)。
イ SONY、日本ビクター、SHARP、パイオニア、日立製作所、船井電機、LG電子についても、本件特許権の許諾による通常実施権者に該当する可能性がある(甲36号証、甲40号証、甲41号証等)が、上記訂正請求にあたり、これらの通常実施権者の承諾書は提出されていない。
ウ Yahoo!、パナソニック、三菱電機は、本件特許の許諾による通常実施権者に該当することが、強く推認される(甲36号証、甲37号証、甲38号証、甲39号証等)が、上記訂正請求にあたり、これらの通常実施権者の承諾書は提出されていない。
エ 米Tivo社は本件特許権の許諾による通常実施権者に該当する(甲42,甲43号証等)が、T i v o社の承諾書は訂正審判請求書には添付されていない。
オ さらに、また、以下の6社は本件特許権の許諾による通常実施権者に該当するものと思われる(甲44号証)が、これらの通常実施権者の承諾書は提出されていない。
(1)Hi11s Industries、(2)Samsung Electronics、(3)KDG、(4)CANAL+、
(5)Advanced Digital Broadcast、(6)FOXTEL

第2 訂正後(第2訂正)の請求項1および2について、特許法第29条第2項に基づく無効理由について職権審理を求める。

[8]上申書(4)(平成22年5月18日)の主張の要点
本件特許発明6の構成要件6Dに「時間とチャンネルの・・・変える手段を備えている」としているからといって、末尾を「電子ガイド。」とする本件特許発明6が「システム」の発明と捉えることができ明確要件違反とはいえない、との判断は、審査実務に反する。

[7]証拠方法

〈審判請求書〉
甲第7号証:特開平1-307944号公報
甲第12号証:特表平6-504165号公報(原出願の公表公報)
甲第13号証:欧州特許出願公開第0969662A1公報
甲第14号証:米国特許第5532754号明細書
甲第15号証:特表平4-500141号公報
甲第16号証:特開2001-186438号公報(本件特許の公開公報
)
甲第17号証:本件特許の平成15年9月24日付け手続補正書)
甲第18号証:原出願の拒絶査定不服審判において平成14年3月11日
に提出された意見書
甲第19号証:原出願の審決取消訴訟の原告準備書面(2)
甲第20号証:原出願の審決取消訴訟の被告特許庁の準備書面(第1回)
甲第21号証:原出願の審決取消訴訟の判決

〈口頭審理陳述要領書〉
甲第22号証:拒絶理由通知書(特願2006-000226)
甲第23号証:拒絶理由通知書(特願2006-000227)
甲第24号証:特許請求の範囲(特願2006-000226)
甲第25号証:特許請求の範囲(特願2006-000227)
甲第26号証:手続補正書(特願2006-000226)
甲第27号証:手続補正書(特願2006-000227)
甲第28号証:特許実用新案審査基準 第VIII部「特定技術分野の審査基 準」第1章「コンピュータ・ソフトウェア関連発明」
(平成5年7月20日発刊)
甲第29号証:LSIハンドブック(オーム社)の写し
甲第30号証:マイクロプロセッサ・アーキテクチャ入門(CG出版社)
の写し
甲第31号証:特許第3474143号公報の写し
甲第32号証:特許第3549724号公報の写し
甲第33号証:特許第3529805号公報の写し
甲第34号証:判決(裁判所ウェブサイト知的財産裁判例集
平成14年(行ケ)第513号)の写し

〈上申書(3)(平成21年5月15日)〉
甲第35号証:本件特許権に係る侵害訴訟の訴状の写し
甲第36号証:ジェムスターマルチメディア株式会社のホームページ
「ビジネスパートナー」の写し
甲第37号証:2006年9月14日付けジェムスターマルチメディア株式会
社のプレスリリースの写し
甲第38号証:2008年11月28日付けマクロビジョンのプレスリリースの
写し
甲第38号証の部分訳
甲第39号証:2008年3月6日付けジェムスターマルチメディア株式会
社のプレスリリースの写し
甲第39号証の部分訳
甲第40号証:フリー百科事典「ウィキペディア」のGガイドの項の写し

〈弁駁書(平成22年2月15日)〉
甲第41号証:(株)インタラクティブ・プログラム・ガイド発行の
G-Press Vol.21
甲第42号証:日経BP社専門情報サイトIT proの2003年6月10日付
記事
甲第43号証:米Tivo社と米Gemstar -TV Guide International社の
特許ライセンス契約
甲第43号証の部分訳
甲第44号証:Rovi社の2009年のプレスリリース
甲第44号証の部分訳
甲第45号証:特許庁発行「無効審判等の運用指針第2章無効審判におけ
る当事者の手続」
甲第46号証:本件特許権に係る侵害訴訟の判決の写し
甲第47号証:別件無効審判の審決の写し

〈上申書(4)(平成22年5月18日)〉
甲第43号証:特願平9-501582号の平成10年4月22日付け手 続補正補書の写し
甲第44号証:特願平9-501582号の平成13年3月29日起案の 拒絶理由通知書の写し
甲第45号証:特願平9-501582号の平成13年10月10日付け
手続補正補書の写し
甲第46号証:特許第3512195号公報
甲第47号証:特許第3673071号公報
甲第48号証:特許第3539451号公報
甲第49号証:特許第3388198号公報
甲第50号証:特許第3372004号公報
甲第51号証:特許第4331890号公報
甲第52号証:特許第3968067号公報
甲第53号証:特許第3832805号公報
甲第54号証:特許第3812671号公報
甲第55号証:特許第3566716号公報
甲第56号証:特許第3553082号公報
甲第57号証:特許第3415630号公報
甲第58号証:特許第3372004号公報
甲第59号証:特許第3363908号公報

【第4-2】被請求人の主張(答弁)

[1]答弁の趣旨
本件特許には無効理由がなく、本件審判の請求は成り立たない。
審判費用は請求人の負担とする。

[2]答弁の理由の要点

《第1》無効理由1(明細書の記載不備、特許法36条)に対して

以下に、被請求人の主張(答弁)を記す。
従属請求項については、引用する請求項が無効理由を有しているが故に同じ無効理由を有するとする請求人の主張に対する被請求人の主張は省略した。
なお、訂正請求での訂正後に項番号が変わる請求項については、第1訂正後の項番号を〔〕内に、第2訂正後の項番号を《》に記した。

(1)本件発明1《第2訂正で削除》について
○1「チャンネルの一つに目印」(36-4,36-5-1)
;構成要件1C?1Eは本件特許明細書の段落0030?0033、図2、図7、図8に記載されており、当業者は、これらの記載に基づいて、本件発明1の構成要件1C?1Eを容易に実施することができるというべきである。
請求人の主張は、「チャンネルの一つに目印を付ける」とは、「チャンネルに目で見てすぐ分かるようなしるしを付ける」と解釈することを前提にするものであるところ、そもそもこのような解釈が誤っている。。
すなわち、本件発明1の構成要件1Cの「チャンネルの一つに目印を付けるステップ」という文言の後に、構成要件1Dの「単一チャンネル形式でその目印を付けたチャンネルを表示するステップ」(下線は被請求人による)という文言があることからすると、目印を付けるというのは、次ステップの単一チャンネル形式での表示の契機となるチャンネル情報を選択することであると理解するのが技術的に正しい理解であり、何ら「目で見てすぐ分かるようなしるしを付ける」ことではない。
○2「テレビジョン番組リスト」の意義
;「テレビジョン番組リスト」という用語は、発明の構成要件の一つとして、特許請求の範囲の記載全体を考慮し技術的合理性をもって解釈すると、「テレビジョン番組を特定するための個々の番組単位の番組情報」と解釈することができる。特許明細書中の「番組リスト」、「TVリスト」、「リスト」が含まれる記載を参酌したとしても上記解釈と何ら矛盾するところはない。
○3?○5 (36-4,36-5-1)
;請求人の主張○3?○5は、「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。被請求人の上記解釈に立てば何ら多義性はなく、また、特許請求の範囲の記載の明確性実施可能要件について何ら不備は生じない。
○6「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」(36-5-1)
図2に示される例では、グリッド24上でチャンネル2で11:00AMから放送される「判事(パート1)」というタイトルの番組に対応する番組情報が「テレビジョン番組リスト」に相当する。従って、一旦「テレビジョン番組リスト」の意味を正しく解釈すれば、「テレビジョン番組リスト」という番組情報が、「判事(パート1)」というタイトルと、「11:00AMから」という放送時間と、「チャンネル2」というチャンネルとを含んでいることは当業者には自明であるというべきである。それ故、請求人の主張は理由がないというべきである。

(2)本件発明2《第2訂正で削除》について
○4「単一チャンネル形式内の別の表示タイトルに目印を付ける」(36-5-1)
;例えば、図7において、単一チャンネルガイド58の一番上の行がカーソルによって選択されている状態が例示されていることから明らかである。図7に示される例では、「チャンネル2」というチャンネルおよび「11:00AMから」という放送時間とともに「判事(パート1)」というタイトルが選択されている。それ故、請求人の主張は理由がないというべきである。

(3)本件発明3《第2訂正で削除》について
○4「目印を付けられたチャンネルに対応する番組ノート」(36-4,36-5-1)
;「番組ノート」は、「テレビジョン番組リスト」に関連付けられているものである。選択された「テレビジョン番組ガイド」は、選択されたタイトル(「ゴールデン ガールズ」)、選択された放送時間(「11:00AMから」)、選択されたチャンネル(「チャンネル4」)に対応している。従って、番組ノートオーバレイ52は、選択された「テレビジョン番組ガイド」に対応する選択された「チャンネル4」に関連付けられているというべきである。それ故、「番組ノート」は、選択された「テレビジョン番組リスト」に対応する選択された「チャンネル」に関連付けられているというべきである。
目印を付けることによって選択された「チャンネル」に対応する「番組ノート」を特定することができ、その「番組ノート」を表示することもできるというべきである。
○5「複数のテレビジョン番組リストに関連する番組ノート」(36-4,36-5-1) ;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(4)本件発明4《第2訂正で削除》について
○1「チャンネルの一つに目印」(36-4,36-5-1)
;上記(1)○1と同様。
○2?○4
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(5)本件発明5《第2訂正で削除》について
○4 構成要件5Bの「テレビジョン番組リスト」の多義性
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(6)本件発明6《第2訂正後の発明1》について
○1「発明のカテゴリー」について
;本件発明6を表示物の発明などと解する余地はなく、むしろ以下に述べるとおり、本件発明6は明らかに「システム」の発明、すなわち「物」の発明であるから、本件発明6に関して発明のカテゴリーが不明瞭であるなどということはできない。
構成要件6Dの「時間とチャンネルの・・・単一チャンネルガイドに変える手段」手段を備える「電子番組ガイド」が「システム」であることは明確である。また、構成要件6Cからも可動カーソルという「このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる」手段が読みとれる。
また、「電子番組ガイド」という用語は、現在では、「テレビ画面に番組表を表示するシステム」を意味する用語として一般的に用いられているものである(乙第1号証)。
○2?○9
;請求人が主張する「『電子番組ガイド』が『表示物』の発明である」という誤った解釈に基づく主張、「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(7)本件発明7《第2訂正で削除》について
○4「目立たせたチャンネルの番組ノート」(36-4,36-5-1)
;上記(3)の○4で述べたとおりである。
○5 本件発明6と本件発明7との不整合。(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」を目立たせることにより、その目立たせた「テレビジョン番組ガイド」に対応する「チャンネル」を目立たせることになるから、不整合はない。
○6 構成要件7A「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(8)本件発明8《第2訂正後の発明2》について
○1「信号を発生させるようにプログラムされているプロセッサ」(36-4)
;本件発明8は、構成要件8A?8Cに記載されている各機能を実現するための信号を発生するようプログラムされていることを特徴とする(構成要件8D)マイクロプロセッサである。マイクロプロセッサが所定の機能を実現するための制御を行うためには、信号を発する必要があること自体は当業者の技術常識であるから、構成要件8B?8Cが当業者が容易に実施できる程度にその構成が発明の詳細な説明に記載されている、と言えるためには、以下に示す(ア)、(イ)が発明の詳細な説明及び図面から把握できれば充分であり、構成要件8B?8Cの機能との関連で、それぞれ「・・・という信号を発した」という記載がなければならないというわけではない。
(ア)構成要件8B、8Cの機能、及び
(イ)マイクロプロセッサが構成要件8B、8Cの機能の実現が可能となるように設けられていること
上記(ア)に関して、構成要件8B、8Cの機能は、本件特許明細書の段落0030?0033、図2、図7、図8に記載されているというべきである。
上記(イ)に関して、マイクロプロセッサが構成要件8B、8Cの機能の実現が可能となるように設けられていることについては、以下のとおり。
図22を参照すると、CPU228は、IFR入力受信部264に接続されており、リモートコントローラ212からの赤外線コマンドがIFR入力受信部264によって受信され、受信された赤外線コマンドに対応する信号がCPU228に入力される。また、CPU228は、スケジュールメモリ232、ビデオ表示発生器224、ビデオスイッチャー226に接続されており、CPU228は、ビデオ表示発生器224およびビデオスイッチャー226を介してTV/モニター210への表示を制御する。
構成要件8Bの「その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる」という機能は、リモートコントローラ212のカーソルキー156(図21)が押下されたことに応答して、CPU228が、カーソルキー156に対応する信号をIFR入力受信部264を介して受信し、CPU228が、TV/モニター210の画面上でカーソルを移動させるようにビデオ表示発生器224およびビデオスイッチャー226を制御することによって実現されていることが理解される。
構成要件8Cの「グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する」という機能は、リモートコントローラ212のTV内容確認キー140(図21)が押下されたことに応答して、CPU228が、TV内容確認キー140に対応する信号(すなわち、TV内容確認要求)をIFR入力受信部264を介して受信し、CPU228が、スケジュールメモリ232に記憶されているリストを呼び出し、呼び出されたリストを処理して、ビデオ表示発生器224に出力し、ビデオスイッチャー226を経由してTV/モニター210に表示することによって実現されていることが理解される(本件特許明細書の段落0076を参照)。
以上の説明から、CPU(すなわち、マイクロプロセッサ)が構成要件8B、8Cの機能を実現するために所定の信号を発生することは明らかである。
○2?○6
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(9)本件発明9《第2訂正で削除》について
○1「複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する」(36-4)
;請求人の主張は、「『複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する』とは、字義からすると、例えば、8チャンネルの次に4チャンネルを配列するような好ましい順序に配列することも含まれる」と解釈することを前提にするものであるところ、そもそもこのような解釈が誤っているからである。請求人の解釈は、恣意的であり、何ら技術的合理性を有していない。それ故、請求人の解釈を採用すべきではない。
すなわち、本件発明9の構成要件9Aの「チャンネルカスタム化のチャンネルリスト内の複数のチャンネル」という文言があることからすると、この「チャンネルリスト内の複数のチャンネル」がチャンネルカスタム化の対象であると解するべきであり、それ故、本件発明9の構成要件9Cの「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネル」もまた、チャンネルカスタム化の対象であると解するべきである。そうすると、本件発明の構成要件9Cの「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する」とは、チャンネルカスタム化の対象である「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネル」の中から好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)を視聴者が選択することによって、カスタム化されたチャンネルリストを作成することであると理解するのが技術的に正しい理解である。
この正しい理解に基づけば、当業者は、本件特許明細書の段落0065?0070、図20に記載に基づいて、本件発明9の構成要件9Cを容易に実施することができるといえる。
すなわち、視聴者は、チャンネルカスタムスクリーン116のフィールド118に表示される複数のチャンネル(図20に示される例では、36個のチャンネル)のうちの少なくとも1つのチャンネルを選択することにより、好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)を定義することができる。「MY」チャンネルとして視聴者に選択されたチャンネル(図20に示される例では、12個のチャンネル)は、フィールド120に表示される。このように、フィールド120に表示される「MY」チャンネルは、チャンネルカスタム化の対象であるフィールド118上の複数のチャンネルから視聴者が好きなチャンネルだけを抽出して配列したものであるから、視聴者の関心と一致するように配列したものであるということができ、好きなチャンネル以外のチャンネルを省略して好きなチャンネルだけを配列したものであるから、フィールド118上の複数のチャンネルに比べて視聴者にとって「好ましい順序に」配列したものであるということができる。それ故、当業者は、本件特許明細書の段落0065?0070、図20に記載に基づいて、本件発明9の構成要件9Cを容易に実施することができるというべきである。
○2?○4
;上記(1)の○2で述べたとおり。

(10)本件発明10《第2訂正で削除》について
○3「優先順位を選択」(36-4,36-5-2)
;本件発明10は、本件発明9の「配列するステップ」を具体的にどのように実現するかを規定したものであるから、「優先順位を選択」の意義も、本件発明9の「配列するステップ」の意義に照らして理解されるべきである。そうすると、「表示される複数のチャンネルに対するチャンネルリスト内の優先順位を選択する」とは、チャンネルカスタム化の対象である複数のチャンネルの中から好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)を視聴者が選択することによって、チャンネルカスタム化の対象である複数のチャンネルのうちの個々のチャンネルに対して、相対的に高い優先順位を付与する(すなわち、「MY」チャンネルとして定義する)か、相対的に低い優先順位を付与する(すなわち、「MY」チャンネルとして定義しない)かを選択することであると理解するのが技術的に正しい理解である。
この正しい理解に基づけば、当業者は、本件特許明細書の段落0065?0070、図20に記載に基づいて、本件発明10の構成要件10Bの「優先順位を選択する」を容易に実施することができ、特許を受けようとする発明が明確に把握することができるといえる。
○4「設定された順序」(36-5-1,36-5-2)
;「設定された順序で・・・表示する」とは、チャンネルリスト内のチャンネルの各々を表示する際に、その表示する順序が設定されているという意味であることは明らかである。例えば、図20に示される例では、チャンネルカスタム化の対象であるフィールド118上の複数のチャンネルおよびフィールド120上の「MY」チャンネルが所定の順序で表示されている。
○5「時間にわたって表示する」(36-5-2)
;「時間にわたって表示する」とは、ある時間の間、表示するという意味であることは明らかである。構成要件10Bの「チャンネルリスト内の優先順位を選択する」ためには、構成要件10Aの「チャンネルリスト内の複数のチャンネルの各々」の表示を「ある時間の間」維持する必要があるからである。

(11)本件発明11《第2訂正で削除》について
;上記10と同様

(12)本件発明12《第2訂正で削除》について
○1「複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する」(36-4)
;上記(9)の○1と同様。
○2○3○6
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。
○4○5「発明のカテゴリー」等(36-4,36-5-1,36-5-2)
;上記(6)の○1と同様。

(13)本件発明13《第2訂正で削除》について
○4「前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段」(36-4,36-5-1)
;本願特許明細書の段落0068には、「初めての装備のとき、システムは、初めの12(番号順にリストアップ)」チャンネルをMY好きなチャンネルとして割り当てる」ことが記載されている。この記載から、初期のデフォルト状態では、チャンネルカスタム化の対象であるフィールド118上の複数のチャンネルのうちの最初の12個のチャンネルが、好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)として定義されることが理解される。
このように、初期のデフォルト状態においてフィールド120に表示される「MY」チャンネルは、チャンネルカスタム化の対象であるフィールド118上の複数のチャンネルから最初の12個のチャンネルを抽出して配列したものであるから、視聴者の関心とは無関係に配列したものではあるものの、最初の12個のチャンネル以外のチャンネルを省略して最初の12個のチャンネルだけを好きなチャンネルの候補として配列したものであるから、「好ましい順位に」配列したものであるということができる。それ故、本件発明13の構成要件13Aは、本件特許明細書0068に記載されているというべきであり、当業者は、この記載に基づいて、本件発明13の構成要件13Aを容易に実施することができるというべきである。
○5「更に含む」(36-5-2)
;上記○4の説明から明らかなように、本件発明13の構成要件13Aの「前記のガイドのチャンネルリストの複数のチャンネルを好ましい順位に配列するための手段」は、本件発明12の構成要件12Cの「前記のチャンネルリスト内の複数のチャンネルを視聴者の関心と一致する好ましい順序に配列する手段」とは別の手段である。従って、「更に含む」という表現は適切である。

(14)本件発明14《第2訂正で削除》について
○4「順位を変えようとする一つのチャンネルを選択して目立たさせる移動可能なカーソル」、「第1の位置から第2の位置に移動」(36-4,36-5-1) ; 上記「(9)の○1で述べたとおり、視聴者は、チャンネルカスタムスクリーン116のフィールド118に表示される複数のチャンネル(図20に示される例では、36個のチャンネル)のうちの少なくとも1つのチャンネルを選択することにより、好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)を定義することができる。「MY」チャンネルとして視聴者に選択されたチャンネル(図20に示される例では、12個のチャンネル)は、フィールド120に表示される。本件特許明細書の段落0065?0070、図2を参照。
ここで、フィールド118に表示される複数のチャンネルのうちの少なくとも1つのチャンネルを選択するために、移動可能なカーソルを用いることは当業者には自明である。また、図20に示される例では、フィールド118が本件発明14の構成要件14Bの「第1の位置」に相当し、フィールド120が本件発明14の構成要件14Bの「第2の位置」に相当する。フィールド118において好きなチャンネル(すなわち、「MY」チャンネル)として選択されたチャンネルが、フィールド120に表示されることになるからである。それ故、本件発明14の構成要件14A?14Bは、本件特許明細書0065?0070および図20に記載されているというべきであり、当業者は、これらの記載に基づいて、本件発明14の構成要件14A?14Bを容易に実施することができるというべきである。

(15)本件発明15《第2訂正で削除》について
○4、○5、○6;上記(10)の○3?○5と同様。

(16)本件発明16《第2訂正で削除》について
○1「VCRまたはその他の記録装置に転送」(36-4)
;「テレビジョン番組リスト」のデータ(すなわち、タイトル、チャンネル、開始時間に対応するデータ)が記録RAMメモリ236からVCR206に転送されることは、少なくとも、本件特許明細書の段落0077、0080、0036?0051に記載されている。
(1)チャンネル、開始時間及び長さの転送(段落0077)
段落0077には「記録コマンドをVCR206へ転送する」ことが明示されており、「コマンド」が命令を意味し、「パラメータ」がその命令を補足するものを意味することは技術常識であるところ、この記載から、記録パラメータが記録コマンドに付随してVCR206に転送されることは当業者には自明である。「コマンドが転送される」と言えば、その「コマンド」は必然的に「パラメータ」を伴って転送されると解するのが自明の理である。VCR206を用いて番組を記録するためには、VCR206は、どの番組を何時から記録するのかを知らねばならないこともまた自明の理だからである。それ故、記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)は、「記録コマンド」(段落0077)または「VCRコントロールコマンド」(段落0080)に付随してVCR206に転送されるというべきである。
(2)番組のタイトルの転送(段落0077,0036?0051)
記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)に加えて、番組のタイトルがVCR206に転送されるものであることは、
(i)番組のタイトルが、記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)とともに記録RAMメモリ236にコピーされること(VCR206への転送の準備段階として記録RAMメモリ236にコピーされること)(段落0077)、
(ii)番組のタイトルをテープに書き込むことを必要とする実施例が本件特許明細書の段落0036?0051に記載されており、番組のタイトルをテープに書き込むためには、番組のタイトルを一旦VCR等の記録装置に転送する必要があることから明らかである。
(3)記録するために(段落0043;タイトルのテープへの書き込み)
「記録するために・・・転送する」とは、番組記録前に転送されなければならないことや、番組の記録行為時においてテレビジョン番組リストが利用されなければならないことを限定するものではなく、単に「記録するために・・・転送される」と記載されているにすぎないところ、テレビジョン番組リストは番組記録のために寄与すべく転送されていればよいと解するのが自然な解釈であって、それ以上に当該文言を限定的に解するべき理由はない。そうすると、上記段落0043の記載は、請求項16における、テレビジョン番組リストの転送という構成を裏付ける記載であるといえる。
(4)段落0080(バス270を介しての転送)
段落0077に具体的に記載されている実施形態では、チャンネルコマンドがプログラマブルチューナに転送されることから、記録コマンドに付随してチャンネルに関する記録パラメータがVCR206に転送される必要はないとしても、
段落0080に記載されている実施形態のように、すべてのコマンドが同一のバス270を介してVCR206に転送される実施形態では、記録コマンドに付随して記録パラメータがVCR206に転送されるというべきである。この実施形態では、バス270以外にVCR206に命令を伝達する経路がないからである。
段落0080には、チューナ選択のためのVCRコントロールコマンド(すなわち、チャンネルコマンド)がバス270を介してVCR206に転送されることが記載されている。このチャンネルコマンドをVCR206に転送することは、「チャンネル」に対応するデータをVCR206に転送することに相当する。
また、段落0080には、パワーオン/オフのためのVCRコントロールコマンド(すなわち、パワーオン/オフコマンド)がバス270を介してVCR206に転送されることが記載されている。このパワーオン/オフのためのVCRコントロールコマンドをVCR206に転送することは、「開始時間」に対応するデータをVCR206に転送することに相当する。(口頭審理陳述要領書)

○2?○6
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(17)本件発明17《第2訂正で削除》について
○4「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(18)本件発明18《第2訂正で削除》について
○4「番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加える」(36-5-1)
;本件特許明細書の段落0080には、「記録中は、VCR206のテープインデックス位置は、CPU228へコントロール/データバス270により伝送される。この開始アドレス情報は、番組タイトルと共にテープディレクトリRAMメモリ234へ記憶される。」と記載されている。ここで、「開始アドレス情報」とは、番組の記録の開始時に測定されたテープインデックス位置(すなわち、ビデオ記録媒体の記録位置)のことであるから、その「開始アドレス情報」が、番組の記録の開始時に、テープディレクトリRAMメモリ234内のディレクトリに加えられることは当業者には自明である。従って、本件発明18の構成要件18Bの「記録のために選択された番組リストが示す番組の記録の開始時に、その測定した記録位置を前記のディレクトリに加えるステップ」は、本件特許明細書の段落0080に記載されているというべきである。

(19)本件発明19《第2訂正で削除》について
○4「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(20)本件発明20《第2訂正で削除》について
○4「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(21)本件発明21〔第1訂正で削除〕;削除する訂正を行った。

(22)本件発明22〔第1訂正で削除〕;削除する訂正を行った。

(23)本件発明23〔21〕《第2訂正で削除》について
○4○5「一つのチャンネル特定番組ガイドを記憶」(36-5-1,36-5-2)
;「一つのチャンネル特定番組ガイド」とは、「1つ」の「チャンネル特定番組ガイド」を意味し、「チャンネル特定番組ガイド」とは、特定のチャンネルがリストアップされた番組ガイドをいう。本件特許明細書の段落0025には、「図1-3及び図5-6は、テレビジョンスケジュールグリッド24のチャンネルコラム54を示す。好きな局及びケーブルチャンネルは、個人の好みに合わせたグリッドガイドを作成するため、一緒にリストされる。」と記載されており、本件特許明細書の段落0026には、「グリッド24ガイドは、局番号、ケーブル名の好きな組み合わせによってチャンネルをリストしていて、通常の番号順ではリストアップされていない。」と記載されている。これらの記載から、個人の好みに合わせた1つ以上のグリッドガイドが存在することが理解される。それ故、「1つ」の「チャンネル特定番組ガイド」は、本件特許明細書の段落0025、0026に記載されているというべきである。
「チャンネル特定番組ガイド」はスクリーンに表示されるものであるから、「チャンネル特定番組ガイド」を記憶することが必要とされることは当業者には自明である。
○6「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(24)本件発明24〔22〕《第2訂正で削除》について
○4○5「複数のチャンネル特定番組ガイドを記憶」(36-5-1,36-5-2)
;「複数のチャンネル特定番組ガイド」とは、「複数」の「チャンネル特定番組ガイド」を意味し、「チャンネル特定番組ガイド」とは、特定のチャンネルがリストアップされた番組ガイドをいう。本件特許明細書の段落0025には、「図1-3及び図5-6は、テレビジョンスケジュールグリッド24のチャンネルコラム54を示す。好きな局及びケーブルチャンネルは、個人の好みに合わせたグリッドガイドを作成するため、一緒にリストされる。」と記載されており、本件特許明細書の段落0026には、「グリッド24ガイドは、局番号、ケーブル名の好きな組み合わせによってチャンネルをリストしていて、通常の番号順ではリストアップされていない。」と記載されている。これらの記載から、個人の好みに合わせた1つ以上のグリッドガイドが存在することが理解される。それ故、「複数」の「チャンネル特定番組ガイド」は、本件特許明細書の段落0025、0026に記載されているというべきである。
「チャンネル特定番組ガイド」はスクリーンに表示されるものであるから、「チャンネル特定番組ガイド」を記憶することが必要とされることは当業者には自明である。
○6「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(25)本件発明25〔23〕《第2訂正で削除》について
○4○5
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(26)本件発明26〔24〕《第2訂正で削除》について
○1「VCRまたはその他の記録装置の記録スタックに転送」(36-4)
;上記(16)の○1と同様。
○2「番組タイトルと記録位置を含む、ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ」(36-4)
;(i)構成要件26Gの「ビデオ記録媒体にテレビジョン番組を記録し、そしてインデックスを付けるシステム」という記載から、ビデオ記録媒体に記録されるのは、テレビジョン番組(すなわち、番組)であると理解されること、(ii)本件発明26の構成要件26Fの「前記のディレクトリ」、本件発明26を引用する本件発明27の構成要件27Bの「前記のディレクトリ」という記載から、「番組ディレクトリ」が一語ではなく、「番組」と「ディレクトリ」とが別々に観念されていることが理解されること、(iii)本件特許発明17の構成要件17Aの「ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成する」という記載、本件特許発明21の構成要件21Aの「ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成する」という記載、本件特許発明22の構成要件22Aの「ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリを生成する」という記載、本件特許発明31の構成要件31Aの「ビデオ記録媒体に記録される番組のディレクトリを生成する」という記載が存在することなどを総合的に勘案すると、本件特許発明26の構成要件26Cの「ビデオ記録媒体に記録された番組ディレクトリ」は、「ビデオ記録媒体に記録された番組のディレクトリ(すなわち、記録済みの番組のディレクトリ)」と解釈すべきである。
この正しい解釈に基づけば、本件発明26の構成要件26Cは本件特許明細書の段落0036?0045に記載されているといえる。それ故、請求人の主張は理由がないというべきである。
○3?○7
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。
上記(1)の○2で述べたとおりである。

(27)本件発明27〔25〕《第2訂正で削除》について
○4「記録するために選択されたテレビジョン番組リストが示している番組の記録の開始時にその測定された記録位置が前記のディレクトリに加えられる」(36-5-1) ;(18)の○4と同様。
○5「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈」に基づく主張である。

(28)本件発明28〔第1訂正で削除〕;削除する訂正を行った。

(29)本件発明29〔26〕《第2訂正で削除》について
;上記26と同様。

(30)本件発明30〔27〕《第2訂正で削除》について
○1「VCRまたはその他の記録装置に転送」(36-4)
;上記(16)の○1と同様。
○2?○6
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(31)本件発明31〔28〕《第2訂正で削除》について
○4「テレビジョン番組リスト」の多義性(36-5-2)
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(32)本件発明32〔29〕《第2訂正で削除》について
○4「番組の記録の開始時にその測定された記録位置をディレクトリに加える」(36-5-1) ;(18)の○4と同様。
○5「テレビジョン番組リスト」の多義性
;「テレビジョン番組リスト」の誤った解釈に基づくものである。

(33)本件発明33〔第1訂正で削除〕;削除する訂正を行った。

(34)本件発明34〔第1訂正で削除〕;削除する訂正を行った。

《第2》無効理由2(分割不適法、出願日不遡及を前提とする
進歩性新規性欠如、特許法第29条第2項・第1項)に対して

1 出願日の不遡及の主張について
「本件特許明細書の段落0010?0084は原出願の出願当初の明細書と参照番号の修正など形式的な修正を除いて同一であり」と請求人が自認している(審判請求書の第148頁5行目?6行目)とおり、実際、本件特許明細書の段落0010?0084は原出願の出願当初の明細書と参照番号の修正など形式的な修正を除いて同一である。
上記《第1》において詳述したように、「本件発明1?20、23?27、29?32に係る特許が特許法第36条の規定に違反しておらず、無効でもない」という被請求人の主張は、本件特許明細書の段落0010?0084の記載によって裏付けられている。従って、上記被請求人の主張は、原出願の出願当初の明細書の記載によって裏付けられているというべきである。それ故、本件特許の出願日は原出願の出願日まで遡及するというべきである。

2 請求人の新規性進歩性欠如の主張は、「本件特許の出願日は原出願の出願日まで遡及しない」という誤った前提に基づくものである。それ故、請求人の主張は理由がないというべきである

3 請求人が主張する本件発明16?20、23?27、29?32《いずれも第2訂正で削除》と甲第7号証発明との一致点、相違点の認定の誤りについて
(1)本件発明16《第2訂正で削除》について
本件特許発明16では、「データファイル」は、「テレビジョン番組リスト毎にタイトル、チャンネルそして開始時間を含んでいる」ものとして規定されている。従って、このデータファイルから転送される「テレビジョン番組リストのデータ」は、「タイトル、チャンネル、開始時間に対応するデータ」であって、「タイトル」を含むが、甲第7号証のどこにも、選択された番組を録画することを目的として、タイトルに対応するデータを転送することを示唆する記載は存在しない。したがって、甲第7号証発明は、本件発明16が備える構成要件16Eを備えていない、という相違点がある。
この相違点により、本件発明16によれば、選択された番組の録画が完了した後に、録画済みの番組のタイトルを一覧にして表示することができるという甲第7号証発明によっては達成することができない有利な効果を達成することができる。
甲第7号証において、番組表の一部を表すデータがROM32からRAM53に転送されるものの、この番組表の一部を表すデータの転送の目的は、カーソルの位置を中心とした一画面分の番組データをテレビ受像機5に表示することであって(甲第7号証の記載イ、ウ、オを参照)、選択された番組を録画することが番組表の一部を表すデータの転送の目的ではない。従って、たとえ番組表の一部を表すデータがタイトルに対応するデータを含んでいたとしても、そのタイトルに対応するデータを転送することの目的は、番組表の一部をテレビ受像機5に表示することであって、選択された番組を録画することではない。
(2)本件発明17?20、23?25《いずれも第2訂正で削除》について
本件発明16について(1)で上述した理由と少なくとも同一の理由から、無効理由は存在しないというべきである。
(3)本件発明26《第2訂正で削除》について
本件発明26は、本件発明16について上述した特徴と実質的に同一の特徴を規定する。従って、本件発明16について上述した理由と少なくとも同一の理由から、無効理由は存在しないというべきである。
(4)本件発明27、29《いずれも第2訂正で削除》について
本件発明27、29は、本件発明26に従属する。従って、本件発明26について上述した理由と少なくとも同一の理由から、無効理由は存在しないというべきである。
(5)本件発明30《第2訂正で削除》について
本件発明30は、本件発明16について上述した特徴と実質的に同一の特徴を規定する。従って、本件発明16について上述した理由と少なくとも同一の理由から、無効理由は存在しないというべきである。
(6)本件発明31?32《第2訂正で削除》について
本件発明31?32は、本件発明30に直接的または間接的に従属する。従って、本件発明30について上述した理由と少なくとも同一の理由から、無効理由は存在しないというべきである。

《第3》無効理由3(要旨変更(特許法第40条)を前提とする、進歩性新規性欠如、特許法第29条第2項・第1項)に対して

被請求人は、本答弁書と同日付で提出した訂正請求において請求項33、34を削除する訂正を行った。この訂正により、平成15年9月24日付け手続補正による補正は明細書の要旨を変更するものではないというべきである。それ故、当該補正の遡及効が認められるべきである。
請求人の新規性進歩性欠如の主張は、「本件特許の出願日は手続補正書が提出された平成15年9月24日にしたものとみなされる」という誤った前提に基づくものである。それ故、請求人の主張は理由がないというべきである。

[3]証拠方法

(1)「電子番組ガイド」はテレビ画面に番組表を表示するシステムを意味する用語として一般的に用いられていることを乙第1号証により立証し、「CPU」はCentral Processing Unitの略称であり、マイクロプロセッサの別称として当業者に広く知られていることを乙第2号証により立証する。
(2)証拠の表示
〈答弁書〉
乙第1号証:IT用語を解説したウェブサイト(作成者:株式会社
インセプト、作成年月日:平成12年2月12日)
乙第2号証:インテル株式会社のウェブサイト(作成者:インテル
株式会社、作成年月日:不明)

〈口頭審理陳述要領書〉
乙第3号証:「マグローヒル科学技術用語大辞典(第3版)」の抜粋
の写し
乙第4号証:特許公報(特許第3449571号)の写し
乙第5号証:特許公報(特許第3254550号)の写し
乙第6号証:特許公報(特許第3003584号)の写し
乙第7号証:特許公報(特許第3378730号)の写し
乙第8号証:判決(平成17年(行ケ)第10042号
特許取消決定取消請求事件)の写し
乙第9号証:特許・実用新案審査基準(目次、第I部第1章2?5頁、
16?17頁)の写し


【第5】本件第2訂正請求(平成21年12月28日訂正請求)について(当審の判断)

[1]訂正内容

被請求人が求める第2訂正請求(平成21年12月28日訂正請求)は、特許法第134条の3第5項の規定により、上記訂正審判(訂正2009-390130号)の審判請求書に添付された訂正明細書(「訂正明細書2」)を援用するものであって、この訂正前の願書に添付した明細書を「訂正明細書2」のとおり訂正することを求めるものであるところ、
前記【第1】[3]のとおり、既に「第1訂正」は形式的に確定しているから、この訂正前の願書に添付した明細書は上記「第1訂正」後の明細書であり、したがって、本件第2訂正請求は、上記「第1訂正」後の明細書(訂正明細書1)を「訂正明細書2」のとおり訂正することを求めるものである。
すなわち、上記「【第2】[3]第1訂正後の特許請求の範囲」に記載したとおりの特許請求の範囲の請求項1?29(第1訂正後)を、上記【第3】に記載したとおりの特許請求の範囲の請求項1及び2とするものである。

その訂正の内容は、
(1)訂正前の請求項1?5,7,9?29を削除する
(2)上記削除に伴い、請求項番号を1から順の番号に整合するため、
請求項6(訂正前)を請求項1(訂正後)に、
請求項8(訂正前)を請求項2(訂正後)に、
それぞれ繰り上げる
ものである。

[2]訂正内容の適否判断

上記内容の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、本件第2訂正は、特許法第134条の2ただし書きに適合し、同条第5項において準用する同法第126条第3項、第4項の規定に適合する。
(なお、本件第2訂正前の本件の出願日は、平成12年10月20日と判断される(第1次審決)ことから、特許法第134条の2が適用される。)

[3]通常実施権の承諾について

〈請求人の主張〉

請求人は、本件特許権には通常実施権者があることを立証する証拠として甲35?甲44号証を提出し、これらを根拠に、本件特許権についての許諾による通常実施権者が存在するとし、
上記訂正請求は当該通常実施権者の承諾を得ずになされたものであるから不適法なものとして却下するべきであると主張する{前記【第4-1】[7]弁駁書の主張 第1}。

請求人が存在すると主張する、本件特許権についての許諾による通常実施権者は、以下ア?オの各社である。
ア 請求人自身
イ SONY、日本ビクター、SHARP、パイオニア、日立製作所、
船井電機、LG電子
ウ Yahoo!、パナソニック、三菱電機
エ 米Tivo社
オ 以下の6社
(1)Hi11s Industries、(2)Samsung Electronics、(3)KDG、(4)CANAL+、
(5)Advanced Digital Broadcast、(6)FOXTEL

〈検討〉
まず、登録原簿によれば、本件特許権について登録された通常実施権者は存在しない。
許諾による通常実施権者には、専用実施権者の許諾によるもの(特許法第77条第4項)と特許権者の許諾によるもの(特許法第78条第1項)があるところ、
登録原簿によれば本件特許権についての専用実施権者は存在しないので、本件特許権について許諾による通常実施権者が存在するとすれば、それは、後者の特許権者の許諾によるもの、すなわち、特許権者である被請求人自身が本件特許権について通常実施権を許諾した他人(通常実施権者)に限られる。
よって、本件第2訂正請求につき、存在し得る、承諾を必要とする通常実施権者は、本件特許(特許第3600149号)の特許権者が、本件特許(特許第3600149号)について実施の許諾をした者のみということになり、 したがって、そのような通常実施権者が存在するといえるためには、本件特許(特許第3600149号)の特許権者が、本件特許(特許第3600149号)について他人である通常実施権者に実施の許諾をした事実が認められなければならない。

しかしながら、請求人が提出した甲35?甲44号証は、以下にみるように、本件特許の特許権者と上記通常実施権者であると主張する他人との間で交わされた、本件特許の特許権者が本件特許(特許第3600149号)について当該他人に実施を許諾をする契約書(以下『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』ともいう)ではなく、またはそのような契約書に代わるもの(これら当事者間で交わされた上記契約の存在を立証し得るもの)と認めらないことは明らかであり、上記事実を確認できない。
したがって、上記通常実施権者であると主張する他人(上記ア?オの各社)が、本件特許の特許権者が本件特許(特許第3600149号)について実施を許諾した者であることは確認できず、本件特許についての通常実施権者を確認できない。

〈甲35号証?甲44号証について〉

(ア)甲35号証、甲36号証について
・甲35号証は、
本件特許に係る侵害訴訟(平成19年(ワ)第27187号)の訴状の写しであり、その中で、原告である本件被請求人が、
被請求人の親会社であるGemstar?TV Guide International,Inc.は、その(Gemstar?TV Guide International,Inc.の)保有する特許権及び技術について、ライセンスを行っていること、
「Gガイド」という電子番組ガイドの提供を行っていること、
等を述べていることが認められる。

・甲36号証は、
GML:GEMSTAR Multimedia(ジェムスタ-マルチメディア株式会社)のウエブサイトの「ビジネスパートナー」と題されたページの写しであり、
そこには、「Gガイドを運用するためには」、「受信機(GガイドのEPG技術の特許)」が必要である、
との記載が認められる。

しかし、これらの甲号証は、いずれも上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、これら甲35,36号証と後記する他の甲37号証?甲44号証を合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できない。

(イ)甲37?39号証について
・甲37号証は、
GML:GEMSTAR Multimedia(ジェムスタ-マルチメディア株式会社)のウエブサイトの「Gemstar-TV Guide、Yahoo!と特許ライセンス契約を締結 2006.09/14」と題されたページの写しであり、
そこには、Gemstar-TV Guide International,Inc.(ジェムスターTVガイドインターナショナル)がYahoo!Inc.と特許ライセンス契約を締結しました、
この契約により、Yahoo!から提供される電子番組表に関するGemstar-TV Guideの保有する特許をYahoo!にライセンスします、
との記載が認められる。

・甲38号証は、
Macrovision Solutions Corporation(マクロビジョンソリューションズコーポレーション)のウエブサイトの、プレスリリースの写しであり、
そこには、
「マクロビジョンがパナソニックとの新しいライセンス契約に署名」(題)、
2008年11月28日-Macrovision Solutions Corporation(マクロビジョンソリューションズコーポレーション)は、本日、パナソニック株式会社とのライセンス契約を発表した、
この複数年契約は、パナソニックのケーブルセットトップボックス(STB)中のインタラクティブ・プログラム・ガイド(IPG)に対する特許ライセンスを提供する、
この契約のもと、パナソニックおよびマイクロビジョンは、パナソニックのSTB向けのG-ガイドのケーブルバージョンを開発するために互いに取り組む。これは、日本のケーブル市場向けの最初のGガイドIPGサービスになる、
との記載が認められる。

・甲39号証は、
GML:GEMSTAR Multimedia(ジェムスタ-マルチメディア株式会社)ののウエブサイトのプレスリリースの写しであり、
そこには、
2008年3月6日-Gemstar-TV Guide International,Inc.(ジェムスターTVガイドインターナショナル)は、本日、新たな、日本の三菱電機株式会社との複数年ライセンス契約を発表した、
三菱電機は、ジェムスターTVガイドのGガイド インタラクティブ・プログラム・ガイド(IPG)技術を、日本における三菱電機のデジタルテレビおよびデジタルビデオ録画装置に組み込むために現在のライセンスを拡張した、
IPGは、以前に発表されているパナソニックとのライセンス契約のもと、日本におけるデジタルテレビおよびデジタルビデオ録画装置に既に組み込まれている、
との記載が認められる。

しかし、これら甲37?39号証は、いずれも上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、上記甲35,36号証と合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できない。

(ウ)甲40号証、甲41号証について
・甲40号証は、
フリー百科事典ウェブサイト「ウィキペディア」のGガイドの項の写しであり、
そこには、Gガイド(ジェムスタTVガイド・インターナショナルの独自技術に基づき、インタラクティブ・プログラム・ガイド社が提供するEPGサービス)を搭載した受信機メーカーとして、「パナソニック、SONY、日本ビクター、三菱電機、SHARP、パイオニア、日立製作所、船井電機、LG電子」が挙げられている。

・甲41号証は、
(株)インタラクティブ・プログラム・ガイド発行のG-PRESS Vol.21(2004.3.12)の写しであり、
そこには、「2004年2月27日、パイオニアは、北米、日本および欧州でGemstar IPGを自社製品に搭載する複数年ライセンス契約の締結しました。この契約には、北米でのデジタルケーブル製品にGemstar IPG技術が使用できる特許ライセンスが含まれています。」
と記載されている。

しかし、これら甲40、41号証は、いずれも上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、上記甲35,36号証と合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できない。

(エ)甲42号証、甲43号証について
・甲42号証(http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20030610/6/)は、
日経BP社のウェブサイト「ITpro」2003年6月10日付の記事「米TiVoと米Gemstar-TV Guide Internationalが技術提携,特許侵害の訴訟取り下げで合意:ITpro.files」の写しであり、
そこには、米TiVo社と米Gemstar-TV Guide International社は,両社のコンテンツと特許技術に関して提携すること、
TiVo社は,Gemstar-TV Guide社の電子番組ガイド(EPG)に関する特許技術のライセンス供与を受け,Gemstar-TV Guide社はTiVoにコンテンツを提供すること、
との記載が認められる。

しかし、甲42号証は、上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、上記甲35,36号証と合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できるものでもない。

・甲43号証(url:http://contracts.onecle.com/tivo/gemstar.lic.2003.06.06.shtml)は、
「onecle」のウエブサイト
「Sample Contracts - Interactive Program Guide License Agreement - Gemstar-TV Guide International Inc_ and TiVo Inc_ - Business Agreements.files」のページ
(「Home」-「Business Contract」-「Sample Business Contract」-「Featured Directories of License Agreements」-「Interactive Program Guide License Agreement - Gemstar-TV Guide International Inc. and TiVo Inc. (Jun 6, 2003) 」)の写しであり、
そこには、「TiVo Interactive Program Guide License Agreement」(TIVO インターラクティブプログラムガイドライセンス契約)と題されたもので、
・「2003年6月6日の発効日(「EFFECTIVE DATE」)を有するこのインターラクティブプログラムガイドライセンス契約(「AGREEMENT」)は、そのSUBSIDIARIESのすべてを含むジェムスターTVガイドインクーナショナルインク(以後、集合的に「GEMSTAR」として呼ぶ)と、そのSUBSIDIARIESのすべてを含むTivoインク(以後、集合的に「TIVO」として呼ぶ)とにより、そしてこれらの間で結ばれた。以後、以下のように合意した者を、時として、個別に「PARTY」と呼び、集合的に「PARTIES」と呼ぶ。」、
・「2.14「GEMSTAR IPG-RELATED PATENTS」は、
(a)米国特許第4、706、121号、および
(b)GEMSTARまたはそのSUBSIDIARIESのいずれかが、TERM間におけるEFFECTIVE DATEまたはその後の時点で所有するあらゆるすべてのIPG-RELATED PATENTS、および
(c)ライセンスを許可するこのような権利がこのAGREEMENTに述べられている許可の範囲と矛盾しないことを条件として、第三者に対してライセンスを許可するための権利をGEMSTARがTERM間に取得する、あらゆる他のすべてのIPG-RELATED PATENTS を意味する。」、
・「3.1 GEMSTAR IPG-RELATED PATENTSの許可
(a)TIVO PVR DEVICES GEMSTARは、ここに述べる条件のTIVOによる継続的な遵守を条件として、TERMの間、TIVOに対して許可する
(i)GEMSTAR IPG-RELATED PATENTSの下で、TIVO PVR DEVICESを作る、および、TIVO PVR DEVICESを作らせるための、ワールドワイドの非排他的で(セクション10.11に述べることを除いて)譲渡できない製造権利
(ii)GEMSTAR IPG-RELATED PATENTSの下で、このようなTIVO PVR DEVICES、GEMSTAR AUTHORIZED TIVO IPGおよびTERRITORY内でのTIVO SERVICEにのみ関連して、このようなTIVO PVR DEVICESを輸入し、販売し、貸し渡し、販売またはTRANSFERの申し出するための、非排他的で(セクション10.11に述べることを除いて)譲渡できない権利」
等の記載を含むものが認められる。

しかしながら、この甲43号証における「TiVo Interactive Program Guide License Agreement」(TIVO インターラクティブプログラムガイドライセンス契約)と題されたものは、
あくまで、「ビジネス契約の見本(Sample Business Contract)」として、「ライセンス契約(License Agreements)」の見本(sample)の1つとして掲げられたものであって、真正の契約書とはいえないことは明らかであり、上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、上記甲42号証、甲35,36号証と合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できるものでもない。

(オ)甲44号証について
・甲44号証は、
Rovi社のウエブサイトの、2009年プレスリリースの写しであり、
そこには、
・「2009年12月10日 Hills Industries LimitedとRoviがIPG特許ライセンス契約にサイン」
・「2009年8月17日 RoviがSamsung Electronics とのインターラクティブプログラムガイド技術ライセンス契約にサイン」
・「2009年8月10日 KDGがNDS合意の下、RoviのEPG特許ライセンスプログラムに加入」
・「2009年7月13日 CANAL+GroupがMacrovisionのEPG特許ライセンスプログラムに加入」
・「2009年7月9日 MacrovisionとAdvanced Digital Broadcastが特許ライセンス契約にサイン」
・「2009年7月2日 FOXTELがNDS合意の下、MacrovisionのEPG特許ライセンスプログラムに加入」
と題された記事の記載が認められる。

しかし、甲44号証は、上記『本件特許の特許権者が本件特許について実施許諾した契約書』またはこれに代わるものではないし、上記甲35,36号証等と合わせてみても、上述した実施を許諾した契約の存在を立証し得るとはいえず、上記事実を確認できない。

(カ)以上のように、上記甲35号証?甲44号証は、いずれも、
本件特許の特許権者と上記通常実施権者であると主張する他人との間で交わされた、本件特許の特許権者が本件特許(特許第3600149号)について当該他人に実施を許諾をする契約書ではなく、またはそのような契約書に代わるもの(これら当事者間で交わされた上記契約の存在を立証し得るもの)と認めらないことは明らかであり、上記事実を確認できない。

〈結論〉
そして、他に、本件特許権についての通常実施権者の存在を認め得る証拠はなく、本件特許権についての許諾による通常実施権者があるとはいえない。
以上のとおりであるから、本件第2訂正請求は通常実施権者の承諾を得ずになされたものであるから不適法なものとして却下すべきである、とすることはできない。

[4]むすび(訂正の採否)
以上のとおりであるから、本件第2訂正は、特許法第134条の2ただし書きに適合し、同条第5項において準用する同法第126条第3項、第4項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。
(なお、本件第2訂正前の本件の出願日は、平成12年10月20日と判断される(第1次審決)ことから、特許法第134条の2が適用される。)

よって、本件第2訂正を認める。

【第6】本件各発明

上記の如く、本件第2訂正を認めることから、本件特許の請求項1および請求項2に係る発明は、訂正明細書2及び設定登録時の図面の記載からみて、訂正明細書2の特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載のとおりのものである(【第3】特許請求の範囲の記載(第2訂正後、訂正明細書2))。

訂正明細書2の特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載のとおりの本件特許の請求項1および請求項2に係る発明を、改めて、以下、「本件発明1」、「本件発明2」という。

〈構成要件の分説〉
そして、以下での検討の便宜上、例えば、本件発明1の構成要件を下記のとおり1A?1Eのように、本件各発明の構成要件を下記のとおり分説する。

記(本件発明1、2の構成要件の分説)
「【請求項1】
1A タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 のテレビジョン番組リスト、
1B このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャン ネルのグリッドガイド、
1C このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを 選択して目立たさせる可動カーソル、そして
1D 時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン 番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段を備 えている
1E ことを特徴とする電子番組ガイド。

【請求項2】
2A テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャ ンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶した テレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
2B その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号 を発生し、そして
2C グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たさ れたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生する
2D ようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。」


【第7】無効理由について(当審の判断)

【第7-0】無効理由について検討を要する請求項

形式的確定している第1訂正により、登録時の請求項21,22、28,33,34は削除されたので、これらの請求項についての請求人の主張する前記の無効理由1(記載不備)、無効理由2(分割不適法前提29-1,29-2)、無効理由3(要旨変更前提)はいずれも検討を要しない。

また、前記のとおり、本件第2訂正を認めることから、
第2訂正前の請求項1?5,7(登録時の請求項1?5、7)、
第2訂正前の請求項9?20(登録時の請求項9?20)、
第2訂正前の請求項21?25(登録時の請求項23?27)、
第2訂正前の請求項26?29(登録時の請求項29?32)
は削除されたので、これらの請求項についての請求人の主張する前記無効理由1,2,3についても検討を要しない。

したがって、無効理由1、2,3について検討を要するのは、第2訂正後の請求項1(本件発明1)および請求項2(本件発明2)のみである。
そして、これら本件発明1、2は、それぞれ、登録時(および第2訂正前)の請求項6、請求項8と同じであるから、上記「【第4】当事者の主張」において登録時本件各発明を指していう、「本件発明6」(請求項6)、「本件発明8」(請求項8)は、本項【第7】以降においては、それぞれ下記のように、(本件第2訂正後)「本件発明1」、「本件発明2」をいうものと読み替える。

記(第2訂正後の請求項番号の対応)
第2訂正後 登録時/第1訂正後
本件発明1(請求項1) 本件発明6(請求項6)
本件発明2(請求項2) 本件発明8(請求項8)

【第7-1】無効理由1(明細書の記載不備、特許法第36条)について

〈特許法第36条の要件について〉
特許法第36条の要件は、いわゆる実施可能要件、サポート要件、発明の明確要件の規定であるところ、
本件の場合、分割が不適法か否か(無効理由2-2中の請求人の主張)により適用法が異なり、分割が適法の場合平成6年改正前特許法36条が、分割が不適法の場合平成6年改正特許法36条が適用されることになる。
実施可能要件:
平成6年改正前特許法も、平成6年改正特許法も共に、第36条4項
規定ぶりは、若干異なる。
サポート要件:
平成6年改正前特許法 第36条5項1号
平成6年改正特許法 第36条6項1号
規定ぶりは同じ。
発明の明確要件:
平成6年改正前特許法 第36条5項2号
平成6年改正特許法 第36条6項2号
規定ぶりは、若干異なる。

《明確要件について》
平成6年改正第36条6項2号の規定は、発明の詳細な説明に多面的に記載されている発明のうち、どの発明について特許を受けようとしているのかを、出願人の意思により、特許請求の範囲に明示すべきことを要求しているものであり、一つの請求項に基づいて特許を受けようとする発明がまとまりのある一つの技術的思想として明確に把握できるべく、特許請求の範囲には、「特許を受けようとする発明が明確であること」を要求するものであり、
この点、平成6年改正前特許法(平成6年法律第116号による改正前の特許法)第36条5項2号においては、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項」を明確に記載することを要求するものであり、平成6年改正第36条6項2号の規定ぶりとは異なるものの、その解釈は上記平成6年改正特許法第6項第2号と変わりはない。
そして、特許請求の範囲の記載は,できる限り,それ自体で,特許出願に係る発明の技術的範囲が明確になるように記載されるべきではあるものの、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載のみならず、発明の詳細な説明の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか、という観点から判断されるというべきである。
《サポート要件について》
また、サポート要件の規定は、そのように出願人の意思により特許請求の範囲に記載した発明が、発明の詳細な説明に記載されたものであることをその要件として要求するものであり、発明の詳細な説明に記載されたものであるか否かは、
特許請求の範囲に記載した技術思想が、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として、発明の詳細な説明に記載された目的・課題を解決するための、実施例等によって開示された技術事項の範囲を超えていないか(上位概念化されているとしても同技術事項から理解・把握できる範囲を超えていないかの点を含む)、と言う観点から判断されるべきものである。
実施可能要件について》
平成6年改正第36条第4項の規定は、同じくそのように出願人の意思により特許請求の範囲に記載した発明が、発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであることをその要件として要求するものであるところ、
この要件は、上記第6項第2号の規定と同じく、発明の詳細な説明のみならず、当業者の出願当時における技術的常識を基礎として判断されるべきでものであり、
この点、平成6年改正前特許法第36条第4項においては、発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に、当該発明の目的、構成及び効果を記載することをその要件として要求するものであり、平成6年改正第36条第4項の規定ぶりとは若干記載ぶりは異なるものの、その解釈は上記平成6年改正特許法第36条第4項と変わりはない。

以下、上述した記載不備の各要件の解釈を踏まえて、無効理由1について検討する。

〈適用法〉
そして、後記【第7-2】[1]の検討結果によれば、第2訂正後本件特許出願の出願日は、原出願の出願日である平成3年9月10日まで遡及するから、特許法第36条の明確要件,サポート要件,実施可能要件については、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号,第5項第1号,第4項が適用されることになる。

〈請求人の主張について(整理)〉
請求人の主張する無効理由1は、前記【第4-1】請求人の主張の[2](1)で、その要点は前記【第4-1】[3]のとおりであるところ、
本件発明1、2(本件第2訂正後請求項1、2)は、それぞれ、登録時発明6、8と同じであるから、
本件発明1(登録時発明6)、本件発明2(登録時発明8)についての主張の要点は、それぞれ、前記【第4-1】[3]無効理由1の(6)の○1?○9、(8)の○1?○6である(下記に整理して示す)。

記(発明毎の各主張項目・条文一覧)
本件発明1(登録時発明6)について
○1 36-5-2 ←「電子番組ガイド」カテゴリ不明
○2 36-4,36-5-1 ←「電子番組ガイド」は「表示物」
○3 36-4,36-5-1,36-5-2 ←「電子番組ガイド」は「表示物」
○4 36-4,36-5-1,36-5-2 ←「グリッドガイド」等は「表示物」
○5 36-4,36-5-1,36-5-2 ○2?○4のまとめ
○6 36-4,36-5-1 ←『番組表』(請求人解釈)前提
○7 36-4,36-5-1 ←『番組表』(請求人解釈)前提
○8 36-5-1 ← 要件1Aのサポート要件
○9 36-5-2 ←多義性(『番組表』と『番組(項目)、
表示物と情報(データ))』
本件発明2(登録時発明8)について
○1 36-4 ←「プログラムされたマイクロプロセッサ」
○2 36-4,36-5-1 ←『番組表』(請求人解釈)前提
○3 36-4,36-5-2 ←『番組表』(請求人解釈)前提
○4 36-4 ←『番組表』(請求人解釈)前提
○5 36-4 ←1つのタイトルを単一チャンネル形式で表示
○6 36-5-2 ←多義性(表示物と情報(データ))

[0]「テレビジョン番組リスト」について

請求人は、無効理由1中、本件各発明の「テレビジョン番組リスト」は、情報やデータではなく、「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』)と解釈すべきであるとし、この解釈(『番組表』解釈)を前提とする記載不備を繰り返し主張している。
また、「テレビジョン番組リスト」は、そのような『番組表』とも、被請求人の主張する「テレビジョン番組を特定するための個々の番組単位の番組情報」とも解され、多義であるから発明不明確であると主張している。

そこで、「テレビジョン番組リスト」の意義(いかに解釈されるべきか)、また不明確か否か、についてまず検討する。
また、合わせてそのように解釈される「テレビジョン番組リスト」について発明の詳細な説明中に記載されているか、裏付けされているかについても検討する。

(1)「テレビジョン番組リスト」の意義、明確性について

請求人が主張するとおり、一般に「リスト」とは「一覧表」を意味するから、「テレビジョン番組リスト」とは、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味する用語である、とはいい得るものである。
しかしながら、であるからといって、本件各発明でいう「テレビジョン番組リスト」も必ず、そのような「テレビジョン番組表」と解釈しなければならない、という訳ではない。
特許請求の範囲記載の用語の意義は、特許請求の範囲の記載の全体、発明の詳細な説明の記載及び図面も考慮して解釈されるべきものであるからである。
そして、特許請求の範囲の請求項1の最初に、「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」(構成要件1A)との記載があり、この記載は、「テレビジョン番組リスト」が「テレビジョン番組表」ではなくて「テレビジョン番組表にリストされる番組項目」という解釈にまさに適合する記載表現であり、また、このような解釈が、上記一般的な意味である「テレビジョン番組表」からかけ離れた解釈でもないことは明らかである。
本件各発明でいう「テレビジョン番組リスト」は、後者の意味(番組項目)で使用されていることも十分あり得ることといえ、後者の解釈が合理的である一方、前者の解釈が全く不合理であるならば、当業者は後者の意味と普通に理解し、前者の意味に理解し得ないというべきである。

そこで、本件発明でいう「テレビジョン番組リスト」がいかに解釈されるべきか、
特に、「テレビジョン番組リスト」が、
請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』(請求人解釈))と、
被請求人の主張する「テレビジョン番組を特定するための個々の番組単位の番組情報」
の、2通りの意味に解釈でき不明確であるか、を含め、
特許請求の範囲の記載の全体、願書に添付した明細書(発明の詳細な説明)の記載及び図面を考慮して検討する。

〈結論〉
本件発明1および2の「テレビジョン番組リスト」は、下記aに示す意味に解され、不明確とはいえず、明確要件(36条6項2号)を満たしている。
上記の2通りの意味に解釈でき不明確である、とはいえない。

記a(「テレビジョン番組リスト」の解釈(『番組(項目)』解釈)
(テレビジョン番組表ではなく、テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)
個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)

〈理由〉
一般に「リスト」とは「一覧表」を意味するから、「テレビジョン番組リスト」とは、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味するものとはいい得るものの、本件発明1および2でいう「テレビジョン番組リスト」にはそのような一般的意味が該当せず、これが上記「記a」の意に解釈されることは、同用語「テレビジョン番組リスト」についての請求項1,2の記載、技術常識、発明の詳細な説明・図面を考慮して検討すれば明らかである。上記の2通りの意味に解釈でき不明確である、とはいえない。

(2)理由の詳細、発明の詳細な説明の記載の裏付け等

以下に、上記「記a」と解釈されるの理由の詳細を記す。
また、合わせて「記a」と解釈される「テレビジョン番組リスト」について発明の詳細な説明中に記載され裏付けがあるか、そのように解釈した本件各発明が発明の詳細な説明に記載されているか、についても論じる。

ア 特許請求の範囲の記載の検討

「テレビジョン番組リスト」を請求人が主張する上記解釈(『番組表』解釈)と、上記「記a」の解釈(『番組(項目)』解釈)による本件発明について検討する。

ア-1 両解釈による本件発明
「テレビジョン番組リスト」を、請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』と略す)と解釈(『番組表』解釈)した場合と、
上記「記a」、すなわち、「テレビジョン番組表ではなく、テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(『番組(項目)』と略す)と解釈(『番組(項目)』解釈)した場合とでは、
本件発明1,2は、それぞれ異なる次の発明となる。

なお、「1A表」とは『番組表』解釈における構成要件1Aを、「1A項」とは『番組(項目)』解釈における構成要件1Aを示す。構成要件1E,2Dについては両者に変わりはない。

〈本件発明1(請求人主張の『番組表』解釈による)〉
1A表 タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 の『番組表』、
1B表 この『番組表』の中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッ ドガイド、
1C表 このグリッドガイドに表示された『番組表』の一つを選択して目立 たさせる可動カーソル、そして
1D表 時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせた『番組表』の チャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段を備えている
1E ことを特徴とする電子番組ガイド。

〈本件発明1(「記a」の『番組(項目)』解釈による)〉
1A項 タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 の『番組(項目)』、
1B項 この『番組(項目)』の中の幾つかを表示する時間とチャンネルの グリッドガイド、
1C項 このグリッドガイドに表示された『番組(項目)』の一つを選択し て目立たさせる可動カーソル、そして
1D項 時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせた『番組(項 目)』のチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段を備 えている
1E ことを特徴とする電子番組ガイド。


〈本件発明2(請求人主張の『番組表』解釈による)〉
2A表 『番組表』を複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリ ッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶した『番組表』を 表示させる信号を発生し、
2B表 その表示された『番組表』の一つを目立たさせる信号を発生し、そ して
2C表 グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たさ れた『番組表』を表示する信号を発生する
2D ようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。

〈本件発明2(「記a」の『番組(項目)』解釈による)〉
2A項 『番組(項目)』を複数のセル内に表示している時間とチャンネル のグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶した『番組 (項目)』を表示させる信号を発生し、
2B項 その表示された『番組(項目)』の一つを目立たさせる信号を発生 し、そして
2C項 グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たさ れた『番組(項目)』を表示する信号を発生する
2D ようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。

ア-2 検討1(『番組表』と『番組(項目)』)
本件発明1、2は、共に、
「テレビジョン番組リスト」を、請求人が主張する『番組表』と解釈した場合、特許を受けようとする発明が不明となり、かつ、まとまりのある一つの技術的思想として把握できないものとなるのに対して、
これを、上記「記a」(『番組(項目)』)と解釈すれば、特許を受けようとする発明がまとまりのある一つの技術的思想として明確に把握できるものとなる。このことは、以下にみるように当業者に明らかである。

すなわち、

〈本件発明1〉
請求人の主張する『番組表』解釈では、本件発明1は、
・上記(1D表)についてみれば、
『番組表』(テレビジョン番組リスト)は複数のチャンネルの番組から構成されるのが普通であるから、「目立たせた『番組表』のチャンネル」が複数のチャンネルのうちのどのチャンネルを意味するのか不明となって、変更される「単一チャンネルガイド」も不明となり、また、どの「時間とチャンネルのグリッドガイド」を単一チャンネルガイドに変更するのかも不明となり、
・上記(1A表)(1B表)についてみれば、
そもそも、複数の『番組表』を表示することの技術的意味が理解できず、その技術的意味からみてもその特定事項が理解困難となり、
また、時間とチャンネルのグリッドガイドは1つなのか複数なのか、複数の『番組表』は1つの1つのグリッドガイドに表示されるのか、または時間とチャンネルで区画されたセルそれぞれに『番組表』を表示するのか不明となり、
・上記(1C表)についてみれば、
「可動カーソル」とは、技術常識上、一般に、画面上を移動する画面に表示されるマーク・印であって画面上の特定の項目や点位置を指し示すものであるところ、『番組表』、すなわち、並べられた複数の番組のタイトル全部からなる『番組表』の広い範囲が「可動カーソルによって」目立たせることになり、上記特定の項目や点位置を指し示すものとしての「カーソル」とそぐわないことになり、
結果、特許を受けようとする技術思想が不明となり、かつ、まとまりのある一つの技術的思想として全く把握できないものとなる。

これに対して、上記「記a」の『番組(項目)』解釈では、本件発明1は、
・上記(1A項)についてみれば、
『番組(項目)』(テレビジョン番組リスト)、すなわち、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」が、個々の番組毎にタイトル・チャンネル・開始時間という番組情報を含むこと、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
・上記(1B項)についてみれば、
それらの『番組(項目)』が、時間とチャンネルのグリッドガイドで『番組(項目)』が複数表示されること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
・上記(1C項)についてみれば、
これら複数の『番組(項目)』のうちの1つを、可動カーソルにより選択して目立たせること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
・上記(1D項)についてみれば、
時間とチャンネルのグリッドガイドを、その目立たせた『番組(項目)』のチャンネルの単一チャンネルガイドに変更すること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
全体として合理的に理解される発明となって、
上記『番組表』と解釈した場合のように技術思想が不明となることなく、特許を受けようとする発明がまとまりのある一つの技術的思想として明確に把握できるものとなることは、当業者に明らかである。

〈本件発明2〉
請求人の主張する『番組表』解釈では、本件発明2は、
・上記(2A表)(2B表)についてみれば、
時間とチャンネルのグリッドガイド形式で『番組表』(テレビジョン番組リスト)それぞれがセル内に表示され(請求人の主張○2)、
これら複数の『番組表』のうちの1つを目立たさせ(請求人の主張○4)ることになるが、
そもそも、時間とチャンネルのグリッドガイド形式における時間とチャンネルで区画される1つのセルは、同じ時間と同じチャンネルのものであるところ、そこに複数の異なる番組のタイトルが表のように並べられていて、同じ時間と同じチャンネルの複数の異なる番組が存在することになって理解不能となるし、
時間とチャンネルのグリッドガイド形式の各セル内に『番組表』を表示するようなことは、およそ技術常識からも考えられないことであり、
・上記(2C表)についてみれば
そのようなセル内に表示されたその目立たされた『番組表』をグリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式で表示するとはいかなることをいうのか理解不能となり、
結果、特許を受けようとする発明が不明となり、かつ、まとまりのある一つの技術的思想として把握できないものとなる。

これに対して、上記「記a」の『番組(項目)』解釈では、本件発明2は、
・上記(2A項)についてみれば、
グリッドガイド形式は、『番組(項目)』(テレビジョン番組リスト)それぞれをセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式であること、および、そのようなグリッドガイド形式でRAMに記憶した『番組(項目)』を表示モニターに表示させる信号を発生すること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
・上記(2B項)についてみれば、
その表示された複数の『番組(項目)』の一つを目立たさせる信号を発生すること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
・上記(2C項)についてみれば、
その目立たされた『番組(項目)』をグリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式で表示する信号を発生すること、を特定していると合理的に理解され明瞭となり、
全体として合理的に理解される発明となって、
上記『番組表』と解釈した場合のように技術思想が不明となることなく、特許を受けようとする発明がまとまりのある一つの技術的思想として明確に把握できることは、当業者に明らかである。

ア-3 検討2(「表示物」か「情報」かの議論について〉
請求人は、構成要件1Cで「グリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リスト」と記載されていることから、「テレビジョン番組リスト」は、「表示物」であって「情報」や「データ」ではないと主張し、このことから、「RAMに記憶する」ことは理解できず不明確であるなどと主張しているので、この点につき検討する。

「テレビジョン番組リスト」は、
請求項1においては、
・「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」(1A)、
・「テレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する」(1B)、
・「グリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リスト」、「テレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる」、「テレビジョン番組リストのチャンネル」(1C)
・「目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネル」(1D)
と規定され、
請求項2においては、
・「テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している」、「RAMに記憶したテレビジョン番組リスト」、「テレビジョン番組リストを表示させる」(2A)、
・「表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる」(2B)、
・「目立たされたテレビジョン番組リストを表示する」(2C)
と規定されていて、

「テレビジョン番組リスト」をXとすれば、
(1)それぞれが、「タイトル、放送時間そしてチャンネル」を含んでいるX、
(2)Xを表示される(を表示する)、
(3)表示されたX、
(4)Xを目立たせる、
(5)目立たせたX、
(6)Xのチャンネル、
(7)RAMに記憶したX、
としているから、
「テレビジョン番組リスト」は、『上記(1)?(7)のように表現し記載されるもの・こと』が、当業者が、明確に把握できるように解釈されなければならないところ、
「テレビジョン番組リスト」を上記「記a」の『番組(項目)』{テレビジョン番組表ではなく、テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目))}と解釈すれば、
『上記(1)?(7)のように表現し記載されるもの・こと』のいずれもが当業者が普通に理解し得るもので不明確とはいえず、これらの表現記載を含む特定事項が不明確になるものではない。

すなわち、
(1)それぞれが、「タイトル、放送時間そしてチャンネル」を含んでいる『番組(項目)』、(2)『番組(項目)』を表示される(を表示する)、(4)『番組(項目)』を目立たせる、(6)『番組(項目)』のチャンネル、は、当業者がごく自然かつ普通に理解し、不明確とはいえない。
(3)表示された『番組(項目)』、(5)目立たせた『番組(項目)』は、表示された状態の『番組(項目)』、目立たせた状態の『番組(項目)』を意味するものと当業者は自然かつ普通に理解し、不明確とはいえない。
(7)RAMに記憶した『番組(項目)』とは、その情報がRAMに記憶した『番組(項目)』と当業者は普通に理解し、不明確とはいえない。
そして、そのように理解されるものを含む特定事項が不明確になるものでもない。

請求人の主張する「表示物」とは、「表示された状態の物」をいうものと思われるが、『番組(項目)』と解釈される「テレビジョン番組リスト」は、その情報がRAMに記憶されたものと普通に理解し得、不明確でもないし、表示された状態になるものとも理解し得、不明確となるものでもない。
「RAMに記憶した項目を表示し、表示した項目をカーソルで目立たせて選択する」ように記載したとしても、かかる記載により特定される事項が、当業者が理解できず不明確であるとはいえないのである。
請求人の主張は、「テレビジョン番組リスト」は「表示された状態のもの」だけをいうものでなければ当業者は理解できず不明確である、との前提に立つ主張であるが、その前提が妥当ではなく採用できない。

ア-4 まとめ
以上によれば、一般に「リスト」とは「一覧表」を意味するから、「テレビジョン番組リスト」とは、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味するものとはいい得るとしても、
特許請求の範囲の記載全体からみれば、本件発明1、2でいう「テレビジョン番組リスト」にはそのような一般的意味が該当せず、これが上記「記a」の意に解釈されることは、当業者に明らかであり、上記の2通りの意味に解釈でき不明確である、とはいえない。
また、「テレビジョン番組リスト」は、「表示物」であって「情報」ではないから不明確である、ともいえない。

イ 発明の詳細な説明の記載の検討

《検討対象》
発明の詳細な説明の記載には、
〔発明の属する技術分野〕段落0001?0007、
〔発明が解決しようとする課題〕段落0008、
〔課題を解決するための手段〕段落0009、
〔発明の実施の形態〕段落0011?0084、
がある。
このうち、段落0008、段落0009は、後記するように、本件特許の分割に係る原出願(特願平3-516691号)の出願当初の明細書中に、明確な対応記載がなく、事案に鑑み、以下の検討対象とはしない。
検討対象とする発明の詳細な説明は、段落0001?0007、段落0011?0084とする。

《「テレビジョン番組リスト」関連の記載》
「テレビジョン番組リスト」 について具体的に説明するのは、発明の詳細な説明中の段落0011〔発明の実施の形態〕以降の記載であり、「番組リスト」(段落0011、0031)、「TVリスト」「リスト」の語で説明されている。

《グリッド表示→単一チャンネル表示関連の記載》
本件発明1、2は、ともに、
テレビジョン番組リストの表示を、時間とチャンネルのグリッド形式表示から単一チャンネル形式表示へ変更すること、
をその特徴とする発明であることは明らかであるところ、
この特徴である上記表示形式の変更については、発明の詳細な説明中の段落0031?0033で説明されており、他にこれを具体的に説明する箇所はない。

イ-1 発明の詳細な説明の記載事項の摘示

発明の詳細な説明の記載事項として、
発明の詳細な説明の〔発明の属する技術分野〕欄には、以下の記載(記0)がある。
発明の詳細な説明の〔発明の実施の形態〕欄には、「テレビジョン番組リスト」、グリッド形式表示から単一チャンネル形式表示へ変更する具体に関し、以下の記載(記1、記2)がある。なお、下線は当審決にて付与したものであり、各段落番号に対応する甲1号証(原出願の公表公報)における記載箇所を()内に記載した。

記0(発明の属する技術分野)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、テレビジョン視聴者がスクリーン上のテレビジョンのプログラムリストにアクセスし、ビデオカセットレコーダー(VCR)またはその他の記録装置を容易かつ便利な方法で制御するために番組リストの使用を可能とするシステムおよび方法に関する。更に、本発明は、容易な呼び出しおよび再生のため、タイトルによって記録番組のディレクトリを作成するシステムおよび方法に関する。より具体的には、VCRまたは他の記録装置が、将来の日付と時間の記録についても、番組のタイトルの簡単な選択および記録コマンドによって制御されるシステムおよび方法に関する。もっと具体的には、直感的なユーザーインタフェースを備えたシステム及び方法に関する。
【0007】
印刷されたグリッドテレビジョンスケジュールガイドは、よく番組のタイトル及び放送局名以外の付属情報を含む。そのようなグリッドはまた一般に、各番組の紹介、その番組が再放送かどうか、映画の人気及びその他の情報を含むより詳細な印刷スケジュールと組み合わせて提供される。テレビジョンセットをスケジュールシステムの表示部として利用する場合、テレビジョン表示部のサイズ及び解像度がグリッドに表示されるテキストの量を制限する。テレビジョン表示部の制限の範囲内にてユーザーに容易に理解されるやり方で最大の情報を伝えるためには、改良した技術が要求される。視聴のための多数のチャンネルの利用が可能である場合、ユーザーにとって最も都合のよいように情報の表示を編成する必要がある。」

記1(「テレビジョン番組リスト」関連、段落0031?0033を除く)
「【0011】(原出願の公表公報の7頁右上欄10行?23行に対応)
〔発明の実施の形態〕
図を参照して、特に図1-7を参照すると、本発明のシステムの動作に使用され、本発明による方法を実行している一連のメニュースクリーン10、12、14、16、18、20及び22が示されている。スクリーン10、12、14、18及び20の各々は、不規則なセル26のアレー24を含み、これらセル26は、半時間から一時間半以上の時間までの異なったテレビジョン番組長に応じて変化するように可変長である。アレーは、半時間長の三つのコラム28、及び十二の行30の番組リストとして構成されている。番組リストの幾つかは、長さのため、二つかそれ以上のコラム28を重複して使用している。
【0013】(原出願の公表公報の7頁右上欄28行?左下欄7行に対応)
即ち、カーソルが半時間のステップで移動し、セル長が例えば4時間とすると、カーソルは1/2時間の長さとするか、4時間の長さとするか? カーソルが基礎セル(1/2時間)の間隔だけ広がっているとすると、カーソルは、セルのセグメントをハイライトするように現われ、これは誤解をもたらす。反対に、カーソルが、TVリストの4時間全体に広がると、カーソル基礎位置がわからなくなる。(以下略)
【0017】 (原出願の公表公報の7頁右下欄2行?右下欄6行に対応)
図2及び図3は、記録状態の表示である。一つの番組が記録のため選択されていると、そのリストセル26が、40で示されるように、アウトラインが強調されるか、赤でハイライトされる。ガード時間が追加されているか、除去されているかすると、セルは、それを反映して延びるか、縮むかする。セル26の連続性は、既に述べたように扱われる。他に四つの記録状態表示がある。
【0018】(原出願の公表公報の7頁右下欄7行?右下欄11行に対応)
セルが現在記録中であると、アウトライン40が、点滅する。記録済みセルは、連続の赤の背景42(注:図不指示)で示される。記録不良セルは、タイトル上に付けられた赤いハッシュマーク44で示さる。記録不良は、不十分なテープ、VCR電源停止、終了前の停止等の結果である。
【0019】 (原出願の公表公報の7頁右下欄12行?21行に対応)
番組リンクアイコン46が図5に示されている。各スケジュール更新後、スケジュールシステムは、リンクされたタイトル(図24)でのタイトルに合致するいかなるタイトルの発生に対しても新規のリストを調査する。もしタイトルが合致すれば、それは自動的に記録のために標識が付けられる。(以下略)
【0024】(原出願の公表公報の8頁左上欄29行?右上欄8行に対応)
選択した番組の番組ノートは、要求に応じてグリッドガイド上に重ねて表示される。番組ノートは、選択コマンドを利用してスイッチオン・オフすることが可能である。番組ノート52は、ガイドの3または4のリストに重ねられるか隠してしまう。ガイドの隠蔽を最小にするために、自動移動ノートが使用される。番組ノートは、スクリーンの上半分か下半分に重ねられ、必要に応じて、選択されたリストのタイトルをマスクを回避できるようになっている。(以下略)
【0074】 (原出願の公表公報の11頁左上欄15行?20行に対応)
更新が必要な場合、プログラマブルチューナ202は、データを伝送する局またはケーブルチャンネルへ自動的に同調する。VBI信号がCPU228によって処理された後、リストデータは、スケジュールメモリ232へ記憶される一方、ケーブルチャンネル割当データは、ケーブル指定のRAMメモリ238へ記憶される。このデータは、HBOといった一般的なTVソース名を特定のケーブルシステムのチャンネル割当へ変換する。
【0076】(原出願の公表公報の11頁左上欄26行?右上欄1行に対応)
TV内容確認要求に関して、スケジュールメモリ232に記憶されているリストが呼び出され、CPU228で処理され、ビデオ表示発生器224へ出力される。ビデオスイッチャー226は、CPU出力246により起動され、スケジュールデータがTV/モニター210へ表示されると常にビデオ表示発生器224の出力を選択する。
【0077】(原出願の公表公報の11頁右上欄2行?10行に対応)
番組を時間シフトして記録する要求がなされた場合、番組のタイトル及びその記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)は、スケジュールメモリ232から記録メモRAMメモリ236へコピーされる。(以下略)
【0078】 (原出願の公表公報の11頁右上欄11行?21行に対応)
オンスクリーンスケジュールからタイトルを選択することでなされるプログラムに加えて、VCR206及び211並びにケーブルデコーダ202または207をリモートコントローラー212でプログラムすることもまた可能である。(以下略)」

記2(グリッド表示→単一チャンネル表示関連、段落0031?0033)
「【0031】(原出願の公表公報の8頁左下欄18行?22行に対応)
図7は、グリッド24とリスト58との間でスイッチ選択するためのテープ内容確認コマンドをユーザーにさせることで発生する、単一チャンネルの番組リスト58のスクリーン22を示す。リスト58は、そのチャンネルの一連の番組リストの行60とチャンネル情報フィールド62を含む。番組ノートは、グリッド24に関して図6で示されたと同様な方法でリスト58上に重ねられる。
【0032】(原出願の公表公報の8頁左下欄23行?左下欄26行に対応)
TV内容確認コマンドは、グリッドガイド24と次のチャンネル確認行ガイド58との間で交互に選択される。グリッドガイド24を見ている間は、次のTV内容確認コマンドは、グリッド24を単一チャンネル行ガイド58で置き換える。図8は、TV内容確認コマンドのフローチャートである。
【0033】(原出願の公表公報の8頁左下欄27行?右下欄5行に対応)
二つのガイド24と58との間のページ関係は、緊密に組み合わされている。単一のチャンネルガイドは、グリッド24上のカーソル32により選択されたチャンネルとスケジュール時間とに対して開かれる。単一チャンネルガイド58を見ている間は、アップ/ダウンチャンネルコマンドは、リストアップされているチャンネルを変更するために使用される。単一のチャンネルガイド58が存在し、グリッドガイド24に返るとき、グリッドカーソル32は、単一チャンネルガイド58で選択されたチャンネルとスケジュール時間とを指し示すようになっている。」

イ-2 検討
上記「記1」「記2」に摘示したものは、別の異なる実施例の説明ではなく、同じ〔発明の実施形態〕について記載するものである。

(ア)「番組リスト」
上記段落0011(特に「図1?7を参照すると、・・・番組リストの幾つかは、長さのため、二つかそれ以上のコラム28を重複して使用している。」),段落0013,0017,図1?3,5,6によれば、
1つの「番組リスト」は、スクリーン上に表示される不規則なセル26のアレー24(番組配列表)における1つのセル-そのテキスト(タイトル)とその位置(セルの行と列)により、番組のタイトルとチャンネルと開始時間が特定できるようになっているセル-を使用しているものであること、
上記段落0017(特に「一つの番組が記録のため選択されていると、そのリストセル26が、40で示されるように、アウトラインが強調されるか、赤でハイライトされる。」)によれば、
このようなセルで示されている「番組リスト」をカーソルを用いて選択することで、番組が選択される(段落0078の「タイトルを選択する」とは、そのようにカーソルを用いてセルを選択することで「番組リスト」を選択することを指すと理解される。)こと、
以上は明らかである。
また、上記1つのセルを使用した「番組リスト」の表示により、番組のタイトルとチャンネルと開始時間が特定でき、もって番組が特定されることも、明らかである。
これらのことは、上記と同じ図1,2を用いて説明する段落0031?0033の記載においても同様である。すなわち、時間とチャンネルの1つのグリッド24(図1、図2)において、カーソル32により選択される、1つのチャンネルの行と特定の時間の列で区画されるセルを用いた、個々の『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』、『「2チャンネル」行「11:30AM」列に表示されている“判示(パート2)”』等の表示により、番組のタイトルとチャンネルと開始時間が特定でき、もって番組が特定されるのである。
これらのことから、当業者は、発明の実施の形態において、「番組リスト」とは、「番組を選択するのに使用され、タイトル表示を伴う個々のセルであってアレー(番組配列表)の特定の位置(行位置,列位置)に表示される個々のセルを使用して示されるもの」であって「個々の番組を指し示し特定するもの」と普通に理解するのである。
すなわち、発明の詳細な説明の〔実施の形態〕に記載されている「番組リスト」は、「個々の番組を特定するもの」と普通に理解するのであり、この理解は、上記「記a」の解釈「(テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」に一致する。

さらに、個々の番組を指し示していう番組(項目)と理解される「番組リスト」は、このように特定の位置の1つのセルを使用することから、「タイトル」「チャンネル」「開始時間」(これらは「番組情報」、「番組データ」と理解される)を使用して表示されていることも当然に理解されるところであるし、
また、段落0074?0077の記載によれば、これら「タイトル」「チャンネル」「開始時間」という番組データは、スケジュールメモリ232から呼び出され、ビデオ表示発生器224へ出力されて、「チャンネル」および「開始時間」で決まるスクリーン上の位置に「タイトル」を伴う各番組リスト毎のセルとして表示されると理解される。すなわち、スケジュールメモリ232には、番組リスト(番組項目)それぞれの番組データである「タイトル」「チャンネル」「開始時間」が取り出せるように記憶されていて、それらが呼び出されて、その「チャンネル」およびその「開始時間」で決まる位置にその「タイトル」を伴う各番組リスト毎のセルとして表示されるると理解される。
したがって、〔発明の実施の形態〕の記載から、『番組リスト(番組項目)それぞれに対応してタイトル、チャンネル、開始時間(番組データ)が存在すること』を導き得ることができるのであり、構成要件1A「タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト」は、このことを言うもと合理的に理解されるのであり、
また、段落0074?0076等から、本件発明2の構成要件2A「テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶したテレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、」も、〔発明の実施の形態〕に記載されていていると言うことができる。(「信号を発生し」としていることは技術常識からみて当然である。)

そうすると、上述のように理解される、〔発明の実施の形態〕に記載されにおける「番組リスト」は、請求項1、2の記載からも解釈される「テレビジョン番組リスト」であるところの上記「記a」の解釈に対応しかつ合致するものであり、参照した段落等は、「テレビジョン番組リスト」がそのように解釈されることの説明・裏付けの部分ということができる。
そして、発明の詳細な説明の〔発明の実施の形態〕の記載には、そのように解釈される「テレビジョン番組リスト」について、
請求項1の要件1A?1C、すなわち、
「1A タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数 のテレビジョン番組リスト、
1B このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャン ネルのグリッドガイド、
1C このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを 選択して目立たさせる可動カーソル」
とすること、および、
請求項2の要件2A?2C、すなわち、
「2A テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャ ンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶した テレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
2B その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号 を発生し、そして」
とすることが具体的に説明されているということができる。

(イ)グリッド表示→単一チャンネル表示関連
段落0031?0033によれば、以下のことが理解でき把握できる。

すなわち、
・「テープ内容確認コマンド」により、時間とチャンネルの1つのグリッドガイド24(図2)から1つの単一チャンネル行ガイド58(図7)へ変更され、
逆に、1つの単一チャンネル行ガイド58(図7)から時間とチャンネルの1つのグリッドガイド24(図2)へ変更されるもので、
その前者の変更は、時間とチャンネルの1つの「グリッド24上のカーソル32により選択されたチャンネルとスケジュール時間とに対して開かれる」ようにしてなされ、
後者の変更は、逆に、1つの単一チャンネル行ガイド58(図7)から1つのグリッドガイド24(図2)に返るとき、グリッドガイド上のカーソル32は、単一チャンネル行ガイド58(図7)で選択されたチャンネルとスケジュール時間を指し示すようにしてなされる。
具体的には、図2に示される時間とチャンネルの1つのグリッド24においてセルを用いて表示されている、例えば、『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』がカーソル32により選択されているとき、「テープ内容確認コマンド」により、同1つのグリッド24は、図7で示されるように、
チャンネルが“判示(パート1)”と同じ2チャンネルの「一連の番組リストの行60」がスケジュール時間順に並べられた、
“11:00 A 判示(パート1)”
“11:30 A 判示(パート2)”
・・・・
“ 6:30 P ママズファミリー”
“ 7:00 P チア-ズ”
からなる「単一チャンネル行ガイド58」に変更される。
逆に、
「単一チャンネル行ガイド58」で表示されている“11:00 A 判示(パート1)”がカーソル32により選択されているとき、「テープ内容確認コマンド」により、同「単一チャンネル行ガイド58」は、1つのグリッドガイド24(図2)に戻るように変更され、戻るように変更されたとき、カーソル32は“判示(パート1)”を指し示すようになっているようにされること、

・これと同様なことが、「TV内容確認コマンド」によってもなされるもので、図8のフローチャートに従い、
「TV内容確認コマンド」により、時間とチャンネルの1つのグリッドガイド24(図1)から1つの単一チャンネル行ガイド58へ変更され、
逆に、1つの単一チャンネル行ガイド58から、時間とチャンネルの1つのグリッドガイド24(図1)へ変更されるもので、
その前者の変更は、時間とチャンネルの1つの「グリッド24上のカーソル32により選択されたチャンネルとスケジュール時間とに対して開かれる」ようにしてなされ、
後者の変更は、逆に、1つの単一チャンネル行ガイド58から1つのグリッドガイド24(図1)に返るとき、グリッドガイド上のカーソル32は、単一チャンネル行ガイド58で選択されたチャンネルとスケジュール時間を指し示すようにしてなされる。
具体的な動作も、上記「テープ内容確認コマンド」の場合と同様であること、
が理解でき把握できる。

ここで、
・時間とチャンネルの1つのグリッド24(図1、図2)において、カーソル32により選択される、特定のチャンネルの行と特定の時間の列で区画されるセルを用いた、
個々の『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』、『「2チャンネル」行「11:30AM」列に表示されている“判示(パート2)”』、・・・等の表示により、
個々の番組のタイトル、チャンネル、放送時間が特定され、もって番組が特定されるものであることも明らかであり、
上記(ア)で論じたように、当業者は、「番組リスト」とは、「番組を選択するのに使用され、タイトル表示を伴う個々のセルであってアレー(番組配列表)の特定の位置(行位置,列位置)に表示される個々のセルを使用して示されるもの」であって「個々の番組を特定するもの」と普通に理解するのである。
すなわち、発明の詳細な説明の〔実施の形態〕に記載されている「番組リスト」は、「個々の番組を指し示し特定するもの」と普通に理解するのであり、この理解は、上記「記a」の解釈「(テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」に一致する。
そして、上記個々の『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』、・・・等が「テレビジョン番組表」と言い得るものではないこと、
・また、図7に示される単一チャンネル行ガイド58における各行に表示される個々の、“11:00 A 判示(パート1)”、“『11:30 A 判示(パート2)”、・・・の「一連の番組リストの行60」の各々は、
変更前のグリッド24において選択されていた『“判示(パート1)”』なる番組のチャンネルである「2チャンネル」の、個々の番組のタイトルとスケジュール時間であって、
同じく上記「記a」の解釈に一致するものであって、上記「記a」の『番組(項目)』といえ、「テレビジョン番組表」と言い得るものではないこと、
・つまり、時間とチャンネルのグリッドガイドにおける個々の『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』等も、単一チャンネル行ガイドにおける各行の“11:00 A 判示(パート1)”、“『11:30 A 判示(パート2)”等も、ともに、
テレビジョン番組表ではなく、テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので)個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)を表示したものであること、
・「番組表」(を表示したもの)と言い得るのは、
図1や図2に示される、時間とチャンネルの1つのグリッド24で表示される、個々の『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示される“判示(パート1)”』、『「2チャンネル」行「11:30AM」列に表示される“判示(パート2)”』ではなく、これらが並べられたものや、
図7に示される「単一チャンネル行ガイド」で表示される、個々の“11:00 A 判示(パート1)”、“11:30 A 判示(パート2)”ではなく、これらが並べられたものであること、
以上は、明らかである。

そして、発明の詳細な説明の〔発明の実施の形態〕の記載には、そのように解釈される「テレビジョン番組リスト」について、
請求項1の要件1D
「時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段を備えている」、
請求項2の要件2C
「グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生する」(「信号を発生し」としていることは技術常識からみて当然である。)
とすることが具体的に説明されているということができる。

(ウ)上記本件発明1・2(『番組表』解釈による)
上記(イ)によれば、段落0031?0033には、
「テレビジョン番組リスト」を、請求人の主張する『番組表』と解釈した場合の本件発明1,2の、少なくとも、上記(1A表)(1B表)(1C表)、(2A表)(2B表)に対応する記載は一切なく、また、それらを伺わせる記載も一切ない。
したがって、段落0031?0033には、請求人の主張する『番組表』と解釈した場合の本件発明1・2(『番組表』解釈)は全く記載されていないし、それらを伺わせる記載も一切ない。

そして、本件発明の明細書の他のどこにも、上記本件発明1(『番組表』解釈)、本件発明2(『番組表』解釈)のいずれについても一切の記載はなく、それらを伺わせる記載も一切ない。
すなわち、発明の詳細な説明に記載されたものと、「テレビジョン番組リスト」を請求人の解釈によるものとした本件発明1、2は全く対応もしないし一致もしない。

(エ)本件発明1・2(『番組(項目)』解釈による)
上記(ア)(イ)によれば、発明の詳細な説明の[発明の実施形態〕には、
「テレビジョン番組リスト」を、上記「記a」(『番組(項目)』)と解釈した場合の、
本件発明1の本質部分である上記(1A項)(1B項)(1C項)(1D項)、及び、本件発明2の本質部分である上記(2A項)(2B項)(2C項)は記載されているといえる。
なお、本件発明2の「・・・表示させる信号を発生し」とすることは技術常識であるから明記はされていなくとも記載されている事項といえるものである。

すなわち、発明の詳細な説明の[発明の実施形態〕に記載されたものと、
「テレビジョン番組リスト」を「記a」の解釈によるものとした本件発明1・2は、共によく対応整合し、かつ、発明がまとまりのある一つの技術的思想として把握できる。

イ-3 まとめ 一般に「リスト」とは「一覧表」を意味するから、「テレビジョン番組リスト」とは、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味するものとはいい得るとしても、
本件発明1,2を具体的に説明する発明の詳細な説明の記載〔発明の実施形態〕をみれば、
「テレビジョン番組リスト」が、請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』」)(前者)と解釈することは、本件発明1および2を、上記〔発明の実施形態〕等を含む発明の詳細な説明に全く記載されていない発明と解すること、すなわち、発明の詳細な説明を全く無視して解することになるのに対して、
それが、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(後者)と解釈すれば、本件発明1および2を発明の詳細な説明の記載〔発明の実施形態〕の記載に整合し、発明がまとまりのある一つの技術的思想として把握できるのであり、
「テレビジョン番組リスト」が、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味するものと解されるとしても、
本件発明1および2でいう「テレビジョン番組リスト」にはかかる解釈は妥当せず、これを請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』」)と解する余地はなく、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組を指し示していう番組(項目)」の意味であることは明らかである。

また、ここまでの検討で、発明の詳細な説明の記載の〔発明の実施形態〕には、
「テレビジョン番組リスト」を、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(後者)と解釈した場合の、本件発明1の本質部分である構成要件1A、1B、1C、1D項、及び、本件発明2の本質部分である構成要件2A、2B、2Cは記載されていると言うことができる。

ウ 請求人の主張について(「テレビジョン番組リスト」の意義・明確性)

ウ-1 請求人は、「アレーは、半時間長の三つのコラム28、及び十二の行30の番組リストとして構成されている。」(段落0011)、「図7は、・・・単一チャンネルの番組リスト58のスクリーン22を示す。リスト58は、・・・行60とチャンネル情報フィールド62を含む。」(段落0031)、「図6は、・・・TV表示部のテキストスペースの制限により、可能な限りTVリストの多数の行を表示するのが好ましい。」(段落0022),「図20は、・・・ユーザーは、チャンネルを興味に合わせカスタム化でき、リストをコンパクトにでき、アップダウン走査中の必要のないチャンネルを除去できる。」(段落0065)によれば、「テレビジョン番組リスト」は、個々の番組を指すものではなく、複数の番組が含まれているものであると考えるのが自然である旨主張する。
確かに、発明の詳細な説明中には、「番組リスト」や「リスト」という用語が、個々の番組を指す意味で用いられている箇所(前者)の外に、複数の番組が含まれているもの(テレビジョン番組表)の意味で用いられている箇所(後者)も見受けられる。
しかしながら、そのように同一の用語を異なる意味で不統一に使用するべきではないとしても、それら後者の箇所においては、そのそれぞれの箇所における文脈で「複数の番組が含まれているもの(テレビジョン番組表)」を意味する用語として使用されていると普通に解し得るのであって、
それらの記載箇所が有るからといって、本件各発明でいう「テレビジョン番組リスト」も必ず「複数の番組が含まれているもの(テレビジョン番組表)」と解釈しなければならないという訳ではないし、そのことにより、本件各発明の「テレビジョン番組リスト」について、当業者が「複数の番組が含まれているもの(テレビジョン番組表)」と解する事態を招き不測の不利益を及ぼすことになるともいえないのであるから、上記主張は採用できない。

ウ-2 請求人は、本件各発明の「テレビジョン番組リスト」は、「表示物」であって情報やデータではない旨主張する。
請求人のいう「表示物」とは、画面に表示された状態の物をいうものと思われ、「テレビジョン番組リスト」は表示されている状態のもの以外を意味し得ない、との主張と思われる。

しかし、前記のとおり、本件各発明でいう「テレビジョン番組リスト」は、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(『番組(項目)』)と解釈されるものであり、
かかる『番組(項目)』が、表示された状態のものだけというものではなく、記憶されたり表示されたりするものと普通に理解し得、不明確とはいえないることは、前記ア-3のとおりである。
請求人の主張は、「テレビジョン番組リスト」は、「表示された状態のもの」だけをいうものでなければ当業者は理解できず不明確であるとの前提に立つ主張であるが、その前提が妥当ではなく採用できない。

ウ-3 請求人は、本件特許の原出願に係る出願経過や、その審決取消訴訟の準備書面等を根拠に、『テレビジョン番組リスト』は複数の番組のタイトルが表のように並べられているものと解釈すべきである旨主張する。
しかし、本件各発明と原出願の発明との特許請求の範囲における構成要件の規定の仕方、及び特許請求の範囲の記載全体から把握される技術思想の共通性を論じた上での主張であればともかく、上記請求人の主張はそうではない以上、本件とは別件である原出願に係る出願経過やその審決取消訴訟の経過を参酌しなければならない理由はなく、上記主張は採用できない。

エ まとめ
以上によれば、「テレビジョン番組リスト」は、一般的には、個々のテレビジョン番組(コンテンツ)を示す項目が一覧表にリストされた「テレビジョン番組表」を意味するものと解されるとしても、
本件発明1および本件発明2でいう「テレビジョン番組リスト」は、
特許請求の範囲の記載全体からみても、発明の詳細な説明の記載〔発明の実施形態〕からみても、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組を指し示していう番組(項目)」と解釈されるのであり、
これを、請求人の主張する「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』」)と解する余地はなく、不明確であるとはいえない。
当業者は、本件発明1および本件発明2を把握するにあたり、結論で示した上記「記a」の意味であると普通に理解するのであり、これを「複数の番組が含まれているもの(テレビジョン番組表)」と解する事態を招き不測の不利益を及ぼすことになる余地もない。

そして、発明の詳細な説明の記載の〔発明の実施形態〕には、
「テレビジョン番組リスト」を、「テレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(後者)と解釈した場合の、本件発明1の本質部分である構成要件1A、1B、1C、1D項、及び、本件発明2の本質部分である構成要件2A、2B、2Cは記載されていると言うことができる。

【本件各発明毎の検討】

以下、本件各発明毎に検討する。

[1]本件発明1について
○6○7○9の主張は、基本的に「テレビジョン番組リスト」の解釈(『番組表』解釈)に基づく記載不備の主張であり、これらから検討する。

○6(36-4,36-5-1)の主張は、「テレビジョン番組リスト」が「複数の番組のタイトルが表のように並べられているもの」(『番組表』)と解釈されることを前提に、「複数の番組表が発明の詳細な説明に記載されていない」ことを理由にいう構成要件1Bについての記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反)であるところ、
かかる前提は妥当せず、「テレビジョン番組リスト」が、上記「記a」、すなわち、「テレビジョン番組表ではなくテレビジョン番組表にリストされる項目としての番組を意味するもので個々の番組(コンテンツ)を指し示していう番組(項目)」(『番組(項目)』)と解釈されることは前記「[0]「テレビジョン番組リスト」について」の通りであり、
『番組(項目)』解釈時の構成要件1Bが発明の詳細な説明〔実施の形態〕に記載されていることは前記[0](2)イの通りであり、実施可能要件違反、ともサポート要件違反ともいえない。

○7(36-4,36-5-1)の主張は、テレビジョン番組リスト」が『番組表』と解釈されることを前提に、「『番組表』の1つを選択して目立たせる可動カーソルは、発明の詳細な説明に記載されていない」ことを理由にいう構成要件1Cについての記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反)であるところ、
かかる前提は妥当せず、「テレビジョン番組リスト」が、上記「記a」の『番組(項目)』と解釈されることは前記「[0]「テレビジョン番組リスト」について」のとおりであり、
また、『番組(項目)』解釈時の構成要件1Cが発明の詳細な説明〔実施の形態〕に記載されていることは前記[0](2)イのとおりであり、実施可能要件違反ともサポート要件違反ともいえない。

○9(36-5-2)の主張は、「テレビジョン番組リスト」は、『番組表』とも『番組(項目)』とも解され、また、「表示物」とも「情報」とも解され、多義に解釈できるから不明確であり、発明不明確であるとの主張であるところ、
「テレビジョン番組リスト」が、上記「記a」の『番組(項目)』と解釈され不明確とはいえないことは前記「[0]「テレビジョン番組リスト」について」のとおりであるから、発明不明確であるとはいえない。
また、前記[0](2)ア-3等で前記したとおり、「テレビジョン番組リスト」が「表示されるもの」であり、(記憶される)情報であるとしても、そのことにより、多義に理解されるから発明が不明確になる、とはいえない。
○9の理由で本件発明1が不明確とはいえない。

○1(「電子番組ガイド」、36-5-2)の主張は、「グリッドガイド」も「電子番組ガイド」も表示物と解され、「物」の発明か「方法」の発明か、カテゴリーが不明で発明不明確であるとの主張であるところ、
構成要件1Dの「時間とチャンネルの・・・単一チャンネルガイドに変える手段」手段を備えること、また、技術常識からみて、
当業者は、構成要件1E「ことを特徴とする電子番組ガイド。」を「ことを特徴とする電子番組ガイドシステム。」と普通に解釈するのであり、全体として「システム」の発明と捉えることができ、明確要件違反とはいえない。
また、前記「記0」段落0001「本発明は、・・・一般に、テレビジョン視聴者がスクリーン上のテレビジョンのプログラムリストにアクセス、ビデオカセットレコーダー(VCR)またはその他の記録装置を容易かつ便利な方法で制御するために番組リストの使用を可能とするシステムおよび方法に関する。」「もっと具体的には、直感的なユーザーインタフェースを備えたシステム及び方法に関する。」等の記載から見ても「システム」の発明と捉えることができることは明らかである。
構成要件1Eについて、明記はされていなくとも、発明の詳細な説明〔発明の実施の形態〕に記載されていると言え、(請求人はサポート要件違反、実施可能要件違反の主張をしていないが)サポート要件違反とも実施可能要件違反ともいえない。
〈構成要件1B,1Cの解釈〉
そして、発明全体を総合勘案するに、
構成要件1C「このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル、そして」によれば、「可動カーソル」は、「このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる」ことができるように、表示されるものであることは明らかであるから、そのための「可動カーソル」の表示手段の存在は明らかであり、
可動カーソルが表示されるためには「グリッドガイド」も表示されなければならず、構成要件1B「このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイド」を表示する手段の存在も明らかである。
したがって、構成要件1B,1Cは、実質的には、
構成要件1B「このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイドを表示する手段、」、
構成要件1C「このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソルを表示する手段、そして、」
と解釈されるものである。

○2(36-4,36-5-1)の主張は、『電子番組ガイド』が『表示物』の発明であって「システム」の発明と捉えることができないこと、および、「テレビジョン番組リスト」が『番組表』で「表示物」と解釈されることを前提にいう記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反)であるところ、
前記のとおりいずれの前提も妥当せず、○2の理由で本件発明1が記載不備(サポート要件、実施可能要件違反)であるとはいえない。

○3(36-4,36-5-1,36-5-2)の主張は、『電子番組ガイド』が『表示物』の発明であって「システム」の発明と捉えることができないことを前提にいう記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反、明確要件違反)であるところ、
上記のようにその前提が妥当せず、前記のとおり本件発明1の「電子番組ガイド」は「システム」の発明と捉えることができ、これが構成要件1C「時間とチャンネルのグリッドガイドを・・・変える手段」を備えていると理解できるものである。
また、「テレビジョン番組リスト」は『番組(項目)』と解釈されるものである。
したがって、上記○3の理由で本件発明1が記載不備(明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反とも)であるとはいえない。

○4(36-4,36-5-1,36-5-2)の主張は、本件発明1の『電子番組ガイド』を「システム」の発明と解釈する一方、「グリッドガイド」「可動カーソル」「テレビジョン番組リスト」を「表示物」と解釈することを前提としていう記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反、明確要件違反)であるところ、
構成要件1B,1Cは前記○1のとおり解釈され、本件発明1は「・・・グリッドガイドを表示する手段、」、「・・・可動カーソルを表示する手段」を備えるものと解釈され、
「テレビジョン番組リスト」は『番組(項目)』と解釈されるものであって、前記のとおり「表示物」とのみ解釈することは妥当ではないから、
上記○4の理由で本件発明1が記載不備(明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反)であるとはいえない。

○5(36-4,36-5-1,36-5-2)の主張は、上記○2?○4のの主張と実質的に変わらず、本件発明1の「電子番組ガイド」の発明が「表示物」の発明、または「システム」の発明、のいずれの発明であっても、記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反、明確要件違反)であるとの主張であるところ、 上記○1?○4のとおり、本件発明1が記載不備(明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反とも)であるとはいえない。

○8(36-5-1)の主張は、「テレビジョン番組リスト」が情報やデータであるとしても、発明の詳細な説明に記載されていない」ことを理由にいう構成要件1Aについての記載不備(サポート要件違反)であるところ、
「テレビジョン番組リスト」は『番組(項目)』と解釈されるものであり、かつ構成要件1Aが発明の詳細な説明〔発明の実施の形態〕に記載されていることは前記[0](2)イのとおりであり、サポート要件違反とはいえない。

〈まとめ〉(本件発明1)
明細書の記載は、本件発明1について、明確要件、サポート要件、実施可能要件のいずれについても、満たしていないとは言えない。

[2]本件発明2について
○2?○4の主張(36-4,36-5-1,36-5-2)は、いずれも、「テレビジョン番組リスト」が『番組表』)と解釈されることを前提にいう構成要件2A、2Bの記載不備(実施可能要件違反、サポート要件違反、明確性違反)であるところ、
かかる前提は妥当せず、「テレビジョン番組リスト」が、上記「記a」の『番組(項目)』と解釈され不明確であるとはいえないことは前記「[0]「テレビジョン番組リスト」」についてのとおりであり、また、RAMに記憶できるものとも理解でき不明確とはいえないことは前記[0](2)ア-3で前記したとおりであるから、
上記○2?○4の理由で本件発明2が記載不備(明確性違反、サポート要件違反、実施可能要件違反とも)であるとはいえない。

○1の主張(36-4)は、構成要件2B?2D記載の「信号を発生させるようにプログラムされているプロセッサ」は実施可能要件違反であるとの主張である。
マイクロプロセッサ自体は周知技術であり、
マイクロプロセッサが所定の機能を実現するための制御を行うために信号を発する必要があること、
所定の機能を実現するための制御を行うための信号を発生するのに、所定の機能を実現するようにこれをプログラムすることによりその所定の機能を実現し得ること、
以上は当業者の技術常識であるところ、
構成要件2A,2B、2Cの機能自体については、段落0030?0033に記載されていて実施可能要件、サポート要件を満たしているといえ、
それらの機能実現のための信号発生については、段落0030?0033,段落0076及び図22,図23を参照すれば、構成要件2Bの「その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる」という機能は、CPU228が、TV/モニター210の画面上でカーソルを移動させるようにビデオ表示発生器224およびビデオスイッチャー226を制御する信号を発生することによって実現されていることが理解され、構成要件2Cの「グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する」という機能は、TV内容確認キー140(図21)が押下されたことに応答して、CPU228が、TV内容確認キー140に対応する信号を受信し、CPU228が、グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストがTV/モニター210に表示されるように、ビデオ表示発生器224およびビデオスイッチャー226を制御する信号を発生することによって実現されていることが理解される。
そして、CPU228がそのような信号を発生するためにプログラムが用いられていること、そのような信号を発生するようにプログラムされていることは、明記されてなくても技術常識上当業者に明らかであり、
また、そのような信号を発生するようにプログラムすることは、その具体的フローチャート等の特段の説明が明細書に無くても、格別の困難なく当業者が実施し得るものというべきである。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、構成要件2A2B2C2D記載の「信号を発生させるようにプログラムされているプロセッサ」について、実施可能要件を満たさない、とはいえない。また、これについて(請求人はサポート要件違反の主張をしていないが)サポート要件違反ともいえない。

《請求人の主張について》
請求人は、「マイクロプロセッサ」(構成要件2D)という「物の発明」にかかる以上、「容易にマイクロプロセッサを生産・使用できる程度」の開示が要求されていると考えるべきであり、上記被請求人主張構成要件では、少なくとも「マイクロプロセッサを生産できる程度に開示」したことにはならないので不十分である旨、主張するが、
本件発明2の特徴が、「マイクロプロセッサ」のハードウエアの構成にあるのではなく、特殊なマイクロプロセッサではない一般的なマイクロプロセッサを使った2A?2Cなる具体的機能の実現にあることは明らかであり、その機能及び機能実現のための信号を発生することについて、当業者が実施し得る程度に記載されていない、とはいえないのであるから、上記請求人の主張は採用できない。

○5(36-4)主張は、発明の詳細な説明には、複数のタイトルを単一チャンネル形式で表示させることが開示されているものの、1つのタイトル自体を単一チャンネル形式で表示させることについては開示されていないから、構成要件2Cは実施可能要件違反であるとの主張であるところ、
発明の詳細な説明の〔発明の実施の形態〕には、(請求人も認めるように)グリッドガイド形式で複数表示されているタイトルの中から1つを選択することにより目立たせて、その目立たせた1つのタイトルに対応するチャンネルに関する複数のタイトルを単一チャンネル形式で表示させることが開示されているところ、
構成要件2Cは、複数のテレビジョン番組リストが表示される「単一チャンネル形式」表示において、
構成要件2A2Bで特定される、時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示された複数のテレビジョン番組リストのうちの一つのテレビジョン番組リストをを目立たさせること、を受け、その目立たせたテレビジョン番組リストを含むように表示することを特定するものと解釈し得るものであり、
この点も、前記[0](2)イのとおり、段落0032,0033には、『「2チャンネル」行「11:00AM」列に表示されている“判示(パート1)”』にカーソルが置かれた図2の「グリッドガイド形式」から“11:00 A 判示(パート1)”を含む図7の「単一チャネルへ形式」の遷移に示されていて、構成要件2Cについて、実施可能要件を満たしていない、とはいえない。

○6の主張は、本件発明1における○9の主張の後半と同様の主張であって、[0](2)ア-3で前記したとおり、「テレビジョン番組リスト」が「表示されるもの」であり、(記憶される)情報であるとしても、そのことにより、多義に理解されるから発明が不明確になる、とはいえない。
○6の理由で本件発明2が不明確とはいえない。

〈まとめ〉(本件発明2)
明細書の記載は、本件発明2について、明確要件、サポート要件、実施可能要件のいずれについても、満たしていないとは言えない。

【まとめ(無効理由1:明細書の記載不備(特許法第36条)】

明細書の記載は、本件発明1,2について、明確要件(36条5項2号)、サポート要件(36条5項1号)、実施可能要件(36条4項)のいずれについても違反しているとはいえない。

〈無効判断〉
本件発明1、2に係る特許は、平成6年改正前特許法第36条第4項、第5項第1号または第5項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきものである、とすることはできない。


【第7-2】無効理由2(分割不適法による出願日不遡及を前提とする
進歩性新規性欠如、特許法第29条第2項・第1項)について

[1]本件出願の出願日(分割の適法性)について

ア 請求人の主張(分割要件違反)
本件出願に係る分割の適法性および本件出願日についての請求人の主張は、
本件特許の分割に係る原出願(特願平3-516691号)の出願当初の明細書又は図面(以下、「原出願当初明細書」ともいう。甲第12号証参照)と、本件特許明細書又は図面とを比較し、
本件特許明細書の特許請求の範囲の各請求項に記載されている事項は、原出願当初明細書に記載されていた事項(記載されていたに等しい自明な事項も含む)以外の事項である、前記【第4-1】請求人の主張(請求)の[4]で前記した各事項(請求人が分割違反の根拠として挙げる各事項)を含んでいるとし、
このことを前提に、本件(分割)出願は特許法第44条の規定に違反してなされたものであるとする主張であり、
分割が不適法であるから、本件特許の出願日は原出願まで遡及せず現実の出願日である平成12年10月20日となる、と主張するものである。
なお、上記各事項は、「原出願当初明細書」と本件(分割)出願の出願当初の明細書又は図面とを比較した上で導き出したものではない。

イ 「原出願当初明細書」に記載されていない事項

前記【第4-1】請求人の主張(請求)の[4]で、請求人が分割違反の根拠であり、「原出願当初明細書」に記載されていない事項であると、
具体的に特定して指摘する上記各事項は、すべて特許請求の範囲の各請求項記載の事項であるところ、
前記(【第7-0】)のとおり、形式的確定している第1訂正により、登録時の請求項21,22、28,33,34は削除されたので、請求人が分割違反とする根拠となり得ない。
また、前記のとおり、本件第2訂正を認めることから、
第2訂正前の請求項1?5,7(登録時の請求項1?5、7)、
第2訂正前 請求項9?20(登録時の請求項9?20)、
第2訂正前 請求項21?25(登録時の請求項23?27)、
第2訂正前 請求項26?29(登録時の請求項29?32)
は削除され、これらの請求項は削除されたので、分割違反であるとする根拠となり得ない。

分割違反であるとする根拠となり得るのは、第2訂正後の請求項1(登録時請求項6)及び請求項2(登録時請求項8)記載の事項のみであり、
前記『【第4-1】[4]無効理由2(分割不適法)』の
・(6)の○1?○7で主張する登録時発明6の6A?6D(第2訂正後の1A?1Dに同じ)と、
・(8)の○1?○4で主張する登録時発明8の8A?8C(第2訂正後の2A?2Cに同じ)である。
そして、これらの事項は、それぞれ、『前記【第4-1】[3]無効理由1(請求人主張の記載不備)』の、
・(6)の○2?○8でサポート要件違反(36-4)又は実施可能要件違反(36-4)であると主張する登録時発明6の6A?6D(第2訂正後の1A?1Dに同じ)、及び
・(8)の○1,○2,○4,○5でサポート要件違反(36-4)又は実施可能要件違反(36-4)であると主張する登録時発明8の8A?8C(第2訂正後の2A?2Cに同じ)と同じであり、その理由も、記載されていないとする対象が「特許明細書の発明の詳細な説明」でなく「原出願当初明細書」である点を除き同じであるところ、
これら登録時発明6の6A?6D(第2訂正後の1A?1D)と、登録時発明8の8A?8C(第2訂正後の2A?2C)は、いずれも、本件明細書の発明の詳細な説明(段落0008、0009を除く)に記載されているといい得る事項であることは、前記『【第7-1】無効理由1(明細書の記載不備)』での判断の中において、理由を付して既に示した通りである。

そして、次のウに示すとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の段落0001?0007、段落0011?0084記載されている事項は、実質的に「原出願当初明細書」(甲第12号証参照)に記載されている事項である。
そうすると、請求人が分割違反の根拠とする事項、すなわち第2訂正後の請求項1(登録時請求項6)及び請求項2(登録時請求項8)記載の事項であって、前記『【第4-1】[4]無効理由2(分割不適法)』の
・(6)の○1?○7で主張する登録時発明6の6A?6D(第2訂正後の1A?1D)及び、
・(8)の○1?○4で主張する登録時発明8の8A?8C(第2訂正後の2A?2C)
のすべては、
「原出願当初明細書」(甲12号証参照)に記載されている事項であって、「原出願当初明細書」に記載されていない、とはいえない。

なお、第2訂正後の請求項1の1E(登録時請求項6の6E)、及び、請求項2の2D(登録時請求項8の8D)も、本件明細書の発明の詳細な説明の段落0001?0007、段落0011?0084に記載されていると言え、したがって、「原出願当初明細書」(甲12号証参照)に記載されている事項と言え、「原出願当初明細書」に記載されていない、とはいえない。

ウ 本件特許明細書と「原出願当初明細書」の記載事項
本件明細書の発明の詳細な説明の段落0001?0007,段落0010,段落0011?段落0084に記載されている事項は、以下の通り、実質的に「原出願当初明細書」(甲12号証参照)に記載されている事項である。

(ア)「原出願当初明細書」のうちの特許請求の範囲(請求項1?113、甲12号証2頁?5頁)のうち、請求項1に従属する請求項14、請求項26に従属する請求項39、は、下記に記すように同じではないものの、本件明細書の第2訂正後の請求項1、2に一応対応している。

記(原当初明細書(甲12号証)の請求項1,14,26,39)
「1.テレビジョンスケジュールシステムであって表示部と、
異なったテレビジョン番組時間長に応じて、長さを変化させる不規則なセルのアレーとして前記表示部へテレビジョンスケジュールを表示するために前記表示部へ接続されている手段と、
前記表示部の前記テレビジョンスケジュールヘカーソルを提供するため前記表示部へ接続されている手段と、前記カーソルは、前記カーソルが置かれている不規則なセルの選択された一つのセルの長さに応じて可変長の長さを有し、等長のステップのシリーズのアレーで前記カーソルを移動する目的で前記カーソルを提供するための前記手段に接続された手段とを含み、少なくとも前記不規則なセルのあるものは前記ステップの長さより長い長さを有すことを特徴とするテレビジョンスケジュールシステム。
14.スケジュールを表示するための前記手段は、更に、第一の時間帯にある複数のチャンネルのためのスケジュールと、第二の時間帯にある単一のチャンネルのためのスケジュールとを交互に表示可能であるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のテレビジョンスケジュールシステム。

26.テレビジョンスケジュールシステムの動作の方法であって、異なったテレビジョン番組時間長に応じて、長さを変化させる不規則なセルのアレーとしてテレビジョンスケジュールを表示し、カーソルを表示部上の前記テレビジョンスケジュールへ提供し、前記カーソルは、前記カーソルが置かれている不規則なセルの選択された一つのセルの長さに応じて可変長の長さを有し、
等長のステップのシリーズのアレーにて前記カーソルを移動することを含み、少なくとも前記不規則なセルのあるものは前記ステップの長さより長い長さを有すことを特長とする方法。
39.前記テレビジョンスケジュールが、第一の時間帯にある複数のチャンネルのためのスケジュールと、第二の時間帯にある単一のチャンネルのためのスケジュールとを交互に表示することを特徴とする請求の範囲第26項に記載の方法。」

(イ)「原出願当初明細書」のうちの特許請求の範囲以外の記載(甲12号証公報において、「明細書」として記載された6頁?11頁)

(イ-1)「原出願当初明細書」のうちの特許請求の範囲以外の記載は、甲12号証における、以下の(1)?(6)の記載部分からなっている。
(1)「明細書
テレビジョンスケジュールシステムのユーザーインタフェース」
(6頁左上欄1行?同頁左上欄2行)、
(2)「発明の背景」として記載された部分
(6頁左上欄3行?同頁左下欄8行)、
(3)「発明の要約」として記載された部分
「発明の要約
従って、本発明の目的は、テレビジョンスケジュール情報・・・
・・(中略)・・
存在しない場合、第二の利用可能なチャンネル数が追尾される。」
(6頁左下欄9行?7頁左上欄14行)
(4)「本発明の上記目的、関連目的、利点及び特徴は、本発明の以下より 詳細な説明を図面と共に参照した後、当業者にとってより容易に理解 できよう。」(7頁左上欄15行?16行)
(5)「図面の簡単な説明」として記載された部分、
「図面の簡単な説明
図1-3は、・・・
・・・(中略)・・・
図22は、本発明によるテレビジョンスケジュールシステムのブロック
図である。」(7頁左上欄17行?同頁右上欄9行)
(6)大部分である「発明の詳細な説明」として記載された部分
(7頁右上欄10行?11頁末行)

(イ-2)上記(1)(3)(5)
上記(1)は発明の名称で、(3)には少なくとも特許請求の範囲の記載以上の記載はなく、(5)は図面の簡単な説明である。

(イ-3)上記(2)(4)(6)
上記(2)(4)(6)は、本件特許明細書の【発明の詳細な説明】と実質的に同一内容(参照番号の修正などの形式的な修正を除く)の記載である。
(上記(2)は、特許明細書の【発明の詳細な説明】の段落0001?0007と、
上記(4)は、特許明細書の【発明の詳細な説明】の段落0010と、
上記(6)は、特許明細書の【発明の詳細な説明】の段落0011?0084〔発 明の実施の形態〕と、実質的に同一内容である。
すなわち、本件特許明細書の【発明の詳細な説明】のうち、段落0008 及び段落0009を除く記載内容については、甲12号証に記載されてい る。)
特許明細書の段落番号と甲12号証の記載部分との対応関係を下記の「記3」に示しておく。なお、/ア?/スの記号は、請求人が審判請求書30頁?46頁で甲12号証記載事項として摘示した各記載部分に対する記号である。

(ウ)請求人が分割違反の根拠として挙げる上記事項は、いずれも、少なくとも、特許明細書の【発明の詳細な説明】の段落0008、0009を除く部分(段落0001?0007,0010?0084)に記載されているといえるところ、
この、段落0008、0009を除く部分(段落0001?0007,0010?0084)の記載は、「原出願当初明細書」の上記(2)(4)(6)の部分と実質的に同一内容であることから、
請求人が分割違反の根拠として挙げる上記事項は、いずれも「原出願当初明細書」に記載されているということができ、「原出願当初明細書」に記載されていない、とはいえない。

記3(特許明細書の段落番号と、甲12号証の記載部分との対応関係、
/ア?/スの記号は、請求人摘示の各記載部分に対する記号)

(特許明細書) (甲12号証の記載部分)
---以下、部分(2)---------
〔発明の属する技術分野〕
段落0001 6頁左上欄4行?13行
〔従来の技術〕
段落0002 6頁左上欄14行?19行
段落0003 6頁左上欄20行?右上欄1行
段落0004 6頁右上欄2行?右上欄9行
段落0005 6頁右上欄10行?右上欄16行
段落0006 6頁右上欄17行?右上欄27行
段落0007 6頁右上欄28行?左下欄8行
--以下、対応部分無し ------
〔発明が解決しようとする課題〕
段落0008 対応箇所はない。
〔課題を解決するための手段〕
段落0009 対応箇所はない。
--以下、部分(4)----------
段落0010 7頁左上欄15行?16行
--以下、部分(6)----------
〔発明の実施の形態〕(以下、「発明の詳細な説明」としての記載部分)
段落0011 7頁右上欄10行?23行 /ア
段落0012 7頁右上欄24行?27行 /ア
段落0013 7頁右上欄28行?左下欄7行 /ア
段落0014 7頁左下欄8行?左下欄13行 /ア
段落0015 7頁左下欄14行?左下欄22行 /ア
段落0016 7頁左下欄23行?右下欄1行 /ア
段落0017 7頁右下欄2行?右下欄6行 /ア
段落0018 7頁右下欄7行?右下欄11行 /ア

段落0019 7頁右下欄12行?右下欄21行
段落0020 7頁右下欄22行?8頁左上欄5行
段落0021 8頁左上欄6行?左上欄12行

段落0022 8頁左上欄13行?左上欄17行 /イ
段落0023 8頁左上欄18行?左上欄28行 /イ
段落0024 8頁左上欄29行?右上欄8行 /イ

段落0025 8頁右上欄9行?右上欄13行 /ウ
段落0026 8頁右上欄14行?右上欄20行 /ウ
段落0027 8頁右上欄21行?右上欄28行 /ウ
段落0028 8頁右上欄29行?左下欄4行 /ウ
段落0029 8頁左下欄5行?左下欄8行 /ウ
段落0030 8頁左下欄9行?左下欄17行 /ウ

段落0031 8頁左下欄18行?左下欄22行 /エ
段落0032 8頁左下欄23行?左下欄26行 /エ
段落0033 8頁左下欄27行?右下欄5行 /エ

段落0034 8頁右下欄6行?右下欄20行 /オ

段落0035 8頁右下欄21行?右下欄26行

段落0036 8頁右下欄27行?9頁左上欄7行 /カ
段落0037 9頁左上欄8行?9頁左上欄12行 /カ
段落0038 9頁左上欄13行?9頁左上欄22行 /カ
段落0039 9頁左上欄23行?9頁左上欄27行 /カ
段落0040 9頁左上欄28行?9頁右上欄5行 /カ
段落0041 9頁右上欄6行?9頁右上欄12行 /カ

段落0042 9頁右上欄13行?9頁右上欄17行 /キ
段落0043 9頁右上欄18行?9頁右上欄22行 /キ
段落0044 9頁右上欄23行?9頁右上欄28行 /キ
段落0045 9頁右上欄29行?9頁左下欄3行 /キ

段落0046 9頁左下欄4行?9頁左下欄12行 /ク
段落0047 9頁左下欄13行?9頁左下欄16行 /ク
段落0048 9頁左下欄17行?9頁左下欄24行 /ク
段落0049 9頁左下欄25行?9頁左下欄27行 /ク
段落0050 9頁左下欄28行?9頁右下欄7行 /ク
段落0051 9頁右下欄8行?9頁右下欄11行 /ク

段落0052 9頁右下欄12行?9頁右下欄22行 /ケ
段落0053 9頁右下欄23行?10頁左上欄8行 /ケ
段落0054 10頁左上欄9行?10頁左上欄14行 /ケ
段落0055 10頁左上欄15行?10頁左上欄21行 /ケ
段落0056 10頁左上欄22行?10頁左上欄27行 /ケ
段落0057 10頁左上欄28行?10頁右上欄3行 /ケ
段落0058 10頁右上欄4行?10頁右上欄10行 /ケ
段落0059 10頁右上欄11行?10頁右上欄13行 /ケ
段落0060 10頁右上欄14行?10頁右上欄16行 /ケ
段落0061 10頁右上欄17行?10頁右上欄19行 /ケ

段落0062 10頁右上欄20行?10頁右上欄23行
段落0063 10頁右上欄24行?10頁右上欄25行
段落0064 10頁右上欄26行?10頁右上欄28行

段落0065 10頁右上欄29行?10頁左下欄6行 /コ
段落0066 10頁左下欄7行?10頁左下欄16行 /コ
段落0067 10頁左下欄17行?10頁左下欄23行 /コ
段落0068 10頁左下欄24行?10頁左下欄27行 /コ
段落0069 10頁左下欄28行?10頁右下欄4行 /コ
段落0070 10頁右下欄5行?10頁右下欄9行 /コ

段落0071 10頁右下欄10行?10頁右下欄22行 /サ
段落0072 10頁右下欄23行?11頁左上欄7行 /サ

段落0073 11頁左上欄8行?11頁左上欄14行 /シ
段落0074 11頁左上欄15行?11頁左上欄20行 /シ
段落0075 11頁左上欄21行?11頁左上欄25行 /シ
段落0076 11頁左上欄26行?11頁右上欄1行 /シ

段落0077 11頁右上欄2行?11頁右上欄10行 /ス
段落0078 11頁右上欄11行?11頁右上欄21行 /ス
段落0079 11頁右上欄22行?11頁左下欄2行 /ス
段落0080 11頁左下欄3行?11頁左下欄10行 /ス
段落0081 11頁左下欄11行?11頁左下欄16行 /ス
段落0082 11頁左下欄17行?11頁左下欄27行 /ス
段落0083 11頁左下欄28行?11頁右下欄3行 /ス
段落0084 11頁右下欄4行?11頁右下欄16行 /ス

エ 本件出願の出願日

上記イのとおり、請求人が「原出願当初明細書」に記載されていない事項と主張する事項で、本件第2訂正請求後にも存在している事項は、請求項1および請求項2記載の事項のみであるところ、
そのいずれの事項も、「原出願当初明細書」に記載されている事項であって、「原出願当初明細書」に記載されていない、とはいえない。
したがって、本件(分割)出願は特許法第44条の規定に違反してなされたものである(分割不適法である)とする請求人の主張の前提は成り立たたず、したがって、本件特許の出願日は原出願まで遡及せず現実の出願日である平成12年10月20日となる、とはいえない。

また、本件第2訂正後の請求項1及び2記載の事項のすべては、前記『【第7-1】無効理由1(明細書の記載不備)』で判断したとおり、少なくとも本件特許明細書の発明の詳細な説明の、段落0008、0009を除く部分(段落0001?0007及び段落0011?0084)の記載及び図面に記載されているといえるところ、
この、本件特許明細書の発明の詳細な説明の、段落0008、0009を除く部分(段落0001?0007及び段落0011?0084)の記載及び図面は、本件(分割)出願の出願当初の明細書(甲16号証)のそれと全く同じであるから、
本件第2訂正後の請求項1及び2記載の事項は、本件(分割)出願の出願当初の明細書及び図面にも記載されているといえ、分割不適法とはいえない。

また、請求人は、無効理由2で主張する分割違反とは別に、無効理由3で要旨変更を根拠に本件出願日は平成15年9月24日とみなされることを主張しているが、後記(【第7-3】無効理由3)のとおり、その主張を認めることはできない。

以上によれば、本件出願日は、原出願の出願日である平成3年9月10日とみなされる。

[2]分割不適法による出願日不遡及を前提とする進歩性新規性欠如について
検討を要する第2訂正後の請求項1および2に係る発明{本件発明1(登録時発明6)および本件発明2(登録時発明8)}について請求人が主張する無効理由2は、
本件出願日が現実の出願日である平成12年10月20日であることに基づいていう、
・甲12号証(原出願の公表公報(平成6年5月12日公表))、
・甲13号証(平成12年1月5日頒布)
を引用刊行物とする進歩性新規性違反であるところ、
本件の出願日は前記のとおり平成3年9月10日とみなされるから、
上記甲12号証、甲13号証のいずれも、本件出願前に頒布された刊行物とはいえず、進歩性新規性違反の基礎とはなし得ない。
したがって、請求人の主張する無効理由3によっては、本件発明1、2に係る特許は特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである、とすることはできない。

【第7-3】無効理由3(要旨変更を前提とする、進歩性新規性欠如)

検討を要する第2訂正後の請求項1および2に係る発明{本件発明1(登録時発明6)および本件発明2(登録時発明8)}について請求人が主張する無効理由3は、
請求項33及び34(登録時)の存在を前提に、本件出願日が平成15年9月24日とみなされることに基づいていう、甲16号証(特開2001-186438号公報、本件特許公開公報)を主引例とする進歩性新規性違反であるところ、
請求項33及び34(登録時)は、前記のとおり、形式的確定している第1訂正により削除されたのでので、上記前提が成立せず、したがって、本件の出願日は、平成15年9月24日とみなされることはなく前記のとおり平成3年9月10日とみなされる。
上記甲16号証は、本件出願前に頒布された刊行物とはいえず、進歩性新規性違反の基礎とはなし得ない。
したがって、請求人の主張する前記無効理由3によっては、本件発明1、2に係る特許は特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである、とすることはできない。

【第8】むすび

以上のとおりであるから、
請求人の主張及び証拠方法によっては、訂正後の請求項1および2に係る発明に係る特許は、いずれも、特許法第123条第1項第2号または第4号に該当し無効とすべきものである、とすることはできない。

審判に関する費用については、請求人の訂正請求による削除された請求項を考慮し、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条及び第62条の規定により、その63分の4を請求人の負担とし、63分の59を被請求人の負担とする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
テレビジョン番組リストのユーザーインタフェース
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイトル、放送時間そしてチャンネルをそれぞれが含んでいる複数のテレビジョン番組リスト、
このテレビジョン番組リストの中の幾つかを表示する時間とチャンネルのグリッドガイド、
このグリッドガイドに表示されたテレビジョン番組リストの一つを選択して目立たさせる可動カーソル、そして
時間とチャンネルのグリッドガイドをその目立たせたテレビジョン番組リストのチャンネルの単一チャンネルガイドに変える手段
を備えていることを特徴とする電子番組ガイド。
【請求項2】
テレビジョン番組リストを複数のセル内に表示している時間とチャンネルのグリッドガイド形式で表示モニターに、RAMに記憶したテレビジョン番組リストを表示させる信号を発生し、
その表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、そして
グリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式でその目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生
するようプログラムされていることを特徴としたマイクロプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、テレビジョン視聴者がスクリーン上のテレビジョンのプログラムリストにアクセスし、ビデオカセットレコーダー(VCR)またはその他の記録装置を容易かつ便利な方法で制御するために番組リストの使用を可能とするシステムおよび方法に関する。更に、本発明は、容易な呼び出しおよび再生のため、タイトルによって記録番組のディレクトリを作成するシステムおよび方法に関する。より具体的には、VCRまたは他の記録装置が、将来の日付と時間の記録についても、番組のタイトルの簡単な選択および記録コマンドによって制御されるシステムおよび方法に関する。もっと具体的には、直感的なユーザーインタフェースを備えたシステム及び方法に関する。
【0002】
〔従来の技術〕将来の日付けの自動記録のためのVCRの設定の複雑さは、知られるところである。技術的によくわかっていると思えるユーザーでも、VCRのプログラム手順では間違いを犯し、誤った番組を記録することになるか、全く記録しないことになる。この複雑さは、VCRをプログラムすることを種とした多数のユーモアを産み出してさえいる。
【0003】
VCRプログラムの難しさは、プログラム期間中にユーザープロンプトおよびユーザーへのフィードバックのためにテレビジョンセットを表示部として利用するようなVCRの開発で幾分緩和されてきてはいる。マイケル・アール・レビン(Michael R.Levine)による1990年3月13日発行の米国特許4,908,713によれば、ステップごとにユーザーに指示を与える対話型ユーザーインタフェースを備えたVCRプログラムのためにテレビジョンセットを表示部として利用するようなVCRが開示されている。そのようなユーザーインタフェースは、VCRプログラムに伴う多くの不思議さを取り除いてくれるが、ユーザーはいぜんとしてコマンドに基づくインタフェースに対する難しさを有しているし、番組が放送されている時間とは違った時間に見ようとする番組を記録しそこなうような失敗をすることなくプログラムをするには、いぜんとして問題がある。
【0004】
パトリック・ヤング(Patrick Young)による1987年11月10日発行の共同譲渡されている米国特許4,706,121は、テレビジョンスケジュール情報のユーザー選択がVCRの自動制御に使用されるシステムと方法を開示している。その特許は、そのようなシステムと方法のために提案のユーザーインタフェースの説明をも含んでいる。しかし、そのようなシステム及び方法を容易かつ便利に操作可能としている高度に直感的なユーザーインタフェースの方法は、困難な仕事である。このシステムと方法の更なる開発は、初めに提案されたユーザーインタフェースにかなりの変更を強いている。
【0005】
VCRのプログラムを単純化するに加えて、多数の番組テープを作成するユーザーは、彼らの記録番組を監視する改良したシステム及び方法をまた必要とする。パトリック・ヤング(Patrick Young)の名前で1988年7月15日に出願された共同譲渡の出願番号No.07/219,971は、テープ記録資料に対してインデックス機能を有するシステム及び方法を開示している。テレビジョンスケジュールシステムのユーザーインタフェースは、直感的なやり方でこの機能を扱う必要がある。
【0006】
VCRの制御及びテレビジョンスケジュールシステムに関する技術は、開発し尽くされた技術である一方、改良したユーザーインタフェースを組み込んだテレビジョンスケジュールシステム及び方法に対する必要性は、いぜんとして存在する。特に、殆どのコンピュータメニューと異なり、グリッド状TVガイドは、不規則なセルのアレーであり、セルのサイズは、一時間に満たないものから現スクリーンからはみ出す数時間に及ぶものまである。このアレーがセルからセルに移動するカーソルで誘導されると、単一のカーソルコマンドが急激なスクリーン変化をもたらす。例えば、カーソル右のコマンドは、現在のページから数時間離れているセルへの急なジャンプを引き起こす。これは、不安定であるだけでなく、もとに戻すのにかなりの努力を要する。明かに、もっとより穏やかなカーソル運動がグリッド状TVガイドに見受けられる不規則なセルに必要とされる。
【0007】
印刷されたグリッドテレビジョンスケジュールガイドは、よく番組のタイトル及び放送局名以外の付属情報を含む。そのようなグリッドはまた一般に、各番組の紹介、その番組が再放送かどうか、映画の人気及びその他の情報を含むより詳細な印刷スケジュールと組み合わせて提供される。テレビジョンセットをスケジュールシステムの表示部として利用する場合、テレビジョン表示部のサイズ及び解像度がグリッドに表示されるテキストの量を制限する。テレビジョン表示部の制限の範囲内にてユーザーに容易に理解されるやり方で最大の情報を伝えるためには、改良した技術が要求される。視聴のための多数のチャンネルの利用が可能である場合、ユーザーにとって最も都合のよいように情報の表示を編成する必要がある。
【0008】
〔発明が解決しようとする課題〕本発明の目的は、テレビジョン番組リストをより見易い形で表示する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、より分かりやすい仕方で視聴又は記録するための番組を選択する方法を提供することにある。
【0009】
〔課題を解決するための手段〕
テレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法であり、タイトル、放送時間、およびチャンネルを各々含む複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶し、番組リストのタイトルの幾つかを、時間とチャンネルのグリッドガイド形式で、モニタースクリーン上に表示し、スクリーン上でカーソルを移動して、グリッドガイド形式で表示されたタイトルの一つに目印を付け、そしてグリッドガイド形式の代わりに単一チャンネル形式で目印を付けられたタイトルを表示することを可能にするステップから成り、前記単一チャンネル形式が、目印を付けられたタイトルを対応するチャンネルに対応する一連のテレビジョン番組リストの行を含む、前記方法。
テレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法であり、タイトル、放送時間、およびチャンネルを各々含む複数のテレビジョン番組リストを電子メモリに記憶し、或る放送時間の番組リストのタイトルおよびチャンネルを第1の形式で、モニタースクリーン上に表示し、スクリーン上でカーソルを移動して、グリッドガイド形式内に表示されたタイトルの一つに目印を付け、そして第1の形式の代わりに、第2の形式で,目印を付けられたタイトルのチャンネルに関する番組のリストおよび時間を表示する、前記方法。
テレビジョン番組リストが表示される複数のセルを有する時間とチャンネルのグリッドガイド形式で、表示モニター上に、RAMに記憶されたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生し、表示されたテレビジョン番組リストの一つを目立たさせる信号を発生し、且つグリッドガイド形式の代わりに、単一チャンネルガイド形式で目立たされたテレビジョン番組リストを表示する信号を発生するように、表示モニターとRAMと共に作動するようにプログラムされたマイクロプロセッサ。
視聴するためのテレビジョン番組を選択するための方法が、テレビジョンジョンチューナを視聴する番組放送をチャンネルに設定し、テレビジョンスクリーン上に番組を表示し、スクリーン上に表示された番組の大部分を見ることを可能にしつつ、スクリーンのある領域に複数の番組リストを表示し、現在の放送番組の表示リストにタブを付け、チューナにタブが付されたチャンネルに変化する様に命令を発して、タブが付されたチャンネル上の番組放送がスクリーン上に表示されるようにする、前記方法。
視聴するための番組を選択するための方法が、ビデオ番組の複数のチャンネルを搬送するテレビジョン信号を受信し、ビデオ番組放送を視聴するために前記チャンネルの一つを選択し、テレビジョンスクリーン上に選択されたチャンネルのビデオ番組を表示し、表示されたビデオ番組の大部分がスクリーン上で見ることを可能にしつつ、スクリーンの一部に複数の番組リストを表示し、所定のチャンネルで現在放送されているビデオ番組の表示リストにタブを付け、そして前記選択されたチャンネルのビデオ番組の代わりに、スクリーン上にタブを付けられたリストに対応するビデオ番組を表示するステップからなる、前記方法。
ビデオ番組の複数のチャンネルを搬送するテレビジョン信号を受信し、ビデオ番組放送を視聴するために、前記チャンネルの一つを選択し、テレビジョンモニターのスクリーン全体に、選択されたチャンネルのビデオ番組を表示し、バックグラウンドガイド命令を発行し、テレビジョン番組リストのデータベースをメモリに記憶し、バックグラウンドガイド命令に応答して、前記モニターの第1の領域に、選択されたチャンネルのビデオ番組を表示し、それと同時に、この表示されたビデオ番組の大部分をスクリーン上で見ることを可能として、前記モニターの第2の領域に、メモリからの番組リストの幾つかを表示し、視聴する番組の選択を容易にするために、第2の領域内に異なるリストを表示して、データベースを閲覧し、前記閲覧するステップの後に、選択された番組をスクリーン全体に表示するステップを含む、視聴するテレビジョンジョン番組を選択するための方法。電子メモリに、或るチャンネルリスト内の複数のチャンネルに対するテレビジョン番組リストを記憶し、時間とチャンネルのガイド形式で、テレビジョン番組リストの幾つかをモニタースクリーン上に表示し、チャンネルリスト内の複数のチャンネルを、視聴者の関心と一致する好ましい順番に配列するステップからなる、テレビジョン番組リストのデータベースを閲覧する方法。
VCRを使用して、ビデオテープにテレビジョン番組を記録し且つインデックス付けする方法であり、複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルをメモリに記憶し、データファイルが、各番組リストのタイトル、チャンネルおよび開始時間を含み、ディスプレイモニター上にメモリに記憶される番組リストを表示し、記録のためのビデオテープカセットをVCR内にロードし、表示された複数の番組リストの内の記録のための番組リストを選択し、データファイルからVCRに、記録のために選択された番組リストに対応するデータを転送し、VCRが記録のために選択された番組リストによって表示された番組を記録するようにする方法。
VCRを使用して、ビデオテープにテレビジョン番組を記録し且つインデックスを付けるためのシステムであり、複数のテレビジョン番組リストに対応して、各番組リストのタイトル、チャンネルおよび開始時間を含むデータファイルが記憶される電子メモリ、前記メモリに記憶された番組リストを表示するための表示モニター、番組タイトルおよびテープ位置を含む、ビデオテープカセットに記録された番組ディレクトリ、表示された複数の番組リストの内の記録のための番組リストを選択するための手段、記録のために選択された番組リストに対応するデータをデータファイルからVCR記録スタックに転送し、VCRが、記録のために選択された番組リストによって表わされる番組を記録するための手段、から成り、記録ために選択された番組リストに対応するデータファイルからのタイトルが前記ディレクトリに加えられる方法。
VCR、表示モニター、およびRAMと共に動作するようにプログラムされ、前記RAMに複数のテレビジョン番組リストに対応するデータファイルが記憶され、前記データファイルは、各番組リストのタイトル、チャンネルおよび開始時間を含み、表示モニター上にRAMに記憶された番組リストを表示する信号を発生する様にするマイクロプロセッサであり、表示された複数の番組リストの内の記録のための番組リストを識別するための信号を発生し、記録のために選択された番組リストに対応するデータを、データファイルからVCRに転送するための信号を発生し、記録のために選択された番組リストによって表わされる番組を記録するようにするマイクロプロセッサ。
【0010】
本発明の上記目的、関連目的、利点及び特徴は、本発明の以下より詳細な説明を図面と共に参照した後、当業者にとってより容易に理解できよう。
【0011】
〔発明の実施の形態〕
図を参照して、特に図1-7を参照すると、本発明のシステムの動作に使用され、本発明による方法を実行している一連のメニュースクリーン10、12、14、16、18、20及び22が示されている。スクリーン10、12、14、18及び20の各々は、不規則なセル26のアレー24を含み、これらセル26は、半時間から一時間半以上の時間までの異なったテレビジョン番組長に応じて変化するように可変長である。アレーは、半時間長の三つのコラム28、及び十二の行30の番組リストとして構成されている。番組リストの幾つかは、長さのため、二つかそれ以上のコラム28を重複して使用している。セル26の長さが大きく変化しているので、セル位置を選択するのに用いられた従来のカーソルが一つのセルから他のセルへ単純に段階的に移動すると、カーソルが何時間かの時間長であるセル26から同じ行の隣接したセルへ移動するので、結果は、スクリーン10、12、14、18及び20間で急に変化することになる。そのような急は変化は、システムのユーザーの感覚を失わせる。
【0012】
この動作をやわらげる有効な方法は、全てのアレー24の背後に標準セルの基礎アレーがあるようにすることである。カーソルの運動を標準セルに限定することで、急峻なスクリーン変化が回避できる。しかし、カーソルの運動を支配する基礎セルと番組のタイトルを保持する可視セルとの間の潜在的な曖昧さが残る。
【0013】
即ち、カーソルが半時間のステップで移動し、セル長が例えば4時間とすると、カーソルは1/2時間の長さとするか、4時間の長さとするか? カーソルが基礎セル(1/2時間)の間隔だけ広がっているとすると、カーソルは、セルのセグメントをハイライトするように現われ、これは誤解をもたらす。反対に、カーソルが、TVリストの4時間全体に広がると、カーソル基礎位置がわからなくなる。この場合、カーソル右/左コマンドは、長いセルを横切る間は、動作停止している。カーソルコマンドに追従するフィードバックが存在しないので、ユーザーはまごつく。従って、幾つかの矛盾する条件を満たす不規則アレー24の革新的なカーソル32(図1)が必要とされる。
【0014】
カーソル32では、全体セル26は、従来のオフセットシャドウ34を用いて、3-Dハイライトされる。オフセットシャドウ34は、セル全体に下線を引く黒バーがあり、セルの右端を囲む。カーソル32が存在する位置、即ちカーソル32が次に移動する位置を画定する基礎位置に標識を付けるため、現在の基礎位置の外側の黒バーの36の部分は、セグメント分割され、現在位置は、連続表示されている。
【0015】
半時間セル26に付き、オフセットシャドウの下線バーは、常に黒の連続線である。図2及び図3は、半時間番組に現われたカーソル32を示す。1/2時間を越える番組に付いては、現在の1/2時間位置のみが黒実線で示される。残りの全体位置がすじが付けられている。カーソルが右か左へ移動すると、連続部分は、それに応じて移動し完全な視覚的なフィードバックを提供している。従って、この改良3-Dオフセットシャドウカーソル32は、すでに述べた条件を満たす:それは、セル全体に広がり、かつ現在の基礎位置をはっきりとハイライトしている。カーソル32の移動は、基礎セルよりもはるかに長いセル26に関しても常に可視である。
【0016】
グリッド連続アイコン38が図1に示される。印刷グリッドテレビジョンスケジュールガイドは、しばしば番組が連続していることを示すため(”続く”といった)括弧で括ったコメントを含む。TVスクリーンに表示される電子ガイドでは、テキストスペースに対する制限故に、これらの括弧付きコメントは、除外される。スペースを節約するため、アイコン38が、セル26の連続性を示すために用いられる。次のスクリーンへ連続しているセル26の境界では、右を向いている矢印アイコン38が、重ねられている。矢印の方向は常に右を向き、それは番組の経過の方向である。
【0017】
図2及び図3は、記録状態の表示である。一つの番組が記録のため選択されていると、そのリストセル26が、40で示されるように、アウトラインが強調されるか、赤でハイライトされる。ガード時間が追加されているか、除去されているかすると、セルは、それを反映して延びるか、縮むかする。セル26の連続性は、既に述べたように扱われる。他に四つの記録状態表示がある。
【0018】
セルが現在記録中であると、アウトライン40が、点滅する。記録済みセルは、連続の赤の背景42(注:図不指示)で示される。記録不良セルは、タイトル上に付けられた赤いハッシュマーク44で示さる。記録不良は、不十分なテープ、VCR電源停止、終了前の停止等の結果である。
【0019】
番組リンクアイコン46が図5に示されている。各スケジュール更新後、スケジュールシステムは、リンクされたタイトル(図24)でのタイトルに合致するいかなるタイトルの発生に対しても新規のリストを調査する。もしタイトルが合致すれば、それは自動的に記録のために標識が付けられる。リンクされた番組がガイドに表示される場合、二つの識別子を有する:赤のアウトライン40は、タイトルが記録のために選択されていることを示し、リンクアイコン46がタイトルに付随して、このタイトルがリンク選択されたことを示す。リンクされた番組が記録された後、タイトルが赤でシェードが付けられ他のいかなる記録番組とも同様に扱われる。この記録をその他と区別するものは、タイトルに付随しているリンクアイコンである。
【0020】
リンク特性の詳細は、図24のスクリーン19で更に説明される。1)リンクされた番組47は、記録メモコマンドでリンクリストスクリーンのリンクタイトルを選択から外すことで、ユーザーによって停止される(多分、予定記録と競合を避けるため)。停止リンク番組は、まだリンクアイコンで確認であるが、番組は記録されないので赤のアウトラインは、除去される。2)スマートリンク処理が、記録の候補が多すぎる可能性のある場合、タイトルの突き合わせを管理するために使用される。ルーシショウは、例えば、よく何チャンネルかで配給されている。ルーシを未管理でリンクすると多数の記録が行なわれる。そのようなシリーズでは、リンクリストは、リンクタイトルはもとよりチャンネル及び時間をも含む。ルーシ好きの向きには、各シリーズがリンクできるようになっている。同じ名前のリンクタイトルが二つ以上ある場合、収集順にシリーズに番号が付けられる。このようにして、第二ルーシは、ルーシ(第二)47として識別できる。
【0021】
図1-3は、半時間ヘッダ状態インジケータにより率いられるコラム28を示す。グリッドTVガイドの頭部を横切る1/2時間ヘッダストリッブは、二つの補助的な機能を有している:1)その時間に予定されているか進行中である記録のインジケータ48として、2)過去と将来を分けるための時間バー50として。過去は、濃く表示され、将来は、弱くシェードがつけれれる。記録中の番組がある場合、1/2時間ヘッダは、予定記録タイトルセル26と同様に48にて赤でアウトラインが付けられる。
【0022】
図6は、番組ノートオーバレイ52を有すテレビジョンスケジュールグリッドスクリーン20を示す。TV表示部のテキストスペースの制限により、可能な限りTVリストの多数の行を表示するのが好ましい。テキストで一杯の番組ノートを処理するため、即時応答オーバレイ52が使用される。番組ノートオーバレイ52は、次の情報のいずれかまたは全てを含む。
【0023】
○番組ジャンル
○番組紹介
○スター及び著名人
○封切りの年
○エピソード風のサブタイトル
○番組の所要時間
○番組の経過時間
○批評(スターの評価)
○範疇(PG、Gその他)
○コールサイン、チャンネルマーカー
○字幕、ステレオ
【0024】
選択した番組の番組ノートは、要求に応じてグリッドガイド上に重ねて表示される。番組ノートは、選択コマンドを利用してスイッチオン・オフすることが可能である。番組ノート52は、ガイドの3または4のリストに重ねられるか隠してしまう。ガイドの隠蔽を最小にするために、自動移動ノートが使用される。番組ノートは、スクリーンの上半分か下半分に重ねられ、必要に応じて、選択されたリストのタイトルをマスクを回避できるようになっている。カーソル32がスクリーンの上半分に位置するとき、ノートは、下半分に位置し、逆場合は、この反対となる。カーソル32が、スクリーンの下半分に移動すると、ノートは、自動的にスクリーンの上半分に位置するようになる。
【0025】
図1-3及び図5-6は、テレビジョンスケジュールグリッド24のチャンネルコラム54を示す。好きな局及びケーブルチャンネルは、個人の好みに合わせたグリッドガイドを作成するため、一緒にリストされる。大半の印刷TVガイドと異なって、チャンネルコラム54は、オーバジエア放送の局名とケーブルサービスの局名が混合している。
【0026】
グリッド24ガイドは、局番号、ケーブル名の好きな組み合わせによってチャンネルをリストしていて、通常の番号順ではリストアップされていない。グリッド24ガイドを見る場合は、チューナアップ/ダウンチャンネルコマンドは、スクリーン上のチャンネル及びリストアップされた順で位置付けられる。ガイドを見ない場合は、チューナ手順は、通常の番号順に返る。ページの最後のチャンネルに行き着くと、次のチューナコマンドがチャンネルを次のページの最初にリストアップされているチャンネルとする。
【0027】
チューナが同調するチャンネルがグリッド24に表示されると、56で示されるように、そのチャンネルはハイライトされる。グリッド24ページは、ページコマンドか、または上述のようにチャンネルアップ/ダウンコマンドを入力することで変えられる。ページがページコマンドを用いて同調される場合、現在のチャンネルは、前ページに配置され、新ページでは見られない。従って、それが現チャンネルを示すので、新ページは、チャンネルのハイライトなしとされなければならない。現チャンネルに関する情報は、スクリーンの底部のチャンネル情報ボックス58にまだ提示されている。
【0028】
ハイライトはいつ再起動されるか?新ページに一旦入ると、第一チャンネルアップ/ダウンコマンドは、チューナを自動的に、新ページの最後または最初の行30にリストアップされているチャンネルへ移動するように作動する。チューナのチャンネルは、新ページに現在配置されているので、現在のチャンネルは、再びハイライトされる。
【0029】
ページが選択された後、チャンネルハイライトが抑圧されていない場合は、定義により、チューナは、ハイライトされたチャンネルを追尾するように変化しなければならない。不用意なページ変更がチャンネル変更をもたらさないためには、これは望ましくない。
【0030】
図2で示されるように、ガイドが初めて開かれたとき、カーソル32及び現在のチャンネル56は、グリッド24の同じ行に配置される。チャンネル56が変更されると、カーソル32は、チャンネルと共に誘引されることが望ましい。これを実現するには、カーソル32は、選択コマンド(番組ノートを呼び出すための)に備えるか、記録コマンドに備えるかする。チャンネルコマンドによるカーソル誘引は、チャンネル56及びカーソル32が同じ行で融合されている場合は常に実行される。これらが融合されていると、カーソル32は、チャンネルコマンドから切り離される。誘引は、相互的ではないことに注意を払う必要がある;カーソル32を移動してもチャンネル選択は影響されない。
【0031】
図7は、グリッド24とリスト58との間でスイッチ選択するためのテープ内容確認コマンドをユーザーにさせることで発生する、単一チャンネルの番組リスト58のスクリーン22を示す。リスト58は、そのチャンネルの一連の番組リストの行60とチャンネル情報フィールド62を含む。番組ノートは、グリッド24に関して図6で示されたと同様な方法でリスト58上に重ねられる。
【0032】
TV内容確認コマンドは、グリッドガイド24と次のチャンネル確認行ガイド58との間で交互に選択される。グリッドガイド24を見ている間は、次のTV内容確認コマンドは、グリッド24を単一チャンネル行ガイド58で置き換える。図8は、TV内容確認コマンドのフローチャートである。
【0033】
二つのガイド24と58との間のページ関係は、緊密に組み合わされている。単一のチャンネルガイドは、グリッド24上のカーソル32により選択されたチャンネルとスケジュール時間とに対して開かれる。単一チャンネルガイド58を見ている間は、アップ/ダウンチャンネルコマンドは、リストアップされているチャンネルを変更するために使用される。単一のチャンネルガイド58が存在し、グリッドガイド24に返るとき、グリッドカーソル32は、単一チャンネルガイド58で選択されたチャンネルとスケジュール時間とを指し示すようになっている。
【0034】
図9及び10は、テレビジョンを見ながらチャンネルの切り替えを行なう場合、現在の番組に関する情報を提供するチャンネルグレージングオーバレイ64および66を示す。オーバレイ64では、チャンネルを走査している場合、チャンネル情報フィールド62中のTVサービスの名前(HBO、ABCその他)、ケーブルチャンネル番号、現在の日付、曜日、および時間と共に、各番組のタイトルが68に重ねられる。オーバレイ64が図6の番組ノート52と類似している番組ノート70を含み、選択されているチャンネルで現在放送中の番組に関連する情報を含むこと除けば、オーバレイ66は、オーバレイ64と類似している。番組ノートへのアクセスは、選択キーを押して可能である。番組ノート70に加えて、経過時間がパーセンテッジで目盛られた時間バー72で示される。バーは、開始を示すS(start)及び完了を示すF(finish)によって囲まれる。デフォールト設定では、タイトルは、チャンネルが走査されたと、自動的に現われる。グレージングタイトルは、取消キーを使用して起動取消される。自動タイトルを回復するには、TVを見ながら選択を押す必要がある。TVを見ながら、タイトル/番組ノートを制御するフローチャートは、図11に示される。
【0035】
緊急記録スクリーン74が、図12に示される。緊急記録スクリーンは、次の情報を含む。
番組タイトル番組の長さ残りのテープ時間記録速度
【0036】
図13は、テープインデックススクリーン76を示す。記録セグメントを捜し当てることは、幾つかの番組がテープに記録されている場合は、ときに大仕事となる。目次無しでは、VCRのユーザーは、テープに何が記録されているか、希望番組が何処から始まっているか、テープが何処にあるかを知ろうとして記録テープを四苦八苦して調べなければならない。高級なVCRのあるものは、各記録の開始位置を自動的に見いだすテープインデックス機能を有している。しかし、視聴者は、記録の開始位置を見いだせる一方、インデックス機能付きVCRは、タイトルの記録はしない。従って正味の結果は、章名のない目次と同程度に有効であるということである。各インデックスで何が記録されているかを見いだすためには、かなりのサーチ動作がまだ必要となる。
【0037】
テープインデックススクリーン76は、仮想のテープディレクトリを提供し、テープ記録の目次に等しい機能をもたらす。記録番組のタイトルのリスト78、番組開始を示すポインタ80、テープの”章”の位置を示す現在位置インジケータカーソル82がある。仮想ディレクトリは、ユーザーがテープに記録するにつれ、オフテープメモリに自動的に編集、訂正及び記憶される。
【0038】
テープ内容確認コマンドは、テープに記録された番組のタイトルを表示する。選択番組のタイトル(テープヘッド上に配置されているテープのセグメント)は、カーソル82によってハイライトされる。テープ位置ポインタ80は、現在のテープ位置をダイナミック追尾する。全てのサーチは、インデックス番号の要求をバイパスして、単純にタイトルでなされる。テープディレクトリは、ページ番号でなく、タイトルを示す目次と等価である。それは、番組のタイトルを単純に指し示すことで、開始ページに対して開かれる。記録番組のテープディレクトリ78に加えて、スクリーン76は、番組期間フィールド84、各タイトルフィールドの記録速度86、テープフィールドで残された時間88、番組フィールドで残された時間90及び次の記録時間フィールド92を含む。
【0039】
仮想テープディレクトリは、以下のように作成される。ビデオテープといった非ランダムアクセス記憶のための効果的な自己完結テープディレクトリを実現することは困難である。ディレクトリがテープの何処に記憶されようと、ディレクトリを捜し当て現在位置へ復帰するための(標準6時間テープでの)回転アクセス時間は、極めてゆっくりした速度であり、6から10分のオーダーである。
【0040】
回転待ち時間を最小にするため、冗長なディレクトリがテープを横断して一様に記録されているとすると、低速の問題は、単に再生から多重ディレクトリの更新に移行したにすぎない。各ビデオ番組が記録されると、テープ全体が各ディレクトリの更新のため走査されなければならない。この更新処理がたとえ自動化されても、テープそしてVCR自身の過剰磨耗の問題が起こる。即ち、各記録は、如何に短くとも、全ディレクトリを改定するために、テープ全体の高速走査を必要とする。
【0041】
更に面倒なのは、VCRの制御がなされる”安全”な期間がないので、更新をいつ実行するかという問題である。例えば、ユーザーは、コマーシャルを回避するためにテープを一時的に停止したいかも知れないが、VCRが勝手に制御をしてしまい、テープを高速の更新モード下に置いてしまうかもしれない。安全な更新は、ユーザー起動でなされる更新である。残念ながら、殆どのVCRユーザーは、各記録時間後、更新の組織化した手順をとってはいない。明かに、既存の技術によるオンテープディレクトリは、十分満足できるものではない。
【0042】
次の革新的な解決策、”仮想テープディレクトリ”は、オフテープメモリにディレクトリ情報を記憶し、オンテープメモリか、ビデオカセットのいかなる形の追加も必要としない。ディレクトリがテープの代わりに外部メモリに保持されるので、それは、最近再生されたり記録されたりしたテープ、”ワーキングテープ”にもっともよく適応する。
【0043】
番組が記録されると、番組のタイトルがテープのデータ(コントロールトラック)チャンネルへ書き込まれ、同時に不揮発性(NV)メモリに記憶される。番組の長さ、テーマカテゴリー、記録データおよびテープ識別といった記録番組に関する他の情報は、データチャンネル及びNVメモリへ書き込まれる。NVメモリは、ワーキングテープ数をサポートするに十分でなければならない。
【0044】
テープが初めてロードされると、テープデータチャンネルが数秒間走査され、テープヘッドの下にある記録番組を識別する。このデータは、NVメモリに記憶されているディレクトリに対して突き合わせがなされる。合致する突き合わせがある場合は、テープ内容確認キーが押されると直ちにワーキングテープのディレクトリが表示される。”仮想”テープディレクトリは、テープから読み取られるように見えるが、実際にはNVメモリから得られる。
【0045】
合致する突き合わせが存在しない場合、テープの新規ディレクトリが作成される。このテープの再生及び記録の期間、仮想ディレクトリが、そのテープのために作成される。新規のワーキングテープが作成されるに従い、使用されないテープのディレクトリは自動的にメモリから押しだされる。
【0046】
クロック及びTVスケジュールの助けにより、スケジュールに合わせてテレビジョン放送された番組の残り時間の概算を得ることは比較的に容易である。対照的に記録番組の再生中の現在位置に関しては殆ど目安がない、特にテープで幾つかの記録セグメントが存在する場合はそうである。テープインデックスカウンタまたは経過時間クロックは、記録セグメントの開始前に入念な設定を必要とする。”番組は終わったかな?”とか”大体いつごろ次の番組セグメントが始まるだろう?”といった”概略”のインジケータが適当である場合、5または6桁の数字をいじりたいと思う消費者は殆どいない。明かに、設定の負担のない位置インジケータを設ける必要がある。
【0047】
テープの相対位置に関する一目瞭然のインジケータを提供するため、オンスクリーンテープ位置ゲージ94が設けらている。テープ位置ゲージ94は、スクリーン76に配置された矢印ポインタ80を持つ垂直バー96を含む。矢印80は、テープが進むか、巻き戻すにつれ、現在のテープ位置を動的に追尾する。
【0048】
ゲージ94は、線形な単位でなく、番組タイトルのラベルを有する各記録セグメント98の単位で目盛付けされている。このようにして、10分の番組や6時間の番組は、セグメント98の幅に応じた垂直単位として表される。しかし、ゲージ94は、各セグメント98内にて線形である。矢印が番組セグメント98の上側25%を示している場合、それはテープヘッドが番組の初めの25%に位置していることを示している。従来の線形ゲージが表示されるとすると、はるかに複雑なゲージが必要となり、明瞭にするどころか返って混乱を引き起こす可能性がある。
【0049】
このようにして、このテープゲージ94は、現在の番組に対して、他の番組やテープに対して、また他の番組のタイトルに対してテープヘッドが何処に位置するかを示すクイック要約指示を提供する。
【0050】
テープインデックススクリーン76は、テープ動作インジケータフィールド100を含む。テープが高速再位置決めを実行しているとき、テープ内容確認(What’s On This Tape:WOT)スクリーン76が表示される。長い番組の高速サーチ中、テープゲージ94は、ゲージは長い番組では相対的に粗いので、休眠しているように見える。テープゲージ94を補助するために、テープインジケータ100が含まれる。高速位置決め期間中、以下のメッセージの一つがツインハブテープアイコン100の上のスペースに表示される:再生(GOPLAY)、記録(GO RECORD)、先送(FORWARDING)、巻戻(REVERSING)、ポーズ(PAUSE)及び停止(STOP)。
【0051】
テープが選択のタイトルに再位置決めされている期間中、再生メッセージが表示される。タイトルに達すると、WOTスクリーン76が再生ビデオによって置き代わる。テープが新規記録が書き込まれる、選択の番組セグメント98へ位置決めされている期間は、記録メッセージが表示される。
【0052】
図14-17は、テーマ機能スクリーン104を示す。テーマ機能により、視聴者は、ダウンロードスケジュールを素早く分類でき、興味のある主題に基づくサブセットスケジュールを表示することが可能である。ユーザーは、主なテーマ別にまず分類され、第二にテーマ内のトピック及びトピッククオリファイアまたはそのいずれかによって分類されたリストを選択する自由がある。テーマ、トピック及びトピッククオリファイアで分類された全ガイドは、行別に表になっているフォーマットに表示され、現在の半時間に最も近接している番組をリストアップすることで開始する。テーマ機能スクリーン104は、次の属性を有す:テーマ回転。各々のテーマタイトルが横方向に配置された選択ボックス106で囲まれている四つのテーマカテゴリーがある。左から右に向かって、これらテーマは、[映画][スポーツ][スペシャル][TV番組]である。
【0053】
図18は、テーマコマンドを定義するフローチャートである。トピック選択。八列で二つのコラムフィールド110に配列された各テーマに付き十六までのトピック108がある。選択テーマの下でいかなるトピック数も選択可能である。トピックは、論理和機能に従い、トピックの定義に合致する各リスト項目が表示される。例えば、映画のテーマの下、コメディ及び風刺のトピックタイトルが選択されると、コメディ映画及び風刺映画の両方のサブセットスケジュールが表示される。デフォールトオール選択。テーマスクリーン104が初めて開かれると、第一スロット(上部最も左のトピック108)がハイライトされる。これはオール機能であり、選択されたテーマのための全トピックの108の総計である。オール機能は、キーを押す動作を最小にするために設けられている。オールトピックカテゴリーがないと、ユーザーは、全16のトピックを個別に起動しなければならない。逆に、ユーザーが全トピックから個別のトピックへ移行したい場合、ユーザーは、カーソルを動かして、残りの15のトピックの各々を選択解除しなければならない。
【0054】
クオリファイア。各テーマは、サーチ属性、即ちクオリファイア112グループを含んでいる。各テーマの106のクオリファイアは、各テーマ106のための図14-17のそれぞれに示される。いかなる数のクオリファイアでも一度に起動できる。これれクオリファイアは、論理和の動作をする;クオリファイアを満足する全てのリスト項目(第一にテーマ及びトピックで分類されている)を表示するように選択される。
【0055】
クオリファイア112は、選択が容易であるように配置される。クオリファイアの選択は、通常のカーソルコマンドを利用してなされる。テーマ106が初めて開かれたとき、ディフォールト設定により、カーソルは、スクリーンの最上部付近に配置されている。カーソルコマンドを最小限に限定するために、クオリファイアもまたスクリーンの最上部付近に配置される。これと対照的に、クオリファイアをスクリーンの最下部に配置すると16キーまでを押す一周のキー動作が必要となる。
【0056】
完全なテーマ分類手法は、次のように定義される:リスト項目=(トピックA+トピックB+その他)*(クオリファイアA+クオリファイアb+その他)
これは、クオリファイアAまたはクオリファイアBを満足する全トピックA、プラスクオリファイアAまたはクオリファイアBを満足する全トピックB、他のリストアップをすると解釈される。
【0057】
クオリファイア、トピック、テーマは、関連データベース動作に基づき、スケジュールの論理分類を可能とする。これらの高次の分類を支持するためには、補助的なデータがVCRに提供されなければならない。これと対照的に、時間やチャンネルによる分類といった単純な分類動作は、TVガイドの基本情報にあり補助的なサーチデータを必要としない。
【0058】
テーマスクリーン104を利用するためのキー動作は、次のようになる。TVを見ているとき、第一テーマキーコマンドは、最も左側のテーマ、即ち映画をハイライトし、オープニングテーマスクリーンを呼び出す。テーマコマンドを更に命令すると、テーマ選択が左から右へ回転するようになっている。各テーマスクリーンは、オール(トピック)選択へ初期化されるようになっている。トピック選択のない場合は、選択テーマのオールトピックガイドが、選択/ゴーツウ(Goto)コマンドをおすと直ちに表示される。
【0059】
テーマを単一のトピックで補助的に分類するためには、カーソルキーを希望トピックへ置き、選択/ゴーツウキーを押せばよい。あるトピックへ向かうためには、カーソルを使用する。
【0060】
二つ以上のトピックによって分類するためには、各希望トピック上にカーソルを置き、選択キーを押す。完了すると、多重トピックガイドを表示するために、選択/ゴーツウを押す。
【0061】
一つまたはそれ以上の属性により分類するためには、カーソルを各希望属性上に置き、選択キーを押す。完了すると、テーマ/属性分類TVガイドを呼び出すために、選択/ゴーツウを押す。
【0062】
緊急記録以外の全ての記録は、図4の記録メモスクリーン16で制御される。記録メモスクリーン16は、記録メモキーでアクセス可能である。記録メニューキーを押すと、横方向に配列された選択ボックス114により囲まれた次のタイトルがオープニングスクリーンの最上部に表われる。左から右へ向かって、
【0063】
[予定[記録済み[リンク済み[オングリッド記録]番組]タイトル]番組]
【0064】
各記録メモキーコマンドは、新規の選択をハイライトし、左から右に向かって回転し、最も右側の位置からは予定記録へ飛ぶ。図19は、記録メモコマンドを定義するフローチャートである。
【0065】
図20は、チャンネルカスタム化スクリーン116を示す。スクリーン116により、ユーザーは、チャンネルを興味に合わせカスタム化でき、リストをコンパクトにでき、アップダウン走査中の必要のないチャンネルを除去できる。スケジュール更新中に、加入者ケーブルシステム(またはオーバジエア加入者のための放送局)で利用可能な全てのケーブルチャンネルのリストがVCRに入力される。このチャンネルの完全な省略のないセットは、スクリーン116を使用してカスタム化できる。
【0066】
チャンネルカスタム化スクリーン116は、二つのフィールドを有し、三つのコラムを有すフィールド118は、36までのチャンネルを省略することなしにリストアップし、単一のコラムを有すフィールド120は、12の好きなマイ(MY)チャンネルをリストアップする。後者は、オープニンググリッドガイドのチャンネル記述子コラム122(図1)の複製である。36チャンネルより多数のチャンネルを有するシステムを収容するために(ページ間のスワッブを実行するためのページキーを使用して)、付加ページが利用できる。三コラムフィールド118内の各セル124は、以下の情報を有す:チャンネル番号及び番組サービス名(例えば、HBOやKTVU局2)。セル124は、次の状態を示すためにカラーコード化されている:
【0067】
オン、セル124は、薄緑のバックグラウンドで、いかなるカスタム化も実行されていないディフォールト状態である。マイ(MY)、単一コラムフィールド120に好きなチャンネルがリストアップされ、三コラムフィールド118は青のバックグラウンドで表示される。オフ、全ガイドから抹消されたチャンネル、チャンネルアップ/ダウン中のチャンネル(テンキーチャンネルパッドを用いてまだアクセス可能である)。オフセルは、灰色のバックグラウンドである。
【0068】
初めての装備のとき、システムは、初めの12(番号順にリストアップ)チャンネルをMY好きなチャンネルとして割り当てる。チャンネル状態は、チャンネルを変更することで変更でき、選択キーを使用してマイ、オン及びオフの状態を選択できる。
【0069】
12の好きなチャンネルが許されるだけなので、ユーザーは、既存の好きなチャンネルの状態をオフ又はオンとすることで好きなチャンネルを除去できる。これがなされると、第一コラムは、自動的に次のMY選択のためのスペースを開けることになる。新規のMYが選択されるとMYコラム120は、自動的に新規選択をあらかじめ決められた順で挿入する。MY好きなチャンネルコラム120にリストアップされる順は、以下のようになる:
【0070】
全ての好きな放送局がまず番号順にリストアップされる。次に、全てのケーブルサービスがアルファベット順にリストアップされる。前のサービスに置き代わる新規ケーブルサービスは、前の状態で挿入される。例:そのチャンネルがMYとすると、新規サービスもMYとなる。しかし、新チャンネルに表われた新ケーブルサービスは、オンとして初期設定される。
【0071】
図21は、スケジュールシステムのリモートコントローラー用のフロントパネル130を示す。フロントパネル130の上半分は、テレビジョンセット及びVCR用の従来のリモートコントローラーに対応する。ここに含まれるのは、各キーが第二機能と数値機能を有す二重機能テンキーのキーパッド132、TV/VCR選択キー134、ボリューム及びチャンネルアップ/ダウンキー136及びVCRコントロールキー138である。フロントパネル130の下半分は、スケジュールシステムに固有のコントロールキーを含む。ここに含まれているのは、テープ内容確認キー140、TV内容確認キー142、テーマキー144、記録メモキー146、記録キー148、リンクキー150、ヘルプ/メニューキー152、選択/ゴーツウキー154、左、右、アップ、ダウンおよびカーソルキー156、リターンTV/VCRキー158及び取消/復元キー160がある。これらのキーの使用法は、既に説明済みかラベルより明白であろう。
【0072】
図22及び23は、テレビジョンスケジュールシステム/テープコントローラー180及び182のブロックダイヤグラムであり、ここでユーザーインタフェースが使用される。スケジュールシステム/コントローラー180は、既存のテレビジョン装置に応用でき、そこでは基本的なテレビジョン装置からスケジュールシステムは切り離される。プログラマブルチューナ202は、ケーブルデコーダの部分として示されている。スケジュールシステム/コントローラー182は、図示のようにVCR211へ組み込まれている。このバージョンでは、ケーブルデコーダは、必要ではなく、チューナ207は、VCR211の部分を構成している。これれ二つのシステム180及び182から、スケジュール/テープコントローラーは、ケーブルデコーダまたはTV/モニター受信機のように他のテレビジョン装置へ組み込むことが可能であることが明かである。リモートコントローラ-212へLCDスクリーンといったテキスト表示部を付加することで、リモートコントローラーへスケジュール/テープコントローラー全体を組み込むことも可能である。
【0073】
システム180では、ケーブルデコーダユニットの部分を構成するプログラマブルチューナは、TV信号をアンテナ200及びケーブル入力部205またはいずれかより受信する。チューナ出力216は、字幕デコーダあるいは高速テレテキストデコーダである垂直ブランキングインターバル(VBI)デコーダ222に向かう。リスト情報やケーブルチャンネル割当データといった他の支持情報が、一つかそれ以上のローカル局またはケーブルチャンネルにより一日数回または連続的にVBIへ送信される。
【0074】
更新が必要な場合、プログラマブルチューナ202は、データを伝送する局またはケーブルチャンネルへ自動的に同調する。VBI信号がCPU228によって処理された後、リストデータは、スケジュールメモリ232へ記憶される一方、ケーブルチャンネル割当データは、ケーブル指定のRAMメモリ238へ記憶される。このデータは、HBOといった一般的なTVソース名を特定のケーブルシステムのチャンネル割当へ変換する。
【0075】
スケジュール/テープコントローラー180へ伝送され、システムRAMメモリ240へ記憶されるその他の情報は、システムクロック230を自動的にセットするためのクロック更新データ、一日一度の送信から連続的に送信されるフォーマットまであるスケジュール更新時間、新規テーマカテゴリー及び最終スケジュール変更データがある。
【0076】
TV内容確認要求に関して、スケジュールメモリ232に記憶されているリストが呼び出され、CPU228で処理され、ビデオ表示発生器224へ出力される。ビデオスイッチャー226は、CPU出力246により起動され、スケジュールデータがTV/モニター210へ表示されると常にビデオ表示発生器224の出力を選択する。
【0077】
番組を時間シフトして記録する要求がなされた場合、番組のタイトル及びその記録パラメータ(チャンネル、開始時間及び長さ)は、スケジュールメモリ232から記録メモRAMメモリ236へコピーされる。システムクロック230が、スケジュール時間と一致すると、CPU228は、チャンネルコマンドをケーブルデコーダ202のプログラマブルチューナへ、パワーオン及び記録コマンドをVCR206へ、これら両装置の赤外線入力ポートに向けられている赤外線リモートドライバ214によって、転送する。VCRに組み込まれたバージョン182では、チューナ207へのコマンドは、ケーブルバス264によりなされる。
【0078】
オンスクリーンスケジュールからタイトルを選択することでなされるプログラムに加えて、VCR206及び211並びにケーブルデコーダ202または207をリモートコントローラー212でプログラムすることもまた可能である。このモードでは、プログラム情報は、リモートコントローラー212に入力され、必要なときに、リモートコントローラー212は、適当なTV装置へプログラム情報を伝送する。プログラム機能を有す多くのユニバーサルリモートコントローラーがあるが、その一方で、ユーザーが局名及びケーブルチャンネル名といった総称を入力できるものは存在せず、VCRまたはケーブルデコーダに同調させるためにCPUに名前を特定のチャンネルに変換させている。これは、CPU228及びリモートコントローラー212中のケーブル指定RAM238を備えることによって実現している。
【0079】
リモートコントローラー212及び赤外線リモートドライバ214は、ケーブルデコーダ202及びVCR206によって要求される赤外線コマンド命令をエミュレートすることが可能である。リモートドライバ214のためのコマンドエミュレーションコードはケーブルデコーダIFRコードRAM/ROMメモリ239に記憶される。よく普及しているケーブルデコーダ及びVCRのコマンドは、ROMにプリプログラムされている。これに替えて、オリジナルのリモートコントローラーの赤外線コマンドは、IFR入力受信部264にコントローラーを向けて、CPU228によって処理後、RAMメモリ239にコマンドコードを記憶することによって、学習することができる。この処理は、ユニバーサルリモートコントローラーの技術でよく知られており、ここで詳述の必要はない。
【0080】
図22に示されるように、VCR206及びケーブルデコーダ202は、リモートコントローラー212により手動で制御することができ、また赤外線リモートドライバ214により自動で制御することも可能である。記録中は、VCR206のテープインデックス位置は、CPU228へコントロール/データバス270により伝送される。この開始アドレス情報は、番組タイトルと共にテープディレクトリRAMメモリ234へ記憶される。このバス270は、また、記録、再生、チューナ選択及びパワーオン/オフを含むその他の機能のためのVCRコントロールコマンドを伝送する。
【0081】
番組が一旦記録されると、そのタイトル及び番組の他の情報が記録メモRAMメモリ236の部分へ記憶される。記録番組を再生するため、テープ内容確認要求により、テープの記録番組のディレクトリが表示される。番組がこのディレクトリから再生のために選択されると、テープは、テープディレクトリRAMメモリ234で指定されるテープインデックス位置に向け高速送りされるか巻き戻しされる。
【0082】
システム182では、スケジュール/テープコントローラー220は、VCR211へ埋め込まれている。VCRテープ機構252は、プログラマブルチューナ207を除くビデオレコーダの全ての記録及び再生の電子回路を含む。テープのコントロールトラック上に記録されたデータは、入力バス258及び出力バス256によりCPU228へ接続される。コントロールトラック上の記録データに関する技術は、例えば、インデクシング機能を有す最近のVCRでよく知られている。VCR211へのCPU228のコマンドは、バス254に伝送される。スケジュール情報が表示されるとき、ビデオスイッチャーコントロール入力246は、ライン218上の表示発生器を選択する。その他の時間には、ビデオスイッチャー226は、ライン250上のVCR機構252の出力を選択する。
【0083】
スケジュール情報は、VBIからダウンロードされる。これに替えて、またはこれに補助的に、通信回線270からモーデム268及びライン266によりCPU228へダウンロードすることも可能である。ケーブルサービスのサブキャリァーチャンネルの利用を含む、スケジュール情報を伝送する他の手段を利用してもよい。
【0084】
本発明の既に述べた目的を達成可能な新規なユーザーインタフェースを実現するシステム及び方法が得られることは、当業者にとっては容易に理解できよう。ユーザーインタフェースは、テレビジョンスケジュール情報の固有の性質を補償するように構成される。ユーザーインタフェースは、テレビジョンスケジュール情報の不規則なフォーマットを補償するようなカーソル動作が可能である。ユーザーインタフェースは、テレビジョン表示部の解像度の制限を補償するようなフォーマットでスケジュール情報を提示する。ユーザーインタフェースは、他の有効な情報を最小限に遮るようなオーバレイに補助的なスケジュール情報を提示する。インタフェースのスケジュール情報の提示順序は、ユーザーの好みによってカスタム化することが可能である。以上図示され、説明した本発明の構成及び詳細の種々の変形は容易であることは当業者には容易に理解できよう。そのような変形は、添付の請求の範囲に述べられている精神と範囲に収まることは留意されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールグリッドの概略図である。
【図2】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールグリッドの概略図である。
【図3】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールグリッドの概略図である。
【図4】本発明のシステム及び方法で使用されたスクリーン表示の概略図である。
【図5】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールの補助概略図である。
【図6】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールの補助概略図である。
【図7】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースを実現したテレビジョンスケジュールの補助概略図である。
【図8】図7の動作の理解のためのフローチャートである。
【図9】本発明のシステム及び方法で使用されたスクリーン表示の補助概略図である。
【図10】本発明のシステム及び方法で使用されたスクリーン表示の補助概略図である。
【図11】図9-11の図の動作の理解のためのフロチャートである。
【図12】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのテープ編成およびテープインデックススクリーン表示の概略図である。
【図13】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのテープ編成およびテープインデックススクリーン表示の概略図である。
【図14】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのカテゴリースクリーン表示による番組選択の概略図である。
【図15】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのカテゴリースクリーン表示による番組選択の概略図である。
【図16】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのカテゴリースクリーン表示による番組選択の概略図である。
【図17】本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのカテゴリースクリーン表示による番組選択の概略図である。
【図18】図14-18の図の動作の理解のためのフローチャートである。
【図19】図20の図の動作の理解のためのフローチャートである。
【図20】図20は、本発明によるシステム及び方法のためのユーザーインタフェースのチャンネルスクリーン表示のカスタム化の概略図である。
【図21】本発明のシステムのコントロールパネルの概略平面図である。
【図22】本発明のテレビジョンスケジュールムシステムのブロック図である。
【図23】本発明によるテレビジョンスケジュールシステムのブロック図である。
【図24】番組リンクを示すスクリーン表示の概略図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-05-20 
結審通知日 2009-05-22 
審決日 2009-06-05 
出願番号 特願2000-321391(P2000-321391)
審決分類 P 1 113・ 113- YA (H04N)
P 1 113・ 537- YA (H04N)
P 1 113・ 832- YA (H04N)
P 1 113・ 121- YA (H04N)
P 1 113・ 536- YA (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松尾 淳一西谷 憲人藤内 光武豊島 洋介  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 小池 正彦
奥村 元宏
登録日 2004-09-24 
登録番号 特許第3600149号(P3600149)
発明の名称 テレビジョン番組リストのユーザーインタフェース  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 安村 高明  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 山本 秀策  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 森下 夏樹  
代理人 野河 信久  
代理人 河野 哲  
代理人 山本 秀策  
代理人 林 史紀  

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