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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1254918 |
審判番号 | 不服2011-6435 |
総通号数 | 149 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-03-24 |
確定日 | 2012-04-02 |
事件の表示 | 特願2010-130450「情報処理装置と情報処理方法及びコンピュータ読み出し可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月24日出願公開、特開2010-211829〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、特願平11-313124号(平成11年11月2日出願)の分割出願である特願2010-107712号の分割出願として、平成22年6月7日に出願されたものであって、平成22年9月27日付け拒絶理由通知に対して平成22年11月29日に手続補正書が提出されたが、平成22年12月17日に拒絶査定がされ、これに対して平成23年3月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成23年3月24付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成23年3月24付けの補正を却下する。 [理由] 1.当該補正の内容 当該補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりのものである。 (以下、審判請求時補正請求項1とする。) 【審判請求時補正請求項1】 所定枚数で2つ折りされた製本単位の印刷された用紙と、前記所定枚数で2つ折りされた製本単位の印刷された用紙とを重ねることにより本になるように印刷する製本印刷を指定する指定手段と、 前記指定手段によって前記製本印刷が指定され、かつ、プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示された場合、前記本を開いた状態を示す見開きイメージを含むプレビュー画面を表示させる表示制御手段とを備え、 前記表示制御手段は、製本単位の分かれ目が識別可能なプレビュー画面を表示させ、前記プレビュー画面にて前記片面印刷が指定された場合、前記片面印刷が反映されたイメージを含むプレビュー画面を表示させることを特徴とする情報処理装置。 (下線部が補正箇所) 2.審判請求人の主張する当該補正の根拠 審判請求書において、当該補正の根拠は、明細書の段落0117、0124、0130、図18や図25のステップS2502、S2505、等である旨が主張されている。 そして、願書に最初に添付した明細書の段落0117、0124、0130には、次のように記載されている。 「【0117】 ここで、レイアウト設定項目について簡単に説明しておく。設定される項目の例を挙げると次のようなものがある。 (1)印刷方法:片面/両面/製本のいずれかが指定される。片面および両面は周知の通りである。製本は、印刷された用紙を2つ折りにしてとじ合わせるだけで本の体裁になるように印刷する方法である。製本印刷が指定された場合には、2つ折りにする単位として、1部分まとめて2つ折りにする方法と、所定枚数を指定し、所定枚数ごとに2つ折りにしてからそれを重ね合わせてとじる方法とが指定できる。この2つ折りにする単位を製本単位と呼ぶ。」 「 【0124】 ステップS2205では、各ページテンプレートに対応して、論理ページを描画する。ここでは、図10乃至図14に示したジョブ出力用設定ファイルが参照され、ひとつの物理ページ上に、ジョブ出力用設定ファイルに登録された設定に従って論理ページを描画する。描画される論理ページの中間データは、図14に示した論理ページ情報を参照して獲得される。」 「 【0130】 (論理ページ描画) 図25は、図22のステップS2205の詳細を示すフロー図である。ステップS2501においてレイアウト設定を取得し(かっこ書きなのは、図22のステップS2201でレイアウトを取得しているためである)、ステップS2502,ステップS2503で印刷方法判定する。製本印刷であればステップS2504で製本印刷用に論理ページを描画し、両面印刷であればステップS2506で両面印刷用に論理ページを描画する。片面印刷であれば、ステップS2505で片面印刷用の論理ページを描画する。なお、論理ページの描画においては、ジョブ出力用設定ファイルおよび論理ページ情報に従って論理ページを描画するために、印刷方法に応じた場合分けを行わないような処理とすることもできる。」 3.当該補正の適否 そこで、検証するに、これら段落【0117】【0124】【0130】には、「前記プレビュー画面にて前記片面印刷が指定された場合、前記片面印刷が反映されたイメージを含むプレビュー画面を表示させる」ことは記載されていない。 一方、同段落【0040】?【0042】、【0114】には、片面印刷の指定に関して次の記載がされているが、これらの段落にも「前記プレビュー画面にて前記片面印刷が指定された場合、前記片面印刷が反映されたイメージを含むプレビュー画面を表示させる」ことは記載されていない。 「【0040】 この設定変更エディタ307でもスプールファイル303に含まれる中間コードのページ描画ファイルをスプールファイル303に格納されているジョブ設定ファイルに含まれる加工設定の内容に従って加工し、グラフィックエンジン202を用いて自身のクライアント領域に出力することによって、図18に示す画面上の小プレビュー出力が可能となる。 【0041】 またここで、スプールファイル303に格納されているジョブ設定ファイルに含まれる加工設定の内容を変更、修正することが可能である。その際、プリンタドライバ203の設定可能な項目を設定変更エディタ307上のユーザインターフェイスに持っていても、プリンタドライバ203自身のユーザインターフェイスを呼び出しても構わない。図18に示すように、分数、印刷方法(片面、両目、製本印刷)、ステイプル(サドルフィニッシャー等)、ページレイアウト、配置順等の指定ができ、また「詳細設定」を押下することにより、プリンタドライバで指定できる項目の大半を設定しなおすことが可能となる。ただし、解像度、グラフィックモード等の印刷品位に関する設定の変更は許可しないものとする。 【0042】 ここで変更された変更項目は設定変更エディタ307上の認証要求に従い、変更が認証され、制御がスプールファイルマネージャ304に移行する。変更が認証されたものは、印刷設定の変更を保存することになるが、オリジナルのジョブ設定ファイルには保存せずに、ジョブ編集等で用いられるジョブ出力用設定ファイルを新たに生成して保存することになる。ジョブ出力用設定ファイルについての詳細は、図10以降で後述する。」 「【0114】 また、対象ジョブの印刷設定を変更することも可能である。変更できる項目は、ジョブ出力用設定ファイルの編集によって変更することができる項目である。中間データを操作する必要がある項目は、本実施形態では操作させていない。しかしながら、処理時間や必要な資源などを考慮しなければ、すべての項目を再設定させることもできる。本実施形態のシステムで再設定可能な項目としては、印刷方法(片面/両面/製本)や、部数、ステイプルの有無などがある。」 そして、図18は、片面印刷を設定することができる設定画面の例が示されているが、この図の内容は「片面印刷が反映されたイメージを含むプレビュー画面を表示させる」ことと関連していない。 また、図25には、片面印刷が指定された場合に片面用論理頁が描画されるステップが記載されているが、「前記プレビュー画面にて前記片面印刷が指定された場合、前記片面印刷が反映されたイメージを含むプレビュー画面を表示させる」ことは記載されていない。 してみれば、当該補正事項は、願書に最初に添付した明細書の記載に基づくものであるとすることができない。 したがって、当該補正は特許法第17条の2第3項で規定する補正の要件を満たすものではないから、同条同項の規定に違反するするものである。 よって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明の認定 、平成23年3月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年11月29日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし42に記載した事項により特定されるとおりのものと認められる。 その内、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。 (ア)【請求項1】 所定枚数で2つ折りされた製本単位の印刷された用紙と、前記所定枚数で2つ折りされた製本単位の印刷された用紙とを重ねることにより本になるように印刷する製本印刷を指定する指定手段と、 前記指定手段によって前記製本印刷が指定され、かつ、プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示された場合、前記本を開いた状態を示す見開きイメージを含むプレビュー画面を表示させる表示制御手段とを備え、 前記表示制御手段は、製本単位の分かれ目が識別可能なプレビュー画面を表示させることを特徴とする情報処理装置。 (以下、これを本願発明とする。) 2.平成22年9月27日付け拒絶理由 拒絶査定の理由となった、平成22年9月27日付け拒絶理由は次のとおりである。 「 理 由 この出願の下記の請求項に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1-42 ・引用文献等 1 ・備考 本願請求項1には、「前記指定手段によって前記製本印刷が指定され、かつ、プレビュー表示が指示された場合、前記本を開いた状態を示す見開きイメージを含むプレビュー画面を表示させる表示制御手段」及び「前記表示制御手段は、製本単位の分かれ目が識別可能なプレビュー画面を表示させる」と記載されている。 してみれば、本願請求項1に係る発明の表示制御手段は、見開きイメージを含むプレビュー画像を、製本単位の分かれ目が識別可能に表示するものであり、つまり、同一製本単位のページで構成されることが識別可能な見開きイメージと、異なる製本単位のページで構成されることが識別可能な見開きイメージを表示するものであって、分かれ目によってこれらの見開きイメージを識別可能とするものを含むと解される。 そして、分かれ目によって表示している情報を識別可能とすることは、情報処理装置一般における周知技術にすぎない。 よって、本願請求項1-3,7-10,14-17,21-24,28-31,35-38,42に係る発明は出願1の請求項7-8,24-25,41-42と、 本願請求項4,11,18,25,32,39に係る発明は出願1の請求項9,26,43と、 本願請求項5,12,19,26,33,40に係る発明は出願1の請求項12,29,46と、 本願請求項6,13,20,27,34,41に係る発明は出願1の請求項13,30,47と実質同一である。 (中略) 引 用 文 献 等 一 覧 1.特願平11-313124号(特許第4266462号公報) 2.特願平11-313126号(特許第3962513号公報) 3.特開平10-309841号公報 」 3.先願特許発明 原査定の拒絶理由において示した特願平11-313124号(出願1;特許第4266462号公報)の請求項7に係る発明は次のものである。 (イ)「【請求項7】 印刷された製本単位を2つ折りにして重ねることにより本になるように印刷する製本印刷を指定する指定手段と、 前記指定手段によって前記製本印刷が指定され、かつ、プレビュー表示が指示された場合、前記本を開いた状態を示す見開きイメージを表示させる表示制御手段とを備え、 前記表示制御手段は、同一製本単位のページで構成されることが識別可能な見開きイメージと、異なる製本単位のページで構成されることが識別可能な見開きイメージとを表示させることを特徴とする情報処理装置。」 (以下、これを「出願1発明」とする。) 4.対比・判断 本願発明(ア)と出願1発明(イ)を対比する。 両者は、本願発明が「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」されるものであり、出願1発明がそのような限定がない点を除いて一致する。 しかしながら、プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示を指示することは刊行物を示すまでもなく周知技術である。 そもそもプレビューは印刷状態を確認するための内容を表示することであって、その機能はプリンタドライバによって提供されることが普通のことである。他のアプリケーションによってプレビューを表示する技術も公知ではあるが、プレビューはそもそも実際の印刷により近いもの表示をするための手法であるから、プレビュー画面がプリンタドライバによって提供されることが通例である。 なお、拒絶査定においては特開平11-004353号公報、及び特開平11-242578号公報を証拠方法として例示している。 したがって、本願発明は出願1発明を文言上「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」と限定したものであるとはいえるが、両者に実質的な差異はない。 審判請求人(出願人)は平成22年11月29日付け提出の意見書において次のように主張している。 「(ハ)本願発明と引用発明(審決注:出願1発明を意味する)との対比 補正により明らかにした通り、本願請求項1,8に付加した事項である「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」されることは、これら請求項と同一と判断された出願1、出願2の請求項には含まれておりません。これは上記引用を参照すれば明らかです。また、出願1,2のこのほかの請求項を参照しても、やはり補正により付加した「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」されることは、やはり記載されておりません。 プレビュー表示については、例えば印刷対象のデータ、例えば文書データを作成したアプリケーションプログラムで行えるものがあり、その場合にはプレビュー表示の指示は、当然にそのアプリケーションで提供するユーザインターフェースを介して行うことになります。 それに対して本願請求項1,8に係る発明では、「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」されており、これはプリンタドライバがプレビュー表示の少なくとも指示に関しては介在することを明らかにするものです。一般的には、コンピュータ等による印刷の諸設定はプリンタドライバが提供することが多く、これら印刷設定と同じくプレビュー表示の指示もプリンタドライバの提供する設定画面で行うことで、設定とプレビュー指示の一元化を果たすことができ、たとえば印刷設定の変更や印刷設定の確認のために極めて有利です。 このように、「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」することは、プレビュー指示を行う場所としてたまたまプリンタドライバにより提供される設定画面を選択したのではなく、単なる設計事項や周知の範囲を超えた差異をもたらしています。 」 しかしながら、「一般的には、コンピュータ等による印刷の諸設定はプリンタドライバが提供することが多く、」と主張するのであれば、引用発明(出願1発明)も同様に、コンピュータ等による印刷の諸設定がプリンタドライバにより提供される解することが自然であって、「プリンタドライバにより提供される設定画面を介してプレビュー表示が指示」することが、「単なる設計事項や周知の範囲を超えた差異」であるとの主張は、これを認めることはできない。 よって、本願発明は引用発明と実質的に同一の発明である。 したがって、本願請求項1に係る発明は、既に特許されている特願平11-313124号の請求項7に係る発明と同一の発明であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明が、既に特許されている同日出願である特願平11-313124号(特許第4266462号)の請求項7に係る発明と同一と認められるから特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないとした理由による拒絶査定は妥当なものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-01 |
結審通知日 | 2012-02-06 |
審決日 | 2012-02-17 |
出願番号 | 特願2010-130450(P2010-130450) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
Z
(G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 緑川 隆 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
古川 哲也 千葉 輝久 |
発明の名称 | 情報処理装置と情報処理方法及びコンピュータ読み出し可能な記録媒体 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |