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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1255960
審判番号 不服2011-4940  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-03-04 
確定日 2012-04-26 
事件の表示 特願2008-259292「印刷装置およびデータ処理方法および記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 9日出願公開、特開2009- 77406〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、特願平10-161143号(出願日:平成10年6月9日)の分割出願として平成20年10月6日に出願されたものであって、平成22年1月14日付け拒絶理由通知に対して平成22年3月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成22年9月13日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して平成22年11月18日に意見書が提出されたが平成22年12月3日付けで拒絶査定がされたものである。
そして、平成23年3月4日に拒絶査定不服審判が請求されている。

審判合議体は、平成22年3月23日提出の手続補正書による補正に新規事項を含む補正があるものと判断し、平成23年12月8日付けで特許法第17の2第3項に基づく最後の拒絶理由を通知した。
これに対して平成24年2月8日付けで意見書が提出された。
なお、手続補正書は提出されていない。

2.本願特許請求の範囲の記載

平成22年3月23日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載の内、請求項1及び請求項10、11の記載は次のとおりである。

【請求項1】
WWWサーバに保持されたデータの印刷を行う印刷装置において、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示を受信する第1の受信手段と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示を受信する第2の受信手段と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置に予め設定されたスケジュールに従って周期的に印刷指示を受信する第3の受信手段と、 前記第1の受信手段又は前記第2の受信手段又は前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に応じて、前記URLに基づいて前記WWWサーバからデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたデータから印刷データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かを、前記第1の受信手段及び前記第2の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷における設定とは別に設定可能な設定手段と、を有し、 前記印刷手段は、前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に、前記設定手段による設定に従って印刷することを特徴とする印刷装置。

【請求項10】
WWWサーバに保持されたデータの印刷を行う印刷装置におけるデータ処理方法であって、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示を受信する第1の受信工程と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示を受信する第2の受信工程と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置に予め設定されたスケジュールに従って周期的に印刷指示を受信する第3の受信工程と、 前記第1の受信工程又は前記第2の受信工程又は第3の受信工程によって受信された印刷指示に応じて、前記URLに基づいて前記WWWサーバからデータを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたデータから印刷データを生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された印刷データを印刷する印刷工程と、
前記印刷工程で前記第3の受信工程によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かを、前記第1の受信工程及び前記第2の受信工程によって受信された印刷指示に基づく印刷における設定とは別に設定可能な設定工程と、を有し、 前記印刷工程は、前記第3の受信工程によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に、前記設定工程による設定に従って印刷することを特徴とするデータ処理方法。

【請求項11】
WWWサーバに保持されたデータの印刷を行う印刷装置を制御するコンピュータを、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示を受信する第1の受信手段と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示を受信する第2の受信手段と、
URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置に予め設定されたスケジュールに従って周期的に印刷指示を受信する第3の受信手段と、 前記第1の受信手段又は前記第2の受信手段又は第3の受信手段によって受信された印刷指示に応じて、前記URLに基づいて前記WWWサーバからデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたデータから印刷データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かを、前記第1の受信手段及び前記第2の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷における設定とは別に設定可能な設定手段と、して機能させるためのプログラムであって、 前記印刷手段は、前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に、前記設定手段による設定に従って印刷することを特徴とするプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
(下線部が補正箇所。)

3.平成23年12月8日付け拒絶理由

審判合議体が平成23年12月8日付けで通知した拒絶理由は次のとおりである。

「 <<< 最後理由 >>>

特許請求の範囲の請求項1、10、11について、平成22年3月23日付け手続補正書により補正された事項は、下記のとおり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではないから、当該補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、本件出願は特許法第49条第1項第1号の規定により拒絶すべきものである。



当該補正は、URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置に予め設定されたスケジュールに従って周期的に印刷指示を受信する手段を第3の受信手段(工程)とし、該第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かを、第1の受信手段及び第2の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷における設定とは「別に」設定可能な設定手段(工程)を各請求項に付加するものである。

しかしながら、当該内容は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている内容ではない。
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、
(ア)図5に示されているように、URLの印刷設定(N-13)、スケジュール印刷設定(N-34)ができること。(段落【0036】)
(イ)図7の初期画面で入力されたURLについてBT1押下により図8に示される印刷設定画面に移行し、図8の設定画面においてURLを印刷するか否かを設定(F13)すること。
(ウ)図11に示される設定内容のスケジュール設定が行えること。(段落【0047】から【0063】)
については記載されているものの、第3の受信手段からの印刷指示、すなわちURLによって特定されるデータの内、スケジューラ印刷が設定されているデータについての印刷指示における設定手段(工程)が、第1、第2の受信手段からの印刷指示、すなわちスケジューラ印刷が設定されていないデータについての印刷指示における設定手段(工程)とは別のものとして設けられることは記載されていない。

なお、上記願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における指摘箇所は、平成22年3月23日付け提出の意見書において補正根拠としてしめされている箇所を包含する。
該補正根拠の主張は補正根拠を正しく示していない。
(以下は引用を省略) 」

4.平成24年2月8日提出の意見書による主張

審判請求人は意見書において、拒絶理由において指摘した補正事項は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしているものとして、次の主張をしている。
(出願当初の明細書の記載の事実関係についての主張(1)?(3)、 及び主張のまとめである(6)の引用は省略)

「(4) まず、「前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かが、“前記第2の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示)に基づく印刷における設定とは別に設定可能」であることが、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のどこに記載されているかについて説明します。
願書に最初に添付した明細書の段落【0064】には、「ユーザは、上述の方法で図7?図11の各操作画面を開き、必要な項目に対して設定を行うことができる」ことが記載されており、この項目の例として、上記(ア)に示す通り、URLの印刷設定(N-13)、スケジュール印刷設定(N-34)ができることが記載されています。また、この段落【0064】には、「そして、全ての設定が終了した後に、図7に示した操作画面上の“Print”ボタンBT6を押下すると、プリントユーティリティはデジタル複写機1に対して設定内容を送信する」と記載されており、更に段落【0057】には、スケジュール印刷設定を行うか行わないかをユーザが選択可能である(デフォルトは「行わない」)ことが記載されています。これらの記載から、図7?図11の各操作画面を用いて設定された印刷指示のうち、スケジュール印刷設定が「行わない」に設定されている印刷指示は、即時実行モードで発行された「クライアント端末よりのコマンド」であって、本願請求項1の“前記第2の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示)であると言えます。また、図7?図11の各操作画面を用いて設定された印刷指示のうち、スケジュール印刷設定が「行う」に設定されている印刷指示は、「スケジュールジョブ処理よりのプリント指示コマンド」であって、本願請求項1の「前記第3の受信手段によって受信された印刷指示」であると言えます。
そして、段落【0036】には、URLの印刷をするかしないかの設定が可能であることが記載されており、言うまでもなくこの設定は、スケジュール印刷設定とは独立した設定項目です。つまり、スケジュール印刷設定が「行う」の場合でも「行わない」の場合でも、それぞれの場合に対して、別途、URL印刷を「する」か「しない」かが設定可能になっています。
つまり、願書に最初に添付した明細書の段落【0036】、【0057】、【0064】には、図11の設定画面を用いてスケジュール印刷設定を「行わない」と設定した場合の印刷指示(即ち、前記第2の受信手段によって受信された印刷指示)における、URL印刷を「する」か「しない」かの設定と、図11の設定画面を用いてスケジュール印刷設定を「行う」と設定した場合の印刷指示(即ち、前記第3の受信手段によって受信された印刷指示)における、URL印刷を「する」か「しない」かの設定とが、それぞれ独立して別に行えることが明らかに記載されています。
従って、願書に最初に添付した明細書の段落【0036】、【0057】、【0064】には、「前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かが、“前記第2の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示)に基づく印刷における設定とは別に設定可能」であることが明らかに記載されています。

(5) 次に、「前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かが、“前記第1の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示)に基づく印刷における設定とは別に設定可能」であることが、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のどこに記載されているかについて説明します。
願書に最初に添付した明細書の段落【0064】には、「ユーザは、上述の方法で図7?図11の各操作画面を開き、必要な項目に対して設定を行うことができる」ことが記載されており、この項目の例として、上記(ア)に示す通り、URLの印刷設定(N-13)、スケジュール印刷設定(N-34)ができることが記載されています。各操作画面とは、「クライアント端末9の表示装置に表示されるプリントユーティリティの操作画面(段落【0051】)」です。そして、スケジュール印刷設定を行う場合のURL印刷を「する」か「しない」かの設定については上述のとおりです。
一方、「印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示」については、願書に最初に添付した明細書の段落【0084】に記載されています。
即ち、段落【0084】には、デジタル複写機の操作部の操作パネルの詳細設定ボタン338を押下することによって、詳細なパラメータをセットするためのメニューウインドウが表示され、このウインドウ内で図5、図6に示された設定項目のうちの特定の項目を除く項目が設定できることが記載されています。そのことからN-13の「URLの印刷」をする・しないの設定はできることとされております。
以上のことから、デジタル複写機の操作部からの即時実行モードの印刷指示によるURLの印刷を「する」か「しない」かの設定は、上記のスケジュール印刷設定の際に設定されたURLの印刷の設定とは独立して設定されるものであることが記載されているものと言えます。
つまり、段落【0064】【0051】の記載、段落【0084】の記載、並びに上記(ア)(イ)(ウ)の記載によれば、「前記印刷手段が前記第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否かが、“前記第1の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示)に基づく印刷における設定とは別に設定可能」であることが、明らかに記載されています。 」

5.判断

しかしながら、(4)における「図7?図11の各操作画面を用いて設定された印刷指示のうち、スケジュール印刷設定が「行わない」に設定されている印刷指示は、即時実行モードで発行された「クライアント端末よりのコマンド」であって、本願請求項1の“前記第2の受信手段によって受信された印刷指示”(即ち、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示)であると言えます。」との主張はこれを認めることはできない。

図8において、F13により設定される指示は、スケジュール印刷設定が「行わない」「行う」であるかにかかわらず設定されるのであって、この印刷指示を、即時実行モードで発行された「クライアント端末よりのコマンド」のみの指示ということはできない。

また、(5)において、審判請求人は、「段落【0084】には、デジタル複写機の操作部の操作パネルの詳細設定ボタン338を押下することによって、詳細なパラメータをセットするためのメニューウインドウが表示され、このウインドウ内で図5、図6に示された設定項目のうちの特定の項目を除く項目が設定できることが記載されています。そのことからN-13の「URLの印刷」をする・しないの設定はできることとされております。」と主張している。

確かに、段落【0084】には、デジタル複写機の操作部の操作パネルの詳細設定ボタン338を押下することによって、詳細なパラメータをセットするためのメニューウインドウが表示され、このウインドウ内で図5、図6に示された設定項目のうちの特定の項目を除く項目が設定できることが記載されている。

しかしながら、デジタル複写機の操作部の操作パネルの詳細設定ボタン338を押下することによって、詳細なパラメータをセットするための「メニューウインドウ」とは、どういうものであるかが、明細書及び図面には明確に示されていない。

「メニューウインドウ」とは、図8に示されている「HTML Print Propaerty」を示すと解される。
図8のウインドウ以外に、他のウインドウが存在することは、明細書及び図面全体を参酌しても把握することはできず、また意見書において、図8以外の「メニューウインドウ」が存在することは主張されていない。

そうすると、図5、図6に示された設定項目のうちの特定の項目を除く項目が設定できる「メニューウインドウ」とは、図8及び、図8においてタブを選択することによって表示される図9?図11のことと判断される。

そして、「印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否か」を設定する手段(工程)は、図11における「F13」による指示以外のものは存在せず、「該第3の受信手段によって受信された印刷指示に基づく印刷を行う際に印刷対象のデータを特定するURLを併せて印刷するか否か」を設定する手段(工程)が、「第1の受信手段及び第2の受信手段によって受信された印刷指示」に基づく印刷における設定とは「別に」設けられていることは、明細書または図面に記載がされていない。
図11における「F13」による指示は、スケジュールに従って周期的に印刷指示されるか否かに応じて設定されるものではない。

したがって、出願当初の明細書に記載がされていない、第3の受信手段からの印刷指示、すなわちURLによって特定されるデータの内、“スケジューラ印刷が設定されているデータについての印刷指示における設定手段(工程)が、第1、第2の受信手段からの印刷指示、すなわちスケジューラ印刷が設定されていないデータについての印刷指示における設定手段(工程)とは別のものとして設けられること”を発明の構成とする、平成23年7月22日付けで請求項1、10、11についてされた補正は、新規事項を含む補正である。

よって、請求項1、10、11についての当該補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第49条第1項の規定により、本件出願は平成23年12月8日付けで通知した拒絶理由によって、拒絶すべきものである。

6.むすび

以上のとおりであるから、原査定を取り消す、本願は特許すべきであるとの審決を求めるとした審判請求は、これを認めることができない。、
よって、結論のとおり審決する。

7.審判請求人の主張についての付記

上記のとおり審判請求人の主張は、これを採用することができないが、仮に「第3の受信手段からの印刷指示、すなわちURLによって特定されるデータの内、スケジューラ印刷が設定されているデータについての印刷指示における設定手段(工程)が、第1、第2の受信手段からの印刷指示、すなわちスケジューラ印刷が設定されていないデータについての印刷指示における設定手段(工程)とは別のものとして設けられること」が、出願当初の明細書に記載されているものとしての判断を以下に示す。

そもそも、本願明細書には、実施例として、図8に「HTML Print Propaerty」の表示画面が示され、該表示画面においてタブを選択することによって遷移する図9?図11に示される画面において、図5、図6に示される各項目についての詳細設定するものが記載されている。(ただし、段落【0084】に記載されているように一部の項目の設定は除外されている。)

これに対して、意見書の主張のように、「第3の受信手段からの印刷指示、すなわちURLによって特定されるデータの内、スケジューラ印刷が設定されているデータについての印刷指示における設定手段(工程)が、第1、第2の受信手段からの印刷指示、すなわちスケジューラ印刷が設定されていないデータについての印刷指示における設定手段(工程)とは別のものとして設けられる」とするというのであれば、これは、例えば同じURLによって特定される同じデータに対して、第3の受信手段からの印刷指示によるスケジュール設定を実行するジョブと、スケジュール設定しない場合、すなわち第1、第2の受信手段からの印刷指示による異なるジョブの夫々に対して、URLの印刷を別個に設定できるということであろう。
明細書には、例えば同じURLによって特定される同じデータに対しての異なるジョブについての言及はなく、意見書においても、そのような情況についての主張はされていないが、意見書による主張がそのようなことであれば、主張の意図は理解できる。

そして審判請求人の主張の真意は、それが故に、本願発明は、拒絶理由通知で示した各刊行物に記載の発明に基づいて発明されたものは、そのようにURLの印刷を別個に設定できる点において、当業者が容易に発明をすることができたものではない、という点にあると推察される。

しかしながら、一般にジョブが異なれば、個々のジョブにおいて異なる設定が可能であることは極めて普通のことである。
“URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置が備える操作部からユーザによって入力された印刷指示によるジョブ”と、“URLによって特定されるデータの印刷指示であって、通信媒体を介して接続されたクライアント端末から入力された印刷指示によるジョブ”と、“URLによって特定されるデータの印刷指示であって、前記印刷装置に予め設定されたスケジュールに従って周期的に印刷指示されるジョブ”は異なるジョブであって、個々のジョブに対して、URLを印刷するか否かを個別に設定するようにすることは通常の設計的事項の範囲のものであって、この点に格別の技術的創作があるとはいえない。

したがって、仮に、「第3の受信手段からの印刷指示、すなわちURLによって特定されるデータの内、スケジューラ印刷が設定されているデータについての印刷指示における設定手段(工程)が、第1、第2の受信手段からの印刷指示、すなわちスケジューラ印刷が設定されていないデータについての印刷指示における設定手段(工程)とは別のものとして設けられる」ことが出願当初に添付された明細書または図面に記載されていたものであるとしても、平成22年3月23日付け手続補正書により補正された請求項1、10、11に係る発明は、平成22年9月13日付けで通知した拒絶理由において示された刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
 
審理終結日 2012-02-22 
結審通知日 2012-02-28 
審決日 2012-03-12 
出願番号 特願2008-259292(P2008-259292)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (H04N)
P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 加藤 恵一
古川 哲也
発明の名称 印刷装置およびデータ処理方法および記憶媒体  
代理人 水垣 親房  

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