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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2008800252 審決 特許
無効2008800249 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A41B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A41B
管理番号 1256632
審判番号 無効2011-800085  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-05-30 
確定日 2012-04-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4059688号発明「紙おむつの後処理テープ及び後処理テープ付き紙おむつ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4059688号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る主な手続の経緯を以下に示す。
平成14年2月15日 本件特許出願(特願2002-37908)
平成19年12月28日 設定登録(特許第4059688号)
平成23年5月27日付け 本件無効審判請求書
平成23年8月19日付け 審判事件答弁書
平成23年8月19日付け 訂正請求
平成23年9月21日付け 弁駁書
平成23年11月28日付け 審判事件答弁書
平成23年12月8日付け 通知書(審理事項通知)
平成24年1月11日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成24年1月11日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成24年1月25日 口頭審理

第2 当事者の主張
1.請求及び答弁の趣旨、並びに証拠方法
(1)請求人の主張
審判請求書、平成23年9月21日付け弁駁書、平成24年1月11日付け口頭審理陳述要領書及び口頭審理での主張からみて、請求人は、「特許第4059688号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めており、以下の証拠方法を示している。

〈証拠方法〉
甲第1号証:国際公開第01/13842号
(国際公開WO01/13842号パンフレット)
甲第1号証の1:甲第1号証の抄訳
甲第2号証:特開平10-71172号公報
甲第3号証:特開平10-211231号公報
甲第4号証:特開平11-76302号公報
甲第5号証:特開2001-46436号公報
甲第6号証:特開平10-71173号公報
甲第7号証:特開平5-117607号公報
甲第8号証:特開平7-157728号公報
甲第9号証:特開2001-178777号公報
甲第10号証:特開平10-151153号公報
甲第11号証:特許第4059688号公報(本件特許公報)
甲第12号証:特開2003-235891号公報(本件特許に係る
公開特許公報)
甲第13号証:ドナタス サタス 編著「圧力感受性接着技術ハンドブッ
ク第2版」(ヴァン ノストランド レインホールド ニュ
ーヨーク社、1989年発行)の表紙、目次、601?
626頁、及び裏表紙
甲第13号証の1:甲第13号証の抄訳

(2)被請求人の主張
被請求人は、明細書の訂正を請求するとともに、平成23年8月19日付け審判事件答弁書、平成23年11月28日付け審判事件答弁書、平成24年1月11日付け口頭審理陳述要領書及び口頭審理での主張からみて、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めている。また、甲第1号証ないし甲第13号証の1の成立を認めている。

2.訂正請求、及び本件特許発明の分説についての主張の要旨
(1)被請求人の主張
被請求人は、明細書の特許請求の範囲の請求項2、同請求項3、及び明細書の発明の詳細な説明の段落0054について、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めている。
また、訂正された後の本件請求項1ないし4に係る発明は、後記「第4」に示す(1-A)ないし(4-E)に分説されると認めている(第1回口頭審理調書参照)。

(2)請求人の主張
請求人は、この訂正請求に対して、新たな効果を導入するものでないことを前提として認めると主張している(第1回口頭審理調書参照)。
また、被請求人と同様に、訂正された後の本件請求項1ないし4に係る発明は、後記「第4」に示す(1-A)ないし(4-E)に分説されると認めている(第1回口頭審理調書参照)。

3.無効理由の主張及びその反論
(1)請求人の主張の要旨
ア.審理の全趣旨からみて、請求人が主張する無効理由は、以下に要点を示す無効理由1-1ないし4-2であり、これらのみである(第1回口頭審理調書参照)。
(無効理由1-1)
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許法第29条第1項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由1-2)
本件発明1は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第1号証に記載された別の発明又は甲第2号証ないし甲第4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由1-3)
本件発明1は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由2-1)
本件特許の請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由2-2)
本件発明2は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証ないし甲第4号証、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由3-1)
本件特許の請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という。)は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第4号証、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由3-2)
本件発明3は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証ないし甲第4号証、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由4-1)
本件特許の請求項4に係る発明(以下、「本件発明4」という。)は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(無効理由4-2)
本件発明4は、本件特許に係る特許出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第5号証に記載された発明に、甲第1号証ないし甲第4号証、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。

イ.また、これら無効理由に関して、本件発明1ないし本件発明4と、甲各号証に記載された発明とを対比すると、以下のとおりであると主張している(第1回口頭審理調書参照)。
(ア)無効理由1-1に関して、甲第1号証の図1及びその説明に記載された事項と、本件発明1とを対比すると、甲第1号証の図1及びその説明には、本件発明1の構成要件1-Aないし1-Gのすべてが開示されている。甲第1号証に記載された発明と本件発明1は、同一であり、相違点はない。
(イ)無効理由1-2及び1-3に関して、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された事項と、本件発明1とを対比すると、甲第1号証ないし甲第5号証には、本件発明1の構成要件1-Aないし1-Gのすべてが、開示されている。
(ウ)無効理由2-1ないし4-2に関して、甲第1号証ないし甲第10号証に記載された事項と、本件発明2ないし4とを対比すると、甲第1号証ないし甲第10号証には、本件発明2が引用する本件発明1の構成要件1-Aないし1-G、及び本件発明2ないし4の構成要件2-Aないし4-Eのすべてが、開示されている。

(2)被請求人の主張の要旨
ア.審理の全趣旨からみて、被請求人は、請求人が主張する無効理由が、前記(1)ア.のとおりであると認めている(第1回口頭審理調書参照)。

イ.そして、これら無効理由に関して、本件発明1ないし本件発明4と、甲各号証に記載された発明とを対比すると、以下のとおりであると主張している(第1回口頭審理調書参照)。
(ア)無効理由1-1に関して、甲第1号証の図1及びその説明に記載された事項と、本件発明1とを対比すると、甲第1号証の図1及びその説明には、本件発明1の構成要件1-A、1-B、及び1-Dないし1-Gが開示されていると認める。しかし、甲第1号証には、本件発明1の構成要件1-Cは開示されていない。
(イ)無効理由1-2及び1-3に関して、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された事項と、本件発明1とを対比すると、甲第1号証ないし甲第5号証には、本件発明1の構成要件1-A、1-B、及び1-Dないし1-Gが開示されていると認める。しかし、甲第1号証ないし甲第5号証には、本件発明1の構成要件1-Cは開示されていない。
(ウ)無効理由2-1ないし4-2に関して、甲第1号証ないし甲第10号証に記載された事項と、本件発明2ないし4とを対比すると、甲第1号証ないし甲第10号証には、構成要件1-C、3-C、2-D、及び3-Fは開示されていない。

ウ.また、無効理由2-1ないし4-2に関して、甲第1号証又は甲第5号証に記載された発明に、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に示される周知技術を適用する動機付けは存在しないと主張している(第1回口頭審理調書参照)。

第3 訂正請求についての当審の判断
1.訂正請求の内容
平成23年8月19日付け訂正請求は、特許登録された請求項2、請求項3、及び段落0054の記載が、次の《訂正前》のとおりであったものを、その次に示す《訂正後》の記載に訂正することを求めるものである。
《訂正前》
【請求項2】
請求項1において、
第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、前記長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定している、
ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。
【請求項3】
紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)を取付けた後処理テープ付き紙おむつであって、
前記後処理テープ(Y)は、基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、さらに前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面に接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させたものを使用し、
前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている、
ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。
【0054】
第3帯片3の左端部には、その下面側にツマミ片5が接着されている。このツマミ片5も第3帯片3に対して強固に接着されている。

《訂正後》
【請求項2】
請求項1において、
第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、前記長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定し、さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けている、
ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。
【請求項3】
紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)を取付けた後処理テープ付き紙おむつであって、
前記後処理テープ(Y)は、基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、さらに前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面に接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けているものを使用し、
前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている、
ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。
【0054】
第3帯片3の左端部には、その下面側にツマミ片5が接着されている。このツマミ片5も第3帯片3に対して強固に接着されている。この場合において、第3帯片3は、第1帯片1と第2帯片2と第3帯片3とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が補強帯片4に対面する位置となるまで延出されているとともに、第3帯片3の他端部の補強帯片4に対面する位置でしかも起立点部Pより第3帯片3の一端部とは反対側の位置においてツマミ片5を設けている。
(下線は訂正箇所を示すもので、当審において付与した。)

2.訂正についての検討
(1)請求項2及び請求項3の訂正は、いずれも、
(ア)第3帯片の態様について、「第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されている」と限定し、
(イ)さらに、「第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けている」と限定するものである。
したがって、請求項2及び請求項3の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記限定事項(ア)、(イ)は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、請求項2及び請求項3の訂正は、いずれも、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(2)また、段落0054の訂正は、請求項2及び請求項3の訂正に合わせて、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、段落0054の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(3)被請求人は、平成23年11月28日付け審判事件答弁書及び平成24年1月11日付け口頭審理陳述要領書において、本件発明2ないし4(訂正後の請求項2ないし4に係る発明)は、第1ないし第6の作用効果を奏する旨主張している。これら、第1ないし第6の作用効果は、願書に添付した明細書又は図面に記載されているものではないが、本願出願時点における技術常識から当業者にとって自明な事項といえ、かつ、これら作用効果を奏することによって、訂正後の請求項に係る発明が進歩性を獲得する等の格別な技術的意義を有するものとも認められない。
したがって、この訂正請求によって、新たな作用効果や、格別な技術的意義が導入されるものとはいえない。(なお、仮にこの訂正請求によって、訂正後の請求項に係る発明に、前記第1ないし第6の作用効果が導入されるものであり、これら作用効果を奏することによって、訂正後の請求項に係る発明が進歩性を獲得する等の格別な技術的意義を有するものになるとすれば、この訂正請求は、明細書又は図面に記載されていない新たな作用効果及び格別な技術的意義を導入するものであり、実質的に特許請求の範囲を変更する訂正の請求ということになるから、不適法であることになる。)

(4)以上のとおり、この訂正請求は、特許法第134条の2第1項第1号又は同条同項第3号に規定した事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項において読み替えて準用する第126条第3項及び第4項の規定に適合し、適法であるから、訂正を認めることとする。

第4 本件発明
以上のとおり、平成23年8月19日付け訂正請求は、認めるべきものである。そして、本件発明1ないし本件発明4(訂正後の請求項1ないし4に係る発明)を、分説して示せば、次のとおりである。

【本件発明1】
(1-A)紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)であって、
(1-B)基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、
(1-C)前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(1-D)前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(1-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に、該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、
(1-F)前記第1帯片(1)と前記補強帯片(4)における第3帯片側とは反対面の各面と前記第3帯片(3)における第2帯片に対面する面に、それぞれ各帯片(1,4,3)を紙おむつ外面に接着させる粘着剤付着面を位置させている、
(1-G)ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。

【本件発明2】
(2-A)請求項1において、
(2-B)第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、
(2-C)前記長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定し、
(2-D)さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けている、
(2-E)ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。

【本件発明3】
(3-A)紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)を取付けた後処理テープ付き紙おむつであって、
(3-B)前記後処理テープ(Y)は、基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、
(3-C)さらに前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(3-D)しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面に接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(3-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、
(3-F)さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けているものを使用し、
(3-G)前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている、
(3-H)ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。

【本件発明4】
(4-A)請求項3において、
(4-B)第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定する一方、
(4-C)前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定しているとともに、
(4-D)後処理テープ(Y)は、第3帯片(3)と第2帯片(2)とを直線状に伸展させたときの起立点部(P)から第3帯片(3)の先端(3a)までの伸展長さ(L_(5))を、紙おむつに取付た後処理テープ(Y)の起立点部(P)の取付け位置からウエスト側縁部(52)までの長さ(M_(3))より5mm?120mmだけ長くなるように設定している、
(4-E)ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。

第5 無効理由についての当審の判断
1.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面とともに次の記載事項がある。
(ア)The present invention relates to fastener devices and
disposable products using the same. Examples of such disposable
products include sweat bands, bandages, body wraps, disposable
garments including disposable diapers (adult and baby), and
disposable absorbent pads including sanitary napkins and
incontinence devices. The present invention has a particular
applicability to disposable pull-on garments such as pull-on
diapers, training pants, incontinent briefs, and the like.
(明細書1頁9?14行)
(和訳:本発明は、止着具と該止着具を使用する使い捨て製品に関する。使い捨て製品の例として、汗バンド、包帯、ボディラップ、(大人用並びに子供用)使い捨ておむつなどの使い捨て衣服及び生理用ナプキンまたは失禁用品などの使い捨て吸収パッドがある。本発明は、特に、パンツ式使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフなどの、引き上げて着用する使い捨て衣服に好適である。)(和訳は当審による。以下、同様。)

(イ)Another example of application of fastener devices is a
disposal device which is used for securing a soiled pull-on garment
in a convenient disposal configuration after the pull-on garment
has been soiled. ……
As is noted in the above, the fastener devices are often provided
in disposable products (or garments) and can be used in different
manners. It is generally expected that the fastener devices are
firmly secured to the disposable products, otherwise they tend to
be separated from the disposable products by a force which may be
externally (and sometimes accidentally) applied during the use of
the product. For example, when a fastener device is used in a
disposable pull-on garment as a disposal device, it is secured to
the garment-facing surface of the backsheet. Recently there is a
trend that the disposable pull-on garments often have an outer
cover nonwoven fabric which covers the entire garment-facing
surface of the backsheet to provide a cloth-like garment feel. It
has been discovered that users of the disposable pull-on garments
tend to prefer a soft touch of such an outer cover nonwoven fabric.
It is generally noted that soft nonwoven fabric tend to have a weak
mechanical strength. The disposal device is attached to the outer
cover nonwoven fabric in the disposable pull-on garments. As a
result, the disposal device tends to be more easily separated from
the outer cover nonwoven fabric during use. In particular, in the
operation of pulling the grip tab of the disposal device to extend
the preliminary folded tape sections (normally just before the
actual use of the disposal device), the portion which secures the
disposal device to the outer cover nonwoven fabric tends to be
easily torn thereby causing an undesirable separation of the
disposal device from the disposable pull-on garment.
Based on the foregoing, there is a need for a fastener device
which can be more firmly secured to disposable products.
(明細書1頁28行?2頁22行)
(和訳:止着具の他の適用例は、パンツ式おむつが汚れた後でパンツ式おむつを廃棄しやすい形状に固定するための、廃棄用止着具である。……
上記のとおり、このような止着具は、しばしば使い捨て製品(すなわち衣料)に用いられ、種々の方法で利用できる。通常、止着具は、使い捨て製品にしっかりと固定され、製品を使用している時に、外部から(時には偶然に)力が加わっても、使い捨て製品から剥がれないようにされている。例えば、止着具がパンツ式の使い捨て衣料に使用される時は、使い捨て衣料の外面となる、バックシートの表面にしっかりと固定される。最近では、パンツ式おむつの外側カバーを不織布にし、使い捨ておむつの外表面となるバックシート全体を不織布で覆って、布のような感触の製品にする傾向がある。パンツ式おむつの利用者は、不織布の外側カバーによって得られる、柔らかい肌触りを好むことが、分かってきた。一般に、柔らかい不織布は、強度が弱い傾向があることが知られている。廃棄用止着具は、パンツ式おむつの外側カバーである不織布に取り付けられる。そのため、廃棄用止着具は、外側カバーである不織布から、より分離しやすいという傾向が生じる。特に、廃棄用止着具のツマミ部を引っ張って、折り畳まれたテープ片を延ばす時(通常は、廃棄用止着具を実際に使用する直前である)に、不織布製外側カバーの、廃棄用止着具が固定されている部分が裂けやすく、不所望にも、廃棄用止着具が、パンツ式おむつから分離してしまうという問題がある。
このため、使い捨て製品に対してより確実に固定できる止着具が求められている。)

(ウ)The present invention is directed to a fastener device. The
fastener device includes a first tape section having a free end
portion and a first connection portion opposing the free end
portion; a second tape section having a second connection portion
and a first anchor portion opposing the second connection portion.
The second connection portion is joined to the first connection
portion of the first tape section. The fastener device further
includes a third tape section having a third connection portion and
a second anchor portion next to the third connection portion. ……
The third connection portion is joined to a branch connection
portion between the second connection portion and the first anchor
portion of the second tape section.
(明細書2頁24?33行)
(和訳:本発明は、止着具に関する。この止着具は、自由側端部及び自由側端部の反対側に位置する第1連結部を有する第1片部と、第2連結部及び第2連結部の反対側に位置する第1固定部5を有する第2片部とを有する。この第2連結部は、第1片部の第1連結部に結合される。この止着具は、さらに、第3連結部と、第3連結部に隣接する第2固定部とを有する、第3片部を有する。……この第3連結部は、第2片部の第2連結部と第1固定部との間にある、分岐連結部に結合される。)

(エ)Fig. 1 is a cross-sectional view of a preferred embodiment of
the fastener device 10 of the present invention. This fastener
device 10 can be provided on any disposable product 200 which
needs to have a fastening mechanism. When the fastener device 10
is used in a disposable garment, it is preferably provided on a
backsheet 22 of the garment (or the product 200) which preferably
includes an outer cover nonwoven layer 74 and a liquid impervious
plastic film 68. Thus, Fig. 1 shows a part of such a backsheet 22
as well as the fastener device 10.(明細書4頁18?24行)
(和訳:図1は、本発明の好ましい実施形態である止着具10の断面図である。この止着具10は、止着機能を必要とするどのような使い捨て製品200にも取り付けることができる。止着具10を使い捨て衣料に使用する場合、衣料(すなわち製品200)のバックシート22に装着することが好ましい。ここでバックシート20は、好ましくは、外側カバーとなる不織布層74と、液体不浸透性のプラスチックフィルム68とを備える。図1には、そのようなバックシート22の一部と、止着具10とが示されている。)

(オ)Referring to Fig. 1, the fastener device 10 includes first,
second and third tape sections 1,2 and 3 which are connected
together. Although the first, second and third tape sections 1,2
and 3 are shown as being spaced apart each other in Fig. 1,
practically they are folded and piled (or layered) together before
the fastener device 10 is actually used for fastening.
(明細書4頁26?30行)
(和訳:図1に示すように、止着具10は、相互に連結された第1片部1、第2片部2及び第3片部3を有する。図1では、第1片部1、第2片部2及び第3片部3は、相互に間隔があるように示されているが、実際には、止着具10が、実際に止着のために使用されるまでは、それらは、互いに折重ねられて(すなわち積層されて)いる。)

(カ)The first tape section 1 has a free end portion 4 and a first
connection portion 11 opposing the free end portion 4. The first
tape section 1 also has an inner surface (i.e., an adhesive surface)
1a and an outer surface (i.e., a low adhesion surface) 1b opposing
the inner surface 1a. The inner surface 1a is coated with an
adhesive material 14, while the outer surface 1b is coated with a
low adhesion material for release treatment (not shown in Fig. 1).
The adhesive material 14 on one hand firmly adheres to the inner
surface 1a of the first tape section 1, and the other hand is
adapted to be attached and re-attached to other component (not
shown in Fig. 1) to which a fastening is required in the disposable
product 200. The adhesive material 14 provided at the first
connection portion is used to connect the first tape section 1 to
the second tape section 2. The adhesive material 14 is used to keep
the inner surface 1a of the first tape section 1 adhering to the
second tape section 2 with an appropriate adhesion strength before
the fastener device 10 is unfolded. ……
In a preferred embodiment, the inner surface 1a at the free end
portion 4 is free of adhesive so that it can form a grip tab for
picking it up and gripping it by user's fingers to extend the tape
sections 1,2 and 3. Alternatively and more preferably, the adhesive
coating portion at the free end portion 4 is provided with a thin
film strip material 8 which covers or masks the adhesive to form
the grip tab 9 as shown in Fig. 1. (明細書5頁1?21行)
(和訳:第1片部1は、自由側端部4と自由側端部4と反対側に位置する第1連結部11を有する。第1片部1は、内側面1a(すなわち、粘着面)と内側面1aと反対面の外側面1b(すなわち、粘着力低下面)を有する。内側面1aは粘着剤14で被膜され、外側面1bは剥離できるように粘着力低下剤(図1には示されていない)で被膜されている。粘着剤14は一方で第1片部1の内側面1aにしっかりと接着し、他方で使い捨て製品200を固定するのに必要な他の構成要素(図1には示されていない)に着脱できるように調節されている。第1接着部に塗布された粘着剤14は第1片部1を第2片部2に接着するのに使用される。また、粘着剤14は、止着具10を伸展する前に、第2片部2に接着している第1片部1の内側面1aを適度な粘着力で保持している。……
好ましい実施形態として、自由側端部4に位置する内側面1aは粘着性がなく、それにより、使用者がつまんで引っ張ることで、第1片部1、第2片部2、及び第3片部3を伸展できるようなツマミ部となっている。さらに好ましい形態は、自由側端部4に位置する粘着剤被膜部に、粘着剤を覆う又は隠す薄膜材料8を付着させ、図1に示すようなツマミ部9を形成することである。)

(キ)The second tape section 2 has a second connection portion 12
and a first anchor portion 5 opposing the second connection portion
12. The second connection portion 12 is the portion that is used to
connect the second tape section 2 to the first tape section 1. The
first anchor portion 5 is the portion that is used to secure a part
of the second tape section 2 to the product 200. The second tape
section 2 has a first surface (i.e., an adhesive surface) 2a and a
second surface (i.e., a low adhesion surface) 2b opposing the first
surface 2a. The first surface 2a is coated with an adhesive
material 15, while the second surface 2b is coated with (or release
treated with) a low adhesion material (not shown in Fig. 1). The
second connection portion 12 is turned over towards the first tape
section 1 so that a fold 17 is formed. The first and second tape
sections 1 and 2 are connected through the adhesives provided at
the first and second connection portions 11 and 12. The first
anchor portion 5 of the second tape section 2 is secured to a part
of the product 200 through the adhesive material 15, i.e., the
adhesive material 15 needs to keep the first anchor portion 5 of
the second tape section 2 secured to the part of the product 200.
The adhesive material 15 also needs to keep the first surface 2a of
the second tape section 2 adhering to the third tape section 3 with
an appropriate (or not too strong) adhesion strength before the
fastener device 10 is unfolded.(明細書5頁24行?6頁5行)
(和訳:第2片部2は、第2連結部12と、第2連結部と反対に位置する第1固定部5を有する。第2連結部12は、第2片部2を第1片部1に接続するのに使用される部分である。第1固定部5は、第2片部2の一部を製品200に接続するのに使用される部分である。第2片部2は、第一の表面(すなわち粘着面)2aと第一の表面2aと反対面の第二の表面(すなわち粘着力低下面)2bを有している。第一の表面2aは粘着剤15で被膜され、第二の表面2bは粘着力低下剤(図1には示されていない)で被膜(または剥離処理)されている。第2連結部12が第1片部1に向かって折り返されることで折返部17が形成されている。第1片部1と第2片部2は、第1連結部11と第2連結部12に備えられた粘着剤によって結合されている。第2片部2の第1固定部5は、粘着材15を介して、製品200の一部にしっかりと固定されている。つまり、粘着剤15は、第2片部2の第1固定部5を製品200の一部に、しっかりと保持する必要がある。また、粘着剤15は、止着具10が伸展されるまで、第2片部2の第一の表面2aを適度な粘着力で(すなわち強すぎない程度に)第3片部3に接着し、保持する必要がある。)

(ク)Referring again to Fig. 1, the third tape section 2 has a
third connection portion 13 and a second anchor portion 19 which is
preferably positioned next to the third connection portion 13. The
third tape section 3 has a first surface (i.e., an adhesive surface)
3a and a second surface (i.e., a low adhesion surface) 3b opposing
the first surface 3a. The first surface 3a is coated with an
adhesive material 16, while the second surface 3b is coated with
(or release treated with) a low adhesion material (not shown in
Fig. 1). The third connection portion 13 is turned over towards the
second tape section 2 so that a fold 18 is formed. The third tape
section 3 is connected to a branch connection portion BC which is
chosen from the intermediate area between the second connection
portion 12 and the first anchor portion 5 of the second tape
section 2. Preferably, the branch connection portion BC is
positioned closer to the first anchor portion 5 than the second
connection portion 12, more preferably right next to the first
anchor portion 5 as shown in Fig. 1.
The second anchor portion 19 of the third tape section 3 adheres
to another part of the product 200 through the adhesive material 16.
Consequently, the fastener device 10 is firmly secured to the
product 200 through the anchor portions 5 and 19.
(明細書6頁9?23行)
(和訳:再度図1を参照すると、第3片部2は、第3連結部13と第2固定部19とを有し、ここで第2固定部19は、第3連結部13と隣接していることが好ましい。第3片部3は、第一の表面(すなわち粘着面)3aと、第一の表面3aと反対面の第二の表面(すなわち粘着力低下面)3bとを有している。第一の表面3aは、粘着剤16で被膜され、第二の表面3bは、粘着力低下剤(図1には示されていない)で被膜(または剥離処理)されている。第3連結部13は、第2片部2に向かって折り返されて、折返部18を形成している。第3片部3は、分岐連結部BCと結合されており、ここで分岐連結部BCは、第2片部2の、第2連結部12と第1固定部5との間の領域にある。分岐連結部BCは、第2連結部12よりも、第1固定部5に接近した位置にあることが好ましく、さらに好ましいのは、図1に示すように、第1固定部5に直接隣接していることである。
第3片部3の第2固定部19は、粘着剤16によって、製品200の他の部分と接着している。その結果、止着具10は、第1固定部5と第2固定部19とによって、製品200にしっかりと固定されている。)

(ケ)As is noted by the above description, since the fastener
device 10 includes the second tape section 2 which is supported by
the first anchor portion 5 of the second tape section 2 as well as
the second anchor portion 5 of the third tape section 3, it is
possible to keep the fastener device 10 firmly secured to the
product 200. Thus, the fastener device 10 can be kept firmly
secured to the disposable product 200 without being separated from
the disposable product 200 by a force which may be externally
applied (and sometimes accidentally applied) during the use of the
product 200. (明細書7頁11?17行)
(和訳:上で説明したように、止着具10は、第1固定部5によって支持される第2片部2を有し、さらに、第3片部3の第2固定部5(審決注:19の誤記)によっても支持されるので、製品200にしっかりと保持することができる。このため、止着具10は、製品200の着用中に外部から加わる(そして時には偶然に加わる)力によって、製品200から分離することなく、しっかりと固定された状態を保つことができる。)

(コ)Fig. 3 shows one preferred embodiment of a disposable pull-on
garment of the present invention (e.g., a unitary disposable pull-
on diaper). Referring to Fig. 3, the disposable pull-on garment 20
has a front region 26; a back region 28 and a crotch region 30
between the front region 26 and the back region 28.
(明細書8頁4?7行)
(和訳:図3は、本発明のパンツ式使い捨ておむつの、好ましい一実施形態(すなわち、一体型のパンツ式使い捨ておむつ)を示す。図3に示されるように、パンツ式使い捨ておむつ20は、前部26、後部28及び前部26と後部28の間の股部30を有する。)

(サ)Preferably, elasticized waist bands 50 are provided in both
the front region 26 and the back region 28. ……
A fastener device 10 is provided on the backsheet 22.
Specifically, the fastener device 10 is secured to the outer cover
nonwoven fabric 74 (not shown in Fig. 3) of the backsheet 22.
Preferably, the fastener device 10 is positioned on the
longitudinal centerline 100 (not shown in Fig. 3 but Fig. 4) in the
back region 28 of the backsheet 22. (明細書10頁4?15行)
(和訳:好ましくは、伸縮性ウエストバンド50は、前部26と後部28の両方に取り付けられる。……
止着具10は、バックシート22に取り付けられる。具体的には、止着具10は、外側カバーとなるバックシート22の不織布層74(図3には示されていない)にしっかりと固定される。止着具10は、バックシート22の後部28の縦中央線100(図3には示されておらず図4に示されている)上に位置させるのが好ましい。)

(シ)After the pull-on garment 20 has been soiled, the soiled
garment 20 is torn open along the seams 32 by gripping the tear
open tab 31 and the ear panel 46 or 48 to remove the soiled garment
20 from the wearer. Alternatively, if appropriate, the soiled
garment 20 may be just removed from the wearer by pulling down
without tearing open the seams 32. The garment 20 is then folded or
rolled up by keeping the crotch portion in the center so that the
fastener (or disposal) device 10 can come to the outside of the
rolled garment 20 for a convenient disposal as shown in Fig. 5,
while containing the contents within the rolled garment 20.
(明細書14頁25?32行)
(和訳:おむつ20が汚れた後、この汚れたおむつ20は、分離片31と、耳パネル46又は耳パネル48をつまんで継ぎ目32に沿って破くことで着用者から取り外すことができる。他の方法として、汚れたおむつ20は、継ぎ目32を破ることなく、単に下に引っ張って脱ぐことで着用者から取り外すこともできる。おむつ20を、股部を中央にして折り返し又は丸めて、止着(すなわち廃棄)具20を、丸めたおむつ20の外側に来るようにすることで、図5に示すように廃棄しやすい形にでき、この時、内容物(審決注:便のこと)は、丸めたおむつ20内に包み込まれる。)

(ス)Referring again to Fig. 1, the grip tab 9 of the fastener
device 10 is first pulled by the user's fingers towards the
direction DR1 to separate the first tape section 1 from the second
surface 2b of the second tape section 2 which are initially adhered
together. Since the second tape section 2 is supported by the first
anchor portion 5 of the second tape section 2 as well as the second anchor portion 19 of the third tape section 3, it is possible to
keep the fastener device 10 firmly secured to the backsheet 22 (or
the product 200). After the grip tab 9 is pulled towards the
direction DR1, then it is also pulled towards the opposite
direction DR2 to separate the second tape section 2 from the second
surface 3b of the third tape section 3 which are also initially
adhered. At this stage, since the second tape section 2 is
supported by the second anchor portion 19 of the third tape section
3 as well as the first anchor portion 5 of the second tape section
2, it is again possible to keep the fastener device 10 firmly
secured to the backsheet 22 (or the product 200).
(明細書14頁33行?15頁9行)
(和訳:再度図1を参照すると、まず、利用者が、指で止着具10のつまみ部9をDR1の方向へ引っ張ることにより、第1片部1を、当初は互いに接着されていた第2片部2の第二の表面2bから剥離させることができる。第2片部2は、第2片部2の第1固定部5と、第3片部3の第2固定部19とによって支持されているので、止着具10は、バックシート22(すなわち製品200)にしっかりと固定されている。つまみ部9をDR1の方向へ引っ張った後、DR1と反対方向のDR2の方向へ引っ張ることにより、第2片部2を、同様に当初は接着されていた第3片部3の第二の表面3bから剥離することができる。この段階でも、第2片部2は、第3片部3の第2固定部19と、第2片部2の第1固定部5に支持されているので、止着具10は、同様に、バックシート22(すなわち製品200)にしっかりと固定されている。)

(セ)The unfolded tape sections 1,2 and 3 are them extended over
the end edges 152 of the folded or rolled garment 20 so that the
first tape section 1 can reach the landing position LP on the
backsheet 22. The landing position LP can be any position on the
backsheet 22 which can provide a convenient disposal by the
fastener device 10 as shown in Fig. 5. This convenient disposal
configuration can maintain the contents without leaking out.
(明細書15頁15?19行)
(和訳:伸展した第1片部1、第2片部2及び第3片部3は、折り返し又は丸めた紙おむつ20の腰部端152を超えて延びるので、第1片部1が、バックシート22上の接着位置LPに到達できる。接着位置LPは、バックシート22上であれば、図5に示すように、止着具10によって処理しやすい形状となるどの地点でもよい。この処理しやすい形状は、内容物(審決注:便のこと)が漏れないように保持できる。)

(ソ)The fastener device of Claim 3, wherein the low adhesion
surfaces of the second and third tape sections are treated with a
silicone compound. (明細書17頁1?2行)
(和訳:第2片部及び第3片部の粘着力低下面が、シリコーン化合物で処理されている、請求項3の止着具。)

(タ)図1及び上記記載事項(オ)、(カ)、(キ)、(ク)、(ス)から、第3片部3は、使い捨て製品200側となる片で、第1片部1は、伸展する側となる片であることが了知できる。

(チ)図1、図3、図5、及び上記記載事項(オ)、(カ)、(キ)、(ク)から、第1片部1、第2片部2及び第3片部3は、それぞれ個別に裁断され、片面1a、2a及び3aの全面に粘着材14、15又は16を付着させたものであることが了知できる。

(ツ)図1及び上記記載事項(カ)、(キ)、(ク)、(ス)、(ソ)から、第1片部1、第2片部2及び第3片部3は、粘着材14、15又は16を付着させた面1a、2a又は3aを互いに接合させると、片部同士が強固に接着される一方で、粘着材14又は15を付着させた面と、粘着力低下面2b又は3bとを接合させると、片部同士がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度(すなわち強すぎない程度)の接着力を有したものであることが了知できる。

(テ)図1及び上記記載事項(カ)、(キ)、(ク)、(ス)から、第1片部1と、第2片部2と、第3片部3とは、順次屈伸可能なる状態でZ状に連結していることが了知できる。

(ト)図1及び上記記載事項(ク)から、第2片部2は、その一部として所定長さの第1固定部5を備えており、この第1固定部5は、第3片部3との連結部分(分岐連結部BC)から、第3片部3の延出方向とは反対側に延出していることが了知できる。

(ナ)図1及び上記記載事項(カ)から、第1片部1の自由側端部4は、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、また、第1片部1の自由側端部4には、薄膜材料8を付着させたツマミ部9を設けており、この薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置していることが見て取れる。

(ニ)図3、図5、及び上記記載事項(ク)、(ケ)、(コ)、(サ)、(シ)から、止着具10の第3片部3の第2固定部19と、第2片部2の第1固定部5が、おむつ20の伸縮性ウエストバンド50寄り位置において、上下に向く姿勢で、外側カバーとなるバックシート22に、粘着剤15,16によって接着していることが了知できる。

2.無効理由1-1ないし1-3について
(1)請求人が主張する無効理由1-1は、概略、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるというものである(上記「第2 3.(1)ア.」参照)。

(2)甲第1号証に記載された発明(その1)
上記1.で指摘した甲第1号証の記載事項、並びに図1、図3及び図5から見て、甲第1号証には、次の発明が記載されている(以下、「甲1発明1」という。)。なお、本件発明1との対応関係が明瞭になるように、分説して示す。
《甲1発明1》
(1-a)使い捨ておむつ20の廃棄時に使い捨ておむつ20を丸めた状態で保持するための止着具10であって、
(1-b)おむつ20のバックシート22(使い捨て製品200)側となる第3片部3と、中間部側となる第2片部2と、伸展する側となる第1片部1とを有し、
(1-c)第1片部1と第2片部2と第3片部3は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面1a、2a及び3aの全面に粘着剤14、15又は16を付着させたもので、粘着材14、15又は16を付着させた面1a、2a又は3a同士を接合させると片部同士が強固に接着される一方で、粘着材14又は15を付着させた面1a又は2aと、粘着力低下面2b又は3bを接合させると、片部同士がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(1-d)第3片部3の第3連結部13の粘着剤付着面と、第2片部2の分岐連結部BCの粘着剤付着面とを接着させ、
第2片部2の第2連結部12の粘着剤付着面と、第1片部1の第1連結部11の粘着剤付着面とを接着させて、
第1片部1と、第2片部2と、第3片部3とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(1-e)第2片部2は、その一部として所定長さの第1固定部5を備えており、この第1固定部5は、第3片部3との連結部分(分岐連結部BC)から、第3片部3の延出方向とは反対側に延出しており、
(1-f)第3片部3と、第2片部2の第1固定部における、第1片部1とは反対面である粘着材15又は16を付着させた面2a又は3aの各面と、第1片部1における、第2片部2に対面する面である粘着材14を付着させた面1aが、それぞれ第1片部、第2片部2及び第3片部3をおむつ20の外面に接着させる粘着剤付着面となっている、
(1-g)使い捨ておむつ20の止着具10。

(3)本件発明1と甲1発明1との対比
ア.本件発明1と、甲1発明1とを対比すると、甲1発明1の「使い捨ておむつ20」は、本件発明1の「紙おむつ(50)」に相当し、同様に、
「止着具10」は「後処理テープ(Y)」に、
「おむつ20のバックシート22(使い捨て製品200)側」は「基部側」に、
「第3片部3」は「第1帯片(1)」に、
「第2片部2」は「第2帯片(2)」に、
「伸展する側」は「先部側」に、
「第1片部1」は「第3帯片(3)」に、
「粘着材14、15又は16」は「粘着剤(11,12,13,14)」に、
「粘着材14、15又は16を付着させた面1a、2a又は3a」は「粘着剤付着面」に、
「粘着力低下面2b又は3b」は「粘着剤非付着面」に、
「第3片部3の第3連結部13」は「第1帯片(1)の一端部」に、
「第2片部2の分岐連結部BC」は「第2帯片(2)の一端寄り中間部」に、
「第2片部2の第2連結部12」は「第2帯片(2)の他端部」に、
「第1片部1の第1連結部11」は「第3帯片(3)の一端部」に、
「第1固定部5」は「補強帯片(4)」に、
それぞれ相当する。

イ.また、甲1発明1が「(1-d)第3片部3の第3連結部13の粘着剤付着面と、第2片部2の分岐連結部BCの粘着剤付着面とを接着させ、
第2片部2の第2連結部12の粘着剤付着面と、第1片部1の第1連結部11の粘着剤付着面とを接着させて、
第1片部1と、第2片部2と、第3片部3とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し」ていることは、
本件発明1の「(1-D)前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し」との要件を満たす。

ウ.同様に、甲1発明1が「(1-e)第2片部2は、その一部として所定長さの第1固定部5を備えており、この第1固定部5は、第3片部3との連結部分(分岐連結部BC)から、第3片部3の延出方向とは反対側に延出して」いることは、
本件発明1の「(1-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に、該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ」との要件を満たす。

エ.さらに、甲1発明1が「(1-f)第3片部3と、第2片部2の第1固定部における、第1片部1とは反対面である粘着材15又は16を付着させた面2a又は3aの各面と、第1片部1における、第2片部2に対面する面である粘着材14を付着させた面1aが、それぞれ第1片部、第2片部2及び第3片部3をおむつ20の外面に接着させる粘着剤付着面となっていることは、
本件発明1の「(1-F)前記第1帯片(1)と前記補強帯片(4)における第3帯片側とは反対面の各面と前記第3帯片(3)における第2帯片に対面する面に、それぞれ各帯片(1,4,3)を紙おむつ外面に接着させる粘着剤付着面を位置させている」との要件を満たす。

オ.本件発明1と甲1発明1との一致点
したがって、本件発明1と甲1発明1とは、本件発明1の記載に倣えば、次の一致点で一致する。
《一致点》
(1-A)紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)であって、
(1-B)基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、
(1-C)前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(1-D)前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(1-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に、該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、
(1-F)前記第1帯片(1)と前記補強帯片(4)における第3帯片側とは反対面の各面と前記第3帯片(3)における第2帯片に対面する面に、それぞれ各帯片(1,4,3)を紙おむつ外面に接着させる粘着剤付着面を位置させている、
(1-G)紙おむつの後処理テープ。

そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、全ての構成要件において一致するから、本件発明1は、甲1発明1である。

(4)無効理由1-1ないし1-3についての当審の結論
以上のとおりであるから、請求人が主張する無効理由1-1は、理由がある。本件発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、本件発明1についての特許は、特許法第29条第1項の規定に違反して特許されたものであって、特許法第123条第1項第2号の規定に該当するので、無効理由1-2ないし無効理由1-3について検討するまでもなく、本件発明1についての特許は、無効とすべきものである。

3.無効理由2-1ないし2-2について
(1)請求人が主張する無効理由2-1は、概略、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものである、というものである(上記「第2 3.(1)ア.」参照)。

(2)甲第1号証に記載された発明(その2)
甲第1号証には、上記2.(2)で、甲1発明1として示した構成が記載されている。
また、甲第1号証には、「第1片部1の自由側端部4は、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、また、第1片部1の自由側端部4には、薄膜材料8を付着させたツマミ部9を設けており、この薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置している」構成も記載されている(上記1.(ナ)参照)。
そうすると、甲第1号証には、次の発明が記載されている(以下、「甲1発明2」という。)。なお、本件発明2との対応関係が明瞭になるように、分説して示す。
《甲1発明2》
(2-a)甲1発明1の構成をすべて備え、
(2-d)さらに第1片部1の自由側端部4は、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、また、第1片部1の自由側端部4には、薄膜材料8を付着させたツマミ部9を設けており、この薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置している、
(2-e)使い捨ておむつ20の止着具10。

(3)本件発明2と甲1発明2との対比
ア.本件発明2と、甲1発明2とを対比すると、甲1発明2の「使い捨ておむつ20」は、本件発明2の「紙おむつ(50)」に相当し、同様に、
「止着具10」は「後処理テープ(Y)」に、
「第1片部1」は「第3帯片(3)」に、
「自由側端部4」は、「第3帯片(3)」の「他端部」に、
「ツマミ部9」に付着させる「薄膜材料8」は、「ツマミ片(5)」に、
「第2片部2」は「第2帯片(2)」に、
「第3片部3」は「第1帯片(1)」に、
「第1片部1の第1連結部11」は「第3帯片(3)の一端部」に、
それぞれ相当する。

イ.また、甲1発明2が「(2-a)甲1発明1の構成をすべて備え」ていることは、
本件発明1の「(2-A)請求項1において」との要件を満たす。

ウ.本件発明2と甲1発明2との一致点、相違点
したがって、本件発明2と甲1発明2とは、本件発明2の記載に倣えば、次の一致点で一致する。
《一致点》
(2-A)請求項1において、
(2-D’)さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とがZ状に連結されたときにおいて、その他端部にツマミ片(5)を設けている、
(2-E)紙おむつの後処理テープ。

そして、本件発明2と甲1発明2とは、次の相違点で相違する。
《相違点2-1》
本件発明2は、第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定しているのに対し、甲1発明2では、そのように特定されていない点。

《相違点2-2》
本件発明2は、第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とがZ状に連結されたときにおいて、第3帯片(3)の他端部が補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、第3帯片(3)の他端部の補強帯片(4)に対面する位置でしかも起立点部(P)より第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けているのに対し、
甲1発明2では、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第1片部1の自由側端部4は、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、ツマミ部9を形成する薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置している点。

(4)相違点についての検討
ア.相違点2-1について
(ア)甲第1号証の図5などから、甲1発明2の第2固定部19の長さは、おむつの廃棄時における、止着具の全長の略3分の1の長さになることが明らかである。そして、止着具の全長は、おむつの廃棄時、すなわち、止着具の使用時における伸展させたときの長さが、使用に好適な長さになるように、当業者が適宜決定すべき事項であり、単なる設計的事項である。また、甲1発明2の第2固定部19と、第1固定部5とを合わせた長さは、止着具のおむつへの取り付けの確実性に関係するものであるから(上記1.(イ)、(ウ)、(セ)参照)、第2固定部19と、第1固定部5とを合わせた長さは、止着具のおむつへの取り付けの確実性等を考慮して、当業者が適宜決定すべき単なる設計的事項である。
したがって、甲1発明2において、止着具の使用時における伸展させたときの好適な長さや、止着具のおむつへの取り付けの確実性等を考慮して、第2固定部19及び第1固定部5の長さを適宜定めることにより、相違点2-1に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

(イ)念のため付言すれば、本件発明2は、長さ(L_(1))を、長さ(L_(2))の2倍以上かつ3倍以下にするものであり、さらに、長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定するものである。すると、本件発明2では、長さ(L_(1))は、30mm?75mmの範囲に設定されるものであり、長さ(L_(1))と長さ(L_(2))の和は、45mm?100mmの範囲に設定されるものである。
一方、甲第7号証には、使い捨ておむつに取り付けるZ状に連結した止着具(接着積層テープ)であって、止着具を伸展させた(引っぱって切りはなした)時の長さが102mmであり、第3テープ部分3が使い捨ておむつに接着する部分(甲1発明2の第2固定部19に相当)の長さが30mm(第3締結テープの巾35mm-折り返し部の巾5mm)であるものが示されている(段落0061?0064、符号の説明、図1を参照)。
また、甲第5号証には、使いすておむつに取り付ける止着具(廃棄用テープ)について、止着具を使いすておむつに取り付ける部分である固定部の長さは、0.5?6cmが好ましいと記載されている(段落0036を参照)。
そうすると、甲第5号証、甲第7号証にこれら記載がされていることから見ても、甲1発明2の第2固定部19及び第1固定部5の長さを適宜定めるに際して、本件発明2が特定する長さ(L_(1))及び長さ(L_(2))の範囲に定めることには、何の阻害要件もないと認められるから、甲1発明2において、第2固定部19及び第1固定部5の長さを適宜定めることにより、相違点2-1に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

イ.相違点2-2について
(ア)紙おむつ廃棄時用の、Z状に連結した後処理テープにおいて、伸展時に先部側となるテープ片の先端を、基部側となるテープ片と中間部側となるテープ片との屈曲部(甲1発明2の「第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置」に相当)よりも突出させると共に、先部側となるテープ片の先端にツマミ片を設けることは、例えば、甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証、及び甲第10号証に記載されており、周知である。そして、先部側となるテープ片の先端を、基部側となるテープ片と中間部側となるテープ片との屈曲部よりも突出させる長さは、ツマミ片のつまみやすさや、後処理テープを伸展したときの全長、後処理テープをZ状に折り畳んだときの全長、製造や使用の容易性等を考慮して、当業者が適宜決定すべき単なる設計的事項である。
そうすると、甲1発明2に周知の技術的事項を適用し、その際、伸展時に先部側となるテープ片の先端の、屈曲部からの突出長さを適宜定めることにより、相違点2-2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

(イ)被請求人は、甲1発明2に、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に示される周知技術を適用する動機付けは存在しない旨主張する(第1回口頭審理調書参照)。
しかしながら、甲1発明2と、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に示されるものとは、共に「紙おむつ廃棄時用の、Z状に連結した後処理テープ」であって、技術分野が一致しているし、「Z状に連結した後処理テープ」の先部側となるテープ片の先端の位置をどこにするかによって、先部側となるテープ片の先端に設けたツマミ片のつまみやすさや、後処理テープを伸展したときの全長、後処理テープをZ状に折り畳んだときの全長が変化するものであり、これらつまみやすさや、伸展したときの全長、Z状に折り畳んだときの全長によって、後処理テープの、使用時の使いやすさ等が変化することが、当業者にとって明らかである。また、伸展したときの全長や、Z状に折り畳んだときの全長が変化すると、製造の容易性等が変化することも、当業者にとって明らかである。
そして、使用時の使いやすさや、製造の容易性等を検討して、製品として好適な構成を工夫することは、当業者に当然期待される、通常の創作能力の発揮であるから、甲1発明2に、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に示される周知技術を適用する動機付けは存在する。

(ウ)また、被請求人は、平成23年11月28日付け審判事件答弁書及び平成24年1月11日付け口頭審理陳述要領書において、本件発明2は、相違点2-2に係る構成を有していることにより、第1ないし第6の作用効果を奏するものである旨主張すると共に、これら作用効果は、ツマミ片(5)の先端が、補強帯片(4)に対面する位置にあることによって奏される格別な作用効果である旨主張する。
しかしながら、これら第1ないし第6の作用効果は、上記第3 2.(3)で指摘したとおり、本願出願時点における技術常識から当業者にとって自明な作用効果といえる。
また、相違点2-2に係る本件発明2の構成は、第3帯片の他端部におけるツマミ片(5)が設けられる位置が、補強帯片(4)に対面する位置であることを特定したものであって、ツマミ片(5)の先端が、補強帯片(4)に対面する位置にあることを特定したものではないから、特に、第3ないし第4の作用効果についての被請求人の主張は、その点で失当でもある。
さらに、これら第1ないし第6の作用効果は、ツマミ片(5)の先端が、補強帯片(4)に対面する位置にあることによって奏される格別な作用効果であるとはいえない。ツマミ片(5)の先端が、補強帯片(4)に対面する位置から突出していても(突出の程度によって作用効果の程度も変わるが)、これら作用効果は奏されるし、逆に、補強帯片(4)に対面する位置であっても、ツマミ片(5)の先端が、起立点部(P)に近い位置である場合には、これら作用効果の程度(近さの程度によって変わるが)は、相当に小さいものとなったり、実質的に効果が奏されなくなったりする。
したがって、本件発明2が、第1ないし第6の作用効果を奏するからといって、本件発明2が、甲1発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができなかったということにはならない。

(エ)また、被請求人は、平成24年1月11日付け口頭審理陳述要領書7頁の(ア-2)、同書12頁下から7行?13頁2行、同書同頁参考図3-1及び参考図3-2、並びに同書に添付した参考資料1などにおいて、甲第6号証、甲第8号証及び甲第10号証に記載の技術は「飽くまで、ツマミ片が後処理テープの本体部分よりも突出して構成されている」ものを開示するものである旨主張している。なるほど、甲第6号証、甲第8号証及び甲第10号証に記載されたものは、本件発明2の補強帯片4(甲1発明2の第1固定部5)に相当する構成を備えていないから、ツマミ片を「基部側となるテープ片と中間部側となるテープ片との屈曲部よりも突出させる」構成は、ツマミ片を「後処理テープの本体部分よりも突出させる」構成でもある。
しかしながら、例えば、甲第8号証の段落0016に「もしくは図8に示す如く、(a)部の長さを(b)部及び(c)部より短くして、Z型に折りたたんだときの(a)部の先端を、(b)部と(c)部との屈曲部より後退させることが好ましい。これらの形態とすることにより、(a)部を引き出す際、(a)部をつまみ易いという利点がある。もし、(a)部、(b)部、(c)部が同じ長さの場合、(a)部を引き出そうとする際、(a)部の先端を掴まず、誤って(b)部と(c)部の屈曲部を指で掴んでしまい、Z型テープそのものを被着体から剥がしてしまうという誤操作をする恐れがある。」と記載されているように、つまみ易さという観点からは、ツマミ片を「後処理テープの本体部分よりも後退させる」ことによっても、つまみ易くなることが周知である。
そうすると、仮に、甲第6号証、甲第8号証の図7及び甲第10号証に記載の技術は「飽くまで、ツマミ片が後処理テープの本体部分よりも突出して構成されている」技術であると捕らえた場合であっても、甲1発明2に、つまみ易さの観点から、ツマミ片を「後処理テープの本体部分よりも後退させる」という周知の構成を採用し、後処理テープを伸展したときの全長、後処理テープをZ状に折り畳んだときの全長等を適宜定めることにより、相違点2-2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。

(5)無効理由2-1ないし2-2についての当審の結論
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に推考し得たものであり、本件発明2が奏する作用効果も、当業者の予測の範囲内の事項であって、格別顕著なものではない。そうすると、本件発明2は、甲1発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求人が主張する無効理由2-1は、理由がある。本件発明2は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第2号の規定に該当するので、無効理由2-2について検討するまでもなく、本件発明2についての特許は、無効とすべきものである。

4.無効理由3-1ないし3-2について
(1)請求人が主張する無効理由3-1は、概略、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第4号証、甲第6号証、並びに甲第8号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものである、というものである(上記「第2 3.(1)ア.」参照)。

(2)甲第1号証に記載された発明(その3)
上記1.で指摘した甲第1号証の記載事項、並びに図1、図3及び図5から見て、甲第1号証には、次の発明が記載されている(以下、「甲1発明3」という。)。なお、本件発明3との対応関係が明瞭になるように、分説して示す。
《甲1発明3》
(3-a)使い捨ておむつ20の廃棄時に使い捨ておむつ20を丸めた状態で保持するための止着具10を取付けた止着具10付き使い捨ておむつ20であって、
(3-b)止着具10は、使い捨ておむつ20のバックシート22(使い捨て製品200)側となる第3片部3と、中間部側となる第2片部2と、伸展する側となる第1片部1とを有し、
(3-c)第1片部1と第2片部2と第3片部3は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面1a、2a及び3aの全面に粘着剤14、15、16を付着させたもので、粘着材14、15又は16を付着させた面1a、2a又は3a同士を接合させると片部同士が強固に接着される一方で、粘着材14又は15を付着させた面1a又は2aと、粘着力低下面2b又は3bを接合させると、片部同士がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(3-d)第3片部3の第3連結部13の粘着剤付着面と、第2片部2の分岐連結部BCの粘着剤付着面とを接着させ、
第2片部2の第2連結部12の粘着剤付着面と、第1片部1の第1連結部11の粘着剤付着面とを接着させて、
第1片部1と、第2片部2と、第3片部3とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(3-e)第2片部2は、その一部として所定長さの第1固定部5を備えており、この第1固定部5は、第3片部3との連結部分(分岐連結部BC)から、第3片部3の延出方向とは反対側に延出しており、
(3-f)さらに第1片部1の自由側端部4は、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、また、第1片部1の自由側端部4には、薄膜材料8を付着させたツマミ部9を設けており、この薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置しているものを使用し、
(3-g)止着具10の第3片部3の第2固定部19と、第2片部2の第1固定部5が、使い捨ておむつ20の伸縮性ウエストバンド50寄り位置において、上下に向く姿勢で、外側カバーとなるバックシート22に、粘着剤15,16によって接着している、
(3-h)止着具10付きの使い捨ておむつ20。

(3)本件発明3と甲1発明3との対比
ア.本件発明3と、甲1発明3とを対比すると、甲1発明3の「使い捨ておむつ20」は、本件発明3の「紙おむつ(50)」に相当し、同様に、
「止着具10」は「後処理テープ(Y)」に、
「おむつ20のバックシート22(使い捨て製品200)側」は「基部側」に、
「第3片部3」は「第1帯片(1)」に、
「第2片部2」は「第2帯片(2)」に、
「伸展する側」は「先部側」に、
「第1片部1」は「第3帯片(3)」に、
「粘着材14、15又は16」は「粘着剤(11,12,13,14)」に、
「粘着材14、15又は16を付着させた面1a、2a又は3a」は「粘着剤付着面」に、
「粘着力低下面2b又は3b」は「粘着剤非付着面」に、
「第3片部3の第3連結部13」は「第1帯片(1)の一端部」に、
「第2片部2の分岐連結部BC」は「第2帯片(2)の一端寄り中間部」に、
「第2片部2の第2連結部12」は「第2帯片(2)の他端部」に、
「第1片部1の第1連結部11」は「第3帯片(3)の一端部」に、
「第1固定部5」は「補強帯片(4)」に、
「自由側端部4」は、「第3帯片(3)」の「他端部」に、
「ツマミ部9」に付着させる「薄膜材料8」は、「ツマミ片(5)」に、
「第1片部1の第1連結部11」は「第3帯片(3)の一端部」に、
「伸縮性ウエストバンド50寄り位置」は「ウエスト側縁部(52)寄り位置」に、
「外側カバーとなるバックシート22」は「紙おむつ外面(51)」に、
それぞれ相当する。

イ.また、甲1発明3が「(3-d)第3片部3の第3連結部13の粘着剤付着面と、第2片部2の分岐連結部BCの粘着剤付着面とを接着させ、
第2片部2の第2連結部12の粘着剤付着面と、第1片部1の第1連結部11の粘着剤付着面とを接着させて、
第1片部1と、第2片部2と、第3片部3とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し」ていることは、
本件発明3の「(3-D)しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し」との要件を満たす。

ウ.同様に、甲1発明3が「(3-e)第2片部2は、その一部として所定長さの第1固定部5を備えており、この第1固定部5は、第3片部3との連結部分(分岐連結部BC)から、第3片部3の延出方向とは反対側に延出して」いることは、
本件発明3の「(3-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に、該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ」との要件を満たす。

エ.さらに、甲1発明3が「(3-g)止着具10の第3片部3の第2固定部19と、第2片部2の第1固定部5が、おむつ20の伸縮性ウエストバンド50寄り位置において、上下に向く姿勢で、外側カバーとなるバックシート22に、粘着剤15,16によって接着している」ことは、
本件発明3の「(前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている」との要件を満たす。

オ.本件発明3と甲1発明3との一致点、相違点
したがって、本件発明3と甲1発明3とは、本件発明3の記載に倣えば、次の一致点で一致する。
《一致点》
(3-A)紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)を取付けた後処理テープ付き紙おむつであって、
(3-B)前記後処理テープ(Y)は、基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、
(3-C)さらに前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
(3-D)しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面に接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
(3-E)前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、
(3-F’)さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とがZ状に連結されたときにおいて、その他端部にツマミ片(5)を設けているものを使用し、
(3-G)前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている、
(3-H)後処理テープ付き紙おむつ。

そして、本件発明3と甲1発明3とは、次の相違点で相違する。
《相違点3-1》
本件発明3は、第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とがZ状に連結されたときにおいて、第3帯片(3)の他端部が補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、第3帯片(3)の他端部の補強帯片(4)に対面する位置でしかも起立点部(P)より第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けているものを使用しているのに対し、
甲1発明3は、第3片部3と第2片部2と第1片部1とがZ状に連結されたときにおいて、第1片部1の自由側端部4は、第2片部2の第1固定部5に対面する位置となるまで延出されておらず、ツマミ部9を形成する薄膜材料8は、第2片部2が第3片部3と連結されて起立する位置より、第1片部1の第1連結部11側に位置しているものを使用している点。

(4)相違点についての検討
相違点3-1は、上記3.(3)ウ.で指摘した相違点2-2と実質的に同じである。そして、上記3.(4)イ.で説示したように、相違点2-2に係る本件発明2の構成は、当業者が容易に推考し得たことであるから、甲1発明3の相違点3-1に係る構成を、本件発明3の相違点3-1に係る構成にすることは、上記3.(4)イ.で説示したのと同様な理由によって、当業者が容易に推考し得たことである。

(5)無効理由3-1ないし3-2についての当審の結論
以上のとおりであるから、本件発明3は、甲1発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に推考し得たものであり、本件発明3が奏する作用効果も、当業者の予測の範囲内の事項であって、格別顕著なものではない。そうすると、本件発明3は、甲1発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
したがって、請求人が主張する無効理由3-1は、理由がある。本件発明3は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法第123条第2号の規定に該当するので、無効理由3-2について検討するまでもなく、本件発明3についての特許は、無効とすべきものである。

5.無効理由4-1ないし4-2について
(1)請求人が主張する無効理由4-1は、概略、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証ないし甲第10号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者がその出願前に容易に発明をすることができたものである、というものである(上記「第2 3.(1)ア.」参照)。

(2)本件発明4
本件発明4を再掲すれば、以下のとおりである。
【本件発明4】
(4-A)請求項3において、
(4-B)第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定する一方、
(4-C)前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定しているとともに、
(4-D)後処理テープ(Y)は、第3帯片(3)と第2帯片(2)とを直線状に伸展させたときの起立点部(P)から第3帯片(3)の先端(3a)までの伸展長さ(L_(5))を、紙おむつに取付た後処理テープ(Y)の起立点部(P)の取付け位置からウエスト側縁部(52)までの長さ(M_(3))より5mm?120mmだけ長くなるように設定している、
(4-E)ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。

(3)本件発明4と甲1発明3との対比
本件発明4と甲1発明3とを対比すると、上記4.(3)オ.で指摘した、本件発明3と甲1発明3との一致点で一致する。
そして、本件発明4と甲1発明3とは、上記4.(3)オ.で指摘した、相違点3-1で相違し、さらに、次の相違点で相違する。なお、相違点4-1は、欠番とする。
《相違点4-2》
本件発明4は、第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定しているのに対し、甲1発明3では、そのように特定されていない点。

《相違点4-3》
本件発明4は、後処理テープ(Y)は、第3帯片(3)と第2帯片(2)とを直線状に伸展させたときの起立点部(P)から第3帯片(3)の先端(3a)までの伸展長さ(L_(5))を、紙おむつに取付た後処理テープ(Y)の起立点部(P)の取付け位置からウエスト側縁部(52)までの長さ(M_(3))より5mm?120mmだけ長くなるように設定しているのに対し、
甲1発明3では、そのように特定されていない点。

(4)相違点についての検討
ア.相違点3-1については、上記4.(4)で指摘した理由で、当業者が容易に推考し得たことである。

イ.相違点4-2は、相違点2-1と実質的に同じである。
そして、上記3.(4)ア.で説示したように、相違点2-1は、当業者が容易に推考し得たことであるから、甲1発明4の相違点4-2に係る構成を、本件発明4の違点4-2に係る構成にすることは、上記3.(4)ア.で説示したのと同様な理由によって、当業者が容易に推考し得たことである。

ウ.相違点4-3について検討すると、紙おむつに取り付けた後処理テープ(止着具)の起立点部の取付け位置から、おむつのウエスト側縁部までの長さをどの程度にするかは、止着具の使用時において好適な状況となるように、当業者が適宜決定すべき単なる設計的事項である。

(5)無効理由4-1ないし4-2についての当審の結論
以上のとおりであるから、本件発明4は、甲1発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に推考し得たものであり、本件発明4が奏する作用効果も、当業者の予測の範囲内の事項であって、格別顕著なものではない。そうすると、本件発明4は、甲1発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
したがって、請求人が主張する無効理由4-1は、理由がある。本件発明4は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり特許法第123条第2号の規定に該当するので、無効理由4-2について検討するまでもなく、本件発明4に係る特許は、無効とすべきものである。

第6 むすび
以上のとおり、無効理由1-1、無効理由2-1、無効理由3-1及び無効理由4-1は、理由があるから、その他の無効理由について検討するまでもなく、本件発明1ないし本件発明4に係る特許は、いずれも、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
紙おむつの後処理テープ及び後処理テープ付き紙おむつ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)であって、
基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、
前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、
前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、
前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に、該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、
前記第1帯片(1)と前記補強帯片(4)における第3帯片側とは反対面の各面と前記第3帯片(3)における第2帯片に対面する面に、それぞれ各帯片(1,4,3)を紙おむつ外面に接着させる粘着剤付着面を位置させている、
ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。
【請求項2】
請求項1において、
第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、前記長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定し、さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けている、
ことを特徴とする紙おむつの後処理テープ。
【請求項3】
紙おむつ(50)の廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ(Y)を取付けた後処理テープ付き紙おむつであって、
前記後処理テープ(Y)は、基部側となる第1帯片(1)と中間部側となる第2帯片(2)と先部側となる第3帯片(3)とを有し、さらに前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤(11,12,13,14)を付着させたもので、前記粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものであり、しかも前記第1帯片(1)の一端部の粘着剤付着面と前記第2帯片(2)の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、前記第2帯片(2)の他端部の粘着剤付着面と前記第3帯片(3)の一端部の粘着剤付着面に接着させて、前記第1帯片(1)と第2帯片(2)と第3帯片(3)とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結し、前記第2帯片(2)が前記第1帯片(1)から起立する起立点部(P)に該第1帯片(1)の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(4)を前記第2帯片(2)から一体に延出させ、さらに前記第3帯片(3)は、前記第1帯片(1)と前記第2帯片(2)と前記第3帯片(3)とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が前記補強帯片(4)に対面する位置となるまで延出されているとともに、前記第3帯片(3)の他端部の前記補強帯片(4)に対面する位置でしかも前記起立点部(P)より前記第3帯片(3)の一端部とは反対側の位置においてツマミ片(5)を設けているものを使用し、
前記後処理テープ(Y)の第1帯片(1)及び補強帯片(4)を、紙おむつ外面(51)のウエスト側縁部(52)寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面(51)にそれぞれ粘着剤(11,14)で接着させている、
ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。
【請求項4】
請求項3において、
第2帯片(2)の起立点部(P)から第1帯片(1)側の端部(1a)までの長さ(L_(1))と、前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定する一方、
前記起立点部(P)から補強帯片(4)側の端部(4a)までの長さ(L_(2))を15mm?25mmの範囲に設定しているとともに、
後処理テープ(Y)は、第3帯片(3)と第2帯片(2)とを直線状に伸展させたときの起立点部(P)から第3帯片(3)の先端(3a)までの伸展長さ(L_(5))を、紙おむつに取付た後処理テープ(Y)の起立点部(P)の取付け位置からウエスト側縁部(52)までの長さ(M_(3))より5mm?120mmだけ長くなるように設定している、
ことを特徴とする後処理テープ付き紙おむつ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、紙おむつの廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための紙おむつの後処理テープ及び該後処理テープを紙おむつ外面に取付けた後処理テープ付き紙おむつに関するものである。尚、本願で用いられる紙おむつとしては、パンツ型のものやフラット型(装着時に左右両側部を止着テープで止める形式)のものがある。
【従来の技術】
【0003】
従来から、紙おむつの中には、図1に示すように紙おむつ外面51に、紙おむつ廃棄時に使用する後処理テープYを取付けたものがある。ところで、従来の一般的な後処理テープYは、基部側の第1帯片と中間部側の第2帯片と先部側の第3帯片とを順次1列に連結するとともに、第1?第3の各帯片をZ状に折畳んだ状態で、紙おむつ外面51のウエスト側縁部52寄り位置に上下に向く姿勢で接着させている。
【0004】
即ち、第1?第3の各帯片にはそれぞれ片面に粘着剤を付着させており、各帯片の端部同士を順次接着させて一連の後処理テープYを構成し、各帯片をZ状に折畳んだ状態で第1帯片の粘着剤付着面を紙おむつ外面に接着させている。
【0005】
図1に示す後処理テープ付き紙おむつの後処理テープYは、次のように使用される。即ち、紙おむつ廃棄時には、図2に示すように、排泄物で汚れている股部側を内側に巻き込むようにして紙おむつを丸め、後処理テープYの先端ツマミ片を外方に引っ張って、第2帯片と第3帯片とを直線状に伸展させ、該伸展部分の帯片を緊張させながら、第3帯片の粘着剤付着面を丸めた紙おむつのウエスト側縁部52を超えて紙おむつ外面51に接着させる。このようにすると、後処理テープYにより、紙おむつを丸めた状態で保持でき、廃棄時に汚れ部分が手に触れないので衛生的に処理できる。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の後処理テープYでは、使用時に第2帯片と第3帯片とを直線状に伸展させるが、該伸展部分の帯片に大きな張力が加わると、その張力が第2帯片の起立点部付近(第1帯片と第2帯片との接着部付近)に集中し、第1帯片が紙おむつ外面51に対して第2帯片の接着部付近から剥がれ易くなる。特に、ツマミ片を摘まんで第1帯片側に引くと、第1帯片の紙おむつ外面51に対する接着部は、第2帯片の起立点部から比較的容易に剥離することがある。尚、乳幼児等の介護者は、後処理テープYのツマミ片を故意に接着部剥離方向に強く引っ張ることはないが、乳幼児では遊び感覚でツマミ片を上記接着部剥離方向に引っ張ることあり、その場合は第1帯片が紙おむつ外面51から比較的容易に剥がされることがある。
【0007】
本願発明は、上記のように、後処理テープ(第1帯片)が紙おむつ外面から剥がれ易いという従来の問題点に鑑み、不用意に扱っても該後処理テープが剥がれないようにできる紙おむつの後処理テープ及び後処理テープ付き紙おむつを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0009】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、紙おむつの廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープを対象にしている。
【0010】
そして、この請求項1の後処理テープは、基部側となる第1帯片と中間部側となる第2帯片と先部側となる第3帯片とを有している。
【0011】
第1帯片と第2帯片と第3帯片は、それぞれ個別に裁断され且つそれぞれ片面全面に粘着剤を付着させたもので、粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着される一方で該粘着剤付着面と粘着剤非付着面を接合させると両帯片がある程度の保持力をもって接着されるものの比較的容易に剥離できる程度の接着力を有したものである。
【0012】
尚、この第1?第3の各帯片は、例えばビニール製の粘着テープを所定長さづつ裁断したものを使用できる。この種の粘着テープには、テープの片面全面に粘着剤が付着しており、第1?第3の各帯片は、それらの粘着剤付着面同士を接着させることで強固に接着させることができる一方、粘着剤付着面を粘着剤非付着面に接着させたときには、ある程度の接着力を有するものの比較的容易に剥離できる程度の接着力しかない。
【0013】
又、この後処理テープは、第1帯片の一端部の粘着剤付着面と第2帯片の一端寄り中間部の粘着剤付着面とを接着させ、第2帯片の他端部の粘着剤付着面と第3帯片の一端部の粘着剤付着面とを接着させて、第1帯片と第2帯片と第3帯片とを順次屈伸可能なる状態でZ状に連結している。尚、第3帯片の先端部(自由側端部)には、指で摘まみ易くするためのツマミ片を取付けるとよい。
【0014】
さらに、この後処理テープでは、第2帯片が第1帯片から起立する起立点部に、第1帯片の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片を第2帯片から一体に延出させている。
【0015】
尚、第1帯片と補強帯片(第2帯片からの延出部)の各粘着剤付着面は、剥離可能な剥離シートで被覆しておくことができる。
【0016】
この請求項1の紙おむつの後処理テープは、それ単独で提供したり、あるいは紙おむつに添えて(非取付状態で)提供することができる。そして、この後処理テープは、使用済みの紙おむつを廃棄する際に、該紙おむつ外面に取付けて使用できる。即ち、この後処理テープは、汚れた紙おむつを廃棄するときに、第1帯片及び補強帯片(第2帯片からの延出部)の各粘着剤付着面を使用済み紙おむつの外面適所(ウエスト側縁部付近)に接着させる。その際、第2帯片及び第3帯片を伸展させたときに、該伸展帯片の所定長さ範囲が紙おむつのウエスト側縁部から超えてはみ出し得るような位置に取付ける。尚、伸展帯片のウエスト側縁部からのはみ出し長さは、5mm?120mmの範囲で実施可能であり、その中でも35mm?60mm程度が好ましい。この後処理テープの取付け状態では、第2帯片の基端部(起立点部)の前後各側に第1帯片と補強帯片(第2帯片からの延出部)とがそれぞれ紙おむつ外面に接着されている。
【0017】
そして、汚れた紙おむつを股部側から丸め込み、第3帯片の先端部(自由側端部)を摘まんで第3帯片及び第2帯片を順次剥離させて直線状に伸展させ、その状態で第3帯片の粘着剤付着面をウエスト側縁部を超えた位置の紙おむつ外面に接着させる。すると、使用済み紙おむつを丸めた状態で維持させることができ、廃棄がし易くなる。
【0018】
この第3帯片及び第2帯片の伸展作業時、及び該伸展帯片で紙おむつ外面の接着部分を引き寄せる(紙おむつを締め付ける)作業時等には、第2帯片の起立点部にかなりの引っ張り力が集中するが、該起立点部は、その両側において第1帯片と補強帯片とが紙おむつ外面に接着されているので、該両帯片の接着力によって起立点部に対する保持力が大きくなっている。又、該両帯片は、起立点部を両側から保持しているので、該起立点部に対する引っ張り方向が片寄っても(上下どちらから引っ張っても)、どちらかの帯片(引っ張り方向の反対側にある帯片)の保持力が強い状態で維持されるので、弱い側(剥離し易い側)の帯片が剥離するのを防止できる。
【0019】
又、第1帯片と第2帯片の連結部、及び第2帯片と第3帯片の連結部は、それぞれ粘着剤付着面同士を接着させているので、その各接着部は強固に接着されている。従って、この後処理テープを紙おむつ外面に接着させた状態で第3帯片及び第2帯片を直線状に強く伸展させても、第1?第3の各帯片の接着部が不用意に剥離することがない。
【0020】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の後処理テープにおいて、第2帯片の起立点部から第1帯片側の端部までの長さL_(1)と、起立点部から補強帯片側の端部までの長さL_(2)との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、補強帯片側の長さL_(2)を15mm?25mmの範囲に設定している。
【0021】
第2帯片の起立点部の両側に第1帯片と補強帯片(第2帯片からの延出部)とをそれぞれ延出した後処理テープにおいて、起立点部から補強帯片側の端部までの長さL_(2)は、15mm?25mm程度あれば十分に保持力(剥離抵抗力)があり、又、起立点部から第1帯片側の端部までの長さL_(1)を上記長さL_(2)(15mm?25mm)の2倍以上で3倍以下の範囲に設定すると、該第1帯片上に重合させる第2帯片の長さを長くできて、該第2帯片と第3帯片の合計長さ(伸展長さ)を十分に確保できるとともに、全体が必要以上に長くならない。例えば、補強帯片側の長さL_(2)が最小の15mmである場合、第1帯片側の最小長さL_(1)が30mmとなり、その場合、第2帯片の長さを30mm、第3帯片の長さを45mm(L_(2)の15mm+第2帯片長さの30mm)にそれぞれ設定できて、第2帯片と第3帯片の合計有効長さを75mmにできる。又、補強帯片側の長さL_(2)が最大の25mmであると、第1帯片側の長さL_(1)が最小で50mm、最大で75mmとなり、それに伴って第2帯片と第3帯片の合計長さが最小で125mm、最大で175mmとなる。尚、第2帯片と第3帯片の合計長さは、75mm?175mmの範囲で実施可能であるが、好ましく75mm?125mmである。
【0022】
ところで、この種の後処理テープを、紙おむつのウエスト側縁部寄り位置に取付ける際に、該ウエスト側縁部には幅30mm?50mm程度のシャーリング部(伸縮部)があって、そこには後処理テープを接着できない。従って、この後処理テープをウエスト側縁部付近に取付ける場合には、少なくとも該シャーリング部の幅だけ下方に控えた位置に取付ける必要がある。他方、第2帯片及び第3帯片を伸展させたときの伸展帯片のウエスト側縁部からのはみ出し長さは、上記したように5mm?120mmの範囲で実施可能である(その中でも、好ましくは35mm?60mm)。そして、このような条件から、第2帯片及び第3帯片を伸展させたときの伸展長さ(第2帯片の起立点部から第3帯片の先端部までの長さ)は、75mm?175mm(好ましくは75mm?125mm)の範囲にするとよいが、本願請求項2の上記条件(2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)及び長さL_(2)=15mm?25mm)で該各帯片の伸展長さを75mm?175mmに収めることができる。
【0023】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、紙おむつの廃棄時に紙おむつを丸めた状態で保持するための後処理テープを取付けた後処理テープ付き紙おむつを対象にしている。
【0024】
そして、この請求項3の発明の後処理テープ付き紙おむつは、上記請求項1の後処理テープを用い、該後処理テープの第1帯片及び補強帯片(第2帯片からの延出部)を、紙おむつ外面のウエスト側縁部寄り位置において上下に向く姿勢で、それぞれ粘着剤により紙おむつ外面に接着させている。
【0025】
このように、後処理テープを予め紙おむつ外面に接着させておけば、紙おむつ使用後に直ちに第3帯片及び第2帯片を伸展させて使用できる。
【0026】
又、この請求項3で使用されている後処理テープは、第2帯片の起立点部の両側を第1帯片と補強帯片(第2帯片からの延出部)で紙おむつ外面に接着させているので、請求項1での説明と同様に、後処理テープを紙おむつ外面に対して強固に保持させることができる。
【0027】
さらに、この請求項3に使用されている後処理テープでも、第1帯片と第2帯片の連結部、及び第2帯片と第3帯片の連結部は、それぞれ粘着剤付着面同士を接着させているので、その各接着部は強固に接着されており、各帯片の伸展時に第1?第3の各帯片の接着部が不用意に剥離することがない。
【0028】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項3の後処理テープ付き紙おむつにおいて、後処理テープとして上記請求項2のものを使用している。
【0029】
即ち、この請求項4では、後処理テープとして、第2帯片の起立点部から第1帯片側の端部までの長さL_(1)と、起立点部から補強帯片側の端部までの長さとの関係を、2・L_(2)≦L1≦3・L_(2)に設定する一方、起立点部から補強帯片側の端部までの長さ長さL_(2)を15mm?25mmの範囲にしたものを使用している。
【0030】
又、この後処理テープは、第3帯片と第2帯片とを直線状に伸展させたときの起立点部から第3帯片の先端部までの長さを、紙おむつに取付た後処理テープの前記起立点部の取付け位置からウエスト側縁部の端縁までの長さより5mm?120mm(好ましくは35mm?60mm)だけ長くなるように設定している。
【0031】
従って、この請求項4の後処理テープ付き紙おむつでは、請求項2の場合と同様に、補強帯片部分の接着範囲(長さL_(2)=15mm?25mm)が十分に確保でき、且つ第2帯片と第3帯片との合計伸展長さも十分に確保できる(例えば合計伸展長さが75mm?175mmとなる)とともに、伸展帯片(第2帯片と第3帯片)におけるウエスト側縁部からはみ出す長さを十分に確保できる。
【発明の効果】
【0032】
本願の各発明には、それぞれ次のような効果がある。
【0033】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の紙おむつの後処理テープは、第1帯片と第2帯片と第3帯片とを順次Z状に連結し、第2帯片が第1帯片から起立する起立点部に該第1帯片の延出方向とは反対側に延出する所定長さの補強帯片(第2帯片からの延出部)を連続させ、さらに第1帯片と補強帯片に紙おむつ外面に接着させ得る粘着剤を付着させている。
【0034】
そして、この後処理テープは、使用済み紙おむつの廃棄時に紙おむつ外面に取付けて使用するが、第2帯片の起立点部の上下両側を第1帯片と補強帯片でそれぞれ紙おむつ外面に接着させることができる。従って、この後処理テープを使用すると、該両帯片の接着力によって起立点部に対する保持力を大きくでき、伸展帯片(第2帯片と第3帯片)を強く引っ張っても、紙おむつ外面への接着部分が剥がれにくくなるという効果がある。又、第1帯片と補強帯片を紙おむつ外面に接着させた状態では、各帯片で起立点部を上下両側から保持でき、伸展帯片を上下どちらから引っ張っても、引っ張り方向の反対側にある帯片の保持力が強い状態に維持されるので、弱い側の帯片が剥離作用を受けないという効果もある。
【0035】
又、第1?第3の各帯片は、それぞれ片面全面に粘着剤を付着させたもので、その各帯片の粘着剤付着面同士を接合させると両帯片が強固に接着されるような接着力を有している。そして、第1帯片と第2帯片、及び第2帯片と第3帯片を、それぞれ粘着剤付着面同士で接着させているので、その各接着部は強固に接着されている。従って、この後処理テープでは、紙おむつ外面に接着させた状態で第3帯片及び第2帯片を直線状に強く伸展させても、第1?第3の各帯片の接着部が不用意に剥離することがなく、各帯片を接着により連続させてなる後処理テープであっても強靭性を確保できるという効果がある。
【0036】
又、この後処理テープでは、不使用時には第1?第3の各帯片がZ状に折畳まれて、各帯片の接合面は一方の粘着剤付着面と他方の粘着剤非付着面とが接合しているが、この接合部分は容易に剥離できる程度の接着力であるので、上記のように粘着剤付着面同士の接合により強固に接着し得るようにしたものであっても、各帯片を伸展させる作業がしにくくならない。
【0037】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明では、上記請求項1の後処理テープにおいて、第2帯片の起立点部から第1帯片側の端部までの長さL_(1)と、起立点部から補強帯片側の端部までの長さL_(2)との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、補強帯片側の長さL_(2)を15mm?25mmの範囲に設定している。
【0038】
この請求項2の後処理テープでは、上記請求項1の効果に加えて、補強帯片部分の保持力を十分に確保できるとともに、使用時の伸展帯片(第2帯片と第3帯片)の長さを十分に確保できるという効果がある。
【0039】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明の後処理テープ付き紙おむつは、上記請求項1の後処理テープを使用し、該後処理テープの第1帯片及び補強帯片を、紙おむつ外面のウエスト側縁部寄り位置において上下に向く姿勢で紙おむつ外面にそれぞれ粘着剤で接着させている。
【0040】
この請求項3の後処理テープ付き紙おむつに使用されている後処理テープは、第2帯片の起立点部を挟んでその両側を第1帯片と補強帯片(第2帯片からの延出部)で紙おむつ外面に接着させているので、請求項1での説明と同様に、後処理テープを紙おむつ外面に対して強固に保持させることができ、伸展帯片を強く引っ張っても紙おむつ外面への接着部分が剥がれにくくなるという効果がある。
【0041】
本願請求項4の発明の効果
本願請求項4の発明は、上記請求項3の後処理テープ付き紙おむつにおいて、後処理テープとして上記請求項2のものを使用し、さらに該後処理テープは、第3帯片と第2帯片とを直線状に伸展させたときの起立点部から第3帯片の先端部までの長さを、紙おむつに取付た後処理テープの前記起立点部の取付け位置からウエスト側縁部の端縁までの長さより5mm?120mm(好ましくは35mm?60mm)だけ長くなるように設定している。
【0042】
従って、この請求項4の後処理テープ付き紙おむつでは、上記請求項3の効果に加えて、請求項2の場合と同様に補強帯片部分の接着範囲(長さL_(2)=15mm?25mm)を十分に確保でき、且つ第2帯片と第3帯片との合計伸展長さも十分に確保できる(例えば合計伸展長さが75mm?175mmとなる)とともに、伸展帯片(第2帯片と第3帯片)におけるウエスト側縁部からはみ出す長さを十分に確保できるという効果がある。
【発明の実施の形態】
【0043】
図1?図7を参照して本願実施形態を説明すると、図3及び図4には本願第1実施形態の後処理テープを示し、図5?図7には図3及び図4の後処理テープを用いた紙おむつの実施形態(第2実施形態)を示している。尚、本願の各実施形態の後処理テープYは、図1に示すように、紙おむつ50の外面51におけるウエスト側縁部52に近い位置に上下方向に向けて取付けられ、図2に示すように使用済み紙おむつ50を丸めた状態で保持するのに使用される。
【0044】
以下の説明で採用している各寸法は、それぞれ一例であって、本願はこれらの寸法に拘束されるものでなく、本願の要旨を変更しない範囲で適宜に設計変更できる。又、図4?図7の各実施形態において、各材料片(1?6)は、実際にはフイルム状の極薄テープであるが、理解し易くするためにかなりの厚さに表示している。
【0045】
第1実施形態
図3及び図4に示す第1実施形態の後処理テープYは、基部側となる第1帯片1と、中間部側となる第2帯片2と、先部側となる第3帯片3と、ツマミ片5と、剥離シート6とを基本部材として構成されている。尚、他の実施形態では、剥離シート6を省略する場合がある。又、この第1実施形態では、第2帯片2に後述する補強帯片4を一体に形成している。
【0046】
第1?第3の各帯片1,2,3は、例えばビニール製の粘着テープをそれぞれ所定長さづつ裁断したものを使用している。各帯片1,2,3の幅は15mm程度である。この第1?第3の各帯片1,2,3には、それぞれ片面全面に粘着剤11,12,13が付着している。そして、この各帯片1,2,3は、粘着剤付着面同士を接着させると両者が強固に接着されるが、粘着剤付着面を粘着剤非付着面に接着させたときには、ある程度の保持力を有するものの比較的容易に剥離できる程度の接着力しかないものである。
【0047】
第1帯片1の材料長さは約54mmであり、該第1帯片1の左側端部には、粘着剤11の付着面が外側になる状態で所定小長さ(例えば8mm程度)だけ上側に折り返した折返し部1bが形成されている。尚、この折返し部1bの上面にも粘着剤11が付着している。
【0048】
第2帯片2の材料長さは約66mmであり、該第2帯片2の右側端部には、粘着剤12の付着面が外側になる状態で所定小長さ(例えば10mm程度)だけ上側に折り返した折返し部2bが形成されている。この折返し部2bの上面にも粘着剤12が付着している。尚、図3及び図4には、第2帯片2の中間部(第1帯片1との連結部)に作図上、段差部を表示しているが、実際には第1帯片1は極薄なので、第2帯片2は全体としてフラットな形状となる。
【0049】
第3帯片3の材料長さ約54mmである。又、ツマミ片5の材料長さは約9mmである。尚、このツマミ片5は、他の帯片1,2,3と識別できるように異色のものを採用するとよい。
【0050】
第1帯片1の左端部(折返し部1b)は、第2帯片2の左寄り中間部の下面に連結されている。即ち、第1帯片1と第2帯片2は、第1帯片1の左端部の折返し部1bの範囲を第2帯片2の左寄り中間部下面に粘着剤11,12同士で接着させることで強固に連結している。そして、第2帯片2は、第1帯片1に対して連結部で屈伸可能となっている。尚、第2帯片2の第1帯片1に対する屈伸点が第2帯片2の起立点部Pとなる。
【0051】
この起立点部Pの左側(第1帯片1とは反対側)には、補強帯片4が連続している。この補強帯片4は、第2帯片2を延長させて形成している。
【0052】
図4において、起立点部Pから第1帯片1の端部1aまでの長さL_(1)は46mmであり、起立点部Pから補強帯片4の端部4aまでの長さL_(2)は16mmである。尚、この各長さ(L_(1)=46mm,L_(2)=16mm)は、本願請求項2及び4に記載した式「2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)」に当てはまるものである。
【0053】
第2帯片2の右端部(折返し部2b)には、その上面側に第3帯片3の右端部が連結されている。この連結部も、各帯片2,3の粘着剤12,13同士が接着されているので、強固に連結している。そして、第3帯片3は、第2帯片2に対して連結部で屈伸可能となっている。
【0054】
第3帯片3の左端部には、その下面側にツマミ片5が接着されている。このツマミ片5も第3帯片3に対して強固に接着されている。この場合において、第3帯片3は、第1帯片1と第2帯片2と第3帯片3とが前記Z状に連結されたときにおいて、その他端部が補強帯片4に対面する位置となるまで延出されているとともに、第3帯片3の他端部の補強帯片4に対面する位置でしかも起立点部Pより第3帯片3の一端部とは反対側の位置においてツマミ片5を設けている。
【0055】
第1帯片1の下面及び補強帯片4の下面には、それぞれ粘着剤11,14が付着している。そして、この実施形態では、第1帯片1の下面及び補強帯片4の下面(各粘着剤付着面)は、一連の剥離シート6で被覆している。
【0056】
尚、図4において、第1帯片1と第2帯片2との間、及び第2帯片2と第3帯片3との間は、作図上わかり易くするためにそれぞれ間隔をあけた状態で表示しているが、実際には各帯片1,2,3の折畳み状態では、第2帯片2は第1帯片1に第2帯片2側の粘着剤12で接着されており、第3帯片3は第2帯片2に第3帯片3側の粘着剤13で接着されているので、第2帯片2又は第3帯片3がビラビラすることはない。
【0057】
図3及び図4に示す第1実施形態の後処理テープYは、使用時に剥離シート6を剥がし(符号6′)、ツマミ片5を摘まんで第3帯片3及び第2帯片2をそれぞれ鎖線図示(符号3′,2′)するように伸展させることができる。そして、この第1実施形態の後処理テープYでは、第3帯片3と第2帯片2とを直線状に伸展させたときには、その伸展帯片の長さ(起立点部Pから第3帯片3の先端3aまでの長さ)が94mm程度となる。
【0058】
第2実施形態
図5?図7に示す第2実施形態は、第1実施形態(図3及び図4)の後処理テープYを図1の紙おむつ50に用いた後処理テープ付き紙おむつである。尚、図5は、図1のV-V断面相当図である。
【0059】
そして、図5に示す第2実施形態の後処理テープ付き紙おむつでは、後処理テープY(剥離シート6を剥がしたもの)を上下方向に向けて紙おむつ外面51におけるウエスト側縁部52寄り位置に取付けている。この後処理テープYの取付状態では、補強帯片4及び第1帯片1の各粘着剤付着面(符号11,14)がそれぞれ紙おむつ外面51に接着しており、しかも該補強帯片4と第1帯片1とが第2帯片2の起立点部Pを挟んで上下に位置している。
【0060】
ところで、図1及び図5?図7に示すパンツ型の紙おむつ50では、ウエスト側縁部52に幅M_(1)(M_(1)^(=)30mm程度)のシャーリング部(伸縮部)53があって、そこには後処理テープYの補強帯片4及び第1帯片1を接着できない。従って、この後処理テープをウエスト側縁部52寄り位置に取付ける場合には、少なくとも該シャーリング部53の幅M_(1)だけ下方に控えた位置に取付ける必要がある。そして、図5?図7の第2実施形態では、後処理テープYの上端(補強帯片4の端部4a)をウエスト側縁部52から長さM_(2)(M2=40mm程度)だけ下方に控えて取付けている。又、この状態では、ウエスト側縁部52から第2帯片2の起立点部Pまでの長さM_(3)が56mm程度になる。
【0061】
他方、後処理テープYの第2帯片2と第3帯片3は、図7に示すように直線状に伸展させた状態で、その伸展帯片の長さL_(5)(図7のL_(3)+L_(4))が94mm程度になる。従って、この第2実施形態の後処理テープ付き紙おむつでは、第2帯片2及び第3帯片3を直線状に伸展させたときの伸展帯片の長さL_(5)(94mm)が、ウエスト側縁部52から第2帯片2の起立点部Pまでの長さM_(3)(56mm)より38mm程度長くなる。この長さL_(5)(94mm)と長さM_(3)(56mm)の差(38mm)は、図2に示すように丸めた紙おむつを保持するのときのウエスト側縁部52からのはみ出し長さとなる(接着代となる)。尚、この伸展帯片のウエスト側縁部52からのはみ出し長さ(38mm)は、請求項4に記載の好ましい範囲「35mm?60mm」に当てはまるものである。
【0062】
この第2実施形態の後処理テープ付き紙おむつでは、第2帯片2の起立点部Pの上下各側に補強帯片4と第1帯片1とがそれぞれ粘着剤14,11により紙おむつ外面51に接着されている。
【0063】
そして、使用済み紙おむつ(図1)を廃棄するときには、図2に示すように該紙おむつ50を股部側から丸め込み、ツマミ片5を摘まんで第3帯片3及び第2帯片2を順次剥離させて直線状に伸展させ、その状態で第3帯片3の粘着剤付着面をウエスト側縁部52を超えた位置の紙おむつ外面51に接着させる。
【0064】
ところで、第3帯片3及び第2帯片2の伸展作業時、及び該伸展帯片で紙おむつ外面の接着部分を引き寄せる(紙おむつを締め付ける)作業時等には、第2帯片2の起立点部Pにかなりの引っ張り力が集中するが、該起立点部Pは、その上下において補強帯片4と第1帯片1とが紙おむつ外面51に接着されているので、該両帯片1,4の接着力によって起立点部Pに対する保持力が大きくなっている。又、該両帯片1,4は、起立点部Pを両側から保持しているので、該起立点部Pに対する引っ張り方向が片寄っても(上下どちらから引っ張っても)、どちらかの帯片(引っ張り方向の反対側にある帯片)の保持力が強い状態で維持されるので、弱い側の帯片が剥離作用を受けないという機能を有する。
【0065】
又、この後処理テープYでは、第2帯片2の起立点部Pから第1帯片1側の端部1aまでの長さL_(1)と、起立点部Pから補強帯片4側の端部4aまでの長さL_(2)との関係を、2・L_(2)≦L_(1)≦3・L_(2)に設定するとともに、補強帯片4側の長さL_(2)を15mm?25mmの範囲に設定しているが、このようにすると、補強帯片4部分の保持力を十分に確保できると同時に、使用時の伸展帯片の長さL_(5)(第2帯片2と第3帯片3の合計有効長さ)を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】
本願が対象にしている後処理テープ付き紙おむつの正面図である。
【図2】
図1の紙おむつの廃棄時の説明図である。
【図3】
本願第1実施形態の後処理テープの斜視図である。
【図4】
図3のIV-IV断面図である。
【図5】
本願第2実施形態の後処理テープ付き紙おむつの一部拡大断面図(図1のV-V相当の拡大断面図)である。
【図6】
図5の分解説明図である。
【図7】
図5からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0067】
1は第1帯片、1aは端部、2は第2帯片、3は第3帯片、4は補強帯片、4aは端部、5はツマミ片、6は剥離シート、11?14は粘着剤、50は紙おむつ、51は紙おむつ外面、52はウエスト側縁部、Yは後処理テープ、Pは起立点部である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-02-14 
結審通知日 2012-02-17 
審決日 2012-03-12 
出願番号 特願2002-37908(P2002-37908)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A41B)
P 1 113・ 113- ZA (A41B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渋谷 善弘内山 隆史  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 一ノ瀬 薫
紀本 孝
登録日 2007-12-28 
登録番号 特許第4059688号(P4059688)
発明の名称 紙おむつの後処理テープ及び後処理テープ付き紙おむつ  
代理人 大浜 博  
代理人 関 大祐  
代理人 荒船 良男  
復代理人 中 大介  
代理人 荒船 博司  
代理人 廣瀬 隆行  
復代理人 赤澤 高  
代理人 荒船 良男  
復代理人 中 大介  
代理人 荒船 博司  
代理人 大浜 博  
復代理人 赤澤 高  

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