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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C30B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C30B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C30B
管理番号 1257861
審判番号 不服2009-10425  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-05-29 
確定日 2012-06-04 
事件の表示 特願2008-514631「低底面転位バルク成長SiCウェハ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月21日国際公開、WO2006/135476、平成20年11月27日国内公表、特表2008-542181〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年4月5日 (パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年6月8日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成19年12月4日付けで国内書面が提出され、同日付で特許協力条約第34条補正の翻訳文が提出され、平成20年7月16日付けで手続補正書が提出され、同年8月28日付けで拒絶理由通知書が起案され (発送日は同年9月2日)、平成21年1月30日に明細書の記載に係る手続補正書及び意見書が提出され、同年2月26日付けで拒絶査定が起案され (発送日は同年3月3日)、同年5月29日に拒絶査定不服審判が請求され、同年6月29日に審判請求書の請求の理由にかかる手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲1乃至14に係る発明は、平成21年1月30日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の1乃至14に記載された事項により特定されるものであるところ、その1に係る発明 (以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。
「少なくとも75mmの直径と、少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域とを有するSiCの高品質単結晶ウェハであって、該少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する、SiCの高品質単結晶ウェハ。」

第3 実施可能要件違反について
1 概要
原査定の拒絶の理由5の1は、
「発明の詳細な説明には、上記請求項1に記載された「SiCの高品質単結晶ウェハ」なる物、特に、「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する」という特定数値範囲の欠陥密度を有する物を製造するための具体的条件について、何ら実質的開示が認められないことは先の拒絶理由通知書で説示のとおりである。
出願人は、意見書にて、請求項1に係る発明は、シリコンカーバイド(SiC)の高品質結晶に関し、この品質を結晶のサイズおよび底面転位密度の数という言葉で表した物の発明であり、出願当初の明細書は、当該品質を有する物が実験により実際に得られたことの証拠を含んでいることから、これらの品質を有する物について特許を請求する資格を出願人は有しており、「特許可能な製法を示す必要性はない」旨を主張する。
しかし、出願された発明が物の発明であって、その物の構成や効果が開示されているとしても、その物を当業者が容易に製造することができない場合には、その物を製造する方法まで開示していなければ、特許法第36条第4項第1号に規定する「発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない」という要件を満たすものであるとはいえない。そして、請求項1に係る発明の物が、新規性および進歩性を有するものであるならば、その物を製造する方法および条件は、従来から公知の物を製造する方法や条件と比較して有意な差異を有しているはずであり、その差異が不明であれば、従来技術に精通している当業者であっても、請求項1に係る発明の物を容易に製造することができないことは明らかである。そして、本願明細書に開示された範囲の製造方法、製造条件は、SiC単結晶製造の技術分野において周知のものにすぎず、出願人が、「実験によりに得られた」と意見書で主張する点についても、何らSiC単結晶ウェハ製造に係る具体的実験条件の開示は認められない。
これらの事由に鑑みれば、出願人の主張は、請求項1に係る発明の物を当業者が容易に製造することができないにもかかわらず、その物を製造するための方法を発明の詳細な説明に開示する必要はないというものであり、それが特許法第36条第4項第1号に規定する要件に反するものであることは明らかであるから、そのような主張を採用することはできない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」
というものである。
2 検討
本願明細書には、SiCの高品質単結晶ウェハの製造条件として、
「【0016】
(概要)
一つの局面において、本発明は、SiCの高品質単結晶ウェハであり、該高品質単結晶ウェハは、少なくとも約3インチ(75mm)の直径と、約200cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有する。
【0017】
別の局面において、本発明は、SiC半導体前駆体ウェハであり、該SiC半導体前駆体ウェハは、少なくとも約3インチ(75mm)の直径と、約100cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有する。
【0018】
別の局面において、本発明は、シード昇華成長システムにおいて、SiCの高品質単結晶ウェハを使用する方法であり、該高品質単結晶ウェハは、少なくとも約3インチ(75mm)の直径と、約100cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有する。
【0019】
またさらに別の局面において、本発明は、SiCの単結晶シード上に構築された複数のパワーデバイスであり、該SiCの単結晶シードは、少なくとも約3インチ(75mm)の直径と、約100cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は、高品質シリコンカーバイドウェハに関する。特に、本発明は、シード昇華を用いるこのようなウェハの成長を改善するための幾つかの技術を組み込んでいる。
【0021】
以下の説明において、底面転位密度は、4°オフ軸ウェハに対する面積密度として特定される。しかしながら、この材料において、この面積測定と全底面ライン長さとの間に、直接的な関係が存在するという明らかな仮定がある。
【0022】
一局面において、本発明は、SiCの高品質単結晶ウェハであり、該ウェハは、少なくとも約3インチ(75mm)の直径と、約500cm^(-2)未満、より好ましくは、約75cm^(-2)未満、最も好ましくは、約50cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有する。単結晶SiCのポリタイプは、好ましくは、3C、4H、6H、2H、または15Rである。
【0023】
シード結晶の直径および厚さに比例する寸法を考慮するにあたり、百分率、割合、あるいは比率のいずれで表されるにせよ、本発明によって提供される改善と関連するものと理解され、これらの比率は、本明細書に記載されるより大きな直径のシード結晶と関連して、これらの発明的な意味を有する。
【0024】
したがって、一部の実施形態において、本発明は、結晶の絶対寸法を含む方法で、適切な実施形態にて、本明細書に記載され、請求されている。絶対寸法においては、通常、直径で、2インチ(50mm)、3インチ(75mm)、および100mmの直径の単結晶が好ましい。当然、より厳密には、1インチは、25.4mmに等しく、これは、3インチは、76.2mmに等しいことを意味する。しかしながら、ウェハの分野において、ときどき一般的であるように、「3インチ」のような単語と「75mm」のような単語とは、相互に置き換えられて使用される。当業者は、「50mm」を「2インチ」に、「100mm」を「4インチ」に置換することとともに、この一般的な慣習を認識する。これらの置換は、英式単位をメートル単位への変換に限定することを意図されるものではなく、その代わりに、当該分野で一般的な使用を代表することを意図される。
【0025】
図1は、本発明に従って形成されたSiCウェハのX線透過トポグラフである。トポグラフは、3インチ(75mm)径ブール(boule)から採られたウェハの0.5cm×0.5cm領域のものである。このウェハは、トポグラフでのより良いコントラストを得るために、約80μmに薄くされている。
【0026】
図1に示される4°オフカットサンプルは、0.5cm×0.5cmのエリアに、11個の底面転位(直線または曲線として観察可能)を含む。これらの転位の全てが、このサンプル表面と交差すると仮定すると、44cm^(-2)の底面転位密度を提供する。体積密度を計算すると、これら11個の底面転位は、平均0.05cmの長さを有し、全サンプルライン長さ0.55を与える。観察されたエリアは、0.5cm×0,5cmであり、サンプル厚さは、0.008cmであるので、0.002cm^(3)のサンプル体積を与える。したがって、このサンプルに対する1cm^(3)当たりの全ライン長さは、275cm/cm^(3)であり、すなわち、275cm^(-2)である。
【0027】
またさらなる局面において、本発明は、シリコンカーバイドの高品質半導体前駆体であり、該前駆体は、4Hのポリタイプと、少なくとも約3インチ(75mm)の直径とを有し、そして、(4°オフ軸ウェハに対して)ウェハの表面と交差する約2,000?20,000の間の転位を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域を有する。」、
「【0031】
別の局面において、本発明は、シード昇華システムにおいて、シリコンカーバイドの高品質バルク単結晶を製造する方法である。この局面において、本発明は、少なくとも約3インチ(75mm)の直径を有し、かつ約500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面領域とを有するSiCブールを成長するステップと、その後、SiCブールを、好ましくは、機械的にスライスして、ウェハにするステップとを含む。ここで、各ウェハは、少なくとも1平方インチ(6.25cm^(2))の連続した表面上に、約500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する。これらのウェハは、好ましくは、約0.5mmの厚さである。
【0032】
SiCウェハを薄くして、X線トポグラフで欠陥を強調することが好ましいことであり得る。カウントするために好ましい厚さは、約80μmである。ウェハの薄くすることは、表面上の欠陥を強調するために実行され、前駆体へのステップとして、シード昇華に不必要である。したがって、昇華成長は、典型的には、薄くされなかった研磨されたシード上で実行される。
【0033】
当分野で周知のように、SiCブールは、好ましくは、シード昇華システムで、成長される。ブールがスライスされて、ウェハになった後、これらのウェハは、次いで、順に、シリコンカーバイドの単結晶のシード昇華成長におけるシードとして使用され得る。」
及び「【0043】
典型的な昇華成長技術において、サセプタ14が応答する周波数を有する電流は、グラファイトサセプタ14を加熱するために、誘導コイル16に通される。絶縁体18の量および配置は、サセプタ14が、典型的には約2000℃を超える昇華温度に、好ましくは、約2100℃と約2500℃との間に、原料粉末20を加熱するとき、粉末原料20と成長する結晶26との間の温度勾配を生成するように選択される。温度勾配は、シード22の温度を、その後、成長する結晶を、シリコンカーバイド原料の温度に近い温度で、しかし、それより低い温度で維持するように確立され、これにより、シリコンカーバイドが昇華するときに生成される蒸気種(Si、Si_(2)C、およびSiC_(2))が、最初は、シード結晶に凝縮し、その後、成長する結晶に凝集することを熱力学的に促進する(例えば、米国特許第4,866,005号参照)。
【0044】
温度勾配および他の条件(圧力、キャリアガスなど)が、適切に維持される場合、全体的な熱力学は、蒸気種が、最初は、シード22に凝縮し、次いで、シード22と同じポリタイプで成長する結晶26に凝集するのを促進する。
【0045】
所望の結晶サイズに到達した後、成長は、このシステムの温度を1900℃未満に下げ、圧力を約400torrより上げることによって終了する。
【0046】
昇華成長プロセスの完了後、結晶をアニールすることは、さらに望ましいことであり得る。この結晶は、成長温度で、あるいは成長温度より高い温度で、約30分を超える期間にわたって、アニールされ得る。」
が記載されるだけで、「500cm^(-2)未満の底面転位密度」を達成するための具体的な実施条件については何らの開示がなされておらず、当業者といえどもその実施には、多大な試行錯誤を要するというべきである。
3 小括
本願の明細書において発明を実施するためのSiC単結晶ウェハ製造に係る具体的実験条件の開示が不足していることは明らかであり、本願が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしているということはできない。

第4 サポート要件違反について
1 概要
原査定の拒絶の理由2は、
「発明の詳細な説明には、0.5cm×0.5cmなる特定の限定された領域におけるX線透過トポグラフの観測結果が示されているものの、その結果が、SiCウェハ全体、あるいは、少なくとも請求項1に記載された「1平方センチメートル」の範囲にわたって等しく現れることが具体的根拠、裏付けを以て記載されているとは認められず、そうなることが当業者にとって自明な事項でもない。
出願人は、「特定のテスト(測定)が0.5cm×0.5cmの領域に対して行われたものであるとしても、同一の特性が1平方センチメートルの領域にわたって現れるはず」である旨を主張するが、当該主張に客観的な根拠は認められず、採用できない。
よって、請求項1に係る発明は、請求項に記載した特定事項の客観的裏付けが発明の詳細な説明に認められない以上、発明の詳細な説明に記載したものでない。」
というものである。
2 検討
本願明細書には、SiCの高品質単結晶ウェハの製造条件として、
「【0025】
図1は、本発明に従って形成されたSiCウェハのX線透過トポグラフである。トポグラフは、3インチ(75mm)径ブール(boule)から採られたウェハの0.5cm×0.5cm領域のものである。このウェハは、トポグラフでのより良いコントラストを得るために、約80μmに薄くされている。
【0026】
図1に示される4°オフカットサンプルは、0.5cm×0.5cmのエリアに、11個の底面転位(直線または曲線として観察可能)を含む。これらの転位の全てが、このサンプル表面と交差すると仮定すると、44cm^(2)の底面転位密度を提供する。体積密度を計算すると、これら11個の底面転位は、平均0.05cmの長さを有し、全サンプルライン長さ0.55を与える。観察されたエリアは、0.5cm×0.5cmであり、サンプル厚さは、0.008cmであるので、0.002cm^(3)のサンプル体積を与える。したがって、このサンプルに対する1cm^(3)当たりの全ライン長さは、275cm/cm^(3)であり、すなわち、275cm^(-2)である。」
が記載されているだけで、この「0.5cm×0.5cmのエリア」で得られた「同一の特性が1平方センチメートルの領域にわたって現れるはず」として一般化することが記載乃至示唆されているものとすることはできない。
3 小括
本願の請求項1、2、3及び6に記載した特定事項である「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する」、「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、100cm^(-2)未満の底面転位密度を有する」、「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、50cm^(-2)未満の底面転位密度を有する」及び「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、その表面上で50?500cm^(-2)の底面転位密度を有する」の客観的裏付けが発明の詳細な説明に記載されていないことは明らかであり、本願が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているということはできない。

第5 進歩性要件違反について
本願の特許請求の範囲の上記第2及び第3の記載要件違反を別にしても、本願は、以下の理由により進歩性要件を欠くものである。

1 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用例2として引用された本願出願前である2004年に頒布された「T. Kato et al., Mater. Sci. Forum, 2004年, Vol. 457-460, pp. 99-102.」 (以下、「引用例」という。)には次の事項が記載されている。
(ア)「Experimental

The growth of SiC crystals using sublimation method was performed in an rf-induction furnace of a graphite crucible, as shown in Fig. 1. The crystals were grown at over 2000℃, in high-purity Ar and N_(2) mixed gas atmosphere at 100~1000 Pa. The single crystals are grown on (0001) or (1120) 4H-SiC seed crystals of 2~4 inch in diameter fixed on the lid inside the crucible and are enlarged along shape of an inner guide tube [2]. Role of the inner guide tube is to control the crystal shape and enlargement rate and perfectly separate the crystal from polycrystals adhered to the crucible wall.
The grown crystals were sliced as specimens for observation along the horizontal and/or vertical planes for the growth direction, and the surfaces were polished to a mirror-like smoothness. Defects and dislocations in the specimens were analyzed by an optical microscope and an x-ray topography. X-ray source of the topography was MoKαand CuKα with 18 kw output and synchrotron radiation at the Proton Factory in KEK (High Energy Acceleration research Organization). X-ray rocking curve was measured by 4-monochromator x-ray diffractometer with CuKα. Etch pit density of the crystals was measured after KOH etching at 500℃.」 (第99頁下から11行?第100頁第7行)
(翻訳文:実験

SiC結晶の成長は、図1に示されるように、黒鉛るつぼの高周波誘導炉で昇華法を用いて行われた。結晶は、100?1000パスカルの高純度アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で2000℃以上で成長された。内部ガイドチューブの形状に沿って、るつぼの縁の側に固定された多結晶から2?4インチの直径の4H-SiCの単結晶が、(0001)又は(0120)状に成長された。内部ガイドチューブの役割は、るつぼ壁に接着された多結晶から結晶を完全に分離し、結晶成長と拡大速度を制御することである。成長した結晶は、成長方向に水平及び/又は垂直面に沿った観察のための標本として薄く切られ、鏡のような滑らかさで表面は磨かれた。標本中の欠陥と転位は、光学顕微鏡とx線トポグラフィーによって分析された。トポグラフィーのX線源は、18kw出力のMoKα及びCuKαと高エネルギー加速器研究機構の放射光科学研究施設でのシンクロトロン放射であった。X線ロッキングカーブは、CuKαでの4-単色x線回析計で測定された。結晶のエッチピット密度は500℃水酸化カリウムエッチングの後に測定された。

(イ)「Result and Discussion

Figure 2 shows typical large 4H-SiC crystals that were grown along c-axis on a (0001) seed crystal. As the crystals were perfectly separated from polycrystal deposition by the inner guide tube, the surface morphologies were very smooth. The grown crystals were enlarged along the inner guide tube with 30°in the crucibles. Using this growth method, we obtained the maximum size of crystal ingots was achived from 2 to 4inch in diameter and/or 82mm in length. Figure 3 shows photographs of (0001) and (1120) wafers cut from such large 4H-SiC single crystals grown and enlarged from a 2 inch seed crystal. The wafers have no other polytype inclusion and were doped nitrogen with 9.4x10^(-18)~1.3x10^(-19)cm^(-3). We observed 4H-SiC crystal wafers by x-ray topography and estimated the correlation between crystal enlargement and defect elongation. Figure 4 shows x-ray topographs taken from the (1120) wafer using a Lang camera. The topograph at the center part of the grown crystal above the seed crystal (region A) captures many fine lines elongated along the <0001> growth direction, which show strain fields from line defects such as screw dislocatoins (SD) and micropipes (MP). On the other hand, the fine lines are folded towards (0001) in-plane direction in the enlarged part of the crystal (region B). To be more precise, the SD and MP are converted into basal plane dislocation; for example, stacking faults (SF). This phenomenon signifies that the crystal enlargement is effective for reduction of SD and MP density. This effect is also confirmed from an x-ray topograph of (0001) wafers as shown in Fig.5. This specimen was cut from an enlarged part of a 3inch SiC crystal. In region C of about 1inch diameter, the topograph mainly shows only bright lines of basal plane dislocations without dot-like figures of MP, although the seed crystal has over 50cm^(-2) of MP density. For detailed investigation of dislocation distribution and structures, the region C was analyzed by x-ray synchrotron topography (Fig.6). The topograph shows straight or curved line images of basal plane dislocations and a few small dot-like figures of threading edge dislocations (TED). SD and MP do not exist in spite of c-axis growth. We attribute the reason for this phenomenon to the feature of a-axis growth in the enlarged part. As a result, SD and MP tend to be folded toward (0001) in-plane direction and do no elongate along c-axis. We succeeded in reducing MP density down to about 10cm^(-2) in 3inch wafers and about 60cm^(-2) in 4inch wafers using the enlargement growth. Etch pit density was measured by molten KOH etching method in region C, and its distribution showed the same results observed as the synchrotron x-ray topograph. Therefore we only observed several etch pits which come from TED without both MP and SD. The density of the pits is about 850cm^(-2) on the average in region C, which partly shows several pit-free areas of 5x5~6x6mm^(2). The superior quality in region C was also confirmed by x-ray rocking curve FWHM as small as 10.6 arcsec (Fig.7). That is, crystal quality in region C was as excellent as Lely crystal.
We also report MP free growth using a-axis growth on a (1120)seed crystal. The seed crystal was cut from a long length 4H-SiC bulk crystal grown to c-axis. Figure 8 shows an x-ray topograph captured from a specimen of the (0001)wafer that was cut from the a-axis grown crystal of 2.2inch in length. The topograph is captured basal plane dislocations as line-like figures. As the topograph shows no dot-like figure, MP does not exist through the whole wafer. Such MP-free wafers are realized using long length growth technique.」 (第100頁第8?第102頁第1行)、
(翻訳文:結果と討論

図2は、典型的な、種結晶の (0001)上のC-軸に沿って成長した4H-SiC結晶を示す。結晶は、内部のガイドチューブから完全に分離されていたので、表面組織は、非常に滑らかであった。成長結晶はるつぼ内で30°で内部ガイドに沿って拡大された。この成長法を用いて、我々は結晶インゴットの最大寸法が2?4インチの直径及び/又は82mm長さを達成した。図3は、2インチの種結晶から成長そして拡大された4H-SiC単結晶から切り出された (0001)と (1120)ウェハを示す。ウェハは、他の結晶多形含有物を含まず、9.4×10^(18)?1.3×10^(19)cm^(-3)窒素でドープされた。我々はx線トポグラフによって4H-SiC結晶ウェハを観測し、結晶拡大と欠陥の延長の相関を推定した。図4は、Langカメラを使って (1120)ウェハから撮影されたx-線トポグラフを示す。種結晶 (領域A)上に成長した結晶の中央部分でのトポグラフは、<0001>成長方向に沿って延長される多くの微細な線を捉える。そして、その線は、螺旋転位 (SD)やマイクロパイプ (MP)のような拘束された場からの直線欠陥を示す。一方、微細な線は、結晶の拡大部分 (領域B)面内方向 (0001)に向かって重ねられる。より正確には、SDとMPは、底面転位、例えば、積層欠陥 (SF)に変換されている。この現象は結晶拡大はSDとMP密度の減少に有効なことを意味する。この効果は図5に示されるように (0001)ウェハのX線トポグラフによって確認された。この標本は、3インチSiC結晶の拡大部分から切り出された。直径1インチの領域Cにおいて種結晶は50cm^(-2)を越えるMP密度であるが、トポグラフは、MPの点状の姿がなく、ただ底面転位の明るい線のみを主に示す。より詳しい転位の分布と構造の観察のために、領域Cは、X線シンクロトロントポグラフで分析された (図6)。そのトポグラフは、貫通刃状転位 (TED)の図のようないくつかの小さな点と底面転位の直線又は曲線の像を示す。c軸成長にもかかわらず、SDとMPは存在しない。我々は、拡大部分のa軸成長の特長をこの現象の理由と考える。結果として、SDとMPは、(0001)面方向に向かって折りたたまれ、C軸に沿って延長されない。我々は、拡大成長法を用いることによって、4インチのウェハで約60cm^(-2)、3インチのウェハで約10cm^(-2)のMP密度の減少に成功した。エッチピット密度は、領域Cの溶融水酸化カリウムのエッチ法で測定され、その分布はシンクロトロンx線トポグラフで観測された結果と同じ分布を示した。即ちMPとSDの両方を除外したTEDから来るいくつかのエッチピットを観測しただけであった。領域Cでのピットの密度は平均して約850cm^(-2)である。そしてそこでは、部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示された。領域Cの優れた品質は、10.6秒角と同じくらい小さいX線ロッキングカーブ半値幅によっても確認された (図7)。即ち、領域Cの結晶品質は、レーリー結晶と同じくらい素晴らしい。
我々は、軸方向成長を用いた種結晶 (1120)面上のMP無しの成長も報告する。種結晶は、C軸に向かって成長した長い4H-SiC結晶塊から切り出された。図8は、2.2インチの長さでa軸成長した結晶から切られた (0001)ウェハの標本で取られたX線トポグラフを示す。トポグラフは、底面転位を直線状の像で捉えられる。トポグラフは点状の像は示さないので、ウェハ全体でMPは存在しない。そのようなMP無しのウェハは、長大成長技術によって実現される。」、
(ウ)「Summary

We report large diameter, long length and high quality growth of (0001) and (1120) 4H-SiC single crystals. The crystal enlargement was effective on defect restraint in grown crystals. As based on the effect, we succeeded in reducing micropipe density down to about 10cm^(-2) in 3inch wafers and about 60cm^(-2) in 4inch wafers. The key point of defect restraint in the enlarged crystal was confirmed as the phenomenon which micropipes and screw dislocations are converted to basal plane dislocations, as revealed by x-ray topography. We also obtained micropipe-free crystals using the enlarged c-axis growth or the long length a-axis growth. A micropipe-free crystal obtained by the enlarged c-axis growth has low etch pit density of about 850cm^(-2) on the average, especially, which partly shows the pits-free in the several areas of 5x5~6x6mm^(2). The crystal shows very small x-ray rocking curve FWHM of 10.6arcsec, as excellent as Lely crystal.」 (第102頁第2?13行)、
(翻訳文:要約
我々は、大径、長大且つ高品質の (0001)と (1120)4H-SiC単結晶の成長を報告する。結晶拡大は成長結晶の欠陥拘束に有効であった。効果を基盤として我々は、3インチのウェハで約10cm^(-2)のMP密度を4インチのウェハで約60cm^(-2)のMP密度でマイクロパイプ密度の減少に成功した。拡大結晶の欠陥拘束の鍵となる点は、x線トポグラフで明らかにされたように、マイクロパイプと螺旋転位が底面転位に変換されているという現象によって確認された。我々は、拡大c軸成長又は長大a軸成長を用いてマイクロパイプ無しの結晶も得た。拡大c軸成長によって得られたマイクロパイプ無しの結晶は平均約850cm^(-2)の低いエッチピット密度であり、特に部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示された。結晶は、10.6秒角と同じくらい小さいX線ロッキングカーブ半値幅を示し、レーリー結晶と同じくらい優秀である。)、

2 引用発明の認定
引用例には、記載事項 (ア)に「結晶のエッチピット密度は500℃水酸化カリウムエッチングの後に測定された」ことが記載され、記載事項 (イ)に「3インチSiC結晶の拡大部分から切り出された。直径1インチの領域Cにおいて・・・エッチピット密度は、領域Cの溶融水酸化カリウムのエッチ法で測定され、・・・領域Cでのピットの密度は平均して約850cm^(-2)である。そしてそこでは、部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示された。」ことが記載されている。そして、該記載中の「SiC結晶」に関して、同記載事項に「図3は、2インチの種結晶から成長そして拡大された4H-SiC単結晶から切り出された (0001)と (1120)ウェハを示す」と記載されている。さらに、記載事項 (ウ)に「我々は、大径、長大且つ高品質の (0001)と (1120)4H-SiC単結晶の成長を報告する。」ことが記載されている。
そして、これらの記載を、本願発明の記載振りに則して整理すると、引用例には、「3インチSiC結晶の拡大部分から切り出された直径1インチの領域Cにおいて、エッチピット密度は、領域Cの溶融水酸化カリウムのエッチ法で測定され、領域Cでのピットの密度は平均して約850cm^(-2)で、部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示された高品質SiC単結晶ウェハ。」の発明 (以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
そこで、本願発明1と引用発明とを比較すると、引用発明の「3インチSiC結晶」は、記載事項(イ)には他に4インチの直径のものも示されているから、本願発明1の「少なくとも75mmの直径」のウェハに相当し、引用発明において測定される「拡大部分から切り出された直径1インチの領域C」は、3.14×(2.5/2)^(2)=4.9平方センチの面積で転位を観察し、ウェハは通常全面で平坦であるから、本願発明1の「少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域」に相当し、引用発明の「高品質SiC単結晶ウェハ」は、本願発明1の「SiCの高品質単結晶ウェハ」に外ならない。そうすると、本願発明1と引用発明とは、
「少なくとも75mmの直径と、少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域とを有するSiCの高品質単結晶ウェハ。」で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本願発明1は、少なくとも1平方センチメートルの連続した表面領域は、「500cm^(-2)未満の底面転位密度を有する」としているのに対して、引用発明は、「エッチピット密度は、領域Cの溶融水酸化カリウムのエッチ法で測定され、領域Cでのピットの密度は平均して約850cm^(-2)で、部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示され」る点。

4 検討
本願発明1の「底面転位」は原語では「basal plane dislocations」であり、その技術的意義は、「底面転位は、典型的には、表面と交差するか、あるいは閉じたループを生成するかのいずれかで、(0001)平面内に位置する。ほとんどの用途にとって、主たる懸念事項は、ウェハ表面と交差し、したがって、後に堆積されるエピタキシャル層の中に伝播する底面転位の数である。SiCウェハがエピタキシャル成長用の基板として使用されるとき、ウェハ表面と交差する転位の数を考慮することは、重要である。この数は、ウェハの欠陥エッチングを行って、転位位置でのピットを露出させる(reveal)ことによって測定される。」 (本件公表公報段落【0014】)というもので、転位の位置をエッチングにより特定する以上の特別の意味は見当たらない。
一方、引用例の記載事項 (イ)には、「SDとMPは、底面転位、例えば、積層欠陥 (SF)に変換されている。この現象は結晶拡大はSDとMP密度の減少に有効なことを意味する。この効果は図5に示されるように (0001)ウェハのX線トポグラフによって確認された。この標本は、3インチSiC結晶の拡大部分から切り出された。直径1インチの領域Cにおいて種結晶は50cm^(-2)を越えるMP密度であるが、トポグラフは、MPの点状の姿がなく、ただ底面転位の明るい線のみを主に示す。より詳しい転位の分布と構造の観察のために、領域Cは、X線シンクロトロントポグラフで分析された (図6)。そのトポグラフは、貫通刃状転位 (TED)の図のようないくつかの小さな点と底面転位の直線又は曲線の像を示す。c軸成長にもかかわらず、SDとMPは存在しない。我々は、拡大成長法を用いることによって、4インチのウェハで約60cm^(-2)、3インチのウェハで約10cm^(-2)のMP密度の減少に成功した。エッチピット密度は、領域Cの溶融水酸化カリウムのエッチ法で測定され、その分布はシンクロトロンx線トポグラフで観測された結果と同じ分布を示した。即ちMPとSDの両方を除外したTEDから来るいくつかのエッチピットを観測しただけであった。領域Cでのピットの密度は平均して約850cm^(-2)である。そしてそこでは、部分的にいくつかのピット無しの5×5?6×6mm^(2)の領域が示された。」ことが記載され、同 (イ)には、底面転位を含むエッチピット密度が「平均して約850cm^(-2)である」と明記されるから、引用発明において「部分的にいくつかのピット無しの6×6mm^(2)の領域」を含むエッチピット密度約850cm^(-2)からなる合わせて1平方センチメートルの連続した表面領域を想定すると、そのエッチピット密度は、850×(1-0.6^(2))=850×0.64=544cm^(-2)となり、エッチピット密度により測定される底面転位密度を約500cm^(-2)未満とすることが充分に示唆されているということができる。そうすると、引用発明においてに「底面転位密度を500cm^(-2)未満とする」ことは、当業者が周知技術を参考にして容易に想到しうることである。

5 本願発明1の効果について
本願発明1において得られる「シード昇華システムにおいて、結晶内に低い底面欠陥レベルを有するシリコンカーバイドのより大きな高品質バルク単結晶を製造すること」 (本件公表公報段落【0013】)という効果も、引用例の記載事項 (ウ)で「大径、長大且つ高品質の (0001)と (1120)4H-SiC単結晶の成長」が記載されており引用発明の効果と同等であるということができるから、格別とすることができない。

6 小括
よって、本願発明1は、引用例に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができないものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第4項第1号及び同法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、本願の特許請求の範囲第1項に係る発明は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-05 
結審通知日 2012-01-10 
審決日 2012-01-23 
出願番号 特願2008-514631(P2008-514631)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C30B)
P 1 8・ 537- Z (C30B)
P 1 8・ 536- Z (C30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 若土 雅之  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 中澤 登
國方 恭子
発明の名称 低底面転位バルク成長SiCウェハ  
代理人 清水 邦明  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  
代理人 畑中 孝之  
代理人 林 鉐三  
代理人 岩見 晶啓  
代理人 浅村 皓  
代理人 浅村 肇  
代理人 大日方 和幸  
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