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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02D |
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管理番号 | 1259315 |
審判番号 | 不服2009-24919 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-12-16 |
確定日 | 2012-06-26 |
事件の表示 | 特願2000-559340「ピストン往復内燃機関の給気制御装置ならびにピストン往復内燃機関の運転を制御するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 1月20日国際公開、WO00/03131、平成14年 7月 9日国内公表、特表2002-520536〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、1999年7月5日(パリ条約による優先権主張1998年7月8日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成13年1月5日付けで特許法第184条の5第1項に規定する国内書面及び特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文並びに特許協力条約第34条補正の翻訳文が提出され、平成18年5月17日付けで手続補正書が提出された後、平成20年3月13日付けで拒絶理由通知が通知され、平成20年8月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成20年10月17日付けで最後の拒絶理由通知が通知され、平成21年2月26日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成21年8月13日付けで上記平成21年2月26日付けの手続補正を却下する決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、平成21年12月16日付けで拒絶査定に対する審判請求がされると同時に、同日付けで明細書における特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに、当審において平成22年5月6日付けで書面による審尋がなされ、平成22年8月3日付けで回答書が提出され、平成23年6月10日付けで上記平成21年12月16日付け手続補正を却下する決定がなされ、平成23年7月1日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し、平成23年12月9日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、上記平成23年12月9日付けの手続補正書によって補正された明細書及び国際出願日における図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 ピストン往復内燃機関の運動を制御するための方法であり、該内燃機関はクランクシャフト(10)に接続されたピストン(6)が運動する少なくとも1つのシリンダを有し、該シリンダは 少なくとも一つの給気口および排気口を備え、該給気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、給気口へ続く給気路を持つシリンダと一時的に連絡する給気弁(18)が動作し、該排気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、排気口へ続く排気路を持つシリンダと一時的に連絡する排気弁(22)が動作し、その中にはパワー要求素子(34)が提供され、該パワー要求素子の位置により給気口へ流入する外気の量が決定され、またその中には別途弁(28,60,62,272,278)が給気弁(18)の上流にある給気路(14)に配列され、 該別途弁および該給気弁との間に存在する低圧によって形成される圧力波が開放吸気管端(100)で反射した後まさに該吸気弁が開く時点に該吸気弁に達し、これによって前記ピストンによって遂行される吸入仕事が低減されるように別途弁(28,60,62,272,278)が開くようにした方法。」 3.引用文献記載の発明 (1)引用文献の記載 本件出願前に頒布され、当審拒絶理由に引用された特開平8-177536号公報(以下、「引用文献」という。)には、例えば、次のような記載がある。 (a)「【0011】本発明のバルブタイミング制御装置は、ロータリバルブを介装したエンジンのバルブタイミング制御装置において、吸排気バルブを駆動するアクチュエータと、回転センサ、負荷センサ、クランク角度センサ、吸気圧センサ及び排気圧センサからの諸入力情報を基に、前記ロータリバルブの開閉タイミングを通常の吸・排気バルブの開閉タイミングに対して早閉じとするロータリバルブタイミング制御手段と、吸入空気量を変化させること無く圧縮比を小さくするためにロータリバルブの開閉に応答して吸気バルブの開閉タイミングを変化させる吸気バルブタイミング制御装置、とを含んでいる。 【0012】ここで、前記エンジンは吸気バルブ作動用クランクと排気バルブ作動用クランクとの相対関係が調節可能であり、前記制御手段及びアクチュエータは、低負荷運転の時には排気吹き返しを押さえるためにバルブオーバラップを小さくする様に排気バルブの開閉を早める方向に位相を変化させ、高負荷運転の時には排気干渉を有効に利用するためバルブオーバラップを大きくする様に排気バルブの開閉を遅らせる方向に位相を変化させるのが好ましい。或いは、前記エンジンは吸気バルブ作動用クランクと排気バルブ作動用クランクとの相対関係が調節可能であり、前記制御手段及びアクチュエータは、低負荷運転の時には排気吹き返しを押さえるためにバルブオーバラップを小さくする様に吸気バルブの開閉を遅らせる方向に位相を変化させ、高負荷運転の時には排気干渉を有効に利用するためバルブオーバラップを大きくする様に吸気バルブの開閉を早める方向に位相を変化させるのが好ましい。 【0013】また、前記エンジンは過給機付きエンジンであり、ブースト圧(過給圧)が高すぎる場合は排気バルブの開閉を遅らせる方向に位相を変化させる位相制御手段を含むのが好ましい。 【0014】さらに本発明のバルブタイミング制御装置は、ロータリバルブを介装したエンジンのバルブタイミング制御装置において、吸排気バルブを駆動するアクチュエータと、回転センサ、負荷センサ、クランク角度センサ、吸気圧センサ及び排気圧センサからの諸入力情報を基に、低速運転時には吸気バルブの開閉を早める方向に位相を変化して、高速運転時には吸気バルブの開閉を遅らせる方向に位相を変化させる吸排気バルブタイミング制御装置、とを有している。」(段落【0011】ないし【0014】) (b)「【0018】 【実施例】以下、図1-図4に基づいて本発明の実施例について説明する。なお、図示の実施例において、符号1で示すエンジンは、吸気バルブ作動用クランクと排気バルブ作動用クランクとの相対関係が調節可能なエンジンである。 【0019】図1において、エンジン1は内壁をピストン13が摺動するシリンダ11と、該シリンダの上部に位置し、吸気ポート17と吸気ポート18を有するシリンダヘッド12と、前記吸気ポート17と前記排気ポート18の前記シリンダ側の夫々の開口部を開閉する吸気バルブ15と排気バルブ16と、途中に管路を開閉するロータリバルブ3を設けた吸気管2とから構成されている。 【0020】又、前記このエンジン1には回転センサ7、負荷センサ8、クランク角センサ9、吸気圧センサ2a、排気圧センサ18aが設けられており、これ等からの入力情報に基づいてコントロールユニット6は前記ロータリバルブ3の駆動用アクチュエータ4及び前記吸気バルブ15の駆動用カム19のカム軸19aを回転させるアクチュエータ4’の駆動を、即ちバルブの開閉タイミングをその時の運転状況に対して最適に制御する。 【0021】次に、図3のバルブタイミング制御フローについて図1、図2をも使用して説明する。 【0022】先ずスタートして、ステップS1において回転センサ7によってエンジン回転数が、負荷センサ8によってエンジン負荷が検出され、ステップS2に進み、吸気圧センサ2aによって吸気圧力が、排気圧センサ18aによって排気圧力が検出される。更にステップS3に進みクランク角センサ9によってクランク角が検出され、それら各入力情報がコントロールユニット6に読み込まれ、その時点の運転状況が確認される。一方、予め読み込まれていた運転条件マップが呼出され(ステップS4)、前記その時点の運転状況と比較され、ステップS5に進み、ロータリバルブ3の回転角(位相)及び開閉速度を最適に制御すべくアクチュエータ4の制御量が決定され実行される。 【0023】即ち、図2のバルブリフト線図に示すように、エンジンが低負荷域または低圧縮比運転の場合、ロータリバルブの開閉タイミングをc’線のように早める。 【0024】次にステップS6に進み、排気バルブ16の開閉に対する吸気バルブ15の開閉を最適に制御すべくアクチュエータ4’の制御量が決定され実行される。 【0025】即ち、低負荷時には吸気バルブ15の開閉を図2のa線のように遅らせ(オーバラップを小さくする)、高回転・高負荷時には吸気バルブ15の開閉を早めることにより、オーバラップを大きくとるだけではなく、ロータリバルブの開閉タイミングがcからc´に変化することによる吸気量の低減も改善される。そして制御は元に戻る。 【0026】図4において、その他の吸気バルブ及び吸気管途中のロータリバルブの動弁機構、及び同バルブのバルブタイミングの調整手段の実施例として、吸気マニフォルド2’より上流側に排気タービン駆動式過給システム20を有するエンジン1’には吸気口と連結する前記吸気マニフォルド2’内にはエンジンのクランク軸から歯車伝達機構を介して駆動される制御弁としてロータリバルブ3が配設されている。そしてこのロータリバルブ3は駆動軸31に固着されており、駆動軸31はクランク軸と歯車機構を介して伝動連結された歯車33によって駆動される回転軸34にバルブタイミング調整手段の調整駒35を介して連結されている。」(段落【0018】ないし【0026】) (2)引用文献記載の事項 上記(1)(a)及び(b)並びに図面の記載から、以下の事項が分かる。 (c)上記(1)(b)及び図面から、往復動するピストン13を有するエンジン1を制御する方法に係る発明が記載されていることが分かる。 (d)上記(1)(b)及び図面から、エンジン1は、クランク軸に接続されたピストン13が運動するシリンダ11を有するものであることが分かる。 (e)上記(1)(a)及び(b)並びに図面から、シリンダ11の上部に位置するシリンダヘッド12は、吸気管2に続く吸気ポート17と排気管に続く排気ポート18を備え、前記吸気ポート17と前記排気ポート18の前記シリンダ11側のそれぞれの開口部を開閉する吸気バルブ15と排気バルブ16が、それぞれアクチュエータにより開閉することが分かる。 (f)上記(1)(a)及び(b)並びに図面から、ロータリバルブ3が吸気バルブ15の上流にある吸気管2に配列され、負荷センサ8によって検出されたエンジン負荷に応じてロータリバルブ3、吸気バルブ15及び排気バルブ16の開閉タイミングを変化させることによって吸気量を決定していることが分かる。 (g)上記(1)(b)及び図面から、運転条件マップとその時点の運転状況とを比較し、ロータリバルブ3の回転角(位相)及び開閉速度を最適に制御すべくアクチュエータ4の制御量が決定され実行されることが分かる。 (3)引用文献記載の発明 上記(1)及び(2)並びに図面の記載から、引用文献には、以下の発明が記載されているといえる。 「往復動するピストン13を有するエンジン1を制御する方法において、該エンジン1はクランク軸に接続されたピストン13が運動するシリンダ11を有し、 シリンダ11の上部に位置するシリンダヘッド12は、吸気管2に続く吸気ポート17と排気管に続く排気ポート18を備え、前記吸気ポート17と前記排気ポート18の前記シリンダ11側のそれぞれの開口部を開閉する吸気バルブ15と排気バルブ16が、それぞれアクチュエータにより開閉し、負荷センサ8によって検出されたエンジン負荷に応じてロータリバルブ3、吸気バルブ15及び排気バルブ16の開閉タイミングを変化させることによって吸気量が決定され、ロータリバルブ3が吸気バルブ15の上流にある吸気管2に配列され、 運転条件マップとその時点の運転状況とを比較し、ロータリバルブ3の回転角(位相)及び開閉速度を最適に制御すべくアクチュエータ4の制御量が決定され実行される方法。」(以下、「引用文献記載の発明」という。) 4.対比 本願発明と引用文献記載の発明とを比較すると、引用文献記載の発明における「ピストン13」は、その機能及び構造からみて、本願発明における「ピストン」に相当し、同様に「往復動するピストン13を有するエンジン1」は「ピストン往復内燃機関」に相当するから、引用文献記載の発明における「往復動するピストン13を有するエンジン1を制御する方法」は、本願発明における「ピストン往復内燃機関の運動を制御するための方法」に相当するといえる。 また、引用文献記載の発明における「クランク軸」は、その機能及び構造からみて、本願発明における「クランクシャフト」に相当し、以下同様に、「シリンダ11」と「シリンダヘッド12」を合わせたものは「シリンダ」に、「吸気ポート17」は「給気口」に、「排気ポート18」は「排気口」に、それぞれ相当する。 さらに、本願発明において「給気弁」及び「吸気弁」は同じものを示していると認められるところ、引用文献記載の発明における「吸気バルブ15」は、その機能及び構造からみて、本願発明における「給気弁」及び「吸気弁」に相当し、以下同様に「排気バルブ16」は「排気弁」に、「吸気管2」は「吸気路」に、「ロータリバルブ3」は「別途弁」に、それぞれ相当する。 そして、引用文献記載の発明において「シリンダ11の上部に位置するシリンダヘッド12は、吸気管2に続く吸気ポート17と排気管に続く排気ポート18を備え、前記吸気ポート17と前記排気ポート18の前記シリンダ11側のそれぞれの開口部を開閉する吸気バルブ15と排気バルブ16が、それぞれアクチュエータにより開閉」することは、「少なくとも一つの給気口および排気口を備え、該給気口の内部で開閉し、給気口へ続く給気路を持つシリンダと一時的に連絡する給気弁が動作し、該排気口の内部で開閉し、排気口へ続く排気路を持つシリンダと一時的に連絡する排気弁が動作」するという限りにおいて、本願発明において「少なくとも一つの給気口および排気口を備え、該給気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、給気口へ続く給気路を持つシリンダと一時的に連絡する給気弁が動作し、該排気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、排気口へ続く排気路を持つシリンダと一時的に連絡する排気弁が動作」することに相当する。 さらにまた、引用文献記載の発明において「負荷センサ8によって検出されたエンジン負荷に応じてロータリバルブ3、吸気バルブ15及び排気バルブ16の開閉タイミングを変化させることによって吸気量が決定され」ることは、「負荷に応じて給気口へ流入する外気の量が決定される」という限りにおいて、本願発明において「該パワー要求素子の位置により給気口へ流入する外気の量が決定され」ることに相当する。 そして、引用文献記載の発明において「運転条件マップとその時点の運転状況とを比較し、ロータリバルブ3の回転角(位相)及び開閉速度を最適に制御すべくアクチュエータ4の制御量が決定され実行される」ことは、「別途弁が開くタイミングを最適化する」という限りにおいて、本願発明において「該別途弁および該給気弁との間に存在する低圧によって形成される圧力波が開放吸気管端で反射した後まさに該吸気弁が開く時点に該吸気弁に達し、これによって前記ピストンによって遂行される吸入仕事が低減されるように別途弁が開くようにした」ことに相当する。 したがって、両者は、 「ピストン往復内燃機関の運動を制御するための方法であり、該内燃機関はクランクシャフトに接続されたピストンが運動する少なくとも1つのシリンダを有し、該シリンダは 少なくとも一つの給気口および排気口を備え、該給気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、給気口へ続く給気路を持つシリンダと一時的に連絡する給気弁が動作し、該排気口の内部ではクランクシャフトの回転により開閉し、排気口へ続く排気路を持つシリンダと一時的に連絡する排気弁が動作し、負荷に応じて給気口へ流入する外気の量が決定され、またその中には別途弁が給気弁の上流にある給気路に配列され、別途弁が開くタイミングを最適化する方法。」 で一致し、以下の点で相違する。 〈相違点〉 (1)本願発明においては、給気弁及び排気弁がクランクシャフトの回転により開閉するのに対し、引用文献記載の発明においては、吸気バルブ15及び排気バルブ16がアクチュエータにより開閉する点(以下、「相違点1」という。)。 (2)本願発明においては、パワー要求素子が提供され、該パワー要求素子の位置により給気口へ流入する外気の量が決定されるのに対し、引用文献記載の発明においては、負荷センサ8によって検出されたエンジン負荷に応じて吸気量が決定される点(以下、「相違点2」という。)。 (3)本願発明においては、別途弁および給気弁の間に存在する低圧によって形成される圧力波が開放吸気管端で反射した後まさに該吸気弁が開く時点に該吸気弁に達し、これによって前記ピストンによって遂行される吸入仕事が低減されるように別途弁が開くのに対し、引用文献記載の発明においては、運転条件マップとその時点の運転状況とを比較し、ロータリバルブ3の回転角(位相)及び開閉速度を最適に制御すべくアクチュエータ4の制御量が決定され実行される点(以下、「相違点3」という。)。 5.当審の判断 (1)相違点1について 内燃機関の技術分野において、給気弁及び排気弁をクランクシャフトの回転により開閉することは慣用的に行われていることであるから、引用文献記載の発明において、吸気バルブ15及び排気バルブ16の駆動源を、アクチュエータに代えてクランクシャフトとすることにより、上記相違点1に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が格別の創意を要することなく想到できたことである。 (2)相違点2について 本願発明における「パワー要求素子」は、本願の明細書に示された実施例において「アクセルペダル」(段落【0021】)として設けられているところ、内燃機関の技術分野において、一般に負荷の検出をアクセルペダルの踏み込み量から検出することは慣用的に行われていることであるから、引用文献記載の発明において、負荷センサ8によって検出したエンジン負荷を用いることに代えて、パワー要求素子の位置を用いることにより、上記相違点2に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が格別の創意を要することなく想到できたことである。 (3)相違点3について 吸気弁の上流側の吸気通路に制御弁を有するエンジンにおいて、吸気通路の制御弁下流側に生じた吸気負圧波を吸気通路上流の反転部で反転させ、正圧波として吸気の押し込み効果を与えることは、周知技術(以下、「周知技術」という。例えば、特開昭62-174532号公報の第3ページ右上欄第7ないし16行等参照。)である。そして、引用文献記載の発明において、ロータリバルブ3の回転角(位相)制御の最適化のために、上記正圧波を用いることによって、上記相違点3に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が格別の創意を要することなく想到できたことである。 なお、本願発明は、「圧力波が開放吸気管端で反射した後まさに該吸気弁が開く時点に該吸気弁に達」するタイミングで別途弁を制御することを特定するものであるが、ピストンの吸入仕事の低減効果は吸気弁が開くタイミングでなくても生じるものであり、該特定によって格別の効果を奏するものではない。 そして、本願発明を全体としてみても、本願発明の奏する効果は、引用文献記載の発明及び周知技術から当業者が予想できた範囲のものであり、格別に顕著な効果ではない。 よって、本願発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-01-16 |
結審通知日 | 2012-01-24 |
審決日 | 2012-02-06 |
出願番号 | 特願2000-559340(P2000-559340) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F02D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 悟史、関谷 一夫 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
小谷 一郎 中川 隆司 |
発明の名称 | ピストン往復内燃機関の給気制御装置ならびにピストン往復内燃機関の運転を制御するための方法 |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |