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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B01D
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B01D
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  B01D
管理番号 1259967
審判番号 無効2011-800141  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-08-09 
確定日 2012-06-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4620599号発明「異物除去処理装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 請求及び答弁の趣旨
審理の全趣旨から見て、請求人は、「特許第4620599号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、被請求人は、上記結論と同旨の審決を求めた。

第2 手続の経緯
本件手続の主な経緯を整理して以下に示す。
平成18年 2月 6日 本件特許出願(特願2006-27835号)
平成22年11月 5日 特許登録(特許第4620599号)
平成23年 8月 9日付け 審判請求書の提出
平成23年10月26日付け 審判事件答弁書の提出
平成23年11月11日付け 審尋
平成23年12月 8日付け 審判事件回答書の提出(被請求人)
平成23年12月14日付け 回答書の提出(請求人)
平成24年 1月 6日付け 審尋
平成24年 2月 3日付け 回答書(2)の提出(請求人)
平成24年 2月 3日付け 審判事件回答書(第2回)の提出(被請求人)
平成24年 2月14日付け 上申書の提出(請求人)
平成24年 2月14日付け 上申書の提出(被請求人)
平成24年 2月21日付け 上申書(2)の提出(請求人)
平成24年 2月21日 第1回口頭審尋の実施
平成24年 2月22日付け 無効理由通知
平成24年 3月 2日付け 訂正請求書の提出
平成24年 3月 7日付け 通知(審理事項通知)
平成24年 3月29日付け 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成24年 4月 9日付け 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成24年 4月18日 第1回口頭審理の実施

請求人は、24年2月21日の第1回口頭審尋において、審判請求書、平成23年12月14日付け回答書、平成24年2月3日付け回答書(2)、平成24年2月14日付け上申書及び平成24年2月21日付け上申書(2)に記載のとおり陳述(ただし、上申書(2)の第2頁「(1)」を除く)し、平成24年4月18日の第1回口頭審理において、平成24年3月29日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述した。
被請求人は、24年2月21日の第1回口頭審尋において、平成23年10月26日付け審判事件答弁書、平成23年12月8日付け審判事件回答書、平成24年2月3日付け審判事件回答書(第2回)及び平成24年2月14日付け上申書に記載のとおり陳述し、平成24年4月18日の第1回口頭審理において、平成24年3月2日付け訂正請求書、及び平成24年4月9日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述した。

第3 当事者の主張及び証拠方法
1.請求人の主張及び証拠方法
請求人は、(1)平成24年3月2日付け訂正請求は不適法であり、訂正は認められるべきではない、(2)訂正前(特許登録時)の請求項1ないし4に係る発明の特許は、ア.特許法第17条の2第3項の規定に違反して特許されたものであり、イ.特許法第36条第4項又は第6項の規定に違反して特許されたものであり、若しくはウ.特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、無効にすべきものであると主張し(第1回口頭審理調書を参照。)、証拠方法として以下の甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。甲第1号証ないし甲第6号証は、審判請求書に添付して提出され、甲第7号証ないし甲第11号証は、平成24年2月3日付けの回答書(2)に添付して提出されたものである。なお、審判請求書には、甲第5号証を「実開平6-57525号公報」と表示しているが、添付された甲第5号証の写しなどから見て、「実願平3-66176号(実開平6-57525号)のCD-ROM」の誤記と認める。
・甲第1号証;特許第4620599号公報(本件特許公報)
・甲第2号証;特開2002-79012号公報
・甲第3号証;特表平9-512881号公報
・甲第4号証;特開2000-342912号公報
・甲第5号証;実願平3-66176号(実開平6-57525号)のCD
-ROM
・甲第6号証;特開平9-308898号公報
・甲第7号証;特開平8-301178号公報
・甲第8号証;特開2004-35286号公報
・甲第9号証;特開平6-109196号公報
・甲第10号証;特開2001-201278号公報
・甲第11号証;特開2005-270870号公報
また、請求人は、(3)仮に、訂正請求が認められた場合は、訂正後の請求項1ないし4に係る発明の特許について、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるとの主張はしない、と主張している(第1回口頭審理調書を参照。)。

2.被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は、(1)平成24年3月2日付け訂正請求は適法であり、認められるべきものである、(2)訂正後の請求項1ないし4に係る発明の特許には、無効理由は存在しないと主張し(第1回口頭審理調書を参照。)、証拠方法として以下の乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。乙第1号証は、審判事件答弁書に添付して提出され、乙第2号証ないし乙第4号証は、平成24年2月14日付けの上申書に添付して提出されたものである。
・乙第1号証;JIS工業用語大辞典【第3版】(日本規格協会、1991
年11月20日第3版第1刷発行)第387?388頁
(「逆止弁」、「逆止め弁]が記載された頁)
・乙第2号証;特開平9-29640号公報
・乙第3号証;特開平10-184391号公報
・乙第4号証;特開平10-204504号公報
また、被請求人は、(3)訂正前(特許登録時)の請求項1ないし4に係る発明の特許についても、請求人が主張する無効理由は存在しない、と主張している(第1回口頭審理調書を参照。)。

第4 訂正請求について
1.訂正事項1
平成24年3月2日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許第4620599号の特許請求の範囲及び明細書を、本件訂正請求の訂正請求書に添付した特許請求の範囲及び明細書のとおりに訂正しようとするものであって、特許請求の範囲については、本件訂正前の【請求項1】
「【請求項1】被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a) 気密な回収槽と、
b) 前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c) 前記送液流路の途中に設けられ、フィルタと逆止弁を有するフィルタユニットと、
d) 入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給手段と、
f) 前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g) 前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h) 前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁により、前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止されることを特徴とする異物除去処理装置。」
を次のとおりに訂正しようとするものである。なお、下線は、訂正箇所を示すために被請求人が付したものである。
「【請求項1】被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a) 気密な回収槽と、
b) 前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c) 前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、
d) 入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給源と、
f) 前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g) 前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h) 前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、
により、
前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること、及び
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される
ことを特徴とする異物除去処理装置。」

2.訂正事項2
また、明細書については、訂正前の段落【0008】
「【0008】上記課題を解決するために成された本発明は、被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a) 気密な回収槽と、
b) 前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c) 前記送液流路の途中に設けられ、フィルタと逆止弁を有するフィルタユニットと、
d) 入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給手段と、
f) 前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g) 前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h) 前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁により、前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止されることを特徴とする。」
を次のとおりに訂正しようとするものである。なお、下線は、訂正箇所を示すために被請求人が付したものである。
「【0008】上記課題を解決するために成された本発明は、被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a) 気密な回収槽と、
b) 前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c) 前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、
d) 入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e) 前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給源と、
f) 前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g) 前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h) 前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、
により、
前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること、及び
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される
ことを特徴とする。
なお、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」は、通常の意味の「逆止弁」とは異なり、管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない。」

3.訂正事項1についての当審の判断
(1)構成要件c)について
ア.訂正事項1は、その訂正事項の一部として、訂正前の構成要件c)
「c) 前記送液流路の途中に設けられ、フィルタと逆止弁を有するフィルタユニットと、」を
「c) 前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、」
とする訂正を含んでいる。
イ.この訂正は、訂正前の発明特定事項である「フィルタユニット」について、「被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路」、「回収槽に接続される単一の回収槽接続流路」、「フィルタの流入口に接続される流入口接続流路」及び「フィルタの流出口に接続される流出口接続流路」を有していることを限定する訂正であるから、特許法第134条の2第1項第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
ウ.上記限定する事項は、本件明細書の段落【0020】の「被処理液を被処理液槽11内から後述の回収槽16に吸引し、回収槽16から被処理液槽11に返送するための流路を有し、その途中にフィルタユニット14を有する。フィルタユニット14は、被処理液の濾過用のフィルタ141、流入口側送液管132、流出口側送液管133、被処理液槽側三方弁151及び回収槽側三方弁152から成る。また、被処理液槽11とフィルタユニット14の間には処理液槽側送液管131を、回収槽16とフィルタユニット14の間には回収槽側送液管134を、それぞれ設ける。」という記載並びに図1ないし図5に記載されている事項であり、「被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路」が、「処理液槽側送液管131」に対応し、「回収槽に接続される単一の回収槽接続流路」が、「回収槽側送液管134」に対応し、「フィルタの流入口に接続される流入口接続流路」が、「流入口側送液管132」に対応し、「フィルタの流出口に接続される流出口接続流路」が、「流出口側送液管133」に対応する。したがって、この訂正は、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定に適合する。
エ.また、構成要件c)についての上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。したがって、構成要件c)についての上記訂正は、適法である。
オ.訂正前の構成要件c)「c) 前記送液流路の途中に設けられ、フィルタと逆止弁を有するフィルタユニットと」の記載は、「フィルタユニットにおける流路の構成、特にフィルタユニットと被処理液槽及び回収槽との接続流路の構成が明確でない」(平成24年2月22日付け無効理由通知書を参照。)。そこで、特許法第70条第2項の規定に従って、明細書及び図面の記載を考慮すると、明細書の段落【0020】には、上記ウ.で指摘したように記載されており、また、図1ないし図5には、「フィルタユニットと被処理液槽との接続流路」及び「フィルタユニットと回収槽との接続流路」は、それぞれ単一の流路であることが図示されている。そうすると、この訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正であると解することもできる。そして、このように解した場合でも、この訂正は、上記ウ.、エ.で指摘したとおり、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定及び同第4項の規定に適合するから、適法である。
カ.以上のとおり、構成要件c)についての訂正は、訂正の目的について2様の解釈が可能であるものの、いずれの解釈をした場合でも、適法である。

(2)「空気供給源」について
ア.訂正事項1は、その訂正事項の一部として、訂正前の構成要件e)、h)に記載された「空気供給手段」(構成要件e)は1箇所、構成要件h)は2箇所)を、「空気供給源」と訂正するものである。
イ.空気圧を利用する技術分野においては、空気圧を供給する装置又は物品を「空気供給源」と呼ぶ場合もあれば、「空気供給手段」と呼ぶ場合もある。両者を同じ意味で用いること(乙第2号証ないし乙第4号証)もあれば、やや異なる意味で用いること(甲第7号証ないし甲第9号証)もあるが、どのような意味で用いているかは、通常、文脈から明らかであって、当業者が誤解することはない。本件訂正前の請求項1には、構成要件e)として、
「e) 前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給手段と」と記載されていることから、「エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する」装置又は物品を「空気供給手段」と称していることが明らかである。
ウ.本件特許の明細書又は図面には、「空気供給手段」という用語は使用されておらず、「空気供給手段」の意味を明確に説明した箇所はないことや、本件明細書の段落【0022】に「空気吸引・供給装置20は空気供給源21とエゼクタ22を有する。空気供給源21には空気圧縮機を用いる。エゼクタ22は、入口221、出口222及び吸引口223を有する。 空気吸引・供給装置20内は以下のように配管されている。エゼクタ22には、空気供給源21と入口221を結ぶ入口管231と、出口222と後述の空気用三方弁26を結ぶ出口管232と、吸引口223から延びる吸引管233が接続されている。」と記載され、図1ないし図5には、エゼクタ22の入口221と、空気供給源21とは、入口管231、圧力調整器242及び空気供給弁241を介して接続されていることが図示されていること、及び、乙第2号証ないし乙第4号証並びに甲第7号証ないし甲第9号証に示されている「空気供給源」及び「空気供給手段」という用語の使用例を考慮すると、訂正前の請求項1に記載された「空気供給手段」については、「空気供給源21」を指すと解することも、「空気供給源21」だけでなく、「空気供給弁241」や「入口管231」等、「空気供給源21」と「エゼクタ22の入口221」までの間に介在する物品等をも含めて「空気供給手段」と称していると解することもできる。
エ.「空気供給源21」を「エゼクタの入口に接続」する場合、両者を直接接続することはまれであり、通常、両者を結ぶ配管が存在し、また、エゼクタの動作を適切に行わせるため、該配管の途中に開閉弁等の適宜の装置が存在することもごく普通のことである。そして、このような中間介在物が存在している場合であっても、「空気供給源21」を「エゼクタの入口に接続」すると表現することは、ごく普通に行われていることである。また、「空気供給源21」だけでなく、「空気供給弁241」や「入口管231」等、「空気供給源21」と「エゼクタ22の入口221」までの間に介在する物品等をも含めた構成であっても、エゼクタ22から見れば、その入口221に空気を供給する源(みなもと)であり、これら介在物を含めて「空気供給源」と称することも、ごく普通の表現である。このため、訂正前の請求項1に記載された「空気供給手段」を「空気供給源21」を指すと解しても、あるいは、「空気供給源21」及び「『空気供給源21』と『エゼクタ22の入口221』までの間に介在する物品等」をも含めたものを指すと解しても、「空気供給手段」が「エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する」装置又は物品であることに、変わりがないから、「空気供給手段」という用語を使用していることにより、訂正前の構成要件e)、h)が不明確になっているということはない。
オ.しかしながら、本件特許の明細書又は図面には、「空気供給手段」という用語が使用されておらず、「空気供給手段」の意味を明確に説明した箇所もないことを重視すれば、訂正前の請求項1に記載された「空気供給手段」は、「明りょうでない記載」であると主張する余地が全くないとまではいえない。そうすると、「空気供給手段」を「空気供給源」とする訂正は、明細書又は図面に使用されていない用語に代えて、明細書に使用されている用語を使用するようにした訂正であるといえるから、この訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正であると認められる。
カ.そして、「空気供給源」は、上記ウ.で指摘したとおり、本件明細書の段落【0022】に記載されている事項であるから、この訂正は、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定に適合する。また、「空気供給手段」を「空気供給源」とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。したがって、「空気供給手段」を「空気供給源」とする訂正は、適法である。

(3)「逆止弁」について
ア.訂正事項1は、その訂正事項の一部として、訂正前の構成要件h)に記載された「前記逆止弁」について、
「前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること」
とする訂正を含んでいる。この訂正は、本件特許の請求項1に記載されている「逆止弁」が、どのような意味であるかを説明するための訂正と認められる。
イ.「逆止弁」は、乙第1号証第387頁右欄下から第3行?同欄末行に「逆止め弁 ぎゃくどめべん check valve, non-return valve 弁体が流体の背圧によって閉じ,逆流を防止するように作動するバルブ.[慣]逆止弁,チェッキ弁」と説明されているように、通常は、「弁体が流体の背圧によって閉じ,逆流を防止するように作動するバルブ」を意味する用語として用いられる。また、「逆止め弁」を表すJIS記号は、本審決末尾の参考図1に示すものであり(審決注:参考図1のJIS記号は、ばねを持たず、パイロット操作もしない逆止め弁のJIS記号である。)、甲第3号証の図1の符号11、21に示す記号が、JIS記号の使用の例となっている。また、「逆止め弁」は、甲第5号証の図1で符号11が付されたような、単一の三角形記号で示されることや、甲第10号証の図1で符号5又は8、甲第11号証の図1又は図2で符号33又は34が付されたような、N字型又はZ字型の記号で示されることもある。これらも、本審決末尾の参考図1に示す。参考図1に示す記号は、いずれも、下から上へは流体が通過可能であるが、上から下へは流体が通過しない弁を意味している。
ウ.本件特許の図面には、「逆止め弁」を表すJIS記号は記載されておらず、また、甲第5号証や甲第10号証、甲第11号証の図に示されたような単一の三角形記号もN字型又はZ字型の記号も記載されていない。また、本件特許の明細書、又は特許請求の範囲を参酌しても、「逆止弁」が、上記通常の意味で用いられていることを伺わせる記載はない。
そして、本件特許の明細書には、次に示すウ-1)?ウ-7)の記載がある(下線は、強調のために当審で付加した。)。
ウ-1)段落【0012】の「(1)吸引時 切替弁を、エゼクタの出口と大気の接続に切り替え、吸引管の開閉弁を開とする。 エゼクタの入口に空気を供給すると、回収槽内の空気がエゼクタの吸引口から吸引され、回収槽内が減圧される。これにより、被処理液が被処理液槽から送液流路を介して回収槽に吸引され、送液流路上に設けられたフィルタで被処理液内の異物が除去される。」
ウ-2)段落【0013】の「(2)返送時 切替弁を、エゼクタの出口と回収槽の接続に切り替え、吸引管の開閉弁を閉とする。 エゼクタの入口に空気を供給すると、その空気は回収槽に供給され、回収槽内が加圧される。これにより、被洗浄液は回収槽から被処理液槽に押し出される。その際、逆止弁の作用により、被処理液がフィルタを逆流することはない。被洗浄液が全て被処理液槽に返送されると、異物除去処理は終了する。」
ウ-3)段落【0014】の「次に、返送流路について詳しく説明する。 第1の構成例は、流路切替弁を2つ用いて構成される。第1の弁は、被処理液槽からフィルタの流入口への流路とフィルタの流出口から被処理液槽への流路を切り替える。第2の弁は、回収槽からフィルタの流入口への流路とフィルタの流出口から回収槽への流路を切り替える。いずれの流路切替弁にも、2つの流路の分岐点に設けた三方弁を用いることができる。或いは、2つの流路にそれぞれ設けた開閉弁を用いることもできる。 第1の構成例の動作を説明する。吸引時には、第1の流路切替弁ではフィルタの流入口側の流路を、第2の流路切替弁ではフィルタの流出口側の流路を、それぞれ開状態にする。これにより、被処理液は流入口から流出口に向かってフィルタを通過する。次に、返送時には、第1の流路切替弁ではフィルタ流出口側の流路を、第2の流路切替弁ではフィルタ流入口の流路を、それぞれ開状態にする。これにより、被処理液は吸引時と同様に流入口から流出口に向かってフィルタを通過し、逆流することはない。従って、第1の構成例を用いた場合には、被処理液は送液時及び返送時共に同じフィルタを通過し、2回、フィルタリングが行われる。」
ウ-4)段落【0015】の「第2の構成例では、フィルタを通過するフィルタ流路とは別に、フィルタを通らないバイパス流路を設ける。そして、フィルタ流路とバイパス流路を切り替える流路切替弁を設ける。バイパス流路には別途フィルタを設けてもよいし、被処理液がそれほど汚れていない場合やコスト低減を優先する場合には、そのようなフィルタを設けなくてもよい。 この構成例の動作を説明する。吸引時には、流路切替弁はフィルタ流路側を開状態にする。これにより、被処理液はフィルタ流路中にあるフィルタを通過する。返送時には、流路切替弁はバイパス流路側を開状態にする。これにより、被処理液はフィルタを通過することなく被処理液槽に返送される。前記別途のフィルタを設けた場合には、返送時にそのフィルタを通過するため、被処理液は2回、フィルタリングされる。」
ウ-5)段落【0024】の「次に、図2を用いて、吸引時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。 被処理液の流路は以下のように設定する。被処理液槽側送液管131から流入口側送液管132へ流路を形成するように被処理液槽側三方弁151を設定すると共に、流出口側送液管133から回収槽側送液管134へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定する。これにより、被処理液槽側送液管131、流入口側送液管132、フィルタ141、流出口側送液管133、回収槽側送液管134の順で通過する被処理液の流路L1が形成される。」
ウ-6)段落【0025】の「これにより、回収槽16内が減圧され、被処理液槽11内の被処理液12は流路L1を通って回収槽16内に吸引される。その際、被処理液12中の異物はフィルタ141により除去される。被処理液12が全て回収槽16に吸引された後、吸引弁25を閉鎖する。」
ウ-7)段落【0026】の「次に、図3を用いて、返送時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。 被処理液の流路は以下のように設定する。回収槽側送液管134から流入口側送液管132へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定すると共に、流出口側送液管133から被処理液槽側送液管131へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定する。これにより、回収槽側送液管134、流入口側送液管132、フィルタ141、流出口側送液管133、被処理液槽側送液管131をこの順で通る流路L2が形成される。ここで、回収槽側三方弁152は回収槽送液管134から流出口側送液管133への流路を閉鎖するため、被処理液がフィルタ141を逆流することを防ぐ逆止弁として機能している。」
エ.これら記載を参酌すると、本件特許の明細書又は図面においては、「逆止弁」を、乙第1号証に示されているような通常の意味で使用しているのではなく、被処理液が被処理液槽から回収槽に吸引されるときは、フィルタを順方向に通過して被処理液内の異物が除去される一方、被洗浄液が回収槽から被処理液槽に返送されるときは、フィルタを逆方向に通過することを防ぐように機能する弁のことを意味していること、また、このように機能する弁として本件特許の明細書又は図面に開示されているものは、被処理液の吸引時と、返送時とで流路を切り替えることにより、当該機能を実現する複数の弁の組み合わせであることが、当業者にとって明らかである。
そうすると、構成要件h)に記載された「逆止弁」についての訂正は、本件特許における「逆止弁」の意味を明りょうにするための訂正と認められるから、この訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正であると認められる。
オ.そして、訂正後の構成要件h)に記載された、「逆止弁」の構成は、上記ウ.で指摘したとおり、本件明細書の明細書又は図面に記載されている事項であるから、この訂正は、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定に適合する。また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。したがって、構成要件h)に記載された「前記逆止弁」についての訂正は、適法である。
カ.請求人は、平成24年3月29日付け口頭審理陳述要領書において、「願書に最初に添付した明細書中には『逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、』との記載は、全くない。また、『複数の弁』とは極めて曖昧不明瞭な記載で、どのような構成のものであるかを特定させるような説明は、明細書中にも訂正請求に係る請求項中にも全く記載されていない。 また、願書に最初に添付した明細書中には流体の流れを切り替えるための『弁』は記載されている。しかし、これらの『弁』は学術的な意味に於ける『逆止弁』とは全く異なるものであって、この学術的な意味に於ける『逆止弁』とは全く異なる『弁』を、『逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、』とする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものである。」(第2頁第6行?同頁第14行を参照。)と主張している。
キ.しかしながら、上記エ.で指摘したとおり、本件特許の明細書及び図面の記載を参酌すれば、本件特許の明細書又は図面においては、「逆止弁」を、乙第1号証に示されているような通常の意味で使用しているのではなく、被処理液が被処理液槽から回収槽に吸引されるときは、フィルタを順方向に通過して被処理液内の異物が除去される一方、被洗浄液が回収槽から被処理液槽に返送されるときは、フィルタを逆方向に通過することを防ぐように機能する弁のことを意味していること、及び、このように機能する弁として本件特許の明細書又は図面に開示されているものは、被処理液の吸引時と、返送時とで流路を切り替えることにより、当該機能を実現する複数の弁の組み合わせであることが、当業者にとって明らかである。
ク.また、本件特許の明細書又は図面に開示されている複数の弁の組み合わせとしては、三方弁151と三方弁152との組み合わせ(図1?図3を参照。)、三方弁33と三方弁34との組み合わせ(図4を参照。)、4つの開閉弁1511、1512、1521、1522の組み合わせ(図5を参照。)が図示されている。これら図示された構成では、三方弁のみの組み合わせ、または、開閉弁のみの組み合わせであるが、当業者の技術常識をもってすれば、三方弁と開閉弁との組み合わせ、例えば、三方弁151及び開閉弁1521と1522の組み合わせであっても、「被処理液が被処理液槽から回収槽に吸引されるときは、フィルタを順方向に通過して被処理液内の異物が除去される一方、被洗浄液が回収槽から被処理液槽に返送されるときは、フィルタを逆方向に通過することを防ぐように機能する弁」となることは明らかである。また、当業者の技術常識をもってすれば、これら以外の「複数の弁の組み合わせ」であって、当該機能を実現できるものを想定することも容易になし得ることであるから、「逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって」との事項は、出願当初の明細書又は図面の記載から当業者に自明な事項であり、出願当初の明細書又は図面に記載されていたも同然の事項である。
ケ.口頭審理陳述要領書における、請求人の上記主張は、当業者の技術常識に基づかない、請求人独自の見解と認められるから、採用することはできない。

(4)「接続流路を…逆方向に流れる」について
ア.訂正事項1は、その訂正事項の一部として、訂正前の構成要件h)に「前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること」という構成要件を加える訂正を含んでいる。
イ.この訂正は、構成要件c)について、訂正前の特定事項を限定し「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正を行ったことに伴い、限定された事項である「被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路」及び「回収槽に接続される単一の回収槽接続流路」の機能又は作用を明確化する訂正と認められるから、この訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。また、構成要件c)についての訂正を、「フィルタユニットにおける流路の構成」についての明りょうでない記載の釈明と解した場合であっても、この訂正は、当該「フィルタユニットにおける流路の構成」の機能又は作用を明確化する訂正と認められるから、この訂正は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
ウ.本件発明の実施例では、「被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路」及び「回収槽に接続される単一の回収槽接続流路」は、それぞれ、「被処理液槽側送液管131」及び「回収槽側送液管134」であるところ、これら送液管131及び134を流れる被処理液の方向が、吸引時と返送時とで逆方向になることは、本件特許の明細書及び図面の記載から明らかである。したがって、この訂正は、本件明細書の明細書又は図面に記載されている事項であるから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定に適合する。また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。

(5)訂正事項1についての判断のまとめ
以上のとおりであって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、または、同条同項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当し、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定及び同条第4項の規定に適合する。訂正事項1の訂正は、適法であるから、認めることとする。

4.訂正事項2についての当審の判断
(1)構成要件c)、e)、h)について
訂正事項2は、その訂正事項の一部として、構成要件c)、e)、h)についてする訂正を含んでいる。この訂正は、訂正事項1によって、請求項1のc)、e)、h)を訂正したことに伴って、訂正後の請求項1のc)、e)、h)の記載に合わせるようにした訂正であるから、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。また、上記3.で検討したとおり、これら訂正は、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定及び同条第4項の規定に適合する。したがって、この訂正は適法である。

(2)「逆止弁」の説明について
訂正事項2は、その訂正事項の一部として、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」の意味を説明する「なお、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」は、通常の意味の「逆止弁」とは異なり、管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない。」という記載を追加する訂正を含んでいる。
上記3(3)ウ.及びエ.で指摘したように、本件特許の訂正前の明細書及び図面の記載を参酌すると、本件特許の明細書又は図面においては、「逆止弁」を、乙第1号証に示されているような通常の意味で使用しているのではなく、被処理液が被処理液槽から回収槽に吸引されるときは、フィルタを順方向に通過して被処理液内の異物が除去される一方、被洗浄液が回収槽から被処理液槽に返送されるときは、フィルタを逆方向に通過することを防ぐように機能する弁のことを意味していること、また、このように機能する弁として本件特許の明細書又は図面に開示されているものは、被処理液の吸引時と、返送時とで流路を切り替えることにより、当該機能を実現する複数の弁の組み合わせであることが、当業者にとって明らかである。また、本件特許の明細書又は図面には、当該機能を実現する複数の弁の組み合わせにおける「弁」として、「管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁」が開示されていないことも、当業者にとって明らかである。
そうすると、この訂正は、本件特許の訂正前の明細書及び図面の記載から明らかな事項を、単に明文化したものであるから、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。また、訂正前の明細書及び図面の記載から明らかな事項を、単に明文化したものであるから、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定及び同条第4項の規定に適合することも明らかである。したがって、この訂正は適法である。

(3)請求人の主張について
請求人は、平成24年3月29日付け口頭審理陳述要領書において、「被請求人は……『なお、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」は、通常の意味の「逆止弁」とは異なり、管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない。』との訂正請求を行っている。……明細書中の技術用語は、学術的意味合いで使用されるべきであり、学術用語としての『逆止弁』とは、管路の圧力等により弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁であって、この学術的な意味合いを全く否定する訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと言う事はできない。……この訂正請求によって、本件発明の『逆止弁』が『管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない』ものであると仮定しても、それでは本件の『逆止弁』がどのような弁であるか全く不明である。 学術用語としての『弁』には、機能、構造等から分類した場合に、極めて多種多様なものが存在することは証拠を示すまでもなく明らかである。この多種多様な『弁』の中に於いて、本件の『逆止弁』が『管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない』ものであるとするならば、『管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁』以外の『弁』は、本件発明の『逆止弁』に全て含まれることになる。このことは、出願時の願書に添付した明細書に記載している『逆止弁』の学術的意味合いの範囲を著しく拡張又は変更するものである。」(第2頁第18行?第3頁第23行を参照。)と主張している。
しかしながら、上記(2)で指摘したとおり、「なお、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」は、通常の意味の「逆止弁」とは異なり、管路の圧力等によって弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない。」は、訂正前の明細書及び図面の記載から明らかな事項を、単に明文化したものと認められる。口頭審理陳述要領書における、請求人の上記主張は、当業者の技術常識に基づかない、請求人独自の見解と認められるから、採用することはできない。

(4)訂正事項2についての判断のまとめ
以上のとおりであって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当し、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項の規定及び同条第4項の規定に適合する。訂正事項2の訂正は、適法であるから、認めることとする。

第5 本件発明
上記第4に示したとおり、本件訂正請求は、訂正事項1及び訂正事項2のいずれも適法であり、認めることとしたので、本件特許の請求項1ないし請求項4に係る発明は、本件訂正請求の訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載した事項によって特定される発明である。訂正請求書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a) 気密な回収槽と、
b) 前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c) 前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、
d) 入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給源と、
f) 前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g) 前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h) 前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、
により、
前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること、及び
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される
ことを特徴とする異物除去処理装置。
【請求項2】
前記フィルタユニットが、被処理液槽からフィルタの流入口への流路、フィルタの流出口から被処理液槽への流路、回収槽からフィルタの流入口への流路、フィルタの流出口から回収槽への流路を有すると共に、前記逆止弁として前記各流路の切り替えを行うための流路切替弁を有するものであって、前記流路切替弁が、前記被処理液の吸引時には、被処理液槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から回収槽への流路を開状態にすると共に、回収槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から被処理液槽への流路を閉状態とし、前記被処理液の返送時には、回収槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から被処理液槽への流路を開状態にすると共に、被処理液槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から回収槽への流路を閉状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の異物除去処理装置。
【請求項3】
前記フィルタユニットが、前記フィルタを通過する流路と前記フィルタを回避するバイパス流路とを有すると共に、前記逆止弁として、前記フィルタを通過する流路とバイパス流路とを切り替える流路切替弁を有するものであって、前記流路切替弁が、前記被処理液の吸引時には、前記フィルタを通過する流路を開状態として前記バイパス流路を閉状態とし、前記被処理液の返送時には、前記バイパス流路を開状態として前記フィルタを通過する流路を閉状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の異物除去処理装置。
【請求項4】
前記バイパス流路中にフィルタを備える請求項3に記載の異物除去処理装置。」

第6.無効理由について
1.請求人の主張する無効理由について
(1)請求人の主張する、請求当初の無効理由は、「訂正前(特許登録時)の請求項1ないし4に係る発明の特許は、ア.特許法第17条の2第3項の規定に違反して特許されたものであり、イ.特許法第36条第4項又は第6項の規定に違反して特許されたものであり、若しくはウ.特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、無効にすべきものである」(上記第3、1.の(2)を参照。)というものである。また、訂正請求については、「逆止弁」について説明する訂正が不適法であると主張している(上記第4、3.(3)カ.及び上記第4、4.(3)を参照。)ものの、訂正後の請求項1ないし4に係る発明に無効理由があるとの主張はしていない。

(2)上記第4の3.及び4.で検討したとおり、訂正請求は適法であるし、仮に、訂正前の特許請求の範囲又は明細書に、特許法第17条の2第3項の規定、特許法第36条第4項又は第6項の規定に違反する事項が記載されていたとしても、それらは、訂正後の特許請求の範囲又は明細書には記載されておらず、解消している。
また、請求人は、「仮に、訂正請求が認められた場合は、訂正後の請求項1ないし4に係る発明の特許について、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるとの主張はしない」と主張している(上記第3、1.の(3)を参照。)
そうすると、訂正請求によって訂正された後の、請求項1ないし4に係る発明の特許には、請求人の主張するいずれの無効理由も存在しないから、本件の請求項1ないし4に係る発明の特許を無効にすべき理由はない。

2.その他の無効理由について
念のため、請求人が、訂正前(特許登録時)の請求項1ないし4に係る発明の特許に対して主張していた無効理由が、訂正された後の請求項1ないし4に係る発明の特許に対して該当するかを検討する。

(1)特許法第17条の2第3項について
請求人が、訂正前の本件特許の発明に対して主張していた、特許法第17条の2第3項に関する無効理由は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「空気供給手段」が記載されていなかったところ、平成22年9月24日付けでした手続補正によって「空気供給手段」が導入された。この「空気供給手段」は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではないから、訂正前の請求項1の構成要件e)の「空気供給手段」は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである(審判請求書第8頁第16行?第9頁第9行を参照。)。
訂正前の請求項1に記載されていた「空気供給手段」は、訂正請求によって、「空気供給源」と訂正された。そして、「空気供給源」は、本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0022】などに記載されていた事項である。したがって、特許法第17条の2第3項に関する無効理由は、訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面には、存在しない。

(2)特許法第36条第4項又は第6項について
請求人が、訂正前の本件特許の発明に対して主張していた、特許法第36条第4項又は第6項に関する無効理由は、大要、訂正前の明細書又は特許請求の範囲に記載された「送液流路」、「逆止弁」などが、明確でない、というものである(審判請求書第9頁第10行?第16頁第24行を参照。)。
しかしながら、これら記載は、訂正によって明確となっている。
口頭審理陳述要領書における、「逆止弁」について説明する訂正が不適法であるとの請求人の主張(上記第4、3.(3)カ.及び上記第4、4.(3)を参照。)は、訂正後の明細書又は特許請求の範囲の記載にも不備があるとの主張を含むと解する余地が無いとはいえないものの、これら請求人の主張は、当業者の技術常識に基づかない、請求人独自の見解と認められ、採用することはできないものであることは、上記第4、3.(3)キ.及びク.並びに上記第4、4.(3)で指摘したとおりである。
したがって、特許法第36条第4項又は第6項に関する無効理由は、訂正後の明細書、特許請求の範囲又は図面には、存在しない。

(3)特許法第29条第2項について
ア.請求人が主張していた無効理由
請求人が、訂正前の本件特許の発明に対して主張していた、特許法第29条第2項に関する無効理由は、審判請求書第16頁下から第2行?第48頁下から第2行、平成23年12月14日付け回答書第5頁第8行?第9頁第7行、同回答書で引用している平成23年11月11日付け審尋(第5頁第14行?第12頁第8行を参照。)、平成24年2月3日付け回答書(2)の第10頁第10行?第13頁第3行の記載などから見て、請求人は、訂正前の本件特許の発明は、甲第2号証に記載の発明に、甲第3号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載の発明を適用することにより、当業者が容易に発明し得たものである、というものと認める。

イ.甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】減圧機構に接続して減圧した減圧導入槽に、この減圧による負圧を利用して汚液を導入し、この汚液の導入側から排出側に到る流路中に汚液の濾過手段を配置し、この濾過手段により汚液の濾過を行うことを特徴とする汚液の濾過方法。
【請求項2】減圧機構に接続して減圧しこの減圧による負圧を利用して汚液を導入するとともに汚液の排出が可能な減圧導入槽と、この減圧導入槽の導入側から排出側に到る流路中に配置し汚液の濾過を行う濾過手段とから成ることを特徴とする汚液の濾過装置。」
(イ)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は被洗浄物の洗浄に用いる洗浄液、メッキ液、切削若しくは圧延等に用いる処理液、表面処理工程に使用する処理液、その他の汚液中から、汚物を除去する濾過方法及びその装置に係るものである。」
(ウ)「【0014】【作用】本発明は、上述の如く構成したものであり、洗浄作業、メッキ作業、金属素材の切削加工に用いる切削油、その他の濾過を対象とする汚液の濾過を行うには、まず減圧導入槽を減圧機構によって減圧する。この減圧導入槽内の減圧状態に於て、汚液収納部と減圧導入槽とを連通すれば、汚液は減圧導入槽内に負圧によって急激に移送される。この移送は、ポンプを使用するものではないから、減圧導入槽の減圧状態に応じて、汚液収納部内の汚液は急激に迅速な移動を可能とする。」
(エ)「【0016】そして濾過手段は、減圧導入槽への汚液の導入側から排出側に到る流路中に配置すれば良く、減圧導入槽よりも汚液の流入側に設けても良いし、減圧導入槽からの汚液の流出側に設けても良く、また減圧導入槽内に設けても良い。そして、上記汚液の流路に於いて濾過手段により汚液は濾過される。濾過手段により濾過を行った汚液は、汚液収納部に復元し、循環しながら汚液の濾過を行っても良いし、他の適宜の位置に濾過した汚液を収納しても良い。」
(オ)「【0023】【実施例】以下、本発明の一実施例を図1に於て説明すれば、(10)は汚液収納部で、汚液(11)を収納する槽により形成したものでも良いし、汚液の発生源であっても良い。この汚液収納部(10)内に汚液(11)を収納する。この汚液(11)は、汚液収納部(10)内に濾過作業前に収納されたり、濾過作業の完了した後に復元収納したりする事が可能である。この汚液(11)は、被洗浄物の洗浄溶剤であったり、切削油であったり、メッキに使用するメッキ液であるとか、適宜の工業上の処理に使用する液体である。
【0024】また、この汚液収納部(10)には、液排出側に移送配管(12)を接続し、この移送配管(12)を減圧導入槽(13)の液導出側に固定的に接続している。また移送配管(12)には第1開閉弁(14)を形成し、この第1開閉弁(14)と減圧導入槽(13)との間に圧力計(15)を配置する。また、移送配管(12)の第1開閉弁(14)と圧力計(15)の間に、第2開閉弁(16)を配置し、この第2開閉弁(16)介して圧力気体の導入口(17)を接続している。」
(カ)「【0025】また、減圧導入槽(13)内にはフィルター等の濾過手段(18)を形成し、この濾過手段(18)を通過させる事により汚液(11)の濾過を可能としている。そして減圧導入槽(13)には上端を密閉する蓋体(20)を、パッキン(21)等を介して配置するとともに、大気開放弁(22)を接続している。
【0026】また、減圧導入槽(13)の液排出側である下端には、濾過手段(18)を介した位置に汚液(11)の放出管(23)を固定的に接続し、この放出管(23)を、第3開閉弁(24)を介して汚液収納部(10)の液導入側に固定的に接続している。また第3開閉弁(24)と放出管(23)との間には第2圧力計(25)を配置している。そして、放出管(23)には、汚液収納部(10)とは第3開閉弁(24)を介した位置に第4開閉弁(26)を配置し、この第4開閉弁(26)に接続した減圧管(27)に、バキュームポンプ、エゼクター機構等の減圧機構(28)を接続している。この減圧機構(28)には、第4開閉弁(26)との間の減圧管(27)にストレーナー(30)を配置し、流入する切り粉等の大型の汚物の減圧機構(28)への導入を防止している。」
(キ)「【0027】上述の如く構成したものに於て、減圧導入槽(13)を用いて汚液収納部(10)に収納されている汚液(11)の濾過を行うには、第1開閉弁(14)、第2開閉弁(16)、第3開閉弁(24)及び大気開放弁(22)を閉止した後、第4開閉弁(26)を開放し、減圧機構(28)を作動する。この減圧機構(28)の作動により減圧導入槽(13)内は減圧される。そして、減圧導入槽(13)内が一定の減圧状態となった時に、第4開閉弁(26)を閉止した後、第1開閉弁(14)を開放する事により、汚液収納部(10)内の汚液は減圧導入槽(13)内の負圧により、移送配管(12)を介して減圧導入槽(13)内に導入される。
【0028】この、減圧導入槽(13)内への汚液(11)の導入に於いては、ポンプを利用する事なく、汚液(11)の濾過手段(18)への移送を行うから、処理すべきポンプの耐薬品性、耐熱性等に制約される事がない。また、汚液(11)中に含まれる粒子径の大きさ、材質等にかかわりなく、濾過作業を迅速に行う事ができる。また、汚液収納部(10)の下底に堆積した汚物も汚液(11)と共に迅速に濾過手段に導入し、ポンプを用いた作業では困難であった、堆積した汚物の導入も可能となる。」
(ク)「【0029】この汚液の導入後、濾過手段(18)によって汚液(11)を濾過する。この濾過手段による濾過方法は任意の方法を用いることが出来るが、一実施例では減圧導入槽(13)の内周に、フイルター、スクリーン等を配置し、この濾過手段(18)を通過させて汚液(11)を汚液収納部(10)に復元する。
【0030】汚液収納部(10)への減圧導入槽(13)からの汚液(11)の復元は、第1開閉弁(14)、第2開閉弁(16)及び第4開閉弁(26)を閉止した後、大気開放弁(22)及び第3開閉弁(24)を開放する事によって、濾過済みの汚液(11)は汚液収納部(10)に復元が可能となる。そしてこの場合、汚液収納部(10)が減圧導入槽(13)よりも下方に位置する場合であれば、汚液(11)の自重により減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)への移送が簡易に可能となる。また、汚液(11)のより迅速な汚液収納部(10)への復元、若しくは汚液収納部(10)が減圧導入槽(13)と同一平面、若しくは更に上部方向に位置するような場合には、圧力気体の導入口(17)から圧力気体を減圧導入槽(13)に導入する。」
(ケ)「【0031】この圧力気体を用いた、減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)への汚液(11)の移送は、大気開放弁(22)、第1開閉弁(14)および第4開閉弁(26)を閉止した後、第3開閉弁(24)を開放状態として第2開閉弁(16)を開放し、圧力気体の導入口(17)から、圧力気体を減圧導入槽(13)内に導入する。この圧力気体の導入により、減圧導入槽(13)内の汚液(11)は強制的に汚液収納部(10)内に加圧移送する事ができる。そして、この圧力気体の導入により減圧導入槽(13)内の汚液(11)を汚液収納部(10)に圧力移送すれば、迅速な汚液(11)の移送が可能となるばかりでなく、減圧導入槽(13)内に残留し、汚物に付着した汚液(11)も汚物から一定の範囲で剥離されて汚液収納部(10)側に移送されるから汚物の液切りが可能となる。」
(コ)「【0042】また、上記実施例では、濾過手段(18)を減圧導入槽(13)内に配置したが、濾過手段(18)は必ずしも減圧導入槽(13)内に配置する必要はなく、汚液(11)の導入側から排出側に到る流路中に汚液(11)の濾過手段(18)を配置したものでもよい。汚液は減圧導入槽(13)への導入過程または排出過程に於いて濾過手段(18)によって濾過を行うことが可能となる。]
(サ)段落【0016】の「濾過手段は、減圧導入槽への汚液の導入側から排出側に到る流路中に配置すれば良く、減圧導入槽よりも汚液の流入側に設けても良い……」という記載や、段落【0042】の「上記実施例では、濾過手段(18)を減圧導入槽(13)内に配置したが、濾過手段(18)は必ずしも減圧導入槽(13)内に配置する必要はなく、汚液(11)の導入側から排出側に到る流路中に汚液(11)の濾過手段(18)を配置したものでもよい。」という記載から見て、甲第2号証には、汚液収納部(10)と減圧導入槽(13)とを結ぶ移送配管(12)の途中に、濾過手段(18’)(審決注:減圧導入槽(13)内に配置した濾過手段(18)と区別するために、符号に「’」を付加した。)を設ける構成が開示されている。
(シ)上記濾過手段(18’)と第1開閉弁(14)とを組み合わせた構成は、濾過手段(18’)を含む構成であるから、「フィルタユニット」と称することができる。そして、この「フィルタユニット」から汚液収納部(10)に接続される部分の移送配管(12)は、1本のみであるから、この部分を「汚液収納部(10)に接続される単一の汚液収納部接続流路」と称することができる。同様に、この「フィルタユニット」から減圧導入槽(13)に接続される部分の移送配管(12)も、1本のみであるから、この部分を「減圧導入槽(13)に接続される単一の減圧導入槽接続流路」と称することができる。また、濾過手段(18’)の入口側に接続される部分の移送配管(12)は、「濾過手段(18’)の流入口に接続される流入口接続流路」と称することができ、同様に、濾過手段(18’)の出口側に接続される部分の移送配管(12)は、「濾過手段(18’)の流出口に接続される流出口接続流路」と称することができる。
(ス)段落【0026】の「バキュームポンプ、エゼクター機構等の減圧機構(28)」という記載から見て、甲第2号証には、減圧機構(28)としてエゼクター機構を用いることが開示されている。また、エゼクター機構が入口、出口、及び吸引口を有することは、当業者にとって明らかである。
(セ)段落【0014】の「まず減圧導入槽を減圧機構によって減圧する。この減圧導入槽内の減圧状態に於て、汚液収納部と減圧導入槽とを連通すれば、汚液は減圧導入槽内に負圧によって急激に移送される。」や、段落【0027】の「この減圧機構(28)の作動により減圧導入槽(13)内は減圧される。そして、減圧導入槽(13)内が一定の減圧状態となった時に、第4開閉弁(26)を閉止した後、第1開閉弁(14)を開放する事により、汚液収納部(10)内の汚液は減圧導入槽(13)内の負圧により、移送配管(12)を介して減圧導入槽(13)内に導入される。」という記載などから、減圧導入槽(13)が気密であることは明らかである。

ウ.主引用発明1
以上の記載事項及び図1から見て、甲第2号証には、次の発明(以下、「主引用発明1」という。)が記載されている。なお、本審決の末尾に、甲第2号証の図1に、濾過手段(18’)を記載し、フィルタユニットを破線で囲んだ図を参考図2として掲げる。
《主引用発明1》
汚液収納部(10)内の汚液(11)の汚物を除去するための汚液の濾過装置において、
a)気密な減圧導入槽(13)と、
b)前記汚液収納部(10)と減圧導入槽(13)を接続する移送配管(12)と、
c)前記移送配管(12)の途中に設けられ、汚液収納部(10)に接続される単一の汚液収納部接続流路、減圧導入槽(13)に接続される単一の減圧導入槽接続流路、濾過手段(18’)、濾過手段(18’)の流入口に接続される流入口接続流路、濾過手段(18’)の流出口に接続される流出口接続流路、及び第1開閉弁(14)とを有するフィルタユニットと、
d)入口、出口、及び吸引口を有するエゼクター機構(28)と、
g)前記エゼクター機構(28)の吸引口を、前記減圧導入槽(13)の下端に接続する放出管(23)の途中に接続する減圧管(27)と、
h)前記減圧管(27)上に設けられた第4開閉弁(26)と、
i)前記放出管(23)は、前記減圧管(27)と分岐した後、第3開閉弁(24)を介して汚液収納部(10)の液導入側に固定的に接続しているものであり、
j)圧力気体の導入口(17)と、前記減圧導入槽(13)との間を開閉(接続・遮断)する第2開閉弁(16)と、
k)前記減圧導入槽(13)と大気との間を開閉(接続・遮断)する大気開放弁(22)と、
を備え、
第1開閉弁(14)、第2開閉弁(16)、第3開閉弁(24)及び大気開放弁(22)を閉止した後、第4開閉弁(26)を開放し、エゼクター(28)の作動により減圧導入槽(13)内を減圧し、減圧導入槽(13)内が一定の減圧状態となった時に、第4開閉弁(26)を閉止し、第1開閉弁(14)を開放する事により、汚液収納部(10)内の汚液を減圧導入槽(13)内の負圧により、移送配管(12)と濾過手段(18’)を介して減圧導入槽(13)内に導入し、
第1開閉弁(14)、第4開閉弁(26)を閉止した後、第3開閉弁(24)を開放し、さらに第2開閉弁(16)を開放して圧力気体の導入口(17)から圧力気体を減圧導入槽(13)に導入することにより、放出管(23)を介して減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元するものであって、
汚液(11)の復元時に、第1開閉弁(14)の閉止により、導入時と逆方向に濾過手段(18’)を通過することが防止される汚液の濾過装置。

エ.本件発明1と主引用発明1との対比
本件の請求項1に係る発明は、上記第5の【請求項1】に記載した事項によって特定されるものである(以下、「本件発明1」という。)。 本件発明1と、主引用発明1とを対比すると、
主引用発明1の「汚液収納部(10)」は、本件発明1の「被処理液槽」に相当し、同様に、
「汚液(11)」は「被処理液」に、
「汚物」は「異物」に、
「汚液の濾過装置」は「異物除去処理装置」に、
「減圧導入槽(13)」は「回収槽」に、
「移送配管(12)」は「送液流路」に、
「汚液収納部(10)に接続される単一の汚液収納部接続流路」は「被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路」に、
「減圧導入槽(13)に接続される単一の減圧導入槽接続流路」は「回収槽に接続される単一の回収槽接続流路」に、
「濾過手段(18’)」は「フィルタ」に、
「濾過手段(18’)の流入口に接続される流入口接続流路」は「フィルタの流入口に接続される流入口接続流路」に、
「濾過手段(18’)の流出口に接続される流出口接続流路」は「フィルタの流出口に接続される流出口接続流路」に、
「エゼクター機構(28)」は「エゼクタ」に、
「減圧管(27)」は「吸引管」に、
「第4開閉弁(26)」は「開閉弁」に、
「導入」は「吸引」に、
「復元」は「返送」に、
それぞれ相当する。
また、主引用発明1が、「第1開閉弁(14)、第2開閉弁(16)、第3開閉弁(24)及び大気開放弁(22)を閉止した後、第4開閉弁(26)を開放し、エゼクター(28)の作動により減圧導入槽(13)内を減圧し、減圧導入槽(13)内が一定の減圧状態となった時に、第4開閉弁(26)を閉止し、第1開閉弁(14)を開放する事により、汚液収納部(10)内の汚液を減圧導入槽(13)内の負圧により、移送配管(12)と濾過手段(18’)を介して減圧導入槽(13)内に導入」することと、
本件発明1が、「気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に開閉弁を開き、空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、回収槽内を減圧して被処理液槽内の被処理液をフィルタユニットを介して回収槽に吸引」することとは、
「エゼクタによって回収槽内を減圧し、フィルタユニットを介して被処理液を回収槽に吸引」する限りにおいて、一致する。
そして、主引用発明1が、「第1開閉弁(14)、第4開閉弁(26)を閉止した後、第3開閉弁(24)を開放し、さらに第2開閉弁(16)を開放して圧力気体の導入口(17)から圧力気体を減圧導入槽(13)に導入することにより、放出管(23)を介して減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を移送する」ことと、
本件発明1が、「気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に開閉弁を閉じ、空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、回収槽内を加圧して回収槽内の被処理液をフィルタユニットを介して被処理液槽に返送する」こととは、
「回収槽内を空気で加圧して、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する」限りにおいて、一致する。
また、主引用発明1が、「汚液(11)の復元時に、第1開閉弁(14)の閉止により、導入時と逆方向に濾過手段(18’)を通過することが防止される」ことと、
本件発明1において、「逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、被処理液槽接続流路と流入口接続流路、及び流出口接続流路と回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、被処理液の返送時には、複数の弁を切り替えることにより、被処理液槽接続流路と流入口接続流路、及び流出口接続流路と回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って回収槽接続流路から被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、により」、「被処理液の返送時に、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することが防止される」こととは、
「弁により、被処理液の返送時に、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することが防止される」限りにおいて、一致する。
そして、主引用発明1の「第1開閉弁(14)」と、本件発明1の「逆止弁」とは、被処理液を被処理液槽に返送するときに、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁である限りにおいて、一致する。

オ.本件発明1と主引用発明1の一致点
すると、本件特許発明1と、主引用発明1とは、次の一致点で一致する。
《本件発明1と主引用発明1との一致点》
被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a)気密な回収槽と、
b)前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c)前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び被処理液を被処理液槽に返送するときに、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁、を有するフィルタユニットと、
d)入口、出口、及び吸引口を有するエゼクタと、
g)前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h)前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記エゼクタによって前記回収槽内を減圧し、前記フィルタユニットを介して前記被処理液を前記回収槽に吸引し、
前記回収槽内を空気で加圧して、前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送するものであって、
前記吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁により、前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される異物除去処理装置。

カ.本件発明1と主引用発明1の相違点
(ア)本件特許発明1では、エゼクタが、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタであり、エゼクタの入口に接続され該入口に空気を供給する空気供給手段を備えている。そして、これら構成により、被処理液を回収槽に吸引する際、エゼクタによる減圧作用を働かせながら被処理液を回収槽に吸引する(段落【0024】の「次に、図2を用いて、吸引時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。……このように空気供給源21からの空気がエゼクタ22を通過することにより、回収槽16内の気体は槽内吸排気管236、吸引管233を通ってエゼクタ22により吸引される(図2中の流路G2)。」を参照。)。また、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する際、エゼクタの出口からの空気により回収槽内を加圧している(段落【0026】の「次に、図3を用いて、返送時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。……空気は、出口管232から供給管234に向けて流れるように空気用三方弁26を切り替える(図3中の流路G3)。これにより、空気は、空気供給源21からエゼクタ22の入口221、出口222、出口管232、供給管234を通って槽内吸排気管236から回収槽16内に供給される。」を参照。)。
一方、主引用発明1では、エゼクター機構(28)が、入口から出口に空気を通過させるものか不明であり、かつ、吸引口から汚液(11)と気体を吸引するエゼクター機構である(段落【0026】の「この減圧機構(28)には、第4開閉弁(26)との間の減圧管(27)にストレーナー(30)を配置し、流入する切り粉等の大型の汚物の減圧機構(28)への導入を防止している。」を参照。)。そして、これら構成により、減圧導入槽(13)内の負圧によって汚液(11)を減圧導入槽(13)に導入する際、エゼクター機構(28)による減圧作用は終了している(段落【0027】の記載を参照。)。また、減圧導入槽(13)内の汚液(11)を汚液収納部(10)に復元する際は、エゼクター機構(28)とは別に設けた圧力気体の導入口(17)から、減圧導入槽(13)内に圧力気体を導入して減圧導入槽(13)内を加圧している(段落【0031】の記載を参照。)。
したがって、本件特許発明1と、主引用発明1とは、まず、次の相違点1で相違する。
《相違点1》
本件発明1では、エゼクタが、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタであり、エゼクタの入口に接続され該入口に空気を供給する空気供給手段を備えており、
被処理液を回収槽に吸引する際、エゼクタによる減圧作用を働かせながら被処理液を回収槽に吸引し、
回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する際、エゼクタの通常の動作ではエゼクタの出口から大気へ排出されるべき空気、により回収槽内を加圧するのに対し、
主引用発明1では、エゼクター機構(28)が、入口から出口に空気を通過させるものか不明であり、かつ、吸引口から汚液(11)と気体を吸引するエゼクター機構であり、
減圧導入槽(13)内の負圧によって汚液(11)を減圧導入槽(13)に導入する際、エゼクター機構(28)による減圧作用は終了しており、
減圧導入槽(13)内の汚液(11)を汚液収納部(10)に復元する際、エゼクター機構(28)とは別に設けられた、圧力気体の導入口(17)からの圧力気体により減圧導入槽(13)内を加圧する点。

(イ)そして、相違点1に係る被処理液(汚液)の吸引(導入)、返送(復元)を行わせるための、複数の弁の組合せ、配置、及びそれら複数の弁の開閉又は切り替え操作方法が、次の相違点2に示すように相違している。
《相違点2》
本件発明1では、回収槽の気体を吸引するためのエゼクタの吸引口に開閉弁が接続されると共に、エゼクタの出口を大気又は回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁を備えており、
エゼクタによって回収槽内を減圧しフィルタユニットを介して被処理液を回収槽に吸引する際、気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に開閉弁を開き、空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、回収槽内を減圧して被処理液槽内の被処理液をフィルタユニットを介して回収槽に吸引し、
回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する際、気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に開閉弁を閉じ、空気供給手段によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、回収槽内を加圧して回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送するのに対し、
主引用発明1では、減圧導入槽(13)から汚液(11)と気体を吸引するエゼクター機構(28)の吸引口に第4開閉弁(26)が接続されると共に、エゼクター機構(28)の出口には、流路切替弁が備えられておらず、かつ、エゼクター機構(28)の出口が減圧導入槽(13)に接続されることはなく、
減圧導入槽(13)内の負圧によって汚液(11)を減圧導入槽(13)に導入する際、第1開閉弁(14)、第2開閉弁(16)、第3開閉弁(24)及び大気開放弁(22)を閉止した後、第4開閉弁(26)を開放し、エゼクター機構(28)の作動により減圧導入槽(13)内を減圧し、減圧導入槽(13)内が一定の減圧状態となった時に、第4開閉弁(26)を閉止し、第1開閉弁(14)を開放する事により、汚液収納部(10)内の汚液を減圧導入槽(13)内の負圧により、移送配管(12)と濾過手段(18’)を介して減圧導入槽(13)内に導入し、
減圧導入槽(13)内の汚液(11)を汚液収納部(10)に復元する際、第1開閉弁(14)、第4開閉弁(26)を閉止した後、第3開閉弁(24)を開放し、さらに第2開閉弁(16)を開放して、エゼクター機構(28)とは別に設けられた、圧力気体の導入口(17)から圧力気体を減圧導入槽(13)に導入することにより、減圧導入槽(13)内を加圧して減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元する点。

(ウ)本件発明1と、主引用発明1とは、次の相違点3でも相違する。
《相違点3》
本件発明1では、被処理液を被処理液槽に返送するときに、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁は、「逆止弁」であり、この「逆止弁」は、「逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、 被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、被処理液槽接続流路と流入口接続流路、及び流出口接続流路と回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、 被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、被処理液槽接続流路と流入口接続流路、及び流出口接続流路と回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って回収槽接続流路から被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するもの」であり、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する時は、被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、被処理液を回収槽に吸引する時とは逆方向に流れ、フィルタユニットを介して被処理液槽に被処理液を返送するが、被処理液の返送時に、吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止されるのに対し、
主引用発明1では、被処理液を被処理液槽に返送するときに、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁は、「第1開閉弁(14)」であり、減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元する時は、移送配管(12)の一部である汚液収納部接続流路及び減圧導入槽接続流路、及びフィルタユニットを通らず、移送配管(12)とは別の放出管(23)を介して減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元することにより、汚液点を復元する時は、導入時と逆方向に濾過手段(18’)を通過することが防止される点。

キ.本件発明1と主引用発明1との相違点の検討
(ア)相違点1について
甲第4号証には、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタ(エアエジェクタ13)と、該エゼクタの入口に接続され該入口に空気を供給する空気供給源(エア源30)とを備えており、
被処理液(研削液26)を回収槽(ヘドロ貯留容器1)に吸引する際、エゼクタによる減圧作用を働かせながら被処理液を回収槽に吸引し、
ヘドロ貯留容器1内の研削液26を帰還タンク27に排出する際、エゼクタの出口に接続されたエアエジェクト電磁弁19を閉鎖することにより、エゼクタの通常の動作ではエゼクタの出口から大気へ排出されるべき空気を、エゼクタの吸引口を介して回収槽内に導入して加圧する技術が記載されている。
上記甲第4号証記載の技術は、主引用発明1と技術分野が同じであるから、主引用発明1のエゼクター機構(28)、圧力気体の導入口(17)等に代えて、上記甲第4号証記載の技術を適用し、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ)相違点2について
イ-1)甲第4号証には、上記(ア)で指摘した技術が記載されているが、甲第4号証のエアエジェクタ13は、吸引口と回収槽(ヘドロ貯留容器1)との間の流路に開閉弁を備えておらず、かつ、エアエジェクタ13の出口に接続されたエアエジェクト電磁弁19は、開閉弁であって、大気又は回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁ではない。そして、エアエジェクタの出口に、大気又は加圧対象(本件発明1では回収槽)のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁を設けることは、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、エアエジェクタの出口に、大気又は回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁を設ける動機付けも、記載も示唆もされていない。
イ-2)また、甲第4号証に記載された1個のエアエジェクタ13でヘドロ貯留容器1の減圧及び加圧を行う構成では、エアエジェクタ13の吸引口がヘドロ貯留容器1に直結されており、該吸引口を介して、ヘドロ貯留容器1の減圧及び加圧の双方を行っている。そうすると、主引用発明1では、エゼクター機構(28)、第4開閉弁(26)、第2開閉弁(16)、大気開放弁(22)などで実現している減圧導入槽(13)の減圧及び加圧を行う構成(各構成要素に係る構成及びそれらの結合構成)を、甲第4号証に記載された1個のエアエジェクタ13でヘドロ貯留容器1の減圧及び加圧を行う構成に置換するに際し、換言すれば、相違点1について検討した上記甲第4号証記載の技術を適用するに際し、甲第4号証に記載されたエアエジェクタ13の吸引口に、開閉弁(本件発明1の開閉弁(吸引弁25)に相当する。)を設ける動機付けがあるとはいえない。また、主引用発明1では、エゼクター機構(28)の吸引口と減圧導入槽(13)との間に第4開閉弁(26)を備えているが、これは、エゼクター機構(28)の吸引口が、減圧導入槽(13)の下端に接続した放出管(23)の途中に接続しているためと認められることから、相違点1について検討した上記甲第4号証記載の技術を適用する際に、第4開閉弁(26)を残しておく動機付けがあるとはいえない。
イ-3)請求人は、甲第10号証及び甲第11号証には、エゼクタの吸引口に、開閉弁(甲第10号証では吸引室14への流路に設けられた開閉弁42と温度応答弁43、甲第11号証では混合器15のオゾン発生器20への流路に設けられた電磁バルブ35。)を設けることが示されていることなどから、エゼクタの吸引口に開閉弁を設けることは、単なる設計的事項である旨主張している(平成24年2月3日付け回答書(2)の第10頁第18行?第11頁第15行を参照。)。しかしながら、単に、エゼクタの吸引口に開閉弁を設ける構成であれば、甲第10号証や甲第11号証を示すまでもなく、上記イ-2)で指摘したとおり、主引用発明1の構成である。相違点2に係る構成の一部である、エゼクタの吸引口に開閉弁を設けることが、容易想到であるか否かは、単に、その構成が一般的な設計的事項であるか否かではなく、相違点1について検討した上記甲第4号証記載の技術を適用するに際し、エアエジェクタ13の吸引口に開閉弁を設けるように設計変更する動機付けがあるか否かによって判断すべき事項であるところ、そのような動機付けがないことは、上記イ-2)で指摘したとおりである。
イ-4)以上のとおりであって、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証のいずれにも、エアエジェクタの出口に、大気又は回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁を設けることも、回収槽に接続されたエアエジェクタの吸引口に開閉弁を設けることも、記載も示唆もされていないし、そのような構成にする動機付けも、記載も示唆もされていない。まして、これら構成を同時に採用することは、記載も示唆もされておらず、これら構成を同時に採用する動機付けも、記載も示唆もされていない。
イ-5)そうすると、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、相違点2に係る本件発明1の構成を得ることは、当業者が容易に推考し得たことであるとはいえない。

(ウ)相違点3について
相違点3に係る本件発明1の構成は、要するに、複数の弁を組み合わせることにより、被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を流れる被処理液の方向は、被処理液の吸引時と返送時とで逆方向になり、いずれの場合でもフィルタユニットを通過するものの、被処理液の返送時に、被処理液がフィルタを逆方向に通過することが防止される構成にすることである。そして、このような構成は、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載も示唆もされておらず、これら構成を採用する動機付けも、記載も示唆もされていない。
したがって、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、相違点3に係る本件発明1の構成を得ることは、当業者が容易に推考し得たことであるとはいえない。

(エ)相違点の検討のまとめ
以上のとおりであって、相違点2及び相違点3に係る構成は、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載も示唆もされておらず、これら構成を採用する動機付けも、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1は、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(オ)請求項2ないし請求項4に係る発明について
本件特許の請求項2ないし請求項4に係る発明は、直接的又は間接的に本件発明1を引用しているから、いずれも本件発明1の構成をすべて備えている発明である。そうすると、上記のとおり、当業者が本件発明1を容易に発明することができたとはいえないから、本件特許の請求項2ないし請求項4に係る発明も、同様の理由により、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ク.主引用発明2
上記イの記載事項及び図1から見て、甲第2号証には、主引用発明1のフィルタユニットに、放出管(23)の一部と第3開閉弁(24)とを加えた構成をフィルタユニットとする、次の発明(以下、「主引用発明2」という。)も記載されているといえる(本審決末尾の参考図2を参照。)。
主引用発明2では、汚液収納部(10)に接続される汚液収納部接続流路、及び減圧導入槽(13)に接続される減圧導入槽接続流路は、主引用発明1と異なって単一ではなく、それぞれ2本である点が異なる。また、主引用発明1では、「吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁」は、「第1開閉弁(14)」であるのに対し、主引用発明2では、「第1開閉弁(14)」と「第3開閉弁(24)」との組み合わせである点で相違するから、構成要件j)の末尾部分が相違する。その他の点は、主引用発明1と同じである。
主引用発明2の構成要件c)と、構成要件j)の末尾部分を示せば、次のとおりである。
《主引用発明2の構成要件c)》
c)前記移送配管(12)の途中に設けられ、汚液収納部(10)に接続される2本の汚液収納部接続流路、減圧導入槽(13)に接続される2本の減圧導入槽接続流路、濾過手段(18’)、濾過手段(18’)の流入口に接続される流入口接続流路、濾過手段(18’)の流出口に接続される流出口接続流路、第1開閉弁(14)及び第3開閉弁(24)を有するフィルタユニットと、
《主引用発明2の構成要件j)の末尾部分》
j)……汚液(11)の復元時に、第1開閉弁(14)の閉止及び第3開閉弁(24)の開放により、導入時と逆方向に濾過手段(18’)を通過することが防止される汚液の濾過装置。

ケ.本件発明1と主引用発明2との対比及び一致点
本件発明1と主引用発明2との一致点は、本件発明1と主引用発明1との一致点における構成要件c)(上記オ.を参照。)で、「単一の」を除去した点で相違する。
また、本件発明1の「逆止弁」と、主引用発明2の「第1開閉弁(14)」と「第3開閉弁(24)」との組み合わせとは、いずれも「吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁」である点で一致し、さらに、「複数の弁を組み合わせたものであって、 被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、流出口接続流路と回収槽接続流路とを接続し、 被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、流出口接続流路と回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って液が流れるように流路を接続するものであること」である限りにおいて、一致する。よって、本件発明1と主引用発明2との一致点は、本件発明1と主引用発明1との一致点における構成要件h)でも相違する。
そして、その余の点では、本件発明1と主引用発明2との一致点は、本件発明1と主引用発明1との一致点と同じである。
本件発明1と主引用発明2の一致点における構成要件c)及びh)を示せば、下記のとおりである。
《本件発明1と主引用発明2との一致点の構成要件c)》
c)前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される被処理液槽接続流路、回収槽に接続される回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び被処理液を被処理液槽に返送するときに、吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁、を有するフィルタユニットと、
《本件発明1と主引用発明2との一致点の構成要件h)》
h)前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記エゼクタによって前記回収槽内を減圧し、前記フィルタユニットを介して前記被処理液を前記回収槽に吸引し、
前記回収槽内を空気で加圧して、前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送するものであって、
前記吸引時とは逆方向に被処理液がフィルタを通過することを防止するための弁が、複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って液が流れるように流路を接続するものであること
により、
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される異物除去処理装置。

コ.本件発明1と主引用発明2の相違点
本件発明1と主引用発明2とは、上記相違点1及び相違点2(上記カ.(ア)及び(イ)を参照。)の点で相違し、さらに次に示す相違点3’の点で相違する。
《相違点3’》
本件発明1では、フィルタユニットから被処理液槽被処理液槽に接続される処理液槽接続流路、及びフィルタユニットから回収槽に接続される回収槽接続流路が、それぞれ単一の流路であり、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する時は、被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、被処理液を回収槽に吸引する時とは逆方向に流れるのに対し、
主引用発明2では、フィルタユニットから被処理液槽被処理液槽に接続される処理液槽接続流路、及びフィルタユニットから回収槽に接続される回収槽接続流路が、それぞれ2本であり、減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元する時は、移送配管(12)の途中に設けられた汚液収納部接続流路及び減圧導入槽接続流路を通らず、移送配管(12)とは別に設けられた汚液収納部接続流路及び減圧導入槽接続流路である放出管(23)を介して減圧導入槽(13)から汚液収納部(10)へ汚液(11)を復元する点。

サ.本件発明1と主引用発明2との相違点の検討
(ア)相違点1及び相違点2について
本件発明1と主引用発明2との相違点1及び相違点2は、本件発明1と主引用発明1との相違点1及び相違点2と同じであるから、それらの容易想到性についての判断は、上記キ.(ア)及び(イ)で検討したとおりである。すなわち、相違点1については、当業者が容易に想到し得たことであり、相違点2については、当業者が容易に想到し得たことではない。

(イ)相違点3’について
相違点3’について検討すると、フィルタユニットから被処理液槽被処理液槽に接続される処理液槽接続流路、及びフィルタユニットから回収槽に接続される回収槽接続流路を、それぞれ単一の流路とし、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する時は、被処理液槽接続流路及び回収槽接続流路を、被処理液を回収槽に吸引する時とは逆方向に流れるようにすることは、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、そのような構成にする動機付けも、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、相違点3’に係る本件発明1の構成を得ることは、当業者が容易に推考し得たことであるとはいえない。

(ウ)相違点の検討のまとめ
以上のとおりであって、相違点2及び相違点3’に係る構成は、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載も示唆もされていないし、これら構成を採用する動機付けも、記載も示唆もされていない。したがって、本件発明1は、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本件特許の請求項2ないし請求項4に係る発明は、直接的又は間接的に本件発明1を引用しており、いずれも本件発明1の構成をすべて備えている発明であるから、本件特許の請求項2ないし請求項4に係る発明も、本件発明1で検討したのと同様の理由により、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第10号証、並びに甲第11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであって、請求人が主張する無効理由は、いずれも理由がない。また、他に、本件の請求項1ないし請求項4に係る発明の特許を無効にすべき理由を発見しない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定によりさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲




 
発明の名称 (54)【発明の名称】
異物除去処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密部品の製造工程には、精密部品に付着した切粉などの異物を除去するための洗浄工程が含まれる。この洗浄には、被洗浄物(精密部品)を有機溶剤や水性の洗浄液に浸漬し、超音波振動を与えて異物を被洗浄物の表面から除去する超音波洗浄がよく用いられる。
【0003】
洗浄後は被洗浄物表面の異物は洗浄液に移転し、洗浄液内に浮遊したり、被処理液槽の底に沈殿したりする。この状態で洗浄液を使用し続けると、異物が被洗浄物に再付着してしまう。
【0004】
そのため、洗浄液の異物を定期的に除去する作業が必要となる。特許文献1には、フィルタ及びその下流側に送液ポンプを設けた、洗浄液の循環濾過経路を有する超音波洗浄装置が記載されている。この装置では、送液ポンプにより洗浄液を循環濾過経路に循環させ、フィルタにおいて異物を除去している。しかし、このように送液ポンプをフィルタの下流側に設けると、フィルタが送液の抵抗となるため、通常の送液ポンプでは吸引力が不足して異物の除去ができなくなることがある。
【0005】
特許文献2には、真空ポンプにより、懸濁液を貯留槽から導入管を通して減圧槽内に吸引し、該減圧槽内で懸濁液中の気泡を除去する装置が記載されている。この文献では、前記導入管の途中にフィルタを設けることができる、とされている。この装置では、送液ポンプよりも吸引力の高い真空ポンプを用いているため、超音波洗浄装置の洗浄液よりも更に粘性の高い懸濁液であっても、フィルタを通して吸引することができる。
しかし、特許文献2に記載の装置は、真空ポンプを用いることにより、送液ポンプよりも初期コストが高くなると共に、メンテナンスの手間がより多くかかる。また、特許文献2に記載の装置では、濾過(及び気泡の除去)処理が終了した液体は、減圧槽内に貯留されており、人力又は別途設けた返送装置により元の貯留槽に戻す必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11-076714号公報([0003],図3)
【特許文献2】特開平5-115705号公報([0011]?[0016],図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、低コストでメンテナンスが容易であり、処理対象の液(被処理液)内の異物を除去した後に該液を元の槽(被処理液槽)に返送することができる異物除去処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明は、被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a)気密な回収槽と、
b)前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c)前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、
d)入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給源と、
f)前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g)前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h)前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、
により、
前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び前記回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること、及び
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される
ことを特徴とする。
なお、本件明細書および特許請求の範囲に記載した「逆止弁」は、通常の意味の「逆止弁」とは異なり、管路の圧力等により弁自らが開閉状態や流路切替状態を変化させる機能を有する弁は含まない。
【発明の実施の形態及び効果】
【0009】
本発明に係る異物除去処理装置において、回収槽には、後述のように内部を減圧及び加圧するために、気密なものを用いる。この減圧及び加圧を行うために、エゼクタ、切替弁及び吸引管を用いる。
気体流路切替弁は、エゼクタの出口から排出される気体を、大気又は回収槽のいずれかに送出するための弁である。気体流路切替弁として、エゼクタの出口と大気に開放される管と回収槽に接続される管の合流点に三方弁を設けることができる。また、大気開放管と回収槽接続管にそれぞれ開閉弁を設けていずれか一方のみが開状態になるように制御することにより、これら2つの開閉弁を気体流路切替弁として機能させることができる。
【0010】
フィルタユニットは、後述のように被処理液が被処理液槽から回収槽に吸引される時に被処理液中の異物を除去するためのものである。フィルタには、被処理液から異物を除去するために通常用いられているフィルタをそのまま用いることができる。
また、フィルタユニットは、後述のように被処理液を回収槽から被処理液槽に返送する時に被処理液が前記吸引時と逆方向にフィルタを通過する(逆流する)ことを防ぐための逆止弁を有する。これにより、吸引時にフィルタに捕獲された異物が返送時に被処理液に再度混入することを防ぐ。返送時の被処理液の流路については、後述するように各種構成をとることができる。
【0011】
本発明に係る異物除去処理装置の作用を説明する。この装置では(1)まず、被処理液槽内の被処理液を回収槽に吸引し、(2)次に、回収槽内の被処理液を被処理液槽に返送する。以下、これらの動作を詳しく説明する。
【0012】
(1)吸引時
切替弁を、エゼクタの出口と大気の接続に切り替え、吸引管の開閉弁を開とする。
エゼクタの入口に空気を供給すると、回収槽内の空気がエゼクタの吸引口から吸引され、回収槽内が減圧される。これにより、被処理液が被処理液槽から送液流路を介して回収槽に吸引され、送液流路上に設けられたフィルタで被処理液内の異物が除去される。
被処理液槽内の被処理液がほぼ全て回収槽に吸引された後、被処理液槽内に残留する異物を洗浄することができる。
【0013】
(2)返送時
切替弁を、エゼクタの出口と回収槽の接続に切り替え、吸引管の開閉弁を閉とする。
エゼクタの入口に空気を供給すると、その空気は回収槽に供給され、回収槽内が加圧される。これにより、被洗浄液は回収槽から被処理液槽に押し出される。その際、逆止弁の作用により、被処理液がフィルタを逆流することはない。被洗浄液が全て被処理液槽に返送されると、異物除去処理は終了する。
【0014】
次に、返送流路について詳しく説明する。
第1の構成例は、流路切替弁を2つ用いて構成される。第1の弁は、被処理液槽からフィルタの流入口への流路とフィルタの流出口から被処理液槽への流路を切り替える。第2の弁は、回収槽からフィルタの流入口への流路とフィルタの流出口から回収槽への流路を切り替える。いずれの流路切替弁にも、2つの流路の分岐点に設けた三方弁を用いることができる。或いは、2つの流路にそれぞれ設けた開閉弁を用いることもできる。
第1の構成例の動作を説明する。吸引時には、第1の流路切替弁ではフィルタの流入口側の流路を、第2の流路切替弁ではフィルタの流出口側の流路を、それぞれ開状態にする。これにより、被処理液は流入口から流出口に向かってフィルタを通過する。次に、返送時には、第1の流路切替弁ではフィルタ流出口側の流路を、第2の流路切替弁ではフィルタ流入口の流路を、それぞれ開状態にする。これにより、被処理液は吸引時と同様に流入口から流出口に向かってフィルタを通過し、逆流することはない。従って、第1の構成例を用いた場合には、被処理液は送液時及び返送時共に同じフィルタを通過し、2回、フィルタリングが行われる。
【0015】
第2の構成例では、フィルタを通過するフィルタ流路とは別に、フィルタを通らないバイパス流路を設ける。そして、フィルタ流路とバイパス流路を切り替える流路切替弁を設ける。バイパス流路には別途フィルタを設けてもよいし、被処理液がそれほど汚れていない場合やコスト低減を優先する場合には、そのようなフィルタを設けなくてもよい。
この構成例の動作を説明する。吸引時には、流路切替弁はフィルタ流路側を開状態にする。これにより、被処理液はフィルタ流路中にあるフィルタを通過する。返送時には、流路切替弁はバイパス流路側を開状態にする。これにより、被処理液はフィルタを通過することなく被処理液槽に返送される。前記別途のフィルタを設けた場合には、返送時にそのフィルタを通過するため、被処理液は2回、フィルタリングされる。
【0016】
(本発明の効果)
本発明では、被処理液を吸引してフィルタを通過させるための吸引装置としてエゼクタを用いているため、送液ポンプや真空ポンプを吸引装置として用いるよりも装置のコストを抑えることができる。エゼクタは送液ポンプや真空ポンプ等よりもメンテナンスが容易であり、装置の保守コストも抑えることができる。
【0017】
また、本発明では、被処理液を回収槽に吸引して回収した後、人手を用いることなく、被処理液を回収槽から被処理液槽に返送することができる。この返送のための装置は、エゼクタを用いた被処理液吸引装置において、エゼクタの出口と回収槽を接続して前記切替弁を設けただけの簡単な構成から成る。そのため、装置を小型化しコストを抑えることができる。
【0018】
更に、前記第1の返送流路構成例を用いた場合には、1個のフィルタを用いて吸引時及び返送時の2回のフィルタリングを行うことができるため、低コストで高い異物の除去効果が得られる。
【実施例】
【0019】
本発明に係る異物除去処理装置の実施例を、図1?図5を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である異物除去処理装置10の概略構成図である。被処理液槽11は、異物121を含む被処理液12を貯留するタンクである。異物121は被処理液12中に浮遊しており、更には被処理液槽11の底に沈澱している場合もある。被処理液12として、前述の超音波洗浄用の洗浄液の他に、金属を切削する際に用いるクーラント液等が挙げられる。
【0020】
異物除去処理装置10は、被処理液を被処理液槽11内から後述の回収槽16に吸引し、回収槽16から被処理液槽11に返送するための流路を有し、その途中にフィルタユニット14を有する。フィルタユニット14は、被処理液の濾過用のフィルタ141、流入口側送液管132、流出口側送液管133、被処理液槽側三方弁151及び回収槽側三方弁152から成る。また、被処理液槽11とフィルタユニット14の間には処理液槽側送液管131を、回収槽16とフィルタユニット14の間には回収槽側送液管134を、それぞれ設ける。
フィルタ141、各送液管及び三方弁は、以下のように接続されている。被処理液槽側送液管131は、被処理液槽11と被処理液槽側三方弁151に接続されている。流入口側送液管132は、フィルタ141の流入口142から延びて途中で二手に分岐し、その一方は被処理液槽側三方弁151に、他方は回収槽側三方弁152に接続されている。流出口側送液管133は、フィルタ141の流出口143から延びて途中で二手に分岐し、その一方は被処理液槽側三方弁151に、他方は回収槽側三方弁152に接続されている。回収槽側送液管134は、回収槽側三方弁152と回収槽16に接続されている。
【0021】
回収槽16は気密容器から成る。回収槽16内に、回収槽側送液管134の一方の端、及び後述の空気吸引・供給装置20の槽内吸排気管236の一方の端が挿入されている。
【0022】
次に、空気吸引・供給装置20の構成を説明する。
空気吸引・供給装置20は空気供給源21とエゼクタ22を有する。空気供給源21には空気圧縮機を用いる。エゼクタ22は、入口221、出口222及び吸引口223を有する。
空気吸引・供給装置20内は以下のように配管されている。エゼクタ22には、空気供給源21と入口221を結ぶ入口管231と、出口222と後述の空気用三方弁26を結ぶ出口管232と、吸引口223から延びる吸引管233が接続されている。空気用三方弁26の3つの弁にはそれぞれ、前述の出口管232と、吸引管233と結ぶ供給管234と、外気と接続される排気管235が接続される。更に、空気吸引・供給装置20は、先端が回収槽16内に挿入され吸引管233及び供給管234と接続される槽内吸排気管236を有する。
入口管231の途中に、エゼクタ22への空気の供給量を調整する空気供給弁241、及び圧力調整器242を設ける。また、吸引管233の途中に吸引弁25を設ける。
【0023】
この異物除去処理装置10の動作を説明する。
まず、図2に示すように、被処理液槽側送液管131の先端を被処理液槽11内の被処理液12に浸漬する。その際、被処理液槽11の底に沈澱した異物121も除去できるよう、前記送液管の先端は被処理液槽11の底にできるだけ近づけておく。
【0024】
次に、図2を用いて、吸引時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。
被処理液の流路は以下のように設定する。被処理液槽側送液管131から流入口側送液管132へ流路を形成するように被処理液槽側三方弁151を設定すると共に、流出口側送液管133から回収槽側送液管134へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定する。これにより、被処理液槽側送液管131、流入口側送液管132、フィルタ141、流出口側送液管133、回収槽側送液管134の順で通過する被処理液の流路L1が形成される。
空気の流路は以下のように設定する。出口管232から排気管235に向けて気体が流れるように空気用三方弁26を設定したうえで、空気供給弁241を開にすると共に、吸引弁25を開にする。これにより、空気は空気供給源21から入口管231、エゼクタ22、出口管232及び空気用三方弁26を通って排気管235から外部に排出される(図2に示した流路G1)。このように空気供給源21からの空気がエゼクタ22を通過することにより、回収槽16内の気体は槽内吸排気管236、吸引管233を通ってエゼクタ22により吸引される(図2中の流路G2)。
【0025】
これにより、回収槽16内が減圧され、被処理液槽11内の被処理液12は流路L1を通って回収槽16内に吸引される。その際、被処理液12中の異物はフィルタ141により除去される。被処理液12が全て回収槽16に吸引された後、吸引弁25を閉鎖する。
【0026】
次に、図3を用いて、返送時における空気及び被処理液の流路の設定を説明する。
被処理液の流路は以下のように設定する。回収槽側送液管134から流入口側送液管132へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定すると共に、流出口側送液管133から被処理液槽側送液管131へ流路を形成するように回収槽側三方弁152を設定する。これにより、回収槽側送液管134、流入口側送液管132、フィルタ141、流出口側送液管133、被処理液槽側送液管131をこの順で通る流路L2が形成される。ここで、回収槽側三方弁152は回収槽送液管134から流出口側送液管133への流路を閉鎖するため、被処理液がフィルタ141を逆流することを防ぐ逆止弁として機能している。
空気は、出口管232から供給管234に向けて流れるように空気用三方弁26を切り替える(図3中の流路G3)。これにより、空気は、空気供給源21からエゼクタ22の入口221、出口222、出口管232、供給管234を通って槽内吸排気管236から回収槽16内に供給される。
【0027】
これにより、回収槽16内が加圧され、回収槽16内の被処理液12は流路L2を通って被処理液槽11内に返送される。その際、被処理液12’は、フィルタ141を吸引時と同じ方向に通過するため、吸引時にフィルタ141に捕獲された異物が被処理液内に混入することが防止されると共に、更に異物を除去することができる。異物が除去された後の被処理液は元の被処理液槽11に貯留され、再度使用することができるようになる。
【0028】
本実施例の異物除去処理装置10では、被処理液を貯留する被処理液槽11と回収槽16の間で被処理液を吸引・返送する間の流路にポンプ等の機器がなく、送液管及びフィルタ以外のものを通過することがない。そのため、そのような機器が被処理液中の異物により故障することがなく、装置の動作が安定する。また、エゼクタ22を用いることにより、強い動力で被処理液を回収槽16内に吸引でき、且つコストも低く抑えることができる。更に、空気吸引・供給装置20内の空気の流路を切り替えることにより、同じ空気供給源21を用いて被処理液の吸引と返送の双方を行うことができるため、装置を簡素化することができる。そして、流路を切り替えて吸引時、返送時共に被処理液をフィルタ141に通すことができるため、被処理液中の異物をより効率的に除去することができる。
【0029】
(変形例)
図4に示す異物除去処理装置30は、被処理液槽11と回収槽16の間の流路を途中の一部のみ、フィルタ32を有するフィルタ流路35とフィルタ32を回避するバイパス流路36の2手に分岐し、被処理液槽11側の分岐点に被処理液槽側三方弁33を、回収槽16側の分岐点に回収槽側三方弁34を有するフィルタユニット31を設けたものである。バイパス流路36には別途フィルタ37を設けることもできる。それ以外の構成は異物除去処理装置10と同じである。
この異物除去処理装置30では、吸引時にはフィルタ流路35側が開弁し、被処理液はフィルタ32により異物除去処理が行われる。また、返送時にはバイパス流路36側が開弁し、被処理液はフィルタ32を逆流することなく被処理液槽11に返送される。フィルタ37を設けた場合には、返送時にも異物除去処理が行われる。
【0030】
なお、図5に示すように、異物除去処理装置10又は30において、空気用三方弁26の代わりに、供給管234及び排気管235にそれぞれ開閉弁261及び262を設けてもよい。また、同じく図5に示すように、異物除去処理装置10の被処理液槽側三方弁151の代わりに、流入口側送液管132に開閉弁1511を、流出口側送液管133に開閉弁1512を設け、回収槽側三方弁152の代わりに、流入口側送液管132に開閉弁1511を、流出口側送液管133に開閉弁1522を設けてもよい。異物除去処理装置10の被処理液槽側三方弁33や回収槽側三方弁34も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例である異物除去処理装置10の概略構成図。
【図2】異物除去処理装置10における、被処理液槽11から回収槽16への被処理液の移送時の動作を示す概略構成図。
【図3】異物除去処理装置10における、回収槽16から被処理液槽11への被処理液の返送時の動作を示す概略構成図。
【図4】本発明の一実施例である異物除去処理装置30の概略構成図。
【図5】本実施例の異物除去処理装置10の変形例の概略構成図。
【符号の説明】
【0032】
10、30…異物除去処理装置
11…被処理液槽
12…被処理液
121…異物
131…被処理液槽側送液管
132…流入口側送液管
133…流出口側送液管
134…回収槽側送液管
14、31…フィルタユニット
141、32、37…フィルタ
142…フィルタの流入口
143…フィルタの流出口
151、33…被処理液槽側三方弁
1511、1512…被処理液槽側開閉弁
152、34…回収槽側三方弁
1521、1522…回収槽側開閉弁
16…回収槽
20…空気吸引・供給装置
21…空気供給源
22…エゼクタ
221…エゼクタの入口
222…エゼクタの出口
223…エゼクタの吸引口
231…入口管
232…出口管
233…吸引管
234…供給管
235…排気管
236…槽内吸排気管
241…空気供給弁
242…圧力調整器
25…吸引弁
26…空気用三方弁
261、262…空気用開閉弁
35…フィルタ流路
36…バイパス流路
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液槽内の被処理液の異物を除去するための異物除去処理装置において、
a)気密な回収槽と、
b)前記被処理液槽と回収槽を接続する送液流路と、
c)前記送液流路の途中に設けられ、被処理液槽に接続される単一の被処理液槽接続流路、回収槽に接続される単一の回収槽接続流路、フィルタ、フィルタの流入口に接続される流入口接続流路、フィルタの流出口に接続される流出口接続流路、及び逆止弁を有するフィルタユニットと、
d)入口、出口、及び吸引口を有し、入口から出口に空気が通過すると吸引口から気体を吸引するエゼクタと、
e)前記エゼクタの入口に接続され、該入口に空気を供給する空気供給源と、
f)前記エゼクタの出口を大気又は前記回収槽のいずれかに選択的に接続する気体流路切替弁と、
g)前記エゼクタの吸引口を前記回収槽に接続する吸引管と、
h)前記吸引管上に設けられた開閉弁と、
を備え、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口を大気に接続すると共に前記開閉弁を開き、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を減圧して前記被処理液槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記回収槽に吸引し、
前記気体流路切替弁によってエゼクタの出口と回収槽を接続すると共に前記開閉弁を閉じ、前記空気供給源によってエゼクタの入口に空気を供給することにより、前記回収槽内を加圧して前記回収槽内の被処理液を前記フィルタユニットを介して前記被処理液槽に返送するものであって、
前記逆止弁が複数の弁を組み合わせたものであって、
前記被処理液の吸引時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを接続すると共に、その他の流路を遮断し、
前記被処理液の返送時には、前記複数の弁を切り替えることにより、前記被処理液槽接続流路と前記流入口接続流路、及び前記流出口接続流路と前記回収槽接続流路とを遮断すると共に、その他の流路を通って前記回収槽接続流路から前記被処理液槽接続流路へと液が流れるように流路を接続するものであること、
により、
前記回収槽内の前記被処理液を前記被処理液槽に返送する時、前記被処理液は、前記被処理液槽接続流路及び前記回収槽接続流路を、前記被処理液を前記回収槽に吸引する時とは逆方向に流れること、及び
前記被処理液の返送時に、前記吸引時とは逆方向に該被処理液がフィルタを通過することが防止される
ことを特徴とする異物除去処理装置。
【請求項2】
前記フィルタユニットが、被処理液槽からフィルタの流入口への流路、フィルタの流出口から被処理液槽への流路、回収槽からフィルタの流入口への流路、フィルタの流出口から回収槽への流路を有すると共に、前記逆止弁として前記各流路の切り替えを行うための流路切替弁を有するものであって、前記流路切替弁が、前記被処理液の吸引時には、被処理液槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から回収槽への流路を開状態にすると共に、回収槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から被処理液槽への流路を閉状態とし、前記被処理液の返送時には、回収槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から被処理液槽への流路を開状態にすると共に、被処理液槽からフィルタの流入口への流路及びフィルタの流出口から回収槽への流路を閉状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の異物除去処理装置。
【請求項3】
前記フィルタユニットが、前記フィルタを通過する流路と前記フィルタを回避するバイパス流路とを有すると共に、前記逆止弁として、前記フィルタを通過する流路とバイパス流路とを切り替える流路切替弁を有するものであって、前記流路切替弁が、前記被処理液の吸引時には、前記フィルタを通過する流路を開状態として前記バイパス流路を閉状態とし、前記被処理液の返送時には、前記バイパス流路を開状態として前記フィルタを通過する流路を閉状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の異物除去処理装置。
【請求項4】
前記バイパス流路中にフィルタを備える請求項3に記載の異物除去処理装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-05-10 
出願番号 特願2006-27835(P2006-27835)
審決分類 P 1 113・ 536- YA (B01D)
P 1 113・ 537- YA (B01D)
P 1 113・ 121- YA (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増田 健司  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 熊倉 強
▲高▼辻 将人
登録日 2010-11-05 
登録番号 特許第4620599号(P4620599)
発明の名称 異物除去処理装置  
代理人 特許業務法人 銀座総合特許事務所  
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所  
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所  
復代理人 谷口 聡  
復代理人 谷口 聡  
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