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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1260159
審判番号 不服2010-2426  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-04 
確定日 2012-07-09 
事件の表示 特願2002-542384「ナテグリニド含有親水性医薬製剤」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月23日国際公開、WO02/40010〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2001年10月23日(優先権主張 2000年10月24日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成20年6月5日付けで拒絶理由が通知され、平成20年8月13日に意見書とともに手続補正書が提出され、平成21年10月28日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、平成22年2月4日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、請求の理由について平成22年4月7日付けで手続補正がなされた後、平成23年10月28日付けで審尋が行われ、平成23年12月28日付けでこれに対する回答書が提出されたものである。

第2 平成22年2月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年2月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成22年2月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許法第121条第1項の審判請求と同時にしたものであって、特許請求の範囲のうち請求項1の記載については、次のとおり補正するものである(下線部が補正箇所である)。
補正前:
「【請求項1】 有効成分としてのナテグリニドB型結晶と親水性の物質とが混合されて含有する製剤であって、該製剤表面の水との接触角が30?100度であるナテグリニド含有親水性医薬製剤。」

補正後:
「【請求項1】 有効成分としてのナテグリニドB型結晶と、親水性ポリマー、糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる親水性の物質とが混合されて含有する錠剤の表面に、親水性ポリマーを含有するフィルムがコートされてなるフィルムコート錠であって、該フィルムコート錠表面の水との接触角が30?100度である、ナテグリニド含有親水性医薬製剤。」

2.補正の適否
上記請求項1の補正は、補正前の「親水性の物質」を、「親水性ポリマー、糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる親水性の物質」と限定し、補正前の「製剤」を「錠剤の表面に、親水性ポリマーを含有するフィルムがコートされてなるフィルムコート錠」と限定し、補正前の「製剤表面の水との接触角」を「フィルムコート錠表面の水との接触角」と限定するものであって、補正前後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1.に「補正後」として記載したとおりのものである。

(2)引用例の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-194969号公報(以下、「引用例A」という。原査定の拒絶の理由で引用された「引例4」に同じ。)には、以下の事項が記載されている。
ア.【請求項1】
「N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボニル)-D-フェニルアラニン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする錠剤組成物。」
イ.【0004】
「・・・(中略)・・・そしてこのような組成の錠剤組成物は、投与後胃の中で速やかに崩壊することにより、食事の影響を受けることなく吸収されて糖尿病患者の食後の血糖上昇を抑制することができる。」
ウ.【0005】
「本発明の錠剤組成物における活性化合物は、前記式で表わされるN-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボニル)-D-フェニルアラニン〔化合物1〕である。化合物〔1〕の製造方法は、特公平4-15221号公報等に記載されており、例えば4-イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸とD-フェニルアラニンまたはそのエステルを活性エステル法等を用いて縮合することにより得ることができる。またその安定結晶の製造方法は、特開平5-208943号公報に記載されており、例えば化合物〔1〕をエタノール、アセトン等と水の混合溶媒から10℃以上で結晶化させることにより得ることができる。」
エ.【0016】
「実施例1
化合物〔1〕250g、ラクトース530g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース〔信越化学工業(株)製LH-31、ヒドロキシプロポキシル基10.0?13.0%、平均粒子径30μm以下〕200gを撹拌混合造粒機にて十分に撹拌した後、精製水500gに溶解したヒドロキシプロピルセルロース10gを加え撹拌造粒を行った。得られた顆粒を粉砕して乾燥を行った後、ステアリン酸マグネシウム10gを添加して打錠し直径7mm、厚さ3.7mm、重量120mg、化合物〔1〕を30mg含有する錠剤を得た。この錠剤をヒドロキシプロピルメチルセルロース8g、ポリエチレングリコール6000を1.5g、タルク2.4g、酸化チタン0.5g及び精製水87.6gからなるコート液にてスプレーしてコート錠を得た。」

本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-208943号公報(以下、「引用例B」という。原査定の拒絶の理由で引用された「引例3」に同じ。)には、以下の事項が記載されている。
オ.【0002】
「N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)-D-フェニルアラニンは特開昭63-54321号に記載された、血糖降下作用を有し、糖尿病薬として有用な化合物である。この公報によると該化合物はメタノール-水より結晶化され、その融点は129-130℃と確認されている(以下、本結晶をB型結晶と称する。)。」
カ.【0006】
「本発明者らは、N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)-D-フェニルアラニンの結晶について鋭意研究を重ねた結果、公知の結晶とは異なる、新規で安定な結晶(以下、本結晶をH型結晶と称する。)を見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。」
キ.【0037】
「比較例3
N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)-D-フェニルアラニン5gにメタノール70ml及び水30mlを加え、40℃にて溶解した後、撹拌しながら5℃まで徐々に冷却した。析出した結晶を濾取し、得られた結晶を減圧下90℃で一夜乾燥し、結晶3.5gを得た。融点128-131℃。この結晶の粉末X線回折パターンおよび赤外線吸収スペクトルを測定したところ、B型結晶であった。」

(3)対比
上記(2)エ.の記載において、「化合物〔1〕」は、同ウ.の記載から、N-(トランス-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボニル)-D-フェニルアラニン、すなわち、「ナテグリニド」であることは明らかであり、また、錠剤をコート液にてスプレーして得た「コート錠」は、錠剤の表面にコート液からなるフィルムがコートされた「フィルムコート錠」であると認められる。
そうすると、引用例Aには、「有効成分としてのナテグリニドと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びラクトースとが混合されて含有する錠剤の表面に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリエチレングリコール6000を含有するフィルムがコートされてなるフィルムコート錠。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで、本願補正発明(以下、「前者」という)と引用発明(以下、「後者」という)とを対比すると、後者における「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」は、水に膨潤するポリマーであることが周知である(日本医薬品添加剤協会編、医薬品添加物事典2000、2000年4月28日、薬事日報社、173頁、「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」の項目)から、前者における「親水性ポリマーからなる親水性の物質」に該当する。また、後者における「ラクトース」は、乳糖を意味することが自明で、乳糖は本願の国際公開された明細書5頁11?14行に好ましい親水性の物質として例示されているから、前者における「糖類からなる親水性の物質」に該当する。さらに、後者における「ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリエチレングリコール6000」は、本願の国際公開された明細書6頁3行?5行に好ましい親水性ポリマーとして例示されたものに相当すると認められるから、前者における「親水性ポリマー」に該当する。そして、このような「親水性ポリマーからなる親水性の物質」及び「糖類からなる親水性の物質」を含有する錠剤の表面にこのような「親水性ポリマー」を含有するフィルムがコートされてなるフィルムコート錠は、親水性医薬製剤であるといえる。
そうすると、両者は「有効成分としてのナテグリニドと、親水性ポリマー及び糖類からなる親水性の物質とが混合されて含有する錠剤の表面に、親水性ポリマーを含有するフィルムがコートされてなるフィルムコート錠である、ナテグリニド含有親水性医薬製剤。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1: ナテグリニドが、前者においては「B型結晶」と特定されているのに対し、後者においては特定がない点。
相違点2:前者においては、「フィルムコート錠表面の水との接触角が30?100度」と特定されているのに対し、後者においては特定がない点。

(4)相違点についての検討
ア.相違点1について
上記(2)ウ.の記載によれば、引用発明における化合物〔1〕は、「特公平4-15221号公報」、「特開平5-208943号公報」のいずれに記載された方法でも製造することができるものと認められる。
上記(2)ウ.の記載における「特開平5-208943号公報」は、引用例Bのことである。引用例Bにおいては、ナテグリニドの安定なH型結晶に関する発明が記載されている(上記(2)カ.)他、先行文献である「特開昭63-54321号公報」に記載された、メタノール-水より結晶化された融点129-130℃のナテグリニドを「B結晶」と称し(同オ.)、実際に、ナテグリニドをメタノール-水に溶解した後冷却して結晶を析出させることにより同様の融点を有する結晶を得て、その粉末X線回折パターン及び赤外線吸収スペクトルを測定してB型結晶であったことについて確認されている(同キ.)。そうすると、引用例Bには、ナテグリニドのH型結晶が記載されているのみならず、「特開昭63-54321号公報」に記載されたナテグリニドがB型結晶であることについても記載されていると認められる。
ここで、引用例Bに記載された「特開昭63-54321号公報」は、上記(2)ウ.の記載における「特公平4-15221号公報」に対応する公開公報である。
以上のことから、引用発明における化合物〔1〕は、「特開平5-208943号公報」(引用例B)の記載からナテグリニドのB型結晶について記載したものであると認められる「特公平4-15221号公報」、ナテグリニドのH型結晶について記載した「特開平5-208943号公報」のいずれに記載された方法でも製造することができる、すなわち、引用発明におけるナテグリニドとしてはB型結晶、H型結晶のいずれも用いることができる、と解するのが相当である。
したがって、引用発明において、2つの型の結晶のうちの一方であるB型結晶を用いてみることは、当業者が容易に想到することである。

イ.相違点2について
仲井由宣他編、新製剤学、1984年、南山堂、97?98,128,131頁には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した)。
「θは接触角contact angleとよばれるぬれの尺度であり,θが小さいほど固体は液体にぬれやすい.」(97頁9?10行)
「(2)浸漬ぬれ・・・
液体中に紙や布をひたすとき,毛管状の固体表面を液体が移動しながらしみ込んでいくような現象である.・・・(中略)・・・θ<=90°でぬれが起こる.」(98頁11?19行)
「§10.崩壊機構
錠剤,顆粒およびカプセルは粉末の集合体であり,経口投与されたときに消化管内で速やかにもとの粉末状態に分散しなければならない.このように液中で錠剤,顆粒あるいはカプセルが原形を失って小粒子に分散する現象を崩壊という.・・・(中略)・・・表面積が大きくなれば溶解速度は・・・増大する.経口投与される薬品は吸収されることが必要であり,吸収に対しては溶解が前提である.したがって崩壊は吸収の速さおよび吸収率に影響を及ぼす大切な性質である.」(128頁2行?下から5行)
「・・・錠剤を構成する粉末が非常に水にぬれにくく,θ>90°である場合にはcosθ<0となり,水は錠剤中に侵入することはできない.・・・(中略)・・・錠剤内部に水溶液が侵入しなければ崩壊しないことはいうまでもないが,侵入すれば崩壊剤の膨潤などの崩壊機構は速やかに起きて,水溶液の侵入速度が崩壊の律速となっていることを示している.」(131頁6?15行)

以上の記載から、経口投与製剤の薬物の吸収においては溶解が前提であり、そのために錠剤が崩壊することが必要であることは、本願の優先日前に技術常識であったと認められる。また、「接触角」がぬれの尺度であり、接触角が小さいほど固体は液体にぬれやすいこと、錠剤を構成する粉末が水にぬれにくく、θが90°を超えていると水は錠剤中に侵入できないが90°未満であると水は錠剤に侵入して錠剤が崩壊することも、本願の優先日前に技術常識であったと認められる。
上記(2)イ.の記載によれば、引用発明は、胃内での速やかな崩壊及び速やかな生体吸収を目的とするものであるから、上記の技術常識を考慮すると、引用発明において、錠剤が速やかに崩壊して生体に吸収されるように、フィルムコート錠のぬれ性、すなわち、フィルムコート錠表面の水との接触角を最適化することは、親水性の成分を適宜調整する等して、当業者が当然に行うことである。
そして、本願明細書には、「ナテグリニドのB型結晶を用いた製剤の場合、製剤表面の水との接触角が111度以下であれば十分な速放性を有する溶出性の高いナテグリニドのB型結晶を用いた製剤となるが、該接触角を好ましくは100度以下、さらに好ましくは90度以下にすることにより、より溶出性の高い速放性の医薬製剤とすることができる。尚、実用性から30度以上とするのがよい。」(国際公開された明細書の3頁17?22行)と記載されており、「フィルムコート錠表面の水との接触角が30?100度」という範囲は、溶出性の高い速放性の医薬製剤を得るという、引用発明の目的と同様の目的を達成するために設定された範囲であるという以外に、格別の技術的意義を有するとは認められない。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は、平成22年4月7日付けで補正された審判請求書及び平成23年12月28日付け回答書において、本願補正発明は、準安定型であるB型結晶を用いて製剤を調製した場合、H型結晶ほどの速放性を得ることができないとの問題を、本願補正発明の構成要件を採用することにより解決したもので、本願補正発明に係るフィルムコート錠が当業者の予想を超えた優れた速放性(溶出性)を奏することが実施例3、4及び表2に明確に示されているのに対し、引用例Aが開示するナテグリニドはせいぜいH型結晶にとどまりB型結晶については開示も示唆もなく、引用例Aには本願補正発明の特徴ある構成要件を採用することにより得られる優れた効果について記載も示唆もない旨、主張する。
しかしながら、(4)で述べたとおり、引用例Aには、ナテグリニドとして、B型結晶、H型結晶のいずれも用いることができることが記載されていると解するのが相当である。
また、審判請求人が主張する本願補正発明の効果について検討するに、接触角がそれぞれ76度、75度である実施例3、4のフィルムコート錠が、接触角115度である比較例1と比較して溶出性が優れていることは、接触角が小さいほどぬれ性が高く錠剤が崩壊しやすいことが本願の優先日前の技術常識である以上、当業者が予測可能なことである。また、実施例3、4のフィルムコート錠が比較例2のH型結晶を用いたフィルムコート錠と比較して体内動態パラメータが同程度以上であることを、表2が示しているとしても、これは、特定の「親水性の物質」を含有する錠剤に、特定の「親水性ポリマー」を含有するフィルムがコートされた、特定の接触角を有するフィルムコート錠についての効果を示しているにすぎない。本願補正発明においては、錠剤に含有される成分が「親水性ポリマー、糖類及び糖アルコールからなる群から選ばれる親水性の物質」で、フィルムに含有される成分が「親水性ポリマー」であって、それぞれ、多種多様な成分を包含しうる広範なものであり、また、「フィルムコート錠表面の水との接触角が30?100度」という広範な範囲が特定されているのであるから、表2に示された効果を本願補正発明の全体についての効果であると解することはできない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

3.小括
以上検討したところによれば、本願補正発明は、引用例A、引用例B及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成22年2月4日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成20年8月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された発明特定事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、以下のとおりである。
「【請求項1】有効成分としてのナテグリニドB型結晶と親水性の物質とが混合されて含有する製剤であって、該製剤表面の水との接触角が30?100度であるナテグリニド含有親水性医薬製剤。」

2.引用例の記載事項
引用例A、Bの記載事項は、第2 2.(2)に記載したとおりである。

3.対比
引用例Aに記載された発明(引用発明)は、第2 2.(3)で認定したとおりである。

そこで、本願発明(以下、「前者」という)と引用発明(以下、「後者」という)とを対比すると、第2 2.(3)で述べたように、後者における「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」及び「ラクトース」は前者における「親水性の物質」に該当し、このような「親水性の物質」を構成成分とする錠剤は親水性医薬製剤であるといえる。また、前者は、請求項7の記載からみて、フィルムコート錠の態様を包含すると認められる。
そうすると、両者は「有効成分としてのナテグリニドと、親水性の物質とが混合されて含有する、ナテグリニド含有親水性医薬製剤。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1: ナテグリニドが、前者においては「B型結晶」と特定されているのに対し、後者においては特定がない点。
相違点2:前者においては、「製剤表面の水との接触角が30?100度」と特定されているのに対し、後者においては特定がない点。

4.相違点についての検討
(1)相違点1について
第2 2.(4)ア.で述べた理由により、当業者が容易に想到することである。

(2)相違点2について
第2 2.(4)イ.で述べた理由により、当業者が容易に想到することである。

(3)そして、本願明細書の記載をみても、相違点1、2に係る発明特定事項を有することにより、本願発明が当業者の予想を超える効果を奏するとは認められない。

5.小括
以上検討したところによれば、本願発明は引用例A、引用例B及び本願優先日前の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 まとめ
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-27 
結審通知日 2012-05-10 
審決日 2012-05-22 
出願番号 特願2002-542384(P2002-542384)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大久保 元浩福井 悟  
特許庁審判長 今村 玲英子
特許庁審判官 渕野 留香
田名部 拓也
発明の名称 ナテグリニド含有親水性医薬製剤  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 中村 稔  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 大塚 文昭  
代理人 箱田 篤  

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