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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07C |
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管理番号 | 1260823 |
審判番号 | 不服2009-18387 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-29 |
確定日 | 2012-07-31 |
事件の表示 | 特願2003-503621「ラクトン処方物および使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月19日国際公開、WO02/100854、平成17年1月6日国内公表、特表2005-500289〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は、2002年6月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年6月13日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成19年8月31日付けで拒絶理由が通知され、平成20年3月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成21年5月27日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月29日に審判請求がされるとともに手続補正書が提出され、同年11月11日に審判請求書の手続補正書と手続補足書が提出され、平成23年4月28日付けで審尋がされ、同年9月1日に回答書が提出されたものである。 第2 平成21年9月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成21年9月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正 平成21年9月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲である、 「【請求項1】以下の構造: を有する、αメチレンγラクトンを含む薬学的組成物であって、ここで、 R_(1)-R_(6) は、独立して、水素原子であるか、またはアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、複素環、置換複素環、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基からなる群から選択される基または群であり; Zは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子であり;そして Xは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子であり、 該組成物は、放射線と組み合わせて使用されるものではない、 薬学的組成物。 【請求項2】Xが、酸素である、請求項1に記載の薬学的組成物。 【請求項3】R_(1)-R_(6) は水素原子であり、XおよびZはともに酸素原子である、請求項1に記載の薬学的組成物。 【請求項4】医療において使用するための、請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物。 【請求項5】増殖性障害、感染、消化性潰瘍疾患の処置または疼痛反応の調節のための医薬の製造のための、請求項1?3のいずれかに記載される式Iaの化合物の有効量の使用。 【請求項6】前記Xが酸素へテロ原子である、請求項5に記載の使用。 【請求項7】請求項5に示す化合物の使用。 【請求項8】前記医薬は、経口、非経口、局所または経皮の医薬を調製するために使用される、請求項5に記載の使用。 【請求項9】前記医薬は増殖性障害の処置のためである、請求項5に記載の使用。 【請求項10】前記増殖性障害はがんである、請求項9に記載の使用。 【請求項11】前記医薬は、感染の処置のためである、請求項5に記載の使用。 【請求項12】前記感染は細菌感染である、請求項11に記載の使用。 【請求項13】前記感染はウイルス感染である、請求項11に記載の使用。 【請求項14】前記医薬は、消化性潰瘍疾患の処置のためである、請求項5に記載の使用。 【請求項15】前記消化性潰瘍疾患は、Helicobacter pyloriの存在と関連する、請求項5に記載の使用。 【請求項16】前記医薬は、さらに、薬学的に受容可能なキャリアを含む、請求項5に記載の使用。 【請求項17】前記キャリアは、うがい薬、ロゼンジ、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粒剤、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項16に記載の使用。 【請求項18】前記キャリアは、坐薬、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、コロジオン、グリセロゼラチン、リニメント、ローション、ペースト、プラスター、粉末、テープ、パッチ、エアロゾル、溶液、チンキ剤、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項16に記載の使用。」 を、 「【請求項1】以下の構造: を有する、αメチレンγラクトンを含む細菌感染および真菌感染の処置のための薬学的組成物であって、ここで、 R_(1)-R_(6) は、独立して、水素原子であるか、またはアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、複素環、置換複素環、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基からなる群から選択される基または群であり、ここで、R_(5) またはR_(6) がアルキル鎖であるとき、炭素数は1?8であり; Zは、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択され;そして Xは、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択される、 薬学的組成物。 【請求項2】Xが、酸素である、請求項1に記載の薬学的組成物。 【請求項3】R_(1)-R_(6) は水素原子であり、XおよびZはともに酸素原子である、請求項1に記載の薬学的組成物。 【請求項4】医療において使用するための、請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物。 【請求項5】感染、消化性潰瘍疾患の処置または疼痛反応の調節のための医薬の製造のための、請求項1?3のいずれかに記載される式Iaの化合物の有効量の使用。 【請求項6】前記Xが酸素へテロ原子である、請求項5に記載の使用。 【請求項7】請求項5に示す化合物の使用。 【請求項8】前記医薬は、経口、非経口、局所または経皮の医薬を調製するために使用される、請求項5に記載の使用。 【請求項9】前記医薬は、感染の処置のためである、請求項5に記載の使用。 【請求項10】前記感染は細菌感染である、請求項9に記載の使用。 【請求項11】前記感染はウイルス感染である、請求項9に記載の使用。 【請求項12】前記医薬は、消化性潰瘍疾患の処置のためである、請求項5に記載の使用。 【請求項13】前記消化性潰瘍疾患は、Helicobacter pyloriの存在と関連する、請求項5に記載の使用。 【請求項14】前記医薬は、さらに、薬学的に受容可能なキャリアを含む、請求項5に記載の使用。 【請求項15】前記キャリアは、うがい薬、ロゼンジ、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粒剤、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項14に記載の使用。 【請求項16】前記キャリアは、坐薬、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、コロジオン、グリセロゼラチン、リニメント、ローション、ペースト、プラスター、粉末、テープ、パッチ、エアロゾル、溶液、チンキ剤、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項14に記載の使用。」 と補正するものである(審決注:補正箇所に下線を付した。)。 2 補正の適否 (1)補正の目的の適否 補正後の請求項4が補正前の請求項4に対応するものであることは明らかであるので、補正前の請求項4を補正後の請求項4とする補正について検討する。 両者ともに、「請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物」を発明特定事項としているので、これに包含される「請求項1において定義される式Iaの化合物」、すなわち、「以下の構造: を有する、αメチレンγラクトン」についてみるに、補正前には、 「R_(1)-R_(6) は、独立して、水素原子であるか、またはアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、複素環、置換複素環、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基からなる群から選択される基または群であり; Zは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子であり;そして Xは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子」 であったものが、補正後には、 「R_(1)-R_(6) は、独立して、水素原子であるか、またはアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、複素環、置換複素環、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基からなる群から選択される基または群であり、ここで、R_(5) またはR_(6) がアルキル鎖であるとき、炭素数は1?8であり; Zは、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択され;そして Xは、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択される」 となった。 これは、基Zと基Xについては、その範囲は実質的には変わっていないものの、基「R_(1)-R_(6)」について、「フェニル、置換フェニル、」が削除され、かつ、「ここで、R_(5) またはR_(6) がアルキル鎖であるとき、炭素数は1?8であり」という限定が加わったから、請求項4についての補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 (2)そこで、本件補正後の請求項4に記載された特許を受けようとする発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。 ア 刊行物 刊行物1:特開昭62-26221号公報(原審における刊行物6;以下、「刊行物1」という。) 刊行物2:Tetrahedron Letters,1968,(6),701-706(原審における刊行物21;以下、「刊行物2」という。) イ 刊行物の記載事項 (ア)刊行物1 (1a)「 で示されるα-メチレン ブチロラクトンを有効成分とする抗変異原性剤。」(特許請求の範囲) (1b)「本発明は、α-メチレン ブチロラクトンを有効成分として含む抗変異原性剤に関するものである。」(1頁左欄10?11行) (1c)「α-メチレン ブチロラクトンは、カタクリ植物に含まれていることが知られているが、この化合物の生理作用については弱い抗菌作用が明らかにされているにすぎない。」(2頁左上欄3?6行) (1d)「この発明の抗変異原性剤の有効成分は、 式 で表わされるα-メチレン ブチロラクトンである。 この発明の抗変異原性剤の成人1日当りの投与量は、変異原性物質摂取による予想される影響に応じて適宜定められるが、通常、体重1kg当り1mg?100mgである。 投与経路は、経口、皮下注射、静脈注射、局部的投与などが好ましい。 また、投与剤の形態は、製薬上許容し得る賦形剤又は溶剤との混和により常法で製剤した散剤、顆粒、錠剤、カプセル、注射液、局所用剤などどのようなものであってもよい。 α-メチレン ブチロラクトンの抗変異原性効果は、変異原物質によって傷がついたデオキシリボ核酸(DNA)の傷を修復する酵素の活性の上昇によるものと考えられ、この点において、変異原性の成立過程にあるDNAに対して修復効果を発揮する。このようなことが、変異原性の発現の抑制に結びつくものと考えられる。」(2頁右上欄8行?左下欄10行) (1e)「実施例1 α-メチレン ブチロラクトンの抗変異原性効果 抗変異原性の検定は、賀田らの方法・・・にしたがい、大腸菌・・・を使用して実施した。」(2頁左下欄11?18行) (1f)「α-メチレン ブチロラクトン1mg添加で、無処理対照のわずか10%の変異菌数の値を示したにすぎない。すなわち、本条件下で、プレート当り1mgの添加で顕著な抗変異原性効果が認められた。」(3頁左上欄13?17行) (1g)「α-メチレン ブチロラクトンの突然変異原性は認められず、安全性の高い化合物であることが示された。」(3頁左下欄11?14行) (イ)刊行物2 (2a)「チューリップの抗生物質活性成分について」(701頁タイトル) (2b)「花卉感染についての研究において、F.ショーンベックは、強力な殺真菌性効果も発揮する抗生物質活性成分をチューリップが含有することを見出した。」(701頁本文1?3行) (2c)「我々は、めしべ、並びに葉および茎に由来するこの有効成分に取り組んだ。植物の各部分を80%メタノールで抽出し、抽出物をペーパークロマトグラフィーにより酢酸エステル/ピリジン/水(3.6:1:1.15)という溶媒系中で検査した。その際、枯草菌(Bacillus subtilis)を含有する寒天プレート上にクロマトグラムを置くと、クロマトグラムは、我々がチューリッポシドA、B及びCと命名した3つの成分(R_(G) 値はグルコースに対して3.12、1.49及び1.00)に対応する、3つの活性領域を示した。」(701頁下から10?下から4行) (2d)「酸性加水分解および塩基性加水分解においても、活性及び不活性のチューリッポシドAないしBは同じく同等に振舞った。Aは、酸性加水分解において、開裂片としてα-メチレン-ブチロラクトン(I)とD-グルコースをもたらした。」(702頁13?15行) (2e)「チューリッポシドBの酸開裂は、D-グルコースとα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン(II)をもたらした。」(702頁25?26行) (2f)「ラクトンIもラクトンIIも抗生物質活性、しかも特に殺真菌性効果を有する・・・」(703頁下から2?末行) (2g)「 」(704頁) (2h)「 」(704頁) ウ 刊行物に記載された発明 (ア)刊行物1に記載された発明 刊行物1に記載された式を「式(I)」とすると、刊行物1には、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトンを有効成分とする抗変異原性剤」が記載され(摘示(1a)(1b))、同時に、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン」そのものについても、「カタクリ植物に含まれていること」、「生理作用については弱い抗菌作用が明らかにされている」ことが記載されているから(摘示(1c))、該化合物についても記載されている。 すると、刊行物1には、 「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトンを有効成分とする抗変異原性剤」 の発明(以下、「引用発明1」という。)及び 「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」 の発明(以下、「引用発明2」という。)が、記載されているといえる。 (イ)刊行物2に記載された発明 刊行物2には、「チューリップの抗生物質活性成分」について記載されるところ(摘示(2a))、「強力な殺真菌性効果も発揮する抗生物質活性成分をチューリップが含有すること」(摘示(2b))、チューリップの、「めしべ、並びに葉および茎に由来するこの有効成分」を「抽出し」、抽出物のクロマトグラフィーにより、「チューリッポシドA、B及びCと命名した3つの成分に対応する、3つの活性領域」が得られたこと(摘示(2c))、「チューリッポシドA」が開裂すると「α-メチレン-ブチロラクトン(I)」が得られたこと(摘示(2d))、「チューリッポシドB」が開裂すると「α-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン(II)」が得られたこと(摘示(2e))、「ラクトンIもラクトンIIも抗生物質活性、しかも特に殺真菌性効果を有する」こと(摘示(2f))が記載されている。 すると、刊行物2には、 「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有するα-メチレン-ブチロラクトン化合物及びα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物」 の発明(以下、「引用発明3」という。)が、記載されているといえる。 エ 対比・判断 (ア)本願補正発明と引用発明2との対比・判断 a 対比 本願補正発明は、「医療において使用するための、請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物」であって請求項1を引用しているから、補正後の請求項1をみる。 補正後の請求項1には、「以下の構造:・・・(審決注:上記(1)に示したとおりであり、省略する。)を有する、αメチレンγラクトン」が記載されるところ、該ラクトンは、基R_(1)-R_(6) が全て水素でX及びZが酸素の場合は、本件補正後の明細書(以下、「本願補正明細書」という。なお、発明の詳細な説明は補正されていない。)の実施例1に記載された「化合物(1)」であって(本願補正明細書の段落【0046】によれば、この化合物は、質量スペクトル(MS)による分子式が「C_(5)H_(6)O_(2)」で赤外スペクトル(IR)はラクトン、C=C及びC=CH_(2) の吸収を示すものである。)、これは、刊行物1に記載された「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン」であるといえる。 そうすると両者は、 「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 (相違点1) 化合物が、本願補正発明においては、「医療において使用するための」と特定されているのに対し、引用発明2においては、このような特定はされていない点 b 判断 相違点1について検討する。 本件補正後の請求項4の「・・・化合物。」との末尾の記載からみて、本願補正発明は、化合物の発明であると認められる。そして、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」が、「医療において使用するための」物である場合と、他の用途に使用するための物である場合とで、異なる構造であるということはできず、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」と構造において何の相違もない。かつ、本願補正明細書の記載や、当該技術分野のこの出願の優先日における技術常識を考慮しても、本願補正発明の化合物が、もっぱら「医療において使用するため」にのみ用いる物を意味しているとも解せない。 そうしてみると、「医療において使用するための」という特定が、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」という物をさらに限定しているものではないから、「医療において使用するための」という特定の有無は、実質的な相違点とはならない。 したがって、両者は実質的に相違しておらず、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明である。 この点については、平成23年9月1日に提出された回答書においても、請求人は、何ら意見を述べていない。 (イ)本願補正発明と引用発明3との対比 a 対比 本願補正発明における「式Ia」の定義には、α-メチレン-ブチロラクトン化合物もα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物も包含されるから、両者は、 「α-メチレン-ブチロラクトン化合物又はα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 (相違点2) 化合物が、本願補正発明においては、「医療において使用するための」と特定されているのに対し、引用発明3においては、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する」と特定されている点 b 判断 「医療において使用するための」という特定が、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」という物をさらに限定しているものではないことは、上記(ア)bに示したとおりであり、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する」という特定が、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」という物をさらに限定しているものではないことも同様であるから、これらの特定の違いは、実質的な相違点とはならない。 したがって、両者は実質的に相違しておらず、本願補正発明は、刊行物2に記載された発明である。 オ まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、この出願の優先日前に頒布された刊行物1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3 補正の却下の決定のむすび したがって、請求項4についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、その余のことを検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 平成21年9月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、この出願の発明は、平成20年3月4日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1及び4に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」及び「本願発明4」という。)は、それぞれ次のとおりのものである。 (本願発明1) 「以下の構造: を有する、αメチレンγラクトンを含む薬学的組成物であって、ここで、 R_(1)-R_(6) は、独立して、水素原子であるか、またはアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、複素環、置換複素環、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチド基からなる群から選択される基または群であり; Zは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子であり;そして Xは、直鎖、分枝鎖、または環状構造形態の、酸素、硫黄、および窒素群からなる群から選択されるヘテロ原子であり、 該組成物は、放射線と組み合わせて使用されるものではない、 薬学的組成物。」 (本願発明4) 「医療において使用するための、請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物。」 第4 原査定の理由 原査定の理由である平成19年8月31日付けの拒絶理由通知における拒絶の理由は、理由1?理由7からなり、その理由2は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に・・・頒布された下記の刊行物に記載された発明・・・であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない」というものであり、その理由3は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に・・・頒布された下記の刊行物に記載された発明・・・に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」というものである。その「下記の刊行物」には、刊行物6として特開昭62-26221号公報(上記第2の2(2)アの刊行物1と同じ。以下、「刊行物1」という。)、及び刊行物21としてTetrahedron Letters,1968,(6),701-706(上記第2の2(2)アの刊行物2と同じ。以下、「刊行物2」という。)が、含まれる。その「下記の請求項」には、上記理由2及び理由3のいずれにおいても、上記刊行物1及び刊行物2との関係で請求項1、9が含まれる。 そして、本願発明1及び4は、上記請求項1に係る発明が、式Ia、式Ib又は式Icによって規定される単離された化合物の発明であり、上記請求項9に係る発明が、式Ia、式Ib又は式Icによって規定された有効量の化合物を投与する工程を包含する処置を必要とする患者を処置する方法の発明であったものが、上記拒絶理由通知における拒絶の理由のうちの理由1として請求項9?24に係る発明が特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たさない旨の指摘がされたこともあり、上記請求項9?24が削除されるとともに、概略、式Iaの化合物を含む薬学的組成物の発明(本願発明1)と、概略、医療において使用するための式Iaの化合物の発明(本願発明4)と、概略、特定の処置のための医薬の製造のための式Iaの化合物の有効量の使用の発明(請求項5に係る発明)と、概略、その請求項5に示す化合物の使用の発明(請求項7に係る発明)とに書き換えられたものの、一部である。 そして、拒絶査定は、本願発明1及び4が、刊行物1又は2に記載された発明であること、及び刊行物1又は2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることを、その理由に含むものである。 第5 当審の判断 1 刊行物、刊行物の記載事項、刊行物に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及び2、その記載事項並びに刊行物1及び2に記載された発明は、上記第2の2(2)ア、イ及びウに記載したとおりである。 2 対比・判断 (1)本願発明4について ア 引用発明2との対比・判断 (ア)対比 本願発明4は、「医療において使用するための、請求項1?3のいずれかにおいて定義される式Iaの化合物。」であって請求項1を引用しているから、請求項1をみる。 請求項1には、「以下の構造:・・・(審決注:上記第3に示したとおりであり、省略する。)を有する、αメチレンγラクトン」が記載されるところ、該ラクトンは、基R_(1)-R_(6) が全て水素でX及びZが酸素の場合は、平成20年3月4日付けの手続補正により補正された明細書(以下、「本願明細書」という。なお、発明の詳細な説明は補正されていない。)の実施例1に記載された「化合物(1)」であって(本願明細書の段落【0046】参照。上記第2の2(2)エ(ア)aに示したとおり。)、これは、刊行物1に記載された「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン」であるといえる。 そうすると両者は、 「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン化合物」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 (相違点1’) 化合物が、本願発明4においては、「医療において使用するための」と特定されているのに対し、引用発明2においては、このような特定はされていない点 (イ)判断 相違点1’は、上記第2の2(2)エ(ア)aに示した相違点1と全く同じであるから、上記第2の2(2)エ(ア)bに示したとおり、実質的な相違点とはならない。 したがって、両者は実質的に相違しておらず、本願発明4は、刊行物1に記載された発明である。 イ 引用発明3との対比・判断 (ア)対比 本願発明4における「式Ia」の定義には、α-メチレン-ブチロラクトン化合物もα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物も包含されるから、両者は、 「α-メチレン-ブチロラクトン化合物又はα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 (相違点2’) 化合物が、本願発明4においては、「医療において使用するための」と特定されているのに対し、引用発明3においては、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する」と特定されている点 (イ)判断 相違点2’は、上記第2の2(2)エ(イ)aに示した相違点2と全く同じであるから、上記第2の2(2)エ(イ)bに示したとおり、実質的な相違点とはならない。 したがって、両者は実質的に相違しておらず、本願発明4は、刊行物2に記載された発明である。 ウ まとめ したがって、本願発明4は、この出願の優先日前に頒布された刊行物1又は2に記載された発明である。 (2)本願発明1について ア 引用発明1との対比・判断 (ア)対比 本願発明1の「以下の構造:・・・(審決注:上記第3に示したとおりであり、省略する。)を有する、αメチレンγラクトン」の中に、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン」が具体的に包含されることは、上記(1)ア(ア)にも示したとおりである。また、本願発明1の「αメチレンγラクトンを含む」とは、「αメチレンγラクトンを有効成分とする」の意味に解され、両者ともに「薬剤」といえるから、両者は、 「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトンを有効成分とする薬剤」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点3) 薬剤が、本願発明1においては、「薬学的組成物」であるのに対し、引用発明1においては、「抗変異原性剤」である点 (イ)判断 a 引用発明1の「抗変異原性剤」は、摘示(1d)によれば、「この発明の抗変異原性剤の成人1日当りの投与量は、・・・通常、体重1kg当り1mg?100mgである」と、投与量について説明され、「投与経路は、経口、皮下注射、静脈注射、局部的投与などが好ましい」と、投与方法が記載され、「投与剤の形態は、製薬上許容し得る賦形剤又は溶剤との混和により常法で製剤した散剤、顆粒、錠剤、カプセル、注射液、局所用剤などどのようなものであってもよい」と、製剤について記載され、「変異原物質によって傷がついたデオキシリボ核酸(DNA)の傷を修復する酵素の活性の上昇によるものと考えられ、この点において、変異原性の成立過程にあるDNAに対して修復効果を発揮する。このようなことが、変異原性の発現の抑制に結びつくものと考えられる」と、その作用機序についても記載されている。 具体的な実施例としては、「大腸菌を使用して実施」しており(摘示(1e))、その結果、「顕著な抗変異原性効果が認められ」(摘示(1f))、「α-メチレン ブチロラクトンの突然変異原性は認められず、安全性の高い化合物であることが示され」(摘示(1g))、その薬学的効果が確認されている。 以上のことは、刊行物1に、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトンを有効成分」として、薬学的に、組成物として用いて、薬学的な効果が得られたことが記載されているのであり、さらに、「式(I)で示されるα-メチレン ブチロラクトン」について、弱いとはいえ、その抗菌作用も知られているのであるから(摘示(1c))、引用発明1において、「抗変異原性剤」を「薬学的組成物」としてみることは、当業者が、普通に試みる範囲のものといえる。 その効果について、刊行物1には、薬剤として効果があることが確認されているから(摘示(1f)、(1g))、本願発明1の効果も当業者の予測の範囲内のものであって、格別に優れたものとすることはできない。 そうしてみると、本願発明1は、この出願の優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 b なお、請求人は、平成21年11月11日に提出された審判請求書の手続補正書において、 「刊行物6(審決注:「刊行物1」に同じ。)は、抗変異原性剤としてのα-メチレン-ブチロラクトンを記載するのみであり、細菌感染および真菌感染の処置のためのこのような化合物の使用を教示も示唆もしません。従いまして、審判請求と同時に提出した手続補正書において、本願発明の用途を「細菌感染および真菌感染の処置のため」に限定しましたので、刊行物6に基づく新規性および進歩性に関する拒絶は解消されるべきです。」 と主張する。 請求人の主張する「審判請求と同時に提出した手続補正書」による補正は、上記第2に示したとおり却下されており、本願発明1は、「細菌感染および真菌感染の処置のためのこのような化合物の使用」に限定されたものではないので、上記請求人の主張は本願発明1についての主張とはいえず、採用し得るものではなく、上記請求人の主張は、上記当審の判断に影響するものでない。 イ 引用発明3との対比・判断 (ア)対比 本願発明1における「αメチレンγラクトン」には、α-メチレン-ブチロラクトン化合物もα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物も包含されるから、両者は、 「α-メチレン-ブチロラクトン化合物又はα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点4) 本願発明1は、「該化合物を含む薬学的組成物」であるのに対し、引用発明3は、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する化合物」であって、薬学的組成物については言及されていない点 (イ)判断 a ある化合物が、抗生物質活性等の活性や、殺真菌性等の効果を有していることが知られていれば、これを有効成分として用い、賦形剤等も用いて、通常の形で用いられる薬学的組成物としようとすることは、当業者が普通に行うところといえる。 したがって、引用発明3において、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する化合物」を用いて、「該化合物を含む薬学的組成物」とすることは、当業者が通常行う範囲のことであるといえる。 その効果についても、「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する」ということは、引用発明3において既に知られていることであるから、本願発明1の奏する効果も当業者の予測の範囲内のものといえる。 そうしてみると、本願発明1は、この出願の優先日前に頒布された刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 b なお、請求人は、平成21年11月11日に提出された審判請求書の手続補正書において、 「刊行物21(審決注:「刊行物2」に同じ。)に関して、刊行物21は、Tulipa gesnerianaから単離され得る構造(ツリパリンAおよびツリパリンB)の特徴付けを記載し、これらの構造は、刊行物15に関して上に記載されています。 上記説明と同様に、審判請求と同時に提出した手続補正書を考慮すると、刊行物21に記載されるアシルグリコシドは、式Iaの範囲内ではありません。さらに、刊行物21は、本願が特徴とするような、細菌感染および真菌感染を処置するための、有効量のIaの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む、非経口投与、局所投与、または腸投与のための薬学的組成物も、医薬におけるこのような化合物の使用も、開示も示唆もしません。」 と主張する。 アシルグリコシドは式Iaの範囲内ではないが、刊行物2には、「α-メチレン-ブチロラクトン化合物及びα-メチレン-β-ヒドロキシブチロラクトン化合物」について「抗生物質活性、特に殺真菌性効果を有する」ことが記載されているのであるから、請求人のアシルグリコシドに関する主張は当を得ておらず、また、「細菌感染および真菌感染を処置するため」は本願発明1を特定する事項ではないものの、このような目的で用いることも、刊行物2の上記記載から、当業者が容易になし得るところといえる。請求人のこの主張は、採用することはできず、上記当審の判断に影響するものでない。 ウ まとめ したがって、本願発明1は、この出願の優先日前に頒布された刊行物1又は2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により、また、本願発明4は特許法第29条第1項第3号に該当し、いずれも特許を受けることができないので、その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく、この出願は、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-03-08 |
結審通知日 | 2012-03-09 |
審決日 | 2012-03-21 |
出願番号 | 特願2003-503621(P2003-503621) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(C07C)
P 1 8・ 121- Z (C07C) P 1 8・ 113- Z (C07C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 敏康、井上 千弥子 |
特許庁審判長 |
中田 とし子 |
特許庁審判官 |
大畑 通隆 齋藤 恵 |
発明の名称 | ラクトン処方物および使用方法 |
代理人 | 安村 高明 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 秀策 |