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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C08L
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 C08L
管理番号 1261097
審判番号 不服2010-18476  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-17 
確定日 2012-08-21 
事件の表示 特願2000-597366「硬化性樹脂組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月10日国際公開、WO00/46300、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成12年2月7日(先の出願に基づく優先権主張 平成11年2月5日)を国際出願日とする特許出願であって、平成22年1月12日付けで拒絶理由が通知され、同年3月16日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月13日付けで拒絶すべき旨の査定がなされ、これに対し、同年8月17日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に、手続補正書が提出され、同年10月29日付けで前置報告がなされ、当審において平成24年3月19日付けで審尋がなされ、同年5月28日に回答書が提出されたものである。

第2.平成22年8月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年8月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
平成22年8月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、審判請求と同時にされた補正であり、同年3月16日付け手続補正書により補正された明細書をさらに補正するものであって、補正前の特許請求の範囲の
「【請求項1】(I)分子鎖末端への反応性ケイ素基の導入率が^(1)H-NMR分析により95%以上である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体、及び、(II)エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項2】反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体(I)は、(a)1分子中に一般式(1):
H_(2)C=C(R^(1))-R^(2)-O- (1)
(式中R^(1)は炭素数10以下の炭化水素基、R^(2)は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)または一般式(2):
HC(R^(1))=CH-R^(2)-O- (2)
(式中R^(1)は炭素数10以下の炭化水素基、R^(2)は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン重合体と、(b)?般式(3):
H-(Si(R^(3)_(2-b))(X_(b))O)_(m)Si(R^(4)_(3-a))X_(a) (3)
(式中R^(3)およびR^(4)はいずれも炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)_(3)SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R^(3)またはR^(4)が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の-Si(R^(3)_(2-b))(X_(b))-O-基におけるbは異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。)で示される反応性ケイ素基含有化合物とを、(c)VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させることにより得られるものである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体(I)において反応性ケイ素基が導入された分子鎖末端が次式で表されるものである請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
(CH_(3)O)_(2)Si(CH_(3))-CH_(2)-CH(CH_(3))-CH_(2)-O-
【請求項4】更に、エポキシ基と反応し得る官能基及び反応性ケイ素基を有する化合物、又は、エポキシ基と反応性ケイ素基とを有する化合物を配合してなる請求項1?3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。」を、

「【請求項1】(I)分子鎖末端への反応性ケイ素基の導入率が^(1)H-NMR分析により95%以上である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体、及び、(II)エポキシ樹脂を含有する接着剤またはコーティング剤用硬化性樹脂組成物。
【請求項2】(I)分子鎖末端への反応性ケイ素基の導入率が^(1)H-NMR分析により95%以上である反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体、及び、(II)エポキシ樹脂を含有する接着剤用硬化性樹脂組成物。
【請求項3】反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体(I)は、(a)1分子中に一般式(1):
H_(2)C=C(R^(1))-R^(2)-O- (1)
(式中R^(1)は炭素数10以下の炭化水素基、R^(2)は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)または一般式(2):
HC(R^(1))=CH-R^(2)-O- (2)
(式中R^(1)は炭素数10以下の炭化水素基、R^(2)は水素、酸素、及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)で示される不飽和基を末端に有するポリオキシアルキレン重合体と、(b)?般式(3):
H-(Si(R^(3)_(2-b))(X_(b))O)_(m)Si(R^(4)_(3-a))X_(a) (3)
(式中R^(3)およびR^(4)はいずれも炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基または(R’)_(3)SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R^(3)またはR^(4)が二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の-Si(R^(3)_(2-b))(X_(b))-O-基におけるbは異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。)で示される反応性ケイ素基含有化合物とを、(c)VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させることにより得られるものである請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体(I)において反応性ケイ素基が導入された分子鎖末端が次式で表されるものである請求項1?3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(CH_(3)O)_(2)Si(CH_(3))-CH_(2)-CH(CH_(3))-CH_(2)-O-
【請求項5】更に、エポキシ基と反応し得る官能基及び反応性ケイ素基を有する化合物、又は、エポキシ基と反応性ケイ素基とを有する化合物を配合してなる請求項1?4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】ポリ塩化ビニルまたはアクリル樹脂基材に使用する、請求項2?5のいずれか1項に記載の接着剤用硬化性樹脂組成物。」
と補正するものである。

2 補正の適否の判断
そこで、上記補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
(1)平成18年改正前特許法17条の2第4項は、拒絶査定不服審判請求に伴って行われる場合における特許請求の範囲についてする補正は、同項1号ないし4号に掲げる事項を目的とするものに限る旨規定している。
そして、同項2号は、「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」と規定しており、同号の規定は、請求項の発明特定事項を限定して、これを減縮補正することによって、当該請求項がそのままその補正後の請求項として維持されるという態様による補正を定めたものとみるのが相当であって、請求項を追加する補正(増項による補正)は、補正後の各請求項の記載により特定された発明が、全体として、補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものとなっているとしても、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とするものであり、このような対応関係がない限り、同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないことになる。
もっとも、
ア 多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、
イ 構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項を、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合
のように、補正前の請求項が実質的に複数の請求項を含むものであるときに、補正に際し、これを独立の請求項とすることにより、請求項の数が増加することになるとしても、それは、実質的に新たな請求項を追加するものとはいえず、実質的には、補正前の請求項と補正後の請求項とが対応したものとなっているということができるから、このような補正についてまで否定されるものではない。(知財高裁 平成17年(行ケ)第10192号判決参照)

(2) 以上をふまえて、本件補正を検討することとする。
本件補正は、下記補正事項1及び2、3を含むものである。

〈補正事項1〉補正前の請求項1における硬化性組成物について「接着剤またはコーティング剤用」と限定。

〈補正事項2〉補正後の請求項1における接着剤またはコーティング剤用なる事項を「接着剤用」とさらに限定した請求項2の追加。

〈補正事項3〉補正後の請求項1における接着剤用硬化性組成物において「ポリ塩化ビニルまたはアクリル樹脂基材に使用する」とさらに限定した請求項6の追加。

そして、補正事項2及び3は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項の数を増加させるものであり、しかも、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にないことは明らかであり、
ア 多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、
イ 構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項を、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合
にも該当しない。
したがって、本件補正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当しない。また、請求項の削除に該当しないことが明らかであるとともに、誤記の訂正であるということも、明りょうでない記載の釈明であるということも、できないから、平成18年改正前特許法17条の2第4項1号ないし4号のいずれにも該当しないといわざるを得ない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法17条の2第4項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
以上のように平成22年8月17日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成22年3月16日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2012-08-07 
出願番号 特願2000-597366(P2000-597366)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C08L)
P 1 8・ 57- WY (C08L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井津 健太郎  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 加賀 直人
大島 祥吾
発明の名称 硬化性樹脂組成物  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  

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