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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) A01K
管理番号 1261383
判定請求番号 判定2012-600012  
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 判定 
判定請求日 2012-04-26 
確定日 2012-07-26 
事件の表示 上記当事者間の特許第4731632号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面並びにその説明書に記載するペット用トイレ「しつけるトレーメッシュプラス」(商品名)は、特許第4731632号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 判定請求人の請求の趣旨及び被請求人の答弁の趣旨
本件判定請求の趣旨は,イ号図面並びにその説明書に記載するペット用トイレ「しつけるトレーメッシュプラス」(商品名)(以下,「イ号物件」という。)が,特許第4731632号(以下,「本件特許」という。)発明(以下,「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する,との判定を求め,他方,被請求人は,答弁の趣旨として,イ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属しないとの判定を求めたものである。

第2 本件特許発明
本件特許は,平成21年1月23日に出願した特願2009-13701号の一部を平成22年7月29日に新たな特許出願とした出願に係り,平成23年4月28日に設定登録されたものであって,本件特許発明は,特許明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものであって,その構成,目的及び効果は,以下のとおりである。

(1)本件特許発明の構成
「【請求項1】周縁付近に立設部を有するトイレ本体と,
トイレ本体の立設部に装着する枠部材と,
当該枠部材に取り付けるメッシュ部材とを備え,
メッシュ部材は係止部を有し,
当該係止部は,メッシュ部材の周縁部付近から垂下させた垂下片の先端部付近に設けた内外方向に撓む爪部であり,
枠部材は被係止部を有し,
当該被係止部は,枠部材の内周側から下方に向けて延在した垂下部の下部付近で且つ前記爪部の係止方向に対向する,内側又は外側に突出した被係止片であり,
当該メッシュ部材の係止部が枠部材の被係止部に着脱自在及び内外方向に係止し,
トイレ本体に尿吸収性のシーツを載置し,当該シーツをメッシュ部材又は/及び枠部材で固定するものであり,
前記トイレ本体は,周縁に設けた立設部と,当該立設部の内側に設けたシーツ載置部との間に,凹部を有し,当該凹部の底面はシーツ載置部の上面より低く設定してあり,
前記トイレ本体及び枠部材の外形は,平面視長辺と短辺との略矩形形状であり,メッシュ部材は枠部材の内周形状に対応した平面視略矩形形状で且つ長辺又は/及び短辺とにそれぞれ少なくとも1つ以上の前記係止部を有していることを特徴とするペット用トイレ。」

そして,本件特許発明を構成要件に分節すると以下のとおりである。
「A 周縁付近に立設部を有するトイレ本体と,
B トイレ本体の立設部に装着する枠部材と,
C 当該枠部材に取り付けるメッシュ部材とを備え,
C-1 メッシュ部材は係止部を有し,
C-2 当該係止部は,メッシュ部材の周縁部付近から垂下させた垂下片の先端部付近に設けた内外方向に撓む爪部であり,
B-1 枠部材は被係止部を有し,
B-2 当該被係止部は,枠部材の内周側から下方に向けて延在した垂下部の下部付近で且つ前記爪部の係止方向に対向する,内側又は外側に突出した被係止片であり,
D 当該メッシュ部材の係止部が枠部材の被係止部に着脱自在及び内外方向に係止し,
E トイレ本体に尿吸収性のシーツを載置し,当該シーツをメッシュ部材又は/及び枠部材で固定するものであり,
A-1 前記トイレ本体は,周縁に設けた立設部と,当該立設部の内側に設けたシーツ載置部との間に,凹部を有し,当該凹部の底面はシーツ載置部の上面より低く設定してあり,
F 前記トイレ本体及び枠部材の外形は,平面視長辺と短辺との略矩形形状であり,メッシュ部材は枠部材の内周形状に対応した平面視略矩形形状で且つ長辺又は/及び短辺とにそれぞれ少なくとも1つ以上の前記係止部を有していることを特徴とする
G ペット用トイレ。」

(2)本件特許発明の目的及び効果
本件特許公報によれば,本件特許発明は,
「【発明の効果】
【0010】
本発明に係るペット用トイレにあっては,トイレ本体の周縁付近に設けた立設部の内側にシーツを載置し,その上にメッシュ部材を配置する場合に,このメッシュ部材を枠部材に着脱自在に取り付けたので,トイレ本体から枠部材を取り外すだけでシーツの交換が可能であり,また逆に枠部材をトイレ本体に装着するだけでメッシュ部材をシーツの上に配置できる。
【0011】
また,メッシュ部材の爪部を枠部材の被係止片に,はめ込むように係着する構造を採用すると,枠部材にメッシュ部材を取り付けるのも取り外すのも簡単であり,ペットのしつけが完了すると,メッシュ部材を枠部材から取り外すだけでそのままペット用トイレとして使用できる。
【0012】
本発明は,メッシュ部材の周縁部付近に爪部を設ける際に垂下片を形成し,その下部付近に爪部を設けてもその垂下片の長さを,トイレ本体に設けた凹部で吸収できるので爪部の撓み代を大きく取ることができる。
【0013】
本発明は,枠部材も矩形形状となるので,その形状の変形を利用して,メッシュ部材の取り外しが簡単になる。」

第3 イ号物件
(1)判定請求人の特定したイ号物件
(ア)判定請求人は,判定請求書の「6.(5)」において,イ号物件を次のように特定している。
「a 周縁付近に立設部を有するトイレ本体と,
b トイレ本体の立設部に装着する枠部材と,
c 当該枠部材に取り付けるメッシュ部材とを備え,
c_(1) メッシュ部材は係止部を有し,
c’_(2) 係止部(32)は水平部(32a)の内側から下に垂下させた垂下部(32b)を形成し,この垂下部(32b)の下端部にて,メッシュ(31)の外周壁(31a)の下部と水平方向の連結部(32c)で連結してあるとともに,この垂下部(32d)の下端寄りに内側方向に突出した爪(32d)を有し,当該爪(32d)を有する部分に対応して連結部(32c)を切り欠いて設けた挿入孔(32e)を有する。
b_(1) 枠部材は被係止部を有し,
b’_(2) 被係止部は枠部材(20)の内周部から下方に向けて延在した矩形形状の垂下部(21)を有し,この垂下部(21)の下端から外側に向けて突出した被係止爪(22)を有する。
d 当該メッシュ部材の係止部が枠部材の被係止部に着脱自在及び内外方向に係止し,
e トイレ本体に尿吸収性のシーツを載置し,当該シーツをメッシュ部材又は/及び枠部材で固定するものであり,
a_(1) 前記トイレ本体は,周縁に設けた立設部と,当該立設部の内側に設けたシーツ載置部との間に,凹部を有し,当該凹部の底面はシーツ載置部の上面より低く設定してあり,
f 前記トイレ本体及び枠部材の外形は,平面視長辺と短辺との略矩形形状であり,メッシュ部材は枠部材の内周形状に対応した平面視略矩形形状で且つ長辺又は/及び短辺とにそれぞれ少なくとも1つ以上の前記係止部を有していることを特徴とする
g ペット用トイレ」

(2)イ号物件についての当審での検討
(ア)イ号図面,イ号写真並びにその説明書及び商品説明書(甲2号証)の記載,及び,被請求人の主張を参酌して,イ号物件の構成を特定する。なお,符号は請求人が付したものを用いる。

(イ)上述の「a」について,イ号図面の図4からみて,イ号物件ではトイレ本体(10)の周縁に立設部(12)が形成されているものと認められる。

(ウ)上述の「e」について,商品説明書(甲2号証)の右側中央の「サイズ/W480×D350×H40mm」との記載と,右側上方の「ぴったりサイズのペットシーツは」との記載の下方の「30×45」との記載からみて,横幅48cm×縦幅35cmのペット用トイレに横幅45cm×縦幅30cmのペットシーツを載置しているものと認められ,「メッシュカバーでいたずら防止」との記載及び商品説明書の図からみてメッシュカバーでペットシーツをいたずらによりずれないように固定しているものと認められ,「ノーマルトレー」,「いたずらが無くなれば」及び「メッシュを外せばノーマルトレー」との記載及び商品説明書の図からみてメッシュを外してもペット用トイレとして機能するものと認められる。また,シーツを枠で固定することはペット用トイレにおいて常套手段である。以上のことを考慮すれば,イ号物件はトイレ本体に載置したペット用シーツをメッシュ部材及び枠部材で固定し得るものと認められる。

(エ)上述の「f」について,イ号図面の図3からみて,イ号物件ではメッシュ部材(30)が短辺にそれぞれ少なくとも1つ係止部(32)を有しているものと認められる。

(3)当審が認定したイ号物件
以上のことを総合すると,イ号物件は,次のとおりのものと認める。
「a 周縁に立設部を有するトイレ本体と,
b トイレ本体の立設部に装着する枠部材と,
c 当該枠部材に取り付けるメッシュ部材とを備え,
c-1 メッシュ部材は係止部を有し,
c-2 係止部(32)は水平部(32a)の内側から下に垂下させた垂下部(32b)を形成し,この垂下部(32b)の下端部にて,メッシュ(31)の外周壁(31a)の下部と水平方向の連結部(32c)で連結してあるとともに,この垂下部(32b)の下端寄りに内側方向に突出した爪(32d)を有し,当該爪(32d)を有する部分に対応して連結部(32c)を切り欠いて設けた挿入孔(32e)を有し,
b-1 枠部材は被係止部を有し,
b-2 被係止部は枠部材(20)の内周部から下方に向けて延在した矩形形状の垂下部(21)を有し,この垂下部(21)の下端から外側に向けて突出した被係止爪(22)を有し,
d 当該メッシュ部材の係止部が枠部材の被係止部に着脱自在及び内外方向に係止し,
e トイレ本体に尿吸収性のシーツを載置し,当該シーツをメッシュ部材及び枠部材で固定するものであり,
a-1 前記トイレ本体は,周縁に設けた立設部と,当該立設部の内側に設けたシーツ載置部との間に,凹部を有し,当該凹部の底面はシーツ載置部の上面より低く設定してあり,
f 前記トイレ本体及び枠部材の外形は,平面視長辺と短辺との略矩形形状であり,メッシュ部材は枠部材の内周形状に対応した平面視略矩形形状で且つ短辺にそれぞれ1つの前記係止部を有していることを特徴とする
g ペット用トイレ」 (以下「構成a」等という。)

第4 当事者の主張
(1)判定請求人の主張
請求人は,下記甲第1,2号証を挙げて,イ号物件を「第3 (1)」に記載したように特定した上で,判定請求書の「6.(6)」において,概略以下の理由によりイ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属する旨主張している。
甲第1号証 特許第4731632号公報の写し
甲第2号証 商品名「しつけるトレーメッシュプラス」の商品説明書

(ア)「一致点」として,「本件特許発明の構成において,構成A,B,C,C_(1),B_(1),D,E,A_(1),F,Gは,イ号商品の構成a,b,c,c_(1),b_(1),d,e,a_(1),f,gと一致することは明白である。」

(イ)「相違点」として,「本件特許発明とイ号商品とで,具体的な態様において相違するのは,本件特許発明の構成C_(2)に対するイ号商品c’_(2)と,本件特許発明の構成B_(2)に対するイ号商品のb’_(2)である。」

(ウ)「イ号商品は枠部材(20)の内周部から下方に延在させた外形矩形形状の垂下部(21)をメッシュ部材の挿入孔(32e)に挿入しようとすると,垂下部(21)の下端から外側に向けて突出した被係止爪(22)がメッシュ部材(30)の係止部(32)の垂下部(32b)の先端部(下部)付近に設けた爪(32d)に当たる。
従って,この爪(32d)が外側に向けて撓まなければ枠部材(20)側の被係止爪(22)が,この爪(32d)を下方に向けて乗り越えることができない。
即ち,イ号商品はメッシュ部材(30)側の爪(32d)が内外方向に撓むことで初めて枠部材(20)側の外側に突出した被係止爪(22)に着脱自在及び内外方向に係止することができるものであり,この点において本件特許発明と構造及び作用において同一であることは明白である。」

(2)被請求人の主張
被請求人は,下記乙1,2号証を挙げて,判定請求答弁書において,概略以下の理由によりイ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属しないとの判定を求めている。
乙第1号証 本件特許発明の審査段階における手続書類一式
乙第2号証 本件特許出願の日前の公知文献(特開2007-14321号公報)

(ア)「本件特許発明の構成において,構成B,C,C_(1),B_(1),E,A_(1),F,Gは,イ号の構成b,c,c_(1),b_(1),e,a_(1),f,gと一致するとしても差し支え無い。
本件特許発明の構成において,構成Aは,「周縁付近」という極めて曖昧な技術的範囲の外縁を不明確なものとする記載が含まれていることを前提として,イ号の構成aの「周縁」がこれに含まれる可能性については否定しない。
本件特許発明の構成において構成Dがイ号の構成dと一致するか否かについては,構成C_(2)及び構成c'_(2)における「係止部」の定義に依るところが大きいが,上記対比表での構成c'_(2)の「係止部」の定義に依れば,文言上,構成dは構成Dに一致することについて否定しない。」

(イ)「本件特許発明の構成とイ号の構成とで上記定義に基づいて相違するのは,本件特許発明の構成C_(2)に対するイ号の構成c'_(2)と,本件特許発明の構成B_(2)に対するイ号の構成b'_(2)である。」

(ウ)「構成C_(2)にあるように,「係止部」こそが,「メッシュ部材の周縁部付近から垂下させた垂下片の先端部付近に設けた内外方向に撓む"爪部"」なのであって,係る関係を有さないイ号の構成c'_(2)の「係止部」が,文言上も事実上も,本件特許発明の構成C_(2)の係止部に該当しないことは言うまでもない。
この事は,本件特許の明細書【0006】の「メッシュ部材を枠部材に着脱自在に取り付ける構造例としては,メッシュ部材の係止部が,当該メッシュ部材の周縁部付近から外側に向けて突出した爪部であり,枠部材の被係止部が内周側に突出した被係止片にする例が挙げられる。・・・」という記載に基づいて裏付けられる。」

(エ)「イ号図面8に示されるように,メッシュ部材の係止部である爪(32d)は,確かに被係止爪(22)である被係止部に着脱自在,つまり上下方向に係止される。
しかし,本件特許発明の構成D「D 当該メッシュ部材の係止部が枠部材の被係止部に着脱自在及び内外方向に係止し,」の様に,爪(32d)が被係止爪(22)に対して内外方向に係止する構成は備えていない。」

(オ)「意見書において,引用文献との相違を説明するに当たり,「引例は枠体と網状シートとが上下方向の凹部と凸部とで係止するように嵌着するものであって・・・・これに対して本発明は内外方向に撓む爪部からなる係止部を被係止部に内外方向から係止するものであり,・・・係止した状態が安定し,不本意に分離することがありません。」と記載している。
これにより,明らかに「枠体と網状シートとが上下方向の凹部と凸部とで係止するように嵌着するもの」を意識的に除外している。」

第5 当審の判断
本件特許発明と当審で認定したイ号文献とを対比する。
(1)争いのない点
イ号物件の構成b,c,c-1,b-1,e,a-1,f,gは,本件特許発明の構成要件B,C,C-1,B-1,E,A-1,F,Gを充足しており,この点について当事者間に争いはないものと認められる。

(2)構成要件Aの充足性について
構成要件Aにおいて,トイレ本体において立設部を形成する場所をトイレ本体の「周縁付近」としている。
ここで,特許明細書の段落0006の「メッシュ部材の周縁部付近と表現したのは,周縁よりの位置であればよく,周縁に限定しない趣旨である」との記載からみて,「周縁部付近」は,「周縁」と「周縁より」の位置を合わせた位置を意味するものと解される。
してみると,構成要件Aの「周縁付近」も,同様に「周縁」と「周縁より」の位置を合わせた位置を意味するものと解されることから,立設部を周縁に位置させているイ号物件の構成aは本件特許発明の構成要件Aを充足する。

(3)構成要件C-2の充足性について
構成要件C-2において,「内外方向に撓む爪部」としているが,図5,図8等からみてイ号物件で撓むのは垂下部(32b)の連結部(32c)との近傍部分であると認められる。すると,爪(32d)は垂下部(32b)の撓みに伴って内外方向に移動しているに過ぎず,爪(32d)自体が撓むと認めるに足りる証拠はないことから,イ号物件の構成c-2は本件特許発明の構成要件C-2を充足しない。

仮に,構成要件C-2における「内外方向に撓む爪部」が,垂下片の撓みに伴って内外方向に移動するような爪部をも含むと解した場合についても,念のため検討する(本件特許明細書の段落0018に「メッシュ部材30の爪部37は,垂下片36が内側に撓むことで,枠部材20の内側を下方向に通過し,外側に弾性復帰することで,枠部材20の被係止リブ26aに係止する。」と記載されているように,発明の詳細な説明には,垂下片の撓みによって爪部が内外方向に移動する構成も開示されているものの,本件特許発明ではそのような特定がなされていない。)。
構成要件C-2において,「メッシュ部材の周縁部付近から垂下させた垂下片」としているので,本件特許発明において「垂下片」を設けている位置は「メッシュ部材の周縁部付近」である。
それに対して,イ号物件において「メッシュ部材(30)」は,「メッシュ(31)」と「係止部(32)」からなり,「係止部(32)」は「メッシュ(31)」の各短辺に1つずつ形成されるのみで「メッシュ(31)」の全周に形成されるものではなく,「係止部(32)」は「メッシュ(31)」を「枠部材(20)」に係止するために形成したものであることからみて,「メッシュ部材(30)」の周縁部は,「メッシュ(31)」の全周に形成された「外周壁(31a)」の上端部分であり,周縁部である「外周壁(31a)」の上端部分には「枠部材(20)」に係止するために付加的に「外周壁(31a)」,「連結部(32c)」,「垂下部(31a)」,「水平部(32b)」が連続的に形成されていると解するのが自然である。
そして,「メッシュ部材(30)」の周縁部付近とは,「第5 (2)」でも指摘した特許明細書の段落0006の記載を踏まえると「外周壁(31a)」の上端と「外周壁(31a)」の上端よりの位置,すなわち「外周壁(31a)」の上端とそれからみて「メッシュ部材(30)」の主体をなす「メッシュ(31)」側の近傍部分を示すものと解される。
してみると,イ号物件において「メッシュ部材(30)」の周縁部付近から垂下されているのは「外周壁(31a)」であり,「外周壁(31a)」が先端部付近に爪部を有していないことは明らかであることから,構成要件C-2における「内外方向に撓む爪部」が,垂下片の撓みに伴って内外方向に移動するような爪部を含むと解したとしても,イ号物件の構成c-2は本件特許発明の構成要件C-2を充足しない。
さらに,「メッシュ部材(30)」の周縁部付近から垂下されている構成を,「外周壁(31a)」のみでなく,「連結部(32c)」,「垂下部(31a)」,「水平部(32b)」も合わせて垂下していると解したとしても,垂下されている構成の先端部付近,すなわち「水平部(32b)」に爪部を有しているとは認められないことから,この場合も同様にイ号物件の構成c-2は本件特許発明の構成要件C-2を充足しない。

また,判定請求人は,判定請求書においてイ号物件の「垂下部(32b)」が,本件特許発明の「垂下片」に相当することを前提とした主張をしているものと解されるので,検討する。
まず,イ号物件の「垂下部(32b)」が,本件特許発明の「垂下片」に相当するというためには,「垂下片」を垂下させる被垂下部が必要となるところ,イ号物件において被垂下部にあたる構成は「水平部(32a)」を少なくとも含むことが必要となる。
しかし,本件特許発明の「垂下片」は「メッシュ部材の周縁部付近から垂下させ」ているのであって,イ号物件の「メッシュ(31)」の各短辺の外側に存在する両「水平部(32a)」のみでは,「メッシュ部材(30)」の周縁部と解することはできないことから,「メッシュ部材(30)」の周縁部には「外周壁(31a)」をも含むことが必要となるところ,「周縁部」を,「水平部(32a)」と「外周壁(31a)」を含むものと解するためには,「水平部(32a)」,「垂下部(32b)」,「連結部(32b)」,「外周壁(31a)」を合わせたもの「周縁部」と解さざるを得ない。
してみると,イ号物件の「垂下部(32b)」は,「メッシュ部材(30)」の「周縁部」自体となるのであって,周縁部付近から垂下された構成と解することはできず,イ号物件の「垂下部(32b)」が,本件特許発明の「垂下片」に相当することを前提とした主張が認められないことは明らかである。
さらに,イ号物件の「垂下部(32b)」は,「メッシュ部材(30)」の主体をなす「メッシュ(31)」からみて上方に立設した部材であって,メッシュ部材(31)から垂下されているということはできないから,この点からみても,イ号物件の「垂下部(32b)」が,本件特許発明の「垂下片」に相当することを前提とした主張が認められないことは明らかである。

以上のことから,いずれに解釈したとしても,イ号物件の構成bは本件特許発明の構成要Bを充足しない。

(4)構成要件B-2の充足性について
構成要件B-2において,被係止片を設ける位置を垂下部の「下部付近」としている。
ここで,特許明細書の段落0006の「メッシュ部材の周縁部付近と表現したのは,周縁よりの位置であればよく,周縁に限定しない趣旨である」との記載からみて,「下部付近」は,「下端」をも含むものとして用いていると認められることから,被係止片を下端に位置させているイ号物件の構成b-2は本件特許発明の構成要件B-2を充足する。

(5)構成要件Dの充足性について
イ号物件の構成dは上記「第3 (3)」のとおりに特定されるので,イ号物件の構成dは本件特許発明の構成要件Dを充足する。

第6 むすび
したがって,イ号物件は,本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって,結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2012-07-18 
出願番号 特願2010-170163(P2010-170163)
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 靖典井上 博之  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 鈴野 幹夫
横井 巨人
登録日 2011-04-28 
登録番号 特許第4731632号(P4731632)
発明の名称 ペット用トイレ  
代理人 大谷 嘉一  
代理人 大田 英司  
代理人 永田 元昭  
代理人 永田 良昭  
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