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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1262103 |
審判番号 | 不服2011-19956 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-14 |
確定日 | 2012-08-23 |
事件の表示 | 特願2008-131308「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月 3日出願公開、特開2009-279039〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、 平成20年5月19日に特許出願されたものであって、 平成22年12月22日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して平成23年3月7日付けで手続補正書が提出されたが、 同年6月9日付けで拒絶査定がされたため、 これを不服として同年9月14日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。 また、当審において、平成24年1月6日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、同年3月12日付けで回答書が提出されている。 2.平成23年9月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年9月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1) 本件補正発明 平成23年9月14日付け手続補正により、特許請求の範囲が、 「 【請求項1】 所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が移動する移動経路を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって予告を演出することを特徴とする遊技機。 【請求項2】 前記所定の移動部材の移動開始を制御する移動制御手段と、 前記移動制御手段による前記所定の移動部材の移動の開始に基づいて、前記表示画面を制御して、所定の演出内容を表示する表示制御手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項3】 前記所定の移動部材が所定位置を通過したことを検出する検出手段と、 前記検出手段によって検出された検出結果に基づいて、前記表示画面を制御して、所定の演出内容を表示する表示制御手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項4】 前記所定の移動部材は、球体形状の部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。 【請求項5】 前記移動経路は、前記球体形状の部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する経路であることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。 【請求項6】 前記球体形状の部材は、少なくとも遊技球の外見と同等の外見によって形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の遊技機。」 から、 「 【請求項1】 所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する移動経路を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって大当たり予告を演出することを特徴とする遊技機。 【請求項2】 前記所定の移動部材の移動開始を制御する移動制御手段と、 前記移動制御手段による前記所定の移動部材の移動の開始に基づいて、前記表示画面を制御して、所定の演出内容を表示する表示制御手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項3】 前記所定の移動部材が所定位置を通過したことを検出する検出手段と、 前記検出手段によって検出された検出結果に基づいて、前記表示画面を制御して、所定の演出内容を表示する表示制御手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項4】 前記所定の移動部材は、球体形状の部材であることを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の遊技機。 【請求項5】 前記球体形状の部材は、少なくとも遊技球の外見と同等の外見によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。」 に補正された。(以下、この補正を「本件補正」という。) (2) 補正の目的 本件補正は、以下の点を補正した。 ・補正前の請求項1における「所定の移動部材が移動する移動経路」について、「移動する」を、補正前の請求項5に記載された「重力にしたがって上方から下方へと移動する」に補正した。(以下「補正事項1」という。) ・補正前の請求項1における「予告」を「大当たり予告」に補正した。(以下「補正事項2」という。) ・補正前の請求項4における「請求項1または2」を「請求項1?3のいずれか一つ」に補正した。(以下「補正事項3」という。) ・補正前の請求項5を削除し、補正前の請求項6を請求項5に繰り上げるとともに、請求項の引用関係を整理した。(以下「補正事項4」という。) 補正事項1について 「移動する」の具体的な内容を限定したものである。 補正事項2について 「予告」の具体的な内容を限定したものである。 補正事項3について 補正事項3により、補正後の請求項4は請求項3も引用することになった。そして、補正後の請求項3を引用する請求項4は、補正後の請求項1、3及び請求項4の内容からなる。 補正前の請求項3は、請求項1及び3の内容からなり、補正前の請求項1を引用する請求項4は、請求項1及び4の内容からなる。 そうすると、補正後の請求項3を引用する請求項4は、補正前の請求項3に請求項4の内容を追加したものか、又は、補正前の請求項1を引用する請求項4に請求項3の内容を追加したものといえる。 よって、補正事項3は、発明の構成を限定したものである。 補正事項4について 請求項の削除である。 以上により、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第5項第1?2号の請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 (3) 特許性についての検討 (3-1) 引用文献に記載された事項 特開2006-238975号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、演出画像を表示するための表示領域を有する表示手段が設けられている弾球遊技機に関する。」 (イ)「【0025】 ・・・ 特別遊技は、表示手段24の表示領域24aに表示された複数の図柄が特定の表示態様(例えば、777)である場合に実行される。なお、特別遊技とは、弾球遊技機で実行される各種の遊技の中で、所定の条件が満たされた場合にのみ実行される遊技をいう。例えば・・・大当り遊技などが特別遊技に該当する。」 (ウ)「【0030】 また、遊技盤10の中央部に設けられた中央役物20の内部には、遊技球BLが表示領域24aを通過するように移動可能な(あるいは表示領域24aを交差するように移動可能な)遊技球移動空間20aが設けられている。 遊技球移動空間20aには、第1?第4の回転体21a?21dと遊技球BLを転動させるための第1?第3のガイドレール22a?22c(誘導経路)が設けられていて、遊技球BLが表示手段24の表示領域24aを通過するように構成されている。 【0031】 本実施の形態では、第1?第4の回転体21a?21dおよび第1?第3のガイドレール22a?22cが、遊技球移動空間20a内において遊技球BLを誘導する遊技球誘導手段として機能する。 また、第1のガイドレール22aは、表示手段24の表示領域24aと重ならないように(あるいは交差しないように)配設され、第2,第3のガイドレール22b,22cは、表示領域24aと交差するように(あるいは重なるように)配設されている。また、第1?第3のガイドレール22a?22cは、遊技球BLが一定の方向に転動するように傾けて設けられている。本実施の形態では、第2,第3のガイドレール22b,22cを利用して遊技球BLが表示領域24aを通過移動するように導くため、遊技球BLの表示領域24aに対する移動軌跡を固定化することによって遊技球BLの表示領域24aに対する位置を把握しやすくなっている。このため、このような構成を採用することによって表示領域24aに表示される演出画像と遊技球BLの動きとの連動性を高めることができる。 【0032】 第1?第4の回転体21a?21dは、第1?第3のガイドレール22a?22cの各端部に設けられている。第1?第4の回転体21a?21dは、それぞれ遊技球BLの移動速度を安定化させたり、遊技球BLの移動方向を変化させたり、遊技球BLの入球タイミングや放出タイミングを検出する機能を有する。 また、第1?第4の回転体21a?21dは、所与の方向(右回りあるいは左回り)に回転制御され、遊技球移動空間内における遊技球の移動速度を制限する遊技球速度制限手段として機能する。 (図3の第1の回転体21a) ここで、第1?第4の回転体21a?21dの具体的な構成例を図3に示す。 【0033】 回転体21(21a?21d)は、遊技球BLの入球口となる第1開口部RTIと、遊技球BLの放出口となる第2開口部RTOとを有し、遊技球BLを収容する収容部GPを有する回転部RTが所定の速さ及び方向で回転運動を行って収容部GPに収容した遊技球BLの移動方向を変更するように構成されている。なお、回転部RTには、遊技球BLの収容部GPが複数設けられていてもよい。 【0034】 次に、回転体21の動作を説明する。まず回転体21は、回転体RTが所与の回転速度(一定でも不定でもよい)で回転しており、第1開口部RTIに入球した遊技球BLは、収容部GPが第1開口部RTIと一致する位置に達するまで第1開口部RTIで停留させられる(図3(A)参照)。 次に、回転部RTの収容部GPが第1開口部RTIと一致する位置まで回転部RTが回転すると、第1開口部RTIに停留していた遊技球BLが収容部GPに収容される(図3(B)参照)。 【0035】 そして、回転部RTが収容部GPに遊技球BLを収容した状態で回転していくと、収容部GPが第2開口部RTOと一致したところで、遊技球BLは自重によって転動し、ガイドレール22へ放出される(図3(C)参照)。 このようにして、回転体21を用いることによって、第1開口部RTIで一旦、遊技球BLを停留させ、第2開口部RTOからガイドレール22に放出させて遊技球BLの移動を再開させることによって、遊技球BLがガイドレール22を移動する際の速度を安定化させることができる。特に各回転体21は、遊技球移動空間20aにおいて表示領域24aの外側に設けられているため、少なくとも遊技球BLが表示手段24の表示領域24aを通過移動する前に移動速度を安定化させることができる。このため、本実施の形態によれば、表示領域24に表示された演出画像を表示領域24aを通過移動する遊技球BLの位置変化に応じて変化させる制御を行う場合に、演出画像と遊技球BLの位置変化との連動性を高めることができる。 【0036】 また、回転体21の第1開口部RTIおよび第2開口部RTOには、それぞれ遊技球BLの通過を検出するためのセンサ(入球検出手段または遊技球通過検出手段)が設けられており、遊技球BLが各回転体21に入球したタイミング(入球タイミング)と回転体21から遊技球BLが放出されたタイミング(放出タイミング)とを取得することができるように構成されている。なお、遊技球BLの入球タイミングと放出タイミングとを検出するためのセンサは、ガイドレール22に設けられていてもよい。この場合には、ガイドレール22に通過式のセンサや接触式のセンサなどを設けておくことができる。 【0037】 また、本実施の形態では、第1の回転体21a、第2の回転体21b、および第1のガイドレール22aが遊技球移動空間20aにおける表示領域24aの上方に設けられており、まず第1の回転体21aにおいて遊技球BLが中央役物20内の遊技球移動空間20aに入球したことを検出する。そして、遊技球BLが第1の回転体21aから放出されるタイミング(放出タイミング)と、遊技球BLが第1のガイドレール22aを移動した後に第2の回転体21bに入球するタイミング(入球タイミング)とを用いて、遊技球BLの第1のガイドレール22aにおける平均移動速度を算出することがきる。 【0038】 このように遊技球BLが表示領域24aを通過する移動を開始する前に遊技球BLの平均移動速度が算出されていれば、第2の回転体21bから遊技球BLが放出されて遊技球BLが表示領域24aを通過移動する際の所定時における表示領域24aに対する遊技球BLの位置を推定することが可能となる。 従って、本実施の形態のように表示領域24aの外部(遊技盤10と正対した視点において表示領域24aと重ならない位置)に第1のガイドレール21aを設けておき、第1のガイドレール21aの通過情報に基づいて、遊技球BLが表示領域24aの通過移動を開始するまでの間に遊技球BLの位置を特定するための移動速度に関する情報を取得することができるため、遊技球BLの位置を常時監視することなく、遊技球BLの位置変化に対応して表示領域24aに表示される演出画像を変化させる制御を正確に行うことができる。 【0039】 また、本実施の形態では、第1のガイドレール22aが表示手段24の表示領域24a外に設けられていることで、遊技球BLが第2のガイドレール22bへ移動して表示領域24aへの通過移動を開始した直後から表示領域24aに表示される演出画像を変化させる制御を行うことができる。すなわち、表示領域24aを通過移動する遊技球BLの位置変化に関連付けて演出画像を変化させる制御を行う場合に表示手段24の表示領域24aを有効活用することができるようになる。 【0040】 なお、表示手段24の表示領域24aに対する遊技球BLの位置を特定するために、第2,第3のガイドレール22b,22cに例えば、通過式あるいは接触式のセンサを設けてその検出情報を用いて遊技球BLの位置を特定してもよいし、表示手段24の表示領域24aを例えば、タッチパネルで構成して、遊技球BLが表示領域24aに接するように移動させてタッチパネルの検出情報を用いて遊技球BLの位置を特定するようにしてもよい。 ・・・」 (エ)「【0050】 また、同期演出決定手段160には、図15に示すように、図柄の変動表示の際に保留記憶手段154に記憶された保留記憶情報に応じて同期演出を行うか否か決定するために保留記憶手段154から保留記憶情報を取得する保留記憶情報取得手段163が含まれる。このような構成とすれば、特別遊技に当選する確率や、図柄の変動時にリーチ成立状態が表示されることを遊技者に報知(あるいは予告)するために同期演出を用いることができる。また、この場合において、特別遊技に移行する確率(信頼度)を遊技者に報知するために、保留記憶情報の内容に応じて同期演出の際の演出パターンを変更するように制御してもよい。」 (オ)「【0054】 また、表示制御手段170では、遊技球が遊技球移動空間20aに入球した場合に同期演出決定手段160において同期演出を行うことが決定された場合には、遊技球位置演算手段165で求めた表示領域24aに対する遊技球の位置に関連付けて演出画像を変化させる制御も行う。この同期演出に関する表示制御は、遊技球が中央役物20内に入球することを条件とするため不規則に実行され、従来よりも変化に富んだ演出画像を提供することができる。 【0055】 ・・・ (図5?図7の同期演出に関する表示制御の例) 本実施の形態で行われる同期演出に関する表示制御の例を図5?図7を用いて説明する。遊技球移動空間20aに遊技球BLが入球し、同期演出決定手段160により入球した遊技球BLを用いて演出画像との同期演出を行うことが決定されると、遊技球BLの表示領域24aに対する位置が遊技球位置演算手段165の演算結果により把握され、遊技球BLが所定の位置まで移動した時点で表示領域24aに同期演出に係る演出画像が表示される。 【0056】 図5?図7に示す例では、遊技球BLが第3の回転体21cから放出され第3のガイドレール22cを移動している際に演出画像である人を模したキャラクタCHが表示領域24aに表示されている。遊技球BLは第3のガイドレール22cの上を自重とレールの傾きに従って転動していく。一方、表示領域24aに表示されたキャラクタCHは、第3のガイドレール22cを遊技球BLの移動方向に逆らうようにして移動表示され、遊技球BLの位置の変化に合わせて遊技球BLをあたかも飛び越しているかのように動作表示される。」 (カ)「【0080】 また、同期演出を行う処理は、通常遊技処理において実行される始動入賞判定処理の判定結果に関連付けて行うこともできる。このようにすれば、特別遊技への当選や図柄変動時のリーチ成立を遊技者に報知(予告)することにより遊技者の期待感を向上させることができる。 ・・・」 (キ)「【0084】 また、例えば、取得された保留記憶情報の中に特別遊技の当選フラグが含まれている場合には、同期演出を必ず行うものとして(発生確率100%)、全ての取得乱数値が同期演出を行うべき乱数値として設定された乱数判定テーブルを使用する。 また、この場合において、同期演出表示処理により表示される演出画像の表示パターンを特別遊技の当選に関する信頼度を表すように表示制御させてもよい。このようにすれば、遊技者に演出画像の種類によって保留記憶された遊技球の入賞に特別遊技の当選の可能性があることを報知(あるいは予告)することができ、遊技者の期待感を向上させて遊技意欲を増進させることができるようになる。 【0085】 例えば、キャラクタが遊技球を飛び越えるような演出画像では信頼度が低いが、遊技球にキャラクタが追いかけられる演出画像やキャラクタが遊技球に踏み潰される演出画像になると信頼度が高くなるように表示制御することができる。 このようにして、同期演出決定手段160によって保留記憶情報を利用して同期演出を行うか否か、ならびにどのような表示パターンで同期演出を行うかが決定されると、その後の処理は図11に示したフローチャートの処理と同様に、同期演出を行う場合には(ステップS126でYES)、遊技球位置演算手段165が遊技球の表示領域24aに対する位置を演算し(ステップS127)、演算結果に基づいて遊技球の位置変化に応じて演出画像を変化させる同期演出画像の表示処理が表示制御手段170により実行される(ステップS128)。」 以上、(ア)?(キ)、及び図面を総合すると、引用文献1には、以下の発明が開示されている。 「演出画像を表示するための表示領域24aを有する表示手段24が設けられている弾球遊技機であって、 第2,第3のガイドレール22b,22cが、表示領域24aと交差するように(あるいは重なるように)配設され、第1?第3のガイドレール22a?22cは、遊技球BLが一定の方向に転動するように傾けて設けられ、遊技球BLは第3のガイドレール22cの上を自重とレールの傾きに従って転動してゆき、 同期演出決定手段160により入球した遊技球BLを用いて演出画像との同期演出を行うことが決定されると、表示領域24aに表示されたキャラクタCHは、第3のガイドレール22cを遊技球BLの移動方向に逆らうようにして移動表示され、遊技球BLの位置の変化に合わせて遊技球BLをあたかも飛び越しているかのように動作表示され、 同期演出決定手段160には、保留記憶情報取得手段163が含まれ、特別遊技に当選する確率や、図柄の変動時にリーチ成立状態が表示されることを遊技者に報知(あるいは予告)するために同期演出を用いることができ、特別遊技に移行する確率(信頼度)を遊技者に報知するために、保留記憶情報の内容に応じて同期演出の際の演出パターンを変更するように制御する、弾球遊技機。」 (以下、この発明を「引用発明」という。) (3-2) 対比 引用発明と本件補正発明とを対比すると、 引用発明における「弾球遊技機」は、本件補正発明における「遊技機」に相当し、以下同様に、 「演出画像を表示するための表示領域24aを有する表示手段24」は、「所定の演出内容を表示する表示画面」に、 「表示領域24aと交差するように(あるいは重なるように)配設され」た「第2,第3のガイドレール22b,22c」は、「前記表示画面の前面」に備えられた「移動経路」に、 「遊技球BLは第3のガイドレール22cの上を自重とレールの傾きに従って転動してゆき」は、「所定の移動部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する」に、 「遊技球BL」と「演出画像」との「同期演出」は、「前記所定の移動部材の前記移動経路の移動と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによ」る「演出」に、 相当する。 以上のことから、引用発明と本件補正発明は、 <一致点> 「所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する移動経路を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって演出する遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> 本件補正発明における、移動部材の移動と表示画面の演出内容とを同期させた「演出」が、「大当たり予告を演出する」ものであるのに対し、 引用発明における「同期演出」が、「大当たり予告を演出する」のか、不明である点。 (3-3) 判断 前記相違点について判断する。 特開2001-25546号公報(【0061】?【0063】等)、特開2004-121464号公報(【0117】等)及び特開2006-75752号公報(【0038】等)に開示されているように、 移動部材の移動と表示画面の演出内容とを同期させることによって大当たり予告を演出することは、周知である。(以下、「周知技術」という。) 引用発明における「同期演出」と、周知技術とは、移動部材の移動と表示画面の演出内容とを同期させることによって演出する点で共通するので、 引用発明における「同期演出」に周知技術を適用して、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。 よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、 本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (3-4) 回答書に記載された発明について なお、本件補正発明のほか、念のため、平成24年3月12日付け回答書の(3)に補正案として記載された発明(以下、「回答書発明」という。)についても判断する。 ・回答書発明 回答書発明は、次のとおり、本件補正発明(補正後の請求項1に係る発明)に対して「停止部材」を追加したものである。(下線は当審で付加。) 「所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する移動経路と、 前記移動経路上において、前記所定の移動部材の移動を停止する停止部材と、を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動、前記停止部材による当該所定の移動部材の停止および当該停止の解除による当該所定の移動部材の移動の再開と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって大当たり予告を演出することを特徴とする遊技機。」 ・引用文献に記載された事項 引用文献1には、(3-2) で前記した引用発明のほか、引用発明に「第3の回転体21c」(前記(ウ)の【0034】?【0035】及び(オ)の【0056】)を追加したものが記載されている。 ・対比 引用発明に「第3の回転体21c」を追加したものと、回答書発明とを対比すると、 「第3の回転体21c」は回答書発明における前記「停止部材」に相当し、 他の点については、(3-2) で前記した本件補正発明と引用発明との対比と同趣旨である。 よって、引用発明に「第3の回転体21c」を追加したものと、回答書発明とは、 「所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が重力にしたがって上方から下方へと移動する移動経路と、 前記移動経路上において、前記所定の移動部材の移動を停止する停止部材と、を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動、前記停止部材による当該所定の移動部材の停止および当該停止の解除による当該所定の移動部材の移動の再開と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって演出する遊技機。」 である点で一致し、(3-2) で前記した相違点と同一の点で相違している。 ・判断 そうすると、回答書発明は、(3-3) で前記した本件補正発明についての理由と同様の理由により、引用発明に「第3の回転体21c」を追加したもの及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、 回答書発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (4) むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1) 本願発明 平成23年9月14日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本出願に係る発明は、平成23年3月7日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。 そして、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「所定の演出内容を表示する表示画面を備えた遊技機であって、 前記表示画面の前面において所定の移動部材が移動する移動経路を備え、 前記所定の移動部材の前記移動経路の移動と、前記表示画面の演出内容とを同期させることによって予告を演出することを特徴とする遊技機。」 (2) 引用文献に記載されている事項及び周知技術 引用文献1に記載された発明である引用発明と、周知技術については、2.(3) で前記したとおりである。 (3) 対比・判断 本願発明(補正前の請求項1に係る発明)は、前記2.で検討した本件補正発明(補正後の請求項1に係る発明)から、移動部材が「重力にしたがって上方から下方へと」移動する点及び「予告」が「大当たり予告」である点を削除したものである。 そうすると、 2.(3) で前記したとおり、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、 本願発明も、本件補正発明についての理由と同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-21 |
結審通知日 | 2012-06-26 |
審決日 | 2012-07-09 |
出願番号 | 特願2008-131308(P2008-131308) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡辺 剛史 |
特許庁審判長 |
木村 史郎 |
特許庁審判官 |
秋山 斉昭 瀬津 太朗 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 酒井 昭徳 |