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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1263588
審判番号 不服2011-19207  
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-06 
確定日 2012-09-20 
事件の表示 特願2007-173898号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年1月22日出願公開、特開2009-11426号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成19年7月2日の出願であって、平成23年6月1日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月7日)たものである。
これに対し、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
なお、拒絶査定と同日に平成23年4月27日付け手続補正についての補正却下の決定がなされている。

第2 平成23年9月6日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年9月6日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の平成23年1月4日付け手続補正書に「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、入賞に伴い遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイと、入賞に伴い遊技媒体を獲得しやすいボーナス状態が開始されるボーナスとを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う抽選手段と、第1の操作手段への操作を契機として前記複数のリールを回転させる制御と、第2の操作手段への操作を契機として前記内部抽選の結果に応じて前記複数のリールを停止させる制御とを行うリール制御手段と、前記ボーナスが前記内部抽選の抽選対象とされ前記リプレイの抽選態様が異なる複数種類のリプレイタイム状態と、前記ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させ、複数種類のリプレイタイム状態のうち少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技状態移行制御手段とを備え、前記複数のリールの停止状態において、役毎に予め定められている入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞するように設けられた遊技機であって、前記遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記第1リプレイタイム状態を終了させるとともに前記特定リプレイタイム状態を開始させ、前記特定リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を前記特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行うことを特徴とする遊技機。」とあったものを「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、入賞に伴い遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイと、入賞に伴い遊技媒体を獲得しやすいボーナス状態が開始されるボーナスとを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う抽選手段と、第1の操作手段への操作を契機として前記複数のリールを回転させる制御と、第2の操作手段への操作を契機として前記内部抽選の結果と前記第2の操作手段への操作態様に応じて前記複数のリールを停止させる制御とを行うリール制御手段と、前記ボーナスが前記内部抽選の抽選対象とされ前記リプレイの抽選態様が異なる複数種類のリプレイタイム状態と、前記ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させ、複数種類のリプレイタイム状態のうち少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技状態移行制御手段とを備え、前記複数のリールの停止状態において、役毎に予め定められている入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞するように設けられた遊技機であって、前記遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記第1リプレイタイム状態を終了させるとともに前記特定リプレイタイム状態を開始させ、前記特定リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を前記特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行い、前記第2図柄組合せが、前記内部抽選で当選した特定役が入賞しない場合に有効ライン上に表示される図柄組合せであることを特徴とする遊技機。」と補正するものである。
上記補正について検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、リールを停止させる制御について、「内部抽選の結果に応じて前記複数のリールを停止させる」とあったものを「内部抽選の結果と前記第2の操作手段への操作態様に応じて前記複数のリールを停止させる」と限定し、第2図柄組合せについて、「内部抽選で当選した特定役が入賞しない場合に有効ライン上に表示される図柄組合せ」であることを限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-346424号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、停止した状態の前記表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ラインが所定の表示位置に設定され、前記入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、通常ゲーム、第1確率変動ゲーム、第2確率変動ゲーム及び特別ゲームを含む複数の種類のゲームを管理するゲーム管理手段を備え、前記特別ゲーム終了後に前記第2確率変動ゲームを開始し、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、・・・前記ゲーム管理手段は、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次のゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとすることを特徴とする遊技機。」(下線は当審にて付与。以下同様。【特許請求の範囲】)
イ 「本発明は、スロットマシン等の遊技機に係り、特に、再遊技賞が複数の役と対応づけられると共にそれらの入賞確率がゲーム状態に応じて変化する遊技機に関するものである。」(段落【0001】)
ウ 「【発明が解決しようとする課題】
従来のスロットマシンでは、BBゲームの終了後に必ずRTゲームを開始したり、BBゲーム後に開始抽選を実行し、この開始抽選に当選するとRTゲームを開始したりしていた。また、開始抽選でRTゲームを開始する場合には、RTゲームが始まるかという期待感を遊技者に抱かせつつゲームを進行することができるので、ゲームの面白さが増加することができた。しかしながら、開始抽選はスロットマシンの内部で決定されてしまうために遊技者が介在する余地がなかった。このため、遊技者は与えられた結果に従ってしか遊技できないという問題があった。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、RTゲームの開始に遊技者を関与させることで、より遊戯性を向上することが可能な遊技機を提供することを目的とする。」(段落【0008】?【0009】)
エ 「また、第4発明に係る遊技機は、第1乃至第3発明のいずれか1つに係る遊技機において、賞は、第4役を入賞態様とする第4再遊技賞(RT4ゲーム)を含み、ゲーム管理手段(101、S110?S111)は第4ゲーム(RT4ゲーム)をさらに管理し、抽選手段(101、S103?S105)は、通常ゲーム及び第2確率変動ゲーム(RT2ゲーム)の抽選対象に第4再遊技賞(再遊技4賞)を再遊技賞として含ませて抽選を実行し、第2確率変動ゲーム(RT2ゲーム)における第4再遊技賞(再遊技4賞)を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける第4再遊技賞(再遊技4賞)を抽選で選択する当選確率より高く設定し、ゲーム管理手段(101、S110?S111)は、第4再遊技賞(再遊技4賞)の当選結果を示す抽選情報が生成された第2確率変動ゲーム(RT2ゲーム)で、入賞態様が第4役を示す場合、遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、ゲームの種類を第4ゲーム(RT4ゲーム)とする。・・・第4ゲーム(RT4ゲーム)においても、第2確率変動ゲーム(RT2ゲーム)と同様に第2再遊賞(再遊技2賞)が抽選で選択される当選確率を、通常ゲームで第2再遊賞(再遊技2賞)が抽選で選択される当選確率より高く設定する。これにより、第4ゲーム(RT4ゲーム)において第2再遊賞(再遊技2賞)が当選する頻度を高めることが可能となり、第1確率変動ゲーム(RT1ゲーム)に移行させる機会を付与することが可能となる。これにより、実質的に、第1確率変動ゲーム(RT1ゲーム)を開始するための契機となる第2確率変動ゲーム(RT2ゲーム)を延長したことと同様な遊技性を付与することができる。
また、上述の第4又は第5発明に係る遊技機は、抽選手段(101、S103?S105)が、第4ゲーム(RT4ゲーム)の抽選対象に第4再遊技賞(再遊技4賞)を再遊技賞として含ませて抽選を実行し、第4ゲーム(RT4ゲーム)における第4再遊技賞(再遊技4賞)を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける第4再遊技賞(再遊技4賞)を抽選で選択する当選確率よりも高く設定し、ゲーム管理手段(101、S110?S111)が、第4再遊技賞(再遊技4賞)の当選結果を示す抽選情報が生成された第4ゲーム(RT4ゲーム)で、入賞態様が第4役を示す場合、現在継続中の第4ゲーム(RT4ゲーム)を終了した後、遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始すると共に、このゲームから改めて第4ゲーム(RT4ゲーム)を開始するようにも構成することができる。第4ゲーム(RT4ゲーム)中に第4再遊技賞(再遊技4賞)を入賞できるように構成することで、第1確率変動ゲーム(RT1ゲーム)を開始する契機となるゲーム(RT4ゲーム)を何度でも延長できるように構成することができる。」(段落【0017】?【0021】)
オ 「 ・・各リール(R1?R3)及びドライブユニットD1?D3の構成
次に、図2(b)を用いて、左リールR1、中リールR2、及び右リールR3の構成、ならびにそれぞれのリール(R1?R3)を駆動するためのドライブユニットD1?D3の構成を説明する。ただし、各リール(R1?R3)及びドライブユニットD1?D3の構成は、それぞれ同一であるため、図2(b)及び以下の説明では、右リールR3及びこれが取り付けられるドライブユニットD3のみに着目して説明する。・・・このように構成された右リールR3は、例えば透明なABS(アクロル二トリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等で形成することができる。なお、リール枠56cと軸部56c1とスポーク部56c2とは、一体に形成されても、それぞれが別々に形成されてもよい。
リール枠56cが構成する円筒形状の側面(以下、このような側面を周囲と言う)ならびに、左リールR1を構成するリール枠56a(図2(a)参照)の周囲及び、中リールR2を構成するリール枠56b(図2(a)参照)の周囲には、例えば21個の各種の図柄が印刷されたリール帯58a?58cがそれぞれ貼り付けられる。このリール帯58a?58cに印刷されている21個の図柄には、後述において図3を用いて説明するように、1番?21番の図柄番号PNが一対一に対応づけられる。これら図柄は、リール帯58a?58cにおいて1番から21番の順に配列されている。ただし、それぞれのリール帯58a?58cにおいて、同一の図柄に同一の図柄番号PNが対応づけられているとは限らない。すなわち、各リール帯58a?58cにおいて、図柄番号PNの配列は同一であるが、個々の図柄番号PNに対応づけられた図柄が同一であるとは限らない。」(段落【0080】?【0083】)
カ 「(4-2)スロットマシン1の賞と役
次に、本実施例においてスロットマシン1に設定されている賞と役とについて、以下に図面と共に詳細に説明する。図6は、スロットマシン1に設定されている賞の種類と、各賞に対応づけられた役とを説明するための図である。図6に示すような予め定められた図柄の組み合わせ(役)が、そのゲームで有効化されている入賞ライン上に揃うと入賞となる。入賞した場合、役ごとに定められた配当数に基づいて、15枚の遊技メダルを最大とした配当が付与される小役賞や、特定種類のゲームが実行される期間を開始させる開始賞や、ベット操作なしに次ゲームを開始する権利を付与する再遊技賞などが遊技価値として遊技者に付与される。
(4-2-1)開始賞
本実施例による開始賞には、BB1賞とBB2賞とRB賞とがある。BB1賞とBB2賞とは共に、遊技者に有利なBBゲーム(特別ゲームともいう)を開始する特別開始賞である。BB1賞には、例えば「赤7-赤7-赤7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「赤7役(特別役)」ともいう)が対応づけられている。以下の説明では、BB1賞により開始されるBBゲームをBB1ゲームという。また、BB2賞には、例えば「白7-白7-白7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「白7役(特別役)」ともいう)が対応づけられている。以下の説明では、BB2賞により開始されるBBゲームをBB2ゲームという。RB賞は、RBゲームを開始する開始賞であり、例えば「BAR-BAR-BAR」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「BAR役」ともいう)が対応づけられている。なお、BB1ゲームとBB2ゲームとは、小役賞の内部抽選の当選確率が互いに相違するゲームとしてもよいし、終了条件となる遊技メダルの獲得枚数が互いに相違するゲームとしてもよいし、全く同一のゲームとしてもよい。また、以下の説明において、BB1とBB2とを区別する必要がない場合には、これらをまとめて単にBBという。」(段落【0123】?【0124】)
キ 「(4-2-3)再遊技賞
本実施例による再遊技賞には、再遊技1賞(第1再遊技賞)と再遊技2A賞(個別第2再遊技賞)と再遊技2B賞(個別第2再遊技賞)とが含まれる。再遊技1賞は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役(第1役)」ともいう)が対応づけられている。再遊技2A賞(個別第2再遊技賞)は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-赤7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム赤7役(個別第2役)」ともいう)と「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役」(第1役)ともいう)との2つが対応づけられている。再遊技2B賞(個別第2再遊技賞)は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-白7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム白7役(個別第2役)」ともいう)と「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役」(第1役)ともいう)との2つが対応づけられている。」(段落【0126】)
ク 「(4-3)スロットマシン1の各種ゲームの説明
図7は、スロットマシン1で行われるゲームを示す説明図である。図7(a)は、スロットマシン1で行われる複数種類のゲーム間の遷移を示す。図7(b)は、BBゲーム以降のゲーム間の遷移を示す。図7(c)は、スロットマシン1で行われるBBゲームの変形例である。図7(d)は、ゲームの種類を管理するゲーム種別フラグを示す。・・・(4-3-5)RT2ゲーム
図7(a)に示すように、スロットマシン1は、BBゲームが終了した場合、最後のBBゲームの次ゲームから3ゲームを上限としたRT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)を開始する。RT2ゲームは、再遊技2賞の内部抽選での当選確率が極めて高確率に設定されたゲームである。このため、RT開始出目となる「プラム赤7役」及び「プラム白7役」を表示する確率も高くなる。すなわち、このRT2ゲームは、RT1ゲームを開始する契機となるゲームとして機能する。
(4-3-6)RT1ゲーム
図7(b)に示すように、再遊技2賞が当選したゲームでRT開始出目が入賞ライン上に揃った場合、スロットマシン1は、次ゲームから100ゲームのRT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)を開始する。RT1ゲームは、再遊技1賞の内部抽選での当選確率が極めて高確率に設定されたゲームである。したがって、通常ゲームと比較して内部抽選でハズレとなることが減る。これにより、遊技者に要するベット操作が減少するので、遊技者が所有する遊技メダルの消費を抑えることができる。そのため、遊技者が、多くの遊技メダルを獲得できたBBゲームの終了を契機として、遊技を止めてしまうことを防止することができる。すなわち、BBゲームやRBゲームなどの特別ゲーム終了後にも、高い遊技性を継続的に提供することが可能となる。」(段落【0130】?【0136】)
ケ 「・ステップS101:スタートレバー操作あり判定
ステップS101において、いずれかの信号を検知した場合(S100のYES)、CPU101は、次に進み、開始操作指示信号112に基づいてスタートレバーの操作が行われたか否かを判定し(S101)、信号を検出するまで待機する(S101のNO)。
・ステップS102:ベット操作禁止
ステップS102において、開始操作指示信号112を検出した場合(S101のYES)、CPU101は、ベット操作を禁止する(S102)。具体的には、メダルブロック信号161によりメダルブロックソレノイド61をOFFにすることで、遊技メダルが通過する経路を切替える。これにより、新たにメダル投入口10から投入された遊技メダルがメダル排出口41aからメダル受皿40へ排出される。また、このステップでは、CPU101がベットボタン11を押下した際に生成されるベット操作指示信号111a?111cを受け付けないようにも制御する。
・ステップS103?S105:内部抽選処理
次に、CPU101は、内部抽選処理を実行することで、当選させる賞を決定する。この内部抽選処理では、CPU101は、まず、乱数抽選を行うことで、0000Hから3FFFH(0?16383)の範囲に含まれる数値を1つ取得する(S103)。この乱数抽選では、図示しないカウンタ回路が用いられる。カウンタ回路は、カウンタ値を0000Hから3FFFH(0?16383)の範囲で10ナノ秒毎に1つずつインクリメントすると共に、約1.6ミリ秒で0000Hから3FFFH(0?16383)の範囲を1巡回する動作を継続的に繰り返す。また、CPU101は、例えばスタートレバー12が操作された際に生成される開始操作指示信号112を検出したタイミングでカウンタ回路を参照し、このときのカウンタ値を入出力ポート107を介して取得する。このように、乱数抽選を行うことで乱数値を取得すると、次にCPU101は、各ゲーム種別フラグを参照して当選したゲームの種類に応じた賞抽選テーブルを選択する(S104)。その後、CPU101は、選択した賞抽選テーブルを使用して、ステップS103で取得した乱数値が賞抽選テーブル上の賞ごとに設定されたどの数値の範囲に属するかの判定を行い、該当する賞の当選フラグをセットする(S105)。」(段落【0142】?【0144】)
コ 「・ステップS108:リール回転開始 ・・・
・ステップS109:リール停止処理 次に、CPU101は、3つのリール(R1?R3)を停止させるリール停止処理を行う(S109)。詳しくは後述するが、リール停止処理では、CPU101は、停止操作指示信号113a?113cを検出し、遊技者による各ストップボタン(13a?13c)の操作があった場合には、ステップS106で選択した停止リンクテーブルに基づき、各ストップボタン(13a?13c)の操作タイミングで得られたリール上の図柄位置と停止データテーブル群の停止データから停止させる図柄番号PNを決定し、全ての巻線相を同時に励磁する全相励磁によってブレーキ力を与えて、全相励磁を開始してから15ステップ相当分の惰性で回転して停止させるリール停止処理をそれぞれのリールに対して行う一方、基準時点から自動停止時間が経過すると、停止操作が行われなかったリール(R1?R3)を自動的に停止する。」(段落【0148】?【0150】)
サ 「・停止リンクテーブルのデータ構造
まず、本実施例による停止リンクテーブルのデータ構造について図面と共に説明する。ただし、全ての停止リンクテーブルにおいて、その基本的な構造は同じであるため、本説明では、再遊技1用の停止リンクテーブルTBL121についてのみ詳細に説明する。図12は、図8のステップS106の停止リンクテーブル選択処理で選択される停止リンク
テーブルのデータ構造を示す説明図である。なお、停止リンクテーブルは内部抽選の抽選対象となる賞ごとに分類されている。図12(A)は再遊技1用の停止リンクテーブルTBL21を示し、図12(B)は再遊技2A用の停止リンクテーブルTBL22Aを示し、図12(C)は再遊技2B用の停止リンクテーブルTBL22Bを示し、図12(D)はBB1用の停止リンクテーブルTBL28を示す。また、各賞ごとに備えられた停止リンクテーブルTBL21?TBL29は、最初に停止操作されたリールごとに、そのデータ群が、(a)第1停止操作が左リールR1、(b)第1停止操作が中リールR2、(c)第1停止操作が右リールR3、の3つ区分され、また、賞を構成する図柄を上段・中段・下段の表示位置のいずれかに表示するかに基づいてさらに区分されている。」(段落【0173】)
シ 「・第6の変形例
また、上述した実施例1では、BBゲームが終了した場合、次ゲームからあらかじめ定められたゲーム数のRT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)を開始する場合を例示し、RT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)中に再遊技2賞(第2再遊技賞)が入賞できなかった場合には、RT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)へ移行できずに通常ゲームに戻るようにしたが、図31(a)、(b)に示すようにRT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)中に新たなRT4ゲーム(第4ゲーム)を開始するRT4開始出目(第4役)を表示した場合にRT4ゲーム(第4ゲーム)を開始するようにしてもよい。すなわち、RT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)における抽選対象に、RT4ゲーム(第4ゲーム)を開始するための開始賞である再遊技4賞(第4再遊技賞)を含めても良い。このRT4ゲーム(第4ゲーム)は、RT2ゲームと同様に、再遊技2賞(第2再遊技賞)を抽選で選択する当選確率を通常ゲームと比較して高く設定することで、RT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)を開始する契機となるゲームとなる。このように、RT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)における抽選対象に再遊技4賞(第4再遊技賞)を含めることで、RT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)を開始する契機となるゲームであるRT4ゲーム(第4ゲーム)を、同じくRT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)を開始する契機となるゲームであるRT2ゲーム(第2確率変動ゲーム)に引き続いて実行することができる。」(段落【0270】)

上記ア?シの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる。
「リール枠(56a?56c)の周囲には、21個の各種の図柄が印刷されたリール帯(58a?58c)がそれぞれ貼り付けられた3個のリール(R1?R3)と、
遊技メダルの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞と、BB1賞とBB2賞とRB賞とからなる開始賞とを含む複数の賞に当選させるかを決定する内部抽選処理を実行し、
スタートレバー(12)が操作された際(S100)にリール回転を開始(S108)し、各ストップボタン(13a?13c)の操作があった場合、内部抽選の抽選対象となる賞ごとに分類されている停止リンクテーブルに基づき、各ストップボタン(13a?13c)の操作タイミングで得られたリール上の図柄位置と停止データテーブル群の停止データから停止させる図柄番号PNを決定し、リール(R1?R3)を自動的に停止するリール停止処理を実行し、
賞抽選テーブルにRB賞、BB2賞、BB1賞を有するRT1ゲーム及びRT2ゲームと、BB1、BB2、RBゲームとを含む複数種類のゲーム間で遷移させ、RT2ゲーム中にRT1ゲームを開始する契機となる新たなRT4ゲームを開始させ、
停止した状態の表示列の各々が有する図柄の複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞するスロットマシン等の遊技機であって、
ゲーム間の遷移が、RT4ゲームにおいて第2再遊賞が当選する頻度を高めることにより、RT2ゲームを延長したことと同様な遊技性を付与することができ、RT2ゲーム中に新たなRT4ゲームを開始するRT4開始出目を表示した場合にRT4ゲームを開始できるものであり、RT4ゲーム中に第4再遊技賞を入賞できるように構成することで、RT1ゲームを開始する契機となるRT4ゲームを何度でも延長できるものであり、RT4ゲーム中にRT開始出目を表示した場合にRT1を開始させることにより遊技性を向上させたスロットマシン等の遊技機。」

(2)平成23年6月1日付けの補正の却下の決定において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-97623号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
本発明は、スロットマシンに関し、特に1ゲームよりも長い連続演出期間の間だけ継続して行われる連続演出に関するものである。」(段落【0001】)
イ 「遊技状態がRTに制御される契機としては、通常の遊技状態でレギュラーボーナス、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選することか、組み合わせ小役の取りこぼしによってRT図柄が導出されることでRT入賞となることが定められている。」(段落【0294】)

上記ア?イの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる。
「組み合わせ小役の取りこぼしによってRT図柄が導出されることでRT入賞となるスロットマシン。」

3 対比
本件補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1に記載された発明の「リール枠(56a?56c)の周囲には、21個の各種の図柄が印刷されたリール帯(58a?58c)がそれぞれ貼り付けられた3個のリール(R1?R3)」は、その構成及び機能からみて、本件補正発明の「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール」に相当し、以下同様に、
「遊技メダルの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞」は、「入賞に伴い遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ」に、
「BB1賞とBB2賞とRB賞とからなる開始賞」は、「入賞に伴い遊技媒体を獲得しやすいボーナス状態が開始されるボーナス」に、
「複数の賞に当選させるかを決定する内部抽選処理を実行」することは、「複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う抽選手段」「を備え」ることに、
「スタートレバー(12)が操作された際(S100)にリール回転を開始(S108)し、各ストップボタン(13a?13c)の操作があった場合、内部抽選の抽選対象となる賞ごとに分類されている停止リンクテーブルに基づき、各ストップボタン(13a?13c)の操作タイミングで得られたリール上の図柄位置と停止データテーブル群の停止データから停止させる図柄番号PNを決定し、リール(R1?R3)を自動的に停止するリール停止処理を実行」することは、「第1の操作手段への操作を契機として複数のリールを回転させる制御と、第2の操作手段への操作を契機として内部抽選の結果と前記第2の操作手段への操作態様に応じて複数のリールを停止させる制御とを行うリール制御手段と」「を備え」ることに、
「賞抽選テーブルにRB賞、BB2賞、BB1賞を有するRT1ゲーム及びRT2ゲームと、BB1、BB2、RBゲームとを含む複数種類のゲーム間で遷移させ、RT2ゲーム中にRT1ゲームを開始する契機となる新たなRT4ゲームを開始させ」ることは、RT4ゲームが、RT2ゲームからRT1ゲームへの移行を中継する機能を有するといえることから、「ボーナスが内部抽選の抽選対象とされリプレイの抽選態様が異なる複数種類のリプレイタイム状態と、ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させ、複数種類のリプレイタイム状態のうち少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技状態移行制御手段とを備え」ることに、
「停止した状態の表示列の各々が有する図柄の複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞する」「スロットマシン等の遊技機」は、「複数のリールの停止状態において、役毎に予め定められている入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞するように設けられた」「遊技機」に、
それぞれ相当する。
そして、刊行物1に記載された発明の「ゲーム間の遷移が、RT4ゲームにおいて第2再遊賞が当選する頻度を高めることにより、RT2ゲームを延長したことと同様な遊技性を付与することができ、RT2ゲーム中に新たなRT4ゲームを開始するRT4開始出目を表示した場合にRT4ゲームを開始できるものであり、RT4ゲーム中に第4再遊技賞を入賞できるように構成することで、RT1ゲームを開始する契機となるRT4ゲームを何度でも延長できるものであり、RT4ゲーム中にRT開始出目を表示した場合にRT1を開始させる」ことと、本件補正発明の「遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて第1リプレイタイム状態を終了させるとともに特定リプレイタイム状態を開始させ、特定リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行」うこととは、「遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて第1リプレイタイム状態を終了させるとともに特定リプレイタイム状態を開始させ、特定リプレイタイム状態では、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行」うことで共通する。

したがって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、入賞に伴い遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイと、入賞に伴い遊技媒体を獲得しやすいボーナス状態が開始されるボーナスとを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う抽選手段と、第1の操作手段への操作を契機として前記複数のリールを回転させる制御と、第2の操作手段への操作を契機として前記内部抽選の結果と前記第2の操作手段への操作態様に応じて前記複数のリールを停止させる制御とを行うリール制御手段と、前記ボーナスが前記内部抽選の抽選対象とされ前記リプレイの抽選態様が異なる複数種類のリプレイタイム状態と、前記ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させ、複数種類のリプレイタイム状態のうち少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技状態移行制御手段とを備え、前記複数のリールの停止状態において、役毎に予め定められている入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞するように設けられた遊技機であって、前記遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記第1リプレイタイム状態を終了させるとともに前記特定リプレイタイム状態を開始させ、前記特定リプレイタイム状態では、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を前記特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技機。」

[相違点1]
第1リプレイタイム状態及び特定リプレイタイム状態での遊技回数が、本件補正発明では、遊技回数に制限が設けられていないのに対して、刊行物1に記載された発明では、RT4ゲームにおいて第2再遊賞が当選する頻度を高めることにより、RT2ゲームを延長したことと同様な遊技性を付与することができ、また、RT4ゲームを何度でも延長できるものであるが、遊技回数に制限が設けられていないことは記載されていない点。

[相違点2]
第2図柄組合せが、本件補正発明では、内部抽選で当選した特定役が入賞しない場合に有効ライン上に表示される図柄組合せであるのに対して、刊行物1に記載された発明では、RT4開始出目であるが、内部抽選で当選した特定役が入賞しない場合に有効ライン上に表示される図柄組合せであるか否か不明である点。

4 当審の判断
(1)上記相違点1について
刊行物1に記載された発明は、RT2ゲーム及びRT4ゲームにおいて、それぞれのゲームを延長することを許容するものである。
そして、遊技機の技術分野において、リプレイタイム状態での遊技回数に制限を設けないことにより、実質的にゲームを延長させることと同等の効果を奏することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2006-340866号公報の段落【0111】には、RT遊技においては、最大RT遊技回数による終了条件が設定されていないことが記載され、特開2006-175120号公報の段落【0059】には、RT遊技の開始、及びRT遊技の終了等を制御するものであるRT遊技制御手段63は、RT遊技を、小役1が入賞するまで継続することが記載されている。)。
してみると、刊行物1に記載された発明のRT2ゲーム及びRT4ゲームに上記周知の技術事項を適用して、各ゲームの延長を、遊技回数に制限を設けないことにより実現することは当業者が容易になし得たものである。

(2)上記相違点2について
刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された発明とは、リプレイタイム状態を開始させる図柄組合せに関する遊技機という共通の技術分野に属する発明である。
してみると、刊行物1に記載された発明に、刊行物2に記載された発明を適用して、RT4開始出目として、内部抽選で当選した特定役としての小役が入賞しない場合に有効ライン上に表示されるRT図柄(本件補正発明の「第2図柄組合せ」に相当する。)を用いることは当業者であれば容易になし得たものである。

(3)小括
本件補正発明の奏する効果は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。
よって、本件補正発明は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年1月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、入賞に伴い遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイと、入賞に伴い遊技媒体を獲得しやすいボーナス状態が開始されるボーナスとを含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う抽選手段と、第1の操作手段への操作を契機として前記複数のリールを回転させる制御と、第2の操作手段への操作を契機として前記内部抽選の結果に応じて前記複数のリールを停止させる制御とを行うリール制御手段と、前記ボーナスが前記内部抽選の抽選対象とされ前記リプレイの抽選態様が異なる複数種類のリプレイタイム状態と、前記ボーナス状態とを含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させ、複数種類のリプレイタイム状態のうち少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行う遊技状態移行制御手段とを備え、前記複数のリールの停止状態において、役毎に予め定められている入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞するように設けられた遊技機であって、前記遊技状態移行制御手段が、第1リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第1図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記第1リプレイタイム状態を終了させるとともに前記特定リプレイタイム状態を開始させ、前記特定リプレイタイム状態では、遊技回数に制限を設けずに、第2図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて前記特定リプレイタイム状態を終了させるとともに第2リプレイタイム状態を開始させることによって、少なくとも2種類のリプレイタイム状態の間を前記特定リプレイタイム状態によって中継する制御を行うことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1?2、刊行物1?2の記載事項及び刊行物1?2に記載された発明は、前記「第2[理由]2 刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

3 対比及び判断
本願発明は、前記「第2[理由]」において検討した本件補正発明において、リールを停止させる制御、及び、第2図柄組合せについての限定を省くものである。
そうすると、本願発明と刊行物1に記載された発明とは、前記「第2[理由]3 対比」において検討した一致点の点で一致し、相違点1の点で相違する。
そして、相違点1についての判断は、前記「第2[理由]4 当審の判断」において検討したとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-07-18 
結審通知日 2012-07-24 
審決日 2012-08-09 
出願番号 特願2007-173898(P2007-173898)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 秋山 斉昭
木村 史郎
発明の名称 遊技機  
代理人 原 弘晃  

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