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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1264897
審判番号 不服2009-10056  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-25 
確定日 2012-11-08 
事件の表示 特願2005-328682「入札及び抽選を併用した土木・建築工事業者等選定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月31日出願公開、特開2007-133819〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
平成17年11月14日 出願(特願2005-328682号)
平成20年11月11日付け拒絶理由通知
平成21年2月3日受付け 意見書
平成21年2月20日付け 拒絶査定
平成21年4月23日付け 審判請求書

2.本願発明
本願発明は、特許請求の範囲に記載された次のとおりものである。
「【請求項1】
入札による一定条件下での選抜と任意抽選または条件付の抽選による土木・建築工事業者(以下、業者という)の選定方法に関するもの。
【請求項2】
請求項1の入札において、入札価格が当該入札最低価格と一定差額範囲内の業者等を選抜するもの。
【請求項3】
請求項1の入札において、入札最低額が設計価格または落札予定価格等に対する各割合別に、予め選抜する業者数または選抜する業者(数)を決める方法を定めた上で、選抜するもの。
【請求項4】
請求項1の入札において、入札価格が当該入札の状況による入札最低価格の偏差値と一定の偏差値差以内の業者を選抜するもの。
【請求項5】
請求項1の入札において、入札価格が当該入札の状況による入札最低価格の偏差値により、予め選抜する業者数または選抜する業者(数)を決める方法を定めた上で、選抜するもの。
【請求項6】
請求項1の入札において、請求項2?5の選抜方法を組み合わせた方法により、業者を選抜するもの。
【請求項7】
請求項1の入札において、請求項2?6の方法での選抜条件として、1業者に契約業者を決定する条件を含んでいるもの。
【請求項8】
請求項1の入札において、請求項2?6の方法で選抜された業者間での当該入札最低価格にて工事請負契約することを前提とした抽選により契約業者を決定するもの。
【請求項9】
請求項1の入札において、請求項2?6の方法で選抜された各業者について、当該入札最低価格を基準として、各業者の事前評価の優劣による各業者別増減額を加えた額を契約価格とすることを前提とした抽選により契約業者を決定するもの。
【請求項10】
請求項1、7、8における抽選において、参加各業者の経営規模、経営状況、業務実績等の企業評価による優劣により、当選確率に差を付して実施するもの。
【請求項11】
請求項1、7、8における抽選において、参加各業者の前年実績等に比較した当該入札時点における受注状況による余力評価(受注額が少ない業者を高評価したもの)の優劣により、当選確率に差を付して実施するもの。
【請求項12】
請求項1、7、8における抽選において、参加各業者の事業実施地域に対する貢献度等の企業評価による優劣により、当選確率に差を付して実施するもの。
【請求項13】
請求項1、7、8における抽選において、参加各業者の経営規模等と比較した当該入札物件の当該各業者における受注の重要度の優劣により、当選確率に差を付して実施するもの。
【請求項14】
請求項1、7、8における抽選において、請求項10?13の抽選方法を組み合わせた方法により、業者を選抜するもの。
【請求項15】
請求項1?14における入札または入札による選抜ならびに抽選による契約業者決定について、インターネットを利用して実施するもの。」

3.原査定の理由
拒絶査定は、以下の理由により、本願発明は、特許法2条1項に定義する「発明」ということはできす、同法29条1項柱書きの規定により特許を受けることができないと判断した。

「【請求項1-15について】
出願人は、意見書において、「本発明が公共事業等の発注方法に活用されることを主に想定した内容表現になっておりますが、入札が一般企業の工事発注先選定等のためにも実施されていることから、先ず、一般企業の直接利用が可能な発明である点で単純且つ最低限の産業上の利用性は確保されているものと思料します。」(意見書、(1))と主張している。
しかし、平成20年11月11日付けの拒絶理由通知書においては、「産業上利用することができる」か否かについて言及していないので、出願人の主張は先の拒絶理由通知において述べた理由に対する反論にあたるものではない。
したがって、上記の出願人の主張は採用できない。
出願人は、意見書において、「本発明は、従来の公共事業等の発注の多くが指名競争入札という正に人為的手続きにより実施され、そのため、多くの汚職や入札妨害等の事件が起こされ、また、人的には結果として多くの不幸を招くことに繋がってきた入札方法について、請求項1から15に記載したとおり、最終的に人為的な部分を排除するために抽選を活用するものです。発明の要件である「自然法則の利用」については、自然法則が「自然現象の間に成り立つ、反復可能で一般的な規則的関係」として定義されることに照らし、抽選の結果は単純な確率論で証明され、若しくは推測又は期待されるように、確からしく表れる法則があるという点で、本発明が当該要件を満たしているものと思料します。」(意見書、(2))及び「本発明は、そのような確からしく不確実な結果をもたらす確率論に基づいて、入札参加者のそれぞれの当選確率に差を付ける抽選の実施を前提とした入札方法です。そのため、本発明による入札において、入札参加者は事前に当選確率を上げるための発注者の基準(意向・意図)に基づく企業評価を上げる努力が求められ、それと同時に入札金額の低額化を目指さなければならない立場に立たされます。一方、限度を超えた低価格入札をしても当選確率が上がらない又は一定条件から外れた低価格入札者は失格とするシステムにすることで、発注者の立場として市場価格に見合って、且つ低価格での発注が可能となり、更に入札物件、入札役務等の品質が確保されることと落札企業の最低限且つ妥当な対価も確保されることに繋がるものです。」(同)と主張している。
しかし、本願請求項1から15に記載されたもののうち、「任意抽選または条件付の抽選」による契約業者決定は、抽選において所定の条件を満たす業者を優位にするように当選確率を取り決めることを特徴とするものであるため、確率論が自然法則であったとしても、これらは全体として契約を成立させるための手続を定めた人為的な取決めにあたるものであり、自然法則を利用した技術的思想の創作には該当しない。すなわち、特許法第2条でいうところの「発明」に該当しない。
したがって、上記の出願人の主張は採用できない。」

4.審判請求人の主張
これに対して、審判請求人は、本願特許が登録されるべき理由として、次の主張をしている。
「本願の発明は、最終的に自然法則に基づく抽選により契約業者を決定するための総合的な「入札システム、入札方法、プログラム」に関するものであり、入札方法が公開されていたとしても、確率論で説明される自然法則にそって期待される不確実な結果をもたらす多くのボリュームつまみを有する抽選機械と同様であり、その方法の取決めが自然法則を排除できないシステムであり、寧ろ本願の入札方法による効果を高めるシステムである。また、本願システムは電子入札システム関連産業およびその活用方法に関するコンサルティング産業分野でも活用が期待できる発明であることから、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしているものである。」

また、審判請求人は併せて、下記の甲各号証とともに、次の主張をしている。
「入札の大半は公共事業など公共調達分野で採用されており、その場合、国民や地域住民に理解されるよう公正に実施されるべき事柄であり、現在まで様々な工夫がなされてきた経緯がある。しかし、永年、談合問題を始めとする競争入札妨害事件、落札予定価格を漏らす或いは入札業者指名等にかかる汚職事件の防止に至っていなかった。一方、談合防止のために近年採用されるようになった一般競争入札採用による低価格落札者による品質確保にかかわる問題や落札価格の最低制限の問題等社会経済構造を揺るがす新たな諸問題が発生している現状がある。このような広い範囲にわたる問題解決や犯罪捜査等に要した経費は計り知れない莫大な金額になるものと思われ、その解決策となる本発明は、公共調達及び国内経済に多大な恩恵をもたらすものである。また、従来の入札制度が1か0という無機質な評価による業者選定システムであったが、本願発明は入札結果等により当選確率に差を設定するという連続性のある評価による業者選定システムであり、業者側にとって偶然を期待するようでありながら、長期的には安定した受注に繋がる社会的優良企業育成可能システムでもある。よって、本願の発明は、公共事業など公共調達にかかわる重大な社会問題の解決に繋がる従来には存在しない特異な業者選定システムの発明であり、特許とすべきものである。」


甲第1号証 広辞苑第六版「自然法則」にかかる記述部分
甲第2号証 公正取引委員会「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基
準」(http://www.jftc.go.jp/pre ssrelease/06.october/0610310 3-03-siryou06.pdf)
甲第3号証 (旧)建設省建設経済局長通達「低入札価格調査制度及び最低 制限価格制度の活用について」及び
(旧)官房長総合政策局長から各地方整備局長あて文書「いわ ゆるダンピング受注に係る公共工事の品質確保及び下請業者へ のしわ寄せの排除等の対策について」(http://www .jftc.go.jp/pressrelease/06. october/06103103-03-siryou06 .pdf)
甲第4号証 内閣官房のホームページ掲載文書「公共工事の品質確保に関す る具体的課題について」(http://www.cas.g o.jp/jp/seisaku/kouji/dai3/3 sankou1.pdf)
甲第5号証 (社)九州地方計画協会の会報誌「九州技報」に掲載された論 文「国直轄工事の一般競争入札による落札状況について」(h ttp://www3.kyukyo-u.ac.jp/t/ k039/ronbun/kyuusyuugihou/gi hou41a.pdf)
甲第6号証 京都府のホームページに掲載された「最低制限価格等の見直し について」(http://www2.ebid.pref. kyoto.jp/nyusatsu/saiteimina osi.pdf)
甲第7号証 広島県のホームページに掲載された「最低制限価格等の見直し について」(http://www.pref.hirosh ima.lg.jp/www/contents/12360 39994700/files/01.pdf)
甲第8号証 山形県のホームページに掲載された「山形県公共調達改善委員 会報告書(平成20年3月31日)」(http://www .pref.yamagata.jp/ou/doboku/ 180030/nk/ck/report.pdf)
甲9号証 神奈川県横須賀市のホームページに掲載されている<工事掲示板 >「横須賀市入札制度関係情報」(http://keiya ku.yokosuka-edid.jp/keiyaku/k ouji/n_seido.html#006)
甲第10号証 福島県のホームページの入札制度改革のページに掲載されて いる(社)福島県建設業協会による入札制度に関する「意見聴き 取り調査票」(http://www.pref.fukush ima.jp/nyusatu_kaikaku/kanshi iinnkai/004/shiryou2.pdf)
甲第11号証 「入札及び抽選を併用した土木・建築工事業者等選定システ ムの運用について(案)」

5.当審の判断
(ア) 特許法2条1項には,「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され,同法29条1項柱書には,「産業上利用することができる発明をしたものは、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。

したがって,請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは,その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず,特許を受けることができない。例えば,請求項に係る発明が,自然法則以外の法則(例えば、経済法則),人為的な取決め,人間の精神活動に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているときは,その発明は,自然法則を利用したものとはいえず,「発明」に該当しない。

ただし、その発明がいわゆるソフトウェア関連発明(その発明の実施にプログラムを必要とする発明)である場合には、コンピュータ上で実行されるプログラムが自然法則に基づいた制御等を行っていない場合や、自然法則以外の経済法則などに基づいた情報処理を行っている場合であっても、請求項の記載において、コンピュータで実現される機能要素がソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段として特定され、それによってソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることが提示されていれば、自然法則を利用したコンピュータシステムの発明であるとすることができ、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当すると認められる可能性がある。

(イ) そこで、本願についてみると、本願発明は、一般に入札における土木・建築工事業者等(以下、「業者」という。)の選定方法自体は、社会の人為的取り決めであって、自然法則を利用した技術的思想ということはできない。
また、その選定方法についてインターネットを利用して実現したもの(請求項15の発明)は、形式的にインターネットを利用して実施するものとして記載されているといえるとしても、インターネットの利用方法としては格別のものはなく、その発明は業者の選定方法に特色があるものであるから、自然法則を利用したコンピュータシステムの発明とはいえない。

(ウ) 以下、詳細に検討する。
請求項1には、「【請求項1】入札による一定条件下での選抜と任意抽選または条件付の抽選による土木・建築工事業者(以下、業者という)の選定方法に関するもの。」と記載されていることから、本願請求項1に係る発明の「選定方法」は、選抜と抽選とにより業者を選定することが特定されているものの、これは、入札の考え方を特定した人為的取り決めといえ、自然法則を用いたものではない。
また、請求項2?7に係る発明は、入札による業者の選抜のための選抜業者数及び選抜業者の選定方法に関するもの、請求項8、9に係る発明は、選抜業者が抽選により、契約業者として決定されたときの契約金額の決定方法に関するもの、及び、請求項10?14に係る発明は、契約業者決定のための抽選における参加各業者への当選確率の配分の決定方法に関するものであり、請求項1に係る発明と同様に、入札の考え方を特定した人為的取り決めの方法といえ、自然法則を用いたものではない。

また、審判請求人が主張するように、抽選が確率論で説明される自然法則に沿うものであるとしても、本願発明が新規な抽選機械についての発明であれば格別、本願発明は抽選機械についての発明ではなく、入札についての人為的取り決めによって選抜と抽選によって業者を選定する方法についての発明であって、それに用いる抽選機械について開示もなく、本願発明において抽選を用いたことが、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとすることはできない。
仮に、審判請求人が主張するように、本願発明の入札方法が、入札に関連した産業に利用できるものであるとしても、そのことが自然法則を利用した技術思想の創作であることとは無関係である。

更に、請求項15は、「【請求項15】 請求項1?14における入札または入札による選抜ならびに抽選による契約業者決定について、インターネットを利用して実施するもの。」であって、インターネットをどのように利用するかは、本願請求項15において何ら示されておらず、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることが提示されてもいない。また、ソフトウエアによる情報処理がそもそも、本願発明の課題とも認めることができないことからしても、形式的にインターネットを利用するものとして記載されているといえるとしても、インターネットの利用方法としては新たな技術思想の創作を付加するような格別のものはなく、請求項15に係る発明は業者の選定方法に特色があるものであるから、自然法則を利用したコンピュータシステムの発明とはいえない。

以上のように、本願発明は、人為的取り決めそのものであり、自然法則を利用したものとすることはできない。
また、審判請求人が提出した甲各号証の内容についてみても、甲各号証に審判請求人が主張する内容が記載されているとしても、そのことをもって本願発明が自然法則を利用したものであるとする理由には当たらない。

(エ) 更に、念のため、本願発明の実施例についても検討する。
本願明細書には、実施例として下記の記載がある。
「【実施例1】
【0008】
本発明は、特に公共事業での業者選定に、有効である。次に、その想定実施例を挙げる。1. 従来の競争入札参加資格申請及び経営事項審査結果並びに発注地方公共団体等で予め定めた請求項10等の内容を審査し、各業者の評価点を各項目ごとに0?1点として定めておく。それらの積を絶対評価点(a)とする。そして、請求項12等の内容を事前審査し、各物件に対する評価点の算定方法と適用ランク等を定めておき、請求項13に関する評価方法も事前に定めておく。これらの評価点の積を各対象物件に対する相対評価点(b)とする。
2. 入札の結果により抽選の対象となる業者の第一次選抜(棄権業者があれば第二次選抜による追加の必要がある)の方法として、工事規模等により低価格入札者を2?5者(工事規模が大であれば多数がとすることが考えられる)或いは、入札価格の落札予定価格に対する割合により、低価格の入札物件については、一定割合以下の入札業者を全て選抜する又は低価格入札者への当選確率を高めるために小数選抜とする等が想定され、何れの場合も一定の価格追及的配慮が必要である。
3. 請求項11に該当する入札参加希望登録各業者の入札時の受注状況(これを企業の余力評価点(c)とする)を確認するため、発注地方公共団体が単独或いは連携して、それを常に更新登録していることが必要である。少なくとも公共事業の受注状況の把握が必要である。これは、特定業者への発注の集中による丸投げ下請けや手抜き工事の予防等にも効果があるものと考えられる。
4. 実際の業者選定にあたって、前項の(2)及び(5)等による実施方法を決定すると共に前項の(4)に該当する入札への参加資格限定の有無及びその内容を決定する。また、入札物件の規模及び完成難易度と業者規模等に基づく、事前に定められた適正評価方法により、当該物件への適用を確定し、公表する。
5. 入札の実施により、落札予定価格に対する入札価格の割合をα%として実際にαが85%(A業者)、87%(B業者)、89%(C業者)、90%(D業者)、92%(E業者)以下に続くような結果が得られれば、前項の(1)により、3業者選抜することが定められていれば、A、B、C各業者が選抜されることになり、αが90%以下の業者は無条件に選抜し、90%超の場合は、全入札業者の上位3業者を選抜することが定められていれば、A、B、C、Dの4業者が選抜されることになる。また、抽選に参加する業者の最低数が定められていれば、棄権等により不足した業者分を追加補充して、抽選を実施することになる。入札価格については、失格規定を設ける必要もある。
6. 抽選に参加する業者が、A、B、Cの各業者に確定した場合、それぞれの業者について、企業としての絶対評価点(a)0?1(各項目点0?1の積にて算定した値)、企業の対象物件に対する相対評価点(b)0?1(業者規模に対して小さな物件であれば低くなり、大き過ぎても低くなる。地域的に評価される業者は高く、地域に無縁の業者は低くなる等である。)及び余力評価点(c)0?1(実績に比較して入札時点の受注量が少なければ、高い値となる)の3つの評価点の積βを算出しておき、更にαの逆数との積γを各業者の当選確率の比率とする。例えば、A業者のβ=0.3、B業者のβ=0.4、C業者のβ=0.5となった場合、A業者のγ=0.3/0.85(=0.35)、B業者のγ=0.4/0.87(=0.45)、C業者のγ=0.5/0.89(=0.56)となり、各業者が平等な抽選システムにより得た0?100までの値にγの値を乗じて得た値の大小により、当選業者(契約業者)を確定する。低価格入札業者を更に優遇するのであれば、γの値を最低業者は3倍、次の業者は2倍、或いはγを算出する際のαの値を二乗、或いは三乗する等により、低価格追及意欲を高めるシステムとすることが可能であり、また、重要なポイントである。
7. 表1は最終的に業者選定をするための抽選を実施する際の各業者の当選確率を他の業者との対比値として算定する例を示すものである。同表では、入札の結果に基づき得られたα値をそのままβの算出に用い、入札価格の低さが2位であったことを2倍の確率算出として採用している。発注事業が大規模になれば、表中のα2又はα3の採用並びにK値の採用又はその優遇度を高くすることが低価格追求の面では有効である。
【0009】
【表1】(略)」

以上によれば,本願実施例は、評価点や当選確率の具体的な値等が特定されているものの、やはり、本願発明と同様に、入札価格、各業者の評価などに応じて選抜と抽選とにより当選業者を決定するための人為的取り決めそのものであり、自然法則を利用したものとすることはできないし、自然法則を利用したコンピュータシステムの発明とも言うことができない。
 
審理終結日 2011-11-24 
結審通知日 2011-12-20 
審決日 2012-01-06 
出願番号 特願2005-328682(P2005-328682)
審決分類 P 1 8・ 1- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 吉村 和彦
特許庁審判官 清田 健一
松尾 俊介
発明の名称 入札及び抽選を併用した土木・建築工事業者等選定システム  

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