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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 C08L |
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管理番号 | 1265797 |
審判番号 | 不服2011-23845 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-11-04 |
確定日 | 2012-11-07 |
事件の表示 | 特願2010-126311「シリコーンと非水性ヒドロキシル溶媒とのエマルジョン」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日出願公開、特開2010-235954〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は,平成11年3月1日(パリ条約による優先権主張 1998年3月3日 米国)を出願日とする特願平11-52086号の一部を平成22年6月1日に新たな特許出願としたものであって,同年12月17日付で通知した拒絶の理由に対して,平成23年6月13日付で手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが,同年6月28日付で拒絶査定がなされ,これに対し,同年11月4日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1?7に係る発明は,平成23年6月13日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。 「【請求項1】 シリコーン組成物を含む非水性エマルジョンであって,当該シリコーン組成物が, (a)アルケニルシリコーン前駆体とハイドロジェンシリコーン前駆体とのヒドロシリル化反応の反応生成物であるシリコーンエラストマー,及び (b)エチレングリコール,エタノール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ブチレングリコール,イソブチレングリコール,メチルプロパンジオール,グリセリン,ソルビトール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル,ポリオキシアルキレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される非水性有機ヒドロキシル溶媒を含んでなり, 当該非水性エマルジョンが前記非水性有機ヒドロキシル溶媒又はシリコーンオイルからなる連続非水性相を含んでなり, 前記ハイドロジェンシリコーン前駆体が次式を有する樹脂である,エマルジョン。 (M^(H)_(w)Q_(z))_(j)(式中,Qは式SiO_(4/2)を有するものであり,M^(H)はH_(b)R^(11)_(3-b)SiO_(1/2)を有するもので,符号bは1?3の数であり,R^(11)は炭素原子数1?40の一価炭化水素基であり,符号w及びzは,w/zが0.5?4.0の比を有するものであり,符号jは2.0?100の数である。)」 3.原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由の概要は,本願の請求項1?7に係る発明は,同日出願された特願平11-52086号(分割出願に係る本願の原出願であり,以下,「親出願」という。特許第4647045号公報を参照。)に係る発明と同一と認められ,かつ,同出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから,特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 4.当審の判断 (1)親出願に係る発明 親出願は,平成22年12月17日に設定登録がされたものであって,その特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下,「親出願発明」という。)は,次のとおりである。 「【請求項1】 シリコーン組成物を含む非水性エマルジョンであって,当該シリコーン組成物が, (a)アルケニルシリコーン前駆体とハイドロジェンシリコーン前駆体とのヒドロシリル化反応の反応生成物であるシリコーンエラストマー,及び (b)1価のアルコール,グリコール,3価以上の多価アルコール又はそれらの混合物であって,25℃及び1気圧で液体であるものからなる,非水性有機ヒドロキシル溶媒を含んでなり, 当該非水性エマルジョンが前記非水性有機ヒドロキシル溶媒又はシリコーンオイルからなる連続非水性相を含んでなり, 前記ハイドロジェンシリコーン前駆体が次式を有する樹脂である,エマルジョン。 (M^(H)_(w)Q_(z))_(j)(式中,Qは式SiO_(4/2)を有するものであり,M^(H)はH_(b)R^(11)_(3-b)SiO_(1/2)を有するもので,符号bは1?3の数であり,R^(11)は炭素原子数1?40の一価炭化水素基であり,符号w及びzは,w/zが0.5?4.0の比を有するものであり,符号jは2.0?100の数である。)」 (2)対比 本願発明と親出願発明を対比すると,一致点,相違点は,以下のとおりである。 <一致点> 「シリコーン組成物を含む非水性エマルジョンであって,当該シリコーン組成物が, (a)アルケニルシリコーン前駆体とハイドロジェンシリコーン前駆体とのヒドロシリル化反応の反応生成物であるシリコーンエラストマー,及び (b)非水性有機ヒドロキシル溶媒を含んでなり, 当該非水性エマルジョンが前記非水性有機ヒドロキシル溶媒又はシリコーンオイルからなる連続非水性相を含んでなり, 前記ハイドロジェンシリコーン前駆体が次式を有する樹脂である,エマルジョン。 (M^(H)_(w)Q_(z))_(j)(式中,Qは式SiO_(4/2)を有するものであり,M^(H)はH_(b)R^(11)_(3-b)SiO_(1/2)を有するもので,符号bは1?3の数であり,R^(11)は炭素原子数1?40の一価炭化水素基であり,符号w及びzは,w/zが0.5?4.0の比を有するものであり,符号jは2.0?100の数である。)」 <相違点> 親出願発明の溶媒は,「1価のアルコール,グリコール,3価以上の多価アルコール又はそれらの混合物であって,25℃及び1気圧で液体であるものからなる,非水性有機ヒドロキシル溶媒を含んでなり」と特定されているのに対し,本願発明の溶媒は,「エチレングリコール,エタノール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ブチレングリコール,イソブチレングリコール,メチルプロパンジオール,グリセリン,ソルビトール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル,ポリオキシアルキレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される非水性有機ヒドロキシル溶媒を含んでなり」と特定されている点。 (3)相違点についての判断 親出願発明の溶媒について,特許明細書の段落【0048】には,「かかる非水性有機ヒドロキシル溶媒は,アルコール類,グリコール類,多価アルコール類及びポリマー状グリコール類又はそれらの混合物で,室温(例えば25℃)及び約1気圧で液体であるものからなる群から選択される。好ましくは,非水性有機ヒドロキシル溶媒は,エチレングリコール,エタノール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ブチレングリコール,イソブチレングリコール,メチルプロパンジオール,グリセリン,ソルビトール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル,ポリオキシアルキレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される。」と記載(下線は,当審で付した。)されている。そして,親出願発明は,その溶媒として,「エチレングリコール,エタノール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,トリプロピレングリコール,ブチレングリコール,イソブチレングリコール,メチルプロパンジオール,グリセリン,ソルビトール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル,ポリオキシアルキレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される非水性有機ヒドロキシル溶媒」(以下,単に「エチレングリコール等の非水性有機ヒドロキシル溶媒」と記載する。)を排除していない。 したがって,親出願発明の溶媒と本願発明の溶媒とは,親出願発明の溶媒が「エチレングリコール等の非水性有機ヒドロキシル溶媒」のとき,一致する。 なお,審判請求人は,審判請求書において,「つまり,出願1に記載の発明による効果は,パーソナルケアもしくは化粧用の組成物についての,塗布性及び触感の改善にとどまります。 他方,本願発明によれば,特定の構成のシリコーンエラストマーと,請求項1,3,及び4に記載の特定の非水性有機ヒドロキシル溶媒との組み合わせによる相乗効果により,化粧組成物に特に好適な非水性エマルジョンが提供されます。 」,「このように,本願発明のエマルジョンによれば,皮脂の除去効果や保湿効果に代表される,本願の請求項1,3,及び4に記載の非水溶性有機ヒドロキシル溶媒によりもたらされる効果について,かかる溶媒を単独で使用する場合よりも優れた効果を化粧組成物に付与することができます。」と主張をしているが,上記のとおり親出願発明の溶媒と本願発明の溶媒が一致する以上,本願発明において親出願発明とは異なる異質な効果を奏するということはありえない。 また,「かかる溶媒を単独で使用する場合よりも優れた効果」については,本願発明が非水性有機ヒドロキシル溶媒を複数組み合わせて使用するものに限定されていない以上請求項の記載に基づかない主張であり採用できない。 以上のとおりであるから,上記相違点は実質的な相違点であるとはいえず,本願発明と親出願発明は同一である。 5.まとめ 以上のとおり,本願発明は,本願と同日に出願された特願平11-52086号に係る発明と同一と認められ,かつ,同出願に係る発明は特許第4647045号として特許権の設定登録がされており協議を行うことができないから,特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項について論及するまでもなく,本願は,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-06-06 |
結審通知日 | 2012-06-12 |
審決日 | 2012-06-25 |
出願番号 | 特願2010-126311(P2010-126311) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
Z
(C08L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岡▲崎▼ 忠 |
特許庁審判長 |
蔵野 雅昭 |
特許庁審判官 |
加賀 直人 須藤 康洋 |
発明の名称 | シリコーンと非水性ヒドロキシル溶媒とのエマルジョン |
代理人 | 藤田 和子 |