• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A41C
管理番号 1265874
判定請求番号 判定2012-600025  
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2012-12-28 
種別 判定 
判定請求日 2012-08-01 
確定日 2012-11-01 
事件の表示 上記当事者間の特許第3735818号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件説明書及び図面・写真に示す「スタイリッシュブラ/レース」は、特許第3735818号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号物件説明書及び図面・写真に示す「スタイリッシュブラ/レース」(以下「イ号物件」という。)は、特許第3735818号に係る発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

第2.本件発明
本件特許発明は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものであり、これを構成要件ごとに分説すると次のとおりである。

「【請求項1】
A カップ部(1)の内面が使用者の皮膚に粘着するようにしたブラジャーであって、
B カップ部(1)は、発泡材(3)、発泡材(3)の内面側と外面側をそれぞれ覆う内部生地層(5)(6)、各内部生地層(5)(6)をそれぞれ覆う内面層(7)及び外面層(8)から構成され、
C 外面層(8)を適宜の模様を施したレース生地とし、
D さらにカップ部(1)の縁部全周をパイピング加工していること
E を特徴とするブラジャー。
【請求項2】
F カップ部1の周囲を囲む線材(9)をテープ(10)で包んで縫製することによりパイピング加工している
G 請求項1記載のブラジャー。」

第3.イ号物件
請求人 株式会社共栄商会が提出した、平成24年8月1日付け判定請求書及び同書に添付されたイ号物件説明書(甲第2号証)、平成24年9月7日付け上申書に添付された甲第5号証、並びに平成24年9月14日付け上申書に添付された甲6号証及び甲7号証からみて、イ号物件は、次のa?eに分説したとおりの構成を具備するものである。

「a 粘着式ブラジャーであって、
b カップ部は、発泡材からなる中材、中材の内面側を覆う内側生地、中材の外面側を覆う表生地、内側生地を覆う粘着層及び表生地を覆う外面層から構成され、
c 外面層を適宜の模様を施したレース生地とし、
d さらに、粘着層を除く、中材、内側生地、表生地及び外面層の4層の縁部全周をパイピング加工している
e 粘着式ブラジャー。」

なお、構成bに関し、中材が発泡材からなることは、判定請求書第4頁第6?8行、同書第6頁の表のb)欄、中材にポリウレタンが使用されていること(イ号物件説明書5.丸数字1の1)材質参照)、甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証から明らかであり、構成cに関し、外面層に使用されているレース生地が「適宜の模様を施した」ものであることは、イ号物件説明書7.写真【写真1】から明らかである。
また、構成dに関し、パイピング加工の対象として、粘着層が含まれていないことは、表生地、中材及び内側生地を圧着成型したカップ状本体と外面層のレース生地の縁部をパイピング縫製し、その後に、カップ状本体の内面側にシリコン接着剤を塗布し乾燥することによって粘着層が形成されること(イ号物件説明書5.丸数字1の2)製造工程参照)、甲第5号証、甲第6号証及び同甲第7号証から明らかである。

第4.対比、判断
1.イ号物件が本件特許発明の各構成要件を充足するか否かについて検討する。
(1)構成要件C及び構成要件Eについて
イ号物件は、その構成c及びeにおいて、本件特許発明の構成要件C及びEを充足することは明らかである。
(2)構成要件Aについて
イ号物件の粘着式ブラジャーにおいて、カップ部の最も内面に粘着層が設けられている。したがって、イ号物件は、カップ部の内面が使用者の皮膚に粘着するようにしたブラジャーであり、本件特許発明の構成要件Aを充足する。
(3)構成要件Bについて
イ号物件における「発泡材からなる中材」、「中材の内面側を覆う内側生地」及び「中材の外面側を覆う表生地」、並びに「内側生地を覆う粘着層」及び「表生地を覆う外面層」は、それぞれ本件特許発明における「発泡材(3)」、「発泡材(3)の内面側と外面側をそれぞれ覆う内部生地層(5)(6)」、「各内部生地層(5)(6)をそれぞれ覆う内面層(7)及び外面層(8)」に相当する。してみると、イ号物件は、本件特許発明の構成要件Bを充足する。
(4)構成要件Dについて
本件特許発明において、カップ部(1)は、「発泡材(3)、発泡材(3)の内面側と外面側をそれぞれ覆う内部生地層(5)(6)、各内部生地層(5)(6)をそれぞれ覆う内面層(7)及び外面層(8)から構成され」(構成要件B)、構成要件Dにおいて、「さらにカップ部(1)の縁部全周をパイピング加工していること」とされている。すなわち、本件特許発明においては、カップ部(1)は、発泡材(3)、内部生地層(5)及び(6)、内面層(7)並びに外面層(8)の合計5つの層から構成されており、これら5層から構成されたカップ部(1)の縁部全周がパイピング加工されている。結局のところ、本件特許発明において、構成要件Dにおけるパイピング加工の対象とされるのは、前記した合計5つの層すべてであることになる。
一方、イ号物件において、パイピング加工の対象は、粘着層を除く、中材、内側生地、表生地及び外面層の4層である(前記第3.構成d参照)。
したがって、イ号物件と本件特許発明は、パイピング加工の対象とされる層として、粘着層(内面層)が含まれるか否かにおいて相違しており、イ号物件は本件特許発明の構成要件Dを充足しない。

2.次に、上記相違点(構成要件D)に係る部分が、均等であるか否かについて検討する。
(1)本質的な部分であるか否かについて
本件特許明細書には、次の記載が認められる。
「【発明の効果】
【0007】
この発明のブラジャーは、上述のような構成を有しており、着用時に外側に露出するカップ部1の外面層8が模様を施したものとしているので、見栄えがよくなり、しかもカップ部1の縁部全周をパイピング加工しているので、カップ部1の部材が解れにくく長期間の使用に耐えることができる。」、
「【0020】
また、前記5層の部材をカップ部1の縁部全周においてパイピング加工したことにより、前記5層の部材は解れにくくなっており、長期間の使用に耐えることができる。しかも、カップ部1の全周が縫製されているので、皺の生じやすいレース生地に張りをもたせることが可能となっている。」
これらの記載によれば、本件特許発明において、パイピング加工の対象として、前記した5層のすべてを対象とすることは、これら5層の部材について解れにくくするために不可欠の事項であるといえる。
よって、構成要件Dに係る上記相違点は、本件特許発明の本質的な部分である。
(2)特段の事情について
本件特許発明については、特許出願手続において、次の経緯がある。
平成17年3月10日付け手続補正により、請求項1を
「カップ部(1)の内面が使用者の皮膚に粘着するようにしたブラジャーであって、カップ部(1)は、内部に発泡材(3)を有し、外面層(8)を適宜の模様を施したレース生地とし、さらにカップ部(1)の縁部全周をパイピング加工していることを特徴とするブラジャー。」
と補正したところ、平成17年5月10日付け拒絶理由通知において、
「 平成17年 3月10日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

上記補正書の請求項1には、出願当初の請求項1に記載されていた「発泡材の内面側と外面側をそれぞれ覆う内部生地層(5)(6)」及び「内面層(7)」が記載されておらず、カップ部内部に発泡材を有し、且つ外面層(8)を有するブラジャーであれば、上記内部生地層や内面層を含まなくてもよいものとなった。しかして、出願当初明細書中においては、上記出願当初請求項1に記載のような5層構造であることのみが説明されており、内部生地層や内面層を含まなくてもよいとは、記載も示唆もなされていない。」
と指摘され、平成17年6月21日付け手続補正により、本件特許発明のとおりに補正して、特許査定された。
すなわち、本件特許発明において、パイピング加工の対象として、前記した5層を対象とするもの以外については、平成17年6月21日付け手続補正により、特許出願手続において意識的に除外されていると解される。
上記の(1)及び(2)のことから、均等を判断するための他の要件を検討するまでもなく、イ号物件が本件特許発明と均等であるということはできない。

なお、被請求人に対し、本件判定請求書副本を送付するとともに、答弁があれば提出するよう求めたところ、被請求人から、答弁書を提出しない旨の平成24年9月12日付け上申書が提出された。

第5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
 
別掲




7.写真
【写真1】



【写真2】



【写真3】



【写真4】





イ号物件の断面写真(a) 甲5号証


イ号物件の断面写真(b)





イ号物件の断面写真(a) 甲6号証


イ号物件の断面写真(b)





半完成品の断面写真(a) 甲7号証


半完成品の断面写真(b)

 
判定日 2012-10-24 
出願番号 特願2004-262052(P2004-262052)
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (A41C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植前 津子  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 栗林 敏彦
仁木 浩
登録日 2005-11-04 
登録番号 特許第3735818号(P3735818)
発明の名称 ブラジャー  
代理人 大内 信雄  
代理人 足立 彰  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ