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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する A61G
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A61G
管理番号 1267247
審判番号 訂正2012-390089  
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-07-06 
確定日 2012-11-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3993996号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3993996号に係る明細書を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯と請求の趣旨
本件審判請求は、特許3993996号(平成13年10月23日特許出願、平成19年8月3日設定登録、平成23年8月5日(請求項1及び【0004】,【0005】について平成21年11月6日付け訂正請求においてする訂正)、及び、平成24年5月10日(請求項2,3について平成23年11月24日付け訂正請求においてする訂正)訂正確定登録)に係る無効審判事件である無効2011-800069の審決に対する訴えの提起の後になされたもので、その審決が確定していないものに係る特許についての訂正審判請求であり、平成23年法律第63号附則第2条第19項の規定によってなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「特許法」という。)第126条第2項に規定する法定期間内に適法に請求されたものである。
そして、その請求の趣旨は、前記特許第3993996号(以下「本件特許」という。)の願書に添付した明細書(以下「特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを認める、との審決を求めるものであって、当該訂正は以下の訂正事項からなるものである。

第2 訂正の内容
1 訂正事項1
特許明細書の特許請求の範囲に係る訂正(以下「訂正事項1」という。)は、訂正前(平成23年8月5日及び平成24年5月10日に訂正確定登録されたもの、以下同様。)の請求項1について、
「【請求項1】
左右側枠を一個または二個以上のX枠で連結した構造であって、該X枠は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆からなり、該一対の回動杆の各上端には上側杆がそれぞれ取り付けられ、該上側杆は上記左右側枠に具備されている座梁部に取り付けられている杆受けにそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆下端部は軸を介して該左右側枠下部に取り付けられており、該左右側枠下部には、上下に配列している複数個の軸穴が設けられており、該車椅子の所望の巾に対応して該複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該軸を支持させることによって、該X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にしたことを特徴とする車椅子。」
を、
「【請求項1】
左右側枠を一個または二個以上のX枠で連結した構造であって、該X枠は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆からなり、該一対の回動杆の各上端には上側杆がそれぞれ取り付けられ、各下端には下側杆がそれぞれ取り付けられ、該上側杆は上記左右側枠に具備されている座梁部に取り付けられている杆受けにそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆の下側杆は左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を介して該左右側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には前後一対の下側杆取付部が取り付けられており、該下側杆取付部には、該左右側枠に沿う方向を向き、かつ該枢軸を支持するための軸穴がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられており、該回動杆下端の下側杆を該前後一対の下側杆取付部間に位置させて、該車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部の複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該枢軸を引き抜き可能に挿通支持させることによって、該X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にしたことを特徴とする車椅子。」と訂正するとともに、当該訂正に起因し、請求項2及び請求項3についても同様の訂正を行うものである(当審注:下線は訂正箇所を示す。次の2においても同様。以下、上記訂正後の請求項1に係る発明を「訂正発明」という。)。

2 訂正事項2
特許明細書の発明の詳細な説明に係る訂正(以下「訂正事項2」という。)は、訂正前の段落【0004】について、
「【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、左右側枠(3,3) を一個または二個以上のX枠(11,12) で連結した構造であって、該X枠(11,12) は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆(11A,11A,12A,12A) からなり、該一対の回動杆(11A,11A,12A,12A)の各上端には上側杆(17,17)がそれぞれ取り付けられ、該上側杆(17,17)は上記左右側枠(3,3)に具備されている座梁部(4,4)に取り付けられている杆受け(16,16)にそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆下端部は軸(26)を介して該側枠下部に取り付けられており、該左右側枠下部には、上下に配列している複数個の軸穴(13A,13B,13C) が設けられており、該車椅子(1)の所望の巾に対応して該複数個の軸穴(13A,13B,13C)のうちの一つを選択して該軸穴(13A,13B,13C)に該軸(26)を支持させることによって、該X枠(11,12)の上端部は該左右側枠(3,3) に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠(11,12)の長さを変えることなく該車椅子(1)の巾を調節可能にした車椅子(1) を提供するものである。
該回動杆(12A,12A) の少なくとも一対の中央より上側部分と左右側枠(3,3) との間にはリンクアーム(30,30) が差し渡されており、該リンクアーム(30,30) は左右側枠側では取付け位置が上下調節可能にされていることが望ましい。
さらに該リンクアーム(30,30) は左右側枠(3,3) 側で軸(32,32) を介して取り付けられており、該軸(32,32) は該側枠(3,3) 側に設けられ上下に配列している複数個の軸穴(14A、14B、14C)のうち一つに支持されていることが望ましい。」
を、
「【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、左右側枠(3,3) を一個または二個以上のX枠(11,12) で連結した構造であって、該X枠(11,12) は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆(11A,11A,12A,12A) からなり、該一対の回動杆(11A,11A,12A,12A)の各上端には上側杆(17,17)がそれぞれ取り付けられ、各下端には下側杆(18,18)がそれぞれ取付けられ、該上側杆(17,17)は上記左右側枠(3,3)に具備されている座梁部(4,4)に取り付けられている杆受け(16,16)にそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆の下側杆(18,18)は左右側枠(3,3)に沿った方向に配設されている枢軸(26)を介して該側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には、該左右側枠(3,3)に沿う方向を向き、かつ該枢軸を支持するための軸穴(13A,13B,13C)がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられている前後一対の下側杆取付部(13,13)が取り付けられており、該車椅子(1)の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部(13,13)の複数個の軸穴(13A,13B,13C)のうちの一つを選択して該軸穴(13A,13B,13C)に該枢軸(26) を引き抜き可能に挿通支持させることによって、該X枠(11,12)の上端部は該左右側枠(3,3) に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠(11,12)の長さを変えることなく該車椅子(1)の巾を調節可能にした車椅子(1) を提供するものである。
該回動杆(12A,12A) の少なくとも一対の中央より上側部分と左右側枠(3,3) との間にはリンクアーム(30,30) が差し渡されており、該リンクアーム(30,30) は左右側枠側では取付け位置が上下調節可能にされていることが望ましい。
さらに該リンクアーム(30,30) は左右側枠(3,3) 側で軸(32,32) を介して取り付けられており、該軸(32,32) は該側枠(3,3) 側に設けられ上下に配列している複数個の軸穴(14A,14B,14C)のうち一つに支持されていることが望ましい。」と訂正するものである。

第3 各訂正事項の適法性についての検討
1 訂正の目的
訂正事項1は、請求項1について、訂正前の回動杆の下端部、及び、左右側枠下部に設けられている複数個の軸穴、ならびに、両者を軸によって枢着支持する態様に係る「下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆からなり」、「該回動杆下端部は軸を介して該左右側枠下部に取り付けられており、該左右側枠下部には、上下に配列している複数個の軸穴が設けられており、該車椅子の所望の巾に対応して該複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該軸を支持させる」という発明特定事項を、「(回動杆の)各下端には下側杆がそれぞれ取り付けられ」、「該回動杆の下側杆は左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を介して該左右側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には前後一対の下側杆取付部が取り付けられており、該下側杆取付部には、該左右側枠に沿う方向を向き、かつ該枢軸を支持するための軸穴がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられており、該回動杆下端の下側杆を該前後一対の下側杆取付部間に位置させて、該車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部の複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該枢軸を引き抜き可能に挿通支持させる」と特定して減縮するものであり、また、請求項2,3について、それらが訂正前に引用する請求項1の発明特定事項である「一対の回動杆」及び「左右側枠」について、「一対の回動杆」が「各下端には下側杆がそれぞれ取り付けられ」、「左右側枠」に「前後一対の下側杆取付部が取り付けられて」いるとともに、前記下側杆取付部に、「枢軸を支持するための軸穴がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられ」ていて、前記複数個の軸穴のうちの一つを選択することにより、「該回動杆下端の下側杆を該前後一対の下側杆取付部間に位置させ」て車椅子の巾が「使用者の体形に応じて調節される」ことをさらに特定して減縮するものであるといえるから、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正といえる。
また、訂正事項2は、上記訂正事項1の訂正と整合させるために、特許明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、特許法第126条第1項第3号に規定する明りようでない記載の釈明を目的とする訂正といえる。
したがって、上記訂正事項1,2は、特許法第126条第1項の規定に適合する。

2 新規事項と実質的拡張・変更の有無
そして、上記訂正事項1,2によって特定する事項は、本件特許明細書の、【0003】、【0012】、【0013】、【0015】、【0022】、【図6】、【図10】に記載もしくは図示された事項であるか、それらの記載もしくは図示された事項から自明な事項であるといえるから、上記訂正事項1,2は、いずれも特許明細書又は願書に添付した図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、より好ましい態様に特定したものであるといえるから、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
したがって、上記訂正事項1,2は特許法第126条第3項ならびに同第4項の規定に違反しない。

3 独立特許要件
訂正の目的、新規事項と実質的拡張・変更の有無については以上のとおりであるから、以下、訂正事項1に関し、特許法第126条第5項の規定の適合性を訂正発明について検討する。
(1)本件特許出願前に頒布された刊行物
本件特許出願前に頒布された刊行物である独国実用新案第29721699号明細書(以下「引用例」という。)の記載事項(当審注:摘示箇所の邦訳を記した。)
ア 右下表示頁番号「-2-」下から7行?右上表示頁番号「-3-」第8行
「本考案は、車台フレームを備え、該車台フレームが下側フレームパイプと上側フレームパイプとをそれぞれ有する2つのサイドフレーム部材を具備し、該フレーム部材には走行方向に隔離して駆動輪とキャスタとが1つずつ支承されており、フレーム部材は、該フレーム部材に枢着され角度をなして互いに調整可能な支柱によって、離隔した使用位置と近接した折りたたみ位置との間で互いに向かって移動可能であり、かつ少なくとも使用位置において固定可能になっており、フレーム部材と接続された側方部材とバックレストとによって画成される座部をさらに備えた、折りたたみ式車椅子に関する。
…(中略)…
互いに溶接されたパイプからなるサイドフレーム部材には、一方の側に、通常、後側駆動輪が1つずつと、他方の側に、垂直軸を中心に回動可能な前側キャスタが1つずつ支承されている。この車椅子では、クロスバーが、互いに交差するパイプまたはリンクからなり、これらのパイプまたはリンクは、交差点に関節状に互いに接続されており、下端部がサイドフレーム部材の下側フレームパイプにそれぞれ枢着されている。クロスバーをなすパイプまたはリンクのそれぞれの他端とシートパイプとが固く接続されており、このシートパイプには、通常、丈夫な帆布からなる座部の長手方向縁部が固定されており、使用位置において、サイドフレーム部材の上側フレームパイプと係止可能である。
この車椅子では、例えば潜在的ユーザの体格の違いといった種々の要求に適応できないか、または少なくとも非常に適応し難いため不十分である。したがって、本考案の基礎となる課題は、種々の要求に対する適応性を改善した折りたたみ式車椅子を提供することである。
上記課題は、車台フレームを異なった幅の少なくとも2つの使用位置に調整するために、サイドフレーム部材がそれらの間隔に関して互いに調節可能であり、それぞれ1つの使用位置に対応する調整ポジションでロック可能であることによって解決される。
したがって、本考案は、車台フレームの両サイドフレーム部材の間隔を変更することによって車椅子の使用位置をユーザのそれぞれの要求に適応させることであり、その場合に、フレーム部材を少なくとも2つの異なった間隔に調整することができる。」
イ 右上表示頁番号「-3-」下から10行?右上表示頁番号「-5-」第8行
「サイドフレーム部材をクロスバーによって互いに接続した車台フレームでは、本考案の一展開形態により、リンクの下端部とサイドフレーム部材との枢着点の高さが変更可能であるように形成することが合目的的であることが明らかになった。車台フレームの幅調節は、クロスバーリンクの下端部をどの高さポジションで車台フレームのサイドフレーム部材に枢着するかに依存して行われる。この場合、それぞれの使用位置での係止は、例えば、使用位置において、サイドフレーム部材の上側フレームパイプから突出する係止部が形状結合的に係合する、リンクの上端部と接続されたシートパイプによってそのまま変わらない。
車台フレームの幅の調整と、ひいては座幅調整は、この展開形態では、それぞれの使用位置において、互いに交差するクロスバーのリンクがなす角度が変更されることによって行われる。その場合、座部の高さは変わらない。
他の有意義な展開形態では、リンクの下端部が、異なった高さ位置でサイドフレーム部材に固定可能な軸受ブロックによってサイドフレーム部材に枢着されている。この軸受ブロックは、サイドフレーム部材の上側フレームパイプと下側フレームパイプとの間に延在する保持コンソールに収容され、かつ垂直方向に互いに離隔した所定の調整ポジションで保持コンソールに固定可能であり得る。
この展開形態では、リンクの下端部に、軸受パイプがそれぞれ固く接続されており、該軸受パイプは、サイドフレーム部材の上側フレームパイプおよび下側フレームパイプに対して平行位置に延在し、かつそれぞれのリンクから両側に突出するならば、そしてリンクの両側で、サイドフレーム部材の上側フレームパイプおよび下側フレームパイプと接続されたそれぞれ1つの保持コンソールが設けられ、該保持コンソールには軸受パイプの一端をそれぞれ支承するための軸受ブロックが収容されているならば合目的的であることも判明した。
さらに、保持コンソールが所定の垂直方向の間隔を離間させて配置された、リンクを枢着するために利用される軸受ブロックを固定するための孔を備えているならば、保持コンソールでの軸受ブロックの特に簡単な高さ調整が可能である。」
ウ 右上表示頁番号「-7-」第7行?右上表示頁番号「-9-」第18行
「図2?図4に示された本考案に係る車台フレーム20は、図1に示された車台フレーム1と全く類似に、2つのサイドフレーム部材21を有し、これらのサイドフレーム部材は、それぞれ1つの上側フレームパイプおよび下側フレームパイプ22、23と、これらを互いに接続する前側フレームパイプおよび後側フレームパイプとからなる。
サイドフレーム部材21はクロスバー28によって互いに接続されており、クロスバーは、交差点で回転ジョイントによって互いに接続された2つのリンクと、ダブルのリンク29、29’と、これらと交差するシングルのリンク30とからなる。クロスバーリンクは、それぞれの上端部に、上側フレームパイプ22に固く取り付けられた係止部33と形状結合的に係合するためのシートパイプ32を備えている。
先行技術の車台フレーム1とは異なり、車台フレーム20は、車椅子のそれぞれの使用位置において両フレーム部材21間の間隔と、ひいては座幅を調節するための装置を備えている。
この目的で、両サイドフレーム部材21には、クロスバー28の両側に、ダブルリンク29、29’およびシングルリンク30のそれぞれの下端部を枢着するためのそれぞれ同様に形成された保持コンソール36が2つずつ、走行方向に離隔して配置されている。金属形材として形成された保持コンソール36は、垂直方向に延在し、それぞれの両端部で止め輪37により、それぞれのサイドフレーム部材21の上側フレームパイプ22と下側フレームパイプ23とに固定されている。保持コンソール36の各々は、同じ数の穴38を備えており、これらの穴は、保持コンソール36の取付け位置において垂直方向に離隔して配置されており、車台フレーム20に配置された全保持コンソール36のそれぞれ対応する穴38が水平面上に延びる。
ダブルリンク29、29’およびシングルリンク30は、それらの下端部に軸受パイプ41をそれぞれ備えており、この軸受パイプは、それぞれのリンクの長手方向に対して垂直に、かつ取り付けられた状態で、上側もしくは下側フレームパイプ22、23に対して平行に延びる。軸受パイプ41の端部は、軸受ブロック42に軸が固定されているが、回動可能に支承されている。軸受ブロック42は、保持コンソール36から車椅子内側に突出し、かつこれらの保持コンソールと公知の態様で固く、しかし、例えば穴38を貫通し軸受ブロック42のねじ孔に螺入されるねじによって着脱可能に接続されている。
図3および図4に示されるように、それぞれの軸受ブロック42を固定するために設けられた穴38は、それぞれの使用位置においてサイドフレーム部材21間の間隔を決定する。図3において、軸受ブロック42は、下側フレームパイプ23の領域に直接配置された穴38に固定されている。このことにより、使用位置において、ダブルリンク29、29’およびシングルリンク30と水平線との角度が略30°になり、したがって比較的狭い座幅になる。
これに対して図4に示された調整位置では、ダブルリンク29、29’およびシングルリンク30を保持コンソール36の穴38に枢着するために軸受ブロック42が固定されており、穴は、それぞれの上側フレームパイプ22と下側フレームパイプ23との間の略中央に配置されている。使用位置においてリンク29および29’もしくは30と水平線とがなす角度は、図3に示される例よりもはるかに平坦であり、略15°である。したがって、この調整位置では、両サイドフレーム部材21間の間隔と、ひいては座幅が図3の調整位置での場合よりも大きい。」
エ Fig.2a、Fig.3、Fig.4


以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、引用例には 次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「2つのサイドフレーム部材21はクロスバー28によって互いに接続されており、
クロスバー28は、交差点で回転ジョイントによって互いに接続された2つのリンクである、ダブルリンク29、29’と、シングルリンク30とからなり、
それら2つのリンクは、それぞれの上端部に、上側フレームパイプ22に固く取り付けられた係止部33と形状結合的に係合するためのシートパイプ32を備えており、また、それら2つのリンクは、それぞれの下端部に、サイドフレーム部材21の下側フレームパイプ23に沿った方向に、固く接続された軸受パイプ41を備えており、
当該各軸受パイプ41は軸受ブロック42に枢着され、さらにサイドフレーム部材21に支持されており、
当該軸受ブロック42は、サイドフレーム部材の上側フレームパイプ22と下側フレームパイプ23との間に延在する保持コンソール36に上下に配列して設けられた複数の穴38の一つに、例えば前記穴38を貫通し軸受ブロック42のねじ孔に螺入されるねじによって固く着脱可能に接続して用いられて、各リンクの下端部に接続された軸受パイプ41を異なった高さ位置でサイドフレーム部材に枢着せしめることにより、
座部の高さを変えることなく、かつ、クロスバー28の長さを変えることなく、車台フレームの幅を調整してユーザの体格に適応可能とした、車椅子。」

(2)対比
上記訂正発明と引用発明を対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「2つのサイドフレーム部材21」及び「保持コンソール36」は、訂正発明の「左右側枠」に相当し、以下同様に、「クロスバー28」は「X枠」に、「交差点」は「中央」に、「回転ジョイントによって互いに接続され」は「相互回動可能に結合され」に、「シートパイプ32」は「上側杆」に、「上側フレームパイプ22」は「座梁部」に、「係止部33」は「杆受け」に、「軸受パイプ41」は「下側杆」に、それぞれ相当する。
さらに、引用発明のクロスバー28を構成する「ダブルリンク29、29’」と「シングルリンク30」は、対として2つのリンクを構成するものであって、「交差点で回転ジョイントによって互いに接続され」るのであるから、訂正発明の「一対の回動杆」に相当するといえる。
そして、引用発明の「(クロスバー28の)2つのリンク」は、下端部に、サイドフレーム部材21の下側フレームパイプ23に沿った方向、すなわち、サイドフレーム部材21に沿った方向に設けられた軸受パイプ41を備えており、当該軸受パイプ41は、「軸受ブロック42に枢着され、さらにサイドフレーム部材21に支持され」るものであることからして、引用発明の「軸受ブロック42」は軸受パイプ41を枢支するものであって、軸受パイプ41を枢支するためには、サイドフレーム部材21に沿った方向の取付け穴を具備することは明らかであるといえるから、訂正発明と引用発明は、「下側杆取付部には、該左右側枠に沿う方向を向き」、かつ「下側杆を支持するための軸穴が」「相対して」「設けられて」いる点で共通し、さらに、両者は、回動杆の下側杆が、「左右側枠に沿った方向に」「該左右側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には前後一対の下側杆取付部が取り付けられて」いる点でも共通しているといえる。
ここで、引用発明の「サイドフレーム部材の上側フレームパイプ22と下側フレームパイプ23との間に延在する保持コンソール36に上下に配列して設けられた複数の穴38の一つに、例えば前記穴38を貫通し軸受ブロック42のねじ孔に螺入されるねじによって固く着脱可能に接続して用いられて、各リンクの下端部に接続された軸受パイプ41を異なった高さ位置でサイドフレーム部材に枢着せしめることにより、
座部の高さを変えることなく、かつ、クロスバー28の長さを変えることなく、車台フレームの幅を調整してユーザの体格に適応可能とした」という事項と、訂正発明の「車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部の複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該枢軸を引き抜き可能に挿通支持させることによって、該X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にした」という事項を対比すると、両者は、「車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して、左右側枠に複数個上下に配列した下側杆の支持部のうちの一つを選択する」点で共通しているといえ、また、引用発明の「座部の高さを変えることなく、かつ、クロスバー28の長さを変えることなく、車台フレームの幅を調整してユーザの体格に適応可能とした」という事項が、訂正発明の「X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にした」という事項に相当することは明らかである。

そうすると、訂正発明と引用発明は、
「左右側枠を一個または二個以上のX枠で連結した構造であって、該X枠は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆からなり、該一対の回動杆の各上端には上側杆がそれぞれ取り付けられ、各下端には下側杆がそれぞれ取り付けられ、該上側杆は上記左右側枠に具備されている座梁部に取り付けられている杆受けにそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆の下側杆は左右側枠に沿った方向に該左右側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には前後一対の下側杆取付部が取り付けられており、該下側杆取付部には、該左右側枠に沿う方向を向き、かつ下側杆を支持するための軸穴が相対して設けられており、該車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して、左右側枠に複数個上下に配列した下側杆の支持部のうちの一つを選択して該X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にした車椅子。」である点で一致し、次の点で相違するといえる。
(相違点)
回動杆の下端に取り付けられている下側杆の左右側枠下部への枢着が、訂正発明は、「左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を介して」なされるものであり、「軸穴」は、「枢軸を支持するため」のものであって、そのような軸穴を「下側杆取付部」に「複数個上下に相対して配列して」設け、「下側杆を該前後一対の下側杆取付部間に位置させて」、「該軸穴に該枢軸を引き抜き可能に挿通支持させる」ことにより、下側杆を支持して車椅子の巾を調整可能とするものであるのに対し、引用発明は「枢軸」を具備せず、回動杆の下端に取り付けられている下側杆の左右側枠下部への枢着は、下側杆取付部として機能する2つの軸受ブロック42に下側杆を挿通して掛け渡すことによってなされるものであり、引用発明の軸受ブロックが具備する軸受パイプ41を枢支するための取付け穴は、枢軸を引き抜き可能に挿通支持させるものではなく、軸受パイプ41を枢動可能に支持するために設けられているものであって、車椅子の巾を調整可能とするために、軸受パイプ41の支持部材として機能する前記軸受ブロック42を、サイドフレーム部材間に延在する保持コンソール36に上下に配列して設けられた複数の穴38の一つに、例えば前記穴38を貫通し軸受ブロック42のねじ孔に螺入されるねじによって固く着脱可能に接続して用いる点。

(3)相違点についての検討と判断
ア 下側杆の枢支態様についての検討
杆状体のごとき棒体を回動可能に枢支する際、棒体そのものの外周を枢動可能に支持すること、棒体内に枢軸を設け、当該枢軸を支持して棒体を枢動可能とすることは、いずれも当業者に周知の慣用手段にすぎないし、車椅子に関する技術分野においても、下側杆内部に軸棒を挿通して下側杆を回動可能に支持することは、関連無効審判請求人が提示した実願昭51-52810号(実開昭52-144560号)のマイクロフィルム(第1,2図及び明細書第3頁参照)や特開平11-192266号公報(図8,9及び段落【0013】参照)に見られるように、従来からよく知られている事項である。
そうすると、引用発明において、枢動する軸受パイプを軸受ブロックを用いて枢動可能に支持する態様に代えて、軸受パイプ内部に軸棒を挿通して軸受パイプを枢動可能に支持する、すなわち、下側杆の左右側枠下部への枢着態様を、訂正発明のごとく「左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を介して」なされる態様に変更することは、当業者が適宜なし得る事項であるといえる。
イ 下側杆の支持構造についての検討
次いで、上記相違点のうち、下側杆を車椅子の下側杆取付け部に取り付けるための支持構造について検討する。
訂正発明の前記支持構造の要部は、
“下側杆を、左右側枠下部に取り付けられている前後一対の下側杆取付部間に位置させ、前記下側杆に挿通せしめられる枢軸を支持するため、前記下側杆取付部に設けられている軸穴に、該枢軸を引き抜き可能に挿通して支持する”(以下「訂正発明支持構造」という。)というものである。
一方、引用発明の下側杆を車椅子に支持するための構造は、下側杆(軸受パイプ)の支持部材である車椅子に着脱可能な軸受ブロックを介して接続固定する構造であって、上記「ア」で述べた事項に係る変更を行ったとしても、引用発明の前記支持するための構造は、下側杆(軸受パイプ)を枢動可能に支持する左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を、車椅子に着脱可能な軸受ブロックを介して車椅子に接続固定する構造に変更されるにすぎない。
そうすると、引用発明の前記支持構造を変更して訂正発明支持構造とするためには、軸受ブロックを廃し、軸受パイプを保持コンソール間に位置せしめられるようにして、枢軸を直接支持するための穴を保持コンソールに対向して設ける、というさらなる改変を行う必要があるといえる。
しかしながら、引用例にはこのような改変を行うことについて何ら記載ないし示唆はない。また、車椅子のサイドフレームを構成する支持手段40に交差フレーム21を、その下端の支持高さを調整回動可能に取り付ける構造について記載した特開2001-245935号公報、あるいは、本件について関連無効審判請求人が提示した上記実願昭51-52810号(実開昭52-144560号)のマイクロフィルム、特開平11-192266号公報、特開平2-46845号公報、実公昭43-3460号公報、米国特許第6227559号明細書、及び、当審合議体が訂正拒絶理由で提示した特開平11-318988号公報にも上述のごときさらなる改変を行うことについての記載や示唆はなく、さらに、上述のさらなる改変を行うことが、本件特許出願前に公知であったとする他の証拠を見いだすこともできない。
してみると、引用発明の下側杆を支持するための構造に、上述のさらなる改変を加えて上記の訂正発明支持構造を採用することは、当業者といえども容易なことではない。

(4)小括
以上検討したとおりであるから、たとえ訂正発明と引用発明が、X枠の上端部の左右側枠に対する上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく車椅子の巾を調節可能にするために、左右側枠に下側杆の支持部を複数個上下に配列して設け、その支持部のうちの一つを選択して下側杆を支持する点で一致しているとしても、上記の訂正発明支持構造を得ることが容易であるといえない以上、当業者は、引用発明を前提発明として訂正発明に容易に至ることができるとはいえない。
また、その他に、訂正発明が、本件特許出願前に公然知られた、公然実施された、また、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明である、あるいは、それら発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとする証拠を見いだすこともできない。
加えて、訂正発明が独立して特許を受けることができないとするその他の根拠も見いだすことはできない。
よって、訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明である。加えて、訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができる発明である以上、請求項1に係る訂正に起因して訂正されることとなる訂正後の請求項2及び3に係る発明も、訂正発明と同様に、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明であるといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1は特許法第126条第1項及び第3項ないし第5項の規定に適合するものであり、訂正事項1が適法である以上、訂正事項2は「第3」の「1」,「2」で述べたとおり適法な訂正であるといえるから、本件訂正は適法になされたものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
車椅子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右側枠を一個または二個以上のX枠で連結した構造であって、該X枠は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆からなり、該一対の回動杆の各上端には上側杆がそれぞれ取り付けられ、各下端には下側杆がそれぞれ取り付けられ、該上側杆は上記左右側枠に具備されている座梁部に取り付けられている杆受けにそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆の下側杆は左右側枠に沿った方向に配設されている枢軸を介して該左右側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には、該左右側枠に沿う方向を向き、かつ該枢軸を支持するための軸穴がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられている前後一対の下側杆取付部が取り付けられており、該車椅子の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部の複数個の軸穴のうちの一つを選択して該軸穴に該枢軸を引き抜き可能に挿通支持させることによって、該X枠の上端部は該左右側枠に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠の長さを変えることなく該車椅子の巾を調節可能にしたことを特徴とする車椅子。
【請求項2】
該回動杆の少なくとも一対の中央より上側部分と左右側枠との間にはリンクアームが差し渡されており、該リンクアームは左右側枠側では取付け位置が上下調節可能にされている請求項1に記載の車椅子。
【請求項3】
該リンクアームは左右側枠側で軸を介して取り付けられており、該軸は該側枠側に設けられ上下に配列している複数個の軸穴のうち一つに支持されている請求項2に記載の車椅子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は巾調節できる車いすに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来巾調節可能な車椅子は提供されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図10に示すように車椅子(9)を介助者によらず使用者自身が移動させるには主車輪(91)あるいは主車輪に取り付けられたハンドリムを手で掴んで回すので、使用者の体形に応じて車椅子(9)の巾を調節しなければ、車椅子(9)に乗った人が車輪(91)を手で回す時、車輪(91)の巾が広すぎたり狭すぎたりして車輪(91)を回し易い位置に手をおくことが出来ないという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、左右側枠(3,3)を一個または二個以上のX枠(11,12)で連結した構造であって、該X枠(11,12)は中央で相互回動可能に結合され、下端部を該左右側枠下部に枢着した一対の回動杆(11A,11A,12A,12A)からなり、該一対の回動杆(11A,11A,12A,12A)の各上端には上側杆(17,17)がそれぞれ取り付けられ、各下端には下側杆(18,18)がそれぞれ取り付けられ、該上側杆(17,17)は上記左右側枠(3,3)に具備されている座梁部(4,4)に取り付けられている杆受け(16,16)にそれぞれ支持されるように設定されており、該回動杆の下側杆(18,18)は左右側枠(3,3)に沿った方向に配設されている枢軸(26)を介して該側枠下部に枢着されており、該左右側枠下部には、該左右側枠(3,3)に沿う方向を向き、かつ該枢軸を支持するための軸穴(13A,13B,13C)がそれぞれ複数個上下に相対して配列して設けられている前後一対の下側杆取付部(13,13)が取り付けられており、該車椅子(1)の使用者の体形に応じて調節される巾に対応して該下側杆取付部(13,13)の複数個の軸穴(13A,13B,13C)のうちの一つを選択して該軸穴(13A,13B,13C)に該枢軸(26)を引き抜き可能に挿通支持させることによって、該X枠(11,12)の上端部は該左右側枠(3,3)に対して上下位置を変えることなく、かつ該X枠(11,12)の長さを変えることなく該車椅子(1)の巾を調節可能にした車椅子(1)を提供するものである。
該回動杆(12A,12A)の少なくとも一対の中央より上側部分と左右側枠(3,3)との間にはリンクアーム(30,30)が差し渡されており、該リンクアーム(30,30)は左右側枠側では取付け位置が上下調節可能にされていることが望ましい。
さらに該リンクアーム(30,30)は左右側枠(3,3)側で軸(32,32)を介して取り付けられており、該軸(32,32)は該側枠(3,3)側に設けられ上下に配列している複数個の軸穴(14A,14B,14C)のうち一つに支持されていることが望ましい。
【0005】
【作用】
本発明では車椅子(1)の左右側枠(3,3)は前後一対のX枠(11,12)により連結され、該X枠(11,12)の回動杆(11A,11A,12A,12A)を中心Cを支点に回動させれば、図8に示すようにX枠(11,12)の巾、すなわち左右側枠(3,3)間の巾を調節することができる。このとき該X枠(11,12)は縦巾も変化するが、該回動杆(11A,11A,12A,12A)下端部の該左右側枠下部取付け位置が車椅子の所望の巾に対応して上下調節可能にされているので、縦巾が変化してもそれに対応して該左右側枠(3,3)を連結でき、該回動杆の上端部の上下位置、即ち座の上下位置は変化しない。
【0006】
具体的には該回動杆(11A,11A,12A,12A)下端部は、枢軸(26)を介して該側枠(3,3)下部に取り付けられており、該枢軸(26)は該側枠(3,3)下部に設けられた上下に配列している複数個の軸穴(13A,13B,13C)のうちの一つに支持されるのであるが、該回動杆(11A,11A,12A,12A)下端部を複数個の該軸穴(13A,13B,13C)のうちの一つを選び該軸穴に合わせて該枢軸(26)を挿通することによって枢着して座の高さを変えることなく該側枠(3,3)間の巾すなわち車椅子(1)の巾を段階的に調節できる。
【0007】
該回動杆(11A,11A,12A,12A)の少なくとも一対の中央より上側部分と左右側枠(3,3)との間にはリンクアーム(30,30)が差し渡され、該リンクアーム(30,30)は側枠(3,3)側で取付け位置が上下調節可能にされていると、側枠(3,3)間の巾調節に応じてリンクアーム(30)の取付け位置も調節出来、X枠(11,12)を補強できる。
【0008】
該リンクアーム(30,30)は側枠側で軸(32,32)を介して取り付けられており、該軸(32)を該側枠側に設けられ上下に配列している複数個の軸穴(14A,14B,14C)のうち一つを選んで該軸穴に回動可能に支持させるとリンクアーム(30,30)の取付け位置を段階的に調節出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を図1?図8に示す一実施例によって説明すれば、図1?3に示す車椅子(1)の本体(2)は左右一対の側枠(3,3)からなり該側枠(3,3)は座梁部(4)、前後脚柱部(5,6)、アームレスト部(7)、背柱部(8)、フットレスト支持梁(9)および下梁(10)からなり、該側枠(3,3)は前後一対のX枠(11,12)によって結合されている。
【0010】
該本体(2)の側方において後脚柱部(6,6)には一対の主車輪(15,15)が取り付けられ、前脚柱部(5,5)には補助車輪(47)が取り付けられている。また座梁部(4,4)間においてX枠(11,12)の上端の一対の上側杆(17,17)には座布(19)が差し渡されて、該側枠(3,3)の背柱部(8,8)間には背布(21,21)が差し渡され、フットレスト支持梁(9)には左右一対のフットレスト(46)が横方向に跳ね上げ可能に取り付けられている。
さらにアームレスト部(7)上面にはアームレストパッド(23)が取り付けられ、背柱部(8)上端は屈曲されて把手(45)が取り付けられている。
【0011】
該座布(19,19)および該背布(21,21)は図3および図4に示すようにそれぞれ2枚の布が中央部で分割可能に面ファスナー(20,22)により張り合わされてなる。布はポリアミドやポリエステル等の丈夫な合成繊維製であることが好ましい。
【0012】
左右の側枠(3,3)を連結している前後一対のX枠(11,12)は図5に示すようにそれぞれ一対の回動杆(11A,11A)および一対の回動杆(12A,12A)からなり、該一対の回動杆(11A,11A,12A,12A)はそれぞれ中心Cを支点に相互回動可能に結合しており、該一対のX枠(11,12)の上端において一対の円筒状の上側杆(17,17)が、下端においては一対の円筒状の下側杆(18,18)が差し渡され溶接されている。
【0013】
また図6に示すように該側枠(3)下部の下梁(10)には前後一対の角柱状の下側杆取付け部(13,13)が溶接され、該下側杆取付部(13,13)には左右側枠(3,3)に沿う方向を向き、かつ枢軸(26)を支持するための軸穴(13A,13B,13C)が複数個(3個)上下に配列して設けられている。さらに該下側杆取付部(13,13)の一方には抜止め軸孔(13D)が上面から下面にかけて貫通して設けられている。また該側枠(3)の座梁部(4)には前後一対の杆受け(16,16)が取り付けられている。
【0014】
さらに後脚柱部(6)には図7に示すように角柱状のリンクアーム取付部(14)が溶接され、該リンクアーム取付部(14)には軸穴であるネジ穴(14A,14B,14C)が回動杆(12A,12A)の回動に対応して適切な位置に複数個(3個)上下左右に配列して設けられている。
【0015】
該X枠(11,12)により該側枠(3,3)を連結するには、該X枠(11,12)の円筒状の下側杆(18)を下側杆取付部(13,13)のいずれかの軸穴(13A,13B,13C)例えば軸穴(13A)に合わせ、該左右の側枠(3,3)に沿った方向に配設されている軸である枢軸(26)を、該軸穴(13A,13A)および円筒状の下側杆(18)の内部に挿通して支持する。この時該X枠(11,12)の上側杆(17)は座梁部(4)の杆受け(16,16)に支持される。
【0016】
このようにしてX枠(11,12)を左右の側枠(3,3)に取り付けたら図6に示すように抜止め軸(27)を下側杆取付部(13)の抜止め軸孔(13D)および該枢軸(26)に設けられている抜止め軸孔(26A)に挿通する。該枢軸(26)は一端が屈曲されて把持部を形成するとともに、該枢軸(26)の過入を規制し該抜止め軸孔(26A)の位置合わせを容易にする。
【0017】
このようにして左右の側枠(3,3)をX枠(11,12)により固定したら、さらに図7に示すリンクアーム(30,30)を回動杆(12A,12A)の中央より上部と後脚柱部(6,6)のリンクアーム取付部(14,14)とに差し渡し、軸であるネジ(31,32)により適合する位置のネジ穴(14A)に固定する。該リンクアーム(30,30)により左右側枠(3,3)とX枠(11,12)は強固に連結される。
【0018】
本実施例の車椅子(1)の巾を調節するには、背布(19)および座布(21)の面ファスナー(20,22)を剥がし、抜止め軸(27)を抜止め軸孔(13D)より引き抜く。さらに枢軸(26)を下側杆(18)および軸穴(13A)より引き抜く。そしてリンクアーム(30)をリンクアーム取付部(14)に固定しているネジ(32)を外して、リンクアーム(30)と側枠(3,3)の連結を解放する。この状態で図8に示すように該X枠(11,12)の回動杆(11A,11A,12A,12A)を中心Cを支点に回動させてX枠(11,12)の巾を調節しつつ、これに合わせて側枠(3,3)を移動させて車椅子(1)の巾を調節する。
【0019】
このときX枠(11,12)の巾を狭めると、X枠(11,12)の縦巾は大きくなり、X枠(11,12)の巾を広げると、X枠(11,12)の縦巾は小さくなる。そしてX枠(11,12)の下側杆(18,18)を軸穴(13A,13B,13C)のうちの適切な軸穴を選んで位置を合わせ、該枢軸(26)を該軸穴(13A,13B,13C)および該円筒状の下側杆(18,18)の内部に挿通して該X枠(11,12)を支持させる。
【0020】
このようにして巾を調節しX枠(11,12)を側枠(3,3)に固定したら該抜止め軸(27)を下側杆取付部(13)の抜止め軸孔(13D,26A)に挿通する。
さらにリンクアーム(30,30)を回動杆(12A,12A)の中央より上部と後脚柱部(6,6)のリンクアーム取付部(14,14)とに差し渡し、回動杆(12A,12A)に設けられたネジ穴(12B)およびリンクアーム取付部(14,14)のネジ穴(14A,14B,14C)のうち適合するネジ穴を選んでネジ(31,32)にて固定する。
このようにして側枠(3,3)間の巾を調節したら、座布(19)および背布(21)の面ファスナー(20,22)を貼り直して座部および背もたれを整える。
【0021】
本実施例では軸穴およびネジ孔は3個であり、巾は3段階に調節できるが、該軸穴およびネジ孔は2個あるいは4個以上であってもよい。
またX枠は1個または3個以上であってもよい。
また軸(26,31,32)は必ずしも枢軸やネジである必要はないが、枢軸やネジであると下側杆やリンクアームが回動可能で図9に示すように車椅子を折り畳むことが出来る。
【0022】
【発明の効果】
本発明では、座の高さを変えることなく車椅子の巾を調節できるので、使用者が最も操作しやすい巾に調節できる。あるいはメーカーにとっては巾の異なる多種類の製品を製造しなくて済む。
【図面の簡単な説明】
図1?図9は本発明の実施例を示すものである。
【図1】
車椅子側面図
【図2】
車椅子正面図
【図3】
車椅子平面図
【図4】
座布説明斜視図
【図5】
X枠斜視図
【図6】
X枠の側枠への取付け状態説明斜視図
【図7】
リンクアーム取付け状態説明斜視図
【図8】
巾調節機構説明正面図
【図9】
折り畳み状態車椅子正面図
【図10】
従来例の車椅子説明正面図
【符号の説明】
1 車椅子
3 側枠
11,12 X枠
11A,11A,12A,12A 回動杆
13A,13B,13C,14A,14B,14C 軸穴
26 枢軸
31,32 軸
30 リンクアーム
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-11-09 
出願番号 特願2001-325007(P2001-325007)
審決分類 P 1 41・ 121- Y (A61G)
P 1 41・ 856- Y (A61G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 洋昭  
特許庁審判長 村田 尚英
特許庁審判官 高木 彰
高田 元樹
松下 聡
関谷 一夫
登録日 2007-08-03 
登録番号 特許第3993996号(P3993996)
発明の名称 車椅子  
代理人 乾 てい子  
代理人 宇佐見 忠男  
代理人 乾 てい子  
代理人 宇佐見 忠男  
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