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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1269226 |
審判番号 | 不服2011-27035 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-12-14 |
確定日 | 2013-01-23 |
事件の表示 | 特願2008- 66530「液晶表示装置のカラーフィルタ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月25日出願公開、特開2008-225481〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年3月14日(パリ条約による優先権主張2007年3月14日、大韓民国)の出願であって、平成23年6月13日に手続補正がなされたところ、同年8月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月14日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成23年12月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年12月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成23年12月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の請求項1を削除するとともに、補正前の請求項3を以下のように補正して新たに補正後の請求項1とすることを含むものである。 「カラーフィルタ基板と、 前記カラーフィルタ基板上に行列状に形成され、1画素が第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素と、第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対と、第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対と、第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対とから構成される複数の画素と、 を含み、 前記サブ画素は、1行×6列に配置され、そのうち、3つの列には、第1の赤、第1の緑、第1の青のサブ画素が配置され、残りの3つの列には、2行×3列に2つのサブ画素が一対となすように配置され、 前記第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対、並びに前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対がイエロー色(Y)を実現し、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対がシアン色(C)を実現し、前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対がマゼンタ色(M)を実現する ことを特徴とする液晶表示装置のカラーフィルタ。」 本件補正は、補正前(平成23年6月13日付け手続補正後のもの)の請求項3において、「サブ画素」が「1行×6列に配置され」、「そのうち、3つの列には、第1の赤、第1の緑、第1の青のサブ画素が配置され、残りの3つの列には、2行×3列に2つのサブ画素が一対となすように配置され」との限定を行うものであるから、上記補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成23年改正前特許法」という。)第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-17973号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 上部に一つ以上の第1画素領域、及び第1サブ領域と第2サブ領域とを含む一つ以上の第2画素領域が形成されたベース基板と、 前記第1画素領域及び前記第2画素領域の第1サブ領域に形成された第1カラーフィルタと、 前記第2画素領域の第2サブ領域に形成された第2カラーフィルタと、 を含むことを特徴とするカラーフィルタ基板。 【請求項2】 前記第1カラーフィルタは、レッド、グリーンまたはブルー色を含むことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ基板。 【請求項3】 前記第1画素領域は、レッド画素領域、グリーン画素領域及びブルー画素領域を含み、前記第1カラーフィルタは前記レッド画素領域に形成されたレッドカラーフィルタ、前記グリーン画素領域に形成されたグリーンカラーフィルタ及び前記ブルー画素領域に形成されたブルーカラーフィルタを含むことを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ基板。 【請求項4】 前記第2画素領域は、シアン画素領域、マゼンタ画素領域及びイエロー画素領域を含み、 前記シアン画素領域の前記第1サブ領域には前記ブルーカラーフィルタが形成され、前記シアン画素領域の前記第2サブ領域には前記グリーンカラーフィルタが形成され、 前記マゼンタ画素領域の第1サブ領域には前記レッドカラーフィルタが形成され、前記第2サブ領域には前記ブルーカラーフィルタが形成され、 前記イエロー画素領域の第1サブ領域には前記レッドカラーフィルタが形成され、前記第2サブ領域には前記グリーンカラーフィルタが形成されることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ基板。 … 【請求項23】 前記請求項1?11のいずれかに記載のカラーフィルタ基板と、 前記カラーフィルタ基板に対向し、画素電極及び前記画素電極に画素電圧を印加するス イッチング素子を含むアレイ基板と、 前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板との間に介在された液晶層と、 を含むことを特徴とする表示装置。」 イ 「【0001】 本発明はカラーフィルタ基板、それの製造方法及びそれを含む表示装置に関し、より詳細に説明すると製造工程を単純化するためのカラーフィルタ基板、それの製造方法及びそれを含む表示装置に関する。」 ウ 「【0034】 … 図1は本発明の一実施例によるカラーフィルタ基板の画素領域を示した平面図であり、図2は図1のI-I‘線に沿って切断した部分を示した断面図である。 【0035】 図1及び図2に示すように、本発明の一実施例によるカラーフィルタ基板100はベース基板110及び前記ベース基板110上に形成された複数のカラーフィルタを含む。選択的に、前記カラーフィルタ基板100はブラックマトリックス111をさらに含む。 前記ベース基板110は光学的に透明な物質を含む。例えば、ガラス基板が前記ベース基板110として使用されることができる。 前記ブラックマトリックス111は前記ベース基板110の上部に形成される。ブラックマトリックス111は光を遮断する。ブラックマトリックス111はマトリックス形状に配列された複数の開口部を含み、前記ベース基板110は前記開口部を通じて露出される。前記開口部はベース基板110上部に複数の画素領域を画定する。 それぞれの画素領域は第1画素領域101及び第2画素領域102を含む。また、第2画素領域102は第1サブ領域102a及び第2サブ領域102bを含む。 前記第1画素領域101はレッド画素領域(R)、グリーン画素領域(G)、ブルー画素領域(B)に対応し、前記第2画素領域102はシアン画素領域、マゼンタ画素領域、イエロー画素領域を含む。 【0036】 本発明では加法混色により前記シアン画素領域、マゼンタ画素領域及びイエロー画素領域を具現する。より詳細に説明すると、シアンはブルーに対応する波長領域の光とグリーンに対応する波長領域の光を足して具現され(C=B+G)、マゼンタはレッドに対応する波長領域の光とブルーに対応する波長領域の光を足して具現され(M=R+B)、イエローはレッドに対応する波長領域の光とグリーンに対応する波長領域の光を足して具現される(Y=R+G)。 【0037】 従って、シアン領域、マゼンタ領域、イエロー画素領域に対応する前記第2画素領域102は前記第1サブ領域102a、及び第2サブ領域102bを含み、第1サブ領域102a及び第2サブ領域102bにレッドカラーフィルタ、グリーンカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタのうち互いに異なる二つの色を有するカラーフィルタがそれぞれ形成され前記シアン、マゼンタ、イエローカラーフィルタを形成する。」 エ 前記アの【請求項23】の記載に照らして、【請求項1】や前記ウに記載された「カラーフィルタ基板(100)」は、「液晶表示装置」に用いられるものといえる。 オ 前記ウを踏まえて図1をみると、 (ア)(第1画素領域101の)レッド画素領域(R)、グリーン画素領域(G)及びブルー画素領域(B)は、画素領域において、横方向(左右方向)に順に配列されていること、 (イ)第2画素領域102において、 a (レッドカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタが形成されてなる)マゼンダ領域は、前記レッド画素領域(R)の縦方向下方に配置され、 b (グリーンカラーフィルタ及びレッドカラーフィルタが形成されてなる)イエロー領域は、前記グリーン画素領域(G)の縦方向下方に配置され、 c (ブルーカラーフィルタ及びグリーンカラーフィルタが形成されてなる)シアン領域は、前記ブルー画素領域(B)の縦方向下方に配置されていること、 が見て取れる。 上記摘記事項の記載を総合すると、引用刊行物には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている、と認められる。 「上部に一つ以上の第1画素領域、及び第1サブ領域と第2サブ領域とを含む一つ以上の第2画素領域が形成されたベース基板と、 前記第1画素領域及び前記第2画素領域の第1サブ領域に形成された第1カラーフィルタと、 前記第2画素領域の第2サブ領域に形成された第2カラーフィルタとを含み、 前記第1画素領域は、レッド画素領域、グリーン画素領域及びブルー画素領域を含み、 前記第1カラーフィルタは前記レッド画素領域に形成されたレッドカラーフィルタ、前記グリーン画素領域に形成されたグリーンカラーフィルタ及び前記ブルー画素領域に形成されたブルーカラーフィルタを含み、 前記第2画素領域は、シアン画素領域、マゼンタ画素領域及びイエロー画素領域を含む、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板であって、 一実施例において、カラーフィルタ基板100はベース基板110及び前記ベース基板110上に形成された複数のカラーフィルタを含み、選択的に、前記カラーフィルタ基板100はブラックマトリックス111をさらに含み、ブラックマトリックス111はマトリックス形状に配列された複数の開口部を含み、前記ベース基板110は前記開口部を通じて露出され、前記開口部はベース基板110上部に複数の画素領域を画定し、それぞれの画素領域は第1画素領域101及び第2画素領域102を含み、 前記第1画素領域101はレッド画素領域(R)、グリーン画素領域(G)、ブルー画素領域(B)に対応し、 前記第2画素領域102はシアン画素領域、マゼンタ画素領域、イエロー画素領域を含み、シアンはブルーに対応する波長領域の光とグリーンに対応する波長領域の光を足して具現され、マゼンタはレッドに対応する波長領域の光とブルーに対応する波長領域の光を足して具現され、イエローはレッドに対応する波長領域の光とグリーンに対応する波長領域の光を足して具現され、シアン領域、マゼンタ領域、イエロー画素領域に対応する前記第2画素領域102は前記第1サブ領域102a、及び第2サブ領域102bを含み、第1サブ領域102a及び第2サブ領域102bにレッドカラーフィルタ、グリーンカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタのうち互いに異なる二つの色を有するカラーフィルタがそれぞれ形成されシアン、マゼンタ、イエローカラーフィルタを形成し、 前記第1画素領域101のレッド画素領域(R)、グリーン画素領域(G)及びブルー画素領域(B)は、画素領域において、横方向(左右方向)に順に配列され、 前記第2画素領域102において、レッドカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタが形成されてなるマゼンダ領域は、前記レッド画素領域(R)の縦方向下方に配置され、グリーンカラーフィルタ及びレッドカラーフィルタが形成されてなるイエロー領域は、前記グリーン画素領域(G)の縦方向下方に配置され、ブルーカラーフィルタ及びグリーンカラーフィルタが形成されてなるシアン領域は、前記ブルー画素領域(B)の縦方向下方に配置されている、カラーフィルタ基板。」 (2)対比、判断 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「ベース基板110」は、本願補正発明の「カラーフィルタ-基板」に相当する。 イ 引用発明は、「(マトリックス形状に配列された複数の開口部を含むブラックマトリックス111の前記開口部を通じて露出された)ベース基板110」上部に「第1画素領域101」及び「第2画素領域102」を画定し、それぞれの「画素領域」は「第1画素領域101」及び「第2画素領域102」を含み、前記「第1画素領域101」は「レッド画素領域(R)、グリーン画素領域(G)、ブルー画素領域(B)」に対応し、前記「レッド画素領域」には「レッドカラーフィルタ」が形成され、前記「グリーン画素領域」には「グリーンカラーフィルタ」が形成され、前記「ブルー画素領域」には「ブルーカラーフィルタ」が形成されてなるものである。また、引用発明は、前記「第2画素領域102」が「シアン画素領域、マゼンタ画素領域、イエロー画素領域」を含み、前記「イエロー領域」には「グリーンカラーフィルタ及びレッドカラーフィルタが形成され」、前記「シアン領域」には「ブルーカラーフィルタ及びグリーンカラーフィルタが形成され」、前記「マゼンダ領域」には「レッドカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタが形成され」てなるものである。よって、 (ア)引用発明の「(第1画素領域101及び第2画素領域102を含む、それぞれの)画素領域」は、本願補正発明の「1画素」に相当し、 (イ)引用発明の「(第1画素領域101のレッド画素領域に形成された)レッドカラーフィルタ」、「(第1画素領域101のグリーン画素領域に形成された)グリーンカラーフィルタ」及び「(第1画素領域101のブルー画素領域に形成された)ブルーカラーフィルタ」は、それぞれ、本願補正発明の「第1の赤のサブ画素」、「第1の緑のサブ画素」及び「第1の青のサブ画素」に相当し、 (ウ)引用発明の「(第2画素領域102のイエロー領域に形成された)レッドカラーフィルタ」、「(第2画素領域102のイエロー領域に形成された)グリーンカラーフィルタ」、「(第2画素領域102のシアン領域に形成された)グリーンカラーフィルタ」、「(第2画素領域102のシアン領域に形成された)ブルーカラーフィルタ」、「(第2画素領域102のマゼンダ領域に形成された)ブルーカラーフィルタ」及び「(第2画素領域102のマゼンダ領域に形成された)レッドカラーフィルタ」は、それぞれ、本願補正発明の「第2の赤のサブ画素」、「第3の緑のサブ画素」、「第2の緑のサブ画素」、「第3の青のサブ画素」、「第2の青のサブ画素」及び「第3の赤のサブ画素」に相当し、 (エ)引用発明の「(イエロー領域に形成された)『レッドカラーフィルタ』及び『グリーンカラーフィルタ』」、「(シアン領域に形成された)『グリーンカラーフィルタ』及び『ブルーカラーフィルタ』」及び「(マゼンダ領域に形成された)『ブルーカラーフィルタ』及び『レッドカラーフィルタ』」は、それぞれ、本願補正発明の「第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対」、「第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対」及び「第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対」に相当する。また、 (オ)引用発明は、本願補正発明の「前記カラーフィルタ基板上に行列状に形成され、1画素が第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素と、第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対と、第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対と、第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対とから構成される複数の画素と、を含み」との事項、及び、「前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対がイエロー色(Y)を実現し、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対がシアン色(C)を実現し、前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対がマゼンタ色(M)を実現する」との事項を備える。 ウ 引用発明は、「第1画素領域101の(レッドカラーフィルタが形成された)レッド画素領域(R)、(グリーンカラーフィルタが形成された)グリーン画素領域(G)及び(ブルーカラーフィルタが形成された)ブルー画素領域(B)」が、「画素領域において、横方向(左右方向)に順に配列され」たものであるから、本願補正発明の「前記第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素が、それぞれ異なる列に配置され」との事項を備える。 エ 引用発明は、「(第1画素領域101の)レッド画素領域(R)」、「(同)グリーン画素領域(G)」及び「(同)ブルー画素領域(B)」が「画素領域において、横方向(左右方向)に順に配列され」たものであるところ、「第2画素領域102において」、「レッドカラーフィルタ及びブルーカラーフィルタが形成されてなる前記マゼンダ領域」が「前記レッド画素領域(R)の縦方向下方に配置され」、「グリーンカラーフィルタ及びレッドカラーフィルタが形成されてなる前記イエロー領域」が「前記グリーン画素領域(G)の縦方向下方に配置され」、「ブルーカラーフィルタ及びグリーンカラーフィルタが形成されてなる前記シアン領域」が「前記ブルー画素領域(B)の縦方向下方に配置され」てなるものであって、前記「イエロー領域」、「シアン領域」及び「マゼンダ領域」がそれぞれ異なる列に配置されてなるものといえるから、引用発明は、本願補正発明の「前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対、並びに前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対が、それぞれ異なる列に配置され」との事項を備える。 オ 引用発明の「(液晶表示装置に用いられる)カラーフィルタ基板」は、本願補正発明の「液晶表示装置のカラーフィルタ」に相当する。 したがって、両者は、 「カラーフィルタ基板と、 前記カラーフィルタ基板上に行列状に形成され、1画素が第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素と、第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対と、第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対と、第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対とから構成される複数の画素と、 を含み、 前記第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対、並びに前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対がイエロー色(Y)を実現し、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対がシアン色(C)を実現し、前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対がマゼンタ色(M)を実現する 液晶表示装置のカラーフィルタ。」 である点で一致し、次の各点で相違する。 本願補正発明は、サブ画素が、1行×6列に配置され、そのうち、3つの列には、第1の赤、第1の緑、第1の青のサブ画素が配置され、残りの3つの列には、2行×3列に2つのサブ画素が一対となすように配置されるのに対し、引用発明は、第1の赤、第1の緑、第1の青のサブ画素が3つの列に配置されるものではあるものの、サブ画素が、1行×6列に配置されてはいない点(以下「相違点」という。)。 上記相違点につき検討する。 引用発明において、(「第1画素領域101」を構成する)「レッド画素領域(R)」、「グリーン画素領域(G)」、「ブルー画素領域(B)」、及び、(「第2画素領域102」を構成する)「イエロー領域」、「シアン領域」、「マゼンダ領域」の各サブ画素を、各画素領域内において具体的にどのように配置するかは、当業者が当該引用発明を実施する上で設計上定めるべき設計的事項であるところ、本願明細書等の記載をみても、本願補正発明において、サブ画素を1行×6列に配置し、そのうち、3つの列には、第1の赤、第1の緑、第1の青のサブ画素を配置し、残りの3つの列には、2行×3列に2つのサブ画素を一対となすように配置した点に設計的事項の域を超えるほどの格別の技術的意義があるものとは認められず、本願補正発明の奏する効果が、引用発明から当業者が予測困難な程の格別顕著なものということはできない。したがって、引用発明において、上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が適宜になし得ることである。 したがって、本願補正発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成23年改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成23年6月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明は次のとおりのものである。 「【請求項1】 カラーフィルタ基板と、 前記カラーフィルタ基板上に行列状に形成され、1画素が第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素と、第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対と、第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対と、第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対とから構成される複数の画素と、 を含み、 前記第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対、並びに前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対が、それぞれ異なる列に配置された ことを特徴とする液晶表示装置のカラーフィルタ。 … 【請求項3】 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対がイエロー色(Y)を実現し、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対がシアン色(C)を実現し、前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対がマゼンタ色(M)を実現することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置のカラーフィルタ。」(以下、請求項3に係る発明を「本願発明」という。) 2 刊行物記載の発明 原審における拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用刊行物及び引用発明は、上記第2の2(1)のとおりである。 3 対比、判断 本願発明と引用発明とを対比するに、上記第2の2(2)ア?オに照らせば、両者は、 「カラーフィルタ基板と、 前記カラーフィルタ基板上に行列状に形成され、1画素が第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素と、第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対と、第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対と、第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対とから構成される複数の画素と、 を含み、 前記第1の赤のサブ画素、第1の緑のサブ画素、及び第1の青のサブ画素が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対、並びに前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対が、それぞれ異なる列に配置され、 前記第2の赤のサブ画素及び第3の緑のサブ画素からなる第1の対がイエロー色(Y)を実現し、前記第2の緑のサブ画素及び第3の青のサブ画素からなる第2の対がシアン色(C)を実現し、前記第2の青のサブ画素及び第3の赤のサブ画素からなる第3の対がマゼンタ色(M)を実現する 液晶表示装置のカラーフィルタ。」 である点で一致し、両発明の間には差異はない。 したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-08-21 |
結審通知日 | 2012-08-28 |
審決日 | 2012-09-10 |
出願番号 | 特願2008-66530(P2008-66530) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F) P 1 8・ 575- Z (G02F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山口 裕之 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
小松 徹三 松川 直樹 |
発明の名称 | 液晶表示装置のカラーフィルタ及びその製造方法 |
代理人 | 上田 俊一 |
代理人 | 梶並 順 |
代理人 | 曾我 道治 |