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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B65D
管理番号 1269485
判定請求番号 判定2012-600042  
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 判定 
判定請求日 2012-10-12 
確定日 2013-01-28 
事件の表示 上記当事者間の特許第4585042号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件は、特許第4585042号発明の技術的範囲に属しない。 
理由
第1 請求の趣旨
判定請求書及び判定請求弁駁書の記載からみて、本件判定請求の趣旨は、甲第2号証(株式会社ミツカンのWebサイト)及び甲第3号証(納豆容器の写真)に示される「納豆容器」(以下、「イ号物件」という。)は、特許第4585042号発明(以下、「本件発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものと認められる。

第2 本件発明
本件発明は、特許第4585042号に係る願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「底部4周縁に周壁を設立し、前記周壁は前周壁、後週壁、左周壁、右周壁の4周壁からなり、前記3週壁上部縁に延設し下フランジを備え、前記後周壁上部縁に下フランジと上フランジを兼ねた折曲部を備えた容器本体上端3方開口を開閉する本体蓋を設け、前記本体蓋3方縁に上フランジを設けると共に3周壁上端縁より外方へ上端縁3方開口の有底四角形函状の納豆入れ容器本体を設け、納豆を収納後前記3周壁上部縁の下フランジと前記本体蓋3周縁の上フランジを熱融着させ剥離可能に設け、且つ前記本体蓋左右に2つの収納函と前記本体蓋中央に凹部を設け、且つ上蓋を設け、上蓋は前記本体蓋と同一サイズでフィルムを貼付ける中縁を備えた前記凹部を開口し設け、調味料を収納後前記2つの収納函内側縁上部と前記容器本体蓋上フランジ上部に前記上フランジを熱融着し剥離不可能に設けたことを特徴とする納豆撹拌機能を有する容器。」

本件発明を、構成要件に分節すると、次のとおりである(以下、各構成要件を「構成要件A」などという。)。

A.底部4周縁に周壁を設立し、前記周壁は前周壁、後週壁、左周壁、右周壁の4周壁からなり、
B.前記3週壁上部縁に延設し下フランジを備え、
C.前記後周壁上部縁に下フランジと上フランジを兼ねた折曲部を備えた容器本体上端3方開口を開閉する本体蓋を設け、
D.前記本体蓋3方縁に上フランジを設けると共に3周壁上端縁より外方へ上端縁3方開口の有底四角形函状の納豆入れ容器本体を設け、
E.納豆を収納後前記3周壁上部縁の下フランジと前記本体蓋3周縁の上フランジを熱融着させ剥離可能に設け、
F.且つ前記本体蓋左右に2つの収納函と前記本体蓋中央に凹部を設け、
G.且つ上蓋を設け、上蓋は前記本体蓋と同一サイズでフィルムを貼付ける中縁を備えた前記凹部を開口し設け、
H.調味料を収納後前記2つの収納函内側縁上部と前記容器本体蓋上フランジ上部に前記上フランジを熱融着し剥離不可能に設けた
I.ことを特徴とする納豆撹拌機能を有する容器。

第3 イ号物件
甲第2号証、甲第3号証、及び当事者の主張からみて、イ号物件は、次に分説するとおりのものと認められる。なお、請求人はこの点について特に争っていない。

(1)底部の周縁に周壁を設立し、
(2)前記周壁上部縁に延設したフランジを備えた容器本体を設け、
(3)前記フランジは外周が四角形状であり、
(4)その一辺に折曲部を介して、前記容器本体の開口を開閉する蓋を設け、
(5)前記蓋は周縁にフランジを備えており、
(6)納豆を収納後、前記容器本体のフランジの1周縁と前記蓋のフランジの1周縁が剥離可能に接合されており、
(7)前記蓋上部には中央1ヶ所の凹部からなるたれ収納部が設けられ、
(8)前記収納部にたれを収納後、凹部上にフィルムを貼って凹部全体を密封し、
(9)前記蓋を前記容器本体から切り離して中央を折ることにより納豆にたれをかけることができる
(10)納豆容器。

第4 判断
1.はじめに
特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められなければならない(特許法第70条第1項)。
そして、対象製品の構成を特許発明の各構成要件と対比し、対象製品の構成が特許発明の各構成要件をすべて充足するならば、対象製品は特許発明の技術的範囲に属することになる。
これに対し、対象製品が特許発明の構成要件の一部でも欠く場合は、原則として、対象製品は特許発明の技術的範囲に属しない。

2.イ号物件が本件発明の各構成要件を充足するか否かについて
(1)構成要件Eの充足性について
イ号物件は、容器本体のフランジの1周縁と蓋のフランジの1周縁が接合されるものであるから、構成要件Eの、3周壁上部縁の下フランジと本体蓋3周縁の上フランジを熱融着させるものとは異なる。よって、イ号物件は、構成要件Eを充足しない。

(2)構成要件Fの充足性について
イ号物件は、蓋上部に中央1ヶ所の凹部からなるたれ収納部を設けたものであって、蓋左右に2つの収納函を設けていない。よって、イ号物件は、構成要件Fを充足しない。

(3)構成要件Gの充足性について
イ号物件に、本体蓋と同一サイズの上蓋は存在しない。よって、イ号物件は、構成要件Gを充足しない。

(4)構成要件Hの充足性について
上記(2)のとおり、イ号物件は、蓋左右に2つの収納函を設けたものではないから、構成要件Hを充足しない。

(5)構成要件Iの充足性について
イ号物件は、納豆撹拌機能を有しない。よって、イ号物件は、構成要件Iを充足しない。

(6)まとめ
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件E、F、G、H、Iを充足しない。

3.均等論適用の可否について
対象製品が特許発明の構成要件をすべて充足しない場合であっても、均等論が適用されて、特許発明の技術的範囲に属すると解される場合がある。
均等論が適用される要件を、最高裁平成10年2月24日判決(平成6年(オ)第1083号)は次のとおり示している。
「特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、(1)右部分が特許発明の本質的部分ではなく、(2)右部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、(3)右のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、(4)対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、(5)対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、右対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である。」

前記2.のとおり、イ号物件は、少なくとも、上蓋が存在せず(構成要件G)、納豆撹拌機能を有していない(構成要件I)点で本件発明と異なる。この点を踏まえて、均等論が適用されるための上記(1)の要件を充たすかについて検討する。

本件発明は、明細書の【0006】に記載のとおり、「納豆容器内外に調味料収納函と攪拌機能を有するハンドルを設けて調味料の飛び散りや納豆の粘りが手に付くことを防ぐ容器であって、調味料と納豆を蓋閉塞の儘かき混ぜる撹拌する納豆撹拌機能を有する容器を提供できること」を課題としている。
そして、この課題を解決するための手段として、本件発明の構成を採用し、明細書の【0009】に記載された「本発明は、容器本体と本体蓋に備えた調味料を入れる2つの収納函と納豆を撹拌するハンドルや上蓋裏に設けた収納函の傾斜底を破り容器本体内の納豆に調味料を注ぐ事を起こす刃となるピンからなる納豆容器であって、納豆容器の本体蓋に備えた2つの収納箱の上部中央を数回押し調味料(タレとカラシ)を納豆の上に挿入し、更に本体蓋中央の凹部の上蓋フイルムを剥がしハンドルをセットし手動で粘りを感ずるまで左右に回転させることにより、納豆容器の本体蓋を開口することなく納豆をかき混ぜ攪拌させる効果を得ることができる。」ことを可能としたものである。
なお、請求人の主張にも、「本発明は、納豆の容器の蓋を開けずに、調味料を容器本体内の納豆に入れ(かける、浸す、混入)て、その上、撹拌することも出来るものであり」と、上記明細書の記載に概略沿った主張が認められる(判定請求書「5 請求の理由」「(3)本件特許発明の説明」の欄参照。)。
すなわち、本件発明は、2つの収納函上部の上蓋を押して調味料を納豆の上に挿入し、本体蓋中央の凹部の上蓋フイルムを剥がしハンドルをセットし回転させることで、納豆容器の本体蓋を開口することなく納豆を攪拌できるものである。
そうすると、2つの収納函の上部を押すための上蓋を備えること、納豆撹拌機能を有することは、本件発明が課題を解決するために必須の構成である。そして、上蓋が本体蓋中央の凹部を開口することも、ハンドルをセットするために必要な構成といえる。
これに対し、上記のとおり、イ号物件は、上蓋が存在せず、納豆撹拌機能を有していない。また、上蓋が存在しないから、上蓋が本体蓋中央の凹部を開口するという構成も当然備えていない。
したがって、本件発明の構成要件中、少なくとも構成要件G、Iに関して、イ号物件と異なる部分は、本件発明の本質的部分であり、均等論が適用されるための上記(1)の要件を充たさない。

(3)まとめ
イ号物件は、本件発明の構成と均等なものとはいえない。

第5.むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件E、F、G、H、Iを充足せず、本件発明の構成と均等なものともいえないから、イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲

 
判定日 2013-01-17 
出願番号 特願2010-71313(P2010-71313)
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 真  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 ▲高▼辻 将人
紀本 孝
登録日 2010-09-10 
登録番号 特許第4585042号(P4585042)
発明の名称 納豆攪拌機能を有する容器  
代理人 青木 篤  
代理人 利根 勇基  
代理人 伊藤 公一  
代理人 篠田 拓也  
代理人 三橋 真二  
代理人 島田 哲郎  
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