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審決分類 |
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C02F 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C02F 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C02F 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C02F 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C02F |
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管理番号 | 1271321 |
審判番号 | 訂正2012-390125 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-10-01 |
確定日 | 2013-02-13 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5071698号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5071698号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5071698号(以下「本件特許」という。)は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成24年3月14日(優先日:平成24年3月7日、出願番号:特願2012-50128号)の出願であって、平成24年8月31日に当該特許の特許権の設定登録がなされ、平成24年10月1日に本件訂正審判が請求されたものである。 第2.請求の趣旨 特許権者が求める請求の趣旨は、「特許第5071698号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。 第3.訂正の理由 (ア)訂正事項1 請求項1に「導入プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導入部」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3?請求項12も同様に訂正する)。 (イ)訂正事項2 請求項1に「導出プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導出部」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3?請求項12も同様に訂正する)。 (ウ)訂正事項3 請求項2に「導入プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導入部」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3?請求項12も同様に訂正する)。 (エ)訂正事項4 請求項2に「導出プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導出部」と訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3?請求項12も同様に訂正する)。 (オ)訂正事項5 請求項10に「導入プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導入部」と訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11及び請求項12も同様に訂正する)。 (カ)訂正事項6 請求項10に「導出プラグ」とあるのを、誤記の訂正を目的として「導出部」と訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11及び請求項12も同様に訂正する)。 第4.当審の判断 (4-1)一群の請求項について 上記訂正事項1、2に係る訂正後の請求項1、3ないし12は、当該訂正事項1、2を含む請求項1の記載を請求項3ないし12がそれぞれ引用し、 上記訂正事項3、4に係る訂正後の請求項2、3ないし12は、当該訂正事項3、4を含む請求項2の記載を請求項3ないし12がそれぞれ引用し、 上記訂正事項5、6に係る訂正後の請求項10ないし12は、当該訂正事項5、6を含む請求項10の記載を請求項11、12がそれぞれ引用するものである。 上記より、訂正後の請求項1ないし12は、特許法施行規則第46条の2第4号に規定する関係を有する一群の請求項である。 (4-2)訂正の可否について (4-2-1)訂正の目的、及び、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更について 訂正事項1ないし6を併せて検討する。 訂正事項1ないし6は、「導入プラグ」とあるのを「導入部」と訂正し、「導出プラグ」とあるのを「導出部」と訂正するものである。 以下、特許第5071698号の明細書を「本件特許明細書」といい、特許第5071698号の特許請求の範囲を「訂正前の特許請求の範囲」という。 ここで、 (a)訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2、10には、「導入プラグ」及び「導出プラグ」の直接的な記載があり、同請求項1、2、10の記載は、「【請求項1】 被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジによって浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、 前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入プラグと、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出プラグとを備えており、 前記供給配管接続部側及び前記導入プラグ側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器。 【請求項2】 被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジにより浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、 前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入プラグと、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出プラグとを備えており、 前記排出配管接続部側及び前記導出プラグ側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器。」 「【請求項10】 前記導入プラグ及び供給配管接続部、並びに、前記導出プラグ及び排出配管接続部が、それぞれ嵌合された状態において、前記ケーシングに対する前記カートリッジの移動を規制するストッパー手段を備えており、 前記ストッパー手段は、前記ケーシングの側壁に形成される貫通部と、前記貫通部に対応する前記カートリッジの側壁側の所定位置に形成される凹部と、前記貫通部を介して前記凹部に差し込まれた状態で、前記凹部と前記貫通部とにより形成される空間部に少なくとも一部領域が介在する移動規制部とを備えている請求項6から9のいずれかに記載の浄水器。」であり、 一方、本件特許明細書の記載には、例えば 「【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の上記目的は、被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジによって浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入部と、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部とを備えており、前記供給配管接続部側及び前記導入部側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器により達成される。」があって、「導入部」及び「導出部」が記載されており、また、同明細書には、「導入プラグ」及び「導出プラグ」の記載はない。 そして、上記で示した、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2、10の記載と本件特許明細書の【0006】の記載からして、前者の「導入プラグ」及び「導出プラグ」と後者の「導入部」及び「導出部」との間に差異があるとはいえない。 そうすると、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」と本件特許明細書の「導入部」及び「導出部」とは、同義であるということができる。 (b)訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」は、平成24年7月2日付け手続補正書により「導入部」及び「導出部」が補正されたものであり、また、同補正書は、明細書の補正を行うものではない。 以下、上記(a)及び(b)を基にしてさらに検討する。 (i)上記(a)で示したように、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」と本件特許明細書の「導入部」及び「導出部」とは、同義であり、そうでありながら異なる表現で示されている、つまり、「導入プラグ」及び「導出プラグ」と「導入部」及び「導出部」との関係は、互いに不明確なものであるところ、本件訂正は、これを解消するために、平成24年7月2日付け手続補正書により補正されなかった明細書の「導入部」及び「導出部」に整合するように、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」を「導入部」及び「導出部」に訂正するものであるとみるべきであり、これは、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とするものに該当する。 (ii)上記(i)で示したように、「導入プラグ」及び「導出プラグ」と「導入部」及び「導出部」との関係は、互いに不明確なものであって、そのいずれかが誤記であり、そして、明細書の「導入部」及び「導出部」が平成24年7月2日付け手続補正書において補正されず且つ本件訂正においても訂正されなかったことからして、これが正しくて、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」が誤記であると推認できるところ、本件訂正は、これを解消するために、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」を「導入部」及び「導出部」に正す(訂正する)ものであるとみるべきであり、これは、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項(誤記の訂正)を目的とするものに該当する。 (iii)「導入プラグ」及び「導出プラグ」を「導入部」及び「導出部」に訂正することは、文言からすると、具体的な手段(下位概念)を一般的な概念(上記概念)にするものであって、特許請求の範囲を拡張するものであるということができるものの、上記(a)で示したように、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」と本件特許明細書の「導入部」及び「導出部」とは、同義であるところ、本件訂正は、これが明確になるように、訂正前の特許請求の範囲の「導入プラグ」及び「導出プラグ」を「導入部」及び「導出部」に言い換える(訂正する)ものであるとみるべきであり、これは、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更に該当するものではない(特許法第126条第6項の規定に適合する)。 上記(i)ないし(iii)より、本件訂正(訂正事項1ないし6)は、特許法第126条第1項ただし書き第2号、第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4-2-2)新規事項の追加の有無について 本件訂正(訂正事項1ないし6)が本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かについて検討すると、本件訂正は、例えば上記(4-2-1)(a)で示した同明細書の段落【0006】に記載されていることから、いずれも同明細書に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (4-2-3)訂正後の請求項1ないし12に係る発明の独立特許要件について 本件訂正(訂正事項1ないし6)は、明瞭でない記載の釈明及び誤記の訂正を目的とするものであることから、訂正前後の特許請求の範囲の請求項1ないし12の間には、実質的な差異があるとはいえない。 そうすると、訂正前の特許請求の範囲の請求項1ないし12に係る発明が拒絶理由を発見しないとして特許査定されたものであり、また、新たな拒絶の理由が見当たらないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし12に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができる。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5.むすび 以上のとおりであるから、本件審判請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号、第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 浄水器 【技術分野】 【0001】 本発明は、浄水器に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から水道水には殺菌用の塩素添加が義務づけられており、これにより水道水が雑菌により汚染される懸念は少ないが、カルキ臭により水の味は損なわれていた。また、この塩素と水道水中に含まれるフミン質などの有機物質とが反応することにより、発ガン性を有するトリハロメタンが水道水中に生成することも確認されている。更に、近年の河川、湖沼の汚染等により、これらを原水とする水道水中には、カビ臭原因物質が微量成分として含まれていることも確認されている。そこで、これらの水の味を損ねる物質や有害物質を除去するために、浄水器が広く使用されている。 【0003】 浄水器の一般的な構造は、活性炭のような粒状濾材充填した粒状濾材層を有するカートリッジと、当該カートリッジが収納されるケーシングとを備えている。このような浄水器は、浄水処理されていない水道水等の被処理流体が導かれる給水配管や、カートリッジ内を通過し有害物質等が除去された被処理液を外部に導く吐水管(排水配管)等に接続されて使用される。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の浄水器においては、浄水処理されていない水道水等の被処理流体が導かれる給水配管や、カートリッジ内を通過し有害物質等が除去された被処理流体を外部に導く吐水管(排水配管)との接続構造が複雑であり、また、接続場所が奥まった処など作業が困難な位置に在り、浄化能力を失ったカートリッジを交換する場合に、その交換作業に時間を要し、簡便にカートリッジを交換することが難しいという問題があった。また、カートリッジと給水配管や排水配管との接続部から液漏れが発生する場合もあり、簡便にかつ確実にカートリッジと給水配管や排水配管との接続が図られる浄水器が望まれている。 【0005】 本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、被処理流体を浄化処理するカートリッジの交換作業を簡便に行うことができると共に、配管との接続部分からの液漏れを確実に防止することができる浄水器を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の上記目的は、被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジによって浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入部と、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部とを備えており、前記供給配管接続部側及び前記導入部側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器により達成される。 【0007】 また、本発明の上記目的は、被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジにより浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入部と、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部とを備えており、前記排出配管接続部側及び前記導出部側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器により達成される。 【0008】 本発明に係る浄水器は、カートリッジが、供給配管接続部及び排出配管接続部にそれぞれ嵌合する導入部及び導出部を備えているため、供給配管接続部及び排出配管接続部を、カートリッジに設けられる導入部及び導出部にそれぞれ押し込むという動作のみで、供給配管接続部及び排出配管接続部をカートリッジにセットすることが可能となり、また、供給配管接続部及び排出配管接続部を導入部及び導出部からそれぞれ引き抜くという動作のみでカートリッジから供給配管接続部及び排出配管接続部を取り外すことが可能となる。つまり、カートリッジに対する供給配管接続部及び排出配管接続部の脱着が極めて簡便となり、カートリッジの交換作業を容易に行うことが可能となる。 【0009】 また、本発明に係る浄水器は、所定の位置に設けられる電磁石と、この電磁石に対応して配置される磁性部材とを備えているため、電磁石と磁性部材とがくっついてホールドし、供給配管接続部及び導入部の嵌合状態や、排出配管接続部及び導出部の嵌合状態を確実に維持して両者の一体性を確保することができる。つまり、カートリッジに対する供給配管接続部や排出配管接続部の保持力(ホールド力)を強固なものとすることが可能となり、この結果、カートリッジ内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジからの供給配管接続部や排出配管接続部の離脱(移動)に起因する被処理流体の液漏れを防止することが可能となる。ここで、磁性部材とは、磁石にくっつく部材のことをいい、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体をも含む概念である。 【0010】 また、上記浄水器において、前記電磁石は、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成されることが好ましい。このような構成によれば、カートリッジに対する供給配管接続部や排出配管接続部の保持力(ホールド力)を強めたり弱めたりすることが可能となる。例えば、カートリッジから供給配管接続部や排出配管接続部を取り外す際には、電磁石のコイルに流れる電流を遮断することにより磁力を消失させれば、簡便にカートリッジから供給配管接続部や排出配管接続部を取り外すことが可能となる。また、浄水器の使用時に、被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジからの供給配管接続部や排出配管接続部の離脱(移動)が生じてしまい被処理流体の液漏れが発生した場合であっても、電磁石が発生する磁力を強めることにより、カートリッジに対する供給配管接続部や排出配管接続部の保持力(ホールド力)より一層強化し、被処理流体の液漏れを防止することができる。 【0011】 また、前記電磁石は、発生する磁極を反転可能に構成されることが好ましい。このような構成によれば、磁性部材を磁石体により構成した場合に、電磁石と磁石体とが互いに引き合う或いは反発するように構成することが可能となる。この結果、供給配管接続部及び/又は排出配管接続部をカートリッジにセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石と磁石体とが互いにくっつくように、或いは、カートリッジから供給配管接続部及び/又は排出配管接続部を取り外す際に電磁石と磁石体とが互いに反発するように構成することができる。つまり、供給配管接続部及び/又は排出配管接続部をカートリッジにセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石と磁石体とのくっつく力の作用によりカートリッジと供給配管接続部及び/又は排出配管接続部との連結を強固な状態に維持することができ、カートリッジから供給配管接続部及び/又は排出配管接続部を取り外す時には、電磁石と磁石体との反発作用により、供給配管接続部や排出配管接続部に嵌合されるカートリッジの導入部や導出部を、供給配管接続部や排出配管接続部から抜き出すことが容易となり、カートリッジと供給配管接続部及び/又は排出配管接続部との脱着作業をより簡便に行うことが可能となる。 【0012】 また、前記カートリッジに接続する給排水ソケットを備えており、前記給排水ソケットには、前記供給配管接続部及び前記排出配管接続部が設けられていることが好ましい。このような給排水ソケットを備えることにより、供給配管接続部及び排出配管接続部を一体的に構成することができ、カートリッジにおける導入部及び導出部を簡便に供給配管接続部及び排出配管接続部に接続することが可能となる。 【0013】 また、前記カートリッジが挿入されるケーシングを備えており、前記ケーシングは、一方端が開口し他方端が閉塞壁により閉塞される筒状に形成されており、前記閉塞壁には、前記供給配管接続部及び前記排出配管接続部が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、ケーシングがカートリッジを保護し、カートリッジが損傷することを防止することができる。また、カートリッジをケーシング内に挿入して押し込むという動作のみで、カートリッジをケーシングにセットすることが可能となり、また、ケーシングにセットされているカートリッジを引き抜くという動作のみでケーシングからカートリッジを容易に取り外すことが可能となる。つまり、ケーシングに対するカートリッジの脱着が極めて簡便となり、カートリッジの交換作業を容易に行うことが可能となる。 【0014】 また、前記ケーシングの側壁には、該側壁の内外を連通する連通部が形成されていることが好ましい。このようにケーシングの側壁にケーシング内外を連通する連通部を形成する場合、カートリッジをケーシング内に挿入する際において、カートリッジにより押し出されるケーシング内の空気が連通部を介してケーシング外に導かれることになり、ケーシング内にカートリッジをスムーズに挿入することが可能となる。また、当該連通部は、ケーシング内にセットされたカートリッジを取り出す際には、ケーシング外の空気をケーシング内へと導く通り道(導入路)としての機能を発揮するため、カートリッジ引き出し時に、ケーシング内周面とカートリッジ外周面との間が真空状態(低圧状態)となることを効果的に抑制することができ、ケーシングからカートリッジをスムーズに取り出すことが可能となる。 【0015】 また、前記連通部は、前記閉塞壁の近傍に形成されていることが好ましい。このように連通部を閉塞壁の近傍に形成することにより、カートリッジをケーシング内に挿入し、カートリッジにおける導入部及び導出部が、閉塞壁に設けられる供給配管接続部及び排出配管接続部に嵌合する直前まで、ケーシング内の空気を連通部を介して外部に導くことが可能となり、ケーシング内にカートリッジをスムーズに挿入することがより一層可能となる。また、カートリッジをケーシングから取り出す際においても、取り出し作業開始直後から連通部を介してケーシング外の空気をケーシング内へと導くことができるため、ケーシング内周面とカートリッジ外周面との間が真空状態(低圧状態)となることを最大限に抑制して、スムーズにケーシングからカートリッジを取り出すことが可能となる。 【0016】 また、前記連通部は、前記ケーシングの一方端側から他方端側に向けて延びるスリットであることが好ましい。このような構成によれば、上述のように、カートリッジをケーシング内に挿入する際には、カートリッジにより押し出されるケーシング内の空気をスリット状の連通部を介してケーシング外に導き、また、ケーシング内にセットされたカートリッジを取り出す際には、ケーシング外の空気をケーシング内へと導くという効果を発揮すると共に、次のような効果を発揮する。つまり、連通部をスリット状に構成することにより、ケーシングの周壁が撓みやすくなる。これによって、ケーシングの内周部の形状をカートリッジの外周部の形状と略同一の形状とし、カートリッジの外周面が、ケーシングの内周面と摺接するように構成した場合であっても、ケーシングの一方端における開口を拡径させてカートリッジを挿入することができ、ケーシングへのカートリッジのセッティング作業を容易にすることができる。 【0017】 また、前記導入部及び供給配管接続部、並びに、前記導出部及び排出配管接続部が、それぞれ嵌合された状態において、前記ケーシングに対する前記カートリッジの移動を規制するストッパー手段を備えており、前記ストッパー手段は、前記ケーシングの側壁に形成される貫通部と、前記貫通部に対応する前記カートリッジの側壁側の所定位置に形成される凹部と、前記貫通部を介して前記凹部に差し込まれた状態で、前記凹部と前記貫通部とにより形成される空間部に少なくとも一部領域が介在する移動規制部とを備えていることが好ましい。また、前記貫通部は、前記ケーシングの互いに対向する側壁にそれぞれ形成され、前記凹部は、前記各貫通部にそれぞれ対応する前記カートリッジの側壁側の所定位置にそれぞれ形成されると共に、前記各貫通部及び前記各凹部は、前記カートリッジの挿入方向に対して垂直な方向に延びるように形成されており、前記移動規制部は、互いに対応する貫通部及び凹部にそれぞれ差し込まれる一対の挿入片を備えていることが好ましい。 【0018】 このようなストッパー手段を備えることにより、ケーシング内にセットされたカートリッジが、当該カートリッジ内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によってケーシングから離脱するような力を受けたとしても、カートリッジの移動を規制するストッパー手段が、カートリッジの移動を拘束することとなり、閉塞壁に設けられる供給配管接続部とカートリッジの導入部との嵌合状態、及び、閉塞壁に設けられる排出配管接続部とカートリッジの導出部との嵌合状態を維持することが可能となり、供給配管接続部と導入部との連結個所や、排出配管接続部と導出部との連結個所からの液漏れを効果的に抑制することが可能となる。 【0019】 また、前記ストッパー手段は、前記移動規制部に接続する第1接続端部と前記ケーシングに接続する第2接続端部とを有する支持体を更に備えており、前記支持体は、前記第1接続端部と前記第2接続端部との間で弾性変形可能に構成されていることが好ましい。 【0020】 ストッパー手段をこのように構成することにより、ストッパー手段とケーシングとを一体化することができる。更に、支持体が第1接続端部と第2接続端部との間で弾性変形可能に構成されているため、ストッパー手段とケーシングとを一体化した状態であっても、ケーシングに形成される貫通部を介して、カートリッジの側壁側に形成される凹部に移動規制部を簡単に挿入することが可能となる。 【発明の効果】 【0021】 本発明によれば、被処理流体を処理するカートリッジの交換作業を簡便に行うことができると共に、配管との接続部分からの液漏れを確実に防止することができる浄水器を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】本発明に係る第1の浄水器の概略構成断面図である。 【図2】図に示す第1の浄水器が有するカートリッジの変形例を示す概略構成断面図である。 【図3】本発明に係る第2の浄水器の概略構成断面図である。 【図4】図3に示す第2の浄水器に関して、ケーシング内にカートリッジを挿入する途中の状態を示す概略構成断面図である。 【図5】図3に示す第2の浄水器が有するケーシングの要部拡大断面図である。 【図6】図3に示す第2の浄水器が有するカートリッジの変形例を示す説明図である。 【図7】図3に示す第2の浄水器が有するカートリッジの変形例を示す説明図である。 【図8】図3に示す第2の浄水器が有するカートリッジの変形例を示す説明図である。 【図9】図3に示す第2の浄水器の要部拡大断面図である。 【図10】図3に示す第2の浄水器の要部拡大断面図である。 【図11】図3に示す第2の浄水器が有するケーシングの変形例を示す説明図である。 【図12】図11の要部拡大図である。 【図13】(a)は、図11に示す第2の浄水器が有するケーシングの変形例を示す正面図であり、(b)は(a)における矢視A方向から見た平面図である。 【図14】図3に示す第2の浄水器の変形例を示す断面図である。 【図15】図14に示す第2の浄水器が備えるストッパー手段の変形例を示す断面図である。 【図16】図14に示す第2の浄水器が備えるストッパー手段の他の変形例を説明するための説明図である。 【図17】(a)は、図16に示すストッパー手段における挿入片が設置された状態を示す浄水器の正面図であり、(b)は、図17(a)のC-C断面を示す断面図である。 【図18】本発明に係る第3の浄水器の概略構成断面図である。 【図19】(a)は、図18に示す第3の浄水器が有する給排水ソケットの断面図であり、(b)は、その平面図である。 【図20】(a)は、図18に示す第3の浄水器が有する給排水ソケットの変形例を示す断面図であり、(b)は、図20(a)に示す矢視D方向から見た平面図である。 【図21】(a)は、カートリッジの変形例を示す概略構成断面図であり、(b)は、(a)に示す矢視E方向から見た底面図である。 【図22】図20及び図21に示す挿入ガイド及び係合部材の変形例を説明するための説明図である。 【発明を実施するための形態】 【0023】 以下、本発明に係る第1の浄水器について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1の浄水器1aの概略構成断面図である。なお、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。 【0024】 第1の浄水器1aは、水道水等の被処理流体を浄化する装置であって、図1に示すように、カートリッジ2と、外部から供給される被処理流体をカートリッジ2に導く供給配管接続部3と、カートリッジ2によって処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部4とを備えている。 【0025】 カートリッジ2は、内部に濾過体21を備える部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。特に磁気に反応しない金属やABS樹脂等により形成することが好ましい。カートリッジ2内部の濾過体21によって被処理流体に含まれる有害物質や臭気成分は除去される。このカートリッジ2は、供給配管接続部3に嵌合し被処理流体をカートリッジ2内部に導入可能な導入部22と、排出配管接続部4に嵌合しカートリッジ2内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部23とを備えている。導入部22は、カートリッジ2の一方の端部に設けられており、カートリッジ2の内外を連通しするように形成されている。また、導出部23は、カートリッジ2の他方の端部に設けられ、導入部22と同様に、カートリッジ2の内外を連通しするように形成されている。導入部22及び導出部23は、カートリッジ2の各端部から外方に突出する管状体により構成されている。これら導入部22及び導出部23は、供給配管接続部3及び排出配管接続部4にそれぞれ嵌合可能となるように構成されている。なお、導入部22と供給配管接続部3との連結個所や、導出部23と排出配管接続部4との連結個所での液漏れを防止する観点から、管状体として形成される導入部22及び導出部23の外周面上にOリング等のパッキンを設置して、導入部22と供給配管接続部3、導出部23と排出配管接続部4をそれぞれ嵌合するように構成してもよい。 【0026】 カートリッジ2の内部に収納される濾過体21としては、カートリッジ2に形成される導入部22から導かれた被処理流体から有害物質や細菌、臭気成分等を除去すると共に、浄化後の被処理流体を導出部23を介して外部に導くことができる構成であれば、特にその構成は限定されない。この濾過体21は、粒状の活性炭等の濾過材が内部に充填される流路24を複数備えるように構成されており、カートリッジ2の導入部22に導かれた被処理流体を各流路24に分散して通過させながら活性炭の作用により有害物質や臭気成分等を除去し、これら有害物質等が除去された浄化後の被処理流体をカートリッジ2の導出部23に導くことができるように構成されている。なお、粒状の活性炭の代わりに、繊維状の活性炭や、イオン交換樹脂等を使用してもよく、或いは、これらを混合した物を使用してもよい。また、複数の流路24を設けず、図2に示すように、単一の空間26内に前記活性炭やブロック状成型活性炭、イオン交換樹脂等の濾過材を充填するように構成し、この濾過材が充填された領域を、カートリッジ2の導入部22に導かれた被処理流体が通過すると共に、浄化後の被処理流体をカートリッジ2の導出部23に導くように、濾過体21を構成してもよい。 【0027】 また、例えば、中空糸膜体により形成される中空糸膜層を濾過材として採用し、カートリッジ2の内部に配置してもよい。ここで、中空糸膜層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン等の素材からなる多数の中空糸束をその各端部においてボッティング樹脂により一体的に固定して形成された中空糸膜体により構成されている。このような中空糸膜体を被処理水が通過することにより、被処理水中の鉄錆及び雑菌等の細かい汚れが濾過され除去される。なお、中空糸膜体と、活性炭やイオン交換樹脂等の濾過材とを組み合わせて濾過体21を構成してもよい。 【0028】 供給配管接続部3及び排出配管接続部4は、内部空間を有する筒状に形成されており、導入部22が供給配管接続部3の一方の端部3aを介して内部空間内に挿入嵌合されるように、導出部23が排出配管接続部4の一方の端部4aを介して内部空間内に挿入嵌合されるように構成されている。また、供給配管接続部3の他方の端部3bには、浄化処理されていない水道水等の被処理流体が導かれる給水配管Z1が接続できるように構成されている。また、排出配管接続部4の他方の端部4bには、カートリッジ2によって有害物質等が除去された被処理流体が流通する排水配管Z2が接続できるように構成されている。 【0029】 このような構成により、給水配管Z1により導かれた水道水等の被処理流体は、供給配管接続部3及びカートリッジ2における導入部22を介してカートリッジ2内に導かれ、カートリッジ2内の濾過体21の作用により有害物質や臭気成分等が除去された後、カートリッジ2の導出部23及び排出配管接続部4を介して排水配管Z2に導かれて外部に供給される。 【0030】 また、本発明に係る第1の浄水器1aは、供給配管接続部3及びカートリッジ2における導入部22の嵌合状態を良好な状態に維持する第1保持手段7を有している。また、排出配管接続部4及びカートリッジ2における導出部23の嵌合状態を良好な状態に維持する第2保持手段8を有している。第1保持手段7は、供給配管接続部3側及びカートリッジ2の導入部22側のいずれか一方に配置される電磁石71と、他方に配置され電磁石との間でくっつく力を及ぼす磁性部材72とを備えるように構成している。また、第2保持手段8は、排出配管接続部4側及びカートリッジ2の導出部23側のいずれか一方に配置される電磁石81と、他方に配置され電磁石との間でくっつく力を及ぼす磁性部材82とを備えるように構成している。ここで、磁性部材72,82とは、磁石にくっつく部材のことをいい、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体をも含む概念である。また、電磁石71,81のON/OFFといった作動を制御する制御部(図示せず)や電磁石71,81を駆動させるための操作部(図示せず)を備えている。 【0031】 本実施形態においては、カートリッジ2における導入部22の周囲にリング状の永久磁石(磁性部材)72を配設すると共に、導入部22と嵌合する側の供給配管接続部3における一方の端部にリング状の電磁石71を配設することにより第1保持手段7を構成している。また、カートリッジ2における導出部23の周囲にリング状の永久磁石(磁性部材)82を配設すると共に、導出部23と嵌合する側の排出配管接続部4における一方の端部にリング状の電磁石81を配設することにより第2保持手段8を構成している。なお、カートリッジ2における導入部22の周囲や導出部23の周囲に配置されるリング状の永久磁石72,82の代わりに、別の電磁石や、鉄やニッケル等の金属材料から構成されるリング状金属体を配置してもよい。また、カートリッジ2における導入部22の周囲にリング状の電磁石71を配設すると共に、導入部22と嵌合する供給配管接続部3における一方の端部にリング状の永久磁石(磁性部材)72を配設することにより第1保持手段7を構成してもよい。同様に、カートリッジ2における導出部23の周囲にリング状の電磁石81を配設すると共に、導出部23と嵌合する排出配管接続部4における一方の端部にリング状の永久磁石(磁性部材)82を配設することにより第2保持手段8を構成してもよい。また、第1保持手段7または第2保持手段8のいずれか一方を省略して浄水器1aを構成してもよい。 【0032】 本実施形態においては、供給配管接続部3側に配置される電磁石71に通電することにより発生する磁極が、カートリッジ2における導入部22側に配置される永久磁石72の磁極と反対(例えば、N極とS極、或いは、S極とN極)となるように、或いは、永久磁石72の磁極と同一(例えば、N極とN極、或いは、S極とS極)となるように構成されている。同様に、排出配管接続部4側に配置される電磁石81に通電することにより発生する磁極が、カートリッジ2における導出部23側に配置される永久磁石82の磁極と反対(例えば、N極とS極、或いは、S極とN極)となるように、或いは、永久磁石82の磁極と同一(例えば、N極とN極、或いは、S極とS極)となるように構成されている。つまり、各電磁石71,81は、発生する磁極を反転可能となるように構成される。また、制御部は、操作部から入力された信号に基づいて、例えば、電磁石71,81が発生する磁力の大きさを制御する機能を有している。また、操作部は、例えばタッチパネル式の入力装置により構成されており、所定の部位をタッチすることにより、電磁石71,81に通電させる信号やその通電を停止させる信号等を制御部に送信可能となるように構成されている。また、操作部を操作することにより、電磁石71,81が発生する磁力の大きさを変更できるように構成されている。 【0033】 本発明に係る第1の浄水器1aは、上記の如く構成されているため、供給配管接続部3及び排出配管接続部4を、カートリッジ2に設けられる導入部22及び導出部23にそれぞれ押し込むという動作のみで、供給配管接続部3及び排出配管接続部4をカートリッジ2にセットすることが可能となり、また、供給配管接続部3及び排出配管接続部4を導入部22及び導出部23からそれぞれ引き抜くという動作のみでカートリッジ2から供給配管接続部3及び排出配管接続部4を取り外すことが可能となる。つまり、カートリッジ2に対する供給配管接続部3及び排出配管接続部4の脱着が極めて簡便となり、カートリッジ2の交換作業を容易に行うことが可能となる。 【0034】 また、上記第1の浄水器1aは、供給配管接続部3と導入部22との接続部分や、排出配管接続部4と導出部23との接続部分において、一方側に配置される電磁石71,81と、他方側に配置される磁性部材72,82とを備えているため、電磁石71,81と磁性部材72,82とがくっついてホールドし、供給配管接続部3及び導入部22の嵌合状態や、排出配管接続部4及び導出部23の嵌合状態を確実に維持して両者の一体性を確保することができる。つまり、カートリッジ2に対する供給配管接続部3や排出配管接続部4の保持力(ホールド力)を強固なものとすることが可能となり、この結果、カートリッジ2内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジ2からの供給配管接続部3や排出配管接続部4の離脱(移動)に起因する被処理流体の液漏れを防止することが可能となる。 【0035】 また、上記第1の浄水器1aにおいては、電磁石71,81は、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成される。このような構成によれば、カートリッジ2に対する供給配管接続部3や排出配管接続部4の保持力(ホールド力)を強めたり弱めたりすることが可能となる。例えば、カートリッジ2から供給配管接続部3や排出配管接続部4を取り外す際には、電磁石71,81のコイルに流れる電流を遮断することにより磁力を消失させれば、簡便にカートリッジ2から供給配管接続部3や排出配管接続部4を取り外すことが可能となる。また、浄水器1aの使用時に、被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジ2からの供給配管接続部3や排出配管接続部4の離脱(移動)が生じてしまい被処理流体の液漏れが発生した場合であっても、電磁石71,81が発生する磁力を強めることにより、カートリッジ2に対する供給配管接続部3や排出配管接続部4の保持力(ホールド力)より一層強化し、被処理流体の液漏れを防止することができる。 【0036】 また、上記第1の浄水器1aにおいては、電磁石71,81は、発生する磁極を反転可能に構成されている。このような構成によれば、磁性部材72,82を磁石体(例えば、永久磁石)により構成した場合に、電磁石71,81と磁石体72,82とが互いに引き合う或いは反発するように構成することが可能となる。この結果、供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4をカートリッジ2にセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石71,81と磁石体72,82とが互いにくっつくように、或いは、カートリッジ2から供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4を取り外す際に電磁石71,81と磁石体72,82とが互いに反発するように構成することができる。つまり、供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4をカートリッジ2にセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石71,81と磁石体72,82とのくっつく力の作用によりカートリッジ2と供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4との連結を強固な状態に維持することができ、カートリッジ2から供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4を取り外す時には、電磁石71,81と磁石体72,82との反発作用により、供給配管接続部3や排出配管接続部4に嵌合されるカートリッジ2の導入部22や導出部23を、供給配管接続部3や排出配管接続部4から抜き出すことが容易となり、カートリッジ2と供給配管接続部3及び/又は排出配管接続部4との脱着作業をより簡便に行うことが可能となる。 【0037】 なお、上記第1の浄水器1aにおいては、カートリッジ2を挟んで、供給配管接続部3と排出配管接続部4とは互いに反対方向に配置しているが、供給配管接続部3と排出配管接続部4とが隣接(近傍位置に配置)するように構成してもよい。このような構成の場合、供給配管接続部3や排出配管接続部4と嵌合するカートリッジの導入部22や導出部23は、隣接配置されることとなる。 【0038】 また、上記第1の浄水器1aにおいては、カートリッジ2の導入部22や導出部23を管状体として構成し、供給配管接続部3や排出配管接続部4を内部空間を有する筒状に形成し、導入部22が供給配管接続部3の一方の端部3aを介して内部空間内に挿入嵌合されるように、導出部23が排出配管接続部4の一方の端部4aを介して内部空間内に挿入嵌合されるように構成されているが、例えば、カートリッジ2の導入部22をカートリッジ2の一方の端部に形成される貫通孔として構成し、この貫通孔として構成された導入部22の内部に供給配管接続部3の一方の端部3aを挿入嵌合するように構成してもよい。また、カートリッジ2の導出部23をカートリッジ2の他方の端部に形成される貫通孔として構成し、貫通孔として構成された導出部23の内部に排出配管接続部4の一方の端部4aを挿入嵌合するように構成してもよい。 【0039】 次に、本発明に係る第2の浄水器について、添付図面を参照して説明する。図3は、第2の浄水器1bの概略構成断面図である。図4は、第2の浄水器1bに関して、ケーシング5内にカートリッジ2を挿入する途中の状態を示す概略構成断面図である。各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。 【0040】 第2の浄水器1bは、水道水等の被処理流体を浄化処理する装置であって、図3及び図4に示すように、ケーシング5と、当該ケーシング5に収容されるカートリッジ2と、蓋部材85とを備えている。 【0041】 ケーシング5は、一方端が開口し他方端が閉塞壁51により閉塞される筒状の部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属若しくはABS樹脂やPBT樹脂等の合成樹脂等により形成されている。特に磁気に反応しない金属やABS樹脂等により形成することが好ましい。このケーシング5は、一方端の開口からカートリッジ2を挿入して収納できるように構成されている。このケーシング5の底部を構成する閉塞壁51には、ケーシング5内外を連通し、外部から供給される被処理流体をカートリッジ2に導く供給配管接続部3が設けられている。また、この供給配管接続部3に隣接して、閉塞壁51には、カートリッジ2によって処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部4が設けられている。これら供給配管接続部3及び排出配管接続部4は、それぞれ閉塞壁51に形成される貫通孔により構成されている。貫通孔により構成される供給配管接続部3及び排出配管接続部4の一方の端部(ケーシング5内側に配置される端部)の内面形状は、図5の要部拡大断面図に示すように、ラッパ状となるように形成することが好ましい。このようにラッパ状とすることにより、後述のカートリッジ2が備える導入部22及び導出部23をスムーズに受け入れることが可能となる。また、供給配管接続部3の他方の端部(ケーシング5外側に配置される端部)には、浄化処理されていない水道水等の被処理流体が導かれる給水配管Z1が接続できるように構成されている。また、排出配管接続部4の他方の端部(ケーシング5外側に配置される端部)には、後述のカートリッジ2によって有害物質等が除去された被処理流体が流通する排水配管Z2が接続できるように構成されている。ここで、ケーシング5の外形形状は、円柱状や楕円柱状であってもよく、直方体状であってもよい。 【0042】 カートリッジ2は、内部に濾過体21を備え、ケーシング5の開口から該ケーシング5内に挿入される部材であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。特に磁気に反応しない金属やABS樹脂等により形成することが好ましい。カートリッジ2内部の濾過体21によって被処理流体に含まれる有害物質や臭気成分は除去される。ケーシング5に対するカートリッジ2の挿入方向端部2aには、カートリッジ2の内外を連通し被処理流体をカートリッジ2内部に導入可能な導入部22と、カートリッジ2の内外を連通し、カートリッジ内部の濾過体21により濾過された被処理流体を排出可能な導出部23とが設けられている。導入部22及び導出部23は、カートリッジ2の挿入方向端部2aから外方に突出する管状体により構成されている。これら導入部22及び導出部23は、ケーシング5の閉塞壁51に貫通孔として形成される供給配管接続部3及び排出配管接続部4にそれぞれ嵌合可能となるように構成されている。なお、導入部22と供給配管接続部3との連結個所や、導出部23と排出配管接続部4との連結個所での液漏れを防止する観点から、管状体として形成される導入部22及び導出部23の外周面上にOリング等のパッキンを設置して、導入部22と供給配管接続部3、導出部23と排出配管接続部4をそれぞれ嵌合するように構成してもよい。また、カートリッジ2の挿入方向端部2aとは反対側の端部2bには、把手25が設けられている。なお、この把手25を省略してカートリッジ2を構成してもよい。 【0043】 カートリッジ2の内部に収納される濾過体21としては、カートリッジ2に形成される導入部22から導かれた被処理流体から有害物質や細菌、臭気成分等を除去すると共に、浄化後の被処理流体を導出部23を介して外部に導くことができる構成であれば、特にその構成は限定されず、例えば、図6や図7に示すような構成を採用することができる。この濾過体21は、粒状の活性炭等の濾過材が内部に充填される流路24を複数備えるように構成されており、カートリッジ2の導入部22に導かれた被処理流体を各流路24に分散して通過させながら活性炭の作用により有害物質や臭気成分等を除去し、これら有害物質等が除去された浄化後の被処理流体をカートリッジ2の導出部23に導くことができるように構成されている。なお、粒状の活性炭の代わりに、繊維状の活性炭や、イオン交換樹脂等を使用してもよく、或いは、これらを混合した物を使用してもよい。また、複数の流路24を設けず、図8に示すように、単一の空間26内に前記活性炭やブロック状成型活性炭、イオン交換樹脂等の濾過材を充填するように構成し、この濾過材が充填された領域を、カートリッジ2の導入部22に導かれた被処理流体が通過すると共に、浄化後の被処理流体をカートリッジ2の導出部23に導くように、濾過体21を構成してもよい。 【0044】 また、例えば、中空糸膜体により形成される中空糸膜層を濾過材として採用し、カートリッジ2の内部に配置してもよい。ここで、中空糸膜層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン等の素材からなる多数の中空糸束をその各端部においてボッティング樹脂により一体的に固定して形成された中空糸膜体により構成されている。このような中空糸膜体を被処理水が通過することにより、被処理水中の鉄錆及び雑菌等の細かい汚れが濾過され除去される。なお、中空糸膜体と、活性炭やイオン交換樹脂等の濾過材とを組み合わせて濾過体21を構成してもよい。 【0045】 このようなケーシング5とカートリッジ2との構成により、給水配管Z1により導かれた水道水等の被処理流体は、ケーシング5における供給配管接続部3及びカートリッジ2における導入部22を介してカートリッジ2内に導かれ、カートリッジ2内の濾過体21の作用により有害物質や臭気成分等が除去された後、カートリッジ2の導出部23及びケーシング5の排出配管接続部4を介して排水配管Z2に導かれて外部に供給される。 【0046】 また、本発明に係る第2の浄水器1bは、ケーシング5における供給配管接続部3及びカートリッジ2における導入部22の嵌合状態、並びに、ケーシング5における排出配管接続部4及びカートリッジ2における導出部23の嵌合状態を良好な状態に維持する保持手段9を更に備えている。この保持手段9は、供給配管接続部3側(排出配管接続部4側)及び導入部22側(導出部23側)のいずれか一方に配置される電磁石91,92と、他方に配置される磁性部材93,94とを備えている。具体的には、ケーシング5の閉塞壁51におけるカートリッジ2との対向面上に電磁石91,92を配置し、この電磁石91,92に対応する磁性部材93,94をカートリッジ2の挿入方向端部2aにおける閉塞壁51との対向面上に配置している。なお、電磁石91,92と磁性部材93,94との組み合わせが2箇所となるように構成している。一方の電磁石91と磁性部材93との組み合わせに関しては、電磁石91を供給配管接続部3近傍となるように、磁性部材93を導入部22近傍となるように配置している。また、他方の電磁石92と磁性部材94との組み合わせに関しては、電磁石92を排出配管接続部4近傍となるように、磁性部材94を導出部23近傍となるように配置している。なお、電磁石と磁性部材との組み合わせが1箇所となるように構成してもよい。ここで、磁性部材93,94とは、磁石にくっつく部材のことをいい、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体をも含む概念である。本実施形態においては、磁性部材93,94として、永久磁石を採用している。なお、この永久磁石の代わりに別の電磁石や、鉄やニッケル等の金属材料から構成されるプレート部材をカートリッジ2の挿入方向端部2aに配置してもよい。また、本実施形態においては、電磁石91,92のON/OFFといった作動を制御する制御部(図示せず)や電磁石91,92を駆動させるための操作部(図示せず)を備えている。制御部は、ケーシング5の閉塞壁51に配置される電磁石91,92に通電することにより発生する磁極が、カートリッジ2の挿入方向端部2aに配置される永久磁石93,94の磁極と反対(例えば、N極とS極、或いは、S極とN極)となるように、或いは、永久磁石93,94の磁極と同一(例えば、N極とN極、或いは、S極とS極)となるように構成されている。つまり、電磁石91,92は、発生する磁極を反転可能となるように構成される。また、制御部は、操作部から入力された信号に基づいて、例えば、電磁石91,92が発生する磁力の大きさを制御する機能を有している。また、操作部は、例えばタッチパネル式の入力装置により構成されており、所定の部位をタッチすることにより、電磁石91,92に通電させる信号やその通電を停止させる信号等を制御部に送信可能となるように構成されている。また、操作部を操作することにより、電磁石91,92が発生する磁力の大きさを変更できるように構成されている。 【0047】 なお、図9の要部拡大断面図に示すように、永久磁石(磁性部材)93,94に対して対向配置される電磁石91,92は、永久磁石(磁性部材)93,94を案内可能に構成されるラッパ状に形成された受け部95をその先端部に備えるように構成してもよい。このような構成により、ケーシング5内にカートリッジ2を挿入する際に生じ得るカートリッジ2の位置ズレを微調整し、カートリッジ2を正しいセット位置に導くことが容易となる。なお、電磁石91,92と磁性部材93,94との衝突の衝撃によって発生するおそれのある電磁石91,92や磁性部材93,94の損傷や、ケーシング5或いはカートリッジ2からの電磁石91,92や磁性部材93,94の脱落を回避するために、ケーシング5内にカートリッジ2をセットした状態において、電磁石91,92と磁性部材93,94との間に僅かな隙間が形成されるように、電磁石91,92や磁性部材93,94の位置や大きさを設定することが好ましい。 【0048】 更に、本発明に係る第2の浄水器1bは、ケーシング5の閉塞壁51とカートリッジ2の挿入方向端部2aとの間に配置される衝撃吸収用の衝撃吸収部材96を備えるように構成している。この衝撃吸収部材96は、弾性部材により形成されることが好ましい。衝撃吸収部材96は、ケーシング5の閉塞壁51或いはカートリッジ2の挿入方向端部2aのいずれか一方に、或いは両方に設置してもよい。 【0049】 蓋部材85は、ケーシング5の一方端に配設され当該ケーシング5の開口を閉塞する蓋体であり、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材料、合成樹脂素材(例えば、ABS樹脂やPBT樹脂等)等の材料により形成されている。特に磁気に反応しない金属やABS樹脂等により形成することが好ましい。この蓋部材85は、ケーシング5内に挿入されるカートリッジ2の挿入方向端部2aとは反対側の端部2bに設けられる把手25に当接可能に構成されている。このような蓋部材85としては、ケーシング5に対してボルト等により取り付け可能な蓋体であってもよく、或いは、ケーシング5の開口近傍に形成されるガイド溝にスライドさせて挿入しケーシング5開口を閉塞させるスライドプレートやスライドシャッターにより構成してもよい。図3や図4に示す浄水器1bにおいては、蓋部材85をスライドプレートにより構成している。ここで、蓋部材85をスライドプレートやスライドシャッターにより構成する場合、図10の要部拡大断面図に示すように、スライドプレートやスライドシャッターの閉める方向側の端部85aの所定領域に磁石体88を設置すると共に、スライドプレートやスライドシャッターを閉めた状態において磁石体88に対向するケーシング5の開口の所定領域に、磁石体88との間でくっつく力を及ぼす磁性部材89を設置するようにしてもよい。このような構成により、スライドプレートやスライドシャッターにより構成される蓋部材85をケーシング5の開口に固定させることができるため、ケーシング5の開口を確実に閉塞させることが可能となる。ここで、磁性部材89とは、磁石にくっつく部材のことをいい、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体をも含む概念である。なお、このように蓋部材85が磁石体88と磁性部材89とを備えるような構成を採用する場合、磁石体88と磁性部材89とのくっつく力の作用により蓋部材85(スライドプレートやスライドシャッター)がケーシング5の開口部分に衝突し、磁石体88や磁性部材89、蓋部材85或いはケーシング5の開口部分が損傷する恐れがある。このような事態が発生することを防止するために、蓋部材85(スライドプレートやスライドシャッター)の閉める方向側の端部85aの所定領域や、蓋部材85(スライドプレートやスライドシャッター)の閉める方向側の端部85aに対向するケーシング5の開口の所定領域に、衝撃吸収用の蓋用衝撃吸収部材(図示せず)を配置することが好ましい、 【0050】 本発明に係る第2の浄水器1bは、上記の如く構成されているため、内部に濾過体21を備えるカートリッジ2をケーシング5内に挿入して押し込むという動作のみで、カートリッジ2をケーシング5にセットすることが可能となり、また、ケーシング5にセットされているカートリッジ2を引き抜くという動作のみでケーシング5からカートリッジ2を容易に取り外すことが可能となる。つまり、カートリッジ2の脱着が極めて簡便となり、カートリッジ2の交換作業を容易に行うことが可能となる。 【0051】 また、上記第2の浄水器1bにおいては、ケーシング5の供給配管接続部3及びカートリッジ2の導入部22の嵌合状態、並びに、ケーシング5の排出配管接続部4及びカートリッジ2の導出部23の嵌合状態を維持する保持手段9を備えるように構成している。この保持手段9は、ケーシング5の閉塞壁51及びカートリッジ2の挿入方向端部2aのいずれか一方に配置される電磁石91,92と、他方に配置され電磁石91,92との間でひっつく力を及ぼす磁性部材93,94を備えるように構成しているため、カートリッジ2をケーシング5内に挿入して、カートリッジ2の導入部22及び導出部23をそれぞれケーシング5の供給配管接続部3及び排出配管接続部4に押し込むという動作のみで、自動的に、ケーシング5の閉塞壁51及びカートリッジ2の挿入方向端部2aのいずれか一方に配置される電磁石91,92が、この電磁石91,92に対応して配置される磁性部材93,94を引き付けてケーシング5とカートリッジ2との一体性をより強固に確保することができる。この結果、簡便かつ確実に、カートリッジ2内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジ2の離脱(移動)に起因する被処理流体の液漏れを防止することが可能となる。 【0052】 また、上記第2の浄水器1bにおいては、電磁石91,92は、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成される。このような構成によれば、カートリッジ2に対する供給配管接続部3や排出配管接続部4の保持力(ホールド力)を強めたり弱めたりすることが可能となる。例えば、ケーシング5からカートリッジ2を取り外す際には、電磁石91,92のコイルに流れる電流を遮断することにより磁力を消失させれば、簡便にケーシング5からカートリッジ2を取り外すことが可能となる。また、浄水器1bの使用時に、被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるケーシング5からのカートリッジ2の離脱(移動)が生じてしまい被処理流体の液漏れが発生した場合であっても、電磁石91,92が発生する磁力を強めることにより、ケーシング5に対すカートリッジ2の保持力(ホールド力)より一層強化し、被処理流体の液漏れを防止することができる。 【0053】 また、上記第2の浄水器1bにおいては、電磁石91,92は、発生する磁極を反転可能に構成されている。このような構成によれば、磁性部材93,94を磁石体により構成する場合に、電磁石91,92と磁石体93,94とが互いに引き合う、或いは、反発するように構成することが可能となる。この結果、ケーシング5内にカートリッジ2をセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石91,92と磁石体93,94とが互いにくっつくように、或いは、ケーシング5からカートリッジ2を取り外す際に電磁石91,92と磁石体93,94とが互いに反発するように構成することができる。つまり、ケーシング5内にカートリッジ2をセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石91,92と磁石体93,94とのくっつく力の作用によりカートリッジ2における導入部22及び導出部23と、閉塞壁51における供給配管接続部3及び排出配管接続部4とが、それぞれ強固な連結状態を維持することができ、ケーシング5からカートリッジ2を取り外す時には、電磁石91,92と磁石体93,94との反発作用により、供給配管接続部3や排出配管接続部4に嵌合されるカートリッジ2の導入部22や導出部23を、供給配管接続部3や排出配管接続部4から容易に抜き出すことが容易となり、ケーシング5とカートリッジ2との脱着作業をより簡便に行うことが可能となる。 【0054】 以上、本発明に係る第2の浄水器1bの実施形態について説明したが、第2の浄水器1bの具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、ケーシング5の側壁に、該側壁の内外を連通する連通部55を形成するように構成してもよい。この連通部55は、図11やこの要部拡大図である図12に示すように、閉塞壁51の近傍位置に形成することが好ましい。側壁に形成される連通部55の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形等の多角形等、種々の形状を採用することができる。また、形成される連通部55の数も特に限定されず、側壁の全域に亘って複数の連通部55が分散するように形成してもよく、或いは、一の側壁の中央部に比較的大きな連通部55を形成してもよい。また、ケーシング5の側壁を網状体によって形成し、各網の目が連通部55を構成するようにしてもよい。 【0055】 このようにケーシング5の側壁に、ケーシング5内外を連通する連通部55を形成するように構成することにより、カートリッジ2をケーシング5内に挿入する際において、カートリッジ2により押し出されるケーシング5内の空気が連通部55を介してケーシング5外に導かれることになり、ケーシング5内にカートリッジ2をスムーズに挿入することが可能となる。また、当該連通部55は、ケーシング5内にセットされたカートリッジ2を取り出す際には、ケーシング5外の空気をケーシング5内へと導く通り道(導入路)としての機能を発揮するため、カートリッジ2引き出し時に、ケーシング5内周面とカートリッジ2外周面との間が真空状態(低圧状態)となることを効果的に抑制することができ、ケーシング5からカートリッジ2をスムーズに取り出すことが可能となる。 【0056】 特に、連通部55を閉塞壁51の近傍位置に形成することにより、カートリッジ2をケーシング5内に挿入し、カートリッジ2における導入部22及び導出部23が、閉塞壁51に設けられる供給配管接続部3及び排出配管接続部4に嵌合する直前まで、ケーシング5内の空気を連通部55を介して外部に導くことが可能となり、ケーシング5内にカートリッジ2をスムーズに挿入することがより一層可能となる。また、カートリッジ2をケーシング5から取り出す際においても、取り出し作業開始直後から連通部55を介してケーシング5外の空気をケーシング5内へと導くことができるため、ケーシング5内周面とカートリッジ2外周面との間が真空状態(低圧状態)となることを最大限に抑制して、スムーズにケーシング5からカートリッジ2を取り出すことが可能となる。 【0057】 また、ケーシング5に形成される連通部55を、図13(a)(b)に示すように、ケーシング5の一方端側から他方端側に向けて延びるスリットとして構成してもよい。ここで、図13(b)は、図13(a)における矢視B方向から見た平面図である。このような構成によれば、上述のように、カートリッジ2をケーシング5内に挿入する際には、カートリッジ2により押し出されるケーシング5内の空気をスリット状の連通部55を介してケーシング5外に導き、また、ケーシング5内にセットされたカートリッジ2を取り出す際には、ケーシング5外の空気をケーシング5内へと導くという効果を発揮すると共に、次のような効果を発揮する。つまり、連通部55をスリット状に構成することにより、ケーシング5の周壁が撓みやすくなる。これによって、ケーシング5の内周部の形状をカートリッジ2の外周部の形状と略同一の形状とし、カートリッジ2の外周面が、ケーシング5の内周面と摺接するように構成した場合であっても、ケーシング5の一方端における開口を拡径させてカートリッジ2を挿入することができ、ケーシング5へのカートリッジ2のセッティング作業を容易にすることができる。 【0058】 また、上記第2の浄水器1bにおいて、カートリッジ2をケーシング5内にセットし、導入部22及び供給配管接続部3、並びに、導出部23及び排出配管接続部4がそれぞれ嵌合された状態において、ケーシング5に対するカートリッジ2の移動を規制するストッパー手段56を備えるように構成してもよい。このストッパー手段56は、図14(a)(b)に示すように、ケーシング5の側壁に形成される貫通部561と、貫通部561に対応してカートリッジ2の側壁側の所定位置に形成される凹部562と、移動規制部563とを備えている。移動規制部563は、貫通部561を介して凹部562に差し込まれた状態で、凹部562と貫通部561とにより形成される空間部内に少なくとも一部領域が介在するように構成されている。なお、図14は、図3におけるA-A断面に相当する一部断面図であり、また、図14(a)は、貫通部561を介して凹部562に移動規制部563を差し込む前段階の状態を示しており、図14(b)は、貫通部561を介して凹部562に移動規制部563を差し込んだ状態を示している。図14に示す構成においては、貫通部561は、ケーシング5に対するカートリッジ2の挿入方向に対して垂直な方向に延びるスリットにより構成されており、凹部562は、スリット状の貫通部561に対応した長さとなる溝状に形成されている。また、移動規制部563は、溝状の凹部562に差し込み可能なプレート体により構成されている。また、図14に示す構成においては、移動規制部563の一端部(貫通部561を介して凹部562に差し込まれる側の端部とは反対側の端部)には、ケーシング5の側壁に当接可能な当接プレート564が配置されている。 【0059】 このようなストッパー手段56を備えることにより、ケーシング5内にセットされたカートリッジ2が、当該カートリッジ2内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によってケーシング5から離脱するような力を受けたとしても、移動規制部563が、ケーシング5に形成される貫通部561及びカートリッジ2の側壁側に形成される凹部562と係合して、ケーシング5に対するカートリッジ2の移動を規制することとなる。この結果、閉塞壁51に設けられる供給配管接続部3とカートリッジ2の導入部22との嵌合状態、及び、閉塞壁51に設けられる排出配管接続部4とカートリッジ2の導出部23との嵌合状態を維持することが可能となり、供給配管接続部3と導入部22との連結個所や、排出配管接続部4と導出部23との連結個所からの液漏れを効果的に抑制することが可能となる。また、移動規制部563の一端部に当接プレート564を備えるように構成することにより、当該カートリッジ2内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によって、カートリッジ2がケーシング5から離脱するような大きな力を受けたとしても、ケーシング5の側壁に当接する当接プレート564が、その力の一部を受けることになるため、より一層確実に、ケーシング5に対するカートリッジ2の移動を規制することが可能となる。 【0060】 また、図14に示すストッパー手段56の構成において、当接プレート564におけるケーシング5側壁側の面、及び、当接プレート564に当接するケーシング5の当接面のいずれか一方に電磁石を設けると共に、他方に磁性部材を設けるように構成してもよい。このような構成によれば、電磁石と磁性部材とのひっつく力も加わって、移動規制部563がケーシング5から外れることを防止し、より一層確実にケーシング5に対するカートリッジ2の移動を規制することが可能となる。ここで、当接プレート564側或いはケーシング5側に設けられる電磁石としては、発生する磁極を反転可能に構成されることが好ましく、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成されることが好ましい。また、この電磁石に対応して配置される磁性部材としては、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体を採用することができる。 【0061】 また、ストッパー手段56の構成は、図14に示すような構成に限定されず、例えば、図15に示すような構造となるようにストッパー手段56を構成してもよい。この図15に示すストッパー手段56は、当接プレート564の代わりに、移動規制部563に接続する第1接続端部571と前記ケーシング5に接続する第2接続端部572とを有する支持体57を備えている。支持体57は、板バネにより形成されており、第1接続端部571と第2接続端部572との間で図15(b)の矢印で示すように弾性変形可能に構成されている。つまり、第2接続端部572を支点として、支持体57が撓んで第1接続端部571に接続する移動規制部563を回動できるように構成されている。ストッパー手段56をこのように構成することにより、移動規制部563とケーシング5とを一体化することができる。更に、支持体57が第1接続端部571と第2接続端部572との間で弾性変形可能に構成されているため、移動規制部563とケーシング5とを一体化した状態であっても、ケーシング5に形成される貫通部561を介して、カートリッジ2の側壁側に形成される凹部562に移動規制部563を簡単に挿入することが可能となる。 【0062】 また、ストッパー手段56は、次のように構成することもできる。このストッパー手段56は、図16(a)に示すように、貫通部561が、ケーシング5の互いに対向する側壁にそれぞれ形成されており、凹部562は、各貫通部561にそれぞれ対応するカートリッジ2の側壁側の所定位置にそれぞれ形成されている。これら各貫通部561及び各凹部562は、カートリッジ2の挿入方向に対して垂直な方向に延びるように形成されている。また、移動規制部563は、図16(b)に示すように、各貫通部561を介して各凹部562にそれぞれ差し込まれる一対の挿入片565を備えるように構成されている。各挿入片565は連結部材567の各端部に設置されている。この挿入片565は、ケーシング5の側方からスライドさせて各貫通部561及び各凹部562内に挿入される。挿入片565が設置された状態を図17(a)及び(b)に示す。図17(a)は、挿入片565設置状態における浄水器1bの正面図であり、図17(b)は、図17(a)のC-C断面を示す断面図である。ストッパー手段56を図16に示すような構造となるように構成しても、ケーシング5に対するカートリッジ2の移動を効果的に規制することができ、閉塞壁51に設けられる供給配管接続部3とカートリッジ2の導入部22との嵌合状態、及び、閉塞壁51に設けられる排出配管接続部4とカートリッジ2の導出部23との嵌合状態を維持し、供給配管接続部3と導入部22との連結個所や、排出配管接続部4と導出部23との連結個所からの液漏れを効果的に抑制することが可能となる。 【0063】 また、上記第2の浄水器1bにおいては、カートリッジ2の挿入方向端部2aに設けられる導入部22や導出部23を管状体として構成すると共に、供給配管接続部3や排出配管接続部4をケーシング5の閉塞壁51に形成される貫通孔として構成し、導入部22を供給配管接続部3の内部に挿入嵌合するように、導出部23を排出配管接続部4の内部に挿入嵌合するように構成されているが、例えば、カートリッジ2の導入部22を挿入方向端部2aに形成される貫通孔として構成すると共に、供給配管接続部3をケーシング5の閉塞壁51に設けられる管状体として構成し、供給配管接続部3を導入部22の内部に挿入嵌合するように構成してもよい。また、カートリッジ2の導出部23を挿入方向端部2aに形成される貫通孔として構成すると共に、排出配管接続部4をケーシング5の閉塞壁51に設けられる管状体として構成し、排出配管接続部4を導出部23の内部に挿入嵌合するように構成してもよい。 【0064】 次に、本発明に係る第3の浄水器1cについて、添付図面を参照して説明する。図18は、第3の浄水器1cの概略構成断面図である。なお、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。 【0065】 第3の浄水器1cは、水道水等の被処理流体を浄化する装置であって、図18に示すように、給排水ソケット6と、当該給排水ソケット6に接続されるカートリッジ2とを備えている。ここで、カートリッジ2の構成については、第2の浄水器1bにおけるカートリッジ2と同一の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。 【0066】 給排水ソケット6は、上述のようにカートリッジ2に接続する部材であり、図18及び図19に示すように、ソケット本体61を備えている。ここで、図19(a)は、給排水ソケット6の断面図であり、図19(b)は、給排水ソケット6の平面図である。ソケット本体61には、供給配管接続部3及び排出配管接続部4が設けられている。供給配管接続部3は、外部から供給される被処理流体をカートリッジ2に導く機能を有しており、排出配管接続部4は、カートリッジ2によって処理された被処理流体を外部に導く機能を有している。これら供給配管接続部3及び排出配管接続部4は、ソケット本体61にそれぞれ形成される貫通孔により構成されている。供給配管接続部3の一方の端部には、カートリッジ2の導入部22が嵌合され、排出配管接続部4の一方の端部には、カートリッジ2の導出部23が嵌合される。また、供給配管接続部3の他方の端部には、浄化処理されていない水道水等の被処理流体が導かれる給水配管Z1が接続できるように構成されている。また、排出配管接続部4の他方の端部には、カートリッジ2によって有害物質等が除去された被処理流体が流通する排水配管Z2が接続できるように構成されている。ここで、ソケット本体61の外形形状は、円柱状や楕円柱状であってもよく、直方体状であってもよい。 【0067】 また、本発明に係る第3の浄水器1cは、給排水ソケット6における供給配管接続部3及びカートリッジ2における導入部22の嵌合状態、並びに、給排水ソケット6における排出配管接続部4及びカートリッジ2における導出部23の嵌合状態を良好な状態に維持する保持手段9を更に備えている。この保持手段9は、供給配管接続部3側(排出配管接続部4側)及び導入部22側(導出部23側)のいずれか一方に配置される電磁石91,92と、他方に配置される磁性部材93,94とを備えている。具体的には、ソケット本体61におけるカートリッジ2との対向面上に電磁石91を配置し、この電磁石91に対応する磁性部材93をカートリッジ2におけるソケット本体61との対向面上に配置している。なお、電磁石91,92と磁性部材93,94との組み合わせが2箇所となるように構成している。一方の電磁石91と磁性部材93との組み合わせに関しては、電磁石91を供給配管接続部3近傍となるように、磁性部材93を導入部22近傍となるように配置している。また、他方の電磁石92と磁性部材94との組み合わせに関しては、電磁石92を排出配管接続部4近傍となるように、磁性部材94を導出部23近傍となるように配置している。なお、電磁石と磁性部材との組み合わせが1箇所となるように構成してもよい。ここで、磁性部材93,94とは、磁石にくっつく部材のことをいい、鉄やニッケル等の金属から形成される部材や、永久磁石や電磁石等の磁石体をも含む概念である。本実施形態においては、磁性部材93,94として、永久磁石を採用している。なお、この永久磁石の代わりに別の電磁石や、鉄やニッケル等の金属材料から構成されるプレート部材を配置してもよい。また、本実施形態においては、電磁石91,92のON/OFFといった作動を制御する制御部(図示せず)や電磁石91,92を駆動させるための操作部(図示せず)を備えている。制御部は、電磁石91,92に通電することにより発生する磁極が、永久磁石93,94の磁極と反対(例えば、N極とS極、或いは、S極とN極)となるように、或いは、永久磁石93,94の磁極と同一(例えば、N極とN極、或いは、S極とS極)となるように構成されている。つまり、電磁石91,92は、発生する磁極を反転可能となるように構成される。また、制御部は、操作部から入力された信号に基づいて、例えば、電磁石91,92が発生する磁力の大きさを制御する機能を有している。また、操作部は、例えばタッチパネル式の入力装置により構成されており、所定の部位をタッチすることにより、電磁石91,92に通電させる信号やその通電を停止させる信号等を制御部に送信可能となるように構成されている。また、操作部を操作することにより、電磁石91,92が発生する磁力の大きさを変更できるように構成されている。 【0068】 なお、上述した第2の浄水器1bと同様に、永久磁石(磁性部材)93,94に対して対向配置される電磁石91,92は、永久磁石(磁性部材)93,94を案内可能に構成されるラッパ状に形成された受け部95をその先端部に備えるように構成してもよい。このような構成により、給排水ソケット6とカートリッジ2とを連結する際に生じ得るカートリッジ2の位置ズレを微調整し、カートリッジ2を正しいセット位置に導くことが容易となる。なお、電磁石91,92と磁性部材93,94との衝突の衝撃によって発生するおそれのある電磁石91,92や磁性部材93,94の損傷や、給排水ソケット6或いはカートリッジ2からの電磁石91,92や磁性部材93,94の脱落を回避するために、給排水ソケット6とカートリッジ2とを連結した状態において、電磁石91,92と磁性部材93,94との間に僅かな隙間が形成されるように、電磁石91,92や磁性部材93,94の位置や大きさを設定することが好ましい。 【0069】 このような給排水ソケット6を備えることにより、供給配管接続部3及び排出配管接続部4を一体的に構成することができ、カートリッジ2における導入部22及び導出部23を簡便に供給配管接続部3及び排出配管接続部4に接続することが可能となる。 【0070】 また、上記第3の浄水器1cにおいては、給排水ソケット6の供給配管接続部3及びカートリッジ2の導入部22の嵌合状態、並びに、給排水ソケット6の排出配管接続部4及びカートリッジ2の導出部23の嵌合状態を維持する保持手段9を備えるように構成している。この保持手段9は、供給配管接続部3側(排出配管接続部4側)及び導入部22側(導出部23側)のいずれか一方に配置される電磁石91,92と、他方に配置され電磁石91,92との間でひっつく力を及ぼす磁性部材93,94とを備えているため、カートリッジ2の導入部22及び導出部23をそれぞれ給排水ソケット6の供給配管接続部3及び排出配管接続部4に押し込むという動作のみで、自動的に、給排水ソケット6及びカートリッジ2のいずれか一方に配置される電磁石91,92が、この電磁石91,92に対応して配置される磁性部材93,94を引き付けて給排水ソケット6とカートリッジ2との一体性をより強固に確保することができる。これにより、簡便かつ確実に、カートリッジ2内に導かれる被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動によるカートリッジ2の離脱(移動)に起因する被処理流体の液漏れを防止することが可能となる。 【0071】 また、上記第3の浄水器1cにおいては、電磁石91,92は、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成される。このような構成によれば、カートリッジ2に対する供給配管接続部3や排出配管接続部4の保持力(ホールド力)を強めたり弱めたりすることが可能となる。例えば、カートリッジ2を給排水ソケット6から取り外す際には、電磁石91,92のコイルに流れる電流を遮断することにより磁力を消失させれば、簡便に給排水ソケット6からカートリッジ2を取り外すことが可能となる。また、浄水器1cの使用時に、被処理流体の流体圧力(水圧等)の反動による給排水ソケット6からのカートリッジ2の離脱(移動)が生じてしまい被処理流体の液漏れが発生した場合であっても、電磁石91,92が発生する磁力を強めることにより、給排水ソケット6に対するカートリッジ2の保持力(ホールド力)より一層強化し、被処理流体の液漏れを防止することができる。 【0072】 また、上記第3の浄水器1cにおいては、電磁石91,92は、発生する磁極を反転可能に構成されている。このような構成によれば、磁性部材93,94を磁石体により構成する場合に、電磁石91,92と磁石体93,94とが互いに引き合う或いは反発するように構成することが可能となる。この結果、給排水ソケット6にカートリッジ2をセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石91,92と磁石体93,94とが互いにくっつくように、或いは、給排水ソケット6からカートリッジ2を取り外す際に電磁石91,92と磁石体93,94とが互いに反発するように構成することができる。つまり、給排水ソケット6にカートリッジ2にセットする際及びセットしている状態の時には、電磁石91,92と磁石体93,94とのくっつく力の作用によりカートリッジ2における導入部22及び導出部23と、給排水ソケット6における供給配管接続部3及び排出配管接続部4とが、それぞれ強固な連結状態を維持することができ、給排水ソケット6からカートリッジ2を取り外す時には、電磁石91,92と磁石体93,94との反発作用により、供給配管接続部3や排出配管接続部4に嵌合されるカートリッジ2の導入部22や導出部23を、供給配管接続部3や排出配管接続部4から容易に抜き出すことが容易となり、給排水ソケット6とカートリッジ2との脱着作業をより簡便に行うことが可能となる。 【0073】 ここで、給排水ソケット6は、図20(a)(b)に示すように、挿入ガイド63を設けるように構成してもよい。この挿入ガイド63は、供給配管接続部3及び排出配管接続部4の一方の端部を取り囲むようにしてソケット本体61に立設される部材であり、図20(a)に示す矢視D方向から見た平面図である図20(b)に示すように、例えば、挿入ガイド63の内周部63aの形状が平面視において台形となるように構成されている。なお、給排水ソケット6が挿入ガイド63を備えるように構成する場合、挿入ガイド63の内周部63aの形状に対応した外形形状を有する係合部材27をカートリッジ2が備えるように構成することが好ましい。この係合部材27は、図21(a)(b)に示すように、カートリッジ2における導入部22及び導出部23を取り囲むようにして、挿入方向端部2aに立設される部材であり、係合部材27の外周部27aと、挿入ガイド63の内周部63aとは互いに摺接するように構成することが好ましい。ここで、図21(a)は、流体濾過体の概略構成断面図であり、図21(b)は、図21(a)に示す矢視E方向から見た底面図である。また、挿入ガイド63の内周部63aの形状は、180°回転させた場合に同一の形状とならない形状であればよく、台形の他に例えば三角形であってもよい。このような挿入ガイド63及び係合部材27を備える構成は、カートリッジ2を給排水ソケット6に誤って差し込んで挿入されることを効果的に防止することが可能となる。つまり、供給配管接続部3と導入部22とが嵌合し、排出配管接続部4と導出部23とが嵌合するような姿勢で、カートリッジ2を給排水ソケット6に挿入する際には、挿入ガイド63と係合部材27とが互いに干渉することなく、カートリッジ2を給排水ソケット6にセッティングすることが可能になる。一方、供給配管接続部3と導出部23とが嵌合し、排出配管接続部4と導入部22とが嵌合するような姿勢でカートリッジ2を給排水ソケット6に挿入する際には、挿入ガイド63と係合部材27とが互いに干渉し、カートリッジ2の給排水ソケット6への挿入を阻止することが可能となる。なお、図20及び図21の構成においては、挿入ガイド63の内周部63aに係合部材27の外周部27aが摺接するように、挿入ガイド63及び係合部材27を構成しているが、例えば、係合部材27の内周部27bが挿入ガイド63の外周部63bに摺接するように、挿入ガイド63及び係合部材27を構成してもよい。 【0074】 また、上記挿入ガイド63及び係合部材27を図22(a)のように構成してもよい。この図22に示す構成は、挿入ガイド63をソケット本体61の上面における外周縁上に形成すると共に、係合部材27を肉厚部として形成している。挿入ガイド63の内周部63aの形状は、図20(b)に示すのと同様に平面視において台形となるように構成されており、係合部材27の外形形状は、挿入ガイド63の内周部63aの形状に対応するように構成されている。また、挿入ガイド63の上端部は、ラッパ状となるように形成されている。このようにラッパ状とすることにより、係合部材27を挿入ガイド63にスムーズに挿入することが可能となる。また、電磁石91,92は、ソケット本体61に埋設されており、磁性部材93,94は、肉厚部として構成される係合部材27に埋設されている。なお、電磁石91,92の一部が、ソケット本体61の上端面から露出するように構成してもよく、或いは完全にソケット本体中に埋め込まれてもよい。同様に、磁性部材93,94の一部が、係合部材27の下端面から露出するように構成してもよく、或いは完全に係合部材27中に埋め込まれてもよい。また、係合部材27の下端面には、突起66が設けられている。この突起66は、カートリッジ5を給排水ソケット6にセットした状態(図22(b)の状態)において、ソケット本体の上端面に当接し、電磁石91,92と磁性部材93,94との間に僅かな隙間を形成することを可能とする。これにより、電磁石91,92と磁性部材93,94との衝突の衝撃によって発生するおそれのある電磁石91,92や磁性部材93,94の損傷を回避することが可能となる。 【0075】 また、上記第3の浄水器1cにおいては、カートリッジ2の挿入方向端部2aに設けられる導入部22や導出部23を管状体として構成すると共に、供給配管接続部3や排出配管接続部4をソケット本体61に形成される貫通孔として構成し、導入部22を供給配管接続部3の内部に挿入嵌合するように、導出部23を排出配管接続部4の内部に挿入嵌合するように構成されているが、例えば、カートリッジ2の導入部22を挿入方向端部2aに形成される貫通孔として構成すると共に、供給配管接続部3をソケット本体61に設けられる管状体として構成し、供給配管接続部3を導入部22の内部に挿入嵌合するように構成してもよい。また、カートリッジ2の導出部23を挿入方向端部2aに形成される貫通孔として構成すると共に、排出配管接続部4をソケット本体61に設けられる管状体として構成し、排出配管接続部4を導出部23の内部に挿入嵌合するように構成してもよい。 【符号の説明】 【0076】 1a、1b、1c 浄水器 2 カートリッジ 22 導入部 23 導出部 27 係合部材 3 供給配管接続部 4 排出配管接続部 5 ケーシング 51 閉塞壁 6 給排水ソケット 61 ソケット本体 63 挿入ガイド 7 第1保持手段 71 電磁石 72 磁性部材 8 第2保持手段 81 電磁石 82 磁性部材 9 保持手段 91,92 電磁石 93,94 磁性部材 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジによって浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、 前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入部と、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部とを備えており、 前記供給配管接続部側及び前記導入部側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器。 【請求項2】 被処理流体を浄化処理するカートリッジと、外部から供給される被処理流体を前記カートリッジに導く供給配管接続部と、前記カートリッジにより浄化処理された被処理流体を外部に導く排出配管接続部とを備える浄水器であって、 前記カートリッジは、前記供給配管接続部に嵌合し被処理流体を前記カートリッジ内部に導入可能な導入部と、前記排出配管接続部に嵌合し前記カートリッジ内部で処理された被処理流体を導出可能な導出部とを備えており、 前記排出配管接続部側及び前記導出部側のいずれか一方に配置される電磁石と、他方に配置される磁性部材とを備える浄水器。 【請求項3】 前記電磁石は、発生する磁力の大きさが変更可能となるように構成される請求項1又は2に記載の浄水器。 【請求項4】 前記電磁石は、発生する磁極を反転可能に構成される請求項1から3のいずれかに記載の浄水器。 【請求項5】 前記カートリッジに接続する給排水ソケットを備えており、 前記給排水ソケットには、前記供給配管接続部及び前記排出配管接続部が設けられている請求項1から4のいずれかに記載の浄水器。 【請求項6】 前記カートリッジが挿入されるケーシングを備えており、 前記ケーシングは、一方端が開口し他方端が閉塞壁により閉塞される筒状に形成されており、 前記閉塞壁には、前記供給配管接続部及び前記排出配管接続部が設けられている請求項1から4のいずれかに記載の浄水器。 【請求項7】 前記ケーシングの側壁には、該側壁の内外を連通する連通部が形成されている請求項6に記載の浄水器。 【請求項8】 前記連通部は、前記閉塞壁の近傍に形成されている請求項7に記載の浄水器。 【請求項9】 前記連通部は、前記ケーシングの一方端側から他方端側に向けて延びるスリットである請求項7又は8に記載の浄水器。 【請求項10】 前記導入部及び供給配管接続部、並びに、前記導出部及び排出配管接続部が、それぞれ嵌合された状態において、前記ケーシングに対する前記カートリッジの移動を規制するストッパー手段を備えており、 前記ストッパー手段は、前記ケーシングの側壁に形成される貫通部と、前記貫通部に対応する前記カートリッジの側壁側の所定位置に形成される凹部と、前記貫通部を介して前記凹部に差し込まれた状態で、前記凹部と前記貫通部とにより形成される空間部に少なくとも一部領域が介在する移動規制部とを備えている請求項6から9のいずれかに記載の浄水器。 【請求項11】 前記貫通部は、前記ケーシングの互いに対向する側壁にそれぞれ形成され、前記凹部は、前記各貫通部にそれぞれ対応する前記カートリッジの側壁側の所定位置にそれぞれ形成されると共に、前記各貫通部及び前記各凹部は、前記カートリッジの挿入方向に対して垂直な方向に延びるように形成されており、 前記移動規制部は、互いに対応する貫通部及び凹部にそれぞれ差し込まれる一対の挿入片を備えている請求項10に記載の浄水器。 【請求項12】 前記ストッパー手段は、前記移動規制部に接続する第1接続端部と前記ケーシングに接続する第2接続端部とを有する支持体を更に備えており、 前記支持体は、前記第1接続端部と前記第2接続端部との間で弾性変形可能に構成されている請求項10又は11に記載の浄水器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2013-02-01 |
出願番号 | 特願2012-56796(P2012-56796) |
審決分類 |
P
1
41・
855-
Y
(C02F)
P 1 41・ 852- Y (C02F) P 1 41・ 856- Y (C02F) P 1 41・ 854- Y (C02F) P 1 41・ 853- Y (C02F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 片山 真紀 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
松本 貢 真々田 忠博 |
登録日 | 2012-08-31 |
登録番号 | 特許第5071698号(P5071698) |
発明の名称 | 浄水器 |
代理人 | 藤飯 章弘 |
代理人 | 藤飯 章弘 |