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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B07C
管理番号 1271676
審判番号 無効2012-800056  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-04-18 
確定日 2013-03-18 
事件の表示 上記当事者間の特許第4920841号発明「果菜自動選別装置用果菜載せ体と、果菜自動選別装置と、果菜自動選別方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第4920841号に係る発明についての出願は、平成13年8月16日に特許出願され、その請求項1ないし8に係る発明は平成24年2月10日に特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、平成24年4月19日(平成24年4月18日付け)に請求人(澁谷工業株式会社)より本件無効審判の請求がなされたところ、平成24年7月23日に被請求人(日本協同企画株式会社)より審判事件答弁書が提出され、平成24年11月7日に請求人及び被請求人よりそれぞれ口頭審理陳述要領書が提出され、平成24年11月14日付けで被請求人より上申書(以下、「第1回上申書」という。)が提出され、その後、平成24年11月28日に第1回口頭審理が実施され、請求人及び被請求人はそれぞれ上記口頭審理陳述要領書を陳述し、平成24年12月10日付けで被請求人より上申書(以下、「第2回上申書」という。)が提出され、これに対し、平成24年12月14日付けで請求人より上申書(以下、「第1回上申書」という。)が提出されたものである。



第2 本件特許発明

1.本件特許発明

本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」という。)は、願書に添付した明細書及び図面(以下、明細書を「本件特許明細書」といい、図面を含めて「本件特許明細書等」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置の果菜載せ体において、
果菜載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ることを特徴とする果菜自動選別装置用果菜載せ体。
【請求項2】
請求項1記載の果菜自動選別装置用果菜載せ体において、搬送ベルトの受け部が、果菜を載せることのできる受け部材を備えたことを特徴とする果菜自動選別装置用果菜載せ体。
【請求項3】
果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置において、
前記果菜載せ体が請求項1又は請求項2記載の果菜自動選別装置用果菜載せ体であり、前記多数の果菜載せ体は受け部が前記搬送方向に一列又は略一列に並んで移動して果菜を搬送でき、搬送中に搬送ベルトが判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転して前記受け部の上の果菜を搬送方向側方に送り出し、送り出した前記搬送ベルトは、送り出し後の搬送方向への移動中に、前記受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転することを特徴とする果菜自動選装置。
【請求項4】
請求項3記載の果菜自動選別装置において、複数の果菜引受け体が果菜搬送方向側方に配置され、それら果菜引受け体は搬送方向に間隔をあけて配置され、果菜載せ体から送り出される果菜が前記果菜引受け体にプールされることを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項5】
請求項4記載の果菜自動選別装置において、果菜引受け体は果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールできることを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項6】
果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別方法において、
果菜載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、当該搬送中に果菜の等階級等を判別し、果菜搬送中に前記搬送ベルトを判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の果菜を搬送方向側方に送り出し、往回動した搬送ベルトを前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記受け部を元の位置に戻して、前記多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べることを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項7】
請求項6記載の果菜自動選別方法において、判別結果に基づいて果菜載せ体から搬送方向側方に送り出される果菜を、果菜搬送ラインの搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の果菜引受け体にプールすることを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項8】
請求項7記載の果菜自動選別方法において、果菜載せ体から果菜が送り出される度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせることを特徴とする果菜自動選別方法。」
(なお、【請求項6】の原文の「果菜自動選別送方法」は「果菜自動選別方法」の明らかな誤記と認め、「果菜自動選別方法」とした。)


2.本件特許発明の分節

本件特許発明1ないし8について、以下、請求人の主張のとおり発明特定事項1Aないし8Aに分節し、以下、「第3 請求人が主張する無効理由の概要」ないし「第5-5 無効理由に対するまとめ」において適宜用いる。

2-1.本件特許発明1

(1)発明特定事項1A

果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置の果菜載せ体において、

(2)発明特定事項1B

果菜載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、

(3)発明特定事項1C

搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられ、

(4)発明特定事項1D

搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、

(5)発明特定事項1E

仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ること
を特徴とする果菜自動選別装置用果菜載せ体。

2-2.本件特許発明2

請求項1記載の果菜自動選別装置用果菜載せ体において、

(1)発明特定事項2A

搬送ベルトの受け部が、果菜を載せることのできる受け部材を備えたこと
を特徴とする果菜自動選別装置用果菜載せ体。

2-3.本件特許発明3

(1)発明特定事項3A

果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置において、

(2)発明特定事項3B

前記果菜載せ体が請求項1又は請求項2記載の果菜自動選別装置用果菜載せ体であり、

(3)発明特定事項3C

前記多数の果菜載せ体は受け部が前記搬送方向に一列又は略一列に並んで移動して果菜を搬送でき、

(4)発明特定事項3D

搬送中に搬送ベルトが判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転して前記受け部の上の果菜を搬送方向側方に送り出し、送り出した前記搬送ベルトは、送り出し後の搬送方向への移動中に、前記受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転すること
を特徴とする果菜自動選装置。

2-4.本件特許発明4

請求項3記載の果菜自動選別装置において、

(1)発明特定事項4A

複数の果菜引受け体が果菜搬送方向側方に配置され、それら果菜引受け体は搬送方向に間隔をあけて配置され、果菜載せ体から送り出される果菜が前記果菜引受け体にプールされること
を特徴とする果菜自動選別装置。

2-5.本件特許発明5

請求項4記載の果菜自動選別装置において、

(1)発明特定事項5A

果菜引受け体は果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールできること
を特徴とする果菜自動選別装置。

2-6.本件特許発明6

(1)発明特定事項6A

果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別送方法において、

(2)発明特定事項6B

果菜載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、

(3)発明特定事項6C

当該搬送中に果菜の等階級等を判別し、果菜搬送中に前記搬送ベルトを判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の果菜を搬送方向側方に送り出し、往回動した搬送ベルトを前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記受け部を元の位置に戻して、前記多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べること
を特徴とする果菜自動選別方法。

2-7.本件特許発明7

請求項6記載の果菜自動選別方法において、

(1)発明特定事項7A

判別結果に基づいて果菜載せ体から搬送方向側方に送り出される果菜を、果菜搬送ラインの搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の果菜引受け体にプールすること
を特徴とする果菜自動選別方法。

2-8.本件特許発明8

請求項7記載の果菜自動選別方法において、

(1)発明特定事項8A

果菜載せ体から果菜が送り出される度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせること
を特徴とする果菜自動選別方法。



第3 請求人が主張する無効理由の概要

1.請求人の主張の全体概要及び証拠方法

請求人は、審判請求書とともに下記の甲第1号証ないし甲第6号証を証拠方法として提出するとともに口頭審理陳述要領書とともに資料1及び資料2を提出した。その後、平成24年11月28日に行った第1回口頭審理において口頭審理陳述要領書の第17ページ第8ないし16行、第24ページ第21行ないし第25ページ第16行及び第26ページ第21ないし25行までの主張並びに資料1及び資料2を撤回する旨を陳述した。
そして、「特許第4920841号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、以下の2.の理由(以下、「無効理由」という。)により本件特許発明1ないし8についての特許は、特許法第123条第1項第2号に該当するから無効とされるべきである旨を主張する。

<証拠方法>
甲第1号証 :実願平4-39182号(実開平6-23936号)のC D-ROM
甲第2号証 :実願平1-6343号(実開平2-97315号)のマイ クロフィルム
甲第3号証 :特開平10-25014号公報
甲第4号証 :特開2001-130741号公報
甲第5号証 :仏国特許公開第2475015号公報(請求人のいう「フ ランス国公開公報第2475015号公報」)
甲第6号証 :特開平1-122815号公報


2.無効理由に係る主張の概要

2-1.甲各号証に記載された発明

(1)甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明(審判請求書第5ページ第24行ないし第6ページ第24行)

甲1A:「本考案の自動選別装置は、図1、2に示すようにチェーン等の走行体1に、果菜や小荷物等の物品2を載せることができ且つ走行体1の横方向に回動可能な多数のベルトコンベア3を取り付け、各ベルトコンベア3の回動、停止を外部からの信号により制御可能としたことを特徴とするものである。」(段落【0007】)。
甲1B:「本考案の自動選別装置では、図1、2に示すように、走行体1にベルトコンベア3を設けたので、このベルトコンベア3の上に物品2を載せれば走行体1の走行により、その物品2を搬送できる。また、ベルトコンベア3は走行体1の横方向に回動するので、同ベルトコンベア3を回動させれば、物品2が走行体1の側方に降ろされる。」(段落【0008】)。
甲1C:「同図に示す5は果菜2を搬送する搬送路である。この搬送路5の手前側には光学センサ10が設置されており、さらにその先の搬送路5の片側には仕切り板9でS、M、Lとサイズ別に3つに区分けされた果菜選別籠11が設置されている。」(段落【0009】の第4ないし7行)。
甲1D:「前記光学センサ10は搬送路5を移動する果菜1のサイズを測定するもので、その測定値を搬送路5の下の演算装置12で処理して、予めセットされた条件に基づいて果菜2の等級をS、M、Lに分けるものである。」(段落【0010】の第1ないし3行)。
甲1E:「同図に示す3はベルトコンベアであり、選別する果菜2を載せて運ぶことができるように前記果菜2より少し大きな面積を有した小型のベルトコンベア3である。」(段落【0012】の第1ないし3行)。
甲1F:「そして、前記光学センサ10が測定した果菜2の等級に基づいて、前記演算装置12が指定したタイミングで、指定した電極30に電流を流し、丁度その電極30と接触しているベルトコンベア3のベルト23が回転し、その上の果菜2を果菜選別籠11へ送り出す。」(段落【0013】の第4ないし8行)。
甲1G:図1には、走行体1にそって設けられた多数のベルトコンベア3の略中央にそれぞれ果菜2が載せられ、果菜2が搬送方向に一列又は略一列に並べられた状態で搬送されている。

(2)甲第2号証の記載事項及び甲第2号証に記載された発明(審判請求書第7ページ第1ないし20行)

甲2A:「搬送路に沿って移動する搬送体の上部にこの搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトを配設し、この支持ベルト上に品物を支持し、搬送体の移動により品物を搬送路に沿って搬送し、支持ベルトを駆動することにより品物を搬送路の側方に搬出する搬送装置において、」(実用新案登録請求の範囲の第1項の第1ないし7行)。
甲2B:「上記支持ベルトの品物支持面に品物の搬出方向の後部に対する突起を設けたこと」(実用新案登録請求の範囲の第1項の第8及び9行)。
甲2C:「たとえば、品物を搬送路に沿って搬送し、この搬送路の複数か所において、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に搬出するようにした搬送仕分け装置と呼ばれる搬送装置には、…(中略)…仕分けする品物に限定があり、小物、ばら物、軽量物、薄物、底面状態の悪い物等のように、ベルトコンベヤでしか搬送できないような品物の仕分けには無理がある。」(明細書第2ページ第2ないし13行)。
甲2D:「また、第2図の例では、(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部、この場合2か所の突起9の間に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から、(B)に示すように、移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると、品物Wを完全に右側に搬出することができ、逆に、(A)に示す状態から、(C)に示すように、移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができ、」(明細書第8ページ第19行ないし第9ページ第8行)。

(3)甲第3号証の記載事項及び甲第3号証に記載された発明(審判請求書第7ページ第22ないし27行)

甲3A:「前記ベルトコンベア1の野菜保持部6は、図8、図9に示すように、複数のブロツク状の野菜受止め体7を、リング板状の座20に平面視で分割環状に突設し、座20の裏面をコンベア搬送面10aに貼着して構成してある」(段落【0016】の第1ないし5行)。

(4)甲第4号証の記載事項及び甲第4号証に記載された発明(審判請求書第8ページ第2ないし10行)

甲4A:「この機構は図1に示すように果菜選別装置の主搬送体2の側方に配置された複数の仲介搬送体3と、夫々の仲介搬送体3の搬送方向先方に配置された副搬送体4から構成され、」(段落【0014】の第3ないし6行)。
甲4B:「当該副搬送体4は仲介搬送体3から所定数の果菜1が送り込まれる度に1ストロークづつ作動して、仲介搬送体3から送り込まれた所定数の果菜1を一まとまりとして図2の矢印b方向に間欠的に搬送することである。」(段落【0016】の第4ないし8行)。

(5)甲第5号証の記載事項及び甲第5号証に記載された発明(審判請求書第8ページ第12ないし22行)

甲5A:(以下翻訳)「図示されていない1つまたは複数の固定ガイド手段に沿って方向Aに摺動するフレーム1の対向する各端部には(図1)、2個のローラ2と3が固定されており、これらのローラの軸は、進行方向Aに並行である。ローラ2と3を中心としてベルト4が張られ、このベルトに分割要素5が固定されている。」(本文第2ページ第11ないし17行)。
甲5B:(以下翻訳)「平面支持体に荷が積まれるとき、分割要素5は、フレーム1の外側の付近にある。…(中略)…分割要素5がフレーム1の反対側に達するまでベルト4を摺動させることによって荷降ろしを行う。」(本文第2ページ第26行ないし第3ページ第1行)。

(6)甲第6号証の記載事項及び甲第6号証に記載された発明(審判請求書第8ページ第24行ないし第9ページ第5行)

甲6A:「また、品物Wを搬出した搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、搬出キャンセル位置23を通過した後、切換えレール47によって搬送路2の中央部に移動し、その後に搬入位置21において支持ベルト6上に乗せられる品物Wをどの方向にも搬出できるようになる。」(第6ページ右上欄第19行ないし同ページ左下欄第4行)。


2-2.本件特許発明と甲各号証に記載された発明との対比・判断

2-2-1.本件特許発明1について

(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比(審判請求書第9ページ第9行ないし第10ページ第7行)

本件特許発明1の発明特定事項1Aのうち、「果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ライン」の部分は上記甲第1号証の甲1Aおよび甲1Bに、「搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別」の部分は甲1Cおよび甲1Dに、「果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置の果菜載せ体」の部分は甲1Fに、それぞれ記載されている。
以上のことから、発明特定事項1Aは上記甲第1号証に記載されているものといえる。
次に、発明特定事項1B、すなわち果菜載せ体が搬送ラインの搬逆方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備えた構成は、甲第1号証の甲1Eに記載されている。
ここで、甲第1号証の甲1Eには、ベルトコンベヤ3が往復回転するとの記載はないが、ベルトコンベヤ3を駆動するモータを正逆に回転させれば、往復回転させることが可能であることは容易に理解できる。なお後述するように、往復回転する搬送ベルトは甲2Dに記載されている。
さらに、発明特定事項1C、すなわち搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられた構成は、甲第1号証の甲1Eに記載されている。
ここで、被請求人は発明特定事項1Cについて、平成23年5月30日付で提出した意見書(以下1回目の意見書という)(乙第1号証)において「…(前略)…本書に添付の説明図2のように搬送ベルト12の上に直に載せる場合もある。」(二、補正の根拠 1-3参照)と述べている。
つまり、甲第1号証の甲1Eにおけるベルトコンベヤ3の上面の果菜を載置する部分は、請求項1の発明における「果菜を載せることのできる受け部」に該当する。
しかしながら、甲第1号証には、請求項1の発明における仕切り体についての発明特定事項1Dおよび発明特定事項1Eに該当する記載はない。

(2)相違点についての判断

(ア)発明特定事項1D及び1Eは甲2B及び甲2D並びに甲5A及び甲5Bに記載されていることについて(審判請求書第10ページ第9ないし27行)

まず上記相違点のうち、上記本件特許発明1の発明特定事項1D、すなわち「搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に設けられた仕切り体」は、上記甲第2号証の甲2Bに記載されている。
上述したように、甲第2号証における支持ベルト6の上面は「物品が載せることのできる受け部」を構成しており、甲2Bに示されるように、突起9はこの支持ベルト6の上方に突出し、特に図2に記載された2つの突起9は、(B)または(C)となった際に、それぞれ品物Wに対して往回転方向後方に位置している。
また上記本件特許発明1の発明特定事項1E、すなわち「仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に件ってその復回転方向に戻ること」は、上記甲第2号証の甲2Dに記載されている。
つまり甲2Dでは、図2(A)に示す搬送体1の支持ベルト6の中間部に品物Wを支持した状態から、(B)または(C)に示すように支持ベルト6を右側または左側に往復回転させることが可能となっており、上記突起9はこの支持ベルト6が往回転および復回転をすれば、これに伴って移動するようになっている。
なお、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に設けられた仕切り体は、上記甲第5号証の甲5Aにも記載されており、当該仕切り体が搬送ベルトの往復回転に件って往復動することも甲5Bに記載されている。

(イ)搬送ベルトは「復回転」する点及び当該「復回転」に伴って「仕切り体」はその復回転方向に戻る点

(イ-1)甲第2号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第5ページ第12行ないし第6ページ第24行)

甲第2号証には「1は搬送体で、この搬送体1は後述する無端状の搬送路2に沿って図示前後の方向に移動するようになっており、この搬送体1の下部に搬送体1の移動方向と交差する図示左右の両側方向に移動可能な移動枠3を設けてある。…(中略)…そして、上記搬送体1の上部に、この搬送体1の移動方向と交差する両側方向の搬送方向性を有する平ベルトからなる支持ベルト6の中間部を配置してあるとともに、この支持ベルト6の両端部を、…(中略)…第2図(口頭審理陳述要領書の「第図2」は「第2図」の明らかな誤記と認める。)の例では上記移動枠3に固定してあり、…(中略)…第2図の例では支持ベルト6の品物支持面の支持ベルト6の長さ方向の2か所に突起9を設けてある。この構成において、移動枠3を、例えば移動枠3の下部に軸支したコロ7あるいはこのコロ7を軸支してコロ7の下部に突出したピン8等を、搬送路2に設けられた図示しない作動手段で押すことによって、両側方向に移動すると、…(中略)…搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部が、移動枠3の移動方向と反対の方向に向かって、…(中略)…移動する。」(第5ページ第19行ないし第7ページ第13行)と記載されている。
また後述するように、甲第2号証の搬送体1は循環搬送されるようになっており、搬出仕分け位置で品物Wを搬出した後再度搬入位置へと戻るようになっている。つまり甲第2号証の図2において、搬送体1が搬入位置において(A)の状態となって品物Wを載せ、当該搬送体1が仕分け搬出位置に到達すると(B)または(C)の状態となって品物Wを排出し、その後搬送体1は搬入位置において(A)の状態へと復帰するようになっている。
具体的に説明すると、搬送体1の移動枠3が(A)の中央の位置から(B)に示す図示左方に「往動」すると、支持ベルト6は図示右方に「往回転」し、これにより品物Wを載せた支持ベルト6の中間部が図示右方へと移動する。
その際、品物Wに対して図示左方に位置した突起9は、支持ベルト6の中間部に対して往回転方向後方に位置した状態で、図示右方へと「往回転方向に移動」することとなる。
次に搬送体1が循環搬送されて(B)の状態から(A)の状態へと復帰するには、上記移動枠3は搬送体1の移動方向に対して直角方向への移動のみが許容されていることから図示左方から図示右方へと「復動」するしかない。
その結果、支持ベルト6は図示左方に「復回転」せざるを得ず、当該支持ベルト6に設けられた突起9は図示左方に「復回転方向に戻る」こととなる。
以上のことから、発明特定事項1Eにおける、搬送ベルトが「復回転」する点、当該「復回転」に伴って「仕切り体」がその復回転方向に戻るという構成は、甲第2号証に記載されているものといえる。
なお、審判請求書に記載した甲2Dは、甲第2号証における図2の構成、すなわち搬送体1の突起9が支持ベルト6の中間部を挟んで両側方に位置している構成に関する記載であるが、甲第2号証の図1の構成、すなわち搬送体1の突起9が支持ベルト6の中間部に対して一方の側部に位置する構成であっても、移動枠3が往復動して支持ベルト6が往回転および復回転するようになっており、かつ突起9も支持ベルト6の復回転に伴って「復回転方向に戻る」構成となっている。

(イ-2)甲第5号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第6ページ第26行ないし第8ページ第1行)

甲第5号証には、(以下翻訳)「たとえば倉庫または郵便局で使用されるような小さい物品の選別および搬送を行う設備は、一般に、固定された軌道に沿って摺動するベルトからなり、このベルトは、物品を搬送して軌道の所定の一か所で荷降ろしするために互いに結合された一連の平面から構成されている。」(第1ページ第7ないし13行)、「図示されていない1つまたは複数の固定ガイド手段に沿って方向Aに摺動するフレーム1の対向する各端部には(図1)、2個のローラ2と3が固定されており、これらのローラの軸は、進行方向Aに並行である。ローラ2と3を中心としてベルト4が張られ、このベルトに分割要素5が固定されている。ベルト4の下部には、このベルトに連結されたL字型の1つまたは複数の要素6が、駆動要素7に固定されており、駆動要素は、フレーム1に固定された2個のガイド手段8と9に沿って摺動する。好適には、ガイド手段8と9の方向が、フレームの進行方向に垂直である。
駆動要素の下では、この駆動要素に固定された遊星歯車10が、軌道に沿って収容されているレールまたはカムと相互作用することができる。平面支持体に荷が積まれるとき、分割要素5は、フレーム1の外側の付近にある。荷降ろしは、公知の任意の方法で遠隔で開始可能であるが、こうした荷降ろしのとき、カムまたは移動式のレール部分が遊星歯車10の軌道内に入って遊星歯車上でスライド移動し、分割要素5がフレーム1の反対側に達するまでベルト4を摺動させることによって荷降ろしを行う。」(第2ページ第11行ないし第3ページ第1行:請求書の甲5Aおよび甲5Bを含む)と記載されている。
上記記載に基づくと、甲第5号証の図1において上記駆動要素7が図示左方に移動してベルト4が図示右方に「往回転」し、ベルト4に固定された分割要素5も図示右方へと「往回転方向に移動」することになる。
後述するように、甲第5号証の平面支持体も循環搬送によって荷降ろしをした後には再度荷が積まれる状態へと復帰するようになっており、荷降ろしをした状態から図1の状態に復帰する必要がある。
ここで、上記駆動要素7はガイド手段8、9に沿って往復動のみが許容されているため、図1の状態から図示左方に移動した駆動要素7は、今度は図示右方に「復動」せざるを得ず、これによりベルト4は図1の状態へと「復回転」し、分割要素5も「復回転方向に戻る」こととなる。
以上のことから、発明特定事項1Eにおける、搬送ベルトが「復回転」する点及び当該「復回転」に伴って「仕切り体」がその復回転方向に戻るといった事項は、甲第5号証にも記載されているものといえる。

(ウ)「受け部」の点(発明特定事項1C)及び当該「受け部」の位置関係の点(発明特定事項1D)について

(ウ-1)発明特定事項1Cに関する被請求人の主張に対する反論(口頭審理陳述要領書第20ページ第14行ないし第21ページ第16行)

まず、甲第1号証には仕切り体に相当する構成は記載されていないものの、甲第2号証や甲第5号証に記載された構成を適宜組み合わせることは当業者にとって容易であると反論した。
上述したように、甲第2号証や甲第5号証において搬送体1や平面支持体はそれぞれ支持ベルト6やベルト4から突出する突起9や分割要素5を備えており、品物はこれら突起9や分割要素5の搬出方向前方に載置されるようになっている。
そして、これら突起9や分割要素5の搬出方向前方における物品を載置する位置が、本件請求項1の発明にかかる「受け部」、すなわち「仕切り体の前方の受け部」に該当することは、その構成上明らかである。
次に、甲第2号証に底面状態の悪い物とはどのような品物であるかは具体的に例示されていないものの、上述したように甲第2号証の搬送体1に形成された突起9が「品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止」して、底面状態が悪い物品であってもこれを搬出することが可能となっている。
なお、被請求人は2回目の意見書(乙第2号証)で「底が扁平な果菜は安定しやすいが球状の果菜は不安定である。…(中略)…このため果菜は往回転始動時の反動で後方に位置ずれしたり、倒れたり、転がったりすることがある。」(二、(2)果菜の安定と不安定参照)と主張しており、このような果菜が「底面状態が悪い物品」として共通することは明白である。
次に、被請求人が主張するように、特開昭62-74823号公報(乙第3号証)には果菜について言及されていない。しかしながらこの公報に記載された発明は「底面がしっかりしていない袋物や、形状が一定していない不定形の搬送物体を取り扱う場合には仕分け機構が有効に働かず、仕分けを人手によって行わなければならず、」(第1ページ右下欄第13ないし16行)という課題を解決するためになされており、このうち不定形の搬送物体とは、被謂求人が2回目の意見害(乙第2号証)で「トマトでも西瓜でも大きさや形状は各種ある。」(二、(1)果菜のサイズ参照)と主張したように、トマトや西瓜も含まれるものと思慮する。
以上のことから、甲第2号証や上記特開昭62-74823号公報(乙第3号証)に記載された搬送装置において、分類すべき品物を、底面状態が悪い果菜や、形状が一定していない不定形の果菜とすることは、当業者にとって単に対象とする品物に応じて行う設計変更にすぎず、容易に想到しうるものと思慮する。

(ウ-2)発明特定事項1Dに関する被請求人の主張に対する反論(口頭審理陳述要領書第22ページ第20行ないし第23ページ第24行)

甲第1号証にはベルトコンベヤ3が往復回転するとの記載はなく、また仕切り体に相当する構成は記載されていないものの、甲第2号証や甲第5号証に記載された構成を適宜組み合わせることは当業者にとって容易である。
これら甲第2号証や甲第5号証において、搬送体1や平面支持体の支持ベルト6やベルト4における突起9や分割要素5の搬出方向前方には、物品が蔵置されるようになっており、すなわち当該物品の載置される位置が本件請求項1の発明にかかる「受け部」、すなわち「仕切り体の前方の受け部」に該当することは、その構成上明らかである。
つまり本件特許の仕切り体と甲第2号証の突起9とは、その構成上に差異はなく、また上記突起9は品物Wを後方から押動するという作用・効果を奏するので、本件特許の構成を甲第2号証の構成に置換しても、「後方に位置ずれしたり、倒れたり、転がったりする」という果菜の動きを防止し、「果菜に傷を付けないようにする」こともできると思慮される。
それにも係わらず、被請求人が本件特許の仕切り体のみが上記作用・効果を奏すると主張するのであれば、そのための甲第2号証との構成上の差異を明確にするべきであり、このような構成上の差異が明確でない以上、甲第2号証の突起も同様の作用・効果を奏するものと思慮する。
また被請求人は本件特許が「果菜を正確は計測できる」という効果を奏すると主張しているが、このような作用・効果ならびに技術思想は出願当初明細書には記載されておらず、2回目の意見書(乙第2号証)において「仕切り部材17を位置決め(目印)として果菜を搬送ベルトの上に載せて一列に揃えることもできる」((5)仕切り部材による果菜支持と位置決め目印)と主張しているが、このような作用も当然当初明細書に記載されていない。
つまり本件特許では仕切り部材を位置決め(目印)とするとされているが、目印とするのは果菜を載置する作業者すなわち人であり、作業者が果菜を一列に揃えなければならない。
これに対し甲第2号証においても、搬送体1が循環搬送されて搬入位置に位置すると、支持ベルト6の中間部が搬送方向に一列又は略一列に整列するようになっており、その際当該支持ベルト6に支持された品物Wに対して搬出方向の後方に設けられた突起9も搬送方向に一列又は略一列に整列することは明白である。
そして、上記突起9を目印として作業者が品物を支持ベルト6の中間部に載置すれば、品物が一列に揃い、品物を正確に計測できるという効果が得られることは、当業者であれば容易に推認できるものと思慮する。

(3)組み合わせることについて

(ア)組み合わせることについての根拠(審判請求書第11ページ第2行ないし第12ページ第5行)

まず、甲第2号証では選別する対象として果菜は記載されていないが、甲2Cにおいて品物の一例として「底面状態の悪い物」を挙げている。一方被請求人は上記第1回目の意見書(乙第1号証)(例えば、二、補正の根拠 1-4欄)においてメロンや西瓜の転倒について言及しており、これらメロンや西瓜などの果菜が上記「底面状態の悪い物」に該当することは明白である。
そして甲第2号証には、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送ラインの搬逆方向側方に送り出す物品選別装置が記載されていることから、「底面状態の悪い物」である果菜を選別するために、甲第1号証のベルトコンベヤを甲第2号証の搬送体とすることは、当業者であれば容易であるものと思慮する。
次に、被請求人は平成23年12月5日付の意見書(以下2回目の意見書という)(乙第2号証)において、上記仕切り体について、「仮に、搬送ベルトが急に往回転することにより果菜が後方に位置ずれしたり、倒れたり、転がったりすることがあっても、仕切り部材17で受け止められて安定する。」(「(4)仕切り部材による果菜の受け止め」参照)と述べている。
これに対し甲第2号証には、「…(前略)…この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」(第9ページ第8行ないし第11行参照。)と記載されている。
また被請求人は、「本願発明では、仕切り部材17を、「受け部よりも往回転方向後方に設け」たので、仕切り体17が果菜を載せる際の位置決めの目印にもなる。しかも、仕切り部材17を「受け部よりも上方に突出させた」ので、受部に載せた果菜を確実に支持することができる。」(「(8)仕切り部材17による位置決めと支持」参照。)とも述べている。
これに対し甲第2号証には、「なお、この品物Wの搬入の際には、品物Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止し」(第13ページ第12ないし15行)と記載されている。
以上のように、上記意見書において被請求人が述べた上記仕切り体が解決しようとする課題ならびにその解決手段は、甲第2号証によって公知となっており、当業者であれば上記課題を解決するために甲第1号証および甲第2号証の構成を組み合わせて本件特許発明1を容易に想到することができる。

(イ)被請求人の答弁書に対する反論(口頭審理陳述要領書第11ページ第14行ないし第12ページ第20行)

審判請求書でも主張したように、甲第1号証にはべルトコンベヤ3が往復回転するとの記載はないが、甲第1号証のベルトコンベア3を、往復回転式のものに置換することについて動機付けが得られないとする被請求人の主張には承服できない。
まず、甲第1号証ではベルトコンベヤ3に果菜を載置して搬送するようになっており(甲1E参照)、このベルトコンベヤ3を回転させて果菜を走行体1の側方に降ろす(甲1B参照)構成を有している。
また甲第2号証には「この品物Wの搬出の際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止する」(第14ページ第7ないし10行)と記載されている。
つまり甲第2号証には、突起9が品物Wをその後方から押すことが記載されており、被請求人が2回目の意見書(乙第2号証)で主張した「果菜が仕切り部材17によって押されるため、果菜引受け体への果菜の乗り移りが容易かつ確実になる」と同様の作用・効果が記載されている。
後述するように、本件特許発明1における仕切り部材17がどのような構成に基づいて「果菜に傷をつけない」という作用・効果を得るのか不明確である以上、同様の構成を有する甲第2号証の構成からも同様の作用・効果が得られるのは、当業者であれば容易に推認できるものといえる。
このような解釈は、上記被請求人が上記2回目の意見書(乙第2号証)で主張した仕切り部材17の奏する作用・効果が出願当初明細書に記載されていなかったことを鑑みれば、十分に可能であると思慮する。
以上のことから、当業者であれば甲第2号証における搬送体1の突起9が有する効果を得ようとの動機に基づき、甲第1号証のベルトコンベヤ3を当該搬送体1へと置換することは容易であると思慮する。
そして上記甲第1号証のベルトコンベヤ3を甲第2号証の搬送体1に置換した結果、ベルトコンベヤ3が往復回転式の支持ベルト6となることも当業者にとって容易であると思慮する。
次に、甲第5号証には、上記分割要素5が品物を押圧もしくは支持するとの記載はないが、上記被請求人による上記2回目の意見書(乙第2号証)での主張を鑑みれば、上記分割要素5が本件発明の仕切り部材17と同様の効果を奏することは、当業者であれば容易に推論できるものと思慮する。
以上のことから、上記分割要素5の効果を得ようとの動機に基づき、上記甲第1号証におけるベルトコンベヤ3を、甲第5号証における平面支持体に置換することは、当業者にとって容易であり、また置換した結果甲第1号証におけるベルトコンベヤ3が往復回転式のベルト4となることも容易であると思慮する。

2-2-2.本件特許発明2について(審判請求書第12ページ第7ないし18行)

本件特許発明2は上記本件特許発明1に従属しており、上記本件特許発明2の発明特定事項1Aないし1Eの全てを含むとともに、本件特許発明2の発明特定事項2A、すなわち搬送ベルトの受け部が果菜を載せることのできる受け部材を備えている。
このような発明特定事項2Aは、上記甲第3号証の甲3Aに記載されたリング状の座20からなる野菜保持部6として公知である。
但し上記甲第3号証には、本件特許発明1の発明特定事項1Aのような、「果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬逆方向側方に送り出す」構成は記載されていない。
しかしながら、上記甲第1号証および上記甲第3号証は、それぞれ果菜を搬送する搬送手段に関するものであり、当業者であれば、搬送する果菜が不安定である場合に、甲第1号証のベルトコンベヤに甲第3号証の野菜保持部を採用することは当業者にとって容易であり、本件特許発明2を容易に想到することができる。

2-2-3.本件特許発明3について

(1)本件特許発明3と甲第1号証に記載された発明との対比(審判請求書第12ページ第21行ないし第13ページ5行)

まず、本件特許発明3の発明特定事項3Aは、上述した本件特許発明1の発明特定事項1Aと同様、甲第1号証の甲1Aないし甲1D、甲1Fに記載されている。
発明特定事項3Bは、本件特許発明1又は本件特許発明2に基づいており、このうち本件特許発明1の発明特定事項1Aないし1Eのうち、発明特定事項1Aないし1Cについては、上述したように甲第1号証に記載されている。
発明特定事項3Cは、甲第1号証の甲1Gに記載されている。図1には走行体1に沿って設けられた多数のベルトコンベア3の略中央にそれぞれ果菜2が載せられ、これにより果菜2が搬送方向に一列又は略一列に並べられて搬送されている。
しかしながら甲第1号証には、発明特定事項3Bにおける本件特許発明1の発明特定事項1Dおよび発明特定事項1Eと、本件特許発明2の発明特定事項2Aとが記載されておらず、さらに発明特定事項3Dが記載されていない。

(2)相違点についての判断

(ア)発明特定事項3Dは甲2D及び甲5B並びに甲6Aに記載されていることについて(審判請求書第13ページ第7行ないし第14ページ第8行)

まず、本件特許発明3の発明特定事項3Bのうち、本件特許発明1に基づく発明特定事項1Dおよび発明特定事項1Eは、上述したように甲第2号証の甲2Bおよび甲2Dに記載され、本件特許発明2に基づく発明特定事項2Aも、甲第3号証の甲3Aに記載されている。
次に発明特定事項3Dは、甲第2号証の甲2Dに実質的に記載されている。
上述したように、甲第2号証の甲2Dでは、図2(A)に示す搬送体1の支持ベルト6の中間部に品物Wを支持した状態から(B)または(C)に示すように支持ベルト6を右側または左側に往回転させて品物Wを搬出しているが、品物Wの搬送中は2つの突起9を支持ベルト6上面の両端に位置させて、各突起9がストッパとして機能することが記載されていることから、その後当然この支持ベルト6を再び(A)の状態に復帰させて、品物Wを載置可能な状態としていることは明白である。
そして搬送体1が品物Wの供給される位置に到達した際には、搬送方向に整列した搬送体1の2つの突起9は搬送方向に一列又は略一列に整列し、その結果として2つの突起9の間に位置する品物Wの蔵置部分も搬送方向に一列又は略一列に並ぶことは明白である。
このような事項は当業者であれば甲第2号証の記載から容易に理解できるものであるので、甲第2号証には上記発明特定事項3Dが実質的に記載されている。
そして、甲第1号証および甲第2号証には、それぞれ物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬逆方向側方に送り出す物品選別装置が記載されているので、当業者であれば甲第1号証および甲第2号証から、本件特許発明3のうち本件特許発明1に基づく部分を容易に想到することができる。
また、上述したように甲第1号証および甲第2号証を組み合わせた構成にさらに甲第3号証の野菜保持部を採用することは当業者にとって容易であり、本件特許発明3のうち本件特許発明2に基づく部分を容易に想到することができる。
なお発明特定事項3Dのような、送り出した前記搬送ベルトが、送り出し後の搬送方向への移動中に、前記受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転する構成は、甲第6号証の甲6Aにも記載されており、また上記甲第5号証の甲5Bにも実質的に記載されているものと言える。

(イ)搬送ベルトは「戻り回転」する点及び「戻り回転」させて「受け部」は元の位置に戻される点

(イ-1)甲第2号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第8ページ第16行ないし第10ページ第4行)

上記甲第2号証には、「この搬送装置では、無端状の搬送路2を構成する上記走行レール15,16に、多数の搬送体1が、それぞれ、その車輪13, 14を介して移動自在に支持され、この搬送路2上で多数の搬送体1がリンク12を介して無端状に軸着連結され、…(中略)・・・搬送路2上の多数の搬送体1が全体的に循環移動するようになっている。」(第12ページ第13行ないし第13ページ3行)、「搬送路2の適所に設けられた搬入位置において、移動する搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部に品物Wを搬入し、」(第13ページ第4ないし6行)、「搬出仕分け位置において、搬出仕分けを行う品物Wを載せた搬送体1が到着した場合には、切換えガイド34等からなる作動手段により、移動枠3を移動して搬送体1の支持ベルト6を駆動し、支持ベルト6上の品物Wを搬送路2の側方に搬出する。」(第14ページ第1ないし6行)と記載されている。つまり、甲第2号証において、搬送体1は走行レール15, 16に沿って搬入位置と搬出仕分け位置とで循環移動するように構成され、搬出仕分け位置で品物Wを搬出した搬送体1は再度搬入位置へと移動するようになっている。
また上記記載によれば、搬入位置では甲第2号証の図2(A)のように「支持ベルト6の中間部に品物Wを搬入」するようになっており、支持ベルト6の中間部が上部に位置するようになっている。
そして搬送体1が搬出仕分け位置まで移動し、例えば図2(B)のように品物Wを図示右方に排出する場合、移動枠3は図示左方に往動して支持ベルト6が図示右方に「往回転」し、これにより支持ベルト6の中間部が図示右方に移動し、品物Wが搬送路2の図示右方へと搬出されることとなる。
そして品物Wの搬出後、搬送体1が再度搬入位置に移動する際には、支持ベルト6の中間部を上部に位置させて、品物Wを載置可能な図2(A)の状態へと復帰させる必要がある。
上述したように、搬送体1が(B)の状態から(A)の状態に復帰し、支持ベルト6の中間部が「元の位置に戻る」ためには、移動枠3を復動させて支持ベルト6を「戻り回転」させなければならず、また支持ベルト6が戻り回転した結果、上記支持ベルト6の中間部が上部に位置し、「元の位置」に戻ることとなる。
そして支持ベルト6の中間部が上部に位置した状態で、上記搬送体1がその移動方向に整列した場合には、上記支持ベルト6の中間部が一列に整列することは、当業者であれば甲第2号証の記載から当然に把握することが可能であると思慮される。
以上のことから、発明特定事項3D及び6Cにおける、搬送ベルトが「戻り回転」する点及び「戻り回転」させて「受け部」は元の位置に戻されるという構成は、甲第2号証に記載されており、もしくは甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に把握することができるものといえる。
なお甲第2号証の図1の構成、すなわち品物Wを一方に搬出する構成であっても、搬出仕分け位置において品物Wを搬出した状態から再度搬入位置に位置する際には、支持ベルト6の中間部で品物Wを支持するために、支持ベルト6が「戻り回転」して当該支持ベルト6の中間部が「元の位置に戻る」ことも明白である。
最後に、請求人が請求書において記載した「発明特定事項3D、6Cは甲第2号証の甲2Dに実質的に記載されている。」における「実質的」とは、当業者であれば甲第2号証に記載されているのと同然の構成として認識できるという程度の意味である。

(イ-2)甲第5号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第10ページ第6ないし21行)

甲第5号証には、上述したように「平面支持体に荷が積まれるとき、分割要素5は、フレーム1の外側の付近にある。」という記載、ならびに「分割要素5がフレーム1の反対側に達するまでベルト4を摺動させることによって荷降ろしを行う。」という記載がある。
上述したように、駆動要素7は往復だけが許容されているので、一度荷降ろしを行って、分割要素5が「フレーム1の反側則に達するまで」べルト4を回転させたら、再度荷が積まれるために分割要素5が「フレーム1の外側の付近」に位置するまで、ベルト4を「戻り回転」させる必要がある。
上記物品は、分割要素5が「フレーム1の外側の付近」に位置した状態で載置されるので、ベルト4が物品を排出して「往回転」し、その後ベルト4が「戻り回転」して分割要素5が「フレーム1の外側の付近」に位置した状態へと復帰すれば、上記物品を載置した位置も「元の位置に戻る」こととなる。
以上のことから、発明特定事項3D及び6Cにおける、搬送ベルトが「戻り回転」する点及び「戻り回転」させて「受け部」は元の位置に戻されるという構成は、甲第5号証に記載されており、もしくは甲第5号証の記載に基づいて当業者が容易に把握することができるものといえる。

(ウ)甲6A及び甲5Bには「受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記住回転と逆方向に戻り回転させる」構成が記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第14ページ第20行ないし第15ページ第28行)

まず甲第6号証は、上記甲第2号証と同一の出願人によってなされたものであり、甲第6号証に記載された搬送体1も、甲第2号証に記載された搬送体1と同様、上記移動枠3は往復動のみが許容され、この移動枠3に固定されたベルト6は往回転および復回転する構成を有している(甲6A参照)。
さらに甲第6号証には「なお、上記搬出キャンセル位置23の下流側には、搬出キャンセル位置23から上記搬入位置21に移動する上記搬送体1の移動枠3下部のコロ7を搬送路2の両側部から搬送路2の中央部に移動させる固定式の切換えレール47が設けられており、」(第5ページ左下欄第15ないし19行)と記載されている。
すなわち甲第6号証には、移動枠3が搬出仕分け位置においていずれかの側方に移動して品物Wを搬出したら、搬入位置に移動するまでの間に、上記移動枠3が切換えレール47によって中央に戻されるようになっている。
品物Wは支持ベルト6の中間部で支持されることから、搬送体1が搬入位置に移動して移動枠が中央に戻ると、当該支持ベルト6の中間部が上部に位置するように当該支持ベルトが復回転し、その結果、搬送体1がその移動方向に整列すれば、支持ベルト6の中間部が一列又は略一列に並ぶこととなる。
このような解釈は、被請求人が上記1回目の意見書(乙第1号証)に添付した手続補正書(乙第6号証)において「受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように」との構成を請求項3に追加した経緯に基づけば、当該構成が当業者にとって甲第6号証に記載されているのと同然であると思慮する。
次に甲第5号証では、上述したように上記ベルト4が住回転と戻り回転とをするとともに、分割部材5がこれに伴って移動する構成を有しており、上記ベルト4が往回転して物品を荷降ろしした後には、再度物品を積むことが可能となる状態となるためにベルトが復回転する。
上記平面支持体における物品を積む状態とは「分割要素5がフレーム1の外側の付近」に位置した状態であり、このとき物品は分割要素5の内側に隣接した部分に載置されることとなる。
従って、平面支持体が物品を積む位置に移動し、これが搬送方向に整列すれば、ベルト4における分割要素5の内側に隣接した部分、すなわち物品を載置する部分が搬送方向に一列又は略一列に並ぶこととなる。
このような解釈も、上記本件特許発明3にかかる出願経過を鑑みれば、当業者にとって甲第5号証に記載されているのと同然であると思慮する。
以上のことから、本件特許発明3にかかる「受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記住回転と逆方向に戻り回転させる」構成は、甲第6、第5号証に記載され、もしくは当業者にとって記載されているのと同然であるといえる。

2-2-4.本件特許発明4について(審判請求書第14ページ第10ないし27行)

本件特許発明4は上記本件特許発明3に従属しており、上記本件特許発明3にかかる発明特定事項3Aないし3Dに加えて、本件特許発明4にかかる発明特定事項4A、すなわち複数の果菜引受け体が果菜搬逆方向側方に配置されるとともに搬送方向に間隔をあげて配置された構成を備えている。
これに対し、上記甲第1号証の甲1Cには、搬送路5に沿ってその片側に設けられるとともに仕切り板9で複数に区分けされた果菜選別籠11が記載されているが、搬送方向に間隔をあけて配置された構成とはなっておらず、発明特定事項4Aは記載されていない。
しかしながら、上記発明特定事項4Aの果菜引受け体は、甲第4号証の甲4Aに記載されている。
つまり甲4Aでは、果菜選別装置の主搬送体2の側方にそれぞれ間隔をあけて複数の仲介搬送体3および副搬送体4が設けられており、上記副搬送体4に果菜がプールされるようになっている。
そして上記甲第1号証および甲第4号証はそれぞれ果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す点で共通しており、甲第1号証における仕切り板によって区画された果菜選別籠11に代えて、甲第4号証の甲4Aに記載された仲介搬送体3および副搬送体4とすることは、当業者であれば容易に想到することができる。

2-2-5.本件特許発明5について

(1)発明特定事項5Aは甲4Bに記載されていることについて(審判請求書第15ページ第2ないし15行)

本件特許発明5は上記本件特許発明4に従属しており、上記本件特許発明4にかかる発明特定事項3Aないし3Dおよび発明特定事項4Aに加えて、本件特許発明5にかかる発明特定事項5A、すなわち果菜引受け体は果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールする構成を備えている。
上記発明特定事項5Aにおける果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転する果菜引受け体は、甲第4号証の甲4Bに記載されている。
つまり甲4Bでは、副搬送体4は仲介搬送体3から果菜が送り出される度に回転して、仲介搬送体3から送り出される果菜をプールするようになっている。
そして、上記甲第1号証および甲第4号証はそれぞれ果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬逆方向側方に送り出す点で共通していることから、甲第1号証における仕切り板によって区画された果菜選別籠11を、甲第4号証に記載されたそれぞれ間隔をあけて設けた仲介搬送体3および副搬送体4とし、上記動作をさせることは、当業者であれば容易に想到することができる。

(2)「果菜載せ体から果菜が送り出される度に」の点(口頭審理陳述要領書第24ページ第11ないし17行)

甲第4号証には、甲4Bに記載した通り、「当該副搬送体4は仲介搬送体3から送り込まれる度に1ストロークずつ作動して、仲介搬送り込まれた所定数の果菜1を一まとまりとして図2の矢印B方向に間欠的に搬送することである」と記載されている。なお、被請求人による「所定数」の記載が抜けているとの指摘については請求人の誤りであった。
まず甲第4号証において、上記「所定数」が複数であるとは限定されていない。すなわち上記甲第4号証には「仲介搬送体3が1つの果菜を送り込むたびに1ストロークずつ作動する」という構成が記載されているものと思慮する。

(3)発明特定事項5Aに関する被請求人の主張に対する反論(口頭審理陳述要領書第26ページ第8ないし20行及び第26ページ第26行ないし第27ページ第2行)

まず選別された果菜の排出先を選別籠として人手で作業を行うか、コンベアとしてその後の作業を自動化するかは、選果場の規模及び処理量等により決められる設計的事項に過ぎないものである。
甲第4号証では、図4に示される受台Cを図5に示されるコンベアEに置き換えることが記載されており(甲第4号証の段落【0005】ないし【0007欄参照)、甲第1号証の果菜選別籠11を、コンベヤによって構成される甲第4号証の仲介搬送体3や副搬送体4に置き代えることは、甲第4号証に示唆されているものと思慮する。
また、上述したように、本件発明の果菜載せ体に隣接した位置に甲第4号証の上記副搬送体4を設けて「果菜載せ体が1つの果菜を送り込むたびに1ストロークずつ作動」させることは、当業者であれば容易に想到し得るものと思慮する。
ここで、被請求人は答弁書において「副搬送体4に後から送られる果菜が、先に送られて副搬送体4にたまっている果菜に押し当たって(追突して)果菜に押し傷がついてしまう恐れがある。」と主張している。
・・・(撤回)・・・
また、本件明細書には「特開2001-130741(すなわち甲第4号証)の果菜選別装置における果菜送り出し機構」を採用することができる(段落【0018】参照)と記載されているが、その場合、当然果菜の追突による押し傷付きの発生の防止が考慮されると思慮され、その結果請求項5に記載された動作が行われることは当業者にとって容易であると思慮する。

2-2-6.本件特許発明6について

(1)本件特許発明6と甲第1号証に記載された発明との対比(審判請求書第15ページ第17ないし23行)

本件特許発明6の発明特定事項6Aは、上述した本件特許発明1の発明特定事項1Aと同様、甲第1号証の甲1Aないし甲1D、甲1Fに記載されている。
発明特定事項6Bは甲第1号証の甲1Gに記載されている。甲1Gの図1には走行体1に沿って設けられた多数のベルトコンベア3の略中央にそれぞれ果菜2が載せられ、これにより果菜2が搬送方向に一列又は略一列に並べられて搬送されている。
しかしながら、甲第1号証には発明特定事項6Cが記載されていない。

(2)相違点についての判断

(ア)発明特定事項6Cは甲2Dに記載されていることについて(審判請求書第15ページ第24行ないし第16ページ第7行)

上記発明特定事項6Cは、上記本件特許発明3の発明特定事項3Dと同様、甲第2号証の甲2Dに実質的に記載されている。
上述したように、甲第2号証の甲2Dには、図2(A)に示す搬送体1の支持ベルト6の中間部に品物Wを支持した状態から、(B)または(C)に示すように支持ベルト6を右側または左側に往回転させて品物Wを搬出し、この支持ベルトWを再び(A)の状態に復帰させることについての実質的な記載がある。
そして、上述したように甲第1号証および甲第2号証には、それぞれ物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置が記載されており、当業者であれば甲第1号証および甲第2号証から、本件特許発明6を容易に想到することができる。

(イ)搬送ベルトは「戻り回転」する点及び「戻り回転」させて「受け部」は元の位置に戻される点

(イ-1)甲第2号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第8ページ第16行ないし第10ページ第4行)

上記2-2-3.(2)(イ)(イ-1)と同じ。

(イ-2)甲第5号証に記載されていることについて(口頭審理陳述要領書第10ページ第6ないし21行)

上記2-2-3.(2)(イ)(イ-2)と同じ。

(ウ)発明特定事項6Cは甲第2号証に記載されていない旨の被請求人の主張に対する反論(口頭審理陳述要領書第18ページ第15行ないし第19ページ第21行)

次に、甲第2号証の搬送体1は、上述したように搬出仕分け位置において品物1を搬出した後、再度搬入位置において品物を支持ベルト6の中間部で支持するようになっている。
そもそも、物品を分類する分類装置において、品物を搬出した搬送体が、その後再度物品を支持可能な状態に復帰することは当業者にとって当然の事項であると思慮する。
仮に、被請求人が指摘したように搬送体1が(B)の状態となって品物Wを完全に右側に搬出したまま、その後いかなる動作も行わないとすれば、その搬送体1には再度品物を載置することができないこととなり、上記被請求人の解釈が失当であることは明白である。
特に甲第2号証の移動枠3は往復動のみが許容されており、搬出仕分け位置において移動枠3が往動して支持ベルト6を往回転させた後は、移動枠3が復動して支持ベルト6を復回転させざるを得ず、搬入位置では支持ベルト6の中間部で品物Wを支持するようになっているので、当該中間部を上部に位置させる必要があることも明白でる。
甲第2号証の図2の構成では、支持ベルト9の中間部に載置された品物Wの落下をその両側部に位置した突起9により防止することから、上記搬入位置において、上記支持ベルト6の中間部の両側部に突起9が位置しなければならない。
そして、搬送体は上述したように無端状の搬送路2に沿って複数整列した状態で移動することから搬送方向に一列又は略一列に整列することは、当業者にとって甲第2号証に記載されているも同然であると思慮する。
以上のことから、甲第2号証には図2(A)の状態から(B)の品物Wを完全に右側に搬出する状態か、もしくは(C)の品物Wを完全に左側に搬出することだけが開示されているのではなく、(B)または(C)の品物Wを搬出した状態から(A)の状態に復帰することも開示されているものといえる。
これと同様、甲2Dの前記戻りの動作は、品物を左右に搬出するだけでなく、品物を搬入位置において搬入可能な状態に復帰させる動作も含むことは、当業者にとって当然であると思慮する。
なお、品物Wを正確に分類するには、例えば甲第1号証の図1にあるように当該品物を一列又は略一列に整列した状態で検査装置を通過させるべきであることは当業者にとって当然のことであり、仮に甲第1号証のベルトコンベヤ3を甲第2号証の搬送体1へと置換した場合には、品物Wを正確に計測するために支持ベルト6の中間部を搬送方向に一列又は略-列に整列させることは、当業者にとって当然であると思慮する。

(3)組み合わせることについて(口頭審理陳述要領書第16ページ第10行ないし第17ページ第7行)

甲第2号証には、品物として「小物、ばら物、軽量物、薄物、底面状態の悪い物」(審判請求書甲2C参照)が例示されているが、その物晶が傷つきやすいか否かについて記載されていない。しかしながら、それを「果菜のような傷付きやすい品物を搬送することを想定(配慮)していない」と認識するには無理があると思慮する。
また被請求人は答弁書において「品物Wは、搬送、搬入時において、支持ベルト6上をスリップ等して動き回り、突起9にぶつかって止まらなければ、搬送時の遠心力等によって搬送路2の側方に落ちたり、搬送体1への搬入時に、移動方向前方に搬送体から飛び出したりするような手荒な扱いがなされることが前提となっている。」(第8ページ第9ないし13行)と主張している。
しかしながら、甲第2号証には品物Wに傷がついてしまうことを許容する記載も示唆もなく、搬送中に品物に傷がついてしまえばその商品価値がなくなることは一般常識であって、あえて傷つきを許容するような設計を行うことは当業者にとって非合理的かつ不自然であると思慮し、甲第2号証の搬送装置による果菜の搬送を妨げるような記載はないものと思慮する。
一方、被請求人は2回目の意見書(乙第2号証)で「底が扁平な果菜は安定しやすいが球状の果菜は不安定である。…(中略)…このため果菜は往回転始動時の反動で後方に位置ずれしたり、倒れたり、転がったりすることがある。」(二、(2)果菜の安定と不安定参照)と主張しており、果菜にはこのような底面状態が悪いものがあるとしている。
これに対し甲第2号証には搬送する品物Wとして「底面状態の悪いもの」の例示があり、かつ、突起9は「品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止する」効果を有しており、当該突起9を上記意見害に記載されたような「往回転始動時の反動で後方に位置ずれしたり、倒れたり、転がったりすることがある」果菜を搬出するために用いることは、当業者にとって容易であると思慮する。

2-2-7.本件特許発明7について(審判請求書第16ページ第16ないし23行)

本件特許発明7は上記本件特許発明6に従属しており、上記本件特許発明6にかかる発明特定事項6Aないし6Cに加えて、本件特許発明7にかかる発明特定事項7A、すなわち果菜を、果菜搬送ラインの搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の果菜引受け体にプールする構成を備えている。
この発明特定事項7Aの果菜引受け体は、上記本件特許発明4の発明特定事項4Aと同様、甲第4号証の甲4Aに記載されており、本件特許発明7は、当業者であれば甲第1号証、甲第2号証および甲第4号証の記載から容易に想到することができる。

2-2-8.本件特許発明8について

(1)発明特定事項8Aは甲4Bに記載されていることについて(審判請求書第16ページ第25行ないし第17ページ第6行)

本件特許発明8は上記本件特許発明7に従属しており、上記本件特許発明7にかかる発明特定事項6Aないし6Cおよび発明特定事項7Aに加えて、本件特許発明8にかかる発明特定事項8A、すなわち果菜載せ体から果菜が送り出される度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせる構成を備えている。
しかしながら、この発明特定事項8Aのような果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転する果菜引受け体は、上記本件特許発明5の発明特定事項5Aと同様、甲第4号証の甲4B(審判請求書の「甲4A」は「甲4B」の明らかな誤記と認める。)に記載されており、本件特許発明8は、当業者であれば甲第1号証、甲第2号証および甲第4号証の記載から容易に想到することができる。

(2)「果菜載せ体から果菜が送り出される度に」の点(口頭審理陳述要領書第24ページ第11ないし17行)

上記2-2-5.(2)と同じ。

(3)発明特定事項8Aに関する被請求人の主張に対する反論(口頭審理陳述要領書第27ページ第14行ないし第28ページ第2行)

まず、甲第1号証の果菜選別籠11は固定式であり、また甲第2号証には本件特許発明8にかかる果菜引受け体に相当するものは開示されていないが、甲第1号証や甲第2号証のようなコンベヤを回転させて物品を搬送方向の側方へと搬出する搬送装置の分野において、当該物品を甲第4号証の構成を用いてプールすることは、当業者にとって容易であるものと思慮する。
上述したように、甲第4号証には「仲介搬送体3が1つの果菜を送り込むたびに1ストロークずつ作動する」という構成が記載されており、当業者であれば、果菜を効率よく搬送するという同じ目的のために上記果菜載せ体の下流側に副搬送体4を設けて、果菜載せ体から果菜が送り出される度に副搬送体4を1ストロークずつ作動させ、この副搬送体4に果菜をプールする構成とすれば、本件請求項8発明の発明特定事項8Aが得られることは当業者にとって容易であると思慮する。
また上述したように、本件明細書には甲第4号証の構成を採用できると記載されており、その際果菜の追突による押し傷付きの発生の防止が考慮されるものと思慮することから、その結果請求項8に記載された動作が行われることは当業者にとって容易であると思慮する。


2-3.被請求人の第2回上申書の主張に対する反論(第1回上申書第2ページ第4行ないし第4ページ第18行)

(1)まず被請求人は第2回上申書において、本件特許発明3ないし5について「果菜搬送中のみならず、側方への送り出し中も、「仕切り体」で果菜を支持して果菜の位置ずれや転倒を防止することができるため、果菜を傷付きにくくするという効果も有する。」(第2回上申書第3ページ第21ないし23行)と主張している。
しかしながら出願当初明細書には、仕切り体がこのような果菜の位置ずれや転倒を防止するとは記載されておらず、仮に搬送中の果菜が仕切り体の前方など他の方向に位置ずれ等をした場合、上記仕切り体ではこれを防止することはできない。なお果菜の揺れや転がりの防止について、出願当初明細書には受皿状の受け部材13が記載されている(段落番号【0021】)。

(2)次に被請求人は本件特許発明6ないし8について、「本件特許発明6ないし8の「受け部」は果菜を一列又は略一列に並べやすくするものである。この「受け部」は果菜を乗せる作業者が認識できように特定されていれば足りる。通常、搬送ベルトはその搬送ベルトの往復回転方向の略中央部(以下、「中央部」という。)が計測センサの下を通るように設計されるため、そのような場合は、中央部を「受け部」としておき、果菜を載せる作業者が当該中央部を「受け部」と認識できるようになっていれば、その中央部、すなわち受け部に果菜を載せることにより、果菜を一列又は略一列に揃えて搬送することができるようになる。したがって、例えば、搬送ベルトの所定の箇所に目印を表示し、果菜を載せる作業者がその目印を基準に「受け部」を認識できるようにして、果菜を受け部に載せられるようになっていてもよい。」(第2回上申書第4ページ第17ないし27行)と主張している。
しかしながら、本件発明にかかる出願当初明細書には、「「受け部」が果菜を乗せる作業者が認識できように特定されている」ことも、「搬送ベルトはその搬送ベルトの往復回転方向の略中央部(以下、「中央部」という。)が計測センサの下を通るように設計される」ことも、「中央部を「受け部」と」することも記載されていない。
そのうえ被請求人は「果菜を載せる作業者が当該中央部を「受け部」と認識できるようになっていれば」と主張しているが、そのためには本件特許発明6に何らかの識別可能な構成が必要となる。
しかしながら、このような識別可能な構成は本件特許発明6の発明特定事項とはなっていない。つまり、当該構成のない本件特許発明6では、作業者が「受け部」の位置を認識できず、果菜を一列又は略一列に揃えることができないこととなるので、上記被請求人が主張した作用・効果が得られないことは明白である。
なお、出願当初明細書にも、上記識別可能な構成についての記載はなく、また「搬送ベルトの所定の箇所に目印を表示」することに関する記載も示唆もない。
また被請求人は本件特許発明6ないし8について、「更に、搬送ベルトが往復回転式であることから、少なくとも、受け皿の横転により果菜を落下させて果菜を側方に送り出す従来の横転式の方法に比して、果菜が傷付きにくいという効果も有する。」(第2回上申書第5ページ第12ないし14行)とも主張している。
しかしながら本件特許発明1ないし5と異なり、「仕切り体」を備えない本件特許発明6ないし8の構成では、果菜の位置ずれや転倒を防止することができず、搬送ベルトが往復動することで果菜が傷つきにくいという効果が得られるのかが不明である。つまり従来の横転式の方法に比した場合において、甲1号証のような往復回転しないベルトコンベヤであっても上記効果が得られるものと思慮する。
そして、今般の被請求人による本件特許発明6ないし8についての主張は、口頭審理並びに第2回上申書において初めてなされたものであり、本件における審査過程および本件審判手続では主張されておらず、また出願当初明細書にも記載されていなかった。

(3)このように、被請求人は本件における審査過程および本件審判手続において、出願当初明細書に記載されていない作用・効果を主張し続けている。
例えば口頭審理において、被請求人は受け部は仕切り体の前方であるが搬送ベルトの前方の全域ではない旨主張し、一方では果菜を載せたところが受け部であるとも主張している。
なお当該主張に基づくと、受け部が搬送ベルト上の何処であるかを客観的に把握することができず、果菜を搬送ベルト上に仕切り体よりも前方となる位置にランダムに載せても、各果菜が載っている箇所が受け部に該当すると解釈することも可能である。この状態では、各果菜はそれぞれ受け部に載せられるものの、当該受け部は一列又は略一列には整列していないこととなり、被請求人が主張してきた作用・効果とは矛盾する。
いずれにしても、被請求人が第2回上申書や口頭審理で主張した作用・効果は、出願当初明細書には記載されていない。このように出願当初明細書に記載されていない作用・効果を出願後に主張することは、先願主義を採用し、発明の開示の代償として特許権を付与するという特許制度の趣旨に反するものであり、認められるべきではない。
そして、上記作用・効果が認められない本件特許発明1ないし8は、審判請求書において主張したように甲第1号証ないし甲第6号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもので、無効とされるべきである。


2-4.むすび

以上のとおり、本件特許発明1ないし8は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、したがってその特許は同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。



第4 被請求人の主張の概要

1.被請求人の主張の全体概要及び証拠方法

被請求人は、答弁書とともに下記の乙第1号証ないし乙第4号証を証拠方法として提出するとともに口頭審理陳述要領書とともに乙第5号証ないし乙第11号証を提出した。その後、平成24年11月28日に行った第1回口頭審理において乙第8号証ないし乙第11号証については参考資料(以下、それぞれ「参考資料1」ないし「参考資料4」という。)とする旨を陳述した。
そして、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」との主張をするとともに、請求人の主張する無効理由に対して以下の2.のように主張している。

<証拠方法>
乙第1号証 :平成23年5月30日提出の意見書(1回目の意見書)
乙第2号証 :平成23年12月5日提出の意見書(2回目の意見書)
乙第3号証 :特開昭62-74823号公報
乙第4号証 :平成23年9月29日起案の拒絶理由通知書
乙第5号証 :平成23年3月22日起案の拒絶理由通知書1(1回目の 拒絶理由通知書)
乙第6号証 :平成23年5月30日提出の手続補正書1(1回目の手続 補正書)
乙第7号証 :平成23年12月5日提出の手統補正書2(2回目の手統 補正書)

<参考資料>
参考資料1(乙第8号証) :ピアノ鍵盤方式(PK方式)の写真
参考資料2(乙第9号証) :横転方式の写真及び図
参考資料3(乙第10号証):フリートレー方式の写真
参考資料4(乙第11号証):トマトの写真

2.被請求人の答弁の概要

2-1.本件特許発明1について

2-1-1.本件特許発明1と甲1発明1との対比に対する答弁

(1)答弁書第4ページ第1行ないし第5ページ第9行の記載

(ア)請求人は、「ここで、甲第1号証の甲1Eには、ベルトコンベヤ3が往復回転するとの記載はないが、ベルトコンベヤ3を駆動するモータを正逆に回転させれば、往復回転させることが可能であることは容易に理解できる。」と主張する(審判請求書第9ページ第20ないし22行)。

(イ)しかしながら、そもそも、甲第1号証に記載された発明は、甲1の図1に示されている果菜選別籠11が固定式のトレー状であって回転式のコンベアではないことから、ベルトコンベア3から果菜選別籠11に果菜を確実に送り込む上で、ベルトコンベア3の回転が途中で止まり、その後、逆回転する(往復回転する)構成となっているよりも、一方方向(果菜の送り出し方向)のみの回転を連続する(循環回転する)構成となっている方が適しているものである。むしろ、ベルトコンベア3の回転を途中で止め、その後逆回転させて戻したのでは、果菜選別籠11への送り出しが不十分になるおそれもある。したがって、甲第1号証に記載された発明にはベルトコンベア3を、往復回転式のものに置き換える動機付けはない。
また、本件特許発明1において、搬送ベルトを往回転させるのは搬送ベルトに載せた果菜を側方に送り出すためであり、復回転させるのは搬送ベルトより上方に突出させた仕切り体が搬送ベルトの回転の邪魔にならないようにすると共に、搬送ベルトとその側方に配置する果菜引受け体との間の隙間を狭くして小さな果菜を果菜引受け体にスムースに送り出すことができるようにする(傷付かないようにする)ためである。そしてまた、果菜送り出し後の搬送ベルトの「仕切り体及びその前方の受け部」を、次に果菜を載せる前に元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の「仕切り体及び受け部」を一列に揃え、その受け部に果菜を載せると、多数の果菜載せ体に載せた果菜が一列に揃うようにするためである。
これに対して、甲第1号証に記載された発明のベルトコンベア3は、本件特許発明1の「仕切り体及び受け部」に相当するものがないため、甲第1号証に記載された発明のベルトコンベア3を往復回転させる必要性が存在しない。したがって、この点からも、甲第1号証に記載された発明のベルトコンベア3を往復回転式のものに置き換える動機付けはない。

(ウ)そして、仮に甲第1号証に記載された発明のベルトコンベア3を単に往復回転させたとしても、それは、本件特許発明1のように、果菜送り出し後に「仕切り体及び受け部」を元の位置に戻して一列に整列させて、次に載せる果菜を一列に揃えるための往復回転ではない。
本件特許発明1の往復回転は、搬送ベルトと果菜引受け体の間の隙間を狭くして果菜を搬送ベルトから果菜引受け体にスムースに送り出せるようにしても仕切り体が邪魔にならず、果菜送り出し後の搬送ベルトの仕切り体及びその前方の受け部を、次に果菜を載せる前に元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の仕切り体及び受け部を一列に揃えて、その受け部に果菜を載せると、多数の果菜載せ体に載せた果菜が一列に揃うようにするためである。甲第1号証に記載された発明のモータを正逆回転させただけでは前記効果は得られない。
よって、被請求人は、請求人の前記主張を否認する。

(2)答弁書第5ページ第11行ないし第6ページ第1行の記載

(ア)請求人は、「なお後述するように、往復回転する搬送ベルトは甲2Dに記載されている。」とも主張する(審判請求書第9ページ第22及び23行)。

(イ)しかし、甲2Dの記載は「第2図の(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部(2か所の突起9の間)に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から(B)に示すように移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると品物Wを完全に右側に搬出することができ、逆に、(A)に示す状態から(C)に示すように移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができ、」である。すなわち、甲2Dの復回転は品物Wを左右に搬出するためであり、本件特許発明1の往復回転のように、搬送ベルトと果菜引受け体の間の隙間を狭くして果菜をスムースに送り出せるようにしても、仕切り体が邪魔にならないようにするためでも、果菜送り出し後の搬送ベルトの「仕切り体及びその前方の受け部」を、次に果菜を載せる前に元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の「仕切り体及び受け部」を一列に揃えて、その受け部に果菜を載せると、多数の果菜載せ体にのせた果菜が一列に揃うようにするためでもない。
したがって、甲2Dの往復回転は本件特許発明1の往復回転とは目的、作用、効果が異なるから、往復回転する搬送ベルトが甲2Dに記載されているとする請求人の主張は誤りである。加えて、傷つきやすい果菜の搬送、仕分けのための甲1のベルトコンベアを甲2の搬送体とすることには阻害要因があり、適用困難といえるから、この点からも、甲2Dの記載に依拠する請求人の主張は誤っている。

(3)答弁書第6ページ第3ないし20行の記載

(ア)請求人は、「さらに、発明特定事項1C、すなわち搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられた構成は、甲第1号証の甲1Eに記載されている。ここで、被請求人は発明特定事項1Cについて、平成23年5月30日付で提出した意見書(以下1回目の意見書という)(乙第1号証)において「…(前略)…本書に添付の説明図2のように搬送ベルト12の上にじかに載せる場合もある。」(二、補正の根拠1-3参照)と述べている。つまり、甲第1号証の甲1Eにおけるベルトコンベヤ3の上面の果菜を載置する部分は、本件特許発明1における『果菜を載せることのできる受け部』に該当する。」とも主張する(審判請求書第9ページ第24行ないし第10ページ第5行)。

(イ)しかし、1回目の意見書(乙1)における「搬送ベルト12の上にじかに載せる」は、「載せる場所は搬送ベルト12の上であればどこでもいい」という意味ではなく、1回目の意見書(乙1)に添付の説明図2から明らかなように、「搬送ベルト12のうち仕切り体17の前方の受け部にじかに載せる」という意味である。つまり、本件特許発明1の「受け部」は、「仕切り体」の前方にあることが前提となっているものである。
したがって、本件特許発明1の仕切り体17に相当するものが存在しない甲1Eには、本件特許発明1の「受け部」、すなわち「仕切り体の前方の受け部」は存在しない。発明特定事項1Cが甲1Eに記載されているとする請求人の主張は誤りである。

2-1-2.相違点についての判断

2-1-2-1.相違点についての判断に対する答弁

(1)答弁書第6ページ第23行ないし第9ページ第2行の記載

(ア)請求人は、「甲第1号証には、本件特許発明1における仕切り体についての発明特定事項1Dおよび発明特定事項1Eに該当する記載はない。」(審判請求書第10ページ第6及び7行)と認めた上で、「まず上記相違点のうち、上記本件特許発明1の発明特定事項1D、すなわち『搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に設けられた仕切り体』は、上記甲第2号証の甲2Bに記載されている。」と主張する(審判請求書第10ページ第9ないし11行)。

(イ)しかし、甲2Bの突起は、機能、作用、効果のいずれにおいても、本件特許発明1の仕切り体17とは、以下のとおり異なる。すなわち、
(a)甲2Bの突起の具体的構成は、甲第2号証の明細書第5ページ(作用)の欄に、
「本考案の搬送装置は、支持ベルト6を駆動して品物Wを搬出する際に、支持ベルト6に対して品物Wがスリップしそうになった場合、支持ベルト6の突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するものである。」と記載され、
(b)甲第2号証の明細書第8ページ第6ないし10行及び甲第2号証の明細書第9ページ第8ないし11行に、
「この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」と記載され、
(c)甲第2号証の明細書第13ページ第12ないし20行に、
「なお、この品物Wの搬入の際には、品物Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止し、これに続く搬送体1の移動による品物Wの搬送の際には、品物Wの両側方の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、搬送体1が搬送路2のカーブに差掛かったときの遠心力等によって品物Wが搬送路2の側方に落ちるのを阻止するようになっている。」と記載され、
(d)甲第2号証の明細書第14ページ第7ないし11行に、
「なお、この品物Wの搬出の際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」と記載され、
(e)甲第2号証の明細書第15ページ第13行ないし第16ページ第3行に、
「品物を搬出する際に、支持ベルトに対して品物がスリップしそうになった場合、支持ベルトの突起が品物の後部を押動するので、品物のスリップを阻止して、品物を適確に搬出することができ、そして、品物を搬送路の側方から搬送体の支持ベルト上に搬入する際には、突起がストッパとして機能して、品物が反対側に飛出すのを阻止することができ、また、搬送体の移動により品物を搬送する際には、品物が搬送路の側方に落ちるのを阻止することができる。」と記載されている。

(ウ)上記(a)ないし(e)の記載より、甲第2号証の突起9は、品物のスリップ阻止、品物の飛出し阻止、品物が搬送路側方へ落ちることの阻止及び品物搬入時の飛び出し阻止を目的としたものである。

(エ)また、甲第2号証の明細書第13ページ第12ないし20行には、
「なお、この品物Wの搬入の際には、品物Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止し、これに続く搬送体1の移動による品物Wの搬送の際には、品物Wの両側方の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、搬送体1が搬送路2のカーブに差掛かったときの遠心力等によって品物Wが搬送路2の側方に落ちるのを阻止するようになっている。」と記載されている。
本記載及び上記(イ)の(a)ないし(e)の記載から明らかなように、甲第2号証において、品物Wは、搬送、搬入時において、支持ベルト6上をスリップ等して動きまわり、突起9にぶつかって止まらなければ、搬送時の遠心力等によって搬送路2の側方に落ちたり、搬送体1への搬入時に、移動方向前方(品物Wが搬入される方向)に搬送体1から飛び出したりするような手荒な扱いがなされることが前提となっている。
したがって、甲第2号証の構成においては、果菜のように傷付きやすく、かつ傷付いては困る品物を搬送することは示唆も想定(配慮)もされていない。甲第2号証の突起9の付いた搬送体1を、傷付きやすい果菜の搬送に用いれば、果菜は傷だらけになってしまう。

(オ)これに対して、本件特許発明1の仕切り体17の機能は、搬送ベルトの受け部に載せた果菜の搬送状況、送り出し状況等に応じて、果菜を支持して果菜を安定させ、果菜位置決めの目安となり、搬送ベルトから果菜引受け体に果菜を送り出すときに果菜を押出すことができるものである(いずれも本件特許出願時の平成23年12月5日提出の意見書(以下2回目の意見書という:乙2)に記載)。
しかも、本件特許発明1の仕切り体の前記支持、送り出しは果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにするためである。
上述のとおり、甲第2号証には、果菜のように傷付きやすい品物を搬送することは想定も示唆もされていないため、甲第2号証の突起9には果菜に傷を付けないようにする、果菜を正確に計測できるようにするという機能は存在しない。このような機能を備えた本件特許発明1の発明特定事項1D、すなわち『搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に設けられた仕切り体』は甲2Bには記載されていない。
よって、本件特許発明1の発明特定事項1Dは甲2Bには記載されているとする請求人の前記主張は、本件特許発明1の発明特定事項1Dが果菜の傷付き防止、正確な計測を実現するためのものであることを正しく理解しない誤った主張であるから、被請求人はこれを否認する。

(2)答弁書第9ページ第4行ないし第10ページ第8行の記載

(ア)請求人は、「上述したように、甲第2号証における支持ベルト6の上面は物品が載せることのできる受け部を構成しており、甲2Bに示されるように、突起9はこの支持ベルト6の上方に突出し、特に図2に記載された2つの突起9は、(B)または(C)となった際に、それぞれ品物Wに対して往回転方向後方に位置している。」と主張する(審判請求書第10ページ第12ないし16行)。

(イ)しかし、甲第2号証の第1図は突起9が一つの場合であり、品物Wを支持ベルト6の上に載せたときに突起9が品物Wから離れて、品物Wが突起9とは別に自由に移動可能であり(第1図(A))、品物Wの搬送中も突起9が支持ベルト6から後方に離れており(第1図(B))、品物Wが支持ベルト6から送り出された後は品物Wから離れて支持ベルト6の下まで廻り込むものである(第1図(B))。甲第2号証の第2図は突起9が二つの場合であり、品物Wを支持ベルト6の上に載せたときに品物Wが二つの突起9から離れて、品物Wが両突起9間で自由に移動可能なものであり(第2図(A))、品物Wが支持ベルト6の右側に送り出されたとき(第2図(B)も左側に送り出されたとき(第2図(C))も、一方の突起9は物品Wから後方に離れ、他方の突起9は支持ベルトの下方に廻り込むものである。

(ウ)これに対して、本件特許発明1の仕切り体17は、搬送ベルト12の上に果菜を載せたときは、果菜が仕切り体17に接触しているか、仕切り体17から僅かに離れている状態であり(乙2の写真6)、搬送中もその状態がそのまま(殆どそのまま)維持される。また、果菜を送り出した後は、それ以上は廻り込むことはない(乙2の写真3)。
しかも、本件特許発明1の仕切り体は、前記したように、果菜の搬送状況、送り出し状況等に応じて果菜を支持して果菜を安定させ、搬送ベルトから果菜引受け体に果菜を送り出すときに送り出しをスムースにすることで、果菜が傷付かないようにし、果菜位置決めの目安となって果菜の形状、大きさ等を正確に計測できるようにするためのものである。
甲第2号証の突起9は支持ベルト6の上に載せた品物Wの後方にはあるが、前記(1)(ウ)及び(エ)に記載したように、品物のスリップ阻止、品物の飛出し阻止、品物の落下阻止、品物搬入時の飛び出し阻止のためのものであって、本件特許発明1の仕切り体17のように果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにするといった機能を有するものではない。
したがって、甲第2号証の突起9には、本件特許発明1の仕切り体のように、「果菜の傷付きを防止でき、果菜を正確に計測できるように受け部の後方に設ける」という技術思想は存在せず、構成、作用(機能)、効果のいずれにおいても異なるものである。

(エ)よって、甲第2号証の突起9を本件特許発明1の仕切り体17と同視する請求人の上記主張も容認できない。

(3)答弁書第10ページ第10ないし22行の記載

(ア)請求人は、「また上記本件特許発明1の発明特定事項1E、すなわち『仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ること』は、上記甲第2号証の甲2Dに記載されている。つまり甲2Dでは、図2(A)に示す搬送体1の支持ベルト6の中間部に品物Wを支持した状態から、(B)または(C)に示すように支持ベルト6を右側または左側に往復回転させることが可能となっており、上記突起9はこの支持ベルト6が往回転および復回転すれば、これに伴って移動するようになっている。なお、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に設けられた仕切り体は、上記甲第5号証の甲5Aにも記載されており、当該仕切り体が搬送ベルトの往復回転に伴って往復動することも甲5Bに記載されている。」とも主張する(審判請求書第10ページ第17ないし27行)。

(イ)しかし、甲2Dの突起9が本件特許発明の仕切り体17と異なることは前記(2)で説明したとおりである。甲5Aの突起についても同様である。

2-1-2-2.「受け部」の点について(口頭審理陳述要領書第2ページ第17行ないし第4ページ第3行及び第5ページ第7行ないし第6ページ第7行)

(ア)本件特許発明は「受け部」の形状や構造を特定することによって、課題を解決するものではなく、果菜を載せる「受け部」と「仕切り体」との位置関係、及び搬送ベルトの復回転との関係、並びにその他の構成により課題を解決できるようにしたものである。そのため、本件特許発明は、特許請求の範囲の請求項1に明記してあるように、「搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ることを特徴とする」ものである。
ここで、「搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ」とは、この構成が本件特許明細書の段落【0010】、【0013】、図1及び図2の記載に基づいて、出願段階の補正で追加されたものであることからすれば、受け部と仕切り体との相対的な位置関係が、受け部に果菜が載置された場合に、仕切り体の受け部に近い側の縁が少なくとも果菜の近傍に来る(果菜の近傍に来るか果菜と接する)ような構成を意味していることは明らかである。
また、「仕切り体は・‥搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ることを特徴とする」との構成は、搬送ベルトの往回転により、「仕切り体」及び「仕切り体」と所定の位置関係にある「受け部」が移動した後、これが復回転することで「仕切り体」及び「受け部」が元の方向に戻るという関係を意味している。
すなわち、本件特許発明は「受け部」を「仕切り体」との相対的な位置関係で特定した上で、更に、「搬送ベルトの復回転」との関係で特定をすることで、果菜送り出し後の搬送ベルトの復回転により「仕切り体」と共に戻る「受け部」に果菜を載せるだけで、多数の果菜載せ体の「受け部」上の果菜が一列に揃って搬送可能となる、果菜載せ体の構成を規定したものということができる。そして、本件特許発明は、この結果、計測部において果菜が一列に揃った状態で計測が可能となるために計測精度が向上し、二つとして同じ大きさのものがない果菜を大きさ別に正確に計測し、選別された大きさ別に搬送方向側方に送り出して仕分けすることが可能となるという効果を奏するものである。
以上のとおり、本件特許発明の「受け部」は「仕切り体」との関係で所定の相対的な位置関係にあるものとして特定され、かつ「搬送ベルトの復回転」との関係で前記のように復回転方向に戻ることが特定されるもので、他の構成と相まって、前記効果を奏するものである。このような構成を備え、効果を奏する「受け部」は、「仕切り体」が存在せず、また、一方向のみに回転し復回転することのない甲1のベルト上には存在しない。したがって、甲1のベルト表面部分が本件特許発明の「受け部」に相当しないことは明らかである。

(イ)本件特許発明の「受け部」が前記のように「仕切り体」との相対的位置関係や、「搬送ベルトの復回転」との関係で特定されているにもかかわらず、形状や構造が特定されていないとした上で、甲1の「ベルト23」の表面部分が「受け部」に相当するのではないかとする前記指摘は、本件特許発明の特徴的構成(甲1との相違点)である「受け部」と「仕切り体」と「搬送ベルトの復回転」との組み合わせ(「受け部」と「仕切り体」の相対的な位置関係、並びに「搬送ベルトの復回転」による「受け部」及び「仕切り体」の復回転方向への戻り)を無視して、果菜を載せる「受け部」だけを抽出して甲1のベルト23の表面部分と単純にベルトという観点から比較した判断であり、本件特許発明の「受け部」を正しく理解するものではない。これはまさに、前記判決で指摘する「後付け理論」につながる判断方法であり許されるものではない。
本件特許発明の「受け部」と「仕切り体」と「搬送ベルトの復回転」は一体不可分のものである。これらを分離したのでは本件特許発明の特徴が抹殺され、本件特許発明の効果を奏することはできない。よって、前記指摘は容認できない。

(ウ)本件特許発明は、審査時の拒絶理由通知書(乙4)において、「仕切り体と受け部との相対位置及び仕切り体の高さが不明瞭であるから、仕切り体が仕切り機能以上の機能を有するか否かが不明瞭である。」との指摘を受け、それに対して平成23年12月5日付で提出した手続補正書(乙7)により、「搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ることを特徴とする」と補正して登録査定されている。依って、少なくとも、審査では、本件特許発明の「受け部」は「仕切り体」及び「搬送ベルトの復回転」との関係で構成が特定されている、と認められている。

2-1-2-3.「受け部」の位置関係の点について(口頭審理陳述要領書第6ページ第15行ないし第9ページ第2行)

本件特許発明の発明特定事項1D、3C、6B及び6Cにおける「受け部」と、他の発明特定事項との位置関係は、甲1及び甲2に基づいて容易に想到し得るものではない。その理由は次のとおりである。

(ア)動機付けの不存在

甲1と甲2は以下の(a)ないし(d)の点において異なるため組み合わせの動機付けがない。
(a)甲1と甲2の技術分野
甲1は形状、大きさが二つとして同じものがない果菜を計測して大きさ別に選別し、選別された大きさ別に仕分けするものであるが、甲2には取扱う品物を計測して大きさ別に選別し、選別した大きさ別に仕分けすることについては、開示も示唆もされていない。ましてや、取扱い品が果菜であることは一切、開示も示唆もされていない。甲2に開示されているのは果菜とは異なる品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に搬出することにすぎない(甲2、2頁:従来技術の欄)。
したがって、果菜を計測して大きさ別に選別する甲1と、果菜ではない品物を計測も大きさ別に選別することもしない甲2とは、適用する製品分野、計測及び選別内容の2つの技術分野において相違する。

(b)甲1と甲2の解決課題(発明の目的)
甲1の解決課題は、甲1の図7(b)に開示されているように、従来技術による果菜の際、秤量バケットEが横倒しになって果菜を排出する(落下させる)ことにより生ずる果菜の損傷を防止すること(果菜選別時における果菜の損傷防止)にある。これに対して2の目的は「品物を搬出する際に、品物をベルトと同期させて的確な搬出を行なうこと」(甲2、4頁14?16行)である。したがって、甲1と甲2とは解決課題(発明の目的)も異なる。

(c)甲1と甲2の構成
甲1は前記課題を解決するために、従来の秤量バケットに代えて一方向回転のベルトコンベアを採用したことである。これに対して、甲2は前記課題を解決するために支持ベルト6に突起9を設けたことである(甲2、第6ページ第18行ないし第7ページ第1行)。したがって、甲1と2とは構成も異なり技術的共通性がない。

(d)甲1と甲2の作用、効果
甲1はベルトコンベアを採用したことにより、ベルトコンベアから果菜を排出するときの果菜の損傷を防止することができるものである。これに対して甲2はベルトに突起9を設けたことにより、「品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる」(甲2、第8ページ第6ないし10行、甲2、第9ページ第8ないし11行)もの、「品物Wの搬入の際には、品Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止し、これに続く搬送体1の移動による品物Wの搬送の際には、品物Wの両側方の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、搬送体1が搬送2のカーブに差掛かったときの遠心力等によって品物Wが搬送路2の側方に落ちるのを阻止する」(甲2、第13ページ第12ないし20行、甲2、第15ページ第13行ないし第16ページ第3行)ものであり、要は、搬出時の品物のスリップや飛び出し防止である。したがって、甲1と甲2とは作用、効果も異なる。

(イ)阻害要因の存在

甲1と甲2には組み合わせの動機付けがないだけでなく、むしろ組み合わせることについての阻害要因が存在する。
甲1は、傷付きやすい果菜の自動選別を行うものであるから、果菜に不要な衝撃を与えないようにすることを前提とする。このことは、甲1が、秤量バケットEが横倒しになって果菜を排出する(落下させる)ことによる、果菜への衝撃を解消することを目的としていることからも明らかである。他方、甲2は、前記(ア)(d)で説明したとおり、小物、ばら物といったものを搬送する際に、突起9を落下防止壁のように機能させて、品物のスリップや飛び出しを防止するというものであるから、品物に不要な衝撃を与えないようにするという思想は全くなく、逆に突起9に品物がぶつかること、すなわち、品物に衝撃を与えることを前提として、スリップや飛び出しを防ぐというものである。したがって、品物に衝撃を与える役割を有する甲2の突起9を申1に組み合わせることは、甲1の前提に反することであるから、阻害要因があるといえる。

2-1-3.組み合わせることについての根拠に対する答弁

(1)甲第2号証では果菜のような傷付きやすい品物を搬送することは想定されていないこと(答弁書第10ページ第25行ないし第11ページ第19行)

(ア)請求人は、「まず、甲第2号証では選別する対象として果菜は記載されていないが、甲2Cにおいて品物の一例として『底面状態の悪い物』を挙げている。一方被請求人は上記第1回目の意見書(乙第1号証)(例えば、二、補正の根拠1-4欄)においてメロンや西瓜の転倒について言及しており、これらメロンや西瓜などの果菜が上記『底面状態の悪い物』に該当することは明白である。」と主張する(審判請求書第11ページ第2ないし6行)。

(イ)しかし、甲2Cには、「たとえば、品物を搬送路に沿って搬送し、この搬送路の複数か所において、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に搬出するようにした搬送仕分け装置と呼ばれる搬送装置には、搬送路を構成するコンベヤ上の品物をスクレーバやプッシヤで側方に押出す方式のものや、搬送路に沿って走行する台車やスラットを側方に傾斜させてその上の品物の重力により側方に落下させる方式のもの等があるが、仕分けする品物に限定があり、小物、ばら物、軽量物、薄物、底面状態の悪い物等のように、ベルトコンベヤでしか搬送できないような品物の仕分けには無理がある。」としか記載されておらず、底面状態の悪い物とはどのような品物であるかは具体的に例示されていない。
甲2には、「このような品物の搬送仕分けに適用し得る搬送装置として、特開昭62-74823号公報に示されたものがある。」との記載がある(甲第2号証 第2ページ第14ないし16行)。しかし、特開昭62-74823号公報(乙第3号証)には「果菜」のことについては一切記載がない。

(ウ)むしろ、甲第2号証の構成においては、果菜のような傷付きやすい品物を搬送することはそもそも想定(配慮)されていない。よって、「底面状態の悪い物」に果菜などは含まれないから、メロンや西瓜などの果菜が該当するとの請求人主張は根拠のない推測であり、被請求人は容認できない。

(2)甲第1号証のベルトコンベヤを甲第2号証の搬送体とすることはできないこと(答弁書第11ページ第21行ないし第12ページ第9行)

(ア)請求人は、「そして甲第2号証には、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置が記載されていることから、『底面状態の悪い物』である果菜を選別するために、甲第1号証のベルトコンベヤを甲第2号証の搬送体とすることは、当業者であれば容易であるものと思慮する。」と主張する(審判請求書第11ページ第7ないし10行)。

(イ)しかし、甲第2号証においては、果菜のような傷付きやすい品物を搬送することはそもそも想定(配慮)されておらず、甲第2号証の搬送体1を、傷付きやすい果菜の搬送に用いれば、果菜が傷だらけになる。したがって、傷みやすいトマトや桃等の果菜を傷つけることなく選別することを目的とする甲第1号証におけるベルトコンベアを甲第2号証の搬送体とすることについては、阻害要因が存在するといえる。

(ウ)更に、甲第2号証には果菜の選別や判別について一切開示も示唆もされておらず、甲第2号証の突起9には、果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにする、という技術思想が含まれていないため、本件特許発明1の仕切り体17とは、受け部との位置関係、機能、効果のいずれにおいても異なることは前記2-1-2-1.(2)で説明したとおりである。

(エ)したがって、甲第1号証のベルトコンベヤを甲第2号証の搬送体とすることは、当業者であれば容易であるとする請求人の主張は誤りであり、被請求人はこれを否認する。

(3)甲第1号証に甲第2号証を組み合わせることはできないし、組み合わせても本件特許発明1は完成されないこと(答弁書第12ページ第11行ないし第13ページ第8行)

(ア)請求人は、甲第2号証に「…(前路)…この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる」(第9ページ第8ないし11行参照。)と記載されていることや、「なお、この品物Wの搬入の際には、品物Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止し」(第13ページ第12ないし15行)と記載されていることを根拠として、「以上のように、上記意見書において被請求人が述べた上記仕切り体が解決しようとする課題ならびにその解決手段は、甲第2号証によって公知となっており、当業者であれば上記課題を解決するために甲第1号証および甲第2号証の構成を組み合わせて本件特許発明1を容易に想到することができる。」と主張する(審判請求書第11ページ第16行ないし第12ページ第5行)。

(イ)しかしながら、甲第2号証の突起9は、品物Wのスリップを阻止し、品物Wの搬入の際にストッパとして機能して品物Wが移動方向前方に飛び出すのを阻止するものであって、前記2-1-2-1.(1)(エ)で述べたとおり、甲第2号証は果菜のような傷付きやすい品物の搬送に用いることを何ら想定(配慮)しておらず、果菜の搬送に用いれば、果菜が傷だらけになるものであるから、そもそも、甲第2号証は、傷みやすいトマトや桃等の果菜を傷付けることなく選別することを目的とする甲第1号証へ適用することができないものである。その上、甲第2号証の突起9は、本件特許発明1の仕切り体17のように、搬送状況、送り出し状況等に応じて受け部に載せた果菜を支持して果菜の位置ずれを防止し、搬送ベルトから果菜引受け体に果菜を送り出すときの送り出しをスムースにすることで、果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにするというものではない。

(ウ)したがって、甲第1号証に甲第2号証を組み合わせることはそもそも容易ではないし、仮に組み合わせることができたとしても、甲第1号証及び甲第2号証が本件特許発明1の特徴である、果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにするための「仕切り体と受け部」の構成を備えない以上、本件特許発明1は完成されない。よって、当業者であれば甲第1号証及び甲第2号証の構成を組み合わせて本件特許発明1を容易に想到することができるという請求人主張を、被請求人は否認する。

(4)甲第1号証及び甲第2号証を組み合わせても本件特許発明は完成されないことについて(口頭審理陳述要領書第9ページ第24行ないし第12ページ第5行)

(ア)前記2-1-2-1.(5)のとおり、甲1、甲2には組み合わせの動機付けがない。また、仮に、組み合わせの動機付けがあったとしても、甲1、甲2を組み合わせることで当業者が本件特許発明を容易に想到しうるものではない。その理由は次のとおりである。

(a)甲1のベルトは往復回転式ではなく一方向回転式である。したがって、甲1の「ベルトコンベア3」に甲2に開示されている「突起9」を取付けたとしても、一方向回転式のベルトに突起を有する果菜自動選別装置となるだけであり、本件特許発明のような往復回転式のベルトに突起を有する自動選別装置にはならない。
(b)それ故、本件特許発明のように「仕切り体」を定位置に戻すことで「受け部」も元の位置に戻し、一列に整列させるということもできない(なお、甲1に甲2を適用したとしても、そもそも、本件特許発明のような「仕切り体」及び「受け部」の構成とならないことは、次に述べるとおりである。)。したがって、本件特許発明のように、「受け部」に載せられた果菜が一列に揃った状態で計測部にて計測できるため、サイズ等の正確な計測が可能となり、大きさが不揃いである果菜を数十もの大きさ別或いはそれ以上に多くの大きさ別に選別するという作用効果を奏することはできない。
(c)甲1には「仕切り体」に相当する構成がなく、したがって「受け部」に相当する構成もない。
また、甲2には「突起9」はあるが、「突起9」は支持ベルト6の端に設けられているに過ぎず、本件特許発明の「仕切り体」に対する「受け部」に相当するような、「突起9」との関係で所定の相対的位置関係にある、品物を載せる部位は存在しない。
したがって、甲1に甲2を適用して、甲2の「突起9」を甲1の「ベルトコンベア3」に設けたとしても、甲1に設けた「突起9」と甲1における果菜を載せる部位が、本件特許発明における「仕切り体」と「受け部」のように所定の相対的位置関係にある構成とはならないし、甲1、甲2のいずれにもそのような構成とすることにつき示唆すら存在しないから、当業者がかかる構成を容易に想到することもない。
(d)本件特許発明では、「仕切り体」と「受け部」が所定の相対的な位置関係を有するために、搬送ベルトの復回転により仕切り体を元の位置に戻すことで、受け部を一列に揃えることができる。このため、誰が受け部に果菜を載せても(載せる作業者が代わっても)果菜が一列に揃い、載せ位置にバラつきが生じない。その結果、計測部での適切な計測が可能となり、果菜を大きさ別に精度良く選別することができるのである。
これに対して、甲1の「ベルトコンベア3」に甲2の「突起9」を取付けても、前記(c)で述べたとおり、果菜を載置する部位と突起9は、本件特許発明における「仕切り体」及び「受け部」のように、両者の相対的な位置関係が定まった構成とはならない。このため、たとえ、「ベルトコンベア3」を復回転できる構成としたとしても、突起及び受け部の戻り位置が特定されることにはならないため、本件特許発明のように、誰が載せても果菜が一列に揃うようにする(作業者による載せ位置のバラつきをなくす)ことはできない。
(e)本件特許発明は、傷みやすい果菜を傷めずに計測して大きさ別に選別し、仕分けできるようにしたものでもある。そのため、果菜を搬送ベルトで搬送して果菜を安定させ、「受け部」の後方に「仕切り体」を設けて、果菜の位置ずれを防止でき、後方への転倒を防止できるようにし、また、「仕切り体」が果菜を載せる目安にもなるようにしてある。これに対して、甲1の「ベルトコンベア3」に甲2の「突起9」を取付けただけでは、本件特許発明のように「受け部」と「仕切り体」との相対的な位置関係が特定されないため、本件特許発明の前記作用効果を奏することはできない。


2-2.本件特許発明2について

(1)答弁書第13ページ第11行ないし第14ページ第6行の記載

(ア)請求人は、本件特許発明2の、「搬送ベルトの受け部が果菜を載せることのできる受け部材を備えていることは、甲3Aに記載されたリング状の座20からなる野菜保持部6として公知である。当業者であれば、搬送する果菜が不安定である場合に、甲第1号証のベルトコンベヤに甲第3号証の野菜保持部を採用することは当業者にとって容易であり、本件特許発明2を容易に想到することができる。」と主張する(審判請求書第12ページ第8ないし18行)。

(イ)しかし、甲3Aに記載されたリング状の座20は、甲第3号証の【0016】に、「また各野菜受止め体7・円板状の座20ともスポンジ(弾性体の一例)で一体形成して、図10(口)、(ハ)に示すように、作業者がレタスをはめ込むに伴って、各野菜受止め体7が弾性変形することでその野菜受け部7aが径方向外方側に弾性後退するよう構成してある。」と記載されていることから、レタスを載せるのではなく、はめ込むものである。このはめ込みは「葉が全体的に開き気味になっていることが多いレタスを絞り込んで野菜保持部6にはめ込むことで、レタスを野菜受け部7aの弾性復帰力で絞り込み状態のまま安定保持できる。」(段落【0016】)ようにするためである。

(ウ)本件特許発明2の受け部材は、甲第3号証のようにはめ込むものでも、弾性変形するものでもなく、「果菜を載せることのできる受け部材」との文言から明らかなように、単に、果菜を載せるだけのものである。本件特許発明2では甲第3号証のはめ込み方式の野菜受止め体7・円板状の座20を採用して果菜をはめ込んだのでは果菜を搬送方向側方に送り出すことができなくなる。したがって、本件特許発明2の受け部材に代えて甲第3号証の座20を採用する(組み合わせる)ことには阻害要因がある。

(エ)よって、被請求人は、「甲第1号証のベルトコンベヤに甲第3号証の野菜保持部を採用することは当業者にとって容易であり、本件特許発明2を容易に想到することができる。」との請求人主張を否認する。


2-3.本件特許発明3について

2-3-1.相違点についての判断に対する答弁

(1)答弁書第14ページ第10行ないし第15ページ第22行の記載

(ア)請求人は、「甲第2号証の甲2Dでは、図2(A)に示す搬送体1の支持ベルト6の中間部に品物Wを支持した状態から(B)または(C)に示すように支持ベルト6を右側または左側に往回転させて品物Wを搬出しているが、品物Wの搬送中は2つの突起9を支持ベルト6上面の両端に位置させて、各突起9がストッパとして機能することが記載されていることから、その後当然この支持ベルト6を再び(A)の状態に復帰させて、品物Wを載置可能な状態としていることは明白である。そして搬送体1が品物Wの供給される位置に到達した際には、搬送方向に整列した搬送体1の2つの突起9は搬送方向に一列又は略一列に整列し、その結果として2つの突起9の間に位置する品物Wの載置部分も搬送方向に一列又は略一列に並ぶことは明白である。このような事項は当業者であれば甲第2号証の記載から容易に理解できるものであるので、甲第2号証には上記発明特定事項3Dが実質的に記載されている。」と主張する(審判請求書第12ページ第12ないし24行)。

(イ)しかし、甲2Dに記載されているのは、第2図の(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部(2か所の突起9の間)に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から(B)に示すように移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると品物Wを完全に右側に搬出することができ、逆に、(A)に示す状態から(C)に示すように移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができること、即ち、左右に排出可能であることである。そこには支持ベルト6の戻り方については一切開示も示唆もされていない。ましてや、本件特許発明3のように、果菜送り出し後の搬送ベルトが搬送方向へ移動する間に、搬送ベルトを復回転させて仕切り体及び受け部を戻すことについての説明は皆無である。
本件特許発明3において、果菜送り出し後の搬送ベルトが搬送方向へ移動する間に、搬送ベルトを復回転させて仕切り体及び受け部を戻し、受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶような構成とするのは、傷つきやすく、二つとして同じ形状、大きさのものが存在しない不揃いな果菜を受け部に載せることで、多数の果菜搬送体の搬送ベルト上で一列に揃うようにし、このように揃った状態で計測装置の下を通過させて形状、大きさ等を正確に計測し、計測結果に基づき傷つけないように搬送し、選別するという、果菜の搬送、仕分けで生ずる特有の課題を解決するためである。
これに対し、前記2-1-2.(1)(エ)で述べたとおり、甲第2号証は、そもそも果菜を搬送、仕分けすることは想定されていないどころか、果菜の搬送、仕分けに適さないものである。したがって、支持ベルト6の戻り方について一切開示がない甲2から、当業者が果菜特有の課題から生じる本件特許発明3の前記構成を容易に認識するということはあり得ない。

(ウ)また、甲2Dの支持ベルト6には、本件特許発明3のように果菜に傷が付かないようにし、かつ果菜を正確に計測できるようにする「仕切り体及び受け部」に相当するものはない。このため、甲第2号証では本件特許発明3のように、果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにする「仕切り体及び受け部」が元の位置に戻るように搬送ベルトを復回転させることもできない。

(エ)よって、請求人の前記主張は根拠のない主張であり、被請求人は否認する。
なお、請求人の前記主張中の「実質的に」とはどのようなことか意味不明である。

(2)答弁書第15ページ第24行ないし第16ページ第3行の記載

(ア)請求人は、「また、上述したように甲第1号証および甲第2号証を組み合わせた構成にさらに甲第3号証の野菜保持部を採用することは当業者にとって容易であり、本件特許発明3のうち本件特許発明2に基づく部分を容易に想到することができる。」とも主張する(審判請求書第14ペ0ジ第2ないし4行)。

(イ)しかし、前記2-1-3.(3)甲第1号証及び甲第2号証を組み合わせても本件特許発明1は完成しない。また、前記2-2.(1)で説明したように甲第3号証の野菜保持部を本件特許発明の搬送ベルトに採用することは阻害要因があるため、甲第1号証ないし甲第3を組み合わせても本件特許発明3発明は完成されない。

(ウ)よって、被請求人は、本件特許発明請求項3のうち本件特許発明2に基づく部分を容易に想到できたとする請求人の前記主張を否認する。

(3)答弁書第16ページ第5ないし24行の記載

(ア)請求人は、「なお発明特定事項3Dのような、送り出した前記搬送ベルトが、送り出し後の搬送方向への移動中に、前記受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転する構成は、甲第6号証の甲6Aにも記載されており、また上記甲第5号証の甲5Bにも実質的に記載されているものと言える。」と主張する(審判請求書第14ページ第5ないし8行)。

(イ)しかし、甲6Aには、「また、品物Wを搬出した搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、排出キャンセル位置23を通過した後、切換えレール47によって、搬送路2の中央部に移動し、その後に搬入位置21において支持ベルト6上に載せられる品物Wをどの方向にも搬出できるようになる。」としか記載されておらず、甲5Bには「平面支持体に荷が積まれるとき、分割要素5は、フレーム1の片側の付近にある。荷降ろしは、公知の任意の方法で遠隔で開始可能であるが、こうした荷降ろしのとき、カムまたは移動式のレール部分が遊星歯車10の軌道内に入って遊星歯車上でスライド移勤し、分割要素5がフレーム1の反対側に達するまでベルト4を摺動させることによって荷降ろしを行う。」としか記載されていない。
したがって、甲6A、甲5Bには、本件特許発明3のように、「受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転させる」構成は開示も示唆もされていない。

(ウ)よって、被請求人は、「実質的に記載されている」という前記請求人の主張を否認する。
なお、請求人の前記主張中の「実質的に」とはどのようなことか意味不明である。


2-4.本件特許発明4について

(1)答弁書第16ページ第27行ないし第18ページ第4行の記載

(ア)請求人は、「本件特許発明4にかかる発明特定事項4A、すなわち、複数の果菜引受け体が果菜搬送方向に配置されるとともに搬送方向に間隔をあけて配置された構成を備えた構成は、甲第1号証における仕切り板によって区画された果菜選別籠11に代えて、甲第4号証の甲4Aに記載された仲介搬送体3および副搬送体4とすることは、当業者であれば容易に想到することができる。」旨の主張をする(審判請求書第14ページ第11ないし27行)。

(イ)しかし、甲第1号証の果菜選別籠11は、ベルトコンベア3から送り出された果菜を受けるだけであって、受けた果菜を搬送しない固定式である。しかも、果菜選別籠11は別体である数個の果菜選別籠11を横に並べて連結したものではなく、横長のものを仕切り板9で仕切って区分したものであるため、甲第1号証には、別体の果菜選別籠11を複数配置するという技術思想は存在しない。ましてや、複数の果菜選別籠11を、間隔をあけて配置するという工夫も存在しない。

(ウ)これに対して、甲第4号証に記載された仲介搬送体3及び副搬送体4は、甲第4号証の【0016】に記載されているように、「当該搬送体4は仲介搬送体3から所定数の果菜が送り込まれる度に1ストロークづつ作動して、仲介搬送体3から送り込まれた所定数の果菜を一まとまりにして図2の矢印b方向に間欠的に搬送することである。具体的には、仲介搬送体3によって副搬送体4の幅方向に分散されながら同副搬送体4上に送り込まれた果菜1によって当該副搬送体4上に観念される一定スペース(副搬送体4の搬送方向における所定距離LX同搬送体4の幅Wから求められる)内が一杯になる度に図2の矢印b方向に回動して前記スペース内にある果菜1を同方向へ所定距離だけ(1ストローク分だけ)搬送するようにしてある。」ものである。
このため、甲第1号証の固定式の果菜選別籠11と、甲第4号証の搬送式の仲介搬送体3及び副搬送体4は構造、機能、作用、効果の全てにおいて異なり、技術的共通性がないため、甲第1号証の果菜選別籠11と甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4には、置き代えの動機付け(組み合わせの動機付け)がない。
また、甲第4号証の仲介搬送体3は「矢印b方向に回動している無端搬送体14が同時に矢印c方向(副搬送体4の幅方向)に15cmずつ連続的に往復スライドして、果菜1が副搬送体4の幅方向へ分散されながら同副搬送体4へ送り込まれるようにしたものである。」(甲第4号証の段落【0015】)。このため前記矢印c方向への往復スライドにより果菜同士がぶつかり合って果菜に傷が付く。
このため、甲第1号証の果菜選別籠11を甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4に置き換えたのでは果菜に傷が付く。これでは、傷みやすい果菜を傷つけることなく選別する(甲第1号証の段落【0006】)という甲第1号証の目的に反するものとなる。即ち、置き替えに阻害要因がある。

(エ)したがって、甲第1号証の果菜選別籠11を、甲4Aに記載された仲介搬送体3及び副搬送体4とすることは、当業者といえども容易に想到することができない。


2-5.本件特許発明5について

(1)答弁書第18ページ第7行ないし第19ページ第21行の記載

(ア)請求人は、「上記発明特定事項5Aにおける果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転する果菜引受け体は、甲第4号証の甲4Bに記載されている。つまり甲4Bでは、副搬送体4は仲介搬送体3から果菜が送り出される度に回転して、仲介搬送体3から送り出される果菜をプールするようになっている。そして、上記甲第1号証および甲第4号証はそれぞれ果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出すことにおいて共通していることから、甲第1号証における仕切り板によって区画された果菜選別籠11を、甲第4号証に記載されたそれぞれ間隔をあけて設けた仲介搬送体3および副搬送体4とし、上記動作をさせることは、当業者であれば容易に想到することができる。」と主張する(審判請求書第15ページ第6ないし15行)。

(イ)しかし、甲第4号証の副搬送体4は、受け皿10から送り込まれた(落された)果菜を、常時回転している仲介搬送体3で受け、その仲介搬送体3から所定数の果菜が送り込まれる度に1ストロークづつ作動して、仲介搬送体3から送り込まれた所定数の果菜1を一まとまりとして図2の矢印b方向に間欠的に搬送するものである(*請求人の前記主張ではこの「所定数」が抜けている。)。
そして、前記「1ストロークづつ作動」は、甲第4号証の【0016】に記載されているように、「具体的には、仲介搬送体3によって副搬送体4の幅方向に分散されながら同副搬送体4上に送り込まれた果菜1によって当該副搬送体4上に観念される一定スペース(副搬送体4の搬送方向における所定距離LX同搬送体4の幅Wから求められる)内が一杯になる度に図2の矢印b方向に回動して前記スペース内にある果菜1を同方向へ所定距離だけ(1ストローク分だけ)搬送するようにしてある。」ものである。
この方法では、副搬送体4上の一定スペース内が一杯になるまで搬送することができず、本件特許発明3のように、果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールすることはできない。また、副搬送体4に後から送られる果菜が、先に送られて副搬送体4に溜まっている果菜に押し当たって(追突して)果菜に押し傷が付いてしまうおそれがある。本件特許発明5では果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールするので、甲第4号証のように押し傷が付くおそれはない。なお、甲第4号証発明は本件特許権者の所有に係る特許発明であり、実際の製品において発明を実施した際、前記押し傷の問題が発生した。本件特許発明の果菜受け体はこの課題を解決したものである。

(ウ)上記2-4.(1)で述べたとおり、甲第1号証の果菜選別籠11と甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4は構成、動作(機能)、効果が全く異なり、技術的共通性がない上に、甲第1号証の果菜選別籠11を甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4に置き換えることには阻害要因があると言えるから、甲第1号証の果菜選別籠11を甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4に置き代えることには動機付けがない。また、仮に甲第1号証の果菜選別籠11を甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4に置き代えたとしても、本件特許発明5のような「果菜載せ体から果菜が送り出される度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜を果菜受け体にプールさせる」という構成を具備しないから、果菜の追突による押し傷付きの発生の防止という本件特許発明5の有する作用効果を奏することもできない。

(エ)よって、本件特許発明5は当業者であっても甲第1号証及び甲第4号証に基づいて容易に想到することはできない。


2-6.本件特許発明6について

2-6-1.本件特許発明6についてに対する答弁

(1)答弁書第19ページ第24行ないし第21ページ第3行の記載

(ア)請求人は、「しかしながら、甲第1号証には発明特定事項6Cが記載されていない。」(審判請求書第15ページ第23行)と認めた上で、「これに対し、上記発明特定事項6Cは、上記本件特許発明3の発明特定事項3Dと同様、甲第2号証の甲2Dに実質的に記載されている」(審判請求書第15ページ第24及び25行)、「当業者であれば甲第1号証および甲第2号証から、本件特許発明6を容易に想到することができる。」(審判請求書第16ページ第6及び7行)と主張する。

(イ)しかし、前記2-1-2.(1)(エ)で述べたとおり、そもそも甲第2号証は果菜のような傷付きやすい品物を搬送することを想定(配慮)しておらず、甲第2号証を、傷付きやすい果菜の搬送に用いれば、果菜が傷だらけになるため、傷みやすいトマトや桃等の果菜を傷つけることなく選別することを目的とする甲第1号証に適用することはできないものである。

(ウ)また、甲2Dに記載されているのは、「また、第2図の例では、(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部、この場合2か所の突起9の間に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から、(B)に示すように、移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると、品物Wを完全に右側に搬出することができ、」逆に、(A)に示す状態から、(C)に示すように、移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができ、」であり、それ以上のことは開示も示唆もされていない。甲2Dの前記戻りの動作は、品物を左右に搬出できるということだけであり、支持ベルト6を排出後のどのタイミングで復回転させて、どの状態に戻すかについては一切開示されていない。ましてや、本件特許発明6のように、果菜を送り出した搬送ベルトを、果菜に傷が付かないようにし、果菜を正確に計測できるようにするための「仕切り体及びその前方に位置する受け部」を、送り出し後の搬送方向への移動中に、前記仕切り体及び受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶように、前記往回転と逆方向に戻り回転することは開示も示唆もされていない。
したがって、上記2-5.(1)(イ)で述べたのと同様の理由により、支持ベルト6の戻り方について一切開示がない甲第2号証から、当業者が、本件特許発明6の、果菜送り出し後の搬送ベルトが搬送方向へ移動する間に、搬送ベルトを復回転させて仕切り体及び受け部を戻し、受け部が搬送方向に一列又は略一列に並ぶようにするという構成を容易に認識することはない。そして、請求人が認めるように(審判請求書第15ページ第23行)、甲第1号証には発明特定事項6Cが記載されていない。

(エ)したがって、甲第1号証に甲2Dを組み合わせることはそもそもできないし、仮に組み合わせたとしても、本件特許発明6のように「往回動した搬送ベルトを・・・送り出し後の搬送方向への移動中に」「往回転と反対方向に戻り回転させて」「受け部を元の位置に戻して、・・・搬送方向に一列又は略一列に並べる」構成とすることはできないため、当業者であっても、甲第1号証及び甲第2号証から本件特許発明6を容易に想到することはできない。
なお、請求人の前記主張中の「実質的に」とはどのようなことか意味不明である。

2-6-2.本件特許発明6ないし8の進歩性

2-6-2-1.本件特許発明6ないし8の特徴(第2回上申書第5ページ第17ないし23行)

本件特許発明6ないし8の果菜選別方法の特徴は、「往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送すること」、「搬送中に果菜を計測して等階級を判別すること」、「果菜送り出し後の搬送ベルトを、搬送方向への移動中に戻り回転させて、受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる(次に果菜を一列又は略一列に並べることができるように待機する)こと」である。

2-6-2-2.甲第1号証と甲第2号証の組み合わせの動機付け(第2回上申書第5ページ第25行ないし第7ページ第5行)

(1)甲1は、傷付きやすい果菜の自動選別を行うものであるから、果菜に不要な衝撃を与えないようにすることを前提とする。
他方、甲2に開示されている搬送体は、小物、ばら物といったものを搬送する際に、突起9を落下防止壁のように機能させて、品物のスリップや飛び出しを防止したり、ベルトを回転させることで品物を搬送体上に引き込んだり、引き込み時に品物が勢い余ってベルトから落下するのを突起9で防止したりするというものであるから、品物に不要な衝撃を与えないようにするという思想は全くない。甲2は逆に、ベルトでの引き込みの際、ベルトで品物をこすって衝撃を与え、かつ、突起9に品物がぶつかること、すなわち、品物に衝撃を与えることを前提として、スリップや飛び出しを防ぐものである。
したがって、ベルトによる引き込みや突起9により、搬送する品物に衝撃を与えることを前提とする甲2を甲1に組み合わせる(甲2の搬送体を甲1に適用する)ことは、甲1の前提に反することであるから、阻害要因があるといえる。

(2)また、甲1は、搬送ベルトが往復回転するものではなく、搬送ベルトに果菜を載せる「受け部」が特定されているものでもないため、果菜の大きさの計測精度を高めて、選別された特定の等階級に大きさの異なる果菜が混在しないようにするという課題がない。このため、甲1には本件特許発明6ないし8のように、ベルトに受け部を設けて、受け部の上の果菜を一列又は略一列に揃えて搬送する、という動機付けも、果菜送り出し後の搬送ベルトを、その搬送方向への移動中に、往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる、という動機付けも存在しない。

(3)甲2は、突起を備えたベルトが往復回転はするが、品物の大きさを計測する計測部を備えていないため、品物を一列又は略一列に揃えて搬送して計測精度を上げるという技術思想は存在しない。したがって、当然のことながら、品物を一列又は略一列に揃えて搬送するために、果菜送り出し後の搬送ベルトを、搬送方向への移動中に戻り回転させて、受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる、という技術思想も開示されていない。また、甲2では品物をベルト自らの回転でベルトの上に引き込み、引き込み時に品物が勢い余ってベルトから落下するのをベルトの上の突起で防止するようにしたものであるため、品物に傷を付けないように余計な衝撃を与えないという思想もない。しかも、甲2には大きさの異なる品物の混在を解消するという課題も、傷付き易い品物の傷付きを防止するという課題もない。このため、甲2には請求項6?8記載の発明のように、ベルトに受け部を設けて果菜を一列又は略一列に揃えて搬送できるようにするという動機付けも、果菜のような傷付き易い品物を傷付けないように搬送するという動機付けも存在しない。

(4)したがって、甲1と甲2には組み合わせの動機付けがない。なお、甲5についても甲1との組合せの動機付けがないことは同様である。

2-6-2-3.甲第1号証と甲第2号証を組み合わせても本件特許発明6ないし8の構成を充足しないこと(第2回上申書第7ページ第8ないし14行)

仮に、甲1と甲2を組み合わせたとしても、甲1、甲2のいずれにも、「受け部の上の果菜を一列又は略一列に揃えて搬送する」ことも、「果菜送り出し後の搬送ベルトを、その搬送方向への移動中に、往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べ易くする」ことも開示されていないため、本件特許発明6ないし8は完成しない。なお、甲1と甲5を組み合わせても本件特許発明6ないし8が完成しないことは同様である。


2-7.本件特許発明7について

(1)答弁書第21ページ第19行ないし第22ページ第2行の記載

(ア)請求人は、本件特許発明7は発明特定事項7A、すなわち果菜を、果菜搬送ラインの搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の果菜引受け体にプールする構成を備えるが、この発明特定事項7Aの果菜引受け体は、甲第4号証の甲4Aに記載されており、本件特許発明7は、当業者であれば甲第1号証、甲第2号証および甲第4号証の記載から容易に想到することができると主張する(審判請求書第16」ページ第16ないし23行)。

(イ)しかし、本件特許発明7は、果菜を、単に、果菜引受け体にプールするものではなく、進歩性のある本件特許発明6に従属した上で、更に「果菜を果菜引受け体にプールする」ようにした方法である。したがって、本件特許発明6への従属関係を無視して、「果菜を果菜引受け体にプールする」ことだけを抽出し、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証の記載から容易に想到することができるとする請求人主張は失当てある。本件特許発明7は、当業者であっても甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証の記載から容易に想到することができない。


2-8.本件特許発明8について

(1)答弁書第22ページ第5ないし21行の記載

(ア)請求人は、「本件特許発明8の発明特定事項8A、すなわち果菜載せ体から果菜が送り出される度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせる構成は、甲第4号証の甲4Aに記載されているから、本件特許発明8は当業者であれば甲第1号証、甲第2号証および甲第4号証の記載から容易に想到することができる。」と主張する(審判請求書第16ページ第25行ないし第17ページ第6行)。

(イ)しかし、甲第1号証の果菜選別籠11は固定式であり、甲第2号証には本件特許発明8の果菜引受け体に相当するものは開示されておらず、甲第4号証の仲介搬送体3及び副搬送体4は2-5.(1)で述べたのと同様の理由により、本件特許発明8の果菜引受け体とは構成、作用、効果のいずれにおいても全く異なるため、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証をどのように組み合わせても本件特許発明8の発明特定事項8A、すなわち「果菜載せ体から果菜が送り出される度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせる構成」は完成されない。
また、本件特許発明8は、本件特許発明6に従属する本件特許発明7に従属するものであるから、2-6.(1)及び2-7.(1)で述べた理由がそのままあてはまる。
よって、本件特許発明8は、当業者であっても甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証の記載から容易に想到することができない。


2-9.本件特許発明と甲第1号証ないし甲第6号証との比較

2-9-1.解決課題の比較(答弁書第24ページ第13行ないし第25ページ第2行)

(1)甲1の解決課題(目的)

甲1の目的は、傷みやすいトマトや桃等の果菜を傷付けることなく選別することができる自動選別装置を提供することである(【0006】)。

(2)甲2の解決課題(目的)

甲2の目的は、スリップ防止のため品物をベルトと同期させて的確な搬出を行うことを目的とする(第4ページ)。

(3)甲3の解決課題(目的)

甲3の目的は、球状野菜を野菜受け部で安定保持できるようにする点にある(【0004】)。

(4)甲4の解決課題(目的)

甲4の目的は、果菜選別装置を大型化しなくても、数の多いサイズのトマトを、余裕をもって箱詰めでき、同サイズのトマトが山積みになることもない果菜選別装置用の果菜送り出し機構を提供することにある(【0010】)。

(5)甲5の解決課題(目的)

翻訳文には、甲5の解決課題(目的)は明記されていない。しかしながら、少なくとも、果菜を傷付けないように選別し、仕分けすることは開示も示唆もされていない。

(6)甲6の解決課題(目的)

甲6の目的は、短い作動ストロークで、搬送体側の支持ベルトを、長いストローク駆動することを目的とする(明細書第2ページ右下欄)。

2-9-2.本件特許発明と甲各号証との技術の比較(答弁書第25ページ第7行ないし第28ページ第25行)

(1)甲1との比較

甲1には、ベルトコンベアを使用することは開示されているがそれは往復しない循環回転式である。甲1には、本件特許発明のように傷付き防止、正確な計測のための受け部及び仕切り体が存在しない。

(2)甲2との比較

甲2には次のような記載がある。すなわち、
(a)甲2Bの突起の具体的構成は、甲2の第5ページ(作用)の欄に、
「本考案の搬送装置は、支持ベルト6を駆動して品物Wを搬出する際に、支持ベルト6に対して品物Wがスリップしそうになった場合、支持ベルト6の突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するものである。」と記載され、
(b)甲2の第8ページ第6ないし10行及び甲2の第9ページ第8ないし11行に、
「この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」と記載され、
(c)甲2の第13ページ第12ないし20行に、
「なお、この品物Wの搬入の際には、品物の移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛出すのを阻止し、これに続く搬送体1の移動による品物Wの搬送の際には、品物Wの両側方の突一起9が、品物Wのストッパとして機能し、搬送体1が搬送路2のカーブに差掛かったときの遠心力等によって品物Wが搬送路2の側方に落ちるのを阻止するようになっている。」と記載され、
(d)甲2の第14ページ第7ないし11行に、
「なお、この品物Wの搬出の際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の搬出仕分け位置に搬出することができる。」と記載され、
(e)甲2の第15ページ第13行ないし第16ページ第3行に、
「品物を搬出する際に、支持ベルトに対して品物がスリップしそうになった場合支持ベルトの突起が品物の後部を押動するので、品物のスリップを阻止して、品物を適確に搬出することができ、そして、品物を搬送路の側方から搬送体の支持ベルト上に搬入する際には、突起がストッパとして機能して、品物が反対側に飛出すのを阻止することができ、また、搬送体の移動により品物を搬送する際には、品物が搬送路の側方に落ちるのを阻止することができる。」と記載されている。
上記(a)ないし(e)の記載より、甲2は、搬送物が傷付かず、壊れにくい品物であること、及び、搬送物が支持ベルト6の上で動き回り、搬入、搬送の際にスリップをするのみならず、飛出したり落下したりしそうになることを前提としており、その上で、品物が支持ベルト6上でスリップしたり、飛出しまたは落下等しそうになった場合には突起9に品物がぶつかることでそれ以上のスリップを止めたり、飛出しや落下等を阻止したりするというものであることは明らかである。
甲2では「遠心力等によって品物Wが搬送路の側方に落ちる」ように搬送するので果菜のようなものを搬送した場合に傷が付くことや、位置ずれが生じることを防止することはできない。また、「搬入の際に品物Wが移動方向に飛び出す」ほどの強い勢いで搬入するので、果菜のようなものを一列に揃えて載せることはもちろん、傷付かないように載せることもできない。
したがって、甲2には、傷付きやすい果菜を傷付けることのないように搬送し選別可能とするべく、搬送中の飛出し、落下が生じないようにすることは勿論、スリップが極力生じないように搬送ベルトの上で果菜を安定させ、もって、一つずつ形状、大きさの異なる果菜を正確に計測して等階級の仕分け精度を高めることができるように、搬送ベルトに受け部を設け、その後方に仕切り体を設けるという技術思想が開示も示唆もされていないことは明らかである。
よって、本件特許発明は甲2とも技術的共通性がない。

(3)甲3との比較

甲3は、葉が外側に広がるレタスのように球状野菜の搬送に関するものであり、レタスを弾性変形する野菜受止め体7・円板状の座20にはめ込んで、レタスを野菜受け部7aの弾性復帰力で絞り込み状態のまま安定保持するものである。
これに対して、本件特許発明の受け部材は、甲3のようにはめ込むものでも、弾性変形するものでもなく、単に、載せるだけのものである。本件請求項2発明において、甲3のはめ込み方式の野菜受止め体7・円板状の座20を採用して果菜をはめ込んだのでは果菜を果菜引受け体に送り出すことができなくなる。
したがって、本件特許発明は、甲3とも技術的共通性がない。

(4)甲4との比較

甲4の仲介搬送体3及び副搬送体4は、その【0016】に記載されているように、「当該搬送体4は仲介搬送体3から所定数の果菜が送り込まれる度に1ストロークづつ作動して、仲介搬送体3から送り込まれた所定数の果菜を一まとまりにして図2の矢印b方向に間欠的に搬送することである。具体的には、仲介搬送体3によって副搬送体4の幅方向に分散されながら同副搬送体4上に送り込まれた果菜1によって当該副搬送体4上に観念される一定スペース(副搬送体4の搬送方向における所定距離LX同搬送体4の幅Wから求められる)内が一杯になる度に図2の矢印b方向に回動して前記スペース内にある果菜1を同方向へ所定距離だけ(1ストローク分だけ)搬送するようにしてある。」ものである。
これに対して本件特許発明のプールコンベアは、搬送ベルトから果菜が送り込まれる度に1ストローク分ずつ移動して、送られてくる果菜を1個分ずつ搬送するものであり、甲4の仲介搬送体3が不要であり、仲介搬送体3のように副搬送体4の幅方向に往復スライドするものではなく(往復スライドしたのでは果菜に傷が付くので、往復スライドしてはならない)移動の仕方も異なる。
したがって、本件特許発明は、甲4とも技術的共通性がない。

(5)甲5との比較

甲5には搬送する品物がどのようなものか具体的には開示されていない。しかしながら、その発明の詳細な説明に「倉庫または郵便局で使用されるような小さい品物」と記載されている(甲5、翻訳5行)ことから、甲5で扱われる品物も少なくとも、傷付きにくい物、壊れにくい物で、形状、大きさが揃っている(ほぼ揃っている)ものであって、せいぜい品種別(例えば、葉書と封書、定形と定形外)に選別がなされるだけであると考えられる。これに対して、本件特許発明が扱う果菜は傷付き易く、同じ種類(トマト、桃、梨、リンゴ、マンゴー等)でも形状、大きさが一つずつ異なるものである。
したがって、甲5には、本件特許発明のように、傷付きやすい果菜を傷付けず、一つずつ形状、大きさの異なる果菜を正確に計測して等階級の仕分け精度を高めるための受け部及び仕切り体を設けることは開示も示唆もされていない。
よって、本件特許発明は甲5とも技術的共通性がない。

(6)甲6との比較

甲6は品物を搬送して送り出すものではあるが、甲6には、そもそも支持ベルト6上に突起を設ける構成すら開示されていない。したがって、甲6において、傷付きやすい果菜を傷付けず、一つずつ形状、大きさの異なる果菜を正確に計測して等階級の仕分け精度を高めるための受け部及び仕切り体を設けることの開示も示唆もないことは明らかである。
また、甲6の図面に角型の箱状の品物が例示されていること、甲6に「たとえば品物を搬送路に沿って搬送し、この搬送路の複数か所において、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に排出するようにした搬送仕分け装置」と記載されている(明細書第2ページ、従来の技術欄の記載)ことから、甲6で搬送し、仕分けする品物は形状、サイズの揃っているものと推認され、一つずつ形状、大きさの異なる果菜のようなものの搬送、仕分けは考慮されていないといえる。
更に、甲6には「また、品物Wを搬出した搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、排出キャンセル位置23を通過した後、切換えレール47によって搬送路2の中央部に移動し、その後に搬入位置21において支持ベルト6上に乗せられる品物Wをどの方向にも排出できるようになる。」と記載されている(明細書第6ページ右上欄下2行?左下欄上4行)。
この記載から明らかなように、甲6において支持ベルトを戻すのは、品物を左右どちらにも排出できるようにするためであって、本件特許発明のように、一周りして戻ってくる搬送体に果菜を載せると、多くの支持ベルトに載せられた果菜が一列に揃うようにするためではない。
よって、本件特許発明は甲5とも技術的共通性がない。


2-10.甲第1号証ないし甲第6号証に基づく本件特許発明の容易想到性(答弁書第28ページ第27行ないし第29ページ第21行)

(1)以上のように、甲1ないし甲6には課題(目的)に共通性がなく、その目的達成のための技術にも共通性がない。

(2)また、甲2ないし甲6は傷付きにくく、傷みにくく、同じ又は略同じ形状の品物の中から、品種、行き先等を判別して仕分けするための搬送、仕分けに関する分野のものである。
これに対して甲1は、傷付き易く、傷み易く、形状、大きさが一つずつ異なる(二つとして同じものがない)果菜を傷付けることなく搬送し、測定選別するものであるから、単なる搬送に関する技術分野のものではなく、計測並びに傷付き防止に関する技術分野のものである。
したがって、甲1と甲2ないし甲6とは属する技術分野が異なっている。また、後者は、傷付きにくく、傷みにくく、同じ又は略同じ形状の品物であることを前提として搬送、仕分けをするものであり、果菜のように傷付きやすい品物を取り扱えば、傷だらけにするようなものである。
よって、甲1ないし甲6には課題(目的)の共通性がなく、目的達成のための技術にも共通性がない上に、甲1と甲2ないし甲6とで技術分野が相違し、かつ、甲1に甲2ないし甲6の技術を適用することについて阻害要因があるといえるから、甲1と甲2ないし甲6とを組み合わせることは、動機付けがなく容易ではない。

(3)更に、仮に、甲1ないし甲6を組み合わせたとしても、甲1ないし甲6のいずれにも、傷付きやすい果菜を傷付けることなく、二つとして同じ形状、大きさのものが存在しない果菜を正確に計測して等階級の仕分け精度を高めるために、受け部を設け、その後方に仕切り体を設けることは開示も示唆もされていないので本件特許発明は完成されない。

(4)よって、本件特許発明は当業者といえども、甲1ないし甲6に基づいて容易に発明することができたものではなく進歩性がある。


2-11.本件特許発明の特徴及び作用効果(答弁書第2ページ第19行ないし第3ページ第25行)

本件特許発明は、形状、大きさ等が一つずつ異なる(二つとして同じ形状、大きさのものが存在しない)不揃いな果菜を前記階級、サイズに判別できるように正確に計測でき、傷付きやすい果菜を傷付けることなく搬送し、計測結果に基づいて送り出し(仕分け)可能とした発明であり、次の特徴を備えている。

(1)搬送ベルトの上方に突出する仕切り体の前に果菜を載せる受け部を設けて、果菜を載せる位置を特定し、その受け部に果菜を載せると、多数の果菜搬送体の搬送ベルトに載せた、形状、大きさの不揃いな果菜でも一列に揃うようにし、このように揃った状態で計測装置の下を通過して形状、大きさ等を正確に計測できるようにしたこと。

(2)受け部の後方に仕切り体を設けて、受け部に載せた果菜が搬送中或いは側方への送り出し時に位置ずれや転倒等せず、果菜が傷付かないようにしたこと。

(3)側方への果菜送り出しは搬送ベルトの回転により行うが、側方への送り出し時に、果菜が、搬送ベルトとその側方に配置されている果菜引受け体(プールコンベアや受け材等)との隙間に落ち込んでスムースに送り出せないときは、仕切り体で押し出されるようにしたこと。この場合、仕切り体を搬送ベルトの往回転に伴って往回転方向に移動させて、仕切り体での果菜押し出し時に果菜に無理な力が加わらず、果菜が傷まないようにしたこと。

(4)搬送ベルトの側方に接近配置する果菜引受け体は、引き継ぎをスムースに行うためには搬送ベルトとできるだけ接近配置して、両者間の隙間を狭くする必要がある。この場合、隙間が広いと小さな果菜はその隙間に落ち込んで果菜引受け体にスムースに送り出すことができないだけでなく、果菜が傷付きやすい。しかし、隙間を狭くすると搬送ベルトより上方に突出させた仕切り体がその隙間を通過できなくなり、搬送ベルトを回転させることができない。そこで、本件特許発明は、搬送ベルトを復回転させる(戻す)構成とすることで、搬送ベルトより上方に突出させた仕切り体が搬送ベルトの回転を邪魔することがないようにすると共に、前記隙間を狭くして小さな果菜を果菜引受け体にスムースに送り出すことができるようにしたこと。

(5)搬送ベルトから果菜引受け体に果菜を送り出してから、その搬送ベルトに次に果菜を載せるまでの間に、搬送ベルトを復回転させて受け部と仕切り体を元の位置に戻して、受け部と仕切り体を一列に揃えて、果菜をその受け部に載せると果菜が一列に揃うようにして、各搬送ベルトの上の果菜が一列に揃って計測部の下を通過して、果菜の形状、大きさ等を正確に計測できるようにしたこと。


2-12.仕切り体の有無と各本件特許発明の作用効果(第2回上申書第2ページ第11行ないし第5ページ第14行)

(1)本件特許発明における「仕切り体」の有無

本件特許発明1ないし5は「仕切り体」を有することが発明の発明特定事項の一部となっているが、本件特許発明6ないし8は本件特許発明1ないし5と同じような「仕切り体」がある場合も、「仕切り体」がない場合も含まれるものとなっている。

(2)本件特許発明3ないし5の解決課題と課題解決手段

本件特許発明3ないし5の「果菜自動選別装置」の解決課題は、二つとして同じ大きさ、形状のものがない果菜を精度よく計測して、計測結果に基づいて選別された等階級内に当該等階級外の果菜が混在しないようにすること、及び傷付き易い果菜の搬送中或いは側方への送り出し中に、果菜に傷が付きにくくなるというものである。
果菜自動選別装置の計測部において、計測センサは、通常、搬送ラインの上方に配置固定されている。このため、このような場合は果菜の大きさの計測精度を高めるためには、果菜が計測センサの下を一列又は略一列に整列して通過することが望ましい。そして、果菜を一列又は略一列に並べて搬送できるようにするためには、果菜を搬送ベルトの上に一列又は略一列に揃えて載せるのが望ましい。
そこで、本件特許発明3ないし5は、一列又は略一列に揃った果菜が搬送中に位置ずれすることなく揃った状態で計測部を通過して計測精度を維持できるようにするとともに、搬送中も、仕分けのための側方への送り出し中も、果菜が位置ずれしたり、転倒したりしにくくし、果菜に傷が付きにくくなるようにするための構成(構造)として、本件特許発明1、2の「果菜載せ体」を使用し、「搬送ベルトを往復回転可能」とし、更には、「搬送ベルトに受け部と仕切り体を設け」、「仕切り体を受け部よりも往回転方向後方に設け」、「仕切り体が受け部よりも上方に突出し」、「仕切り体が搬送ベルトの往復回転に伴って往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る」ようにしたものである。

(3)本件特許発明3ないし5における作用効果

本件特許発明3ないし5では、「受け部」と「仕切り体」の位置関係を前記のように特定することにより、受け部に果菜を載せる際に、仕切り体を位置決めの目安にして果菜を一列又は略一列に並べることができ、一列又は略一列に揃えた果菜が、搬送中に位置ずれしそうになったり後方へ転倒しそうになったりしても、それら果菜を仕切り体により後方から支持して果菜の位置ずれや転倒等を防止して、果菜を一列又は略一列に揃った状態に保持して計測部を通過させることができ、計測精度を維持して、選別された特定の等階級に大きさの異なる果菜が混在しないようにすることができるという効果を奏する。
また、果菜搬送中のみならず、側方への送り出し中も、「仕切り体」で果菜を支持して果菜の位置ずれや転倒を防止することができるため、果菜を傷付きにくくするという効果も有する。
したがって、「仕切り体」の存在及び「仕切り体と受け部」の前記位置関係は、「搬送ベルトの往復回転」と共に本件特許発明3ないし5の必須の構成(構造)である。そのため、本件特許発明3ないし5には「仕切り体」が明記されている(発明特定事項となっている)。請求項1及び請求項2についても同様である。
これに対して本件特許発明6ないし8では以下に述べるとおり「仕切り体」の存在は必須ではなく、そのため本件特許発明6ないし8には「仕切り体」が記載されていない(発明特定事項となっていない)。

(4)本件特許発明6ないし8の解決課題と課題解決手段

(ア)本件特許発明6ないし8の解決課題は、二つとして同じ大きさ、形状のものがない果菜を精度よく計測して、計測結果に基づいて選別された等階級内に当該等階級外の果菜が混在しないようにすることにある。
果菜の大きさの計測精度を高めるためには、果菜が計測部の下を一列又は略一列に整列して通過することが望ましい。
そこで、本件特許発明6ないし8は、「往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送し」、「搬送中に果菜を計測して等階級等を判別し」、「果菜送り出し後の搬送ベルトを、搬送方向への移動中に戻り回転させて、受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」という方法を採用したものである。

(イ)本件特許発明6ないし8では前記のように「往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送する」という方法をとる。
果菜を一列又は略一列に並べて搬送できるようにするためには、果菜を搬送ベルトの上に一列又は略一列に揃えて載せるのが望ましい。請求項6?8記載の発明の「受け部」は果菜を一列又は略一列に並べ易くするためのものである。この「受け部」は果菜を載せる作業者が認識できように特定されていれば足りる。通常、搬送ベルトはその搬送ベルトの往復回転方向の略中央部(以下「中央部」という。)が計測センサの下を通るように設計されるため、そのような場合は、中央部を「受け部」と指定しておき、果菜を載せる作業者が当該中央部を「受け部」と認識できるようになっていれば、その中央部、すなわち受け部に果菜を載せることにより、果菜を一列又は略一列に揃えて搬送することができるようになる。したがって、例えば、搬送ベルトの所定の箇所に目印を表示し、果菜を載せる作業者がその目印を基準に「受け部」を認識できるようにして、果菜を受け部に載せられるようになっていてもよい。
このように、本件特許発明6ないし8の「受け部」は「計測部」との関係で位置が特定されていれば足り、「仕切り体」との位置関係は要件となっていない。本件特許発明6ないし8では「受け部の上に載せた果菜を搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送する」方法であるため、「仕切り体」がないからといって果菜を一列又は略一列に並べて搬送できなくなって計測精度が低下するというわけではない。

(5)本件特許発明6ないし8における作用効果

本件特許発明6ないし8においては、受け部の上に載せた果菜を搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送することにより、果菜の大きさを精度よく計測して大きさ別に選別(仕分け)するという効果を奏する。また、果菜を側方へ送り出した後に搬送ベルトを復回転させ、多数の果菜載せ体の「受け部」を、果菜載せ体が、再度、果菜を載せる位置に来る前に一列又は略一列に並べるため、果菜受け体の搬送ベルトの受け部に載せた果菜を繰り返し一列又は略一列に並べて搬送することが可能となるという効果も有する。
更に、搬送ベルトが往復回転式であることから、少なくとも、受け皿の横転により果菜を落下させて果菜を側方に送り出す従来の横転式の方法に比して、果菜が傷付きにくいという効果も有する。


2-13.むすび

以上のとおり、本件特許発明1ないし本件特許発明8は、いずれも、甲第1号証ないし甲第6号証と異なるのみならず、甲第1号証ないし甲第6号証には組み合わせの動機付けがない。仮に甲第1号証ないし甲第6号証を組み合わせたとしても、甲第1号証ないし甲第6号証には本件特許発明1ないし本件特許発明8と前記のように異質であるため本件特許発明1ないし本件特許発明8は完成されない。このため、本件特許発明1ないし本件特許発明8は特許されるに値する進歩性があり、特許法第29条第2項の規定に該当しないので、同法123条第1項第2号にも該当せず、無効とされるべきではない。



第5 無効理由に対する当審の判断

無効理由について、当審では、まず、本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証(又は甲第5号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるかについての検討(以下、「本件特許発明1についての進歩性の検討」という。)を行い、本件特許発明2ないし5についても同様に特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるかについての検討(以下、「本件特許発明2ないし5についての進歩性の検討」という。)を行い、次に、本件特許発明6が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証(又は甲第5号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるかについての検討(以下、「本件特許発明6についての進歩性の検討」という。)を行い、本件特許発明7及び8についても同様に特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるかについての検討(以下、「本件特許発明7及び8についての進歩性の検討」という。)を行う。



第5-1 本件特許発明1についての進歩性の検討

1.甲第1号証ないし甲第6号証の記載事項

甲各号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)甲第1号証に記載された事項

(ア)「【請求項1】チェーン等の走行体1に、果菜や小荷物等の物品2を載せることができ且つ走行体1の横方向に回動可能な多数のベルトコンベア3を取り付け、各ベルトコンベア3の回動、停止を外部からの信号により制御可能としたことを特徴とする自動選別装置。」(【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】)

(イ)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、各種の品物を大きさ(サイズ)別、重量別などに自動的に選別してより分ける選別装置に関するものであり、特にいたみやすい果菜の自動選別に適するものである。」(段落【0001】)

(ウ)「【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、図6の自動選別装置は、コンテナCの秤量バケットEから果菜Bを受台Gに送り出す際に、図7(b)に示すように秤量バケットEを可倒させて、果菜Bを転がして落とすため、例えば完熟トマトや桃等のいたみやすい果菜をこの自動選別装置で選別すると傷が付いたり、つぶれたりするという問題があった。
【0006】
本考案の目的は、いたみやすいトマトや桃等の果菜を傷付けることなく選別することができる自動選別装置を提供することである。」(段落【0005】及び【0006】)

(エ)「【0009】
【実施例】
本考案の自動選別装置を桃やトマト等の果菜に応用した場合の一実施例を図1に示す。
同図に示す2は各種の物品であるが、ここでは桃やトマト等の果菜である。
同図に示す5は果菜2を搬送する搬送路である。この搬送路5の手前側には光学センサ10が設置されており、さらにその先の搬送路5の片側には仕切り板9でS、M、Lとサイズ別に3つに区分けされた果菜選別籠11が設置されている。
【0010】
前記光学センサ10は搬送路5を移動する果菜1のサイズを測定するもので、その測定値を搬送路5の下の演算装置12で処理して、予めセットされた条件に基づいて果菜2の等級をS、M、Lに分けるものである。この測定結果は、その先の搬送路5の上面に突き出し且つその長手方向に沿って一列に間隔をおいて取り付けられている多数の(図5に示した)電極30へ出力される。
【0011】
同図に示す1は前記搬送路5に沿ってゆっくりと移動する走行体であり、この実施例では平行に配置した2本の金属チェーン20をスプロケットギアとモータとからなる(図示していない)駆動装置で駆動している。この走行体1としてはチェーン20によるもの以外であってもよく、要は下記に説明する小型のベルトコンベア3を前記搬送路5に沿って巡回するように移動させることができるものであれば、例えばベルトコンベア等であってもよい。
【0012】
同図に示す3はベルトコンベアであり、選別する果菜2を載せて運ぶことができるように前記果菜2より少し大きな面積を有した小型のベルトコンベア3である。このベルトコンベア3は、ベルト23を回転させるローラー24と同ローラー24を駆動させるためのモータが内蔵されているもので、図2に示すようにチェーン20にピン21で連結された固定具22に取り外し可能に固定することができる。なお、このベルトコンベア3はチェーン20の走行方向に対して横向きになる。そして、このチェーン20に多数のベルトコンベア3を同チェーン20の移動方向に沿って取り付ける。
【0013】
また、前記ベルトコンベア3には、前記モータへ電流を供給するための(図示されていない)電極も取り付けてある。この電極は各ベルトコンベア3の下面にセットされ、ベルトコンベア3がチェーン20に引かれて移動する際、前記搬送路5上の電極30と接触することができるようになっている。そして、前記光学センサ10が測定した果菜2の等級に基づいて、前記演算装置12が指定したタイミングで、指定した電極30に電流を流し、丁度その電極30と接触しているベルトコンベア3のベルト23が回転し、その上の果菜2を果菜選別籠11へ送り出す。さらに、前記電極30の間隔を詰めてその数を多くすれば、例えば図5に示すように果菜選別籠11のSサイズのところに果菜2を降ろす場合に、その位置を同じSサイズの区域の中で少しづつずらして降ろすことができるようになり、この結果、前に降ろした果菜2と次に降ろす果菜2とがぶつかるようなことがなくなって、箱詰めする人が少し手を休めても、果菜2が選別籠11に一列に並べられていくので、作業者の負担を少なくすることができる。」(段落【0009】ないし【0013】)

(2)甲第2号証に記載された事項

(ア)「搬送路に沿って移動する搬送体の上部にこの搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトを配設し、この支持ベルト上に品物を支持し、搬送体の移動により、品物を搬送路に沿って搬送し、支持ベルトを駆動することにより品物を搬送路の側方に搬出する搬送装置において、
上記支持ベルトの品物支持面に品物の搬出方向の後部に対する突起を設けたことを特徴とする搬送装置。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)

(イ)「本考案は、品物を搬送路に沿って搬送し、かつ、搬送路の側方に搬出することのできる搬送装置に関するものである。」(明細書第1ページ第18ないし20行)

(ウ)「たとえば、品物を搬送路に沿って搬送し、この搬送路の複数か所において、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に搬出するようにした搬送仕分け装置と呼ばれる搬送装置には、搬送路を構成するコンベヤ上の品物をスクレーパやプッシャで側方に押出す方式のものや、搬送路に沿って走行する台車やスラットを側方に傾斜させてその上の品物を重力により側方に落下させる方式のもの等があるが、仕分けする品物に限定があり、小物、ばら物、軽量物、薄物、底面状態の悪い物等のように、ベルトコンベヤでしか搬送できないような品物の仕分けには無理がある。」(明細書第2ページ第2ないし13行)

(エ)「上述した公報に示された搬送装置は、ベルト上に品物を支持して搬送し、ベルトの駆動により品物を搬出するので、様々な品物の搬送仕分けに適用することができるが、それでも、場合によっては、ベルトを静止状態から駆動して品物を搬出する際にベルトに対して品物がスリップすることがあり、品物の適確な搬出に支障をきたすことがある。
本考案は、このような点に鑑み成されたもので、搬送路に沿って移動する搬送体の上部にこの搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトを配設し、この支持ベルト上に品物を支持し、搬送体の移動により品物を搬送路に沿って搬送し、支持ベルトを駆動することにより品物を搬送路の側方に搬出する搬送装置において、品物を搬出する際に、品物をベルトと同期させて適確な搬出を行なうことを目的とするものである。」(明細書第3ページ第20行ないし第4ページ第16行)

(オ)「本考案の搬送装置は、支持ベルト6を駆動して品物Wを搬出する際に、支持ベルト6に対して品物Wがスリップしそうになった場合、支持ベルト6の突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するものである。」(明細書第5ページ第9ないし13行)

(カ)「本考案の搬送装置の実施例を図面を参照して説明する。
始めに、第1図及び第2図により原理を説明した後、詳細を説明する。
1は搬送体で、この搬送体1は後述する無端状の搬送路2に沿って図示前後の方向に移動するようになっており、この搬送体1の下部に搬送体1の移動方向と交差する図示左右の両側方向に移動可能な移動枠3を設けてある。
そして、上記搬送体1の両側部に、それぞれ1本以上、第1図の例ではそれぞれ1本、第2図の例ではそれぞれ2本のローラ4を、互いに平行に配して、軸支してあるとともに、上記移動枠3に、2本以上、第1図の例及び第2図の例では、ともに2本のローラ5を軸支してある。
そして、上記搬送体1の上部に、この搬送体1の移動方向と交差する両側方向の搬送方向性を有する平ベルトから成る支持ベルト6の中間部を配置してあるとともに、この支持ベルト6の両端部を、それぞれ、上記両側のローラ4とこのローラ4に対応した中間のローラ5とに交互に折返し状に掛回した後、第1図の例では上記搬送体1の両側部、第2図の例では上記移動枠3に固定してあり、第1図の例では支持ベルト6の品物支持面の支持ベルト6の長さ方向の1か所に、第2図の例では支持ベルト6の品物支持面の支持ベルト6の長さ方向の2か所に突起9を設けてある。」(明細書第5ページ第15行ないし第7ページ第1行)

(キ)「この構成において、移動枠3を、たとえば移動枠3の下部に軸支したコロ7あるいはこのコロ7を軸支してコロ7の下部に突出したピン8等を、搬送路2に設けられた図示しない作動手段で押すことによって、両側方向に移動すると、ローラ4が定滑車、ローラ5が動滑車のように作用し、滑車の原理にしたがって、搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部が、移動枠3の移動方向と反対の方向に向かって、移動枠3の移動ストロークSの整数倍、第1図の例では2倍のストローク2S、第2図の例では3倍のストローク3S移動する。
したがって、搬送体1上部の支持ベルト6中間部の上に品物Wを支持すると、この品物Wを、搬送体1の移動によって搬送路2に沿って搬送することができ、この品物Wを、移動枠3の移動によって搬送体1が移動する搬送路2の側方に搬出することができる。」(明細書第7ページ第2ないし19行)

(ク)「そして、第1図の例では、(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の一側部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から、(B)に示す状態を経て、(C)に示すように、移動枠3を搬送体1内で他側部まで移動すると、品物Wを完全に一側部に搬出することができ、この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」(明細書第7ページ第20行ないし第8ページ第10行)

(ケ)「また、第2図の例では、(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上限の支持ベルト6中間部、この場合2か所の突起9の間に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から、(B)に示すように、移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると、品物Wを完全に右側に搬出することができ、逆に、(A)に示す状態から、(C)に示すように、移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができ、この際に、品物Wが支持ベルト6に対してスリップしても、突起9が品物Wの後部を押動して品物Wのスリップを阻止するので、品物Wを確実に所定の位置に搬出することができる。」(明細書第8ページ第19行ないし第9ページ第11行)

(コ)「第3図ないし第5図は第2図の例の3倍ストローク型の搬送体1の詳細を示すものである。
・・・(中略)・・・
そして、上記搬送体1の両側部のローラ4は上記サイドフレーム22の両端部に取付けられたブラケット26に軸支され、上記支持ベルト6の中間部、つまり、品物Wを支持する部分はサイドフレーム22間に設けられた支持板27上に支持されている。
・・・(中略)・・・
また、上記移動枠3のコロ7は移動枠3の下部に取付けられた支持杆30の下端部に上記ピン8を介して軸支され、このコロ7及びピン8は上記ベース11の開口部31から下方に突出し、コロ7は搬送路2中央部の一対の案内レール32間や搬送路2両側部の一対の案内レール33間に係合し、ピン8は搬送路2の切換えガイド34等に係合するようになっている。
・・・(中略)・・・
そうして、この搬送装置では、無端状の搬送路2を構成する上記走行レール15, 16に、多数の搬送体1が、それぞれ、その車輪13, 14を介して移動自在に支持され、この搬送路2上で多数の搬送体1がリンク12を介して無端状に軸着連結され、搬送路2の適所に設けられた駆動機構の駆動スクリューを回動し、この駆動スクリューと搬送体1の走行駆動用のコロとの係合により、1個ないし数個の搬送体1を駆動し、これによって、搬送路2上の多数の搬送体1が全体的に循環移動するようになっている。」(明細書第9ページ第20行ないし第13ページ第3行)

(サ)「そして、この状態で、搬送路2の適所に設けられた搬入位置において、移動する搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部に品物Wを搬入し、これと同期して、切換えガイド34等から成る作動手段により、移動枠3を移動して搬送体1の支持ベルト6を駆動し、支持ベルト6で品物Wを引込んで搬送体1上に支持し、この品物Wを搬送体1の移動により、搬出仕分け位置に搬送する。
なお、この品物Wの搬入の際には、品物Wの移動方向前方の支持ベルト6上の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、品物Wが移動方向前方に飛出すのを阻止し、これに続く搬送体1の移動による品物Wの搬送の際には、品物Wの両側方の突起9が、品物Wのストッパとして機能し、搬送体1が搬送路2のカーブに差掛かったときの遠心力等によって品物Wが搬送路2の側方に落ちるのを阻止するようになっている。」(明細書第13ページ第4ないし20行)

(3)甲第3号証に記載された事項

(ア)「【請求項1】 コンベア搬送面に設けた野菜保持部で球状野菜を保持して処理装置側に送る球状野菜の搬送用ベルトコンベアであって、
前記野菜保持部は、球状野菜をはめ込み自在に複数の野菜受止め体をコンベア搬送面に平面視で分割環状に突設して構成し、各野菜受止め体の野菜受け部を、球状野菜のはめ込みに伴って径方向外方側に弾性後退自在に構成してある球状野菜の搬送用ベルトコンベア。
【請求項2】 前記各野菜受止め体を弾性体で構成して、前記球状野菜のはめ込みに伴って、各野菜受止め体が弾性変形することで前記野菜受け部が前記径方向外方側に後退するよう構成してある請求項1記載の球状野菜の搬送用ベルトコンベア。
【請求項3】 前記各野菜受止め体を前記径方向に移動自在に構成するとともに、各野菜受止め体を前記径方向内方側に付勢する付勢手段を設けて、前記球状野菜のはめ込みに伴って、各野菜受止め体が前記付勢手段の付勢力に抗して、前記径方向外方側に機械的に弾性後退するよう構成してある請求項1記載の球状野菜の搬送用ベルトコンベア。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項3】)

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンベア搬送面に設けた野菜受け部で球状野菜を保持して処理装置側に送る球状野菜の搬送用ベルトコンベアに関する。」(段落【0001】)

(ウ)「【0004】本発明の目的は、球状野菜を野菜受け部で安定保持できるようにする点にある。」(段落【0004】)

(エ)「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、作業者により1個づつ供給されたレタスを複数の野菜保持部6で各別にはめ込み保持して横方向に送るベルトコンベア1と、このベルトコンベア1の横外方側に位置するレタス包装装置2(処理装置の一例で、以下、包装装置と称する)と、前記ベルトコンベア1で所定の取出し位置Aまで送られたレタスを取出して、包装装置2のレタス受入れ部8に送り込むロボットハンド4と、ベルトコンベア1・包装装置2・ロボットハンド4を制御する制御装置5とを設けてレタス包装設備を構成してある。
【0016】前記ベルトコンベア1の野菜保持部6は、図8,図9に示すように、複数のブロック状の野菜受止め体7を、リング板状の座20に平面視で分割環状に突設し、座20の裏面をコンベア搬送面10aに貼着して構成してある。また各野菜受止め体7・円板状の座20ともスポンジ(弾性体の一例)で一体形成して、図10(ロ),(ハ)に示すように、作業者がレタスをはめ込むに伴って、各野菜受止め体7が弾性変形することでその野菜受け部7aが径方向外方側に弾性後退するよう構成してある。図10(イ)に示すように、レタスは葉が全体的に開き気味にあっていることが多く、このような開き気味になっている場合でも作業者がレタスを絞り込んで野菜保持部6にはめ込むことで、そのレタスを野菜受け部7aの弾性復帰力で絞り込み状態のまま安定保持できる。」(段落【0015】及び【0016】)

(4)甲第4号証に記載された事項

(ア)「【請求項1】果菜(1)が搬送される主搬送体(2)の側方に、それから送り出される果菜(1)を引き継いで搬送する仲介搬送体(3)が配置され、それの先にそれから送り出される果菜(1)を引き継いで搬送する副搬送体(4)が配置され、仲介搬送体(3)は副搬送体(4)の幅方向に往復スライドしながら同副搬送体(4)に果菜(1)を送り込むことを特徴とする果菜選別装置における果菜送り出し機構。
【請求項2】請求項1記載の果菜選別装置における果菜送り出し機構において、副搬送体(4)は仲介搬送体(3)から所定数の果菜(1)が送り込まれる度に作動して受け継いだ果菜(1)を間欠的に搬送することを特徴とする果菜選別装置における果菜送り出し機構。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】)

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトマト、梨、柿、桃等の果菜をサイズ別(例えばSS、S、M、L、LL等)に選別して箱詰めするのに使用される果菜選別装置と組み合わせて使用される果菜送り出し機構に関するものであり、特にトマトの選別、箱詰めに利用するのに適したものである。」(段落【0001】)

(ウ)「【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は前記従来の果菜選別装置の課題を解決することにある。具体的には、果菜選別装置を大型化しなくても、数の多いサイズのトマトを余裕をもって箱詰めでき、同サイズのトマトが山積みになることもない果菜選別装置用の果菜送り出し機構を提供することにある。」(段落【0010】)

(エ)「【0014】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の果菜選別装置における果菜送り出し機構の実施形態を図1、図2に基づいて詳細に説明する。この機構は図1に示すように果菜選別装置の主搬送体2の側方に配置された複数の仲介搬送体3と、夫々の仲介搬送体3の搬送方向先方に配置された副搬送体4から構成され、図1に示すように主搬送体2の受け皿10に乗せられて一つづつ搬送されてくる果菜1のサイズを同主搬送体2による搬送途中で判別し、夫々のサイズに対応する仲介搬送体3の横に来たときに前記受け皿10を同仲介搬送体3側に反転させて当該受け皿10に乗せられている果菜1を仲介搬送体3に送り込み(落とし)、仲介搬送体3に送り込まれた果菜1を同搬送体3によってその先の副搬送体4に送り込み、副搬送体4に送り込まれた果菜1を同搬送体4の横で待機している作業者12が箱詰めするようにしたものである。尚、前記主搬送体2は従来のそれと同様に多数の受け皿10を無端状のチェーンコンベア(図示しない)に一定間隔で取り付け、チェーンコンベアを図1の矢印a方向へ回転駆動すると受け皿10も図1の矢印a方向に移動して、そこに載せられた果菜1が同方向へ搬送されるようにしたものである。
【0015】前記仲介搬送体3は図2に示すように通常のベルトコンベアと同様に無端帯状体(ゴムベルト)14を2つのローラ(図示しない)の間に掛け渡し、一方又は双方のローラをモータによって回転駆動すると無端帯状体14が図2の矢印b方向に回動し、その上に乗せられた果菜1が同方向に搬送されてその先の副搬送体4へ送り込まれると共に、矢印b方向に回動している無端帯状体14が同時に矢印c方向(副搬送体4の幅方向)に15cmづつ連続的に往復スライドして、果菜1が副搬送体4の幅方向へ分散されながら同副搬送体4へ送り込まれるようにしたものである。尚、仲介搬送体3の往復スライドの速度は、主搬送体2から送り込まれる果菜1の数やその速度、当該仲介搬送体3の搬送速度等に基づいて、副搬送体4の幅方向に果菜1を最も均等に分散させることが可能な速度としてある。
【0016】前記副搬送体4の基本構造は前記仲介搬送体3と同一である。異なるのは、前記仲介搬送体3が主搬送体2から果菜1が送り込まれる否かに関わらず連続的に作動するのに対し、当該副搬送体4は仲介搬送体3から所定数の果菜1が送り込まれる度に1ストロークづつ作動して、仲介搬送体3から送り込まれた所定数の果菜1を一まとまりとして図2の矢印b方向に間欠的に搬送することである。具体的には仲介搬送体3によって副搬送体4の幅方向に分散されながら同副搬送体4上に送り込まれた果菜1によって当該副搬送体4上に観念される一定スペース(副搬送体4の搬送方向における所定距離L×同搬送体4の幅Wから求められる)内が一杯になる度に図2の矢印b方向に回動して前記スペース内にある果菜1を同方向へ所定距離だけ(1ストローク分だけ)搬送するようにしてある。尚、前記所定数とは常に一定の数とすることもでき、又ある数を中心としたある程度ゆらぎをもった数とすることもできる。」(段落【0014】ないし【0016】)

(5)甲第5号証に記載された事項

(ア)「A chaque …(中略)… de division 5.」(本文第2ページ第11ないし17行)

〈甲第5号証参考翻訳文〉
「図示されていない1つまたは複数の固定ガイド手段に沿って方向Aに摺動するフレーム1の対向する各端部には(図1)、2個のローラ2と3が固定されており、これらのローラの軸は、進行方向Aに平行である。ローラ2と3を中心としてベルト4が張られ、このべルトに分割要素5が固定されている。」(翻訳文第1ページ第24ないし27行)

(イ)「Lorsque …(中略)… le dechargement. 」(本文第2ページ第26行ないし第3ページ第1行)

〈甲第5号証参考翻訳文〉
「平面支持体に荷が積まれるとき、分割要素5は、フレーム1の片側の付近にある。荷降ろしは、公知の任意の方法で遠隔で開始可能であるが、こうした荷降ろしのとき、カムまたは移動式のレール部分が遊星歯車10の軌道内に入って遊星歯車上でスライド移動し、分割要素5がフレーム1の反対側に達するまでベルト4を摺動させることによって荷降ろしを行う。」(翻訳文第2ページ第2ないし6行)

(6)甲第6号証に記載された事項

(ア)「(1)搬送路に沿って移動する搬送体の下部にこの搬送体の移動方向と交差する両側方向に移動可能な移動枠を設け、上記搬送体の両側部にそれぞれ1つ以上(n=1,2,3…)のベルト掛回し部材を配設するとともに、上記移動枠に上記ベルト掛回し部材の総数と同じ本数(2n)のローラを各ベルト掛回し部材に対応させて軸支し、上記搬送体の上部にこの搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトの中間部を配設するとともに、この支持ベルトの両端部を、それぞれ、上記両側のベルト掛回し部材とこのベルト掛回し部材に対応したローラとに交互に折返し状に掛回した後、上記搬送体の両側部に固定し、上記移動枠を側方に移動することにより上記支持ベルトを駆動することを特徴とする搬送装置。
・・・(中略)・・・
(4)搬送路に沿って移動する搬送体の下部にこの搬送体の移動方向と交差する両側方向に移動可能な移動枠を設け、上記搬送体の両側部にそれぞれ2つ以上(1+n、n=1,2,3…)のベルト掛回し部材を配設するとともに、上記移動枠に上記ベルト掛回し部材の総数よりも2本少ない本数(2n)のローラを各ベルト掛回し部材に対応させて軸支し、上記搬送体の上部にこの搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトの中間部を配設するとともに、この支持ベルトの両端部を、それぞれ、上記両側のベルト掛回し部材とこのベルト掛回し部材に対応したローラとに交互に折返し状に掛回した後、上記移動枠に固定し、この移動枠を側方に移動することにより上記支持ベルトを駆動することを特徴とする搬送装置。
・・・(後略)・・・」(特許請求の範囲の第1ないし6項)

(イ)「本発明は、品物を搬送路に沿って搬送し、かつ、搬送路の側方に搬出することのできる搬送装置に関するものである。」(第2ページ左上欄第11及び13行)

(ウ)「たとえば、品物を搬送路に沿って搬送し、この搬送路の複数か所において、品物を品種別や発送先別に選択的に搬送路の側方に搬出するようにした搬送仕分け装置と呼ばれる搬送装置には、搬送路を構成するコンベヤ上の品物をスクレーパやプッシャで側方に押出す方式のものや、搬送路に沿って走行する台車やスラットを側方に傾斜させてその上の品物を重力により側方に落下させる方式のもの等があるが、仕分けする品物に限定があり、小物、ばら物、軽量物、薄物、底面状態の悪い物等のように、ベルトコンベヤでしか搬送できないような品物の仕分けには無理がある。」(第2ページ左上欄第15行ないし同ページ右上欄第6行)

(エ)「上述した公報に示された搬送装置は、搬送路側に設けた作動機構(直線トラック、傾斜トラック及びゲート等から成るトレイユニット仕分作動装置)によって、搬送体側の被作動部材(ガイトホイール)を搬送路と交差する方向に移動し、この被作動部材(ガイトホイール)とともにベルトを移動するが、搬送体側において、ベルトの移動距離と被作動部材(ガイトホイール)の移動距離が同一のため、ベルト上の品物を完全に搬出するには、搬送体側の被作動部材(ガイトホイール)の作動ストロークを搬送体の横幅以上に取らなければならないという問題があり、このため、搬送体側のベルトに複数の被作動部材(ガイトホイール)を所定の間隔をおいて設け、この複数の被作動部材(ガイトホイール)を、搬送路側の作動機構(トレイユニット仕分作動装置)によって順送りで2回以上作動しなければならなかった。
本発明は、このような点に鑑み成されたもので、搬送路を移動する搬送体に、この搬送体の移動方向と交差する搬送方向性を有する支持ベルトを設け、この支持ベルトを搬送路側に設けた作動機構により駆動する搬送装置において、短い作動ストロークで、搬送体側の支持ベルトを長いストローク駆動することを目的とするものである。」(第2ページ左下欄第13行ないし同ページ右下欄第16行)

(オ)「本発明の搬送装置は、移動枠3を移動することにより支持ベルト6を駆動し、この際に、上述したような支持ベルト6の掛回し方及び支持ベルト6の固定位置によって、支持ベルト6の中間部つまり品物Wを支持する部分を、移動枠3の移動ストロークの整数倍のストローク移動することができ、第1の発明では2倍,4倍,6倍…の偶数(2n)倍、第2の発明では3倍,5倍,7倍…の奇数(1+2n)倍のストローク移動することができる。」(第3ページ右上欄第14行ないし同ページ左下欄第3行)

(カ)「本発明の搬送装置の実施例を図面を参照して説明する。
まず、第2の発明の実施例を説明する。
始めに、第1図により原理を説明した後、詳細を説明する。
1は搬送体で、この搬送体1は後述する搬送路2に沿って図示前後の方向に移動するようになっており、この搬送体1の下部に搬送体1の移動方向と交差する図示左右の両側方向に移動可能な移動枠3を設けてある。
そして、上記搬送体1の両側部に、それぞれ2本以上(1+n、n=1,2,3…)、ここでは(n=1で)それぞれ2本のベルト掛回し部材としてのローラ4を、上下2段に配してかつ上下左右で互いに平行に配して、軸支しであるとともに、上記移動枠3に上記ローラ4の総数(2+2n、n=1)の4本よりも2本少ない2本(2n)のローラ5を上記各ローラ4の上下の間隙に対応して軸支しである。
そして、上記搬送体1の上部に、この搬送体1の移動方向と交差する両側方向の搬送方向性を有する平ベルトから成る支持ベルト6の中間部を配置しであるとともに、この支持ベルト6の両端部を、それぞれ、上記両側のローラ4とこのローラ4に対応した中間のローラ5とに交互に折返し状に掛回した後、上記移動枠3に固定してある。」(第3ページ左下欄第4行ないし同ページ右下欄第10行)

(キ)「この構成において、移動枠3を、たとえば移動枠3の下部に軸支したコロ7等を押すことによって、両側方向に移動すると、ローラ4が定滑車、ローラ5が動滑車のように作用し、滑車の原理にしたがって、搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部が、移動枠3の移動方向と反対の方向に向かって、移動枠3の移動ストロークSの奇数(1+2n)倍、ここでは(n=1で)3倍のストローク3S移動する。
したがって、搬送体1上部の支持ベルト6中間郡の上に品物Wを支持すると、この品物Wを、搬送体1の移動によって搬送路2に沿って搬送することができ、そして、この品物Wを、移動枠3の移動によって搬送体1が移動する搬送路2の側方に搬出することができ、(A)に示すように、移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態で、搬送体1上部の支持ベルト6中間部に品物Wを支持し、この(A)に示す状態から、(B)に示すように、移動枠3を搬送体1内で左側に移動すると、品物Wを完全に右側に搬出することができ、逆に、(A)に示す状態から、(C)に示すように、移動枠3を搬送体1内で右側に移動すると、品物Wを完全に左側に搬出することができる。」(第3ページ右下欄第11行ないし第4ページ左上欄第13行)

(ク)「第2図ないし第4図は上記搬送体1の詳細を示すものである。
搬送体1は、その両側下部に複数の水平及び垂直の車輪11を有し、この複数の車輪11を介して上記搬送路2を構成する両側一対の走行レール12に移動自在に支持されるようになっており、同様に、移動枠3も、複数の水平及び垂直の車輪13を有し、この複数の車輪13を介して搬送体1に移動自在に支持されており、搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部、つまり、品物Wを支持する部分は搬送体1に設けられた支持板14上に支持されている。」(第4ページ右上欄第3ないし14行)

(ケ)「第5図は上記搬送体1を搬送仕分け装置に用いた場合のレイアウトの一例を示すものである。
上記搬送路2は無端状に形成されており、この搬送路2を構成する上記走行レール12に、多数の搬送体1が、それぞれ、その車輪11を介して移動自在に支持され、この搬送路2上で多数の搬送体1が無端状にチェーンのように連結され、搬送路2の適所に設けられた図示しない駆動機構により、1個ないし数個の搬送体1を駆動することにより、搬送路2上の多数の搬送体1が全体的に図示時計方向に循環移動するようになっている。
そして、この搬送路2には、1か所の搬入位置21と、複数か所の搬出仕分け位置22と、1か所の搬出キャンセル位置23が搬送体1の移動方向に沿って順番に設定され、搬入位置21の一側部には搬入コンベヤ24が接続され、複数か所の搬出仕分け位置22のそれぞれの両側部または一側部には下降傾斜状の搬出シュート25が接続され、搬出キャンセル位置23の一側部には下降傾斜状の搬出シュート26が接続され、この搬出シュート26には返送コンベヤ27が接続されている。」(第4ページ右上欄第15行ないし同ページ左下欄第15行)

(コ)「そして、上記複数か所の搬出仕分け位置22には、第7図にも示すように、その両側部または一側部の搬出シュート25に対応して、上記搬送体1の移動枠3下部のコロ7を搬送路2の中央部の一対の案内レール41間から搬送路2の両側部または一側部の一対の案内レール42間に選択的に移動させる水平方向回動可能の可動式の切換えレール43及び固定式の切換えレール44が設けられており、各搬出仕分け位置22において、可動式の切換えレール43が切換え動作を行なって、この切換えレール43がその上流側の案内レール41に隣接した案内レール41とその下流側の固定式の切換えレール44を斜めに連結している状態では、搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、搬送体1の移動とともに、上流側中央部の案内レール41間から、切換え動作を行なった切換えレール43及び固定式の切換えレール44を介して、下流側の側部の案内レール42間に案内され、これによって、コロ7とともに移動枠3が搬送体1の中央部から側部に移動し、搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部がコロ7の移動方向と反対の搬出シュート25に向かって駆動回行され、また、可動式の切換えレール43が切換え動作を行なわずに、この切換えレール43がその上流側の案内レール41とその下流側の案内レール41を真直ぐに連結している状態では、搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、搬送体1の移動とともに、上流側中央部の案内レール41間からそのまま下流側中央部の案内レール41間に案内され、これによって、コロ7とともに移動枠3が搬送体1の中央部に位置した状態を維持する。」(第4ページ右下欄第18行ないし第5ページ右上欄第7行)

(サ)「そうして、この第5図の搬送仕分け装置では、多数の搬送体1を搬送路2に沿って時計方向に循環移動し、この状態で、搬入位置21を移動する搬送体1の上部にある支持ベルト6の中間部に、搬入コンベヤ24により品物Wを搬入し、この品物Wを搬送体1の移動により、搬出仕分け位置22に搬送する。
そして、各搬出仕分け位置22において、搬出仕分けを行なう品物Wを乗せた搬送体1が到着した場合には、品物Wを搬出する搬出シュート25と反対側の可動式の切換えレール43に切換え動作を行なわせて、搬送体1の移動枠3下部のコロ7を、搬送体1の移動とともに、上流側中央部の案内レール41間から、切換え動作を行なった切換えレール43及び固定式の切換えレール44を介して、下流側の側部の案内レール42間に案内し、これによって、コロ7とともに移動枠3を搬送体1の中央部から側部に移動し、搬送体1の上部にある支持べルト6の中間部をコロ7の移動方向と反対の搬出シュート25に向かって駆動回行し、支持ベルト6上の品物Wを搬出シュート25に搬出する。」(第5ページ右下欄第3行ないし第6ページ左上欄第3行)

(シ)「また、品物Wを搬出した搬送体1の移動枠3下部のコロ7は、搬出キャンセル位置23を通過した後、切換えレール47によって搬送路2の中央部に移動し、その後に搬入位置21において支持ベルト6上に乗せられる品物Wをどの方向にも搬出できるようになる。」(第6ページ右上欄第19行ないし同ページ左下欄第4行)


2.甲第1号証ないし甲第6号証の記載事項から分かること

(1)甲第1号証の記載事項から分かること

(ア)上記1.(1)(ア)ないし(エ)及び図1ないし7からみて、自動選別装置の走行体1は、無端搬送体に多数取付けられた搬送路5の供給部において走行体1の上に果菜2を載せて搬送し、搬送中に果菜2を光学センサ10で計測して等階級等を判別し、走行体1の上の果菜2を判別結果に基づいて振り分けて搬送路5の搬送方向側方に送り出しているものであるので、自動選別装置用の走行体1であることが分かる。
また、走行体1は、搬送路5の搬送方向側方に回転可能なベルトコンベア3を備え、ベルトコンベア3の上に果菜2を載せることのできるベルトコンベア3のベルト23の上面部が設けられ、前記ベルトコンベア3のベルト23の上面部はベルトコンベア3の往回転に伴ってその往回転方向に移動することが分かる。

(イ)上記1.(1)(ア)ないし(エ)及び図1ないし7からみて、自動選別装置は、果菜2を自動選別する方法を行っており、この果菜2の自動選別方法は、走行体1が無端搬送体に多数取付けられた搬送路5の供給部において走行体1の上に果菜2を載せて搬送し、搬送中に果菜2を光学センサ10で計測して等階級等を判別し、走行体1の上の果菜2を判別結果に基づいて振り分けて搬送路5の搬送方向側方に送り出していることが分かる。
また、この果菜2の自動選別方法は、走行体1の回転可能なベルトコンベア3のベルト23の上面部の上に載せた果菜2を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、当該搬送中に果菜2の等階級等を判別し、果菜2搬送中に前記ベルトコンベア3を判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記ベルトコンベア3のベルト23の上面部の上の果菜2を搬送方向側方に送り出していることが分かる。

(2)甲第2号証の記載事項から分かること

(ア)上記1.(1)(ア)及び(エ)ないし(サ)並びに第1ないし5図からみて、品物Wを搬送する搬送体1(以下、「品物W搬送体1」という。)は、品物Wを搬出仕分けする搬送装置用のものであり、この品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1は、品物W搬送体1が取付けられた「品物Wの搬送路2」の供給部において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを搬送路2の搬送方向側方に送り出すものであることが分かる。
また、この品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1は、搬送路2の搬送方向側方に往復回転可能な支持ベルト6を備え、支持ベルト6の上に品物Wを載せることのできる「支持ベルト6の中間部」が設けられ、支持ベルト6の上方であって前記「支持ベルト6の中間部」よりも往回転方向後方に突起9仕切り体が設けられ、突起9は前記「支持ベルト6の中間部」よりも上方に突出しており、支持ベルト6の往回転に伴ってその往回転方向に移動するものであることが分かる。

(イ)上記1.(1)(ア)及び(エ)ないし(サ)並びに第1ないし5図からみて、品物Wを搬出仕分けする搬送装置は、品物Wを搬出仕分けする搬送方法を実行するものであり、当該品物Wを搬出仕分けする搬送方法は、品物W搬送体1が取付けられた「品物Wの搬送路2」の供給部において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを搬送路2の搬送方向側方に送り出す方法であることが分かる。
また、この品物Wを搬出仕分けする搬送方法は、品物W搬送体1の往復回転可能な支持ベルト6の「支持ベルト6の中間部」の上に載せた品物Wを、搬送して、前記支持ベルト6を搬送方向側方に往回転させて、前記「支持ベルト6の中間部」の上の品物Wを搬送方向側方に送り出す方法であることが分かる。

(3)甲第3号証の記載事項から分かること

上記1.(3)(ア)ないし(エ)並びに図1、8ないし10からみて、ベルトコンベア1は、レタス等の球状野菜の搬送用であり、当該球状野菜の搬送用ベルトコンベア1は、ベルトコンベア1のベルトの野菜保持部6が球状野菜を載せることのできる複数の野菜受止め体7及び円板状の座20を備えていることが分かる。

(4)甲第4号証の記載事項から分かること

(ア)上記1.(4)(ア)ないし(エ)並びに図1及び2からみて、果菜選別装置は、複数の仲介搬送体3・副搬送体4が果菜搬送方向側方に配置され、それら仲介搬送体3・副搬送体4は搬送方向に間隔をあけて配置され、受け皿10から送り出される果菜が前記仲介搬送体3・副搬送体4にプールされることが分かる。
また、果菜選別装置は、仲介搬送体3・副搬送体4は受け皿10から果菜が送り出される所定数の度に仲介搬送体3・副搬送体4のうちの副搬送体4が回転して、受け皿10から送り出される果菜をプールできることが分かる。

(イ)上記1.(4)(ア)ないし(エ)並びに図1及び2からみて、果菜選別装置は、果菜を選別することを行っており、このことは果菜選別方法といえることであって、当該果菜選別方法は、果菜を選別することにより受け皿10から搬送方向側方に送り出されるのであることから、判別結果に基づいて果菜を受け皿10から搬送方向側方に送り出され、この送り出された果菜を、主搬送体2の搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の仲介搬送体3・副搬送体4にプールする方法であることが分かる。
また、前記果菜選別方法は、仲介搬送体3・副搬送体4から果菜が送り出される所定数の度に仲介搬送体3・副搬送体4のうちの副搬送体4を移動させて、送り出される果菜を仲介搬送体3・副搬送体4にプールさせる方法であることが分かる。

(5)甲第5号証の記載事項から分かること

(ア)上記1.(5)(ア)及び(イ)並びに第1及び2図からみて、荷の選別装置の荷の積まれる平面支持体は、荷の積まれる平面支持体が供給部において荷の積まれる平面支持体の上に荷を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出すことが分かる。
また、荷の選別装置の荷の積まれる平面支持体は、搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能なベルト4を備え、ベルト4の上に荷を載せることのできるベルト4の上面部分が設けられ、ベルト4の上方であって前記ベルト4の上面部分よりも往回転方向後方に分割要素5が設けられ、分割要素5は前記ベルト4の上面部分よりも上方に突出しており、ベルト4の往回転に伴ってその往回転方向に移動することが分かる。

(イ)上記1.(5)(ア)及び(イ)並びに第1及び2図からみて、荷の選別装置により行われることが荷の選別方法であり、当該荷の選別方法は、荷の積まれる平面支持体が供給部において荷の積まれる平面支持体の上に荷を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す方法であることが分かる。
また、前記荷の選別方法は、荷の積まれる平面支持体の往復回転可能なベルト4のベルト4の上面部分の上に載せた荷を、搬送方向に搬送して搬送方向側方に往回転させて、前記ベルト4の上面部分の上の荷を搬送方向側方に送り出す方法でもあることが分かる。

(6)甲第6号証の記載事項から分かること

(ア)上記1.(6)(ア)、(イ)及び(エ)ないし(シ)並びに第1ないし5及び7図からみて、品物Wを搬送する搬送体1(以下、「品物W搬送体1」という。)は、品物Wを搬出仕分けする搬送装置用のものであり、この品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1は、品物W搬送体1が取付けられた走行レール12に多数取付けられた「品物Wの搬送路2」の搬入位置21において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、前記品物W搬送体1の上の品物Wを振り分けて搬送路2の搬送方向側方に送り出すものであることが分かる。
また、この品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1は、搬送路2の搬送方向側方に往復回転可能な支持ベルト6を備え、支持ベルト6の上に品物Wを載せることのできる「支持ベルト6の中間部」が設けられ、この「支持ベルト6の中間部」は、支持ベルト6の往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻ることが分かる。

(イ)上記1.(6)(ア)、(イ)及び(エ)ないし(シ)並びに第1ないし5及び7図からみて、品物Wを搬出仕分けする搬送装置は、品物Wを搬出仕分けする搬送方法を実行するものであり、当該品物Wを搬出仕分けする搬送方法は、品物W搬送体1が走行レール12に多数取付けられた「品物Wの搬送路2」の搬入位置21において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを振り分けて搬送路2の搬送方向側方に送り出す方法であることが分かる。
また、この品物Wを搬出仕分けする搬送方法は、品物W搬送体1の往復回転可能な支持ベルト6の「支持ベルト6の中間部」の上に載せた品物Wを、搬送して、前記支持ベルト6を搬送方向側方に往回転させて、前記「支持ベルト6の中間部」の上の品物Wを搬送方向側方に送り出し、往回動した支持ベルト6を前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記「支持ベルト6の中間部」を元の位置に戻して、前記多数の品物W搬送体1の「支持ベルト6の中間部」を搬送方向に並べる方法であることが分かる。


3.甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明

(1)甲第1号証に記載された発明の認定

(1-1)甲第1号証に記載された発明1の認定

上記1.(1)及び2.(1)(ア)並びに図面の記載を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ベルトコンベア3が走行体1に多数取付けられた搬送路5の供給部においてベルトコンベア3の上に果菜2を載せて搬送し、搬送中に果菜2を光学センサ10で計測して等階級等を判別し、ベルトコンベア3の上の果菜2を判別結果に基づいて振り分けて搬送路5の搬送方向側方に送り出す自動選別装置のベルトコンベア3において、
ベルトコンベア3は搬送路5の搬送方向側方に回転可能なベルト23を備え、ベルト23の上に果菜2を載せることのできるベルト23の上面部が設けられ、前記ベルト23の上面部はベルト23の往回転に伴ってその往回転方向に移動する自動選別装置用のベルトコンベア3。」

(1-2)甲第1号証に記載された発明2の認定

さらに、上記1.(1)及び2.(1)(イ)並びに図面の記載を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。

「ベルトコンベア3が走行体1に多数取付けられた搬送路5の供給部においてベルトコンベア3の上に果菜2を載せて搬送し、搬送中に果菜2を光学センサ10で計測して等階級等を判別し、ベルトコンベア3の上の果菜2を判別結果に基づいて振り分けて搬送路5の搬送方向側方に送り出す果菜2の自動選別方法において、
ベルトコンベア3の回転可能なベルト23のベルト23の上面部の上に載せた果菜2を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、当該搬送中に果菜2の等階級等を判別し、果菜2搬送中に前記ベルト23を判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記ベルト23の上面部の上の果菜2を搬送方向側方に送り出す、果菜2の自動選別方法。」

(2)甲第2号証に記載された発明の認定

(2-1)甲第2号証に記載された発明1の認定

(ア)上記1.(2)及び2.(2)並びに図面の記載を総合すると、甲第2号証には以下の発明(以下、「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。

「品物W搬送体1が取付けられた品物Wの搬送路2の供給部において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを搬送路2の搬送方向側方に送り出す品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1において、
品物W搬送体1は搬送路2の搬送方向側方に往復回転可能な支持ベルト6を備え、支持ベルト6の上に品物Wを載せることのできる支持ベルト6の中間部が設けられ、支持ベルト6の上方であって前記支持ベルト6の中間部よりも往回転方向後方に突起9仕切り体が設けられ、突起9は前記支持ベルト6の中間部よりも上方に突出しており、支持ベルト6の往回転に伴ってその往回転方向に移動する、品物Wを搬出仕分けする搬送装置用の品物W搬送体1。」

(イ)上記甲2発明1を本件特許発明1の用語、及び本件特許発明1と甲2発明1との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬送方向側方に送り出す選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する、物品選別装置用の物品載せ体。」

(2-2)甲第2号証に記載された発明2の認定

(ア)さらに、上記1.(2)及び2.(2)(イ)並びに図面の記載を総合すると、甲第2号証には以下の発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。

「品物W搬送体1が取付けられた品物Wの搬送路2の供給部において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを搬送路2の搬送方向側方に送り出す品物Wを搬出仕分けする搬送方法において、
品物W搬送体1の往復回転可能な支持ベルト6の支持ベルト6の中間部の上に載せた品物Wを、搬送して、前記支持ベルト6を搬送方向側方に往回転させて、前記支持ベルト6の中間部の上の品物Wを搬送方向側方に送り出す、品物Wを搬出仕分けする搬送方法。」

(イ)上記甲2発明2を本件特許発明6の用語、及び本件特許発明6と甲2発明2との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送して、前記搬送ベルトを搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出す、物品選別方法。」

(3)甲第3号証に記載された発明の認定

(ア)上記1.(3)及び2.(3)並びに図面の記載を総合すると、甲第3号証には以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「球状野菜の搬送用ベルトコンベア1において、ベルトコンベア1のベルトの野菜保持部6が、球状野菜を載せることのできる複数の野菜受止め体7及び円板状の座20を備えた球状野菜の搬送用ベルトコンベア1。」

(イ)上記甲3発明を本件特許発明2の用語、及び本件特許発明2と甲3発明との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「果菜用ベルトコンベアにおいて、ベルトの受け部が、果菜を載せることのできる受け部材を備えた果菜用ベルトコンベア。」

(4)甲第4号証に記載された発明の認定

(4-1)甲第4号証に記載された発明1の認定

(ア)上記1.(4)及び2.(4)並びに図面の記載を総合すると、甲第4号証には以下の発明(以下、「甲4発明1」という。)が記載されていると認められる。

「果菜選別装置において、複数の仲介搬送体3・副搬送体4が果菜搬送方向側方に配置され、それら仲介搬送体3・副搬送体4は搬送方向に間隔をあけて配置され、受け皿10から送り出される果菜が前記仲介搬送体3・副搬送体4にプールされる果菜選別装置であって、
仲介搬送体3・副搬送体4は受け皿10から果菜が送り出される所定数の度に仲介搬送体3・副搬送体4のうちの副搬送体4が回転して、受け皿10から送り出される果菜をプールできる果菜選別装置。」

(イ)上記甲4発明1を本件特許発明4及び5の用語、及び本件特許発明4及び5と甲4発明1との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「果菜選別装置において、複数の果菜引受け体が果菜搬送方向側方に配置され、それら果菜引受け体は搬送方向に間隔をあけて配置され、果菜載せ体から送り出される果菜が前記果菜引受け体にプールされる果菜選別装置であって、
果菜引受け体は果菜載せ体から果菜が送り出される所定数度に回転して、果菜載せ体から送り出される果菜をプールできる果菜選別装置。」

(4-2)甲第4号証に記載された発明2の認定

(ア)さらに、上記1.(4)及び2.(2)(イ)並びに図面の記載を総合すると、甲第4号証には以下の発明(以下、「甲4発明2」という。)が記載されていると認められる。

「果菜選別方法において、判別結果に基づいて受け皿10から搬送方向側方に送り出される果菜を、主搬送体2の搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の仲介搬送体3・副搬送体4にプールする果菜選別方法であって、
仲介搬送体3・副搬送体4から果菜が送り出される所定数の度に仲介搬送体3・副搬送体4のうちの副搬送体4を移動させて、送り出される果菜を仲介搬送体3・副搬送体4にプールさせる果菜選別方法。」

(イ)上記甲4発明2を本件特許発明7及び8の用語、及び本件特許発明7及び8と甲4発明2との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「果菜選別方法において、判別結果に基づいて果菜載せ体から搬送方向側方に送り出される果菜を、果菜搬送ラインの搬送方向側方に間隔をあけて配置された二以上の果菜引受け体にプールする果菜選別方法であって、
果菜載せ体から果菜が送り出される所定数度に果菜引受け体を移動させて、送り出される果菜を果菜引受け体にプールさせる果菜選別方法。」

(5)甲第5号証に記載された発明の認定

(5-1)甲第5号証に記載された発明1の認定

(ア)上記1.(5)及び2.(5)並びに図面の記載を総合すると、甲第5号証には以下の発明(以下、「甲5発明1」という。)が記載されていると認められる。

「荷の積まれる平面支持体が供給部において荷の積まれる平面支持体の上に荷を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す荷の選別装置の荷の積まれる平面支持体において、
荷の積まれる平面支持体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能なベルト4を備え、ベルト4の上に荷を載せることのできるベルト4の上面部分が設けられ、ベルト4の上方であって前記ベルト4の上面部分よりも往回転方向後方に分割要素5が設けられ、分割要素5は前記ベルト4の上面部分よりも上方に突出しており、ベルト4の往回転に伴ってその往回転方向に移動する、荷の選別装置用の荷の積まれる平面支持体。」

(イ)上記甲5発明1を本件特許発明1の用語、及び本件特許発明1と甲5発明1との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する、物品選別装置用物品載せ体。」

(5-2)甲第5号証に記載された発明2の認定

(ア)さらに、甲第5号証には以下の発明(以下、「甲5発明2」という。)が記載されていると認められる。

「荷の積まれる平面支持体が供給部において荷の積まれる平面支持体の上に荷を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す荷の選別方法において、
荷の積まれる平面支持体の往復回転可能なベルト4のベルト4の上面部分の上に載せた荷を、搬送方向に搬送して、搬送方向側方に往回転させて、前記ベルト4の上面部分の上の荷を搬送方向側方に送り出す、荷の選別方法。」

(イ)上記甲5発明2を本件特許発明6の用語、及び本件特許発明6と甲5発明2との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送方向に搬送して、搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出す、物品選別方法。」

(6)甲第6号証に記載された発明の認定

(6-1)甲第6号証に記載された発明1の認定

(ア)上記1.(6)及び2.(6)並びに図面の記載を総合すると、甲第6号証には以下の発明(以下、「甲6発明1」という。)が記載されていると認められる。

「品物W搬送体1が走行レール12に多数取付けられた品物Wの搬送路2の搬入位置21において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを振り分けて搬送路2の搬送方向側方に送り出す品物Wを搬出仕分けする搬送装置の品物W搬送体1において、
品物W搬送体1は搬送路2の搬送方向側方に往復回転可能な支持ベルト6を備え、支持ベルト6の上に品物Wを載せることのできる支持ベルト6の中間部が設けられ、支持ベルト6の中間部は、支持ベルト6の往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る、品物Wを搬出仕分けする搬送装置用の品物W搬送体1。」

(イ)上記甲6発明1を本件特許発明1の用語、及び本件特許発明1と甲6発明1との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が無端搬送体に多数取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの特定部分は、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る、物品選別装置用の物品載せ体。」

(6-2)甲第6号証に記載された発明2の認定

(ア)さらに、上記1.(6)及び2.(6)(イ)並びに図面の記載を総合すると、甲第6号証には以下の発明(以下、「甲6発明2」という。)が記載されていると認められる。

「品物W搬送体1が走行レール12に多数取付けられた品物Wの搬送路2の搬入位置21において品物W搬送体1の上に品物Wを載せて搬送し、品物W搬送体1の上の品物Wを振り分けて搬送路2の搬送方向側方に送り出す品物Wを搬出仕分けする搬送方法において、
品物W搬送体1の往復回転可能な支持ベルト6の支持ベルト6の中間部の上に載せた品物Wを、搬送して、前記支持ベルト6を搬送方向側方に往回転させて、前記支持ベルト6の中間部の上の品物Wを搬送方向側方に送り出し、往回動した支持ベルト6を前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記支持ベルト6の中間部を元の位置に戻して、前記多数の品物W搬送体1の支持ベルト6の中間部を搬送方向に並べる、品物Wを搬出仕分けする搬送方法。」

(イ)上記甲6発明2を本件特許発明6の用語、及び本件特許発明6と甲6発明2との共通する上位概念の用語を用いて記載すると、次のとおりである。

「物品載せ体が無端搬送体に多数取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送して、前記搬送ベルトを搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出し、往回動した搬送ベルトを前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記受け部を元の位置に戻して、前記多数の物品載せ体の受け部を搬送方向に並べる、物品選別方法。」


4.本件特許発明1の容易想到性

4-1.対比

本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1における「ベルトコンベア3」は、その機能、形状、構造及び技術的意義からみて、本件特許発明1における「果菜載せ体」に相当し、以下同様に、「走行体1」は「無端搬送体」に、「搬送路5」は「果菜搬送ライン」及び「搬送ライン」のそれぞれに、「果菜2」は「果菜」に、「光学センサ10」は「計測部」に、「自動選別装置」は「果菜自動選別装置」に、「ベルト23」は「搬送ベルト」に、「ベルト23の上面部」は「受け部」に、「自動選別装置」は「果菜自動選別装置」に、「自動選別装置用のベルトコンベア3」は「果菜自動選別装置用果菜載せ体」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明1における「回転可能な」は、「回転可能な」という限りにおいて、本件特許発明1における「往復回転可能な」に相当し、以下同様に、
「ベルト23の上面部はベルト23の往回転に伴ってその往回転方向に移動する」は、ベルト23の上面部(受け部)と仕切り体とは、搬送ベルトに設けられた特定部分であることから、「搬送ベルトに設けられた特定部分は搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する」という限りにおいて、仕切り体は「搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る」に相当する。

よって、本件特許発明1と甲1発明1とは、
「果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別装置の果菜載せ体において、
果菜載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に果菜を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトに設けられた特定部分は搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する果菜自動選別装置用果菜載せ体。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
搬送ベルトの回転動作及び仕切り体に関し、
本件特許発明1においては、搬送ベルトの回転動作は「往復回転可能」であり、仕切り体は「搬送ベルトの上方であって受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る」のに対して、
甲1発明1においては、ベルト23(搬送ベルト)は「回転可能」であるが「往復回転可能」は否か不明であり、仕切り体は設けられておらず、「ベルト23(搬送ベルト)に設けられたベルト23の上面部(受け部)はベルト23(搬送ベルト)の往回転に伴ってその往回転方向に移動する」が、前記の特定のベルト23の上面部(受け部)復回転に伴ってその復回転方向に戻るか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。


4-2.相違点1についての検討

(1)上記3.(2)(2-1)(イ)のとおり、甲2発明1は、
「物品載せ体が取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬送方向側方に送り出す選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する、物品選別装置用の物品載せ体。」
である。
また、上記3.(5)(5-1)(イ)のとおり、甲5発明1は、
「物品載せ体が供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの上方であって前記受け部よりも往回転方向後方に仕切り体が設けられ、仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動する、物品選別装置用物品載せ体。」
である。

(2)しかしながら、上記甲1発明1、甲2発明1及び甲5発明1はいずれも、「果菜自動選別装置用果菜載せ体において、搬送ベルトに設けられた仕切り体(及び当該仕切り体と特定の位置関係にある受け部)が、往回転後、復回転に伴ってその復回転方向(の特定の戻り位置)に戻る」という点を有していない。
このような点により、仕切り体及び当該仕切り体と特定の位置関係にある受け部を、往回転後、復回転に伴ってその復回転方向に戻すことにより、特定の戻り位置に戻して、次回の計測部での計測をし易くすることができることになる。
これに対し、そもそも甲第2号証又は甲第5号証には、搬送中に物品を計測部で計測して等階級等を判別し、物品の載せ体の上の物品を判別結果に基づいて振り分けることは記載も示唆もされておらず、このため、物品選別装置用の物品載せ体という上位概念における技術分野では共通するものの、甲1発明1において、上記甲2発明1又は甲5発明1を組み合わせる動機があるとはいえない。

(3)また、被請求人が前記第4の2.の2-1.の1-1-2.及び2-1-3.並びに2-9.ないし2-11.において主張しているように、傷付きやすい果菜を傷付けることなく搬送するとする本件特許発明1と同様の甲1発明1において、物品として果菜も含むかどうか不明であって傷付きやすい物品を傷付けることなく搬送するという課題や技術思想のない甲2発明1又は甲5発明1の物品選別装置の物品載せ体を適用するための動機付けがあるとは言い難い。

(4)よって、 甲1発明1において、上記甲2発明1又は甲5発明1を適用することは当業者にとって容易であるとはいえないし、仮に、上記の適用することがなし得たとしても、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることはできない。

(5)また、上記3.(6)(6-1)(イ)のとおり、甲6発明1は、
「物品載せ体が無端搬送体に多数取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別装置の物品載せ体において、
物品載せ体は搬送ラインの搬送方向側方に往復回転可能な搬送ベルトを備え、搬送ベルトの上に物品を載せることのできる受け部が設けられ、搬送ベルトの特定部分は、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る、物品選別装置用の物品載せ体。」
である。
そして、上記甲6発明1には、「搬送ベルトのの特定部分である受け部は、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に伴ってその復回転方向に戻る」事項が含まれており、甲2発明1又は甲5発明1にない「往回転後、復回転に伴ってその復回転方向に戻る」点を有している。

(6)しかしながら、甲6発明1を甲2発明1又は甲5発明1に適用したものを甲1発明1に適用することはできないし、その動機付けも上記(2)及び(3)と同様にあるとはいえない。

(7)よって、 甲1発明1において、上記甲2発明1又は甲5発明1、及び甲6発明1を適用することは当業者にとって容易であるとはいえない。

(8)さらに、甲第3号証及び甲第4号証のいずれにも、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないことから、本件特許発明1は、甲1発明1、甲2発明1、甲3発明、甲4発明1、甲5発明1及び甲6発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(9)請求人は、上記第3 2.2-2.2-2-1.(2)(ア)及び(イ)に記載しているように、本件特許発明1の発明特定事項1E、すなわち「仕切り体は前記受け部よりも上方に突出しており、搬送ベルトの往回転に伴ってその往回転方向に移動し、復回転に件ってその復回転方向に戻ること」は、甲2D及び甲5Bに記載されていると主張している。
また、請求人は、上記第3 2.2-2.2-2-1.(3)(ア)及び(イ)に記載しているように、甲第1号証に甲第2号証(又は甲第5号証)を組み合わせられる旨主張している。

(10)しかしながら、上記発明特定事項1E、特に「復回転」に伴って「仕切り体」がその復回転方向に戻る点は、上記1.ないし3.並びに4.4-2.(1)及び(2)のとおりであり、甲第2号証及び甲第5号証のいずれも、「復回転」可能な構造であることは記載されているが、「復回転」に伴って「仕切り体」及び当該「仕切り体」と特定の位置関係にある「受け部」がその復回転方向に戻る、とまでは、第2号証及び甲第5号証の記載からは認定しきれない。
また、上記(2)にて述べたように、そもそも甲第2号証又は甲第5号証には、搬送中に物品を計測部で計測して等階級等を判別し、物品の載せ体の上の物品を判別結果に基づいて振り分けることは記載も示唆もされておらず、仕切り体及び当該仕切り体と特定の位置関係にある受け部を、往回転後、復回転に伴ってその復回転方向に戻すことにより、特定の戻り位置にして、次回の計測部での計測をし易くしようとする技術思想も覗えないので、甲1発明1において、上記甲2発明1又は甲5発明1を組み合わせる動機があるとはいえない。



第5-2 本件特許発明2ないし5についての進歩性の検討

本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1を引用する発明であって、本件特許発明1の発明特定事項をさらに限定するものである。そして、本件特許発明1が、上記第5-1のとおり、甲1発明1、甲2発明1及び甲5発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、同様の理由により、本件特許発明2ないし5は、甲1発明1、甲2発明1及び甲5発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
さらに、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証のいずれにも、上記第5-1で検討した相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないことから、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証について検討しても、本件特許発明2ないし5は、甲1発明1、甲2発明1、甲3発明、甲4発明1、甲5発明1及び甲6発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。



第5-3 本件特許発明6についての進歩性の検討

1.甲1発明2、甲2発明2及び甲5発明2

(1)甲1発明2
上記第5-1 3.(1)(1-2)の次のとおりである。

「ベルトコンベア3が走行体1に多数取付けられた搬送路5の供給部においてベルトコンベア3の上に果菜2を載せて搬送し、搬送中に果菜2を光学センサ10で計測して等階級等を判別し、ベルトコンベア3の上の果菜2を判別結果に基づいて振り分けて搬送路5の搬送方向側方に送り出す果菜2の自動選別方法において、
ベルトコンベア3の回転可能なベルト23のベルト23の上面部の上に載せた果菜2を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、当該搬送中に果菜2の等階級等を判別し、果菜2搬送中に前記ベルト23を判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記ベルト23の上面部の上の果菜2を搬送方向側方に送り出す、果菜2の自動選別方法。」

(2)甲2発明2
上記第5-1 3.(2)(2-2)(イ)の次のとおりである。

「物品載せ体が取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送して、前記搬送ベルトを搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出す、物品選別方法。」

(3)甲5発明2
上記第5-1 3.(5)(5-2)(イ)の次のとおりである。

「物品載せ体が供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送方向に搬送して、搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出す、物品選別方法。」


2.本件特許発明6の容易想到性

2-1.対比

本件特許発明6と甲1発明2とを対比すると、甲1発明2における「ベルトコンベア3」は、その機能、形状、構造及び技術的意義からみて、本件特許発明6における「果菜載せ体」に相当し、以下同様に、「走行体1」は「無端搬送体」に、「搬送路5」は「果菜搬送ライン」及び「搬送ライン」のそれぞれに、「果菜2」は「果菜」に、「光学センサ10」は「計測部」に、「果菜2の自動選別方法」は「果菜自動選別方法」に、「ベルト23」は「搬送ベルト」に、「ベルト23の上面部」は「受け部」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明2における「回転可能な」は、「回転可能な」という限りにおいて、本件特許発明6における「往復回転可能な」に相当する。

よって、本件特許発明6と甲1発明2とは、
「果菜載せ体が無端搬送体に多数取付けられた果菜搬送ラインの供給部において果菜載せ体の上に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測部で計測して等階級等を判別し、果菜載せ体の上の果菜を判別結果に基づいて振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す果菜自動選別方法において、
果菜載せ体の回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた果菜を、搬送方向に一列又は略一列に並べて搬送して、当該搬送中に果菜の等階級等を判別し、果菜搬送中に前記搬送ベルトを判別結果に基づいて搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の果菜を搬送方向側方に送り出す、果菜自動選別方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2>
搬送ベルトの回転動作及び受け部に関し、
本件特許発明6においては、搬送ベルトの回転動作は「往復回転可能」であり、受け部について「往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」のに対して、
甲1発明2においては、ベルト23(搬送ベルト)は「回転可能」であるが「往復回転可能」は否か不明であり、ベルト23の上面部(受け部)についての往回動後の移動動作は不明である点(以下、「相違点2」という。)。


2-2.相違点2についての検討

(1)甲2発明2は、上記1.(2)のとおりであり、また、甲5発明2は、上記1.(3)のとおりである。
上記甲1発明2、甲2発明2及び甲5発明2はいずれも、「果菜自動選別方法において、搬送ベルトに設けられた受け部について、往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」点を有していない。
このような点により、搬送ベルトに設けられた受け部について、往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の特定の位置に戻して、多数の物品の載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べるようにして、次回の計測部での計測をし易くすることができることになる(第4 2.2-6.2-6-2.参照。)。

(2)これに対し、そもそも甲第2号証又は甲第5号証には、搬送中に物品を計測部で計測して等階級等を判別し、物品の載せ体の上の物品を判別結果に基づいて振り分けることは記載も示唆もされておらず、このため、物品選別方法という上位概念における技術分野では共通するものの、甲1発明2において、上記甲2発明2又は甲5発明2を組み合わせる動機があるとはいえない。

(3)また、被請求人が前記第4の2.の2-1.の1-1-2.及び2-1-3.並びに2-9.ないし2-11.において主張しているように、傷付きやすい果菜を傷付けることなく搬送するとする本件特許発明6と同様の甲1発明2において、物品として果菜も含むかどうか不明であって傷付きやすい物品を傷付けることなく搬送するという課題や技術思想のない甲2発明2又は甲5発明2の物品選別装置の物品載せ体を適用するための動機付けがあるとは言い難い。

(4)よって、 甲1発明2において、上記甲2発明2又は甲5発明2を適用することは当業者にとって容易であるとはいえないし、仮に上記の適用することがなし得たとしても上記相違点2に係る本件特許発明6に係る発明特定事項とすることはできない。

(5)また、上記第5-1 3.(6)(6-2)(イ)のとおり、甲6発明2は、
「物品載せ体が無端搬送体に多数取付けられた物品搬送ラインの供給部において物品載せ体の上に物品を載せて搬送し、物品載せ体の上の物品を振り分けて搬送ラインの搬送方向側方に送り出す物品選別方法において、
物品載せ体の往復回転可能な搬送ベルトの受け部の上に載せた物品を、搬送して、前記搬送ベルトを搬送方向側方に往回転させて、前記受け部の上の物品を搬送方向側方に送り出し、往回動した搬送ベルトを前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記受け部を元の位置に戻して、前記多数の物品載せ体の受け部を搬送方向に並べる、物品選別方法。」
である。
そして、上記甲6発明2には、「往回動した搬送ベルトを前記送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて前記受け部を元の位置に戻して、前記多数の物品載せ体の受け部を搬送方向に並べる」事項が含まれており、甲2発明2又は甲5発明2にない「往回転後、搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に前記往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の物品載せ体の受け部を搬送方向に並べる」点を有している。

(6)しかしながら、甲6発明2を甲2発明2又は甲5発明2に適用したものを甲1発明2に適用することはできないし、動機付けも上記(1)ないし(3)と同様にあるとはいえない。

(7)また、甲1発明2に、甲2発明2又は甲5発明2を用いず、直接甲6発明2を適用したとしても、「受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」点は無く、さらに、上記(1)ないし(3)と同様に組み合わせる動機があるとはいえない。

(8)よって、 甲1発明2において、甲2発明2又は甲5発明2、及び甲6発明2を適用すること、又は、甲1発明2において、甲6発明2を適用することは当業者にとって容易であるとはいえない。

(9)さらに、甲第3号証及び甲第4号証のいずれにも、相違点2に係る本件特許発明6の発明特定事項は記載も示唆もされていないことから、本件特許発明6は、甲1発明2、甲2発明2、甲3発明、甲4発明2、甲5発明2及び甲6発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(10)請求人は、上記第3 2.2-2.2-2-6.(2)(ア)ないし(ウ)に記載しているように、本件特許発明6の発明特定事項6Cは、甲2D及び甲5Bに記載されていると主張している。
また、請求人は、上記第3 2.2-2.2-2-6.(3)に記載しているように、甲第1号証に甲第2号証(又は甲第5号証)を組み合わせられる旨主張している。

(11)しかしながら、上記発明特定事項6C、特に「往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」点は、上記第5-1 1.ないし3.並びに上記第5-3 2.2-2.(1)のとおりであり、甲第2号証及び甲第5号証のいずれも、「戻り回転」可能な構造であることは記載されているが、「往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の果菜載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べる」点は記載されていない。
また、上記(1)にて述べたように、そもそも甲第2号証又は甲第5号証には、搬送中に物品を計測部で計測して等階級等を判別し、物品の載せ体の上の物品を判別結果に基づいて振り分けることは記載も示唆もされておらず、搬送ベルトに設けられた受け部について、往回動した搬送ベルトを送り出し後の搬送方向への移動中に往回転と反対方向に戻り回転させて受け部を元の位置に戻して、多数の物品の載せ体の受け部を搬送方向に一列又は略一列に並べるようにして、次回の計測部での計測をし易くしようとする技術思想も覗えないので、甲1発明2において、上記甲2発明2又は甲5発明2を組み合わせる動機があるとはいえない。



第5-4 本件特許発明7及び8についての進歩性の検討

本件特許発明7及び8は、本件特許発明6を引用する発明であって、本件特許発明6の発明特定事項をさらに限定するものである。そして、本件特許発明6が、上記第5-3のとおり、甲1発明2、甲2発明2及び甲5発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、同様の理由により、本件特許発明7及び8は、甲1発明2、甲2発明2及び甲5発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
さらに、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証のいずれにも、上記第5-3で検討した相違点2に係る本件特許発明6の発明特定事項は記載も示唆もされていないことから、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証について検討しても、本件特許発明7及び8は、甲1発明2、甲2発明2、甲3発明、甲4発明2、甲5発明2及び甲6発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。



第5-5 無効理由に対するまとめ

以上のように、本件特許発明1ないし8は、甲1発明1及び2、甲2発明1及び2、甲3発明、甲4発明、甲5発明1及び2並びに甲6発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許発明1ないし8についての特許は同法第123条第1項第2号に該当し無効とされるべきであるとする請求人の主張には理由がない。



第6 むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1ないし8についての特許を無効とすることはできない。
また、他に本件特許発明1ないし8についての特許を無効とすべき理由を発見しない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-07 
結審通知日 2013-01-10 
審決日 2013-02-05 
出願番号 特願2001-285930(P2001-285930)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B07C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日下部 由泰  
特許庁審判長 小谷 一郎
特許庁審判官 金澤 俊郎
柳田 利夫
登録日 2012-02-10 
登録番号 特許第4920841号(P4920841)
発明の名称 果菜自動選別装置用果菜載せ体と、果菜自動選別装置と、果菜自動選別方法  
代理人 鮫島 正洋  
代理人 神崎 真  
代理人 小栗 久典  
代理人 小林 正英  
代理人 神崎 真一郎  
代理人 小林 正治  
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