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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65G
管理番号 1271769
審判番号 不服2011-392  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-07 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 特願2006-507116「仕分けコンベヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月23日国際公開、WO2004/080850、平成18年 8月31日国内公表、特表2006-519743〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、2004年3月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年3月12日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成17年9月12日付けで特許法第184条の5第1項の規定による書面が提出され、平成17年11月10日付けで特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出され、平成21年11月25日付けで拒絶理由が通知され、平成22年6月1日付けで意見書が提出されたが、平成22年8月31日付けで拒絶査定がなされ、平成23年1月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に同日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに、当審において平成23年5月9日付けで書面による審尋がなされ、平成23年8月26日付けで回答書が提出されたが、当審において平成24年2月10日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し、平成24年8月9日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものであって、その請求項1ないし59に係る発明は、平成24年8月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし59に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項25ないし29に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1ないし5」という。)、請求項37ないし39に係る発明(以下、それぞれ「本願発明6ないし8」という。)及び請求項58に係る発明(以下、「本願発明9」という。)は以下のとおりである。

「 【請求項25】
払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、20°未満の接触払出し角度で該一部に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明1」という。)
【請求項26】
前記接触払出し角度は約10°未満である、請求項25に記載の仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明2」という。)
【請求項27】
前記接触払出し角度は約5°未満である、請求項25に記載の仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明3」という。)
【請求項28】
前記一部は直線部分を含む、請求項25?27のいずれか一項に記載の仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明4」という。)
【請求項29】
前記一部は全て直線状である、請求項28に記載の仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明5」という。)
【請求項37】
払出し場所で長手方向下流に移動する無端搬送面上に配置される物品を選択的に払出せる方法であって、
a.前記無端搬送面上に取り付けられた複数のプッシャを準備し、前記無端搬送面とともに移動させるステップと、
b.前記無端搬送面を前記長手方向下流に移動させるステップと、
c.複数のプッシャからなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが最初の接触払出し角度で移動している間に、払出される前記物品の選択された1つを前記少なくとも1つのプッシャと最初に接触させるステップであって、前記最初の接触角度は約20°未満であるステップと、
d.該最初に接触させるステップの後に、前記の払出された組を、払出し案内経路に沿って複数の払出し角度で案内するステップと
を含む方法。(以下、「本願発明6」という。)
【請求項38】
前記最初の接触角度は10°未満である、請求項37に記載の方法。(以下、「本願発明7」という。)
【請求項39】
前記最初の接触角度は5°未満である、請求項37に記載の方法。(以下、「本願発明8」という。)
【請求項58】
払出し場所で物品を選択的に払出せるように構成される仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.前記払出し場所に関連する複数のスイッチであって、該複数のスイッチの1つは、
該複数のスイッチの最後のスイッチを含む複数のスイッチと、
b.少なくとも1つの半径を有する弓状部分を備え、該少なくとも1つの半径は少なくとも約0.30メートルである、前記最後のスイッチに関連する払出し案内経路と
を備える仕分けコンベヤ。(以下、「本願発明9」という。)」

2.引用文献1及び2に記載された発明
2-1.引用文献1に記載された発明
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由に引用された本願の優先日前に頒布された特開2003-34425号公報(平成15年2月7日公開。以下、「引用文献1」という。)には、次のような記載がある。

(ア)「【0028】実施形態1
図1?図5は本例の仕分装置による物品Pの分岐搬送の場合の状態を説明的に平面図で示したものであり、この図1において、1は直進するスラットコンベアを示し、かつこのスラットコンベア1は、搬送方向に短い寸法でかつ殆ど隙間なく連設されたスラット101と、このスラット101個々に外装嵌挿(図2?図5参照)された移動シュー2とを有するように設けられている。102はスラットコンベアのスラット101を無端回動させる左右一対の直進レールを示し、これらのレール102には無端回動チェーン103が装架されていて、移動シュー2を上記レール102に沿って無端回動させるように設けられている。なお、本例における物品Pは、農産物(リンゴ等)を上面中央に設けた凹部に載せたフリートレイ3として形成されていて、平面でみた外形は円形の同一形状になっている。
【0029】また本例においては、移動シューを直進搬送させるかあるいは分岐搬送させるかする位置を決める直進・分岐の位置選択装置が図3?図5に示されるように設けられている。
【0030】すなわち、本例における移動シュー2は、直進搬送される直進位置(図2の実線参照)にある状態から、分岐位置(図2の二点鎖線、図3の実線参照)にある状態に搬送横方向の位置が変更できるように、搬送横方向に移動可能にかつ自転不能にスラット101に外装嵌挿されている。
【0031】そしてこの移動シュー2は、スラット上部の位置に移動シュー側バネ手段のハウジング201が、摺動ロッド202と、この摺動ロッド202をスラット101の分岐側とは反対方向に押圧するバネ203とを収容するように設けられている。摺動ロッド202は該ハウジング201からスラット101に沿って外部に突出するように設けられ、スラット101の端部に固定的に設けた固定バネ手段105の摺動ロッド1052と係合されている。1051は固定バネ手段のハウジング、1053はバネであり、この固定バネ手段105の構造は、上記移動シュー側バネ手段とその向きが反対である他は同様に構成されていて、従って両者のバネ203,1053の双方のバネ力により離反する方向に常時バネ力が作用している。そして、固定バネ手段のハウジング1051に枢軸ピン106により搬送方向の軸回りに回転可能に支持された係合フック107が、移動シュー2上に設けた係合ピン204と係合可能になっていて、常時は、該係合フック107と係合ピン204の係合により、移動シュー2を図2の実線位置にロックさせ、後述するロック解除手段6により該ロックが解除されると、上記一対のバネ203,1053のバネ力により移動シュー2が押圧されて分岐位置(図2の二点鎖線位置)に移動されることになる。なお係合フック107は係合ピン204と係合する方向にバネ力が作用するように捩りバネ(図示せず)が組み付けられている。205は弾性シートであり、移動シューがフリートレイ3に衝合する際の衝撃を和らげるためのものである。以上の係合フック、係合ピン、バネ等により直進・分岐の位置選択装置が構成される。
【0032】また、移動シュー2のスラット下側には、垂直軸回りに回転可能のローラ206が垂下されていて、分岐搬送ガイド溝501(本例では3本)を有する分岐搬送ガイドとしてのガイド板5により、上記ローラ206がガイド溝501に案内されて図1に示すように分岐コンベア4にフリートレイ3を搬出するようになっている。なお502,503は、フリートレイ3を分岐コンベア4に搬出させた後の移動シュー2を初期位置(直進位置)に復帰させるための戻り搬送溝と戻り搬送ガイドである。」(段落【0028】ないし【0032】)

(イ)「【0033】6はロック解除手段であり、上記係合フック107の係合ピン204に対する係合を所定の位置で解除できるように、スラットコンベア1の搬送路の定点位置に設けられている(本例では3個)。このロック解除手段は、図2?図4に示すように、スラットコンベア1の支持フレーム7に固定して設けられた電磁ソレノイド601と、一端が支持フレーム7に搬送方向の軸回りに回転可能に支持され、先端が上記係合フックを図2の時計回り方向に押圧回転させることができるように係合可能とされ、中間部が上記電磁ソレノイド601により先端を図2の反時計回り方向に回転できるように係合したロック解除レバー602とを備えていて、通常は捩りバネ(図示せず)により、ロック解除レバー602の先端が係合フック107から離間する方向にバネ力が付勢されている。具体的には、少なくとも移動シュー2に保持されて、前記ロック解除により該移動シュー2をスラット101に対して搬送横方向に連行移動させる移動部材である摺動ロッド202と、この摺動ロッド202に該搬送横方向の押圧力を作用するバネ203とを有する。本例におけるこの機構は、上記のように少なくとも、移動シュー2に保持されて、前記ロック解除により該移動シュー2をスラット101に対して搬送横方向に連行移動させる摺動ロッド202と、この摺動ロッド202に該搬送横方向の押圧力を作用するバネ203とを有するように設けられるが、後述するように、移動シュー2に搬送横方向のバネ力を作用する他の機構を付加することもできる。
【0034】なおこのロック解除手段は、図示しない制御装置からの信号により、指示された分岐コンベアへのフリートレイ3の搬出を行うように設けられる。
【0035】この制御装置によるロック解除レバー602の好ましい動作態様は次のように説明される。
【0036】すなわち、ロック解除レバー602が作動して移動シュー2により、本例の農産物Pを載せた例えばフリートレイ3で代表的に採用される平面円形の形状をなす物品を搬送横方向に移動させる場合、該移動シュー2の最も理想的,効率的な作動は、フリートレイ3を搬送横方向に移動させるのに必要・十分なものだけを動作させることで達成される。平面矩形の物品の場合(実施形態2参照)も同様である。従って、かかる理想的な条件で実施できる場合には、搬送方向に連設される移動シュー2の一つをロック解除して搬送横方向に移動させればよい。具体的には図4に示すように、搬送する物品の搬送方向長の1/2っLの位置で該物品に係合する移動シュー2を搬送横方向に移動させればよい。
【0037】しかし、実機では種々の変動要因の影響を受ける場合が多いので、仕分動作の確実性,安定性を確保するためには、この機構を次のように構成することが好ましい。すなわち、上記スラットコンベア1の搬送方向に沿った所定位置に設けた上記ロック解除手段6によりロックが解除される移動シュー2は、少なくとも搬送する物品Pの搬送方向長の1/2の位置で該物品Pに係合するように搬送横方向に移動されるものを含むように構成することが好ましい。
【0038】より好ましい具体例としは、搬送される一つの物品Pに対して搬送横方向に移動される移動シュー2は、搬送方向長の(1/2)・Lの位置で該物品に係合するように移動される移動シュー2と、これに続く一乃至複数の移動シュー2とを含むことを特徴とするように物品の仕分装置を構成することが好ましく、より望ましくは、搬送される物品Pの搬送方向長の(1/2)・Lの位置で該物品Pに係合するように搬送横方向に移動される移動シュー2には、スラットコンベア101上を搬送される物品Pが所定位置を通過したことを検知する搬送位置検知手段(センサー8:図4参照)からの信号により動作されるロック解除手段6を有する移動シュー押圧手段と連係させる構成のものを挙げることができる。」(段落【0033】ないし【0038】)

(2)引用文献1記載の事項
上記(1)(ア)及び(イ)並びに図面の記載から、以下の事項がわかる。
(ウ)払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであることが分かる。

(エ)レール102には無端回動チェーン103が装架され、直進レール102によりスラットコンベアのスラット101は無端回動しているから、
仕分けコンベアは、長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面を有することが分かる。

(オ)直進・分岐の位置選択装置の下流に配置されたガイド板5は、直線部分及び分岐搬送ガイド溝501の湾曲部分を有するから、
直進・分岐の位置選択装置の下流に配置されたガイド板5は、複数の払出し角度を有することが分かる。

(カ)搬送される一つの物品に対して搬送横方向に移動される移動シュー2は、搬送方向長の(1/2)・Lの位置で該物品に係合するように移動される移動シュー2と、これに続く一乃至複数の移動シュー2とを含むから、
移動シュー2には、複数からなる払出された組があることが分かる。

(キ)複数からなる払出された組の少なくとも1つの移動シュー2が物品の選択された1つと最初に接触するときに、0°の接触払い出し角度であるガイド板5の直線部分に沿って移動することが分かる。

(3)引用発明1
以上、上記(1)(ア)及び(イ)、(2)(ウ)ないし(キ)並びに図面を参酌すると、引用文献1には以下の発明が記載されているといえる。

「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記複数の分岐路の1つに関連する直進・分岐の位置選択装置と、
c.該直進・分岐の位置選択装置の下流に配置され、複数の払出し角度を有するガイド板5と、
d.前記無端搬送面により外装嵌挿され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数の移動シュー2であって、該複数の移動シュー2はそれぞれ、前記直進・分岐の位置選択装置により選択的に払出されて前記ガイド板5に案内されて搬出することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数の移動シュー2と、
e.前記ガイド板5の少なくとも一部であって、前記移動シュー2の内の複数からなる払出された組の少なくとも1つの移動シュー2が前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つの移動シュー2を案内するように構成される、前記ガイド板5の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」(以下、「引用発明1の1」という。)

「 払出し場所で長手方向下流に移動する無端搬送面上に配置される物品を選択的に払出せる方法であって、
a.前記無端搬送面上に取り付けられた複数の移動シュー2を準備し、前記無端搬送面とともに移動させるステップと、
b.前記無端搬送面を前記長手方向下流に移動させるステップと、
c.複数の移動シュー2からなる払出された組の少なくとも1つの移動シュー2が最初の接触払出し角度で移動している間に、払出される前記物品の選択された1つを前記少なくとも1つの移動シュー2と最初に接触させるステップであって、前記最初の接触角度は0°であるステップと、
d.該最初に接触させるステップの後に、前記の払出された組を、ガイド板5に沿って複数の払出し角度で案内するステップと
を含む方法。」(以下、「引用発明1の2」という。)

「 分岐搬送ガイド溝501が、少なくとも1つの半径を有する弓状部分を備えた仕分けコンベヤ。」(以下、「引用発明1の3」という。)

2-2.引用文献2に記載された発明
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由に引用された本願の優先日前に頒布された特表2001-503361号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次のような記載がある。

(ア)「 図1は、本質的にメインコンベヤ9と少なくとも1つの分岐コンベヤ5とからなる、貨物3a?eを分別するための搬送装置10の平面図を示す。分岐コンベヤ5はメインコンベヤ9の側方に隣接して、これに対して角度Θで配置されている。矢印F1およびF2は、メインコンベヤ9および分岐コンベヤ5の搬送方向を示している。
メインコンベヤ9は、複数の搬送面部分13から形成された搬送面1を有している。平面図で矩形に形成された搬送面部分13は、その長手方向延在によりメインコンベヤの搬送方向F1に対して直角に形成されており、それぞれ端部でレール状のサイドフレーム要素2および2aに導かれている。循環するチェーンを形成するために搬送面部分13を互いに結合することに関しては、US特許第5127510号に個々に詳細に説明されているので、ここではその開示内容を参照することとし、以下に繰り返さない。
メインコンベヤ9の分岐コンベヤ5とは反対側の長手方向側面に沿って、一連の導出要素14が搬送面部分13に配置されている。貨物3をメインコンベヤ9から分岐コンベヤ5に導出する目的で導出要素14が一時的に利用されないときは、導出要素14はその下側面に配置された案内要素21を介して、搬送面部分13の下方に配置されているガイドレール12bの中で、搬送面1の長手方向側面に沿って延びている案内軌道8で案内される。案内要素21は下方へガイドレール12bの方向に延びており、ガイドレール12bの役割は、導出要素14が分岐コンベヤ5を有する範囲を除いて独自に搬送面1を横断して動くのを妨げることである。分岐コンベヤ5の範囲内では、ガイドレール12bの経路に導出用のポイント25aおよび25bが配置されている。これらの導出用のポイント25aおよび25bは、メインコンベヤ9と分岐コンベヤ5とのすべての接続範囲に設けられている。さらに、導出運動が行われた後に導出要素14aおよび14bを搬送面1にわたって斜めにメインコンベヤ9の反対側の出口側に引き戻す手段が設けられている。これらの手段は図面には示されておらず、本発明の枠内では詳しく考察されない。導出要素14bは搬送方向F1で見て上流側に置かれた第1の導出レールによって案内され、導出要素14aは搬送方向F1で見て下流側に置かれた第2の導出レールによって案内される。
図2は図1に対応する搬送装置10の平面図を示している。ここでは分岐コンベヤ5がメインコンベヤ9に接続する範囲内では図は上部をはがした形であり、搬送面1の下方に配置された構成部材が見えるようになっている。導出用のポイント25aおよび25bが、静止位置にある導出要素14のための案内軌道8の経路中におよび分岐コンベヤ5に配置されているメインコンベヤ9の長手方向側面に配置されていることが図2から推測することができる。導出用のポイント25aおよび25bは、好ましくはUS特許第5038912号に記載された形式で構成されており、ここではその開示内容を参照することとする。第1の導出レール11はその経路において2つの部分に区分されている。第1の導出レール11の第1の部分は第2の導出レール15と平行に延び、第2の部分は第2の導出レール15の方向で湾曲して形成されていて、その端部で第2の導出レール15と結合する。第1の導出用のポイント25bがその導出位置に切り替えられると、導出要素14は案内軌道8から第1の導出レール11の方向に転向される。第1の導出用のポイント25bが導出位置に切り替えられずに静止位置にある場合は、導出要素14は第1の導出用のポイント25bを越えて第2の導出用のポイント25aに当たるまで、引き続きメインコンベヤ9の長手方向側面に沿って案内軌道8に接して案内される。第2の導出用のポイント25aを越えると、導出用のポイント25aの切替状態に応じて、再び導出要素14を第2の導出レール20に転向させるか、あるいは引き続き案内軌道8に沿って案内することが可能である。
図1に、種々の大きさと種々の矩形底面積を有する51の貨物3a?3eがメインコンベヤ9上に相前後して示されている。貨物3cはちょうど2つの導出要素14aおよび14bによってメインコンベヤ9の搬送面1から分岐コンベヤ5の方向に押しやられている。このために導出要素14aおよび14bは同時に一方の長手方向側面と、好ましくはそれらの端部の近傍で貨物3cと係合し、当該貨物3cを第1の導出レール11の第1の部分の範囲内でメインコンベヤ9の搬送方向F1に平行に分岐コンベヤ5の方向に押しやる。この導出過程の第1の部分中に、貨物3cは搬送面1上で搬送方向F1に対して相対的に回転されない。それにより、搬送方向F1中で続く貨物3dは非常にわずかな間隔で導出される貨物3cに続くことができる。導出要素14bが第1の導出レール16の第1の部分に沿って案内される間に、導出要素14bは第2の導出レール15に対してほぼ平行に動く。導出要素14bは第1の導出レール11の第2の湾曲部分に到達して初めて、湾曲した軌道上で搬送方向F1で後に続いている第2の導出レール15の方向に移動し始める。このようにすることによって、以下の説明でなお詳しく述べるように、導出要素14bが第1の導出レール11の第2の部分に進入すると、貨物3cに分岐コンベヤ5の方向で回転力が加えられる。」(第12ページ第9行ないし第14ページ第18行)

(2)引用文献2記載の事項
上記(1)(ア)及び図面の記載から、以下の事項がわかる。
(イ)メインコンベヤ9から分岐コンベヤ5に貨物を分別して払出せるように構成されているから、
払出し場所で貨物を選択的に払出せるように構成される仕分けコンベヤであることが分かる。

(3)引用発明2
以上、上記(1)(ア)及び(2)(イ)、並びに図面を参酌すると、引用文献2には以下の発明が記載されているといえる。

「 払出し場所で貨物を選択的に払出せるように構成される仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.前記払出し場所に関連する導出用のポイント25a、25bであって、該導出用のポイント25a、25bの1つは、
該導出用のポイント25a、25bの導出用のポイント25aを含む導出用のポイント25a、25bと、
b.前記導出用のポイント25aに関連する導出レール15と
を備える仕分けコンベヤ。」(以下、「引用発明2」という。)

3-1.対比・判断1
本願発明1と引用発明1の1を対比すると、引用発明1の1における「直進・分岐の位置選択装置」は、その機能及び構成からみて、本願発明1における「スイッチ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に、「外装嵌挿」は「保持」に、「移動シュー2」は「プッシャ」に、「案内されて搬出する」は「沿って移動する」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の1における「0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する」は、「所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する」という限りにおいて、本願発明1における「20°未満の接触払出し角度で該一部に沿って移動する」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、20°未満の接触払出し角度で払出し案内経路の一部に沿って移動するのに対し、引用発明1の1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、0°の接触払出し角度で払出し案内経路に沿って移動する点(以下、「相違点1」という。)。

上記相違点1について検討する。

本願発明1における20°未満の接触払出し角度は、引用発明1の1における0°の接触払出し角度を含むものであり、20°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の1において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明1を全体としてみても、引用発明1の1から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明1は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-2.対比・判断2
本願発明2と引用発明1の1を対比すると、引用発明1の1における「直進・分岐の位置選択装置」は、その機能及び構成からみて、本願発明2における「スイッチ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に、「外装嵌挿」は「保持」に、「移動シュー2」は「プッシャ」に、「案内されて搬出する」は「沿って移動する」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の1における「0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する」は、「所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する」という限りにおいて、本願発明2における「10°未満の接触払出し角度で該一部に沿って移動する」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明2においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、10°未満の接触払出し角度で払出し案内経路の一部に沿って移動するのに対し、引用発明1の1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、0°の接触払出し角度で払出し案内経路に沿って移動する点(以下、「相違点2」という。)。

上記相違点2について検討する。

本願発明2における10°未満の接触払出し角度は、引用発明1の1における0°の接触払出し角度を含むものであり、10°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の1において、上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明2を全体としてみても、引用発明1の1から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明2は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-3.対比・判断3
本願発明3と引用発明1の1を対比すると、引用発明1の1における「直進・分岐の位置選択装置」は、その機能及び構成からみて、本願発明3における「スイッチ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に、「外装嵌挿」は「保持」に、「移動シュー2」は「プッシャ」に、「案内されて搬出する」は「沿って移動する」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の1における「0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する」は、「所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する」という限りにおいて、本願発明3における「5°未満の接触払出し角度で該一部に沿って移動する」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明3においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、5°未満の接触払出し角度で払出し案内経路の一部に沿って移動するのに対し、引用発明1の1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、0°の接触払出し角度で払出し案内経路に沿って移動する点(以下、「相違点3」という。)。

上記相違点3について検討する。

本願発明3における5°未満の接触払出し角度は、引用発明1の1における0°の接触払出し角度を含むものであり、5°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の1において、上記相違点3に係る本願発明3の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明3を全体としてみても、引用発明1の1から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明3は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-4.対比・判断4
本願発明4と引用発明1の1を対比すると、引用発明1の1における「直進・分岐の位置選択装置」は、その機能及び構成からみて、本願発明4における「スイッチ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に、「外装嵌挿」は「保持」に、「移動シュー2」は「プッシャ」に、「案内されて搬出する」は「沿って移動する」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の1における「0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する」は、「所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する」という限りにおいて、本願発明4における「20°未満の接触払出し角度で直線部分を含む該一部に沿って移動する」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明4においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、20°未満の接触払出し角度で直線部分を含む払出し案内経路の一部に沿って移動するのに対し、引用発明1の1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、0°の接触払出し角度で払出し案内経路に沿って移動する点(以下、「相違点4」という。)。

上記相違点4について検討する。

本願発明4における20°未満の接触払出し角度で直線部分を含む払出し案内経路の一部に沿って移動する態様は、引用発明1の1における0°の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する態様を含むものであり、且つ、引用発明1の1における0°の接触払い出し角度である払出し案内経路は直線部分であるので、引用発明1の1において、上記相違点4に係る本願発明4の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明4全体としてみても、引用発明1の1から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明4は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-5.対比・判断5
本願発明5と引用発明1の1を対比すると、引用発明1の1における「直進・分岐の位置選択装置」は、その機能及び構成からみて、本願発明5における「スイッチ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に、「外装嵌挿」は「保持」に、「移動シュー2」は「プッシャ」に、「案内されて搬出する」は「沿って移動する」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の1における「0°の接触払い出し角度でガイド板5に沿って移動する」は、「所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する」という限りにおいて、本願発明5における「20°未満の接触払出し角度で全て直線状である該一部に沿って移動する」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せる仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.長手方向下流に移動するように構成される無端搬送面と、
b.前記払出し場所に関連するスイッチと、
c.該スイッチの下流に配置され、複数の払出し角度を有する払出し案内経路と、
d.前記無端搬送面により保持され、且つ該無端搬送面とともに移動するように構成される複数のプッシャであって、該複数のプッシャはそれぞれ、前記スイッチにより選択的に払出されて前記払出し案内経路に沿って移動することにより、前記物品の選択された1つと係合して払出せるように構成される、複数のプッシャと、
e.前記払出し案内経路の少なくとも一部であって、前記プッシャの内の複数からなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが前記物品の前記選択された1つと最初に接触するときに、所定の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する前記払出された組の前記少なくとも1つのプッシャを案内するように構成される、前記払出し案内経路の少なくとも一部と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明5においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、20°未満の接触払出し角度で全て直線状である払出し案内経路の一部に沿って移動するのに対し、引用発明1の1においては、プッシャが物品と最初に接触するときに、0°の接触払出し角度で払出し案内経路に沿って移動する点(以下、「相違点5」という。)。

上記相違点5について検討する。

本願発明5における20°未満の接触払出し角度で直線部分を含む払出し案内経路の一部に沿って移動する態様は、引用発明1の1における0°の接触払い出し角度で払出し案内経路に沿って移動する態様を含むものであり、且つ、引用発明1の1における0°の接触払い出し角度である払出し案内経路は直線状であるので、引用発明1の1において、上記相違点5に係る本願発明5の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明5全体としてみても、引用発明1の1から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明5は、引用発明1の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-6.対比・判断6
本願発明6と引用発明1の2を対比すると、引用発明1の2における「移動シュー2」は、その機能及び構成からみて、本願発明6における「プッシャ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に相当する。
また、引用発明1の2における「最初の接触角度は0°」は、「最初の接触角度が所定角度」という限りにおいて、本願発明6における「最初の接触角度は約20°未満」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で長手方向下流に移動する無端搬送面上に配置される物品を選択的に払出せる方法であって、
a.前記無端搬送面上に取り付けられた複数のプッシャを準備し、前記無端搬送面とともに移動させるステップと、
b.前記無端搬送面を前記長手方向下流に移動させるステップと、
c.複数のプッシャからなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが最初の接触払出し角度で移動している間に、払出される前記物品の選択された1つを前記少なくとも1つのプッシャと最初に接触させるステップであって、前記最初の接触角度は所定角度であるステップと、
d.該最初に接触させるステップの後に、前記の払出された組を、払出し案内経路に沿って複数の払出し角度で案内するステップと
を含む方法。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明6においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が20°未満であるのに対し、引用発明1の2においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が0°である点(以下、「相違点6」という。)。

上記相違点6について検討する。

本願発明6における20°未満の接触払出し角度は、引用発明1の2における0°の接触払出し角度を含むものであり、20°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の2において、上記相違点6に係る本願発明6の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明6を全体としてみても、引用発明1の2から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明6は、引用発明1の2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-7.対比・判断7
本願発明7と引用発明1の2を対比すると、引用発明1の2における「移動シュー2」は、その機能及び構成からみて、本願発明7における「プッシャ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に相当する。
また、引用発明1の2における「最初の接触角度は0°」は、「最初の接触角度が所定角度」という限りにおいて、本願発明7における「最初の接触角度は約10°未満」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で長手方向下流に移動する無端搬送面上に配置される物品を選択的に払出せる方法であって、
a.前記無端搬送面上に取り付けられた複数のプッシャを準備し、前記無端搬送面とともに移動させるステップと、
b.前記無端搬送面を前記長手方向下流に移動させるステップと、
c.複数のプッシャからなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが最初の接触払出し角度で移動している間に、払出される前記物品の選択された1つを前記少なくとも1つのプッシャと最初に接触させるステップであって、前記最初の接触角度は所定角度であるステップと、
d.該最初に接触させるステップの後に、前記の払出された組を、払出し案内経路に沿って複数の払出し角度で案内するステップと
を含む方法。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明7においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が10°未満であるのに対し、引用発明1の2においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が0°である点(以下、「相違点7」という。)。

上記相違点7について検討する。

本願発明7における10°未満の接触払出し角度は、引用発明1の2における0°の接触払出し角度を含むものであり、10°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の2において、上記相違点7に係る本願発明7の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明7を全体としてみても、引用発明1の2から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明7は、引用発明1の2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-8.対比・判断8
本願発明8と引用発明1の2を対比すると、引用発明1の2における「移動シュー2」は、その機能及び構成からみて、本願発明8における「プッシャ」に相当し、以下同様に、「ガイド板5」は「払出し案内経路」に相当する。
また、引用発明1の2における「最初の接触角度は0°」は、「最初の接触角度が所定角度」という限りにおいて、本願発明8における「最初の接触角度は約5°未満」に相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で長手方向下流に移動する無端搬送面上に配置される物品を選択的に払出せる方法であって、
a.前記無端搬送面上に取り付けられた複数のプッシャを準備し、前記無端搬送面とともに移動させるステップと、
b.前記無端搬送面を前記長手方向下流に移動させるステップと、
c.複数のプッシャからなる払出された組の少なくとも1つのプッシャが最初の接触払出し角度で移動している間に、払出される前記物品の選択された1つを前記少なくとも1つのプッシャと最初に接触させるステップであって、前記最初の接触角度は所定角度であるステップと、
d.該最初に接触させるステップの後に、前記の払出された組を、払出し案内経路に沿って複数の払出し角度で案内するステップと
を含む方法。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明8においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が5°未満であるのに対し、引用発明1の2においては、物品とプッシャが最初に接触する接触払出し角度が0°である点(以下、「相違点8」という。)。

上記相違点8について検討する。

本願発明8における5°未満の接触払出し角度は、引用発明1の2における0°の接触払出し角度を含むものであり、5°未満とすることによる臨界的意義も認められないので、引用発明1の2において、上記相違点8に係る本願発明8の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に推考し得るものである。

また、本願発明8を全体としてみても、引用発明1の2から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。

以上から、本願発明8は、引用発明1の2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-9.対比・判断9
本願発明9と引用発明2を対比すると、引用発明2における「貨物」は、その機能及び構成からみて、本願発明9における「物品」に相当し、以下同様に、「導出用のポイント25a、25b」は「複数のスイッチ」に、「導出用のポイント25a」は「最後のスイッチ」に、「導出レール15」は「払出し案内経路」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「 払出し場所で物品を選択的に払出せるように構成される仕分けコンベヤであって、
該仕分けコンベヤは、
a.前記払出し場所に関連する複数のスイッチであって、該複数のスイッチの1つは、
該複数のスイッチの最後のスイッチを含む複数のスイッチと、
b.前記最後のスイッチに関連する払出し案内経路と
を備える仕分けコンベヤ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明9においては、最後のスイッチに関連する払出し案内経路が、少なくとも1つの半径を有する弓状部分を備え、該半径は少なくとも約0.30メートルであるのに対し、引用発明2においては、最後のスイッチ以外に関連する払出し案内経路が、弓状部分を備えているものの、最後のスイッチに関連する払出し案内経路は、弓状部分を備えていない点。(以下、「相違点9」という。)。

上記相違点9について検討する。

本願発明9と引用発明1の3とを対比すると、引用発明1の3における「分岐搬送ガイド溝501」は、その機能及び構成からみて、本願発明における「払出し案内経路」に相当する。

したがって、引用発明1の3を本願発明9の用語を用いて表現すると、
「 払出し案内経路が、少なくとも1つの半径を有する弓状部分を備えた仕分けコンベヤ。」といえる。

引用発明2と引用発明1の3は、いずれも払出し案内経路を備えた仕分けコンベヤという同一の技術分野に属しているので、引用発明2において、引用発明1の3を適用して、最後のスイッチに関連する払出し案内経路を弓状部分を備えた構成とすることは、当業者が容易に推考し得るものである。そして、弓状部分の払出し案内経路の半径をどの程度とするかは、装置の大きさや搬送速度等を考慮しながら当業者が適宜設定し得るものである。

また、本願発明9を全体としてみても、引用発明2及び引用発明1の3から予測される以上の格別な効果を奏するとも認められない。
以上から、本願発明は、引用発明2及び引用発明1の3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、引用発明1の1、1の2、1の3及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-05 
結審通知日 2012-10-09 
審決日 2012-11-08 
出願番号 特願2006-507116(P2006-507116)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 嶋田 研司近藤 裕之宮崎 基樹  
特許庁審判長 小谷 一郎
特許庁審判官 川口 真一
柳田 利夫
発明の名称 仕分けコンベヤ  
代理人 加藤 公延  

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