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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A62B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A62B
管理番号 1273135
審判番号 不服2012-3144  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-20 
確定日 2013-04-17 
事件の表示 特願2007-538913「急速ねじ込み清浄空気源アタッチメントを有する呼吸保護デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月11日国際公開、WO2006/049708、平成20年 5月29日国内公表、特表2008-517710〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2005年9月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年10月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成19年4月27日付けで特許法第184条の5第1項に規定する書面が提出され、平成19年6月19日付けで同法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約の翻訳文が提出され、平成20年8月25日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成22年9月7日付けの拒絶理由通知に対して平成22年12月8日付けで意見書とともに明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成23年1月31日付けの再度の拒絶理由通知に対して平成23年8月5日付けで意見書とともに特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたが、平成23年10月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年2月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に、同日付けの手続補正書によって特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成24年5月23日付けで書面による審尋がなされ、これに対して平成24年8月29日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成24年2月20日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕

平成24年2月20日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕

1 本件補正について

(1)本件補正の内容

平成24年2月20日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成23年8月5日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の下記(ア)を、下記(イ)と補正するものである。

(ア)本件補正前の明細書の特許請求の範囲

「【請求項1】
個人用呼吸保護デバイスであって、
(a)第1の円筒壁によって該第1の円筒壁の内側に形成された第1の開口を有し、前記第1の円筒壁が該第1の円筒壁に一体的に形成された第1のねじ込み部分を有するマスク本体と、
(b)第2の円筒壁によって該第2の円筒壁の内側に形成された第2の開口を有し、前記第2の円筒壁が該第2の円筒壁に一体的に形成された第2のねじ込み部分を有し、前記第1と第2の円筒壁と前記第1及び第2のねじ込み部分は、前記第1と第2の円筒壁(52,62)が互いに係合して前記第1と第2の開口を連通するとともに
前記第2のねじ込み部分が前記マスク本体上の前記第1のねじ込み部分と噛み合うように構成された第2のねじ込み部分を有する清浄空気供給源と、を備え、
(i)前記第1および第2のねじ込み部分が、前記第1と第2のねじ込み部分にそれぞれ一体的に形成されており、前記第1と第2の円筒壁を軸方向に整列し、その後、一方を他方に対して回転することにより互いに係合する第1と第2の戻り止めを備え、
(ii)前記第1および第2のねじ込み部分が、前記ねじ込み部分と関連付けられた止め具を有し、前記止め具が、前記清浄空気供給源を前記マスク本体に固定する間、前記マスク本体に対して前記清浄空気供給源が過度に回転できないようにする、個人用呼吸保護デバイス。
【請求項2】
前記清浄空気供給源が、フィルタカートリッジである、請求項1に記載の個人用呼吸保護デバイス。
【請求項3】
個人用呼吸保護デバイスであって、
(a)第1のねじ込み部分を有するマスク本体と、
(b)前記マスク本体上の前記第1のねじ込み部分と噛み合うように構成された第2のねじ込み部分を有する清浄空気供給源を有し、
(c)前記第1および第2のねじ込み部分が、高ねじピッチで互いに係合できるようにするための手段と、
(d)前記清浄空気供給源と前記マスク本体との間の係合達成を知らせるための、前記第1および/または第2のねじ込み部分と一体の手段であって、スナップ動作からなる手段と、
(e)前記カートリッジを前記マスク本体に固定している間、前記マスク本体に対して前記清浄空気供給源が過度に回転できないようにするための停止手段と、を備えており、前記停止手段が前記第1のねじ込み部分、前記第2のねじ込み部分のいずれか一方又は両方に一体的に設けられている、個人用呼吸保護デバイス。」

(イ)本件補正後の明細書の特許請求の範囲

「【請求項1】
個人用呼吸保護デバイスであって、
(a)第1の円筒壁によって該第1の円筒壁の内側に形成された第1の開口を有し、前記第1の円筒壁が該第1の円筒壁に一体的に形成された第1のねじ込み部分を有するマスク本体と、
(b)第2の円筒壁によって該第2の円筒壁の内側に形成された第2の開口を有し、前記第2の円筒壁が該第2の円筒壁に一体的に形成された第2のねじ込み部分を有し、前記第1と第2の円筒壁と前記第1及び第2のねじ込み部分は、前記第1と第2の円筒壁(52,62)が互いに係合して前記第1と第2の開口を連通するとともに
前記第2のねじ込み部分が前記マスク本体上の前記第1のねじ込み部分と高ねじピッチで噛み合うように構成された第2のねじ込み部分を有する清浄空気供給源と、を備え、
(i)前記第1および第2のねじ込み部分が、前記第1と第2のねじ込み部分にそれぞれ一体的に形成されており、前記第1と第2の円筒壁を軸方向に整列し、その後、一方を他方に対して回転することにより互いに係合する第1と第2の戻り止めを備え、
(ii)前記第1および第2のねじ込み部分が、前記ねじ込み部分と関連付けられた止め具であって、前記清浄空気供給源を前記マスク本体に固定する間、前記マスク本体に対して前記清浄空気供給源が過度に回転できないようにする止め具を有し、
(iii)前記第1と第2のねじ込み部分が、互いに対して回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部から構成されている、個人用呼吸保護デバイス。
【請求項2】
前記清浄空気供給源が、フィルタカートリッジである、請求項1に記載の個人用呼吸保護デバイス。
【請求項3】
個人用呼吸保護デバイスであって、
(a)第1のねじ込み部分を有するマスク本体と、
(b)前記マスク本体上の前記第1のねじ込み部分と噛み合うように構成された第2のねじ込み部分を有する清浄空気供給源を有し、
(c)前記第1および第2のねじ込み部分が、高ねじピッチで互いに係合できるようにするための手段と、
(d)前記清浄空気供給源と前記マスク本体との間の係合達成を知らせるための、前記第1および/または第2のねじ込み部分と一体の手段であって、スナップ動作からなる手段と、
(e)前記カートリッジを前記マスク本体に固定している間、前記マスク本体に対して前記清浄空気供給源が過度に回転できないようにするための停止手段であって、前記第1のねじ込み部分、前記第2のねじ込み部分のいずれか一方又は両方に一体的に設けられている停止手段を備えており、
前記第1と第2のねじ込み部分が、互いに対して回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部から構成されている、個人用呼吸保護デバイス。」(なお、下線は審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)

(2)本件補正の目的について

本件補正後の特許請求の範囲の請求項3についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3に係る発明の発明特定事項である「第1および第2のねじ込み部分」について、「互いに対して回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部から構成されている」を追加することにより、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3に係る発明特定事項である「第1および第2のねじ込み部分」を限定することを含むものである。

よって、特許請求の範囲の請求項3についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3に係る発明の発明特定事項に限定を付加したものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。


2 独立特許要件についての検討

本件補正における特許請求の範囲の補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の請求項3に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

2-1 刊行物に記載された発明

(1)刊行物の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された本件の優先日前に頒布された刊行物である実願昭62-69572号(実開昭63-180058号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、例えば、以下の記載がある。

ア)「本考案は、比較的弱い接触圧で、マスク側とフィルタ側の気密接続を行なう防塵又は防毒マスクにおける気密接続機構に関するものである。」(明細書第1ページ第16ないし18行)

イ)「従来、この種の気密接続機構は、第3図、第4図に示したように構成されている。第3図は、防塵マスクのフィルタ部分を示したもので、1はフィルタ、2はフィルタ1を収納するフィルタケース、3は同蓋、4は少なくとも鼻部及び口部を覆うマスク、5はマスク側受け部材、フィルタケース2の側面にはねじ2aが設けられており、受け部材5の内側面に設けられた雌ねじ5aにねじ込まれる。フィルタケース2の挿入側先端面の周縁部近傍には環状の突起2bが設けられている。6は受け部材5の前記突起2bに対向する部分に配設されたパッキングで、第4図に示したように、突起2bがパッキング6に圧接することによりマスク側とフィルタ側が気密に接続される。7は吸入弁であり、外気は矢印のようにフィルタ1でろ過され、吸入弁7を通ってマスク内に導入される。」(明細書第2ページ第1ないし16行)

(2)上記例示した記載箇所ア)及びイ)並びに図面の記載から分かる技術的事項

あ)上記ア)及びイ)並びに図面の記載から、フィルタ1、フィルタケース2、蓋3、少なくとも鼻部及び口部を覆うマスク4及びマスク側受け部材5から構成されるものは、個人用に、呼吸を保護するためのデバイスであることが分かる。

い)上記イ)及び図面の記載から、マスク4にはマスク側受け部材5が設けられており、また、フィルタケース2の側面にはねじ2aが設けられ、マスク側受け部材5の内側面に設けられた雌ねじ5aにねじ込まれることから、フィルターケース2は、マスク側受け部材5及びマスク4上における雌ねじ5aと噛み合うように構成されたねじ2aを有することが分かる。

う)上記イ)及び図面の記載から、雌ねじ5a、ねじ2aは、ねじであることから、互いに回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部を有することが分かる。

(3)刊行物に記載された発明

したがって、上記2-1(1)及び(2)を総合すると、刊行物には次の発明(以下、「刊行物に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

<刊行物に記載された発明>

「個人用呼吸保護デバイスであって、
雌ねじ5aを有するマスク側受け部材5及びマスク4と、
マスク側受け部材5及びマスク4上の雌ねじ5aと噛み合うように構成されたねじ2aを有するフィルタケース2、フィルタ1及び蓋3を有し、
雌ねじ5aとねじ2aが、互いに係合できるようにするための手段と、
雌ねじ5aとねじ2aが、互いに回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部から構成されている、個人用呼吸保護デバイス。」

2-2 対比・判断

本願補正発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、刊行物に記載された発明における「雌ねじ5a」は、その機能及び作用又は技術的意義からみて、本願補正発明における「第1のねじ込み部分」に相当し、以下同様に、「マスク側受部材5及びマスク4」は「マスク本体」に、「ねじ2a」は「第2のねじ込み部分」に、「フィルタケース2、フィルタ1及び蓋3」は「清浄空気供給源」及び「カートリッジ」、にそれぞれ相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、

「個人用呼吸保護デバイスであって、
第1のねじ込み部分を有するマスク本体と、
マスク本体上の第1のねじ込み部分と噛み合うように構成された第2のねじ込み部分を有する清浄空気供給源を有し、
第1および第2のねじ込み部分が、互いに係合できるようにするための手段と、
第1と第2のねじ込み部分が、互いに対して回転運動することで他方の螺旋または渦巻き隆起部と係合するために使用される螺旋または渦巻き隆起部から構成されている、個人用呼吸保護デバイス。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>

本願補正発明においては、「第1および第2のねじ込み部分が、高ねじピッチで互いに係合できるようにするための手段と、清浄空気供給源とマスク本体との間の係合達成を知らせるための、第1および/または第2のねじ込み部分と一体の手段であって、スナップ動作からなる手段と、カートリッジをマスク本体に固定している間、マスク本体に対して清浄空気供給源が過度に回転できないようにするための停止手段であって、第1のねじ込み部分、第2のねじ込み部分のいずれか一方又は両方に一体的に設けられている停止手段を備えて」いるのに対し、
刊行物に記載された発明においては、雌ねじ5a(本願補正発明における「第1のねじ込み部分」に相当する。)及びねじ2a(本願補正発明における「第2のねじ込み部分」に相当する。)が高ねじピッチで互いに係合しているか否かは不明であり、また、フィルタケース2、フィルタ1及び蓋3(本願補正発明における「清浄空気供給源」に相当する。)とマスク側受部材5及びマスク4(本願補正発明における「マスク本体」に相当する。)との間の係合達成を知らせるための、雌ねじ5a(本願補正発明における「第1のねじ込み部分」に相当する。)又はねじ2a(本願補正発明における「第2のねじ込み部分」に相当する。)と一体のスナップ動作からなる手段を有しているか否かは不明であり、さらに、フィルタケース2、フィルタ1及び蓋3(本願補正発明における「カートリッジ」に相当する。)をマスク側受部材5及びマスク4(本願補正発明における「マスク本体」に相当する。)に固定している間、マスク側受部材5及びマスク4(本願補正発明における「マスク本体」に相当する。)に対してフィルタケース2、フィルタ1及び蓋3(本願補正発明における「清浄空気供給源」に相当する。)が過度に回転できないようにするための停止手段であって、雌ねじ5a(本願補正発明における「第1のねじ込み部分」に相当する。)又はねじ2a(本願補正発明における「第2のねじ込み部分」に相当する。)に一体的に設けられている停止手段を有しているか否かは不明である点(以下、「相違点」という。)。

上記相違点について検討する。

一般に、部材間の係合に複数回転が必要であったねじ式の係合手段を、より迅速・適確な短いねじ回転による係合手段とすることは、広く知られた技術課題にすぎない(以下、「周知の課題1」という。例えば、特開平11-292111号公報[特に、段落【0002】ないし【0004】]、特開2003-285851号公報[特に、段落【0002】ないし【0006】]、特開平11-190484号公報[特に、段落【0004】ないし【0007】] 等参照。)。
とりわけ、呼吸保護デバイスに係る技術分野においても、部材間の係合に複数回転が必要であったねじ式の係合手段を、より迅速・適確な短いねじ回転による係合手段とするという技術課題は周知である(以下、「周知の課題2」という。例えば、特表2001-505080号公報[特に、第4ページ第7行ないし第5ページ第22行]、米国特許第6575165号明細書[特に、第2欄第7行ないし第7欄第29行]等参照。)。
してみると、上記周知の課題1及び2は、刊行物に記載された発明に内在する技術課題であるといえる。
一方、より迅速・適確な短いねじ回転による係合手段として、高ねじピッチで互いに係合できるようにするための手段と、係合達成を知らせるためのスナップ動作からなる手段と、二部材を係合している間、一方の部材に対して他方の部材が過度に回転できないようにするための停止手段を備えるものは周知である(以下、「周知技術1」という。例えば、特開平10-203547号公報[特に、段落【0012】及び【0013】並びに図面]、特表2001-507963号公報[特に、第10ページ第19行ないし第13ページ第12行]等参照。)。
さらに、配置関係について、ねじ込み部分とスナップ動作からなる手段を一体に設けるもの(例えば、実願平5-28587号(実開平6-81954号)のCD-ROM[特に、段落【0007】ないし【0018】]、特開平10-203547号公報[特に、段落【0012】及び【0013】並びに図面]等参照。)、また、ねじ込み部分と停止手段を一体に設けるもの(例えば、特開2002-68249号公報[特に、段落【0011】ないし【0014】]、特開平10-203547号公報[特に、段落【0012】及び【0013】並びに図面]等参照。)は共に周知である(以下、「周知技術2」という。)。なお、スナップ動作からなる手段又は停止手段を、ねじ込み部分の螺旋又は渦巻き隆起部に設けるものも周知にすぎない(例えば、実願平5-28587号(実開平6-81954号)のCD-ROM[特に、段落【0007】ないし【0018】]、特開2002-68249号公報[特に、段落【0011】ないし【0014】]等参照。)

したがって、刊行物に記載された発明において、上記周知の課題1及び2を解決するために、上記周知技術2を考慮しつつ、上記周知技術1を適用して、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

そして、本願補正発明を全体としてみても、その奏する効果は、刊行物に記載された発明並びに周知技術1及び2から当業者が予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

以上のように、本願補正発明は、上記周知の課題1及び2を解決するために、刊行物に記載された発明並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。


3 むすび

以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 手続の経緯及び本願発明

平成24年2月20日付けの手続補正は前述したとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成23年8月5日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び願書に最初に添付した図面の記載からみて、本件補正前の(すなわち、平成23年8月5日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2の〔理由〕1(1)の(ア)の請求項3に記載したとおりのものである。


2 刊行物に記載された発明

原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(実願昭62-69572号(実開昭63-180058号)のマイクロフィルム)の記載事項及び刊行物に記載された発明は、前記第2の〔理由〕2の2-1に記載したとおりである。


3 対比・判断

本願発明は、前記第2の〔理由〕2の2-2において検討した本願補正発明における発明特定事項を全て含むものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2の〔理由〕2の2-2に記載したとおり、上記周知の課題1及び2を解決するために、刊行物に記載された発明並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記周知の課題1及び2を解決するために、刊行物に記載された発明並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4 むすび

以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明並びに周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-14 
結審通知日 2012-11-20 
審決日 2012-12-03 
出願番号 特願2007-538913(P2007-538913)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A62B)
P 1 8・ 121- Z (A62B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 裕介  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 金澤 俊郎
中野 宏和
発明の名称 急速ねじ込み清浄空気源アタッチメントを有する呼吸保護デバイス  
代理人 山田 卓二  
代理人 田中 光雄  

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