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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1274151
審判番号 訂正2013-390051  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-04-05 
確定日 2013-05-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4565073号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4565073号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨及び訂正の内容
本件審判請求は、本件特許4565073号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものである。(下線部は訂正箇所を意味する。)

その訂正内容は、次のとおりである。

(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における
「上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる、
ことを特徴とする弾球遊技機。」
という記載を、
「上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合に行われる、
ことを特徴とする弾球遊技機。」
と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0009】における
「上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる、構成とする。」
という記載を、
「上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合に行われる、構成とする。」
と訂正する。

2.当審の判断
(1)訂正の目的について
(1-1)訂正事項1について
訂正前の請求項1に記載された弾球遊技機の発明は、クリアスイッチを操作するのが「遊技者」であることを発明特定事項として一応有するものである。
しかしながら、特許明細書の発明の詳細な説明及び図面には、クリアスイッチの操作主体が遊技者であっても遊技者でなくとも、RAMをクリアすべきか否かの判断結果は変わらない弾球遊技機が記載されていると認められる。
それに対して、訂正前の請求項1の「上記RAMをクリアすべきとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる」の記載は、訂正前の請求項1に係る発明はクリアスイッチを操作する者が遊技者であるか否かで異なる制御(RAMクリアの実行、非実行)を行うように解される可能性があるから、不明瞭である。例えば、店員がクリアスイッチを操作した場合は、訂正前の請求項1によれば、店員は遊技者でないから「RAMをクリアすべきでないとの判断」になるのに対し、特許明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載された遊技機によれば、「RAMをクリアすべきとの判断」になる。
また、更に、遊技者が弾球遊技機の構成の一部でないことは明らかであって、実質的に発明特定事項になり得ない「遊技者が」を記載した訂正前の請求項1は不明瞭である。
更に、遊技者が弾球遊技機のクリアスイッチを操作することは許されないということは当業界においては常識である。
以上、総合勘案すると、訂正前の請求項1の「上記RAMをクリアすべきとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる」との記載は不明瞭な記載である。

訂正事項1は、「上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合」という記載、「上記通常時の処理の前に遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合」という記載を、
発明特定事項を不明瞭にする記載である「遊技者」を削除して、それぞれ「上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合」、「上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合」と訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(1-2)訂正事項2について
訂正事項2は、上記(1-1)の「訂正事項1について」の訂正により、特許請求の範囲の請求項1における明瞭でない記載の釈明の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった明細書の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明に該当する。

(2)新規事項の有無について
特許明細書の【発明の実施の形態】の段落【0012】?【0072】には、RAMクリアスイッチの操作者が遊技者等の特定の人物である旨の実施例は記載されておらず、誰が操作しても構わない実施例が記載されているから、
当該訂正事項1及び2の「遊技者」を削除して「上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合」、「上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正前の請求項1の「上記RAMをクリアすべきとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作している場合に行われ、上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、・・・遊技者が上記クリアスイッチを操作していない場合に行われる」と訂正後の請求項1の「上記RAMをクリアすべきとの判断は、・・・上記クリアスイッチが操作されている場合に行われ、上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、・・・上記クリアスイッチが操作されていない場合に行われる」を、文言のみに即して形式的に考察すると、「遊技者が」が削除されている点で、技術的範囲が異なり、特許請求の範囲が拡張されているのではないかという問題があるかのようなので、検討する。
「遊技者が」が含まれる訂正前の請求項1の記載が不明瞭であることは、上記(1-1)の「訂正事項1について」で検討したとおりである。そして、発明の詳細な説明を参酌すると、当業者にとって、「遊技者が」が実質的な発明特定事項でないこと、クリアスイッチを操作する者が遊技者に限られないことは明らかであるから、発明の実質を捉えて考察すると、特許請求の範囲の拡張はされていないということができる。(参考判決:平成18年(行ケ)第10268号)

3.むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は弾球遊技機に関し、特に遊技球の払い出しの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機は、遊技客の操作で発射された遊技球が遊技盤の盤面上に設けられた入賞口に入ると賞球として遊技球を払い出す遊技機で、パチンコ遊技機が広く普及している。今日、遊技球の払い出しや遊技の進行を、ワンチップマイコン等によるCPUを中心に構成された通常複数の制御用の基板が司るようにしたものが一般的である。
【0003】
遊技球は、例えばパチンコ遊技機に隣接して付設された貸し球ユニットの挿入口に現金やプリペイドカードを挿入すると、貸し球としての所定数の遊技球が遊技球を容れる遊技球皿に払い出される。また、賞球は入賞口の種類や遊技の進行状態に応じて定められた個数が払い出される。
【0004】
かかる遊技球の払い出しは、パチンコ遊技機の背面部に配設された貸球払出装置や賞球払出装置によりおこなわれる。いずれの装置も、遊技球が1列になって通る払い出し通路の途中で遊技球のせき止めとその解除とが切り替え自在に構成されて遊技球の通過を許容または禁止するようになっている。そして、せき止め位置の直下流で、センサが通過した遊技球を1つずつ検出し、遊技球の未払い数を減算更新しながら、遊技球の払い出しが決められた数だけなされるようになっている。
【0005】
また、今日のパチンコ遊技機は、遊技の内容に、より娯楽性が付加されて遊技の進行が複雑かつ高度化しており、特別図柄の表示や確率変動として知られているように、遊技は遊技環境がダイナミックに変化しながら進行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、賞球払出装置等の被制御対象を制御する基板が1チップマイコン等のCPUを中心に構成されたものにおいて、RAMの内容をクリアするクリアスイッチを備えたものがある。かかるRAMクリア処理が必要になる場合としては、パチンコ店において、パチンコ遊技機の管理上の要請から、例えば朝の開店時にパチンコ遊技機を前日の状態から連続していない状態にしておくべく、パチンコ遊技機の状態を初期状態に復することが必要になる場合が考えられる。また、制御基板CPUが暴走した場合に、RAMに異常値が書き込まれた状態から回復することが必要になる場合が考えられる。また、パチンコ遊技機を工場から出荷するに際し、確実にパチンコ遊技機の状態を初期状態としておくのが望ましいという要請も考えられる。
【0007】
しかしながら、RAMの記憶内容をクリアする機能を付加すると、誤ってそのスイッチ操作をしてしまった時の結果が重大であることから、パチンコ店の従業員が点検その他の作業をする際に従業員に過度の注意負担を強いることになる。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、かかる誤操作を防止することのできる弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および効果】
【0009】
請求項1記載の発明では、遊技制御プログラムの作業領域としてのRAMを備え被制御対象の作動を制御する制御手段と、上記RAMをクリアする時に操作されるクリアスイッチと、電源投入時に上記クリアスイッチが操作されていれば上記RAMをクリアする弾球遊技機であって、
上記遊技制御プログラムを記憶したROM、上記RAMを有する上記制御手段としての主制御基板と、
該主制御基板に電源を供給すると共に、停電時にRAMの記憶内容を保持するバックアップ電源生成回路を有する電源基板と、を有し、
該電源基板のバックアップ電源生成回路から上記主制御基板のRAMはバックアップ電源を供給され、
上記主制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、
上記初期状態から起動するときには上記RAMをクリアしたことを報知する初期装飾の表示を遊技機本体の前面枠のランプで行い、
上記主制御基板のCPUは、電源投入時でないときには上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断しなく、
上記クリアスイッチは、上記電源投入するための電源スイッチを固定する基板以外の場所であり、該基板と離れた位置に取付けられた前記主制御基板に固定し、
上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合に行われる、
構成とする。
【0010】
クリアスイッチが操作されているか否かの判断を、電源投入時に制限することで、クリアスイッチの誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用したパチンコ遊技機の全体斜視図である。
【図2】上記パチンコ遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】上記パチンコ遊技機の背面図である。
【図4】上記パチンコ遊技機の電気構成を示すブロック図である。
【図5】上記パチンコ遊技機の要部の詳細電気構成を示すブロック図である。
【図6】上記パチンコ遊技機の作動を示すタイミングチャートである。
【図7】上記パチンコ遊技機の電源基板の分解斜視図である。
【図8】上記パチンコ遊技機を構成する払出制御基板のCPUで実行されるソフトウェアを示す第1のフローチャートである。
【図9】上記パチンコ遊技機を構成する主制御基板のCPUで実行されるソフトウェアを示す第1のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施の形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明を適用したパチンコ遊技機の全体を示すもので、本パチンコ遊技機は、後述する遊技盤等の遊技機本体部分を保持する長方形の外枠111と前面枠112とを有し、外枠111の左隣に公知のプリペードカードユニット131が設置されている。前面枠112は、左端上下のヒンジ116a,116bにより外枠111に対し水平方向に回動自在に取り付けられており、メンテナンス時等に上記遊技機本体部分を手前側に出すことが可能である。
【0013】
前面枠112の内側には、前面枠112の高さ方向の上側略2/3の大きさをカバーする金枠113が取り付けられ、金枠113の左側を支軸にして金枠113の内周を縁取るガラス枠114が開閉可能に蝶着される。ガラス枠114には板ガラス115が二重にはめ込まれている。ガラス枠114と金枠113とにガラス枠114の開放を検出するガラス枠開放スイッチ161が取り付けられている。板ガラス115の奥には図示しない遊技盤が収納され、板ガラス115を挟んで遊技者と対向するようになっている。
【0014】
前面枠112の内側にはまた、金枠113の下方にバスタブ状の遊技球皿である上皿121と下皿124とが手前側に突出して設けられている。上皿121は遊技球を容れる凹み部分がやや左側に偏して形成され、凹み非形成の右端部には上面に貸出釦134、精算釦135および残高表示部136が設けられている。残高表示部136には、上記プリペードカードユニット131のカード口132にプリペードカードを挿入するとプリペードカードに記憶された残高が表示され、貸出釦134を押下すると所定数の遊技球の貸出しが実行され、上皿121の側面に開口する払い出し口122から上皿121内に遊技球が払い出される。
【0015】
下皿124は遊技者が上皿球抜きレバー123を操作することにより上皿121と連通自在に構成され、上皿121の遊技球を溢れ球排出口125から下皿124に移動することが可能である。また、下皿124が遊技球で満杯となった時には、下皿球抜きレバー126の操作により下皿124の底面が開口して下皿124の下方に排出可能であり、遊技球を別箱に移すことができる。
【0016】
下皿124の右側には発射ハンドル141が設けられている。発射ハンドル141は、手前側に突出して取り付けられたグリップ部142の外周にリング状のタッチプレート143を同軸に設けてなり、遊技者がタッチプレート143を時計方向に回動すれば、上皿121から供給される遊技球を後述する遊技盤の盤面上に発射することができる。
【0017】
また、前面枠112には、上辺部に確変表示部152と大当たり表示部153とを備えたトップランプ151が設けてあり、前面枠112の右辺部には発射ハンドル141が操作されていることを示すタッチランプ154が設けられている。
【0018】
次に、図2により遊技盤について説明する。遊技盤21の盤面上には、盤面上を略円形に縁取るように盤面に対して垂直に帯状のレール22、23が設けてある。レール22、23は図中左側の一部が二重になっており、発射ハンドル141の操作で遊技球が外側レール23に沿って発射され、レール22、23で囲まれた盤面の略円形領域内に入る。この略円形領域の中央の開口部には図柄表示枠24が嵌設され、図柄表示枠24内に特別図柄を表示するLCDパネルユニット641が表示面を手前に向けて設けられる。図柄表示枠24の上部には普通図柄表示部41が設けられ、図柄表示枠24の下部には普通図柄保留表示部42が設けられる。そして、普通図柄表示部41に表示される図柄の変動開始に用いられる普通図柄作動ゲート34が図柄表示枠24の左右に設けられる。
【0019】
図柄表示枠24の下方には、入賞口である第1種始動口としての普通電動役物31と、アタッカー扉33が電動で開閉する大入賞口32とがこの順に設けられる。遊技盤21の盤面上にはまた、その他の各種の入賞口35、36が各所に配置されるとともに、盤面の最下部にはアウト口37が開口している。また盤面には、多数の遊技釘25、風車26、27等が備えられている。
【0020】
遊技盤21の盤面上に発射された遊技球は、上記各入賞口31等に入賞すれば遊技盤21の裏側へと入賞球として取り込まれ、入賞しなければアウト口37からアウト球として取り込まれる。
【0021】
また、遊技盤21の盤面にはその左右両端部にサイドランプ28が設けられ、また、一部の風車27は、色付き透明プラスティック製とするとともに、その背後に図示しないランプを設けて輝くように構成され、さらに、図示しないスピーカから遊技の進行に合わせて音を発生させて、臨場感を高めている。
【0022】
図3によりパチンコ遊技機の裏側の構成について説明する。上述の遊技盤21には、その裏面に沿って機構盤51が脱着可能に設けてある。機構盤51には、上部に球タンク52が設けられ、遊技球がタンクレール53、カーブレール54を介して貸球払い出し装置55と賞球払い出し装置56とにそれぞれ供給可能となっている。貸球払い出し装置55は内蔵の貸球ソレノイド85が作動すると、賞球払い出し装置56は内蔵の賞球モータ93が作動すると、遊技球の下流への流下が許容され、上皿121へと供給するようになっている。また、貸球払い出し装置55には貸球センサ89が設けられて、また、賞球払い出し装置56には賞球センサ94,95が設けられて下流へと流れる遊技球を1つずつ検出するようになっている。
【0023】
また、遊技盤21や機構盤51には、遊技の進行全体を司る主制御基板61が、また、主制御基板61との一方向通信により本パチンコ遊技機各部を作動せしめる種々のサブ制御基板62、63、642、65、66が取り付けられる。サブ制御基板62?66には、貸球や賞球の払い出しを制御するもの(以下、適宜、払出制御基板という)62、遊技球の発射を制御するもの(以下、適宜、発射制御基板という)63、LCDパネルユニット641における表示を制御するもの(以下、適宜、図柄制御基板という)642、種々の表示用、演出用のランプの発光を制御するもの(以下、適宜、ランプ制御基板という)65、スピーカの出力音を制御するもの(以下、適宜、音制御基板という)66がある。かかる制御用の基板61?66の他、本パチンコ遊技機の各部に給電するための電源基板67が設けられている。図柄制御基板642は上記LCDパネルユニット641や図示しない付属ユニットとともにアッセンブリ化され特別図柄表示装置64となっている。また、第1の外部接続端子基板68と第2の外部接続端子基板68aとが設けられており、第1外部接続端子基板68と第2外部接続端子基板68aとは、図示を省略したパチンコ店管理コンピュータに接続され、パチンコ遊技機等の管理をしている。
【0024】
第1外部接続端子基板68は遊技状況の送信手段を備えており、大当たり、特別図柄表示装置64の図柄変動および入賞状況の送信を行っている。第2外部接続端子基板68aは遊技状況を除く当該パチンコ遊技機の動作状況を送信するものであって、ガラス枠114の開放、満杯検出、払出個数、遊技客がタッチプレート143を回動していた時間等が送信され、さらに当該パチンコ遊技機の稼働を停止目的の打ち止め信号を受信するようにもなっている。これら外部接続端子基板68,68aから出力される情報に基づいて、入賞信号、払出信号および満杯信号から停電現象により記憶された入賞情報が当該パチンコ遊技機に記憶されたものと管理コンピュータに記憶されたものとに不一致が生じないように管理している。
【0025】
また、当該パチンコ遊技機より送信されるこれらの種々の情報に基づいて、パチンコ店管理コンピュータは、遊技中におけるベース値管理を行っている。このベース値管理は、例えば設定値40として打ち球数100に対して遊技球を40個、賞球として払い出したかを監視するもので、ベース値が設定値よりも異常に上昇したら、当該パチンコ遊技機に何らかの故障が発生したか又は遊技客の違法行為によりベース値が変化したものと判断し、即座にこれらの事態に対応することができる。この他にも管理コンピュータは、パチンコ遊技機の良否の判定材料となる稼働率の監視および稼働率に対してガラス枠114が何回開放されたかも調査対象となっており、発射ハンドル141の操作中を示すタッチ信号、上皿121の満杯を示す満杯信号およびガラス枠114の開放信号とで、遊技客と店員とのなれ合いによる不正の調査もしている。
【0026】
なお、管理コンピュータの作動に関わる詳細説明は省略する。
【0027】
図4により、上記主制御基板61、サブ制御基板62?66等により構成される本パチンコ遊技機の電気的構成を説明する。なお、図中には信号の受け渡しを行う所謂中継基板等は記載を省略している。
【0028】
主制御基板61は、遊技制御プログラムを記憶したROMおよび演算等の作業領域として働くRAMを内蔵した8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他に各基板または各種スイッチ類および各種アクチュエータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。
【0029】
主制御基板61に入力するスイッチ類として、第1種始動口スイッチ711、普通図柄作動スイッチ712、役物連続作動スイッチ(以下、単にVスイッチという)713、カウントスイッチ714、複数のその他入賞口スイッチ715、満タンスイッチ716、補給スイッチ717等が設けられている。また、主制御基板61の出力側には、普通役物ソレノイド721、大入賞口ソレノイド722、Vソレノイド723および外部接続端子基板68等が接続されている。
【0030】
第1種始動口スイッチ711は普通電動役物31内に、普通図柄作動スイッチ712は普通図柄作動ゲート34内に設けられ、Vスイッチ713は大入賞口32内の特別装置作動領域(以下、特別領域という)内に、カウントスイッチ714も同じく大入賞口32内に設けられ、その他入賞口スイッチ715は普通電動役物31および大入賞口32以外の各入賞口35、36に設けられ、それぞれの作動ゲート34や入賞口31等を遊技球が通過したことを検知する。ここで、Vスイッチ713は大入賞口32内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことを、カウントスイッチ714は大入賞口32内に入賞するすべての遊技球を検出する。
【0031】
満タンスイッチ716は下皿124内に設けられ、下皿124が遊技球で満タン状態になったことを検出する。補給スイッチ717は球タンク52内に設けられ、球タンク52内に遊技球が存在することを検出する。
【0032】
また、主制御基板61の出力側に接続された普通役物ソレノイド721は普通電動役物31の開閉に、大入賞口ソレノイド722はアタッカー扉33の開閉に、Vソレノイド723は大入賞口32内の上記特別領域の開閉に、それぞれ使用される。
【0033】
払出制御基板62はマイクロコンピュータを用いた論理演算回路として構成され、主制御基板61からの指令コマンドに従って入賞があった場合に賞球の払い出しの制御を行うとともに、上記のプリペードカードユニット131およびCR精算表示基板69と双方向通信を行い貸球の払い出しの制御を行う。CR精算表示基板69は上記上皿121内の釦類134、135および残高表示部136形成位置に内蔵され、貸出釦134の押下でオンする貸出スイッチ691、精算釦134の押下でオンする精算スイッチ692および残高表示部136における数値表示用のLED693から構成されている。
【0034】
払出制御基板62の入力側には、上記主制御基板61の他、貸球センサ89、賞球センサ94、95が接続されている。
【0035】
払出制御基板62の出力側には、上記貸球払出装置55に内蔵された上記貸し球ソレノイド85が、賞球払出装置56に内蔵された上記賞球モータ93が接続される。
【0036】
払出制御基板62は、上皿121にある上記貸出釦134が押下されると上記球貸しソレノイド85を作動せしめて遊技球を払い出すとともに、貸出釦134に応じた所定の貸し球数を初期値とする未払い数を、貸球センサ89により遊技球が検出されるごとに減算更新して、未払い数が0になると球貸しソレノイド85を停止する。これにより、遊技球が上記所定の貸し球数だけ払い出し口122から上皿121内に払い出される。
【0037】
払出制御基板62はまた、遊技盤21の上記各入賞口31等に遊技球が入賞すれば、上記賞球モータ93を作動せしめて遊技球を払い出すとともに、入賞口に対応した所定の賞球数を初期値とする未払い数を、賞球センサ94、95により遊技球が検出されるごとに減算更新して、未払い数が0になると賞球モータ93を停止する。これにより、遊技球が上記所定の賞球数だけ払い出し口122から上皿121内に払い出される。
【0038】
発射制御基板63は、遊技者が操作する発射ハンドル141からの回動量に応じて発射モータ761を駆動制御するもので、入力側にはまた、タッチスイッチ751、発射停止スイッチ752が接続される。タッチスイッチ751は発射ハンドル141に内蔵され、遊技者が発射ハンドル141に触れていることを検出する。発射制御基板63は上記タッチスイッチ751がオン状態のときタッチランプ154を点灯させたり、遊技者が発射停止スイッチ752を押下したとき発射を停止させる。
【0039】
上記図柄制御基板642は上記LCDパネルユニット641を駆動制御するもので、上記主制御基板61と同様に8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成される。図柄制御基板642は、上述のようにバックライトやインバータ基板等の付属ユニット643および上記LCDパネルユニット641とともに特別図柄表示装置64を構成する。
【0040】
ランプ制御基板65は、主としてトランジスタ等の駆動素子から構成されており、主制御基板61からの指令を受けて普通図柄表示部41の7セグメントのLED771、普通図柄保留表示部42のランプ772、大当たり表示部153に内蔵のランプ等の各種ランプ773やLED類774を点灯させるためのものである。
【0041】
音制御基板66は多数の音声データを記憶したマスクROM内蔵の1チップCPUと、このCPUに制御される音源ICおよびアンプ等から構成されており、主制御基板61および図柄制御基板642の指令を受けてスピーカ781を駆動制御する。
【0042】
主制御基板61と上記サブ制御基板62?66との間の送受信回路は、主制御基板61からのみ送信する一方向通信の回路として構成されている。この一方向通信の構成はインバータ回路やラッチ回路を用いて構成できる。
【0043】
図5に電源基板67と、主制御基板61、払出制御基板62を含む遊技機各部との間の給電および信号系を示す。各パチンコ遊技機の電源基板67は、パチンコ店側に設けられたAC24V電源を電源スイッチ671を介して電源生成回路672が受けており、電源生成回路672が、図示の主制御基板61、払出制御基板62を含む遊技機各部に給電する。電源スイッチ671はオンまたはオフの操作をするとその状態を保持するタイプが用いられる。
【0044】
電源生成回路672における全波24V出力は電源電圧監視回路673に入力し、電源電圧監視回路673による全波24V出力の有無の検出結果に基づいてリセット信号発生回路674がリセット信号を出力もしくは解除する。すなわち、電源電圧監視回路673は所定の基準電圧以上の非出力状態が所定の時間、維持すれば全波24V出力停止と判断し、リセット信号発生回路674は全波24V出力停止との判断に応じてリセット信号を出力する。一方、全波24V出力が開始されるとリセット信号は解除される。ここで、リセット信号の出力とはロウレベルの信号を出力することであり、解除とはロウレベルからハイレベルに変化することをいう。なお、リセット信号の解除は、全波24V出力の検出時点から遅延時間Taの後なされる。
【0045】
リセット信号発生回路674の出力は主制御基板61、払出制御基板62それぞれの遅延回路612、622を介して各制御基板61、62のCPU611、621のリセット端子に出力される。主制御基板61の遅延回路612ではリセット信号の解除に所定の遅延時間Tcが与えられ、払出制御基板62の遅延回路622ではリセット信号の解除に所定の遅延時間Tb
が与えられる。
【0046】
電源電圧監視回路673の出力を入力として停電信号発生回路675が設けてあり、停電等の電源遮断時に停電信号を各制御基板CPU611、621のNMI端子に出力するようになっている。停電信号は電源遮断に伴ってハイレベルからロウレベルに変化する信号であり、リセット信号が出力するに先立って出力するように出力タイミングが設定されている。
【0047】
また、電源基板67は、コンデンサを含み構成されたバックアップ電源生成回路678によりDC5Vのバックアップ電源(VBB)を生成する構成となっており、バックアップ電源(VBB)出力は各制御基板CPU611、621のバックアップ端子(VBB)に出力され、停電時には後述するように各制御基板CPU611、621のRAMの記憶内容を保持する。
【0048】
電源基板67はまた、RAMクリアスイッチ676を備えている。RAMクリアスイッチ676は制御基板CPU611、621のRAMに記憶されている内容をクリアするために設けられる。
【0049】
RAMクリアスイッチ676には押下時のみオンする押し釦タイプのものが用いられ、上記リセット信号の解除時にRAMクリアスイッチ676がオンであれば、RAMクリア信号発生回路677が、ハイレベルの信号であるRAMクリア信号を主制御基板61、払出制御基板62それぞれの入力ポート613、623に一定時間Tgの間、出力する。すなわち、RAMクリア信号はリセット信号が解除される電源投入時のみ出力される。ここで電源スイッチ671のオンからリセット信号解除までの遅延時間Taは例えば100msに設定され、RAMクリア信号を発生せしめるにはRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンすることになる。なお、各制御基板CPU611、621は入力ポート613、623におけるRAMクリア信号の有無をデータバスを介して監視する。
【0050】
図6にRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンし電源基板67から給電を開始した時の電源基板67、主制御基板61および払出制御基板62の各部の作動状態を示す。
【0051】
電源スイッチ671のオンから時間Ta経過後にリセット信号が解除され、このリセット信号解除が主制御基板CPU611においては時間Tc経過後に、払出制御基板CPU621においては時間Tb経過後に有効になると、有効になった時点から各制御基板CPU611、621がセキュリティチェックを開始する。ここで、主制御基板CPU611の遅延時間Tcが払出制御基板CPU621の遅延時間Tbよりも長く設定されている。セキュリティチェック時間TdはCPUの種類、システムクロック周波数等にもよるが、本具体例において主制御基板CPU611、払出制御基板CPU621両方に使用したLE2080A-PA(システムクロック周波数6MHz)では185msとした。なお、セキュリティチェックとは、周知のごとくワンチップマイコンである各CPU611、621等が遊技の進行内容を書き込んだROMの内容が正規の内容であるか否かをチェックすることである。
【0052】
主制御基板CPU611のセキュリティチェック時間Tdが払出制御基板CPU621と同等以上で、かつ、主制御基板CPU611のセキュリティチェック開始時期が払出制御基板CPU621のセキュリティチェック開始時期よりも遅く実行されるようになっていれば(Tb<Tc)、主制御基板CPU611のセキュリティチェック完了時には払出制御基板CPU621はセキュリティチェックが完了し、主制御基板CPU611がROMに書き込まれたプログラムにしたがって遊技の制御を開始する時には、払出制御基板CPU621は既に遊技の制御を実行している。この結果、電源投入後、主制御基板CPU611が直ちに払出制御基板CPU621にデータを送信しても、払出制御基板CPU621はセキュリティチェックを終え自身の制御を実行しているので確実にデータを受信することができる。
【0053】
一方、RAMクリアスイッチ676を押しながら電源スイッチ671をオンしているので、リセット信号が解除された時点からRAMクリア信号が時間Tgの間出力されることになる。ここで、RAMクリア信号の出力時間Tgを、遅くセキュリティチェックの完了する主制御基板CPU611についてのリセット信号解除からセキュリティチェック完了までの時間(リセット信号遅延時間Tc+セキュリティチェック時間Td)を考慮して、払出制御基板CPU621がセキュリティチェック完了後にRAMクリア信号を確実に受信できるようにする。
【0054】
また、電源スイッチ671、RAMクリアスイッチ676は、図7に示すように、いずれも電源基板67の一方の面に固定されており、電源基板67は、これらスイッチ671、676固定面側から樹脂を成形した箱状のカバー679により覆われている。カバー679は開口端面の一部が対向辺位置で舌片状に突出して係合爪679a、679bとしてある。係合爪679a、679bはその端縁部が外側方向に厚肉に成形されて、電源基板67の対向位置に形成された係合穴670a、670bと係合し、カバー679が電源基板67に固定されるようになっている。カバー679を外すにはカバー679を係合爪679a、679bの配置方向に押して変形させつつ外す。
【0055】
さて、電源スイッチ671は電源基板67の1辺の近傍に設けられ、RAMクリアスイッチ676はその対向辺の近傍に設けられており、電源スイッチ671とRAMクリアスイッチ676とが互いに離れた位置に配置してある。
【0056】
本パチンコ遊技機の電源投入時の処理について説明する。図8に払出制御基板CPU621の電源投入時の概略制御フローを示す。セキュリティチェックが完了しRAMへのアクセスが許可されると(ステップS101)、ステップS102、S103でRAMをクリアすべきか否かを判断し、RAMをクリアすべきであればステップS104以降の手順を実行してパチンコ遊技機を初期状態から起動せしめ、クリアすべきでなければステップS108以降の手順を実行し、電源遮断前の状態から各部の作動を開始する。
【0057】
ステップS102ではRAMクリア信号がオンか否かを判断し、肯定判断されるとステップS104に進み、スタックの設定処理(ステップS104)、RAMの作業領域のクリア処理(ステップS105)を実行し、作業領域を初期化する(ステップS106)。以降、通常時の処理となる(ステップS107)。
【0058】
ステップS102が否定判断された場合にはステップS103でバックアップフラグがオンか否かを判断し、否定判断されると、RAMクリア信号入力の場合と同様にステップS104以降の手順を実行する。
【0059】
ステップS103が肯定判断されると、電源遮断前の記憶内容をRAMが保持しているということであり、電源復帰時処理が実行され(ステップS108)、バックアップされたパチンコ遊技機の状態を示す情報に基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開される(ステップS109)。
【0060】
図9に主制御基板CPU611の電源投入時の概略制御フローを示す。セキュリティチェックが完了しRAMへのアクセスが許可されると(ステップS201)、払出制御基板CPU621と同様にRAMクリア信号がオンか否か(ステップS202)、バックアップフラグがオンか否か(ステップS203)に基づいてパチンコ遊技機を初期状態から起動する(ステップS204?ステップS209)か、パチンコ遊技機を電源遮断前の状態から起動する(ステップS210?ステップS211)かを判断する。
【0061】
ステップS202が肯定判断された場合、ステップS203が否定判断された場合には、スタックの設定処理(ステップS204)、RAMの作業領域のクリア処理(ステップS205)を実行し、作業領域を初期化する(ステップS206)。次いで、特別図柄表示装置64へ、初期画面を表示する旨のコマンドデータを送信し(ステップS207)、ランプ制御基板65へ、初期装飾を表示すべき旨のコマンドデータを送信する(ステップS208)。以降、通常時の処理となる(ステップS209)。
【0062】
ステップS203が否定判断された場合には、電源遮断前の記憶内容をRAMが保持しているということであり、電源復帰時処理が実行され(ステップS210)、バックアップされたパチンコ遊技機の状態を示す情報に基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開される(ステップS211)。電源復帰時処理では各サブ制御基板62?66に停電から復旧したことを報知するコマンドコードを送信する。このコマンドコードを受信した特別図柄表示基板64はLCDの画面上に「停電復旧処理中」、「停電前のゲーム内容から続行しています」等のメッセージを表示する処理を行う。あるいは音制御基板が音声により上記メッセージと同等の内容で停電があったことを報知する。
【0063】
以上、説明したように、RAMクリア信号がオンの時にパチンコ遊技機を初期状態に戻すことができるが、RAMクリア信号は上記のごとくRAMクリアスイッチ676を押下しながら電源スイッチ671をオンした時にのみ生成されるから、RAMクリアスイッチ676を電源スイッチ671をオンする時以外で押下してもRAMクリアがなされることがなく不用意にパチンコ遊技機が初期状態に戻されることを防止できる。
【0064】
本パチンコ遊技機は、クリアスイッチであるRAMクリアスイッチ676と、クリア許容スイッチである電源スイッチ671と、クリア許容スイッチのオンに応じて一時的にクリア許容信号を出力するクリア許容信号出力手段であるリセット信号発生回路675とを具備している。ここで一時的に出力されるクリア許容信号はリセット信号のロウレベルからハイレベルへの変化であり、この変化は、上記のごとく電源スイッチ671のオンに際して一度だけ生じる。そして、遊技の進行を制御する制御手段である主制御基板CPU611、払出制御基板CPU621は、クリア許容信号の出力時期に予めクリアスイッチがオン状態のときメモリであるRAMをクリアする構成として、クリアスイッチのオン時期を、クリア許容スイッチをオンする際に制限したから、誤操作を防止することができる。
【0065】
そして、クリア許容スイッチを電源スイッチ671としたからクリア許容信号が電源投入の際以外では生成されず、クリア許容スイッチを電源スイッチ671とは別体とした構成に比してメモリクリアの機会がさらに限定され、より誤操作の回避を図ることができる。勿論、クリア許容スイッチは、クリア許容信号出力手段に一時的にクリア許容信号を出力せしめる、電源スイッチではないスイッチとするのもよい。
【0066】
また、電源基板67のサイズを目一杯使って電源スイッチ671とRAMクリアスイッチ676とをできる限り離すことで、上記のごとくRAMクリア信号を出力する必要がある場合には、スイッチ671、676操作において、一方の手でRAMクリアスイッチ676を押下しながら他方の手で電源スイッチ671をオンに切り替えることが要求される。これにより、RAMクリアが不用意になされない。しかも、電源スイッチ671およびRAMクリアスイッチ676を脱着可能なカバー679で覆い、RAMクリア時にはスイッチ671、676操作に先立ってカバー679を外すことを作業者に要求することになるので、より、誤操作の回避を図ることができる。
【0067】
なお、上記説明中の例ではRAMクリア信号は電源スイッチ671のオンから100ms程度で生成することになるが、作業者はどうしても電源スイッチ671のオン後もある程度余裕をもってRAMクリアスイッチ676を押下し続けることになる。そこで、クリア許容信号としてのリセット信号の解除がなされたらパイロットランプが点灯もしくは消灯する構成とするのもよい。これにより、作業者はパイロットランプの点灯もしくは消灯を確認したらRAMクリアスイッチ676から手を戻せばよく、ユーザーフレンドリーである。
【0068】
また、電源基板を覆うカバーは電源スイッチ若しくはRAMクリアスイッチのいずれかのみを覆う構成でもよい。また、箱状である必要はなく、電源スイッチ若しくはRAMクリアスイッチの周囲の数カ所に電源基板表面からスイッチの高さよりも高い脚部を立設してその上に載置される平板状のものであってもよい。
【0069】
また、RAMクリアスイッチは電源基板に固定する必要はなく、他の適当な場所に設けることができる。また、パチンコ遊技機ごとに設ける必要もなく、RAMクリアスイッチと電源スイッチとを複数のパチンコ遊技機群に共通に構成して、パチンコ遊技機群ごとにRAMクリアを行うのでもよい。この場合、RAMクリアスイッチと電源スイッチとが、パチンコ店内すべてのパチンコ遊技機に共通とすることも可能である。
【0070】
また、本具体例においては、RAMクリアスイッチ676を押下した状態で電源スイッチ671をオフからオンに切り替えたときのみRAMクリア信号発生回路677からRAMクリア信号を出力するよう構成したが、プログラム処理により判断する構成としてもよい。すなわち、RAMクリアスイッチのオンオフ信号をDC5Vでプルアップして主制御基板CPU611および払出制御基板CPU621のそれぞれの入力ポート613、623に入力する構成とするとともに、主制御基板CPU611および払出制御基板CPU621は、電源投入直後に実行されるセキュリティチェック終了後にRAMクリアスイッチ676が押下されているか否かを判断し、押下されている場合にはRAMをクリアするよう構成すればよい。
【0071】
この場合は、上記クリア許容信号に相当するのは、セキュリティチェックに続いて立ち上がる、RAMクリアスイッチ676が押下されているか否かの判断プログラムにより生成されるデータである。上記のごとくセキュリティチェック時間はごく短時間であり、RAMクリアスイッチ676を押下した状態で、電源スイッチ671をクリア許容スイッチとしてオフからオンに切り替えることで、RAMクリア信号発生回路677がRAMクリア信号を出力する上記具体例と同様にRAMクリアを行い得る。セキュリティチェックは少なくとも電源投入直後には実行されるので、制御プログラムの構成を大きく変更することなく実施可能である。
【0072】
また、本具体例では、プリペードカードを使用して遊技球の貸し出しを行うパチンコ遊技機について説明したが、本発明は現金の投入により遊技球の貸し出しを行うパチンコ遊技機についても適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
61 主制御基板(制御手段)
62 払出制御基板(制御手段)
67 電源基板(制御手段)
671 電源スイッチ(クリア許容スイッチ)
674 リセット信号発生回路(クリア許容信号出力手段)
676 RAMクリアスイッチ
679 保護カバー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技制御プログラムの作業領域としてのRAMを備え被制御対象の作動を制御する制御手段と、上記RAMをクリアする時に操作されるクリアスイッチと、電源投入時に上記クリアスイッチが操作されていれば上記RAMをクリアする弾球遊技機であって、
上記遊技制御プログラムを記憶したROM、上記RAMを有する上記制御手段としての主制御基板と、
該主制御基板に電源を供給すると共に、停電時にRAMの記憶内容を保持するバックアップ電源生成回路を有する電源基板と、を有し、
該電源基板のバックアップ電源生成回路から上記主制御基板のRAMはバックアップ電源を供給され、
上記主制御基板のCPUは、電源投入時のみに上記ROMに記憶されたプログラムに従ってセキュリティチェックを行い、該セキュリティチェック終了後であって上記遊技制御プログラムにより実行される通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断し、該判断の結果により上記RAMをクリアすべきと判断すれば初期状態から起動し、クリアすべきでないと判断すれば電源遮断前の状態から再開し、
上記初期状態から起動するときには上記RAMをクリアしたことを報知する初期装飾の表示を遊技機本体の前面枠のランプで行い、
上記主制御基板のCPUは、電源投入時でないときには上記クリアスイッチが操作されているか否かを判断しなく、
上記クリアスイッチは、上記電源投入するための電源スイッチを固定する基板以外の場所であり、該基板と離れた位置に取付けられた前記主制御基板に固定し、
上記RAMをクリアすべきとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されている場合に行われ、
上記RAMをクリアすべきでないとの判断は、上記セキュリティチェック終了後であって上記通常時の処理の前に上記クリアスイッチが操作されていない場合に行われる、
ことを特徴とする弾球遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-05-02 
出願番号 特願2009-65985(P2009-65985)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石塚 良一赤坂 祐樹  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 伊藤 陽
瀬津 太朗
登録日 2010-08-13 
登録番号 特許第4565073号(P4565073)
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 名古屋国際特許業務法人  
代理人 名古屋国際特許業務法人  

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