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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C09J 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C09J |
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管理番号 | 1274707 |
審判番号 | 不服2012-17791 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-09-12 |
確定日 | 2013-06-19 |
事件の表示 | 特願2006-46212「粘着シート」拒絶査定不服審判事件〔平成19年9月6日出願公開,特開2007-224133,請求項の数(16)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
本願は,平成18年2月23日の出願であって,その請求項1?16に係る発明は,平成24年4月24日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 なお,事案に鑑み,以下の点につき付言する。 (1)原審で引用された引用文献1(国際公開第2005/095493号)には,非常に広範なポリマーがポリロタキサンの環状分子を介して架橋結合し得る旨の記載がなされていて,その「非常に広範なポリマー」の中には,『粘着性高分子』といい得るものも含まれているが,その一方で,例えば,各実施例において使用されているポリマーの中には,『粘着性高分子』といえるものはなく,『粘着性高分子』に関して,個別的又は具体的な開示はない。 さらに,引用文献1において,目的又は効果に関する開示としては, 「本発明の目的は,架橋ポリマーが有する特性と伸縮性又は粘弾性とを併せて有する材料…を提供する」[0004],及び, 「本発明により,架橋ポリマーが有する特性と伸縮性又は粘弾性とを併せて有する材料…を提供する」[0036] といったことに止まるものである。 このような引用文献1の記載事項に基づいて,その技術的な開示事項を検討すると,少なくとも「例示されている広範なポリマーに含まれるが個別的又は具体的な開示のないポリマー」に関しては,引用文献1において示された目的の範囲内,或いは,そこに示された効果と同等といえる範囲内での使用ならば,引用文献1において開示又は示唆があるとして,新規性又は進歩性を否定することは妥当かも知れないが,その範囲を超えて当業者が容易には想到し得ない程度にまで達しているならば,少なくとも引用文献1のみからは新規性及び進歩性を否定することは妥当ではないと判断すべきである。 このような観点で検討すると,本願発明は,「柔軟性(保持力)と耐久性を両立させた粘着剤の提供」という,粘着剤に特有の課題を解決するものと解せられ(本願明細書【0004】?【0005】及び【0089】?【0091】参照),このような目的又は効果については,「柔軟性」のみならばともかく,「耐久性」をも併せ有するというのであり,さらには,これまでの粘着剤分野では両性質を併有する粘着剤はなかったと解されるから,引用文献1の記載から当業者が容易に想到しうるものとはいえないと判断する(「容易に想到」というためには,あくまで事後分析的な見方に陥ることなく,本願発明を見ない又は知らない状態で引用文献の記載から「容易に想到」といえる必要がある)。 したがって,本願発明は,引用文献1の記載から容易に発明をすることができたものとすることができない。 (2)本願請求項6には,以下のとおりの記載がある。 「【請求項6】 前記粘着性高分子のガラス転移温度(Tg)が,30℃以下であることを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の粘着シート。」 ところで,原審の平成23年10月18日付け拒絶理由通知中で引用された文献である「遠山三夫著,「感圧接着剤(粘着剤)-その機能と仕組み-」,株式会社高分子刊行会,1991年2月20日発行,第1版,p.13-14」(特にp.14第4段落参照)によれば, 「実用性能から見ると,粘着剤のガラス転移温度は220?250゜Kの範囲となる」 旨記載されていることから,本願発明の「粘着性高分子」も同程度のガラス転移温度を有するものと解すべきである。 そうすると,「220?250゜K」というのは,「-53?-23℃」と換算されることから,請求項6の「粘着性高分子のガラス転移温度(Tg)が,30℃以下であること」なる記載は,本願発明における粘着性高分子が,有していると判断される範囲を含むものであることから,特段技術的に矛盾することとはいえない。 したがって,本願請求項6の記載に関して,特許法第36条に関連する記載要件についての格別の拒絶理由があるとはいえない。 |
審決日 | 2013-06-03 |
出願番号 | 特願2006-46212(P2006-46212) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(C09J)
P 1 8・ 113- WY (C09J) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松原 宜史 |
特許庁審判長 |
星野 紹英 |
特許庁審判官 |
新居田 知生 小石 真弓 |
発明の名称 | 粘着シート |
代理人 | 村雨 圭介 |
代理人 | 早川 裕司 |