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審決分類 審判 訂正 5項独立特許用件 訂正する C03C
審判 訂正 1項3号刊行物記載 訂正する C03C
審判 訂正 2項進歩性 訂正する C03C
管理番号 1276564
審判番号 訂正2013-390074  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-05-09 
確定日 2013-06-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4294033号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4294033号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4294033号(以下「本件特許」という。)は、平成7年3月14日に出願した特願平7-54160号の一部を平成18年2月23日に新たな特許出願(特願2006-46899号、パリ条約による優先権主張1994年3月14日、アメリカ合衆国、1994年8月10日、アメリカ合衆国)とし、平成21年4月17日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成25年5月9日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 本件訂正審判における請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第4294033号の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、すなわち、以下のように訂正することを求めるものである。
1 訂正事項1
本件特許の訂正前の請求項1(以下「旧請求項1」ということがある。)に「0%-18%のCaO」とあるのを「0%-8.76%のCaO」と訂正する。
2 訂正事項2
旧請求項1に「0.4%-12.8%のSrO」とあるのを「4.86%-12.8%のSrO」と訂正する。
3 訂正事項3
旧請求項1に「0-21%のBaO」とあるのを「0-8.2%のBaO」と訂正する。
4 訂正事項4
旧請求項1に「MgO+CaO+SrO+BaOの合計が12%-30%」とあるのを「MgO+CaO+SrO+BaOの合計が12%-21%」と訂正する。
5 訂正事項5
旧請求項1に「31-44×10^(-7)/℃の線熱膨張係数」とあるのを「31-42×10^(-7)/℃の線熱膨張係数」と訂正する。
6 訂正事項6
本件特許の訂正前の明細書の段落【0048】に「例3,8,11,19,21,27-29および40が現在の特許請求の範囲に入る実施例」とあるのを「例3,19,21および27-29が現在の特許請求の範囲に入る実施例」と訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、旧請求項1の発明特定事項であるCaOの重量パーセント「0%-18%」を本件訂正により「0%-8.76%」として数値範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、旧請求項1の発明特定事項であるSrOの重量パーセント「0.4%-12.8%」を、本件訂正により「4.86%-12.8%」として数値範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、旧請求項1の発明特定事項であるBaOの重量パーセント「0%-21%」を、本件訂正により「0%-8.2%」として数値範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、旧請求項1の発明特定事項であるMgO+CaO+SrO+BaOの合計の重量パーセント「12%-30%」を、本件訂正により「12%-21%」として数値範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、旧請求項1の発明特定事項である線熱膨張係数「31-44×10^(-7)/℃」を、本件訂正により「31-42×10^(-7)/℃」として数値範囲を減縮するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正事項1?5に係る訂正によって生じる、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載の齟齬を解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

2 新規事項の追加の有無について
訂正事項1?6が願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かについて検討すると、訂正事項1?6に係る事項は、同明細書の段落【0037】の【表1】、【0046】の【表7】、【0048】に記載されているから、訂正事項1?6は、いずれも同明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
したがって、訂正事項1?6は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項1?6は、上記したように特許請求の範囲の減縮または該減縮に伴う明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、これら訂正事項によって、実質上特許請求の範囲が拡張されたり、変更されたりするものでもないことは明らかである。
したがって、訂正事項1?6は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4 訂正後の請求項1に係る発明の独立特許要件について
訂正事項1?5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるかについて検討する
4-1 本件訂正発明
本件訂正発明は、次のとおりのものである。
「フロート工程を用いて製造された、アルミノケイ酸塩ガラスからなる、フラットパネルディスプレイ用のガラスパネルであって、
前記アルミノケイ酸塩ガラスは、
(i)アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準の重量パーセントで計算して、49%-67%のSiO_(2)、16%-23%のAl_(2)O_(3)、0%-8%のB_(2)O_(3)、0%-8%のMgO、0%-8.76%のCaO、4.86%-12.8%のSrO、および0%-8.2%のBaOから実質的になり、ここで、SiO_(2)とAl_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、MgO+CaO+SrO+BaOの合計が12%-21%である組成を有し、かつ、
(ii)640℃より高い歪点および31-42×10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有すると共に、95℃で5重量%の塩酸水溶液中に24時間に亘り浸漬した後の重量損失が20mg/cm^(2)未満である、ことを特徴とするガラスパネル。」

4-2 刊行物
本件の審査における拒絶理由通知において、本件訂正前の請求項1に係る発明が特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとして引用された刊行物は、以下のとおりである。
(1)引用例1:特開平5-232458号公報
(2)引用例2:特開平5-193980号公報
(3)引用例3:特開平4-325435号公報
(4)引用例4:特開平2-133334号公報
(5)引用例5:特開平4-175242号公報

4-3 判断
以下では、本件訂正発明が、上記引用例1?5にかかわらず、特許法第29条第1項及び同法第29条第2項に規定する特許要件を満たすかを検討する。
本件訂正発明は、アルミノケイ酸塩ガラスの組成範囲を特定することで、特定の物性(線熱膨張係数、歪点及び耐久性)を有するガラスパネルに関する発明である。そして、該特定の物性のうち、特に線膨張係数がケイ素の線熱膨張係数に合致することを特に重要な要件とするものである(【0012】、【0019】、【0031】)。
そこで、本件訂正発明の新規性進歩性を検討するにあたり、引用例1?5に記載されたガラス組成のうち、線膨張係数が本件訂正発明と同等なディスプレイガラス組成を中心に検討する。
(1)引用例1について
ア 引用例1の記載事項
本件優先日前に頒布された引用例1には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
本発明によるガラスの好ましい組成はモル%で表わして以下から実質的になる。
【0019】
・・・
モル%を正確に重量%に変換することは数学的に不可能であるが、本発明によるガラスの組成の重量%で表わした近似値は以下の通りである。
【0020】
SiO_(2) 50-65 CaO and/or BaO 0-12
Al_(2) O_(3) 8-15 B_(2) O_(3) 0-5
SrO 22-38 (CaO and/or BaO)+ B_(2) O_(3) 0-14」
(イ)引用例1の【0028】の表1には、実施例1?23のガラスの組成と物理的、化学的性質がまとめられており、そのうち、実施例2、3のガラス組成及び特性は、次のとおりである。
実施例2 実施例3
SiO_(2) 57.0 56.8
Al_(2)O_(3) 15.2 16.4
SrO 3.6 -
CaO 3.9 7.8
BaO 5.2 8.0
B_(2)O_(3) 12.4 4.7
MgO 1.4 5.8
・・・
St.P. 640 674
・・・
Exp. 36.5 44
・・・
W.L. 4 0.25

ここで、St.P.は歪点を意味し、Exp.は線熱膨張係数(10^(-7)/℃)を意味するので、本件訂正発明の記載にあわせて以下では「CTE」ということとし、W.L.は95℃で5重量%の塩酸水溶液中に24時間に亘り浸漬した後の重量損失を意味するので、本件訂正発明における耐久性に相当する(引用例1の【0026】)。
このため、これらの実施例2,3のガラス組成及び特性を、本件訂正発明の記載にそって整理すると、次のとおりである。
なお、SiO_(2) とAl_(2)O_(3) の合計を以下では「S+A」といい、MgO+CaO+SrO+BaOの合計を以下では「MCSB」という。

実施例2 実施例3
SiO_(2) 57.0 56.8
Al_(2)O_(3) 15.2 16.4
B_(2)O_(3) 12.4 4.7
MgO 1.4 5.8
CaO 3.9 7.8
SrO 3.6 -
BaO 5.2 8.0
S+A 72.2 73.2
MCSB 14.1 21.6
歪点 640 674
CTE 36.5 44
耐久性 4 0.25

イ 検討
記載事項(ア)に記載されたガラス組成と本件訂正発明のガラス組成を比較すると、記載事項(ア)のガラスのAl_(2)O_(3) とSrO含有量は、本件訂正発明で規定する数値範囲と異なっており重複することもない。
次に、記載事項(イ)に関し、実施例2は、線熱膨張係数(CTE)においては、本件訂正発明が規定する数値範囲内であるが、Al_(2)O_(3) 、B_(2)O_(3)の含有量において本件訂正発明で規定する含有量の範囲からはずれ、特性では歪点が640にとどまっている。また、実施例3は、SrOを含有していない点で本件訂正発明と異なり、特性ではCTEが44であり、本件訂正発明で規定する範囲より大きな値となっている。
このため、本件訂正発明は、引用例1に記載されているとすることはできない。
また、引用例1の記載を見ても、引用例1に記載されたガラスの組成を本件訂正発明の規定する範囲に変更することを示唆する記載はない。このため、本件訂正発明は、引用例1に記載された発明から、当業者が容易に想到することができたとすることはできない。

(2)引用例2について
本件優先日前に頒布された引用例2の【0034】の【表1】には、実施例1?12のガラスの物理的、化学的性質がまとめられており、実施例2、3のガラス組成及び特性は、つぎのとおりである。
実施例2 実施例3
SiO_(2) 57.0 56.8
Al_(2)O_(3) 15.2 16.4
B_(2)O_(3) 12.4 4.7
CaO 3.9 7.8
SrO 3.6 -
BaO 5.2 8.0
MgO 1.4 5.8
・・・
St.P. 640 674
・・・
Exp. 36.5 44
・・・
W.L. 4 0.25
これらのガラスは、引用例1で実施例2、3として検討したガラスと、組成割合と特性において同一のものである。
したがって、上記(1)で検討したと同様の理由により、本件訂正発明は、引用例2に記載された発明に対し、新規性進歩性を有する。

(3)引用例3について
本件優先日前に頒布された引用例3の【0022】には、実施例1?9についての記載があり、その【表1】には、それぞれのガラス組成、【表2】には、それぞれの物理的、化学的性質がまとめられている。
なお、【0017】によれば、表1に示す組成の単位は重量%である。
「【表1】


「【表2】



このうち、線膨張係数(CTE)が41、44×10^(-7)/℃で、本件訂正発明のガラスの線膨張係数に近い実施例6?8のガラス組成及び特性は、本件訂正発明の記載にそって整理すると、次のとおりである。

実施例6 実施例7 実施例8
SiO_(2) 58 55 60
Al_(2)O_(3) 11 15 17
B_(2)O_(3) 3 2 4
MgO 2 6 8
CaO 12 6 11
SrO 14 - -
BaO - 6 -
ZnO 10
S+A 69 70 77
MCSB 28 18 19
歪点 650 665 675
CTE 41 44 44

実施例6は、CTEにおいては、本件訂正発明が規定する数値範囲内であるが、Al_(2)O_(3) 、SrOの含有量において本件訂正発明で規定する含有量の範囲からはずれている。また、実施例7は、Al_(2)O_(3) の含有量が本件訂正発明のガラスとは異なるほか、SrOを含有していない点及びZnOを含有する点で本件訂正発明と異なり、特性ではCTEが44と本件訂正発明で規定する範囲より大きな値となっている。また、実施例8は、ZrOを含有しない点で、本件訂正発明とは異なる。
このため、本件訂正発明は、引用例3に記載されているとすることはできない。
また、引用例3の記載を見ても、実施例6?8のガラス組成を本件訂正発明の規定する範囲に変更することを示唆する記載はない。
このため、本件訂正発明は、引用例3の実施例6?8に記載された発明から、当業者が容易に想到することができたとすることはできない。

(4)引用例4について
本件優先日前に頒布された引用例4の特許請求の範囲の請求項1には、「重量%表示で、SiO_(2 )54?60、Al_(2)O_(3 )10?15、B_(2)O_(3 )6?10、CaO 8?15、BaO 4?10、ZnO 1?6、TiO_(2)および/またはZrO_(2 )0.3?4、MgO 0?2、SiO_(2)+Al_(2)O_(3)+B_(2)O_(3 )375?80よりなり、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないことを特徴とする無アルカリガラス。」が記載されている。
しかし、該無アルカリガラスは線熱膨張係数(CTE)がどの程度になるかは記載されておらず、また、Al_(2)O_(3)の含有量が本件訂正発明の範囲外であると共に、SrOを含有しない点、ZnO、TiO_(2)および/またはZrO_(2)を必須成分とする点で、本件訂正発明の範囲外にある。
このため、本件訂正発明は、引用例4に記載された発明とすることができない。
また、引用例4の記載を見ても、引用例4に記載されたガラス組成を本件訂正発明の規定する範囲に変更することを示唆する記載はない。
このため、本件訂正発明は、引用例4に記載された発明から、当業者が容易に想到することができたとすることはできない。

(5)引用例5について
本件優先日前に頒布された引用例5には、表1にサンプル1?7の実施例がまとめられている(第4頁左上欄)。



ここで、表1のガラス組成はモル%表記であるので、これを重量%表記に変換すると共に、本件訂正発明の特性に対応する特性をまとめると次のとおりとなる。



これらのデータを参照すると、サンプル1?7のいずれのガラスの組成も、本件訂正発明のガラス組成の範囲外のものとなっている。
すなわち、サンプル1、2、4、5、7でAl_(2)O_(3)の含有量が、サンプル4、6、7でSrOの含有量が本件訂正発明の範囲外であるほか、本件訂正発明の規定する各成分の含有量を全て満足するサンプルはない。また、その特性についても、全てのサンプルで線熱膨張係数(CTE)は、本件訂正発明の範囲外である。
このため、本件訂正発明は、引用例5に記載された発明とすることはできない。
また、引用例5の記載を見ても、引用例5に記載されたガラス組成を本件訂正発明の規定する範囲に変更することを示唆する記載はない。
このため、本件訂正発明は、引用例5に記載された発明から、当業者が容易に想到することができたとすることはできない。

4-4 小括
以上のとおりであるので、本件訂正発明は、引用例1?5に記載されておらず、引用例1?5に記載された発明から、あるいは引用例1?5に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたとすることができない。また、他に本件訂正発明について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
このため、訂正後の請求項1に係る発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできない。
したがって、本件訂正は特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アルミノケイ酸塩ガラスを用いたガラスパネルの製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明はフラットパネルディスプレー装置に特に有用なアルミノケイ酸塩ガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラップトップコンピュータ用だけでなく、情報案内や娯楽用途のための大型ユニット用についても、フラットパネルディスプレーに対する関心が高まっている。そのようなフラットパネルディスプレーの形態の1つに液晶ディスプレーがある。
【0003】
液晶ディスプレー(LCD)は、照明用の外部光源を必要とするフラットパネルディスプレー装置である。
【0004】
米国特許第4,824,808号(ダンボー、ジュニア)には、LCDの基体に使用するガラスに必須の4つの特性が記載されている。
【0005】
第一に、ガラス基体からアルカリ金属がトランジスタマトリックス中に移行しないように、ガラスには意図的にアルカリ金属酸化物を含ませてはならない。
【0006】
第二に、ガラス基体は、TFTマトリックスの蒸着工程に使用する試薬に耐えられるように十分な化学的耐久性を有さなければならない。
【0007】
第三に、ガラス基体の加工温度を上昇させるときでさえ、TFTアレイにおけるケイ素とガラスとの間の膨脹の不整合を比較的低レベルに維持しなければならない。
【0008】
第四に、ガラスを低コストで高品質の薄いシート形状に製造しなければならない。すなわち、表面仕上げを所望のものとするために大規模のすり(grinding)および磨き(polishing)を必要としてはならない。
【0009】
実質的に仕上がった状態のガラスシートを製造できるシートガラス製造工程が必要とされるので、この最後の必要条件を満足させることが最も難しい。現在、オーバーフローダウンドローシート製造工程(overflow downdraw sheet manufacturing process)が採用されている。この工程は、米国特許第3,338,696号(ドカーティ)および同第3,682,609号(ドカーティ)に記載されている。その工程には、液相線温度において非常に大きい粘度および溶融温度を有し、成形温度において失透に対する長時間安定度(例えば、30日間に及ぶ)を有するガラスが必要とされている。
【0010】
LCDの製造には現在コーニングコード7059ガラスが使用されている。このガラスは、重量パーセントで表して、約50%のSiO_(2)、約15%のB_(2)O_(3)、約10%のAl_(2)O_(3)、および約24%のBaOから実質的になり、アルカリ金属酸化物を意図的に含まず、25℃-300℃における線熱膨張係数(CTE)が約46×10^(-7)/℃であり、液相線温度における粘度が60,000Pa・s(600,000ポアズ)以上である。このガラスの液相線温度における粘度が高いために、オーバーフローダウンドローシート製造工程を用いてそのガラスをシート状に圧伸させることができるが、比較的歪点が低いので(約593℃)、Siデバイス(a-Si device)の加工には適しているが、ポリSiデバイス(poly-Si device)の加工には適していない。
【0011】
それゆえ、少なくとも3つの必要条件を満たすように設計したガラスを開発する広範囲にわたる研究が不十分な成功に終わっている。米国特許第4,409,337号、同第4,824,808号、同第5,116,788号、および同第5,116,789号を参照のこと。最初に、ポリSiデバイスの製造に使用できるようにガラスを適応させる必要があった。次に、そのガラスをオーバーフローダウンドロー工程によりシート状に成形できるようにしなければならなかった。最後に、そのガラスはケイ素の線熱膨脹係数と厳密に合致する線熱膨脹係数を有する必要があった。
【0012】
「チップオンガラス」(COG)と称する液晶技術における最近の進歩により、熱膨脹係数に関してケイ素に厳密に合致する基体ガラスの必要性がさらに強調されている。このように、初期のLCDデバイスではドライバーチップ(driver chips)を基体ガラス上に搭載していなかった。その代わりに、シリコンチップを基体ガラスから離して搭載し、迎合する柔軟な配線によりLCD基体回路に接続していた。LCDデバイス技術が改良され、それらのデバイスが大型化してきたので、コストと不確かな信頼性のために、これらの柔軟な搭載方法は受け入れられなくなった。このような状況のために、シリコンチップのテープオートマチックボンディング(TAB)が開発された。この工程においては、シリコンチップとこれらチップへの電気的接続部をキャリアテープ上に搭載して副集成部品を形成し、この副集成部品をLCD基体上に直接搭載し、その後LCD回路への接続を完了した。TABを用いることにより、コストを減少させた一方で、信頼性を改善し、コンダクタの許容密度を約200μmのピッチに増加させた。これらの要素はいずれも重要である。しかしながら、COGによる改良点は、これら3つの要素に関してTABによる改良点より優れている。そのため、LCDデバイスのサイズと品質に関する必要条件が厳しくなるにつれ、集積回路のシリコンチップの使用に応じてCOGを用いてこれらデバイスを製造することが要求されている。この理由のために、基体ガラスは、ケイ素の線熱膨張係数に厳密に合致する線熱膨脹係数を有さなければならない。すなわち、このガラスは、0℃-300℃の範囲における線熱膨脹係数が31-44×10^(-7)/℃、好ましくは32-40×10^(-7)/℃でなければならない。
【0013】
オーバーフローダウンドロー工程に要求される液相線温度での大きな粘度値、すなわち、600,000ポアズ(60,000Pa・s)は、ポリSiデバイスに要求されるいくつかの他の特性と関連して達成するのが難しい。その結果、粘度の要因がそれほど重要ではない他のシート成形工程が注目を集めている。そのような工程の例としては、フロート工程(float process)およびレドロー工程(redraw process)が挙げられる。
【特許文献1】米国特許第4824808号明細書
【特許文献2】米国特許第3338696号明細書
【特許文献3】米国特許第3682609号明細書
【特許文献4】米国特許第4409337号明細書
【特許文献5】米国特許第5116788号明細書
【特許文献6】米国特許第5116789号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
フロート工程には、溶融スズのような溶融金属の表面に亘りガラスシートを連続的に圧伸する工程がある。溶融金属に接触する表面は、圧伸中には露出されておらず、そのため、比較的滑らかで欠陥がない。このために、一方の表面しか仕上げる必要がないという利点がある。本発明の主な目的は、フラットパネルディスプレーデバイス用、特にポリSiチップを用いるLCDデバイス用のパネルに使用するガラスを提供することにある。本発明のさらなる目的は、フロート工程のようなオーバーフローダウンドロー工程以外の方法により製造できるようなパネルに使用するガラスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、特にフラットパネルディスプレー用のパネルとして特に有用なアルミノケイ酸ガラスであって、歪点が640℃より高く、95℃で5重量%の塩酸水溶液中に24時間に亘り浸漬した後の重量損失が20mg/cm^(2)未満であり、線熱膨脹係数が31×10^(-7)/℃と57×10^(-7)/℃との間の範囲にあり、アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準の重量パーセントで計算して、55%-67%のSiO_(2)と、6%-14%のAl_(2)O_(3)と、0%-15%のB_(2)O_(3)と、0%-21%のBaO、0%-15%のSrO、0%-18%のCaO、および0%-8%のMgOからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属酸化物とから実質的になり、ここでSiO_(2)+Al_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、BaO+CaO+SrO+MgOの合計が12%-30%であるアルミノケイ酸塩ガラスを提供する。
【0016】
本発明はまた、特にフラットパネルディスプレー用のパネルとして特に有用なアルミノケイ酸ガラスであって、歪点が640℃より高く、95℃で5重量%の塩酸水溶液中に24時間に亘り浸漬した後の重量損失が20mg/cm^(2)未満であり、線熱膨脹係数が31×10^(-7)/℃と57×10^(-7)/℃との間の範囲にあり、アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準の重量パーセントで計算して、49%-58%のSiO_(2)と、16%-23%のAl_(2)O_(3)と、0%-15%のB_(2)O_(3)と、0%-21%のBaO、0%-15%のSrO、0%-18%のCaO、および0%-8%のMgOからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属酸化物とから実質的になり、ここでSiO_(2)+Al_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、BaO+CaO+SrO+MgOの合計が12%-30%であるアルミノケイ酸塩ガラスを提供する。
【0017】
本発明の方法により、フラットパネルディスプレー用のガラスパネルを製造する。この方法は、酸化物基準の重量パーセントで計算して、49%-67%のSiO_(2)と、少なくとも6%のAl_(2)O_(3)と、0%-15%のB_(2)O_(3)と、0%-21%のBaO、0%-15%のSrO、0%-18%のCaO、および0%-8%のMgOからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属酸化物とから実質的になり、Al_(2)O_(3)が6%-14%の場合にはSiO_(2)が55%-67%であり、Al_(2)O_(3)が16%-23%の場合にはSiO_(2)が49%-58%であり、SiO_(2)+Al_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、BaO+CaO+SrO+MgOの合計が12%-30%であるアルミノケイ酸塩ガラスのバッチを溶融し、得られた溶融物から溶融ガラスを引き伸ばして薄いシートを形成する工程からなる。
【0018】
本発明は、オーバーフローダウンドロー工程の必要条件を満たす必要のない方法により製造し得るフラットディスプレーデバイスのパネルが要望されたことから始まったものである。特に、液相線温度における粘度が60,000Pa・s(600,000ポアズ)より大きい必要のないことが望まれた。
【0019】
しかしながら、それと同時に、他の必要条件を満たさなければならない。そのような必要条件としては、歪点が640℃より高いこと、良好な化学的耐久性を有すること、熱膨脹係数(CTE)が制御されていること、およびアルカリ金属を含まないことが挙げられる。
【0020】
これらのいくつかの必要条件は、アルカリ金属を実質的に含まず、酸化物基準の重量パーセントで計算して、49%-67%のSiO_(2)と、少なくとも6%のAl_(2)O_(3)と、0%-15%のB_(2)O_(3)と、0%-21%のBaO、0%-15%のSrO、0%-18%のCaO、および0%-8%のMgOからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属酸化物とから実質的になり、Al_(2)O_(3)が6%-14%の場合にはSiO_(2)が55%-67%であり、Al_(2)O_(3)が16%-23%の場合にはSiO_(2)が49%-58%であり、SiO_(2)+Al_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、BaO+CaO+SrO+MgOの合計が12%-30%であるアルミノケイ酸塩ガラスにより満たされるかもしれないことが分かった。
【0021】
化学的特性、成形特性、および物理的特性の所望のマトリックス(matrix)を示すガラスを得るために、上述のように特定した組成範囲にしたがうことが必要であることが分かった。これを以下に説明する。
【0022】
SiO_(2)およびAl_(2)O_(3)はガラス成形酸化物である。このガラスの成形性を達成するため、並びに所望の高い歪点を得るためには、少なくとも49%のSiO_(2)および6%のAl_(2)O_(3)が必要である。SiO_(2)の含有量が67%を越え、Al_(2)O_(3)の含有量が23%を越えると、ガラス溶融が難しくなる傾向にある。
【0023】
SiO_(2)およびAl_(2)O_(3)はまた、ガラスの耐久性に関しても重要である。しかしながら、この点に関して、SiO_(2)およびAl_(2)O_(3)の含有量は相互依存している。したがって、Al_(2)O_(3)の含有量が6%-14%の範囲にある場合、必要とされる化学的耐久性を得るためには、SiO_(2)の含有量は少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%必要とされる。Al_(2)O_(3)の含有量が16%-23%の範囲にある場合、適切な耐久性を得るためには、SiO_(2)の含有量は49%程度まで少なくてもよいであろう。所望の耐久性を得るためには、SiO_(2)とAl_(2)O_(3)の含有量の合計は、約68%よりも多くあるべきである。
【0024】
B_(2)O_(3)は、ガラスを軟化させる傾向、すなわち、溶融温度を低下させて溶融しやすくする傾向にある。しかしながら、B_(2)O_(3)は、特に多量を用いた場合には、歪点を低下させ、耐久性に対して有害である。その結果、B_(2)O_(3)の含有量は、約15%を越えるべきではなく、好ましくは8%以下である。
【0025】
シリコンチップをガラス上に搭載すべきであり、そのために31-44×10^(-7)/℃のCTEが必要な場合には、好ましくはBaOの含有量を少量に維持すべきである。BaOを他のアルカリ土類金属酸化物および/またはAl_(2)O_(3)で置き換えてもよい。
【0026】
一般的に、アルカリ土類金属は、Ba、Sr、Ca、Mgの順番でCTEを上昇させる。すなわち、BaOによる影響が最も大きく、MgOによる影響は最も小さい。
【0027】
上述した成分以外にも、様々な任意の成分が考えられる。そのような成分の例としては、TiO_(2)、ZrO_(2)、ZnO、La_(2)O_(3)、Ta_(2)O_(3)、Nb_(2)O_(5)およびY_(2)O_(3)が挙げられる。好ましくは、これらの酸化物は、密度を増加させる傾向にありかつ歪点を低下させるかもしれないので、約5%を越える量では含まない。一般的に、屈折率または耐久性のような特性に関する利点がなにかその他の点で得られるであろう。
【0028】
アルカリ金属およびハロゲン化物は液晶流体を害する傾向にあり、したがって、避けられない不純物を除いては含ませない。
【0029】
化学的耐久性の尺度には、95℃の5重量%のHCl水溶液中に24時間に亘りガラス試料を浸漬させたときの重量損失を通常用いている。本発明の目的を達成するためには、重量損失が20mg/cm^(2)未満でなければならず、好ましくは5mg/cm^(2)未満、最も好ましくは1mg/cm^(2)未満である。
【0030】
ディスプレーパネル、特にLCDデバイス用のガラスパネルにおいて適切な熱膨脹係数(CTE)には2つのレベルがある。1つのレベルは、この業界において標準となっていたコード7059ガラスに基づいている。このガラスは46×10^(-7)/℃のCTEを有しており、44-57×10^(-7)/℃のCTE範囲が適合すると考えられている。好ましくはCTEの範囲は45-50×10^(-7)/℃である。
【0031】
このレベルに含まれるCTE値を有する2つのアルミノケイ酸塩ガラスのサブファミリーAおよびBを見出だした。これらのサブファミリー内に含まれる組成を有するガラスは、酸化物基準の重量パーセントで計算して以下に示すような成分から実質的になる:

もう一方のCTEレベルは、ケイ素に合致し、したがって、チップ装着を直接行えるという要望に基づくものである。したがって、ガラスパネルのCTE範囲は31-44×10^(-7)/℃であり、好ましくは32-40×10^(-7)/℃であろう。
【0032】
CTE値をこのような範囲内に収めるために、上記CTE範囲の必要条件を満たす2種類のアルミノケイ酸塩ガラスのサブファミリーCおよびDを見出だした。これらのサブファミリー内に包含される組成を有するガラスは、酸化物基準の重量パーセントで計算して以下に示すような成分から実質的になる:

本発明はまた、上述したガラスを溶融し、フロート工程、レドローイングまたはローリングのような工程により得られた溶融物からガラスシートを成形し、成形したシートをパネルサイズに切断する各工程によりLCDデバイス用のパネルを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
表Iにはいくつかのガラス組成が列記されている。これらの組成は酸化物基準の重量部で表されており、本発明のガラスの組成パラメータを示している。個々の成分の合計はほぼ100であり、As_(2)O_(3)のような清澄剤を除外した場合にはやや小さくなっている。したがって、実際には、表に示した値を重量パーセントとみなしても差し支えない。
【0034】
実際のバッチ材料は所望の酸化物からなるものであってよい。これらバッチ材料は、他のバッチ成分と互いに溶融したときに、適切な比率で所望の酸化物に転化される他の化合物からなるものであってもよい。例えば、CaCO_(3)およびBaCO_(3)はそれぞれCaOおよびBaOの供給源と成り得る。
【0035】
これらの組成に基づくガラスバッチを配合した。得られたバッチを完全に互いにタンブル混合して均一な溶融物を得て、白金るつぼ中に装填した。蓋をした後、この白金るつぼを1650℃に設定された炉中に移した。不純物を含まず脈理のないガラスを成形するために、2段階の溶融手順を採用した。最初にバッチを約16時間に亘り溶融し、撹拌した。その後、溶融物を細かい流動体として水道水の満たされた水槽中に注ぎ入れて、ガラスの微細な粒子を形成した。この工程をガラス業界において「ドリゲージング(drigaging)」と称する。第2の工程において、微細なガラス粒子(乾燥後)を約4時間に亘り1650℃で再溶融した。溶融物を両方向、すなわち、時計回りと反時計回りで撹拌した。得られた溶融物をスチール型に注ぎ入れ、およそ47.5×15.2×1.3cm(18インチ×6インチ×0.5インチ)の寸法を有するガラススラブを製造した。これらのガラススラブを約725℃に設定されたアニーラーに直ちに移した。
【0036】
上述した記載は実験室での溶融方法のみに基づくものであることに留意されたい。しかしながら、本発明のガラスは、大規模な商業用のガラス溶融装置および成形装置を用いても溶融および成形できる。必要であれば、ヒ素およびアンチモンの酸化物等の清澄剤を通常の量で添加してもよい。ガラス中に含まれる基本成分以外の少量の成分は、ガラスの物理的特性に実質的には影響しない。
【0037】
表Iは、ガラス業界において慣習的な測定技術にしたがって測定したガラスの化学的特性および物理的特性の測定値を示している。0℃-300℃の温度範囲における線熱膨脹係数(CTE)を×10^(-7)/℃で表している。軟化点および歪点を℃で表し、これらの値は繊維伸率(fiber elongation)により測定した。HCl中における耐久性は、95℃の5重量%のHCl水溶液の水槽中に24時間に亘り浸漬させた後の重量損失(mg/cm^(2))を測定することにより評価した。
【表1】

【表2】

【0038】
表IAは、表I記載のものと同一のガラス組成を酸化物基準のモルパーセントで表したものである。
【表3】

【表4】

【0039】
上述したガラスの実施例は、本発明を特徴付けるいくつかの特性を持たせるためにガラスを調製する際に行わなければならない組成のコントロールにおける注意点を説明するものである。組成1が多量のSrOを含有し、組成4が多量のCaOを含有し、そして組成9がB_(2)O_(3)を含まずに代わりにBaOを多く含有していることを除いて、組成1、4および9は極めて類似している。
【0040】
組成を比較することにより、耐久性に対する様々な酸化物の含有量の効果が分かる。組成11と12との比較により、アルカリ土類金属酸化物を置き換えると、耐久性が大きな影響を受けることが分かる。また、組成1と6との比較により、B_(2)O_(3)を含まずに代わってアルカリ土類金属酸化物を含有すると好ましい効果があることが示唆される。
【0041】
上述したように、コード7059ガラスに適合するガラスパネルの好ましいCTE範囲は45-50×10^(-7)/℃である。アルミノケイ酸塩のサブファミリーA′およびB′の範疇にあるガラスは、前記範囲のCTEを有し、酸化物基準の重量パーセントで計算して、下記に示す成分から実質的になる組成を有する。
【0042】

表IIは上述したサブファミリーの範疇に含まれる例示的な組成を示している。組成13、14および15は、サブファミリーA′を例示しており、一方組成16、17および18はサブファミリーB′を例示している。
【表5】

【0043】
ケイ素を使用するのに適したガラスパネルの好ましいCTE範囲は、32-40×10^(-7)/℃の範囲であるとことに留意されたい。アルミノケイ酸塩サブファミリーC′およびD′の範疇の含まれるガラスは、前記範囲のCTEを有し、酸化物基準の重量パーセントで計算して、下記に示す成分から実質的になる組成を有する。
【0044】

表IIIは上述したサブファミリーの範疇に含まれる例示的な組成を示している。組成19、20および21は、サブファミリーC′を例示しており、一方組成22、23および24はサブファミリーD′を例示している。
【表6】

【0045】
本発明の好ましい実施態様において、フラットパネルディスプレー用のガラスパネルは、660℃より高い歪点を有し、前述したHCl試験において1mg/cm^(2)未満の重量損失を有する。2種類のアルミノケイ酸塩サブファミリーの範疇に含まれる組成を有するガラスがこれらの好ましい条件を満たすことが分かった。2つのファミリーEおよびFは、酸化物基準の重量%で計算して、下記に示す成分から実質的になる組成を有する。
【0046】


表IV EおよびIV Fは、各々のサブファミリーの範疇に含まれるいくつかの代表的な実施例の酸化物基準の略重量パーセントで表した組成、および関連特性を示している。
【表7】

【表8】

【0047】
さらに好ましい実施態様としては、2.5g/cc未満の密度を有するガラスが挙げられる。この必要条件を満たすガラスは、酸化物基準で分析した以下の組成範囲から実質的になるアルミノケイ酸塩サブファミリーGに包含される。
【0048】

表Vは、代表的な実施例の酸化物基準の略重量パーセントで表した組成、および関連特性を示している。
【表9】

尚、上記例のうち、例3,19,21および27-29が現在の特許請求の範囲に入る実施例であり、その他の例は参考例である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロート工程を用いて製造された、アルミノケイ酸塩ガラスからなる、フラットパネルディスプレイ用のガラスパネルであって、
前記アルミノケイ酸塩ガラスは、
(i)アルカリ金属酸化物を実質的に含まず、酸化物基準の重量パーセントで計算して、49%-67%のSiO_(2)、16%-23%のAl_(2)O_(3)、0%-8%のB_(2)O_(3)、0%-8%のMgO、0%-8.76%のCaO、4.86%-12.8%のSrO、および0%-8.2%のBaOから実質的になり、ここで、SiO_(2)とAl_(2)O_(3)の合計が68%より大きく、MgO+CaO+SrO+BaOの合計が12%-21%である組成を有し、かつ、
(ii)640℃より高い歪点および31-42 x 10^(-7)/℃の線熱膨張係数を有すると共に、95℃で5重量%の塩酸水溶液中に24時間に亘り浸漬した後の重量損失が20mg/cm^(2)未満である、
ことを特徴とするガラスパネル。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-06-10 
出願番号 特願2006-46899(P2006-46899)
審決分類 P 1 41・ 121- Y (C03C)
P 1 41・ 113- Y (C03C)
P 1 41・ 575- Y (C03C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 増山 淳子柿崎 美陶  
特許庁審判長 真々田 忠博
特許庁審判官 木村 孔一
松本 貢
登録日 2009-04-17 
登録番号 特許第4294033号(P4294033)
発明の名称 アルミノケイ酸塩ガラスを用いたガラスパネルの製造方法  
代理人 渡辺 光  
代理人 高石 秀樹  
代理人 服部 博信  
代理人 箱田 篤  
代理人 辻居 幸一  
代理人 市川 さつき  
代理人 浅井 賢治  
代理人 市川 さつき  
代理人 辻居 幸一  
代理人 高石 秀樹  
代理人 渡辺 光  
代理人 服部 博信  
代理人 山崎 一夫  
代理人 浅井 賢治  
代理人 箱田 篤  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 山崎 一夫  

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