• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1277187
審判番号 不服2012-14677  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-31 
確定日 2013-07-22 
事件の表示 特願2008-301403号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年6月10日出願公開、特開2010-124972号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成20年11月26日の特許出願であって、平成24年4月23日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年5月1日)、これに対し、同年7月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成24年7月31日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年7月31日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の平成24年2月17日付け手続補正書に
「所定の始動条件の成立により大当たりの抽選を行う大当たり抽選手段と、前記大当たりの抽選結果に基づいて演出を実行する演出実行手段と、を備える遊技機であって、
前記遊技機の所定箇所に設けられ、前記遊技機の任意の部位に加えられた圧力の変化をアナログの電圧信号に変換して出力する検出手段と、
前記検出手段から出力されたアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換して出力するアナログ-デジタル変換器と、
前記アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号から、前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分を抽出する第1フィルタ手段と、
前記第1フィルタ手段から出力される前記第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号が所定の第1条件を満たすと前記圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段と、
前記第1検出信号出力手段から第1検出信号を受信すると、該第1検出信号に示された圧力の大きさに応じて前記演出実行手段を制御する演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「所定の始動条件の成立により大当たりの抽選を行う大当たり抽選手段と、前記大当たりの抽選結果に基づいて演出を実行する演出実行手段と、を備える遊技機であって、
前記遊技機の所定箇所に設けられ、前記遊技機の任意の部位に加えられた圧力の変化をアナログの電圧信号に変換して出力する検出手段と、
前記検出手段から出力されたアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換して出力するアナログ-デジタル変換器と、
前記アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号を第1のデジタルフィルタで濾波することで、当該デジタルの電圧信号から、前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号を抽出する第1フィルタ手段と、
前記第1フィルタ手段から出力される前記第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号が所定の第1条件を満たすと前記圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段と、
前記第1検出信号出力手段から第1検出信号を受信すると、該第1検出信号に示された圧力の大きさに応じて前記演出実行手段を制御する演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。」と補正するものである。
上記補正について検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、第1フィルタ手段について、本件補正前に「前記アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号から、前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分を抽出する第1フィルタ手段」とあったものを「前記アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号を第1のデジタルフィルタで濾波することで、当該デジタルの電圧信号から、前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号を抽出する第1フィルタ手段」と限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-255045号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審により付与。以下同様。)。
ア 「この発明は、スロットマシンに関し、特にストップスイッチの操作量を遊技者に指示することで、遊技者の利益を拡大することができるようにしたものである。
【背景技術】
従来、この種のスロットマシンとしては、ストップスイッチの奥にセンサを設け、ストップスイッチ操作の圧力を計測するもの(例えば特許文献1の段落番号「0034」参照)や、ストップスイッチ操作の加速度を計測するものがあった(例えば特許文献2の段落番号「0034」参照)。
そして、センサの計測結果をもとに、次回以降のゲームにおける、ストップスイッチの操作手順を報知するサブリールの作動確率を決定していた(例えば特許文献1の段落番号「0019」、特許文献2の段落番号「0019」参照)。
【特許文献1】特開2004-329436号公報(段落番号「0019」、「0034」)
【特許文献2】特開2004-329435号公報(段落番号「0019」、「0034」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来のスロットマシンでは、センサの計測結果をもとに、ストップスイッチの操作手順を報知するサブリールの作動確率を決定しているに過ぎないので、演出的な変化に乏しいという問題点があった。
また、従来のスロットマシンでは、センサの計測結果をもとに、ストップスイッチの操作手順を報知するサブリールの作動確率を決定しているに過ぎないので、当該利益が遊技者にわかり難く、又、作動確率の決定も、次回以降のゲームにおけるものであるので、当該ゲームにおいて利益を実感することができないという問題点があった。」(段落【0001】?【0003】)
イ 「スタートスイッチ80の向かって右隣には、複数個、例えば3個のリール31?33と同数の3個のストップスイッチ90?92を設けている。
3個のストップスイッチ90?92は、リール装置30の3個のステッピングモータ34?36(図1参照)の駆動を個別に停止するためのものである。向かって左側のストップスイッチ90を操作すると、当該左側のリール31の回転が停止する。同様に、中央のストップスイッチ91を操作すると、中央のリール32の回転が停止する。右側のストップスイッチ92を操作すると、右側のリール33の回転が停止する。
スタートスイッチ80の向かって左隣には、メダル返却スイッチ100を設けている。メダル返却スイッチ100は、投入したメダルを返却するためのものである。
3個のストップスイッチ90?92の下側には、メダル貯留皿110を設けている。メダル貯留皿110には、返却されたメダルや、払い出されたメダル等が貯留される。
(遊技制御手段200)
つぎに、図1を用いて、遊技制御手段200について説明する。
遊技制御手段200は、図示しないが、スロットマシン10の内部に設けられている。
遊技制御手段200は、遊技に進行を制御するためのものである。
具体的には、遊技制御手段200は、大別すると、次の2つの手段を備える。
なお、次の(1)?(2)の手段の説明については、後述する。
(1)遊技用制御手段300
(2)演出用制御手段400
(遊技用制御手段300)
つぎに、図1を用いて、遊技用制御手段300について説明する。
遊技用制御手段300は、主として遊技の進行を制御するためのものである。
具体的には、遊技用制御手段300は、コンピュータであって、図示しないが、例えばCPUを中心に構成され、ROMやRAM等の記録媒体、I/O等を備えている。
また、記録媒体は、ROMやRAMに限定されず、そのほか電気的・磁気的・光学的なメモリーやディスク等でも良い。
上記遊技用制御手段300のCPU(図示せず)は、記録媒体、例えばROMに記録されたプログラムを読み込むことで、図1に示すように、次の手段として機能する。
なお、次の(1)?(7)の手段の説明については、後述する。
(1)遊技結果抽選手段310
(2)リール駆動制御手段320
(3)一般遊技制御手段330
(4)特別遊技制御手段340
(5)操作手順判断手段350
(6)遊技結果判定手段360
(7)利益付与手段370
(遊技用制御手段300の入力段)
つぎに、図1を用いて、遊技用制御手段300の入力段について説明する。
遊技用制御手段300の入力段には、次のパーツがそれぞれ接続されている。なお、次の(1)メダルセンサー61の説明については、後述する。
(1)メダルセンサー61
(2)ベットスイッチ70
(3)スタートスイッチ80
(4)ストップスイッチ90?92
(メダルセンサー61)
メダルセンサー61は、図示しないが、メダル投入口60の内部に設けられ、メダル投入口60に投入されたメダルを検出するためのものである。
(遊技用制御手段300の出力段)
つぎに、図1を用いて、遊技用制御手段300の出力段について説明する。
遊技用制御手段300の出力段には、次のパーツがそれぞれ接続されている。
なお、次の(2)ホッパー装置120及び(3)の演出用制御手段400の説明については、後述する。
(1)リール装置30のステッピングモータ34?36
(2)ホッパー装置120
(3)演出用制御手段400
(ホッパー装置120)
ホッパー装置120は、図示しないが、スロットマシン10の内部に設けられている。
ホッパー装置120は、メダルを払い出すものであり、払い出されたメダルはメダル貯留皿110(図2)に貯留される。
(演出用制御手段400)
つぎに、図1を用いて、演出用制御手段400について説明する。
演出用制御手段400は、遊技用制御手段300に接続され、遊技用制御手段300から送信される信号、例えばコマンドやデータ等にもとづいて、各種の演出を制御するためのものである。
具体的には、演出用制御手段400は、コンピュータであって、図示しないが、例えばCPUを中心に構成され、ROMやRAM等の記録媒体、I/O等を備えている。
なお、演出用制御手段400のCPUの数は、1個に限定されず、2個以上のCPUを用いても良い。
また、記録媒体は、ROMやRAMに限定されず、そのほか電気的・磁気的・光学的なメモリーやディスク等でも良い。
上記演出用制御手段400のCPU(図示せず)は、記録媒体、例えばROMに記録されたプログラムを読み込むことで、図1に示すように、大別すると、次の手段として機能する。
なお、次の(1)?(2)の手段の説明については、後述する。
(1)特定遊技実行手段410
(2)操作量演出実行手段420(演出用制御手段400の入力段)
つぎに、図1を用いて、演出用制御手段400の入力段について説明する。
演出用制御手段400の入力段には、次のパーツが接続されている。
なお、演出用制御手段400の入力段は、次の(1)に限定されない。
(1)操作量計測装置130
操作量計測装置130とは、ストップスイッチ90?92の操作量を計測するためのものである。
具体的には、操作量計測装置130は、例えばストップスイッチ90?92の奥側に設けられる。
操作量計測装置130としては、例えば圧力センサや加速度センサがある。
なお、操作量計測装置130は、圧力センサや加速度センサに限定されず、ストップスイッチ90?92の操作量を計測可能なものであれば良い。
(圧力センサ)
圧力センサは、遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した強さ(圧力)を検出するものである。
圧力センサは、具体的には、圧電素子により構成されている。
圧力センサは、圧電素子に遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した強さの大きさによって発生される電圧が変化するという性質があることから、圧電素子によって発生された電圧を検出することにより、圧力から操作量を計測する。
具体的な計測方法としては、例えば圧力センサが計測可能な圧力の最小値を超えた場合に計測を開始し、計測された圧力の最大値を操作量として検出する。
そして、例えば検出された圧力が基準値より小さい場合には操作量「弱」とし、大きい場合には操作量「強」とする。
なお、圧力センサは、圧電素子に限定されず、例えば導電ゴムなどを使用しても良い。
(加速度センサ)
加速度センサは、遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した速さ(加速度)を検出するものである。
加速度センサは、具体的には、圧電素子により構成されている。
加速度センサは、圧電素子に遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した速度の大きさによって発生される電圧が変化するという性質があることから、圧電素子によって発生された電圧を検出することにより、加速度から操作量を計測する。
具体的な計測方法としては、例えばストップスイッチ90?92が操作された場合に計測を開始し、計測された加速度の最大値を操作量として検出する。
そして、例えば検出された加速度が基準値より小さい場合には操作量「弱」とし、大きい場合には操作量「強」とする。
なお、加速度センサは、圧電素子に限定されず、例えばひずみゲージなどを使用しても良い。
(演出用制御手段400の出力段)
つぎに、図1を用いて、演出用制御手段400の出力段について説明する。
演出用制御手段400の出力段には、次のパーツがそれぞれ接続されている。
(1)画像表示装置40
(2)スピーカ50
なお、演出用制御手段400の出力段は、上記した(1)?(2)に限定されない。
(遊技結果抽選手段310)
遊技結果抽選手段310は、スタートスイッチ80の操作にもとづいて、少なくとも入賞役を抽選するためのものである。
(リール駆動制御手段320)
リール駆動制御手段320は、スタートスイッチ80の操作にもとづいて、ステッピングモータ34?36の駆動を開始させ、リール31?33の回転を開始させるためのものである。
(一般遊技制御手段330)
一般遊技制御手段330は、一般遊技を行わせるためのものである。
(特別遊技制御手段340)
特別遊技制御手段340は、一般遊技制御手段340による一般遊技より遊技者に有利な特定遊技を行わせるためのものである。
特別遊技は、後述するが、例えばいわゆるビッグ・ボーナス(以下「BB」という。)や、いわゆるレギュラー・ボーナス(以下「RB」という。)等を含むが、これに限定されない。
(操作手順判断手段350)
操作手順判断手段350は、後述する操作手順報知手段412により報知された操作手順と、遊技者による前記複数個のストップスイッチ90?92の操作手順とが一致するか否かを判断するためのものである。」(段落【0026】?【0043】)
ウ 「 なお、特定遊技については、後述するが、例えばいわゆるアシスト・タイム(以下「AT」という。)等を含むが、これに限定されない。
具体的には、特定遊技実行手段410には、図3に示すように、次の手段を備える。
(1)特定遊技移行抽選手段411
(2)操作手順報知手段412
(特定遊技移行抽選手段411)
特定遊技移行抽選手段411は、複数個のストップスイッチ90?92の操作手順を報知する特定遊技への移行抽選に当選したか否かを決定するためのものである。
(操作手順報知手段412)
操作手順報知手段412は、複数個のストップスイッチ90?92の操作手順を、画像表示装置40を用いて報知するためのものである。
(操作量演出実行手段420)
操作量演出実行手段420は、特定遊技実行手段410による特定遊技において、操作量計測装置130を用いた操作量演出を実行するためのものである。
操作量演出としては、例えばストップスイッチ90?92の圧力を用いたゲームや加速度を用いたゲームがある。
なお、すべてのストップスイッチ90?92において、操作量演出を実行する必要はなく、例えば第3停止のみ操作量演出を実行するなど、少なくとも1個のストップスイッチ90?92において実行するようにすれば良い。
具体的には、操作量演出実行手段420には、図4に示すように、次の手段を備える。
(1)操作量演出抽選手段421
(2)操作量抽選手段422
(3)ゲーム数抽選手段423
(4)操作量指示手段424
(5)操作量判断手段425
(6)画像変化手段426
(7)ゲーム数増加手段427
(操作量演出抽選手段421)
操作量演出抽選手段421は、特定遊技移行抽選手段411による特定遊技において、操作量演出実行手段420による操作量演出を実行するか否かを、抽選により決定するためのものである。
(操作量抽選手段422)
操作量抽選手段422は、後述する操作量指示手段424により指示する操作量を、抽選により決定するためのものである。
(ゲーム数抽選手段423)
ゲーム数抽選手段423は、操作量演出を実行するゲーム数を、抽選により決定するためのものである。
なお、抽選により決定される操作量演出のゲーム数は、少なくとも1ゲームであり、最大の場合は、操作量演出が特定遊技において実行されるものであることから、特定遊技の最大ゲーム数と同じゲーム数である。
また、操作量演出を実行中に、操作量演出ゲームの残りゲーム数を画像表示装置40に表示しても良い。
(操作量指示手段424)
操作量指示手段424は、ストップスイッチ90?92の操作の操作量を遊技者に指示するためのものである。
例えば、画像表示装置40にストップスイッチ90?92毎の「強」、「弱」の別の表示をする。
なお、「強」、「弱」の別の表示に限らず、LEDを目盛上に配置し、LEDの点灯が多いときは「強」、少ないときは「弱」で操作することを指示しても良い。
また、各ストップスイッチ90?92に対応する操作量を指示するか否かを抽選により決定しても良い。例えば第1停止、第2停止のストップスイッチ90?92の操作量については指示するが、第3停止では操作量を指示しないなどを抽選により決定しても良い。これにより、遊技者の緊張感を高める遊技遊技が可能となる。
(操作量判断手段425)
操作量判断手段425は、操作量指示手段424により指示した操作量と、操作量計測装置130により計測された操作量とが一致するか否かを判断するためのものである。
例えば、操作量指示手段424により操作量として「強」が指示されている場合に、遊技者が操作量「強」で操作した場合には、一致すると判断する。
(画像変化手段426)
画像変化手段426は、画像表示装置40に表示する画像を変化させることで、操作量判断手段425による判断結果を表示するためのものである。
(ゲーム数増加手段427)
ゲーム数増加手段427は、操作手順判断手段350により操作手順が一致すると判断され、且つ操作量判断手段425により両者の操作量が一致したと判断された場合に、特定遊技のゲーム数を増加させるためのものである。
なお、ゲーム数増加手段427によるゲーム数の増加は、例えば操作量演出5ゲーム中4ゲームにおいて操作量が一致した場合などの、操作量演出の一致率などをもとにしても良いし、また、操作量が一致する毎にゲーム数を増加させても良い。
また、この際に、「ATゲーム数+1」などの画像を画像表示装置40に表示してゲーム数が増加したことを告知しても良い。」(段落【0045】?【0051】)
エ 「操作量演出抽選手段421により操作量演出を実行することが決定された場合には、ゲーム数抽選手段423により、操作量演出を実行するゲーム数を抽選により決定し、決定されたゲーム数、例えば5ゲーム実行する。
なお、操作量演出抽選手段421により操作量演出を実行しないことが決定された場合には、特定遊技実行手段410により操作量演出のないAT遊技が開始される。
また、操作量演出を実行することが決定された場合には、操作量抽選手段422により各ストップスイッチ90?92毎の操作量を抽選により決定する。例えば第1停止は「弱」、第2停止は「強」、第3停止は「強」などを抽選により決定する。
つぎに、抽選により決定された各ストップスイッチ90?92毎の操作量を、操作量指示手段424により指示する。」(段落【0064】?【0065】)
オ 「 つぎに、図8?13を用いて画像表示装置40について説明する。
(図8)
図8は、操作量演出抽選手段421により操作量演出を実行することが決定された場合に、操作量指示手段424により各ストップスイッチ90?92毎の操作量を指示する操作量指示画像150を表示した状態を示している。
具体的には、スタートスイッチ80を操作すると、図8に示すように、操作量演出実行手段420により、操作量演出であるボクシングの試合が開始され、相手のボクサー画像160が画像表示装置40に表示される。
あわせて、画像表示装置40には、操作量指示手段424により、第1停止から第3停止までのストップスイッチ90?92操作の操作量指示画像150が表示される。
具体的には、操作量指示手段424は、図8に示す場合には、操作量として、第1停止を「弱」で操作することを指示し、第2停止を「強」で操作することを指示し、第3停止を「強」で操作することを指示している。
なお、ストップスイッチ90?92毎の操作量指示画像150の表示方法は、上記のような第1停止を操作量「弱」で操作すること指示するようなものに限られず、例えば左側のストップスイッチ90を操作量「強」で、中央のストップスイッチ91を操作量「弱」で、右側のストップスイッチ92を操作量「強」で操作することを指示するようにしても良い。」(段落【0072】?【0074】)
カ 「(遊技の説明)
上記した構成を有するスロットマシン10による遊技について、図8?13を用いて以下に説明する。
メダル投入口60からメダルを投入したり、或いはベットスイッチ70を操作してメダルを投入後、スタートスイッチ80を操作すると、3個のリール31?33の回転が開始される。
このとき、遊技結果抽選手段310により、一般遊技より遊技者に有利な特別遊技に移行するか否かが抽選により決定される。
遊技結果抽選手段310により、特別遊技である、例えばBB移行抽選に当選していると判断された場合には、更に、操作量演出抽選手段421により操作量演出を実行するか否かが抽選される。
操作量演出抽選手段421により操作量演出を実行することが決定された場合には、ゲーム数抽選手段423により、操作量演出を実行するゲーム数を抽選により決定し、決定されたゲーム数、例えば5ゲーム実行する。
また、操作量演出を実行することが決定された場合には、操作量抽選手段422により各ストップスイッチ毎の操作量を抽選により決定する。例えば第1停止は「弱」、第2停止は「強」、第3停止は「強」などを抽選により決定する。
つぎに、抽選により決定された各ストップスイッチ90?92毎の操作量を、操作量指示手段424により指示する。
3個のストップスイッチ90?92のうち、最初に、例えば図2の向かって左側のストップスイッチ90を操作すると、対応する左側のリール31が停止する。
当該ストップスイッチ90操作時に、操作量判断手段425により、操作量指示手段424により指示された操作量と、操作量計測装置130により計測された操作量とが一致するか否かを判断し、検出した操作量と操作量指示手段424により指示した操作量とが一致したと判断された場合には、図9に示すように、画像変化手段426により、比較的、相手に与えるダメージの小さい技、例えば「ジャブ」を繰り出すような画像を、画像表示装置40の画面に表示させる。
逆に、例えば操作量指示手段424による操作量の指示が「弱」の場合で、検出した操作量と操作量指示手段424により指示した操作量とが一致しないと判断された場合には、図10に示すように、画像変化手段426により、相手がパンチをガードする画像を、画像表示装置40の画面に表示させる。
同様に、二番目に、例えば図2の中央のストップスイッチ91を操作すると、対応する中央のリール32が停止する。
当該ストップスイッチ91操作時に、操作量判断手段425により、操作量指示手段424により指示された操作量と、操作量計測装置130により計測された操作量とが一致するか否かを判断する。
例えば、操作量指示手段424による操作量の指示が「強」の場合で、検出した操作量と操作量指示手段424により指示した操作量とが一致したと判断された場合には、図11に示すように、画像変化手段426により、比較的、相手に与えるダメージの強い技、例えば「ストレートパンチ」を繰り出すような画像を、画像表示装置40の画面に表示させる。
同様に、最後に、例えば図2の右側のストップスイッチ92を操作すると、対応する右側のリール33が停止する。
操作量判断手段425により3つのストップスイッチ90?92操作が、表示された通りに操作が行われたと判断された場合には、図12に示すように、画像変化手段426により、相手がダメージの結果、例えばダウンするような画像を、第3停止の画像に続いて、画像表示装置40の画面に表示させる。
そして、停止表示された図柄が、遊技結果判定手段360により予め定められたBB移行図柄の組み合わせ、例えば「7/7/7」でないと判定された場合には、図13に示すように、抽選結果告知手段428により、例えば「ボーナス確定」の文字を画像表示装置40に表示する。
なお、停止表示された図柄が、遊技結果判定手段360により予め定められたBB移行図柄の組み合わせ、例えば「7/7/7」であると判定された場合には、BBを開始する。」(段落【0079】?【0086】)

上記ア?カの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
「スタートスイッチ80が操作されると、特別遊技に移行するか否かを抽選により決定する遊技結果抽選手段310と、
遊技用制御手段300から送信される信号にもとづいて、各種の演出を制御する演出用制御手段400の出力段に接続される画像表示装置40とスピーカ50とを備えるスロットマシン10において、
ストップスイッチ90?92の奥側に設けられ、計測可能な圧力の最小値を超えた場合に計測を開始し、遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した強さ(圧力)の大きさによって変化する、圧力の最大値をストップスイッチ90?92の操作量として検出し、電圧を発生する圧電素子からなる操作量計測装置130を備え、
操作量計測装置130により検出された圧力の最大値が基準値より大きい場合には操作量を『強』とし、
操作量判断手段425により、操作量指示手段424による操作量の指示が『強』の場合で、操作量計測装置130により検出した操作量と操作量指示手段424により指示した操作量とが一致したと判断された場合に、比較的、相手に与えるダメージの強い技、例えば『ストレートパンチ』を繰り出すような画像を画像表示装置40の画面に表示させる、画像変化手段426として機能する演出用制御手段400を備えるスロットマシン10。」

(2)原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-267977号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審により付与。以下同様。)。
ア 「【請求項1】
機械的振動を電気的に捕らえて加速度に応じた信号値を出力する加速度センサと、
揺れによる低い衝撃周波数の信号に対して相対的に高い増幅度で信号増幅されるよう周波数特性が設定され、打撃による高い衝撃周波数の信号に対して前記低い衝撃周波数の信号の場合よりも低減された増幅度で信号出力されるよう周波数特性が設定され、前記加速度センサよりの信号を受け、その信号周波数に応じた信号値を出力する周波数特性設定回路と、
この周波数特性設定回路より出力される信号により衝撃を検出する衝撃検出回路と、を備え、
前記低い衝撃周波数に対しては低い加速度値の検出で、前記打撃による高い衝撃周波数に対しては高い加速度値の検出で、それぞれ衝撃を検出することを特徴とする衝撃センサ。
【請求項2】
前記周波数特性設定回路は、揺れによる低い衝撃周波数の信号に対して相対的に高い増幅度で信号増幅し、打撃による高い衝撃周波数の信号に対して前記低い衝撃周波数の信号の場合よりも低減された増幅度で信号出力するローパス増幅回路であることを特徴とする請求項1記載の衝撃センサ。
【請求項3】
前記周波数特性設定回路は、ローパス増幅回路の前段に、前記低い衝撃周波数の内、所定値以下の周波数の信号を低減し、その周波数を超える周波数の信号をパスするハイパスフィルタを備えることを特徴とする請求項2記載の衝撃センサ。」(【特許請求の範囲】)
イ 「この発明はパチンコ遊戯に於ける打撃や揺らしによる不正操作を検出し、ゲーム機の不正遊戯を防止するゲーム機不正監視用の衝撃センサに関する。」(段落【0001】)
ウ 「図6に於いてf1?f5はパチンコ台の建付けを揺らす場合に於ける振動周波数帯を示す、f6或いはf7以上の周波数はパチンコ台を打撃した場合の振動周波数帯を示し、又f1或いはf2以下の周波数は重量車両等が店の前を通過する場合の主な低周波数帯を示す。加速度センサ、つまりピックアップ3の出力は、一般的には図5に示すように周波数に無関係に一定の加速度に対して出力電圧は、一定である。これに対し、ここでは、ピックアップ3より後段の回路部で周波数特性に加工を施す設定を行い、周波数f1?f5の揺れによる振動周波数帯では、検出加速度値をg1?g2と低く、周波数f6以上の打撃による振動周波数帯では検出加速度値をg3以上と高く設定している。
次に上記した図6に示す振動周波数と加速度の関係の特性を実現する回路部を持つ衝撃センサの回路ブロック図を図7に示す。この衝撃センサの回路部は、上記したピックアップ3と、第1のハイパスフィルタ12と、第1のローパス増幅回路13と、第2のハイパスフィルタ14と、第2のローパス増幅回路15と、ウインドーコンパレータ16と、OFF遅延タイマ回路17と、出力回路18と、各回路に電源電圧を供給する定電圧回路19とから構成されている。
この衝撃センサ回路において、加速度ピックアップ3から出力される周波数特性のフラットな信号はf1或いはf2以下の低周波数帯は第1及び第2のハイパスフイルタ12、14でカット減衰される。この低周波数帯のカットされた信号(f1或いはf2を超える周波数帯の信号)は、第1、第2のローパス増幅回路13,15で、揺れによる周波数帯のf1?f5の周波数帯が大きく増幅され検出感度が高められるとともに、それ以上(f6以上)の周波数帯は大きく増幅しないように構成され、高い周波数(f6以上)の検出感度は低下し大きな加速度値しか検出しないようになっている。その後は、図6に示す加速度値の検出される時にウインドウーコンパレータ16は、衝撃検出を出力する。」(段落【0037】?【0038】)

上記ア?ウの記載事項及び図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物2には次の発明が記載されていると認められる。
「機械的振動を電気的に捕らえて加速度に応じた信号値を出力する加速度センサと、
加速度センサよりの信号を受け、その信号周波数に応じた信号値を出力する周波数特性設定回路と、
周波数特性設定回路より出力される信号により衝撃を検出する衝撃検出回路とを備え衝撃センサにおいて、
周波数特性設定回路は、低い衝撃周波数の内、重量車両等が店の前を通過する場合の主な低周波数帯を示す、f1或いはf2以下の周波数である所定値以下の周波数の信号を低減し、その周波数を超える周波数の信号をパスするハイパスフィルタを備え、
低い衝撃周波数に対しては低い加速度値の検出で、打撃による高い衝撃周波数に対しては高い加速度値の検出で、それぞれ衝撃を検出するゲーム機不正監視用の衝撃センサ。」

3 対比
刊行物1に記載された発明(以下「前者」という。)と本件補正発明(以下「後者」という。)とを対比する。
前者の「スタートスイッチ80が操作されると、特別遊技に移行するか否かを抽選により決定する遊技結果抽選手段310の出力段に接続される画像表示装置40とスピーカ50」は、その構成及び機能からみて、後者の「所定の始動条件の成立により大当たりの抽選を行う大当たり抽選手段」に相当し、以下同様に、
前者の「遊技用制御手段300から送信される信号にもとづいて、各種の演出を制御する演出用制御手段400の出力段に接続される画像表示装置40とスピーカ50」は、遊技用制御手段300から演出用制御手段400へは、特別遊技に移行するか否かの抽選結果に関する信号が送信されることから、後者の「大当たりの抽選結果に基づいて演出を実行する演出実行手段」に、
前者の「スロットマシン10」は、後者の「遊技機」に、
前者の「ストップスイッチ90?92の奥側に設けられ、計測可能な圧力の最小値を超えた場合に計測を開始し、遊技者によるストップスイッチ90?92を操作した強さ(圧力)の大きさによって変化する、圧力の最大値をストップスイッチ90?92の操作量として検出し、電圧を発生する圧電素子からなる操作量計測装置130」は、「ストップスイッチ90?92」が、スロットマシン10に設けられるものであり、発生される電圧が圧力の最大値に対応したアナログ信号であることは明らかであるから、後者の「遊技機の所定箇所に設けられ、遊技機の任意の部位に加えられた圧力の変化をアナログの電圧信号に変換して出力する検出手段」に、
それぞれ相当する。
そして、前者の「操作量計測装置130により検出された圧力の最大値が基準値より大きい場合には操作量を『強』と」する手段と、後者の「検出手段から出力されたアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換して出力するアナログ-デジタル変換器と、アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号を第1のデジタルフィルタで濾波することで、当該デジタルの電圧信号から、遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号を抽出する第1フィルタ手段と、第1フィルタ手段から出力される第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号が所定の第1条件を満たすと圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段」とは、後者において、「継続的な歪みが加えられたこと」は、本願明細書に「第1検出信号出力手段186aは、第1のデジタルフィルタ184aから出力される電圧信号が所定の第1条件を満たすと、即ち、電圧信号の最大値が所定閾値を超過すると、後述する演出表示に影響を与えるべく当該パチンコ機100の任意の部位に押圧(継続的な歪み)が加えられたことを表す第1検出信号を出力する。」(段落【0063】)と定義されていることから、「押圧が加えられたこと」に相当するといえ、前者においても、操作量計測装置130により、ストップスイッチ90?92の操作により押圧が加えられたことが検出され、検出された圧力の最大値が基準値より大きい場合、操作量が「強」であることの信号を出力する信号出力手段を具備するものであるから、両者は、「遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す電圧信号が所定の第1条件を満たすと圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段」である点で共通する。
また、前者の「操作量判断手段425により、操作量指示手段424による操作量の指示が『強』の場合で、操作量計測装置130により検出した操作量と操作量指示手段424により指示した操作量とが一致したと判断された場合に、比較的、相手に与えるダメージの強い技、例えば『ストレートパンチ』を繰り出すような画像を画像表示装置40の画面に表示させる、画像変化手段426として機能する演出用制御手段400」は、演出用制御手段400が、操作量計測装置130により検出された操作量である圧力の最大値が基準値より大きいか否かに応じて、画像表示装置40の画像表示制御を行うものであるから、後者の「第1検出信号出力手段から第1検出信号を受信すると、該第1検出信号に示された圧力の大きさに応じて演出実行手段を制御する演出制御手段」に相当する。

したがって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「所定の始動条件の成立により大当たりの抽選を行う大当たり抽選手段と、前記大当たりの抽選結果に基づいて演出を実行する演出実行手段と、を備える遊技機であって、
前記遊技機の所定箇所に設けられ、前記遊技機の任意の部位に加えられた圧力の変化をアナログの電圧信号に変換して出力する検出手段と、
前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す電圧信号が所定の第1条件を満たすと前記圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段と
前記第1検出信号出力手段から第1検出信号を受信すると、該第1検出信号に示された圧力の大きさに応じて前記演出実行手段を制御する演出制御手段と、
を備える遊技機。」

[相違点]
本件補正発明では、検出手段から出力されたアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換して出力するアナログ-デジタル変換器と、アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号を第1のデジタルフィルタで濾波することで、当該デジタルの電圧信号から、遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号を抽出する第1フィルタ手段と、第1フィルタ手段から出力される第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号が所定の第1条件を満たすと圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段とを具備するのに対して、刊行物1に記載された発明では、「操作量計測装置130により検出された圧力の最大値が基準値より大きい場合には操作量を『強』」とする手段を具備するが、検出された加速度の処理は、アナログ信号処理されるものであり、アナログ信号である電圧信号をデジタル信号である電圧信号に変換するアナログ-デジタル変換器、及び、デジタル信号である電圧信号を第1のデジタルフィルタで濾波することで、第1周波数帯域成分のデジタル信号である電圧信号を抽出する第1フィルタ手段を具備しない点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
そして、遊技機の技術分野において、演出制御に用いられる操作部の押圧信号に振動成分を含むことは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2008-161594号公報の段落【0037】?【0043】、【0068】には、遊技者がスタートレバー41を把持したときに検知される、比較的強い間欠的な圧力の変化である遊技者の握力信号を抽出するために、ひずみゲージの抵抗変化信号から握力の周波数成分を分離し、分離された信号を用いて演出制御を行うことが記載され、特開2006-75222号公報の段落【0045】、【0051】には、スタートレバー41の操作力Fを振動センサを用いて検出し、検出された操作力Fに応じた演出を行うことが記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
また、遊技機の技術分野において、遊技機に加えられる振動を圧力センサや加速度センサにより検出することは本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2002-210185号公報の段落【0031】や、特開2005-168888号公報の段落【0059】や、特開2003-180972号公報の段落【0009】?【0017】や、特開2007-552号公報の段落【0032】、【0072】を参照。以下「周知の技術事項2」という。)。
さらに、刊行物1に記載された発明では、操作量計測装置130として、圧力センサや加速度センサが例示されている(上記「2(1)イ」を参照。)。
そうすると、刊行物1に記載された発明における、操作量計測装置130により検出される圧力信号に振動成分の信号が含まれることは、当業者にとって明らかである。
また、刊行物1に記載された発明は、操作量計測装置130として圧力センサを用いた場合、計測可能な圧力の最小値を超えた場合に計測を開始することにより、操作量計測装置130の入力される圧力信号に関して必要な信号を抽出するものでもある。

次に、刊行物2には、低い衝撃周波数及び打撃による高い衝撃周波数の衝撃を検出するために、低い衝撃周波数のうち、重量車両等が店の前を通過する場合の主な低周波数帯域を示す、f1或いはf2の信号をハイパスフィルタにより低減させて、検出信号からf2を越える周波数帯域成分の信号を抽出したゲーム機不正監視用衝撃センサの発明について記載されている。

ところで、遊技機に加えられる振動を検出するためのセンサに関する技術分野において、検出されたアナログ信号をコンピュータにより処理可能とするために、デジタル信号に変換すること、及び、変換されたデジタル信号から必要な周波数帯域成分の信号を抽出するためにデジタルフィルタを介在させることは、本願出願前に広く行われていた技術事項である(例えば、上記特開2002-210185号公報に記載された加速度センサ11から出力された加速度の時系列データに所定のサンプリング(アナログ信号を一定の時間間隔のデジタル信号に変換すること。)を行った後、バンドパスフィルタを通して、所定周波数幅の信号成分を抜き出す周波数変換がなされる(図8(b)を参照。)こと(段落【0033】)や、上記特開2005-168888号公報に記載された人が発声することにより生じる微弱振動を骨伝導マイク41により検出し、骨伝導マイク41から出力される音信号をデジタルサンプリング部51において所定周期のデジタルサンプリング値信号に変換し、人間の音声の主要な周波数帯域のみを通過させるデジタルバンドパスフィルタとして形成された音声抽出フィルタ52により、人間の音声に係る音声を主に抽出すること(段落【0059】、【0070】?【0072】)や、アナログ信号処理においてではあるが、上記特開2003-180972号公報に記載された、操作ハンドル4の内部に取り付けられた圧電素子からなる人感センサ12により検知されたオペレータの手指から伝わる微振動の振動信号を、バンドパスフィルタ22を通過させることにより雑音成分を取り除くこと(段落【0009】?【0017】)を参照。以下「周知の技術事項3」という。)。
このように、遊技機に加えられる振動を検出するためのセンサに関する技術分野において、検出対象に応じて検出された信号から必要な周波数帯域成分の信号を抽出することは本願出願前に周知の技術的課題であるから、操作量計測装置130により検出される圧力信号に振動成分の信号を含む刊行物1に記載された発明では、操作量計測装置130により検出される圧力信号から、ストップスイッチ90?92の操作量に関する圧力信号が含まれる周波数帯域成分の信号を抽出するという自明の課題を内在するものである。
そうすると、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された発明とは、遊技機に加えられる振動を検出可能なセンサに関する発明である点で共通する技術分野に属する発明であるとともに、圧力信号から必要な信号を抽出するという共通の課題を有するものである。

したがって、刊行物1に記載された発明において、操作量計測装置130により検出される圧力信号から必要な信号を抽出するために、刊行物2に記載された発明及び上記周知の技術事項1?3を適用して、操作量計測装置130から出力される圧力信号からストップスイッチ90?92の操作量に関する信号が含まれる周波数帯域成分の信号を抽出させるとともに、これらの信号処理をA/D変換器及びデジタルフィルタを用いたデジタル信号処理にて行い、上記相違点に係る本件補正発明が具備する発明特定事項に到達することは当業者が容易になし得たものである。
そして、本件補正発明の奏する効果は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項1?3から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。

ゆえに、本件補正発明は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項1?3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 まとめ
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年7月31日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年2月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「所定の始動条件の成立により大当たりの抽選を行う大当たり抽選手段と、前記大当たりの抽選結果に基づいて演出を実行する演出実行手段と、を備える遊技機であって、
前記遊技機の所定箇所に設けられ、前記遊技機の任意の部位に加えられた圧力の変化をアナログの電圧信号に変換して出力する検出手段と、
前記検出手段から出力されたアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換して出力するアナログ-デジタル変換器と、
前記アナログ-デジタル変換器により変換されたデジタルの電圧信号から、前記遊技機の任意の部位に対して継続的な歪みが加えられたことを表す第1周波数帯域成分を抽出する第1フィルタ手段と、
前記第1フィルタ手段から出力される前記第1周波数帯域成分のデジタルの電圧信号が所定の第1条件を満たすと前記圧力の大きさを示す第1検出信号を出力する第1検出信号出力手段と、
前記第1検出信号出力手段から第1検出信号を受信すると、該第1検出信号に示された圧力の大きさに応じて前記演出実行手段を制御する演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由において提示された刊行物1?2、刊行物1?2の記載事項及び刊行物1?2に記載された発明は、前記「第2[理由]2」に記載したとおりである。

3 対比
刊行物1に記載された発明と本願発明とを対比する。
本願発明は、前記「第2[理由]」において検討した本件補正発明における限定を省くものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 [理由]3 対比及び4 当審の判断」に記載したとおり、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1?2に記載された発明及び周知の技術事項1?3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-15 
結審通知日 2013-05-21 
審決日 2013-06-03 
出願番号 特願2008-301403(P2008-301403)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿南 進一  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 木村 史郎
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ