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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B07C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B07C
管理番号 1277384
審判番号 不服2012-702  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-13 
確定日 2013-07-31 
事件の表示 特願2006-526701「廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月31日国際公開、WO2005/028128、平成19年 3月15日国内公表、特表2007-505733〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2004(平成16)年9月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年9月20日、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願であって、平成18年3月17日付けで特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出された後、平成18年5月16日付けで特許法第184条の4第1項に規定する明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の翻訳文が提出され、平成22年9月1日付けで拒絶理由が通知され、平成23年3月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年9月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年1月13日付けで拒絶査定に対する審判請求がされると同時に、同日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成24年5月23日付けの書面による審尋に対し、平成24年11月27日付けで回答書が提出されたものである。

第2.平成24年1月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年1月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成24年1月13日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、12及び23に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成23年3月7日付けの手続補正書により補正された)特許請求の範囲の下記(ア)を、下記(イ)と補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、12及び23
「 【請求項1】
複数の物質の種類を含む混合廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置(100)であって、この装置は、
ハイパースペクトルセンサ(102)と、
センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段(112)と、
センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の複数の物質の種類の目標物を分類する処理手段(108)と、を含み、
センサが、少なくとも10のスペクトル帯に応答することを特徴とする、装置。
【請求項12】
複数の物質の種類を含む混合廃棄物の流れ中の目標物を分類する方法であって、
(i)ハイパースペクトルセンサ(102)に対して、センサの検知領域を通して、廃棄物の流れ中の目標物を移動するステップと、
(ii)センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の複数の物質の種類の目標物を分類するステップと、
を含み、
センサから出力される信号が、少なくとも10のスペクトル帯のデータを含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
混合した廃棄物の流れの中の複数の物質種類の目標物を分類するための、少なくとも10のスペクトル帯に応答するハイパースペクトルセンサ(102)の使用。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、12及び23
「 【請求項1】
複数の物質の種類を含む混合廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置(100)であって、この装置は、
ハイパースペクトルセンサ(102)と、
センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段(112)と、
センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の複数の物質の種類の目標物を分類する処理手段(108)と、を含み、
センサが、少なくとも10のスペクトル帯に応答し、処理手段が区別できる物質の種類が、金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含むことを特徴とする、装置。
【請求項12】
複数の物質の種類を含む混合廃棄物の流れ中の目標物を分類する方法であって、
(i)ハイパースペクトルセンサ(102)に対して、センサの検知領域を通して、廃棄物の流れ中の目標物を移動するステップと、
(ii)センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の複数の物質の種類の目標物を分類するステップと、
を含み、
センサから出力される信号が、少なくとも10のスペクトル帯のデータを含み、処理手段が区別できる物質の種類が、金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
混合した廃棄物の流れの中の複数の物質種類の目標物を分類するための、少なくとも10のスペクトル帯に応答するハイパースペクトルセンサ(102)の使用であって、ハイパースペクトルセンサを使用して区別される物質の種類が、金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含む、使用。」(なお、下線は、審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び12における発明特定事項である「処理手段」について、「処理手段が区別できる物質の種類が、金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含む」旨を限定するとともに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項23における発明特定事項である「ハイパースペクトルセンサの使用」について、「ハイパースペクトルセンサを使用して区別される物質の種類が、金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含む」旨を限定するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.本件補正の適否についての判断(1)
本件補正における特許請求の範囲の補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明a」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2.-1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特表2001-523574号公報(以下、「引用文献1」という。)には、例えば、次のような記載がある。

(ア)「【0001】
本発明は、ベルトで搬送される物体の識別と仕分けのための方法に関するもので、特に廃棄物仕分けのための方法に関するものであり、この場合に、物体の材質(材料の性質)が、NIR測定装置を用いて分光法によって把握され、また、仕分けが、分光法の結果に依存してコンベアベルトから物体を除去することで行なわれる。さらに、本発明は、当該方法を実施するための装置に関するものである。」(段落【0001】)

(イ)「【0005】
‥‥(前略)‥‥
このような従来の技術にかんがみ、本発明の課題は、大きな機械的な負担なしに、嵩の大きい搬送においても、さまざまな物体を種類別に純粋に分離することが可能である、ベルトで搬送される物体の識別と仕分けのための方法を提供することである。さらに、この方法を実施するための装置を提供することも課題である。」(第17ページ第19ないし23行、平成11年9月20日付けの翻訳文提出書により補正された段落【0005】)

(ウ)「【0008】
特殊なNIR測定装置に基づく上記説明の従来の技術とは異なり、本発明による方法の場合、NIR測定装置は、異なった物体材料を同時に識別することが可能である。‥‥(後略)‥‥ 」(段落【0008】)

(エ)「【0009】
本発明により、NIRスペクトル分析の前に、位置特定のための画像解析、望ましくはカラー画像解析(場合によっては、識別すべき物体の形状と大きさの特定を含む)が行なわれる。画像解析で得られた情報は、NIR測定装置の上流側にあるスキャニング装置の運動を制御するために使用される。すなわち、識別すべき物体のみが的確にスキャニングされ、コンベアベルトの物体のない位置は省かれる。それにより、スキャニングプロセスが合理的に行なわれる。さらに、画像解析により、形状、大きさ、色、また例としてあげれば組織(Textur)に関する情報が得られ、より良好な仕分けが保証される。」(段落【0009】)

(オ)「【0012】
最初に、カラー画像を用いて、大きな表面上にある物体(例えば、廃棄物)の認識が行なわれる。その際に、位置、形状、輪郭、大きさ、色、組織を認識し、該当する特性値を記憶することができる。次に、NIR分光法により、物体の材質が特定される。この前に行なわれる画像認識とは異なり、NIR分光法の場合の赤外線照射は、1測定点にのみ集中する。この測定点を、物体が存在しているコンベアベルトのさまざまな位置に対して的確に導くため、所望のスキャニングポイントに赤外線をもたらすミラーシステムが提案される。但し、実際には、これとは逆の方法が好まれる。すなわち、把握領域全体を照射し、所望の測定点から反射された赤外線のみが、その時々の物体で検出されるよう、測定用光学機器を制御することである。このミラーシステムは、画像認識によってあらかじめ得られた情報を用いて制御される。(カラー)画像認識と赤外線照射によって得られたデータは、合わせられ、物体を的確に排出するための装置(例えば、ブローノズルシステムの形態のもの)を制御するための信号をもたらす。
【0013】
すでに述べたように、本発明による方法は、相対的にわずかな個別化を行なうことしか必要としない。それ以外の費用のかさむ予備処理は必要としない。これに加え、本発明による方法では、1台のシステムにおいて複数の物体画分の識別と分離が保証される。当該装置は、学習段階で、コンベアベルトに新しい物体を十分な個数置くことにより、新しい物体を認識できるよう、問題なく訓練を行なうことができる。」(段落【0012】及び【0013】)

(カ)「【0014】
本発明による方法と本発明による装置は、家庭ゴミの仕分けに特に適している。‥‥(後略)‥‥」(段落【0014】)

(キ)「【0017】
図に示されている装置は、3つの装置群で構成されている。それらは、第1セパレーション群を伴う分析群1、第2セパレーション群2、第3セパレーション群3である。これらの3群1、2、3の各群は、コンベアベルト7、8、9を有するエンドレスベルトコンベア4、5、6を含んでいる。コンベアベルト7、8、9は、すべて同一水平面に配置されており、ブローノズルプレートを中間に配置することで相互に続いている。特に、ベルトコンベア4の下流側末端とベルトコンベア5の上流側末端との間に、ブローノズルプレート10が配置されており、また、ベルトコンベア5の下流側末端とベルトコンベア6の上流側末端との間に、ブローノズルプレート11が配置されている。これらのブローノズルプレートのいずれも、それぞれのコンベアベルト7、8、9の全幅に及び、また、該当するコンベアベルトの末端方向転換部に直接続き、相対的に細長いものになっている。これは、コンベアベルト7、8、9によって形成される搬送路上で搬送される物品が、ブローノズルプレート10と11を問題なく通過できることを保証するためである。図の中で、太めの黒点で示されているように、ブローノズルプレート10と11を横断して多数のブローノズル開口部が配置されている。
【0018】
ベルトコンベアおよびそのコンベアベルトで定まる搬送路と、以下に詳しく説明されている、ベルトコンベアに割り当てられているユニットは、例えば、廃棄物仕分けに使われるものである。」(段落【0017】及び【0018】)

(ク)「【0019】
搬送路で搬送される物品を識別するため、分析群1には、当該群のベルトコンベア4の上方で、カラーカメラ12と、NIRセンサ14および光学スキャニングヘッド15を有するNIR分光計13とが含まれている。これらのユニットを制御するため、コンピュータ16がある。コンピュータ16は、ユニット12?14から離して配置することが望ましく、また、以下に説明するように、コンピュータのネットワークに組み込むこともできる。カラーカメラ12とNIR分光計13の出力は、コンピュータ16の該当する入力に接続されている。NIR分光計13の内蔵部分のこともあるNIRセンサ14は、測定値の伝送のため、NIR分光計と接続されている。
【0020】
光学スキャニングヘッド15は、それ自体、周知の(ミラー)レンズシステムで構成されている。この(ミラー)レンズシステムは、コンベアベルト7上の把握領域18を点状にスキャニングするよう(この場合に、スキャニングした測定点がNIRセンサに入力される)、例えば、モータで駆動し、その位置を変えることができる。図では、一例として、1つの測定点に符号19がつけられている。光学スキャニングヘッド15は、把握領域18が四角形状であり、コンベアベルト7の全幅に及び、搬送方向に対して一定の長さになるよう設計されている。幅100cmの標準コンベアベルトが使用されている場合には、把握領域18の典型的な面積は、約1m2である。
【0021】
スキャニングヘッド15によってNIR分光計13で得られた測定値と、カラーカメラ12の測定値とを問題なく、かつ、明確に関連付けることができるよう、カラーカメラ12の把握領域17は、その形状と大きさが、把握領域18に相当する。すなわち、把握領域17も四角形状であり、コンベアベルト7の全幅に及んでいる。これにより、分析群1には、2つの把握領域があることが特徴である。把握領域17で、コンベアベルト7上の物体の形状および/または表面の性質と、その位置とが把握され、また、把握領域17の下流側にある把握領域18で、物体の材質が把握される。
【0022】
コンピュータ16において、カラーカメラ12の出力データとNIR分光計13の出力データが評価される。それにより、画像解析方法を使用することにより、ベルトコンベア上にある物体を、形状、大きさ、色、組織などに関して分類し、その位置を把握することができる。NIR分光法により、単一の空間的な測定位置において、例えば、幅が約2?4nmの最大256(512)の周波数チャンネルという高度スペクトル分解が可能である。この全情報から、測定位置または物体における材質を推定することができる。約1m2のそれぞれの把握領域17と18で、可視範囲におけるカメラ12の空間的な分解を、NIR測定位置の高速制御と組み合わせると、空間的な分解のあるNIR測定のシミュレーションを行なうことができる。それにより、あらかじめ費用のかさむ物体の個別化を行なう必要なく、物体の極めて確実な位置特定と識別が可能になる。すなわち、予備的な個別化は、物体を上から見た場合に、相互に区別できる程度にしか必要でない。」(段落【0019】ないし【0022】)

(ケ)「【0023】
物体は、分析群1において位置を特定し、識別した後、コンベアベルト7を離れると、ブローノズルプレート10に達し、そこから出るエアジェットによって矢印20の方向に、搬送路の上方に配置されている収容装置21に吹き飛ばされる。吹き飛ばされた物体は、収容装置21からシュートまたは横方向コンベア21aを経由して排出される。
【0024】
残った物体は、次に、第1セパレーション群2のコンベアベルト8に達する。コンベアベルト8の上方には、別のカラーカメラ22が配置されている。このカメラは、分析群1のカラーカメラ12と同様、コンピュータ16に接続されていて、コンベアベルト8の領域23を把握するためのものである。代替案として、第1セパレーション群2(ならびに、セパレーション群3など、下流側のさらに別のセパレーション群)に、上述したように、コンピュータ16とネットワークでつながれている独立したコンピュータを割り当てることもできる。把握領域23は、第1分析群の把握領域17と18と同じ形状と大きさになっていて、また、コンベアベルト8に対する把握領域23の相対位置は、コンベアベルト7に対する把握領域17と18の相対位置と同じである。コンピュータ16内で処理される、カラーカメラ22の把握データにより、残っている物体、ならびに、場合により、その物体の位置変化を把握することができる。これらのデータと、分析群1において得られたデータとをコンピュータ16内で整合することにより、新たなNIR分光法を必要とすることなく、分析群1で行なわれた画像解析が自動的に“保持”されることが保証される。むしろ、あらかじめ取得し、コンピュータ16に記憶されているNIR値を別のセパレーションステップ(該ステップは、第1セパレーション群から下流側で、ベルトコンベア5とベルトコンベア6との間のブローノズルプレート11によって行なわれる)のために使用することが可能である。
【0025】
ブローノズルプレート11により、物体は、的確に矢印24の方向で収容装置25に排出され、また、ここからはシュートまたは横方向コンベア(25a)を経由して排出される。
【0026】
第2セパレーション群3は、第1セパレーション群2と同一構造で、コンベアベルト9の領域27を把握する別のカラーカメラ26がある。領域27は、上流側の把握領域と同じ形状と大きさである。第2セパレーション群3の作動方法は、上記説明の第1セパレーション群に相当するものであるが、分析群のカラーカメラ12がもたらしたデータではなく、第1セパレーション群のカラーカメラ22が把握した画像データが、基準データとして使用されるという違いがある。」(段落【0023】ないし【0026】)

(2)引用文献1記載の発明a
上記(1)(ア)ないし(ケ)及び図1から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1記載の発明a」という。)が記載されているといえる。

「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物の流れ中の物体を識別し仕分けする装置であって、この装置は、
NIRセンサ14と光学スキャニングヘッド15を有するNIR分光計13と、
NIR分光計13による物体のスキャニングより前に、物体の位置や形状を把握し、その画像データを出力するカラーカメラ12と、
NIR分光計13に対して、NIR分光計13の把握領域18を通して廃棄物の流れ中の物体を移動するエンドレスベルトコンベア4、5、6と、
NIR分光計13からコンピュータ16に出力された信号及びカラーカメラ12からコンピュータ16に出力された画像データに基づいて、廃棄物の流れ中の複数の種類の物体を識別し仕分けするコンピュータ16と、を含み、
NIR分光計13は最大256(512)の周波数チャンネルという高度スペクトル分解が可能である装置。」

2.-2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特表2002-520699号公報(以下、「引用文献2」という。)には、例えば、次のような記載がある。

(ア)「 【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、画像認識の分野に関し、特定すると、マルチスペクトルおよびハイパースペクトルイメージに関する自動オブジェクト検出、認識および資料識別のためノンリテラルイメージ利用および一般的計算技術を使用するための方法およびシステムに関する。
【0002】
(従来技術)
マルチスペクトルおよびハイパースペクトルイメージセットは、手動手段により分析することが難しい多量のデータを含む。これらのイメージセットは、容易に視覚ないしアクセスできないイメージデータの複数のバンドを含む。現在では、マルチスペクトルセンサーが領域または地形の画像を収集し、イメージの一群のスペクトルバンドを提供するが、これは電磁スペクトルの短波長赤外線部分に可視のものを包含する。同様に、ハイパースペクトルセンサーは、普通、電磁スペクトルの特定の部分を包含する空間イメージの数百のスペクトルバンドを提供する。その結果、ハイパーセンサーは、一般に、マルチスペクトルセンサーを使用するシステムよりも優れたスペクトル弁別を行う。ハイパースペクトルセンサーにより提供される改良されたスペクトル弁別は、イメージに存する資料およびオブジェクトを検出および分離するために、データのノンリテラルな処理を可能にする。」(段落【0001】及び【0002】)

(イ)「 【0012】
図1は本発明に従った、ハイパースペクトル画像(hyperspectral imagery)からサンプリングされた対象物及びそれの材質的な構成を識別するためのシステム100のブロック図である。システム100は画像センサー110、ピクセル抽出部120、識別特性処理部130、訓練データ入力部140、材質類別部150、及びスペクトル分離部160を含む。画像センサー110、ピクセル抽出部120、及び識別特性処理部130は入力処理部135を形成する。
【0013】
画像センサー110は好まれるものとして、特定の対象物または対象物の集まりをスキャンし、処理機器にスペクトル特性データを与えることが可能な、光学的な対象物検出装置(または、素子)である。画像センサー110は遠隔にあるセンサー装置からの衛星信号、光学的スキャン入力信号、またはリアルタイムの画像信号によって対象物102からデータを受信してもよい。」(段落【0012】及び【0013】)

(ウ)「 【0015】
システム100の全容を以下に詳細に説明する。図1にて、対象物102の光学的特性を規定する画像セット(または、画像の組)を生成するために、対象物102は画像センサー110によってスキャンされる。次に、ピクセル抽出部120は、その画像セットの単体のピクセルからスペクトル識別特性を抽出する。単体のピクセル中のデータは多数の(通常、数百の)データサンプルから構成され、各データサンプルは適当なスペクトル周波数での対象物102からの光子の反射率または放射に対応する。単体のピクセルは信号のフィルタリング及び正規化のために処理部130に入力される。
【0016】
識別特性処理部130によって処理された後、ピクセル識別特性は類別部150に送られ、それは目的とする材質の識別特性の組み合わせ、または感知されたデータに関係する端成分のカテゴリー(または、種類)を識別する。本発明の1つの構成では、入力識別特性とある程度相関のあるこれらのカテゴリーや端成分を識別するために人口的なニューロネットワークが訓練される。
【0017】
最終ステップで、スペクトル分離部(または、スペクトル非混合部)160は入力識別特性を構成する構成要素の材質の存在度(g)を検出し、推定するために、制約条件の下でスペクトル混合方程式を解く遺伝的アルゴリズムを利用する。各端成分に対して計算された、推定された存在度(g)は入力識別特性に何の材質が存在するかの指標及び、(感知された)領域の点に存在する各端成分の割合を与える。」(段落【0015】ないし【0017】)

(エ)「 【0018】
図2は本発明に従って、入力処理部135によって実施される処理のフローチャートである。この処理の目的は材質の識別及びスペクトルの分離のために感知されたピクセルの識別特性を与えることである。最初に、画像センサー110は対象物102の光学的特性を規定する画像セットを生成するために対象物102をスキャンする(ステップ210)。これらの光学的特性は非空間的スペクトルの情報及び電磁スペクトルバンドデータを含む。光学的特性はピクセル抽出部120に送られ、それは画像セット中の単体のピクセルからスペクトル識別特性を抽出する(ステップ220)。識別特性処理部130による処理の前に、好まれるものとして、潜在的な画像データにより較正がなされ、大気に対する修正(MODTRAN、ATREM等、これらは公開された(パブリックドメイン)処理である)が画像セットに適用されてもよい。
【0019】
ピクセル抽出部120によって抽出された、感知されたピクセル識別特性はN次元の特徴ベクトルに変換され、識別特性処理部130への入力となる。ここでNは感知された画像中のスペクトルバンドの数である(ステップ230)。特徴ベクトルの成分は画像セットの各スペクトルバンドに対するピクセルの強度に対応する。
【0020】
特徴ベクトルが入力された後、特徴ベクトルの成分及びスペクトル値は時系列として扱われ、バンドパスフィルターによって処理される(ステップ240)。特徴ベクトルは特徴ベクトルの各成分に対するスペクトル周波数値として時間を扱うことにより、時系列信号として処理される。図3は時系列信号として扱われた特徴ベクトルのグラフを示している。バンドパスフィルターは識別特性の直流成分を取り除くために、隣接するスペクトル強度の単純な差分等の、差別化(または、微分)を適用する。バンドパスフィルターはまた、結果として生ずる識別特性を滑らかにするために、その差別化の後に、ローパスフィルターを適用する。‥‥‥‥
【0021】
バンドパスフィルターはいくつかの理由により重要である。第1に、それは対象物空間からの反射率の変動によって影響が与えられる、識別特性の局在的な平均を取り除く。さらに、バンドパスフィルターは通常ノイズによって支配される識別特性中の超高周波の変動を滑らかにし、材質の識別に必要情報を含んでいる入力識別特性の曲線を抽出する。フィルタリングされた識別特性のゼロ交差はスペクトルの分離及び類別のために重要な、著しい吸収値に対応する。
【0022】
識別特性処理部130によって最後に行われるステップはフィルタリングされた入力データを正規化することである(ステップ250)。このステップでは、FIRフィルターによって適切に処理されない識別特性の初めの部分及び終わりの部分を取り除くこと等によって、バンドパスフィルターによりフィルタリングされた信号の有効な部分に対応する、フィルタリングされた波形部分が抽出される。この部分はNから、フィルタリングされた波形の初め及び終わりから取り除かれたサンプルの数を引いた数の新しい特徴ベクトルに変換され、長さMの特徴ベクトルになる。新しい特徴ベクトルは次に、M次元の単位ベクトル(すなわち、ベクトルの大きさが1であるベクトル)を生成するために、新しい特徴ベクトルの成分の二乗の合計の平方根を計算し、新しい特徴ベクトルの各成分をベクトルの大きさによって割ることにより正規化される。正規化の目的は利得項を取り除き、種々の画像にこの技術を適用したときに、パターン認識サブステップの再訓練を要さずに不動な識別特性を与えるためである。」(段落【0018】ないし【0022】)

(オ)「 【0045】
(結論)
本発明によるシステムはマルチスペクトル及びハイパースペクトル画像分析及び識別を実施する。それらは計算の上で効率的であり、容易に実施可能であり、さらに、領域分類(terrain categorization)及び対象物識別に対するスペクトル識別特性を効果的に検出、分離、及び分類する。」(段落【0045】)

(2)引用文献2記載の技術
上記(1)(ア)ないし(オ)から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。

「数百のスペクトルバンドに応答しうるハイパースペクトルセンサーを用いてスペクトル分光法により物質や物体の種類を識別し区別する技術。」

2.-3 対比
本願補正発明aと引用文献1記載の発明aを対比すると、引用文献1記載の発明aにおける「物体」は、その構造や機能及び意図する技術内容からみて、本願補正発明aにおける「物質」及び「目標物」に相当し、以下同様に、「物体の種類」は「物質の種類」に、「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物」は「複数の物質の種類を含む混合廃棄物」に、「把握領域18」は「検知領域」に、「エンドレスベルトコンベア4、5、6」は「目標物を移動する手段」に、「コンピュータ16」は「処理手段」に、それぞれ相当するほか、引用文献1記載の発明aにおいて「識別し仕分けする」ことは、その意図する技術内容からみて、本願補正発明aにおいて「分類する」ことに相当する。
また、引用文献1記載の発明aにおける「NIRセンサ14と光学スキャニングヘッド15を有するNIR分光計13」は、NIR分光法により近赤外線領域の吸収スペクトルを利用して物体の種類や材質等を識別することができるセンサであるから、「スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサ」という限りにおいて、本願補正発明aにおける「ハイパースペクトルセンサ」に相当する。

したがって、本願補正発明aと引用文献1記載の発明aは、
「複数の物質の種類を含む混合廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置であって、この装置は、
スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサと、
センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段と、
センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の複数の物質の種類の目標物を分類する処理手段とを含む、装置。」
である点で一致し、次の2点において相違又は一応相違する。

<相違点>
(a)「スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサ」に関し、本願補正発明aにおいては「ハイパースペクトルセンサ」であり、「少なくとも10のスペクトル帯に応答するもの」であるのに対し、引用文献1記載の発明aにおいては「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」であり、応答するスペクトル帯について不明である点(以下、「相違点1」という。)。

(b)処理手段が区別できる物質の種類に関し、本願補正発明aにおいては「金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含む」のに対し、引用文献1記載の発明aにおいては、処理手段が区別できる物質の種類が不明である点(以下、「相違点2」という。)。

2.-4 判断
まず、相違点1について検討する。
引用文献1記載の発明aにおいて、「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」に代えて、引用文献2記載の技術に係る「ハイパースペクトルセンサ」を適用することにより、相違点1に係る本願補正発明aのような構成とすることは、引用文献1及び引用文献2に記載された発明から当業者が格別困難なく容易に想到し発明し得たことである。

なお、審判請求人は、平成24年11月27日付けの回答書において、本願補正発明aにおけるハイパースペクトルセンサは、スペクトルデータと空間データの両方を出力するものであるのに対し、引用文献1記載の発明aにおける分光計は、空間情報の収集を行わない従来型の分光計であり、カメラと分光計を組み合わせることで物体の位置確認ができるものである旨、及び引用文献1記載の発明aに引用文献2記載の技術に係るハイパースペクトルセンサを適用するためには、引用文献1記載の発明aの構成要素のうち重要なものの殆どすべてを交換する必要があるほか、引用文献1及び2のどちらにも開示されていない新しい処理手段を付け加える必要がある旨を主張している。
しかし、本願の明細書に記載された実施例も、段落【0030】ないし【0033】等からみて、ハイパースペクトルカメラ102の少し上流に配置されたカメラ104が出力した画素化画像データと、ハイパースペクトルカメラ102により走査されて生成されたデータから、プロセッサ108が目標物の物質を分類するものであって、「スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサ」のほかに、目標物の追跡機能を提供するカメラを有するものである。
したがって、引用文献1記載の発明aに引用文献2記載の技術に係るハイパースペクトルセンサを適用するときに、審判請求人が上記主張するような格別な困難性があったとすることはできない。

次に、相違点2について検討する。
引用文献1記載の発明aは、「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物の流れ中の物体を識別し仕分けする装置」であるところ、家庭ゴミ等の廃棄物の物体の種類に関しては、特定がない。しかし、「家庭ゴミ等の廃棄物に、金属、プラスチックス、紙、ガラスやそれらの複合物質等が含まれること」は技術常識であって(以下、「技術常識」という。)、引用文献1記載の発明aにおいて、「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」に代えて、引用文献2記載の技術に係る「ハイパースペクトルセンサ」を適用にあたり、家庭ゴミ等の廃棄物の物体の種類を、金属、プラスチックス、紙やそれらの複合物質等が含まれる旨を特定することによって、相違点2に係る本願補正発明aのような構成とした点は、単なる設計上の事項にすぎない。したがって、相違点2は何ら実質的なものではない。

そして、本願補正発明aを全体として検討しても、引用文献1記載の発明a、引用文献2記載の技術、及び技術常識から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

以上により、本願補正発明aは、引用文献1記載の発明a、引用文献2記載の技術、及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本件補正の適否についての判断(2)
次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項23に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明b」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

3.-1 引用文献1記載の発明b
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された刊行物である上記引用文献1(特表2001-523574号公報)には、上記2.-1(1)の記載及び図1からみて、次の発明(以下、「引用文献1記載の発明b」が記載されているといえる。

「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物の流れの中の物体を識別し仕分けするための、最大256(512)の周波数チャンネルという高度スペクトル分解が可能であるNIRセンサ14と光学スキャニングヘッド15を有するNIR分光計13の使用方法であって、
NIR分光計13からコンピュータ16に出力された信号及びカラーカメラ12からコンピュータ16に出力された画像データに基づいて識別し仕分けされる物体が、廃棄物の複数の種類である使用方法。」

3.-2 対比
本願補正発明bと引用文献1記載の発明bを対比すると、引用文献1記載の発明bにおける「物体」は、その構造や機能及び意図する技術内容からみて、本願補正発明bにおける「物質」及び「目標物」に相当し、以下同様に、「物体の種類」は「物質種類」に、「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物の流れの中の物体」は「混合した廃棄物の流れの中の複数の物質種類の目標物」に、それぞれ相当するほか、引用文献1記載の発明bにおいて「識別し仕分けする」ことは、その意図する技術内容からみて、本願補正発明bにおいて「分類する」ことに相当する。
また、引用文献1記載の発明bにおける「NIRセンサ14と光学スキャニングヘッド15を有するNIR分光計13」は、NIR分光法により近赤外線領域の吸収スペクトルを利用して物体の種類や材質等を識別することができるセンサであるから、「スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサ」という限りにおいて、本願補正発明bにおける「少なくとも10のスペクトル帯に応答するハイパースペクトルセンサ」に相当する。
そして、本願補正発明bにおいて「使用」は、その意図する技術内容からみて、本願補正発明bにおいて「使用方法」に相当する。

したがって、本願補正発明bと引用文献1記載の発明bは、
「混合した廃棄物の流れの中の複数の物質種類の目標物を分類するための、スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサの使用。」
である点で一致し、次の2点において相違又は一応相違する。

<相違点>
(a)「スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサ」に関し、本願補正発明bにおいては「少なくとも10のスペクトル帯に応答するハイパースペクトルセンサ」であるのに対し、引用文献1記載の発明bにおいては「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」であり、応答するスペクトル帯について不明である点(以下、「相違点3」という。)。

(b)スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサを使用して区別される物質の種類に関し、本願補正発明bにおいては「金属、プラスチック、紙、ガラス、および複合物質を含む」のに対し、引用文献1記載の発明bにおいては、スペクトル分光法により物質の種類を識別し区別するセンサを使用して区別される物質の種類が不明である点(以下、「相違点4」という。)。

3.-3 判断
まず、相違点3について検討する。
引用文献1記載の発明bにおいて、「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」に代えて、引用文献2記載の技術に係る「ハイパースペクトルセンサ」を適用することにより、相違点3に係る本願補正発明bのような構成とすることは、引用文献1記載の発明b及び引用文献2記載の技術から当業者が格別困難なく容易に想到し発明し得たことである。

次に、相違点4について検討する。
引用文献1記載の発明bは、「複数の物体の種類を含む家庭ゴミ等の廃棄物の流れ中の物体を識別し仕分けする」ものであるところ、家庭ゴミ等の廃棄物の物体の種類に関しては、特定がない。しかし、「家庭ゴミ等の廃棄物に、金属、プラスチックス、紙、ガラスやそれらの複合物質等が含まれること」は技術常識であって(以下、「技術常識」という。)、引用文献1記載の発明bにおいて、「NIRセンサ14を有するNIR分光計13」に代えて、引用文献2記載の技術に係る「ハイパースペクトルセンサ」を適用する際に、家庭ゴミ等の廃棄物の物体の種類を、金属、プラスチックス、紙やそれらの複合物質等が含まれる旨を特定することによって、相違点4に係る本願補正発明bのような構成とした点は、単なる設計上の事項にすぎない。したがって、相違点4は何ら実質的なものではない。

そして、本願補正発明bを全体として検討しても、引用文献1記載の発明b、引用文献2記載の技術、及び技術常識から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

以上により、本願補正発明bは、引用文献1記載の発明b、引用文献2記載の技術、及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
上記2.に記載したとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正は、上記3.に記載した理由によっても、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明a
前記のとおり、平成24年1月13日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし23に係る発明は、平成23年3月7日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲並びに平成18年5月16日付けで提出された明細書の翻訳文及び国際出願日における図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし23に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明a」という。)は、上記(第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項1】)のとおりのものであり、請求項23に係る発明(以下、「本願発明b」という。)は、上記(第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項23】)のとおりのものである。

2.引用文献
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献1(特表2001-523574号公報)記載の発明a、及び本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2(特表2002-520699号公報)記載の技術は、それぞれ前記第2.の[理由]2.-1及び2.-2に記載したとおりである。
また、引用文献1(特表2001-523574号公報)記載の発明bは、前記第2.の[理由]3.-1に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明aは、前記2.の[理由]1(1)及び(2)で検討したように、実質的に、本願補正発明aにおける発明特定事項の一部の構成を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明aの発明特定事項を全て含む本願補正発明aが、前記第2.の[理由]2.-1ないし2.-4に記載した理由により、引用文献1記載の発明a、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明aも同様の理由により、引用文献1記載の発明a、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

また、本願発明bは、前記2.の[理由]1(1)及び(2)で検討したように、実質的に、本願補正発明bにおける発明特定事項の一部の構成を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明bの発明特定事項を全て含む本願補正発明bが、前記第2.の[理由]3.-1ないし3.-3に記載した理由により、引用文献1記載の発明b、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明bも同様の理由により、引用文献1記載の発明b、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明aは、引用文献1記載の発明a、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明bも、引用文献1記載の発明b、引用文献2記載の技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-04 
結審通知日 2013-03-05 
審決日 2013-03-21 
出願番号 特願2006-526701(P2006-526701)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B07C)
P 1 8・ 575- Z (B07C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 基樹石川 太郎  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 藤原 直欣
柳田 利夫
発明の名称 廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置および方法  
代理人 大崎 勝真  

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