• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1277385
審判番号 不服2012-763  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-13 
確定日 2013-07-31 
事件の表示 特願2008-150771「ディスプレイ駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 3月 5日出願公開、特開2009- 48173〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年6月9日(優先権主張2007年8月21日韓国、2007年8月21日韓国)の出願であって、平成23年7月26日付けで手続補正がなされ、同年8月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年1月13日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成24年1月13日付け手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成24年1月13日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成24年1月13日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項2(平成23年7月26日付け補正後のもの)に、

「電源電圧より減少した入力電圧を受け取って複数の基準電圧を生成し、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応する前記基準電圧を選択するデジタル/アナログ変換部と、
前記デジタル/アナログ変換部で前記選択された基準電圧を増幅する増幅部と、を備え、
前記デジタル/アナログ変換部は、
抵抗列を用いて前記複数の基準電圧を生成する基準電圧源と、
前記Mビットのデータ信号を出力するデコーダと、
前記デコーダから出力された前記Mビットのデータ信号に対応する前記基準電圧を選択する選択スイッチ部と、を備える、
ディスプレイ駆動装置。」(審決で非引用形式に書き下した。)とあったものを、

「電源電圧より減少した入力電圧を受け取って複数の基準電圧を生成し、前記複数の基準電圧のうち、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応する基準電圧を選択するデジタル/アナログ変換部と、
前記デジタル/アナログ変換部で前記選択された基準電圧を前記電源電圧レベルに増幅する増幅部と、を備え、
前記デジタル/アナログ変換部は、
抵抗列を用いて前記入力電圧を分圧して前記複数の基準電圧を生成する基準電圧源と、
前記データ信号を出力するデコーダと、
前記デコーダから出力された前記データ信号に対応する前記基準電圧を選択する選択スイッチ部と、を備える、
ディスプレイ駆動装置。」とするとともに、請求項1の削除に伴い項番を繰り上げて請求項1とする補正を含むものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正からなる。
ア 本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である「デジタル/アナログ変換部」による「選択」が「電源電圧より減少した入力電圧を受け取って生成した複数の基準電圧」のうちから行われることを限定する。
イ 本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である「増幅部」の増幅レベルが「電源電圧レベル」であることを限定する。
ウ 本件補正前の請求項2の「前記Mビットのデータ信号」の記載を「前記データ信号」に補正する。
エ 本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である「基準電圧源」による「抵抗列を用いて」の「複数の基準電圧」の「生成」が、「入力電圧を分圧」して行われることを限定する。

2 本件補正の目的
本件補正後の請求項1に係る上記1(2)ウの補正は、実質的な補正ではない。
本件補正後の請求項1に係る上記1(2)ア、イ及びエの補正は、本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
したがって、本件補正後の請求項1に係る補正は、全体として、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された「本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平3-15024号公報(以下「引用例」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「2.特許請求の範囲
制御回路から供給される濃度調節用のデジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器と、アナログに変換された信号を増幅し、電圧極性反転するための反転増幅器と、表示濃度の基準値を決めるための基準電圧を増幅器に供給する基準電圧発生回路と、これらの回路に正、負の電圧を供給する電源回路とを備えた液晶表示濃度調整回路。」(1頁左下欄4?12行)

イ 「3.発明の詳細な説明
産業上の利用分野
本発明は、現在OA機器や、産業機器等の表示装置として広く使用されている液晶表示装置の表示濃度を調節する回路に関するものである。
従来の技術
従来この種の液晶表示濃度調整回路は、アナログ式であり、第2図に示すようにボリュウム1とバッファアンプ2と電源3を備えており、液晶駆動用の電源電圧をボリュウム1で直接分割し、バッファアンプ2を通して液晶表示装置に供給している。従来例ではボリュウムの抵抗値を変化させることにより、抵抗1とボリュウムの分割比を変化させてバッファアンプに加える電圧を変化させることにより、その結果として液晶表示装置に加える電圧を変えて、液晶表示装置の表示濃度を変化させている。このように、上記従来例の液晶表示濃度調整回路でも表示濃度を調整することが可能である。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、上記従来の液晶表示濃度調整回路では、調整用素子がボリュウムであるため、制御回路からコントロールできないという問題点があり、またボリュウムという機械接点構造をもつ部品を使うため、機械的磨耗による寿命の点で問題があった。
本発明はこのような問題点を解決するものであり、制御回路からの信号で制御が出来、尚かつ寿命が半永久的であるという優れた液晶表示濃度調整回路を提供することを目的としたものである。
課題を解決するための手段
本発明は上記目的を達戒するために、ボリュウムの代わりに、制御回路からの入力される液晶の濃度を示すデジタルのコード信号を、アナログ信号に変換するDA変換器(当審注:「AD変換器」は「DA変換器」の明らかな誤記であるので訂正して摘記した。以下同じ。)とアナログに変換された信号を増幅する増幅器と、表示濃度の基準値を決めるための基準電圧を増幅器に供給する基準電圧発生回路とこれらの回路に正、負の電圧を供給する電源回路を備えたものである。
作 用
本発明は上記のような構成により次のような作用を有する。すなわち制御回路が液晶の表示濃度を示すコードを出力すると、DA変換器がこのコードをアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号が増幅器に入力され、予め設定された基準電圧と加算、増幅されて液晶駆動電圧を発生することができる。」(1頁左下欄13行?2頁左上欄19行)

ウ 「実 施 例
第1図は本発明の一実施例の構成を示すものである。第1図に於いて、11はラダー式の簡易型DA変換器であり、12はオペアンプを用いた反転加算増幅器であり、13は基準電圧発生器であり、14,15は温度特性保証素子であり、16は液晶駆動電源であり、17は制御回路である。次に上記実施例の動作について説明する。液晶を駆動するには通常のロジック回路(5V)と異なり、-15?-25V程度の高い電圧を制御する必要がある。しかしこの電圧を直接制御することは困難であるため、まず0?5Vの範囲で電圧を可変させ、それを反転増幅器で増幅することにより、制御している。上記実施例に於いて制御回路17(当審注:「制御回路11」は「制御回路17」の明らかな誤記なので訂正して摘記した。)から液晶表示の16階調の濃度を示す4ビットのデータが出力されると、DA変換器11(当審注:「12」は「11」の明らか誤記なので訂正して摘記した。)により、0?5Vの範囲で4ビットデータに対応したアナログ電圧が発生し、これが反転加算増幅器12(当審注:「反転加算増幅機12」は「反転加算増幅器12」の明らかな誤記なので訂正して摘記した。)の加算入力端子Aに入力される。入力端子Aに入力された電圧は抵抗18と抵抗19によって決まる倍率で増幅され、極性が反転して出力端子Cに出力される。この場合端子Aの入力に対する反転増幅出力は液晶濃度調整の変化分にあたる。また基準電圧発生器13の出力は加算入力端子Bに入力され、抵抗20と抵抗19で決まる倍率で増幅され極性が反転して出力端子Cに出力される。この端子Bの入力に対する反転増幅出力が液晶濃度調整のオフセット分にあたる。つまり変化分とオフセット分が加算されたものが液晶駆動用電圧として出力端子Cに出力されることになる。また液晶は温度によって同じ駆動電圧でも表示濃度が変化し、温度が下がると濃度が薄くなる傾向にある。これを補正するため温度保証素子14により温度変化に対応して増幅率を変化させている。これによって周囲温度の変化に対して液晶濃度を一定に保つことができる。また温度保証素子15は、基準電圧発生器13の温度特性を補正するものである。また液晶駆動電源16(審決注:「液晶電源16」は「液晶駆動電源16」の明らかな誤記なので訂正して摘記した。)により増幅器に液晶表示に必要な正,負,二系統の電源を供給する。
このように、上記実施例によれば制御回路からのディジタル信号で液晶表示濃度を16階調の範囲で調整することができ、また反転増幅器の倍率を変化することによりオフセット値、変化値を自由に設定できるという効果を得ることができる。」(2頁左上欄20行?同頁右下欄3行)

エ 第1図から、次のことが見て取れる。
(ア)液晶駆動電源16は、正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vを供給するものであり、ラダー式の簡易型DA変換器11にはV_(cc)を供給し、反転加算増幅器12にはV_(cc)及び-Vを供給していること。
(イ)ラダー式の簡易型DA変換器11は、Rの抵抗が直列に4つ接続され、4箇所のRの各抵抗間の接続箇所のそれぞれに、2Rの抵抗を介して制御回路17が接続しており、Rの4つの抵抗の前記直列接続は、その一端に正の電圧V_(cc)が供給され、他端は反転加算増幅器12に接続していること。

(2)上記(1)アないしエから、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「液晶を駆動するには通常の5Vのロジック回路と異なり-15?-25V程度の高い電圧を制御する必要があるが、この高い電圧を直接制御することは困難であるため、まず0?5Vの範囲で電圧を可変させ、それを反転増幅器で増幅することにより前記高い電圧を制御している液晶表示装置の表示濃度を調整する回路において、
制御回路から入力される液晶の濃度を示す濃度調節用のデジタルのコード信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器と、
アナログに変換された信号を増幅し、電圧極性反転するための反転増幅器と、
これらの回路に正、負の電圧を供給する電源回路であり、前記反転増幅器に液晶表示に必要な正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vとの二系統の電源を供給する液晶駆動電源と
を備え、
前記反転増幅器は、正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vが供給されるオペアンプを用いた反転加算増幅器であり、
前記デジタル・アナログ変換器は、正の電圧V_(cc)が供給されるラダー式のものであり、Rの抵抗が直列に4つ接続され、4箇所のRの各抵抗間の接続箇所のそれぞれに2Rの抵抗を介して前記制御回路が接続しており、Rの4つの抵抗の前記直列接続は、その一端に正の電圧V_(cc)が供給され、他端は前記反転加算増幅器に接続しており、
前記制御回路から液晶表示の16階調の濃度を示す4ビットのコードデータが前記デジタル・アナログ変換器に入力されると、該デジタル・アナログ変換器はこれをアナログ信号に変換して0?5Vの範囲で4ビットコードデータに対応したアナログ電圧を発生し、該アナログ電圧が前記反転加算増幅器に入力されると、該反転加算増幅器はこれを増幅して液晶駆動電圧を発生するものである、液晶表示装置の表示濃度を調整する回路。」(以下「引用発明」という。)

4 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「正、負の『電圧』、正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vとの二系統の『電源』」、「正の電圧V_(cc)」、「4ビットのコードデータ」、「4」、「増幅し」、「『反転増幅器』、『反転加算増幅器』」、「Rの抵抗が直列に4つ接続された直列接続」、「デジタル・アナログ変換器」及び「液晶表示装置の表示濃度を調整する回路」は、それぞれ、本願補正発明の「電源電圧」、「入力電圧」、「M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号」、「M(Mは、正の整数)」、「増幅する」、「増幅部」、「抵抗列」、「基準電圧源」及び「ディスプレイ駆動装置」に相当する。

(2)引用発明において、「基準電圧源(デジタル・アナログ変換器)」は、制御回路から入力される液晶の濃度を示す濃度調節用のデジタルのコード信号をアナログ信号に変換するから、制御回路は、液晶表示の16階調の濃度を示す「M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号(4ビットのコードデータ)」を生成し出力するデコーダと、そのデコーダからの出力である前記「データ信号」に応じて、複数の電圧のうちから前記「データ信号」に対応する電圧を選択するスイッチと有していることが、当業者に自明である。
したがって、引用発明の制御回路が有するデコーダとスイッチ及び引用発明のデジタル・アナログ変換器が、本願補正発明の「デジタル/アナログ変換部」に相当し、引用発明の上記「複数の電圧」、「デコーダ」及び「スイッチ」は、それぞれ、本願補正発明の「複数の基準電圧」、「データ信号を出力するデコーダ」及び「選択スイッチ部」に相当する。
そして、引用発明の「選択スイッチ部」と本願補正発明の「選択スイッチ部」とは「前記デコーダから出力された前記データ信号に対応する前記基準電圧を選択する」点で一致するといえる。

(3)引用発明において、液晶を駆動するには通常の5Vのロジック回路と異なり-15?-25V程度の高い電圧を制御する必要があり、正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vが供給されるオペアンプを用いた反転加算増幅器は増幅して液晶駆動電圧を発生するものであり、液晶駆動電源から液晶表示に必要な正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vとの二系統の電源を供給されており、制御回路から入力される液晶の濃度を示す濃度調節用のデジタルのコード信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器は、まず0?5Vの範囲で電圧を可変させるためのものであるといえることから、正の電圧V_(cc)は5V程度の電圧であり、負の電圧-Vは、液晶を駆動するのに必要な-15?-25V程度の高い電圧であることが当業者に自明である。
してみると、引用発明において、正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vが供給されるオペアンプを用いた反転加算増幅器がこれを増幅して発生する液晶駆動電圧は、負の電圧-Vと同レベルの液晶を駆動するのに必要な-15?-25V程度の高い電圧であるといえる。
したがって、引用発明の「増幅部(反転加算増幅器)」と本願補正発明の「増幅部」とは「デジタル/アナログ変換部で選択された基準電圧を電源電圧レベルに増幅する」点で一致する。

(4)上記(1)ないし(3)から、本願補正発明と引用発明とは、
「入力電圧を受け取って、複数の基準電圧のうち、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応する基準電圧を選択するデジタル/アナログ変換部と、
前記デジタル/アナログ変換部で前記選択された基準電圧を前記電源電圧レベルに増幅する増幅部と、を備え、
前記デジタル/アナログ変換部は、
抵抗列を用いて前記入力電圧を分圧して前記複数の基準電圧を生成する基準電圧源と、
前記データ信号を出力するデコーダと、
前記デコーダから出力された前記データ信号に対応する前記基準電圧を選択する選択スイッチ部と、を備える、
ディスプレイ駆動装置。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記「入力電圧」が、本願補正発明では、「電源電圧より減少した」ものであるのに対して、引用発明では、電源電圧より減少したものかどうか不明である点。

相違点2:
デジタル/アナログ変換部が、そのうち、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応するものを選択する「複数の基準電圧」が、本願補正発明では、デジタル/アナログ変換部が入力電圧を受け取って「生成し」た複数の基準電圧であるのに対して、引用発明では、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応するものを選択する前に複数の基準電圧を生成してはいない点。

5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(1)相違点1について
ア 電源電圧を降圧し、さらに必要であれば反転して、各回路が必要とする異なる電圧を作成して供給するようにしている液晶表示装置は、本願の優先日前に周知である(以下「周知技術1」という。例.特開2006-323138号公報(【0031】ないし【0034】、図1参照。)、特開2007-180831号公報(【0002】参照。))。
イ 引用発明の液晶駆動電源は、正、負の電圧を供給する電源回路であり、反転増幅器に液晶表示に必要な正の電圧V_(cc)と負の電圧-Vとの二系統の電源を供給するものであるところ、引用発明において、液晶を駆動するのに必要な-15?-25V程度の高い電圧である負の電圧-V(上記4(3)参照。)を電源電圧とし、これを降圧し、さらに反転して、正の電圧V_(cc)を作成して、これを正の電圧V_(cc)として供給するようになすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得た程度のことである。

(2)相違点2について
ア 入力電圧を受け取って複数の基準電圧を生成し、そのうち、M(Mは、正の整数)ビットのデータ信号に対応する基準電圧を選択するデジタル/アナログ変換部は、本願の優先日前に周知である(以下「周知技術2」という。例.前置報告書に引用された特開2000-235375号公報(【0052】?【0054】、図8参照。)、前置報告書に引用された特開2005-258453号公報(【0009】?【0011】、図17参照。)。
イ 引用発明において、デジタル・アナログ変換器は0?5Vの範囲で4ビットコードデータに対応したアナログ電圧を発生するものであるところ、引用発明において、デジタル・アナログ変換器が入力電圧を受け取って複数の基準電圧を生成し、該複数の基準電圧から4ビットコードデータに対応するものを選択してアナログ電圧を発生するようになすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術2に基づいて適宜なし得た程度のことである。

(3)効果について
本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。
本願補正発明は、当業者が引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし22に係る発明は、平成23年7月26日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年7月26日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項2として記載したとおりのものと認める。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びそれらの記載事項は、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明の発明特定事項を限定するものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕5」に記載したとおり、当業者が引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-28 
結審通知日 2013-03-05 
審決日 2013-03-18 
出願番号 特願2008-150771(P2008-150771)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 小牧 修
清水 康司
発明の名称 ディスプレイ駆動装置  
代理人 グローバル・アイピー東京特許業務法人  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ