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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1277636
審判番号 不服2012-2055  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-02 
確定日 2013-08-08 
事件の表示 特願2009-234466「制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月21日出願公開、特開2011- 81671〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成21年10月8日の出願であって,平成22年12月22日付けの拒絶理由の通知に対し,平成23年2月24日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,同年11月2日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成24年2月2日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成23年2月24日付けの手続補正書によって補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。
「一又は複数のアプリケーションプログラムを実行し,前記アプリケーションプログラムからの要求に対応してハードウェア資源の動作を制御するプラットフォームプログラムを実行し,更に,前記アプリケーションプログラム及びプラットフォームプログラムの間の入出力データを夫々に適合するように変換して入出力処理を行なう中間処理プログラムを実行し,前記ハードウェア資源の制御を行なう制御方法において,
外部から設定することが可能であって各アプリケーションプログラム及びプラットフォームプログラムに夫々対応付けて入出力データを定義するテーブルを記憶しておき,
前記中間処理プログラムにより,
前記テーブルに基づき,前記アプリケーションプログラムに適合するように入出力データを変換し,
前記テーブルに基づき,前記プラットフォームプログラムに適合するように入出力データを変換する
ことを特徴とする制御方法。」

3.引用例について
3.1 引用例1
(1)原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願前の平成16年7月8日に頒布された,特開2004-192541号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。(なお,下線は当審において付与したものである。)
(ア)「【請求項1】
プラットフォームプログラムと,アプリケーションプログラムとを備える車両用制御プログラムにおいて,さらに結合処理プログラムを備え,
前記プラットフォームプログラムは,ハードウェアデバイスからデータを入力し,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って,前記入力したデータに基づくデータを前記結合処理プログラムによる処理に提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり,
前記結合処理プログラムは,前記PFインターフェースに従って前記プラットフォームプログラムによる処理から提供されたデータを,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに適合するように変換することで前記アプリケーションプログラムによる処理に仲介する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり,
前記アプリケーションプログラムは,前記APインターフェースに従って前記結合処理プログラムによる処理から提供されたデータを用いた処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであること
を特徴とする車両用制御プログラム。」
(イ)「【請求項9】
プラットフォームプログラムと,アプリケーションプログラムとを備える車両用制御プログラムにおいて,さらに結合処理プログラムを備え,
前記プラットフォームプログラムは,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って出力のためのデータを前記結合処理プログラムによる処理から取得し,取得したデータに基づくデータを出力する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり,
前記結合処理プログラムは,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに従って前記アプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,前記PFインターフェースに適合するように変換して,前記プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり, 前記アプリケーションプログラムは,出力対象のデータを生成し,前記APインターフェースに従って前記出力対象のデータを前記結合処理プログラムによる処理に提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであること
を特徴とする車両用制御プログラム。」
(ウ)「【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1に記載の車両用制御プログラムは,プラットフォームプログラムと,アプリケーションプログラムと,結合処理プログラムとから構成されている。
【0015】
そして,プラットフォームプログラムは,ハードウェアデバイスからデータを入力し,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って,前記入力したデータに基づくデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0016】
また,結合処理プログラムは,PFインターフェースに従ってプラットフォームプログラムによる処理から提供されたデータを,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに適合するように変換することでアプリケーションプログラムによる処理に仲介する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0017】
そして,アプリケーションプログラムは,APインターフェースに従って結合処理プログラムによる処理から提供されたデータを用いた処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このように,結合処理プログラムが,PFインターフェースと,APインターフェースとの橋渡しを行うため,アプリケーションプログラムの開発者は,APインターフェース仕様,すなわち,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェース仕様に沿ってアプリケーションプログラムを作成することができる。すなわち,アプリケーションプログラムの開発者は,PFインターフェース仕様を念頭において要求仕様を実現する方法を考える必要はなくなるので,アプリケーションプログラムの開発者の負担を軽減することができる。
【0018】
このようなPFインターフェースとして標準化する対象としては,例えば,請求項2に示すように,PFインターフェースを介して提供するデータの構造及び当該データの更新タイミングなどが挙げられる。異なる要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムは,異なるデータの構造を持つデータを必要とし,データの必要となるタイミング等も異なる。例えば,データの構造としては,どの入力対象(例えばどのセンサ)からの,どのような精度の,どのようなデータ型式(データ構造)のデータなのかという事項などを標準化して提供する。
・・・(中略)・・・
【0024】
以上,ハードウェアデバイスからデータの入力処理を行う場合の車両用制御プログラムの構成について説明したが,ハードウェアデバイスへ出力を行う場合にも,同様に構成するとよい。すなわち,入力処理の場合と同様に,車両用制御プログラムをプラットフォームプログラムと,結合処理部と,アプリケーションプログラムとに分けて構成する。例えば,請求項9に示すようにプラットフォームプログラムは,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って出力のためのデータを前記結合処理プログラムによる処理から取得し,取得したデータに基づくデータを出力する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとし,結合処理プログラムは,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに従ってアプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,PFインターフェースに適合するように変換して,プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとし,アプリケーションプログラムは,出力対象のデータを生成し,APインターフェースに従って前記出力対象のデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとする。このようにすれば,アプリケーションプログラムの開発者は,PFインターフェースの仕様を意識することなく,単にAPインターフェース仕様に従ってデータを出力するようにプログラムを作成するだけでよい。すなわち,要求仕様に従ったアプリケーションプログラムを作成するだけでよいため,アプリケーションプログラムの開発者の負担を軽減することができる。」
(エ)「【0030】
【発明の実施の形態】
以下,本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお,本発明の実施の形態は,下記の実施例に何ら限定されることなく,本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0031】
本実施例の車両用制御装置は,エンジンの制御を行うためのエンジンECUであり,図1に本実施例の説明に必要な部分についての構成を図示している。本実施例のエンジンECU10と従来のエンジンECUとの差異は,ROM12に記憶されたプログラムの構成にあり,その他の構成は従来のエンジンECUと同様である。
【0032】
エンジンECU10は,図1に示すように,CPU11,ROM12,RAM13,I/O14,A/D変換器15,タイマ16等とこれらを接続するバスライン等から構成されている。そして,I/O14やA/D変換器15には,エンジン回転センサ21,O2センサヒータ22,水温センサ23,…,といった各種のエンジン制御用装置20が駆動回路等を介して接続されている。そして,ROM12に記憶されたプログラムをCPU11が実行することによって,こうしたエンジン制御用装置20からの信号の入力や,エンジン制御用装置20に対する信号の出力を行う。例えば,CPU11による処理によって,エンジン回転センサ21からのクランク軸の所定回転角毎(例えば180度毎)に発生するパルスをI/O14から入力したり,I/O14に対してO2センサを所定の動作温度まで加熱するためのO2センサヒータ22をPWM制御するO2センサヒータ制御信号を出力したりする。また,A/D変換器15を介して,水温センサ23から水温に対応する電圧値を入力し,入力した電圧値をデジタルデータとしてRAM13等へ取り込む。
【0033】
こうした制御をCPU11に実行させるためにROM12に記憶するプログラム1は,図2(a)に示すように,プラットフォームプログラム2(図中PFで表記している)と,特許請求の範囲における結合処理プログラムに相当する結合処理部3と,アプリケーションプログラム4(図中APで表記している)とをリンクして構成している。
【0034】
プラットフォームプログラム2は,I/O14やA/D変換器15等のハードウェアデバイスを制御する処理(ハードウェアに依存する処理)をCPU11が実行するためのデバイスドライバを含むプログラムであり,一方アプリケーション4は,I/O14やA/D変換器15といったハードウェアデバイスを直接制御する処理を行わず,車両メーカからの要求仕様を実現するための処理(車両用の制御に依存する処理(判定処理,演算処理など))をCPU11が実行するためのプログラムである。そして,結合処理部3は,アプリケーションプログラム4によるCPU11の処理とプラットフォームプログラム2におけるCPU11の処理との仲介を行うための処理をCPU11が実行するためのプログラムである。
【0035】
プラットフォームプログラム2と結合処理部3とアプリケーションプログラム4は別々に開発が行われており,プラットフォームプログラム2は,すでに開発済みの従来のエンジンECUに用いられていたものを利用する。一方,結合処理部3とアプリケーションプログラム4は新規に開発する。
【0036】
プラットフォームプログラム2は,図2(b)に示すように,結合処理部3による処理からのI/O14やA/D変換器15の駆動要求を受け付けてI/O14やA/D変換器15を駆動し,また,I/O14やA/D変換器15から取得した情報を結合処理部3による処理から参照可能とする処理を行うことによって,結合処理部3の処理に対するインターフェースを提供する(PFインターフェースと称する)。このPFインターフェースは,すでに開発済みの従来の車種のエンジンECUの要求仕様を満足するように標準化して構成されている。
【0037】
また,結合処理部3は,PFインターフェースを介して取得した情報を開発対象のアプリケーションプログラム4の要求仕様を満足する情報に変換してアプリケーションプログラム4の処理から参照可能とする処理と,アプリケーションプログラム4による処理によって生成された要求仕様に従った出力対象の情報を参照してPFインターフェースの要求する情報に変換してPFインターフェースを介してI/O14へ出力させる処理をCPU11に行わせるプログラムである。」
(2)上記記載及び図面から,引用例1には,以下のことが記載されているということができる。
(a)引用例1に記載された技術は,プラットフォームプログラムと,アプリケーションプログラムと,結合処理プログラムを備える車両用制御プログラムに係るものであること。
(b)引用例1のプラットフォームプログラムは,I/OやA/D変換器等のハードウェアデバイスを制御する処理(ハードウェアに依存する処理)を実行するためのデバイスドライバを含むプログラムである。また,当該プラットフォームプログラムは,ハードウェアデバイスからデータを入力し,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って,前記入力したデータに基づくデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理を行い,また,前記PFインターフェースに従って出力のためのデータを結合処理プログラムによる処理から取得し,取得したデータに基づくデータを出力してハードウェアデバイスを制御する処理を行うものである。
(c)引用例1のアプリケーションプログラムは,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに従って結合処理プログラムによる処理から提供されたデータを用いた処理を行い,また,出力対象のデータを生成し,前記APインターフェースに従って前記出力対象のデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理を行うものである。
(d)引用例1の結合処理プログラムは,前記PFインターフェースに従って前記プラットフォームプログラムによる処理から提供されたデータを,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに適合するように変換することで前記アプリケーションプログラムによる処理に仲介する処理を行い,また,前記APインターフェースに従って前記アプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,前記PFインターフェースに適合するように変換して,前記プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理を行うものである。
(e)引用例1の車両用制御プログラムにおける各プログラムによる処理は,実質的に車両を制御するための車両用制御方法ともいえるものである。
(3)以上のことから,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「プラットフォームプログラムと,アプリケーションプログラムと,結合処理プログラムによる車両用制御方法において,
プラットフォームプログラムは,ハードウェアデバイスからデータを入力し,異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースであるPFインターフェースに従って,前記入力したデータに基づくデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理を行い,また,前記PFインターフェースに従って出力のためのデータを結合処理プログラムによる処理から取得し,取得したデータに基づくデータを出力してハードウェアデバイスを制御する処理を行い,
アプリケーションプログラムは,開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースであるAPインターフェースに従って結合処理プログラムによる処理から提供されたデータを用いた処理を行い,また,出力対象のデータを生成し,前記APインターフェースに従って前記出力対象のデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理を行い,
結合処理プログラムは,前記PFインターフェースに従って前記プラットフォームプログラムによる処理から提供されたデータを,前記APインターフェースに適合するように変換することで前記アプリケーションプログラムによる処理に仲介する処理を行い,また,前記APインターフェースに従って前記アプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,前記PFインターフェースに適合するように変換して,前記プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理を行う
車両用制御方法。」
3.2 引用例2
(1)原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願前の平成13年4月20日に頒布された,特開2001-109640号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。(なお,下線は当審において付与したものである。)
(ア)「【請求項4】
プログラムモジュール間におけるデータ通信の際のデータ通信方法であって,第1のプログラムモジュール及び当該第1のプログラムモジュールから出力されるデータを入力対象とする第2のプログラムモジュールとの間の所定の記憶領域に当該第1のプログラムモジュールと第2のプログラムモジュールとの間の入出力に係る関係を記憶させ,前記第1のプログラムモジュールから出力されたデータを,前記記憶させた入出力に係る関係に従って,前記第2のプログラムモジュールへ出力することを特徴とするデータ通信方法。」
(イ)「【0017】
【発明の実施の形態】
以下,本発明に係るデータ通信装置及びデータ通信方法の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は,本発明に係るデータ通信装置及びデータ通信方法の第1の実施の形態の構成図であり,電話の発信及び着信が可能なコンピュータ内部が示されている。電話機GUIモジュール1は,コンピュータに接続されたディスプレイ装置の画面上で,仮想的に電話機能を実現するための画像処理モジュールであり,この電話機GUIモジュール1とのデータ通信はイベント(割込み情報)を介して実行される。
【0019】
加入者回路モジュール2は,電話回線を制御するモジュールであり,入力されたコマンド(命令)に対する処理結果としてのメッセージを出力するように構成されている。また,コマンドが入力されなくとも,加入者回路モジュール2自体が行う処理結果に基づいて,適宜メッセージを出力できるようにもなっている。
【0020】
インタフェース情報記憶部3には,各モジュールの入力機能毎に,当該モジュールにとって認識可能なデータの入力形式(入力インタフェース仕様という)が記憶され,一方,各モジュールの出力機能毎に,出力されるデータの形式(出力インタフェース仕様という)が記憶される。・・・(中略)・・・
【0025】
尚,インタフェース情報記憶部3には,電話機GUIモジュール1のインタフェース仕様に対応するものと同様のパラメータ保持領域が,加入者回路モジュール2のメッセージID及びコマンドID毎に設けられている。
【0026】
さらに,インタフェース情報記憶部3には,電話機GUIモジュール1と加入者回路モジュール2との間のデータ通信における入出力の対応関係が記憶される。
【0027】
即ち,インタフェース情報記憶部3に記憶された各IDに,通信相手側のモジュールにおける機能のIDを対応させて記憶することによって,データ通信における入出力の対応関係が定義される。」
(ウ)「【0030】
次に,この実施の形態におけるダイヤル発信の際の処理を説明する。
【0031】
利用者によって画面上のカーソルが制御され,電話機のテンキー「5」が押下されると,電話機GUIモジュール1からは,パーツID「テンキー」と,押下されたことを示すメソッドID「押下」と,押下されたテンキーに対応するパラメータ「5」とがイベント(割込み情報)として出力される。
【0032】
通信制御部4は,このイベントを検出し,その後,インタフェース情報記憶部3に記憶された入出力の対応関係を参照して,イベントに含まれるパーツID「テンキー」に対応するコマンドID「ダイヤル受信」を選択し,そのコマンド「ダイヤル受信」及び電話機GUIモジュール1から出力されたパラメータ「5」とを加入者回路モジュール2に出力する。
【0033】
即ち,パーツID「テンキー」,メソッドID「押下」及びパラメータ「5」により構成されたイベント(出力データ)が,加入者回路モジュール2の入力インタフェース仕様に従って変換され,その後,加入者回路モジュール2へ出力される。
【0034】
加入者回路モジュール2は,通信制御部4から入力されたコマンドとパラメータとを認識し,これらコマンド及びパラメータに従って電話回線を制御し,番号「5」をダイヤル発信する。
【0035】
次に,ダイヤル発信された番号「5」を画面上に表示するための処理を説明する。
【0036】
入力されたコマンド「ダイヤル受信」及びパラメータ「5」に従ってダイヤル発信を実行した加入者回路モジュール2は,「ダイヤル5を受信しました」というメッセージとメッセージID「10011」とを出力する。
【0037】
通信制御部4は,このメッセージ及びメッセージIDを検出し,インタフェース情報記憶部3のメッセージID「10011」に対応づけられたフォーマットに基づいてメッセージ「ダイヤル5を受信しました」を解析し,このメッセージに含まれるパラメータ「5」を抽出する。そして,メッセージID「10011」に対応づけられた電話機GUIモジュール1のパーツID「ダイヤル表示」を選択し,パーツID「ダイヤル表示」,メソッドID「追加表示」及びメッセージの解析により抽出されたパラメータ「5」を電話機GUIモジュール1へと出力する。
【0038】
即ち,メッセージ「ダイヤル5を受信しました」(出力データ)が,電話機GUIモジュール1の入力インタフェース仕様に従って変換され,その後,電話機GUIモジュール1へ出力される。
【0039】
電話機GUIモジュール1は,入力されたパーツID,メソッドID及びパラメータに従って画像処理を行うことで,加入者回路モジュール2がダイヤル発信した電話番号を画面上に表示する。
【0040】
即ち,この実施の形態では,インタフェース情報記憶部3には,モジュール間の通信におけるデータの入出力に係る関係が記憶され,通信制御部4が,この記憶された関係に基づいて,電話機GUIモジュール1と加入者回路モジュール2との間のデータ通信を制御する。」
(エ)「【0051】
また,インタフェース情報記憶手段を構成するインタフェース情報記憶部3には,電話機GUIモジュール1,加入者回路モジュール2或は加入者回路モジュール5から出力されるデータに係る出力形式として,パーツID,メソッドID,メッセージID及びフォーマット等が記憶され,一方,通信に際して各プログラムモジュールへと入力されるデータに係る入力形式として,パーツID,メソッドID及びコマンドID等が記憶され,そして,データ形式変換手段としての通信制御部4により,これら出力形式と入力形式とに基づくデータ変換が行われるため,データの形式に依存しないプログラムモジュール間のデータ通信が実行でき,アプリケーションプログラムの開発段階において,これら形式の変更が発生した場合であっても,変更された形式をインタフェース情報記憶部3に記憶させるだけで,変更前と同様のデータ通信を行うことができる。しかも,入出力に係る関係がデータとして記憶されるため,その修正及び管理は極めて容易である。」
(オ)図1には,インターフェース情報記憶部3内に,電話機GUIモジュール1の出力インタフェースと加入者回線モジュール2の入力インタフェースが,また,加入者回線モジュール2の出力インタフェースと電話機GUIモジュール1の入力インタフェースが,それぞれテーブルとして入出力の対応関係が定義されている。
(2)上記記載及び図面から,引用例2には,以下の事項(以下,「引用例2記載事項」という)ことが記載されているということができる。
「第1のプログラムモジュールと第2のプログラムモジュールとの間の所定の記憶領域に,当該第1のプログラムモジュールと第2のプログラムモジュールとの間の入出力に係る対応関係を定義するテーブルを記憶させ,前記第1のプログラムモジュールから出力されたデータを,前記記憶させた入出力に係るテーブルに基づき変換して前記第2のプログラムモジュールへ入力し,また,前記第2のプログラムモジュールから出力されたデータを,前記記憶させた入出力に係るテーブルに基づき変換して前記第1のプログラムモジュールへ入力すること。また,これにより出力形式と入力形式とに基づくデータ変換が行われるため,データの形式に依存しないプログラムモジュール間のデータ通信が実行でき,アプリケーションプログラムの開発段階において,これら形式の変更が発生した場合であっても,変更された形式を記憶させるだけで,変更前と同様のデータ通信を行うことができ,しかも,入出力に係る関係がデータとして記憶されるため,その修正及び管理は極めて容易である。」

4.対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明では,「アプリケーションプログラム」が実行されて「出力対象のデータを生成し,前記APインターフェースに従って前記出力対象のデータを結合処理プログラムによる処理に提供する処理」を行い,「結合処理プログラム」が実行されて「前記APインターフェースに従って前記アプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,前記PFインターフェースに適合するように変換して,前記プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理」が行われ,「プラットフォームプログラム」が実行されて「前記PFインターフェースに従って出力のためのデータを結合処理プログラムによる処理から取得し,取得したデータに基づくデータを出力してハードウェアデバイスを制御する処理」を行うことから,間接的ではあるものの「アプリケーションプログラム」が生成した出力対象のデータに基づいて「プラットフォームプログラム」がハードウェアデバイスを制御するのであるから,引用発明の上記一連の処理は,本願発明の「一のアプリケーションプログラムを実行し,前記アプリケーションプログラムからの要求に対応してハードウェア資源の動作を制御するプラットフォームプログラムを実行し」に相当するものである。
(イ)引用発明の「結合処理プログラムは,前記PFインターフェースに従って前記プラットフォームプログラムによる処理から提供されたデータを,前記APインターフェースに適合するように変換することで前記アプリケーションプログラムによる処理に仲介する処理を行い,また,前記APインターフェースに従って前記アプリケーションプログラムによる処理から提供されたデータを,前記PFインターフェースに適合するように変換して,前記プラットフォームプログラムによる処理に仲介する処理を行う」について,前記「PFインターフェース」が「異なる車両用制御装置の要求仕様に従って作成されたアプリケーションプログラムによる処理によって共通に利用可能なように標準化したインターフェースである」ことや,また,前記「APインターフェース」が「開発対象の車両用制御装置の要求仕様を満たすインターフェースである」として定義されたものであるとしても,「結合処理プログラム」が「アプリケーションプログラム」からの出力データを「プラットフォームプログラム」への入力データに適合するように変換し,また,「プラットフォームプログラム」からの出力データを「アプリケーションプログラム」への入力データに適合するように変換する点において,引用発明の上記「結合処理プログラム」による処理は,本願発明の「更に,前記アプリケーションプログラム及びプラットフォームプログラムの間の入出力データを夫々に適合するように変換して入出力処理を行なう中間処理プログラムを実行し」に相当するものである。
(ウ)引用発明の「車両用制御方法」もハードウェアデバイスを制御するものであるから,本願発明の「前記ハードウェア資源の制御を行なう制御方法」に相当するものである。
(オ)上記(イ)で述べたように,引用発明の「結合処理プログラム」は,アプリケーションプログラム」からの出力データを「プラットフォームプログラム」への入力データに適合するように変換し,また,「プラットフォームプログラム」からの出力データを「アプリケーションプログラム」への入力データに適合するように変換するものであることから,本願発明とは「前記中間処理プログラムにより」,「前記アプリケーションプログラムに適合するように入出力データを変換し」,「前記プラットフォームプログラムに適合するように入出力データを変換する」点で共通するものである。
(2)以上のことから,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
(一致点)
一のアプリケーションプログラムを実行し,前記アプリケーションプログラムからの要求に対応してハードウェア資源の動作を制御するプラットフォームプログラムを実行し,更に,前記アプリケーションプログラム及びプラットフォームプログラムの間の入出力データを夫々に適合するように変換して入出力処理を行なう中間処理プログラムを実行し,前記ハードウェア資源の制御を行なう制御方法において,
前記中間処理プログラムにより,
前記アプリケーションプログラムに適合するように入出力データを変換し,
前記プラットフォームプログラムに適合するように入出力データを変換する
ことを特徴とする制御方法。

(相違点)
本願発明では,「外部から設定することが可能であって各アプリケーションプログラム及びプラットフォームプログラムに夫々対応付けて入出力データを定義するテーブルを記憶しておき」,「前記中間処理プログラムにより,前記テーブルに基づき,前記アプリケーションプログラムに適合するように入出力データを変換し,前記テーブルに基づき,前記プラットフォームプログラムに適合するように入出力データを変換する」ものであるのに対し,引用発明の「結合処理プログラム」では入出力データの変換にそのような“テーブル”を使用することについては記載がない点。

5.判断
確かに引用発明の「結合処理プログラム」においては,入出力データの変換にテーブルを使用することについては記載されていないものの,上記引用例2記載事項によれば「第1のプログラムモジュールと第2のプログラムモジュールとの間の所定の記憶領域に,当該第1のプログラムモジュールと第2のプログラムモジュールとの間の入出力に係る対応関係を定義するテーブルを記憶させ,前記第1のプログラムモジュールから出力されたデータを,前記記憶させた入出力に係るテーブルに基づき変換して前記第2のプログラムモジュールへ入力し,また,前記第2のプログラムモジュールから出力されたデータを,前記記憶させた入出力に係るテーブルに基づき変換して前記第1のプログラムモジュールへ入力すること。」は本願出願前に公知であるし,また,プログラムモジュール間に限らず,変換のための対応関係をテーブルで記述することも一般によく行われていることである。
また,さらに上記引用例2記載事項によれば「また,これにより出力形式と入力形式とに基づくデータ変換が行われるため,データの形式に依存しないプログラムモジュール間のデータ通信が実行でき,アプリケーションプログラムの開発段階において,これら形式の変更が発生した場合であっても,変更された形式を記憶させるだけで,変更前と同様のデータ通信を行うことができ,しかも,入出力に係る関係がデータとして記憶されるため,その修正及び管理は極めて容易である。」ことから,アプリケーションプログラムのデータの形式の変更が発生しても,変更された形式を記憶させるだけで済み,入出力に係る関係がデータとして記憶されるため,その修正及び管理は極めて容易となることは明らかであり,また,この入出力に係る関係は外部から設定可能であることも自明である。
そうすると,引用発明の「結合処理プログラム」において,「アプリケーションプログラム」と「プラットフォームプログラム」における入出力データの対応関係の定義の修正及び管理を容易とするために,上記引用例2記載事項に係る技術を適用し,上記入出力データの対応関係を定義したテーブルを記憶して変換に用いることにより,上記相違点に係る構成とすることは,当業者であれば容易に想到しえたことである。
そして,本願発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用例2記載事項から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び引用例2記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-05 
結審通知日 2013-06-11 
審決日 2013-06-24 
出願番号 特願2009-234466(P2009-234466)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 宏一  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 長島 孝志
仲間 晃
発明の名称 制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム  
代理人 河野 登夫  
代理人 河野 登夫  
代理人 河野 登夫  
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