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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K
管理番号 1277994
審判番号 訂正2013-390070  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-05-08 
確定日 2013-07-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4896719号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 特許第4896719号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

この訂正審判の請求(以下「本件請求」という。)は,平成25年5月8日付けで特許第4896719号(2004年8月26日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2003年8月26日,同年11月5日 米国(US))を国際出願日とする特願2006-524189号,平成24年1月6日設定登録,以下「本件特許」という。)の訂正を求めるもので,平成25年6月17日付けで審判請求書の手続補正書が提出されたものである。

第2 請求の要旨

本件請求は,本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を,本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求める,というものであって,請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は,以下のとおりである。

特許請求の範囲の請求項1,2,9及び10において,「湿式造粒又は乾燥を伴わないで」とあるのを,「湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで」と訂正する。

第3 当審の判断

1 一群の請求項ごとに訂正を請求することについて

本件請求は,二以上の請求項が記載された特許請求の範囲の訂正を請求するものであるので,本件請求が,特許法第126条第3項に規定する要件を満たすものであるかを検討する。

本件訂正に係る請求項は,請求項1,2,9及び10であるところ,請求項3?6,11?18は,直接的又は間接的に請求項1を引用している。そして,請求項17,18は,いずれも請求項1?16を引用していることから,請求項1?6,9?18は,互いに,特許法施行規則第46条の2第1号?第4号に掲げるいずれかの関係を有する。
そうすると,請求項1?6,9?18は,特許法第126条第3項に規定する一群の請求項を構成するものであるといえる。

2 訂正の目的の適否,新規事項の追加の有無について

本件訂正は,訂正前の請求項1,2,9及び10に,「湿式造粒又は乾燥を伴わないで」とあるのを,「湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで」と訂正するものである。

本件訂正前の「湿式造粒又は乾燥を伴わないで」という記載の意味には,(1)湿式造粒を伴わないが乾燥を伴う場合,(2)湿式造粒を伴うが乾燥を伴わない場合,並びに(3)湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わない場合が包含されると解される。
これに対し,本件訂正後の「湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで」という記載は,(3)湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わない場合のみを意味する。
これらの事情を考慮すると,本件訂正後の「湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで」の意味する範囲は,本件訂正前の「湿式造粒又は乾燥を伴わないで」の意味する範囲よりも減縮されているので,本件訂正は特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「基準明細書等」ともいう。)に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
してみれば,本件訂正は,特許法第126条第1項の規定及び同条第5項の規定に適合するものである。

3 特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更の存否について

上記2で述べたとおり,本件訂正前の「湿式造粒又は乾燥を伴わないで」という記載の意味には,(1)湿式造粒を伴わないが乾燥を伴う場合,(2)湿式造粒を伴うが乾燥を伴わない場合,並びに(3)湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わない場合が包含されると解される。
これに対し,本件訂正後の「湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで」という記載は,(3)湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わない場合のみを意味する。
これらの事情を考慮すると,本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,本件訂正は,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4 訂正後の発明の独立特許要件について

訂正後の特許請求の範囲に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せないから,本件訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項,同条第3項,同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ランタン化合物を含む医薬製剤
【背景技術】
【0001】
高リン酸塩血症は、透析装置を用いる慢性腎不全患者、及び末期段階の腎疾患(ESRD)の約70%の患者の特別な問題である。この病気は、重篤な骨問題と主要器官の転移性の石灰化を生じる可能性があり、顕著な罹患率と死亡率を伴う。慣用の透析は血液中のリン酸塩のレベルを低下させることができず、レベルは時間で上昇する。上昇したリン酸塩レベルは、食事制限とリン酸塩結合剤の組み合わせを用いて処置される。
【0002】
慢性腎不全の患者のもう一つの問題は二次的な副甲状腺機能亢進症である。慢性腎不全の患者においても二次的な副甲状腺機能亢進症を回避し、処置することが重要である。
【0003】
腎不全の患者における高リン酸塩血症を処置するために、ある形態の炭酸ランタンが使用されてきた(例えば、JP1876384を参照)。米国特許第5,968,976号は、高リン酸塩血症を治療するために炭酸ランタンの特定の水和物の医薬組成物の製造および使用を述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腎問題のために、末期段階の腎疾患または慢性腎臓病の患者は液体の摂取を制限することが必要である。それゆえ、液体を全くまたは制限された量でしか使わずに摂取可能なランタン化合物の製剤に対する必要性が存在する。また、咀嚼型製剤に対する必要性も存在する。また特に、可能な限り無水の条件下で患者にとって味の良い製剤に対する必要性も存在する。また、錠剤に圧縮可能な製剤に対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
a)薬学的に有効量のランタン化合物;および
b)少なくとも1つの咀嚼型の薬学的に許容し得る賦型剤を含む咀嚼型ランタン製剤に関する。
【0006】
本発明は、
a)薬学的に有効量のランタン化合物;および
b)少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤を含み、この製剤が哺乳類、例えばヒト、ネコ、イヌなどに対して味の良いランタン製剤に関する。
【0007】
本発明は、
a)薬学的に有効量のランタン化合物;および
b)少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤を含む、ふりかけ型ランタン製剤に関する。
【0008】
本発明は、治療上有効量のランタン化合物を味の良い製剤で投与することを含む、患者の高リン酸塩血症をコントロールするための方法に関する。
【0009】
本発明は、患者の高リン酸塩血症をコントロールするための方法であって、治療上有効量のランタン化合物を咀嚼型製剤で投与することを含む前記方法に関する。
【0010】
本発明は、患者の高リン酸塩血症をコントロールするための方法であって、治療上有効量のランタン化合物をふりかけ型製剤で投与することを含む前記方法に関する。
【0011】
本発明は、以下のステップを含む方法により製造される、薬学的に有効量のランタン化合物を含む錠剤または粉末の医薬製剤に関する:
a)ランタン化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤とをミキサー中で粉末ブレンドして混合物を形成し;そして
b)この混合物を錠剤に圧縮するか、あるいは得られる混合物を適当な容器に充填する。
【0012】
本発明は、以下のステップを含む方法により製造される、薬学的に有効量のランタン化合物を含む錠剤または粉末の医薬製剤に関する:
a)ランタン化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤とをミキサー中で粉末ブレンドして混合物を形成し;あるいは
b)ランタン化合物と賦型剤とを粉末ブレンドし、得られる配合物をスラッグ材料に圧縮するか、あるいは得られる配合物をストランド材料にローラー圧縮し、そしてこの製造された材料をミル掛けして自由流動性混合物とし;そして
c)この混合物を錠剤に圧縮するか、あるいは生成する混合物を適当な容器に充填する。
【0013】
本発明は、ランタン化合物をスラッグ材料に圧縮するか、あるいはストランド材料にローラー圧縮し、そしてこの製造された材料をミル掛けして自由流動性混合物とし、次に賦型剤とブレンドする段階を含み、得られる配合物を錠剤に圧縮するか、あるいは得られる混合物を適当な容器に充填する方法により製造される、薬学的に有効量のランタン化合物を含む錠剤または粉末の医薬製剤に関する。
【0014】
好ましい態様においては、このような製剤は、また、咀嚼型であり、および/またはふりかけ型および/または味覚美味型であり、そしてこの炭酸ランタンは所望の水和状態にある。
【0015】
本発明は、薬学的に有効量のランタン化合物を含む咀嚼型錠剤の医薬製剤に関し、以下のステップ:
a)ランタン化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤とをミキサー中で粉末ブレンドして混合物を形成し;そして
b)この混合物を錠剤に圧縮する
ステップを含む方法により製造される。
【0016】
本発明は、ランタン化合物の製剤を製造するための方法に関し、以下のステップ:
a)ランタン化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤とをミキサー中で粉末ブレンドして混合物を形成する
ステップを含む。
【0017】
本発明は、ランタン化合物の錠剤製剤を製造するための方法に関し、以下のステップ:
a)ランタン化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦型剤とをミキサー中で粉末ブレンドして混合物を形成し;そして
b)この混合物を錠剤に圧縮する
ステップを含む。
【0018】
一つの態様においては、本発明は、本発明の製剤を得るための方法を指向する。本発明の製剤中に存在するランタン化合物の水和状態は、この製品の生物学的性質に関連するということを特記すべきである。したがって、このランタン化合物の安定な水和状態を維持することが望ましい。例えば、出発ランタン化合物がこの明細書で定義されるような炭酸ランタンである場合には、製剤工程時に水和レベルを一定に維持することが望ましい。これは、患者にとって受け入れ可能な錠剤または粉末を得ることへの更なる課題となる。あるランタン化合物、例えば炭酸ランタンが劣った流動特性を有するということを挙げることは重要である。炭酸ランタンの場合のように、患者に受け入れられ、そして味覚美味型の投与サイズを維持する一方で、高薬物装填を有する製剤を調製する場合、これらの劣った流動特性も更なる課題となる。特定の水和状態を有する薬物については、水または溶剤による造粒および乾燥は、薬物の水和状態に影響を及ぼし得るので、必ずしも当を得たものでない。ある場合には、他の方法、例えばローラー圧縮/スラッグ化/ミル掛け/圧縮が流動を改善するのに使用され得る。ローラー圧縮/スラッグ化/ミル掛け/圧縮が好適でない場合には、錠剤を製造するのに、直接圧縮が使用可能である。再度、この薬物が劣った流動特性を有し、そして投与量が高い場合には、直接圧縮は劣った流動により困難である可能性がある。薬物が低投与量(例えば100mg/錠剤以下)の場合には、流動性の問題を改善するのに高比率の賦型剤を使用することができるが、薬物が高率で存在する炭酸ランタン水和物に対しては、この錠剤が好適なサイズであることを確実にするように、賦型剤の添加量を制限しなければならない。したがって、このランタン化合物の水和状態を所望の範囲内に維持することを可能にする製剤方法の必要性が存在する。更なる実施形態においては、この方法は湿式造粒段階の使用を必要としない。更なる実施形態においては、本発明の製剤方法は乾燥段階を伴わない。
【0019】
一つの実施形態においては、本発明は、限定されるものではないが、透析を受ける患者および末期腎疾患(ESRD)の患者を含む腎不全患者における高リン酸塩血症を治療するための方法であって、治療上有効量のランタン化合物を投与することを含む前記方法に関する。
【0020】
一つの実施形態においては、本発明は、慢性腎臓病患者を治療するための方法であって、治療上有効量のランタン化合物を投与することを含む前記方法に関する。
【0021】
もう一つの実施形態においては、本発明は、慢性腎不全の患者における副甲状腺機能亢進症をコントロールするための方法であって、治療上有効量のランタン化合物、好ましくは炭酸ランタンを投与することを含む前記方法に関する。
【0022】
更にもう一つの実施形態においては、本発明は、慢性腎不全の患者における副甲状腺機能亢進症を治療するための方法であって、治療上有効量のランタン化合物、好ましくは炭酸ランタンを投与することを含む前記方法に関する。
【0023】
もう一つの実施形態においては、このランタン化合物をこのような製剤で投与して、ランタンの血漿レベルが低くなるように、例えば先行技術で行われるように1日当たり3gの用量(例えば、1gを1日3回)に対して、C_(max)、T_(max)およびAUCが好ましくはそれぞれ1.5ng/ml未満、約12時間、および50ng・時間/ml未満の平均濃度曲線により提供される程度に少なくとも良好となるようにする。更に好ましい実施形態においては、C_(max)およびAUCは、1.1ng/ml未満、および32ng・時間/ml未満であり、最も好ましい実施形態においては、C_(max)およびAUCは0.5ng/ml未満、および20ng・時間/ml未満である。T_(max)値は用量により本質的に影響を受けず、そしてC_(max)およびAUC値は投与量と共に直線的に変わる。これらのパラメーターはすべて極めて慣用的な意味を有する。
【0024】
もう一つの実施形態においては、本発明は、高リン酸塩血症を治療する方法であって、これを必要とする患者にこのような炭酸ランタン製剤を投与することを含む前記方法に関する。
【0025】
好ましいランタン化合物は炭酸ランタン化合物を含む。炭酸ランタン化合物は炭酸ランタンのすべての形態を指す。
【0026】
好ましい実施形態においては、本発明は、一般式
La_(2)(CO_(3))_(3)・xH_(2)O
の炭酸ランタンに関する。式中、xは3?8の、3?7の、3?6の、好ましくは3?5の、更に好ましくは3?4の、更に好ましくは3?4.5の、好ましくは4?5の、最も好ましくは3.4の値を有し、最も好ましくはxは4の平均値を有する。胃腸管の中への投与による高リン酸塩血症を治療するための薬剤の製造については、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,968,976号を参照のこと。このランタン化合物の水和レベルは、当技術分野でよく知られた方法、例えば熱分析(TGA)により測定可能である。
【0027】
一つの態様においては、本発明の製剤で使用される賦型剤は、腎損傷の患者への投与に好適である。更なる態様においては、この賦型剤は、希釈剤、結合剤、および潤滑剤/滑剤を含む。他の薬剤、例えば崩壊剤、着色剤、風味剤/甘味剤をこの製剤に添加することが可能であるということが理解される。
【0028】
希釈剤は、デキストレート、コーンシロップ、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコース、リカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、フルクトース、キシリトール、マルトデキストリン、マルチトール、イソマルト、ラクトース、ソルビトール、微結晶性セルロース(アビセルなど)、スクロースベースの希釈剤-結合剤(Nutab、Di-PacまたはSugartabなど)、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん(EmdexまたはCelutabなど)、デキストロース(Cereloseなど)、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物(MaltronsまたはMor-Rexなど)、アミロースまたはグリシンから選択可能である。
【0029】
希釈剤は、デキストレート、でんぷん、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース(アビセルなど)、スクロースベースの希釈剤-結合剤(Nutab、Di-PacまたはSugartabなど)、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん(EmdexまたはCelutabなど)、デキストロース(Cereloseなど)、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物(MaltronsまたはMor-Rexなど)、アミロースまたはグリシンから選択可能である。
【0030】
更なる実施形態においては、希釈剤は、デキストレート、でんぷん、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース(アビセルなど)、スクロースベースの希釈剤-結合剤(Nutab、Di-PacまたはSugartabなど)、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん(EmdexまたはCelutabなど)、デキストロース(Cereloseなど)、イノシトール、またはアミロースから選択可能である。
【0031】
更なる実施形態においては、希釈剤は、デキストレート、フルクトース、キシリトール、エリスリトール、マルトデキストリン、デキストロース、マルチトール、イソマルトまたはグルコースから選択可能である。
【0032】
更なる実施形態においては、希釈剤はデキストレートである。
【0033】
更なる実施形態においては、潤滑剤/滑剤およびブレンド/流動剤は、例えばマグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、水素化植物油、グリセリルベヘネートまたはグリセリルモノステアレートから選択可能である。
【0034】
更なる実施形態においては、潤滑剤/滑剤およびブレンド/流動剤は、例えばマグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカまたはコロイド状無水シリカから選択可能である。
【0035】
一つの態様においては、本発明は、

を含む咀嚼型製剤を指向する。
【0036】
更なる態様においては、本発明は、

を含む製剤を指向する。
【0037】
更なる態様においては、本発明は、


を含む咀嚼型製剤を指向する。
【0038】
更なる態様においては、本発明は、

を含む製剤を指向する。
【0039】
更なる態様においては、本発明は、

を含む製剤を指向する。
【0040】
更なる態様においては、本発明は、

を含む製剤を指向する。
【0041】
更なる態様においては、本発明は、

を含む咀嚼型製剤を指向する。
【0042】
慣用の適用可能な剤形、例えばビーズ、圧潰された錠剤、粉末、篩掛けされた顆粒で製造される場合、これらの製剤はふりかけ型でもあり、すべて味の良いものである。錠剤をかむのがつらい患者に対しては、この製剤は必要ならばスプーン上、あるいは食物上にふりかけ可能である。
【0043】
錠剤は、当技術分野でよく知られた方法により被覆され得る。
【0044】
酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソールまたはヒドロキノンを本発明の製剤に組み込んで、貯蔵寿命を増強し得る。
【0045】
別法としては、投与は中断なしの投与計画で行われ得る;このような投与計画は長期の投与計画、例えば永久的な投与計画であり得る。
【0046】
一つの態様において、本発明は、250mg、500mg、750mgおよび1000mgから選択される量の元素状ランタンを含有する錠剤の医薬製剤であって、
a)ランタン化合物と賦型剤とをミキサー中で乾式混和して混合物を形成し;そして
b)単一押し抜きまたは回転式錠剤マシンを用いて、この混合物を錠剤に圧縮する
ステップを含む方法により製造される前記製剤を指向する。
【0047】
成人用の通常の投与量は、例えば一日当たり750mg-3000mgであり得る。この用量を分割し、各食事と共に例えば250-1000mg、例えば一日3回取ることができる。常時最適な血清のリン酸塩レベルに達するまで、血清血漿レベルは週ごとにモニターすることが可能である。
【0048】
ランタンは原子番号57の希土類元素である。ランタンの性質によって、この薬剤は有用なリン酸塩結合剤として良好な候補である。これはリンを炭酸塩の形で結合するための高親和性を有し、そして胃腸での吸収を制限する低溶解性を有する。加えて、このリン酸塩の結合はpHに無関係であり、LD50基準で低毒性潜在性を有し、味は良好であり、存在量が豊富であり、そして血清電解質濃度に限定された影響しか及ぼさない(Hutchison、AJら(1998)Perit.Dial.Int.18(Suppl 2):S38。
【0049】
本発明の製剤の投与量および投与期間は、特別な被験者の要求に依って変わることが理解されるであろう。正確な投与計画は、特に因子、例えば体重、年齢および症状(あるならば)を考慮する医師または獣医師により決定される。この製剤は、所望ならば、1つまたはそれ以上の更なる活性成分を組み込み得る。
【0050】
更なる実施形態においては、本発明は、高リン酸塩血症に罹っている非ヒト動物、例えば愛玩動物の治療のためにランタン化合物を獣医用に使用する方法であって、薬学的に許容し得る量のランタン化合物をこのような治療を必要とするこのような動物、例えば愛玩動物に投与するステップを含む前記方法に関する。
【0051】
特に薬剤が不快な味または臭いを有する場合には.動物が錠剤、ピルまたは薬用食品を摂るのをいやがるので、動物による薬剤の経口使用は、通常はかなり困難なものであった。例えば錠剤として経口投与する場合、いつもの餌と混合する場合でも、動物が薬剤をしばしば拒否し、そして治療効果を得ることができなくするか、あるいは力ずくで(しかし限定され、通常不充分で一貫性のない程度でしかない)適用しなければならない。
【0052】
愛玩動物への薬剤の経口投与の成功は限定的であった。例えば、米国特許第5,824,336号は、愛玩動物用の美味型の抗寄生虫組成物の必要性を記載しており、イヌにとって美味型フルベンダゾールの咀嚼型錠剤組成物を特に指向している。
【0053】
特に、ネコの所有者のための獣医学ハンドブックは、通常、ピルを粉末に崩壊することに対して警告している。例えば、「Cat Owner’ s Home Veterinary Handbook」by Carlson D.G.ら(1983,First Edition,Howell Book House Inc.)においては、粉末が耐容性の劣る不快な味を出すということからこの点が強調されている。更には、ハンドブックは、ネコの配給飼料に添加されるように特に意図された薬剤は、ビール酵母、チーズまたは強い魚油を添加することにより隠蔽可能であるということを助言している。この参照文献の研究は、錠剤および液体製剤をネコに直接に投与することができる更に手のこんだ方法、特にネコを保持し、口を開き、そして剤形をネコの口の中に入れて、摂取を確認する方法も述べている。
【0054】
愛玩動物において食事をコントロールすることは更に困難であり、それゆえリン酸塩の取り込みをコントロールすることはヒトの被験者と比べて比較的困難であることも認識されている。
【0055】
愛玩動物の嗅覚(味と強く相関)はヒトの被験者と比べて特に鋭いことも周知である。従って、例えばイヌおよびネコを含む愛玩動物において高リン酸塩血症を治療し、そして関連する高カルシウム血症をコントロールするために容易に使用可能である美味型薬剤に対する必要性がある。高齢のネコにおいて腎疾患が頻繁に診断されるので、この病状に対する改善された薬剤がこの種に対して急遽必要とされる。
【0056】
愛玩動物を含む動物に、ランタン化合物を高リン酸塩血症の軽減に有効な美味型量で投与することができることが見出された。更には、特に動物の飼料に入れる場合、このような動物においてランタン化合物が美味型の度合いによって、消費を助長するのに特別な被覆、マスキング材および投与手順を必要としない剤形でこのような化合物を投与することが可能となるということが見出された。特に、飼料との混和物用の粒状の形態の場合、高リン酸塩血症の軽減に有効な量でネコにランタン化合物を投与することができることを見出した。
【0057】
従って、一つの態様においては、本発明は、愛玩動物において高リン酸塩血症を治療するための方法であって、薬学的に許容し得る量のランタン化合物をこのような治療を必要とする愛玩動物に投与するステップを含む前記方法を指向する。
【0058】
投与計画時、投与は、1日当たり1回以上、例えば1日当たり1回、2回、3回または4回行われ得る。
【0059】
別段の定義のない限り、この明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により普通に理解されるのと同一の意味を有する。この明細書において挙げられたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、引用により全体で本明細書に組み込まれている。抵触の場合には、定義を含めて、この明細書が制限されることになる。加えて、この材料、方法、および実施例は単に例示的なものであり、限定的であるようには意図されていない。
【0060】
更なる詳述なしで、当業者は、先行の説明を用いて本発明を最大の程度に利用したと考えられる。それゆえ、次の好ましい実施形態は、この開示の残りを単に例示するだけのものであり、いかなる方法であれ限定するものでないというように解釈されるべきである。
【0061】
実施例1
炭酸ランタン水和物咀嚼型錠剤(250mg、500mg、750mgおよび1000mg)の調製
【0062】
この製造方法は、篩い掛けし、そして活性成分を賦型剤とブレンドし、続いて直接圧縮することを伴う。より具体的には、このステップは250mgおよび500mgの配合Aの錠剤に対しては次の通りである:
a)炭酸ランタン、デキストレートおよびコロイド状二酸化ケイ素を少なくとも16メッシュのスクリーンから好適なブレンド機の中に通し、そして約20分間ブレンドする。
b)タルク(随意の)とマグネシウムステアレートを30メッシュのスクリーンに通し、そしてブレンド機に添加し、そして約5分間ブレンドする。
c)標準のツールを用いてこのブレンドを標的の圧縮重量まで圧縮する。
【0063】
実施例で一般に述べられるように次の錠剤を作製した。
【表1A】

【表1B】

【0064】
実施例2
製剤Aにより行われる試験の要約
1.いくつかの試験の要約
5つの第II相/第III相試験のうちでランダム化された患者におけるいくつかの試験内で、表示された時点において得られる血漿中のランタンの平均濃度の範囲を表2に要約する。
【表2】

【0065】
この平均血漿ランタンレベルの範囲と上限範囲値は、第II相/第III相試験にわたって類似であり、最高平均レベルは<1ng/mlである。この範囲の値は以前の試験において測定されたC_(max)の値と類似して低かった。
【0066】
2.この試験は、慣用の非カルシウムの抗高リン酸塩血症処置、炭酸ランタン(LC)の一次および安全性薬理学を評価する。
【0067】
方法
水酸化アルミニウム(AH)および比較物としてカルシウム塩を用いて、LCのインビトロのリン酸塩結合有効性を胃腸のpH3、5および7において評価する。インビボ食事リン酸塩結合を、AH、炭酸カルシウム(CC)およびセベラマーヒドロクロリド(SH)(1000mg結合剤/kg/日)と比較し、尿のリン酸塩排せつを一次終点として用いて、5/6の腎摘出されたラットに6週間毎日投与する。CNS、心臓血管、呼吸器官およびGI系に及ぼすLCの望まれない薬理学的な影響に対する潜在性をマウス、ラットおよびイヌにおいて2000mg/kg/日までの用量で評価する。
【0068】
結果
インビトロでLCはAHと等効力であり、CCまたは酢酸カルシウムよりも高効力である。LCはpH3において最も有効(97.5%のリン酸塩が結合)であるが、pH5および7においても良好な効力を有する。5/6腎摘出されたラットにおいては、LCはAHと等効力であり、このモデルにおける食事リン酸塩結合の敏感なマーカーの尿のリン酸塩排せつを低減させる点でCCまたはSHよりも高効力である。2000mg/kgまでの投与量において、LCは、マウス、ラットまたはイヌにおいて血清カルシウム、ビタミンDまたはPTHレベルに直接の影響を及ぼさず、そして心臓血管、呼吸器官あるいはGIの系に悪い薬理学的作用を及ぼさない。マウスまたはイヌにおいてはCNS機能への急性または長期の影響はIrwinおよび神経毒性のスクリーニングで起こらない。マウスにおいては、LCは、前または抗けいれん性活性を持たず、運動機能活性に影響を及ぼさない。
【0069】
この試験は、LCが水酸化アルミニウムに類似の効力、および副作用の安全性薬理学に対する低い潜在性を持つ、選択的かつ効力のあるリン酸塩結合剤であるということを示す。
【0070】
3.この前臨床試験を行って、慣用の炭酸ランタン(LC)の長期毒性を調べる。
【0071】
方法
マウス、ラットおよびイヌにおけるLCによる単回および多数回投与の経口およびiv毒性試験は、2000mg/kg/日(経口的)までの用量(×17の1日3回1000mgのヒト投与量)および1mg/kg/日(iv)の用量を使用する。血漿LCレベルは透析患者におけるレベルの20,000倍までである。この試験は、イヌにおいては1年までの、そしてげっ歯類においては2年の期間(寿命曝露)の範囲である。5/6腎摘出のラットにおける試験は毒性プロフィールに及ぼす腎損傷のいかなる影響も評価した。この試験は、臨床評価、ECG、検眼、血液学、尿分析、血清化学、血漿および組織LC曝露、および40を超える組織の組織病理学的試験を含む。遺伝毒性、生殖毒性および発癌性を評価するための完全プログラムも行う。
【0072】
結果
LCは耐容性が極めて良好であり、寿命試験において外観、生長または生存に影響を及ぼさない。げっ歯類の胃中の適応変化(イヌにおいては観察されない)が高経口投与量において唯一見出されたことである。損傷を受けた腎機能ラットは、正常なラットに匹敵する組織曝露を有し、LCに極めて良好に耐容する。組織形態計測では、直接の骨毒性に対する潜在性を示さない。石灰化に及ぼすいくつかの間接の影響は、高用量における過度の食事結合により引き起こされるリン酸塩欠乏によるものである。ランタンは遺伝毒性または発癌性でなく、生殖のいかなる段階にも悪影響を及ぼさない。
【0073】
4.この試験を行って、慣用の炭酸ランタン(LC)を他の治療法(カルシウムもしくはアルミニウムの塩、またはセベラマーヒドロクロリド)と比較する。
【0074】
方法
この2年の多施設におけるランダム化された非盲検の平行群治験は、1?3週の洗い出し期間、6週の投薬調整相および長期の維持相からなる。血清リンが>5.9mg/dL(>1.9ミリモル/L)の血液透析患者は、LC(375-3000mg/日の元素状ランタン)またはこれらの予備試験のリン酸塩結合剤のいずれかを受ける。この試験の主な狙いは、安全性と耐容性を2年にわたって評価することである。この主効力終点は≦5.9mg/dLの血清リンのコントロールである。
【0075】
結果
合計で、647人の患者がLCを受け、そして642人が標準の治療(カルシウム剤:78%;セベラマー:16%)を受ける。平均の全処置曝露は標準治療についてはLCよりも高い(422.2±258.5対304.1±253.8日)。処置から発生する副作用は、標準治療群においてLC群よりも大きな頻度で起こり、高カルシウム血症(10.4対3.4%)、下痢(27.4対19.8%)、腹痛(20.9対14.1%)および消化不良(14.8対8.2%)を含む。重度の副作用も標準処置群においては更に高頻度である(65.4対51.0%)。しかしながら、これは群間の処置曝露の差異により複雑化しているように思われる。血漿ランタンは処置の間ずっと極めて低く留まっている(平均レベル:0.5-0.6ng/mL)。両方の群における患者の類似の比率は、維持治療の間有効なリンコントロールを有する(46.3%対41.3%;2年の標準治療対LC)。
【0076】
LCは、長期にわたって他の現行のリン酸塩結合剤のように少なくとも耐容性が良好であり、2年の期間にわたり血清リン酸塩コントロールの維持に類似の有効性を呈する。
【0077】
5.この試験は、ランダム化された非盲検の多施設治験における慣用の炭酸ランタン(LC)の有効性、安全性および耐容性を炭酸カルシウム(CC)のそれらと比較するものである。
【0078】
方法
1?3週の洗い出し期間の後、高リン酸塩血症(>1.80ミリモル/L[5.6mg/dL]の血清リン)の血液透析患者をランダム化して、LC(375-3000mg/日ランタン;n=533)またはCC(1500-9000mg/日カルシウム;n=267)を受けさせる。次に、5週内に最適なリン酸塩コントロール(<1.80ミリモル/Lの血清リン)をもたらすいずれかの薬剤の維持用量に患者を投薬調整する。投薬調整後コントロールされた血清リンレベルを有するLC-およびCC処置した患者は両方とも20週間以上維持処置を受ける。
【0079】
結果
LCとCCにより処置された類似の比率の患者において、血清リンレベルのコントロールを達成する(9週:67.9%対65.8%;25週:65.8%対63.9%)。LCには、9週においてCCよりもカルシウム×リン積の著しく大きい減少(-1.80対-1.35ミリモル2/L2;P=0.009)と、25週において数字的に大きい減少(-1.59対-1.26ミリモル2/L2)を伴う。LCについてはランタンの血漿レベルは処置の間極めて低い:25週で投与される最高ランタン用量において0.49ng/mLである。副作用は重症度において一般に軽度または中程度であり、LCを受ける患者の77.7%およびCCを受ける患者の79.8%で起こる。高カルシウム血症は、LCを受ける患者(0.4%)と比較してCCを受ける患者においては実質的に高い頻度(20.2%)で起こる。
【0080】
LCは、末期腎疾患の患者における血清リンのコントロールにおいてCCに等価の有効性を示す。LCは耐容性が良好であり、高カルシウム血症のリスクがCCよりも低い。
【0081】
6.この試験は、慣用のLCを炭酸カルシウム(CC)と比較した、前の6ケ月のランダム化された臨床治験の6ケ月の非盲検の延長からの結果を報告する。
【0082】
方法
初期の治験におけるランダム化された処置の6ケ月後、CCを6ケ月受ける患者を5週のLCによる投薬調整(CC/LC群)に切り替えて、血清リンを≦1.8ミリモル/L(5.6mg/dL)においてコントロールする。このランダム化された治験において初期にLCを受ける患者は、確立された維持用量でLCを受け続ける(LC/LC群;全処置期間、49週)。
【0083】
結果
合計で518人の患者が延長試験に入った:CC/LC群では185人、LC/LC群では333人である。全体で375人の患者(72.4%)がこの試験を完了した:CC/LC群では113人(61.1%)、LC/LC群では262人(78.7%)である。両方の群において血清リンレベルを24週にわたってほぼ1.8ミリモル/L(5.6mg/dL)で維持する:平均終点値はLC/LC群において1.76ミリモル/Lであり、そしてCC/LC群において1.83ミリモル/Lであった。この延長期間の終わりに、CC/LC群の58.3%と比較して、血清リンをLC/LC群の63.3%にコントロールする。最も普通の処置から発生する副作用は胃腸に関するものであり、試験処置に関連すると考えられるものがLC/LC患者の17%およびCC/LC患者の31%により報告されている。高カルシウム血症の発症は、LC/LC群の患者の0.3%およびCC/LC群の患者の2.7%により報告されている。
【0084】
LCは耐容性が良好であり、少なくとも1年の期間有効である。短期治験においてLCについて観察される高カルシウム血症の低下した発生率を1年間維持する。
【0085】
7.大規模なランダム化された1年治験において、骨パラメーターに対する慣用の炭酸ランタン(LC)または炭酸カルシウム(CC)を用いた長期治療の影響の安全性と有効性を評価する。
【0086】
方法
血液透析または連続した外来腹膜透析を受ける慢性腎不全患者をランダム化(1:1)して、LC(3750mg/日までのランタン;n=49)またはCC(9000mg/日までのカルシウム;n=49)のいずれかを50週間受けさせる。安全性分析は副作用、生命徴候および血漿ランタンを含む。有効性評価は血清リンと副甲状腺ホルモン(PTH)を含む。
【0087】
結果
98人の患者は、すべて包括解析(intent-to-treat)の有効性および安全性の集団に含めた。副作用プロフィールはLCとCCについて類似であったが、高カルシウム血症副作用(>2.65ミリモル/Lの血清カルシウム)はLC(6%)についてはCC(35%)よりも低頻度であった。LCまたはCCの治療の間に生命徴候が臨床的に関連する変化はなかった。血漿ランタンレベルは、ベースラインにおいてはLC-およびCC処置の患者(範囲、0.31-0.11ng/mL)においては類似であり、終点においてはLC処置の患者(<0.03-1.95ng/mL)においてはCC処置の患者(すべて<0.03ng/mL)よりも高かった。血漿ランタンは、LC処置の患者においては試験の初期で定常状態に達し、そして8および52週の間で類似であった。LCとCCは血清リンの類似のコントロールをもたらした。ベースラインの平均(±SD)値は、LCおよびCCについてそれぞれ1.72±0.39および1.87±0.52ミリモル/Lであり、そして終点値は1.79±0.47および1.65±0.54ミリモル/Lであった。血清PTHは、LCについては1年にわたって安定に留まったが、CCについては減少した。
【0088】
LCは等しく良好な耐容性のようであり、そしてCCに同等の有効性を示したが、高カルシウム血症のリスクは処置の1年にわたって大きく減少した。他の長期試験のように、長期のLC治療は血漿ランタン蓄積を生じなかった。
【0089】
8.この試験は、華僑(ethnic Chinese)の人々における慣用の炭酸ランタン(LC)の有効性および安全性を評価した。500mgのランタンをもたらすLC錠剤を評価した。これらの高強度の錠剤は、患者のコンプライアンスに影響する重要な問題である全ピル負荷を低減させることができる。
【0090】
方法
この試験は、1?3週のスクリーニングおよび洗い出し相、LCによる4週の非盲検の用量投薬調整相、ならびに、患者をランダム化(1:1)してLCまたはプラセボを受ける4週の二重盲検の維持相の3部を含むものであった。LCは、250または500mgのランタンをもたらす咀嚼型錠剤として投与した。前のリン酸塩結合剤の洗い出しの後で、>5.6mg/dL(1.8ミリモル/L)の血清リンレベルを有する男性および女性の血液透析患者を含めた。この試験は103人の患者を登録した。この主な有効性終点は、二重盲検処置の最終週において得られる血清リンレベルとした。≦5.6mg/dL(1.8ミリモル/L)の血清リンへのコントロールは、主な二次有効性終点であった。他の二次的有効性尺度は、投薬調整時の血清リンのプロフィール、および血清副甲状腺ホルモン、カルシウムおよびカルシウム×リン積レベルを含むものであった。LCの安全性および耐容性のプロフィールは、各試験来診において副作用と生命徴候をモニターすることにより評価した。完全な生物化学的および血液学的なスクリーニングも行い、そしてランタンの血漿レベルは試験を通して測定した。
【0091】
9.腎骨形成異常(ROD)は、著しい患者罹患率と関連した高リン酸塩血症の重要な合併症である。アルミニウムベースのリン酸塩結合剤は骨毒性と関連し、従ってRODの現行の困難を増大させるものであった。この試験は、慣用の炭酸ランタン(LC)に対する類似の毒性がないことを実証し、骨に及ぼす長期の効果を炭酸カルシウム(CC)のそれと比較するように設計した。
【0092】
方法
合計98人の患者をランダム化して、LC(n=49)またはCC(n=49)のいずれかにより1年間処置した。テトラサイクリンでラベルした骨生検は、ベースラインおよび1年の非盲検処置の後に採取し、そして完全な組織学分析を行った。骨アルカリ性ホスファターゼ活性、ならびに血清副甲状腺ホルモン(PTH)およびカルシトリオールのレベルも測定した。
【0093】
結果
ベースラインおよび1年の処置後の骨生検は、33人のLC-および30人のCC処置の患者から入手可能であった。いずれの群もアルミニウム様の骨毒性を示さなかった。1年後、ベースラインにおいて骨軟化症または筋脱力症の骨を有する5/7のLC-および3/7のCC処置の患者、ならびにベースラインにおいて高ターンオーバーRODを有する4/5のLC-および3/6CCの処置患者は、重篤なタイプのRODから改善された。LC群では1人の患者のみが筋脱力症の骨に進行し、それに対してCC群では6人が進行した。処置群の間、あるいは試験の終了時では(対ベースライン)、骨アルカリ性ホスファターゼ活性または血清カルシトリオールレベルの著しい差異はなかった。血清PTHレベルはLC群中で安定に留まり、CC群中ではデータ範囲の変動は大きかったが、減少が見られた。
【0094】
1年にわたって、LCにより処理された透析患者は、CC処置の患者と比較してより重篤なタイプのRODから大きな改善を示した。LC処置の患者においては、骨状態の他のパラメーターは著しい変化を示さなかった。したがって、LCは、RODを処理する場合、慣用のリン酸塩結合剤よりも利点を有し得る。
【0095】
先行の実施例は、本発明の一般的あるいは特定的に述べられた反応試剤および/または操作条件を先行の実施例で使用されたものに置き換えることにより類似の成功をもって繰り返し可能である。
【0096】
前出の説明から、当業者ならば、本発明の本質的な特徴を容易に確かめることができ、そしてその精神と範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変化と改変を行って、これを種々の使用および条件に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は血清中のランタン(72時間の最大耐容の用量において与えられるランタン)の平均濃度を示す。
【図2】図2は尿中の無機リンの平均濃度を示す。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含み、湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで実施される方法により製造される咀嚼型錠剤の炭酸ランタン医薬製剤であって、前記製剤の10?40重量%の割合で250mgから1000mgの量のランタンを含むように炭酸ランタン及び薬学的に許容し得る賦型剤を含み、
前記薬学的に許容し得る賦型剤は、前記製剤の40?80重量%の量で希釈剤を含み、かつ前記製剤の0.1?5.0重量%の量で流動剤を含むものであり、
前記希釈剤は、デキストレート、コーンシロップ、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコース、リカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、フルクトース、キシリトール、マルトデキストリン、マルチトール、イソマルト、ラクトース、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロースベースの希釈剤-結合剤、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん、デキストロース、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物、アミロース又はグリシンであり、
前記流動剤は、マグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、水素化植物油、グリセリルベヘネート又はグリセリルモノステアレートである、前記製剤:
a.炭酸ランタンと薬学的に許容し得る賦型剤とをブレンドして混合物を形成し、あるいは
b.炭酸ランタンと薬学的に許容し得る賦型剤とをブレンドし、得られる配合物をスラッグ材料に圧縮するか、あるいは得られる配合物をストランド材料にローラー圧縮し、そしてこの製造された材料をミル掛けして、自由流動性混合物とし、そして
c.前記ステップ(a)又は(b)で形成される混合物を錠剤に圧縮する。
【請求項2】
以下のステップを含み、湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで実施される方法により製造される咀嚼型錠剤の炭酸ランタン医薬製剤であって、前記製剤の10?40重量%の割合で250mgから1000mgの量のランタンを含むように炭酸ランタン及び薬学的に許容し得る賦型剤を含み、
前記薬学的に許容し得る賦型剤は、前記製剤の40?80重量%の量で希釈剤を含み、かつ前記製剤の0.1?5.0重量%の量で流動剤を含むものであり、
前記希釈剤は、デキストレート、コーンシロップ、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコース、リカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、フルクトース、キシリトール、マルトデキストリン、マルチトール、イソマルト、ラクトース、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロースベースの希釈剤-結合剤、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん、デキストロース、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物、アミロース又はグリシンであり、
前記流動剤は、マグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、水素化植物油、グリセリルベヘネート又はグリセリルモノステアレートである、前記製剤:
a.炭酸ランタンをスラッグ材料に圧縮するか、あるいはストランド材料にローラー圧縮し、
b.前記スラッグ材料又はストランド材料をミル掛けして自由流動性混合物とし、
c.前記自由流動性混合物を薬学的に許容し得る賦型剤とブレンドして混合物を形成し、そして
d.前記混合物を錠剤に圧縮する。
【請求項3】
前記炭酸ランタンが一般式
La_(2)(CO_(3))_(3)・xH_(2)O
(式中、xは3?8の値を有する)
で表されるものである、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
xが4?5の値を有する請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記希釈剤がデキストレート又はソルビトールである、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
流動剤が、前記製剤の2重量%の量のコロイド状無水シリカである、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
慢性腎不全の治療のための咀嚼型炭酸ランタン医薬錠剤であって、湿式造粒及びその後の乾燥を伴わず、直接圧縮により製造されるものであり、以下の成分を含み、炭酸ランタンが4モルの水で水和されている、前記製剤:
【表1】

【請求項8】
慢性腎不全の治療のための咀嚼型炭酸ランタン医薬錠剤であって、湿式造粒及びその後の乾燥を伴わず、直接圧縮により製造されるものであり、以下の成分を含み、炭酸ランタンが4モルの水で水和されている、前記製剤:
【表2】

【請求項9】
以下のステップを含み、湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで実施される方法により製造される粉末の炭酸ランタン医薬製剤であって、前記製剤の10?40重量%の割合で250mgから1000mgの量のランタンを含むように炭酸ランタン及び薬学的に許容し得る賦型剤を含み、
前記薬学的に許容し得る賦型剤は、前記製剤の40?80重量%の量で希釈剤を含み、かつ前記製剤の0.1?5.0重量%の量で流動剤を含むものであり、
前記希釈剤は、デキストレート、コーンシロップ、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコース、リカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、フルクトース、キシリトール、マルトデキストリン、マルチトール、イソマルト、ラクトース、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロースベースの希釈剤-結合剤、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん、デキストロース、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物、アミロース又はグリシンであり、
前記流動剤は、マグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、水素化植物油、グリセリルベヘネート又はグリセリルモノステアレートである、前記医薬製剤:
a.炭酸ランタンと薬学的に許容し得る賦型剤とをブレンドし、
b.得られる混合物を、スラッグ材料に圧縮するか、ストランド材料にローラー圧縮し、そして
c.製造された材料をミル掛けして自由流動性粉末混合物とする。
【請求項10】
以下のステップを含み、湿式造粒及び乾燥のいずれも伴わないで実施される方法により製造される粉末の炭酸ランタン医薬製剤であって、前記製剤の10?40重量%の割合で250mgから1000mgの量のランタンを含むように炭酸ランタン及び薬学的に許容し得る賦型剤を含み、
前記薬学的に許容し得る賦型剤は、前記製剤の40?80重量%の量で希釈剤を含み、かつ前記製剤の0.1?5.0重量%の量で流動剤を含むものであり、
前記希釈剤は、デキストレート、コーンシロップ、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコース、リカシン、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルトース、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、フルクトース、キシリトール、マルトデキストリン、マルチトール、イソマルト、ラクトース、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロースベースの希釈剤-結合剤、粉砂糖、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、加水分解されたでんぷん、デキストロース、イノシトール、加水分解されたシリアル固形物、アミロース又はグリシンであり、
前記流動剤は、マグネシウムステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、水素化植物油、グリセリルベヘネート又はグリセリルモノステアレートである、前記医薬製剤:
a.炭酸ランタンを、スラッグ材料に圧縮するか、ストランド材料にローラー圧縮し、
b.前記スラッグ材料又はストランド材料をミル掛けして自由流動性粉末混合物とし、そして
c.自由流動性粉末混合物を薬学的に許容し得る賦型剤とブレンドして配合物を形成する。
【請求項11】
以下のステップを含む方法により製造される、請求項1に記載の製剤:
a.炭酸ランタンと薬学的に許容し得る賦型剤とをブレンドして混合物を形成し;そして
b.この混合物を錠剤に圧縮する。
【請求項12】
前記製剤の20?30重量%の量のランタンを含むように炭酸ランタンを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
薬学的に許容し得る賦型剤が、40?60重量%の量の希釈剤である、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記製剤の10?30重量%の量のランタンを含むように炭酸ランタンを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤の20?27重量%の量のランタンを含むように炭酸ランタンを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
希釈剤が、42?58重量%の量のものである、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
請求項1?16のいずれか一項に記載の治療上有効量の炭酸ランタン医薬製剤を含む、高リン酸塩血症の治療用医薬組成物。
【請求項18】
高リン酸塩血症の治療を必要とする患者において高リン酸塩血症を治療するための薬剤の製造における、請求項1?16のいずれか一項に記載の治療上有効量の炭酸ランタン医薬製剤の使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-07-04 
出願番号 特願2006-524189(P2006-524189)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 磯部 洋一郎  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 岩下 直人
渕野 留香
登録日 2012-01-06 
登録番号 特許第4896719号(P4896719)
発明の名称 ランタン化合物を含む医薬製剤  
代理人 丸山 智裕  
代理人 丸山 智裕  
代理人 小林 純子  
代理人 鈴木 康仁  
代理人 小林 純子  
代理人 小林 浩  
代理人 鈴木 康仁  
代理人 小林 浩  

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