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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1278024
審判番号 不服2012-5043  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-16 
確定日 2013-08-12 
事件の表示 特願2006- 3343「露光装置、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月27日出願公開、特開2006-196898〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年1月11日(パリ条約による優先権主張2005年1月12日、米国)の出願であって、平成21年2月13日付けで拒絶理由が通知され、同年8月17日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、平成22年1月5日付けで拒絶理由が通知され、同年7月5日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年11月30日付けで拒絶理由が通知され、平成23年6月1日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、その後、同年11月15日付けで平成22年1月5日付け拒絶理由通知書の理由により拒絶査定がなされた。これに対して、平成24年3月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成24年9月11日付けで、審判請求人に前置報告の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったが、回答書は提出されなかった。さらに、平成25年3月4日に本願の特許請求の範囲の記載についての問い合わせを電話にて行ったところ、同年3月14日に電話にて回答がなされた。

第2 平成24年3月16日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年3月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項に記載された発明
平成24年3月16日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下単に「特許法」という)第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された。
よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「放射ビームを供給するようになされた放射系と、
所望のパターンに従って前記放射ビームをパターン形成するようになされたパターン形成装置と、
基板を支持するようになされた基板テーブルと、
パターン形成された前記放射ビームを前記基板のターゲット箇所に投影するようになされた投影系とを含み、前記基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部がコーティングで被覆され、該コーティングは、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含み、光誘起親水性を有し、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含み、かつ、約15?100nmの範囲の厚さを有する、浸漬式リソグラフィ露光装置。」

そこで、上記本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか否か)について、以下に検討する。

また、本件補正発明の発明特定事項である「該コーティングは、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含み、光誘起親水性を有し、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含み、かつ、約15?100nmの範囲の厚さを有する」のうちの「光誘起親水性を有し」が示す構成について、以下に検討する。
平成25年3月4日に、請求人代理人に電話にて、「コーティングは、」「光誘起親水性を有し」は実質的に「コーティング」がTiO_(2)を含むことであるかとの問い合わせを行ったところ、同年3月14日に、請求人代理人から電話にて、「光誘起親水性を有し」はTiO_(2)を含むことを意図するものではない、すなわち、上記発明特定事項において、「コーティング」が「光誘起親水性を有」するTiO_(2)と、「SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上」との両方を含むことを意図するものではないとの回答があった。この回答及び「SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO3、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含」むことにはSrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して100重量%含むことが含まれることを勘案すると、上記発明特定事項における「光誘起親水性を有し」は、「コーティング」が「SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上」を含むことにより、「コーティング」に与えられる性質を意味するものと認められる。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の他の特許出願であって,その特許出願後に出願公開された特願2004-237343号(以下「先願」という)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書」という)には、下記の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)
なお、先願明細書に記載された発明は、先願に基づいて特許法第41条第1項の規定による優先権を主張した特許出願である特願2005-177601号(以下「優先権主張出願」という)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面にも記載されたものであって、優先権主張出願が特開2006-165502号公報として出願公開されたから、特許法第41条第3項の規定により上記出願公開がされた時に先願明細書に記載された発明は出願公開されたものとみなして、第29条の2本文の規定が適用される。

(a)「【0020】
<第1の実施形態>
図1は本発明の露光装置の第1の実施形態を示す概略構成図、図2は図1の要部拡大図である。図1において、露光装置EXSは、クリーンルーム内の床面F上に設置された本体チャンバCH1と、この本体チャンバCH1に隣接して配置された機械室CH2とを備えている。本体チャンバCH1の内部に設けられた露光室100は、空調系KCによって空調されており、その内部の環境(清浄度、温度、圧力等)をほぼ一定に維持されている。本実施形態においては、露光室100は清浄な空気で満たされる。露光室100には、露光装置本体EXが収容されている。露光室100は、本体チャンバCH1内部に設けられた給気流路101及び接続部102を介して、機械室CH2の内部に設けられた気体流路の出口114に接続されている。
【0021】
露光室100に収容されている露光装置本体EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、光洗浄効果を有する所定の照射光Luを射出する光洗浄装置80とを備えている。本実施形態においては、光洗浄装置80は紫外光(UV光)を射出する。露光装置EXS(露光装置本体EX)全体の動作は、制御装置CONTによってを統括制御される。
【0022】
また、露光装置EXSは、露光室100に隣接する位置に、基板ステージPSTに対し基板Pを搬入及び搬出する基板搬送系150を備えている。基板搬送系150は不図示の基板搬送系収容室に収容されている。同様に、不図示ではあるが、露光室100に隣接する位置には、マスクステージMSTに対してマスクMを搬入及び搬出するマスク搬送系を収容するマスク搬送系収容室が設けられている。これら基板搬送系収容室及びマスク搬送系収容室は、露光室100に対して機械室CH2とは反対側に設けられている。基板搬送系収容室及びマスク搬送系収容室のそれぞれは、露光室100同様、空調系KCによってその内部の環境をほぼ一定に維持されている。
【0023】
本実施形態の露光装置EXS(露光装置本体EX)は、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXSは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXSは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間、すなわち投影光学系PLの像面側の光路空間を液体LQで満たした状態で露光光ELを照射し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。」
(b)「【0064】
図3は基板ステージPSTのZチルトステージ52を上方から見た平面図である。なお図3においては、基板Pは破線で仮想的に図示されている。平面視矩形状のZチルトステージ52の互いに垂直な2つの縁部に移動鏡55が配置されている。また、Zチルトステージ52のほぼ中央部に凹部32が形成されており、この凹部32に基板Pを保持する基板ホルダPHが配置されている。
【0065】
基板ホルダPHは、略円環状の周壁部33と、この周壁部33の内側に配置され、基板Pを保持(支持)する複数のピン状の支持部34とを備えている。ピン状の支持部34のそれぞれは、その上面34Aを基板Pの裏面に接触させて基板Pを保持する。なお、図においては、支持部34は比較的大きく示されているが、実際には非常に小さなピン状の支持部が周壁部33の内側に多数形成されている。
【0066】
周壁部33は支持部34の周囲に配置されており、支持部34は周壁部33の内側において一様に配置されている。上述したように、基板ホルダPHに保持されている基板Pの側面とZチルトステージ52の上面31との間には所定のギャップが形成されている。なお図においては、周壁部33の上端面は比較的広い幅を有しているが、実際には1?2mm程度の幅しか有していない。
【0067】
基板ホルダPHの支持部34以外の上面には、吸引口41が複数設けられている。吸引口41は、基板ステージPST外部に設けられた真空ポンプを含む不図示の真空系に流路を介して接続されている。制御装置CONTは、真空系を駆動し、周壁部33及び支持部34を含む基板ホルダPHと支持部34に支持された基板Pとの間に形成された空間38内部のガス(空気)を吸引口41より吸引してこの空間38を負圧にすることで、支持部34に基板Pを吸着保持する。すなわち、本実施形態における基板ホルダPHは、所謂ピンチャック機構を備えた構成である。
【0068】
また、基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、光計測部として基準部材(計測部材)300が配置されている。基準部材300には、基板アライメント系350により検出される基準マークPFMと、マスクアライメント系360により検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面はほぼ平坦面となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面31とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。基準部材300の上面は、フォーカス・レベリング検出系60の基準面としての役割も果たすことができる。
【0069】
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、光計測部として例えば特開昭57-117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400、例えば特開2002-14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500、及び例えば特開平11-16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)600、特開昭62-183522に開示されているような不図示の反射部材(計測部材)など、各種光計測部が設けられている。」
(c)「【0113】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について図9を参照しながら説明する。上述した第1?第5の各実施形態においては、露光装置EXS(露光装置本体EX)は、1つの基板ステージPSTを備えた構成であるが、本発明の光洗浄装置80は、特開平11-135400号公報に開示されているような、2つのステージを備えた露光装置にも適用可能である。
【0114】
図9に示す露光装置本体EXは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した状態で移動可能な基板ステージPST1と、基板ステージPST1に並ぶ位置に設けられ、上述した光計測部300、400、500、600を備えた計測ステージPST2とを備えている。基板ステージPST1には基準部材(計測部材)及び光計測部は設けられていない。計測ステージPST2は計測専用のステージであって基板Pを保持しない。基板ステージPST1及び計測ステージPST2は、リニアモータ等を含むステージ駆動装置をそれぞれ有しており、XY平面内で互いに独立して2次元移動可能となっている。また、基板ステージPST1及び計測ステージPST2のXY方向の位置は、レーザ干渉計によって計測される。
【0115】
各種計測処理を行う場合には、計測ステージPST2が投影光学系PLの下に配置され、その計測ステージPST2上に液体LQの液浸領域AR2が形成される。そして、その液浸領域AR2の液体LQを介して、光計測部300、400、500、600を使った計測処理が行われる。計測ステージPST2を使った計測処理を行っている間、基板ステージPST1には未露光基板Pがロードされる。
【0116】
そして、上記計測処理を終えた後、制御装置CONTは、計測ステージPST2上に形成されている液体LQの液浸領域AR2を、基板Pを支持している基板ステージPST1上に移動する。液浸領域AR2を計測ステージPST2から基板ステージPST1上に移動する場合には、制御装置CONTは、例えば計測ステージPST2と基板ステージPST1との間から液体LQが漏出しない程度に互いを近接させた状態で、投影光学系PLの像面側に形成されている液浸領域AR2に対して計測ステージPST2と基板ステージPST1とを一緒に移動する。そして、基板ステージPST1上に液浸領域AR2を移動した後、制御装置CONTは、上記計測ステージPST2を使って計測した計測結果に基づいて、基板Pのアライメント処理や、投影光学系PLの結像特性調整(キャリブレーション)処理を行った後、基板ステージPST1上の基板Pを液浸露光する。」
(d)「【0127】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態について図10を参照しながら説明する。図10に示す露光装置EXS(露光装置本体EX)は、図7(当審註:図9の誤記)を用いて説明した第6の実施形態同様、2つのステージを備えたものである。図10において、投影光学系PLの像面側には、光学部材として反射部材700が設けられている。反射部材700は例えばガラスによって形成されており、その上面は光を反射可能な反射面となっている。本実施形態においては、反射部材700は、投影光学系PLの像面側で移動可能な計測ステージPST2上に配置されている。制御装置CONTは、計測ステージPST2を駆動して、投影光学系PLの下に反射部材700を配置した状態で、投影光学系PLを介して露光光ELを反射部材700上に照射する。投影光学系PLからの露光光ELを照射された反射部材700は、露光光ELを反射することで、その露光光ELと同一波長の光を発生する。反射部材700から発生した露光光ELと同一波長の反射光は、液浸領域AR2の液体LQに接触する光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに照射される。本実施形態においても、露光光ELとして、光洗浄効果を有するArFエキシマレーザ光が使用されている。なお本実施形態においては、ノズル部材70の下面70Aに形成された回収口22には多孔部材(又はメッシュ部材)22Pが配置されいる。この多孔部材22Pは下面70Aの一部を構成しており、反射部材700から発生した反射光は、この多孔部材22Pにも照射される。このように、光洗浄装置の一部として機能する反射部材700を投影光学系PLの像面側に配置し、光洗浄効果を有する露光光ELを反射部材700を介して光学素子2の下面2Aや、多孔部材22Pを含むノズル部材70の下面70Aに照射することで、これら光学素子2やノズル部材70(多孔部材22P)を光洗浄することができる。また、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの親液性を維持することができる。
【0128】
なお、投影光学系PLの像面側に配置する光学部材700としては、照射された光(露光光EL)を反射する反射部材に限られず、照射された光を散乱する散乱面を有する散乱部材であってもよい。光学部材700として、散乱部材を用いることによって、散乱部材に照射された露光光ELは、散乱して光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに達するため、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の照射光を照射することができる。更には、光学部材700として、照射された光を回折する回折面を有する回折部材を用いてもよく、その場合においても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の照射光を照射することができる。
【0129】
なお、計測ステージPST2上に配置された光学部材(反射部材、回折部材、散乱部材)700に露光光ELを照射する場合、計測ステージPST2をXY方向に移動しながら、この光学部材700に露光光ELを照射するようにしてもよい。こうすることにより、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に照射光(露光光)を照射して良好に光洗浄することができる。
【0130】
また、ノズル部材70の下面70A(多孔部材22Pを含む)に、光触媒作用を有す材料701を被覆しておいてもよい。そのような材料としては酸化チタンが挙げられる。ノズル部材70の下面70Aに酸化チタン701を被覆した状態で、そのノズル部材70の下面70Aに、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の光を照射することで、有機物などの汚染物は光触媒反応によって酸化分解されるので、より効果的に光洗浄することができる。また、光触媒反応により、ノズル部材70の下面70Aの親液性が向上されるため、ノズル部材70Aの下に液浸領域AR2を良好に形成できるという効果も期待できる。
【0131】
また、図10に示すように、光洗浄中においては、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、投影光学系PLと光学部材700との間に、基板Pを液浸露光するときに用いる液体と同じ液体LQを満たした状態で、投影光学系PL及び液体LQを介して露光光ELを光学部材700に照射するようにしてもよい。光学部材700から発生した露光光ELと同一波長の光は、液浸領域AR2の液体LQを介して光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに照射される。液体供給機構10及び液体回収機構20を使って液体LQの供給及び回収を行いながら光洗浄することで、光洗浄したことによって光学素子2やノズル部材70から発生した異物を、液体LQとともに回収することができる。
【0132】
ところで、基板Pを液浸露光するときに用いる液体LQは、液浸領域AR2における気泡発生の防止等を目的として、投影光学系PLの像面側に供給される前に脱気処理されている。すなわち、液体供給機構10(液体供給部11)は、液体LQ中の溶存酸素(溶存気体)を低減するための脱気装置を備えており、投影光学系PLの像面側に供給する前の液体LQに対して脱気処理を行った後に、その脱気処理した液体LQを投影光学系PLの像面側に供給している。一方で、光洗浄は、光洗浄効果を有する光を照射することによって汚染物(有機物)を酸化分解する構成であるため、光洗浄するときにおいては、液体LQ中に所定濃度の酸素が存在(溶存)していることが望ましい。したがって、投影光学系PLと光学部材700との間に液体LQを満たした状態で、光学部材700に露光光ELを照射して、光学素子2やノズル部材70を光洗浄するときには、制御装置CONTは、投影光学系PLの像面側に供給する液体LQの酸素濃度を、基板Pを露光するときの液体LQの酸素濃度よりも多くするようにしてもよい。すなわち、光洗浄するときには、制御装置CONTは、例えば脱気処理を施さない液体LQを投影光学系PLの像面側に供給する。あるいは、投影光学系PLと光学部材700との間に液体LQを満たした状態で、光学部材700に露光光ELを照射して、光学素子2やノズル部材70を光洗浄するときには、制御装置CONTは、基板Pの露光に用いる液体(純水)とは別の、例えば過酸化水素水を、投影光学系PLの像面側に供給するようにしてもよい。
【0133】
なお本実施形態において、光学部材(反射部材、回折部材、散乱部材)700の設置位置としては、計測ステージPST2に限られず、例えば基板ステージPST1の上面のうち、基板Pが配置される以外の領域に配置してもよい。更には、基板ステージPST1及び計測ステージPST2とは別の、投影光学系PLの像面側に配置されている部材で支持するようにしてもよい。また、光学部材700を、基板ステージPSTや計測ステージPST2に脱着可能とすることもできる。あるいは、基板ステージPSTの基板ホルダに、反射面、回折面、及び散乱面のうち少なくともいずれか1つを有するダミー基板を配置し、そのダミー基板に露光光ELを照射するようにしてもよい。
【0134】
また、光学部材700からの光洗浄作用を有する光で、液浸領域AR2の近くに配置された基板アライメント系350の一部やフォーカス・レベリング検出系60の一部を光洗浄処理するようにしてもよい。こうすることによって、基板アライメント系350の一部やフォーカス・レベリング検出系60の一部に不純物や液滴が付着することによって生じる計測精度の劣化を防止することができる。
【0135】
なお、第7の実施形態においては、ノズル部材70の下面70Aを酸化チタン(二酸化チタン)などの光触媒作用を有する親液性(親水性)の材料で被膜しているが、ノズル部材70そのものを光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。
【0136】
また、光学素子2の下面2Aを光触媒作用を有する酸化チタンなどの材料で被膜して、光学部材700からの光により光洗浄を行ってもよい。このようにすることで、光学素子2の下面2Aの汚染をより確実に防止することができる。
【0137】
また、上述の第5の実施形態で説明した光洗浄装置80を用いる場合にも、ノズル部材70の下面70Aや光学素子2の下面2Aを酸化チタンなどの材料で被膜してもよい。
【0138】
また、基板ステージPST1の上面や計測ステージPST2の上面(光計測部の上面を含む)の少なくとも一部を、必要に応じて酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。この場合も、第1?第4の実施形態及び第6の実施形態のように、光洗浄装置80を用いることによって、基板ステージPSTや計測ステージPST2の上面の汚染を防止することができる。」
(e)「


(f)「


(g)「


(h)「


上記記載事項(c)の「第6の実施形態について図9を参照しながら説明する。上述した第1?第5の各実施形態においては、露光装置EXS(露光装置本体EX)は、1つの基板ステージPSTを備えた構成であるが、本発明の光洗浄装置80は、特開平11-135400号公報に開示されているような、2つのステージを備えた露光装置にも適用可能である。」(段落【0113】)との記載から、「光洗浄装置80」は、上記記載事項(b)及び(f)に記載されるような1つの「基板ステージPST」を備えた露光装置と、上記記載事項(c)(特に、段落【0114】)及び(g)に記載されるような2つの「基板ステージPST1」及び「基板ステージPST2」を備えた露光装置との両方の露光装置に適用可能であるのであるという技術事項が記載されていることは明らかである。また、上記記載事項(d)の「基板ステージPST1の上面や計測ステージPST2の上面(光計測部の上面を含む)の少なくとも一部を、必要に応じて酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。この場合も、第1?第4の実施形態及び第6の実施形態のように、光洗浄装置80を用いることによって、基板ステージPSTや計測ステージPST2の上面の汚染を防止することができる。」(段落【0138】)の記載から、「基板ステージPST1の上面や計測ステージPST2の上面(光計測部の上面を含む)の少なくとも一部」を酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料と「光洗浄装置80」により光洗浄を行うという技術事項が記載されていることは明らかである。
すると、これらの技術事項が記載された先願明細書には、上記記載事項(b)及び(f)に記載されるような1つの「基板ステージPST」を備えた露光装置においても、光洗浄を行うために、その「基板ステージPST」の光計測部上面を含む上面の少なくとも一部を酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成するという技術事項が記載されているに等しいと認められる。

したがって、先願明細書の記載事項から、先願明細書には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。

「マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した状態で移動可能であり、基板Pの外側の所定位置に照度ムラセンサ400、空間像計測センサ500、照射量センサ600のような光計測部が設けられた基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLとを備えた液浸露光装置において、
基板ステージPSTの光計測部上面を含む上面が酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成される、液浸露光装置。」

3.対比
(1)本件補正発明と先願発明との対比
(a)先願発明の「マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系IL」、「マスクM」、「基板Pの外側の所定位置に照度ムラセンサ400、空間像計測センサ500、照射量センサ600のような光計測部が設けられた基板ステージPST」、「露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PL」及び「液浸露光装置」が、それぞれ、本件補正発明の「放射ビームを供給するようになされた放射系」、「所望のパターンに従って前記放射ビームをパターン形成するようになされたパターン形成装置」、「基板を支持するようになされた基板テーブル」、「パターン形成された前記放射ビームを前記基板のターゲット箇所に投影するようになされた投影系」及び「浸漬式リソグラフィ露光装置」に相当する。
(b)本件補正発明の「前記基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部がコーティングで被覆され、該コーティングは、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含み、光誘起親水性を有し、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含み、かつ、約15?100nmの範囲の厚さを有する」において、「基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部がコーティングで被覆され」ることが、「基板テーブル」の表面が「コーティング」材料で形成されることであることは明らかであり、また、先願発明の「基板ステージPSTの光計測部上面を含む上面が酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成される」ことが、「基板ステージPSTの光計測部上面を含む上面」の表面が「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成される」ことは明らかである。
すると、先願発明の「基板ステージPSTの光計測部上面を含む上面が酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成される」ことと、本件補正発明の「前記基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部がコーティングで被覆され、該コーティングは、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含み、光誘起親水性を有し、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含み、かつ、約15?100nmの範囲の厚さを有する」こととは、「基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部の表面が、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含む材料で形成される」点で一致する。

(2)一致点
してみると、両者は、
「放射ビームを供給するようになされた放射系と、
所望のパターンに従って前記放射ビームをパターン形成するようになされたパターン形成装置と、
基板を支持するようになされた基板テーブルと、
パターン形成された前記放射ビームを前記基板のターゲット箇所に投影するようになされた投影系とを含み、前記基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部の表面が、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含む材料で形成される、浸漬式リソグラフィ露光装置。」
で一致し、次の各点で相違する。

(3)相違点
(イ)基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部の表面が、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含む材料で形成される構成について、本件補正発明では、基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部が「約15?100nmの範囲の厚さを有する」「コーティングで被覆され」るのに対して、先願発明では、基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部の表面が該材料で形成される点。

(ロ)基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部の表面を形成する材料について、本件補正発明では、「光誘起親水性を有し、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上をコーティングの全重量に対して少なくとも95重量%含」むものであるのに対して、先願発明では、「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料」である点。

4.判断
(1)上記相違点(イ)について検討する。
一般に、物の表面にある特定の性質を与えるための手段として、物の表面をその特定の性質を与える材料のコーティングで被覆すること、物自体をその特定の性質を与える材料で形成することは、いずれも普通に使用される周知の手段であって、適宜選択して使用するものである(先願明細書においても、上記記載事項(d)の段落【0135】に「ノズル部材70の下面70Aを酸化チタン(二酸化チタン)などの光触媒作用を有する親液性(親水性)の材料で被膜しているが、ノズル部材70そのものを光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。」との記載がある。)から、先願発明において、基板テーブル(自体)が該材料で形成される構成に換えて、基板テーブルがコーティングで被覆される構成を採用することは、周知技術の転換であって、新たな効果を奏するものではない。
また、一般に、コーティングの厚さは適宜設計し得るものであり、本件補正発明の「約15?100nm」という数値に格別な技術的意味も認められないから、該数値は単なる設計的事項にすぎない。
すると、上記相違点(イ)は実質的な相違点ではない。

(2)上記相違点(ロ)について検討する。
先願発明では、「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料」として、酸化チタンが例示されているが、光触媒作用を有する材料としては、特開2002-75839号公報(段落【0087】)、特開2001-109103号公報(【請求項3】、特開2000-311933号公報(段落【0038】)に示されるように、酸化チタンの他に、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSはいずれも周知の材料であるから、先願発明の「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料」として、周知のSrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSが含まれることは、当業者には自明である。そして、先願発明において、「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料」として、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのいずれかを採用したものは、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのいずれかを100重量%含むものであることは明らかである。
また、「光誘起親水性」については、本件補正発明においても、「コーティング」が「SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上」を含むことにより、「コーティング」に与えられる性質であるから、先願発明において、「酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料」として、SrTiO_(3)、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのいずれかを採用したものも当然に有する性質である。
すると、上記相違点(ロ)は実質的な相違点ではない。

(3)したがって、本件補正発明は先願発明と実質的に同一であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないので、本件補正発明は特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.小括
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年3月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年6月1日付けの手続補正により補正された、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「放射ビームを供給するようになされた放射系と、
所望のパターンに従って前記放射ビームをパターン形成するようになされたパターン形成装置と、
基板を支持するようになされた基板テーブルと、
パターン形成された前記放射ビームを前記基板のターゲット箇所に投影するようになされた投影系とを含み、前記基板テーブルの少なくともセンサーを含む一部がコーティングで被覆され、該コーティングは、金属酸化物、または光触媒、または半導体、またはそれらのいずれかの組合せを含み、光誘起親水性を有し、かつSrTiO_(3) 、Fe_(2)O_(3)、ZrO_(2)、WO_(3)、CdSのうち少なくとも一つ以上を含む浸漬式リソグラフィ露光装置。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の他の出願である、上記先願の先願明細書の記載内容及び先願発明は、上記「第2」「[理由]」「2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本件補正発明から、「コーティングの全重量に対して少なくとも95重量%」、「約15?100nmの範囲の厚さを有する」が削除されたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに限定したものに相当する本件補正発明が、上記「第2」「[理由]」「4.」に記載したとおり、先願発明と同一であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められないから、本願発明も、同様の理由により、先願発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は先願発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願の出願人と同一であるとも認められず、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-21 
結審通知日 2013-03-22 
審決日 2013-04-02 
出願番号 特願2006-3343(P2006-3343)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 161- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 海渡戸 正義  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 森林 克郎
北川 清伸
発明の名称 露光装置、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
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