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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65D
管理番号 1279068
審判番号 無効2009-800079  
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-04-15 
確定日 2013-09-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3306036号「記録媒体用ディスクの収納ケース」の特許無効審判事件についてされた平成22年9月17日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10318号,平成23年6月29日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 平成23年12月16日付け訂正請求書に添付した訂正明細書に記載のとおりの訂正を認める。 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る主な手続の経緯を整理して以下に示す。
平成11年12月20日 本件出願(特願平11-361506号,平成
11年3月4日にした特願平11-54560
3号(優先日:平成10年3月9日)の分割出願)
平成14年 5月10日 設定登録(特許第3306036号,請求項
の数9)
平成15年 1月17日 異議申立
平成15年 5月27日 取消理由通知
平成15年 8月 4日 訂正請求(請求項7及び請求項8の訂正と請
求項9の削除)
平成15年11月19日 異議決定(訂正を認め,請求項7及び8の特
許を取り消す;平成16年1月6日確定)
平成21年 4月15日 本件無効審判請求
(書類面の日付は平成21年4月14日)
平成21年 7月13日 答弁及び訂正請求(請求項1ないし6の訂正)
平成22年 1月15日 第1次審決(訂正を認めず,請求成立)
平成22年 5月11日 知的財産高等裁判所決定(特許法第181条
第2項の規定に基づく審決取消し(差戻し))
平成22年 6月10日 訂正請求(請求項1ないし5の訂正及び請求項 6の削除)
平成22年 9月17日 第2次審決(訂正を認め,請求不成立)
(請求項6の削除が確定)
平成23年 6月29日 知的財産高等裁判所判決(審決取消)
(平成22年(行ケ)第10318号)
平成23年12月16日 訂正請求(請求項1ないし4の訂正及び請求項 5の削除)
平成24年 1月23日 弁駁書
平成24年 2月24日 審尋
平成24年 3月27日 回答書(請求人)
平成24年 3月30日 回答書及び上申書(被請求人)

第2 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は,審判請求書において,「特許第3306036号の特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めており,審理の全趣旨から見て,請求人の主張は,概略次の(1)?(3)のとおりであると認める。

(1)被請求人が,平成23年12月16日付けで行った訂正請求(以下,「本件訂正請求」といい,本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)については争わない(平成24年1月23日付け弁駁書第8頁下から2?1行)。

(2)カバー体が180度開いて当接した後,さらに180度以上の回動を許容するという構成要件は,優先権主張の基礎出願の明細書又は図面に記載がなく,本件特許発明に優先権主張の効果は及ばない。

(3)本件訂正後の請求項1?4に係る発明は,下記証拠方法に示す,甲第1号証に記載された発明に,甲第2号証以降の甲各号証に開示された,本願出願日(平成11年3月4日)前に公知の技術又は周知技術を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

《証拠方法》
甲第1号証: 特開平8-90610号公報
甲第2号証: 特開平9-48185号公報
甲第3号証: 特開平11-373号公報
甲第4号証: 特開平10-215941号公報
甲第5号証: 実公昭57-39330号公報
甲第6号証: 実願平5-70732号(実開平7-40501号)
のCD-ROM
甲第7号証: 特開平9-131957号公報
甲第8号証: 特開平9-136476号公報
甲第9号証: 特開平9-262126号公報
甲第10号証:特開平10-42943号公報
甲第11号証:特開平10-57259号公報
甲第12号証:特開平10-94423号公報
甲第13号証:特開平9-20379号公報
甲第14号証:米国特許第5341924号明細書
甲第15号証:特開平11-35086号公報
甲第16号証:実願平4-3172号(実開平5-62485号)
のCD-ROM
甲第17号証:無効2004-80029号の平成18年5月12日付け
審決
甲第18号証:特開平10-338284号公報
甲第19号証:特開平8-48386号公報
甲第20号証:実願昭63-65164号(実開平1-170684
号)のマイクロフィルム
甲第21号証:米国特許5586651号明細書
甲第22号証:特許第3306036号公報(本件特許公報)
甲第23号証:異議2003-70114特許決定公報
(本件特許の異議決定)
甲第24号証:特願平10-57080号の願書及びその添付書類
甲第25号証:実開昭62-33588号公報
甲第26号証:特開平6-312781号公報
甲第27号証:特開平10-156858号公報
甲第28号証:実開昭62-78687号公報
甲第29号証:実開昭63-7689号公報
甲第30号証:登録実用新案第3001138号公報
甲第31号証:実公平7-9828号公報
甲第32号証:実願昭60-168704号(実開昭62-78690
号)のマイクロフィルム
甲第33号証:実願平4-55950号(実開平6-10190号)の
CD-ROM
甲第34号証:特開平7-33185号公報
甲第35号証:特開平5-112383号公報
甲第36号証:実願昭63-91909号(実開平2-15493号)の
マイクロフィルム
甲第37号証:特開平9-167459号公報
甲第38号証:特開平7-41068号公報
甲第39号証:特開平9-226873号公報
甲第40号証の1:実願平4-22129号(実開平5-82889号)
のCD-ROM
甲第40号証の2:実願平4-22129号の実用新案登録願,
明細書,図面,要約書及び職権訂正データ
甲第41号証:実願平4-22129号(甲第16号証に対応)の
出願経過情報,願書に添付した明細書及び図面
甲第42号証:特開平9-290886号公報
甲第43号証:中谷産業株式会社 インターネットホームページのハード
コピー(http://www.nakatanigroup.com/,他)
甲第44号証:不二プラスチック株式会社 インターネットホームページ
のハードコピー
(http://www.fujiplas.co.jp/products/index.html,他)
甲第45号証:不二精機株式会社 製品紹介パンフレット
甲第46号証:天馬株式会社 インターネットホームページのハード
コピー(http://www.tenmacorp.co.jp/,他)
甲第47号証:南部化成株式会社 インターネットホームページのハード
コピー(http://www.nanbu.co.jp/index.shtml,他)
甲第48号証:Bio.Kobe株式会社 インターネットホームページ
のハードコピー
(http://biokobe.nobody.jp/index.html,他)
甲第49号証:エフシーアールアンド バイオ株式会社 インターネット
ホームページのハードコピー
(http://www.labstuff.jp/index.html,他)
甲第50号証:審決取消訴訟判決(平成19年(行ケ)第10425号,
平成20年12月25日判決言渡)
甲第51号証:登録実用新案第3019648号公報
甲第52号証:実願平5-76603号(実開平7-39597号)の
CD-ROM
甲第53号証:特開平10-305891号公報
甲第54号証:米国特許第4750611号明細書
甲第55号証:米国特許第5135106号明細書
甲第56号証:無効2004-80029号の平成19年11月14日
付け審決

なお,審判請求書等に記載された証拠の表記と,添付された証拠の写しとが齟齬している場合,添付された証拠の写しが正しいものとして,証拠の表記を修正している。
甲第1号証ないし甲第17号証は,審判請求書とともに,
甲第18号証ないし甲第24号証は,平成21年9月18日付け(平成21年9月24日差出)弁駁書とともに,
甲第25号証ないし甲第40号証の2は,平成22年7月21日付け弁駁書とともに,
甲第41号証及び甲第42号証は,平成24年1月23日付け弁駁書とともに,
甲第43号証ないし甲第56号証は,平成24年3月27日付け回答書とともに,それぞれ提出されたものである。

2.被請求人の主張
被請求人は,答弁書において,「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めており,審理の全趣旨から見て,被請求人の主張は,概略次の(1)及び(2)のとおりであると認める。

(1)請求項1ないし請求項4の訂正及び請求項5の削除に係る訂正事項は,いずれも,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,発明の詳細な説明に係る訂正事項は,いずれも,明りょうでない記載の釈明である。これら訂正事項は,いずれも,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(2)本件訂正後の請求項1ないし請求項4に係る発明は,請求人が提示した甲各号証に記載された,本件出願前に公知の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではなく,独立して特許を受けることができるものである。

第3 訂正請求について
1.訂正の内容
(1)本件訂正は,平成15年11月19日付けの異議決定の確定に基づく特許第3306036号の明細書について,第2次審決(平成22年9月17日付け審決)の送達により,その請求項6の削除が確定した特許第3306036号の明細書(以下,「特許明細書」という。)を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり,以下の訂正事項を含む。なお,平成21年7月13日付けでなされた訂正請求,及び平成22年6月10日付けでなされた訂正請求のうち,上記のとおり既に確定した「請求項6の削除」以外の訂正請求は,特許法第134条の2第4項の規定に基づき,取り下げられたものとみなす。

(2)訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に
「中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し,
前記保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接していることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し,
前記保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え,このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は,上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁(43)が設けられ,この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」

(3)訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2に
「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接していることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え,このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は,上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁(43)が設けられ,この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」

(4)訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3に
「前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)のヒンジ結合端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片を介してヒンジ結合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の記録媒体用ディスクの収納ケース。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し,
前記保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え,このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は,上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁(43)が設けられ,この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ,前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」

(5)訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項4に
「前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部よりも外方へ突出するようになっていることを特徴とする請求項3記載の記録媒体用ディスクの収納ケース。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え,このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は,上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁(43)が設けられ,この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ,前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。」

(6)訂正事項e
請求項5を削除する訂正。

(7)訂正事項f
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】に「即ち,本発明の……いるものである。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「即ち,本発明の記録媒体用ディスクの収納ケースは,中央孔を有する記録媒体用ディスクの記録面側を覆うと共に,前記中央孔に係脱自在に嵌合する保持部を備えた保持板を有し,前記保持板には,ヒンジ部を介してカバー体が開閉自在に枢支されて,保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,前記保持板とカバー体とには,前記カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板とカバー体とは,保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており,前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており,
前記保持板は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され,
前記カバー体は上下端縁部に,前記保持板にカバー体を閉じた状態において,前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え,このヒンジ部寄りの端部の周壁は,上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は,保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁が設けられ,この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっているものである。」

(8)訂正事項g
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0006】に「また,他の収納ケースは,……いるものである。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「また,他の収納ケースは,保持板とカバー体とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスクの中央孔に嵌まる保持部が設けられ,これら保持板とカバー体とによって,記録媒体用ディスクの両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,前記保持板とカバー体とには,前記カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板とカバー体とは,保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており,前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており,
前記保持板は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され,
前記カバー体は上下端縁部に,前記保持板にカバー体を閉じた状態において,前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え,このヒンジ部寄りの端部の周壁は,上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は,保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁が設けられ,この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっているものである。」

(9)訂正事項h
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】に「このような構成……いるのが好ましい。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「このような構成を採用することにより,カバー体を開くとき,不慮の大きな力で操作しても,ケースが破損することがない。従来のケースは,180°開いた位置でストッパが設けられていたため,大きな力で開くと,破損し易かったが,本発明では,ケースの損傷が防止される。」

(10)訂正事項i
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0008】に「また,前記保持板……することができる。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「また,他の収納ケースは,中央孔を有する記録媒体用ディスクの記録面側を覆うと共に,前記中央孔に係脱自在に嵌合する保持部を備えた保持板を有し,前記保持板には,ヒンジ部を介してカバー体が開閉自在に枢支されて,保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,前記保持板とカバー体とには,前記カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板とカバー体とは,保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており,前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており,
前記保持板は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,前記上下ヒンジ部はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され,
前記カバー体は上下端縁部に,前記保持板にカバー体を閉じた状態において,前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え,このヒンジ部寄りの端部の周壁は,上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は,保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁が設けられ,この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,ヒンジ部寄りのカバー体の前記周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ,前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているものである。」

(11)訂正事項j
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】に「さらにまた,……収納ケースとすることができる。」
とあるのを次のとおりにする訂正。
「さらにまた,他の収納ケースは,保持板とカバー体とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスクの中央孔に嵌まる保持部が設けられ,これら保持板とカバー体とによって,記録媒体用ディスクの両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,前記保持板とカバー体とには,前記カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており,
前記保持板とカバー体とは,保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており,前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており,
前記保持板は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され,
前記カバー体は上下端縁部に,前記保持板にカバー体を閉じた状態において,前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され,上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え,このヒンジ部寄りの端部の周壁は,上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は,保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁が設けられ,この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっており,
前記保持板にカバー体を閉じた状態において,ヒンジ部寄りのカバー体の前記周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ,前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているものである。」

(12)訂正事項k
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0028】中に「周壁22内面」とあるのを「周壁22外面」とする訂正。

(13)訂正事項m
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0031】中に「保持板3」とあるのを「保持板2」とする訂正。

(14)訂正事項n
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0032】中に「係止爪47」とあるのを「係止爪46」とする訂正。

(15)訂正事項p
特許明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0040】中に「該拡大部13の端部」とあるのを「該拡大部12の端部」とする訂正。

(16)訂正事項q
特許明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0040】中に「内周部に押動部15」とあるのを「内周部に押動部14」とする訂正。

2.訂正の適否についての検討
2-1.以下において,訂正前の請求項1ないし請求項5に係る発明を「特許発明1」ないし「特許発明5」といい,訂正後の請求項1ないし請求項4に係る発明を「訂正発明1」ないし「訂正発明4」という。また,特許明細書及びこれに添付した図面を「特許明細書等」という。

2-2.目的要件
(1)訂正事項aないし訂正事項eについて
ア.訂正事項aは,訂正前の請求項1に
「前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され,この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており,
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え,このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は,上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており,
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁(43)が設けられ,この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっている」
との発明特定事項(以下「発明特定事項A」という。)を追加することにより,特許発明1の構成に限定を付すものである。

イ.訂正事項bは,訂正前の請求項2に発明特定事項Aを追加することにより,特許発明2の構成に限定を付すものである。

ウ.訂正事項cは,訂正前の請求項3に「請求項1又は2記載の記録媒体用ディスクの収納ケース」と,訂正前の請求項1又は2を引用する形式で発明特定事項を記載していたところ,引用形式に替えて,訂正前の請求項1の発明特定事項である
「中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し,
前記保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接して」
を書き下すことにより,独立形式の記載に変えると共に,構成を限定し(訂正前の請求項2を引用する発明特定事項を削除し),
かつ,訂正前の請求項3に記載された発明特定事項である
「前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)のヒンジ結合端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片を介してヒンジ結合されている」
を発明特定事項Aに限定し,さらに,
「前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ,前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされている」との発明特定事項(以下「発明特定事項B」という。)を追加することにより,特許発明3の構成に限定を付すものである。

エ.訂正事項dは,訂正前の請求項4に「請求項3記載の記録媒体用ディスクの収納ケース。」と,訂正前の請求項3を引用する形式で発明特定事項を記載していたところ,引用形式に替えて,訂正前の請求項3がさらに引用する訂正前の請求項2の発明特定事項である
「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,
前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,
前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接して」
を書き下すことにより,独立形式の記載に変えると共に,構成を限定し(訂正前の請求項3がさらに引用する訂正前の請求項1を引用する発明特定事項を削除し),かつ,訂正前の請求項3に記載された発明特定事項である
「前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は,保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部よりも外方へ突出するようになっている」
を発明特定事項Aに限定し,さらに,発明特定事項Bを追加することにより,特許発明3の構成に限定を付すものである。

オ.以上のことから,訂正事項aないし訂正事項dは,特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。

カ.訂正事項eは,請求項5の削除であるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかである。

(2)訂正事項fないし訂正事項jについて
訂正事項fないし訂正事項jは,特許請求の範囲の訂正に伴い,発明の詳細な説明中の対応する箇所を整合させるものであり,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(3)訂正事項kないし訂正事項qについて
訂正事項kないし訂正事項qは,誤記の訂正を目的とするものである。

2-3.新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正前後の明細書の記載から見て,訂正事項aないしqは,特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3.訂正の許否の結論
以上のとおりであって,本件訂正は,特許法第134条の2第1項だたし書き第1号,第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし,かつ同条第5項で準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するから,本件訂正を認めることとする。

第4 無効理由(進歩性欠如)についての当審の判断
1.優先権主張について
本件特許に係る出願は,特願平11-545603号を原出願とする分割出願であり,原出願において,平成10年3月9日にされた特願平10-57080号を基礎とする優先権を主張するものであるが,甲第24号証によれば,特願平10-57080号の願書に最初に添付された明細書または図面には,本件訂正後の請求項1ないし請求項4で特定されている「ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され,前記保持板(2)とカバー体(3)とには,前記カバー体(3)を180°開いた状態において,前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ,前記当接部(45)は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており」との事項について記載されていないから,訂正発明1ないし訂正発明4について進歩性の有無を判断するに際して,優先権主張の効果を認めることはできない。

2.甲第1号証に記載された事項及び甲1発明
(1)甲第1号証に記載された事項
請求人が甲第1号証として提出した,本願の出願日よりも前に頒布された刊行物である,特開平8-90610号公報には,図面とともに次の事項が記載されている。
a)「【0011】
【実施例】以下,本発明の一実施例について,図1から図6を参照しながら説明する。まず,ケース部材が用いられるCD収納ケースの構成を図5に基づいて説明する。このCD収納ケースは,本体側ケース部材31と蓋側ケース部材32を互いに回動開閉自在に枢着してなるものであり,トレーのないスリムタイプである。両ケース部材31,32は,いずれも透明な熱可塑性樹脂の一体成形品である。」
b)「【0012】本体側ケース部材31は,平らなほぼ正方形状の主面部33の内面の左右両側縁部および前側縁部に,それぞれ低い側面部34および前面部35が垂直に突出形成されている。また,主面部33の後縁両端部からそれぞれ後方へ突出させてアーム部36が形成されているとともに,これらアーム部36からさらに後方へ突出する突片部37が前記側面部34を延長する形で形成されており,これら側面部34の外面にそれぞれ支軸部38が突出形成されている。……さらに,前記主面部33の内面には,内側にCD収納部を形成する円弧状凸条45が4隅部に形成されているとともに,CDの中央孔に着脱自在に嵌合するCD保持部46が中央部に形成されている。」
c)「【0013】蓋側ケース部材32は,平らなほぼ長方形状の主面部51の左右両側縁からそれぞれ側面部52が垂直に屈曲している。また,主面部51の後縁から側面部52と同方向へ垂直に屈曲した後面部53があり,さらに,この後面部53の先端縁から主面部51と対向する対面部54が垂直に屈曲している。こうして,主面部51と対面部54との間に,前方へ開口したポケット部55が形成されている。また,このポケット部55と前記両側面部52との間にそれぞれ位置して主面部51にはスリット部56が形成されており,これにより,両側面部52の後端側は,これら側面部52が延長する形で後方へ突出した突片部57となっている。さらに,これら突片部57には,主面部51と反対側に突出した凸部58が形成されているとともに,軸受孔59が貫通形成されている。」
d)「【0014】そして,本体側ケース部材31の両支軸部38が蓋側ケース部材32の軸受孔59にそれぞれ嵌合されて,両ケース部材31,32が互いに枢着されている。」
e)図5を参照すると,蓋側ケース部材32を閉じたとき,その側面部52が本体側ケース部材31の側面部34の外側に位置することが明らかである。

(2)甲1発明
以上のことを総合すると,甲第1号証には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「本体側ケース部材31と蓋側ケース部材32を互いに回動開閉自在に枢着してなるCD収納ケースであって,本体側ケース部材31は,主面部33の左右両側縁部および前側縁部にそれぞれ側面部34および前面部35が垂直に突出形成され,主面部33の後縁両端部には側面部34を延長する形で突片部37が形成されてその外面に支軸部38が突出形成され,主面部33の内面中央部にはCDの中央孔に着脱自在に嵌合するCD保持部46が形成される一方,蓋側ケース部材32は,主面部51の左右両側縁から側面部52が垂直に屈曲し,主面部51の後縁から順次屈曲して後面部53と対面部54が設けられて主面部51と対面部54との間に前方へ開口したポケット部55が形成され,ポケット部55と両側面部52との間に位置して主面部51にスリット部56が形成されて両側面部52の後端側が突片部57となっており,突片部57に貫通形成された軸受孔59に支軸部38が嵌合され,蓋側ケース部材32を閉じたとき,蓋側ケース部材32の両側面部52が本体側ケース部材31の両側面部34の外側に位置するCD収納ケース。」

(3)請求人の主張
請求人は,平成24年3月27日付け回答書(以下「請求人回答書」という。)の4頁2?4行において,「甲第1号証の【図5】には,保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる周壁を,低いながらも具備している構成が明示的に示されている。」と主張している。
請求人が主張する「保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる周壁」とは,本審決末尾に添付した参考図1(甲第1号証の【図5】の一部を抜粋し,点線の楕円と,符号A,B等を付した図)において,符号Aを付した楕円内にその一部が示されている構成(以下「構成A」という。)を指していると認められる。
図5の記載では,構成Aが「ケース厚み方向に立ち上がる」ものかどうか不明であり,仮に「ケース厚み方向に立ち上がる」ものであったとしても,その高さはごく低いと認められる。
「壁」とは,「(1)家の四方を囲い,または室と室の隔てとするもの。」(広辞苑第六版)という意味である。そして,記録媒体用ケースの収納ケースの周壁は,その保持板やカバー体などと共に,収納された記録媒体の周囲を囲って,外部からのゴミ等の進入を防止する目的や機能を有しているものであり,例えば,本願明細書段落【0032】にも「然して,前記連通孔47から進入するゴミは周壁22によってその進入が防止されている。」と記載されている。甲第1号証の構成Aは,仮に,「ケース厚み方向に立ち上がる」ものであったとしても,その高さがごく低いと認められるから,「四方を囲い,または室と室の隔てとするもの」である「壁」であるとはいえないし,外部からのゴミ等の進入を防止する目的や機能を有しているものでもない。甲第1号証の構成Aは,その形状等から見て,せいぜい,「リブ」とか「突条」などと称すべき構成である。例えば,甲第15号証では,天板9に設けた,後板11より高さが低い構成を「リブ14」と呼んでいる(本審決末尾に添付した参考図2(甲第15号証の【図1】)を参照。))。
また,甲第1号証の段落【0012】に「本体側ケース部材31は,平らなほぼ正方形状の主面部33の内面の左右両側縁部および前側縁部に,それぞれ低い側面部34および前面部35が垂直に突出形成されている。」と説明されているにもかかわらず,構成Aについては,全く説明がなされておらず,「側面部34」や「前面部35」と同等又は類似の構成とは認識されていないといえることからも,構成Aが「壁」ではないことが裏付けられる。
「甲第1号証の【図5】には,保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる周壁を,低いながらも具備している構成が明示的に示されている。」との請求人の主張は,通常の技術常識とは異なる,請求人独自の見解と認められるから,当該請求人の主張は,採用しない。

3.訂正発明1の無効理由(進歩性欠如)について
(1)訂正発明1と甲1発明との対比
訂正発明1と甲1発明とを対比すると,
甲1発明の「本体側ケース部材31」は,訂正発明1の「保持板(2)」に相当し,同様に,
「蓋側ケース部材32」は,「カバー体(3)」に,
「CD」は,「記録媒体用ディスク(100)」に,
「CD収納ケース」は,「記録媒体用ディスクの収納ケース」に,
「側面部34」は,「保持板(2)」に「形成され」る「上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)」に,
「本体側ケース部材31」の「主面部33の後縁」は,「保持板(2)」の「ヒンジ結合側端縁部」に,
「突片部37」は,「保持板(2)」の「ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片」に,
「支軸部38」は,「上下ヒンジ片」「に突出成形されたヒンジ軸(31)」に,
「突片部37」と「支軸部38」を合わせたものは,「保持板(2)」の「上下ヒンジ部(2a)」に,
「CDの中央孔」は,「中央孔(101)」に,
「CD保持部46」は,「保持部(5)」に,
「側面部52」は,「カバー体(3)」の「上下端縁部」に「形成され」る「ケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)」に,
「蓋側ケース部材32」の「主面部51の後縁」は,「カバー体(3)」の「ヒンジ結合端縁部」に,
「突片部57」は,「カバー体(3)」の「上下ヒンジ部(3a)」に,
「軸受孔59」は,「ヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部」に
それぞれ相当する。
また,甲1発明は,本体側ケース部材31の主面部33の後縁と蓋側ケース部材32の主面部51の後縁とが,突片部37と突片部57を介してヒンジ結合されるものであり,このヒンジ結合によって蓋側ケース部材32が本体側ケース部材31に開閉自在に枢支されていることは明らかであるから,訂正発明1における「保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し」との要件を満たす。
甲1発明は,CDの記録面側が本体側ケース部材31に対面するようにしてCDをCD保持部46に係脱自在に装着できるものであることは明らかであるから,訂正発明1における,「記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し」との要件を満たす。
さらに,甲1発明は,蓋側ケース部材32を閉じたとき,蓋側ケース部材32の両側面部52が本体側ケース部材31の両側面部34の外側に位置するものであるから,訂正発明1における,「保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され」との要件を満たす。

(2)訂正発明1と甲1発明との一致点
ア.したがって,訂正発明1と甲1発明とは,訂正発明1の表記に倣えば
「中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に,前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し,
前記保持板(2)には,ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され,前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)の前記ヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されている記録媒体用ディスクの収納ケース。」
である点で一致する。

イ.なお,前記2.(3)で詳述したとおり,甲第1号証には,保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる周壁は記載されていないと認定した。仮に,請求人の主張どおり,甲第1号証に,保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる低い周壁が開示されていると認定した場合には,上記「訂正発明1と甲1発明との一致点」の末尾が,
「……軸受部が形成されている記録媒体用ディスクの収納ケース。」から,「……軸受部が形成されており,前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備えている記録媒体用ディスクの収納ケース。」
に変わるだけであって,後記する「訂正発明1と甲1発明との相違点」については,何ら変更が生じない。
したがって,仮に,甲第1号証に,保持板のヒンジ部寄りの端部に,ケース厚み方向に立ち上がる低い周壁が開示されていると認定した場合でも,訂正発明1についての無効理由(進歩性欠如)に関する当審の判断及び本審決の結論に影響を及ぼすことはない。これは,訂正発明2ないし4についても同様である。

(3)訂正発明1と甲1発明との相違点
そして,訂正発明1と甲1発明とは,次の相違点1ないし相違点4で相違する。
《相違点1》
訂正発明1は,ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,保持板とカバー体とには,カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており,前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられているのに対して,甲1発明は,そのような構成になっていない点。

《相違点2》
訂正発明1は,ヒンジ軸が,保持板の上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されると共に,カバー体の上下ヒンジ部に,保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成されるのに対して,甲1発明の支持軸は,本体側ケース部材の突片部の外面に突出形成されるものであり,かつ,蓋側ケース部材の突片部に凹部が形成されていない点。

《相違点3》
訂正発明1は,保持板のヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え,このヒンジ部寄りの端部の周壁は,上下端縁部の周壁と連続しかつヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられているのに対し,甲1発明では,そのような構成になっていない点。

《相違点4》
訂正発明1は,保持板にカバー体を閉じた状態において,カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は,保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており,この突出部分に周壁が設けられ,この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっているのに対し,甲1発明では,そのような構成になっていない点。

(4)訂正発明1と甲1発明との相違点についての判断
ア.相違点2について
相違点2は,本件無効審判に係る第2次審決(平成22年9月17日付け審決)を取り消した平成22年(行ケ)第10318号判決(以下,「取消判決」という。)によって,容易想到であると判示された相違点と同様の相違点である。行政事件訴訟法第33条第1項の規定により,第2次審決を取り消した取消判決は,当審を拘束するところ,相違点2と同様の相違点が容易想到であるとの事項は,取消判決の結論に至る,裁判所の主要な判断事項となっている。そうすると,当審は,裁判所の判断に従うべきであるので,当審は,相違点2は,容易想到であると判断する。

イ.相違点1について
イ-1.容易想到性についての検討
(ア)上記取消判決には,相違点1,相違点3及び相違点4についての判断は示されていないから,これら相違点については,当審の判断が拘束される事情は存在しない。

(イ)カバー体を略180°開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられた記録媒体用ディスクの収納ケースは,甲第13号証,甲第15号証,甲第18号証,甲第28号証,甲第31号証,甲第32号証,甲第53号証に示されているが,これらは,いずれも,開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。
また,甲第14号証,甲第30号証,甲第54号証,甲第55号証には,カバー体をおおよそ110°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられた記録媒体用ディスク等の収納ケースが示されているが,いずれも,開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。(なお,ここでいう「おおよそ110°程度」とは,垂直(90°)と水平(180°)の中間である135°よりは,垂直に近い角度であるという程の意味であり,後に示す「おおよそ120°程度」についても同様である。また,後に示す「おおよそ160°程度」とは,垂直と水平の中間である135°よりは,水平に近い角度であるという程の意味である。)

(ウ)甲第3号証には,蓋をおおよそ120°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えて,さらに相対回動を許容し,おおよそ160°程度開いた状態まで開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられた美容器具が示されている。しかし,甲第3号証に開示されたものは,おおよそ160°程度開いた状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。
甲第4号証には,蓋をおおよそ110°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えて,さらに相対回動を許容するヘアカーラー用収納ケースが示されているが,図面から見ておおよそ180°程度までしか開くことができないものであり,それ以上開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じるものといえる。
甲第7ないし10号証には,蓋をおおよそ90°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えて,さらに相対回動を許容し,おおよそ180°程度まで開くことができるスタンプ台,化粧料容器又はコンパクト容器が示されているが,おおよそ180°程度開いた状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。
そして,甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証以外の甲号証で,本件出願前に公知であるものには,カバー体をある程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えてさらに相対回動を許容する構成は記載も示唆もされていない。

(エ)甲1発明と,甲第13号証,甲第15号証,甲第18号証,甲第28号証,甲第31号証,甲第32号証に記載の発明とは,技術分野が一致又は類似しているので,これら甲号証に記載された技術を甲1発明に適用する動機付けはあるといえる。しかしながら,これら甲号証に記載された技術を甲1発明に適用して得られる構成は,カバー体を略180°開いた状態において当該開き状態を維持するものの,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。
甲第14号証,甲第30号証,及び甲第53号証ないし甲第55号証に記載の発明も,甲1発明と技術分野が一致又は類似しているので,これら甲号証に記載された技術を甲1発明に適用する動機付けはあるといえる。しかしながら,これら甲号証に記載された技術を甲1発明に適用して得られる構成は,カバー体をおおよそ110°程度開いた状態において当該開き状態を維持するものの,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないものである。
したがって,甲1発明に,甲第13,15,18,28,31,32,14,30,53,54,又は55号証に記載された技術を適用しても,相違点1に係る訂正発明1の構成を得ることはできない。

(オ)甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術は,上記のとおり,美容器具,ヘアカーラー用収納ケース,スタンプ台,化粧料容器又はコンパクト容器であり,記録媒体用ディスクの収納ケースとは,技術分野が異なり,また,内在する課題が異なるので,これら甲号証に記載された技術事項を,甲1発明に適用する動機付けがあるとはいえない。

(カ)容易想到性の判断の過程においては,事後分析的な思考方法,主観的な思考方法及び論理的でない思考方法が排除されなければならないものであり,そのためには,特許発明が目的とする「課題」の把握に当たって,その中に無意識的に「解決手段」ないし「解決結果」の要素が入り込むことがないよう留意することが必要となる。さらに,特許発明が容易想到であると判断するためには,主たる引用発明,従たる引用発明,技術常識ないし周知技術の各内容の検討に当たっても,特許発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,特許発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在することが必要である(例えば,平成20年(行ケ)第10153号判決(平成21年3月25日判決言渡)の第32頁を参照)。
そして,甲1発明,甲第13,15,18,28,31,32,14,30,53,54,又は55号証に記載された技術,さらには,甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術について検討しても,本件訂正発明1の特徴点である「カバー体を180°開いた状態において,当該開き状態を維持し,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容する」という構成に到達するためにしたはずであるという示唆等は,存在しない。そうすると,前記平成20年(行ケ)第10153号判決等の説示によれば,甲1発明,甲第13,15,18,28,31,32,14,30,53,54,又は55号証に記載された技術,さらには,甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術に基づいて,本件訂正発明1を容易に想到し得たということはできないものである。

(キ)なお,仮に,甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術と,甲1発明とは,本体と蓋とをヒンジ結合したもの,という相当広い意味での上位概念においては一致するので,これら甲号証に記載された技術事項を,甲1発明に適用する動機付けがあると仮定しても,これら甲号証に記載された技術事項を甲1発明に適用して得られる構成は,甲第14号証や甲第30号証に示されているように,カバー体をおおよそ90°ないし110°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えて,さらに相対回動を許容し,おおよそ180°程度開いた状態まで開くことができる構成が得られるに止まる。カバー体を180°開いた状態において,当該開き状態を維持する当接部が設けられ,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するという,相違点1に係る訂正発明1の構成が得られることはない。

(ク)また,訂正発明1は,カバー体を180°開いた状態において,当該開き状態を維持し,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容する作用を実現するための構成として,次のa?cの構成を有している。
a「ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され」
b「カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ」
c「前記開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接している」
一方,本件出願前に公知である甲各号証には,記録媒体用ディスク等の収納ケースに「ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され」る構成(上記構成a)は,記載も示唆もされていないし,同様に上記構成b及びcも記載も示唆もされていない。
甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術においても,蓋がある程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部として,ヒンジ結合端縁部側に突出して形成した側面リブと,蓋の端縁部とが互いに当接して当該開き状態を維持する当接部とすることは,記載も示唆もされていない。
したがって,上記構成a?cの観点から見ても,甲1発明に,本件出願前に公知である甲各号証に記載された技術的事項を適用することにより,相違点1に係る訂正発明1の構成を得ることはできない。

(ケ)以上のことを踏まえれば,本件出願前に公知である甲各号証に記載された事項のすべてを総合しても,相違点1が容易想到であるということはできない。

イ-2.請求人の主張について
(ア)請求人は,相違点1は,プラスチック成形品である蓋付き容器体に共通する,ごく一般的な構成でしかないと主張する(請求人回答書8頁下から2行?9頁2行)。しかし,請求人は,甲第1号証ないし甲第56号証と大量の証拠を提出しているにもかかわらず,本件特許公報である甲第22号証等,本件特許発明を記載した甲号証を除く甲各号証には,相違点1に係る訂正発明1の構成は,記載も示唆もされていない。請求人がこれまでに提出した甲各号証には,請求人の主張を裏付ける事実は存在しない。
請求人は,甲第7号証ないし甲第10号証には,相違点1にかかる客観的な構成が明確に開示されていると主張する(請求人回答書9頁下から7?6行)。しかし,上記イ-1(ウ)で指摘したとおり,甲第7号証ないし甲第10号証に開示されているものは,「蓋をおおよそ90°程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部が設けられ,この開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えて,さらに相対回動を許容し,おおよそ180°程度まで開くことができるスタンプ台,化粧料容器又はコンパクト容器であって,おおよそ180°程度開いた状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに当接状態を乗り越えることはできないもの」であり,相違点1に係る訂正発明1の構成である「ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され,保持板とカバー体とには,カバー体を180°開いた状態において,前記側面リブとカバー体の端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ,前記当接部は,前記開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接している」とは異なる。この点は,平成24年2月24日付け審尋の4の「《相違点1》について」の(2)でも指摘している事項である。甲第7号証ないし甲第10号証に,相違点1にかかる構成が開示されているという,請求人の上記主張は,事実に反する主張である。
相違点1は,プラスチック成形品である蓋付き容器体に共通する,ごく一般的な構成でしかないという,請求人の上記主張は,甲第7号証ないし甲第10号証についての事実に反する主張に基づいた請求人独自の見解,又は,事実に基づかない請求人独自の見解であるから,採用することができない。

(イ)請求人は,蓋が開いた当接状態で蓋に過大な外力が加わった際にケースが破損することを防止するという課題は,プラスチック成形品である蓋付容器体に共通した,ごく一般的な課題でしかないと主張する(請求人回答書9頁3?27行)。しかし,そのような課題が記載された甲号証は,甲第3号証及び甲第4号証のみであり,しかも,これらは,「美容器具」と「ヘアカーラー用収納ケース」であり,訂正発明1の「記録媒体用ディスクの収納ケース」とは,その用途や大きさ,形状が全く異なるものである。
請求人は,第7号証ないし甲第10号証に記載された構成について「当業者であれば,同構成が,開き状態において作用する過大な外力に対しヒンジ部の破損を防止するという課題に対する解決手段となることなど,その構成を一見すれば,容易に理解することが可能である。」と主張する(請求人回答書9頁下から7?3行)。
しかし,第7号証ないし甲第10号証の発明の課題は,「従来のスタンプ台は,蓋体がケース本体に対し略180°開くようになっているので,蓋体を開いた状態ではケース本体と蓋体の両方が机上の広い面積を占有してしまうという問題があった。また,蓋体がケース本体に対して略180°も開くと,片手で蓋体を閉じることが困難であるという不便もあった。……そこで本発明は,蓋体を任意の角度まで起立させた状態で係止可能として,蓋体による机上の占有を回避するとともに,蓋体を片手で閉じることも可能とする斬新なスタンプ台の提供を目的とする。」(甲第7号証段落【0002】?【0003】),「スタンプ台は一般的にインキパッドをケース本体に備えていて,そのインキパッドの乾燥を防止するために蓋体をケース本体に対しヒンジを介して回動自在に取付けている。そして,その蓋体を自動的に開かせるために,蓋体のヒンジに捩りコイルばねを装着したものが存在する。……このような捩りコイルばねは,そのコイル部に芯棒を挿通することによって取付けられており,部品点数が増えること,芯棒の組み付けが面倒なこと等によってコスト高になる問題があった。……そこで本発明は,スタンプ台の蓋体を自動的に開かせるための捩りコイルばねを,芯棒を用いることなく簡単に装着可能として,部品点数を減らし,かつ,組み付けを容易にしてコストを低減することを目的とする。」(甲第8号証段落【0002】?【0004】),「化粧料容器の製造工程において,その容器本体の上面に形成された化粧料収容凹部に液状口紅等の化粧料を充填する工程では,所定速度で移動するコンベア上に複数の容器本体を所定間隔置きに載置し,所定位置に昇降可能に設けられた充填用ノズルから上記化粧料収容凹部に化粧料を充填することが行われている。また,この充填工程は,容器本体に蓋体を取付けた(容器本体の後端部に蓋体の後端部を回動自在に取付けた)状態で行われることがよくある。……しかしながら,上記のように蓋体22を限度一杯まで開蓋した状態にすると,蓋22の後端部22aが容器本体21の後端部21bの下側に入り込み,容器本体21が前下り状に傾斜する。このため,化粧料収容凹部21aの前壁上端縁が後壁上端縁より低くなり,化粧料24を化粧料収容凹部21aに充填しても,化粧料24が所定量になるまでに化粧料収容凹部21aの前壁上端縁から溢れ出てしまい,充分な充填量を確保することができない。……しかも,化粧料容器の前後幅が容器本体21の前後幅の2倍近くになり,コンベア25上に載置できる化粧料容器の個数が略半分になるという問題もある。……本発明は,このような事情に鑑みなされたもので,蓋体を開回動させて略垂直姿勢にするとこの位置で開回動を止めることのできる化粧料容器の提供をその目的とする。」(甲第9号証段落【0002】?【0004】),「従来のコンパクト容器は,蓋体31下面の鏡32と,ヒンジ連結用の金属製ピン40とを外すことができないため,使用しなくなったコンパクト容器を廃棄する際,ガラス廃棄物である鏡32と,金属廃棄物である金属製ピン40と,合成樹脂廃棄物である容器本体30および蓋体31とを分離することができず,ごみの分別収集に供することができないという問題がある。……このため,ヒンジ連結部の金属製ピン40については,これを合成樹脂製のピンに置き換えることが提案されている。また,コンパクト容器から鏡32のみを簡単に取り外すことのできる構造にすることが強く望まれている。……本発明は,このような事情に鑑みなされたもので,ヒンジ連結部に合成樹脂製の連結ピンが用いられ,しかもコンパクト容器から鏡のみを簡単に取り外すことができる,使い勝手のよいコンパクト容器の提供をその目的とする。」(甲第10号証段落【0004】?【0006】)であり,「開き状態において作用する過大な外力に対しヒンジ部の破損を防止するという課題」は,第7号証ないし甲第10号証に記載されていない。
甲第3号証又は甲第4号証に記載された「このように第1乃至第3のストッパー25,26,28で3段階に止めることができる,蓋6に不意に大きな荷重が加わった時に蓋6のヒンジ部が破損するのを防止できる。」(甲第3号証段落【0018】),「蓋3が規定角度以上に無理開きされた際には,成形品から成る蓋凸部20が外側に撓むことによって,蓋凸部20の下端20aがストッパー21を乗り越えて蓋3がそれ以上の角度(全開角度)まで回動可能となるので,成形品から成るケース1の割れやクラックの発生を防止できるようになる。」(甲第4号証段落【0020】)という記載事項を理解した上で,第7号証ないし甲第10号証の「蓋体9を開いて後方へ略90°回転させて起立させると(図3及び図4参照),上記の突部12が制止片7に当接して係止し,蓋体9はケース本体1に対し起立状態で停止する。蓋体9を後方へ更に押して回転させると,突部12が制止片7を内側へ撓ませることにより乗り越えることができ,蓋体9はケース本体1に対し略180°回転して全開する(図5及び図6参照)ことが可能となる。」(甲第7号証段落【0009】)などの記載を見ることにより,第7号証ないし甲第10号証に記載された構成が,「開き状態において作用する過大な外力に対しヒンジ部の破損を防止するという課題」を解決する手段として機能することが理解できるというに過ぎない。
第7号証ないし甲第10号証に記載された構成について,「当業者であれば,同構成が,開き状態において作用する過大な外力に対しヒンジ部の破損を防止するという課題に対する解決手段となること」を「理解する」のは,甲第3号証又は甲第4号証に記載された上記事項を理解した後に可能になることであるから,上記イ-1.(カ)で例示した平成20年(行ケ)第10153号判決がいう「事後分析的な思考方法」,いわゆる後知恵である。
上記のとおりであって,請求人がこれまでに提出した甲各号証には,「蓋が開いた当接状態で蓋に過大な外力が加わった際にケースが破損することを防止するという課題は,プラスチック成形品である蓋付容器体に共通した,ごく一般的な課題でしかない」という,請求人の上記主張を裏付ける事実は存在しない。請求人の上記主張は,客観的根拠に基づかない,請求人独自の見解であるから,採用することができない。

(ウ)請求人は,また,光ディスクを収納するディスクケースに関する発明について記載された甲第15号証の段落【0084】の「蓋体を180°以上に開こうとする力が作用した場合,前記板片部分にその応力が集中し,容易に破損してしまうという欠点があった。」という記載を引用して,蓋が開いた当接状態で蓋に過大な外力が加わった際にケースが破損することを防止するという課題は,ディスク収納ケースについても,本件特許出願前から当業者において認識されていたものである旨主張している(請求人回答書9頁下から2行?10頁9行)。
確かに,甲第15号証段落【0084】には,「蓋体を180°以上に開こうとする力が作用した場合,前記板片部分にその応力が集中し,容易に破損してしまうという欠点があった。」と,甲第15号証の従来技術についての欠点が記載されている。しかし,甲第15号証段落【0084】には,この記載に引き続いて「これに対し,本実施例のディスクケース1では,ケース本体2と蓋体8の後板5R,11同士が当接してそれらの最大開き角度を規制するため,その規制角度が正確であり,また,ヒンジ構造部7の破損も生じ難い。」と記載されている。甲第15号証に開示された技術的事項は,蓋体を最大開き角度である180°以上に開こうとする力が作用した場合でも,破損が生じ難くして,その最大開き角度を維持できるようにする構造であるから,課題を解決するための技術的思想及び解決手段が異なり,「カバー体を180°開いた状態において」「開き方向の外力が作用したとき」「カバー体と保持板との相対回動を許容する」という,相違点1に係る訂正発明1の構成の採用を阻害する技術的事項である。したがって,甲第15号証に開示された事項は,上記イ-1で示した,相違点1が容易想到でないという判断が正しいことを立証又は補強する事項といえる。

(エ)請求人は,甲第50号証(平成19年(行ケ)第10425号判決)は,「カバー体のヒンジ結合側端縁部が保持板のヒンジ結合側端縁部と当接可能となる構成につき,技術分野を『蓋付きのケース』と認定して,周知技術性・容易想到性が認められる旨判断している(13頁17行目乃至14頁12行(審決注:最高裁判所ホームページから取得できる同判決のPDFデータでは13頁13行ないし14頁8行))。『蓋付きのケース』が技術分野であると認定した上記審決取消訴訟判決の判断は,原出願を同じくする本件特許発明についても,当然に妥当するものである。」と主張する(請求人回答書11頁4?15行)。
しかし,同判決では,「甲21,22(審決注:実公昭57-39330号公報(本件審判の甲第5号証)及び特開平9-131957号公報(本件審判の甲第7号証))には,蓋付きのケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部に当接する構造が記載されている。そして,このような構造は,仕組みが比較的単純であり,その内容に照らして,本件優先日の当時,当業者において広く認識されていたものと推認される。したがって,一般に蓋付きのケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部に当接する構造は,本件優先日の当時,周知であったものと認められる。……本件審決が,一般に蓋付きのケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部に当接する構造となっているのは,容器の分野において周知の構造であると認定したことに誤りはなく,また,本件特許発明のようなCDのケースにおいてもこのような構造とすることに何ら困難性は認められないと判断したことに誤りはないものと認められる。」としており,「蓋付きのケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部に当接する構造」について「このような構造は,仕組みが比較的単純であり……したがって,一般に蓋付きのケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部に当接する構造は,本件優先日の当時,周知であったものと認められる。」と判示しているものである(13頁17?23行(最高裁判所ホームページから取得できる同判決のPDFデータでは13頁13?19行))。
さらに,同判決では,「乙17(特開平9-20379号公報(審決注:本件審判の甲第13号証))……乙17には,CDケースにおいて,カバー部分を保持部分に対して180°開いた状態で,カバー部分の端縁部がケースの端縁部に当接する構造が記載されている。……乙19(実公平2-69889号公報(審決注:実願昭63-148395号(実開平2-69889号)のマイクロフィルムのことと推認される。))……,乙19には,CDケースにおいて,蓋をある程度(約180°)開いた状態で,蓋の端縁部がケースの端縁部と当接する構造が記載されていると認められる。……乙20(米国特許第5341924号(審決注:本件審判の甲第14号証)),乙21(米国特許第4750611号(審決注:本件審判の甲第54号証))……乙20……には,CDケースにおいて,蓋をある程度開いた状態で,蓋の端縁部がケースの端縁部と当接する構造が記載されている。前記乙17,19,20,21の記載によれば,本件優先日前に,CDケースの分野において,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部と当接する構造は,複数の文献に記載されていたことが認められ,本件優先日の当時,そのような構造が周知であったことが認められる。」(甲第50号証15頁2行ないし16頁19行(最高裁判所ホームページから取得できる同判決のPDFデータでは14頁下から2行ないし16頁15行))と判示しているように,同判決の事件においては,「蓋付きのケース」と一般化するまでもなく,「CDケースの分野において,蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部と当接する構造……が周知であった」という事情が存在したものである。
一方,本審判事件においては,相違点1に係る訂正発明1の構成は,単に「蓋をある程度開いた状態で蓋の端縁部がケースの端縁部と当接する」のではなく,「側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接」する構成であり,かつ,「開き状態において開き方向の外力が作用したときヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接」するという特有の機能を実現する構成である。相違点1に係る訂正発明1の構成は,「このような構造は,仕組みが比較的単純であり」というものではない。さらに,相違点1に係る訂正発明1の構成については,「CDケースの分野において……周知であった」という事情も存在しない。したがって,甲第50号証が,その判断の対象としている相違点に関し,「蓋付きのケース」と一般化して周知技術を認定しているからといって,本審判事件においても,「蓋付きのケース」と一般化して,相違点1についての検討を行うべき理由はないものである。
なお,仮に,甲第3号証,甲第4号証,甲第7ないし10号証に記載された技術と,甲1発明とは,広い意味での上位概念においては一致するから,これら甲号証に記載された技術事項を,甲1発明に適用する動機付けがあると仮定してこれら甲号証に記載された技術事項を甲1発明に適用しても,相違点1に係る訂正発明1の構成は得られないことは,上記イ-1.(キ)で述べたとおりである。

(オ)請求人は,甲第43号証ないし甲第49号証等によって,記録媒体用収納ケースを製造・販売するメーカーが,その他の各種プラスチック容器類・ケース類をも製造・販売していることを示した上で,「(5)小括……記録媒体用収納ケースのみならず,各種プラスチック容器類を製造販売している当業者においては,蓋が開いた当接状態で蓋に過大な外力が加わった際にケースが破損することを防止するという,プラスチック成形品である蓋付容器体に共通した,ごく一般的な課題を認識することなど当然であり,これに対し,周知技術である相違点1にかかる構成を採用することについては,十分な動機付けが認められるところである。」と主張している(請求人回答書10頁14行?11頁3行,及び11頁16行?12頁12行。なお,「(5)小括」の「(5)」は,原文では○の中に数字の5が記載されたいわゆる丸付き数字である。)。
しかし,上記(ア),(イ)で指摘したとおり,「蓋が開いた当接状態で蓋に過大な外力が加わった際にケースが破損することを防止する」ことが「プラスチック成形品である蓋付容器体に共通した,ごく一般的な課題」であるという主張も,「相違点1にかかる構成」が「周知技術である」という主張も客観的根拠に基づかない請求人独自の見解に過ぎない。客観的根拠に基づかない請求人独自の見解を積み重ねて得た上記「(5)小括」の主張は,結局,客観的根拠に基づかない請求人独自の見解であるから,採用することはできない。

(カ)請求人は,「本件特許発明において,当接状態における開き状態の角度が『180°』であることは,何ら技術的意義を有するものではなく……また,カバー体を略180°開いた状態で当該開き状態を維持する当接部が設けられた記録媒体用ディスクの収納ケースは……単なる周知技術でしかない。さらに,甲第2号証には,記録媒体用ディスクの収納ケースにつき,カバー体が180°を超えて約270°程度まで回動可能な構成が開示されている……したがって,甲1発明に上記周知技術を採用し,カバー体を略180°開いた状態で当該開き状態を維持する当接部が設けられた構成とし,甲第3号証,甲第4号証,甲第7号証ないし甲第10号証に記載されている技術事項(開き方向の外力が作用したときに当接状態を乗り越えてさらに相対回動を許容する構成)を適用すれば,当然に,相違点1にかかる構成に至るところである。」と主張する(請求人回答書12頁25行?13頁10行)。
請求人のこの論理は,有機的に結合し一体不可分の構成である,相違点1に係る訂正発明1の構成を,根拠なく無理に細分化した上で,相互に無関係で別々な文献に記載されている技術を順次適用しつつ,それ以前に適用した技術を,新たに適用する別の技術によって変形していけば,相違点1に係る構成に至るというものであり,技術要素それぞれが有機的に結合し一体不可分であることや,技術を適用・結合するための動機付け等を無視した論理である。このような論理は,まさに,平成20年(行ケ)第10153号判決等がいう「事後分析的な思考方法,主観的な思考方法及び論理的でない思考方法」であり,「容易想到性の判断の過程においては……排除されなければならないもの」である。請求人の上記主張は,採用できない。

(キ)請求人は,甲第13号証段落【0035】の「閉鎖縁43による支持と同時に,蓋部2の側壁32は,開いた状態において底部5の延長部にあるが側壁32の外側に配置された外側リブ5aに支持される。」という記載及び図9,図10を引用して,「甲第13号証は,ディスクの収納ケースにおいて,『基部1』(本件特許発明の『保持板』に相当)のヒンジ側端縁部である『横壁6』の下端部に,1/4円形の『丸み44』が,その上端部が横壁6よりも外方(【図9】及び【図10】の左方向)に突出するように形成され(『外側リブ5a』を構成),『蓋部2』の『閉鎖縁43』が『丸み44』の上に乗っかり当接して,『蓋部2』が180°開いた状態で支持される構成を開示するものである。したがって,甲第13号証には,記録媒体用ディスク等の収納ケースに『ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成される』構成が明確に開示されている。」と主張している(請求人回答書13頁14?17行,13頁25行?14頁末行,及び21頁下から11?9行)。しかし,これは,甲第13号証の記載を曲解又は誤解した主張である。甲第13号証には,「ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成される」構成は記載されていない。
本審決末尾に添付した参考図3は,甲第13号証の【図9】に,当審で色付けや符号C等を付加したものであり,参考図4は,甲第13号証の【図10】に,当審で符号D等を付加したものであり,参考図5は,甲第13号証の【図8】である。
参考図4では,底部5,1/4円形丸み44及び横壁6の断面が図示されており,この断面においては,1/4円形丸み44が,横壁6よりも外方に突出するように形成されていることが図示されている。しかし,参考図3で図示された「1/4円形丸み44が,横壁6よりも外方に突出するように形成されている部分」は,「外側リブ5a」ではない。参考図4には,符号5aが示されていないことや,参考図3の図示内容等から明らかなとおり,参考図4には「外側リブ5a」は,図示されていない(参考図4(甲第13号証【図10】)の視点では,「外側リブ5a」は,底部5の断面の紙面後方であって,底部5の断面と丁度重なる位置にあるため,図示できない。)。
参考図3では,符号5aが付された部分が明確になるように色付けしている。参考図3から明らかなとおり,「外側リブ5a」は,基部1の横壁6の方向に突出しているのではなく「底部5の延長部にある(段落【0035】参照)」,つまり,基部1の側壁31の外側方向(参考図3の紙面手前側)に突出しているのである。参考図2でいえば,「リブ21」に相当する構成である。また,側壁の外側方向に突出した底部の延長部であるという点では,参考図1の符号Bで示す破線楕円内にその一部が示されている部分と共通する構成である。
そして,参考図3から見て,「外側リブ5a」は,底部5の延長部になっているだけではなく,底部5と横壁6とを結ぶ「1/4円形の丸み44」の部分まで,基部1の側壁31の外側方向に突出している。また,「蓋部2の側壁32」は,基部1の側壁31の外側方向に存在する(参考図5(甲第13号証【図8】)を参照。)。このため,蓋部2を開いた状態では,「蓋部2の側壁32」の辺(参考図3では,この辺を明確にするため太線で示している。)が,「1/4円形の丸み44」に対応する「外側リブ5a」の上部と当接して支持されるのである。なお,参考図3において符号Cを付した破線で示す円は,穴40を中心とする円であり,「蓋部2の側壁32」が,穴40を中心として時計方向(蓋を閉める方向)に回転しても,蓋部2の側壁32が,「外側リブ5a」に干渉しないことを示すために,当審で付加したものである。
また,参考図4では,底部5,1/4円形丸み44及び横壁6の断面においては,1/4円形丸み44が,横壁6よりも外方に突出することが図示されていると同時に,図示断面以外の部分では,1/4円形丸み44は外方に突出することなく横壁6と連続している部分が存在することが,図示されている。これは,参考図4で,横壁6の断面部分の左方向に,横壁6の断面と平行な実線(符号Dを付した線)が図示されていることから明らかである。そして,甲第13号証段落【0035】の「ほぼ180°に揺動行程を限定するため,完全に開いた状態において蓋壁8の横向きに延びた閉鎖縁43は,基部1の閉じた横壁6においてこの基部の底部5より上に接している。それにより基部1の横壁6における完全に揺動して開いた蓋部2の直線状のかつきわめて磨耗の少ない支持が生じる。この支持は,横壁6と底部5の間の1/4円形丸み44より上において行なわれる。」と記載されており,かつ,参考図4で,閉鎖縁43が,1/4円形丸み44より上で,横壁6の符号Dを付した部分に接していることが図示されている。
「『基部1』(本件特許発明の『保持板』に相当)のヒンジ側端縁部である『横壁6』の下端部に,1/4円形の『丸み44』が,その上端部が横壁6よりも外方(【図9】及び【図10】の左方向)に突出するように形成され(『外側リブ5a』を構成)」という請求人の上記主張,及び「『蓋部2』の『閉鎖縁43』が『丸み44』の上に乗っかり当接して,『蓋部2』が180°開いた状態で支持される」という請求人の上記主張は,いずれも,甲第13号証の記載を曲解又は誤解したことに基づく主張である。「甲第13号証には,記録媒体用ディスク等の収納ケースに『ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成される』構成が明確に開示されている。」との請求人の主張は,甲第13号証の記載を曲解又は誤解したことに基づく上記主張から導き出した主張であるから,やはり,甲第13号証の記載を曲解又は誤解したことに基づく主張である。
なお,甲第13号証には,横壁6の形状・構成についての詳しい説明は記載されておらず,また,横壁6を上方から見た図や,参考図3,4の左方から見た図も示されていない。このため,横壁6の1/4円形丸み44と同じ厚さの部分(参考図4で符号Dを付した線)と,1/4円形丸み44より薄い部分(参考図4の断面部分)の配置(例えば,1/4円形丸み44と同じ厚さの部分と薄い部分とが,縦縞上に交互に配置されているとか,断面として示された部分は1つでかつごく小領域であり,横壁6のほとんどが1/4円形丸み44と同じ厚さの部分である等)や,割合(例えば,1/4円形丸み44と同じ厚さの部分と薄い部分とは,ほぼ半々であるとか,1/4円形丸み44と同じ厚さの部分がほとんど全部を占める等)については,甲第13号証の記載からは明確でない。

(ク)請求人は,「甲第3号証,甲第4号証,甲第7号証ないし甲第10号証に記載された技術において,蓋がある程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部として,ヒンジ結合端縁部側に突出して形成した側面リブと,蓋の端縁部とが互いに当接して当該開き状態を維持する当接部とすることは……明示あるいは少なくとも十分に示唆されている」と主張する(13頁18?24行,15頁1行?21頁下から13行,及び21頁下から9?4行)。しかし,これは,「リブ」という用語の意味を曲解又は誤解した主張である。
「リブ(rib)」とは,元来「肋骨」という意味であり,機械やプラスチック成形品の技術分野では,板などの肉厚を厚くしないで剛性や強度を持たせるために設ける突出部分をいう。例えば,コンパクト版機械用語大辞典(日刊工業新聞社,2000年7月)756頁には,「リブ rib 肋骨,あばら骨の意味で,部材の一部,特に薄肉部や板状の部分の補強用として用いられる板状部材.」と説明されており,図解プラスチック用語辞典 第2版第2刷(日刊工業新聞社,1998年6月)872?873頁には,「板などの肉厚を厚くしないで剛性や強度を持たせるため…突出部分を設けることがある.この部分をリブという.」と説明され,実用包装用語事典(綜合包装出版,昭和57年6月)512?513頁には,「リブ Rib 金属やプラスチック製品の肉厚を厚くしないで,剛性や強度をもたせ,また広い平面部のそりを防ぐために用いる補強部分をいう。」と説明され,英和プラスチック工業辞典(工業調査会,1992年5月,5版第2刷)831頁には,「rib … リブ,筋,ひだ 1)表面積の大きい一次成形品または二次成形品の厚みを増さないで強度と剛性を増すように設計された補強部で,装飾を兼ねることもある.」と説明されている。なお,「一次成形」,「二次成形」とは,それぞれ「プラスチック材料に通常熱圧を加えて,流動させ,金型を用いて形を付与する方法.」,「板,棒,管などの一次成形品を軟化点以上に加熱して所用の形に変える方法の総称……」という意味である(前記英和プラスチック工業辞典620頁及び397頁)。
交差した2つの平面部分が,それらの交差角度を保つようにリブを設ける場合には,2つの平面が交差する角部内側にリブが設けられるため,比較的短いものとなるが(例えば,日本機械学会 機械工学便覧 改訂第6版2刷,昭和54年7月,第1章「17-21」頁の第47図や,甲第13号証の「短いリブ29」(段落【0030】,【図5】)),平面の剛性や強度を持たせるためリブを設ける場合には,リブを長くする必要があることが技術常識である。例えば,甲第15号証では,ディスクケースの幅方向全体又は長さ方向全体に渡って延在している突出部分は「リブ14」や,「リブ21」と称しているが(段落【0057】,【0065】),幅方向長さの1/5程度の長さに図示されている突出部分はリブではなく「突条(突部)15」(段落【0065】)と称している(参考図2(甲第15号証の【図1】参照))。本件明細書及び図面では,ヒンジ結合端縁部側に突出して形成した側面リブ21の長さを明示する説明や図示はないので,この側面リブ21の長さについては,必ずしも明確でないものの,平面に設けるリブは長くする必要があるという技術常識から見て,訂正発明1のヒンジ結合端縁部側に突出して形成した側面リブは,相当長いものであると認められる。
一方,甲第7号証の制止片7は,「制止片7は溝8を有して中空構造になっており,弾性変形容易で,その外面部を内側へ押して撓ませることができる。」(甲第7号証段落【0006】)ものであり,「剛性や強度を持たせるために設ける」リブとは全く異なるものである。甲第8号証の制止片29についても同様である(本審決末尾に添付した参考図6を参照)。
甲第9号証のストッパー部6aは,「容器本体1の後端面……下側半分の部分が円弧状に形成されている。そして,この円弧状部分の中央部に【図6】に示すように,円弧状に切り欠かれたガイド溝6が形成されており,その上端面がストッパー部6aとして作用しうる構造になっている。」(甲第9号証段落【0009】。本審決末尾に添付した参考図7を参照。)ものであり,切り欠かれて構成されるものである。甲第9号証のストッパー部6aは,「剛性や強度を持たせるために設ける」ものでないだけでなく,「突出部分」ですらない。甲第9号証のストッパー部6aは,リブとは全く異なるものである。
甲第10号証のストッパー部9は,「所定幅で円弧状に膨出するストッパー部9」(甲第10号証段落【0018】)であり,本審決末尾に添付した参考図8(甲第10号証【図4】)から明らかなとおりごく短い物である。甲第10号証のストッパー部9は,「剛性や強度を持たせるために設ける」リブとは全く異なるものである。
甲第4号証のストッパー21は,「ケース本体2の軸受け部17の中央下面側には……ストッパー21が突設されている。」(甲第4号証段落【0012】)ものであるが,【図7】(本審決末尾に添付した参考図9を参照)に図示されているとおり,短い物であるから「剛性や強度を持たせるために設ける」「リブ」ではない。
甲第3号証には,「ケース1の係当部25a」(甲第3号証段落【0018】)が,ケース1の後面から突出していることが【図9】(本審決末尾に添付した参考図10参照)に示されているが,係当部25aの長さを示す説明や図示がないので,その長さは明確でなく,少なくとも「リブ」という概念に合致する程の長さを有することを裏付ける又は示唆する記載はない。さらに,甲第3号証には,係当部25aが,ケースの強度や剛性を増すための目的や機能を果たすものであることを示す記載も示唆もない。したがって,甲第3号証の係当部25aが,「リブ」であることは,甲第3号証に記載も示唆もされてない。
以上のとおりであるから,「甲第3号証,甲第4号証,甲第7号証ないし甲第10号証に記載された技術において,蓋がある程度開いた状態において当該開き状態を維持する当接部として,ヒンジ結合端縁部側に突出して形成した側面リブと,蓋の端縁部とが互いに当接して当該開き状態を維持する当接部とすることは……明示あるいは少なくとも十分に示唆されている」との請求人の上記主張は,「リブ」という用語の意味を曲解又は誤解した主張であり,失当であるから採用できない。

(ケ)請求人は,「本件では,なお一層,安定的な判断がなされることが求められるところであって,全く同一の争点につき,特段の事情もなく,第1次審決と相反する判断がなされるべきではない。」と主張している(請求人回答書22頁下から4行?同頁末行)。
しかし,請求人が,相違点1は容易想到であると主張する根拠は,上記(ア)?(ク)で指摘したとおり,客観的根拠に基づかない請求人独自の見解,客観的事実に反する請求人独自の見解,甲号証の記載を曲解又は誤解したことに基づく請求人独自の見解などであるから,請求人の主張は,採用できない。
また,相違点1は容易想到であるとの請求人のその他の主張も,客観的根拠に基づく主張とはいえないから,採用することができない。

ウ.訂正発明1と甲1発明との相違点についての判断のまとめ
以上のとおり,訂正発明1と甲1発明との相違点1は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。よって,相違点3及び4について検討するまでもなく,訂正発明1は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求人が,訂正発明1について主張する無効理由には,理由がない。

4.訂正発明2の無効理由(進歩性欠如)について
(1)訂正発明2と甲1発明との対比
訂正発明2と甲1発明とを対比すると,
甲1発明の「本体側ケース部材31」は,訂正発明2の「保持板(2)」に相当し,同様に,
「蓋側ケース部材32」は,「カバー体(3)」に,
「CD」は,「記録媒体用ディスク(100)」に,
「CD収納ケース」は,「記録媒体用ディスクの収納ケース」に,
「側面部34」は,「保持板(2)」に「形成され」る「上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)」に,
「本体側ケース部材31」の「主面部33の後縁」は,「保持板(2)」の「ヒンジ結合側端縁部」に,
「突片部37」は,「保持板(2)」の「ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片」に,
「支軸部38」は,「上下ヒンジ片」「に突出成形されたヒンジ軸(31)」に,
「突片部37」と「支軸部38」を合わせたものは,「保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)」に,
「CDの中央孔」は,「中央孔(101)」に,
「CD保持部46」は,「保持部(5)」に,
「側面部52」は,「カバー体(3)」の「上下端縁部」に「形成され」る「ケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)」に,
「蓋側ケース部材32」の「主面部51の後縁」は,「カバー体(3)」の「ヒンジ結合端縁部」に,
「突片部57」は,「カバー体(3)」の「上下ヒンジ部(3a)」に,
「軸受孔59」は,「ヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部」に
それぞれ相当する。
また,甲1発明は,本体側ケース部材31の主面部33の後縁と蓋側ケース部材32の主面部51の後縁とが,突片部37と突片部57を介してヒンジ結合されるものであり,このヒンジ結合によって蓋側ケース部材32が本体側ケース部材31に開閉自在に枢支されていることは明らかであるから,訂正発明2における「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し」との要件,及び「前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており」との要件を満たす。
甲1発明は,図5からCD保持部46が主面部33の略中央部にあることが図示されており,また,本体側ケース部材31と蓋側ケース部材32とによって,CDの両面を覆う収納状態とできるようになっていることは明らかであるから,訂正発明2における,「保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケース」との要件を満たす。
さらに,甲1発明は,蓋側ケース部材32を閉じたとき,蓋側ケース部材32の両側面部52が本体側ケース部材31の両側面部34の外側に位置するものであるから,訂正発明2における,「保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され」との要件を満たす。

(2)訂正発明2と甲1発明との一致点
したがって,訂正発明1と甲1発明とは,訂正発明2の表記に倣えば,
「保持板(2)とカバー体(3)とが,それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて,保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し,保持板(2)には,その板面の略中央部に,記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ,これら保持板(2)とカバー体(3)とによって,記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて,
前記保持板(2)とカバー体(3)とは,保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており,
前記保持板(2)は,上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され,前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と,この上下ヒンジ片に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され,
前記カバー体(3)は上下端縁部に,前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成されている記録媒体用ディスクの収納ケース。」
である点で一致する。

(3)訂正発明2と甲1発明との相違点
そして,訂正発明2と甲1発明とは,上記3.(3)で指摘した,相違点1ないし相違点4で相違する。

(4)訂正発明2と甲1発明との相違点についての判断
ア.相違点2について
当審は,上記3.(4)ア.で指摘したのと同様な理由により,相違点2は,容易想到であると判断する。

イ.相違点1について
相違点1は,上記3.(4)イ.で指摘したのと同様な理由により,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

ウ.訂正発明2と甲1発明との相違点についての判断のまとめ
訂正発明2と甲1発明との相違点1は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえないから,相違点3及び4について検討するまでもなく,訂正発明2は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求人が,訂正発明2について主張する無効理由には,理由がない。

5.訂正発明3の無効理由(進歩性欠如)について
(1)訂正発明3と甲1発明とのとの一致点及び相違点
訂正発明3は,訂正発明1が備える発明特定事項をすべて備え,さらに,
「前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ,前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされている」
という発明特定事項を備える発明である。
訂正発明3と,甲1発明とを対比すると,両者は,上記3.(2)で指摘した,訂正発明1と甲1発明との一致点で一致する。そして,上記3.(3)で指摘した,相違点1ないし相違点4で相違し,さらに,次の相違点5で相違する。
《相違点5》
保持板にカバー体を閉じた状態において,ヒンジ部寄りのカバー体の周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ,前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているのに対し,甲1発明では,ヒンジ部寄りのカバー体の周壁と保持板の周壁との間に,指を入れることができる間隔がない点。

(2)訂正発明3と甲1発明との相違点についての判断
ア.相違点2について
当審は,上記3.(4)ア.で指摘したのと同様な理由により,相違点2は,容易想到であると判断する。

イ.相違点1について
相違点1は,上記3.(4)イ.で指摘したのと同様な理由により,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

ウ.訂正発明3と甲1発明との相違点についての判断のまとめ
訂正発明3と甲1発明との相違点1は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえないから,相違点3ないし5について検討するまでもなく,訂正発明3は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求人が,訂正発明3について主張する無効理由には,理由がない。

6.訂正発明4の無効理由(進歩性欠如)について
(1)訂正発明4と甲1発明とのとの一致点及び相違点
訂正発明4は,訂正発明2が備える発明特定事項をすべて備え,さらに,
「前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において,ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ,前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされている」
という発明特定事項を備える発明である。
訂正発明4と,甲1発明とを対比すると,両者は,上記4.(2)で指摘した,訂正発明2と甲1発明との一致点で一致する。そして,上記4.(3)で指摘した,相違点1ないし相違点4で相違し,さらに,次の相違点5で相違する。
《相違点5》
保持板にカバー体を閉じた状態において,ヒンジ部寄りのカバー体の周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ,前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているのに対し,甲1発明では,ヒンジ部寄りのカバー体の周壁と保持板の周壁との間に,指を入れることができる間隔がない点。

(2)訂正発明4と甲1発明との相違点についての判断
ア.相違点2について
当審は,上記4.(4)ア.で指摘したのと同様な理由により,相違点2は,容易想到であると判断する。

イ.相違点1について
相違点1は,上記4.(4)イ.で指摘したのと同様な理由により,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

ウ.訂正発明4と甲1発明との相違点についての判断のまとめ
訂正発明4と甲1発明との相違点1は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものとはいえないから,相違点3ないし5について検討するまでもなく,訂正発明4は,本件出願前に公知である甲各号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求人が,訂正発明4について主張する無効理由には,理由がない。

第5 むすび
以上のとおりであるから,訂正発明1ないし訂正発明4は,甲第1号証ないし甲第56号証に記載された,本件出願日前に公知の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。また,他に,本件特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたとする理由も見当たらない。したがって,訂正発明1ないし訂正発明4の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用の負担については,特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲

















 
発明の名称 (54)【発明の名称】
記録媒体用ディスクの収納ケース
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に、前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し、
前記保持板(2)には、ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて、保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され、前記保持板(2)とカバー体(3)とには、前記カバー体(3)を180°開いた状態において、前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ、
前記当接部(45)は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板(2)とカバー体(3)とは、保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており、前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており、
前記保持板(2)は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され、前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され、
前記カバー体(3)は上下端縁部に、前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され、前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え、このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は、上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は、保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁(43)が設けられ、この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。
【請求項2】保持板(2)とカバー体(3)とが、それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて、保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、保持板(2)には、その板面の略中央部に、記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ、これら保持板(2)とカバー体(3)とによって、記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて、
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され、
前記保持板(2)とカバー体(3)とには、前記カバー体(3)を180°開いた状態において、前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ、
前記当接部(45)は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板(2)とカバー体(3)とは、保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており、前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており、
前記保持板(2)は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され、前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され、
前記カバー体(3)は上下端縁部に、前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され、前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え、このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は、上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は、保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁(43)が設けられ、この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。
【請求項3】中央孔(101)を有する記録媒体用ディスク(100)の記録面(102)側を覆うと共に、前記中央孔(101)に係脱自在に嵌合する保持部(5)を備えた保持板(2)を有し、
前記保持板(2)には、ヒンジ部(2a,3a)を介してカバー体(3)が開閉自在に枢支されて、保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され、前記保持板(2)とカバー体(3)とには、前記カバー体(3)を180°開いた状態において、前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ、
前記当接部(45)は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板(2)とカバー体(3)とは、保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており、前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており、
前記保持板(2)は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され、前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され、
前記カバー体(3)は上下端縁部に、前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され、前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え、このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は、上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は、保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁(43)が設けられ、この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ、前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。
【請求項4】保持板(2)とカバー体(3)とが、それぞれの一端側に設けられたヒンジ部(2a,3a)を介して互いに揺動開閉自在に連結されて、保持板(2)とカバー体(3)とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、保持板(2)には、その板面の略中央部に、記録媒体用ディスク(100)の中央孔(101)に嵌まる保持部(5)が設けられ、これら保持板(2)とカバー体(3)とによって、記録媒体用ディスク(100)の両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて、
前記ヒンジ結合端縁部側の保持板(2)の側面に側面リブ(21)が突出して形成され、
前記保持板(2)とカバー体(3)とには、前記カバー体(3)を180°開いた状態において、前記側面リブ(21)とカバー体(3)の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部(45)が設けられ、
前記当接部(45)は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部(2a,3a)の破損が生じずに前記側面リブ(21)と前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体(3)と保持板(2)との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板(2)とカバー体(3)とは、保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)とカバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)とを介してヒンジ結合されており、前記保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)間に前記当接部(45)が設けられており、
前記保持板(2)は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)が形成され、前記上下ヒンジ部(2a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸(31)とから構成され、
前記カバー体(3)は上下端縁部に、前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、保持板(2)の上下端縁部の周壁(22)より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁(38)が形成され、前記上下ヒンジ部(3a)はヒンジ結合側端縁部の上下端部に保持板(2)の上下ヒンジ部(2a)を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板(2)の前記内向き突出のヒンジ軸(31)を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板(2)はヒンジ部(2a)寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁(22)を備え、このヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)は、上下端縁部の周壁(22)と連続しかつ前記ヒンジ軸(31)を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、カバー体(3)におけるヒンジ部(3a)寄りの端部は、保持板(2)におけるヒンジ部(2a)寄りの端部の周壁(22)よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁(43)が設けられ、この周壁(43)は前記カバー体(3)の上下ヒンジ部(3a)と繋がっており、
前記保持板(2)にカバー体(3)を閉じた状態において、ヒンジ部(2a,3a)寄りのカバー体(3)の前記周壁(43)と保持板(2)の前記周壁(22)との間に指を入れることができるように両周壁(43,22)の間は間隔を持って設けられ、前記周壁(43)はケースを引き出すときの指掛け部(44)とされていることを特徴とする記録媒体用ディスクの収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音楽、映像及びコンピュータ等に使用される光学的に読み取られるデジタル情報を記録した記録媒体用ディスクを収納するための収納ケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD、DVD、LD等をはじめとする記録媒体用ディスクの収納ケースに関する従来技術として、特公平6-51506号公報(USP4,874,085)に記載のものが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の、保持板にヒンジ部を介してカバー体が開閉自在に枢支された収納ケースは、180°開いた位置でストッパが設けられていたため、大きな力で開くと、破損し易かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、ケースの破損防止を図ることである。また、本発明の他の目的は、従来のケースでは厚みが厚かったのでこれを解決することである。
更にその他の目的として、収納棚などに収納したケースの取出を容易にすること等である。前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。
【0005】
即ち、本発明の記録媒体用ディスクの収納ケースは、中央孔を有する記録媒体用ディスクの記録面側を覆うと共に、前記中央孔に係脱自在に嵌合する保持部を備えた保持板を有し、前記保持板には、ヒンジ部を介してカバー体が開閉自在に枢支されて、保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され、前記保持板とカバー体とには、前記カバー体を180°開いた状態において、前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ、前記当接部は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板とカバー体とは、保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており、前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており、
前記保持板は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され、
前記カバー体は上下端縁部に、前記保持板にカバー体を閉じた状態において、前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え、このヒンジ部寄りの端部の周壁は、上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は、保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁が設けられ、この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっているものである。
【0006】
また、他の収納ケースは、保持板とカバー体とが、それぞれの一端側に設けられたヒンジ部を介して互いに揺動開閉自在に連結されて、保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、保持板には、その板面の略中央部に、記録媒体用ディスクの中央孔に嵌まる保持部が設けられ、これら保持板とカバー体とによって、記録媒体用ディスクの両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて、前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され、前記保持板とカバー体とには、前記カバー体を180°開いた状態において、前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ、前記当接部は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板とカバー体とは、保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており、前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており、
前記保持板は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され、
前記カバー体は上下端縁部に、前記保持板にカバー体を閉じた状態において、前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え、このヒンジ部寄りの端部の周壁は、上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は、保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁が設けられ、この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっているものである。
【0007】
このような構成を採用することにより、カバー体を開くとき、不慮の大きな力で操作しても、ケースが破損することがない。従来のケースは、180°開いた位置でストッパが設けられていたため、大きな力で開くと、破損し易かったが、本発明では、ケースの損傷が防止される。
【0008】
また、他の収納ケースは、中央孔を有する記録媒体用ディスクの記録面側を覆うと共に、前記中央孔に係脱自在に嵌合する保持部を備えた保持板を有し、前記保持板には、ヒンジ部を介してカバー体が開閉自在に枢支されて、保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され、前記保持板とカバー体とには、前記カバー体を180°開いた状態において、前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ、前記当接部は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板とカバー体とは、保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており、前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており、
前記保持板は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され、
前記カバー体は上下端縁部に、前記保持板にカバー体を閉じた状態において、前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え、このヒンジ部寄りの端部の周壁は、上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は、保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁が設けられ、この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、ヒンジ部寄りのカバー体の前記周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ、前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているものである。
【0009】
さらにまた、他の収納ケースは、保持板とカバー体とが、それぞれの一端側に設けられたヒンジ部を介して互いに揺動開閉自在に連結されて、保持板とカバー体とはその一端部においてヒンジ結合されたヒンジ結合端縁部を有し、保持板には、その板面の略中央部に、記録媒体用ディスクの中央孔に嵌まる保持部が設けられ、これら保持板とカバー体とによって、記録媒体用ディスクの両面を覆う収納状態とできるようになっている記録媒体用ディスクの収納ケースにおいて、前記ヒンジ結合端縁部側の保持板の側面に側面リブが突出して形成され、前記保持板とカバー体とには、前記カバー体を180°開いた状態において、前記側面リブとカバー体の前記端縁部が互いに当接して当該開き状態を維持する当接部が設けられ、前記当接部は、前記開き状態において開き方向の外力が作用したとき前記ヒンジ部の破損が生じずに前記側面リブと前記端縁部との当接状態を乗り越えてカバー体と保持板との相対回動を許容するように当接しており、
前記保持板とカバー体とは、保持板の上下ヒンジ部とカバー体の上下ヒンジ部とを介してヒンジ結合されており、前記保持板の上下ヒンジ部間に前記当接部が設けられており、
前記保持板は、上下端縁部の端部にケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、この上下ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸とから構成され、
前記カバー体は上下端縁部に、前記保持板にカバー体を閉じた状態において、前記保持板の上下端縁部の周壁より外側に位置してケース厚み方向に立ち上がる周壁が形成され、上下ヒンジ部は前記ヒンジ結合側端縁部の上下端部に前記保持板の上下ヒンジ部を受け入れる上下凹部が形成され、この上下凹部に保持板の前記内向き突出のヒンジ軸を回動自在に枢支する軸受部が形成されており、
前記保持板はヒンジ部寄りの端部にもケース厚み方向に立ち上がる周壁を備え、このヒンジ部寄りの端部の周壁は、上下端縁部の周壁と連続しかつ前記ヒンジ軸を突出した上下ヒンジ片の対向内面に設けられており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、カバー体におけるヒンジ部寄りの端部は、保持板におけるヒンジ部寄りの端部の周壁よりも外方へ突出しており、この突出部分に周壁が設けられ、この周壁は前記カバー体の上下ヒンジ部と繋がっており、
前記保持板にカバー体を閉じた状態において、ヒンジ部寄りのカバー体の前記周壁と保持板の前記周壁との間に指を入れることができるように両周壁の間は間隔を持って設けられ、前記周壁はケースを引き出すときの指掛け部とされているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本発明に係る収納ケース1は、保持板2とカバー体3とが、それぞれの一端側に設けられたヒンジ部2a,3aを介して互いに揺動開閉自在に連結されたもので、これら保持板2とカバー体3とによって、記録媒体用ディスク100の両面を覆う収納状態とできるようになっている。これら保持板2やカバー体3は、それぞれ透明樹脂や不透明樹脂等により形成されている。
【0011】
保持板2には、その板面の略中央部に、ディスク100の中央孔101に嵌まる保持部5が設けられている。また保持板2には、前記保持部5を囲むリング形状となって隆起した中央載置部6と、更にこの中央載置部6の外側を囲むリング形状となって隆起した外周載置部7とが設けられている。
これら中央及び外周載置部6,7は、図3に示すように、ディスク100の記録面102側に対し、その記録領域(図示は省略するが、ディスク100の中心付近及び外周付近を除いたドーナツ状の領域となっている)を除く部分に当接可能となるものである。
【0012】
なお、各載置部6,7の隆起高さは、1mm以下でも十分である。本実施形態では0.7mm程度とした。
図3?図6に示すように、前記保持部5は、前記保持板2の中央部に設けられた孔9の内周面から延出する基部10と、該基部10から周方向に延出する拡大部12と、該拡大部12の端部から径外方向に突出する突起13とを具備している。そして、前記突起13先端の包絡円の直径は、前記ディスク100の中央孔101の直径よりも大きくされ、前記拡大部12の外径は、前記ディスク100の中央孔101に嵌合し得る大きさとされている。
【0013】
即ち、本発明では、突起13の位置が基部10の位置より周方向に変位して設けられている。
更に詳しく説明すれば、前記基部10は、前記保持板2の孔9の内周面から、径内方向で且つ軸方向上方に傾斜状に設けられ、かつ、周方向所定間隔を有して複数設けられている。前記拡大部12は、前記基部10の内端部から軸方向に立ち上がった立ち上がり部11を介して周方向一方に同心円上に延出している。そして、前記拡大部12の端部には、径内方向に延出する押動部14が設けられている。前記突起13は、前記拡大部12の端部の上端部に設けられている。
【0014】
前記保持板2の中央部に設けられた孔9は、前記中央載置部6の内周部に略一致している。
前記各押動部14は分断部15によって相互に分離されてり、独立操作可能とされている。
前記周方向に相隣接する基部10と基部10の間には、防塵片16が設けられている。即ち、この防塵片16は、前記孔9の内周面から、前記基部10の傾斜と同じ傾斜で一体突出成形されている。この防塵片16の周方向端部は、径方向切欠17を介して基部10と分離され、また防塵片16の径方向内端部は、周方向切欠18を介して前記拡大部12と分離されている。
【0015】
この防塵片16により、ゴミが保持部5内に進入するのが防止されている。また、万一進入したゴミは、中央載置部6によてディスク100の記録面102に達しないよう保護されている。
この実施例では、前記基部10は、周方向3等分位置に配置されている。従って、前記突起13や押動部14も、前記基部10とは周方向に位置ズレした位置の周方向3等分位置に配置されている。前記押動部14の軸方向(保持板の厚み方向)の移動量は約2mm程度と、非常に大きく移動可能とされている。そして、押動部14をこのように大きく押動操作しても、前記拡大部12や基部10は破損することなく、弾性変形可能とされている。
【0016】
この種のケ-スをハイインパクトPS樹脂の混ざっていない、透明なPS樹脂のみの構成とする場合、割れやすいというPS樹脂の特徴から、バネ性を持たせるのには限界があり、ワンタッチでCD・DVD等のディスクを取り出す機能等にバネ性を持たせるのに実用的にうまくいかなかったが、上記構成の収納ケ-スに示すような中央の保持部5の形状にすることによってそれを解決し、可能にしたのである。
即ち、前記基部10は、図6に示すように、径方向内方に行くに従い保持板2の板面よりも高くなる傾斜を有しており、この傾斜分が、撓み代となっている。
【0017】
従って、図9に示すように保持部5を押込み操作する場合、押動部14に押圧力が加えられることになり、立ち上がり部11の径方向内方へ向けた傾きや、拡大部12の撓み、及び基部10の撓み等が生じるようになる。その結果、保持部5の全体として、沈み込み作用と縮径作用とが生じるものである。
なお、これら沈み込み作用と縮径作用とは、弾性復元力に抗しつつ生じるため、押動部14の押込み操作をやめれば、保持部5は、自ずと、沈み込みを解消すべく盛り上がりを起こし、また縮径作用を解消すべく拡大化することになる。
【0018】
このような構造の拡大部12において延長先となる部分、即ち、押動部14の根元となる位置で、径方向外方へ向くようにして前記突起13が突設されている。
この突起13は、常態ではディスク100における中央孔101の開口縁部と干渉する、即ち、中央孔101の嵌め込み時に邪魔となるようになっている。
即ち、前記各突起13の先端の包絡円の直径は、前記ディスク100の中央孔101の直径よりも大きくされている。具体的には、ディスク100の中央孔101の直径15mmに対して、約0.2mm程度大きくされている。前記立ち上がり部11及び拡大部12の外径は、前記ディスク100の中央孔101に嵌合し得る大きさとされているが、この実施例では、ディスク100の中央孔101の直径よりも僅かに小さい径とされている。具体的には、約0.1mm程度小さくされている。
【0019】
そして、前記保持部5に前記ディスク100が嵌合した状態において前記突起13は前記ディスク100の上面側に位置し、前記押動部14を押圧したとき、前記突起13は、前記ディスク100の下面側に移動するよう、前記基部10と拡大部12及び立ち上がり部11が弾性変形可能に設けられている。
前記保持部5に前記ディスク100を嵌合するとき、及び、押動部14を押動操作して該ディスク100の嵌合を解除するとき、カチと音が発するよう、前記突起13の突出量を設定するのが好ましい。
【0020】
前記突起13の上面が前記保持部5の上面を形成し、前記ディスク100を保持部5に嵌合したとき該ディスク100上面と前記保持部5上面間の距離は、前記ディスク100の厚み以下とされている。具体的には、1.2mmのディスク100の厚みに対し、ディスク100上面と前記保持部5上面間の距離は約0.5mm程度とされている。即ち、突起13の厚みが約0.5mm程度とされている。
また、保持板2の裏面から保持部5の上面までの距離は4mm程度が好ましく、この実施例では約3.8mmとされている。
【0021】
前記突起13下面と前記中央載置部6上面との距離は、前記ディスク100の厚みと略同じか僅かに大きくされている。
図10?図12に示すように、前記保持板2は、ヒンジ部2aを有するヒンジ結合側端縁部と、該ヒンジ結合側端縁部とは反対側の自由端縁部と、これら両端縁部を介して対向する上下端縁部とを有する矩形状に形成されている。
前記保持板2は、前記ディスク100に対面する上面と、該上面とは反対側の裏面とを有し、前記裏面は、前記保持部5の部分を除いて平坦面に形成されている。この裏面の外周縁部には、図13に示すように、僅かに突出した裏面リブ20が形成されている。また、保持板2の側面にも側面リブ21が形成されている。
【0022】
前記保持板2上面の周縁部には、所定厚みの周壁22が突出成形されている。また、前記保持板上面には、ディスク100の外周面を囲う部分に、所定厚みの円弧状壁23が突出形成されている。これらのリブ20,21、周壁22、及び、円弧状壁23は、保持板2の補強部材としての作用を発揮し、保持板2の厚みを薄くしている。
前記上下端縁部の周壁22は、中央部で所定距離だけ分断され、該分断された周壁22の端部は前記円弧状壁23に連続している。前記周壁22が分断された位置の保持板2には、中央凹所24が形成されている。この中央凹所24は、ディスク100を取り出すときの逃げ部とされている。
【0023】
また、自由端縁部側の保持板2の上下端縁部に、端部凹所25が形成されている。
前記保持板2の上下端縁部の前記周壁22は、該上下端縁より少し内側に入り込む第1段部26と更に内側に入り込む第2段部27とを有する屈曲部に形成されている。前記第1段部26に係合凹部28が形成されている。
図14?16に示すように、前記保持板2には、前記係合凹部28に連通する厚み方向に貫通した連通孔29が設けられている。このような連通孔29を保持板2に設けることにより、保持板成形用金型を上下2分割の型とすることができる。
【0024】
従来は、このような連通孔29を有しないため、保持板成形用金型は、上下及び左右にも分割した四分割型とされていたが、連通孔29を設けることにより、二分割型とすることができる。
更に、前記保持板2の前記自由端縁部の周壁22の中央部は内側に凹んでおり、この凹部が、開閉操作時の指係止部30とされている。
そして、前記ヒンジ部2aは、ヒンジ結合側端縁部の上下端部から突出成形されたヒンジ片と、該ヒンジ片の対向内面に突出成形されたヒンジ軸31とから構成されている。前記ヒンジ片は肉厚に形成され、強度の向上が図られている。
【0025】
図17?19に前記カバー体3の詳細が示されている。前記カバー体3は、その一端部においてヒンジ結合されるヒンジ結合側端縁部と、該ヒンジ結合側端縁部とは反対側の自由端縁部と、これら両端縁部を介して対向する上下端縁部とを有する矩形状に形成されている。
カバー体3のヒンジ結合端縁部の上下端縁部は、前記保持板2のヒンジ部2aを受け入れる凹部が形成され、該凹部にカバー体3のヒンジ部3aが形成されている。
【0026】
図20、図21に示すように、カバー体3のヒンジ部3aは、軸受部に形成され、該軸受部は、前記保持板2のヒンジ部2aのヒンジ軸31を係脱自在に係合して、かつ、回動自在に枢支するものである。
前記軸受部は、前記ヒンジ軸31の先端部を回動自在に枢支する孔35を有すると共に、前記ヒンジ軸31の基端部の半円周部を支持し、残り半円周部を開放する切欠部36が設けられている。前記孔35は、カバー体2の表面側にも開口している。
前記カバー体3の自由端縁部の上下方向中央部に、凹部37が設けられている。この凹部37は、前記保持板2の指係止部30に対応している。
【0027】
一方、前記カバー体3の上下端縁部には、ケースの厚み方向に立ち上がる周壁38が設けられている。
図18に示す如く、前記周壁38の高さは、中央部38aと自由端縁部側38bが高く形成されている。即ち、前記中央部38aと自由端縁部側38bは、前記保持板2の中央凹所24及び端部凹所25に嵌合するものであり、この部分の周壁38の高さは、収納ケース1の厚みとされている。そして、自由端縁部側38bの周壁外面にはローレット39が形成され、カバー体3の開閉操作時の滑り止めがなされている。
【0028】
前記周壁38には、係合突部40が突設されている。さらにこの係合突部40に隣接して前記係合突部40よりも突出量の少ない位置決め突部41が前記周壁38に設けられている。この係合突部40は、カバー体3を閉じたとき、前記保持板2に設けられた係合凹部28に係脱自在に係合するものであり、位置決め突部41は、保持板2の周壁22外面に当接するものである。
図22?図24に前記係合突部40と位置決め突部41の詳細が示されている。即ち、前記カバー体3には、前記係合突部40に連通する、厚み方向に貫通した連通孔42が設けられている。この連通孔42は、カバー体3を閉じたとき、前記保持板2の周壁22の第1段部26の上面によって閉じられる位置に設けられている。従って、この連通孔42からゴミがケース内部に進入することが防止されている。
【0029】
図25、26に示すように、前記カバー体3は、前記保持板2を完全に覆うべく、保持板2よりも大きく形成されている。即ち、カバー体3におけるヒンジ部3a寄りの端部は、保持板2におけるヒンジ部2a寄りの端部よりも外方へ突出するようになっており、この突出部分に周壁43が設けられている。
この周壁43は、この収納ケース1をケースラック(図示略)等へ収納した場合にあって、個別に引き出すときの指掛け部44として便利に活用できるものとなっている。また、この周壁43には、その内側又は外側にラベルシール(図示略)等を貼り付けるようにして、インデックスとして使用することもできる。
【0030】
前記保持板2とカバー体3とを、互いのヒンジ部2a,3aで揺動させて閉じた状態にしたとき、該カバー体3の内面と前記保持板2の保持部5の上面とは、当接するか、又は、前記ディスク100の厚み以下の間隙が形成されている。そして、前記保持板2とカバー体3とを閉じた状態におけるケース1の厚みは、6mm以下であることが好ましい。
即ち、上記のように、本実施形態において収納ケース1は、保持板2とカバー体3との2枚構成になっていることと、保持部5の形状を図4に示す形状としたこととがあいまって、全体厚を極めて薄く形成できるものとなっている。すなわち、従来のこの種、収納ケースの多くでは、一対のカバー体と、その中に入れる保持板とを有した3枚構成であったため、その全体厚は、10.4mm前後となっていたが、本実施形態の場合は、その半分の5.2mm程度に抑えることに成功している。また、現在公知の2枚構成のCD・DVD等のケ-スも存在するが、現状では上記構成の収納ケ-ス1に示す様な中央の保持部5の形状を持つものは存在しないことから、従来の約半分である5.2mm程度の厚みのこの種のケ-スは存在しない。それゆえ、この種のケ-スの50%のスリム化というのは上記構成の収納ケ-ス1により、実用的な形で実施することが可能になったのである。尚、実用的には、6mm以下であれば、薄型ケースとして充分な効果を奏する。本発明によれば、ケース1の厚みを5mm以下にすることもできる。
【0031】
前記保持板2とカバー体3とには、前記カバー体3を180°開いた状態において、互いに当接して当該開き状態を維持する当接部45(図1参照)が設けられ、前記当接部45は、前記開き状態から更に開き方向の力を作用させたとき、前記保持板2とカバー体3の相対回動が可能となる形状に形成されている。
具体的には、この当接部45は、カバー体3のヒンジ結合側端縁部と保持板2のヒンジ結合側端縁部の側面リブ21とで構成され、両端縁部が互いに当接可能とされている。
【0032】
前記カバー体3の上下端縁部に設けられた前記周壁38には、内側に突出するラベル係止爪46が設けられている。この係止爪46にラベルや歌詞カードが係止される。
図27に示すように、前記カバー体3には、前記係止爪46に連通する厚み方向に貫通した連通孔47が設けられている。
前記係止爪46は、前記保持板2の周壁22の第2段部27に対応した位置に設けられている。然して、前記連通孔47から進入するゴミは周壁22によってその進入が防止されている。
【0033】
このような構成の収納ケース1において、その使用状況を説明する。
まず、記録媒体用ディスク100を収納するには、カバー体3を開く、そして、図8に示すように、保持部5の突起13の上面にディスク100を乗せ、その中央孔101を位置合わせする。このとき、拡大部12の外周部に設けられた各突起13が邪魔となるため、そのままではディスク100が保持部5に嵌まり込むことはない。
しかし、ディスク100を軽く押え付けるだけで、図7に示すように、ディスク100の中央孔101の内面で突起13が径方向内方へ押し込められるようになる。そして、中央孔101は突起13を通過して、図5及び図6に示すように、立ち上がり部11及び拡大部12に対してディスク100が確実に嵌まり込むようになる。この嵌まり込みのとき、カチと音が発するので、嵌合状態を確認できる。
【0034】
この嵌合状態でディスク100に抜け出し方向の力が作用した場合、ディスク100の上面が突起13に当接し、拡大部12の径を広げるように作用するので、ディスク100は不慮に脱落することはない。
そして、カバー体3を閉じる。このとき、係合凹部28と突部40とが係合し、閉じ状態を維持する。また、カバー体3を閉じたとき、ディスク100の上面とカバー体3の内面との間に、ディスク100の厚み以下の間隙しかないので、ケース1内でディスク100が保持部5から不慮に脱落する恐れはない。
【0035】
ディスク100を収納した当該ケース1は、収納ラック等に収納される。
収納ラックから当該ケース1と取り出すとき、図25、26に示すように、指掛け部44に指を掛けてケース1を引き出すことにより、ケース1の取出が容易になる。
一方、当該ケース1からディスク100を取り出すには、カバー体3を開く。この開き操作に際して、図26に示す如く、指係止部30に指を掛け、更にローレット39を握ってカバー体3を開けば、開き操作が容易になる。
【0036】
このとき、カバー体3の周壁38に設けられた位置決め突部41により、前記係合凹部28と突部40との係合が、左右均一となっているので、開き操作が容易となる。
そして、カバー体3を180°開けば、カバー体3と保持板2とは、当接部45により当接して180°の開き状態を維持する。この時、不慮の開き方向の外力が作用しても、当該当接部45はその当接状態を乗り越えて、カバー体3と保持板2との相対回動を許容するので、ヒンジ部2a,3aの破損が生じない。
【0037】
次に、カバー体3を開いたのち、図9に示すように保持部5の押動部14を押込み操作する。すると、図5に二点鎖線で示すように、突起13には、ディスク100の中央孔101の内面に当接することによる反力が作用し、この反力によって拡大部12が径方向内方への縮径作用を生じることになる。従って、保持部5はその全体として縮径した状態となり、突起13は、ディスク100における中央孔101の下側へと移動する。この時、カチと音が発するので、嵌合解除が確認できる。
突起13がディスク100の中央孔101の下側へ移動した後、前記押動部14の押動操作をやめれば、図8に示したように、拡大部12の径が拡大して突起13の上面にディスク100が支持され、拡大部12及び基部10の上方への復元動作により、ディスク100は、突起13によって持ち上げられるものである。
【0038】
そこで、このディスク100を把持して取り出せばよいものである。即ち、本発明によれば、押動部14のワンタッチ押し込み操作のみでディスク100の取り出しができる。
従来は、前記ディスク100の取り出しは、ケースを机の上において中央保持機構を押動操作しても、中央保持機構の弾性変形代が小さかったため、簡単には取り出せなかった。従って、従来は、ケースを宙に浮かせた状態で中央保持機構を押動操作して大きく変形させて取り出していた。
【0039】
しかし、本発明では、保持板2を平らな机の上面に置いた状態において、押動部14を押動操作しても、基部10や拡大部12の弾性変形代が大きいため、突起13の移動量が大きくなるため、極めて簡単に取り出せる。
図28に示すものは、本発明の第2実施形態である。この実施例では、保持板2は、互いに揺動開閉自在に連結された一対のカバー体50,51とは別体として形成され、いずれか一方のカバー体50の内面側へ中敷き状に装填する構造とされている。この保持板2の保持部5の構造は、前記第1実施形態と同じである。
【0040】
図29?図38に示すものは、保持部5の各種変形例であり、前記第1、2実施形態の保持部5として置換可能なものである。
即ち、図29に示すものは、突起13等が二個のものであり、保持板2の孔9の内周面に周方向二等分位置に基部10が設けられ、該基部10の内端に立ち上がり部13を介して半円弧状の拡大部12が延設され、該拡大部12の端部の外周部に突起13が設けられると共に、内周部に押動部14が突設されている。
前記二つの突起13は、立ち上がり部13に近接している。この実施例では防塵片は設けられていない。
【0041】
図30に示すものは、保持板2の孔9に防塵片16が設けられたものであり、その他は前記図29のものと同じである。
図31に示すものは、前記拡大部12の周方向延出長さが、前記図30のものに比べ約半分と短くされたものである。図32に示すものは、防塵片16を大きくして孔9の空間を可能な限り小さくしたのものであり、その他は図31と同じである。
図33に示すものは、突起13等の数を四つとしたものであり、この場合、防塵片は設けられていない。図34に示すものは、防塵片16を設けたものであり、その他は図33と同じである。
【0042】
図35に示すものは、突起13等の数を五つとしたものであり、この場合、防塵片は設けられていない。図36に示すものは、防塵片16を設けたものであり、その他は図35と同じである。
図37に示すものは、突起13等の数を六つとしたものであり、この場合、防塵片は設けられていない。図38に示すものは、防塵片16を設けたものであり、その他は図37と同じである。
本発明の記録媒体用ディスクの収納ケースは、コンピュータ関連、ゲームソフト関連、音楽関連、映画ビデオ関連等のCDを収納するケースとして最適である。
【0043】
尚、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。例えば、ディスク100は、円盤状のものに限定されるものではなく、多角形状その他のものでもよい。また、ヒンジ部2aのヒンジ軸31を保持板2に設け、その軸受をカバー体3に設けたが、カバー体3にヒンジ軸31を設け、保持板に軸受部を設けてもよい。
本明細書に記載した好ましい実施例は例示的なものであり、限定的なものでない。発明の範囲は「請求の範囲」によって示されており、それらの請求の範囲の意味の中に入る全ての変形例及び均等物は本願発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る収納ケースの第1実施形態を示し、該収納ケースを展開状態にして示した正面図である。
【図2】
前記第1実施形態を概略的に示した斜視図である。
【図3】
図1のA線断面図である。
【図4】
保持板の保持部を拡大して示す正面図である。
【図5】
図4のB-B線拡大断面図である。
【図6】
図4のC-C線拡大断面図である。
【図7】
記録媒体用ディスクを保持部に嵌め込む状況を説明したものである。
【図8】
記録媒体用ディスクを保持部へ嵌め込む前の段階と取り出した後の段階とを説明したものである。
【図9】
記録媒体用ディスクを取り出す際の保持部への押込み操作状況を示した断面図である。
【図10】
保持板の平面図である。
【図11】
保持板の側面図である。
【図12】
保持板の底面図である。
【図13】
図12のD-D断面図である。
【図14】
係合凹部の詳細を示す部分拡大図である。
【図15】
図14のE-E線断面図である。
【図16】
図14のF-F線断面図である。
【図17】
カバー体の内面側を示す平面図である。
【図18】
カバー体の側面図である。
【図19】
カバー体の表面図である。
【図20】
カバー体のヒンジ部を示す部分拡大図である。
【図21】
図17のG-G線断面図である。
【図22】
係合突部の詳細を示す部分拡大図である。
【図23】
図22のI-I断面図である。
【図24】
図22のH-H断面図である。
【図25】
保持板とカバー体とを閉じた状態にしたヒンジ部まわりを示した断面図である。
【図26】
保持板とカバー体とを閉じた状態にした断面図である。
【図27】
ラベル係止爪の部分を示す断面図である。
【図28】
本発明に係る収納ケースの第2実施形態を概略的に示した斜視図である。
【図29】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図30】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図31】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図32】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図33】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図34】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図35】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図36】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図37】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【図38】
保持部の変形例の一つを示す平面図である。
【符号の説明】
2 保持板
3 カバー体
5 保持部
21 側面リブ
45 当接部
100 ディスク
101 中央孔
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2012-06-22 
結審通知日 2012-06-26 
審決日 2012-07-10 
出願番号 特願平11-361506
審決分類 P 1 113・ 121- YA (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 市野 要助小菅 一弘谷口 耕之助  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 瀬良 聡機
亀田 貴志
登録日 2002-05-10 
登録番号 特許第3306036号(P3306036)
発明の名称 記録媒体用ディスクの収納ケース  
代理人 野口 繁雄  
代理人 安田 幹雄  
代理人 片桐 務  
代理人 辻 淳子  
代理人 山崎 道雄  
代理人 国立 久  
代理人 井口 喜久治  
代理人 塚家 和博  
代理人 国立 久  
代理人 福田 あやこ  
代理人 宇田 浩康  
代理人 森本 純  
代理人 辻村 和彦  
代理人 安田 敏雄  
代理人 片桐 務  
代理人 堀家 和博  
代理人 安田 敏雄  
代理人 安田 幹雄  
代理人 小松 陽一郎  
代理人 藤野 睦子  
代理人 井▲崎▼ 康孝  
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