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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B65H
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B65H
管理番号 1280217
審判番号 訂正2013-390111  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-08-02 
確定日 2013-09-06 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5230170号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5230170号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判請求に係る特許第5230170号の手続の経緯は、次のとおりである。
平成19年11月26日 特許出願
平成21年 6月11日 出願公開
平成22年11月25日 手続補正書の提出
平成24年 5月29日 拒絶理由通知(発送日)
平成24年 7月27日 意見書及び手続補正書の提出
平成25年 2月 7日 特許査定
平成25年 3月29日 特許権の設定登録
平成25年 8月 2日 訂正審判請求


第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5230170号の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」とあるのを、「かつ前記第1搬送手段に挟持されているシートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段から離れる前に」に訂正する。

2.訂正事項2
明細書の段落【0017】に「かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」とあるのを、「かつ前記第1搬送手段に挟持されているシートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段から離れる前に」に訂正する。


第3 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正事項1を次の2点に分けて検討する。
「シート搬送方向下流端」を「シート搬送方向上流端」に訂正する点(以下「訂正事項1の1」という)及び、
「シートの」を「前記第1搬送手段に挟持されているシートの」と訂正し、「前記第1搬送手段に挟持されている間に」を「前記第1搬送手段から離れる前に」と訂正する点(以下「訂正事項1の2」という)。

ア 訂正事項1の1について
(ア)本件訂正前の請求項1(以下「訂正前の請求項1」という。)の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
シートに腰付けし、シートを挟持して搬送する第1搬送手段と、
互いに対向する一対の回転体を有し、前記第1搬送手段により搬送されたシートを前記一対の回転体により挟持して搬送する第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により排出されるシートを積載する積載トレイと、
前記一対の回転体を、シートを挟持して前記積載トレイへ排出する閉位置と、離間してシートを挟持しない開位置と、に開閉制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1搬送手段により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が前記開位置にある前記一対の回転体の間に進入した後で、かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に、前記一対の回転体を前記閉位置にする開閉制御を行い、前記一対の回転体によりシートを挟持して前記積載トレイへ排出するよう制御することを特徴とするシート搬送装置。」

(イ)ここで、訂正前の請求項1において、第2搬送手段は第1搬送手段によって搬送されたシートを搬送するのであるから、第1搬送手段は第2搬送手段のシート搬送方向上流側に位置していることは明らかである。してみると、「前記第1搬送手段により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が、前記一対の回転体の前記開位置にある前記一対の回転体の間に進入した後」の時点においては、シートのシート搬送方向下流端は、すでに第1搬送手段を通過してしまっており、第1搬送手段には挟持されていないはずであるから、訂正前の請求項1における「前記第1搬送手段により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が前記開位置にある前記一対の回転体の間に進入した後で、かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という記載は、合理的に解釈することはできない。

(ウ)訂正前の請求項1における上記事項は、第2搬送手段の一対の回転体を開位置から閉位置にする開閉制御についての事項であるところ、本件訂正前の明細書である特許明細書及び図面には、前記開閉制御について、次の記載が認められる。
「【0078】
次に、CPU回路部900は、図8に示すように、シートPの後端(シート搬送方向上流端)が検知部700を抜けてからシート搬送経路の位置Xに到達するまでシートPを搬送させる。ここで、位置Xは、シート搬送経路における検知部700と第1搬送ローラ対301との間の位置である。そして、シートPの後端が位置Xに到達したときには、シートPの先端が第2搬送ローラ対303を抜けており、シートPが、第1搬送ローラ対301に挟持搬送されながら第2搬送ローラ303b上を摺動している状態である。そして、CPU回路部900は、シートPの後端が位置Xに到達したと判断すると、揺動モータ321を駆動し、揺動ガイド306を回動させることで、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させる(ステップS6)。従って、第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させたとき、シートPが第2搬送ローラ対303で挟持され、これによりシートPの腰付け状態が解除され平坦になる。従って、第2搬送ローラ対303がシートPを挟持搬送する際に、シートPに皺が形成されるのを抑制することができる。また、シートPの後端が第1搬送ローラ対301から離れる前に、シートPが第2搬送ローラ対303に挟持されることとなる。これにより、シートPが第1搬送ローラ対301と第2搬送ローラ対303との間に落下したり、シートPが斜行しまうことはなく、安定した状態でシートPを排出させることができる。」
また、図8に、シート搬送方向(矢印A方向)に対して、第1搬送ローラ対301が上流側に位置し、第2搬送ローラ対303が下流側に位置し、シートPの後端側すなわちシート搬送方向上流側が第1搬送ローラ対301に挟持され、シートPの先端側すなわちシート搬送方向下流側が第2搬送ローラ対303に挟持されていることが図示されている。

上記の記載から、特許明細書及び図面には、「第1搬送ローラ対により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が開位置にある第2搬送ローラ対の一対のローラの間に進入した後で、かつシートの後端すなわちシート搬送方向上流端が前記第1搬送ローラから離れる前に、前記一対のローラを閉位置にする開閉制御」が記載されていると認められる。そして、当該開閉制御に不合理な点は認められない。

(エ)訂正前の請求項1に記載された「第1搬送手段」及び「第2搬送手段」は、位置関係及び機能からみて、それぞれ、特許明細書及び図面に記載された「第1搬送ローラ対」及び「第2搬送ローラ対」に対応することは明らかであり、また、上記の(イ)及び(ウ)の点を踏まえると、訂正前の請求項1の記載と特許明細書及び図面の記載は整合しないところ、訂正前の請求項1の「かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という記載における「シート搬送方向下流端」は、「シート搬送方向上流端」と記載すべきであった誤記であると認められる。

(オ)なお、訂正前の請求項1の「かつシートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という事項は、平成24年7月27日に提出された手続補正書による手続補正によって請求項1に追加された事項であるところ、同日付け意見書において当該事項の根拠として明細書の段落0078が挙げられている。上記(エ)のとおりの誤記であるとの認定は、このような経緯とも整合する。

(カ)以上のことから、訂正事項1の1は、誤記の訂正を目的とするものである。

イ 訂正事項1の2について
(ア)訂正前の請求項1の「シートのシート搬送方向下流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」は、上記アの訂正事項1の1の誤記の訂正をすると「シートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という記載になる。
当該記載において、第1搬送手段に挟持されている「シート搬送方向上流端」という記載は、シートのシート搬送方向上流側の縁すなわち後端縁の一線のみをいうのか、それともシート搬送方向上流側の後端縁を含むある程度の広がりをもつ範囲をいうのか明瞭でない。

(イ)特許明細書の段落0078には、第1搬送手段によるシートの搬送と第2搬送手段の一対の回転体の開閉制御について、次の記載が認められる。
「【0078】
・・・(中略)・・・CPU回路部900は、シートPの後端が位置Xに到達したと判断すると、揺動モータ321を駆動し、揺動ガイド306を回動させることで、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させる(ステップS6)。従って、第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させたとき、シートPが第2搬送ローラ対303で挟持され、これによりシートPの腰付け状態が解除され平坦になる。従って、第2搬送ローラ対303がシートPを挟持搬送する際に、シートPに皺が形成されるのを抑制することができる。また、シートPの後端が第1搬送ローラ対301から離れる前に、シートPが第2搬送ローラ対303に挟持されることとなる。」
また、図8に、シートPのシート搬送方向上流側の後端縁が、第1搬送ローラ対301(第1搬送手段)より上流側の位置Xにあり、第1搬送ローラ対301はシートPをシートの後端縁以外の位置で挟持し、シートPのシート搬送方向下流側が第2搬送ローラ対303に挟持されていることが図示されている。
そして、特許明細書及び図面には、第2搬送ローラ対(第2搬送手段)の一対の回転体が開位置から閉位置に開閉制御される時に、第1搬送ローラ対がシートPを挟持する位置がシートPのシート搬送方向上流側の後端縁の一線のみに限られる旨の記載は見当たらない。
以上のことから、上記アの訂正事項1の1の誤記を訂正した場合の請求項1の「シートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という記載において、第1搬送手段に挟持されている「シート搬送方向上流流端」という記載は、シートのシート搬送方向上流側の縁すなわち後端縁の一線のみをいうのではなく、シートのシート搬送方向上流側の後端縁を含むある程度の広がりをもつ範囲をいうものであるとの解釈が自然である。そして、上記「シートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段に挟持されている間に」という記載は、段落0078及び図8を参酌して、本来「前記第1搬送手段に挟持されているシートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段から離れる前に」という意味に解釈すべきものである。
してみると、訂正事項1の2は、訂正前の請求項1における明瞭でない記載をその本来の意を明らかにするものといえ、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

ウ 上記のア及びイのことから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正、及び特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について
ア 訂正事項1の1について
上記(1)アのとおり、訂正事項1の1は、誤記の訂正を目的とする訂正ある。この場合、当該訂正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものでなければならない。
訂正事項1の1の内容は、上記(1)アに記載したように、本件特許明細書の段落0078及び図8に記載されている。そして、願書に最初に添付した明細書の段落【0078】及び図8の記載は、本件特許明細書の段落【0078】及び図8と同じである。
したがって、訂正事項1の1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

イ 訂正事項1の2について
上記(1)イのとおり、訂正事項1の2は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。この場合、当該訂正は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものでなければならない。
訂正事項1の2の内容は、上記(1)イに記載したように、本件特許明細書の段落0078及び図8に記載されている。
したがって、訂正事項1の2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

上記ア及びイから、訂正事項1は、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、上記(1)のとおり、誤記を訂正するとともに、本来の意を明らかにしたものであり、訂正前の請求項1の内容を実質的に変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)独立特許要件について
本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しない。同様に、本件訂正後の請求項2?10に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

2.訂正事項2
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、形式的には、訂正事項1の訂正により、請求項1における誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正を行った結果、訂正後の請求項1と記載表現が一致しなくなった明細書における段落【0017】の記載内容を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるが、実質的には、訂正事項1と同じく、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正、及び特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について
訂正事項2の内容は、実質的に訂正事項1と同じであるから、訂正事項1と同じく(上記1.(2)参照)、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲を拡張・変更の存否について
訂正事項2の内容は、実質的に訂正事項1と同じであるから、訂正事項1と同じく(上記1.(3)参照)、特許法第126条第6項に適合するものである。

3.一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正後の請求項1ないし10は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を請求項2ないし10がそれぞれ直接的又は間接的に引用している。したがって、訂正後の請求項1ないし10は、特許法第126条第3項にいう一群の請求項の関係にある。また、訂正事項2に係る願書に添付した明細書の段落【0017】の訂正は、請求項1ないし10に関係するものである。
そして、訂正事項1は、特許請求の範囲について、請求項1ないし10からなる一群の請求項ごとに訂正請求するものであり、訂正事項2は、願書に添付した明細書について、当該訂正事項2と関係する請求項1ないし10の全てについて訂正請求するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第3項の規定に適合するものであり、訂正事項2は、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。


第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの一部を押圧してシートに腰付けしてシートを搬送可能な第1搬送手段を備えたシート搬送装置、及びこのシート搬送装置を備えたシート処理装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部で画像形成されたシートに処理を施し、シートを排出するシート処理装置とを有する画像形成装置が一般に知られている。シート処理装置では、複数枚のシートを整合して束ねる整合処理、シート束を綴じるステイプル処理、シートに孔をあけるパンチ処理、ソート処理、ノンソート処理、シート折処理、製本処理などの各種のシート処理を行うものが知られている(特許文献1参照)。この種の画像形成装置のシート処理装置では、シートのカールを矯正したり、シート先端(シート搬送方向下流端)がストッパ等に当接する際の座屈を防ぐために、シートに圧力を付与してシート搬送方向に連続した波形形状を形成している。このようにすることで、シートを波打たせ、シートに腰を付けている。尚、画像形成装置には、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等がある。
【0003】
図12は、従来のシート処理装置の要部を示した説明図であり、図13は、従来のシート処理装置の要部を拡大した説明図である。
【0004】
シート処理装置1500は、図12に示すように、シート排出部1600、シートを積載整合する処理トレイ1305、及び処理トレイ1305に積載されたシートに綴じ等の処理を施すステイプラ1310を備えている。更に、シート処理装置1500は、シート排出部1600により排出されたシートを受ける積載トレイ1701,1702を備えている。
【0005】
シート排出部1600は、図13に示すように、第1搬送手段として、一対の第1搬送ローラ1301a,1301bを有する第1搬送ローラ対1301、及び第1搬送ローラ対1301の近傍に配設され、シートに腰を付ける第1腰付部1302を備えている。更に、シート排出部1600は、第2搬送手段として、一対の第2搬送ローラ1303a,1303bを有する第2搬送ローラ対1303、及び第2搬送ローラ対1303の近傍に配設される第2腰付部1304を備えている。更に、シート排出部1600は、第2搬送ローラ1303aが取り付けられている揺動ガイド1306を備えている。揺動ガイド1306は、第2搬送ローラ1303aを第2搬送ローラ1303bに圧接或いは離間させるよう揺動可能に支持されている。ここで、各ローラ1301a,1301b,1303a,1303bは、ローラ軸とローラ軸の軸方向に並設される複数のローラ体とを備えており、第1、第2腰付部は、ローラ体間の隙間に突出するように設けられている。
【0006】
まず、シートに処理を施す場合、第1搬送ローラ対1301から排出されるシートには、第1腰付部1302で腰が付けられる。この腰付けされたシートが圧接状態の第2搬送ローラ対1303へと搬送される。そして、第1搬送ローラ対1301からシート後端が離れた後、第2搬送ローラ対1303が逆転して1枚目のシートが処理トレイ1305に積載される。2枚目以降のシートは、第2搬送ローラ1303a,1303b同士が離間するよう揺動ガイド1306が揺動することで、第1搬送ローラ対1301により搬送されたシートが直接処理トレイ1305のシート上に落下して積載される。このようにして処理トレイ1305に積載されたシート束は、ステイプラ1310でステイプル処理が施される。そして、第2搬送ローラ1303a,1303b同士が圧接するよう揺動ガイド1306が揺動し、第2搬送ローラ対1303によってシート束が搬送され、第2腰付部1304でシート束が腰付けられ、積載トレイ1701,1702のいずれかへ排出される。
【0007】
次に、シートに処理を施さない場合、上述したシートに処理を施す場合と同様に、シートが処理トレイ1305へ積載されてシート束が形成される。このシート束はステイプル処理が施されない非処理の状態で第2搬送ローラ対1303によって搬送され、第2腰付部1304でシート束が腰付けられて積載トレイ1701,1702のいずれかへ排出される。
【0008】
【特許文献1】特開2007-145604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来のシート処理装置1500では、シートに処理を施さない場合でも、一旦シートを処理トレイ1305に積載させるため、シート排出までに時間を要していた。そこで、第1搬送ローラ対1301から第2搬送ローラ対1303にシートを搬送した後、処理トレイ1305を経由せずに直接積載トレイ1702に排出させることで、シートを搬送する時間を短縮させることは可能である。そして、第1腰付部1302でシートに腰を付けることにより、シートが座屈することなく第2搬送ローラ対1303に案内することができる。
【0010】
しかし、第2搬送ローラ1303a,1303b同士が圧接しているニップ部に第1腰付部1302を通過して腰が付けられたシートを搬送すると、シートの種類によってはシートが第2搬送ローラ対1303で押圧されてシートに皺が発生してしまうことがある。
【0011】
具体例を挙げて説明すると、シート先端が第2搬送ローラ対1303に到達したとき、シート後端が第1搬送ローラ対1301を抜けていないので、シート先端部には第1腰付部1302を通過して形成された波形形状が消滅していない。従って、シートの剛性が低い場合、波打ったシートの先端が第2搬送ローラ対1303に突き当たって進入する際に、シートの波形形状が第2搬送ローラ対1303に押し潰されてしまい、シートに皺が発生してしまうことがある。
【0012】
また、シートが第2搬送ローラ対1303に挟持された際に、第2搬送ローラ対1303のローラ体間の隙間に波形形状の山部或いは谷部が入り込んだとしても、挟まれた瞬間にシートの山部或いは谷部が寄せられて狭められてしまう。そして、第2搬送ローラ対1303によるシートの搬送が進むにつれ、シート後端部の山部或いは谷部が更に狭められて、シート後端部において波形形状が潰れて皺が発生してしまうことがある。
【0013】
また、剛性の低いシートのみならず、サイズが大きく第2搬送ローラ対1303で挟持搬送する距離が長いシートや、表面がコーティングされた特殊なシートなどでも第2搬送ローラ対1303において皺が発生しやすい。
【0014】
このようにシートに皺が発生してしまうと、皺形成時のシート自身の音や、シートと揺動ガイド1306が擦れる音、シートと第2搬送ローラ対1303が擦れる音等で稼動音が増大してしまう。
【0015】
また、シート後端部の波形形状が潰れずに第2搬送ローラ対1303を抜けた場合でも、排出後のシートの波形形状が平面状に復元する際の復元力によりシートの挙動が不安定になることがある。そして、第2搬送ローラ対1303の近傍にトレイがある場合には、シートの積載が乱れる等の積載不良が発生することがある。
【0016】
そこで、本発明は、シート排出時間を短縮し、排出されるシートの皺の発生を抑制し、シートの皺の発生に起因する駆動音の増加を抑制し、排出されるシートを良好に積載できるシート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のシート搬送装置は、シートに腰付けし、シートを挟持して搬送する第1搬送手段と、互いに対向する一対の回転体を有し、前記第1搬送手段により搬送されたシートを前記一対の回転体により挟持して搬送する第2搬送手段と、前記第2搬送手段により排出されるシートを積載する積載トレイと、前記一対の回転体を、シートを挟持して前記積載トレイへ排出する閉位置と、離間してシートを挟持しない開位置と、に開閉制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1搬送手段により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が前記開位置にある前記一対の回転体の間に進入した後で、かつ前記第1搬送手段に挟持されているシートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段から離れる前に、前記一対の回転体を前記閉位置にする開閉制御を行い、前記一対の回転体によりシートを挟持して前記積載トレイへ排出するよう制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シートが第1搬送手段を通過して第2搬送手段より排出されるまでの時間を短縮することができる。そして、第2搬送手段の一対の回転体が開位置となり、シートが一対の回転体の間に進入した後に一対の回転体が閉位置となるので、一対の回転体によるシートの皺の発生を抑制することができ、皺の発生に起因する搬送時の稼動音の増加を抑制することができる。また、第2搬送手段から排出されたシートの挙動が安定し、シートの積載性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の構成を示す図である。尚、説明中で取り上げている数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
【0021】
図1において、画像形成装置としての白黒・カラー複写機(以下、複写機という)110は、画像形成装置本体としての複写機本体100と、シート処理装置であるフィニッシャ500とを備え、複写機本体100がフィニッシャ500に接続されている。
【0022】
複写機本体100は、カセット101a?101d、画像形成部102、定着装置103、原稿を読取位置まで自動給送する原稿給送装置104、及び画像リーダ部105を備えている。
【0023】
原稿給送装置104に原稿が載置され、不図示のスタートボタンが操作されると、原稿は複写機本体100上部の原稿台ガラス上に送られてセットされ、同時にカセット101a?101dから画像形成部102にシートが給送される。
【0024】
原稿台ガラス上にセットされた原稿は、読取手段としての画像リーダ部105により光照射されてその反射光をCCD等の光電変換素子に集光させて電気信号に変換し、画像信号を得る。この画像信号は、図示しない増幅回路を経て、図示しないビデオ処理ユニットにて処理を施された後、画像形成部102へ転送される。
【0025】
画像形成部102に給送されたシートは、それぞれ画像形成部102を構成するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光体ドラム102a?102dによって、4色のトナー像が転写されて、定着装置103に搬送される。
【0026】
次に、定着装置103においてトナー像が定着され、画像が定着されたシートは、この後、複写機本体100から排出され、フィニッシャ500に搬送される。
【0027】
フィニッシャ500は、複写機本体100から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理(整合処理)を実施可能に構成されている。また、フィニッシャ500は、シート束の後端部(シート搬送方向の上流端部)を綴じるステイプル処理、シートの後端部に孔をあけるパンチ処理、ソート・ノンソート処理、シート束を折る折り処理、2つ折り製本処理など各種の処理も実施可能に構成されている。
【0028】
フィニッシャ500は、中綴じ処理装置120及び平綴じ処理装置300を備えており、また、複写機本体100から排出されるシートを、オンラインで処理することができるようになっている。
【0029】
更に、フィニッシャ500は、オプションとして使用されることがあるため、複写機本体100は、単独でも使用できるようになっている。また、フィニッシャ500と複写機本体100は、一体であってもよい。
【0030】
このフィニッシャ500は、複写機本体100から排出されたシートを内部に導くための入口ローラ対510を有している。この入口ローラ対510の下流側には、シートを、平綴じ製本パスZ1、又は中綴じ製本パスZ2に選択的に案内する切換部材520が設けられている。
【0031】
切換部材520により平綴じ製本パスZ1に導かれたシートは、搬送ローラ対530を介してバッファローラ540に向けて送られる。搬送ローラ対530とバッファローラ540は、正逆転可能に構成されている。バッファローラ540は、その外周に送られたシートを所定枚数積層して巻き付けられるローラである。
【0032】
搬送ローラ対530とバッファローラ540との間には、パンチユニット550が設けられている。パンチユニット550は、必要に応じて動作し、搬送されてきたシートの後端付近に孔をあけるよう構成されている。
【0033】
バッファローラ540に送られたシートは、下流に配置された切換部材560によって、積載トレイ701に積載されるか、若しくは平綴じ処理装置300内に搬送される。
【0034】
平綴じ処理装置300内に搬送されたシートは、そのまま排出されて積載トレイ702に積載されるか、或いはステイプル処理を施すために、シートを積載可能なシート積載手段である処理トレイ305に積載される。
【0035】
処理トレイ305上に束状に積載されたシートは、整合処理、ステイプル処理などが施された後、積載トレイ702上に排出される。尚、処理トレイ305上に束状に積載されたシートを綴じるステイプル処理には、ステイプラ310が使用される。ステイプラ310はシート束の角部や背部に相当する部分を綴じるようになっている。
【0036】
一方、切換部材520により中綴じ製本パスZ2に案内されたシートは、中綴じ処理装置120に搬送され、製本処理等が施される。
【0037】
図2は、シート処理装置の要部を示した説明図である。図3は、シート処理装置の要部を拡大した説明図である。
【0038】
以下、フィニッシャ500の平綴じ処理装置300について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0039】
フィニッシャ500の平綴じ処理装置300は、シート排出部600、処理トレイ305、後端突き当て部308、第1整合板309、第2整合板311及びステイプラ310を備えている。尚、整合板309,311は処理トレイ305のシート搬送方向(矢印A方向)に直交する方向(以下、幅方向という)に並列して配置されているため、1つの整合板のみ図示している。
【0040】
シート搬送装置としてのシート排出部600は、第1搬送手段としての第1搬送部201、第2搬送手段としての第2搬送部202、及び揺動ガイド306を備えている。第1搬送部201は、シートPに腰付け可能に構成されておりシートPを搬送する。第2搬送部202は、第1搬送部201のシート搬送方向の下流側に配置されてシートPを搬送し、外部へ排出する。
【0041】
第1搬送部201は、シートPを搬送する第1搬送ローラ対301と、第1搬送ローラ対301の近傍に配設され、シートPに腰を付ける腰付部としての第1腰付部302とを有する。また、第2搬送部202は、第1搬送部201より導かれたシートPを搬送する第2搬送ローラ対303と、第2搬送ローラ対303の近傍に配設され、第2搬送ローラ対303により搬送されるシートPに腰を付ける第2腰付部304とを有する。
【0042】
第1搬送ローラ対301は、互いに対向する一対の第1搬送ローラ301a,301bを有し、第2搬送ローラ対303は、互いに対向する一対の第2搬送ローラ303a,303bを有している。
【0043】
第1搬送ローラ301aは、ローラ軸301a1と、ローラ軸301a1の軸方向に並設される複数のローラ体301a2とを備えている。同様に、第1搬送ローラ301bは、ローラ軸301b1と、ローラ軸301b1の軸方向に並設される複数のローラ体301b2とを備えている。
【0044】
また、第2搬送ローラ303aは、ローラ軸303a1と、ローラ軸303a1の軸方向に並設される複数のローラ体303a2とを備えている。同様に、第2搬送ローラ303bは、ローラ軸303b1と、ローラ軸303b1の軸方向に並設される複数のローラ体303b2とを備えている。
【0045】
第1腰付部302は、レバー片302aと、レバー片302aの先端に設けられるコロ302bとを備え、コロ302bがローラ体301a2間の隙間とローラ体301b2間の隙間とで形成される空間に配置されるようにレバー片302aで支持されている。これによりコロ302bが第1搬送ローラ対301近傍のシート搬送経路に突出する。そして、シートPが第1腰付部302を通過したとき、コロ302bがシートPの一部を押圧し、シートPに腰が付けられる。ここで、第1搬送部201と第2搬送部202との間のシート搬送経路には、下方に処理トレイ305が配置されているので、シートPを案内する部材がない。第1腰付部302は、第1搬送ローラ対301により搬送されるシートPに腰を付けるので、第1搬送部201と第2搬送部202との間を搬送される剛性の低いシートPが座屈するのを抑制することができる。
【0046】
第2腰付部304は、レバー片304aと、レバー片304aの先端に設けられるコロ304bとを備え、コロ304bがローラ体303a2間の隙間とローラ体303b2間の隙間とで形成される空間に配置されるようにレバー片304aで支持されている。これによりコロ304bが第2搬送ローラ対303近傍のシート搬送経路に突出する。そして、シートP(或いはシート束)が第2腰付部304を通過したとき、コロ304bがシートP(或いはシート束)の一部を押圧し、シートP(或いはシート束)に腰が付けられる。これにより、積載トレイ702に排出されるシートP或いはシート束が座屈するのを抑制することができる。
【0047】
上記処理トレイ305は、積載面305a上のシート束の排出方向に対する下流側を上方に、上流側を下方に、傾斜して配設されている。処理トレイ305の上流側である下方端部には、後端突き当て部308が配置されている。処理トレイ305の中間部には、第1,第2整合板309,311が配置されている。また、処理トレイ305の下流側である上方端部には、第2搬送ローラ対303及び揺動ガイド306が配置されている。
【0048】
そして、処理トレイ305にシートPを積載する場合、第1搬送ローラ対301から排出されたシートPは、処理トレイ305の傾斜及び不図示の引き込み手段によって、処理トレイ305の積載面305a又は処理トレイ305に積載されたシート上を滑降する。そしてシートPの後端(排出方向上流端)が後端突き当て部308の突き当て面308aに突き当てられる。
【0049】
さらに、揺動ガイド306の下面前端部には、一方の第2搬送ローラ303aが配設され、処理トレイ305の下流側端部には、第2搬送ローラ対303の他方の第2搬送ローラ303bが配設されている。
【0050】
揺動ガイド306は、上下方向に揺動自在に支持軸307で支持されている。第2搬送ローラ対303は、支持軸307よりシート搬送方向の下流側に配設されている。
【0051】
図4は、揺動ガイドが回動した場合を示す説明図である。揺動ガイド306が支持軸307を中心に回動することにより、第2搬送ローラ303a,303b同士が圧接する閉位置(図3参照)と、第2搬送ローラ303a,303b同士が離間する開位置(図4参照)とに変更自在である。言い換えれば、閉位置は、第2搬送部202の第2搬送ローラ対303がシートPを挟持する位置であり、開位置は、第2搬送部202の第2搬送ローラ対303がシートPを挟持しない位置である。
【0052】
揺動ガイド306は、第2搬送ローラ303aが第2搬送ローラ303bに圧接した閉位置がホームポジションであり、不図示の位置センサによって検知されるようになっている。
【0053】
図5は、コントローラの構成を示すブロック図であり、複写機110のコントローラ800の構成について図5を参照しながら説明する。
【0054】
コントローラ800は、CPU回路部830、入力手段としての操作部810、原稿給送装置制御部852、イメージリーダ制御部853、画像信号制御部854、プリンタ制御部855、フィニッシャ制御部856、外部インタフェース857を有する。
【0055】
CPU回路部830は、CPU849、ROM851、RAM870を内蔵し、複写機本体100に搭載されている。そして、CPU回路部830は、ROM851に格納されている制御プログラムにより各ブロック810,852,853,854,855,856,857を総括的に制御する。RAM870は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0056】
原稿給送装置制御部852は、原稿給送装置104(図1)をCPU回路部830からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部853は、画像リーダ部105(図1)に対する駆動制御を行い、画像リーダ部105内にある不図示のイメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部854に転送する。
【0057】
画像信号制御部854は、イメージセンサからのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換した後に各処理を施し、プリンタ制御部855に出力する。また、外部コンピュータ820から外部インタフェース857を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、プリンタ制御部855に出力する。この画像信号制御部854による処理動作は、CPU回路部830により制御される。プリンタ制御部855は、入力した画像信号に基づいて画像形成するべく、画像形成部102の駆動制御を行う。
【0058】
操作部810は、複写機本体100に搭載され、画像形成に関する各種機能を選択する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するタッチパネルで構成される。そして、操作部810は、各キーの入力操作に対応するキー信号をCPU回路部830に出力するとともに、CPU回路部830からの信号に基づき対応する情報を操作部810のタッチパネルに表示する。
【0059】
本実施の形態では、操作部810は、フィニッシャ500に搬送されるシートPにステンプル処理を施さない非処理モード、及びステイプル処理を施す処理モードのいずれかのモードを選択するキーを表示することで選択可能に構成されている。また、操作部810は、シートPの情報、本実施の形態では、シートPの坪量を入力可能に構成されている。
【0060】
フィニッシャ制御部856はフィニッシャ500に搭載され、CPU回路部830と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ全体の駆動制御を行う。なお、フィニッシャ制御部856を複写機本体100側のCPU回路部830に一体的に組み込み、複写機本体100から直接フィニッシャ500を制御するようにしてもよい。
【0061】
フィニッシャ制御部856は、制御手段としてのCPU回路部900、I/O部904、ネットワークインタフェース905、通信インタフェース906及び揺動ガイド開閉制御部907を備えている。CPU回路部900は、CPU901、RAM902、ROM903を有している。揺動ガイド開閉制御部907は、揺動モータ321及びシートPの有無を検知するシート有無検知部(以下、検知部という)700を有しており、揺動モータ321及び検知部700がI/O部904に接続されている。検知部700は、第1搬送ローラ対301のシート搬送方向(矢印A方向)の上流側に配設される(図3参照)。
【0062】
フィニッシャ制御部856は、CPU回路部900の制御の下、検知部700の検知結果に基づいて、揺動モータ321を駆動し、揺動ガイド306を上下方向に揺動させ、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを閉位置或いは開位置にする。
【0063】
詳述すると、図3に示すように、揺動モータ321のモータ軸には、プーリ322が取り付けられ、プーリ322には、タイミングベルト323を介して揺動モータ321の駆動力が伝達される回転板324が接続されている。回転板324には、リンク軸325が取り付けられ、このリンク軸325が、開閉リンク326の一端部に形成された摺動孔に挿入される。開閉リンク326の他端部には、揺動ガイド306に固定される開閉軸支板328に支持される開閉軸327が取り付けられる。
【0064】
そして、揺動モータ321を駆動することで、揺動モータ321の駆動力がタイミングベルト323を介して回転板324に伝達され、回転板324が回転することによりリンク軸325が回転板の回転軸を中心に回転する。そして、リンク軸325の動作により開閉リンク326が上或いは下に移動し、揺動ガイド306が支持軸307を中心に上下に揺動する。これにより、揺動ガイド306に設けた第2搬送ローラ303aが、第2搬送ローラ303bに圧接する閉位置或いは離間する開位置に移動することができる。
【0065】
次に、フィニッシャ制御部856の制御に基づくフィニッシャ500の動作について説明する。
【0066】
まず、フィニッシャ制御部856のCPU回路部900は、ユーザによる操作部810の操作により非処理モード及び処理モードのいずれのモードが選択されているかを判断する。そして、CPU回路部900は、選択されたモードに対応する制御を実行する。
【0067】
図6は、非処理モードが選択された場合の各部の動作を示すフローチャートである。また、図7は、シートに腰を付けて搬送している状態を示す説明図である。また、図8は、第2搬送部を閉位置に戻してシートを搬送する場合を示す説明図である。
【0068】
非処理モードが選択された場合、CPU回路部900は、非処理モードに対応する制御を実行する。つまり、非処理モードが選択されたとき、ステイプル処理は行わず、第1搬送部201を通過したシートPを、処理トレイ305に積載させずに、直接、第2搬送部202に導き、第2搬送部202により搬送して積載トレイ702に排出するための制御を行う。
【0069】
まず、CPU回路部900は、シートPの坪量判定を行う(ステップS1)。このステップS1では、CPU回路部900は、ユーザによる操作部810の操作により入力されたシートPの坪量が64g/m^(2)未満であるか否かを判断する。つまり、このステップS1では、シートPの剛性の高低が判断される。
【0070】
ここで、剛性が低いシートPとは、腰が付いているシートPを第2搬送ローラ303aが閉位置にある状態の第2搬送ローラ対303に搬送したとき、第2搬送ローラ対303において皺が発生するおそれのあるシートPをいう。また、剛性が高いシートPとは、腰が付いているシートPを第2搬送ローラ303aが閉位置にある状態の第2搬送ローラ対303に搬送したとき、第2搬送ローラ対303において皺が発生する可能性が低いシートPをいう。
【0071】
CPU回路部900は、シートPの坪量が64g/m^(2)未満であると判断した場合(ステップS1:Yes)、即ち、シートPの剛性が低いと判断した場合、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを開位置と閉位置に移動させる開閉制御を実行する。
【0072】
以下、図6に示すフローチャートに沿ってCPU回路部900による開閉制御について詳細に説明する。なお、説明に用いる数値は一例であって、画像形成装置、シート処理装置の性能に応じて適宜変更可能である。
【0073】
まず、CPU回路部900は、シートPの搬送を開始する(ステップS2)。詳述すると、図1に示すように、複写機本体100から排出されたシートPをフィニッシャ500内部に導き、平綴じ製本パスZ1を通過させる。そしてシートPを、図3に示すように、平綴じ処理装置300内のシート排出部600に搬送する。ここで、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aは閉位置にある。
【0074】
次に、CPU回路部900は、検知部700の検知結果、搬送されたシートPの先端(シート搬送方向下流端)が検知部700を通過したと判断すると、揺動モータ321を駆動し、揺動ガイド306を回動させる。これによって、CPU回路部900は、図4に示すように、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを開位置に離間させる(ステップS3)。
【0075】
そして、CPU回路部900は、シートPの先端が検知部700を通過後、シートPの先端が検知部700から84.5mm離れたところまでシートPを搬送させ、これにより、シートPの先端が第1搬送ローラ対301に到達する。そして、図7のように、第1搬送ローラ対301により挟持されてシート搬送方向(矢印A方向)に搬送されたシートPは、第1腰付部302を通過することによって腰が付けられる(ステップS4)。このように第1腰付部302でシートPに腰を付けることで、シートPを第2搬送ローラ対303に案内することができる。
【0076】
次に、第1腰付部302で腰が付けられたシートPは、第2搬送ローラ対303へと搬送される。その後、CPU回路部900は、シートPの先端が検知部700から196.6mm離れたところまでシートPを搬送させる。このとき、シートPの先端が第2搬送ローラ対303に到達し、その後、第2搬送ローラ対303を通過する(ステップS5)。
【0077】
ここで、第1搬送ローラ対301により第2搬送ローラ303a,303b間にシートPが搬送されるが、第2搬送ローラ303a,303b同士は離間しており、シートPが第2搬送ローラ対303に進入した際にシートPに皺が発生することはない。なお、第2搬送ローラ303aは、シートPの先端が第2搬送ローラ対303を通過する際に離間していればよく、例えばシートPがシート排出部600に搬送された直後に開位置に離間させるようにしてもよい。
【0078】
次に、CPU回路部900は、図8に示すように、シートPの後端(シート搬送方向上流端)が検知部700を抜けてからシート搬送経路の位置Xに到達するまでシートPを搬送させる。ここで、位置Xは、シート搬送経路における検知部700と第1搬送ローラ対301との間の位置である。そして、シートPの後端が位置Xに到達したときには、シートPの先端が第2搬送ローラ対303を抜けており、シートPが、第1搬送ローラ対301に挟持搬送されながら第2搬送ローラ303b上を摺動している状態である。そして、CPU回路部900は、シートPの後端が位置Xに到達したと判断すると、揺動モータ321を駆動し、揺動ガイド306を回動させることで、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させる(ステップS6)。従って、第2搬送ローラ303aを閉位置に移動させたとき、シートPが第2搬送ローラ対303で挟持され、これによりシートPの腰付け状態が解除され平坦になる。従って、第2搬送ローラ対303がシートPを挟持搬送する際に、シートPに皺が形成されるのを抑制することができる。また、シートPの後端が第1搬送ローラ対301から離れる前に、シートPが第2搬送ローラ対303に挟持されることとなる。これにより、シートPが第1搬送ローラ対301と第2搬送ローラ対303との間に落下したり、シートPが斜行しまうことはなく、安定した状態でシートPを排出させることができる。
【0079】
なお、第2搬送ローラ対303近傍には第2腰付部304が配設されているので、シートPは第2腰付部304で再び腰付けされ、積載トレイ702に排出される際のシートPの座屈が抑制されている。
【0080】
その後、CPU回路部900は、第1搬送ローラ対301及び第2搬送ローラ対303によりシートPを搬送させる。そして、シートPの後端が第1搬送ローラ対301を通過した後(ステップS7)、シートPの後端が第1搬送ローラ対301を抜けて第1搬送ローラ対301から離れる。
【0081】
次に、CPU回路部900は、シートPの後端が検知部700から196.6mm離れたところまでシートPを搬送させると、シートPの後端が第2搬送ローラ対303を通過して第2搬送ローラ対303から離れる(ステップS8)。そして、シートPが積載トレイ702に排出される(ステップS9)。
【0082】
以上、非処理モードが選択された場合、第1搬送部201を通過したシートPは、処理トレイ305を経由せずに、直接、第2搬送部202に導かれ、第2搬送部202の搬送により積載トレイ702に排出される。従って、第1搬送部201を通過して第2搬送部202から排出されるまでの時間を短縮できる。
【0083】
そして、皺が発生するおそれのある剛性の低いシートPの場合には、CPU回路部900の開閉制御により、第2搬送部202におけるシートPの皺の発生を抑制することができる。
【0084】
また、シートPが第2搬送ローラ対303に挟まれる際に、第1腰付部302により付与されたシートPの腰付け状態が解除され平坦になるので、排出後のシートPの挙動が安定し、積載トレイ702に積載されるシートPの積載性を向上させることができる。また、第2搬送ローラ対303から排出されるシートPには、第1腰付部302により付与されたシートPの腰付け状態が解除され平坦になり、第2腰付部304による腰付けのみが付与されることとなるので、効果的にシートの座屈を抑制することができる。
【0085】
次にステップS1において、CPU回路部900が、シートPの坪量が64g/m^(2)以上であると判断した場合(ステップS1:No)、即ち、シートPの剛性が高いと判断した場合、第2搬送ローラ303aを閉位置に保持する常閉制御を行う。
【0086】
以下、常閉制御時の各部の動作について説明すると、まず、CPU回路部900は、シートPの搬送を開始する(ステップS10)。詳述すると、図1に示す複写機本体100から排出されたシートPをフィニッシャ500内部に導き、平綴じ製本パスZ1を通過させる。
【0087】
次に、CPU回路部900は、シートPの先端が検知部700を通過後、シートPの先端が検知部700から84.5mm離れたところまでシートPを搬送させ、これにより、シートPの先端が第1搬送ローラ対301に到達する。そして、第1搬送ローラ対301により挟持搬送されたシートPは、第1腰付部302を通過することによって腰が付けられる(ステップS11)。
【0088】
次に、CPU回路部900は、第1搬送ローラ対301を通過して第1腰付部302で腰が付けられたシートPを、第2搬送ローラ対303へと搬送させ、シートPの先端が検知部700から196.6mm離れたところまでシートPを搬送させる。これにより、シートPの先端が第2搬送ローラ対303に到達し、第2搬送ローラ対303に進入する(ステップS12)。
【0089】
次に、CPU回路部900は、第1搬送ローラ対301及び第2搬送ローラ対303によりシートPを搬送させる。そして、シートPの後端が第1搬送ローラ対301を通過した後(ステップS13)、シートPの後端が第1搬送ローラ対301から離れる。
【0090】
次に、CPU回路部900は、シートPの後端が検知部700から196.6mm離れたところまでシートPを搬送させると、シートPの後端が第2搬送ローラ対303を通過して第2搬送ローラ対303から離れる(ステップS14)。そして、シートPが積載トレイ702に排出される(ステップS9)。
【0091】
ここで、第1搬送ローラ対301から排出されたシートPは、坪量が大きくシートPの剛性が高いため、第2搬送ローラ対303にそのまま案内しても第2搬送ローラ対303においてシートPに皺が発生する可能性が低い。
【0092】
このように、非処理モードの実行時に開閉制御を選択的に実行することで、開閉制御の必要な剛性の低いシートPに対しては、効果的に皺の発生を抑制することができる。そして、開閉制御の必要のない剛性の高いシートPに対しては、常閉制御を実行することで、揺動ガイド306の揺動時の稼動音や揺動モータ321の駆動時の消費電力を最小限に抑えることができる。
【0093】
次に、処理トレイ305に積載されたシート束にステイプル処理を施す処理モードが選択された場合について説明する。
【0094】
図9は、処理モードにおけるシート搬送動作を示す説明図であり、図10は、第2搬送部を逆転させた場合を示す説明図であり、図11は、処理前にシート束を積載させた場合を示す説明図である。
【0095】
まず、最初の一枚目を処理トレイ305に積載させる場合、上記ステップS2?ステップS7と同様に、開閉制御を行う。この開閉制御により第2搬送ローラ対303においてシートPの腰付け状態が解除されて平坦になり皺の発生が抑制されている。
【0096】
そして、図9に示すように、シートPの後端(シート搬送方向上流端)が第1搬送ローラ対301を抜けてから位置Yまで搬送されると、第2搬送ローラ対303を逆転させ、シートPを処理トレイ305に排出させる。ここで、位置Yは、シート搬送経路における第1搬送ローラ対301と第2搬送ローラ対303との間の位置である。
【0097】
このように第2搬送ローラ対303を逆転させることにより、図10に示すように、シートPが矢印B方向に搬送され、シートPの後端が、後端突き当て部308の突き当て面308aに突き当てられる。
【0098】
ここで、シートPにおいて第2搬送ローラ対303に挟持されている部分は、腰付け状態が解除され平坦となり、第2搬送ローラ303aを開位置に移動させたときのシートPの挙動は安定している。従って、処理トレイ305におけるシートの整合性の低下が抑制される。
【0099】
その後、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aを開位置に移動させ、図11に示すように、2枚目以降のシートPを待ち受ける状態となる。そして第1搬送ローラ対301から排出された2枚目以降のシートPは、処理トレイ305の傾斜及び不図示の引き込み手段によって、処理トレイ305に積載されたシートP上を滑降する。
【0100】
以上、処理モードを実行する際に、最初の1枚目を処理トレイ305に積載させる際には、第2搬送ローラ303aの開閉制御を実行する。そして、2枚目以降を処理トレイ305に積載させる際には、開閉制御を実行するとシートが乱れるおそれがあるので、第2搬送ローラ303aを常に開位置に移動させている。これにより開閉制御が選択的に実行され、シートが乱れることなく処理トレイ305に積載される。
【0101】
そして、ユーザが指定した枚数のシートPが処理トレイ305上に積載され、整合板309,311で整合された後、処理トレイ305上のシート束をステイプラ310で綴じるステイプル処理が施される。ステイプル処理後、第2搬送ローラ対303の第2搬送ローラ303aが開位置に移動してシート束が挟持され、第2搬送ローラ対303によって積載トレイ702へと排出される。
【0102】
以上、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施の形態において、本発明に係るシート搬送装置としてのシート排出部600をシート処理装置としてのフィニッシャ500に組み込んだ構成について説明したが、例えば、シート排出部600を複写機本体100に組み込んでも同様の効果が得られる。
【0103】
また、上記実施の形態では、第1腰付部302がシート搬送経路に常時突出している場合について説明したが、これに限るものではない。即ち、第1腰付部302を、シート搬送経路に突出してシートに腰を付ける突出位置と、シート搬送経路から退避する退避位置とに移動自在に構成してもよい。そして、上述した常閉制御を実行する際に、第1腰付部302を退避位置に移動させておき、シートに対して腰付けを行わないようにしてもよい。この常閉制御を実行するのは、シートの剛性が高い場合等、シートに腰を付けなくても座屈する可能性が低いシートの場合である。従って、第1腰付部302でシートに腰を付けなくても第2搬送部202に導くことができ、シートには腰が付いていないので、第2搬送部202において皺が発生する可能性は極めて低い。また、シートには、第1腰付部302の腰付けによるスジが形成されることもなく、シートの画像品質が向上するものである。
【0104】
同様に、第2腰付部304を、シート搬送経路に突出してシートに腰を付ける突出位置と、シート搬送経路から退避する退避位置とに移動自在に構成してもよい。そして、上述した常閉制御を実行する際に、第2腰付部304を退避位置に移動させておき、シートに対して腰付けを行わないようにしてもよい。これにより、シートには、第2腰付部304の腰付けによるスジが形成されることもなく、シートの画像品質が向上する。
【0105】
また、上記実施の形態では、制御手段としてのCPU回路部900が、フィニッシャ500に搭載される場合について説明したが、複写機110に搭載されていればよいものであり、例えば、複写機本体100に搭載される場合であってもよい。
【0106】
また、上記実施の形態では、入力手段としての操作部810が、複写機本体100に搭載される場合について説明したが、複写機110に搭載されていればよいものであり、例えば、フィニッシャ500に搭載される場合であってもよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、シート情報として、シートの坪量の場合について説明したが、これに限定するものではなく、シートの厚さ、シートのサイズ、シートの材質等であってもよい。具体的に説明すると、図6に示すステップS1では、腰を付けたシートを閉位置にある第2搬送ローラ対303に搬送したとき、第2搬送ローラ対303において皺が発生するおそれのあるシートであるか否かを判断しているものである。従って、この判断を、シートの坪量の代わりに、シートの厚さ、シートのサイズ、シートの材質で行ってもよく、また、これらの組み合わせで判断するようにしてもよい。このようなシート情報は、ユーザによる操作部810の操作により入力される。
【0108】
また、上記実施の形態では、開閉制御を実行する際に、入力されたシート情報に関わらず、閉位置となるタイミングを変更しない場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、開閉制御を実行する際に、シート情報に応じて、閉位置となるタイミングを変更するようにしてもよい。例えば、シート情報がシートの坪量の場合、シートの坪量が増加するにつれて閉位置にするタイミングを早めてもよい。この場合、シートの坪量が増加するにつれてシートの剛性は高くなる。そして、シートの剛性が高くなるほど、シートの皺の発生の可能性は低くなるので、閉位置にするタイミングを早めても、シートに皺が発生するのを抑制することができる。このように閉位置にするタイミングを早めることにより、第2搬送部202に導かれたシートを早めに第2搬送部202に搬送させることができるので、シートの搬送性を向上させることができる。尚、シート情報としては、坪量以外にも、シートの厚さ、シートのサイズ、シートの質等であってもよい。また、開閉制御を実行する際に、シート情報に応じて、開位置における第2搬送部202の第2搬送ローラ303aの開放量を変更してもよい。例えば、シート情報がシートの厚さである場合、シートの厚さが増すほど、第2搬送ローラ303aの開放量を増加させてもよい。これにより、シートが第2搬送部で引っかかるのを抑制することができる。この場合も、シート情報として、シートの厚さ以外にも、シートの坪量、シートのサイズ、シートの質等であってもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、第1搬送手段としての第1搬送部201が、第1搬送ローラ対301及び第1腰付部302を備える場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第1搬送手段が、一対の第1搬送ローラを備え、各ローラは、ローラ軸と、ローラ軸の軸方向に並設される複数のローラ体とを有し、一方の第1搬送ローラのローラ体が、他方の第1搬送ローラのローラ体間に入り込むように構成してもよい。これにより、別途、第1腰付部を備えなくても、シートを搬送しながらシートに腰を付けることができる。また、上記実施の形態における第1腰付部を、このような一対のローラで構成してもよい。
【0110】
同様に、上記実施の形態では、第2搬送手段としての第2搬送部202が、第2搬送ローラ対303及び第2腰付部304を備える場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第2搬送手段が、一対の第2搬送ローラを備え、各ローラは、ローラ軸と、ローラ軸の軸方向に並設される複数のローラ体とを有し、一方の第2搬送ローラのローラ体が、他方の第2搬送ローラのローラ体間に入り込むように構成してもよい。これにより、別途、第2腰付部を備えなくても、シートを搬送しながらシートに腰を付けることができる。また、上記実施の形態における第2腰付部を、このような一対のローラで構成してもよい。この場合、一方のローラは、一方の第2搬送ローラが配設される揺動ガイドに配設すればよい。これにより、揺動ガイドを揺動させることで、一方の第2搬送ローラと一方のローラとを同時に開位置或いは閉位置に移動させることができる。
【0111】
また、上記実施の形態では、第2搬送部202が、積載トレイ702にシートを排出する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第2搬送部のシート搬送方向下流側に、シートを搬送する第3搬送部を備え、第2搬送部を通過したシートを第3搬送部に導くようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態では、第2搬送ローラ対303の一方の第2搬送ローラ303aが開位置と閉位置に変更自在に構成されたが、他方の第2搬送ローラ303b或いは両方の第2搬送ローラ303a,303bが開位置と閉位置に変更自在に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】シート処理装置の要部を示した説明図である。
【図3】シート処理装置の要部を拡大した説明図である。
【図4】揺動ガイドが回動した場合を示す説明図である。
【図5】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図6】非処理モードが選択された場合の各部の動作を示すフローチャートである。
【図7】シートに腰を付けて搬送している状態を示す説明図である。
【図8】第2搬送部を閉位置に戻してシートを搬送する場合を示す説明図である。
【図9】処理モードにおけるシート搬送動作を示す説明図である。
【図10】第2搬送部を逆転させた場合を示す説明図である。
【図11】処理前にシート束を積載させた場合を示す説明図である。
【図12】従来のシート処理装置の要部を示した説明図である。
【図13】従来のシート処理装置の要部を拡大した説明図である。
【符号の説明】
【0114】
102 画像形成部(画像形成手段)
110 複写機(画像形成装置)
201 第1搬送部(第1搬送手段)
202 第2搬送部(第2搬送手段)
301 第1搬送ローラ対
301a,301b 第1搬送ローラ
302 第1腰付部(腰付部)
303 第2搬送ローラ対
303a,303b 第2搬送ローラ
304 第2腰付部
305 処理トレイ(シート積載手段)
306 揺動ガイド
310 ステイプラ(処理手段)
500 フィニッシャ(シート処理装置)
600 シート排出部(シート搬送装置)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに腰付けし、シートを挟持して搬送する第1搬送手段と、
互いに対向する一対の回転体を有し、前記第1搬送手段により搬送されたシートを前記一対の回転体により挟持して搬送する第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により排出されるシートを積載する積載トレイと、
前記一対の回転体を、シートを挟持して前記積載トレイへ排出する閉位置と、離間してシートを挟持しない開位置と、に開閉制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1搬送手段により搬送されたシートのシート搬送方向下流端が前記開位置にある前記一対の回転体の間に進入した後で、かつ前記第1搬送手段に挟持されているシートのシート搬送方向上流端が前記第1搬送手段から離れる前に、前記一対の回転体を前記閉位置にする開閉制御を行い、前記一対の回転体によりシートを挟持して前記積載トレイへ排出するよう制御することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、シートの剛性に関するシート情報に応じて、シートの剛性が所定の剛性よりも低い場合は前記開閉制御を選択して実行し、シートの剛性が前記所定の剛性以上の場合は前記一対の回転体を前記閉位置のままシートを前記一対の回転体に導く常閉制御を選択して実行することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送手段が、シートを搬送するシート搬送経路に突出してシートに腰を付ける突出位置と、前記シート搬送経路から退避する退避位置とに移動自在に構成される腰付部を有し、
前記制御部が前記常閉制御を実行する際には、前記腰付部を前記退避位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉制御を実行する際に、シートの剛性に関するシート情報に応じて、シートの剛性が高いほど前記一対の回転体が前記閉位置となるタイミングを早めることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記シート情報は、シートの坪量、シートの厚さ、シートのサイズ、シートの質のいずれかであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記開閉制御を実行する際に、シートの厚さが増すほど、前記開位置における前記一対の回転体の開放量を増加させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第2搬送手段は、シートに腰付けしてシートを搬送可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間に配置され、前記第1搬送手段を通過したシートを積載可能なシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートに処理を施す処理手段と、を備え、
前記一対の回転体を前記開位置にして前記第1搬送手段を通過したシートを前記シート積載手段に積載した後、前記処理手段により処理を施し、前記一対の回転体を前記閉位置にして前記一対の回転体により搬送する処理モードと、前記第1搬送手段を通過したシートを、直接、前記一対の回転体に導き、前記一対の回転体により搬送する非処理モードと、のいずれかのモードを実行し、
前記非処理モードの実行時に、前記開閉制御を選択的に実行することを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成されたシートを処理する請求項8に記載のシート処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成されたシートを搬送する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-08-29 
出願番号 特願2007-305127(P2007-305127)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (B65H)
P 1 41・ 853- Y (B65H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 立人  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 千葉 成就
熊倉 強
登録日 2013-03-29 
登録番号 特許第5230170号(P5230170)
発明の名称 シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置  
代理人 近島 一夫  
代理人 近島 一夫  

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