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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200922494 審決 特許
平成23行ケ10254審決取消請求事件 判例 特許
平成24行ケ10299審決取消請求事件 判例 特許
無効2011800064 審決 特許
平成25行ケ10172審決取消請求事件 判例 特許

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審決分類 審判 全部無効 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  A23L
審判 全部無効 発明同一  A23L
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
管理番号 1280221
審判番号 無効2011-800233  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-11-14 
確定日 2013-08-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4767719号「液体調味料の製造方法」の特許無効審判事件についてされた平成24年7月13日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において請求項1ないし5、9に係る発明に対する部分の審決取消しの判決(平成24年(行ケ)第10299号、平成25年4月11日)があったので、審決が取り消された部分の請求項1ないし5、9に係る発明についてさらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4767719号の請求項1ないし5、9に係る発明についての特許を無効とする。 平成24年7月13日付け審決のうち、「訴訟費用は、請求人の負担とする。」との部分を取り消す。 審判費用は、3分の1を請求人の負担とし、3分の2を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成18年 2月27日 特許出願(国内優先権主張:平成17年4月15日)
平成23年 6月24日 特許権の設定登録
平成23年11月14日 審判請求書及び
甲第1ないし10号証提出
平成24年 2月 3日 答弁書及び乙第1ないし3号証提出
同 日 訂正請求書(1回目)
平成24年 3月16日 弁駁書
平成24年 5月 8日付け 審理事項通知書
平成24年 6月 7日 請求人口頭審理陳述要領書及び
甲第11号証提出
平成24年 6月 7日 被請求人口頭審理陳述要領書及び
乙第4及び5号証提出
平成24年 6月21日 被請求人上申書提出
平成24年 6月21日 口頭審理
無効理由通知
平成24年 6月21日 訂正請求書(2回目)
平成24年 7月13日付け 一次審決(請求不成立)

平成24年 8月21日 審決取消訴訟(請求人提起)
(平成24年(行ケ)第10299号)
平成25年 4月11日 判決言渡(審決一部取消)
平成25年 4月25日 審判の一部確定(請求項6?8)


第2 本審決の審理範囲
平成23年11月14日付け審判請求書において、請求人が特許第4767719号の特許(請求項1?9)を無効とする旨の請求を行い、
平成24年7月13日付け一次審決において、
「訂正を認める。
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。」
との結論が判示されたものの、
平成25年4月11日に言渡された判決において、
「1 特許庁が無効2011-800233号事件について平成24年7月13日にした審決のうち、請求項1ないし5及び9に係る部分をいずれも取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し、その2を被告の、その余を原告の各負担とする。」
と判示され、平成25年4月25日に判決が確定した。

しかるに、一次審決は、特許第4767719号の請求項6ないし8を無効とする旨の請求人の請求に対して「成り立たない。」とした部分において平成25年4月25日に確定し、併せて請求項6に係る平成24年6月21日付け訂正請求書(2回目)の訂正事項3に対して「訂正を認める。」とした部分においても一体的に確定している。

したがって、本審決において審理すべき対象は、平成25年4月11日に言渡された判決において、一次審決の「本件審判の請求は、成り立たない。」との結論が取り消された請求項1ないし5及び9に係る部分のみである。


第3 訂正の適否
1 訂正事項
本件特許の訂正について、平成24年2月3日付け訂正請求書(1回目)及び平成24年6月21日付け訂正請求書(2回目)が提出されているが、「訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす」(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法<以下、「改正前の特許法」という。>第134条の2第4項)と規定されているから、訂正請求書(2回目)における訂正の請求のみを検討の対象とする。

(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲請求項1について、
「血圧降下作用を有する物質」を「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」として、

「【請求項1】
工程(A):生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質との混合物をその中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を行うことを含む液体調味料の製造方法。」を

「【請求項1】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物をその中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を行うことを含む液体調味料の製造方法。」
と訂正する。(下線は訂正箇所を示す。)

(2)訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲請求項2について、
「血圧降下作用を有する物質」を「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」として、

「【請求項2】
工程(A):生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を有しており、
生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合しながら、混合物の中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。」を

「【請求項2】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を有しており、
生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合しながら、混合物の中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。」
と訂正する。(下線は訂正箇所を示す。)

2 訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
(1)訂正事項1及び訂正事項2について
本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2の「血圧降下作用を有する物質」を「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」とする訂正は、「血圧降下作用を有する物質」を具体化し「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正である。

そして、「血圧降下作用を有する物質」として「ペプチド」、「コーヒー豆抽出物」は、本件特許の明細書段落【0003】に「生理活性機能を有する素材として、様々な素材が提案されているが、その一つとして血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ-アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている(特許文献1?3)。」と特許文献を挙げて記載されているとおり、本件特許の優先権主張日前によく知られたものである。なお、特許文献1?3は、【0005】に記載されているとおり「【特許文献1】特開2004-194515号公報【特許文献2】特開2004-290088号公報【特許文献3】特開2002-87977号公報」であって、特許文献1(特開2004-194515号公報)には生コーヒー豆抽出物が、特許文献2(特開2004-290088号公報)にはアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドが、特許文献3(特開2002-87977号公報)にはコーヒー豆抽出物が、血圧降下作用を有する物質として記載されている。
さらに、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2における「血圧降下作用を有する物質」について、本件特許の明細書段落【0013】には、「本発明における血圧降下作用を有する物質とは、ポリフェノール類、アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド及び交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等をいい、これらから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。」と記載されている。
このなかで、好ましいポリフェノール類について、本件特許の明細書段落【0014】にクロロゲン酸類が挙げられ、さらに、クロロゲン酸類を含有する天然物抽出物、特に植物抽出物として、本件特許の明細書段落【0017】にはコーヒー豆が好ましい旨記載され、本件特許の明細書段落【0018】?【0024】にはクロロゲン酸類をコーヒー豆から抽出する方法に関する事項が記載されている。そして、本件特許の明細書段落【0064】?【0070】及び【0073】及び【0075】?【0076】には、生醤油にコーヒー豆抽出物を添加して液体調味料1を製造した実施例が記載されている。
また、「アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド」については、本件特許の明細書段落【0027】に食品原料由来であるものが使用できるとして、乳由来のペプチド、穀物由来のペプチド及び魚肉由来のペプチドが好ましい旨、記載されており、さらに本件特許の明細書段落【0028】には、本件特許発明に用いられるアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドのアンジオテンシン変換酵素阻害活性の血圧降下作用が期待できる強さについて具体的な濃度の数値で記載され、また、本件特許の明細書段落【0029】には本件特許発明に配合できるペプチドの市販品について、さらに、本件特許の明細書段落【0030】には、血圧降下作用及び風味の点から好ましい配合量について具体的な数値が記載されている。
したがって、上記記載事項を総合すると、「血圧降下作用を有する物質」を「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」とする訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3 請求人の主張について
請求人は、弁駁書および口頭審理陳述要領書において「「ACE阻害ペプチド」を追加する訂正は、「当業者によって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項」ではなく、「当初明細書等に記載した事項」ではありません。すなわち、新規事項に該当するものであります。」(口頭審理陳述要領書 第3頁22行目?25行)と、新規事項を追加する訂正であるので認めるべきではない旨、主張している。
さらに、請求人は甲第11号証を提出して、「液体調味料の製造方法」に係る他の出願(特願2006-34074号)の審査過程における補正の適否の判断において、審査官が、実施例においてACE阻害ペプチドを含む液体調味料の効果を確認した実験データが出願当初の明細書に記載されていないことを理由に、特許法第17条の2第3項違反(新規事項の追加)を理由とする拒絶理由を通知し、また、この拒絶理由通知に対し、本件被請求人たる出願人が応答せず、拒絶査定が確定したとの事例が存在することを主張している。
しかしながら、明細書又は図面に記載された事項は、通常、当該明細書又は図面によって開示された技術的思想に関するものであるから、明細書又は図面に明示的に記載されている場合や、その記載から自明である事項である場合には、そのような訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであると認められ、「明細書又は図面に記載された範囲内において」するものであるということができるものである。そうすると、本件訂正は、上記「2」に記載したとおり、本件特許の明細書に明示的に記載されているものであるので、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、甲第11号証は他の出願に係る手続に関する事項であり、これに拘束されることはないので、本件特許に係る訂正請求の適否の判断に参酌することはできない。

4 訂正請求に対する結論
以上のとおり、訂正事項1および2は、改正前の特許法第134条の2ただし書き、及び同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので適法な訂正と認める。
そして、この結論は、平成25年4月11日に言渡された判決と齟齬するところはない。

なお、上記「第2」で述べたように、請求項6に係る訂正事項3については、一次審決に記載の通り、既に平成25年4月25日に確定している。


第4 当事者の主張の概要および当審の無効理由の概要
これらの手続は、上記「第2」で述べた、請求項6ないし8に対する無効の請求が「成り立たない。」との一次審決が確定する以前に行われたものであるから、請求項6ないし8に対するものも含まれている。

1 請求人の主張の概要
請求人は、特許第4767719号特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書と共に甲第1号証ないし甲第10号証を提出し、弁駁書を提出し、口頭審理陳述要領書と共に甲第11号証を提出し、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし9に係る特許発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり(無効理由1)、本件の特許明細書は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものであり(無効理由2)、さらに、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2、6、9に係る特許発明は、その優先権主張日前の特許出願であって、その優先権主張日後に特許掲載公報の発行又は出願公開された甲第1号証に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が甲第1号証に記載の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が甲第1号証の出願人とも同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり(無効理由3)、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、2及び9に係る特許発明は、その優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布された甲2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり(無効理由4)、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?9に係る特許発明は、特許優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が甲第2号証?甲第9号証に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである(無効理由5)。

したがって、本件特許は同法第123条第1項第2号及び第4号に該当し、無効とすべきものであると主張している。

また、弁駁書及び口頭審理陳述要領書において、訂正は新規事項を追加するものであり認められるべきでないと主張している。

さらに、請求人は、平成24年6月21日の口頭審理において、平成24年6月21日付け訂正請求による訂正が認められた場合、無効理由4(新規性違反)と無効理由5(進歩性違反)を撤回するとしている(平成24年6月21日付第1回口頭審理調書参照)。

請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。

甲第1号証:特開2006-87328号公報
甲第2号証:特開平11-127号公報
甲第3号証:野白喜久雄、小崎道雄、好井久雄 編著、「醸造学」、
講談社サイエンティフィック、1982年4月10日
甲第4号証:特公昭62-40982号公報
甲第5号証:吉沢淑、石川雄章、蓼沼誠、長渾道太郎、永見憲三編集、
「醸造・発酵食品の事典」、朝倉書店、2002年1月15日
甲第6号証:栃倉辰六郎編著、「醤油の科学と技術」、
財団法人日本醸造協会、昭和63年3月30日
甲第7号証:特開平3-143533号公報
甲第8号証:特公平4-20583号公報
甲第9号証:特開2002-87977号公報
甲第10号証:特開2004-81053号公報

2 無効理由通知の概要
本件特許の請求項3乃至5及びこれらを引用する請求項9に係る発明は、その優先権主張日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開された特許出願である甲第1号証に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が甲第1号証に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記甲第1号証の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。よって、本件特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

3 被請求人の主張の概要
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁書と共に乙第1ないし第3号証を提出すると共に、訂正請求書(1回目)を提出し、また、口頭審理陳述要領書と共に乙4及び5号証を提出し、さらに、上申書を提出し、当審の無効理由通知に対して、訂正請求書(2回目)を提出して、請求人の主張する理由及び証拠によっては本件特許発明を無効とすることはできないと主張している。

被請求人の提出した証拠方法は以下のとおりである。

乙第1号証:美作大学・美作大学短期大学部紀要2010 Vol.55, pp.65?70
乙第2号証:Foood Chemistry 120(2007) pp.880-888
乙第3号証:「本発明品の風味評価結果」
(平成24年1月27日、花王株式会社 貝田純)
乙第4号証:平成24年6月4日付け「試験結果報告書1」
乙第5号証:平成24年6月4日付け「試験結果報告書2」


第5 当審の判断
上記「第2」に述べたように、以下、請求項1ないし5及び9に係る部分について審理する。

1 本件訂正発明について
(1)特許請求の範囲の記載
上記「第3」で述べたように、平成24年6月21日付け訂正請求書(2回目)の訂正事項1および2が認められることになるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし5及び9に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明5」及び「本件訂正発明9」といい、これらを併せて「本件訂正発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物をその中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程
を行うことを含む液体調味料の製造方法。
【請求項2】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を有しており、
生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合しながら、混合物の中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。
【請求項3】
混合物の中心温度が60℃になるように加熱処理するとき、60℃に達した時点から20分?2時間加熱し、
混合物の中心温度が90℃になるように加熱処理するとき、90℃に達した時点から5分?40分間加熱する、請求項1又は2記載の液体調味料の製造方法。
【請求項4】
加熱処理温度が60?80℃であり、混合物の中心温度が60℃になるように加熱処理するとき、60℃に達した時点から20分?2時間加熱し、
混合物の中心温度が80℃になるように加熱処理するとき、80℃に達した時点から10分?1.5時間加熱する、請求項1又は2記載の液体調味料の製造方法。
【請求項5】
(B)加熱処理工程後に(C)充填工程を行う請求項1?4のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。
【請求項9】
請求項1?8のいずれか1項に記載の方法で製造した液体調味料。」

(2)本件明細書の記載
本件明細書の発明の詳細な説明には、おおむね次のような記載がある。
ア 本発明は、血圧降下作用を有する物質を混合した液体調味料の製造方法に関する(【0001】)。

イ 昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっているが(【0002】)、生理活性機能を有する素材の一つとして、血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ-アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている(特許文献1?3)。特に、γ-アミノ酪酸は、食品中に含まれており、血圧降下作用、精神安定作用、抗更年期障害作用等が知られている(特許文献4?6、非特許文献1?3)。このように有用なγ-アミノ酪酸について、食品中の含有量を高める技術が公知である(特許文献7?13)(【0003】)。ところが、調味料にγ-アミノ酪酸を添加すると、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて風味の一体感が損なわれるという問題があるため、アミノ酸や核酸を配合することで、味質を改善する方法が開示されている(特許文献14)(【0004】)。しかし、液体調味料に血圧降下作用を有する物質を多量に配合すると、血圧降下作用には有利に働くものの、風味に変化が生じ、継続摂取し難くなる場合がある。特に、日常摂取する液体調味料においては、風味の変化が摂取に影響を及ぼすことから、メニューによって風味変化が生じることは、継続的な摂取への影響が懸念される。例えば、上記従来技術においてアミノ酸や核酸を配合することで味質を改善しようとしても、旨味が付与されて風味のバランスが崩れてしまうほか、コストが増加する等の新たな問題点も生じる(【0006】)。

ウ 本発明の目的は、日常的に摂取する商品である醤油又は醤油を含む液体調味料において、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡単な製造方法を提供することにある(【0007】)。

エ 本発明の発明者は、配合又は製造目的物である液体調味料の製造工程において、加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質を混合し、次いで加熱処理を行うこと、又は血圧降下作用を有する物質を混合しながら加熱処理することにより、血圧降下作用を有する物質を配合しても当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的摂取が容易となり、優れた血圧降下作用を有する液体調味料が得られることを見いだした(【0008】)。すなわち、本発明は、(A)生醤油を含む調味料と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程及び(B)生醤油を含む調味料を加熱処理する工程、を行うことを含む液体調味料の製造方法を提供するものである(【0009】)。
本発明によれば、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的に摂取することが容易となり、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料を得ることができる(【0010】)。

オ 本発明における液体調味料は、醤油を含む液体調味料をいい(【0011】)、本発明においては、生醤油を含む調味料と血圧降下作用を有する物質を混合することが必要である。生醤油とは、醤油の製造工程において、製造原料の仕込み、醗酵・熟成を行った後、圧搾して絞り出した液体部分をいい、製造工程で植え付けた麹菌により作られた酵素や、原料由来又は空気中からの各種の菌が存在するが、原料の成分を備えている段階のものである(【0012】)。
本発明における血圧降下作用を有する物質とは、ポリフェノール類、アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド(ACE阻害ペプチド)、交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等をいい、これらから選択される1種又は2種以上であることが好ましい(【0013】)。
より好ましいポリフェノール類としては、クロロゲン酸類が挙げられ、クロロゲン酸類は、市販され、安定かつ持続的な血圧降下作用を有することから特に好ましい(【0014】)。クロロゲン酸類を含有する天然物抽出物としては、例えば、コーヒー豆その他があるが、含有量の点からコーヒー豆が好ましく(【0017】)、クロロゲン酸類をコーヒー豆から抽出する方法としては、熱水又は水溶性有機溶媒により抽出することが好ましく、コーヒー豆は、生又は軽く焙煎したものであることがクロロゲン酸類の含有量が高い点からは好ましく、特に生コーヒー豆抽出物が好ましい。そのような生コーヒー豆抽出物は、複数の会社から市販されている(【0018】)。本発明の液体調味料へのポリフェノール類の液体調味料に対する配合量は、血圧降下作用及び風味の点から0.1?5質量%(以下「%」で示す。)、さらに0.2?3%、特に0.25?2%が好ましい。ポリフェノール量が0.1%以下では、十分な血圧降下作用が得られず、また、5%以上のポリフェノールの配合は、異味が強すぎて好ましくない(【0026】)。
ACE阻害ペプチドとしては、食品原料由来であるものが使用できる。特に乳由来のペプチド、穀物由来のペプチド及び魚肉由来のペプチドが好ましい。ここで、穀物由来のペプチドとしては、穀物(特にとうもろこし)由来の分子量200?4000のペプチドが好ましい。さらにまた、(特に)とうもろこし蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白等を(アルカリ性)プロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチドが好ましい。魚肉由来のペプチドとしては、魚肉由来の分子量200?1万のペプチド、さらにサバ、(特に)カツオ、マグロ、サンマ等の魚肉をプロテアーゼ処理して得られる分子量200?1万のペプチドが好ましい(【0027】)。
アンジオテンシン変換酵素阻害活性の強さは、アンジオテンシン変換酵素の活性を50%阻害する濃度(IC50)で示される。本発明に用いられるACE阻害ペプチドのIC50は、50?1000μg/mL程度であれば減塩醤油系において、血圧降下作用が期待でき(【0028】)、本発明に配合できるペプチドにはとうもろこし由来、小麦由来、大豆由来及びカツオ由来等の複数の市販品がある(【0029】)。
ACE阻害ペプチドの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から液体調味料中0.5?20%、更に1?10%、特に2?5%が好ましい(【0030】)。
交感神経抑制物質としては、γ-アミノ酪酸、タウリン及びこれらの塩等が挙げられる。γ-アミノ酪酸とは、4-アミノ酪酸(C_(4)H_(9)NO_(2))のことであり、甲殻類の神経筋接合部、哺乳動物の脳などに多く存在するアミノ酸の一種である(【0031】)。

カ 本発明において、(A)生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程は、製造原料の仕込み、醗酵・熟成、圧搾後に得られた生醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加し、混合する工程をいう。混合する際に攪拌を行うのが好ましく、生醤油を含む調味液を攪拌しながら血圧降下作用を有する物質を添加してもよいし、生醤油を含む調味液に血圧降下作用を有する物質を添加した後で攪拌してもよい。通常、添加剤を配合した醤油製品の製造方法においては、添加剤の添加、混合は、製造工程の最終段階である充填前に行われるが、本発明においては、血圧降下作用を有する物質を、生醤油を含む調味液に対して添加、混合することが必要である(【0035】)。
本発明において、(B)生醤油を含む調味液を加熱処理する工程とは、生醤油を含む調味液を特定の条件で加熱する工程のことをいう。工程(B)は、工程(A)の次に行うことが望ましい。また、製造工程の簡便性の点から、工程(A)と工程(B)を並行して行ってもよい。すなわち、生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを添加、混合しながら加熱処理を行って液体調味料を製造してもよく、加熱処理工程を開始した後に、生醤油をいまだ含む段階で血圧降下作用を有する物質とを添加、混合してもよい。工程(A)の次に工程(B)を行っても、工程(A)と工程(B)を並行して行っても、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくなる効果が得られる。加熱処理時の加熱温度は、調味液や血圧降下作用を有する物質の種類や量によって異なるが、60℃以上であることが、血圧降下作用を有する物質を混合しても、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが抑制されて風味良好であることから好ましい。加熱温度は、更に60?130℃、特に70?120℃、ことさら75?95℃であることが、風味、安定性、色等の点から好ましい(【0036】)。
本発明において、加熱処理は、液体調味料の品温で規定してもよい。加熱処理時に、品温(サンプルの中心温度)が60℃以上となるように加熱するのが好ましく、更に70?130℃、特に80?98℃、ことさら85?95℃となるように加熱するのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温60℃の場合、60℃に達した時点(60℃達温)から10時間以下の加熱処理が好ましく、更に60℃達温時より20分?5時間、特に30分?2時間、ことさら40分?1.5時間の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温80℃の場合、80℃に達した時点(80℃達温)から3時間以下の加熱処理が好ましく、更に80℃達温時より5分?2時間、特に10分?1.5時間、ことさら20分?1時間の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温85℃の場合、85℃に達した時点(85℃達温)から1時間以下の加熱処理が好ましく、更に85℃達温時より3分?50分、特に5分?40分、ことさら10分?30分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温90℃の場合、90℃に達した時点(90℃達温)から50分以下の加熱処理が好ましく、更に90℃達温時より30秒?40分、特に2分?30分、ことさら5分?20分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい(【0038】)。

キ 実施例
(ア)生醤油にコーヒー豆抽出物を1.2%添加した液体調味料1の7mlをガラス製スクリュービンに入れて閉栓し、40℃、60℃又は80℃のウォーターバスに浸漬し、それぞれ30分、60分又は120分加熱してから流水で冷却して製造した試験品1?9及び加熱処理しない対照品a(【0065】)を用いてホウレン草のおひたしを作製して風味評価を行ったところ、風味バランスについて、対照品aを使用したものは、「やや風味バランスに欠け、あまり好ましくない」という評価を得た一方、試験品を使用したものは、40℃で加熱した試験品7?9が対照品aと同じ評価であったほかは、いずれも「非常に風味バランスがよく、好ましい」か、あるいは「風味バランスがよく、やや好ましい」という評価を得たほか、コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準について、いずれも「コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない」か、当該風味が対照品に比べて「かなり低減している」又は「やや低減している」との結果を得た。また、上記試験品1?9及び対照品aを用いて金目鯛の煮付けを作製して風味評価を行ったところ、いずれも風味バランスについて「非常に風味バランスがよく、好ましい」との評価を得たほか、コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準について、いずれも「コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない」との評価を得た。このように、対照品aには調理品による風味の振れが明らかに存在し、良好ではなかった。なお、80℃で120分の加熱処理を施しても、有効成分であるクロロゲン酸の含有量は、低下しなかった(【0064】?【0070】【0073】【0075】【0076】【表1】)。
(イ)生醤油60質量部に浄水39.5質量部及び4-アミノ酪酸0.5質量部添加、混合して溶解した液体調味料2の7mlをガラス製スクリュービンに入れて閉栓し、40℃、60℃又は80℃のウォーターバスに浸漬し、それぞれ30分、60分又は120分加熱してから流水で冷却して製造した試験品10?18及び加熱処理しない対照品b(【0065】)について官能評価を行ったところ、風味バランスについて、対照品bは、「風味バランスに欠け、あまり好ましくない」という評価を得た一方、試験品は、いずれも「非常に風味バランスがよく、好ましい」、「風味バランスがよく、やや好ましい」あるいは「やや風味バランスに欠け、あまり好ましくない」という評価を得たが、特に60℃で120分加熱処理したもの及び80℃で30分又は60分加熱処理したものは、いずれも「非常に風味バランスがよく、好ましい」という評価であった。また、γ-アミノ酪酸由来の風味の評価基準については、60℃で120分加熱処理したもの及び80℃で加熱処理したものは、いずれも「γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味を全く感じない」という評価を受けたほか、60℃で30分又は60分加熱処理したものは、当該エグ味が対照品bに比べ「かなり低減している」又は「やや低減している」との評価を受けた。このように、対照品bは、γ-アミノ酪酸由来の後味が強く、風味バランスもよくなかった(【0064】【0065】【0070】?【0072】【0077】【0078】【表2】)。
(ウ)生醤油36質量部に、浄水23.28質量部、4-アミノ酪酸を0.24質量部及び塩化カリウム0.48質量部を添加した後、攪拌して溶解し、50mL容のガラス製サンプル瓶に入れて閉栓し、ウォーターバス(80℃)に浸漬して60分間加熱し、流水で冷却することで容器詰め液体調味料Pを製造した。これを開栓して風味評価を行ったところ、γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味がほとんど感じられず、カリウムの異味が抑制され、しかも風味の一体感が付与され、風味良好であった(【0074】)。

(3)本件訂正発明の課題について
ア 以上の本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば、本件訂正発明の解決すべき課題は、上記「(2)イ」に記載のとおり、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、ACE阻害ペプチド又はクロロゲン酸類を有効成分とするコーヒー豆抽出物等の血圧降下作用を有する物質(【0013】【0014】【0017】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になる(【0003】【0006】)というものであると認められる。
そして、液体調味料の継続摂取が困難となる原因は、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化であるから、本件訂正発明の解決すべき課題は、より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化の改善であるといえる。

(4)本件訂正発明の技術的思想について
以上によれば、本件訂正発明は、醤油を含む液体調味料(【0011】)に、ACE阻害ペプチド又はクロロゲン酸類を有効成分とするコーヒー豆抽出物等の血圧降下作用を有する物質(【0013】【0014】【0017】)を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になる(【0003】【0006】)という課題(より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合に、風味変化を改善するという課題)を解決するため、液体調味料の加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質であるACE阻害ペプチド又はコーヒー豆抽出物を混合し、次いで加熱処理を行うか、あるいはこれらの物質を混合しながら液体調味料を加熱処理するなどの手段を採用することで(【0008】【0009】【0035】【0036】【0038】)、これにより、血圧降下作用を有する物質を日常的に摂取する食品である液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料(本件訂正発明9)及びその簡単な製造方法(本件訂正発明1?5)を実現するという作用効果を有するものである(【0007】?【0010】)といえる。


2 無効理由2(実施可能要件)について
無効理由2(実施可能要件)については、平成25年4月11日に言渡された判決を踏まえ以下のように判断した。

(1)実施可能要件について
特許法36条4項1号は、発明の詳細な説明の記載は「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載したもの」でなければならないと規定している。
特許制度は、発明を公開する代償として、一定期間発明者に当該発明の実施につき独占的な権利を付与するものであるから、明細書には、当該発明の技術的内容を一般に開示する内容を記載しなければならない。特許法36条4項1号が上記のとおり規定する趣旨は、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が容易にその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には、発明が公開されていないことに帰し、発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。
そして、方法の発明における発明の実施とは、その方法の使用をする行為をいうから(特許法2条3項2号)、方法の発明については、明細書にその発明の使用を可能とする具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき当業者がその方法を使用することができるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(同項1号)、物の発明については、明細書にその物を製造する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき当業者がその物を製造することができるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。

(2)本件訂正発明の実施可能要件の適否について
本件訂正発明1ないし5は、いずれも方法の発明であるが、その特許請求の範囲の記載にある「生醤油」(【0012】)、「コーヒー豆抽出物」(【0018】)、「アンジオテンシン阻害活性を有するペプチド」(ACE阻害ペプチド。【0027】【0029】)及び「液体調味料」(【0011】)については、いずれも本件明細書に具体的にその意義、製造方法又は入手方法が記載されている。また、本件訂正発明1ないし5の方法は、上記「生醤油」を含む調味料と、「コーヒー豆抽出物」及び「アンジオテンシン阻害活性を有するペプチド」(ACE阻害ペプチド)から選ばれる少なくとも1種の原材料を混合し、特定の温度(及び時間)で加熱処理し、あるいは混合しながら同様に加熱処理し、更にその後に充填工程を行うというものであるが、これらの具体的手法は、液体調味料の加熱処理方法(【0065】)や、加熱処理が充填工程の前に行われること(【0035】)を含めて、いずれも本件明細書(【0035】【0036】【0038】)に記載されている。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明には、これに接した当業者が本件訂正発明1ないし5の使用を可能とする具体的な記載があるといえる。
また、本件訂正発明9は、本件訂正発明1ないし5のいずれかの方法により製造した液体調味料という物の発明であるが、以上のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には、これに接した当業者が本件訂正発明1ないし5の使用を可能とする具体的な記載がある以上、当業者は、本件訂正発明9を製造することができるものといえる。

(3)請求人の主張について
原告は、本件訂正発明はACE阻害ペプチドの由来や配合量等によって液体調味料の風味に大きな変化をもたらす可能性があり、かつ、血圧降下作用を示すとは限らないばかりか、風味変化と血圧降下作用を有する物質の配合量とが相反関係にある以上、ACE阻害ペプチドを使用する場合についての実施例が発明の詳細な説明に記載されていない限り、実施可能要件を満たさないと主張する。
しかしながら、本件明細書に本件訂正発明1ないし5の使用を可能とする具体的な記載があり、かつ、当業者が本件訂正発明9を製造することができる以上、本件訂正発明は、実施可能であるということができるのであって、原告の上記主張は、サポート要件に関するものとして考慮する余地はあるものの、実施可能要件との関係では、その根拠を欠くものというべきである。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(4)小括
以上のとおり、本件訂正発明は、特許法36条4項1号実施可能要件に適合するものである。


3 無効理由1(サポート要件)について
無効理由1(サポート要件)については、平成25年4月11日に言渡された判決を踏まえ以下のように判断した。

(1)サポート要件について
特許法36条6項1号には、特許請求の範囲の記載は、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したもの」でなければならない旨が規定されている。
特許制度は、発明を公開させることを前提に、当該発明に特許を付与して、一定期間その発明を業として独占的、排他的に実施することを保障し、もって、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを趣旨とするものである。そして、ある発明について特許を受けようとする者が願書に添付すべき明細書は、本来、当該発明の技術内容を一般に開示するとともに、特許権として成立した後にその効力の及ぶ範囲(特許発明の技術的範囲)を明らかにするという役割を有するものであるから、特許請求の範囲に発明として記載して特許を受けるためには、明細書の発明の詳細な説明に、当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載しなければならないというべきである。特許法36条6項1号の規定する明細書のサポート要件が、特許請求の範囲の記載を上記規定のように限定したのは、発明の詳細な説明に記載していない発明を特許請求の範囲に記載すると、公開されていない発明について独占的、排他的な権利が発生することになり、一般公衆からその自由利用の利益を奪い、ひいては産業の発達を阻害するおそれを生じ、上記の特許制度の趣旨に反することになるからである。
そして、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、あるいは、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)本件訂正発明のサポート要件の適否について
ア 本件訂正発明1ないし5及び9の記載は、上記「1(1)」に記載のとおりである。
他方、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記「1(2)オ」に記載のとおり、血圧降下作用を有する物質として、ポリフェノール類、ACE阻害ペプチド等が列記されている(【0013】)ところ、ポリフェノール類の一種であるクロロゲン酸類を含有するコーヒー豆抽出物の入手方法等についても記載がある(【0014】【0017】【0018】)ほか、ACE阻害ペプチドの具体例や入手方法等についても具体的な記載がある(【0027】?【0030】)。そして、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記「1(2)カ」に記載のとおり、液体調味料の加熱処理を行う前にこれらの血圧降下作用を有する物質を液体調味料に混合し、次いで加熱処理を行うか、あるいはこれらの物質を混合しながら液体調味料を加熱処理するなどの方法について、加熱処理の際の温度等を含めて具体的に記載しており(【0035】【0036】【0038】)、これらは、いずれも本件訂正発明1ないし5の特許請求の範囲の記載に対応するものであるといえるほか、これらの方法により本件訂正発明9の液体調味料の製造が可能であることは、上記「2」に説示のとおりである。
したがって、本件訂正発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるということができる。

イ 本件訂正発明は、上記「1」に説示のとおり、醤油を含む液体調味料に、ACE阻害ペプチド又はクロロゲン酸類を有効成分とするコーヒー豆抽出物等の血圧降下作用を有する物質を多量に配合すると、血圧降下には有利に働くものの、風味に変化が生じ、その結果、液体調味料の継続摂取が困難になるという課題(より具体的には、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合に、風味変化を改善するという課題)を解決するため、液体調味料の加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質であるACE阻害ペプチド又はコーヒー豆抽出物を混合し、次いで加熱処理を行うか、あるいはこれらの物質を混合しながら液体調味料を加熱処理するなどの手段を採用することで、これにより、血圧降下作用を有する物質を日常的に摂取する食品である液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料(本件訂正発明9)及びその簡単な製造方法(本件訂正発明1?5)を実現するという作用効果を有するものである。
したがって、本件訂正発明においては、血圧降下作用を有する物質が混合され、上記のように加熱処理された液体調味料の風味変化が改善されるのであれば、その課題が解決されたものとみて差し支えないといえる。

ウ そこで、本件明細書について、その発明の詳細な説明の記載により当業者が本件訂正発明の課題を上記のとおり解決できると認識できるものであるか否かを検討すると、そこには、上記「1(2)キ(ア)」に記載のとおり、上記「イ」に記載の物質のうちコーヒー豆抽出物を本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合に、液体調味料の風味変化を改善し、もって本件訂正発明の課題を解決できることが実施例をもって記載されている(【0064】?【0070】【0073】【0075】【0076】【表1】)から、この場合に本件訂正発明の課題を解決することができることが示されているといえる。
なお、血圧降下作用を有する物質としてコーヒー豆抽出物を使用した場合の本件訂正発明1ないし5及び9は、上記課題を解決するものであり、かつ、当該課題を解決する手段である混合及び加熱処理の工程もごく簡単なものである以上、その帰結として、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な液体調味料(本件訂正発明9)及びその簡単な製造方法(本件訂正発明1?5)を実現するという作用効果についても、本件明細書の発明の詳細な説明には開示があるということができる。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、血圧降下作用を有する物質がコーヒー豆抽出物である場合の本件訂正発明1ないし5の方法により製造された液体調味料(本件訂正発明9)が血圧降下作用を有するか否かについての具体的な記載が見当たらない。しかしながら、甲第9号証は、「高血圧症予防・改善・治療剤」という発明の公開特許公報(特開2002-87977号公報。平成14年3月27日公開)であるところ、そこには、12週齢の雄性自然発症高血圧ラットについて胃にコーヒー豆抽出物を投与した試験群は、対照群と比較して有意に血圧が降下したことが示されており(【0021】?【0026】)、また、甲第10号証は、「コーヒー抽出液の精製方法」という発明の公開特許公報(特開2004-81053号。平成16年3月18日公開)であるところ、そこには、甲第9号証を従来技術として引用しつつ、特にコーヒー生豆中に含まれる成分が高血圧の予防・改善・治療剤として応用されている旨が記載されている(【0002】)。このように、コーヒー豆抽出物が血圧降下作用を有することは、本件優先日当時に当業者に周知の事項であったものと認められるほか、本件明細書には、上記「1(2)キ(ア)」に記載のとおり、コーヒー豆抽出物の有効成分であるクロロゲン酸類の液体調味料における含有量が加熱処理によっても変化しないことが記載されている(【0076】)ことを併せ考えると、コーヒー豆抽出物を液体調味料と混合して加熱処理をした場合に、コーヒー豆抽出物の有効成分であるクロロゲン酸類は、その活性を失わず、加熱処理後も血圧降下作用を示すものと認められる。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明には、加熱処理等にもかかわらずコーヒー豆抽出物が血圧降下作用の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料(本件訂正発明9)及びその製造方法(本件訂正発明1?5)を実現するという作用効果について開示があるということができるから、仮に、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料及びその簡単な製造方法を実現することが本件訂正発明の解決すべき課題であるとしても、血圧降下作用を有する物質としてコーヒー豆抽出物を使用した場合の本件訂正発明1ないし5及び9については、本件明細書の発明の詳細な説明に当該課題を解決することができることが示されているといえる。

エ 他方、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記「イ」に記載の物質のうちACE阻害ペプチドを本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合の実施例の記載がない。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記「1(2)オ」に記載のとおり、血圧降下作用を有する物質として、ポリフェノール類、ACE阻害ペプチド、交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等が列記されており(【0013】)、コーヒー豆抽出物がポリフェノール類の一種であるクロロゲン酸類を含有しており(【0014】【0017】)、γ-アミノ酪酸が交感神経抑制物質の一種であること(【0031】)のほか、上記「1(2)キ(ア)ないし(ウ)」に記載のとおり、コーヒー豆抽出物(【0064】?【0070】【0073】【0075】【0076】【表1】)又はγ-アミノ酪酸(【0064】【0065】【0070】?【0072】【0074】【0077】【0078】【表2】)を本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合にも、液体調味料の風味変化を改善し、本件訂正発明の解決すべき課題を解決できることが実施例をもって記載されている。
しかるところ、本件明細書の発明の詳細な説明に列記された上記血圧降下作用を有する物質の間には、その化学構造に何らかの共通性を見いだすことができず、その風味にも共通性が見当たらないばかりか、発明の詳細な説明において実施例について記載のあるクロロゲン酸類及びγ-アミノ酪酸は、いずれもACE阻害ペプチドと共通する化学構造を有するものではなく、また、ACE阻害ペプチドと共通する風味を有するものでもないことに加え、上記血圧降下作用を有する物質の風味とその血圧降下作用に関連性がないこともまた、技術常識に照らして明らかである。
以上によれば、本件明細書の発明の詳細な説明に、コーヒー豆抽出物及びγ-アミノ酪酸を本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合して加熱処理した場合の実施例があり、それにより液体調味料の風味変化を改善し、本件訂正発明の解決すべき課題を解決できることが示されているとしても、これらは、ACE阻害ペプチドを本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混合し加熱処理した場合に、液体調味料の風味変化の改善という本件訂正発明の解決すべき課題を解決できることを示したことにはならない。
その他、本件明細書の発明の詳細な説明には、ACE阻害ペプチドを本件訂正発明における血圧降下作用を有する物質として液体調味料に混同して加熱処理をした場合に、上記課題が解決されたことを示す記載はない以上、本件明細書の発明の詳細な説明に接した当業者は、血圧降下作用を有する物質としてACE阻害ペプチドを使用した場合を包含する本件訂正発明1ないし5及び9が、液体調味料の風味変化の改善という課題を解決できると認識することができるとはいえず、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らして本件訂正発明の課題を解決できると認識できることを認めるに足りる証拠もない。

(3)小括
以上によれば、血圧降下作用を有する物質として、コーヒー豆抽出物に加えてACE阻害ペプチドを使用する場合を包含する本件訂正発明1ないし5及び9は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるといえるが、発明の詳細な説明の記載により当業者がその課題を解決できると認識できるものではなく、また、当業者が本件出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できるものであるともいえないから、サポート要件を満たすものとはいえない。


4 無効理由3(特許法第29条の2)について
(1)甲第1号証とその記載事項
甲第1号証(特開2006-87328号公報)は、本件特許の優先権主張日(平成17年4月15日)より前の平成16年9月22日に出願され、本件特許出願後の平成18年4月6日に公開されたものであり、本件特許出願の発明者が甲第1号証に記載された発明の発明者と同一ではなく、また本件特許出願時に、その出願人が甲第1号証の出願人と同一でもないものであって、下記の事項が記載されている。

(1a)「【請求項1】
減塩醤油に、塩化カリウム1.0?10.0重量%及びγ‐アミノ酪酸0.1?5.0重量%添加してなる低食塩醤油。
【請求項2】
食塩濃度0?10重量%、塩化カリウム1.0?10.0重量%及びγ‐アミノ酪酸0.1?5.0重量%を含有してなる低食塩醤油。」

(1b)「【0001】
本発明は、風味が良好で、血圧の上昇を顕著に抑制し、しかも心臓肥大を予防できる、特殊栄養食品としても利用可能な低食塩醤油に関する。なお、本発明でいう減塩醤油とは、塩化ナトリウム(NaClまたは食塩ということがある)が0?10重量%(W/V%)の醤油を意味する。」

(1c)「【0006】
更にまた醤油中の食塩の一部を塩化カリウム(KCl)で置換する方法も提案されている。
例えば、通常の醤油の製造法において、一方で食塩水の代わりにKCl溶液を仕込み水とし、これに麹を仕込んで発酵熟成させて食塩を含まないKCl含有醤油を製造し、他方で食塩水を仕込み水とし、これに麹を仕込んで発酵熟成させ通常の食塩含有醤油を製造し、次いで両者を混合して低食塩醤油を得る方法(特許文献1)、また食塩とKClの混合溶液を仕込み水とし、これに醤油麹を仕込んで発酵熟成させ低食塩醤油を得る方法(特許文献2)等が提案されている。
食塩の一部をKClで置換して低食塩醤油を製造する方法は工業操作上も簡単であり、非常に有利であるが、反面、KClは独特の苦味を有し、この苦味が醤油にとって致命的欠点となり、それ故KClで置換する量も自ずと制限されるという不都合があった。」

(1d)「【0008】
本発明は、食塩濃度が低く、風味が良好で、また血圧の上昇を顕著に抑制し、特殊栄養食品として利用可能な低食塩醤油を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は食塩の一部をKClで置換して低食塩醤油を製造する方法は工業操作上も簡単であり、非常に有利であることに着目し、このKCl独特の苦味を解消すべく、また血圧の上昇を顕著に抑制できる低食塩醤油を得るべく、鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにこのKCl含有低食塩醤油にγ‐アミノ酪酸を添加することにより、苦味を感じさせない醤油を得ることができること、また減塩醤油にKClとγ‐アミノ酪酸を併用添加するときは、血圧の上昇を顕著に抑制し得ることを知った。
【0010】
醤油中のγ‐アミノ酪酸濃度を増大させ、血圧の上昇抑制を期待することは従来公知であるが(特開平11-151072号、γ‐アミノ酪酸を富化した大豆食品素材)、この発明に記載された醤油は普通の食塩含有醤油を意味し、KClは含有しない。そして、この発明においてγ‐アミノ酪酸を増大する目的は高血圧症患者向けの特殊栄養食品を目的としており、KCl含有低食塩醤油の該KClの苦味を感じさせない醤油を得る目的とは異なる。
そして、KCl含有低食塩醤油にγ‐アミノ酪酸を添加することにより、KClの苦味(にがみ)が消失するという知見は、本発明者らによって初めて見出されたものである。」

(1e)「【0015】
そして、このようなKCl含有低食塩醤油に添加するγ‐アミノ酪酸とは、哺乳類の脳や脊髄に存在する抑制性の神経伝達物質であり、脳の血流を活発にさせ、酸素供給量を増大させて脳の代謝機能を亢進し、脊髄の血管運動中枢に作用して血圧を降下させる、抗利尿ホルモンであるバソプレッシンの分泌を抑制して、血管を拡張して血圧を下げることが報告されている公知物質である(新編脳代謝賦活剤、大友英一編、医薬ジャーナル社、1987)。」

(1f)「【0020】
γ‐アミノ酪酸の添加時期は、醤油の製造法の任意の工程が挙げられるが、できるだけ最終製品に近い工程、たとえば火入れ工程の前の生醤油(または諸味搾汁液)が好ましい。
【0021】
こうしてγ‐アミノ酪酸の添加されたKCl含有低食塩醤油は、KCl特有の苦味が消失し、風味良好な製品となる。」

(1g)「【0024】
(本発明の低食塩醤油の製造例)
蒸煮変性した脱脂大豆と炒熬割砕した小麦とを略等量混合し、これに種麹を接種し、42時間通風製麹して醤油麹を得、これを高濃度食塩水に仕込み、25?30℃で、適宜攪拌しながら150日間常法通りの諸味管理を行い、発酵熟成させた後、圧搾濾過して食塩約18%、T.N.約1.7%の生醤油を得た。
この生醤油を電気透析装置にて脱塩処理し、食塩0.5重量%、T.N.約1.6重量%の脱塩醤油を得た。
この脱塩醤油を4区分に分け、第1区分には塩化ナトリウム9.5重量%を添加溶解し、対照例区の低食塩醤油(食塩濃度10重量%)を得た。
また第2区分には、塩化ナトリウム6.5重量%及び塩化カリウム3.0重量%を添加し、比較例1区の低食塩醤油を得た。
また、第3区分には、塩化ナトリウム9.5重量%及び実験例2で得られたγ‐アミノ酪酸含有粉末(γ‐アミノ酪酸約6重量%含有)10重量%を添加溶解して、比較例2区の低食塩醤油を得た。
また、第4区分には塩化ナトリウム6.5重量%、塩化カリウム3.0重量%及び実験例2で得られたγ‐アミノ酪酸含有粉末(γ‐アミノ酪酸約6重量%含有)を10重量%添加溶解して、本発明区の低食塩醤油を得た。
次いで、それぞれ80℃で3時間火入れした後清澄濾過し、対照例区、比較例区1区、比較例2区及び本発明区の4種類の低食塩醤油を得た。
【0025】
これら4種類の低食塩醤油の苦味について、官能検査を実施した。
官能検査は、識別能力を有する訓練されたパネルにより行い、苦味について、感じない:「-」、わずかに苦味を感じる:「+-」、苦味を感じる:「+」、苦味を強く感じる:「++」と評価する方法を採用した。
結果を表1に示した。
【0026】
表1 低食塩醤油の苦味ついて官能検査結果


【0027】
表1に示す官能検査の結果から明らかなように、KCl含有醤油にγ‐アミノ酪酸を添加することにより醤油の苦味は消失し、本発明は低食塩醤油の製造法として有利であることが判る。
なお、上記実施例1の本発明の低食塩醤油の製造法において、NaCl対KClの塩組成比7対3はそのまま変えずに、醤油中のNaClとKClの合計塩濃度を8%、9%、11%、12%に代えて上記と同様に官能検査を実施したところ、ほぼ同様な結果が得られた。」

(1h)「【0035】
本発明において得られる低食塩醤油は、食塩摂取にも拘わらず、血圧の上昇を抑制し、さらに心臓肥大を抑制できる効果を奏し、また風味も良好であるから、高血圧症患者向けの特殊栄養食品としての利用も可能である。そして、低食塩であるにも拘らず塩味を程よく有するため、通常の食塩濃度を有する醤油と同様に、刺身、天ぷら、漬物用等に付け醤油として、納豆、豆腐等に掛け醤油として、また麺つゆ、たれ、ドレッシング、ラーメン用スープ等の素材用醤油として利用可能である。また、佃煮、水産練り製品、畜産練り製品などの加工用醤油としても利用可能である。」

(2)対比・判断
ア 本件訂正発明1について
甲第1号証の上記記載事項(特に(1a)、(1f)、(1g))から、甲第1号証には、
「火入れ工程の前の生醤油に、塩化カリウム及びγーアミノ酪酸含有粉末を添加溶解した後、火入れ工程を行う低食塩醤油の製造方法」に係る発明(以下、「甲1A発明」という。)が、記載されていると認められる。

そこで、甲1A発明と本件訂正発明1とを比較する。

(ア)本件訂正明細書の【0011】には、「本発明における液体調味料は、醤油、醤油加工品、減塩醤油、及びその他の醤油を含む液体調味料をいう。」と記載されており、本件訂正発明1の「液体調味料」は減塩醤油を含むものであるので、甲1A発明の「減塩醤油」は、本件訂正発明1の「液体調味料」に相当する。

(イ)甲1A発明の「火入れ工程」は、加熱することであるので、甲1A発明の「火入れ工程」は、本件訂正発明1の「加熱処理する工程」に相当する。

(ウ)甲1A発明の「γーアミノ酪酸含有粉末」は、血圧の上昇を抑制させるためものであることから(1d)、甲1A発明の「γーアミノ酪酸含有粉末」と、本件訂正発明1の「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」とは、「血圧降下作用を有する物質」である点で共通する。

したがって、両者の間には、以下の一致点及び相違点がある。

(一致点)
「工程(A):生醤油を含む調味液と、血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を行うことを含む液体調味料の製造方法。」

(相違点)
血圧降下作用を有する物質が、本件訂正発明1では「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」であるのに対し、甲1A発明は「γーアミノ酪酸含有粉末」である点。

そこで、上記相違点について検討する。

(相違点について)
本件訂正発明1の「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」と甲1A発明の「γーアミノ酪酸含有粉末」とは、物質が異なるため、相違するものである。よって、本件訂正発明1と甲1A発明は同一ではない。
そして、甲1A発明における、γーアミノ酪酸含有粉末を添加する作用・効果について、甲第1号証の記載を参照すると、γーアミノ酪酸が血圧を下げることが報告されている公知の物質であることが記載されているものの(1e)、γーアミノ酪酸を添加する目的は、食塩の一部をKClで置換して低食塩醤油を製造する方法において、KCl独特の苦味を解消すべく、KCl含有低食塩醤油にγーアミノ酪酸を添加するものであって、これによりKCl独特の苦味を感じさせない醤油を得ることができる旨、記載されており(1d)、甲1A発明では、KCl含有低食塩醤油におけるKCl独特の苦味を解消するために、γーアミノ酪酸を添加したものであって、γーアミノ酪酸自体の苦味や異味を問題にしたものではない。
そうすると、「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」が、KCl含有低食塩醤油におけるKCl独特の苦味を解消することが、本件優先権主張日前の技術常識ではない以上、甲1A発明において、γーアミノ酪酸含有粉末に代えて、「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」とすることは、周知技術、慣用技術の転換等でなく、また、課題解決のための具体化手段における微差ともいえない。よって、本件訂正発明1と甲1A発明は実質同一ということもできない。

したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとすることはできない。

イ 本件訂正発明2ないし5について

本件訂正発明2ないし5についても、「ア 本件訂正発明1について」と同様の理由で、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとすることはできない。

ウ 本件訂正発明9について
甲第1号証の上記記載事項(特に(1a)、(1f)、(1g))から、甲第1号証には、
「火入れ工程の前の生醤油に、塩化カリウム及びγーアミノ酪酸含有粉末を添加溶解した後、火入れ工程を行って製造した低食塩醤油」に係る発明(以下、「甲1B発明」という。)が、記載されていると認められる。

そこで、甲1B発明と訂正発明9とを比較すると、上記「ア 本件訂正発明1について(ア)(イ)(ウ)」で述べたとおりであり、以下の一致点、相違点がある。

(一致点)
「工程(A):生醤油を含む調味液と、血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を行うことを含む製造方法で製造した液体調味料。」

(相違点)
血圧降下作用を有する物質が、本件訂正発明9では「コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質」であるのに対し、甲1B発明は「γーアミノ酪酸含有粉末」である点。

そして、上記相違点については、上記「ア 本件訂正発明1について(相違点について)」で述べたとおりであって、同一ではなく、また実質的に同一ということもできない。

したがって、本件訂正発明9は、甲第1号証に記載された発明と同一ではないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとすることはできない。


5 無効理由4(新規性違反)及び無効理由5(進歩性違反)について
請求人は、平成24年6月21日の口頭審理において、訂正が認められた場合、無効理由4(新規性違反)及び無効理由5(進歩性違反)を撤回するとしている(平成24年6月21日付第1回口頭審理調書参照)。
そして、上記「第3 訂正の適否」に記載したとおり、平成24年6月21日付け訂正請求書(2回目)による訂正は認められるとしたので、無効理由4(新規性違反)及び無効理由5(進歩性違反)は、撤回したものとなった。


第6 むすび
以上のとおり、本件の訂正された請求項1ないし5及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、同法第123条第1項第4号の規定に該当するので、無効とする。
審判に関する費用については、1次審決の結論と併せ、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、3分の1を請求人が負担し、3分の2を被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液体調味料の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧降下作用を有する物質を混合した液体調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっており、厚生労働省もそのような生理機能を有する素材を含有する食品に対して特定保健用食品として許可を与えることとしている。これらの食品は、飲料、ヨーグルト、スープ、味噌汁、からあげ、ハンバーグなどの惣菜、即席麺、錠菓・錠剤などの形態で商品化されており、急激に需要が増大している。
【0003】
生理活性機能を有する素材として、様々な素材が提案されているが、その一つとして血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ-アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている(特許文献1?3)。特に、γ-アミノ酪酸は、食品中に含まれており、血圧降下作用、精神安定作用、抗更年期障害作用等が知られている(特許文献4?6、非特許文献1?3)。このように有用なγ-アミノ酪酸について、食品中の含有量を高める技術が公知である(特許文献7?13)。
【0004】
ところが、調味料にγ-アミノ酪酸を添加すると、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて、風味の一体感が損なわれるという問題がある。そこで、アミノ酸や核酸を配合することで、味質を改善する方法が開示されている(特許文献14)。
【0005】
【特許文献1】特開2004-194515号公報
【特許文献2】特開2004-290088号公報
【特許文献3】特開2002-87977号公報
【特許文献4】特開平10-215812号公報
【特許文献5】特開2004-35478号公報
【特許文献6】特開2004-290129号公報
【特許文献7】特開平7-227245号公報
【特許文献8】特開平9-238650号公報
【特許文献9】特開平11-103825号公報
【特許文献10】特開2001-352940号公報
【特許文献11】特開2003-169659号公報
【特許文献12】特開2004-147560号公報
【特許文献13】特開2004-313032号公報
【特許文献14】特開2004-275098号公報
【非特許文献1】Jpn Parmacol Ther(薬理と治療),30巻,11号,p.963(2002年)
【非特許文献2】食品と開発,36巻,6号,p.4(2001年)
【非特許文献3】FOOD Style 21,6巻,7号,p.53(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らが検討したところ、液体調味料に血圧降下作用を有する物質を多量に配合すると、血圧降下作用には有利に働くものの、風味に変化が生じ、継続摂取し難くなる場合があることが明らかとなった。特に、日常摂取する液体調味料においては、風味の変化が摂取に影響を及ぼすことから、メニューによって風味変化が生じることは、継続的な摂取への影響が懸念される。例えば、前述の従来技術において、調味料にγ-アミノ酪酸を添加し、当該物質特有の後味や、エグ味が生じて、風味の一体感が損なわれた場合に、アミノ酸や核酸を配合することで味質を改善しようとしても、旨味が付与されて風味バランスが崩れてしまう。また、コストが増加する等、新たな問題点も生じてしまうのが現状である。
【0007】
本発明の目的は、日常的に摂取する食品である醤油、又は醤油を含む液体調味料において、血圧降下作用を有する物質を液体調味料に配合した場合の風味変化を改善し、風味の一体感付与を図り、メニューによる風味の振れが少なくて継続的な摂取が容易な、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料の簡便な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、血圧降下作用を有する物質を含有させた液体調味料において、製造方法により風味を改善する手段について検討してきた。その結果、配合又は製造目的物である液体調味料の製造工程において、加熱処理を行う前に血圧降下作用を有する物質を混合し、次いで加熱処理を行うこと、又は、血圧降下作用を有する物質を混合しながら加熱処理することにより、血圧降下作用を有する物質を配合しても当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的摂取が容易となり、優れた血圧降下作用を有する液体調味料が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の工程(A)及び(B):
(A)生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程
(B)生醤油を含む調味液を加熱処理する工程
を行うことを含む液体調味料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくて、継続的に摂取することが容易となり、血圧降下作用等の薬理作用を高いレベルで発揮する液体調味料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における液体調味料は、醤油、醤油加工品、減塩醤油、及びその他の醤油を含む液体調味料をいう。ここでいう「醤油」及び「醤油加工品」は、日本農林規格で定義される「しょうゆ」、及び「しょうゆ加工品」と同一概念である。「しょうゆ」とは、日本農林規格に定義されるところの液体調味料であり、「しょうゆ加工品」とは、日本農林規格に定義される「しょうゆ」に調味料、酸味料、香料、だし、エキス類等を添加した、「しょうゆ」と同様の用途で用いられる液体調味料をいい、具体的にはつゆ、たれ等が挙げられる。「減塩醤油」とは、製品100g中のナトリウム量が3550mg(食塩として9g)以下の「しょうゆ」、および「しょうゆ加工品」をいう。本発明において、「低塩醤油」とは、製品100g中のナトリウム量が3550mg超?5522mg未満(食塩として9g超?14g未満)の「しょうゆ」、および「しょうゆ加工品」をいう。これら「減塩醤油」、「低塩醤油」は、栄養改善法の病者用の特別用途食品に限定されるものではない。
【0012】
本発明においては、生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質を混合することが必要である。本発明における生醤油とは、醤油の製造工程において、製造原料の仕込み、発酵・熟成を行った後、圧搾して絞り出した液体部分をいい、製造工程で植え付けた麹菌により作られた酵素や、原料由来、又は空気中からの各種の菌が存在するが、原料の成分を備えている段階のものである。
【0013】
本発明における血圧降下作用を有する物質とは、ポリフェノール類、アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチド及び交感神経抑制物質、食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等をいい、これらから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0014】
具体的には、ポリフェノール類としては、ベンゼン環にヒドロキシル基が2個以上結合したフェノール性物質が好ましい。たとえば、植物由来のフラボノイド、タンニン、フェノール酸などが挙げられる。また、これらの配糖体も用いることができる。より好ましいポリフェノール類としてはクロロゲン酸類、フラボノール類、フラバノール類、イソフラボン類等が挙げられ、例えばブドウ種子ポリフェノール、クランベリーポリフェノール等が市販されている。このうち、クロロゲン酸類は安定かつ持続的な血圧降下作用を有することから特に好ましい。クロロゲン酸類としては、カフェオイルキナ酸類、フェルロイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸が挙げられ、その他にカフェ酸、フェルラ酸等が含まれていても良い。
【0015】
クロロゲン酸類には、異性体、類縁体が存在し、本発明では、純粋な異性体、類縁体又はそれらの混合物を用いることができる。本発明におけるクロロゲン酸類には、具体的には、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸、5-フェルロイルキナ酸及び3-フェルロイル-4-カフェオイルキナ酸等が含まれる。
【0016】
クロロゲン酸類は、塩にすることにより水溶性を向上させることができ。これらの塩としては、薬学的に許容される塩であれば好ましい。このような塩の形態としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩が挙げられるが、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましい。本発明においては、これらの塩を調製してから、その他の成分からなる組成物中に添加したものでもよいし、クロロゲン酸類と塩形成成分とを別々に該組成物中に添加して、この中で塩を形成せしめたものでもよい。
【0017】
クロロゲン酸類を含有する天然物抽出物、特に植物抽出物としては、例えば、コーヒー豆、キャベツ、レタス、アーチチョーク、トマト、ナス、ジャガイモ、ニンジン、リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アプリコット、チェリー、ヒマワリ、モロヘイヤ、カンショ等が挙げられ、含有量の点からコーヒー豆が好ましい。
【0018】
クロロゲン酸類をコーヒー豆から抽出する方法としては、熱水又は水溶性有機溶媒により抽出することが、精製工程等の負荷の点から好ましい。コーヒー豆は、生、又は軽く焙煎したものであることが、クロロゲン酸の含有量が高い点から好ましく、特に生コーヒー豆抽出物が好ましい。具体的には、生コーヒー豆抽出物としては、長谷川香料(株)「フレーバーホルダーRC-30R」、オリザ油化(株)「生コーヒー豆エキスP」、東洋発酵(株)「OXCH100」等、リンゴ抽出物としては、ニッカウヰスキー(株)「アップルフェノン」、ヒマワリ種子抽出物としては、大日本インキ化学工業(株)「ヘリアントS-100」などが挙げられる。
【0019】
上記コーヒー豆抽出物はカフェインを多く含むが、本発明に使用する場合、カフェインが除去され高純度のクロロゲン酸類としたものであることが、液体調味料の風味を良好とする点から好ましい。コーヒー豆抽出物からカフェインを除去する方法としては、カフェイン含有コーヒー豆抽出物を、有機溶媒と水の質量比が9/1?1/9の混合溶液に溶解させ、活性炭及び/又は活性白土もしくは酸性白土と接触させることが好ましい。用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。
【0020】
有機溶媒と水の混合溶液に溶解させた後に接触させる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN-50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK-D、クラレコールPW-D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C、白鷺WH2C(日本エンバイロケミカルズ社製)などの市販品を用いることができる。
【0021】
有機溶媒と水の混合溶液に溶解させた後に接触させる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、CaO、MgO等を含有するものである。活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
【0022】
コーヒー豆抽出物の分散液と活性炭及び酸性白土又は活性白土との接触処理は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行っても良い。一般には、粉末状の活性炭等を添加、攪拌し、カフェインを選択的に吸着後、ろ過操作によりカフェインを除去した濾液を得る方法、あるいは顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理によりカフェインを選択的に吸着する方法が採用される。
【0023】
活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触させた後のコーヒー豆抽出物の分散液は、系中から有機溶媒を取り除くべく減圧蒸留などの方法を用いて留去される。また処理後のコーヒー豆抽出物は液状でも固体状でもいずれでも良いが、固体状態を調製する場合には凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
【0024】
脱カフェイン処理後のコーヒー豆抽出物中のカフェイン濃度は、クロロゲン酸類に対して、クロロゲン酸類/カフェインの質量比が5?80、更に10?60、特に10?50であるのが好ましい。10未満では、カフェインの呈味の影響が大きく食用に適さない。また、80以上では、ろ過工程の効率の観点から好ましくない。
【0025】
イソフラボンとしては、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニスチン、ダイジン、グリシチン及び、これら2種以上の混合物等の大豆から抽出したものが好ましく用いられる。特に配糖体であるゲニスチン、ダイジン、グリシチン及び、これら2種以上の混合物が溶解性の点で好ましい。このほか、液体調味料に溶解させ易いものとして、プルネチン(5,4’-ジヒドロキシ-7-メトキシ体),イリゲニン(5,7,3’-トリヒドロキシ-6,4’,5’-トリメトキシ体)等の配糖体を用いることができる。
【0026】
本発明の液体調味料へのポリフェノール類の配合量は、血圧降下作用及び風味の点から0.1?5質量%(以下、単に「%」で示す)、さらに0.2?3%、特に0.25?2%が好ましい。ここで、ポリフェノール類の配合量は、液体調味料に添加したポリフェノール類量である。ポリフェノール量が0.1%以下では、十分な血圧降下作用が得られない。また、5%以上のポリフェノールの配合は、異味が強すぎて好ましくない。
【0027】
アンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドとしては、食品原料由来であるものが使用できる。特に乳由来のペプチド、穀物由来のペプチド及び魚肉由来のペプチドが好ましい。ここで、穀物由来のペプチドとしては、穀物由来の分子量200?4000のペプチド、特にとうもろこし由来の分子量200?4000のペプチドが好ましい。さらにまた、とうもろこし蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白等をプロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド、特にとうもろこし蛋白をアルカリ性プロテアーゼで処理して得られる分子量200?4000のペプチド(特開平7-284369号公報)が好ましい。魚肉由来のペプチドとしては、魚肉由来の分子量200?10000のペプチド、さらにサバ、カツオ、マグロ、サンマ等の魚肉をプロテアーゼ処理して得られる分子量200?10000のペプチド、特にカツオ蛋白をプロテアーゼ処理して得られる分子量200?10000のペプチドが好ましい。
【0028】
アンジオテンシン変換酵素阻害活性の強さは、アンジオテンシン変換酵素の活性を50%阻害する濃度(IC50)で示される。本発明に用いられるアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドのIC50は50?1000μg/mL程度であれば、減塩醤油系において、血圧降下作用が期待できる。
【0029】
本発明に配合できるペプチドの市販品としては、とうもろこし由来のペプチドとしてペプチーノ(日本食品化工、IC50:130μg/mL)、小麦由来のペプチドとしてグルタミンペプチドGP-1(日清ファルマ、IC50:508μg/mL)、大豆由来のペプチドとしてハイニュート(不二製油、IC50:455μg/mL)、カツオ由来のペプチドとしてペプチドストレート(日本サプリメント、IC50:215μg/mL)等が挙げられる。
【0030】
当該ペプチドのアンジオテンシン変換酵素阻害活性は、例えば合成基質p-ヒドロキシベンゾイル-グリシル-L-ヒスチジル-L-ロイシンを用いた簡便で再現性の良い測定キットのACEカラー(富士レビオ株式会社)を使用することにより測定することができる。当該ペプチドの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から液体調味料中0.5?20%、更に1?10%、特に2?5%が好ましい。
【0031】
交感神経抑制物質としては、γ-アミノ酪酸、タウリン及びこれらの塩等が挙げられる。γ-アミノ酪酸とは、4-アミノ酪酸(C_(4)H_(9)NO_(2))のことであり、甲殻類の神経筋接合部、哺乳動物の脳などに多く存在するアミノ酸の一種である。γ-アミノ酪酸としては、公知の方法で製造したものを使用することができ、食品中に含有されるものを抽出したものの他、L-グルタミン酸含有食品にデカルボキシラーゼを作用させて生成させたもの等も好ましく用いることができる。特に、液体調味料に用いるのに最適なものとして、魚醤油諸味やその圧搾液、大豆、小麦、米胚芽、米糠を原料とするもの、さらに精製により純度を高めたものを用いることができる。
【0032】
本発明において、液体調味料中の液体調味料のγ-アミノ酪酸の含量は、血圧降下作用等の生理機能及び風味の点から0.04?5%、更に0.05?3%、特に0.08?1%、殊更0.1?0.5%が好ましい。ここで、γ-アミノ酪酸の含量は、液体調味料にもともと存在していた量と、添加した量の和である。なお、液体調味料中のγ-アミノ酪酸含量は、アミノ酸分析装置を用いて測定することができる。本発明において、血圧降下作用を有する物質としてγ-アミノ酪酸を用いると、液体調味料にγ-アミノ酪酸由来の後味、エグ味が生じず、風味の一体感が付与されて良好となる。
【0033】
タウリンとしては、食品(魚介、貝類)中に含有されるものを抽出したものを好ましく用いることができる。本発明の液体調味料へのタウリンの配合量は、血圧降下作用及び風味の点から0.05?5%、更に0.2?3%、特に0.5?2%が好ましい。
【0034】
本発明において、血圧降下作用を有する物質として、上記物質以外に食酢、ニコチアナミン、核酸誘導体、醤油粕、スフィンゴ脂質等を0.05?5%、更に0.2?3%、特に0.5?2%配合してもよい。
【0035】
本発明において、(A)生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合する工程は、製造原料の仕込み、発酵・熟成、圧搾後に得られた生醤油を含む調味液に対し、血圧降下作用を有する物質を所定量添加し、混合する工程をいう。混合する際に攪拌を行うのが好ましく、生醤油を含む調味液を攪拌しながら血圧降下作用を有する物質を添加してもよいし、生醤油を含む調味液に血圧降下作用を有する物質を添加した後で攪拌してもよい。通常、添加剤を配合した醤油製品の製造方法においては、添加剤の添加、混合は製造工程の最終段階である充填前に行われるが、本発明においては、血圧降下作用を有する物質を生醤油を含む調味液に対して添加、混合することが必要である。
【0036】
本発明において(B)生醤油を含む調味液を加熱処理する工程とは、生醤油を含む調味液を特定の条件で加熱する工程のことをいう。工程(B)は、工程(A)の次に行うことが、製造工程の管理上好ましい。また、製造工程の簡便性の点から、工程(A)と工程(B)を並行して行ってもよい。すなわち、生醤油を含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを添加、混合しながら加熱処理を行って液体調味料を製造してもよく、加熱処理工程を開始した後に、生醤油を未だ含む段階で血圧降下作用を有する物質とを添加、混合しても良い。工程(A)の次に工程(B)を行っても、工程(A)と工程(B)を並行して行っても、血圧降下作用を有する物質を含有させたものであるにもかかわらず、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが少なくなる効果が得られる。加熱処理時の加熱温度は、調味液や血圧降下作用を有する物質の種類や量によって異なるが、60℃以上であることが、血圧降下作用を有する物質を混合しても、当該物質由来の風味が生じず、メニューによる風味の振れが抑制されて風味良好であることから好ましい。加熱温度は、更に60℃?130℃、特に70?120℃、殊更75℃?95℃であることが、風味、安定性、色等の点から好ましい。
【0037】
本発明において、(B)加熱処理時の加熱時間は、加熱温度により異なるが、60℃の場合は10分?24時間、更に20分?10時間、特に30分?2時間、殊更40分?1.5時間であることが、風味、安定性、色等の点から好ましい。80℃の場合は、2分?3時間、更に5分?2時間、特に10分?1.5時間、殊更20分?1時間であるのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。このほか、加熱温度と加熱時間を組合せて、60?70℃で40分以上加熱した後、80℃で2分以上加熱する方法でもよい。
【0038】
本発明において、加熱処理は、液体調味料の品温で規定してもよい。加熱処理時に、品温(サンプルの中心温度)が60℃以上となるように加熱するのが好ましく、更に70?130℃、特に80?98℃、殊更85?95℃となるように加熱するのが、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温60℃の場合、60℃に達した時点(60℃達温)から10時間以下の加熱処理が好ましく、更に60℃達温時より20分?5時間、特に60℃達温時より30分?2時間、殊更60℃達温時より40分?1.5時間の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温80℃の場合、80℃に達した時点(80℃達温)から3時間以下の加熱処理が好ましく、更に80℃達温時より5分?2時間、特に80℃達温時より10分?1.5時間、殊更80℃達温時より20分?1時間の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温85℃の場合、85℃に達した時点(85℃達温)から1時間以下の加熱処理が好ましく、更に85℃達温時より3分?50分、特に85℃達温時より5分?40分、殊更85℃達温時より10分?30分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。品温90℃の場合、90℃に達した時点(90℃達温)から50分以下の加熱処理が好ましく、更に90℃達温時より30秒?40分、特に90℃達温時より2分?30分、殊更90℃達温時より5分?20分の加熱処理が、風味、安定性、色等の点から好ましい。
【0039】
本発明において、(B)加熱処理に使用する装置は、60℃以上の温度が容易に得られる加熱機器であればいずれでもよいが、直火式の地釜、蒸気または湯せん式の二重缶や蛇管、多管式の連続加熱機(パイプヒーター)、プレート式熱交換器(プレートヒーター)が例示される。
【0040】
本発明において、液体調味料として減塩醤油類を製造する場合は、生醤油を電気透析、又は塩析/希釈により食塩含量の低下した生醤油(減塩生醤油)を調製し、これを含む調味液と血圧降下作用を有する物質とを混合した後、加熱処理を行う、等の方法により製造することができる。
【0041】
食塩の過多な摂取は、腎臓病、心臓病、高血圧症に悪影響を及ぼすことから、本発明においては、食塩の摂取量を制限するために、製品100g中のナトリウム量が食塩として14g未満の低塩醤油を使用するのが好ましく、更に9g以下である減塩醤油を使用することが好ましく、血圧降下作用を有する物質との相性が良い。また、液体調味料として低塩醤油又は減塩醤油を用いた場合には、血圧降下作用を有する物質としては、風味との相性の点からγ-アミノ酪酸を用い、本発明の製造方法を用いることが好ましい。
【0042】
本発明において、液体調味料の食塩含有量を14%未満とするのが好ましく、更に0.5?12%、特に1?10%、殊更2?9%とするのが、血圧降下作用等の生理機能、風味の点で好ましい。同様に液体調味料中のナトリウム含有量を5.5%未満とするのが好ましく、更に0.2?4.7%、特に0.4?3.9%、殊更0.8?3.6%とするのが好ましい。更に、液体調味料中のカリウム含量を0.5?4.2%、更に1?3.6%、特に1.5?3.1%とすることが、食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。また、カリウムは塩味があり、かつ異味が少ない点から塩化カリウムを用いることが好ましい。塩化カリウムを用いる場合は1?7%、更に2?6%、特に3?5%配合することが好ましい。
【0043】
食塩含有量とカリウム含有量を前記範囲に調整するには、例えば仕込水として食塩と例えば塩化カリウムの混合溶液を用いて醤油を製造する方法;塩化カリウム単独の溶液を仕込水として用いて得た醤油と食塩水を単独で仕込水として用いて得た醤油とを混合する方法;食塩水を仕込水として用いた通常の醤油を電気透析、膜処理等によって食塩を除去した脱塩醤油に塩化カリウムを添加する方法等が挙げられる。
【0044】
また、本発明において、液体調味料を低塩又は減塩とした場合には液体調味料中の窒素の含有量を1.2%以上とすることが、食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。また、窒素の含有量はより好ましくは1.3%以上、更に1.4%以上、特に1.4?2%、殊更1.6?2%であることが好ましい。
【0045】
更に、本発明において、液体調味料を低塩又は減塩とした場合には液体調味料中の酸性/塩基性アミノ酸含有量を、酸性アミノ酸2%超及び/又は塩基性アミノ酸1%超とすることが食塩含有量が低いにもかかわらず塩味を増強させ、かつ苦味を生じない点から好ましい。酸性アミノ酸は、より好ましくは2%超5%以下、更に2.4?4.5%、特に2.5?3.8%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。塩基性アミノ酸は、より好ましくは1%超3%以下、更に1.2?2.5%、特に1.5?2%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。なお、これらのアミノ酸は原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合には酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸等を別添することが好ましい。なお、本発明にいう「酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸」は、遊離のアミノ酸又はアミノ酸塩の状態のものを指すが、本発明に規定する含有量は、遊離のアミノ酸に換算した値をいう。
【0046】
また、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸の中でも酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸が塩味の持続性の点から好ましく、更に、アスパラギン酸とグルタミン酸を併用することが、塩味の持続性の点から好ましい。この場合、アスパラギン酸の含有量は1?3%が好ましく、更に1.2?2.5%、特に1.2?2%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。アスパラギン酸は、醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合にはL-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム等を別添することが好ましい。また、グルタミン酸の含有量は1?2%が好ましく、更に1.2?2%、特に1.3?1.8%であることが、塩味の持続性の点から好ましい。グルタミン酸は、醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合にはL-グルタミン酸、L-グルタミン酸ナトリウム等を別添することが好ましい。
【0047】
塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、及びオルニチンが挙げられるが、中でもリジン、ヒスチジンが好ましく、特にヒスチジンが好ましい。リジンの含有量は0.5?1%であることが塩味の刺激感の点で好ましく、ヒスチジンの含有量は0.2?2%、更に0.5?1%であることが、塩味の増強及び持続性の点から好ましい。これらの塩基性アミノ酸も醸造調味料をベースとした場合には原料由来のものも含み、上記範囲に満たない場合には、別添することが好ましい。
【0048】
特に、アスパラギン酸/カリウムの質量比が0.25以上であることが好ましく、更に0.3以上、特に0.46以上、殊更0.5以上であることが、塩化カリウム由来の苦味を消失させる点から好ましい。また、アスパラギン酸/窒素の含有量の質量比が0.5以上であることが好ましく、更に0.6以上、特に0.7以上であることが塩味を強くし、シャープさを向上させる点から好ましい。
【0049】
通常の醤油の窒素含有量は1.2%?1.6%であるが、窒素含有量を1.6%以上とするには、通常の方法で醸造した醤油に、アミノ酸、好ましくは酸性アミノ酸及び/又は塩基性アミノ酸、更に好ましくはアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸をそれぞれ前記範囲の量となるように添加すること、又は濃縮及び脱塩の工程を施すことにより達成できる。例えば、減圧濃縮法によって食塩を除去するとともに、水を主成分とする揮発成分での希釈率を調整する方法や、電気透析装置によって食塩を除去する際に起こるイオンの水和水の移動を利用して、窒素分も同時に濃縮する方法等がある。また、通常より食塩分の低い減塩醤油をRO膜や減圧濃縮により、窒素含有量を高める方法や、逆に、たまり醤油、再仕込み醤油のような窒素含有量の高い醤油から脱塩することによる方法等がある。
【0050】
本発明においては、液体調味料のpHは3?6.5、更に4?6、特に4.5?5.5であることが、風味変化を抑制する点から好ましい。更に、塩素量4?9%、固形分量20?45%であることが好ましい。
【0051】
本発明の製造方法において、加熱処理工程で液体調味量に沈殿が生じる場合も想定されることから、必要に応じて(B1)清澄化工程を行うことが風味、外観の点で好ましい。清澄化工程とは、液体調味料に生じた沈殿を分離して清澄液を得る工程のことで、具体的にはろ過やデカンテーションが挙げられるが、効率の点でろ過が好ましい。ろ過を行う際のろ過機としては、葉状ろ過機、多段ろ板式ろ過機、セラミックろ過機、プラスチックろ過機、メンブランろ過機、中空膜(中空糸)ろ過機、限外ろ過機等が挙げられる。ろ材としては、ろ紙、ろ布、多孔質陶磁器(セラミック)、多孔質プラスチック、多孔質プラスチック膜、多孔質プラスチック中空膜等が挙げられる。ろ過効率を高めるために、繊維や珪藻土をろ過助剤として使用するのが好ましい。
【0052】
本発明の製造方法においては、必要に応じて(B2)冷却工程を行うのが、風味の点で好ましい。冷却工程とは、加熱処理工程を経た液体調味料や、更に清澄化工程を経た液体調味料を、冷却する工程のことである。冷却温度は、60℃以下であることが好ましく、更に5?50℃、特に10℃?40℃、殊更15?30℃であるのが風味の点で好ましい。
【0053】
本発明の製造方法においては、(C)充填工程を行うことが好ましい。(C)充填工程とは、加熱処理を施した液体調味料を容器に充填する工程をいう。容器に充填して密閉することにより、流通時に血圧降下作用を有する物質の劣化を抑制することができるので、好ましい。
【0054】
(C)工程としては、(B)工程の後、(1)液体調味料の温度が低下しないうちに((B2)冷却工程を経ないで)容器に充填する、(2)液体調味料の温度が低下してから((B2)冷却工程を経て)容器に充填する、(3)液体調味料の温度が低下した後(B2)冷却工程を経て)、再度加熱してから容器に充填する、の3通りの方法がある。これらに必要に応じて前述の(B1)清澄化工程を組合せることができる。
【0055】
本発明の製造方法において、(C)工程で使用する容器は、その酸素透過指数が0.8(cm^(3)/day・m^(2))以下であることが好ましい。本発明でいう「酸素透過指数」とは、JIS法(K 7126 B法)により求められる「酸素透過度」(単位:cm^(3)/day・bottle)を容器の表面積で除して、その材料1m^(2)当たりに換算した値をいう。酸素透過度は、具体的にはMOCON社製装置を用いて、試験片(容器)の一方に酸素を供給し、もう一方に等圧で窒素キャリアーガスを流し、透過した酸素を酸素検知器を用いて測定された値(20℃、相対湿度60%)のことである。本発明に用いる容器の酸素透過指数は、好ましくは0?0.6、より好ましくは0?0.4、更に0.01?0.2、特に0.02?0.15、殊更0.05?0.12であるのが、血圧降下作用を有する物質の生理活性機能維持、及び風味維持の点から好ましい。
【0056】
本発明に用いる容器は、上記バリア性能を有するよう内層/中間層/外層の材質を適宜選択し、必要に応じて接着剤で接着することにより得ることができる。内層及び外層の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、これらの延伸物、密度変更物、これら素材と他素材とを組合わせた物を用いるのがバリア性、外観、作業性、保存性、使用感、強度の点で好ましい。これらのうち、より好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、延伸ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポレエチレン、延伸ポリエチレンテレフタレート、更に好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いるのがよい。
【0057】
また、上記バリア性能を有するように上記記載の単層樹脂容器や多層樹脂容器の内外部に炭素膜や珪素膜をコーティングしたものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートに炭素膜や珪素膜をコーティングしたものが挙げられる。更に、上記バリア性能を有するようにPET樹脂に、メタキシレン基含有ポリアミド樹脂等の各種ナイロン樹脂(例えばMXD -6 ナイロン樹脂(MxD -6 Ny))をドライブレンドして成形した単層プリホームを用いてもよい。
【0058】
本発明に用いる容器の中間層としては、酸素透過バリア性の高いエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いるのがバリア性、保存性及び使用感の点で好ましい。例えば、エチレン含有量が20?60モル%、特に25?50モル%であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにして得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレン-ビニルアルコール共重合体は、フィルムを十分形成できる分子量を有するのが好ましい。
【0059】
また、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の例としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド類が挙げられる。
【0060】
エチレン-ビニルアルコール共重合体を用いる場合のように、他層との接着性が十分に得られない場合は、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、カルボン酸、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖にもつ熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン-アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、共重合体ポリエステル、共重合体ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。これらの接着剤樹脂は、同時押出し或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予め形成された酸素透過バリア性フィルムと水分透過バリア性フィルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化性接着剤樹脂も使用される。
これらのうち特に、エチレン-ビニルアルコール共重合体を接着する三井化学株式会社製のアドマーや三菱化学株式会社製のモディックを使用するのが好ましい。
【0061】
また、本発明に用いる容器に上記バリア性だけでなく透明性も付与するためには、例えば、内層及び外層が透明性の高い配向性熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)層からなり、中間層に環状オレフィンポリマー(COP)層とエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)層とを含んだ4層構造とするのが好ましい。また、内層及び外層を構成するPPと、中間層を構成するCOP及びEVOHの各層の間には、接着層が介在している。
ここで、環状オレフィンポリマー(COP)は、透明性及び水分バリア性に優れた樹脂であり、このCOPとしては、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオノア(シクロ・オレフィン・ポリマー)や三井化学株式会社製のアベル(環状・オレフィン・コポリマー)等を用いることができる。
【0062】
本発明に用いる容器は、上記バリア性及び透明性を有していれば、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、多層押出成形体の製造には、各樹脂層に対応する押出機で溶融混練した後、多層多重ダイスを用いて押出成形を行えばよい。多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により射出成形を行えばよい。
【0063】
本発明の液体調味料は、継続摂取することにより、高血圧症が顕著に改善される効果がある。従って、本発明の液体調味料の容器には、「血圧が気になる方に適しています」、「血圧が高めの方に適しています」、「血圧を下げる働きがある」、「血圧調整作用がある」等、表示することができる。
【実施例】
【0064】
(1)液体調味料の製造方法
下記に示す配合、加熱処理方法で、液体調味料を製造した。
〔配合〕
・液体調味料1
生醤油(入正醤油(株)/生しぼりしょうゆ)にコーヒー豆抽出物(長谷川香料(株)/生コーヒー豆抽出物RC-30R)を1.2%添加した。
・液体調味料2
生醤油(入正醤油(株)/生しぼりしょうゆ)60質量部(以下、単に「部」で示す)に、浄水39.5部、4-アミノ酪酸((和光純薬工業(株))を0.5部添加、混合し、攪拌して溶解した(γ-アミノ酪酸含量;0.53%)。
【0065】
〔加熱処理方法〕
上記サンプル7mlをガラス製スクリュービン(マルエム社製/マイティーバイアルNO.2)に入れ閉栓した。そのサンプルを、表1又は表2に示す条件にてウォーターバス(40℃、60℃、80℃)に浸漬し、所定時間(30分、60分、120分)加熱した。その後、流水で冷却し、液体調味料を製造した。尚、加熱処理しないものを対照品とした。
【0066】
(2)風味評価1
(1)で得られた液体調味料1を加熱処理したもの(試験品1?9、対照品a)を用いて、下記調理方法により調理品(ホウレン草のお浸し、金目鯛の煮付け)を作製し、下記評価基準にてパネル5名による風味評価を官能で行った。結果を表1に示す。
【0067】
<ホウレン草のお浸し>
ホウレン草をボイルし、これを水道水で冷却した後、よく水分を絞った。次いで、これを5cm幅に包丁で切ったもの100gに、液体調味料を5gかけて、ホウレン草のお浸しを作製した。
【0068】
<金目鯛の煮付け>
金目鯛(1切れ100gもの4切れ)は、水気をふき、皮目に斜めに包丁目を入れた。鍋に砂糖(大匙1杯)、みりん(大匙1杯)、酒(大匙3杯)及び、液体調味料(大匙4杯)を入れて煮立て、金目鯛を並べ入れた。煮立ったらアクをすくい取って紙ぶたをし、弱火で7分間煮た。次いで、煮汁をスプーンですくいかけながら、やや強火で2分間煮て、金目鯛の煮付けを作製した。
【0069】
〔コーヒー豆抽出物由来の風味の評価基準〕
A:コーヒー豆抽出物由来の風味を全く感じない。
B:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品に比べかなり低減している。
C:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品に比べやや低減している。
D:コーヒー豆抽出物由来の風味が対照品と同等である。
【0070】
〔風味バランスの評価基準〕
4:非常に風味バランスがよく、好ましい。
3:風味バランスがよく、やや好ましい。
2:やや風味バランスに欠け、あまり好ましくない。
1:風味バランスに欠け、好ましくない。
【0071】
(3)風味評価2
(1)で得られた液体調味料2を加熱処理したもの(試験品10?18、対照品b)について、スプーンに一定量とり、次に示す評価基準に従い、官能による風味評価を行った。なお、風味バランスの評価基準は(1)に示すものと同じである。結果を表2に示す。
【0072】
〔γ-アミノ酪酸由来の風味の評価基準〕
A:γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味を全く感じない。
B:γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べかなり低減している。
C:γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品に比べやや低減している。
D:γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が対照品と同等である。
【0073】
(4)液体調味料中のクロロゲン酸の測定
加熱処理を施さない対照品と、加熱処理を施したサンプル(80℃120分)について、クロロゲン酸含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。その結果、対照品の含有量を100としたときの加熱処理品の含量は100であった(重量相対値)。
【0074】
(5)風味評価3
生醤油(入正醤油(株)/生しぼりしょうゆ)36部に、浄水23.28部、4-アミノ酪酸((和光純薬工業(株))を0.24部と塩化カリウム(和光純薬工業(株))0.48部添加した後、攪拌して、溶解した。これを50mL容のガラス製サンプル瓶に40g入れて閉栓し、ウォーターバス(80℃)に浸漬して60分間加熱した。次いで、流水で冷却し、容器詰め液体調味料Pを製造した。
これを開栓して、風味評価を行ったところ、γ-アミノ酪酸由来のエグ味、後味が殆ど感じられず、カリウムの異味が抑制され、しかも風味の一体感が付与されて、風味良好であった。このように本発明の製造方法により、簡便に風味改善することが示された。
【0075】
【表1】

【0076】
表1に示すように、加熱処理を行った試験品1?9を使用した調理品は、加熱処理を行わない対照品aを使用したものに比べていずれも良い風味を示した。中でも試験品1?6を使用した調理品では、コーヒー豆抽出物由来の風味が殆ど感じられず、風味バランス良好で、調理品による風味の振れが殆どなく良好であった。一方、試験品7?9を使用した調理品では、対照品を使用したものより若干良好であった。これに対し、対照品aを使用した調理品では、コーヒー豆抽出物由来の風味が感じられる場合があったり、風味バランスが良好でない場合があったりして、調理品による風味の振れが明らかに存在し、良好ではなかった。尚、80℃120分の加熱処理を施しても、有効成分であるクロロゲン酸の含有量は低下しなかった。
【0077】
【表2】

【0078】
表2に示すように、加熱処理を行った試験品10?18は、加熱処理を行わない対照品bに比べていずれも良好な風味となった。中でも試験品13?18は、γ-アミノ酪酸由来の後味がほとんど感じられず、風味バランス良好であった。最も良好な風味を呈したのは、試験品15?17であった。一方、試験品10?12は、対照品に比べて若干良好であった。これに対し、対照品bはγ-アミノ酪酸由来の後味が強く、風味バランスも良くなかった。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):工程(A)の後に生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物をその中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程
を行うことを含む液体調味料の製造方法。
【請求項2】
工程(A):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合する工程と、
工程(B):生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質との混合物を加熱処理する工程を有しており、
生醤油を含む調味液と、コーヒー豆抽出物、及びアンジオテンシン変換阻害活性を有するペプチドから選ばれる少なくとも1種の血圧降下作用を有する物質とを混合しながら、混合物の中心温度が60?90℃になるように加熱処理する工程を含む液体調味料の製造方法。
【請求項3】
混合物の中心温度が60℃になるように加熱処理するとき、60℃に達した時点から20分?2時間加熱し、
混合物の中心温度が90℃になるように加熱処理するとき、90℃に達した時点から5分?40分間加熱する、請求項1又は2記載の液体調味料の製造方法。
【請求項4】
加熱処理温度が60?80℃であり、混合物の中心温度が60℃になるように加熱処理するとき、60℃に達した時点から20分?2時間加熱し、
混合物の中心温度が80℃になるように加熱処理するとき、80℃に達した時点から10分?1.5時間加熱する、請求項1又は2記載の液体調味料の製造方法。
【請求項5】
(B)加熱処理工程後に(C)充填工程を行う請求項1?4のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。
【請求項6】
血圧降下作用を有する物質がコーヒー豆抽出物である請求項1?5のいずれか1項に記載の液体調味料の製造方法。
【請求項7】
コーヒー豆抽出物が、コーヒー豆から水及び/又は水溶性有機溶媒により抽出されたものである請求項6記載の液体調味料の製造方法。
【請求項8】
コーヒー豆抽出物を抽出するコーヒー豆が、生コーヒー豆又は焙煎度の低いコーヒー豆である請求項7記載の液体調味料の製造方法。
【請求項9】
請求項1?8のいずれか1項に記載の方法で製造した液体調味料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-06-17 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-08 
出願番号 特願2006-49713(P2006-49713)
審決分類 P 1 113・ 832- ZD (A23L)
P 1 113・ 161- ZD (A23L)
P 1 113・ 537- ZD (A23L)
P 1 113・ 536- ZD (A23L)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 滝口 尚良  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 板谷 一弘
郡山 順
登録日 2011-06-24 
登録番号 特許第4767719号(P4767719)
発明の名称 液体調味料の製造方法  
代理人 吉永 貴大  
代理人 伊藤 健  
代理人 伊藤 健  
代理人 花田 吉秋  
代理人 花田 吉秋  
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