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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1280364
審判番号 不服2012-5708  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-28 
確定日 2013-10-09 
事件の表示 特願2009-504808「通信装置のためのユーザインタフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月18日国際公開、WO2007/116214、平成21年10月15日国内公表、特表2009-536759〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年4月5日を国際出願日とする出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年4月10日、英国)であって、平成23年11月21日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年11月29日)、これに対して平成24年3月28日に審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成24年3月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成24年3月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「(A) 通信システムにおいて用いるための装置において、
(B) 第1及び第2のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段と、
(C) 第1のユーザインタフェースと、
スクリーンの形態の代替のユーザインタフェースとを備え、
(D) 上記第1のアプリケーションは呼を検出するためのものであり、
(E) 上記第2のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェースを制御するための手段を備え、
(F) 上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記第1のアプリケーションは、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように上記第1のユーザインタフェースを制御するように設けられ、
(G) 上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェースは上記第2のアプリケーションの動作専用に設けられ、これにより、上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができず、
(H) 上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記代替のユーザインタフェースを制御するように設けられ、かつ上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない装置。」
と補正された。(審決注:(A)?(H)の符号及び分説と、下線とは、当審付与。)

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項のうち、本件補正前(平成23年11月2日付け手続補正書参照)において、「代替のユーザインタフェース」とあったものを、「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とする限定を付加することを含むものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。


2.引用例(特開2004-7144号公報)
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である2004年1月8日に公開された、特開2004-7144号公報(以下「引用例」という。)には、図面(特に図1?図4参照。)と共に、次の事項が記載されている(下線は当審にて付与。以下同様。)。

(1) 段落【0001】-【0008】
「【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、通信端末に関し、特に表示部に着信に関する情報を表示して、着信を報知するする携帯電話機等の通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機、PDA端末等の通信端末は、無線基地局との間に電波による通信回線を設定し、無線により音声、データ等を送受して通信を行うものであり、送受信部の他、通信端末全体を統括して制御する制御部を有している。また、通信端末の一つである携帯電話機は、電話機に対する操作指示を入力する操作部と、操作に関する情報を表示する表示部とを有し、操作部及び表示部は制御部によって制御されている。そして、この表示部には、操作に関する情報を表示する領域の他に、携帯電話機の作動状態を表示するピクト部が設けられている。
【0003】
携帯電話機は、通常の待受時において待受画面を表示している(なお、消費電力を抑えるために画面表示を停止している場合もある)。そして、携帯電話機の使用者からの操作入力に伴って画面を機能に関する機能画面に切り替える。使用者は、表示部に表示される携帯電話機の機能画面を見ながら操作部を操作して携帯電話機に対する動作の指示をする。例えば、操作部を操作して、表示部に表示される操作メニューに従って携帯電話機の着信音の設定をしたり、表示部に表示される入力項目に従ってメモリダイヤル(電話帳)の登録をしたり、送信するメールを作成したり、静止画像や動画を表示させたり、単にカメラが写している被写体を表示させたり、ゲームをしていたり、その他のアプリケーションを使用したりすることなど、これらの携帯電話機(通信端末)の動作に関する画面が機能画面に含まれる。
【0004】
なお、待受画面とは、上述した機能画面以外の画面であり、例えば使用者が操作をしていない状態の画面である。近年の携帯電話機では、電波強度、電池残量、時刻などのほかに壁紙やアニメーションを表示しているものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使用者が、携帯電話機に対して動作の指示を操作している途中に着信があると、表示部には着信があった旨を報知する着信画面が優先して表示され、機能画面が消去されてしまう問題があった。また、着信表示をする際に、操作指示の途中の情報を格納したとしても、該着信に関する通話後に改めて機能画面を表示して入力操作を行わなければならず、操作が煩雑となる問題があった。
【0006】
また、着信時において、入力操作を優先して、着信表示を行わないよう制御すると、着信があったことが分からずに、重要な相手先からの着信を見逃してしまう問題があった。
【0007】
また、着信音、光、振動等によって着信を報知しても、誰からの着信なのかが表示部に表示されないと、発信者が分からず、電話に出るべきか否かの判断が困難であった。
【0008】
このように、携帯電話機の操作中に着信があった場合でも、該操作を継続しつつ、着信情報を表示することができる携帯電話機が求められていた。本発明は、通信端末の操作中に着信があっても、現在の操作状態を変えることなく着信表示をする通信端末を提供することを目的とする。」

(2) 【0009】-【0023】
「【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、所定の機能画面を表示する表示部を有する通信端末において、前記通信端末の表示部を、少なくとも待受画面から機能画面に切り替えているときに着信を受けると、前記機能画面を保持した状態で前記表示部の一部に着信の表示(例えば、該着信の発信者情報の表示)をすることを特徴とする。
【0010】
ここで、機能画面を保持した状態とは表示部に表示されている機能画面を何ら変更しない態様や機能画面のおおよその表示内容を変更しない態様などが含まれる。

・・・(中略)・・・

【0014】
第5の発明は、所定の機能画面を表示する第1表示部と、該第1表示部より小さい第2表示部とを有する通信端末において、前記第1表示部を待受画面から機能画面に切り替えているときに前記通信端末に着信があると、前記第2表示部に当該着信の表示をすることを特徴とする。

・・・(中略)・・・

【0016】
第7の発明は、少なくとも機能モードと、該機能モードに対応して所定の情報を表示する第1表示部と、該第1表示部より小さい第2表示部とを有する通信端末において、前記機能モード中に前記通信端末に着信があると、前記第2表示部に当該着信の表示をすることを特徴とする。

・・・(中略)・・・

【0021】
第5の発明では、所定の機能画面を表示する第1表示部と、該第1表示部より小さい第2表示部とを有する通信端末において、前記第1表示部を待受画面から機能画面に切り替えているときに前記通信端末に着信があると、前記第2表示部に当該着信の表示をするので、現在第1表示部に表示されている操作入力に関する情報を消去することなく、第1表示部の表示に基づいて行われている操作入力を妨げることなく、第2表示部に着信情報を表示することができ、通信端末の操作を中断することなく着信情報を表示することができる。

・・・(中略)・・・

【0023】
第7の発明では、少なくとも機能モードと、該機能モードに対応して所定の情報を表示する第1表示部と、該第1表示部より小さい第2表示部とを有する通信端末において、前記機能モード中に前記通信端末に着信があると、前記第2表示部に当該着信の表示をするので、現在第1表示部に表示されている機能モードに関する情報を消去することなく、第1表示部の表示に基づいて行われている機能モードの操作入力を妨げることなく、第2表示部に着信情報を表示することができ、機能モードの操作を中断することなく着信情報を表示することができる。」

(3) 段落【0024】-【0029】(図1を参照。)
「【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、携帯電話機を例として、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の携帯電話機の主要な構成を示すブロック図である。
【0026】
アンテナ1は送受信部2に接続されており、無線基地局からの電波を受信し、無線基地局に対し電波を送信する。送受信部2は送信部及び受信部により構成され、送信部はアンテナ1から送信する高周波信号を生成する。受信部はアンテナ1で受信した高周波信号を増幅、周波数変換等をして、ベースバンド信号としてRF制御部3に出力する。
【0027】
RF制御部3はベースバンド部及び無線制御部により構成されており、ベースバンド部は、ベースバンド部内のコーデック部にて、ベースバンド信号を音声信号に復調する。また、コーデック部では音声信号を変調し、ベースバンド信号を生成する。さらに、無線制御部では、送受信部2が送受信する周波数や、送受信タイミング、送信する電波の出力を制御する。
【0028】
また、制御部4は、主にCPUにて構成されており、RAM5及びROM6に記憶されたデータに基づいて、送受信部2、操作部7、表示インターフェース8、表示部9等の携帯電話機の各部を制御する。操作部7は、文字、数字の入力、携帯電話機への動作の指示を受け付ける。表示インターフェース8は、制御部4からの表示データを受け、表示部9を駆動するドライバ回路である。また、携帯電話機への着信を報知する着信ランプ(図示省略)が設けられている。
【0029】
表示部9は、表示インターフェース8に駆動され、文字情報、携帯電話機の動作状態等を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルを照明するバックライトとによって構成される。また、表示部9は、主表示部9aと副表示部9bとで構成されている。主表示部9aは、通信により送られてきた文字情報や、操作に関する情報として操作メニュー、入力項目や、キー入力のエコーバックを表示する。また、副表示部9bは、専ら、携帯電話機の状態(電波強度、電池残量、時刻など)又は携帯電話機の操作に関する情報を表示したり、機能キー(ファンクションキー)に現在割り当てられている機能を表示するものであり、主表示部9aより小さく、主表示部9a内の一部の表示エリアに設けられる。なお、副表示部9bを、主表示部9aとは別の表示パネルとして構成してもよい。また、主表示部9aと副表示部9bとが略同一平面上など同一方向から視認し得る位置に設けられているものであれば、主表示部9aと副表示部9bとが別の面(例えば、正面と背面等の同一方向から視認し得ない位置)に設けられているものに比べて使用者が操作中に着信の表示を認識しやすい。」

(4) 段落【0031】-【0041】(図2を参照。)
「【0031】
図2は、本発明の実施の形態の携帯電話機において着信待受時の動作を示すフローチャートである。
【0032】
制御部では、携帯電話機の動作を司るメインプログラムが動作している。このメインプログラムでは、操作部のキースイッチが操作されたかを、定期的にスキャンして監視している(S101)。設定スイッチが操作されたことを検出すると(S101で”有”)、機能の設定やメモリダイヤル登録や、メールの作成や、着信音の設定等の付加機能を実行する設定モードに移行し、表示部にこれらの付加機能設定のための機能画面(例えば、図3(a)に示すメニュー画面や着信音の設定画面、メール作成・閲覧画面、電話帳設定画面)を表示する(S102)。なお、この設定モードとは使用者が付加機能の設定操作を行っているモードを示し、機能モードの一部である。従って、機能モードは上述の設定モード以外にもカメラ(図示省略)から画像を取り込むカメラモードや、記憶されている画像の閲覧モード、ゲームモード、電卓モードなども含まれる。
【0033】
そして、設定モード中に携帯電話機への着信を検出すると(S103)、基地局から送信されてきた呼出信号から発信者番号等の発信者情報を抽出する。そして、発信者番号をRAM5に格納し、この着信に関する発信者番号をメモリダイヤル中から検索して、メモリダイヤルに一致する電話番号が記憶されていたら、発信者番号と共に、対応する名前をRAM5に記憶する(S104)。
【0034】
なお、この着信がメールの着信であれば、発信者メールアドレス(又は発信者電話番号)及びメールデータ(メール本文)をRAM5に格納し、この着信に関する発信者メールアドレス(又は発信者電話番号)をメモリダイヤル中から検索して、メモリダイヤルに一致する発信者メールアドレス(又は発信者電話番号)が記憶されていたら、メールデータと共に対応する名前をRAM5に記憶する(S104)。
【0035】
そして、着信ランプを点滅させ、使用者に着信があったことを報知すると共に、CPUが、設定モードを継続しているか否かを判断する(S105)。設定モードを継続している場合とは、設定モードのアプリケーションが起動している状態であり、このステップS105の判定は、着信を受けて、メモリダイヤルを検索する間にアプリケーションを終了していないか否かを判断するためのものである。そして、設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)、該着信に関する発信者電話番号等の情報(着信情報)の表示位置を後述の方法により決定する(S106)。
【0036】
この着信情報の表示位置としては、表示画面のピクト部を選択する方法がある。すなわち、図3にて後述するように、表示画面の上部には携帯電話機に動作状態(電池残量、電界強度等)を図形(ピクトグラム)によって表示するピクト部が設けられており、このピクト部に着信情報を表示するように表示位置を決定する。なお、着信があった旨を強調するため、ピクト部に着信表示をすると共に、機能画面の一部を使用して文字を大きく表示することも可能である。

・・・(中略)・・・

【0038】
着信情報の表示位置が決定したら、この表示位置に表示領域を設け、ステップS104でRAM5に格納した発信者番号、対応する名前(メールの着信の場合は、発信者メールアドレス、対応する名前、メールデータ)を表示部9に表示する。
【0039】
そして、通話キーが操作されたか否かを検出し(S108)、通話キーの操作を検出すると(S108で”Yes”)、基地局との間で通話チャネルを設定して、通話状態に移行する(S109)。
【0040】
一方、通話キーの操作が検出されなければ(S108で”No”)、発信者番号を表示した着信報知状態を維持したまま、設定モードを継続する(S113)。
【0041】
また、ステップS105で、設定モードの解除と判断されたら、着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示をする(S111)。そして、通話キーが操作されたか否かの検出処理(S114)に移行する。」

(5) 段落【0042】-【0048】(図3を参照。)
「【0042】
図3は、本発明の実施の形態の携帯電話機における表示部の表示内容を説明する図であり、通話の着信があった場合の表示画面を示す。
【0043】
図3(a)は、電話機の機能として着信音パターンを設定中の画面の表示を示す。この画面では着信の種類毎に着信音を設定することができるものであり、画面の最上部に携帯電話機の動作状態を示す図形(ピクトグラム)が表示されるピクト部が設けられている。本実施の形態のピクト部には、左から順に、携帯電話機の動作時間を示す電池残量表示、携帯電話機が受信している基地局からの電波の強さを示す電界強度表示、時刻表示、操作可能な方向キーを示す表示がされている。
【0044】
図3(b)は、携帯電話機に音声による通話の着信があり、設定モードが継続された場合の表示例(図2のステップS107)を示し、この着信に関する情報(着信情報)がピクト部に表示されている。すなわち、ピクト部には、着信があった旨を表示する「着信」の文字と、発信者の電話番号に基づいてメモリダイヤルの記憶内容を検索して読み出した発信者名を表示している。なお、発信者名ではなく発信者の電話番号を表示するように構成してもよい。
【0045】
このとき、着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面(図3(a))の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができる。
【0046】
図3(c)は、着信情報表示(図3(b))後、通話に移行した状態(図2のステップS109)の表示例を示す。通話状態では、現在実行中の機能設定画面を着信前(図3(a))と同様に保持したまま、表示部の最上部(ピクト部)に通話中である旨及び通話時間が表示される。
【0047】
このように、着信中(着信表示中)も、通話中も、現在実行中の機能設定画面を保持しているので、通話中も設定操作が可能である。
【0048】
図3(d)は、終話キーによる終話操作がされ、通話が終了した状態を示す。通話終了後も、着信前の画面(図3(a))が維持される。」

(6) 段落【0049】-【0055】
「【0049】
図4は、本発明の実施の形態の携帯電話機における表示部の表示内容を説明する図であり、メールの着信があった場合の表示画面を示す。

・・・(中略)・・・

【0055】
なお、図3、図4では、同一表示部内のピクト部に着信情報を表示する例について説明したが、ピクト部を主表示部9aでなく副表示部9bに表示するように構成し、着信時には、副表示部9bに携帯電話機の動作状態ではなく着信情報を表示するように構成することもできる。また、副表示部9bに機能キー(ファンクションキー)の機能(図4(a)の最下部の「戻る」「選択」「機能」)を表示するように構成し、着信時には、副表示部9bにファンクションキーの機能ではなく着信情報を表示するように構成することもできる。」

これらの記載から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「携帯電話機であって、

主要な構成において、
アンテナ1は送受信部2に接続されており、
RF制御部3はベースバンド部及び無線制御部により構成されており、
制御部4は、主にCPUにて構成されており、RAM5及びROM6に記憶されたデータに基づいて、送受信部2、操作部7、表示インターフェース8、表示部9等の携帯電話機の各部を制御し、
操作部7は、文字、数字の入力、携帯電話機への動作の指示を受け付け、
表示インターフェース8は、制御部4からの表示データを受け、表示部9を駆動するドライバ回路であり、
表示部9は、文字情報、携帯電話機の動作状態等を表示する液晶表示パネルと、液晶表示パネルを照明するバックライトとによって構成され、また、表示部9は、主表示部9aと副表示部9bとで構成されており、
主表示部9aは、通信により送られてきた文字情報や、操作に関する情報として操作メニュー、入力項目や、キー入力のエコーバックを表示し、
副表示部9bは、専ら、携帯電話機の状態(電波強度、電池残量、時刻など)又は携帯電話機の操作に関する情報を表示したり、機能キー(ファンクションキー)に現在割り当てられている機能を表示するものであり、主表示部9aより小さく、主表示部9a内の一部の表示エリアに設けられ、
なお、副表示部9bを、主表示部9aとは別の表示パネルとして構成してもよく、

着信待受時の動作において、
制御部では、携帯電話機の動作を司るメインプログラムが動作しており、このメインプログラムでは、操作部のキースイッチが操作されたかを、定期的にスキャンして監視しており(S101)、
設定スイッチが操作されたことを検出すると(S101で”有”)、
機能の設定やメモリダイヤル登録や、メールの作成や、着信音の設定等の付加機能を実行する設定モードに移行し、表示部にこれらの付加機能設定のための機能画面(例えば、メニュー画面や着信音の設定画面、メール作成・閲覧画面、電話帳設定画面)を表示し(S102)、
設定モード中に携帯電話機への着信を検出すると(S103)、
基地局から送信されてきた呼出信号から発信者番号等の発信者情報を抽出して、発信者番号をRAM5に格納し、この着信に関する発信者番号をメモリダイヤル中から検索して、メモリダイヤルに一致する電話番号が記憶されていたら、発信者番号と共に、対応する名前をRAM5に記憶し(S104)、
着信ランプを点滅させ、使用者に着信があったことを報知すると共に、CPUが、設定モードを継続しているか否かを判断し(S105)、
ここで、設定モードを継続している場合とは、設定モードのアプリケーションが起動している状態であり、
設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)、
該着信に関する発信者電話番号等の情報(着信情報)の表示位置を、決定し(S106)、
着信情報の表示位置が決定したら、この表示位置に表示領域を設け、ステップS104でRAM5に格納した発信者番号、対応する名前を表示部9に表示し、
表示部の表示内容は、携帯電話機に音声による通話の着信があり、設定モードが継続された場合(ステップS107)、
着信に関する情報(着信情報)がピクト部に表示され、このとき、着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ、
なお、ピクト部を主表示部9aでなく副表示部9bに表示するように構成し、着信時には、副表示部9bに携帯電話機の動作状態ではなく着信情報を表示するように構成することもでき、
また、
ステップS105で、設定モードの解除と判断されたら、
着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示をする(S111)、
携帯電話機。」


3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(a) 引用発明の「携帯電話機」は、本願補正発明の「通信システムにおいて用いるための装置」に相当する。

(b) 引用発明の携帯電話機の「主にCPUにて構成され」る「制御部4」は、本願補正発明の装置の「処理手段」に相当する。
引用発明の「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」は、携帯電話機用「アプリケーション(プログラム)」といえるから、本願補正発明の「第1のアプリケーション」に相当する。
よって、引用発明の「制御部では、携帯電話機の動作を司るメインプログラムが動作して」いることは、本願補正発明の「第1及び第2のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段」と、「第1のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段」である点で共通する。
また、引用発明の携帯電話機が「設定モード」に移行したときに起動される、「設定モードのアプリケーション」は、本願補正発明の「第2のアプリケーション」に対応する。

(c) 引用発明の「表示部9」の「主表示部9a」部分は、本願補正発明の「第1のユーザインタフェース」と、「第1のユーザインタフェース部分」である点で共通するといえる。
引用発明の携帯電話機の「表示部9」は、「液晶表示パネル」等で構成されるから、「スクリーンの形態」であるといえる。
よって、引用発明の「表示部9」の「副表示部9b」部分は、本願補正発明の「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」と、「スクリーンの形態の第2のユーザインタフェース部分」である点で共通するといえる。

(d) 引用発明の「ステップS103」において、設定モード中に「携帯電話機への着信を検出する」ことは、引用発明における「着信」は「携帯電話機に音声による通話の着信」すなわち「着呼」を含むから、本願補正発明の「上記第1のアプリケーションは呼を検出するためのものであり」における「呼を検出する」ことに対応するといえる。

(e) 引用発明の「ステップS102」において、「設定モードのアプリケーション」(本願補正発明の「第2のアプリケーション」に対応。)が起動されて、「表示部にこれらの付加機能設定のための機能画面(例えば、メニュー画面や着信音の設定画面、メール作成・閲覧画面、電話帳設定画面)を表示」することは、着信音の設定等の「機能画面」が、ユーザが着信音の設定等に用いる画面であって、表示部9の「主表示部9a」部分に表示されることが明らかであるから(引用例の段落【0043】及び図3(a)を参照。)、本願補正発明の「上記第2のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェースを制御するための手段を備え」ることと、「上記第2のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェース部分を制御するための手段を備え」る点で共通する。

(f) 引用発明の「ステップS105」において、「設定モードの解除と判断されたら、着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示をする(S111)」ことは、「設定モードの解除」と判断されるのは「設定モードのアプリケーション」(「第2のアプリケーション」)が実行中でないときであること、及び、上記(d)記載のとおり引用発明における「着信」には「着呼」を含むことから、本願補正発明の「上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記第1のアプリケーションは、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように上記第1のユーザインタフェースを制御するように設けられ」ることと、「上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように、制御するように設けられ」る点で共通するといえる。

(g) 引用発明の「ステップS105」で「設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)」との状態は、「設定モードが継続している」と判断されるのは「設定モードのアプリケーション」(「第2のアプリケーション」)が実行中のときであるから、本願補正発明の「上記第2のアプリケーションが実行中であるときには」に相当する。
よって、引用発明において、「ステップS105で”Yes”」のときには、「ステップS107」で、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」ることは、上記(e)記載のように、着信音の設定等の「機能画面」が、表示部9の「主表示部9a」部分に表示されることが明らかであるから、本願補正発明の「上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェースは上記第2のアプリケーションの動作専用に設けられ、これにより、上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができず」と、「上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェース部分は上記第2のアプリケーションの動作のために設けられ」る点で共通するといえる。
(h) 上記(g)記載のように、「ステップS105」で「設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)」との状態は、本願補正発明の「上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに」と、「上記第2のアプリケーションが実行中であるときに」の点で共通する。
よって、引用発明において、「ステップS105で”Yes”」のときに、「ステップS107」で、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」ることは、本願補正発明の「上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記代替のユーザインタフェースを制御するように設けられ、かつ上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない」ことと、「上記第2のアプリケーションが実行中であるときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記第2のユーザインタフェース部分を制御するように設けられ」る点で共通するといえる。

したがって、両者の一致点、相違点b?相違点hは以下のとおりである。

[一致点]
「(A) 通信システムにおいて用いるための装置において、
(B’) 第1のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段、及び、第2のアプリケーションと、
(C’) 第1のユーザインタフェース部分と、
スクリーンの形態の第2のユーザインタフェース部分とを備え、
(D’) 呼を検出するものであり、
(E’) 上記第2のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェース部分を制御するための手段を備え、
(F’) 上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように、制御するように設けられ、
(G’) 上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェース部分は上記第2のアプリケーションの動作のために設けられ、
(H’) 上記第2のアプリケーションが実行中であるときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記第2のユーザインタフェース部分を制御するように設けられる、装置。」
である点。

[相違点b]
本願補正発明の装置は、「第1及び第2のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段」を備えるのに対して、引用発明の携帯電話機の「制御部4」は、「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」(本願の「第1のアプリケーション」に相当する。)を実行することの記載はあるが、「設定モードのアプリケーション」(「第2のアプリケーション」)については、どこで実行されるかが明記されておらず、制御部(「処理手段」)で実行することの明記がない点。

[相違点c]
本願補正発明の装置は、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備えるのに対して、引用発明の携帯電話機の表示部9は、主表示部9aと副表示部9bとで構成されるもので、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備えることの明記がない点。

[相違点d]
本願補正発明の装置は、「上記第1のアプリケーションは呼を検出するためのものであ」るのに対して、引用発明は「呼を検出する」ものであるが、引用発明の「ステップS107」で、携帯電話機のどのプログラムが呼を検出しているかが明記されておらず、「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」(「上記第1のアプリケーション」)が、呼の検出を実行することの明記がない点。

[相違点e]
本願補正発明は、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェースを制御するための手段を備えるのに対して、引用発明は、設定モードにおいて、「設定モードのアプリケーション」(「第2のアプリケーション」に対応。)が、機能画面を「主表示部9a」に表示することは記載があるものの、「上記第1のユーザインタフェース」を制御することの明記がない点。

[相違点f]
本願補正発明は、「上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記第1のアプリケーションは、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように上記第1のユーザインタフェースを制御するように設けられる」のに対して、引用発明は「ステップS105で、設定モードの解除と判断されたら」、ステップS111で「着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示」をするものの、この「通常の着信表示」(ステップS111)に関して、「上記第1のアプリケーション」が、「上記第1のユーザインタフェースを」制御することの明記がない点。

[相違点g]
本願補正発明は、「上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェースは上記第2のアプリケーションの動作専用に設けられ、これにより、上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができず」とのものであるのに対し、引用発明は、ステップS105で「設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)」、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」るものの、第2のアプリケーションが実行中であるときには、「上記第1のユーザインタフェース」が、第2のアプリケーションの「動作専用に」設けられること、「上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができ」ないことの明記がない点。

[相違点h]
本願補正発明は、「上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記代替のユーザインタフェースを制御するように設けられ、かつ上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない」装置であるのに対して、引用発明の携帯電話機は、ステップS105で「設定モードが継続していると判断されたならば(S105で”Yes”)」、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」ることは記載があるものの、この設定モード継続中の着信表示(ステップS107)に関して、「上記第1のアプリケーション」が制御すること、上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中である「ことの通知の」ときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように「上記代替のユーザインタフェース」を制御するように設けられるものであって、かつ、「上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない」ことの明記がない点。


4.相違点についての判断
(1) [相違点b]について
引用発明の「設定モードのアプリケーション」は、引用発明の携帯電話機のどこで実行されるのかが明記されていないが、同じくプログラムである「メインプログラム」と同様に、引用発明の携帯電話機の「主にCPUで構成され」た「制御部4」で実行されると解するのが自然である。
よって、引用発明の携帯電話機を構成する際、「制御部」において、「メインプログラム」に加えて「設定モードのアプリケーション」も実行することによって、「第1及び第2のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段」を備える、上記[相違点b]に係る構成とすることは、引用発明に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

(2) [相違点c]について
引用発明は、「なお、副表示部9bを、主表示部9aとは別の表示パネルとして構成してもよく」、また、「なお、ピクト部を主表示部9aでなく副表示部9bに表示するように構成し、着信時には、副表示部9bに携帯電話機の動作状態ではなく着信情報を表示するように構成することもでき」る記載及び示唆があるから、引用発明の携帯電話機を構成する際、「主表示部9a」と「主表示部9aより小さく、主表示部9a内の一部の表示エリアに設けられ」る「副表示部9b」の構成に替えて、「副表示部9b」を、「主表示部」から独立した「副表示部」として構成すると共に、設定モードの継続中は「主表示部」に替えて(代替して)、着信を表示するように構成することによって、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える、上記[相違点c]に係る構成とすることは、引用発明に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

(3) [相違点d]について
引用発明は、着信待受時の動作を構成する一連のステップS101、S102…において、「制御部では、携帯電話機の動作を司るメインプログラムが動作しており、このメインプログラムでは、操作部のキースイッチが操作されたかを、定期的にスキャンして監視しており(S101)」とのものであるから、少なくとも冒頭のステップS101は、制御部で動作する「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」が実行すると認められる。
よって、引用発明の着信待受時の動作において、ステップS101に後続する各ステップS102…も同様に「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」(「第1のアプリケーション」に対応。)が実行すると解するのが自然である。
したがって、引用発明の携帯電話機を構成する際、引用発明の「ステップS103」を、「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」が実行するように構成することで、「上記第1のアプリケーションは」呼を検出するためのものである、上記[相違点d]に係る構成とすることは、引用発明に接した当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。

(4) [相違点e]について
上記(2)に記載のとおり、引用発明の「主表示部9a」と「主表示部9aより小さく、主表示部9a内の一部の表示エリアに設けられ」る「副表示部9b」の構成に替えて、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える構成とすることは、当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。
よって、引用発明の表示部を、2つの互いに独立した2つのユーザインタフェースで構成する場合、引用発明の設定モードのアプリケーション(「第2のアプリケーション」)が、機能設定画面を、「主表示部9a」(「第1のユーザインタフェース部分」)に表示することに替えて、上記独立した「第1のユーザインタフェース」に表示することによって、「上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェースを制御するための手段を備える」、上記[相違点e]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

(5) [相違点f]について
上記(2)に記載のとおり、引用発明の表示部を、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える構成とすることは、当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。
上記(3)に記載のとおり、引用発明の着信待受時の動作において、ステップS101に後続する各ステップS102…も同様に「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」(「第1のアプリケーション」に対応。)が実行すると解するのが自然である。
引用発明の「ステップS111」の「着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示」に関して、表示情報の内容や配置等の具体的な記載はない。しかし、引用発明の表示部9が、「主表示部9a」と、「主表示部9aより小さく、主表示部9a内の一部の表示エリアに設けられ」る「副表示部9b」とで構成される以上、上記「着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示」は、少なくとも表示部9の「主表示部9a」部分を利用して表示されるものと認められる。
よって、引用発明の表示部を、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える構成とするのであれば、この際、「ステップS105で、設定モードの解除と判断されたら」、「着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示をする(S111)」ステップを、「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」が実行するように構成すると共に、少なくとも表示部9の「主表示部9a」部分を利用して表示されると認められる、「着信情報を表示画面全面に表示する通常の着信表示」を、「スクリーン形態の代替のユーザユーザインタフェース」ではなく、「第1のユーザインタフェース」に表示するように構成することによって、「上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記第1のアプリケーションは、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように上記第1のユーザインタフェースを制御するように設けられる」、上記[相違点f]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

(6) [相違点g]について
上記(2)記載のとおり、引用発明の表示部を、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える構成とすることは、当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。
さらに、引用発明は、「通信端末の操作中に着信があっても、現在の操作状態を変えることなく着信表示をする通信端末を提供すること」を目的とすることを考慮すると(上記2.(1)、2.(2)の摘記箇所(特に下線部)の記載を参照。)、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」る、引用発明において、引用発明の表示部を、互いに独立した2つのユーザインタフェースで構成するのであれば、この際、2つのユーザインタフェースの表示内容も互いに独立させることによって、「上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェースは上記第2のアプリケーションの動作専用に設けられ、これにより、上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができず」との、上記[相違点g]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

(7) [相違点h]について
上記(2)に記載のとおり、引用発明の表示部を、「第1のユーザインタフェース」と「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」とを備える構成とすることは、当業者が適宜に採用すべき設計的事項である。
上記(3)に記載のとおり、引用発明の着信待受時の動作において、ステップS101に後続する各ステップS102…も同様に「携帯電話機の動作を司るメインプログラム」(「第1のアプリケーション」に対応。)が実行すると解するのが自然である。
また、一般に、あるプログラムが、他のプログラムに各種の「通知」をすることは、極めて普通に行われている。
さらに、上記(6)に記載のとおり、引用発明は、「通信端末の操作中に着信があっても、現在の操作状態を変えることなく着信表示をする通信端末を提供すること」を目的とすることを考慮すると、「着信情報は、表示部の最上部(ピクト部)に着信情報を表示する表示領域を設けて表示されるので、現在実行中の機能設定画面を消去して、機能設定を中断することなく、着信前の画面の操作に関する表示部分を保持したまま、発信者名等の着信情報を表示することができ」る、引用発明において、引用発明の表示部を、互いに独立した2つのユーザインタフェースで構成するのであれば、この際、2つのユーザインタフェースの表示内容も互いに独立させることによって、「上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記代替のユーザインタフェースを制御するように設けられ、かつ上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない」との、上記[相違点h]に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成24年3月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年11月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「通信システムにおいて用いるための装置において、
第1及び第2のアプリケーションを実行するように設けられた処理手段と、
第1のユーザインタフェースと、
代替のユーザインタフェースとを備え、
上記第1のアプリケーションは呼を検出するためのものであり、
上記第2のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションをユーザが用いることができるように上記第1のユーザインタフェースを制御するための手段を備え、
上記第2のアプリケーションが実行中ではないときには、上記第1のアプリケーションは、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して示すように上記第1のユーザインタフェースを制御するように設けられ、
上記第2のアプリケーションが実行中であるときには、上記第1のユーザインタフェースは上記第2のアプリケーションの動作専用に設けられ、これにより、上記第1のユーザインタフェースは上記呼が発生したことをユーザに対して示すことができず、
上記第1のアプリケーションは、上記第2のアプリケーションが実行中であることの通知のときに、上記呼が発生したことを上記装置のユーザに対して視覚的に示すように上記代替のユーザインタフェースを制御するように設けられ、かつ上記第1のユーザインタフェースは、上記呼を上記ユーザに対して示すことができない装置。」

2.引用例
引用例の記載については、上記「第2 」の「2.引用例」で述べたとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」の「1.本願補正発明」で検討した本願補正発明の「スクリーンの形態の代替のユーザインタフェース」との限定を省略して、「代替のユーザインタフェース」とするものである。
そうすると、実質的に、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「4.相違点についての判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-09 
結審通知日 2013-05-14 
審決日 2013-05-27 
出願番号 特願2009-504808(P2009-504808)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千本 潤介  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 五十嵐 努
稲葉 和生
発明の名称 通信装置のためのユーザインタフェース  
代理人 川端 純市  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
代理人 山田 卓二  
代理人 田中 光雄  
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