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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1280874
審判番号 不服2012-23969  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-04 
確定日 2013-11-12 
事件の表示 特願2007- 86711「画像送信装置、画像送信方法および画像送信プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 9日出願公開、特開2008-245208、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.経緯
1.手続
本願は、平成19年3月29日の出願であって、平成24年1月31日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成24年4月9日付けで手続補正がなされたが、平成24年5月7日(起案日)付けで最後の拒絶の理由が通知され、それに応答して平成24年7月17日付けで手続補正がなされた。
そして、平成24年8月29日(起案日)付けで、平成24年7月17日付け手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成24年12月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

理由1
本願の請求項1ないし7に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


請求項1、6及び7における「移動された後の前記マスク領域」という文言では、特徴点の移動に伴い新たにマスクを要することになった領域を指すのか、特徴点の移動に伴いマスクが不要になった領域を指すのか明確でない。

理由2
本願の請求項1ないし7に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

記(刊行物)
刊行物1:特開2006-270380号公報
刊行物2:特開2007-018386号公報

第2.平成24年12月4日付けの手続補正について
平成24年12月4日付けの手続補正は、適法である。

[理由]
1.補正の目的
平成24年12月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という)は、平成24年4月9日付けの手続補正により補正された請求項1ないし7について、補正を加え新たな請求項1ないし6とする補正である。
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。

2.独立特許要件
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かを、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成24年12月4日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載した事項により特定される下記のとおりのものである。


【請求項1】
被写体を撮像した撮像画像を出力する撮像手段と、
前記撮像画像の少なくとも一部の領域の指定を受け付ける領域指定手段と、
受け付けられた前記領域に基づいて、前記撮像画像の少なくとも一部をマスクするためのマスク領域を決定するマスク領域決定手段と、
前記撮像画像から前記マスク領域における特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記特徴点の前記撮像画像における位置の変化に従って、前記撮像画像中における前記マスク領域を移動させるマスク領域移動手段と、
前記撮像画像の前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像を送信する送信手段と、を備え、
前記合成手段は、前記特徴点の前記撮像画像における位置が変化する場合、前記マスク領域移動手段により移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する、画像送信装置。

【請求項2】
前記撮像画像を表示する表示手段をさらに備え、
前記領域指定手段は、前記表示手段の表示面の位置を受け付ける位置受付手段を含む、請求項1に記載の画像送信装置。

【請求項3】
前記表示手段は、予め定められたマスク領域を含むパターン画像を前記撮像画像に重畳した画像を表示し、
前記マスク領域決定手段は、前記パターン画像に含まれるマスク領域を、受け付けられた前記表示面の位置に基づいて変更する変更手段を含む、請求項2に記載の画像送信装置。

【請求項4】
前記送信手段は、前記マスク領域が決定されることを条件に、前記合成画像を送信する、請求項1?3のいずれかに記載の画像送信装置。

【請求項5】
被写体を撮像した撮像画像を取得するステップと、
前記撮像画像の少なくとも一部の領域の指定を受け付けるステップと、
受け付けられた前記領域に基づいて、前記撮像画像の少なくとも一部をマスクするためのマスク領域を決定するステップと、
前記撮像画像から前記マスク領域における特徴点を抽出するステップと、
前記特徴点の前記撮像画像における位置の変化に従って、前記撮像画像中における前記マスク領域を移動させるステップと、
前記撮像画像の前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成するステップと、
前記合成画像を送信するステップと、を含み、
前記合成画像を生成するステップは、前記特徴点の前記撮像画像における位置が変化する場合、前記マスク領域を移動させるステップにおいて移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成するステップを含む画像送信方法。

【請求項6】
被写体を撮像した撮像画像を取得するステップと、
前記撮像画像の少なくとも一部の領域の指定を受け付けるステップと、
受け付けられた前記領域に基づいて、前記撮像画像の少なくとも一部をマスクするためのマスク領域を決定するステップと、
前記撮像画像から前記マスク領域における特徴点を抽出するステップと、
前記特徴点の前記撮像画像における位置の変化に従って、前記撮像画像中における前記マスク領域を移動させるステップと、
前記撮像画像の前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成するステップと、
前記合成画像を送信するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記合成画像を生成するステップは、前記特徴点の前記撮像画像における位置が変化する場合、前記マスク領域を移動させるステップにおいて移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成するステップを含む画像送信プログラム。

(2)特許法第36条第6項第2号(記載要件)について
出願人は、平成24年12月4日付けの手続補正により、補正前の請求項1、6及び7における「移動された後の前記マスク領域」を、補正後の請求項1、5及び6の「移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域」に補正している。
これにより、「前記マスク領域」が、特徴点の移動に伴い新たにマスクを要することになった領域を指すことが明確となり、記載要件の不備は解消している。

(3)特許法第29条第2項(進歩性)について
(ア)刊行物に記載される発明
(a)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1である特開2006-270380号公報には、図面とともに、次に掲げる事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、自己側画像と相手側画像を撮像する通信機能の付加された情報処理装置に関し、特に、自己側画像のプライバシ保護と相手側画像の操作を可能とし、プライバシを確保しつつも自然なコミュニケーションを図れるようにする画像情報送信装置に関する。」
「【0017】
画像入力部10は、予め被写体に対して設置されているテレビカメラであり、ズーム機能およびパン・チルト機能を備えているものであり、入力画像110を信号として出力するものである。また、後述する画像入力制御部13によって、ズーム操作およびパン・チルト操作をすることができるものである。
【0018】
また、人物画像範囲特定部11は、画像入力部10が撮影した入力画像110に対して、例えば画像認識などの技術を用いて、入力画像110から人物画像の範囲を検出し、人物画像範囲111を信号として出力するものである。」
「【0021】
また、入力画像加工部12は、画像入力部10から入力される入力画像110に対して、人物画像範囲特定部11から入力される人物画像範囲111を用いて、画像入力部10からの入力画像110の人物画像範囲外の画像を、例えば、モザイク処理などをするものである。また、後述する画像送信範囲選択部15からの入力を用いて、人物画像範囲外も相手に送信することもできる。これにより、送信者の意図しない背景画像などを相手に見られることがなくなり、プライバシを守ることができるようになり、また、送信者が相手に公開しても良い領域は相手側に送信できるようになり、使用者の自由度が広がる。」
「【0025】
画像送信範囲選択部15は、人物画像112aの範囲を示す人物画像範囲111に対して、それよりも広い範囲を自己が他者に公開しても良いとする場合に、例えば、図4(a),(b)に示すように設定するものである。図4(a),(b)に示す112bは、人物画像範囲特定部11で決定された人物画像範囲のみを相手側に見せる場合の送信画像であり、図4(b)に示す112cは、ユーザーが任意の範囲を設定した場合の送信画像である。」
「【0027】
画像入力部10により撮像された入力画像110は、人物画像範囲特定部11から出力された人物画像範囲111を受けた入力画像加工部12により、人物画像範囲外にモザイク処理などの制限をされた送信画像112に加工され、この送信画像112が送信情報合成部14に入力され、相手画像制御部31が出力する相手入力画像制御信号とこの送信画像112が合成されて送信情報となり、送受信部20から伝送路310を介して相手側に送信される。」
「【0031】
また、被写体の移動に応じて入力画像加工部12がモザイク処理等のマスク処理をする範囲も変化する。これにより、被写体が、画像入力部10がズーム、パン・チルト機能を用いて撮影することができる範囲100の外に出ない限り、画像入力部10は被写体を画角の中央に捕らえることが可能になり、使用者は、自己のカメラの画角に注意する必要がなくなり、また、カメラの撮像範囲内であれば自由に移動できるようになり、使用者の煩わしさを軽減することができる。」
「【0040】
これにより、例えば画像送信範囲を、人物画像範囲よりも広くすることで、相手によって、プライバシ保護の制限を緩めることができ、使用者は自己の画像だけでなく、任意の領域を相手に見せることが可能となる。これにより、相手によっては、カメラの撮影範囲をすべて公開する。または、人物画像範囲よりも多少広い範囲を公開する、または、自己画像の顔を公開しない、などの選択をすることができる。なお、画像送信範囲を選択するには、十字キーやマウスなどのポインティングデバイスを用い、画像が表示されている画像表示部40上に、たとえば枠線などを表示して、この枠線の大きさ、位置を上記ポインティングデバイスで決定し、使用者が自己のプライバシ保護の上で適切と思う領域を設定する、と云ったようなことを画像送信範囲選択部15で行えるようにし、また、入力画像加工部12には、画像送信範囲選択部15で選択した範囲外の領域と、人物画像範囲以外の領域を、例えば、モザイク処理などをさせるようにすればよい。また、当該画像送信範囲選択部15で選択した範囲は、人物画像範囲特定部11で特定した人物画像範囲に追従するように設定しても良い。これにより、例えば、使用者が手に持っているものなどを相手側に見せることが可能になる。」

これらの記載から、刊行物1には下記の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されていると認められる。

記(引用発明1)
被写体に対して設置されている画像入力部10と、
画像入力部10が撮影した入力画像110に対して、画像認識などの技術を用いて人物画像の範囲を検出し、人物画像範囲111を出力する人物画像範囲特定部11と、
人物画像範囲111に対して、それよりも広い公開しても良い範囲を、十字キーやマウスなどのポインティングデバイスを用いてユーザーが任意に設定する画像送信範囲選択部15と、
画像送信範囲選択部15で選択した範囲外の領域と、人物画像範囲外の領域をモザイク処理して送信画像112を出力する入力画像加工部12と、
送信画像112を送信する送受信部20とを備え、
被写体の移動に応じて入力画像加工部12がモザイク処理等のマスク処理をする範囲を変化させる、画像情報送信装置。

(b)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1である特開2007-18386号公報には、図面とともに、次に掲げる事項が記載されている。

「【0049】
(システムの全体構成)
図2は、本実施形態の画像処理システム1の構成を示すブロック図である。画像処理システム1は、図1に示すように、部分画像に画像処理を施す画像処理装置2を備えユーザIDを格納している端末装置3A・3B(画像処理端末装置、ユーザID格納端末装置)と、端末装置3A・3Bに顔画像IDを付与する写真撮影装置4と、写真画像を公開情報として保存するサーバ装置5と、を備えている。なお、ユーザID、顔画像IDについては、後段で細述する。」
「【0052】
写真撮影装置4は、複数の被写体を撮影し、その撮影した写真画像中の複数の顔画像(部分画像)を認識し、複数の顔画像にそれぞれ固有のIDである顔画像ID(部分画像ID)を付与する。一人の顔画像に、一つの顔画像IDを付与する。ここで、顔画像IDとは各顔画像を識別するための情報であり、各々の顔画像IDを夫々識別できる情報であればどのようなものでもかまわなく、例えば、文字、数字、記号等の組み合わせからなる情報であってもよい。そして、写真撮影装置4は、顔画像IDがどの顔画像に対応しているかを示した選択肢を表示し、端末装置3に選択させる。端末装置3のユーザは、自分の顔画像から顔画像IDを選択し、端末装置3に入力することで、端末装置3に顔画像IDがユーザIDとして格納される。
【0053】
そして、写真画像と、この写真画像中の複数の顔画像を識別するためのそれぞれの顔画像IDとを端末装置3に送信する。」
「【0058】
端末装置3Aと端末装置3Bが、上記のように送信された、写真画像と、この写真画像中の複数の顔画像を識別するためのそれぞれの顔画像IDとを記憶しているとする。端末装置3Aのユーザがこの写真画像をサーバ装置5にて公開したい場合、端末装置3Aは、端末装置3Bに問い合わせを行う。端末装置3BからユーザIDと表示禁止情報とを受信すると、この受信したユーザIDに一致する顔画像IDに対応する上記写真画像中の顔画像、つまり、端末装置3Bのユーザの顔画像に画像処理を施す。本実施形態では、端末装置3Aは端末装置3Bから表示禁止情報を取得するものとするが、端末装置3Aは、端末装置3Bから表示禁止情報を受信しなくても、端末装置3BからユーザIDを受信すると、端末装置3Bのユーザの顔画像に画像処理を施すようになっていてもかまわない。」
「【0068】
図4に示すように、撮影された顔画像から器官配置データを作成する。この器官配置データとは、次のように作成される。まず初めに、撮影された顔画像より目、鼻、口などの各顔パーツの位置を検出することで、器官配置データが付与される位置を検出する。次に、撮影された顔画像より目、鼻、口などの特徴点を検出する。そして、例えば目であれば、その目の形状や大きさである特徴量を抽出し、記憶部42に記憶されている目のデータベースの目と比較し、一番類似している目のデータを読み出し、上記検出した位置(器官配置データが付与される位置)にあてがう。例えば、撮影した顔画像の目の特徴量と、目のデータベースに保存されている目の特徴量を比較して、類似度を算出する。類似度が一番高いものが一番類似していると判定する。なお、この判定方法は例示である。鼻、口、についても同様に、鼻、口のデータベースから一番類似しているデータを読み出しあてがう。このようにして上記検出した位置にあてがわれた目、鼻、口のデータが器官配置データである。そして、この器官配置データにIDを付与する。このIDは、例えば、次のように作成する。目のデータベースには、複数の目のデータにそれぞれのIDが対応づけられている。また、複数の鼻のデータにもそれぞれのID、複数の口のデータにもそれぞれのIDが対応づけられている。そして、器官配置データを構成する、目、鼻、口データのそれぞれのIDを繋ぎ合わせたものを器官配置データIDとする。そして、この器官配置データIDを、顔画像IDとして、各顔画像に付与する。なお、この顔画像IDの作成方法は単なる例示であり、他の公知の方法を用いてもよい。」
「【0091】
画像処理部は、取得部311が取得した表示指示情報が表示禁止を指示する表示禁止情報であると、取得部311が取得したユーザIDに一致する顔画像IDに対応する写真画像中の顔画像に画像処理を施す。つまり、取得したユーザIDにより特定される顔画像に対して画像処理を施する。なお、対象の写真画像は写真撮影装置から予め取得してあり、記憶部32に記憶されているものとする。
【0092】
ここで、画像処理は、例えば、モザイク処理であってもよい。公知のモザイク処理の手法を用いて、簡単に顔画像を抽象化することができる。なお、画像処理としてはモザイク処理だけに限らず、顔画像をぼかしたり、塗り潰したり、顔画像を似せて描いた絵に変換したりするなど、種々の処理を採用することができる。また、顔画像をサーバ装置5上で表示させないようにするような処理であってもよい。ここに記載した画像処理は単なる例示であり、これらに限定されることはない。」

これらの記載から、刊行物2には下記の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されていると認められる。

記(引用発明2)
被写体を撮影した写真画像中の複数の顔画像を目、鼻、口などの特徴点を検出して認識し、複数の顔画像に顔画像IDを付与し、写真画像と顔画像IDを端末装置3に送信する写真撮影装置4と、
写真画像をサーバ装置5にて公開したい場合、ユーザIDとそのIDに対応する表示指示情報を取得し、表示指示情報が表示禁止を指示する表示禁止情報であると、ユーザIDに一致する顔画像IDに対応する写真画像中の顔画像にモザイク処理などの画像処理を施す画像処理部を有する端末装置3と、
を備える画像処理システム。

(イ)対比
本願の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明1」という)と引用発明1とを対比すると次のことが認められる。

引用発明1の「被写体に対して設置されている画像入力部10」は、本願補正発明1の「被写体を撮像した撮像画像を出力する撮像手段」に相当する。

引用発明1の「画像入力部10が撮影した入力画像110に対して、画像認識などの技術を用いて人物画像の範囲を検出し、人物画像範囲111を出力する人物画像範囲特定部11」は、人物画像の範囲を検出するものであって、これは背景画像と人物との境界を検出するものであるから、撮像画像の特徴点を検出するものといえる。
よって、引用発明1の「人物画像範囲特定部11」は、本願補正発明1と「前記撮像画像から特徴点を抽出する特徴点抽出手段」という点において一致する。
ただし、本願補正発明1の「特徴点抽出手段」は「前記マスク領域における」特徴点を抽出するものであるのに対し、引用発明1の「特徴点抽出手段」は、撮像画像において、後述するマスク処理を行う領域と、マスク処理行わない領域との境界を特徴点として抽出するものである点で両者は相違する。

引用発明1の「人物画像範囲111に対して、それよりも広い公開しても良い範囲を、十字キーやマウスなどのポインティングデバイスを用いてユーザーが任意に設定する画像送信範囲選択部15」は、入力画像110に対して特定された人物画像範囲111に追加してユーザが任意に公開しても良い範囲を設定するものであるので、本願補正発明1の「前記撮像画像の少なくとも一部の領域の指定を受け付ける領域指定手段」に相当するものといえる。

引用発明1の「画像送信範囲選択部15で選択した範囲外の領域と、人物画像範囲外の領域をモザイク処理して送信画像112を出力する入力画像加工部12」は、ユーザーが設定した範囲と人物画像範囲以外の領域をモザイク処理するものであり、モザイク処理はマスク処理として行うものであるので、本願補正発明1の「受け付けられた前記領域に基づいて、前記撮像画像の少なくとも一部をマスクするためのマスク領域を決定するマスク領域決定手段」、及び「前記撮像画像の前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する合成画像生成手段」に相当するものといえる。

引用発明1の「送信画像112を送信する送受信部20」は、本願補正発明1の「前記合成画像を送信する送信手段」に相当する。

引用発明1は「被写体の移動に応じて入力画像加工部12がモザイク処理等のマスク処理をする範囲を変化させる」という処理を行うものであり、これは、本願補正発明1と同様の「前記特徴点の前記撮像画像における位置の変化に従って、前記撮像画像中における前記マスク領域を移動させるマスク領域移動手段」を有し、「前記合成手段は、前記特徴点の前記撮像画像における位置が変化する場合、前記マスク領域移動手段により移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する」ものといえる。

引用発明1の「画像情報送信装置」は、撮像画像にマスク領域を付加して送信するものであって、本願補正発明1の「画像送信装置」と同様の装置であるといえる。

以上をまとめると、本願補正発明1と引用発明1との一致点及び相違点は以下のとおりである。

[一致点]
被写体を撮像した撮像画像を出力する撮像手段と、
前記撮像画像の少なくとも一部の領域の指定を受け付ける領域指定手段と、
受け付けられた前記領域に基づいて、前記撮像画像の少なくとも一部をマスクするためのマスク領域を決定するマスク領域決定手段と、
前記撮像画像から特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記特徴点の前記撮像画像における位置の変化に従って、前記撮像画像中における前記マスク領域を移動させるマスク領域移動手段と、
前記撮像画像の前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像を送信する送信手段と、を備え、
前記合成手段は、前記特徴点の前記撮像画像における位置が変化する場合、前記マスク領域移動手段により移動された後のマスクを必要とする前記マスク領域を別の画像に変換した合成画像を生成する、画像送信装置。

[相違点]
本願補正発明1の「特徴点抽出手段」は「前記マスク領域における」特徴点を抽出するものであるのに対し、引用発明1の「特徴点抽出手段」は、撮像画像において、マスク処理を行う領域とマスク処理行わない領域との境界を特徴点として抽出するものである点。

(ウ)相違点の判断
本願補正発明1の「前記マスク領域における」特徴点を抽出する処理は、マスク領域に設定されている領域の位置の変化に追従してマスク領域を移動させるために、マスク領域に設定されている領域内の特徴点を抽出するというものである。すなわち、設定したマスク領域が撮像画像中のどの被写体に対応する領域であるのかを特定するための特徴点を抽出するものである。
一方、上記の引用発明2は、写真画像中の複数の顔画像を目、鼻、口などの特徴点を検出して認識し、そのうちの特定の特徴を有する顔画像にモザイク処理などの画像処理を施す画像処理部を備える画像処理システムである。
この引用発明2において、顔画像を目、鼻、口などの特徴点を検出して認識することは、本願補正発明1の「特徴点の抽出する」処理と同様のものであり、顔画像にモザイク処理を施すことは、本願補正発明1の「マスク領域」とすることに相当し、それぞれ個別には一致している。
しかしながら、引用発明2は、写真画像中において特定の特徴点が抽出された領域をマスク領域とするものであり、マスク領域に設定された領域が写真画像中のどの被写体に対応するのか特定するために特徴点の抽出を行うものではない。すなわち、上記相違点に係る「前記マスク領域における」特徴点を抽出する処理とは異なるものである。
このように、引用発明1及び2は、上記相違点に係る発明の構成は開示されておらず、本願補正発明1が、引用発明1に引用発明2を適用することによって、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(エ)まとめ(進歩性)
以上のとおりであるから、本願補正発明1は、刊行物1ないし2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
また、他に本願補正発明1が、刊行物1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとする理由も発見しない。
また、本願の請求項2ないし6に係る発明は、請求項1の「前記撮像画像から前記マスク領域における特徴点を抽出する」という技術事項を含むものであるから、同様の理由により、刊行物1ないし2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(4)まとめ(独立特許要件)
以上のように、本件補正発明1は、原査定の拒絶の理由により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとすることはできない。
また、他に本件補正発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない理由を発見しない。

第3.本願発明について
平成24年12月4日付けの手続補正は、上記第2のとおり適法である。
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成24年12月4日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載した事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2013-10-25 
出願番号 特願2007-86711(P2007-86711)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡邊 聡
小池 正彦
発明の名称 画像送信装置、画像送信方法および画像送信プログラム  
代理人 中川 雅博  
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