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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04B
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04W
管理番号 1281655
審判番号 訂正2013-390146  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-09-27 
確定日 2013-11-08 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3459635号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3459635号に係る明細書における特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書における特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第3459635号に係る発明は,2000年(平成12年)2月22日(優先権主張 1999年(平成11年)2月23日 フィンランド(FI))を国際出願日とする出願であって,平成15年8月8日に特許権の設定登録(平成15年10月20日特許掲載公報発行)がなされ,平成25年9月27日に訂正審判の請求がなされたものである。
なお,本件特許第3459635号に係る発明は,「ノキア モービル フォーンズ リミティド」を出願人として出願され,該出願人により,特許権の設定登録がなされたものであったが,該特許権は,その後,「ノキア コーポレイション」に移転がなされた後,「2011 インテレクチュアル プロパティ アセット トラスト」に移転がなされ,平成24年10月30日付けで「コア ワイアレス ライセンシング エス アー アール エル」を新たな特許権者とする移転がなされたものである。


第2 請求の趣旨

本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第3459635号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める,との審決を求めるものである。


第3 本件訂正の内容

本件訂正の内容は,
「訂正事項1
特許請求の範囲の請求項15に「チャネル選択に基づいて、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値とを該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段」とあるのを,「チャネル選択のために、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値と該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段」に訂正する。」(下線は請求人が付与。)
というものである。

そして,上記訂正事項1により,
「【請求項15】 セルラーシステムに接続され、共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)である選択されたチャネルを用いてアップリンク・パケットデータを該システムへ送るための手段を含む移動局であって、
該システムからチャネル選択パラメータのスレッショルド値を受け取るための手段と、
前記チャネル選択パラメータのスレショルド値を蓄積するための手段と、
チャネル選択に基づいて、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値とを該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段とを含むことを特徴とする移動局。」とあるのが,
「【請求項15】 セルラーシステムに接続され、共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)である選択されたチャネルを用いてアップリンク・パケットデータを該システムへ送るための手段を含む移動局であって、
該システムからチャネル選択パラメータのスレッショルド値を受け取るための手段と、
前記チャネル選択パラメータのスレショルド値を蓄積するための手段と、
チャネル選択のために、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値と該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段とを含むことを特徴とする移動局。」となる。


第4 当審の判断

上記訂正事項1に関し,訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張,変更の存否,及び訂正後の請求項15に係る特許発明(以下「本件訂正特許発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か,について検討する。

訂正前の特許請求の範囲の請求項15の記載事項を,次の(a)?(e)に分説する。

【請求項15】
(a)セルラーシステムに接続され、共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)である選択されたチャネルを用いてアップリンク・パケットデータを該システムへ送るための手段を含む移動局であって、
(b)該システムからチャネル選択パラメータのスレッショルド値を受け取るための手段と、
(c)前記チャネル選択パラメータのスレショルド値を蓄積するための手段と、
(d)チャネル選択に基づいて、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値とを該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段と
(e)を含むことを特徴とする移動局。

そして,本件特許がされた明細書(以下「本件特許明細書」という。)には,次の記載(下線は当審が付与。)がある。

1.「【0023】本発明の1つの着想は、パケットデータ転送に使われるべきチャネルに関する決定をチャネル選択パラメータに基づいて行い、決定を行うのに必要なパラメータを移動局に送るということである。該パラメータは、BCH、FACH或いはPCHなどの共通チャネルで有利に送られる。もし1つが移動局に割り当てられるならば、該パラメータをDCHで送ることもできる。送られるべきパラメータは、RACHのために許される最大パケット・サイズ、現在のRACH負荷、等を有利に含む。該パラメータは、パラメータが送られる地域の中の全ての移動局、その移動局の部分集合或いは1つの移動局に関係することができる。本発明は、パケットデータ転送の割当に関連するシグナリング負荷を減少させると共に、データ転送の開始に伴う遅延を最小限にする。」

2.「【0029】移動局からシステムへパケットデータをアップリンク転送する本発明の方法においては:
- 共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)がデータ・パケットの転送のために選択され;
- その選択されたチャネルを用いてデータ・パケットが転送され;この方法は:
- チャネル選択パラメータが定義され;
- 該チャネル選択パラメータについて現在の値が決定され;
- 前記チャネル選択パラメータがシステムから移動局へ送られ;
- 前記選択は該チャネル選択パラメータの前記の値に基づいて行われることを特徴とする。
【0030】本発明の他の実施態様では:
- チャネル選択パラメータのスレショルド値が移動局において蓄積され;
- 該移動局に送られた該チャネル選択パラメータの現在の値が該チャネル選択パラメータの前記のスレショルド値と比較され;
- 前記選択が前記比較に基づいて行われる。
【0031】本発明の他の実施態様では:
- 該チャネル選択パラメータに対応する値が、転送されるべきデータ・パケットのパラメータに基づいて、該移動局で計算され;
- 該移動局に送られた該チャネル選択パラメータの最後の現在の値が、該チャネル選択パラメータの前記の計算された値と比較され;
- 前記選択が前記比較に基づいて行われる。」

3.「【0041】データ・パケットを送るように求める要求を受け取ると(ステップ640)、(RLC/)MAC層は、システムから受け取られたパラメータに基づいて共通チャネル対専用チャネルの使用に関する自主的決定を行うか、或いは適切なチャネル・タイプを決定するようにRRC層に要求する。
【0042】以下に、チャネル選択パラメータが転送されるべきデータの量である例が記述されている。データ・パケット、或いはサービス・データ・ユニットSDUがRACH/FACHモードの間にRLC層からMAC層に到着するとき、MACはそのSDUのサイズを最大許容サイズと比較する。もしRLCパケットのサイズがRACHでの最大許容サイズより大きければ、MAC層はRRC層から専用チャネルの形の転送資源を要求する。RRC層は、無線インターフェースを介するパケット資源割り当てシグナリングを処理し、それが使うことのできるトラフィックチャネル(DCH)パラメータをMAC層に知らせ、必要ならば物理層(L1)を構成する。RLCパケットのサイズが最大許容パケット・サイズより小さければ、MAC層は自主的にRACHでのデータの送信を予定する。」

上記本件特許明細書の記載は,次の事項を開示しているといえる。

「共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)がデータ・パケットの転送のために選択され;
その選択されたチャネルを用いてデータ・パケットが転送され;
該チャネル選択パラメータについて現在の値が決定され;
前記チャネル選択パラメータがシステムから移動局へ送られ;
該移動局に送られた該チャネル選択パラメータの現在の値が該チャネル選択パラメータの前記のスレショルド値と比較され;
前記選択が前記比較に基づいて行われる」技術。

してみると,訂正前の「比較するための手段」が比較するものは,「チャネル選択パラメータの現在の値」と「チャネル選択パラメータのスレショルド値」であることは明らかである。
また,上記「比較するための手段」における比較が,「チャネル選択に基づいて」行われるのではないことは明らかである。

そして,訂正前の請求項15に記載の「チャネル選択に基づいて」を「チャネル選択のために」と訂正することは,本件特許明細書の記載から導きうることは明らかである。
また,同じく「前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値とを該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段」とある記載を「前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値と該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段」とする記載が,本件特許明細書の記載から導きうることは明らかである。

以上から,本件訂正審判に係る訂正事項1は,誤記の訂正を目的とするものであることは明らかであって,特許法第126条第1項ただし書第2号に該当するものである。
そして,請求項15の記載全体から認識できる技術的範囲については,訂正前と訂正後において,変更も拡張もないことは明らかである,つまり,訂正によって,実質上特許請求の範囲を拡張され,又は変更されるものでないことは明らかである。また,訂正事項1が,本件特許明細書及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
ここで,訂正後の請求項15に記載された事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討するに,当該発明を特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
よって,上記訂正事項1は,特許法第126条第7項に規定する要件を満たしている。


第5 むすび

以上のとおりであるから,本件訂正審判に係る訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第2号の誤記の訂正を目的とするものに該当し,かつ,同条第5項ないし第7項に規定する要件を満たしている。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
セルラーシステムにおいてパケットデータ転送を管理する方法及び装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】移動局からシステムへパケットデータをアップリンク方向に転送する方法であって、
共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)がデータ・パケットの転送のために選択され、
その選択されたチャネルを用いてデータ・パケットが転送される方法において、
チャネル選択パラメータのスレッショルド値が定義され(620)、
前記チャネル選択パラメータ値の前記スレッショルド値が移動局へ送られ(630)、
前記移動局によってチャネル選択パラメータの現在の値が前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値と比較され(650)、
前記選択は前記比較に基づいて行われる(660)ことを特徴とする方法。
【請求項2】転送されるべき前記データ・パケットのパラメータに基づいて該チャネル選択パラメータに対応する現在の値が該移動局において計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】該データ・パケット転送のために選択されたチャネルが専用チャネル(DCH)であるならば、該選択の後にチャネル(DCH)が割り当てられ、その後に該データ・パケットは割り当てられたチャネル(DCH)で転送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】前記チャネル選択パラメータ値は共通チャネルで送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】チャネル選択パラメータ値は、次の共通チャネル、BCH、FACH、PCHのうちの1つで送られることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】前記チャネル選択パラメータ値はDCHで送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】チャネル選択に次のパラメータ:
データ・パケットのサイズ、
RACHで許される最大データ・パケット・サイズ、
必要とされるビットレート、
許される転送遅延、
転送されるべきデータの優先順位、
転送チャネルの負荷、
RACHで必要とされる送信電力レベル、
のうちの1つ以上が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】データ・パケットのサイズがRLCバッファー内のデータの量に基づいて決定されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】移動局に送られるチャネル選択パラメータ値は、次の、
RACHで許される最大データ・パケット・サイズ、
転送チャネルの負荷、
RACHで許される最大電力レベル、
のうちの1つ又は数個であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】移動局に送られるチャネル選択パラメータ値は、RLCバッファー内のデータについてのスレショルド値であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】チャネル選択パラメータは、該パラメータが送られる領域内の全ての移動局に関係するように定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】チャネル選択パラメータは、該パラメータが送られる領域内の全ての移動局の中の部分集合に関するように定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】チャネル選択パラメータは、単一の移動局に関するように定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】選択されたチャネルを用いて移動局からシステムへアップリンク方向にパケットデータを送るための手段と、
データ・パケットを送るために共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)を選択するための手段とを含むセルラーシステムであって、
チャネル選択パラメータのスレッショルド値を定義するための手段と、
前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値とチャネル選択パラメータの現在の値とを比較するために、前記チャネル選択パラメータの前記スレッショルド値を前記システムから前記移動局へ送るための手段と、
前記比較に基づいて前記チャネル選択を行うための手段とを更に含むことを特徴とするセルラーシステム。
【請求項15】セルラーシステムに接続され、共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)である選択されたチャネルを用いてアップリンク・パケットデータを該システムへ送るための手段を含む移動局であって、
該システムからチャネル選択パラメータのスレッショルド値を受け取るための手段と、前記チャネル選択パラメータのスレショルド値を蓄積するための手段と、
チャネル選択のために、前記チャネル選択パラメータの前記スレショルド値と該チャネル選択パラメータの現在の値とを比較するための手段とを含むことを特徴とする移動局。
【請求項16】前記比較の結果に基づいて前記チャネル選択を行うための手段とを含むことを特徴とする請求項15に記載の移動局。
【請求項17】送られるべきデータ・パケットのパラメータに基づいて該チャネル選択パラメータに対応する値を計算するための手段と、
移動局に送られた最後のチャネル選択パラメータの現在の値を該チャネル選択パラメータの前記の計算された値と比較するための手段と、
前記比較に基づいて前記チャネル選択を行うための手段とを含むことを特徴とする請求項15に記載の移動局。
【請求項18】チャネル選択パラメータに対応する前記の値はRLCバッファー内のデータの量であり、最後のチャネル選択パラメータの前記の最後の現在の値は、該RLCバッファー内のデータの量についてのスレショルド値であることを特徴とする請求項17に記載の移動局。
【請求項19】UMTSシステムにおける請求項1に記載の方法の使用。
【請求項20】UMTSシステムであることを特徴とする請求項14のセルラーシステム。
【請求項21】UMTSシステムにおける請求項15の移動局の使用。
【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、セルラーシステムにおいてパケット・データの転送を管理する方法及び装置に関する。本発明は、TDD(Time Division Duplex(時分割二重)モード及びFDD(Frequency Division Duplex(周波数分割二重)モードを使用するUMTS(Universal Mobile Telecommunications System(ユニバーサル移動電気通信システム))等の、WCDMA(Wideband Code Division MultipleAccess(広帯域符号分割多元接続))に基づく移動通信システムに有利に応用される。
【0002】本発明を理解しやすくするために、次にいわゆる第3世代電気通信システムであるUMTSシステムの構造と、UMTSにおけるパケットデータの転送とを詳しく記述する。しかし、ここで提示するチャネル、プロトコル層及びシグナリング処理手順はUMTSシステムに関連する単なる例であって、本発明の応用はそれらには決して限定されないことに注意するべきである。従来技術の方法は、特許出願文献WO96/37079及び規格ETSI、欧州電気通信規格協会;UMTSYY.01 UE-UTRAN無線インターフェースプロトコルアーキテクチャ;ステージ2、18.12.1998,及びUMTS(YY.02)層1;一般的要件、12/1998にも記載されている。
【0003】図1は、第3世代ディジタルセルラーシステムを略図示している。無線ネットワーク・コントローラ(RNC)と基地局(BS)とを含む基地局サブシステム(BSS)から成るエンティティーはUTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Netrowk(UMTS地球無線アクセスネットワーク))と呼ばれる。コアネットワークCNは、MSC(Mobile Services Switching Center(移動サービス交換センター))及びSGSN(Serving GPRS Support Node(サービングGPRS支援ノード);GPRS=General Packet Radio Service(一般パケット無線サービス))等の、いろいろな交換システムを含んでおり、それは、多目的通信設備に加えて、いろいろな知的ネットワークサービスを提供することができる。移動局MSはUTRANを介して複数のコアネットワークCNに接続されることができる。
【0004】図2は、提案されているUMTSシステムのプロトコル層を示している。移動局MSと無線アクセス・ネットワークUTRANとの間の最も低いプロトコル層は層1(L1)200,201であり、これは物理的無線リンクに対応する。この層の上に在来のOSIモデルの層2に対応するエンティティーがあり、その底には媒体アクセス制御(MAC)層202,203があり、その上に無線リンク制御(RLC)層204,205がある。一番上にはOSIモデルの層3の無線資源制御(RRC)層206,207がある。無線アクセス・ネットワークUTRANとコアネットワークIWU/CNの相互作用ユニットとの間にはいわゆるIuインターフェースがあり、そこではOSIモデル層L1及びL2(図2のブロック208及び209)は上記のL1?RLCの層に対応し、OSIモデル層L3(RANAP;図2のブロック210及び211)は上記のRRC層に対応する。UTRANが第2世代コアネットワークに接続されるならばIWUが必要であるが、第3世代MSC又はSGSNがあるならばIWUは不要であってIuインターフェースで充分である。
【0005】UMTSシステムの無線インターフェースでは、ユーザー・データとシグナリングとは、移動局に割り当てられた専用チャネル(DCH)(移動局に提供される与えられたサービスのための)で、又は共通チャネルで送られることができる。共通チャネルは、例えば、ランダム・アクセス・チャネルRACH、順方向リンク・アクセス・チャネルFACH、放送チャネルBCH及びページング・チャネルPCHを含む。
【0006】RACHはアップリンク方向にのみ使用される。RACHが留保されないので、それを多数の移動局が同時に使用するために無線路に衝突が起こって、送られたデータが受信され得ないという危険がある。RACHを使用するとき、転送を始めた移動局の識別子も送られなければならない。
【0007】RACHでのバースト送信電力は開ループ電力制御を用いて決定される。ランダム・アクセス・バーストの送信の前に、移動局は、ダウンリンク主要共通制御物理チャネル(CCPCH)で受信された電力を測定する。更に、システムは、問題のCCPCHチャネルの送信電力に関してBCHチャネルで移動局に通知する。これらのデータに加えて、送信電力決定は、アップリンク混信レベル情報と、必要とされる信号対混信比(SIR)に関する情報とを使用するが、これらはBCHで移動局に送られる。
【0008】FACHでユーザー・データ或いはシグナリングを転送するとき、ターゲット移動局の識別子も送られなければならない。低速で、速くない、送信電力制御をFACHで使用することができる。FACHにおいて短い通知で転送速度を変更することができる。
【0009】ダウンリンクBCHは固定されている転送速度を使用する。BCHでは、送信は常にセル全体を覆う。同じく、ダウンリンクPCHでは送信は常にセル全体を覆う。
【0010】専用チャネルDCHは、ダウンリンク及び/又はアップリンク方向に予約されることができる。DCHでは高速転送速度変更が可能である。DCHには高速送信電力制御が関連する。
【0011】更に、移動局に割り当てられたチャネルを他の移動局も利用できることがあり、そのときにはいわゆる共有チャネルである。以下では、専用チャネルはその様なチャネルも指すことがある。
【0012】MACは、放送制御チャネル(BCCH)がBCHで転送され、ページング制御チャネル(PCCH)がPCHで転送され、専用制御チャネル(DCCH)及び専用トラフィック・チャネル(DTCH)がDCHで転送されることとなるように、論理チャネル及び上記の転送チャネルを適合させる。更に、DCCH及びDTCHはFACH/RACH及びダウンリンク共有チャネル(DSCH)も使用することができる。
【0013】ダウンリンク・パケットデータ転送は3つの異なる方法で実行されることができる:
-パケットデータは移動局が現在聞いているFACHで転送される。
-パケットデータは移動局が聞いているFACH以外のFACHで転送され、UTRANは始めに移動局に転送のための新しいFACHを割り当てる。
-パケットデータはDCHで転送される。
【0014】DCHチャネルの割当は現在のFACHで信号される。このときUTRANはダウンリンクDCHを使ってデータ・パケット及び制御情報を転送する。特別のシグナリングDCH(いわゆる制御のみモード)を使ってDCHを割り当てることもできる。移動局は、アップリンクDCHを使って肯定応答及び制御情報を転送する。
【0015】ダウンリンク・データについては共通チャネルを使うか或いは専用チャネルを使うかという決定はネットワークの構成に依存し、この場合には無線インターフェース・シグナリングは不要である。
【0016】アップリンク・パケット転送は、次の2つの選択肢のうちの1つで実行される:
-データがRACHで転送され、肯定応答がFACHで転送される;或いは
-RACH/FACHがデータ転送のためにDCHを割り当てるために使われる。特別のシグナリングDCHを使ってDCHを割り当てることもできる。
【0017】図3は、アップリンク共通チャネルでのパケットデータ転送を図解している。RACHで送られるランダム・アクセス・バースト301にはユーザー・データ・パケット302が付随している。この様なユーザー・データ・パケットは、任意の時点で送られることができる。データ・パケットについての受け取り通知ははダウンリンクFACH(図3には示されていない)で行われることができる。
【0018】DCHは、与えられた期間の間、或いは無期限に、移動局に割り当てられ、その場合にはネットワークは、移動局が送信を止めたことに気づくと、チャネルを開放するようにそれに命じる。
【0019】図4は、一定の期間T1の間移動局に割り当てられたアップリンク専用チャネルDCHでのデータ・パケットの転送を図解している。RACHで送られるランダム・アクセス・バースト404を用いてDCH要求が行われる。そのランダム・アクセス・バーストは、送られるべきデータ・パケットのサイズや、或いは移動局により要求される転送速度に関する情報を包含することもできる。転送速度がパラメータとして包含されているならば、移動局は、問題の無線ベアラーのために許可されている転送速度の中からそれを選択することができる。DCHは、FACHで送られるバースト405を用いて割り当てられる。その後、データ・パケット406-408はシステムにより行われた割当に従ってDCH420で送られる。移動局のためにとっておかれた期間T1が終わるとき、その期間が終了する前に移動局が追加の容量を要求しなければ、チャネルは解放される。追加容量を求めるこの要求は、DCHで送られるメッセージを用いて行われることができる。
【0020】図5は、無期限にわたって割り当てられた専用チャネルDCHでのデータ転送を図解している。DCH520の割当はRACHで送られるバースト511を用いて要求され、DCHを割り当てることによってシステムにより受け取り通知が行われる512。移動局は、その後、それに割り当てられたDCHでデータ・パケット506-508を送ることができる。送信されたデータ・パケットに続いて充分な持続時間の休止T2を検出すると、システムはチャネルを空きにするために移動局にチャネル解放コマンド513を送る。
【0021】アップリンク・パケットデータ転送での問題は、そのチャネル選択決定の基礎とするべき送られるべきパケットに関する情報をシステムが全く持っていないことである。従って、転送されるべきデータ・パケットに関する情報をシステムに送らなければならず、その後にシステムは共通チャネル対専用チャネルの使用についての決定に関する情報を移動局に送らなければならない。この情報の転送は、トラフィック容量を使い果たし、パケットデータの転送を遅らせる。
【0022】本発明の1つの目的は、アップリンク・パケットデータを管理するための解決策を提供し、従来技術に関連する上記の問題を回避することである。
【0023】本発明の1つの着想は、パケットデータ転送に使われるべきチャネルに関する決定をチャネル選択パラメータに基づいて行い、決定を行うのに必要なパラメータを移動局に送るということである。該パラメータは、BCH、FACH或いはPCHなどの共通チャネルで有利に送られる。もし1つが移動局に割り当てられるならば、該パラメータをDCHで送ることもできる。送られるべきパラメータは、RACHのために許される最大パケット・サイズ、現在のRACH負荷、等を有利に含む。該パラメータは、パラメータが送られる地域の中の全ての移動局、その移動局の部分集合或いは1つの移動局に関係することができる。本発明は、パケットデータ転送の割当に関連するシグナリング負荷を減少させると共に、データ転送の開始に伴う遅延を最小限にする。
【0024】共通チャネルを使用するか或いは専用チャネルを使用するかということに関する決定の基礎を:
-データ・パケットのサイズ;RLCバッファー内のデータの量或いは転送されるべきデータの量に関する比較的に高い層から得られた情報;
-必要とされるビットレート;
-許される転送遅延;
-転送されるべきデータの優先順位或いは重要性;
-チャネルの負荷;
-RACHでの転送のために必要とされる電力レベ
ル;及び
-RACHで転送可能な最大パケット・サイズ;
などの複数のチャネル選択パラメータに置くことができる。
【0025】移動局は、普通は、アップリンクのパケットデータ転送について必要なビットレート、許される転送遅延及び転送されるべきデータの優先順位に関する情報を持っている。チャネル選択にこれらのパラメータを使用することは、充分なデータ転送品質レベルを達成するために非常に重要である。
【0026】所望の転送信頼度、転送速度及び選択されたチャネルでの転送遅延を達成すると共にランダム・アクセス・バーストのための送信電力を決定できるようにするために、移動局に共通チャネル(RACH)負荷情報を提供することが重要である。
【0027】RACHでの最大許容送信電力レベルはシステムから転送されるべき非常に重要な情報であり、利用できる送信電力と転送の信頼度とが充分であることを確かめることができると共に、移動局での電力消費量を最小限にすることができる。
【0028】更に、RACHで許容される最大パケット・サイズも、パケットのサイズが大きすぎることに起因するデータ転送の失敗を防止するためにシステムから転送される重要な情報である。
【0029】移動局からシステムへパケットデータをアップリンク転送する本発明の方法においては:
-共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)がデータ・パケットの転送のために選択され;
-その選択されたチャネルを用いてデータ・パケットが転送され;この方法は:
-チャネル選択パラメータが定義され;
-該チャネル選択パラメータについて現在の値が決定され;
-前記チャネル選択パラメータがシステムから移動局へ送られ;
-前記選択は該チャネル選択パラメータの前記の値に基づいて行われることを特徴とする。
【0030】本発明の他の実施態様では:
-チャネル選択パラメータのスレショルド値が移動局において蓄積され;
-該移動局に送られた該チャネル選択パラメータの現在の値が該チャネル選択パラメータの前記のスレショルド値と比較され;
-前記選択が前記比較に基づいて行われる。
【0031】本発明の他の実施態様では:
-該チャネル選択パラメータに対応する値が、転送されるべきデータ・パケットのパラメータに基づいて、該移動局で計算され;
-該移動局に送られた該チャネル選択パラメータの最後の現在の値が、該チャネル選択パラメータの前記の計算された値と比較され;
-前記選択が前記比較に基づいて行われる。
【0032】本発明のセルラーシステムは:
-選択されたチャネルを用いて移動局からシステムへアップリンク方向にパケットデータを送るための手段と;
-データ・パケットを送るために共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)を選択するための手段とを含んでおり、このセルラーシステムは:
-チャネル選択パラメータを定義するための手段と;
-該チャネル選択パラメータについての現在の値を決定するための手段と;
-該チャネル選択パラメータの値に基づいて前記選択を行うために前記チャネル選択パラメータの値を該システムから該移動局へ送るための手段とを更に含むことを特徴とする。
【0033】セルラーシステムに接続される、共通チャネル(RACH)又は専用チャネル(DCH)である選択されたチャネルを用いてアップリンク・パケットデータをシステムへ送るための手段を含む本発明の移動局は:
-該システムからチャネル選択パラメータを受け取るための手段と;
-前記チャネル選択パラメータ値に依存して前記の選択を行うための手段とを含む。
【0034】本発明の好ましい実施態様が従属請求項に記載されている。
【0035】以下では添付図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【0036】図1?5については既に従来技術の解説と関連して上で説明したので、以下では主として図6?8を参照して本発明を説明する。
【0037】図6は、アップリンク方向にパケットデータを転送するための本発明の方法のフローチャートを示している(ステップ600)。始めに、チャネル選択パラメータのためのスレショルド値が決定され、移動局のメモリーに蓄積される(ステップ620)。チャネル選択パラメータは、データ・パケット・サイズ等のシステム固有の不変スレショルド値を有することがあるけれども、或るチャネル選択パラメータは、例えばRACH負荷などの、該スレショルド値に関連する現在の値を必要とすることがあることに注意するべきである。従って或るスレショルド値は動的に変化することがある。
【0038】ステップ630において、UTRANは、共通チャネルで、前記チャネル選択パラメータのうちの1つ以上を送る。この情報は、次のような代わりの共通チャネルで送られても良い:
-BCHでアイドルモードの移動局へ、
-FACHでRACH/FACHモードの移動局へ、
-PCH又はBCHでRACH/PCHモード又はパケット・アイドルモードの移動局へ。このモードはURA接続モードとしても知られている。
【0039】UMTSシステムでは、例えばシステム情報メッセージに包含されることがある。
【0040】更に、チャネル選択パラメータは、例えばその様なチャネルがパケットデータ転送のために取っておかれてあるときなどに、DCHで送られることができる。
【0041】データ・パケットを送るように求める要求を受け取ると(ステップ640)、(RLC/)MAC層は、システムから受け取られたパラメータに基づいて共通チャネル対専用チャネルの使用に関する自主的決定を行うか、或いは適切なチャネル・タイプを決定するようにRRC層に要求する。
【0042】以下に、チャネル選択パラメータが転送されるべきデータの量である例が記述されている。データ・パケット、或いはサービス・データ・ユニットSDUがRACH/FACHモードの間にRLC層からMAC層に到着するとき、MACはそのSDUのサイズを最大許容サイズと比較する。もしRLCパケットのサイズがRACHでの最大許容サイズより大きければ、MAC層はRRC層から専用チャネルの形の転送資源を要求する。RRC層は、無線インターフェースを介するパケット資源割り当てシグナリングを処理し、それが使うことのできるトラフィックチャネル(DCH)パラメータをMAC層に知らせ、必要ならば物理層(L1)を構成する。RLCパケットのサイズが最大許容パケット・サイズより小さければ、MAC層は自主的にRACHでのデータの送信を予定する。
【0043】もし決定がDCHを割り当てるという決定であるならば、MAC層はRRC層に知らせ、このRRC層は無線インターフェースを介する容量要求シグナリングを処理する(ステップ680)。移動局のRRC層は、このパラメータをビット誤り率(BER)値と共に使用して、各無線アクセス・チャネルについての最大許容RLC-PDU(プロトコル・データ・ユニット)を計算する。BER値は、可能な再送の数を推定するために必要である。BERパラメータ値の異なる無線アクセス・チャネルが複数あるならば、最大RLC-PDUはそれらの各々について異なるかも知れない。最大許容RLC-PDUサイズは移動局のMAC層に送られる。
【0044】図7は、例として、転送速度が16kbpsであるときには160ビットを含み、転送速度が32kbpsであるときには320ビットを含むRLC-PDU構造を示している。更に、10-ms層1フレームは例えばL1 CRC(巡回冗長検査)と、あり得るテールビットとを包含する。
【0045】図8は本発明の移動局800と、そのセルラーシステムとの接続とを略ブロック図で示している。移動局は、基地局により送られた無線周波数(RF)信号を受信するアンテナ801を含んでいる。受信されたRF信号はスイッチ802によりRF受信装置811に伝えられ、ここで該信号は増幅され、ディジタルに変換される。その後、信号は、レイク結合器を有利に含むブロック812で検出され復調される。インターリービング解除がブロック813で実行され、暗号化解除がブロック814で実行される。その後、信号処理がブロック830で実行される。受信されたデータは単にそれ自体として移動局のメモリーに蓄積されても良く、或いは、処理されたパケットデータは信号処理後にコンピュータ等のあり得る外部装置に運ばれる。制御ユニットは、上記の受信ブロックを該ユニットに蓄積されているプログラムに従って制御する。
【0046】移動局からの本発明に従う送信は例えば次のように実行される。制御ユニット803によって制御されて、ブロック833は信号処理を実行し、ブロック820は、処理された信号を例えばMAC層で暗号化し、ブロック821は該信号を例えば層L1でインターリービングする。ブロック822で、符号化されたデータからバーストが生成され、それはブロック823で変調され増幅されてRF信号となる。送信されるべきRF信号はスイッチ802によってアンテナ801に伝えられる。制御ユニット803は、これらの処理及び送信機能も制御する。
【0047】制御ユニット803は、アップリンク・チャネルの選択に関連するパラメータが本発明に従って共通チャネルから受信されることとなるように受信ブロックを制御する。チャネル選択は制御ユニット803で有利に実行され、このユニットはパケットデータが選択されたチャネルで送信されるように送信ブロックも制御する。
【0048】図8は在来の移動局に属するキーパッド831とディスプレイ832とをも示している。本発明の移動局のブロックを、それ自体としては知られているコンポーネントを使って実現することができる。しかし、他のブロックを制御する制御ユニットは特別のソフトウェアに従ってブロック制御機能を実行し、従って本発明の上記ブロック機能を実現する。
【0049】更に、図8は、データの転送に使われるセルラーシステムのコンポーネントを示している。RF信号の送信及び受信は1つ以上の基地局851のアンテナ850を通して実現される。基地局851から基地局コントローラ852を介して交換機853への接続が確立される。交換機853は、システム中の他の基地局システムとは別に、特に、ホームロケーション・レジスター854及び公衆交換電話回線網PSTNにも接続される。基地局システムは、パケットデータ転送チャネルの選択に関連するパラメータを本発明の移動局に送り、移動局により選択されたチャネルを通して、移動局から送られたパケットデータを受信する。
【0050】信号、チャネル、システム及びシステム・コンポーネントの名前と、上記の例に使われる他のものの名前とは、いわゆる第3世代移動通信システムのための計画に従っており、それについては、ここでは、本発明の実行可能なアプリケーションの例を提供するために単に例として論じられている。本発明は、特定の如何なる移動通信システムにも限定されず、それは、ここに添付されている請求項により定義される本発明の範囲内で修正され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第3世代のセルラー無線ネットワークの構造を図解している。
【図2】第3世代無線アクセス・ネットワークにおけるプロトコル層を示している。
【図3】RACHでのアップリンク・データ・パケット転送を図解している。
【図4】アップリンクDCHでの個々のデータ・パケットの転送を図解している。
【図5】アップリンクDCHでの、複数のデータ・パケットから構成されるデータの転送を図解している。
【図6】アップリンク・パケットデータ転送を管理するための本発明の方法のフローチャートを示している。
【図7】プロトコル・データ・ユニットの構造を図解している。
【図8】本発明の移動局のブロック図を示している。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-10-30 
出願番号 特願2000-601746(P2000-601746)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H04W)
P 1 41・ 852- Y (H04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 近藤 聡
特許庁審判官 吉田 隆之
加藤 恵一
登録日 2003-08-08 
登録番号 特許第3459635号(P3459635)
発明の名称 セルラーシステムにおいてパケットデータ転送を管理する方法及び装置  
代理人 森 啓  
代理人 萩原 良一  
代理人 萩原 良一  
代理人 森 啓  
代理人 榎原 正巳  
代理人 鶴田 準一  
代理人 青木 篤  
代理人 鶴田 準一  
代理人 青木 篤  
代理人 榎原 正巳  
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