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審決分類 再審 全部無効 請求書の表示、請求  C09D
管理番号 1281702
審判番号 再審2011-950002  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-11-17 
確定日 2012-05-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第4096736号発明「酸化チタン系熱放射性塗料」に係る特許無効審判事件(無効2010-800006)の確定審決に対する再審事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件再審の請求を却下する。 再審に関する費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.経緯
本件は、特許第4096736号(以下、「本件特許権」という。)に係る特許無効審判事件〔無効2010-800006〕(以下、「本件無効審判」という。)の確定審決に対する再審事件であるが、本件に係るこれまでの経緯は次のとおりである。

平成13年11月14日:国際出願〔PCT/JP2001/009932、優先権主張 平成12年11月15日〕による特許出願〔特願2002-543601
平成20年3月21日:本件特許権の設定登録
平成20年6月4日:特許掲載公報の発行
平成22年1月6日:本件無効審判請求
平成22年11月12日:本件無効審判の審決(以下、「本件審決」という。)
本件審決の結論は次のとおりである。
特許第4096736号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。」
平成22年11月20日:両当事者に本件審決送達
平成22年12月15日:被請求人(本件の請求人)が本件審決に対する訴えを知的財産高等裁判所に提起〔平成22年(行ケ)第10389号〕(以下、「本件審決取消訴訟」という。)
平成23年10月4日:本件審決取消訴訟の判決言渡(請求棄却)
平成23年10月20日:本件審決確定
平成23年11月7日:本件特許権の登録抹消の登録
平成23年11月17日:本件再審請求

また、本件特許権には他に次の経緯がある。
○無効審判事件1
平成20年7月8日:特許無効審判請求(無効2008-800128)
平成21年4月10日:審決(要旨:請求不成立)
平成21年5月19日:審決に対する訴えを知的財産高等裁判所に提起〔平成21年(行ケ)第10130号〕
平成21年10月13日:判決言渡(請求棄却)
平成21年10月27日:審決確定

○無効審判事件2
平成21年12月25日:特許無効審判請求(無効2009-800257)
平成22年11月12日:手続中止通知
平成23年11月4日:手続中止解除通知
平成23年11月22日:審決(要旨:請求却下)
平成24年1月4日:審決確定

2.本件再審請求
再審請求書によれば、再審の請求の趣旨は、
「原審決を取り消す。
請求費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」
というものである。

そして、本件再審の請求の理由として、請求人は「請求理由1」ないし「請求理由5」を挙げている。その概要は次のとおりである。
(1)請求理由1
特許第4096736号審判請求事件(無効2010-800006、以下単に原審という)における審理・審決は、「判決に影響を及ぼすべき重要事項について、判断の遺脱がある」。(特許法第171条2項、民訴法第338条1項9号)。
原審において被請求人(再審請求人)は、原審における請求の理由には、特許を無効にする根拠となる事実の具体的特定は、何一つとして存在しないことを指摘し、(特許法第131条2項違反)、請求の却下(門前払い)を求めているにも拘わらず、審決はこれについて一言の言及もなく、判断もしてない。すなわち、重要事項について、判断の遺脱があったことは明白である。
(2)請求理由2
審決に重大な瑕疵があり、かつ、判断の基礎となった資料・証拠に異常な欠陥がある。
原審において、請求人(再審被請求人)は、原審甲2号証を悪用して、前記の、常識に反し科学に反することを平然と主張し、審決はこれを是認して審決の理由としている。すなわち、審決に重大な瑕疵があることは明白である。
原審において、請求人(再審被請求人)は、証拠(原審甲2号証の2)を改ざんし、改ざんされた原審甲2号証に基づいて虚偽事実を捏造し、この捏造した事実をもって、原審における無効審判請求の根拠としている。審決は、これを是認して、判断の基礎としている。
すなわち、判断の基礎となった資料・証拠(原審甲2号証)に異常な欠陥があることは明白である。
(3)請求理由3
原審における請求の理由及び審決は、確定判決に抵触する。(特許法第171条2項、民訴法第338条1項10号)。
原審における当事者及び訴訟物は、前審(特許第4096736号審判請求事件、無効2008-800128)、及び、その控訴審(平成21年(行ケ)第10130号審決取消請求事件)における当事者及び訴訟物と同一である。そして、前審における審決は、その控訴審を経て確定している。
(4)請求理由4
原審において請求人(再審被請求人)は、甲1号証?甲7号証を提出しているが、これらの証拠は請求人(再審被請求人)の自白によって、その証拠能力は否定されている。
原審における請求の理由には、特許を無効にする根拠となる事実の具体的特定がなく、これを立証する証拠も存在しない。(特許法第131条2項違反)。
(5)請求理由5
審決において述べた審決の理由は、論理の合理性がなく、その大部分は、反科学である。

3.請求の理由について
再審の事由について、特許法第171条第2項には「民事訴訟法第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。」と規定されている。
また、準用する民事訴訟法第338条第1項柱書には「次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。」と規定されている。ここで、民事訴訟法第338条第1項ただし書にいう「控訴若しくは上告」とは、特許法に則していうと「審決取消訴訟の提起若しくは同訴訟に対する上告」のことをいうことは自明である(知的財産高等裁判所 平成19年(行ケ)第10407号)。
すなわち、審決確定前に当事者が再審事由に該当する審決取消事由を「審決取消訴訟又は同訴訟に対する上告」によって主張したが棄却された場合や、当該事由が存在することを知りながら「審決取消訴訟又は同訴訟に対する上告」で主張しなかった場合は、審決確定後に再審を請求することは許されないことを規定している。

そして、本件再審請求書に記載された上記「請求理由1」ないし「請求理由5」は、いずれも本件審決の理由又は判断について請求人の独自の見解に基づく不服を述べるものであるが、これらの請求理由が仮に民事訴訟法第338条第1項各号に掲げる事項のいずれかに該当するものであっても、請求人が本件審決に上記「請求理由1」ないし「請求理由5」に該当する瑕疵があるというのであれば、いずれの請求理由についてもその基礎とする事項は、それが正しいか否かはさておき、本件審決を見れば直ちに認識できるものであるから、請求人は先に提起した本件審決取消訴訟において上記「請求理由1」ないし「請求理由5」についての主張をすることができたものといえる。したがって、請求人が上記「請求理由1」ないし「請求理由5」を本件審決取消訴訟において主張しなかったとしても、本件再審請求においてこれらの請求理由を主張することは、「当事者が控訴若しくは上告によりその事由を知りながら主張しなかったとき」に該当することは明らかである。(なお、本件審決取消訴訟の判決書をみれば、当該訴訟において、請求人は、上記請求理由1?5のいくつかは実質的に主張したが、認められなかったようにも窺える。)
そうすると、上記「請求理由1」ないし「請求理由5」は、民事訴訟法第338条第1項各号に掲げる事由に該当しない場合には、当然同項本文の規定に違反するものとなり、また同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、同項ただし書に該当するものとなるので、いずれの場合であっても、再審請求の理由として認めることができないものである。
したがって、本件は不適法な再審請求である。
また、その補正をするにしても、特許法第174条第2項で準用する同法第131条の2第1項本文の規定により、その補正は請求の要旨を変更しない範囲に限られるのであって、新たな請求理由を追加・変更することはできないことから、結局、補正によっては本件が不適法な再審請求であることを治癒することはできない。

なお、本件再審請求書には、4頁末尾に「詳細は、別紙上申書若しくは口頭審理陳述要領書において、証拠を示し、具体的かつ詳細に陳述する。」と記載されているが、上記したとおり、「請求理由1」ないし「請求理由5」は、少なくとも特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項ただし書の規定に該当するものであるから、これらの請求理由について具体的かつ詳細に陳述したとしても、同規定に該当することを免れ得るものではないことは明白である。
そうすると、請求人に、当該請求理由について、さらに「証拠を示し、具体的かつ詳細に陳述する」ことを求めるまでもない。

4.まとめ
以上のことから、本件は、不適法な再審請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第174条第2項で準用する同法第135条の規定により、審決をもってこれを却下することとする。
再審に関する費用については、特許法第174条第2項で準用する同法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものである。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-13 
結審通知日 2012-03-16 
審決日 2012-04-11 
出願番号 特願2002-543601(P2002-543601)
審決分類 P 5 113・ 01- X (C09D)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 藤原 浩子  
特許庁審判長 田口 昌浩
特許庁審判官 近藤 政克
大島 祥吾
登録日 2008-03-21 
登録番号 特許第4096736号(P4096736)
発明の名称 無  

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