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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B41F
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B41F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B41F
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B41F
管理番号 1282453
審判番号 訂正2013-390073  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-05-09 
確定日 2013-06-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2137621号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2137621号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第2137621号(以下「本件特許」という。)の経緯は以下のとおりである。

特願平3-61845号(以下「本件出願」という。)
出願、審査請求 平成 3年 3月26日
拒絶理由通知 平成 6年12月13日(発送日)
意見書 平成 7年 2月 9日
出願公告の決定 平成 7年11月 7日(発送日)
異議申立 平成 8年 5月27日
異議申立 平成 8年 5月28日
異議申立 平成 8年 5月29日
答弁書 平成 9年 4月28日
答弁書 平成 9年 4月28日
答弁書 平成 9年 4月28日
手続補正書 平成 9年 4月28日
弁駁書 平成 9年10月17日
弁駁書 平成 9年10月27日
弁駁書 平成 9年11月19日
特許査定 平成10年 6月23日(発送日)
異議決定 平成10年 7月14日(発送目)
異議決定 平成10年 7月14日(発送日)
異議決定 平成10年 7月14日(発送日)
登録 平成10年 7月31日
訂正審判(一次)請求 平成23年 5月18日
訂正拒絶理由通知 平成23年 6月 8日(発送日)
訂正審判(一次)請求取下 平成23年 6月22日
訂正審判(二次)(以下「本件(訂正)審判」という。)請求
平成25年 5月 9日


第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書を本件審判請求書に添付の訂正明細書のとおり訂正することを認めるとの審決を求める、というものである。


第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。

1 訂正事項a
明細書の特許請求の範囲における請求項1において「該版胴の表面粗さRmaxを1.0μm≦Rmax≦100μmに調整した」を「該版胴の表面粗さRmaxを6.0μm≦Rmax≦100μmに調整した」と訂正する。
2 訂正事項b
明細書の[0006]段落中の「版胴表面粗さを、1.0μm≦Rmax≦100μmに調整する。」を「版胴表面粗さを、6.0μm≦Rmax≦100μmに調整する。」と訂正する。
3 訂正事項c
明細書の[0007]段落中の「版胴の表面粗さを1.0μm≦Rmax≦100μmとすることによって、」を「版胴の表面粗さを6.0μm≦Rmax≦100μmとすることによって、」と訂正する。
4 訂正事項d
明細書の[0014]段落中の「該版胴の表面粗さRmaxを1.0μm≦Rmax≦100μmに調整したことにより、」を「該版胴の表面粗さRmaxを6.0μm≦Rmax≦100μmに調整したことにより、」と訂正する。


第4 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、請求項1に係る発明において、「版胴の表面粗さRmax」の調整される値の範囲を、「1.0μm≦Rmax≦100μm」から「6.0μm≦Rmax≦100μm」へと訂正するものであって、その調整される値の範囲を減縮するものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項aは、請求項1に係る発明において、「版胴の表面粗さRmax」の調整される値の下限値を、「1.0μm」から「6.0μm」へと訂正するものであるところ、本件特許明細書の「【0011】次に、本発明装置の実験結果について説明する。直径D≒350mm、長さ≒1660mmのオフセット輪転機版胴表面に、厚さ約100μmの硬質Crメッキを施工後、表面粗度調整加工を実施し、版胴表面粗度Rmax≒6.0μmを得た。この版胴を用いて印刷を行い、版ずれ量を調査する実験を行った。また、同寸法・形状の従来版胴についても同じ実験を行い、両者の版ずれ量を比較した。この結果を図3に示す。」、「【0012】図3において、δaは初期ずれを除外した版ずれ量(mm)であり、nは印刷部数を示す。…従来品では版ずれが発生しており、本発明版胴では4枚とも版ずれが発生していないという結果がでている。」、「【0013】図3から、本発明版胴の版ずれ防止効果が極めて優れていることが分る。」との記載に照らせば、上記訂正事項aは、本件当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。
さらに、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項bないし訂正事項dについて
訂正事項bないし訂正事項dは、請求項1に係る発明において上記訂正事項aの訂正を行うのにあわせて、発明の詳細な説明の段落【0006】、【0007】及び【0014】の「版胴(の)表面粗さRmax」の範囲につき、「1.0μm≦Rmax≦100μm」とあったものを「6.0μm≦Rmax≦100μm」と訂正するものであるから、上記(1)と同様の理由で、本件当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)1のまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、上記訂正事項aないし訂正事項dは、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

2 独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件訂正後発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。
(1)新規性進歩性
本件訂正後発明について、その新規性あるいは進歩性を否定すべき本件出願の出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明あるいは公然実施をされた発明は見当たらない。また、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物も見当たらない。
なお、本件訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明」という。)は、本件訂正前発明を対象とする侵害訴訟事件(平成23年(ワ)第21311号)において、「…本件輪転機(審決注:昭和63年8月頃東日印刷に納入されたVBW型オフセット輪転機)の版胴は,その納入時において,…本件発明2(審決注:本件訂正前発明)の構成要件を充足するものであったと認められる。…したがって,本件発明2は,本件輪転機の納入により,…本件特許2の出願前に公然実施されたものであると認められる。以上によれば,本件特許2は,…特許無効審判により無効にされるべきもの…」(71、72頁)との判決が下されているところである(平成25年4月26日。東京地方裁判所)。しかしながら、上記侵害訴訟事件において、本件訂正前発明の特許無効の根拠とされた「昭和63年8月に東日印刷株式会社に納入されたオフセット輪転機「ET-1」の版胴追加加工図」(乙15の1)の左上の版胴を示すとみられる図には、「1.5-S」、「▽▽▽」の表示があり、当該表示は、版胴の表面粗さRmaxの「許せる最大値」が1.5μmであることを示すものであると解することはできるものの、当該表面粗さRmaxの「許せる最大値」がそれ以上の値であることを示すものということはできない。また、乙15の1の前記図から、版胴の表面粗さRmaxの値を本件訂正後発明のように6.0μm以上とすることが、当業者において容易になし得たことであるということもできない。
(2)記載不備について
本件訂正後発明に関し、特段の記載不備は認められない。
(3)2のまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、本件訂正後発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないものといえるから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。


第5 むすび
上記第4のとおり、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
オフセット輪転機版胴
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】版を装着して使用するオフセット輪転機版胴において、前記版胴の表面層をクロムメッキ又は耐食鋼で形成し、該版胴の表面粗さRmaxを
6.0μm≦Rmax≦100μm
に調整したことを特徴とするオフセット輪転機版胴。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオフセット輪転機の版胴に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のオフセット輪転機の版胴は耐食性、耐摩耗性、汚れ除去性等の観点から、その表面にCrメッキ施工後、研磨加工によりRmax<1.0μmに調整されたもの、又は耐食材を肉盛溶接後研磨加工されたものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術には、次のような問題点がある。図4に示すように、従来の版胴1に版2を装着して印刷する場合、印圧Pを負荷して接触・回転する相手ブランケット胴3との間で相互に周長差があると、版胴1に装着された版2に接線力Fが作用することになる。
【0004】このため、この接線力Fによって、版2と版胴1間で、上記周長差に対応した微小すべりを発生し、印刷作業の進行と共に、このすべりが蓄積され、版2と版胴1の相対位置が変化するいわゆる版ずれトラブルが発生する。従来、この版ずれトラブルの防止策としては、図5に示すように、版2と版胴1間にルミラーと呼ばれるプラスチックシート4を版胴に糊付け挿入したり、あるいは図6に示すような版固定バネ5のバネ力を強化したりする方法が用いられていた。しかしながら、プラスチックシートを挿入糊付けする方法は、作業上、非能率的であり、また、版固定バネを強化する方法でも、バネ作動のための動力増加が必要であると共に、版ずれトラブルを完全に防止することは困難であった。
【0005】本発明は、上記の版ずれトラブルを容易に防止できる版胴を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来、Crメッキあるいは耐食鋼を肉盛溶接後、研磨加工によりRmax<1.0μm程度に仕上げ加工されていた版胴表面粗さを、
6.0μm≦Rmax≦100μm
に調整する。
【0007】
【作用】版胴の表面粗さを6.0μm≦Rmax≦100μmとすることによって、版と版胴間の摩擦係数を増加させることができ、これにより版ずれトラブルが防止できる。
【0008】
【実施例】本発明の実施例を図1乃至図3について説明する。図1において、1は版胴本体であり通常、軟鋼が用いられることが多い。6はCrメッキ層であり、その表面は表面粗さRmaxを、1μm≦Rmax≦100μmに調整されている。
【0009】図2に版胴の表面差Rmaxと約20万部印刷後の版ずれ量δの実験例を示す。これから、本発明の有効性が分る。図中、↑○↓は実験条件によるデータの変動範囲である。なお、版の装着状態(人的要因)、運転条件(印圧、棒圧等)の違い等の実験条件の違いにより、同じ版胴(Rmax)でも、版ずれ量が変わってくる。図2の↑○↓で示す範囲は、その版ずれ量の変動範囲を表わしている。その他、版曲げ状態の違い、ブランケットの締めつけの違い、ブランケットのへたり量の違い、版胴表面の汚れ等によっても版ずれ量が変動する。
【0010】なお、図2において、Rmaxが大きい程、版ずれ防止効果も優れていることが容易に推測されるが、Rmax>100μmでは、版胴の寸法精度や汚れ除去特性に問題が生じることが考えられるので、Rmaxの上限値をRmax≦100μmとする。また、Rmax<1.0μmでは従来版胴に比べて版ずれ防止効果が小さいので、その下限をRmax≧1.0μmとする。
【0011】次に、本発明装置の実験結果について説明する。直径D≒350mm、長さ≒1660mmのオフセット輪転機版胴表面に、厚さ約100μmの硬質Crメッキを施工後、表面粗度調整加工を実施し、版胴表面粗度Rmax≒6.0μmを得た。この版胴を用いて印刷を行い、版ずれ量を調査する実験を行った。また、同寸法・形状の従来版胴についても同じ実験を行い、両者の版ずれ量を比較した。この結果を図3に示す。
【0012】図3において、δaは初期ずれを除外した版ずれ量(mm)であり、nは印刷部数を示す。実験は各版胴に4枚づつ版を装着して行った。○△□◇は従来の版胴に装着した4枚分のデータ、●▲■◆は本発明版胴に装着した4枚分のデータである。版装着状態等のちょっとした違いにより、各版で版ずれ量にばらつきがあるが、従来品では版ずれが発生しており、本発明版胴では4枚とも版ずれが発生していないという結果がでている。
【0013】図3から、本発明版胴の版ずれ防止効果が極めて優れていることが分る。
【0014】
【発明の効果】本発明は、版を装着して使用するオフセット輪転機版胴において、前記版胴の表面層をクロムメッキ又は耐食鋼で形成し、該版胴の表面粗さRmaxを6.0μm≦Rmax≦100μmに調整したことにより、版胴の表面は耐食性及び耐摩耗性を向上させると共に版ずれトラブルを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す図である
【図2】版胴表面のCrメッキの表面粗さと版ずれ量の関係を示す線図である。
【図3】本発明の実施例における版ずれ量δaと印刷部数nの関係を示す線図である。
【図4】従来装置における問題点と原因を説明する図である。
【図5】従来の版ずれ防止技術を示す図である。
【図6】従来の他の版ずれ防止技術を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴本体
6 Crメッキ層
Rmax 表面粗さ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-06-04 
出願番号 特願平3-61845
審決分類 P 1 41・ 854- Y (B41F)
P 1 41・ 851- Y (B41F)
P 1 41・ 856- Y (B41F)
P 1 41・ 855- Y (B41F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森 竜介國田 正久  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 黒瀬 雅一
鈴木 秀幹
登録日 1998-07-31 
登録番号 特許第2137621号(P2137621)
発明の名称 オフセット輪転機版胴  
代理人 鈴木 守  
代理人 鈴木 守  
代理人 大野 聖二  
代理人 飯塚 暁夫  
代理人 飯塚 暁夫  
代理人 大野 聖二  
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