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審決分類 審判 判定 判示事項別分類コード:121 属さない(申立て不成立) B29C
管理番号 1283190
判定請求番号 判定2013-600024  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2014-02-28 
種別 判定 
判定請求日 2013-06-27 
確定日 2014-01-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第3162319号の判定請求事件について、次のとおり判定する。  
結論 判定請求書及びイ号図面に示す「樹脂シートの成形装置」(以下、「イ号製品」という。)は、特許第3162319号の特許請求の範囲の請求項3に係る発明の技術的範囲に属しない。  
理由 1.イ号製品は特許第3162319号の特許請求の範囲の請求項3に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2.本件特許発明
本件特許発明に係る「樹脂シートの成形装置」は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定されるものであり、分説すると以下のようになる。
「構成要件A:一対のクランプチェンにより両側縁を掴着した連続樹脂シートを一定長さずつ間欠移送して加熱ゾーン・成形ゾーンに順次に停止させ、該連続樹脂シートを成形温度に加熱して成形を施す樹脂シートの成形装置において、

構成要件B:前記クランプチェンを案内する一対のガイドレールを前記連続樹脂シートの供給位置から成形ゾーンの入口部に配置した加熱側レールと、該成形ゾーンの入口部から出口部に配置した成形側レールに分割すると共に、

構成要件C:この成形側レールを加熱側レールに軸連結して屈伸可能に設け、

構成要件D:上記加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シートを幅方向に伸長するべく前記成形側レールの対応間隔を平行に拡大する移動手段を設けたこと

構成要件E:を特徴とする樹脂シートの成形装置。」

3.イ号製品
請求人が証拠方法として提出した甲号証は以下のものである。
○甲第1号証:本件特許公報(特許第3162319号公報)
○甲第2号証:本件特許の登録原簿
○甲第3号証:株式会社トーコー作成の「連続圧空真空成形機(TFP-T
Y-1000)」の仕様書
○甲第4号証:株式会社トーコー作成の「連続圧空真空成形機(TFP-T
Y-1000)」の広告パンフレット
○甲第5号証:株式会社浅野研究所作成のイ号図面(平面図の図1、側面図
の図2)
○甲第6号証:イ号製品を撮影した写真(写真1?5)
○甲第7号証:包装タイムス(2013年(平成25年)4月1日、日報ビ
ジネス株式会社発行)

(3-1)甲第3号証に記載の事項



上記より、甲第3号証には、「連続圧空真空成形機(TFP-TY-1000)」に関して、連続樹脂シートがクリップ式のダブルチェーンによってクリップされて移送され、シート入口、成形入口及びチェーン出口の3ヶ所に配置されているチェーンレール幅移動手段(電動数値制御装置)によりチェーンレールが全体平行移動または個別単独移動させられ、また、チェーンレールが加熱部のシート入口から成形部の成形入口までの加熱側レールと成形部の成形入口からチェーン出口までの成形側レールになっており、樹脂シートが加熱部から成形部に移送され、さらに、成形はリンク機構ACサーボ駆動により上下金型を上下動させることによって行われ、炉内にもチェーンレール幅移動手段(電動数値制御装置)を配置する、樹脂シートの成形装置の記載があり、上下金型を上下動させて成形を行うためには、樹脂シートを加熱部や成形部に順次停止させて間欠移動させる必要があることから、上記間欠移動がなされているものと認める。

(3-2)甲第4号証(広告パンフレット)に記載の事項
甲第4号証には、表紙に「龍 Dragon TOKO FORMING MACHINE」、「TFP-TY SERIES」および「株式会社トーコー」、次頁に「TFP-TYシリーズ 新型圧空真空成形機」、「型式 TFP-TY-1000」、「成形面積 最大1050(幅)×1170(送)mm 最小600(幅)×600(送)mm」、「成形深さ MAX150mm」、「型締力 45Ton」、「成形方法 圧空真空成形」、「テーブル動作 トグル機構+A.Cサーボモーター駆動」、「シート送り クリップ式ダブルチェーン+A.Cサーボモーター駆動」、「加熱方法 2段加熱式 上下クイックヒーター」、成形機全体の平面図および側面図の記載がある。

上記より、甲第4号証(広告パンフレット)には、「TFP-TY-1000」に関して、成形体は、所定の成形面積毎に、所定の成形深さ、一定の型締力、特定の成形方法で成形され、シートは上下クイックヒーターにより加熱され、クリップ式ダブルチェーン+A.Cサーボモーター駆動によって送られる、樹脂シートの成形装置の記載がある。

(3-3)甲第5号証(イ号図面)に記載の事項
甲第5号証は、甲第4号証(広告パンフレット)に掲載されている図面、および、この図面に示された成形装置を撮影した写真(甲第6号証)を参照して請求人が作成したものであり、当該イ号図面(平面図の図1、側面図の図2)には、樹脂シート(S)がクリップ式ダブルチェーン(7、8)により両側縁をクリップされて加熱部(H)・成形部(F)に順次移送されることにより加熱及び成形され、また、チェーンレールが加熱部(H)のシート入口から成形部(F)の成形入口に配置した加熱側レール(10、11)と成形部(F)の成形入口からチェーン出口に配置した成形側レール(12)とに分割して設けられ、シート入口(左端)からチェーン出口(右端)に沿ってチェーンレール幅移動手段が4ヶ所(13、14、15、16)に設けられ、チェーンレール幅移動手段(15、16)が成形側レール(12)を移動させ、上下金型(M)により樹脂シート(S)の成形を行う、樹脂シートの成形装置の記載がある。

(3-4)甲第6号証(写真)に記載の事項
甲第6号証は、甲第4号証(広告パンフレット)に掲載されている図面に示された成形装置を撮影した写真であり、当該写真は、2つの長尺物31、32がピン30によって連結されていることを示すものである。

(3-5)甲第7号証(包装タイムス)に記載の事項
甲第7号証には、被請求人が「連続圧空真空成形機」の「Dragon(ドラゴン)」(TFP-TYシリーズ)を製造販売していることを示す記載がある。

上記甲第3ないし7号証に記載の事項からして、イ号製品は次のとおり特定されるものと認める。
「構成a:クリップ式ダブルチェーン(7、8)により両側縁を掴着した連続樹樹脂シート(S)を一定長さずつ間欠移送して加熱部(H)・成形部(F)に順次に停止させ、該連続樹脂シートを成形温度に加熱して成形を施す樹脂シートの成形装置において、

構成b:前記クリップ式ダブルチェーン(7、8)を案内するチェーンレール(10、11、12)を前記連続樹脂シート(S)のシート入口から成形部(F)の成形入口に配置した加熱側レール(10、11)と、該成形部(F)の成形入口からチェーン出口に配置した成形側レール(12)に分割して設けると共に、

構成c:2つの長尺物31、32がピン30によって連結され、

構成d:前記成形側レールのレール幅を平行に拡大するチェーンレール幅移動手段(15、16)を設けたこと

構成e:を特徴とする樹脂シートの成形装置。」

4.当事者の主張
(4-1)請求人の主張
請求人は、請求書において以下の主張(大略)をしている。
(1)構成aの説明
甲第3号証(仕様書)の「2.主仕様」(1)(2)(6)(7)(8)、「3.機械仕様」(1)(2)(3)(4)および「8.オプション(別途費用)」「・炉内チェーンレール幅移動 電動数値制御(この装置を取り付ければ,チェーン幅移動は合計4ケ所となる)」、甲第4号証(広告パンフレット)、甲第5号証(イ号図面)より、イ号製品には、本件特許発明の構成要件Aのあることが確認できる。

(2)構成bの説明
甲第3号証(仕様書)の「3.機械仕様」(3)(8)、甲第5号証(イ号図面)より、イ号製品には、本件特許発明の構成要件Bのあることが確認できる。

(3)構成cの説明
甲第3号証(仕様書)の「3.機械仕様」(3)(4)および「8.オプション(別途費用)」「・炉内チェーンレール幅移動 電動数値制御(この装置を取り付ければ,チェーン幅移動は合計4ケ所となる)」、甲第6号証(写真)より、イ号製品には、本件特許発明の構成要件Cのあることが確認できる。

(4)構成dの説明
甲第3号証(仕様書)、甲第5号証(イ号図面)より、イ号製品には、本件特許発明の構成要件Dのあることが確認できる。

(5)構成eの説明
甲第3号証(仕様書)の「2.主仕様」(1)(2)(6)より、イ号製品には、本件特許発明の構成要件Eのあることが確認できる。

したがって、イ号製品の構成a?eは、本件特許発明の構成要件A?Eのすべてを備えている。

(4-2)被請求人の主張
被請求人は、答弁書において以下の主張(大略)をしている。
(4-2-1)本件特許発明について
本件特許発明の構成要件Dにおける連続樹脂シートは、「垂れ下がり現象が現れ始めた」状態のものに限定されているが、このような補正は、平成12年9月4日提出の手続補正書において行われたものであり、判定請求人は、同日提出の意見書において、補正後の本願発明は、加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた樹脂シートを、成形側レールの平行移動動作によって一気に幅方向に伸長させて、厚さの均一化を図るものであり、引例2のように成形ゾーンの前の拡張ゾーンCにて徐々に拡張を施すものとは相違する旨を主張している。いいかえると、判定請求人は、加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた樹脂シートを、平行移動操作によって一気に幅方向に伸長させる成形側レールとその移動手段という動作乃至機能上の相違点を強調して、引例2との差別化を図っている。

(4-2-2)イ号製品について
甲第5号証図1に示された、樹脂シート(S)の入口側から出口側に沿って4ヶ所に設けられた移動手段(13、14、15、16)は、成形側レール(12)を幅方向に移動可能であるとしても、これは連続圧空真空成形機を設置、調整する際に、成形側レール(12)の幅を予め調整するためのものであって、実際に樹脂シートを加熱、成形する運用時においては、成形側レール(12)は幅方向に移動されることはなく、固定されたままである。したがって、イ号装置では、「加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シート」を「幅方向に伸長する」ような移動手段が存在せず、装置の設置時に成形側レール(12)を移動させる移動手段(15、16)が存在するのみである。
また、本件特許明細書には、樹脂シートが加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた時点以外でのタイミングで、成形側レールを平行移動させるような態様については、何ら言及されておらず、またこのことを示唆する記述もない。逆に、判定請求人は、審査段階において、加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた樹脂シートを、成形側レールの延長方向と直交する方向である成形側レールの平行移動操作によって一気に幅方向に伸長させるという機能を強調して、引例との差別化を図ったという経緯がある。したがって、このような審査経過における主張と異なる主張を、特許査定後に行うことは、信義則乃至禁反言の法理に悖り、許されない。

(4-2-3)まとめ
イ号製品は、構成要件Dを備えていないものであり、その余を検討するまでもなく、特許第3162319号の技術的範囲に属しないものである。

(4-3)請求人の主張
請求人は、弁駁書において以下の主張(大略)をしている。
(4-3-1)上記(4-2-1)に対して
意見書での説明は、成形側レールの移動動作がいつ行われるかについて説明したのではなく、「連続樹脂シートを所定寸法だけ幅方向に伸長させるとき」は「成形適正温度まで加熱したとき」、すなわち「加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた」ときであることを説明しており、移動手段による成形側レールの移動動作が、準備運転中において「加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた」ときに行われることを念頭に置いて説明したものである。
そもそも、本件特許請求項3には「加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた前記連続樹脂シートを幅方向に伸長するべく成形側レールの対応間隔を平行に拡大する移動手段を設けたこと」(構成要件D)と記載されており、移動動作をどの時点で作動させるかについては特定されていない。請求項3の上記記載は、あくまでも、垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シートを幅方向に伸長するべく移動手段が設けられていることを記載するものである。
すなわち、移動手段の移動は、成形運転(通常運転のこと。以下同じ)の準備段階における連続樹脂シートに垂れ下がり現象が現れ始めた段階において、移動手段により成形側レールを幅方向に拡張しておくことも当然に含まれるのである。

(4-3-2)上記(4-2-2)に対して
甲第5号証の図1 (イ号装置を図示したもの)において図面符号15、16で示した移動手段は、成形側レール(12、12)の幅を、入口部分や加熱ゾーンにおけるレール(10、10)、(11、11)の幅よりも広く且つ平行になるように予め調整しておくことは十分可能である。むしろ、そのように各レール幅を調整するために設けられているのである。また、甲第3号証(イ号装置の仕様書)の第2頁24行目には「・チェーンレール幅拡大差範囲片側0?30mm 任意設定可」と記載されていることからもそのことは明確である。
そして、イ号装置の成形側レールが上記のように予め設定されていれば、成形運転の際に固定されていても、上記成形側レールは成形ゾーンにおいて、加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シートを幅方向に平行に伸長するのである。
すなわち、イ号装置の移動手段は、予め成形側レールの幅を調整するために設けられており、運転中は固定されていても、イ号製品は、本件特許請求項3の「加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた前記連続樹脂シートを幅方向に伸長するべく成形側レールの対応間隔を平行に拡大する移動手段を設けたこと」(構成要件D)に該当するのである。

(4-3-3)上記(4-2-3)に対して
イ号製品は、本件特許発明の構成要件のすべてを充足しているから、本件特許発明の技術的範囲に属する。

5.対比、判断
(5-1)対比
本件特許発明とイ号製品とを対比する。
イ号製品の「クリップ式ダブルチェーン(7、8)」、「クリップ」、「連続樹脂シート(S)」、「加熱部(H)」、「成形部(F)」、「チェーンレール(10、11、12)」、「シート入口」、「成形入口」、「チェーン出口」、「加熱側レール(10、11)」、「成形側レール(12)」、「レール幅」、「チェーンレール幅移動手段(15、16)」は、
本件特許発明の「一対のクランプチェン」、「掴着」、「連続樹脂シート」、「加熱ゾーン」、「成形ゾーン」、「一対のガイドレール」、「供給位置」、「入口部」、「出口部」、「加熱側レール」、「成形側レール」、「対応間隔」、「移動手段」にそれぞれ相当する。

上記より、イ号製品の構成a、b、eは、「構成a:一対のクランプチェンにより両側縁を掴着した連続樹脂シートを一定長さずつ間欠移送して加熱ゾーン・成形ゾーンに順次に停止させ、該連続樹脂シートを成形温度に加熱して成形を施す樹脂シートの成形装置において、」、「構成b:前記クランプチェンを案内する一対のガイドレールを前記連続樹脂シートの供給位置から成形ゾーンの入口部に配置した加熱側レールと、該成形ゾーンの入口部から出口部に配置した成形側レールに分割すると共に、」、「構成e:を特徴とする樹脂シートの成形装置。」となる。

(5-2)判断
上記(5-1)より、イ号製品の構成a、b、eと本件特許発明の構成要件A、B、Eとは、同じであって相違点がないことから、イ号製品の構成a、b、eは、本件特許発明の構成要件A、B、Eを充足する。

以下、イ号製品の構成dが本件特許発明の構成要件Dを充足するかどうかについて検討する。
本件特許発明の構成要件Dにおいて、加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シートを移動手段による成形側レールの移動動作によって所定寸法だけ幅方向に伸長させるには、成形側レールの対応間隔が平行に拡大しているとき、加熱側レールの入口側の対応間隔に比べて成形側レールの対応間隔が広くなっている必要があり、実際、本件特許明細書の「【0020】・・・各成形側レール12がそれぞれ外方に平行移動して該レール12、12の対応間隔が拡大される。同時に、加熱側レール11、11はそれぞれ成形側レール12に軸13で連結されているので、図6に誇張して示すようにシートsの供給位置iから成形ゾーンFに向かってハの字形に広げられる。この状態でシートsが成形ゾーンFに送られるので、該シートsは所定寸法(この例では40mm)だけ幅方向に拡張される。・・・」との記載および【図6】ではそのようになっている。
一方、イ号製品の構成dにおいて、成形側レール(12)のレール幅(対応間隔)が平行に拡大しているとき、成形部(F)において移送される加熱軟化した連続樹脂シート(S)が幅方向に伸長されるためには、本件特許発明と同じく、加熱側レール(10、11)のシート入口のレール幅に比べて成形側レール(12)のレール幅が広くなっている必要があるものの、甲第3ないし7号証(特に、甲第5号証(イ号図面))は、加熱側レール(10、11)と成形側レール(12)のそれぞれのレール幅を変更できるものであるとしても、上記「加熱側レール・・・に比べて成形側レールのレール幅を広くする(例えば、本件特許明細書の【0020】および【図6】のようにする)」ことについて、このようにすることを具体的に立証するものではなく、また、このようにするのは自明であるという根拠を示すものでもない。
そうすると、イ号製品の構成dは、加熱軟化した連続樹脂シート(S)を幅方向に伸長させるものであると断ずることはできず、一方、本件特許発明の構成要件Dは、加熱軟化した連続樹脂シートを幅方向に伸長させるものであることから、イ号製品の構成dは、本件特許発明の構成要件Dを文言上充足しないことは、相違点があることから明らかである。

(5-3)まとめ
したがって、イ号製品は、少なくとも本件特許発明の構成要件Dを充足しない。

6.均等の判断
請求人は、請求書の「6 予備的主張(均等論)」(10頁下から16行?11頁8行)において、均等の主張を予備的に行っていることから、以下、イ号製品の構成dと本件特許発明の構成要件Dとが均等であるかどうかについて検討する。
最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成10年2月24日)は、特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存在する場合であっても、以下の5つの要件を満たす場合には、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、対象製品等は特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当であると判示している。
「(1)当該部分が特許発明の本質的部分ではなく、
(2)当該部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、
(3)このように置き換えることに、当業者が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、
(4)対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、
(5)対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない。」

均等の要件(1)について
本件特許発明の「上記加熱軟化して垂れ下がり現象が現れ始めた連続樹脂シートを幅方向に伸長するべく前記成形側レールの対応間隔を平行に拡大する移動手段を設けたこと」(構成要件D)は、本件特許明細書の「【0022】この樹脂シートの成形方法及び成形装置は、成形直前の連続樹脂シートを幅方向に平行に拡張することにより、1ショット毎の製品重量が均一化され、トリミング加工時の抜きずれを防止することができる。さらには、スクラップ量が減少するために製品の歩留まりが著しく向上した。」(下線部は、当審において付与した。)という本件特許発明の目的・効果を達成するに必要不可欠なものであることから、本件特許発明の本質的部分であるというべきである。
そうすると、上記均等の要件(1)を充足しないことから、他の(2)ないし(5)の要件を判断するまでもなく、イ号製品の構成dと本件特許発明の構成要件Dとが均等であるとはいえない。

7.むすび
以上のとおりであるから、イ号製品は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2013-12-27 
出願番号 特願平9-91744
審決分類 P 1 2・ 121- ZB (B29C)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 鈴木 正紀
石川 好文
登録日 2001-02-23 
登録番号 特許第3162319号(P3162319)
発明の名称 樹脂シートの成形方法及び成形装置  
代理人 三縄 隆  
代理人 豊栖 康司  
代理人 木谷 弘行  
代理人 豊栖 康弘  
代理人 高橋 詔男  
代理人 堀内 正優  
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