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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25J
管理番号 1283579
審判番号 不服2012-16269  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-22 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 特願2005- 82323「水素を液化する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年10月 6日出願公開、特開2005-274127〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成17年3月22日(パリ条約による優先日 2004年(平成16年)3月24日 英国)を出願日とする出願であって、平成23年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年9月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成24年6月20日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成24年8月22日に審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年11月26日付けで前置報告がなされ、これに基づく審尋が平成25年1月8日付けで送付され、同年4月11日に回答書が提出されたものである。

第2 平成24年8月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成24年8月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を下記のように補正する補正を含むものである(下線部が補正箇所である。)。
「【請求項1】
水素を液化する方法であって、
加圧された液化天然ガス(「LNG」)との間接熱交換により水素フィードガスを予冷して、予冷された水素フィードガスと加熱された加圧LNGを生成する工程と;
該予冷された水素フィードガスの少なくとも一部を、少なくとも1つの冷媒との間接熱交換によりさらに冷却して、凝縮性水素フィードガスと少なくとも1つの温められた冷媒を生成する工程と;
該凝縮性水素フィードガスの少なくとも一部を膨張させて少なくとも部分的に凝縮した水素を生成する工程と
を含み、LNGが臨界圧力を有しそして前記加圧されたLNGの圧力が該臨界圧力以上である、水素を液化する方法。」(以下、「本願補正発明」という。)

2.補正の適否
(1)補正の目的に係る要件
本願補正発明は、補正前の請求項1の「LNG」について、「LNGが臨界圧力を有しそして前記加圧されたLNGの圧力が該臨界圧力以上である」と限定するものであり、この補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか否か)について、以下に検討する。

(2)刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-243360号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、「液体水素の製造方法および液体水素の製造設備」について、図面とともに下記の事項が記載されている。
ア「【特許請求の範囲】
【請求項1】 液化天然ガスを昇圧する工程と、昇圧した液化天然ガスを熱交換器に導入して熱交換により自己を加温する工程と、加温した液化天然ガスを気化させる工程と、気化した天然ガスの少なくとも一部を反応原料として水素ガス生成装置に供給して水素ガスを生成させる工程と、生成した水素ガスを前記熱交換器に導入して前記液化天然ガスとの熱交換により自己を-100℃以下に予冷する工程と、予冷した水素ガスを水素液化装置に供給して液化する工程とを含む液体水素の製造方法。」

イ「【0017】本発明の液体水素の製造方法は、図1に示すような本発明の液体水素の製造設備によって好適に実施することができる。本発明の製造設備は、液化天然ガスを昇圧させる昇圧装置1と、天然ガスを反応原料として水素ガスを生成させる水素ガス生成装置10と、水素ガスを液化する水素液化装置20と、前記昇圧された液化天然ガスおよび前記生成した水素ガスを導入して両者を熱交換させ、予冷された水素ガスを前記水素液化装置に供給する熱交換器2と、その熱交換器2で加温された液化天然ガスを気化してその少なくとも一部を水素ガス生成装置10に供給する蒸発器4とを備える。
【0018】本実施形態では、熱交換器を2基設けて、低温用の熱交換器2には液化天然ガスを導入し、加温によりその一部を気化させた後、気液分離器5で気液分離し、分離後の天然ガスを高温用の熱交換器3に導入する例を示す。
【0019】本発明では、まず、液化天然ガスを昇圧する工程を行うが、昇圧は後の工程で昇圧の必要がない圧力まで行うのが好ましい。・・・・なお、原料となる液化天然ガスは、大気圧、約-155℃で供給されるのが一般的である。
【0020】次いで、昇圧した液化天然ガスを熱交換器に導入して熱交換により自己を加温する工程を行うが、本実施形態では、低温用の熱交換器2に液化天然ガスが導入される。一部が気化した液化天然ガスは、気液分離器5で気液分離され、気相分は高温用の熱交換器3に導入される。」

ウ「【0031】次いで、生成した水素ガスを熱交換器2に導入して液化天然ガスとの熱交換により自己を-100℃以下に予冷する工程を行う。図1に示す熱交換器2の斜線部分は、オルソ-パラ変換用の触媒充填部を意味し、図示した例では、熱交換器2で水素ガスの予冷とオルソ-パラ変換とが行われる。但し、本実施形態では、それに先立って、水素ガスを高温側の熱交換器3に導入して、天然ガスとの熱交換により自己が冷却される。-100℃以下に予冷することで、水素液化装置20での液化動力の軽減が図れるが、かかる観点から-120℃以下に、特に-140℃以下に予冷することが好ましい。
【0032】次いで、予冷した水素ガスを水素液化装置20に供給して液化する工程を行う。・・・・
【0033】この水素液化装置20は、図3に示すように、熱交換器E1?E9と、原料側のジュール-トムソン効果(フラッシュ)を伴う膨張・圧縮サイクルと、圧縮機21,22による冷媒の圧縮工程と膨張タービン23,24による冷媒の膨張工程とを含む冷凍サイクルと、液体窒素による冷却経路とを備える。
【0034】原料となる水素ガスは熱交換器E1とE2の中間に導入され、熱交換器E2からE9を経由して徐々に冷却され、膨張弁(J-T弁)25によりフラッシュして一部液化する。一部液化した水素は気液分離器26で分離され、弁27を介して液化水素が取り出される。一方、気体の水素ガスは熱交換器E9からE1を経由しながら徐々に熱交換により加温された後、フラッシュガス圧縮機28で圧縮され、熱交換器E1へとリサイクルされる。図1に示す熱交換器2の斜線部分は、オルソ-パラ変換用の触媒充填部を意味する。」

エ「【0037】[他の実施形態]以下、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0038】(1)前述の実施形態では、原料である液化天然ガスの冷熱を、水素液化装置の原料の予冷にのみ用いる例を示したが、図4に示すように、水素液化装置20の冷凍サイクルのうち、圧縮機22により低温圧縮された冷媒を熱交換器E10に導入して天然ガスとの熱交換により冷媒を冷却してもよい。
・・・・
【0040】(2)前述の実施形態では、低温用の熱交換器に液化天然ガスが導入され加温によりその一部が気化される例を示したが、気化しない温度まで加温されるようにしたり、或いは超臨界の領域まで加温・昇温がなされてもよい。超臨界状態の場合、低温側の熱交換器から導出された天然ガスは、流量制御しつつその一部を高温側の熱交換器に導入することで、熱交換の熱的バランスを維持することができる。」

(3)引用刊行物に記載された発明
引用刊行物の段落【0040】の記載によると、液化天然ガスは低温用の熱交換器により、超臨界の領域まで加温・昇温されることから、図1において液化天然ガスは低温用の熱交換器2に導入される前に昇圧装置1により少なくとも臨界圧力まで昇圧されていることは明らかである。

そうすると、引用刊行物の上記摘記事項もふまえると、引用刊行物には下記の発明が記載されている。
「液化天然ガスを少なくとも臨界圧力まで昇圧する工程と、少なくとも臨界圧力まで昇圧された液化天然ガスを熱交換器による熱交換により加温して超臨界の領域として導出する工程と、水素ガスを前記熱交換器に導入して前記液化天然ガスとの熱交換により-100℃以下に予冷する工程を備え、予冷した水素ガスを水素液化装置に供給し、水素液化装置において、熱交換器E2からE9を経由して気液分離器26で分離された気体の水素ガスと熱交換して徐々に冷却し、膨張弁(J-T弁)25によりフラッシュして一部液化し、一部液化した水素は気液分離器26で分離され、弁27を介して液化水素が取り出され、気体の水素ガスは熱交換器E9からE1を経由しながら徐々に熱交換により加温される、液体水素の製造方法。」(以下、「引用発明」という。)

(4)対比・判断
本願補正発明と引用発明を対比すると、引用発明の「熱交換器による熱交換」、「水素ガス」、「液化天然ガスとの熱交換により-100℃以下に予冷」された水素ガス、「気液分離器26で分離された気体の水素ガス」、「予冷した水素ガスを水素液化装置に供給し」て「熱交換器E2からE9を経由して気液分離器26で分離された気体の水素ガスと熱交換して徐々に冷却」された水素ガス、「熱交換器E9からE1を経由しながら徐々に熱交換により加温される」水素ガス、「膨張弁(J-T弁)25によりフラッシュ」、「一部液化した水素」は、それぞれ本願補正発明の「間接熱交換」、「水素フィードガス」、「予冷された水素フィードガス」、「少なくとも1つの冷媒」、「凝縮性水素フィードガス」、「少なくとも1つの温められた冷媒」、「膨張」、「少なくとも部分的に凝縮した水素」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明は、
「水素を液化する方法であって、
加圧された液化天然ガス(「LNG」)との間接熱交換により水素フィードガスを予冷して、予冷された水素フィードガスを生成する工程と;
該予冷された水素フィードガスの少なくとも一部を、少なくとも1つの冷媒との間接熱交換によりさらに冷却して、凝縮性水素フィードガスと少なくとも1つの温められた冷媒を生成する工程と;
該凝縮性水素フィードガスの少なくとも一部を膨張させて少なくとも部分的に凝縮した水素を生成する工程と
を含み、LNGが臨界圧力を有しそして前記加圧されたLNGの圧力が該臨界圧力以上である、水素を液化する方法。」
で一致し、下記の点で相違する。

・相違点
水素ガスとの間接熱交換により、本願補正発明が加熱された加圧LNGを生成するのに対し、引用発明は液化天然ガスを加温して超臨界の領域として導出した点。

上記相違点について検討する。
本願補正発明において「加熱された加圧LNG」とは、明細書の記載及び平成23年9月7日提出の意見書等の主張を参酌すると、「気化せずに液体のままで加熱された、臨界圧力以上に加圧された液化天然ガス」であると解すことができる。
よって、本願補正発明の「加熱された加圧LNG」と引用発明の「超臨界の領域」の天然ガスは、ともに臨界圧力以上に加圧された天然ガスである点で一致することから、上記相違点をいいかえると、水素ガスとの間接熱交換後の臨界圧力以上に加圧された天然ガスについて、本願補正発明では気化せずに液体のままであるのに対し、引用発明では超臨界の領域、すなわち臨界温度を超えて加温されて気体とも液体とも区別のつかない状態である点といえる。
ここで、引用発明の水素ガスの予冷工程では、本願補正発明と同様に液化天然ガスが少なくとも臨界圧力を超えて昇圧されているため、加熱されても気化することなく、水素ガスとの熱交換後も天然ガスが気化されたものではない点において、引用発明は本願補正発明と相違せず、引用発明のように冷媒としての液化天然ガスを熱交換により気体とも液体とも区別のつかない超臨界の領域、すなわち臨界温度を超えて加温するか、本願補正発明のように臨界温度を超えないで液体の液化天然ガスのままとするかは、冷却対象としての水素ガスの熱交換器への導入温度や加温後の天然ガスの使途等により決定される設計的事項というべきである。
したがって、引用発明において、水素ガスとの熱交換後の天然ガスを、超臨界状態のものに代えて、加熱された液体状の加圧液化天然ガスとすることは、当業者が容易に成し得たものであるといえる。
そして、本願補正発明により奏される効果は、引用発明から容易に予測できるものである。

よって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)結論
以上のように、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成23年9月7日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項1に係る発明は以下のとおりのものである。
「【請求項1】
水素を液化する方法であって、
加圧された液化天然ガス(「LNG」)との間接熱交換により水素フィードガスを予冷して、予冷された水素フィードガスと加熱された加圧LNGを生成する工程と;
該予冷された水素フィードガスの少なくとも一部を、少なくとも1つの冷媒との間接熱交換によりさらに冷却して、凝縮性水素フィードガスと少なくとも1つの温められた冷媒を生成する工程と;
該凝縮性水素フィードガスの少なくとも一部を膨張させて少なくとも部分的に凝縮した水素を生成する工程と
を含む、水素を液化する方法。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-243360号公報の記載事項は、上記「第2 2.(2)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、本願補正発明における「LNGが臨界圧力を有しそして前記加圧されたLNGの圧力が該臨界圧力以上である」との限定事項を省いたものであるから、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2.(4)」に示したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

4.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-26 
結審通知日 2013-07-30 
審決日 2013-08-20 
出願番号 特願2005-82323(P2005-82323)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25J)
P 1 8・ 575- Z (F25J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 吾一  
特許庁審判長 石川 好文
特許庁審判官 鈴木 正紀
井上 茂夫
発明の名称 水素を液化する方法及び装置  
代理人 古賀 哲次  
代理人 出野 知  
代理人 青木 篤  
代理人 石田 敬  
代理人 永坂 友康  
代理人 小林 良博  
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