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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1283722
審判番号 不服2012-15152  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-06 
確定日 2014-01-16 
事件の表示 特願2008-534562「家電機器のユーザを自動的に特定するための処理および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 4月19日国際公開、WO2007/044214、平成21年 3月12日国内公表、特表2009-510645〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等

1.手続の経緯の概要
本件審判請求に係る出願(以下「本願」と記す)は
2005年10月4日(以下「優先日」と記す。)のアメリカ合衆国での出願を基礎とするパリ条約に基づく優先権主張を伴い、
2006年9月25日を国際出願日とした国際出願であって、
平成20年4月3日付けで特許法第184条の5第1項の規定による書面が提出され、
平成20年5月20日付けで特許法第184条の4第1項の規定による翻訳文が提出されるとともに、
同日付けで審査請求がなされ、
平成23年4月5日付けで拒絶理由通知(平成23年4月12日発送)がなされ、
平成23年6月9日付けで意見書が提出されるとともに、
同日付けで手続補正書が提出され、
平成23年8月2日付けで拒絶理由通知(平成23年8月9日発送)がなされ、
平成23年10月3日付けで意見書が提出されるとともに、
同日付けで手続補正書が提出され、
平成24年4月25日付けで該手続補正書による補正の却下の決定(平成24年5月8日謄本送達)がなされるとともに、
同日付けで拒絶査定(平成24年5月8日謄本送達)がなされ、
平成24年8月6日付けで本件審判請求がされるとともに、
同日付けで手続補正書が提出されたものである。
なお、
平成24年10月22日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、
平成25年4月15日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(平成25年4月16日発送)がなされ、これに対して
平成25年6月14日付けで回答書が提出されている。

2.補正の内容
(1)平成23年6月9日付け手続補正
上記平成23年6月9日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。
「 【請求項1】
機器を通常使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定するステップと、
前記ユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記ユーザに提供する広告を決定するステップと、
前記機器に、あるいは、前記機器から前記広告を含むコンテンツを提供するステップと、を含むことを特徴とする家電製品の制御方法。
【請求項2】
前記機器に、または、前記機器から前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記機器に、または、前記機器から提供されるコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を前記ユーザの特定に基づいて調整するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザを一意に特定するステップにおいては、前記メトリックを提供するバイオメトリック・センサを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ユーザの行動パターンから得られる情報が含まれているプロファイルと、前記バイオメトリック・センサが生成したユーザIDとを対応づけるステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオメトリック・センサの使用に際しては、前記ユーザによる前記機器の通常操作中に前記バイオメトリック・センサにより前記ユーザの生体情報を測定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザの生体情報に対応するデジタルIDを生成するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ネットワークを介して前記機器と接続されるリモート・サーバに対して、前記デジタルIDを送信するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザに前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルと前記デジタルIDを対応づけるステップ、を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザに前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記プロファイルに基づいて前記広告を含むコンテンツを生成、または、選択するステップ、を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルに基づいて、前記広告を含むコンテンツ、または、前記機器に対するアクセスを許可または禁止するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記ユーザにより提供される情報に基づいて、前記ユーザのプロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、リモート・サーバから前記機器に前記広告を含むコンテンツを送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、リモート・サーバに前記機器を登録するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、テレビゲームに対して、ゲーム内広告を送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記テレビゲームは、前記機器上で実行されるオンラインのテレビゲームであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記コンテンツを生成した前記ユーザの特定に応じて、ユーザが生成したコンテンツを分類するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、ユーザの行動を監視して、ユーザ・プロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記機器はテレビであって、前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより一意に特定された視聴者のテレビ視聴傾向を監視するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記機器は、音楽やビデオをダウンロードおよび再生するために使用され、前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記ユーザによりダウンロードの対象となる音楽、または、ビデオを推奨するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記機器はオンライン・ゲームのために使用され、前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより特定されたユーザに合ったゲーム内広告を生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記機器はテレビであって、前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、状況に応じた広告(context-sensitive content)を生成し、ライブ配信中に前記ユーザに送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記状況に応じた広告は、ユーザの視聴選好に基づいて生成されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記状況に応じた広告は、一意のユーザIDを取得可能な他の機器の前記ユーザによる使用内容から決定される、音楽またはビデオに対する前記ユーザの好みに基づいて生成されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記機器は、インターネットをブラウジングするコンピュータであって、前記ユーザに、または、前記ユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記ユーザによるウェブの閲覧習慣に基づいてバナー広告を選択し、それらを前記ユーザが訪れるウェブサイトに表示させるステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定する手段と、
前記ユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記ユーザに提供する広告を決定する手段と、
前記機器に前記広告を含むコンテンツを提供する手段と、を備ることを特徴とする家電機器。
【請求項27】
機器の制御方法を実装するための命令群であって、プロセッサにより読み取り可能な命令群を保持する記録媒体であって、
前記制御方法は、
前記機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定するステップと、
前記ユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記ユーザに提供する広告を決定するステップと
前記機器に、または、前記機器から前記広告を含むコンテンツを提供するステップと、を含むことを特徴とする、プロセッサにて読み取り可能な記録媒体。
【請求項28】
制御モジュールと、
前記制御モジュールに組み込まれるユーザ特定部と、を備え、
前記ユーザ特定部は、機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器のユーザを一意に特定可能に構成され、
本家電機器はさらに、前記ユーザ特定部が特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記ユーザに提供する広告を含むコンテンツを決定する推奨エンジンをさらに含むことを特徴とする家電機器。
【請求項29】
前記機器に、または、前記機器から提供される前記広告を含むコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を、前記機器を使用するユーザの特定に基づいて調整可能に構成されることを特徴とする請求項28に記載の機器。
【請求項30】
前記特定部は、ユーザの生体情報の形式にて前記メトリックを提供可能に構成されたバイオメトリック・センサを含むことを特徴とする請求項28に記載の機器。
【請求項31】
前記ユーザ特定部は、ユーザの行動パターンから得られる情報が含まれているプロファイルと、前記バイオメトリック・センサが生成したユーザIDとを対応づけることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項32】
前記ユーザによる前記機器の通常使用中において前記バイオメトリック・センサが前記生体情報を計測できるように、前記バイオメトリック・センサが前記制御モジュールに設置されることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項33】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項34】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサであることを特徴とする請求項30に記載の機器。
【請求項35】
前記指紋センサは、前記制御モジュールの制御ボタン上に設置されることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項36】
前記制御モジュールは、リモート・コントロールであることを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項37】
前記制御モジュールは、ゲーム・コントローラであることを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項38】
前記制御モジュールはコンピュータのマウスであって、前記制御ボタンはマウスのボタンであることを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項39】
カメラであって、前記制御ボタンはシャッターボタンであることを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項40】
前記指紋センサを、人間工学に基づいて、前記制御モジュール上における、前記機器の通常使用中にユーザの指が置かれやすい場所に設置することを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項41】
前記制御モジュールはゲーム・コントローラであって、前記指紋センサは前記ゲーム・コントローラの背面に設置されることを特徴とする請求項40に記載の機器。
【請求項42】
前記コンテンツを生成したユーザの特定に応じて、ユーザにより生成されたコンテンツを分類するように構成されたことを特徴とする請求項28に記載の機器。」

(2)平成24年8月6日付け手続補正
上記平成24年8月6日付けの手続補正書は特許請求の範囲を以下のとおりに補正しようとするものである。
なお、下線は当審で付与しなおしたものである。(平成24年8月6日付けの手続補正書における下線は補正箇所を正しく表していない。)

「【請求項1】
既知のユーザに対して登録済みの機器を通常使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器を登録したユーザを含む異なる複数のユーザの中から前記機器を使用中のユーザを一意に特定するステップと、
前記機器を登録したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、一意に特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を決定するステップと、
前記機器に、あるいは、前記機器から前記状況に応じた広告を含むコンテンツを提供するステップと、を含むことを特徴とする家電製品の制御方法。
【請求項2】
前記状況に応じた広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記機器に、あるいは、前記機器から、前記機器上で実行されるオンラインのテレビゲームに対して、状況に応じたゲーム内広告を含むコンテンツを提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機器に、または、前記機器から前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記機器に、または、前記機器から提供されるコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を前記一意に特定したユーザの特定に基づいて調整するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機器を使用中のユーザを一意に特定するステップにおいては、前記メトリックを提供するバイオメトリック・センサを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ユーザの行動パターンから得られる情報が含まれているプロファイルと、前記バイオメトリック・センサが生成したユーザIDとを対応づけるステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオメトリック・センサの使用に際しては、前記機器を使用中のユーザによる前記機器の通常操作中に前記バイオメトリック・センサにより前記機器を使用中のユーザの生体情報を測定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記機器を使用中のユーザの生体情報に対応するデジタルIDを生成するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ネットワークを介して前記機器と接続されるリモート・サーバに対して、前記デジタルIDを送信するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一意に特定したユーザに前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザのプロファイルと前記デジタルIDを対応づけるステップ、を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
一意に特定したユーザに前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記プロファイルに基づいて前記広告を含むコンテンツを生成、または、選択するステップ、を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザのプロファイルに基づいて、前記広告を含むコンテンツ、または、前記機器に対するアクセスを許可または禁止するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザにより提供される情報に基づいて、一意に特定したユーザのプロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、リモート・サーバから前記機器に前記広告を含むコンテンツを送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、リモート・サーバに前記機器を登録するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、テレビゲームに対して、ゲーム内広告を送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記テレビゲームは、前記機器上で実行されるオンラインのテレビゲームであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記コンテンツを生成した前記ユーザの特定に応じて、ユーザが生成したコンテンツを分類するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、ユーザの行動を監視して、ユーザ・プロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記機器はテレビであって、一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより一意に特定された視聴者のテレビ視聴傾向を監視するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記機器は、音楽やビデオをダウンロードおよび再生するために使用され、一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記機器を使用中のユーザによりダウンロードの対象となる音楽、または、ビデオを推奨するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記機器はオンライン・ゲームのために使用され、一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより特定されたユーザに合ったゲーム内広告を生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記機器はテレビであって、一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記状況に応じた広告(context-sensitive content)を生成し、ライブ配信中に前記一意に特定したユーザに送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記状況に応じた広告は、ユーザの視聴選好に基づいて生成されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記状況に応じた広告は、一意のユーザIDを取得可能な他の機器の一意に特定したユーザによる使用内容から決定される、音楽またはビデオに対する一意に特定したユーザの好みに基づいて生成されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記機器は、インターネットをブラウジングするコンピュータであって、一意に特定したユーザに、または、一意に特定したユーザから前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザによるウェブの閲覧習慣に基づいてバナー広告を選択し、それらを一意に特定したユーザが訪れるウェブサイトに表示させるステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
既知のユーザに対して登録済みの機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器を登録したユーザを含む異なる複数のユーザの中から前記機器を使用中のユーザを一意に特定する手段と、
一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、一意に特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を決定する手段と、
前記機器に前記状況に応じた(context-sensitive)広告を含むコンテンツを提供する手段と、を備えることを特徴とする家電機器。
【請求項28】
既知のユーザに対して登録済みの機器の制御方法を実装するための命令群であって、プロセッサにより読み取り可能な命令群を保持する記録媒体であって、
前記制御方法は、
前記既知のユーザに対して登録済みの機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器を登録したユーザを含む異なる複数のユーザの中から前記機器を使用中のユーザを一意に特定するステップと、
前記機器を登録したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、一意に特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を決定するステップと
前記機器に、または、前記機器から前記状況に応じた(context-sensitive)広告を含むコンテンツを提供するステップと、を含むことを特徴とする、プロセッサにて読み取り可能な記録媒体。
【請求項29】
制御モジュールと、
前記制御モジュールに組み込まれるユーザ特定部と、を備え、
前記ユーザ特定部は、既知のユーザに対して登録済みの機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器を登録したユーザを含む異なる複数のユーザの中から前記機器を使用中のユーザを一意に特定可能に構成され、
本家電機器はさらに、前記機器を登録したユーザの個人情報を用いることなく、前記ユーザ特定部が特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記ユーザ特定部が特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を含むコンテンツを決定する推奨エンジンをさらに含むことを特徴とする家電機器。
【請求項30】
前記機器に、または、前記機器から提供される前記広告を含むコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を、前記機器を使用するユーザの特定に基づいて調整可能に構成されることを特徴とする請求項29に記載の機器。
【請求項31】
前記特定部は、ユーザの生体情報の形式にて前記メトリックを提供可能に構成されたバイオメトリック・センサを含むことを特徴とする請求項29に記載の機器。
【請求項32】
前記ユーザ特定部は、ユーザの行動パターンから得られる情報が含まれているプロファイルと、前記バイオメトリック・センサが生成したユーザIDとを対応づけることを特徴とする請求項31に記載の機器。
【請求項33】
前記機器を使用中のユーザによる前記機器の通常使用中において前記バイオメトリック・センサが前記生体情報を計測できるように、前記バイオメトリック・センサが前記制御モジュールに設置されることを特徴とする請求項31に記載の機器。
【請求項34】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項31に記載の機器。
【請求項35】
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサであることを特徴とする請求項31に記載の機器。
【請求項36】
前記指紋センサは、前記制御モジュールの制御ボタン上に設置されることを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項37】
前記制御モジュールは、リモート・コントロールであることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項38】
前記制御モジュールは、ゲーム・コントローラであることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項39】
前記制御モジュールはコンピュータのマウスであって、前記制御ボタンはマウスのボタンであることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項40】
カメラであって、前記制御ボタンはシャッターボタンであることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項41】
前記指紋センサを、人間工学に基づいて、前記制御モジュール上における、前記機器の通常使用中にユーザの指が置かれやすい場所に設置することを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項42】
前記制御モジュールはゲーム・コントローラであって、前記指紋センサは前記ゲーム・コントローラの背面に設置されることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項43】
前記コンテンツを生成したユーザの特定に応じて、ユーザにより生成されたコンテンツを分類するように構成されたことを特徴とする請求項29に記載の機器。」


第2.平成24年8月6日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成24年8月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成24年8月6日付けの手続補正(以下「本件補正」と記す。)は、特許請求の範囲について、上記第1.2.(1)に示した特許請求の範囲から、上記第1.2.(2)に示した特許請求の範囲に補正しようとするものである。

2.本件補正の目的
本件補正は上記第1.1.に示したとおり審判請求と同時にするものであり、上記第1.2.に示したとおり特許請求の範囲についてする補正であるから、その目的について検討するに、本件補正後の請求項2は、審判請求書の【請求の理由】の「3.請求項の補正とその根拠」の「(2)補正前後の請求項の対応関係」において「請求項2は、新規に作成いたしました。」と説明されるとおりのものであり、これを追加する本件補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、同条同項第2号の特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)、同条同項第3項の誤記の訂正、同条同項第4項の明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものに限られるものでないことは明らかである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

3.本件補正の独立特許要件
本件補正後の請求項27についてする補正は、本件補正前の請求項26に記載した発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」と記す。)である「機器」「前記機器のユーザ」「前記ユーザ」「広告を決定する手段」との記載に関して、「機器」が「既知のユーザに対して登録済みの機器」であり、「前記機器のユーザ」が「前記機器を登録したユーザを含む異なる複数のユーザの中から前記機器を使用中のユーザ」であり、「前記ユーザ」が「一意に特定したユーザ」であり、「広告を決定する手段」が「状況に応じた(context-sensitive)広告を決定する手段」であり、当該決定は「一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく」決定するとの限定を付して下位概念化する補正であり、これらによって当該発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が格別変更されるものではない。
したがって、本件補正後の請求項27についてする補正は、請求項に記載した発明特定事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの(以下「限定的減縮」と記す。)すなわち、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものである。

以上のように本件補正は、限定的減縮を目的とするものを含むことから、本件補正後の請求項27に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

3-1.本件補正発明
本件補正発明は、上記第1.2.(2)において【請求項27】として記載したとおりのものである。

3-2.先行技術
(1)引用文献
本願の出願前である上記優先日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成23年8月9日付けの拒絶理由通知において引用された、下記引用文献には、それぞれ、下記引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)

<引用文献1>
特開2003-331183号公報(平成15年11月21日出願公開)

<引用文献記載事項1-1>
「【請求項9】 情報ネットワークを通じて情報管理サーバと情報通信する通信手段と、
テレビ受像機若しくはチャンネル選択手段から当該テレビ受像機の選択チャンネルを検出する手段と、
当該ホームサーバのユーザ情報と前記選択チャンネルの情報を前記通信手段によって情報管理サーバに通知させるユーザ情報通知手段と、
前記情報管理サーバから受信した広告に関連する情報に基づいて広告情報を取得する広告情報取得手段とを備えたことを特徴とするホームサーバ。
【請求項10】 ユーザの選択チャンネルとそれに対応するジャンルとの情報を蓄積するデータベースと、所定の期間の統計処理によってユーザの嗜好ジャンルを決定する統計手段とを備え、
前記ユーザ情報通知手段は、当該統計手段の決定したユーザの嗜好ジャンルを前記ユーザ情報に含めて前記情報管理サーバに通知することを特徴とする請求項9に記載のホームサーバ。
【請求項11】 複数のユーザごとのユーザ情報を保持し、複数のユーザごとのログインを受け付けるログイン受付手段を備え、
前記ユーザ情報通知手段は、該当するユーザのユーザ情報を前記情報管理サーバに通知することを特徴とする請求項9又は10に記載のホームサーバ。
【請求項12】 広告情報取得手段は、前記情報管理サーバから受信したユーザの嗜好に対応した提供広告の指標と提供タイミングを含む広告提供情報に基づいて広告情報の取得タイミングを見計らい、前記情報ネットワークを通じて当該広告情報を提供する広告配信サーバにアクセスし、その広告情報を取得することを特徴とする請求項9?11のいずれかに記載のホームサーバ。」

<引用文献記載事項1-2>
「【請求項13】 情報ネットワークを通じてホームサーバと情報通信する通信手段と、
テレビ番組ごと、ユーザ属性ごとの提供広告の指標と提供タイミングを登録したデータベースと、
前記ホームサーバから受信したユーザ情報と選択チャンネルの情報に基づき、前記データベースを検索して当該選択チャンネルのテレビ番組と連動し、かつ当該ユーザ情報に対応した広告に関連する情報を作成する手段と、
当該広告に関連する情報を前記通信手段により前記ホームサーバに通知させる広告情報通知手段とを備えたことを特徴とする情報管理サーバ。」

<引用文献記載事項1-3>
「【0036】ホームサーバ3はさらに、前記番組選択情報とユーザ情報と番組のジャンルの実績を記憶装置内に構築されている視聴実績データベース33に保存する番組選択情報登録機能34、当該データベース33に登録されている番組選択情報とユーザ情報とジャンルに対して統計処理を行い、ユーザごとの嗜好ジャンルを決定する統計処理し、この統計処理で得た選択番組情報と嗜好ジャンルの情報とユーザの情報を情報ネットワーク5を通じて情報管理サーバ2に通知する情報問い合せ機能35、さらに、情報管理サーバ2から返信されてくる広告提供情報を保存する広告提供情報保存機能36、受信した広告提供情報に基づき、広告情報の取得タイミングを見計らい、情報ネットワーク5を通じて当該広告情報を提供する広告配信サーバ1にアクセスし、その広告情報を取得して情報端末4に転送する広告取得機能37を備えている。
・・・(中略)・・・
【0041】ホームサーバ3の視聴実績データベース33には、図10に示すようなユーザ情報テーブル11が登録されている。この登録情報は個々人のプライバシーが関係するので、ユーザ個々が了承する範囲で、かつ本システムの運営に必要な最低限度のものを登録することとし、ここでは、ID番号、10代、20代、…の年代層、性別、職業、地域の情報程度にとどめいている。なお、ホームサーバ3そのものもMACアドレスやその他の固有の識別番号を有していて、その設置場所との対応で情報管理サーバ2側には該当ホームサーバ3の設置地域の情報もあらかじめ登録するものとしてもよい。いずれにしても、広告スポンサーには地域性を重要視するものもあるので、情報管理サーバ2側ではユーザの年代層、性別、職業、居住地域程度の情報を収集し、それに応じた広告情報を提供できるようにする必要がある。

<引用文献記載事項1-4>
「【0069】なお、上記のいずれの実施の形態にあっても、視聴者の属性については例示したものに限定されることはなく、さらに増減することが可能であり、例えば、職業、地域を割愛することもできる。」

<引用文献記載事項1-5>
「【0075】また本発明によれば、例えば、ホームサーバが個々のユーザごとに異なったID番号でのログインを受け付けるものであり、テレビを視聴しているユーザがモータスポーツを嗜好ジャンルとする者である場合、家電製品のメーカーが提供しているサスペンス番組を視聴しているような状況では、番組の中で新型の自動車に登場人物が乗ってドライブしている場面で、その自動車に関連した広告をホームサーバを通じて当該ユーザに提供するといったことができ、他方、テレビを視聴している別のユーザがクラッシック音楽を嗜好ジャンルとしていれば、同じサスペンス番組を視聴しているような状況では、番組の中でクラッシック音楽が演奏されている場面で、あるいは音響機器が映し出された場面などで、音楽情報を提供しあるいは高級音響機器の広告を提供するといったことができ、ホームサーバのユーザが複数いる場合でも、実際にテレビ番組を視聴しているユーザ個々の嗜好に相応した広告情報をタイムリーに提供することができ、広告効果を高めることができる。」

<引用文献2>
国際公開第2004/109454号(2004年12月16日国際公開)
(特表2007-516507号公報(以下「対応公表公報」と記す。)に対応。)

<引用文献記載事項2-1>
「[35] The method of the invention provides fingerprint authentication for functions represented by an icon on a display. In the primary embodiment, the method is employed while using the man-machine interface device 100 installed in a PDA, but can be used with other suitable technology; examples explained herein will employ both. The method is intended to replace traditional user interface and authentication methods. For example, the PDA may receive e-mail, which the intended recipient wishes to keep secure. The PDA stores a registered fingerprint for the intended recipient that is associated with the security privileges of the e-mail program. Additionally, the PDA displays an icon on the display apparatus 102 that accesses the e-mail program on selection.
[36] Figure 5 shows an individual 501 using the man-machine interface device 100 of the present invention, to touch the finger touch sensor region 101 over the icon 502 displayed on the display apparatus 102 of the PDA 503 - in this example, the e-mail icon. As seen in the flow chart of Figure 6, the finger touch sensor region 101 detects the presence of the finger (step 601), and generates an image of the fingerprint (step 602), which is passed to the controller 103. The controller 103 calculates the finger touch location (step 603), and determines if there is an icon displayed on the display apparatus 102 at that location (step 604). If an icon exists, the PDA determines which function is associated with the icon (step 605) and if the function requires fingerprint authentication (step 606).
[37] If the function does not require authentication, the PDA directly authorizes access to the function. However, in this example with e-mail, the function does require fingerprint authentication. The PDA examines stored fingerprints, verifying the new image against the stored images (step 607), until a match is found. If a match is found, the PDA determines the security privileges associated with the fingerprint (step 608) and determines if the e-mail function is among these privileges (step 609). If not, the method terminates (step 611); if it is, the PDA allows access to the e-mail function (step 610), and then terminates the authentication method (step 611).」
(対応公表公報の記載:「【0029】
本発明の方法は、ディスプレイ上のアイコンによって表される機能に関する指紋認証を提供する。基本実施形態では、この方法は、PDAに導入されたマン・マシン・インターフェース装置100を使用中に使用されるが、他の適切な技術と共に使用することができ、本明細書で説明する例は、両方を使用する。この方法は、従来のユーザ・インターフェース及び認証方法を置き換えるためのものである。例えばPDAは、所期の受信側がセキュアに保つことを望むEメールを受信することができる。PDAは、Eメール・プログラムのセキュリティ特権に関連する所期の受信側に関して登録した指紋を格納する。更に、PDAは、選択時にEメール・プログラムにアクセスするアイコンをディスプレイ装置102上に表示する。
【0030】
図5に、本発明のマン・マシン・インターフェース装置100を使用して、PDA503のディスプレイ装置102上に表示されるアイコン502(この例ではEメール・アイコン)の上の指タッチ・センサ領域101にタッチする個人501を示す。図6のフロー・チャートからわかるように、指タッチ・センサ領域101は、指の存在を検出し(ステップ601)、指紋のイメージを生成し(ステップ602)、それがコントローラ103に渡される。コントローラ103は、指タッチ位置を計算し(ステップ603)、その位置に、ディスプレイ上102上に表示されたアイコンが存在するかどうかを判定する(ステップ604)。アイコンが存在する場合、PDAは、どの機能がアイコンと関連付けられているかを判定し(ステップ605)、その機能が指紋認証を必要とするかどうかを判定する(ステップ606)。
【0031】
機能が認証を必要としない場合、PDAは、機能へのアクセスを直接許可する。しかし、Eメールに伴うこの例では、機能は、指紋認証を必要とする。PDAは、合致が見つかるまで、格納された指紋を検討し、格納されたイメージに対して新しいイメージを検証する(ステップ607)。合致が見つかった場合、PDAは、指紋に関連するセキュリティ特権を判定し(ステップ608)、Eメール機能がそれらの特権の中にあるかどうかを判定する(ステップ609)。Eメール機能がそれらの特権の中にない場合、この方法は終了する(ステップ611)。Eメール機能がそれらの特権の中にある場合、PDAはEメール機能へのアクセスを許可し(ステップ610)、次いで認証方法を終了する(ステップ611)。」)

(2)参考文献
本願の出願前である上記優先日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記参考文献には、それぞれ、下記参考文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)

<参考文献1>
特開2002-352011号公報(平成14年12月6日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【0002】
【従来の技術】一般に、パソコン、プリンタ、コンピュータソフト、コンピュータハード等のコンピュータ関連製品、テレビ、冷蔵庫等の家電製品、自動車、自動二輪車、時計等の製品には、使用説明書(マニュアル)や、保証書が附属している。
【0003】通常、ユーザは、新規に購入した製品に添付されているユーザ登録ハガキを郵送するか、インターネットを利用してユーザ登録を行うようになっている。このようにユーザ登録を行ったユーザに対して、各製品メーカーは、アフターサービスを行っている。」

<参考文献2>
特開2002-345051号公報(平成14年11月29日出願公開)

<参考文献記載事項2-1>
「【0018】本発明のユーザ登録カードには、製品名と型式名と製造番号が識別できる固有の認証コードとをバーコードにしたバーコードラベルが付されている。そこで、ユーザのパーソナルコンピュータやそれと同等の機能を有すホーム端末のような情報端末に接続されたバーコードリーダによってバーコードラベルのバーコードを読み取り、情報端末によって情報ネットワークを通じて顧客管理サーバにアクセスすると、本発明の顧客管理サーバは顧客登録ページをダウンロードする。ユーザが情報端末から顧客登録ページに対して必要なデータを入力して送信操作をすれば、情報端末は、顧客登録ページへの入力情報と共にユーザ登録カードのバーコード情報も顧客情報として送信する。顧客管理サーバ側では、情報端末から顧客登録ページへの入力情報とユーザ登録カードのバーコードラベルからのバーコード情報とを受信して顧客管理データベースに登録する。これにより、ユーザが個人情報を入力するだけで、顧客管理データベースにはユーザ情報と共に製品名、製品型式名、製造番号が登録されることになる。」

<参考文献3>
特開2005-107258号公報(平成17年4月21日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【0005】
ところで、従来、カラオケで使用されるマイクは、通称「ダイナミックマイク」と呼ばれ、通常では、利用者の歌唱である音声情報すなわち歌声を所定のカラオケ演奏装置に転送するために利用されている。ところが、特開平9-146563号や特開2000-20078号に開示されているように、利用者IDとして、利用者の固有かつ不変な人体的特徴である声紋情報を採取する手段として利用されることもある。例えば、特開平9-146563号では、カラオケマイクから入力される音声から声紋情報を抽出し、この声紋情報に基づいて利用者を同定し、これにより個人情報記憶手段に記憶された個人情報を読み出して更新あるいは追加を行い、さらに、各個人情報に基づいて所定の情報を出力できるシステムに関する技術が開示されている。一方、特開2000-20078号では、カラオケホスト装置から、個人IDに対応する選曲履歴と、これに付帯する声紋情報(声紋コード)とをダウンロードして、所定のデータ記憶手段に格納し、カラオケマイクから採取した利用者の入力音声から声紋情報を抽出し、この声紋情報と符合する声紋情報を当該データ記憶手段から検索し、符合した声紋情報に対応づけられている選曲履歴をディスプレイに表示する通信カラオケ演奏装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9-146563号公報
【特許文献2】特開2000-20078号公報
【特許文献3】特開2003-76381号公報」

<参考文献記載事項3-2>
「【0025】
次に、図4に示す、本発明の一実施例におけるカラオケマイクのシステムフロー図に基づき、本発明を詳述する。
先ず、指紋読取手段にて、登録する利用者の指先の指紋を読み取る(ステップS1)。次に、指紋変換手段にて、当該読取指紋を解析して所定の指紋情報に変換する(ステップS2)。そして、利用者は、情報転送手段の転送トリガー(転送釦)を押圧することで、当該変換指紋情報は所定のカラオケ演奏装置に転送される(ステップS3)。
【0026】
したがって、このシステムフローでは、利用者が歌唱している、ないし歌唱する際に、利用者から採取した変換指紋情報がカラオケ演奏装置に送られ、当該カラオケ演奏装置内では、通常、当該変換指紋情報にIDコードを付して所定の記憶部に登録し、解析することで、現在歌唱している、ないし直近で歌唱する利用者IDが特定される。」

3-3.引用発明の認定
(1)引用文献1には引用文献記載事項1-1記載のとおりの「ホームサーバ」が説明されており、これは“情情報ネットワークを通じて情報管理サーバと情報通信する通信手段と、テレビ受像機若しくはチャンネル選択手段から当該テレビ受像機の選択チャンネルを検出する手段と、当該ホームサーバのユーザ情報と前記選択チャンネルの情報を前記通信手段によって情報管理サーバに通知させるユーザ情報通知手段と、前記情報管理サーバから受信した広告に関連する情報に基づいて広告情報を取得する広告情報取得手段とを備えたことを特徴とするホームサーバであって、
前記ホームサーバは、ユーザの選択チャンネルとそれに対応するジャンルとの情報を蓄積するデータベースと、所定の期間の統計処理によってユーザの嗜好ジャンルを決定する統計手段とを備え、前記ユーザ情報通知手段は、当該統計手段の決定したユーザの嗜好ジャンルを前記ユーザ情報に含めて前記情報管理サーバに通知するものであり、
さらに、前記ホームサーバは、複数のユーザごとのユーザ情報を保持し、複数のユーザごとのログインを受け付けるログイン受付手段を備え、前記ユーザ情報通知手段は、該当するユーザのユーザ情報を前記情報管理サーバに通知するもの”である“ホームサーバ”と言えるものである。

(2)引用文献記載事項1-2の記載等から、“前記情報管理サーバは、前記ホームサーバから受信したユーザ情報と選択チャンネルの情報に基づき、前記データベースを検索して当該選択チャンネルのテレビ番組と連動し、かつ当該ユーザ情報に対応した広告に関連する情報を作成するもの”であると言える。

(3)引用文献記載事項1-3の【0041】の記載や、引用文献記載事項1-4等から、引用文献1には“前記ユーザ情報はID番号、年代層、性別の情報程度にとどめられて”いることも示唆されている。

(4)引用文献記載事項1-5等から、“前記広告は、前記嗜好ジャンルとテレビ番組の中の場面に応じた広告”であると言える。

(5)引用文献記載事項1-3(特に、広告取得機能37が、広告情報を取得して情報端末4に転送する点)等から、“前記広告情報取得手段は、チャンネル選択手段に広告情報を転送するものである”と言える。

(6)よって、引用文献1には、下記引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
“情報ネットワークを通じて情報管理サーバと情報通信する通信手段と、テレビ受像機若しくはチャンネル選択手段から当該テレビ受像機の選択チャンネルを検出する手段と、当該ホームサーバのユーザ情報と前記選択チャンネルの情報を前記通信手段によって情報管理サーバに通知させるユーザ情報通知手段と、前記情報管理サーバから受信した広告に関連する情報に基づいて広告情報を取得する広告情報取得手段とを備えたことを特徴とするホームサーバであって、
前記ホームサーバは、ユーザの選択チャンネルとそれに対応するジャンルとの情報を蓄積するデータベースと、所定の期間の統計処理によってユーザの嗜好ジャンルを決定する統計手段とを備え、前記ユーザ情報通知手段は、当該統計手段の決定したユーザの嗜好ジャンルを前記ユーザ情報に含めて前記情報管理サーバに通知するものであり、
さらに、前記ホームサーバは、複数のユーザごとのユーザ情報を保持し、複数のユーザごとのログインを受け付けるログイン受付手段を備え、前記ユーザ情報通知手段は、該当するユーザのユーザ情報を前記情報管理サーバに通知するものであり、
前記情報管理サーバは、前記ホームサーバから受信したユーザ情報と選択チャンネルの情報に基づき、前記データベースを検索して当該選択チャンネルのテレビ番組と連動し、かつ当該ユーザ情報に対応した広告に関連する情報を作成するものであり、
前記ユーザ情報はID番号、年代層、性別の情報程度にとどめられており、
前記広告は、前記嗜好ジャンルとテレビ番組の中の場面に応じた広告であり、
前記広告情報取得手段は、チャンネル選択手段に広告情報を転送するものである
ホームサーバ。”

3-4.対比
以下に、本件補正発明における方法と引用発明とを比較する。

(1)引用発明の「ホームサーバ」はホームすなわち家庭で用いられる機器であることから、本件補正発明における「家電機器」に相当する。

(2)引用発明の「ログイン受付手段」は「複数のユーザごとのユーザ情報を保持し、複数のユーザごとのログインを受け付ける」ものであり、該「複数のユーザ」が互いに異なることは明らかである。また、「ログインを受け付ける」過程において、ユーザを認証することによってユーザを一意に特定しているものと認められる。
してみると、引用発明と本件補正発明とは、「異なる複数のユーザの中からユーザを一意に特定する手段」を有する点で共通する。

(3)引用発明における「ユーザ情報通知手段」及び「広告情報取得手段」は、本件補正発明における「広告を決定する手段」に対応付けることができるところ、前者は「情報管理サーバ」を用いて広告を決定しているものととらえることができ、後者と同様に「広告を決定する手段」と言えるものである。
また、本件補正発明における「個人情報」との用語の定義は必ずしも明確なものではないものの、一般的には本願発明の詳細な説明の段落【0021】で例示される如き名前や住所、電話番号等の個人を特定し得る情報を意味する。そして、引用発明におけるID番号や年代層や性別だけでは個人を特定することはできないので、引用発明における広告の決定も「一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく」なされると解することができる。
また、引用発明における「嗜好ジャンル」は「ユーザの選択チャンネルとそれに対応するジャンルとの情報を蓄積するデータベースと、所定の期間の統計処理によってユーザの嗜好ジャンルを決定する統計手段」によって決定されるものであるから、引用発明における「広告」も「一意に特定したユーザによる機器の使用パターンに基づいて」決定されたものと言える。
また、引用発明における「テレビ番組の中の場面」も「状況」にほかならないものであるから、引用発明における「広告」も「状況に応じた(context-sensitive)広告」と言えるものである。
してみると、引用発明も本件補正発明と同様に、「一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる機器の使用パターンに基づいて、一意に特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を決定する手段」を有すると言える。
なお、本件補正後の請求項27の記載のみからは、「広告を決定する手段」を「家電機器」内のみで「決定」の処理が完結している手段に限定解釈すべきなのか、引用発明の如く遠隔のサーバを利用した手段をも包含すると解釈すべきなのかは必ずしも明確ではないが、本願明細書の段落【0026】等の記載からみて、本件補正発明における「広告を決定する手段」も、引用発明における「ユーザ情報通知手段」及び「広告情報取得手段」と同様に、遠隔のサーバを利用した処理を行う手段を包含するものと解するのが妥当である。
また、サーバとクライアントの間で機能を分担することは慣用的に行われている事項であり、どのように機能を分担するかは、当業者が必要に応じて適宜に決定すべき設計的事項にすぎないものであるから、仮に本件補正発明における「広告を決定する手段」が「家電機器」内のみで「決定」の処理が完結している手段であると仮定しても、たとえば「情報管理サーバ」の負荷を軽減するために、広告を決定する手段を「家電機器」に設けることは、当業者であれば適宜に採用し得た設計的事項にすぎないものであり、当該仮定によって生じる相違点に進歩性を認め得るものではなく、これが本決定の結論に影響するものではない。

(4)引用発明における「広告情報取得手段」は「チャンネル選択手段に広告情報を転送するもの」であり、当該「広告」は、「テレビ番組の中の場面に応じた広告」であることから、該「広告情報取得手段」は、「チャンネル選択手段」に場面という状況に応じた広告を転送する手段としても機能すると言える。
してみれば、引用発明と本件補正発明とは、「前記機器に前記状況に応じた(context-sensitive)広告を含むコンテンツを提供する手段」を有する点で共通する。

(5)よって、本件補正発明における方法は下記の一致点で引用発明と一致し、本件補正発明は下記の相違点で引用発明と相違する。

<一致点>
「異なる複数のユーザの中からユーザを一意に特定する手段と、
一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる機器の使用パターンに基づいて、一意に特定したユーザに提供する状況に応じた(context-sensitive)広告を決定する手段と、
前記機器に前記状況に応じた(context-sensitive)広告を含むコンテンツを提供する手段と、を備えることを特徴とする家電機器。」

<相違点1>
本件補正発明における家電機器は、「機器」が「既知のユーザに対して登録済みの機器」に限定されており、「異なる複数のユーザ」が、「前記機器を登録したユーザを含む」点。
(これに対し、引用文献1においては、「機器」が「既知のユーザに対して登録済み」であること、「異なる複数のユーザ」が「前記機器を登録したユーザを含む」ことを明示する記載は無い。)

<相違点2>
本件補正発明における家電機器は「機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により」ユーザを一意に特定する点。
(これに対し、引用文献1には、「機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により」ユーザを一意に特定する旨を明示する記載は無い。)

3-5.判断
以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
製品のユーザ登録を行うことは、上記参考文献記載事項1-1、2-1を挙げるまでもなく、一般に広く行われている事項にすぎないものである。また、家庭において異なる複数のユーザ(たとえば家族)で使用される電化製品であれば、前記複数のユーザの中に、製品のユーザ登録を行ったユーザが含まれる形態はありふれた使用形態と言える。
してみれば、引用発明における「機器」をユーザ登録済みの機器すなわち「既知のユーザに対して登録済みの機器」とし、「異なる複数のユーザ」が「前記機器を登録したユーザを含む」ようにすること、すなわち、上記相違点1に係る事項を採用することは、当業者であれば適宜になし得た事項にすぎない。

(2)相違点2について
機器を操作しているユーザ、すなわち機器を使用中のユーザから測定した情報により認証を行うことは、従来から適宜に採用されている周知の技術である(必要であれば、上記引用文献記載事項2-1、参考文献記載事項3-1、3-2等参照)から、引用発明において「機機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により」ユーザを一意に特定すること、すなわち上記相違点2に係る事項は、当業者であれば適宜に採用し得た設計的事項にすぎない。

(3)してみると、本件補正発明の構成は上記引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、当該構成の採用によって奏される作用効果も、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本件補正発明は、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-6.小結
以上のとおり、本件補正後の請求項27に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する

4.むすび
上記2.のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、上記3.のとおり、本件補正後の請求項27についてする補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げられる事項を目的とするものであるところ、本件補正後の請求項27に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、他の補正事項についての検討をするまでもなく、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本件審判請求の成否について

1.手続の経緯、本願発明の認定
本願の手続の経緯の概要は上記第1.1.記載のとおりのものであり、さらに、平成24年8月6日付けの手続補正は上記第2.のとおり却下された。
したがって、本願の特許請求の範囲は、上記第1.2.(1)に記載したとおりのものであり、補正後の請求項27に対応する、本願の請求項26に係る発明(以下「本願発明」と記す。)は上記第1.2.(1)に【請求項26】として記載したとおりのものである。

2.先行技術・引用発明の認定
本願の出願前である上記優先日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶の査定の理由である上記平成23年8月2日付けの拒絶理由通知において引用された、上記第2.3-2.(1)において示した上記引用文献には、それぞれ、上記引用文献記載事項が記載されており、上記引用文献1には上記第2.3-3.で認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、本願の出願前である上記優先日前に頒布または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記第2.3-2.(2)において示した上記参考文献には、それぞれ、上記参考文献記載事項が記載されている。

3.対比・判断
上記第2.3.で検討した本件補正発明は、本願発明に対し上記第2.2.で述べた限定的減縮をしたものであるから、本願発明は、上記本件補正発明から当該限定的減縮により限定される要件を無くしたものに相当する。
そして、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の要件を付加したものに相当する上記本件補正発明は、上記第2.3.に記載したとおり、上記引用文献1に記載される発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明も同様の理由により、上記記引用文献1に記載される発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.回答書の主張等について、
なお、請求人は、上記平成25年6月14日付けの回答書において、次の補正案を提示している。

<補正案>
「[請求項1]
機器を使用中のユーザから生じるメトリック(測定値)により、前記機器を使用するユーザを、当該ユーザ特定という明確な目的のための別ステップ、機能、操作を実行することなく一意に特定するステップと
状況に応じたコンテンツ(context-sensitive content)を前記デバイスに提供するステップとを含み、
前記機器を使用中のユーザを一意に特定するステップは、前記機器を使用中のユーザの生体情報に対応するデジタルIDを生成することによって前記メトリックを提供するバイオメトリック・センサを使用することを含み、
前記バイオメトリック・センサの使用に際しては、前記機器を使用中のユーザによる前記機器の通常操作中に前記バイオメトリック・センサにより前記機器を使用中のユーザの生体情報を測定することを含み、
前記状況に応じたコンテンツはユーザのIDに依存し、
前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザの個人情報を用いることなく、一意に特定したユーザによる前記機器の使用パターンに基づいて、前記状況に応じたコンテンツを前記ユーザに送信することを含み、
前記状況に応じたコンテンツは、放送中に前記機器に関連する表示部に表示されるものであり、前記放送に関連するコンテンツとは独立に生成され配信されることを特徴とする家電製品の制御方法。
[請求項2]
前記機器に前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、前記機器に、または、前記機器から提供されるコンテンツや前記機器の他のパフォーマンス特性を前記一意に特定したユーザの特定に基づいて調整するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記バイオメトリック・センサは、指紋センサ、掌センサ(hand sensor)、顔認証システム、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、声紋アナライザ、あるいは、DNAアナライザであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項4]
ネットワークを介して前記機器と接続されるリモート・サーバに対して、前記デジタルIDを送信するステップ、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項5]
一意に特定したユーザに前記コンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザのプロファイルと前記デジタルIDを対応づけるステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項6]
一意に特定したユーザに前記コンテンツを提供するステップは、前記プロファイルに基づいて前記コンテンツを生成、または、選択するステップ、を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
[請求項7]
前記コンテンツを提供するステップは、前記ユーザのプロファイルに基づいて前記ユーザに提供すべき広告を決定するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項8]
前記コンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザのプロファイルに基づいて、前記広告を含むコンテンツ、または、前記機器に対するアクセスを許可または禁止するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項9]
前記コンテンツを提供するステップは、前記ユーザにより提供される情報に基づいて、前記ユーザのプロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項10]
前記コンテンツを提供するステップは、リモート・サーバから前記機器に前記コンテンツを送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項11]
前記コンテンツを提供するステップは、リモート・サーバに前記機器を登録するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項12]
前記コンテンツを提供するステップは、テレビゲームに対して、ゲーム内広告を送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項13]
前記テレビゲームは、前記機器上で実行されるオンラインのテレビゲームであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
[請求項14]
前記コンテンツを提供するステップは、前記コンテンツを生成した前記ユーザの特定に応じて、ユーザが生成したコンテンツを分類するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項15]
一意に特定したユーザに前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、ユーザの行動を監視して、ユーザ・プロファイルを生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項16]
前記機器はテレビであって、一意に特定したユーザに前記広告を含むコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより一意に特定された視聴者のテレビ視聴傾向を監視するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項17]
前記機器は、音楽やビデオをダウンロードおよび再生するために使用され、一意に特定したユーザに前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、前記機器を使用中のユーザによりダウンロードの対象となる音楽、または、ビデオを推奨するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項18]
前記機器はオンライン・ゲームのために使用され、一意に特定したユーザに前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、前記メトリックにより特定されたユーザに合ったゲーム内広告を生成するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項19]
前記機器はテレビであって、一意に特定したユーザに前記状況に応じたコンテンツを提供するステップは、状況に応じた広告を生成し、前記機器を用いてライブテレビジョン放送中に前記一意に特定したユーザに送信するステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[請求項20]
前記状況に応じたコンテンツは、ユーザの視聴選好に基づいて生成されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
[請求項21]
前記状況に応じたコンテンツは、一意のユーザIDを取得可能な他の機器の一意に特定したユーザによる使用内容から決定される、音楽またはビデオに対する一意に特定したユーザの好みに基づいて生成されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
[請求項22]
前記機器は、インターネットをブラウジングするコンピュータであって、一意に特定したユーザに前記コンテンツを提供するステップは、一意に特定したユーザによるウェブの閲覧習慣に基づいてバナー広告を選択し、それらを一意に特定したユーザが訪れるウェブサイトに表示させるステップ、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。」

しかしながら、補正案の請求項1に係る発明に関して、「ユーザ特定という明確な目的のための別ステップ、機能、操作を実行することなく一意に特定する」点については、上記引用文献2および参考文献3に開示されている事項であり(上記引用文献記載事項2-1にはアイコンにタッチするという通常の操作の一環でユーザを特定しており、上記参考文献記載事項3-1、3-2にはマイクで話すあるいは握ることでユーザを特定することが記載されている)、「バイオメトリック・センサにより前記機器を使用中のユーザの生体情報を測定」し、「機器を使用中のユーザの生体情報に対応するデジタルIDを生成する」点についても、バイオメトリックセンサを用いて生体情報を測定してデジタルIDを生成することは周知の技術にすぎない(たとえば上記引用文献2および参考文献3においても、バイオメトリックセンサで指紋あるいは声紋を測定してデジタルIDを生成しているものと認められる)。また、「放送中に前記機器に関連する表示部に表示されるものであり、前記放送に関連するコンテンツとは独立に生成され配信される」点についても、引用文献1の【0055】-【0057】には表示部として情報端末4のディスプレイ4Bあるいはテレビのマルチ画面に表示することが記載されているほか、図1を参照すれば、放送に関連するコンテンツとは独立に広告が生成され配信されることが開示されていると認められる。
よって、補正案の請求項1に係る発明も、上記引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の特許請求の範囲を該補正案のものに補正する機会を設けることになんら益はない。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項26に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項についての検討をするまでもなく、本願を拒絶すべきものとした原審の拒絶査定は妥当なものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-24 
結審通知日 2013-10-29 
審決日 2013-12-03 
出願番号 特願2008-534562(P2008-534562)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 573- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 574- Z (G06F)
P 1 8・ 571- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久慈 渉平井 誠  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 辻本 泰隆
仲間 晃
発明の名称 家電機器のユーザを自動的に特定するための処理および装置  
代理人 森下 賢樹  

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