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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1283743
審判番号 不服2013-11601  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-19 
確定日 2014-01-16 
事件の表示 特願2006-159505「白色反射フィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月20日出願公開、特開2007-328150〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年6月8日の出願であって、平成23年7月29日付け及び平成24年9月6日付けで手続補正がなされ、平成25年3月11日付けで平成24年9月6日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成25年6月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審における平成25年7月29日付け審尋に対して同年9月26日付けで回答書を提出している。

第2 平成25年6月19日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成25年6月19日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成25年6月19日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、本件補正前の請求項1(平成23年7月29日付け補正後のもの)に、

「反射層とこれを支持する支持層からなり、
反射層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、15?30重量%の非相溶樹脂または31?60重量%の無機粒子を含有し、ボイド体積率が35?75%であり、
支持層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、0.5?30重量%の無機粒子を含有する、ことを特徴とする白色反射フィルム。」とあったものを、

「反射層とこれを支持しこれと直接接触する支持層からなり、
反射層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、15?30重量%の非相溶樹脂または31?60重量%の無機粒子を含有し、ボイド体積率が35?75%であり、
支持層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、1?5重量%の無機粒子を含有し、上記反射層が光源側に面して用いられることを特徴とする、液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム。」とする補正を含むものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次のアないしエからなるものである。
ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「支持層」及び「反射層」が「直接接触する」と限定する。
イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「無機粒子」の含有量の範囲「0.5?30重量%」を「1?5重量%」に限定する。
ウ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「反射層」を「光源側に面して用いられる」ものであると限定する。
エ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「白色反射フィルム」を「液晶ディスプレイ用反射板用」のものであると限定する。

2 本件補正の目的
上記1(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-71913号公報(以下「引用例」という。)」には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 主として微細な空洞を多数含有するポリエステル系樹脂層からなり、全光線透過率が2%以下であることを特徴とする面光源用反射フィルム。
【請求項2】 入射光側となる面と反対側の面に隠蔽層を有することを特徴とする請求項1記載の面光源用反射フィルム。」

(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面光源用反射フィルムに関し、詳しくはノートブック型のコンピューターやワードプロセッサー等の液晶素子を用いた液晶表示装置のバックライト機構に使用される面光源用反射フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノートブック型のコンピューターやワードプロセッサー等の表示装置として、薄型化が可能であり、しかも画像が見易いバックライト機構を有する液晶素子を用いた液晶表示装置が用いられている。このようなバックライト機構には、透光性の導光板の一端部に、蛍光管のような線状光源を併設するエッジライト方式が多く用いられる。このようなエッジライト方式の場合には、導光板の一方の面を光拡散物質で部分的に被覆し、その面の全面をさらに反射材で被覆するようにして面光源を構成するものが多い。
【0003】上記のような反射材としては、特開昭62-286019号公報記載のようなアルミニウム板、実開平4-22755号公報記載のような金属反射板、特開平8-114798号公報記載のようなフィルム表面に銀薄膜を設けたもの、あるいは特開平3-256090号公報や特公平8-16175公報に記載されているような発泡白色フィルムなどがあった。特に、エッジライト方式のバックライト機構においては、反射板として、軽量且つ、比較的反射指向性の小さい発泡白色フィルムが現在多く用いられている。しかしながら、従来の発泡白色フィルムは軽量且つ、反射指向性が小さいという優れた特性を有するものの、隠蔽性が劣るためにバックライト装置に組み込んだ際に、液晶表示素子を固定するための金属枠の一部や液晶表示を組み込むプラスチック性のケースの桟等の部位が透けて見え、液晶表示装置としての品位を損ねるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発泡白色フィルムの優れた特性を保持しつつ、隠蔽性の高い面光源用反射フィルムを得ることを目的とする。」

(3)「【0007】
【発明の実施の形態】本発明の面光源用反射フィルムは、少なくとも微細な空洞を多数含有するポリエステル系樹脂層を有し、かつ全光線透過率が2%以下である。全光線透過率を2%以下とすることにより、隠蔽性に優れ、バックライト装置に組み込んだ際に、液晶表示素子を固定するための金属枠の一部や液晶表示を組み込むプラスチック性のケースの桟等の部位が透けて見えることを防止できる。
【0008】本発明の面光源用反射フィルムに使用する基材は、少なくとも微細な空洞を多数含有するポリエステル系樹脂層を有する。上記ポリエステル系樹脂層は、ポリエステル系樹脂からなり、微細な空洞を多数含有すればその構成は特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂を、ベースとなるポリエステル系樹脂(a)と、該ポリエステル系樹脂(a)に対して非相溶の熱可塑性樹脂(b)とから構成し、熱可塑性樹脂(b)により空洞を発現させるものが挙げられる。
【0009】上記ポリエステル系樹脂(a)を構成するポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン・ブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2、6-ナフタレート等が例示される。これらのポリエステルは単独重合体であってもよく、あるいは上記ポリエステルの構成成分以外の第3成分を共重合せしめた共重合体であっても勿論構わないが、いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位、あるいはエチレン-2,6-ナフタレート単位の占める比率が、全構成単位に対して70モル%以上であるのが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であるポリエステルがよい。
【0010】上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法の他、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させたり、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法等によって製造することもできる。
【0011】上記ポリエステル系樹脂(a)に対して非相溶の熱可塑性樹脂(b)は、ベースとなるポリエステル系樹脂(a)に対して非相溶であって、ポリエステル系樹脂(a)中に分散状態で均一に混入し、フィルムの延伸等によりにポリエステル系樹脂(a)との界面で剥離を起こして空洞を発現させるものであれば特に限定されない。好ましくは、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用し得る他、必要により2種以上を複合して使用することもできる。中でもポリスチレン系樹脂、ポリメチルペンテンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂の使用が特に好ましい。
【0012】上記熱可塑性樹脂(b)のポリエステル系樹脂(a)に対する配合量は、得られる上記ポリエステル系樹脂層に求められる空洞形成量や物性、延伸等の製造条件などに応じて適宜設定するが、ポリエステル系樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とからなる樹脂組成物全量に対し、熱可塑性樹脂(b)が好ましくは3重量%以上?40重量%未満、さらに好ましくは5?30重量%範囲であるのがよい。熱可塑性樹脂(b)の配合量が、3重量%未満であると、生成する空洞量が少なく、本発明の面光源用反射フィルムの反射性能、特に熱線反射性能が向上しにくく、一方40重量%以上になると、製造時の延伸性が著しく低下する他、耐熱性、強度あるいは腰の強さも低下しやすい。
【0013】さらに熱可塑性樹脂(b)は、上記ポリエステル系樹脂(a)に対して非相溶の熱可塑性樹脂(b1)と、上記ポリエステル系樹脂(a)および上記熱可塑性樹脂(b1)の両方に対して非相溶であり、且つ上記熱可塑性樹脂(b1)よりも表面張力(表面エネルギー)の大きい熱可塑性樹脂(b2)から構成するのが好ましい。
【0014】熱可塑性樹脂(b)を上記のような2種の熱可塑性樹脂(b1)および熱可塑性樹脂(b2)から構成することにより、熱可塑性樹脂(b1)が主に空洞発現作用を発揮する「空洞発現剤」となるのに対して、熱可塑性樹脂(b2)は熱可塑性樹脂(b1)に対しても非相溶であり、且つ熱可塑性樹脂(b1)よりも表面張力が大きいため、ポリエステル系樹脂(a)に対する空洞発現作用に加えて、ポリエステル系樹脂(a)に対して熱可塑性樹脂(b1)を微細分散させる「分散作用」を有効に発揮し、ひいては微細な空洞を均一に形成せしめる作用を有する「分散性樹脂」となる。
【0015】上記熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の組合せは、共にポリエステル系樹脂(a)に対して非相溶であり、可塑性樹脂(b1)よりも熱可塑性樹脂(b2)の表面張力(表面エネルギー)が大きければ特に限定されないが、例えば以下のようなものが挙げられる。熱可塑性樹脂(b1)として、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィンポリマー等のポリオレフィン系樹脂や、シリコーン系樹脂等を用いた場合には、熱可塑性樹脂(b2)として、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、マレイミドやカルボン酸等で変性したポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂等を用いるのが好ましい。あるいは、熱可塑性樹脂(b1)としてポリスチレン系樹脂を用いた場合は、熱可塑性樹脂(b2)として、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、マレインイミドやカルボン酸等で変性したポリオレフィン系樹脂を用いるのが好ましい。さらに、上記熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)はそれぞれ1種の樹脂を単独で使用し得る他、必要により2種以上の樹脂を混合して使用することも可能である。
【0016】熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の配合量は、ポリエステル系樹脂(a)に対して所望の空洞形成作用が得られれば特に限定されないが、好ましくは、熱可塑性樹脂(b1)100重量部に対して、熱可塑性樹脂(b2)0.01?20重量部となるようにするのが好ましい。熱可塑性樹脂(b1)100重量部に対する、熱可塑性樹脂(b2)の配合量の下限は、さらに好ましくは0.02重量部、特に好ましくは0.1重量部とするのが良く、熱可塑性樹脂(b2)の配合量の上限は、さらに好ましくは15重量部、特に好ましくは10重量部とするのが良い。
【0017】熱可塑性樹脂(b1)100重量部に対する、熱可塑性樹脂(b2)の配合量が0.01重量部未満では、「分散性樹脂」として熱可塑性樹脂(b1)を微細分散させる作用が得られにくく、一方20重量部を超えると、熱可塑性樹脂(b2)が熱可塑性樹脂(b1)の大部分を被覆し、厚さに比較して長さの短い空洞が形成される等、所望の大きさの空洞が得られにくくなる。熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の配合割合を上記範囲とすることにより、表面張力の大きい熱可塑性樹脂(b2)が、表面張力の小さい熱可塑性樹脂(b1)を部分的に被覆、あるいは全体を薄く被覆することになり、ポリエステル系樹脂(a)に対する熱可塑性樹脂(b1)の接着性への影響が無視できる程度となる。従って、熱可塑性樹脂(b2)の微細分散効果が有効に発現し、熱可塑性樹脂(b1)をポリエステル系樹脂(a)中に微細分散化できて、後述のように厚さに対して長い空洞を多数得ることができる。なお、ポリエステル系樹脂(a)中において、熱可塑性樹脂(b2)が熱可塑性樹脂(b1)を被覆する状態は特に限定されず、例えば網目状など規則的に被覆部分と非被覆部分が存在する状態や、無秩序に被覆部分が存在する状態、全体を薄く被覆する状態、さらには上記の状態が複数共存する状態などが挙げられる。
【0018】熱可塑性樹脂(b)を上記のような2種の熱可塑性樹脂(b1)および熱可塑性樹脂(b2)から構成する場合、熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)のポリエステル系樹脂(a)中への配合量は、本発明の面光源用反射フィルムに求められる特性、特にポリエステル系樹脂層における空洞形成量や上記ポリエステル系樹脂層製造時の延伸条件などによって適宜設定すればよいが、上記ポリエステル系樹脂層を主として構成する、ポリエステル系樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の総計に対し、熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の配合量の和が、好ましくは3?30重量%、さらに好ましくは5?25重量%の範囲となるようにするのが良い。熱可塑性樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)の配合量の和が、3重量%未満では、ポリエステル系樹脂層形成時の延伸工程で生成する空洞量が少なくなって、可視光領域での反射率と光散乱性が低下し、一方30重量%を超えると、ポリエステル系樹脂層形成時の延伸性が著しく低下する他、強度あるいは腰の強さも低下することがある。
【0019】本発明において、上記ポリエステル系樹脂層は、実質的に無機粒子を含有しないのが好ましい。上記ポリエステル系樹脂層中に無機粒子が存在すると、ポリエステル系樹脂層中での光の散乱が強くなりすぎ、光エネルギーの吸収が大きくなる。
【0020】本発明において、ポリエステル系樹脂層には必要に応じて、本発明の作用を阻害しない範囲で、他の成分として蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有させることは可能である。
【0021】本発明の面光源用反射フィルムは、その主体部分が、単層のフィルムであっても、表層と中心層を有するなどの2層以上の多層構造であっても良い。多層構造とする場合、本発明の作用を阻害しない範囲で、各層を同一の構成としても、異なる構成としても良く、例えば、2層以上の上記ポリエステル系樹脂層のような微細な空洞を多数含有するポリエステル系樹脂層からなる構成としても良い。
【0022】上記ポリエステル系樹脂層は、見掛け密度を0.6?1.3g/cm^(3)の範囲とすることが好ましい。見掛け密度が0.6g/cm^(3)未満のものは、空洞含有率が高すぎてポリエステル系樹脂層の強度が低下したり、ポリエステル系樹脂層表面に割れや皺等が生じ易くなって商品価値が低下し、逆に1.3g/cm^(3)を超える高密度のものは、空洞含有率が低すぎて、所望の可視光領域の反射特性が得られにくい。
【0023】本発明において、主体となるポリエステル系樹脂層の形成方法は特に限定されず、一般に使用されるフィルム形成方法を使用できる。フィルム形成方法としては、生産性の点から、基材を構成する材料を混合して押出機から押出し、ダイスに導いて未延伸シートを得た後、該未延伸シートを2軸方向に延伸する方法が最も好ましい。基材を多層構成とする場合は、各層を同時に形成しても、別個に形成して積層しても良い。
【0024】本発明の面光源用反射フィルムにおいて、全光線透過率を2%以下とする方法は特に限定されず、上記のような微細な空洞を多数含有するポリエステル系樹脂層を2層以上積層する方法や、入射光側となる面と反対側の面に隠蔽層を形成する方法が挙げられる。
【0025】本発明の面光源用反射フィルムが隠蔽層を有する構成とする場合、隠蔽層の素材や形成方法などの構成は、本発明の面光源用反射フィルムの全光線透過率が2%以下となるのであれば、特に限定されない。例えば、主体となる上記ポリエステル系樹脂フィルムの入射光側となる面と反対側の面に、金属薄膜層を積層する方法、金属薄膜層を有するフィルムを積層する方法、炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライトなどの無機粒子を含有する層を積層する方法等が挙げられる。これらの積層方法は、隠蔽層の構成により適宜選択すれば良く、また、本発明の作用を阻害しない範囲で、主体となるポリエステル系樹脂層と隠蔽層の間に粘着層等を有したり、隠蔽層のさらに外側に保護層等を有するなど他層を有していても良い。
【0026】本発明の面光源用反射フィルムにおいて、各層の厚みは特に限定されない。
【0027】以下に試験例および実施例を用いて、本発明の効果をさらに詳細に示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の作用を阻害しない範囲で、変更することは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
試験例
試験方法
(1)全光線透過率の測定
実施例1,2、比較例1の面光源用反射フィルムについて、ヘイズメーター(東京電色工業社製、モデルTC-H3DP)を用いて全光線透過率を測定した。」

(4)「【0028】
【実施例】実施例1
下記に示すような組成物を、2軸スクリュー押し出し機に投入し、T-ダイスより290℃で溶融押し出しした後、静電気的に冷却回転ロールに密着させ、固化させることにより未延伸シートを得た。次に、該未延伸シートをロール延伸機にかけ、80℃で3.1倍に縦延伸を行った後、テンターにて125℃で2.6倍に横延伸すると共に、更にテンターにて220℃で1.4倍延伸した。その後、235℃で4%の緩和熱処理を施すことにより、内部に多数の空洞を有する厚さ188μmのポリエステル系樹脂フィルム(ポリエステル系樹脂層)を得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g)
74重量%
一般用ポリスチレン樹脂(PS)
[三井東圧化学(株)製、T575-57U] 25重量%
マレイミド変性ポリスチレン樹脂(M-PS)
[三井東圧化学(株)製、NH1200] 1重量%
次に、上記ポリエステル系樹脂フィルムの一方の面に、ダイコート方式により粘着剤(X395-270S-1:サイデン化学社製)をWETで30g/m2となるよう塗布し、100℃で1分乾燥させて粘着剤層を形成した。続いて、1μm厚さの酸化防止層、50nm厚さの銀薄膜層、12μm厚さのポリエステルフィルム層の構成を有する銀蒸着フィルム(サイチ工業社製、Ag12)の酸化防止層面と、上記粘着剤層面を重ねて、二本のロール間に導き、加熱圧着して接着させ、面光源用反射フィルムを得た。なお、二本のロール間で酸化防止層面と粘着剤層面の接着を行うに際し、各ロールの表面温度を50℃、さらに接着時の圧力は線圧で1000N/cmとした。得られた面光源用反射フィルムの全光線透過率は1.3%であった。」

(5)「【0029】実施例2
実施例1と同様の組成物をA層構成材料とし、下記に示す組成物をB層構成材料として、それぞれの組成物をを2台の2軸スクリュー押し出し機に別々に投入し、T-ダイス内で貼り合わせた後、T-ダイスより290℃で溶融押し出した後、静電気的に冷却回転ロールに密着させ、固定させることにより未延伸シートを得た。次に、該未延伸シートをロール延伸機にかけ、80℃で3.1倍に縦延伸を行った後、テンターにて125℃で2.6倍に横延伸すると共に、更にテンターにて220℃で1.4倍延伸した。その後、235℃で4%の緩和熱処理を施すことにより、2層のポリエステル系樹脂層(A層およびB層)の積層フィルムを得た。A層は空洞含有層であり、B層は白色隠ぺい層である。尚、厚みはA層/B層=173/15μmであった。得られた反射フィルムの全光線透過率は2.0%であった。
A層構成材料
実施例1のポリエステル系樹脂層の構成材料と同一
B層構成材料
ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g)
75重量%
二酸化チタン粒子
[富士チタン(株)製、TA-300] 25重量%
比較例1
実施例1と同様の方法で、内部に多数の空洞を有する厚さ188μmの単層のポリエステル系樹脂フィルムを得、これを面光源用反射フィルムとした。得られた反射フィルムの全光線透過率は11.3%であった。」

(6)「【0030】
【発明の効果】本発明の面光源用反射フィルムは、反射性能等の多数の空洞を有するフィルムの優れた特性を保持しつつ、隠蔽性にも優れる。」

(7)上記(1)ないし(6)から、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「透光性の導光板の一端部に線状光源を併設し前記導光板の一方の面の全面を反射材で被覆するようにして構成した面光源を有する液晶表示装置のバックライト装置に前記反射材として使用される面光源用反射フィルムにおいて、
前記反射材として現在多く用いられている従来の発泡白色フィルムは、軽量且つ、反射指向性が小さいという優れた特性を有するものの、隠蔽性が劣るために前記バックライト装置に組み込んだ際に、液晶表示素子を固定するための金属枠の一部や液晶表示を組み込むプラスチック性のケースの桟等の部位が透けて見え、液晶表示装置としての品位を損ねるという問題があったので、
発泡白色フィルムの優れた特性を保持しつつ、隠蔽性の高い面光源用反射フィルムを得ることを目的として、
微細な空洞を多数含有する空洞含有ポリエステル系樹脂層と、該ポリエステル系樹脂層の入射光側となる面と反対側の面に積層した無機粒子を含有する白色隠蔽層とからなる積層構造にすることにより、全光線透過率を2%以下として、隠蔽性に優れ、バックライト装置に組み込んだ際に、液晶表示素子を固定するための金属枠の一部や液晶表示を組み込むプラスチック性のケースの桟等の部位が透けて見えることを防止できるようにし、
前記ポリエステル系樹脂層を、ベースとなるポリエステル系樹脂と、該ポリエステル系樹脂に対して非相溶の第1の熱可塑性樹脂とから構成し、ポリエステル系樹脂と第1の熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物全量に対する第1の熱可塑性樹脂の配合量(以下「第1配合量」という。)は、3重量%未満であると、生成する空洞量が少なく、面光源用反射フィルムの反射性能、特に熱線反射性能が向上しにくく、一方40重量%以上になると、製造時の延伸性が著しく低下する他、耐熱性、強度あるいは腰の強さも低下しやすいので、第1配合量を3重量%以上40重量%未満の範囲内として第1の熱可塑性樹脂により空洞を発現させるか、
あるいは、さらに、前記ポリエステル系樹脂及び第1の熱可塑性樹脂の両方に対して非相溶であり且つ第1の熱可塑性樹脂よりも表面張力の大きい第2の熱可塑性樹脂を加えて構成し、ポリエステル系樹脂と第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂の総計に対する、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂の配合量の和(以下「第2配合量」という。)が、3重量%未満では、ポリエステル系樹脂層形成時の延伸工程で生成する空洞量が少なくなって、可視光領域での反射率と光散乱性が低下し、一方30重量%を超えると、ポリエステル系樹脂層形成時の延伸性が著しく低下する他、強度あるいは腰の強さも低下することがあるので、第2配合量を3重量%以上30重量%以下の範囲内とし、かつ、第1の熱可塑性樹脂100重量部に対する第2の熱可塑性樹脂の配合量(以下「第3配合量」という。)が、0.01重量部未満では、第1の熱可塑性樹脂を微細分散させる作用が得られにくく、一方20重量部を超えると、第2の熱可塑性樹脂が第1の熱可塑性樹脂の大部分を被覆し、厚さに比較して長さの短い空洞が形成される等、所望の大きさの空洞が得られにくくなるので、第3配合量を0.01重量部以上20重量部以下となるようにして、第1の熱可塑性樹脂が主に空洞発現作用を発揮する空洞発現剤となり、第2の熱可塑性樹脂が空洞発現作用に加えてポリエステル系樹脂に対して第1の熱可塑性樹脂を微細分散させる分散作用を有効に発揮し、ひいては微細な空洞を均一に形成せしめ、
前記ポリエステル系樹脂層の見掛け密度が、0.6g/cm^(3)未満のものは、空洞含有率が高すぎてポリエステル系樹脂層の強度が低下したり、ポリエステル系樹脂層表面に割れや皺等が生じ易くなって商品価値が低下し、逆に1.3g/cm^(3)を超える高密度のものは、空洞含有率が低すぎて、所望の可視光領域の反射特性が得られにくいので、該見掛け密度を0.6?1.3g/cm^(3)の範囲として、
反射性能等の多数の空洞を有するフィルムの優れた特性を保持しつつ、隠蔽性にも優れるものにした面光源用反射フィルムであって、
例えば、
前記空洞含有ポリエステル系樹脂層の構成材料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g)74重量%、一般用ポリスチレン樹脂(PS)[三井東圧化学(株)製、T575-57U]25重量%、マレイミド変性ポリスチレン樹脂(M-PS)[三井東圧化学(株)製、NH1200]1重量%からなる組成物を用い、
前記白色隠蔽層の構成材料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g)75重量%、二酸化チタン粒子[富士チタン(株)製、TA-300]25重量%からなる組成物を用い、
それぞれの組成物を2台の2軸スクリュー押し出し機に別々に投入し、T-ダイス内で貼り合わせた後、T-ダイスより290℃で溶融押し出した後、静電気的に冷却回転ロールに密着させ、固定させることにより未延伸シートを得、
次に、該未延伸シートをロール延伸機にかけ、80℃で3.1倍に縦延伸を行った後、テンターにて125℃で2.6倍に横延伸すると共に、更にテンターにて220℃で1.4倍延伸し、
その後、235℃で4%の緩和熱処理を施すことにより、
2層のポリエステル系樹脂層の積層フィルムからなるものとした、
液晶表示装置のバックライト装置に使用される面光源用反射フィルム。」(以下「引用発明」という。)

4 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「微細な空洞を多数含有する空洞含有ポリエステル系樹脂層」、「無機粒子を含有する白色隠蔽層」、「ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g)」、「『一般用ポリスチレン樹脂(PS)[三井東圧化学(株)製、T575-57U]』、『マレイミド変性ポリスチレン樹脂(M-PS)[三井東圧化学(株)製、NH1200]』」、「空洞」、「二酸化チタン粒子[富士チタン(株)製、TA-300]」、「線状光源」、「『液晶表示装置』に『使用される』」、「反射材として使用される」及び「『発泡白色フィルムの優れた特性を保持』しつつ、『隠蔽性の高』い、『透光性の導光板の一端部に線状光源を併設し前記導光板の一方の面の全面を反射材で被覆するようにして構成した面光源を有する液晶表示装置のバックライト装置に前記反射材として使用される面光源用反射フィルム』」は、それぞれ、本願補正発明の「反射層」、「支持層」、「ポリエステル」、「非相溶樹脂」、「ボイド」、「無機粒子」、「光源」、「液晶ディスプレイ用」、「反射板用」及び「液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム」に相当する。

(2)引用発明において、「液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム(発泡白色フィルムの優れた特性を保持しつつ、隠蔽性の高い、透光性の導光板の一端部に線状光源を併設し前記導光板の一方の面の全面を反射材で被覆するようにして構成した面光源を有する液晶表示装置のバックライト装置に前記反射材として使用される面光源用反射フィルム)」は、「反射層(微細な空洞を多数含有する空洞含有ポリエステル系樹脂層)」と、該「反射層」の入射光側となる面と反対側の面に積層した「支持層(無機粒子を含有する白色隠蔽層)」とからなる積層構造にすることにより、全光線透過率を2%以下として、隠蔽性に優れ、バックライト装置に組み込んだ際に、液晶表示素子を固定するための金属枠の一部や液晶表示を組み込むプラスチック性のケースの桟等の部位が透けて見えることを防止できるようにしたものであり、前記「反射層」と前記「支持層」との積層は、例えば、それぞれの層の構成材料として用いる組成物を2台の2軸スクリュー押し出し機に別々に投入し、T-ダイス内で貼り合わせた後、T-ダイスより290℃で溶融押し出した後、静電気的に冷却回転ロールに密着させ、固定させることにより行うものであって、この反射層と支持層との積層方法は、本願の発明の詳細な説明の段落【0026】に反射層/支持層の構成をとるポリエステル積層フィルムの製造方法の一例として記載されている同時多層押出し法に相当するから、引用発明の「液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム」と本願補正発明の「液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム」とは「反射層とこれを支持しこれと直接接触する支持層からな」る点、及び、「上記反射層が光源側に面して用いられる」点で一致するといえる。

(3)引用発明の「反射層(微細な空洞を多数含有する空洞含有ポリエステル系樹脂層)」は、構成材料として、「ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g))」74重量%、第1の「非相溶樹脂(一般用ポリスチレン樹脂(PS)[三井東圧化学(株)製、T575-57U])」25重量%、第2の「非相溶樹脂(マレイミド変性ポリスチレン樹脂(M-PS)[三井東圧化学(株)製、NH1200])」1重量%からなる組成物を用いたものであるから、本願発明の「ポリエステルと、15?30重量%の非相溶樹脂または31?60重量%の無機粒子を含有するポリエステル組成物から構成される反射層」と、「ポリエステルと、26重量%の非相溶樹脂を含有するポリエステル組成物から構成される」点で一致する。

(4)引用発明では、「反射層(微細な空洞を多数含有する空洞含有ポリエステル系樹脂層)」のベースとなる「ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g))」は、ポリエチレンテレフタレートであり、第1の「非相溶樹脂(一般用ポリスチレン樹脂(PS)[三井東圧化学(株)製、T575-57U])」及び第2の「非相溶樹脂(マレイミド変性ポリスチレン樹脂(M-PS)[三井東圧化学(株)製、NH1200])」の「反射層」における総含有率及び「反射層」の面積延伸倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)は、26重量%及び11.3倍(=3.1倍×2.6×1.4)であるところ、本願の発明の詳細な説明の開示によれば、「反射層」のベースとなる「ポリエステル」がポリエチレンテレフタレートである例(すべての実施例、参考例及び比較例)のうち、反射層に非相溶性樹脂を含有させ、かつ、反射層のボイド体積率を測定することができた例である実施例1ないし実施例3、参考例1、実施例5、参考例2、実施例12、比較例3、比較例4及び比較例6の「反射層」における、「非相溶樹脂」の含有率、面積延伸倍率及びボイド体積率は次のとおりであり、
例 : 含有率 、面積倍率 、ボイド
実施例 1:30重量%、11.1倍、45%
実施例 2:25重量%、10.7倍、40%
実施例 3:15重量%、12.6倍、35%
参考例 1:13重量%、10.2倍、30%
実施例 5:20重量%、11.1倍、35%
参考例 2:10重量%、10.7倍、30%
実施例12:25重量%、10.2倍、40%
比較例 3: 4重量%、12.6倍、 3%
比較例 4: 4重量%、12.6倍、 2%
比較例 6: 4重量%、10.2倍、 4%
また、面積延伸倍率が同程度であれば、ボイド体積率は、非相溶樹脂の含有量が増えるに従って大きくなることが当業者に自明であるから、
引用発明のボイド体積率が、非相溶樹脂の含有量がそれぞれ25重量%及び30重量%の上記実施例2(又は実施例12)及び上記実施例1のボイド体積率40%と45%との間の値であることが明らかである。
そして、ポリエチレンテレフタレートの密度が1.4g/cm^(3)であり、ポリスチレンの密度が1.05g/cm^(3)であるから、ボイド体積率40%と45%との間の値であるとき、引用発明の「反射層」のボイド体積率が40%のとき、その見掛け密度は0.79g/cm^(3)(=(1.4×0.74+1.05×0.26)×(1-0.4))であり、引用発明の「反射層」のボイド体積率が45%のとき、その見掛け密度は0.72g/cm^(3)(=(1.4×0.74+1.05×0.26)×(1-0.45))であり、引用発明の「反射層」の見掛け密度の範囲0.6?1.3g/cm^(3)と整合する。
したがって、引用発明は、本願補正発明の「反射層は、ボイド体積率が35?75%であり」との事項を備えているといえる。

(5)引用発明の「支持層(無機粒子を含有する白色隠蔽層)」は、その構成材料として、「ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.62dl/g))」75重量%、「無機粒子(二酸化チタン粒子[富士チタン(株)製、TA-300])」25重量%からなる組成物を用いているから、本願補正発明の「ポリエステルと、1?5重量%の無機粒子を含有するポリエステル組成物から構成される支持層」と、「ポリエステルと、無機粒子を含有するポリエステル組成物から構成され」る点で一致する。

(6)上記(1)ないし(5)から、本願補正発明と引用発明とは、
「反射層とこれを支持しこれと直接接触する支持層からなり、
反射層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、26重量%の非相溶樹脂を含有し、ボイド体積率が35?75%であり、
支持層は、ポリエステル組成物から構成され、該ポリエステル組成物は、ポリエステルと、無機粒子を含有し、
上記反射層が光源側に面して用いられる、
液晶ディスプレイ用反射板用白色反射フィルム。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
前記「支持層」の前記「無機粒子」の含有量が、
本願補正発明では「1?5重量%」であるのに対して、
引用発明では25重量%である点。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)本願の発明の詳細な説明には、「無機粒子の含有量」に関し、次の記載がある。
「[支持層]
支持層には熱可塑性樹脂を用いることができる。反射層にポリエステルの組成物を用いる場合、反射層との密着性を高くする観点から、支持層にもポリエステルの組成物を用いることが好ましい。この支持層のポリエステル組成物は、無機粒子を0.5?30重量%、好ましくは1?27重量%、さらに好ましくは2?25重量%含有することが好ましい。0.5重量%未満であると十分な滑り性を得ることができず、30重量%を超えると反射層を支える支持層としての強度を保つことができず、白色反射フィルムの破断に繋がりかねない。」(【0022】)

(2)上記(1)の記載からみて、本願補正発明の支持層の無機粒子含有量は、0.5重量%未満であると十分な滑り性を得ることができず、30重量%を超えると反射層を支える支持層としての強度を保つことができず、白色反射フィルムの破断に繋がりかねないので、0.5?30重量%の範囲内が好ましいとの技術事項が把握される。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明に、本願補正発明において、支持層の無機粒子含有量を好ましい0.5?30重量%の範囲内でさらに1?5重量%とした点に、0.5?30重量%の範囲内にしたことを超える技術上の意義がある旨の開示はない。
してみると、本願補正発明の支持層の無機粒子含有量の範囲「1?5重量%」と引用発明の支持層の無機粒子含有量「25重量%」とは、好ましい範囲である0.5?30重量%の範囲内である点で一致し、本願補正発明において、さらに1?5重量%とした点に技術上の意義はないから、本願補正発明において、支持層の無機粒子含有量の範囲を1?5重量%とした点は、好ましい範囲である0.5?30重量%の範囲内であることを限りに、当業者が適宜なし得た設計上の事項にすぎない。

(3)また、上記4(4)で、仮に、引用発明のボイド体積率が40%と45%との間の値であることが明らかであるとまではいえないとしても、引用発明において、「反射層」の見掛け密度を、その範囲0.6?1.3g/cm^(3)内の0.72g/cm^(3)ないし0.79g/cm^(3)程度とすること、すなわち、引用発明において、ボイド体積率を40%ないし45%程度となすことは、当業者が適宜なし得た程度のことである。

(4)本願補正発明の奏する効果は、当業者が引用発明の奏する効果から予測することができた程度のものである。

(5)したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成23年7月29日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年7月29日付け手続補正書によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例
引用例及びその記載事項は、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明の発明特定事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕5」に記載したとおり、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-13 
結審通知日 2013-11-19 
審決日 2013-12-02 
出願番号 特願2006-159505(P2006-159505)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G02B)
P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 西村 仁志
清水 康司
発明の名称 白色反射フィルム  
代理人 為山 太郎  

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