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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) B29C
管理番号 1284192
判定請求番号 判定2013-600026  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2014-03-28 
種別 判定 
判定請求日 2013-06-27 
確定日 2014-02-17 
事件の表示 上記当事者間の特許第3815768号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「加熱装置および加熱方法」は、特許第3815768号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 [1]請求の趣旨と手続の経緯
1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号説明書及びイ号図面、写真に示す圧空真空成形機(機種番号TFP-TY-1000)は、特許第3815768号の請求項1、3、4に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2.手続の経緯
平成11年 9月10日 本件出願
平成18年 6月16日 特許登録
平成25年 6月27日 本件判定請求
平成25年 8月29日 答弁書(被請求人)
平成25年10月29日 弁駁書(請求人)

[2]本件特許発明
本件特許発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1-7に記載されたとおりのものであり、このうち、請求人が上記判定を求める請求項1、3、4に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明3」、「本件特許発明4」という。) につき、その構成を構成要件毎に符号を付して分説すると、次のとおりである。

「【請求項1】
A:樹脂成形シートを加熱して成形装置へとショット長単位毎に搬送させる加熱装置であって、
B:上記樹脂成形シートをその両側側部を支持して長さ方向に搬送する搬送機構と、
C:この搬送機構における搬送路に沿って配置されて当該搬送路に対面して輻射加熱する面状ヒータユニットと、
D: 上記樹脂成形シートの搬入部位にて当該樹脂成形シートと面状ヒータユニットとの間に介在されるように配置されつつ上記搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて上記面状ヒータユニットにおける有効輻射加熱領域の長さを調整可能な熱遮蔽板部材と、
E:上記対面する面状ヒータユニットの間に介在されて、当該対面する面状ヒータユニットのそれぞれから輻射される熱を遮断する冷却水路とを具備し、
F:上記熱遮蔽板部材は、上記冷却水路の間で当該冷却水路と熱的に接触しながら上記搬送路方向と直角方向にスライド移動可能な可動板部材を備えるG:ことを特徴とする加熱装置。

【請求項3】
H:上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の加熱装置において、
I:上記搬送機構は上記樹脂成形シートの両縁部を支持しつつ搬送する支持レールを具備しており、
J:上記熱遮蔽板部材は、同樹脂成形シート幅の変化に伴う両縁部の支持レール間隔の変化に応じてその幅を変更することが可能である
K:ことを特徴とする加熱装置。

【請求項4】
L:上記請求項3に記載の加熱装置において、
M:上記熱遮蔽板部材は、重ね合わさりながら上記搬送路方向と略直角方向にスライド移動可能な複数の板部材からなる
N:ことを特徴とする加熱装置。」(以下、それぞれ、「構成要件A]?「構成要件N」という。)

[3]イ号物件
(1)請求人が認定するイ号物件
請求人は、本件特許発明1に対応するイ号物件を、本件特許発明に即して、以下のとおり分説して認定している。
「a:樹脂成形シート(原反)を加熱して成形装置(成形部)へとショット長単位毎に搬送させる加熱装置(圧空真空成形機)であって、
b:上記樹脂成形シートをその両側端部を支持して長さ方向に搬送する搬送機構(シート送り部)と、
c:この搬送機構における搬送路に沿って配置されて当該搬送路に対面して輻射加熱する面状ヒータユニット(加熱部)と、
d:上記樹脂成形シートの搬入部位にて当該樹脂成形シートと面状ヒータユニットとの間に介在されるように配置されつつ上記搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて上記面状ヒータユニットにおける有効輻射加熱領域の長さを調整可能な熱遮蔽板部材(架橋部材)と、
e:上記対面する面状ヒータユニットの間に介在されて、当該対面する面状ヒータユニットのそれぞれから輻射される熱を遮断する冷却水路(水冷ジャケット)とを具備し、
f:上記熱遮蔽板部材は、上記冷却水路の間で当該冷却水路と熱的に接触しながら上記搬送路方向と直角方向にスライド移動可能な可動板部材(入れ子部材)を備える
g:ことを特徴とする加熱装置(圧空真空成形機)。

h:上記a?gの加熱装置(圧空真空成形機)において、
i:上記搬送機構は上記樹脂成形シートの両縁部を支持しつつ搬送する支持レール(チェーンレール)を具備しており、
j:上記熱遮蔽板部材(架橋部材)は、同樹脂成形シート幅の変化に伴う両縁部の支持レール間隔の変化に応じてその幅を変更することが可能である
k:ことを特徴とする加熱装置(圧空真空成形機)。

i:上記h?k加熱装置(圧空真空成形機)において、
m:上記熱遮蔽板部材(架橋部材)は、重ね合わさりながら上記搬送路方向と略直角方向にスライド移動可能な複数の板部材(入れ子部材)からなる
n:ことを特徴とする加熱装置(圧空真空成形機)。」

(2)甲各号証の記載内容
請求人が提出した甲第3号証?甲第8号証には、それぞれ、以下の事項が記載されている(なお、甲第1号証は、本件特許の特許公報、甲第2号証は、本件特許の特許原簿謄本写しである)。

・甲第3号証:株式会社トーコー(被請求人)発行の「龍Dragon」と称される「TFP-TYシリーズ 新型圧空真空成形機」のパンフレット
第2頁には、型式「TFP-TY-1000」につき、その仕様内容(2段加熱式上下クイックヒーターによる加熱等)が示されるとともに、装置の全体図(上面図および側面図)が示されている。

・甲第4号証:株式会社トーコー(被請求人)発行のホームページ
第3頁第3?4行には、「真空成型機とは、シート状のプラスチックにヒーターで熱を加え、やわらかくなった状態で金型を押し当て、シートと金型の隙間の空気を抜いて真空状態にて形をつくる機械です。」と記載され、第6?7頁には、甲第3号証と同様、「TFP-TY-1000」についての仕様内容が記載されている。

・甲第5号証:株式会社トーコー(被請求人)発行の「連続圧空真空成形機TFP-TY-1000」の仕様書
第2?3頁には、「2.主仕様 (1)原反材料 HIPS,PS,PP,A-PET,PSP,etc.」、「3.機械仕様 (1)原反繰出部…… (2)成形部…… (4)加熱部……」と記載され、第12頁の「圧空真空成形機仕様図」(上面図及び側面図)によれば、巻き回した原反からシートが繰り出される領域(すなわち、原反繰出部)、ヒータ制御盤の配置される領域(すなわち、加熱部)、金型が配置される領域(すなわち、成形部)が水平方向に順に配置される様子が認められる。
また、第2頁には、「2.主仕様…… (6)成形方式 上・下圧空真空成形及び両面真空成形…… (7)テーブル動作 上・下共にリンク機構ACサーボ駆動 11kW」と記載されており、圧空真空成型機は、上下の型を駆動させて成形を行うものであると認められる。そして、下記甲第6号証に示されるとおり、原反は、加熱部から成形部に通じる搬送路を搬送されるものであることから、原反は、間欠的に加熱部から成形部へ移動するもの、すなわち「ショット長単位毎に搬送される」ものであることは明らかである。
そして、第3頁には、「(3)シート送り部…… ・シートガイド調整 チェーンレールと連動…… ・チェーンレール幅移動 600?1160mm」と記載され、第9頁の「レール断面詳細図」及び第10頁の「下ヒーター炉オプション装置」には、チェーンレールによって成形シートの両側端部が支持される様子が示されている。
さらに、第3頁には、「(4)加熱部 ・加熱方法及びヒータ 2段加熱方法 上下ドラゴンヒータ」と記載され、第10頁の「下ヒーター炉オプション装置」、第12頁の「圧空真空成形機仕様図」には、原反の搬送路を挟んで上下に面状のヒータが対向して設けられる様子が示されている。
また、第4頁には、「4.付属品…… ・水冷ジャケット 1式(ヒーター炉内)手動ハンドル移動」と記載され、第12頁の「圧空真空成形機仕様図」には、ヒーター炉(加熱部)の原反搬入部に水冷ジャケット(図中、「酢入れジャケット」とあるのは、誤記と認める。)が配置される様子が示されている。
なお、水冷ジャケットが、真空成形機において、樹脂成形シートと面状のヒータとの間に介在されるように配置されつつ搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて面状のヒータにおける有効輻射加熱領域の長さを調整可能であり、対面する面状のヒータの間に介在されて、当該対面する面状のヒータのそれぞれから輻射される熱を遮断するものであることは技術常識である(例えば、実開昭60-46223号公報(本件審査段階で引用例1として引用)参照)。

・甲第6号証:甲第3号証の第2頁及び甲第5号証の第12頁に基づいて請求人が作成したイ号図面(図1:上面図、図2:側面図)
圧空真空成形機1の左端に成形シート2を巻回した原反3が装着され、圧空真空成形機1の本体内部4において成形シート2の搬送路5に沿って、加熱部6及び成形部7が配置される様子が示されている。
また、搬送路5が成形シート2の幅方向の両縁に配置された一対のチェーンレール51に沿って配置され、加熱部6が成形シート2の搬送路5を挟んで上下方向に対向配置された上ヒータ61及び下ヒータ62を備える様子、並びに、成形部7が成形シート2の搬送路5を挟んで上下方向において対向配置された金型取付け用の上テーブル71及び下テーブル72を備える様子が示されている。

・甲第7号証:イ号写真(成形シート2の搬送路5を上方から見た様子)
左右一対のレール様の部材の間を3つの部分からなる架橋部材が配置され、前記レール様の部材の上下には、対面して面状のヒーター様の部材が配置される様子が示されている。

・甲第8号証:「包装タイムス」(2013年(平成25年)4月1日、日報ビジネス株式会社発行)
第6頁の中央部には、「新開発の高応答性ヒータを搭載した「Dragon(ドラゴン)」(TFP-TYシリーズ)は……現在月間2台ペースで出荷実績を伸ばしている。」との記載がある。

(3)当審によるイ号物件の認定
上記甲第3号証?甲第6号証の記載内容によれば、圧空真空成形機(「TFP-TY-1000」)が示されており、その具体的構成について本件発明に対応させて分説すると、以下のとおりである。

「a:樹脂成形シート(原反)を加熱して成形部へとショット長単位毎に搬送させる圧空真空成形機であって、
b:上記樹脂成形シートをその両側端部を支持して長さ方向に搬送するシート送り部と、
c:シート送り部における搬送路に沿って配置されて当該搬送路に対面して輻射加熱する面状のドラゴンヒータと、
e:上記樹脂成形シートの搬入部位にて当該樹脂成形シートと面状のドラゴンヒータとの間に介在されるように配置されつつ上記搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて上記面状のドラゴンヒータにおける有効輻射加熱領域の長さを調整可能であり、上記対面する面状のドラゴンヒータの間に介在されて、当該対面する面状のドラゴンヒータのそれぞれから輻射される熱を遮断する水冷ジャケットとを具備する
g:圧空真空成形機。」(以下、「当審認定のイ号物件」という。)

[4]対比・判断
本件特許発明と当審認定のイ号物件を対比する。
当審認定のイ号物件における「成形部」、「圧空真空成形機」、「シート送り部」、「面状のドラゴンヒータ」、「水冷ジャケット」は、本件特許発明1の「成形装置」、「加熱装置」、「搬送機構」、「面状ヒータユニット」、「冷却水路」に相当する。
よって、当審認定のイ号物件の構成a、b、c、e、gは、本件特許発明1の構成要件A、B、C、E、Gを充足する。
そして、当審認定のイ号物件は、上記水冷ジャケット以外には、「上記樹脂成形シートの搬入部位にて当該樹脂成形シートと面状のドラゴンヒータ(面状ヒータユニット)との間に介在されるように配置されつつ上記搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて上記面状のドラゴンヒータ(面状ヒータユニット)における有効輻射加熱領域の長さを調整可能」な部材は有しないから、本件特許発明1の構成要件D、Fを充足しない。

なお、請求人は、判定請求書において、「甲第7号証(イ号写真:写真1は成形シート2の搬送路5を上方から見た様子、写真2は成形シート2の搬送路5を上方から見た様子を示す。)に、圧空真空成形機1の幅方向に架け渡される一対の部材(以下、架橋部材8という)が示されている。……
甲第7号証の写真1,2に、水冷ジャケット9が架橋部材8に沿って密接配置される様子が示されている。圧空真空成形機において、水冷ジャケットは、面状ヒータユニットにおける有効輻射加熱領域の長さを調整するために用いられることは技術常識である。このため、水冷ジャケット9が密着する架橋部材8は、「上記搬送路方向に沿って前後動可能に支持されて上記面状ヒータユニットにおける有効輻射加熱領域の長さを調整可能」であると認められる。」(第8頁「dの説明」の項)、「甲第7号証に、架橋部材8が、同一形状で大きさが異なる3つの部材81,82,83により構成される様子が示されている。また、3つの部材81,82,83が、圧空真空成形機1の幅方向の両側に配置された一対のチェーンレール51に挟まれるように配置される様子が示されている。この3つの部材81,82,83は、圧空真空成形機1の幅方向の両側の2つの両側部材81,83に対して、中央の1つの中央部材82が入り込む構造となっている。つまり、この3つの部材81,82,83は、入れ子構造を有する部材(以下、入れ子部材81,82,83という)である。
そして、甲第5号証の第3頁に、「(3)シート送り部 ・チェーンレール幅移動 600?1160」と記載されている。このため、チェーンレールの幅が可変であり、その間隔(幅)を変化させると入れ子部材81,82,83は、「上記搬送路方向と直角方向にスライド移動可能」であると認められる。」(第9頁「fの説明」の項)と述べている。

しかしながら、甲第7号証のイ号写真が、圧空真空成形機(「TFP-TY-1000」)における加熱部内を撮った写真であるのかは必ずしも明らかではなく、甲第5号証(圧空真空成形機(「TFP-TY-1000」)の仕様書)においても、付属品として「水冷ジャケット」は含まれるものの(第4頁)、上記架橋部材に相当する部材が配置される旨の記載ないし示唆は認められない。
とすると、圧空真空成形機(「TFP-TY-1000」)が、上記請求人の説明のような「架橋部材」を具備するとはいえない。
さらに、前記「架橋部材」が、「上記搬送路方向と直角方向にスライド移動可能」であるとの点についても、イ号写真からは確認できない。
よって、甲第3号証?甲第7号証から確認できるものは、上記[3](3)のとおりである。

[5]むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。
また、本件請求項3は、請求項1または請求項2を引用し、本件請求項4は、請求項3を引用するものであって、いずれも本件特許発明1の構成をすべて備えるものであるから、イ号物件は、本件特許発明3、4の技術的範囲にも属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2014-02-06 
出願番号 特願平11-256794
審決分類 P 1 2・ 9- ZB (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 斎藤 克也  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 豊永 茂弘
木村 孔一
登録日 2006-06-16 
登録番号 特許第3815768号(P3815768)
発明の名称 加熱装置および加熱方法  
代理人 高橋 詔男  
代理人 豊栖 康弘  
代理人 堀内 正優  
代理人 木谷 弘行  
代理人 三縄 隆  
代理人 豊栖 康司  
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