ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 C01F |
---|---|
管理番号 | 1284466 |
審判番号 | 無効2012-800194 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2012-11-22 |
確定日 | 2014-01-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4968484号発明「ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末、該ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いた含塩素樹脂安定剤及び含塩素樹脂組成物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第4968484号に係る出願(以下、「本件出願」という。)は、平成21年3月31日(優先権主張 平成20年3月31日)の出願であって、平成24年4月13日にその発明について特許権の設定登録がなされたものである。 以後の本件に係る手続の概要は以下のとおりである。 平成24年11月22日 本件無効審判の請求 平成25年 2月12日 審判事件答弁書の提出 同 年 2月12日 訂正請求書の提出 同 年 4月26日 審理事項通知(起案日) 同 年 6月28日 口頭審理陳述要領書(請求人)の提出 同 年 6月28日 口頭審理陳述要領書(被請求人)の提出 同 年 7月 9日 口頭審理 同 年 7月17日 審決の予告(起案日) 同 年 9月20日 訂正請求書の提出 同 年11月 8日 審判事件弁駁書の提出 第2 訂正請求について 1 平成25年9月20日付けの訂正の内容 被請求人が求めた訂正の内容は、下記訂正事項1及び2のとおり訂正することを求めるものである(以下、両者をあわせて「本件訂正」という。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項1】に「可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」とあるのを、「ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末であって、可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 願書に添付した明細書の段落【0013】の記載のうち「可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」とあるのを、「ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末であって、可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」と訂正する。(下線は訂正個所) 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の「Mg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」を、その製造方法で限定するものである。このため、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでないこと 訂正事項1は、物の製造方法に関する特定事項を、「Mg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末」に直列的に付加するもので、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 明細書に記載した事項の範囲内であること (ア)製造方法を特定する事項の分説 訂正事項1において新たに請求項1に加入されたハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の製造方法に関する特定事項は、次のとおり分説できるので、それぞれの分説毎に検討する(以下、「工程(i)?(iv)」という)。 (i)ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、 (ii)高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、 (iii)pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、 (iv)次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末 (イ)工程(i)について 本件特許明細書の段落【0028】には、 「本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、ハイドロタルサイト型粒子を生成及び熟成させた後のスラリー又は疎水化表面処理などの処理を行った後のスラリーを、pH9.5?12に調整した後、洗浄し、乾燥して得られるものであり。」 との記載があり、製造工程(i)は、明細書に記載された事項の範囲内である。 (ウ)工程(ii)について 本件特許明細書の段落【0028】の上記記載によると、「pHを9.5?12に調整」する対象は、「ハイドロタルサイト型粒子を生成及び熟成させた後のスラリー又は疎水化表面処理などの処理を行った後のスラリー」であるので、段落【0028】には、疎水化表面処理を行っう場合には、疎水化表面処理の後にpH調整が行われることになり、工程(ii)の次に工程(i)を行うことが記載されている。 また、段落【0040】には、次の記載がある。 「本発明に係るハイドロタルサイト型化合物を含塩素樹脂組成物として用いる場合、該ハイドロタルサイト型化合物に高級脂肪酸やアニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の表面処理を施すことが好ましい。表面処理を施すことでより一層の含塩素樹脂組成物の安定性を付与することができる。」 これによれば、ハイドロタルサイト型化合物に対して、高級脂肪酸等で表面処理することが記載されているが、該表面処理が段落【0028】に記載された疎水化表面処理のことであるか明確ではなく、また、該表面処理を、どのタイミングで行っているかについても明確ではない。 したがって、工程(i)の次に工程(ii)が行われることは、これらの記載からは明らかではない。 しかし、段落【0059】?【0080】に記載された実施例1?11の製造工程を確認すると、オートクレーブ中でエージング処理されたハイドロタルサイト型化合物粒子粉末スラリーは、スラリーのpHを9.9?11.9の範囲に調整され、パルチミン酸ソーダ、ステアリン酸ソーダ等の高級脂肪酸塩で処理され、その後に、pH11?13のアルカリ水溶液で水洗され、最後に純水で水洗されている。 これについて、例えば実施例1について関連する記載を摘示すると、次のとおりとなる。 「【0059】 実施例1 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 酸化マグネシウム・・・を純水に分散させたスラリーと硫酸アルミニウム・・・の水溶液を攪拌しながら混合した。別に、炭酸ソーダ結晶・・・を純水で溶解し、さらに苛性ソーダ・・・と純水を加えた。このアルカリ溶液を先の酸化マグネシウムと硫酸アルミニウム8水塩を混合したスラリーに投入して80℃に昇温し、80℃にて5時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して175℃にて4時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら・・・pHを10.3に調整した。この状態に2.3gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。・・・。濾過後、40℃のpH11.5の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後40℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は11.0m^(2)/gであった。」 すなわち、実施例1では、オートクレーブ中でエージング処理されたハイドロタルサイト型化合物粒子粉末スラリーを、スラリーのpHを10.3に調整し、パルチミン酸ソーダで処理し、その後に、pH11.5の苛性ソーダ水溶液で水洗し、最後に純水で水洗して、ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を製造している。実施例2?11についても、同様の記載があることを確認することができる。 このため、実施例1?11の記載からは、工程(i)を経たハイドロタルサイト型化合物粒子粉末スラリーは、段落【0040】に記載された表面処理剤による処理を受け、その後に、アルカリ水溶液で洗浄されていることが記載されていると認めることができる。 したがって、上記したとおり、段落【0028】【0040】の記載からは、工程(i)の後に工程(ii)が行われるかは明らかではないが、実施例の記載を参照することで、工程(i)の次に工程(ii)が行われることは、明細書に記載された事項の範囲内であるといえる。 (エ)工程(iii)(iv)について 本件出願の願書に添付した明細書の段落【0030】には、次の記載がある。 「可溶性アニオン(可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオン)の少ないハイドロタルサイト型化合物粒子を作製するには、目標とするハイドロタルサイト型化合物粒子を生成及び熟成させた後のスラリー、又は疎水化表面処理などの処理を行った後のスラリーを、pH9.5?12に調節することが好ましく、より好ましいpHは9.8?11.5である。前記pHの範囲に調整することで硫酸イオン等のアニオンが水洗で低下しやすくなる。ナトリウムは水洗で比較的容易に落ちやすいが、可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオンのような可溶性アニオンは単に水洗では低減することが困難である。そこで、水洗時に、まず薄いアルカリ水溶液で洗浄して硫酸イオン等のアニオンを低減させてから、さらに水で水洗することで、より硫酸イオン等のアニオンが低下しやすくなる。前記ハイドロタルサイト型粒子粉末を含有するスラリーのpH調節及び水洗前の洗浄で用いる薄いアルカリ水溶液には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いればよい。」 これによれば、工程(i)を経たスラリーに対し、ナトリウム及び可溶性アニオンの濃度を低減するために水洗するに際し、まず、薄いアルカリ水溶液で洗浄し、次いで水洗することが記載されており、この水洗は、工程(iii)及び(iv)に相当するといえる。しかし、この記載からは、工程(iii)(iv)が工程(ii)の次に行われるか否かは、必ずしも明らかではない。 しかし、上記(ウ)で示したように、段落【0058】?【0080】の記載によれば、実施例1?11には、工程(ii)の後に、pH11?13のアルカリ水溶液で水洗し、その後に純水で水洗されていることが認められるから、明細書には、工程(ii)に引き続いて工程(iii)(iv)が行われることが記載されているといえる。 (オ)以上のとおりであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (2)訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことは、上記した訂正事項1と同様の理由から明らかである。 3 むすび よって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり、平成25年9月20日付けの訂正は認められるので、本件特許発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)。 「 【請求項1】 ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末であって、可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いたことを特徴とする含塩素樹脂組成物を熱安定化させて着色を抑制させるための含塩素樹脂安定剤。 【請求項2】 請求項1記載の含塩素樹脂安定剤を塩素含有樹脂中に含有することを特徴とする含塩素樹脂組成物。」 第4 当事者の主張 1 請求人の主張 請求人は、審判請求書において、「特許第4968484号の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めた。請求人が主張する無効理由は、審判請求書、口頭審理陳述要領書、口頭審理及び弁駁書を総合すると、次のとおりのものである。 甲第1号証の比較例1で得られたハイドロタルサイト粒子は、ナトリウムの含有量と可溶性アニオン合計量がいずれも本件特許発明1及び2の規定量を充足することが、甲第2号証及び甲第3号証の実験報告書から明らかである。また、本件特許発明1及び2は、ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の可溶性アニオン合計量と含有するナトリウムの量を規定した点に本質的要件を有しており、ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の製造方法を限定したとしても、その本質的要件を限定・明確化するものではない。 このため、本件特許発明1及び2は、甲第1号証の比較例1及び6に記載された発明であるといえるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 なお、請求人は、口頭審理において、特許法第29条第2項を根拠とする無効理由の主張を取り下げた(口頭審理調書)。 [証拠方法] 甲第1号証:特開2008-1756号公報 甲第2号証:実験報告書(協和化学工業株式会社 小橋健一作成) 甲第3号証:実験報告書(国立大学法人香川大学 馮 旗教授、廣田 和則作成) 甲第4号証:香川大学 理学博士 馮 旗教授略歴 2 被請求人の主張 被請求人は、審判事件答弁書において「訂正を認める。本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書、口頭審理を総合すると、概略次のとおり主張している。 甲第1号証には、ハイドロタルサイト粒子に含まれる可溶性アニオンの合計量を制御して樹脂組成物を熱安定化させて着色を抑制することの記載と示唆はなく、また、参考資料1の記載を考慮すると、甲第2号証と甲第3号証の実験報告書の結果には疑問がある。このため、本件特許発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明ではない。 [証拠方法] 参考資料1:特公昭49-3760号公報 第5 当審の判断 1 甲第1号証に記載された発明 (1)甲第1号証の記載事項 本件優先日前に頒布された甲第1号証には次の記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、特定のハイドロタルサイト粒子よりなる受酸剤、およびその受酸剤を含有する電気絶縁性が優れた合成樹脂組成物、または、合成ゴム組成物およびそれ等の成形品に関する。さらに詳しくは、表面処理剤で表面処理された特定のハイドロタルサイト粒子受酸剤及び、その受酸剤を一定割合含有する耐熱耐水用途であっても電気絶縁性が優れた含ハロゲン樹脂、含ハロゲンゴム組成物およびそれらの成形品に関する。」 (イ)「【0031】 比較例1 塩化マグネシウム1モル/L水溶液400mLと硝酸アルミニウム1モル/L水溶液200mlをカラスビーカに準備し、それらが同時になくなるように、また、水酸化ナトリウム2モル/L水溶液600mLと炭酸ナトリウム1モル/L水溶液100mLを混合した混合溶液を、あらかじめ少量の水を張っている2L容積の反応槽中に、攪拌下にpH10.0となるように同時注加して反応物を得た。この反応物700mLを1Lのオートクレーブ中で150℃、20時間水熱熟成した。冷却後全量取り出し、個液分離(審決注:固液分離の誤記と認める。)した後、イオン交換水500mLで洗浄した。得られたケーキを120℃で16時間乾燥した後、ハンマーミルで粉砕し、45ミクロンのフィルターで篩過した。 得られたハイドロタルサイト粒子を分析した結果を化学組成式で示すと以下のようになった。 ハイドロタルサイト粒子の化学構造式:Mg_(0.67)Al_(0.33)(OH)_(2)(CO_(3))_(0.15)・0.55H_(2)O」 (ウ)「【表1】 」 (エ)「【0040】 実施例5?8、比較例4?6および8(審決注:「比較例4?6および8」は「比較例6?8および10」の誤記と認める。) 下記配合(配合1)からなる樹脂組成物を、180℃で5分間ロール混練し、得られた1mmのロールシートを180℃ギアオーブンにて樹脂が茶褐色化するまでの時間を30分間隔で熱安定性試験を行なった。またロールシートを2枚重ねプレス機100Kg/cm^(2)圧力で、180℃、10分間にて厚さ1mm、縦横120mmのプレスシートをテストピ-スとして得た。そのテストピースを上記分析手法(6)のJIS K6723の体積抵抗率試験に準じて測定した。 ・・・ 【0041】 ・・・ (配合1) ポリ塩化ビニル(重合度1300) 100重量部 アジピン酸系ポリエステル 50重量部 重質炭酸カルシウム 25重量部 三酸化アンチモン 5重量部 ステアリン酸亜鉛 0.5重量部 ステアリン酸カルシウム 0.2重量部 ジベンゾイルメタン 0.2重量部 表1のサンプル 3.0重量部」 (オ)「【表2】 なお、表中の「比較例4、比較例5、比較例6、比較例7、比較例8」は「比較例6、比較例7、比較例8、比較例9、比較例10」の誤記と認める。」 (2)甲1-1、1-2発明 記載事項(ア)によれば、甲第1号証には、受酸剤としてのハイドロタルサイト粒子及び該ハイドロタルサイト粒子を含有する含ハロゲン樹脂組成物に関する発明が記載されている。 そして、同(イ)には、ハイドロタルサイト粒子に関する具体例が比較例1として記載されており、その製造は、オートクレーブ中で水熱熟成したハイドロタルサイト粒子スラリーを、固液分離後にイオン交換水で洗浄して製造し、その化学構造式からMg-Al系のハイドロタルサイト粒子が製造されていること、及び、同(ウ)を参照すると、比較例1のハイドロタルサイト粒子は、含有するナトリウムは0.01%(100ppm)であることを確認することができる。 また、同(エ)(オ)には、ハイドロタルサイト粒子をポリ塩化ビニルに配合した樹脂組成物が記載されており、そのうちの比較例6は、比較例1で得られたハイドロタルサイト粒子を配合した樹脂組成物である。そして、同(オ)を参照すると、比較例6のPVC熱安定時間が210分であり、実施例5、7及び8と同等の熱安定性に優れた樹脂組成物となっていることを確認することができる。 このため、ポリ塩化ビニル組成物は「含塩素樹脂組成物」であることは明らかなので、比較例1のハイドロタルサイト粒子は、含塩素樹脂組成物の熱安定化剤とみることができる。 そこで、甲第1号証の比較例1及び6に記載された発明を、本件特許発明1及び2の記載ぶりに則して整理すると、甲第1号証には次の発明が記載されているといえる(以下では「甲1-1発明」及び「甲1-2発明」という。) ア 甲1-1発明 「ハイドロタルサイト粒子を生成したスラリーを固液分離後に水洗して得られたものであって、含有するナトリウムが100ppmであり、含塩素樹脂組成物の熱安定性を向上させるMg-Al系ハイドロタルサイト粒子からなる含塩素樹脂安定剤。」 イ 甲1-2発明 「甲1-1発明の含塩素樹脂安定剤を含塩素樹脂中に含有する含塩素樹脂組成物。」 2 対比と判断 (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1-1発明を対比すると、両者は 「含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いた含塩素樹脂組成物を熱安定化させるための含塩素樹脂安定剤。」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 ・相違点1:本件特許発明1では、「可溶性アニオンの合計値が70ppm以下」としているが、甲1-1発明では、可溶性アニオンの合計の含有量が明らかでない点。 ・相違点2:本件特許発明1における含塩素樹脂安定剤は、「熱安定化させて着色を抑制させる」効果を有するのに対し、甲1-1発明では、熱安定性を向上させる効果を有するものの、熱による着色を抑制する効果を有することについて明らかでない点。 ・相違点3:本件特許発明1では、ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を、その製造方法、すなわち 「ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られた」 で限定しているが、甲1-1発明のハイドロタルサイト粒子は、「ハイドロタルサイト粒子を生成したスラリーを固液分離後に水洗して得られたもの」である点。 イ 判断 相違点3を検討する。 甲1-1発明のハイドロタルサイト粒子は、ハイドロタルサイト粒子を生成したスラリーを固液分離後に水洗して得られたものであり、その製造方法は本件特許発明1で特定する製造方法とは相違する。 そして、本件特許発明1のように、物の発明に係る特許請求の範囲に、その物の製造方法が記載されている場合、当該発明の要旨は、当該製造方法により製造された物に限定されるものとして認定される。 本件特許発明1は、上記したように、その製造方法において甲1-1発明とは相違するものであるので、甲1-1発明と同一とすることはできない。 これに関し、請求人は、該製造方法の限定は、本件特許発明1の本質的要件を限定又は具体化するものではないので、本件特許発明1が、甲1-1発明に対して新規性を有するものではない旨を主張するが、本件特許発明1の要旨認定は上記のとおりであるので、請求人の主張は採用できない。 以上のとおりであるので、相違点1及び2を検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明とすることはできない。 ウ 進歩性の判断 なお、請求人は、弁駁書第4頁の「さらに言及すると・・・」以下で、相違点3に想到することが当業者には容易である旨を主張しているとも解されるので、この点について検討する。 <刊行物の記載事項> 請求人が周知例として引用する甲第1号証には、次の記載がある。 (カ)「【0011】 ・・・ また、本発明のハイドロタルサイト粒子は、珪素化合物、リン酸化合物および硼素化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物で表面処理されたものであり、・・・。」 (キ)「【0014】 上記特定の化合物で表面処理されたハイドロタルサイト粒子をさらに高級脂肪酸にて表面処理してもよい。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸、よりなる群から選ばれた少なくとも一種の高級脂肪酸が好ましい。特に炭素数14?26の高級脂肪酸が好ましい。」 また、同じく、本件特許の審査において引用された特開昭49-18800号公報(以下、「参考文献」という。)の特許請求の範囲には次の記載がある。 (サ)「特許請求の範囲 (イ)アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムのハロゲン化物、硝酸塩及び有機酸塩よりなる群から選択された少なくとも1種の水溶性アルミニウム化合物の水溶液、(ロ)マグネシウムのハロゲン化物又は硝酸塩の水溶液及び(ハ)水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液を混合し、混合液のpHを8以上に保ちながら反応させ、生成した沈澱をpH12以上の苛性アルカリ水溶液で処理することにより1価の陰イオンを除去することを特徴とする、一般式 Mg_(x)Al_(y)(OH)_(2x+3y)・aH_(2)O (式中yを2とするとxは3?20の数、aは正数を示す)で表されるアルミニウム・マグネシウム複合水酸化物の製法」 (シ)「本発明は制酸剤及び胃潰瘍治療剤として有用である水酸化アルミニウム・マグネシウム複合体の製造方法に関する。」(第1頁右下欄2-4行) <判断> 請求人は、ハイドロタルサイト粒子を高級脂肪酸で表面処理することは周知の技術であるとして、その周知例として、甲第1号証の上記記載事項(キ)を例示する。 しかし、同(キ)に記載された高級脂肪酸処理は、同(カ)によれば、珪素化合物等の特定の化合物で表面処理されたハイドロタルサイト粒子に対してさらに付加的に行われるものである。 ここで、甲1-1発明は、珪酸化合物等の特定化合物による表面処理を行うものではないので、甲1-1発明に上記の特定化合物による表面処理を行い、さらに高級脂肪酸処理を適用することについては動機付けはなく、技術常識を参酌したとしても容易想到性はないとすべきである。 また、請求人は、参考文献の上記記載事項(サ)を引用して、アルカリ水溶液洗浄は周知であるとする。 しかし、同(サ)によれば、参考文献に記載されたアルミニウム・マグネシウム複合水酸化物は、その化学構造が甲1-1発明のハイドロタルサイト型化合物粒子粉末とは相違するし、同(シ)によれば、参考例1に記載された発明は制酸剤や胃潰瘍治療薬の製造方法であるので、甲1-1発明とはその技術分野が相違する。 したがって、参考文献に記載されたアルカリ水溶液洗浄を、甲1-1発明に適用することにも、その動機付けがなく技術常識を参酌しても容易想到であるとすることはできない。 <まとめ> 以上のとおりであるので、仮に請求人が、本件特許発明1は甲第1号証及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができる、と主張したとしても、請求人の主張は採用することができない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2と甲1-2発明とを対比すると、両者は「含塩素樹脂安定剤を塩素含有樹脂中に含有する含塩素樹脂組成物」に関する発明である点で共通するので、本件特許発明2と甲1-2発明との構成上の相違は、結局、含有する含塩素樹脂安定剤であるハイドロタルサイト粒子の相違ということになる。 このため、本件訂正特許発明2と甲1-2発明との相違点は、上記した本件訂正特許発明1と甲1-1発明との相違点1、2、3と同じことになる。 とすると、本件訂正発明1と甲1-1発明の相違点3において相違するので、本件訂正発明2は、甲1-2発明とは該相違点3で相違して同一であるとすることはできない。 第8 むすび 本件特許発明1及び2の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものでなく、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1及び2の特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条により、被請求人が負担すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末、該ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いた含塩素樹脂安定剤及び含塩素樹脂組成物 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、含塩素樹脂組成物においてハイドロタルサイト型化合物粒子粉末由来の電気絶縁性の低下を抑制でき、且つ、優れた含塩素樹脂の熱安定性を有し、樹脂の着色を抑制できるものである。 【背景技術】 【0002】 近年、含塩素樹脂の安定化剤としてPbやSnから、無毒な金属石鹸類とハイドロタルサイト型化合物の組合せに変わりつつあり、含塩素樹脂を用いた材料は、電線被覆、フィルム、建材やパイプなど様々な用途で利用されている。 【0003】 ハイドロタルサイトは一般的に、Mg_(6)Al_(2)(OH)_(16)CO_(3)・4H_(2)Oで示される層状の化合物で、Mg-Alからなる層の層間にCO_(3)、H_(2)O、OH^(-)が挿入されている。構造中のMg^(2+)の一部もしくは全部をNi^(2+)、Zn^(2+)、Sr^(2+)やCa^(2+)等の2価カチオンと置き換えることができ、同様にAl^(3+)の一部もしくは全部をFe^(3+)やCr^(3+)等の3価カチオンと置き換えることができる。さらに、CO_(3)^(2-)もSO_(4)^(2-)やCl^(-)等のアニオンと交換することができる。また、一般的に2価と3価のカチオンのモル比を変えても構造を保持し、モル比が2?4の範囲で層状構造をとることができる。これら構成元素の組成や2価と3価のカチオンの比率を変えた層状の化合物を一般的にハイドロタルサイト型化合物と呼ぶ。 【0004】 特に電線被覆用途の安定剤では急激にハイドロタルサイト型化合物を含むものに変わりつつある。しかし、電線被覆用途の安定剤にハイドロタルサイト型化合物を用いると電気抵抗が低下する傾向があり、低電圧電線では、なんとか使用できるレベルであるが、高電圧電線では漏電しやすくなるので使用することが出来ず、依然として電気絶縁性の高いPb系の安定剤が使用されている。 【0005】 しかし、環境への配慮から高電圧電線でも脱Pbが求められており、高い電気絶縁性を保持できるハイドロタルサイト型化合物が渇望されている。 【0006】 一般的に水溶液等では溶解したイオンを多く含むほど導電性は高くなり、樹脂中でも同様に導電性のイオンが多いほど樹脂の導電性が高くなる。言い換えれば導電性イオンが多いほど樹脂の電気絶縁性は低下する。 【0007】 ハイドロタルサイト型化合物粒子はその構造中及び表面付近に硫酸イオンやナトリウムイオンの様な微量の不純物イオンを含んでおり、電気絶縁性を低下させる原因となっていると考えられる。また、これらのイオンは樹脂の着色や熱安定性を悪化させる原因ともなっている。 【0008】 これまで塩素含有樹脂の安定剤としてハイドロタルサイト型化合物を用いることが知られており(特許文献1?3)、ハイドロタルサイト型化合物粒子が含有するナトリウム量が少ないと電気抵抗が向上する傾向があることも知られている(特許文献2、3)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】特開2000-290451号公報 【特許文献2】特開2007-106620号公報 【特許文献3】国際公開第2006/043352号パンフレット 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 前記特許文献1乃至3に記載されたハイドロタルサイト型化合物では、樹脂の電気絶縁性が十分とは言い難く、含塩素樹脂組成物の安定剤として優れた機能を有するとは言い難いものであった。 【0011】 そこで、本発明は、溶出する導電性イオンが少ないハイドロタルサイト型化合物を提供し、該ハイドロタルサイト型化合物を含む高い電気絶縁性を持った樹脂を提供することを技術的課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。 【0013】 即ち、本発明は、ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末であって、可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いたことを特徴とする含塩素樹脂組成物を熱安定化させて着色を抑制させるための含塩素樹脂安定剤である(本発明1)。 【0016】 本発明1記載の含塩素樹脂安定剤を塩素含有樹脂中に含有することを特徴とする含塩素樹脂組成物である(本発明2)。 【発明の効果】 【0017】 本発明に係る溶出する導電性イオンが少ないハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いることにより、樹脂に高い電気絶縁性を持たせることが出来る。また、熱安定性及び着色の抑制も改善することが出来る。 【発明を実施するための形態】 【0018】 先ず、本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末について述べる。 【0019】 本発明に係る溶出する導電性イオンが少ないハイドロタルサイト型化合物粒子粉末において、ハイドロタルサイト型化合物はMg,Al,Znなどから構成されており、俗にMg-Al系やMg-Zn-Al系と表記されるものである。 【0020】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の組成は特に限定されるものではないが、例えば、一般に知られているようなMg/Alモル比は1.0?3.5が好ましく、Mg-Al-Zn系での亜鉛はMg及びAlの合計モル数に対してモル比で0.0010?0.30が好ましく、Zn/Alのモル比で表すと、0.005?0.5程度が好ましい。 【0021】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末が含む可溶性アニオン(可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオン)の合計値は70ppm以下である。これらの可溶性アニオン量が多いと高い電気絶縁性が得られない。特に、価数が2価の硫酸イオンは1価のイオンに比べて電気絶縁性に対する悪影響が大きい。可溶性アニオンは好ましくは60ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。下限値は5ppm程度である。 【0022】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末が含むナトリウムは700ppm以下が好ましい。含有するナトリウムが少なければ溶解するナトリウムが少なくなる可能性が高くなる。ナトリウムイオンは可溶性アニオンよりも影響が少ないものの、ナトリウムが少ない方がより高い電気絶縁性が得られる。好ましくはナトリウムが600ppm以下であり、更により好ましくは550ppm以下である。下限値は20ppm程度である。 【0023】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の比表面積は5?150m^(2)/gである。5m^(2)/g未満のハイドロタルサイト型化合物粒子は工業的に得られにくい。150m^(2)/gを超えても工業的に得られにくい。好ましくは7?100m^(2)/g、より好ましくは8?50m^(2)/gである。 【0024】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、0.01?5wt%程度のカルシウムを含有しても良い。 【0025】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、0.01?8wt%程度の酸化亜鉛を含有しても良い。 【0026】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の平均板面径は0.05?0.8μmが好ましい。 【0027】 次に、本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の製造法について述べる。 【0028】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、ハイドロタルサイト型粒子を生成及び熟成させた後のスラリー又は疎水化表面処理などの処理を行った後のスラリーを、pH9.5?12に調整した後、洗浄し、乾燥して得られるものであり。 【0029】 本発明におけるハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム塩水溶液とアルミニウム塩水溶液とを混合し、pH値が10?14の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を80?105℃の温度範囲で熟成してMg-Al系ハイドロタルサイト型粒子の芯粒子を生成させ、次いで、該芯粒子を含む水性懸濁液に、該芯粒子の生成時に添加した前記マグネシウムと前記アルミニウムとの合計モル数に対して、合計モル数が0.35以下となる割合でマグネシウム及びアルミニウムを含有するマグネシウム塩水溶液とアルミニウム塩水溶液とを添加した後、pH値が10?14の範囲、温度が60?105℃の範囲で熟成してMg-Al系ハイドロタルサイト型粒子粉末を得るような常圧での芯粒子に対する成長反応(特開2002-293535号公報)や、オートクレーブを用いて105?350℃にて生成されたものを用いることが望ましい。これらは、例えば、Mg,Al,Znについては硫酸塩金属、硝酸塩金属、塩化物塩金属、金属酸化物などの原料と、苛性ソーダや水酸化カリウムなどのアルカリ、炭酸ソーダや塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カリウムなどのアニオン源原料から作製すればよい。 【0030】 可溶性アニオン(可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオン)の少ないハイドロタルサイト型化合物粒子を作製するには、目標とするハイドロタルサイト型化合物粒子を生成及び熟成させた後のスラリー、又は疎水化表面処理などの処理を行った後のスラリーを、pH9.5?12に調節することが好ましく、より好ましいpHは9.8?11.5である。前記pHの範囲に調整することで硫酸イオン等のアニオンが水洗で低下しやすくなる。ナトリウムは水洗で比較的容易に落ちやすいが、可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオンのような可溶性アニオンは単に水洗では低減することが困難である。そこで、水洗時に、まず薄いアルカリ水溶液で洗浄して硫酸イオン等のアニオンを低減させてから、さらに水で水洗することで、より硫酸イオン等のアニオンが低下しやすくなる。前記ハイドロタルサイト型粒子粉末を含有するスラリーのpH調節及び水洗前の洗浄で用いる薄いアルカリ水溶液には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いればよい。 【0031】 さらに、薄いアルカリ水溶液及び/又は水洗に用いる薄いアルカリ水溶液及び/又は水は冷水よりも30?90℃の温水を用いることが好ましい。前記温度範囲の薄いアルカリ水溶液及び/又は水を用いるとイオンの拡散速度が向上し、さらに水の粘度が低下して水洗効果が高まる。より好ましくは40?70℃である。 【0032】 上記のようにして得られたハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、基本的には105?150℃にて乾燥を行うことが好ましい。105℃未満の乾燥温度では得られるハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の水分が多いので樹脂中で発泡が起きやすく、また乾燥させるために長時間必要となり経済的ではない。150℃を超える場合は、軟質?半硬質含塩素樹脂組成物の安定剤用途として樹脂に対する劣化抑制の働きが低下する傾向にある。軟質?半硬質含塩素樹脂組成物の安定剤用途では、乾燥温度は105?130℃がより好ましい。乾燥時間は乾燥量や乾燥方法によって必要な時間行えばよい。好ましくは3?24hである。 【0033】 次に、本発明に係る含塩素樹脂安定剤及び含塩素樹脂組成物について述べる。 【0034】 本発明1又は2のハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を含塩素樹脂安定剤として含塩素樹脂組成物に添加して用いることができる。 【0035】 本発明に係る含塩素樹脂組成物は、樹脂100重量部に対して、前記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を0.01?10重量部含有することが好ましい。ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の含有量が0.01重量部未満の場合には、安定剤としての効果が低い。10重量部を超える場合には、効果が飽和するため必要以上に添加する意味がない。また、ハイドロタルサイト型粒子粉末を必要以上に多量に添加すると、発泡が起こりやすく、外観不良や初期着色等の悪影響を及ぼす場合がある。 【0036】 また、必要に応じて、樹脂中に可塑剤、その他安定剤及び添加剤を含有してもよい。 【0037】 可塑剤としては、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリ-n-オクチル-n-デシルトリメリテート等のトリメトリット酸エステル系可塑剤、フタル酸ジイロデシル(DIDP)、ジイソノニル・フタレート(DINP)、ジ-2-エチルヘキシル・フタレート(DOP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ポリプロピレン・アジペート、ポリプロピレン・セバケート等のポリエステル系可塑剤等が好ましい。 【0038】 その他安定剤としては、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の亜鉛化合物、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ-ジケトン類、アルキルアリルフォスフェート、トリアルキルフォスフェート等のフォスファイト類、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール系化合物、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油等のエポキシ系化合物等が好ましい。 【0039】 その他の添加剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、りん酸系化合物等の酸化防止剤、ポリエステルの末端をOH基に変えたもの、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、メタクリル酸メチルスチレンコポリマー等のゲル化促進剤、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、ガラス繊維等の増量剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、ほう酸亜鉛等の無機難燃剤、含臭素有機系難燃剤、含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤等の難燃剤、ステアリン酸、ポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム等の滑剤、トリクロサン、オーソサイド、サンアイゾール100、サンアイゾール300等防カビ剤等が使用される。 【0040】 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物を含塩素樹脂組成物として用いる場合、該ハイドロタルサイト型化合物に高級脂肪酸やアニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の表面処理を施すことが好ましい。表面処理を施すことでより一層の含塩素樹脂組成物の安定性を付与することができる。 【0041】 高級脂肪酸としては、例えば、ラウリル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸などであり、高級脂肪酸リン酸エステルとしては、例えば、ステアリルエーテルリン酸、オレイルエーテルリン酸、ラウリルエーテルリン酸などであり、多価アルコールエステルとしては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ステアリン酸モノグリセライドなどが挙げられる。 アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ひまし油カリウムなどの塩類などが挙げられる。 カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、チタン系、ジルコニウム系カップリング剤などを使用できる。 【0042】 表面処理剤の処理方法は、特に限定されないが、ハイドロタルサイト型化合物粒子表面に湿式反応によって行ってもよい。あるいは、ハイドロタルサイト型化合物粒子表面に、ヘンシェルミキサー等によって乾式表面処理してもよい。または、単純に該ハイドロタルサイト型化合物粒子と表面処理剤を混合するだけでもよい。 【0043】 本発明に係る含塩素樹脂組成物は、可塑剤が全く含まれない若しくは少量しか含まれない硬質若しくは半硬質材料の場合、下記組成からなる含塩素樹脂組成物において、本発明に係るハイドロタルサイト型化合物を用いれば、ステアリン酸亜鉛0.8重量部では、後述する着色レベルにおいて、レベル3の時間が65分以上、レベル5の時間が100分以上である。 含塩素樹脂(重合度1000) 大洋塩ビ株式会社製 大洋PVC TH1000 100重量部 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(大八化学製 DOP) 0?25重量部 ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末 3.5重量部 ステアリン酸亜鉛(一般試薬) 0.6?0.9重量部 【0044】 また、可塑剤が多く含まれる軟質材料の場合、下記組成からなる含塩素樹脂組成物において、本発明に係るハイドロタルサイト型化合物を用いれば、後述する着色レベルにおいて、レベル3の時間が65分以上で、レベル5の時間が100分以上である。 含塩素樹脂(重合度1000) 大洋塩ビ株式会社製 大洋PVC TH1000 100重量部 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(大八化学製 DOP) 40?80重量部 本発明ハイドロタルサイト型化合物 3.0重量部 ステアリン酸亜鉛(一般試薬) 0.6重量部 【0045】 本発明に係る含塩素樹脂組成物は、用途によっても異なるが、体積固有抵抗値が2.0×10^(14)Ω・cm以上であることが好ましい。 【0046】 次に、本発明に係る含塩素樹脂組成物の製造法について述べる。 【0047】 本発明に係る含塩素樹脂組成物は通常の製造法によって得ることができるが、例えば、練り込みシートを得る場合には、樹脂、ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末及び上記各種安定剤、添加剤を所定量混合し、該混合物を熱間ロールで練り込み、練り込みシートを得た後、熱間プレスで加圧処理することによって得られる。熱間ロールの練り込み温度は用いる樹脂や樹脂組成物によって異なるが、140?300℃が好ましい。熱間プレスのプレス温度は145?320℃が好ましい。 【0048】 <作用> 本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いることにより、樹脂の電気絶縁性を低下することが抑制でき、しかも、熱安定性の向上及び着色の抑制をもたらすことができる。 即ち、本発明に係るハイドロタルサイト型化合物粒子粉末は、電気伝導性のある可溶性硫酸イオン、可溶性硝酸イオン及び可溶性塩化物イオン等の可溶性アニオンの含有量が少ないため、樹脂の安定剤として用いた場合に、高い電気絶縁性を有する樹脂組成物が得られる。しかも、塩による樹脂焼けも抑えることができ、高い熱安定性を有し、着色の抑制された樹脂組成物を得ることができる。また、含有するナトリウムが少ないとより高い効果が得られる。 【実施例】 【0049】 本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。 【0050】 ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム等の元素の含有量は、試料を酸で溶解し、プラズマ発光分光分析装置(サーモエレクトロン株式会社製、iCAP6500)でイットリウムを内部標準として用いて分析して求めた。 【0051】 可溶性アニオンの測定法について以下に述べる。試料5gをエタノール40mlに馴染ませて分散させ、超純水100mlを追加して密封容器で1分間振り混ぜ、そのまま22℃で20時間放置した後、このスラリーを濾過し、超純水を補給しながら濾液を60分間煮沸させてエタノールを蒸発させ、冷却して超純水で液量を100mlに調節した。これをイオンクロマト分析装置(東亜ディーケーケー、ICA-2000)で分析し硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオンの測定をそれぞれ行った。 【0052】 比表面積値は、窒素を用いたB.E.T.法により測定した。 【0053】 樹脂のロール混練は、6インチ2本タイプを用いて、樹脂組成物に合わせて温度を140?190℃に調整した。混練時間は5分にて行った。 【0054】 上記ロール混練したシートを、200×200×1?1.5mmの圧縮成型体にした。圧縮成形体を作製する装置は加熱プレスが70トン自動プレス(ラム面積210cm^(2))、冷却プレスが30トン手動プレス(ラム面積180cm^(2))とした。圧縮成型条件は、140?190℃にて、予熱(無圧)にて3分、加圧(6.3MPa)にて2分、冷却(3.1MPa)にて3分の手順で行った。 【0055】 得られたシートを用いて電気抵抗(電気絶縁性)を測定した。厚さ1.0mmの樹脂プレスシートを作成し、30℃-60%のデシケーターに1日保管し、JIS K6723に準じて、体積固有抵抗値(Ω・cm)を測定した。 【0056】 熱安定性試験はギヤー老化式試験機(株式会社安田精機製作所製、102-SHF-77S)にて行った。上記プレスしたシートを30×30mm角に切り出し、ガラス板上にこの試験片を置いて、190℃で200分間試験をしながら、10分毎に試験片を2枚/1サンプルずつ取り出して、記録紙に貼り付けた。 【0057】 プレスシート及び熱安定性試験片の着色レベルは次のような1?7のレベルに定義した。 レベル1 ほとんど着色がない レベル2 淡い褐色 レベル3 褐色 レベル4 一部が炭化・黒化 レベル5 全体が炭化・黒化 【0058】 次に実施の形態を述べる。 【0059】 実施例1 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 酸化マグネシウム26.9gを純水に分散させたスラリーと硫酸アルミニウム8水塩結晶81.0gの水溶液を攪拌しながら混合した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)58.3mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の酸化マグネシウムと硫酸アルミニウム8水塩を混合したスラリーに投入して80℃に昇温し、80℃にて5時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して175℃にて4時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら67℃にして、pHを10.3に調整した。この状態に2.3gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、40℃のpH11.5の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後40℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は11.0m^(2)/gであった。 【0060】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は80min、レベル5の時間は120minであった。 【0061】 実施例2 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硫酸マグネシウム7水塩結晶141.0g、硫酸亜鉛7水塩結晶41.5g結晶及び硫酸アルミニウム8水塩結晶69.4gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶30.6gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)152.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硫酸マグネシウム7水塩結晶、硫酸亜鉛7水塩結晶及び硫酸アルミニウム8水塩を混合した水溶液に投入して85℃に昇温し、85℃にて6時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して185℃にて6時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら65℃にして、pHを10.1に調整した。この状態に2.5gのステアリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.6時間エージングした。濾過後、50℃のpH11の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後50℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.0m^(2)/gであった。 【0062】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は75min、レベル5の時間は115minであった。 【0063】 実施例3 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硫酸マグネシウム7水塩結晶176.3g及び硫酸アルミニウム8水塩結晶69.4gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶30.6gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)152.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硫酸マグネシウム7水塩結晶及び硫酸アルミニウム8水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して145℃にて6時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら65℃にして、pHを11.2に調整した。この状態に1.9gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.8時間エージングした。濾過後、45℃のpH12.5の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.0m^(2)/gであった。 【0064】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(半硬質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 20phr ステアリン酸亜鉛 0.8phr 上記試料 3.5phr 178℃にて5分ロール混練し、178℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は75min、レベル5の時間は115minであった。 【0065】 実施例4 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶101.9g、塩化亜鉛1水塩結晶26.0g結晶及び塩化アルミニウム6水塩結晶80.5gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)136.1mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶、塩化亜鉛1水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入して95℃に昇温し、95℃にて8時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して165℃にて7時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを9.9に調整た。この状態に2.5gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、45℃のpH11の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水16Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.2m^(2)/gであった。 【0066】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は75min、レベル5の時間は120minであった。 【0067】 実施例5 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶141.0g及び塩化アルミニウム6水塩結晶74.3gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶32.9gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)163.5mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入して75℃に昇温し、75℃にて15時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して170℃にて9時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを10.9に調整した。この状態に2.0gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.9時間エージングした。濾過後、40℃のpH12の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後40℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.4m^(2)/gであった。 【0068】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は90min、レベル5の時間は110minであった。 【0069】 実施例6 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硝酸マグネシウム6水塩結晶149.8g、硝酸亜鉛6水塩結晶25.0g結晶及び硝酸アルミニウム9水塩結晶125.0gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)126.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硝酸マグネシウム6水塩結晶、硝酸亜鉛6水塩結晶及び硝酸アルミニウム9水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して175℃にて8時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら62℃にして、pHを10.0に調整した。この状態に2.5gのステアリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.6時間エージングした。濾過後、45℃のpH11.5の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.8m^(2)/gであった。 【0070】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr TOTM 60phr ステアリン酸亜鉛 0.7phr 上記試料 3.3phr 162℃にて5分ロール混練し、162℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は80min、レベル5の時間は110minであった。 【0071】 実施例7 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硝酸マグネシウム6水塩結晶171.2g及び硝酸アルミニウム9水塩結晶125.0gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)126.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硝酸マグネシウム6水塩結晶及び硝酸アルミニウム9水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して130℃にて5時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら62℃にして、pHを10.0に調整した。この状態に2.5gのステアリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.6時間エージングした。濾過後、60℃のpH11の薄い苛性ソーダの水溶液3Lで水洗し、その後60℃の純水25Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は19.2m^(2)/gであった。 【0072】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は80min、レベル5の時間は115minであった。 【0073】 実施例8 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硫酸マグネシウム7水塩結晶176.3g及び硫酸アルミニウム8水塩結晶69.4gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶30.6gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)152.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硫酸マグネシウム7水塩結晶及び硫酸アルミニウム8水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して145℃にて6時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら65℃にして、pHを11.9に調整した。この状態に1.9gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.8時間エージングした。濾過後、40℃のpH13の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.3m^(2)/gであった。 【0074】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(半硬質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 20phr ステアリン酸亜鉛 0.8phr 上記試料 3.5phr 178℃にて5分ロール混練し、178℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は75min、レベル5の時間は110minであった。 【0075】 実施例9 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶101.9g、塩化亜鉛1水塩結晶26.0g結晶及び塩化アルミニウム6水塩結晶80.5gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)136.1mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶、塩化亜鉛1水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入して95℃に昇温し、95℃にて8時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して165℃にて7時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを11.7に調整した。この状態に2.5gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、55℃のpH13の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水16Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.1m^(2)/gであった。 【0076】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は75min、レベル5の時間は110minであった。 【0077】 実施例10 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶141.0g及び塩化アルミニウム6水塩結晶74.3gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶32.9gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)203.5mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入し、その後、塩化カルシウム2水塩結晶4.50gを溶解した水溶液を投入し、75℃に昇温した。75℃にて15時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して170℃にて9時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを10.9に調整した。この状態に2.0gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.9時間エージングした。濾過後、40℃のpH12の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後40℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.0m^(2)/gであった。Mg/Ca/Alのモル比は2.40/0.10/1.00であった。 【0078】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は90min、レベル5の時間は110minであった。 【0079】 実施例11 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶101.9g、塩化亜鉛1水塩結晶23.4g結晶及び塩化アルミニウム6水塩結晶80.5gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)136.1mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶、塩化亜鉛1水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入して95℃に昇温し、95℃にて8時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して165℃にて7時間撹拌しながらエージングした。この後、酸化亜鉛を1.4g添加し、混合した。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを11.7に調整した。この状態に2.5gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、45℃のpH12.5の薄い苛性ソーダの水溶液2Lで水洗し、その後45℃の純水16Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は10.7m^(2)/gであった。 【0080】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は80min、レベル5の時間は110minであった。 【0081】 比較例1 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 酸化マグネシウム26.9gを純水に分散させたスラリーと硫酸アルミニウム8水塩結晶81.0gの水溶液を攪拌しながら混合した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)58.3mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の酸化マグネシウムと硫酸アルミニウム8水塩を混合したスラリーに投入して80℃に昇温し、80℃にて5時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して175℃にて4時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら72℃にして、pHを8.9に調整した。この状態に2.3gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、40℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は11.3m^(2)/gであった。 【0082】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は50min、レベル5の時間は90minであった。 【0083】 比較例2 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硫酸マグネシウム7水塩結晶176.3g及び硫酸アルミニウム8水塩結晶69.4gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶30.6gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)152.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硫酸マグネシウム7水塩結晶及び硫酸アルミニウム8水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して145℃にて6時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら65℃にして、pHを9.0に調整した。この状態に1.9gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.8時間エージングした。濾過後、45℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.5m^(2)/gであった。 【0084】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(半硬質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 20phr ステアリン酸亜鉛 0.8phr 上記試料 3.5phr 178℃にて5分ロール混練し、178℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は55min、レベル5の時間は95minであった。 【0085】 比較例3 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 塩化マグネシウム6水塩結晶101.9g、塩化亜鉛1水塩結晶26.0g結晶及び塩化アルミニウム6水塩結晶80.5gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)136.1mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の塩化マグネシウム6水塩結晶、塩化亜鉛1水塩結晶及び塩化アルミニウム6水塩を混合した水溶液に投入して95℃に昇温し、95℃にて8時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して165℃にて7時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら70℃にして、pHを9.1に調整した。この状態に2.5gのパルミチン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.7時間エージングした。濾過後、45℃の純水16Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.5m^(2)/gであった。 【0086】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は60min、レベル5の時間は95minであった。 【0087】 比較例4 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硝酸マグネシウム6水塩結晶171.2g及び硝酸アルミニウム9水塩結晶125.0gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶35.7gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)126.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硝酸マグネシウム6水塩結晶及び硝酸アルミニウム9水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して130℃にて5時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら62℃にして、pHを8.6に調整した。この状態に2.5gのステアリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.6時間エージングした。濾過後、60℃の純水25Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は18.9m^(2)/gであった。 【0088】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(軟質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 55phr ステアリン酸亜鉛 0.6phr 上記試料 3.0phr 158℃にて5分ロール混練し、158℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は60min、レベル5の時間は85minであった。 【0089】 比較例5 (ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末の作製) 硫酸マグネシウム7水塩結晶176.3g及び硫酸アルミニウム8水塩結晶69.4gを純水に溶解した。別に、炭酸ソーダ結晶30.6gを純水で溶解し、さらに苛性ソーダ(12N)122.4mlと純水を加えた。このアルカリ溶液を先の硫酸マグネシウム7水塩結晶及び硫酸アルミニウム8水塩を混合した水溶液に投入して90℃に昇温し、90℃にて10時間撹拌した。全量を1Lとし、これをオートクレーブに移して145℃にて6時間撹拌しながらエージングした。 続いて、この反応スラリーを撹拌しながら65℃にして、pHを7.4に調整した。この状態に1.9gのラウリン酸ソーダを熱湯(80℃)に溶解した溶液を投入した。これを0.8時間エージングした。濾過後、45℃の純水15Lで水洗し、125℃で8h乾燥を行った。得られた試料の比表面積は9.7m^(2)/gであった。 【0090】 (含塩素樹脂組成物の作製及び評価) 上記ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いて以下の含塩素樹脂組成物とした(半硬質組成)。 含塩素樹脂組成物 100phr DOP 20phr ステアリン酸亜鉛 0.8phr 上記試料 3.5phr 178℃にて5分ロール混練し、178℃にて圧縮成形プレス処理を行った。得られたシートのレベル3の時間は60min、レベル5の時間は95minであった。 【0091】 【表1】 【産業上の利用可能性】 【0092】 本発明に係るハイドロタルサイト粒子粉末を用いることで含塩素樹脂組成物材料において、樹脂組成物の電気絶縁性、着色の抑制及び熱安定性を改善させることができる。このため、より多くのアプリケーションへの展開が可能となる。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ハイドロタルサイト型化合物粒子を生成したスラリーのpHを9.5?12に調節した後、高級脂肪酸、アニオン系界面活性剤、高級脂肪酸リン酸エステル、カップリング剤及び多価アルコールエステル類から選ばれる少なくとも一種の化合物によってハイドロタルサイト型化合物粒子の表面処理を行った後、pHが11?13のアルカリ水溶液で洗浄し、次いで、水洗して得られたMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末であって、可溶性アニオンの合計値が70ppm以下であり、含有するナトリウムが700ppm以下であるMg-Al系又はMg-Zn-Al系ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いたことを特徴とする含塩素樹脂組成物を熱安定化させて着色を抑制させるための含塩素樹脂安定剤。 【請求項2】 請求項1記載の含塩素樹脂安定剤を塩素含有樹脂中に含有することを特徴とする含塩素樹脂組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2013-11-25 |
結審通知日 | 2013-11-29 |
審決日 | 2013-12-10 |
出願番号 | 特願2009-87788(P2009-87788) |
審決分類 |
P
1
113・
113-
YAA
(C01F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 政博 |
特許庁審判長 |
真々田 忠博 |
特許庁審判官 |
中澤 登 吉水 純子 |
登録日 | 2012-04-13 |
登録番号 | 特許第4968484号(P4968484) |
発明の名称 | ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末、該ハイドロタルサイト型化合物粒子粉末を用いた含塩素樹脂安定剤及び含塩素樹脂組成物 |
代理人 | 奥貫 佐知子 |
代理人 | 小野 尚純 |